JPWO2011099354A1 - 酵素処理液、軟質化方法および軟質化動物性食材 - Google Patents

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Abstract

本発明の酵素処理液は、食肉または魚介類からなる動物性素材を酵素処理することにより軟質化する軟質化方法に用いられるものであり、かかる酵素処理液のpHが8.0以上、10.5未満であり、かつ、酵素処理液中における電解質濃度を塩分濃度に換算して求められる塩分計測定値が0.7%以上、3.0%未満である。これにより、動物性素材を、食感および風味を維持した状態で、確実に軟質化することができ、滑らかな食感を有する軟質化動物性食材が得られる。

Description

本発明は、酵素処理液、軟質化方法および軟質化動物性食材に関するものである。
例えば、高齢者や、何らかの疾患のため、硬い食物を噛めない・飲み込めない患者(嚥下・咀嚼困難者)が多数存在する。これらの人々は、通常、複数の食品を混合した混合物を、磨り潰してペースト状や、液状にしたものを摂取している。
しかしながら、かかる場合、如何なる食品(食材)を食べているのかがはっきりせず、食欲も十分に出ず、その結果、体力を落とす等の弊害が生じやすい。したがって、食欲を増大させる観点からは、食材の柔らかさのみならず、その食材が元来有する食材自体の形状を維持していることも重要である。
これらの双方を満足する動物性素材の軟質化方法として、例えば、特許文献1では、/たん白質分解酵素を用いて、動物性素材の形状を保持した状態で、動物性素材を軟らかくする軟質化方法が開示されている。
しかしながら、この特許文献1に記載の軟質化方法では、動物性素材が元来有する食材自体の形状がある程度維持されているものの、食感や風味に劣り、美味しく食することができるものとは言い難かった。
特開2008−125437号公報
本発明の目的は、動物性素材を、食感および風味を維持しつつ、確実に軟質化することができる軟質化方法に用いられる酵素処理液、かかる酵素処理液を用いて動物性素材を軟質化する軟質化方法、および、かかる酵素処理液を用いた軟質化方法により食感および風味を維持した状態で軟質化された軟質化動物性食材を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(12)の本発明により達成される。
(1) 食肉または魚介類からなる動物性素材を酵素処理することにより軟質化する軟質化方法に用いられる酵素処理液であって、
当該酵素処理液のpHが8.0以上、10.5未満であり、かつ、当該酵素処理液中における電解質濃度を塩分濃度に換算して求められる塩分計測定値が0.7%以上、3.0%未満であることを特徴とする酵素処理液。
(2) 当該酵素処理液中に含まれるたん白質分解酵素は、アルカリ領域で活性を有するものである上記(1)に記載の酵素処理液。
(3) 前記たん白質分解酵素の含有量は、5.0×10−4wt%以上、3.0wt%以下である上記(2)に記載の酵素処理液。
(4) さらに、増粘剤を含む上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の酵素処理液。
(5) 前記塩分計測定値は、当該酵素処理液の電気伝導度を測定することにより求められる上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の酵素処理液。
(6) 上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の酵素処理液で前記動物性素材を酵素処理することにより軟質化することを特徴とする軟質化方法。
(7) 前記酵素処理は、前記動物性素材に前記酵素処理液を供給した後、前記たん白質分解酵素を前記動物性素材の構成成分と反応させる上記(6)に記載の軟質化方法。
(8) 前記酵素処理の後、前記動物性素材を加熱することにより、前記酵素を失活させる酵素失活処理を行う上記(6)または(7)に記載の軟質化方法。
(9) 動物性素材を、上記(6)ないし(8)のいずれかに記載の軟質化方法により軟質化してなることを特徴とする軟質化動物性食材。
(10) 当該軟質化動物性食材は、乾燥処理が施された後、水または湯を用いて復元される上記(9)に記載の軟質化動物性食材。
(11) 前記復元に用いられる水または湯は、造影剤および食品添加物のうちの少なくとも一方を含む水溶液または水懸濁液である上記(10)に記載の軟質化動物性食材。
(12) 前記軟質化動物性食材は、「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」に記載の「えん下困難者用食品の試験方法」を遵守して測定した圧縮応力が1×10N/m以下である上記(9)ないし(11)のいずれかに記載の軟質化動物性食材。
以下、本発明の酵素処理液、軟質化方法および軟質化動物性食材を好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の軟質化方法は、食肉または魚介類からなる動物性素材を本発明の酵素処理液を用いて酵素処理することにより軟質化する軟質化方法であり、かかる酵素処理液として、酵素処理液のpHが8.0以上、10.5未満であり、かつ、酵素処理液中における電解質濃度を塩分濃度(食塩濃度)に換算して求められる塩分計(塩分濃度計)測定値が0.7%以上、3.0%未満であるものを用いることを特徴とする。
ここで、本発明が適用される、動物性素材としては、食肉または魚介類からなる。これらのうち、食肉としては、特に限定されず、例えば、牛、豚、馬、羊、鶏、アヒル、七面鳥のような畜肉、猪、鹿、熊のような獣肉、クジラ、海豚のような海産動物、カモ、ダチョウ、カンガルーおよびワニ等の精肉ならびにこれらの加工品が挙げられる。また、魚介類としては、特に限定されず、例えば、マグロ、カジキ、シャケ、アジ、サバ、赤魚のような魚類、赤貝、ホタテのような貝類、タコ、イカのような頭足類、および、エビ、カニ、オキアミのような甲殻類等の生肉ならびにこれらの加工品が挙げられる。
本発明の酵素処理液を用いた軟質化方法(本発明の軟質化方法)をこれらの動物性素材の軟化に適用すれば、後に詳述するように、動物性素材を、その食感および風味を維持しつつ、確実に軟質化することができ、高齢者および嚥下・咀嚼困難者でも飲み込み易く、美味しく食することができる軟質化動物性食材を製造することができる。
本実施形態の動物性素材の軟質化方法は、[1]酵素処理液で動物性素材を酵素処理する酵素処理工程と、[2]たん白質分解酵素を反応・失活させる酵素反応・失活処理工程と、[3]動物性素材を凍結または乾燥させる保存処理工程を有する。
かかる工程を経ることにより、動物性素材の構成成分であるたん白質やペプチドの分子鎖を、動物性素材の食感および風味を維持しつつ、その全体にわたって均等に切断することにより低分子化し、結果として、食物素材の形状を維持した状態で、軟質化を行うことができる。
以下、各工程について詳述する。
[1]酵素処理工程
まず、軟質化すべき動物性素材を用意する。
ここで用意する動物性素材(動物性食品)としては、食肉を軟質化する場合、精肉であってもよいし、ハム・ソーセージのような加工品であってもよい。また、魚類や頭足類を軟質化する場合、皮や内臓等を除いた切り身であってもよいし、特に前処理を施すことなくそのまま酵素処理に供するようにしてもよい。さらに、貝類や甲殻類を軟質化する場合、殻を取り除いてもよいし、取り除かなくてもよい。
次に、用意した動物性素材を、そのpHが8.0以上、10.5未満であり、かつ、このものに含まれる電解質の量を塩分濃度に換算して求められる塩分計測定値(以下、単に「塩分計測定値」と言うこともある。)が0.7%以上、3.0%未満である酵素処理液(本発明の酵素処理液)で酵素処理する。
ここで、動物性素材の硬さは、骨格筋に含まれる筋肉結合組織や筋原繊維等の含有量およびその質により決定付けられている。そのため、筋肉結合組織の主成分であるコラーゲンおよびエラスチン等のたん白質、さらには、筋原繊維の主成分であるアクチンおよびミオシン等のたん白質を、酵素処理液中に含まれるたん白質分解酵素の作用により、分解(切断)して低分子化することにより、動物性素材の軟質化を図ることができる。
ところで、このようなたん白質分解酵素によるたん白質の低分子化の際に、本発明の軟質化方法に用いる酵素処理液(本発明の酵素処理液)のようにそのpHが8.0以上、10.5未満でなく、かつ、当該酵素処理液中における電解質濃度を塩分濃度に換算して求められる塩分計測定値が0.7%以上、3.0%未満となっていない酵素処理液を用いると、動物性素材の軟質化は行われるものの、たん白質の低分子化に伴い、形状保持性や保水性が低下することに起因して、ジューシー感や風味が抜け、さらには筋原繊維がレバー状となったり、あるいは離水による水分過剰流出などが起因してパサツキ感が生じたりして、食肉類を味わっているという肉質感にも劣るという問題がある。
すなわち、酵素処理液のpHおよび塩分計測定値が適切な範囲内に設定されていない、従来の酵素処理液で酵素処理された動物性食材は、軟質化されているため、高齢者や咀嚼困難者であっても食することができるが、ジューシー感、肉質感のような食感、さらには風味等に劣り、美味しく食することができるものとは言い難かった。
本発明者は、かかる問題点に鑑み鋭意検討を重ねた結果、酵素処理液のpHおよび電解質の量が、軟質化された動物性食材の食感および風味等に関連性を有することが判ってきた。そして、本発明者のさらなる検討により、酵素処理液のpHを8.0以上、10.5未満に設定し、さらに酵素処理液中における電解質濃度を塩分濃度に換算して求められる塩分計測定値を0.7%以上、3.0%未満に設定することにより、前記問題点を解消し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
