JP6901970B2 - サケの切り身の軟らか焼成品とその製造方法 - Google Patents

サケの切り身の軟らか焼成品とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、サケの切り身の軟らか焼成品とその製造方法に関し、詳細には、高齢者などの咀嚼力が低下した人であっても容易に咀嚼できる程度に軟らかく、かつ、サケの切り身の焼成品本来の味と外観形状を保持しているサケの切り身の軟らか焼成品とその製造方法に関する。
近年、高齢者の数が急速に増加する中、適切な医療や介護の提供に加えて、高齢者の生活の質の維持向上が重要な課題として注目されつつある。中でも、毎日の食事は、それ自体が楽しみであるばかりでなく、食事によって自らの口から各種栄養を摂取することは高齢者の体力や免疫力の維持、認知機能の低下防止、骨折防止などにも有効であるといわれており、