酵素処理液中には、動物性素材に含まれるたん白質を低分子化することにより、動物性素材を軟質化するために、たん白質分解酵素が添加される。
このようなたん白質分解酵素は、特に限定されないが、アルカリ領域で活性を有するものが好適に用いられる。
アルカリ領域で活性を有するたん白質分解酵素としては、例えば、パパイン、ブロメライン、フィシン、アクチニジンのような植物由来のもの、Bacillus属、Aspergillus属のような微生物を由来とするもの、トリプシン、カテプシン、ロイシンアミノペプチダーゼのような動物由来のもの等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらが混合配合された酵素製剤も使用できる。これらのたん白質分解酵素を用いることにより、pH8.0以上、10.5未満の範囲内において、より確実に活性を残存させることができる。
また、酵素処理液中のたん白質分解酵素の含有量は、酵素処理液中に含まれるたん白質分解酵素の種類によっても若干異なり、特に限定されないが、好ましくは5.0×10−4wt%以上、3.0wt%以下に設定され、より好ましくは1.0×10−3wt%以上、1.0wt%以下に設定される。これにより、前述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
また、酵素処理液のpHは、8.0以上、10.5未満であればよいが、9.0以上、10.5未満であるのが好ましい。これにより、前述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
さらに、塩分計測定値は、0.7%以上、3.0%未満であればよいが、1.3%以上、2.5%未満であるのが好ましい。これにより、前述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
ここで、塩分計測定値[%]は、酵素処理液の電気伝導度(電導度)[S/m]を測定することにより得られ、より詳しくは、測定された電気伝導度から、酵素処理液中における電解質濃度を算出し、この電解質の算出量に基づいて、電解質濃度を塩分濃度に換算して求められる値である。かかる塩分計測定値は、例えば、塩分計(アタゴ社製、「ES−421」)を用いて測定することができる。
また、酵素処理液のpHおよび塩分計測定値は、酵素処理液中に添加するpH調製剤や、調味料等の食品添加物の種類および濃度を適宜設定することにより、それぞれ、前述したような範囲内に容易に設定することができる。
pH調製剤としては、特に限定されず、例えば、塩酸、酒石酸、アジピン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、炭酸、乳酸、ピロリン酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸とそれら酸のナトリウム塩およびカリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属塩等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、調味料としては、特に限定されず、例えば、砂糖、食塩、酢、醤油、魚醤、味噌、酒、みりん、ウスターソース、ケチャップ、オイスターソース、ケチャップマニス、サルサ、サンバルソース、チリソース、マスタード、油脂、ラー油、腐乳、香辛料、ハーブ、カレー粉、醤(ひしお)、タレ、めんつゆ、割下、甘味料、うま味調味料、食品エキス、だし、ガラスープ等、酵素液中に溶解し塩濃度やpHに影響するもの等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、酵素処理液中には、増粘剤(増粘安定剤)が含まれているのが好ましい。これにより、得られた動物性食材のジューシー感、肉質感のような食感、さらには、動物性食材の飲み込み性をより優れたものとすることができる。
増粘剤としては、食品多糖類が用いられ、具体的には、例えば、澱粉、カードラン、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドシードガム、セルロース、グルコマンナン、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、アラビアガム、トラガントガム、サイリウムシードガム、タラガム、アルギン酸、ファーセルラン、ペクチン、ジェランガム、プルラン、キトサンおよびローカストビーンガム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、中でも、特に、キサンタンガム、カラギーナンおよびローカストビーンガムのうちの少なくとも1種であるのが好ましい。キサンタンガム、カラギーナンおよびローカストビーンガムは、上記増粘剤の中でも、保水性に特に優れるものであるため、軟質化された動物性食材中における離水の発生をより的確に抑制または防止することができる。
なお、酵素処理液中には、これらの他に、フェルラ酸のような抗酸化剤、アルギニン、グルタミン、グリシンのようなアミノ酸やビタミン類およびミネラル類が含まれていても良い。
以上のような酵素処理液を調製するのに用いる液体としては、例えば、水、および、エタノール等のアルコール類が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本工程において、動物性素材内に酵素処理液を供給する方法は、特に限定されず、例えば、動物性素材中に酵素処理液を注入する方法(注入法)、動物性素材に酵素処理液を噴霧する方法(噴霧法)、動物性素材に酵素処理液を塗布する方法(塗布法)、動物性素材を酵素処理液中に浸漬する方法(浸漬法)、減圧含浸法等が挙げられる。
これらの中でも、注入法を用いるのが好ましい。注入法によれば、簡単な操作で、目的とする量の酵素処理液を動物性素材中に供給(注入)することができることから好ましい。また、注入法を用いれば、比較的厚い厚みを有する動物性素材を軟質化する場合であっても、その厚さ方向に沿って、酵素処理液を均一に注入でき、その内部をも均一に軟質化できるため、かかる観点からも、注入法が好ましく用いられる。
なお、動物性素材の厚さが、具体的には、好ましくは5mm以上のもの、より好ましくは10〜50mm程度のものが注入法に好適に適用される。
また、動物性素材に酵素処理液を注入する注入法(インジェクション法)としては、特に限定されないが、以下に示すようなインジェクション装置を用いた方法であるのが好ましい。
すなわち、ほぼ等間隔に配列された複数本の注射針と、これら注射針に圧力を付与した状態で酵素処理液を送液し得る送液部とを備えるインジェクション装置を用い、動物性素材に複数本の注射針を穿刺した状態で、複数本の注射針に送液部から酵素処理液を送液することにより、動物性素材中に酵素処理液を注入する方法を用いるのが好ましい。
このようなインジェクション装置を用いた方法によれば、一度の操作で広範囲に亘って動物性素材に酵素処理液を注入できることから、酵素処理液を注入するための処理時間の短縮を図ることができる。さらに、動物性素材の全体に亘ってより均一に酵素処理液を注入することができる点からも好ましい。
動物性素材に供給する酵素処理液の供給量は、軟質化する動物性素材の種類によっても若干異なるが、動物性素材の初期重量(酵素処理液を注入する前の動物性素材の重量)に対して好ましくは10〜80wt%の重量、より好ましくは10〜50wt%の重量の酵素処理液で酵素処理する。
また、動物性素材内に酵素処理液を供給する際の酵素処理液の温度は、特に限定されないが、0〜25℃程度であるのが好ましく、0〜15℃程度であるのがより好ましい。これにより、酵素処理液中に含まれるたん白質分解酵素が不活化してしまうのを的確に抑制または防止した状態で、酵素処理液を動物性素材に供給することができるため、酵素処理液を動物性素材中に均一に含浸させることができる。
なお、上記のように動物性素材の厚さが厚い場合には注入法が好適に用いられるものの、動物性素材の厚さが5mm以下、もしくは小エビのごとく縦横の長さが3cm以下のように比較的薄いもの、小型のものを軟質化する場合には、動物性素材に酵素処理液を供給する方法としては、噴霧法、塗布法または浸漬や減圧含浸法が好適に適用される。
以上のようにして動物性素材に供給した酵素処理液(酵素)による、動物性素材の構成成分に対する酵素反応は、特に限定されないが、例えば、以下のような条件で行うのが好ましい。
(低温)酵素反応を行う際の動物性素材の温度は、0〜35℃程度であるのが好ましく、5〜15℃程度であるのがより好ましい。
酵素反応を行う時間は、前記温度範囲とする場合、1〜24時間程度であるのが好ましく、5〜18時間程度であるのがより好ましい。
また、酵素反応を行う際には、動物性素材の形状が崩れない程度で、振動(超音波振動、タンブリングなど)を付与するのが好ましい。これにより、動物性素材のほぼ全体に亘ってより均一に酵素による軟質化を行うことができ、より均一に軟質化された動物性素材を得ることができる。
[2]酵素(高温)反応・失活加熱処理工程
次に、軟質化後の動物性素材内のたん白質分解酵素を(高温)反応・失活させる加熱処理を行う。
これにより、最終的な酵素反応を完了し、また、軟質化後の動物性素材(軟質化動物性食材)が、保存時等において、さらに酵素反応が進行して、例えば、動物性素材の型崩れを起こすことや、動物性素材の風味が劣化すること等を防止することができる。
この失活処理としては、特に限定されず、例えば、酵素処理された動物性素材を加熱する加熱処理、酵素処理された動物性素材に酸溶液を接触させる処理(酸溶液に浸漬する処理等)等が挙げられるが、加熱処理により酵素を失活させるのが好ましい。加熱処理によれば、軟質化動物性素材に新たな処理液(酸溶液等)を接触させることなく、酵素を失活させることができるので、新たな処理液を接触させることに起因する、離水の発生や型崩れ等を確実に防止することができる。
加熱処理の方法としては、特に限定されず、例えば、動物性素材を加湿下で加熱する方法、動物性素材を火炎に接近もしくは接触させる方法、および、動物性素材を誘電加熱する方法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、加熱する方法としては、動物性素材を加湿下で加熱する方法を用いるのが好ましい。かかる方法によれば、加熱処理時において、動物性素材の表面に焦げ目等を付けることなく、動物性素材の中心部にまで亘ってほぼ均一な温度で加熱することができ、このものに含まれるたん白質分解酵素を均一に失活させることができる。
また、加熱する温度は、加熱処理する時間によっても若干異なるが、好ましくは60〜120℃程度、より好ましくは70〜115℃程度とされる。かかる範囲内に設定することにより、加熱に起因する動物性素材の硬化を抑制または防止しつつ、動物性素材中に含まれるたん白質分解酵素を確実に失活させることができる。
また、加熱する際の雰囲気の湿度は、相対湿度で60〜100%RH程度であるのが好ましく、85〜100%RH程度であるのがより好ましい。かかる範囲の湿度の加湿下において、動物性素材に加熱処理を行うことにより、動物性素材の外表面の変質(変性)等をともなうことなく、動物性素材の中心部まで均一に加熱することができる。
また、動物性素材を加熱する時間は、加熱する温度によっても若干異なるため、特に限定されないが、前記温度範囲とする場合、5〜60分程度であるのが好ましく、10〜30分程度であるのがより好ましい。かかる時間で動物性素材を加熱することにより、動物性素材の中心部まで(動物性素材全体を)より確実かつ均一に加熱して、動物性素材中の酵素を失活させることができるとともに、動物性素材の外表面に焦げ目が付いてしまうのをより確実に防止することができる。
[3]保存処理工程
次に、たん白質分解酵素が失活された軟質化動物性素材を長期保存するための保存処理を行う。
これにより、軟質化動物性素材を長期保存に適したものとすることができるとともに、所望の時に、軟質化動物性素材を食材として食することができる。
軟質化動物性素材の保存処理としては、特に限定されないが、例えば、冷凍または乾燥する方法が挙げられる。
軟質化動物性素材の冷凍方法としては、如何なる方法を用いて行ってもよいが、液体窒素や冷却したアルコール等を用いた急速冷凍(急速凍結)法を用いて行うのが好ましい。また、素材を急速に冷凍することが可能な冷凍装置を用いることも可能である。かかる方法を用いることにより、軟質化動物性素材中における氷結晶の発生を的確に抑制または防止することができるため、この冷凍された軟質化動物性素材を解凍した際に、形状が変化してしまったり、離水が生じるのをより効果的に防止することができる。
軟質化動物性素材を急速冷凍する際の温度は、−20℃以下であるのが好ましく、−25〜−40℃程度であるのがより好ましい。これにより、軟質化動物性素材を冷凍する際に、軟質化動物性素材に氷結晶が生成してしまう0〜−5℃の温度領域を比較的短時間(具体的には、30分以内)で通過させることができ、氷結晶の生成がより的確に抑制される。
さらに、冷凍された軟質化動物性素材を解凍する方法としては、特に限定されず、例えば、誘電加熱法、蒸す方法、湯煎または水洗する方法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
軟質化動物性素材の乾燥方法としては、如何なる方法を用いてもよいが、油ちょう乾燥、冷風乾燥、熱風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥処理等による乾燥保存法を用いることができる。このなかでも特に食感、風味の復元の良さの点で凍結乾燥法が望ましい。かかる乾燥保存法を用いた場合、乾燥された軟質化動物性素材を、水または湯を用いて復元させることで、軟質化動物性素材として食することができるようになる。軟質化動物性素材を乾燥することにより、常温でのハンドリングや流通が可能となる。
さらに、復元に用いられる水または湯には、造影剤が含まれるようにしてもよい。これにより、口腔、咽頭、食道、消化管の機能評価のための造影検査(X線検査、VF(嚥下造影検査)、CT、3DCT、MRI、PET等)に使用することができるという利点が得られる。
造影剤としては、特に限定されず、ヨード造影剤(イオジキサノール、イオヘキソール、イオパミドール、イオメプロール、イオプロミド、イオベルソール、イオキシラン、イオトロラン、アミドトリゾ酸、イオトロクス酸、イオタラム酸メグルミン、イオタラム酸、イオキサグル酸、メグルミン、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル、イオパノ酸等を含む造影剤)、ガドリウム化合物造影剤(ガドペンテト酸メグルミン、ガドテリドール等を含む造影剤)、および硫酸バリウム、酸化鉄造影剤(クエン酸鉄アンモニウム等を含む造影剤)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに復元に用いられる水または湯には食品添加物が含まれるようにしてもよい。これにより素材に元々含まれていなかった食品添加物を内部まで含ませることができる。
なお、食品添加物としては、酵素処理工程[1]で挙げた、pH調製剤および調味料の他、増粘剤等を用いることができる。
また、前記水または湯に、造影剤および食品添加物の少なくとも一方が含まれる場合、復元に用いられる水または湯は、これらの水溶液であっても良いし、水懸濁液であってもよい。
復元方法としては、例えば、乾燥した軟質化動物性素材(乾燥素材)に前記水または湯を滴下、塗布、または噴霧する方法、乾燥素材を前記水または湯に浸漬する方法等が可能である。また、必要に応じ、復元後の軟質化動物性素材を喫食に適する温度に電子レンジやスチームコンベクション等の加熱機器で加温することもできる。
なお、本発明の軟質化方法では、本実施形態における工程[2]および工程[3]のいずれか1工程を省略してもよい。また、任意の工程が付加されていてもよく、例えば、前記酵素処理工程[1]に先立って、動物性素材中の水分を除去する水分除去工程を付加するようにしても良い。かかる工程を付加することにより、前記酵素処理工程[1]において、動物性素材内への酵素処理液の含浸(浸透)率を向上させることができる。
この水分除去工程において、水分を除去する方法としては、特に限定されず、例えば、加熱乾燥法、熱風乾燥法、冷風乾燥法、凍結乾燥法、塩蔵法、遠心分離法、油ちょう法および毛細管現象を用いた方法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
その中で、加熱乾燥法は、例えば、密封容器中に動物性素材を封じ、湯煎等により50〜90℃に加熱することにより、水分をドリップとして除去する方法である。
また、熱風乾燥法または冷風乾燥法は、例えば、10〜120℃の空気を吹き付けることにより、水分を蒸発させ除去する方法である。
凍結乾燥法は、例えば、動物性素材を−20〜−80℃程度まで冷却凍結した後、減圧することにより、動物性素材中の水分を昇華させ除去する方法である。
塩蔵法は、例えば、5%以上の食塩水や、食塩と水を混合したスラリーに動物性素材を接触させることにより、水分を除去する方法である。
遠心分離法は、例えば、遠心脱水機等の装置を用いて、かご状の容器中に動物性素材を配置させた状態で、この容器を回転運動させることにより、動物性素材中の水分を除去する方法である。
油ちょう法は、例えば、70〜180℃程度に加熱した食用油脂中で動物性素材を加熱することにより、水分を蒸発させて除去する方法である。
さらに、毛細管現象を用いた方法は、例えば、キッチンペーパーを重層し、これらの間に動物性素材を挟み込むことにより、動物性素材中の水を除去する方法である。
以上の工程を経て、冷凍状態または乾燥状態の本発明の軟質化動物性食材が得られる。
このようにして得られた軟質化動物性食材は、このものを解凍あるいは水戻しなどの復元した際に、軟質化前の動物性素材とほぼ等しい形状をなしている。
さらに、かかる軟質化動物性食材は、十分に軟質化されているうえに、ジューシー感や肉質感のような食感もよく、風味等の漏出も確実に防止されている。
このため、高齢者や咀嚼・嚥下困難者に対して、食欲の増進を促し、美味しく食することが期待できるとともに、容易に飲み込むことができる。
かかる軟質化動物性食材は、乾燥保存であれば水戻しなどで復元した状態、または冷凍保存であれば解凍したときすなわち、乾燥または冷凍されていない状態で、厚生労働省で規定の「えん下困難者用食品の試験方法」にしたがって測定した圧縮応力が好ましくは1×10N/m以下に、より好ましくは5×10N/m以下になっている。このような数値を満たすことにより、前述の高齢者や患者でも、確実に軟質化動物性食材を咀嚼し、飲み込むことが可能となる。
以上、本発明の酵素処理液、軟質化方法および軟質化動物性食材を前記実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、本発明の軟質化方法は、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.酵素処理液の種類の検討
1−1.酵素処理液の調整
(酵素処理液1A)
たん白質分解酵素としてAspergillus属由来のプロテアーゼおよび調味料として食塩を用意し、これらの含有量が、それぞれ、0.20wt%および0.18w%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液1Aを調製した。なお、この酵素処理液1AのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、5.5および0.18%であった。
(酵素処理液1B)
酵素処理液中に、たん白質分解酵素および調味料の他に、さらにpH調製剤として炭酸ナトリウムを、その含有量が0.7wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液1Aと同様にして、酵素処理液1Bを調製した。なお、この酵素処理液1BのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、11.3および0.69%であった。
(酵素処理液1C)
酵素処理液中に、たん白質分解酵素および調味料の他に、さらにpH調製剤として炭酸水素ナトリウムを、その含有量が0.7wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液1Aと同様にして、酵素処理液1Cを調製した。なお、この酵素処理液1CのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、8.3および0.45%であった。
(酵素処理液1D)
たん白質分解酵素としてパパインを用意し、このものの含有量が、3.0wt%となるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液1Dを調製した。なお、この酵素処理液1DのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、5.2および0.09%であった。
(酵素処理液1E)
酵素処理液中に、たん白質分解酵素および調味料の他に、さらにpH調製剤として炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムを、それぞれ、これらの含有量が0.7wt%および0.2wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液1Aと同様にして、酵素処理液1Eを調製した。なお、この酵素処理液1EのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、10.0および0.78%であった。
1−2.軟質化食材の製造
以下の各実施例および比較例において、動物性素材を軟質化するために用いる酵素処理液として、そのpHおよび塩分計測定値が異なるものを用いて、それぞれの軟質化動物性食材を製造した。
(比較例1A)
<1>酵素処理工程
まず、脂身を除去した生のトリムネ肉をその厚さが約15mmとなるように切断し、このもの5個(平均重量約40g)に、それぞれ、インジェクション装置(トーニチ社製、「スーパーミニインジェクター」)を用いて、生のトリムネ肉の重量(初期重量)に対して50wt%の酵素処理液1Aを注入した。なお、このインジェクション装置は、1cm四方間隔に1本ずつ、計30本の注射針を備えるものである。
次に、酵素処理液を注入したトリムネ肉を、4℃の冷蔵室内に収納し、18時間静置した。これにより、トリムネ肉とたん白質分解酵素とを反応させた。
<2>酵素失活処理工程
次に、酵素反応処理終了後のトリムネ肉を、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度80%RH、庫内温度80℃、加熱時間20分の条件でトリムネ肉内部の温度が75℃以上となるように加熱して、酵素を失活させた。
<3>保存処理工程
次に、酵素失活処理終了後のトリムネ肉(軟質化されたトリムネ肉)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストフリーザー QXF−006S5」)を用いて、芯温−35℃となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のトリムネ肉の軟質化動物性食材を得た。
(比較例1B〜1D、実施例1E)
酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液1B〜1Eを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、冷凍状態のトリムネ肉の軟質化動物性食材を製造した。
1−3.評価
比較例1A〜1Dおよび実施例1Eの冷凍状態のトリムネ肉の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を以下に示す1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
1−3−1.かたさ(圧縮応力)
かたさ(圧縮応力)は、「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」中の「えん下困難者用食品の試験方法」を遵守して測定した。すなわち、解凍したトリムネ肉(軟質化動物性食材;試料)を直径40mm、高さ20mmの容器の高さ15mmまで充填し、その後、直線運動により試料の圧縮応力を測定することが可能なレオメーター(山電株式会社製、「RE2-33005S」)を用いて、直径20mm、高さ8mmのプランジャーを圧縮速度10mm/秒で、試料の上端から、厚さの10mmまで押し込み、下端側の5mm残存するようにクリアランスを設定して、圧縮応力(N/m)を測定した。なお、ここで、クリアランスとは、最大に試料を圧縮した時のプランジャーの先端からゼロ点(すなわち、試料の下端)までの距離をいう。
また、測定温度は20±2℃とした。
1−3−2.食感
解凍したトリムネ肉(軟質化動物性食材;試料)を食し、その際に感じられた食感を、繊維感がありながら舌でほぐれ、滑らかに潰せる場合を良いとし、ねっとりとして、べたつく場合を悪いとして、それぞれ、「5:良い、4:やや良い、3:どちらともいえない、2:やや悪い、1:悪い」の5段階の基準にしたがって評価した。かかる食感の評価を、11名のパネラーについて実施し、各パネラーから得られた評価結果の平均値を求めた。
1−3−3.風味
解凍したトリムネ肉(軟質化動物性食材;試料)を食し、その際に感じられた風味を、軟質化せずに一般的な調理方法で加熱調理したトリムネ肉(軟質化していない動物性食材)と比較して、同等の味、素材の味がする場合を良いとし、薬臭さがあったり、苦みや、異味がある場合を悪いとして、それぞれ、「5:良い、4:やや良い、3:どちらともいえない、2:やや悪い、1:悪い」の5段階の基準にしたがって評価した。かかる風味の評価を、11名のパネラーについて実施し、各パネラーから得られた評価結果の平均値を求めた。
1−3−4.飲み込みやすさ
解凍したトリムネ肉(軟質化動物性食材;試料)を食し、その際に感じられた飲み込みやすさ(滑らかさ)を、飲み込みやすい場合を良いとし、飲み込みにくく、べたつく場合を悪いとして、それぞれ、「5:良い、4:やや良い、3:どちらともいえない、2:やや悪い、1:悪い」の5段階の基準にしたがって評価した。かかる飲み込みやすさの評価を、11名のパネラーについて実施し、各パネラーから得られた評価結果の平均値を求めた。
これらの結果を表1に示す。
Figure 2011099354
表1から明らかなように、酵素処理液のpHおよび酵素処理液中における電解質濃度を塩分濃度に換算して求められる塩分計測定値を適宜設定することにより、食感、風味および飲み込み性を維持しつつ、動物性素材を軟質化し得ることが判った。
2.酵素処理液のpHの検討
2−1.酵素処理液の調整
(酵素処理液2A)
たん白質分解酵素としてパパインを用意し、その含有量が、ぞれぞれ、0.05wt%となり、さらに調味料として用意した食塩、アジパルスSS(株式会社興人)を添加し、得られる酵素処理液の塩分計測定値が0.7%以上となるようにして、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解することにより酵素処理液2Aを調製した。なお、この酵素処理液2AのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、5.90および0.75%であった。
(酵素処理液2B)
酵素処理液中に、たん白質分解酵素の他に、酵素処理液のpHが8.0〜8.8の範囲内となるように、さらに炭酸カリウムとクエン酸とを添加したこと以外は、前記酵素処理液2Aと同様にして、酵素処理液2Bを調製した。なお、この酵素処理液2BのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、8.26および0.85%であった。
(酵素処理液2C)
酵素処理液中に、たん白質分解酵素の他に、酵素処理液のpHが9.0〜10.3の範囲内となるように、さらに炭酸カリウムとクエン酸とを添加したこと以外は、前記酵素処理液2Aと同様にして、酵素処理液2Cを調製した。なお、この酵素処理液2CのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、9.59および1.38%であった。
(酵素処理液2D)
酵素処理液中に、たん白質分解酵素の他に、酵素処理液のpHが10.5〜11.3の範囲内となるように、さらに炭酸カリウムとクエン酸とを添加したこと以外は、前記酵素処理液2Aと同様にして、酵素処理液2Dを調製した。なお、この酵素処理液2DのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、10.72および0.75%であった。
(酵素処理液2E)
酵素処理液中に、たん白質分解酵素の他に、酵素処理液のpHが11.5以上となるように、さらに炭酸カリウムとクエン酸とを添加したこと以外は、前記酵素処理液2Aと同様にして、酵素処理液2Eを調製した。なお、この酵素処理液2EのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、11.51および0.98%であった。
2−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例および各比較例において、pHの値が異なる酵素処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(比較例2A-トリ、実施例2B-トリ、実施例2C-トリ、比較例2D-トリ、比較例2E-トリ)
酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液2A〜2Eを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、比較例2A-トリ、実施例2B-トリ、実施例2C-トリ、比較例2D-トリ、比較例2E-トリの冷凍状態の軟質化動物性食材(トリムネ肉)を製造した。
(比較例2A-ブタ、実施例2B-ブタ、実施例2C-ブタ、比較例2D-ブタ、比較例2E-ブタ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて脂身を除去した豚モモ肉を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液2A〜2Eを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、比較例2A-ブタ、実施例2B-ブタ、実施例2C-ブタ、比較例2D-ブタ、比較例2E-ブタの冷凍状態の軟質化動物性食材豚(豚モモ肉)を製造した。
(比較例2A-ウシ、実施例2B-ウシ、実施例2C-ウシ、比較例2D-ウシ、比較例2E-ウシ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて脂身を除去した牛モモ肉を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液2A〜2Eを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、比較例2A-ウシ、実施例2B-ウシ、実施例2C-ウシ、比較例2D-ウシ、比較例2E-ウシの冷凍状態の軟質化動物性食材(牛モモ肉)を製造した。
(比較例2A-サバ、実施例2B-サバ、実施例2C-サバ、比較例2D-サバ、比較例2E-サバ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えてサバの切り身を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液2A〜2Eを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、比較例2A-サバ、実施例2B-サバ、実施例2C-サバ、比較例2D-サバ、比較例2E-サバの冷凍状態の軟質化動物性食材(サバ)を製造した。
(比較例2A-ホタテ、実施例2B-ホタテ、実施例2C-ホタテ、比較例2D-ホタテ、比較例2E-ホタテ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えてホタテ貝柱を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液2A〜2Eを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、比較例2A-ホタテ、実施例2B-ホタテ、実施例2C-ホタテ、比較例2D-ホタテ、比較例2E-ホタテの冷凍状態の軟質化動物性食材(ホタテ貝柱)を製造した。
2−3.評価
各実施例および各比較例の冷凍状態となっているトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した比較例1A〜1Dおよび実施例1Eと同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
その結果、各実施例および各比較例の解凍されたトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材は、前記1−3−1に記載のかたさの評価において、いずれも、1×10N/m以下の硬さに軟質化されていた。
さらに、各実施例および各比較例を上記のように解凍したトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材について、前記1−3−2〜1−3−4に記載の食感、風味および飲み込みやすさの評価において、得られた平均値が全て4点以上である場合を◎、全て3点以上である場合を○、1つでも3点未満がある場合を△、2つ以上3点未満がある場合を×として、総合評価を行った。
この総合評価の結果を表2に示す。
Figure 2011099354
表2から明らかなように、pHの値が8.0以上、10.5未満の間に設定されている各実施例のトリムネ肉、サバ、ホタテ貝柱の軟質化動物性食材では、いずれも、総合表評価が、○または◎となり、食感および風味を維持しつつ、軟質化することができた。
また、各実施例の豚モモ肉、牛モモ肉の軟質化動物性食材では、pHの値が8.0以上、8.8未満での総合評価が若干劣るものの、pHの値を9.0以上、10.3未満に設定することにより、総合表評価が、○となり、食感および風味を維持しつつ、軟質化することができた。
これに対して、pHの値が8.0未満、さらには、10.5以上に設定されている各比較例のトリムネ肉、サバ、ホタテ貝柱の軟質化動物性食材では、いずれも、総合表評価が、△または×となり、食感および風味を維持しつつ、軟質化することができなかった。
3.酵素処理液の塩分計測定値の検討
3−1.酵素処理液の調整
(酵素処理液3A)
たん白質分解酵素としてブロメラインおよびpH調製剤として炭酸水素ナトリウムを用意し、これらの含有量が、ぞれぞれ、0.003wt%および0.8wt%となり、さらに調味料として用意した食塩、アジパルスSS(株式会社興人)を添加し、得られる酵素処理液の塩分計測定値が0.5%となるようにして、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解することにより酵素処理液3Aを調製した。なお、この酵素処理液3AのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、8.1および0.50%であった。
(酵素処理液3B)
酵素処理液中に、酵素処理液の塩分計測定値が0.7%となるように、さらに食塩を添加したこと以外は、前記酵素処理液3Aと同様にして、酵素処理液3Bを調製した。なお、この酵素処理液3BのpHは、8.1であった。
(酵素処理液3C)
酵素処理液中に、酵素処理液の塩分計測定値が1.0%となるように、さらに食塩を添加したこと以外は、前記酵素処理液3Aと同様にして、酵素処理液3Cを調製した。なお、この酵素処理液3CのpHは、8.1であった。
(酵素処理液3D)
酵素処理液中に、酵素処理液の塩分計測定値が1.3%となるように、さらに食塩を添加したこと以外は、前記酵素処理液3Aと同様にして、酵素処理液3Dを調製した。なお、この酵素処理液3DのpHは、8.1であった。
(酵素処理液3E)
酵素処理液中に、酵素処理液の塩分計測定値が1.7%となるように、さらに食塩を添加したこと以外は、前記酵素処理液3Aと同様にして、酵素処理液3Eを調製した。なお、この酵素処理液3EのpHは、8.1であった。
(酵素処理液3F)
酵素処理液中に、酵素処理液の塩分計測定値が2.0%となるように、さらに食塩を添加したこと以外は、前記酵素処理液3Aと同様にして、酵素処理液3Fを調製した。なお、この酵素処理液3FのpHは、8.1であった。
(酵素処理液3G)
酵素処理液中に、酵素処理液の塩分計測定値が2.3%となるように、さらに食塩を添加したこと以外は、前記酵素処理液3Aと同様にして、酵素処理液3Gを調製した。なお、この酵素処理液3GのpHは、8.1であった。
(酵素処理液3H)
酵素処理液中に、酵素処理液の塩分計測定値が2.6%となるように、さらに食塩を添加したこと以外は、前記酵素処理液3Aと同様にして、酵素処理液3Hを調製した。なお、この酵素処理液3HのpHは、8.1であった。
(酵素処理液3I)
酵素処理液中に、酵素処理液の塩分計測定値が2.9%となるように、さらに食塩を添加したこと以外は、前記酵素処理液3Aと同様にして、酵素処理液3Iを調製した。なお、この酵素処理液3IのpHは、8.1であった。
(酵素処理液3J)
酵素処理液中に、酵素処理液の塩分計測定値が3.2%となるように、さらに食塩を添加したこと以外は、前記酵素処理液3Aと同様にして、酵素処理液3Jを調製した。なお、この酵素処理液3JのpHは、8.1であった。
3−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例および各比較例において、塩分計測定値の値が異なる酵素処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(比較例3A、実施例3B〜実施例3I、比較例3J)
酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液3A〜3Jを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、比較例3A、実施例3B〜実施例3I、比較例3Jの冷凍状態の軟質化動物性食材(トリムネ肉)を製造した。
3−3.評価
各実施例および各比較例の冷凍状態となっているトリムネ肉の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した比較例1A〜1Dおよび実施例1Eと同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
その結果、各実施例および各比較例の解凍されたトリムネ肉の軟質化動物性食材は、前記1−3−1に記載のかたさの評価において、いずれも、1×10N/m以下の硬さに軟質化されていた。
さらに、各実施例および各比較例を上記のように解凍したトリムネ肉の軟質化動物性食材について、前記1−3−2〜1−3−4に記載の食感、風味および飲み込みやすさの評価において、得られた平均値が全て4点以上である場合を◎、全て3点以上である場合を○、1つでも3点未満がある場合を△、2つ以上3点未満がある場合を×として、総合評価を行った。
これらの結果を表3に示す。
Figure 2011099354
表3から明らかなように、塩分計測定値の大きさが0.7%以上、3.0%未満の間に設定されている各実施例の軟質化動物性食材(トリムネ肉)では、いずれも、総合表評価が○となり、食感および風味を維持しつつ、軟質化することができた。
これに対して、塩分計測定値の値が0.7未満、さらには、3.0以上に設定されている各比較例の軟質化動物性食材では、いずれも、総合表評価が、△または×となり、食感および風味を維持しつつ、軟質化することができなかった。
以上のことから、酵素処理液におけるpHの値を8.0以上、10.5未満の間に設定し、かつ塩分測定値の大きさを0.7%以上、3.0%未満の間に設定することにより、食感および風味を維持しつつ、軟質化された軟質化動物性食材を製造し得ることが判った。
4.酵素処理液に含まれる酵素の種類の検討
4−1.酵素処理液の調整
(酵素処理液4A)
たん白質分解酵素としてAspergillus属由来のプロテアーゼを用意し、その含有量が0.5wt%となり、さらに調味料として用意した食塩、砂糖、ハイクックチキン(協和発酵フーズ株式会社)を添加し、得られる酵素処理液の塩分計測定値が1.3%以上となるようにし、さらにpH調整剤としてリン酸水素ニナトリウムとグリシンとを用いてpHを8.5付近となるようにして、脱イオン水に溶解することにより酵素処理液を調製した。これを酵素処理液4Aとした。なお、この酵素処理液4AのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、8.5および1.3%であった。
(酵素処理液4B)
たん白質分解酵素としてBacillus属由来のプロテアーゼを用意し、その含有量が0.3wt%となるように調製したこと以外は、前記酵素処理液4Aと同様にして、酵素処理液4Bを調製した。なお、この酵素処理液4BのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、8.5および1.3%であった。
(酵素処理液4C)
たん白質分解酵素としてパパインを用意し、その含有量が0.3wt%となるように調製したこと以外は、前記酵素処理液4Aと同様にして、酵素処理液4Cを調製した。なお、この酵素処理液4CのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、8.5および1.3%であった。
(酵素処理液4D)
たん白質分解酵素としてウシ由来のトリプシンを用意し、その含有量が0.3wt%となるように調製したこと以外は、前記酵素処理液4Aと同様にして、酵素処理液4Dを調製した。なお、この酵素処理液4DのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、8.5および1.3%であった。
4−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、含有する酵素の種類が異なる酵素処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(実施例4A-トリ、実施例4B-トリ、実施例4C-トリ、実施例4D-トリ)
酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液4A〜4Dを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例4A-トリ、実施例4B-トリ、実施例4C-トリ、実施例4D-トリの冷凍状態の軟質化動物性食材(トリムネ肉)を製造した。
(実施例4A-ブタ、実施例4B-ブタ、実施例4C-ブタ、実施例4D-ブタ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて脂身を除去した豚モモ肉を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液4A〜4Dを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例4A-ブタ、実施例4B-ブタ、実施例4C-ブタ、実施例4D-ブタの冷凍状態の軟質化動物性食材豚(豚モモ肉)を製造した。
(実施例4A-ウシ、実施例4B-ウシ、実施例4C-ウシ、実施例4D-ウシ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて脂身を除去した牛モモ肉を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液4A〜4Dを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例4A-ウシ、実施例4B-ウシ、実施例4C-ウシ、実施例4D-ウシの冷凍状態の軟質化動物性食材(牛モモ肉)を製造した。
(実施例4A-サバ、実施例4B-サバ、実施例4C-サバ、実施例4D-サバ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えてサバの切り身を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液4A〜4Dを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例4A-サバ、実施例4B-サバ、実施例4C-サバ、実施例4D-サバの冷凍状態の軟質化動物性食材(サバ)を製造した。
(実施例4A-ホタテ、実施例4B-ホタテ、実施例4C-ホタテ、実施例4D-ホタテ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えてホタテ貝柱を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液4A〜4Dを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例4A-ホタテ、実施例4B-ホタテ、実施例4C-ホタテ、実施例4D-ホタテの冷凍状態の軟質化動物性食材(ホタテ貝柱)を製造した。
4−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A〜1Dおよび実施例1Eと同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
その結果、各実施例の解凍されたトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材は、前記1−3−1に記載のかたさの評価において、いずれも、1×10N/m以下の硬さに軟質化されていた。
さらに、各実施例を上記のように解凍したトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材について、前記1−3−2〜1−3−4に記載の食感、風味および飲み込みやすさの評価において、得られた平均値が全て4点以上である場合を◎、全て3点以上である場合を○、1つでも3点未満がある場合を△、2つ以上3点未満がある場合を×として、総合評価を行った。
この総合評価の結果を表4に示す。
Figure 2011099354
表4から明らかなように、酵素の種類に関係なく各実施例のトリムネ肉、サバ、ホタテ貝柱の軟質化動物性食材において、いずれも、総合表評価が、○または◎となり、食感および風味を維持しつつ、軟質化することができた。
5.酵素処理液へのキサンタンガム添加に関する検討
5−1.酵素処理液の調整
(酵素処理液5A)
たん白質分解酵素としてBacillus属由来のプロテアーゼを用意し、その含有量が0.05wt%となり、さらに調味料として用意した食塩、酵母エキス(『アロマイルド』 株式会社興人)を添加し、得られる酵素処理液の塩分計測定値が1.3%以上となるようにし、さらにpH調整剤としてリン酸水素ニナトリウムとグリシンとを用いてpHを8.5付近となるようにして、脱イオン水に溶解することにより酵素処理液を調製した。これを酵素処理液5Aとした。なお、この酵素処理液5AのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、8.4および1.5%であった。
(酵素処理液5B)
増粘剤としてのキサンタンガムを用意し、その含有量が0.01wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液5Aと同様にして、酵素処理液5Bを調製した。なお、この酵素処理液5BのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、酵素処理液5AのpHおよび塩分計測定値と同様であった。
(酵素処理液5C)
増粘剤としてのキサンタンガムを用意し、その含有量が0.10wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液5Aと同様にして、酵素処理液5Cを調製した。なお、この酵素処理液5CのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、酵素処理液5AのpHおよび塩分計測定値と同様であった。
(酵素処理液5D)
増粘剤としてのキサンタンガムを用意し、その含有量が1.00wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液5Aと同様にして、酵素処理液5Dを調製した。なお、この酵素処理液5DのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、酵素処理液5AのpHおよび塩分計測定値と同様であった。
5−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、キサンタンガムの含有量が異なる酵素処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(実施例5A-トリ、実施例5B-トリ、実施例5C-トリ、実施例5D-トリ)
酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液5A〜5Dを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例5A-トリ、実施例5B-トリ、実施例5C-トリ、実施例5D-トリの冷凍状態の軟質化動物性食材(トリムネ肉)を製造した。
(実施例5A-ブタ、実施例5B-ブタ、実施例5C-ブタ、実施例5D-ブタ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて脂身を除去した豚モモ肉を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液5A〜5Dを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例5A-ブタ、実施例5B-ブタ、実施例5C-ブタ、実施例5D-ブタの冷凍状態の軟質化動物性食材豚(豚モモ肉)を製造した。
(実施例5A-ウシ、実施例5B-ウシ、実施例5C-ウシ、実施例5D-ウシ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて脂身を除去した牛モモ肉を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液5A〜5Dを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例5A-ウシ、実施例5B-ウシ、実施例5C-ウシ、実施例5D-ウシの冷凍状態の軟質化動物性食材(牛モモ肉)を製造した。
(実施例5A-サバ、実施例5B-サバ、実施例5C-サバ、実施例5D-サバ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えてサバの切り身を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液5A〜5Dを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例5A-サバ、実施例5B-サバ、実施例5C-サバ、実施例5D-サバの冷凍状態の軟質化動物性食材(サバ)を製造した。
(実施例5A-ホタテ、実施例5B-ホタテ、実施例5C-ホタテ、実施例5D-ホタテ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えてホタテ貝柱を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液5A〜5Dを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例5A-ホタテ、実施例5B-ホタテ、実施例5C-ホタテ、実施例5D-ホタテの冷凍状態の軟質化動物性食材(ホタテ貝柱)を製造した。
5−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A〜1Dおよび実施例1Eと同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
その結果、各実施例の解凍されたトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材は、前記1−3−1に記載のかたさの評価において、いずれも、1×10N/m以下の硬さに軟質化されていた。
さらに、各実施例を上記のように解凍したトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材について、前記1−3−2〜1−3−4に記載の食感、風味および飲み込みやすさの評価において、得られた平均値が全て4点以上である場合を◎、全て3点以上である場合を○、1つでも3点未満がある場合を△、2つ以上3点未満がある場合を×として、総合評価を行った。
この総合評価の結果を表5に示す。
Figure 2011099354
表5から明らかなように、キサンタンガムを含有しない酵素処理液を用いて軟質化された実施例5Aの軟質化動物性食材では、トリムネ肉、サバ、ホタテ貝柱の軟質化動物性食材の総合表評価が、○となり、食感および風味を維持しつつ、軟質化することができたものの、豚モモ肉、牛モモ肉の軟質化動物性食材の総合表評価が、△となり、食感および風味を維持しつつ、軟質化することができなかった。
これに対して、キサンタンガムを含有する酵素処理液を用いて軟質化された実施例5B〜5Dの軟質化動物性食材では、動物性素材の種類に関係なく、トリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバ、ホタテ貝柱の軟質化動物性食材の総合表評価が、○または◎となり、食感および風味を維持しつつ、軟質化することができた。
6.酵素処理液に添加する増粘剤の種類に関する検討
6−1.酵素処理液の調整
(酵素処理液6B)
増粘剤としてキサンタンガムを用意し、その含有量が0.2wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液4Aと同様にして、酵素処理液6Bを調製した。なお、この酵素処理液6BのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、酵素処理液4AのpHおよび塩分計測定値と同様であった。
(酵素処理液6C)
増粘剤としてカラギーナンを用意し、その含有量が0.2wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液4Aと同様にして、酵素処理液6Cを調製した。なお、この酵素処理液6CのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、酵素処理液4AのpHおよび塩分計測定値と同様であった。
(酵素処理液6D)
増粘剤としてローカストビーンガムを用意し、その含有量が0.2wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液4Aと同様にして、酵素処理液6Dを調製した。なお、この酵素処理液6DのpHおよび塩分計測定値は、それぞれ、酵素処理液4AのpHおよび塩分計測定値と同様であった。
6−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、増粘剤の種類が異なる酵素処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(実施例6B-トリ、実施例6C-トリ、実施例6D-トリ)
酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液6B〜6Dを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例6B-トリ、実施例6C-トリ、実施例6D-トリの冷凍状態の軟質化動物性食材(トリムネ肉)を製造した。
(実施例6B-ブタ、実施例6C-ブタ、実施例6D-ブタ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて脂身を除去した豚モモ肉を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液6B〜6Dを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例6B-ブタ、実施例6C-ブタ、実施例6D-ブタの冷凍状態の軟質化動物性食材豚(豚モモ肉)を製造した。
(実施例6B-ウシ、実施例6C-ウシ、実施例6D-ウシ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて脂身を除去した牛モモ肉を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液6B〜6Dを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例6B-ウシ、実施例6C-ウシ、実施例6D-ウシの冷凍状態の軟質化動物性食材(牛モモ肉)を製造した。
(実施例6B-サバ、実施例6C-サバ、実施例6D-サバ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えてサバの切り身を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液6B〜6Dを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例6B-サバ、実施例6C-サバ、実施例6D-サバの冷凍状態の軟質化動物性食材(サバ)を製造した。
(実施例6B-ホタテ、実施例6C-ホタテ、実施例6D-ホタテ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えてホタテ貝柱を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液6B〜6Dを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例6B-ホタテ、実施例6C-ホタテ、実施例6D-ホタテの冷凍状態の軟質化動物性食材(ホタテ貝柱)を製造した。
6−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A〜1Dおよび実施例1Eと同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
その結果、各実施例の解凍されたトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材は、前記1−3−1に記載のかたさの評価において、いずれも、1×10N/m以下の硬さに軟質化されていた。
さらに、各実施例を上記のように解凍したトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材について、前記1−3−2〜1−3−4に記載の食感、風味および飲み込みやすさの評価において、得られた平均値が全て4点以上である場合を◎、全て3点以上である場合を○、1つでも3点未満がある場合を△、2つ以上3点未満がある場合を×として、総合評価を行った。
この総合評価の結果を表6に示す。
なお、参考までに、増粘剤を含有しない酵素処理液4Aを用いて軟質化した各実施例の総合評価の結果を表6に示す。
Figure 2011099354
表6から明らかなように、増粘剤を含有しない酵素処理液を用いて軟質化された実施例4Aの軟質化動物性食材では、トリムネ肉、サバ、ホタテ貝柱の軟質化動物性食材の総合表評価が、○となり、食感および風味を維持しつつ、軟質化することができたものの、豚モモ肉、牛モモ肉の軟質化動物性食材の総合表評価が、△となり、食感および風味を維持しつつ、軟質化することができなかった。
これに対して、増粘剤を含有する酵素処理液を用いて軟質化された実施例6B〜6Dの軟質化動物性食材では、増粘剤の種類に関係なく、トリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の全ての軟質化動物性食材において、その総合表評価が、○または◎となり、食感および風味を維持しつつ、軟質化することができた。
7.保存処理に関する検討
7−1.酵素処理液の調整
酵素処理液として、前記2.酵素処理液のpHの検討で調製した酵素処理液2Cを用意した。
7−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、酵素処理液2Cを用いて軟質化動物性食材を製造した。
(実施例2C-トリ、実施例2C-ブタ、実施例2C-ウシ、実施例2C-サバ、実施例2C-ホタテ)
軟質化する動物性食材として各種動物性素材を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて酵素処理液2Cを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例2C-トリ、実施例2C-ブタ、実施例2C-ウシ、実施例2C-サバ、実施例2C-ホタテの冷凍状態の軟質化動物性食材を製造した。
(実施例7-トリ、実施例7-ブタ、実施例7-ウシ、実施例7-サバ、実施例7-ホタテ)
軟質化する動物性食材として各種動物性素材を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて酵素処理液2Cを用い、保存処理工程<3>に代えて、下記に示す保存処理工程<3’>を施すようにしたこと以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例7-トリ、実施例7-ブタ、実施例7-ウシ、実施例7-サバ、実施例7-ホタテの凍結乾燥状態の軟質化動物性食材を製造した。
<3’>保存処理工程
各種軟質化動物性食材を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストフリーザー QXF−006S5」)を用いて、芯温−35℃となるまで急速冷凍させ、その後、凍結乾燥機(東京理化器械社製、「EYELA 凍結乾燥機 FDU-1100型」)を用いて、棚温度20℃の条件で3日間凍結乾燥させた。
7−3.評価
まず、各実施例2Cの冷凍状態となっているトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A〜1Dおよび実施例1Eと同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
その結果、各実施例2Cの解凍されたトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材は、前記1−3−1に記載のかたさの評価において、いずれも、1×10N/m以下の硬さに軟質化されていた。
さらに、各実施例2Cの解凍されたトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材について、前記1−3−2〜1−3−4に記載の食感、風味および飲み込みやすさの評価において、得られた平均値が全て4点以上である場合を◎、全て3点以上である場合を○、1つでも3点未満がある場合を△、2つ以上3点未満がある場合を×として、総合評価を行った。
次に、各実施例7の凍結乾燥状態となっているトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材を、それぞれ、乾燥前後でサンプルが失った量以上の水または湯を滴下して復元した後、各軟質化動物性食材を、前述した実施例1A〜1Dおよび実施例1Eと同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
なお、復元に用いた溶液としては、水、湯、造影剤としてビジパーク320注(第一三共社製)を含む湯(50%(w/w)水溶液)、バリトゲン(伏見製薬所製)を含む湯(30%(w/v)懸濁液)、調味料を含む湯(料理酒2.5%、みりん2.5%、砂糖1.1%、醤油1.6%を含む水溶液)を用い、これらにより復元された軟質化動物性食材を、それぞれ、実施例7A-(トリ、ブタ、ウシ、サバ、ホタテ)、実施例7B-(トリ、ブタ、ウシ、サバ、ホタテ)、実施例7C-(トリ、ブタ、ウシ、サバ、ホタテ)、実施例7D-(トリ、ブタ、ウシ、サバ、ホタテ)、実施例7E-(トリ、ブタ、ウシ、サバ、ホタテ)とした。
その結果、各実施例7A〜7Eの復元されたトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材は、造影剤を含まないものおよび含むものに関係なく、前記1−3−1に記載のかたさの評価において、いずれも、1×10N/m以下の硬さに軟質化されていた。
さらに、各実施例7A〜7Eの復元されたトリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の軟質化動物性食材について、前記1−3−2〜1−3−4に記載の食感、風味および飲み込みやすさの評価において、得られた平均値が全て4点以上である場合を◎、全て3点以上である場合を○、1つでも3点未満がある場合を△、2つ以上3点未満がある場合を×として、総合評価を行った。
この総合評価の結果を表7に示す。
Figure 2011099354
表7から明らかなように、実施例2Cおよび実施例7A〜7Eの軟質化動物性食材では、その保存処理方法に関係なく冷凍および凍結乾燥の何れであっても、トリムネ肉、豚モモ肉、牛モモ肉、サバおよびホタテ貝柱の全ての軟質化動物性食材において、その総合表評価が、○または◎となり、食感および風味を維持しつつ、凍結乾燥前の状態に復元することができた。
なお、実施例7C、7Dの軟質化動物性食材では、X線撮影による造影が可能であった。
本発明によれば、動物性素材を、食感および風味を維持した状態で、確実に軟質化することができ、滑らかな食感を有する軟質化動物性食材が得られる。
よって、このような軟質化動物性食材は、高齢者や嚥下・咀嚼困難者が食するのに適する。したがって、産業上の利用可能性を有する。

Claims (12)

  1. 食肉または魚介類からなる動物性素材を酵素処理することにより軟質化する軟質化方法に用いられる酵素処理液であって、
    当該酵素処理液のpHが8.0以上、10.5未満であり、かつ、当該酵素処理液中における電解質濃度を塩分濃度に換算して求められる塩分計測定値が0.7%以上、3.0%未満であることを特徴とする酵素処理液。
  2. 当該酵素処理液中に含まれるたん白質分解酵素は、アルカリ領域で活性を有するものである請求項1に記載の酵素処理液。
  3. 前記たん白質分解酵素の含有量は、5.0×10−4wt%以上、3.0wt%以下である請求項2に記載の酵素処理液。
  4. さらに、増粘剤を含む請求項1ないし3のいずれかに記載の酵素処理液。
  5. 前記塩分計測定値は、当該酵素処理液の電気伝導度を測定することにより求められる請求項1ないし4のいずれかに記載の酵素処理液。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の酵素処理液で前記動物性素材を酵素処理することにより軟質化することを特徴とする軟質化方法。
  7. 前記酵素処理は、前記動物性素材に前記酵素処理液を供給した後、前記たん白質分解酵素を前記動物性素材の構成成分と反応させる請求項6に記載の軟質化方法。
  8. 前記酵素処理の後、前記動物性素材を加熱することにより、前記酵素を失活させる酵素失活処理を行う請求項6または7に記載の軟質化方法。
  9. 動物性素材を、請求項6ないし8のいずれかに記載の軟質化方法により軟質化してなることを特徴とする軟質化動物性食材。
  10. 当該軟質化動物性食材は、乾燥処理が施された後、水または湯を用いて復元される請求項9に記載の軟質化動物性食材。
  11. 前記復元に用いられる水または湯は、造影剤および食品添加物のうちの少なくとも一方を含む水溶液または水懸濁液である請求項10に記載の軟質化動物性食材。
  12. 前記軟質化動物性食材は、「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」に記載の「えん下困難者用食品の試験方法」を遵守して測定した圧縮応力が1×10N/m以下である請求項9ないし11のいずれかに記載の軟質化動物性食材。
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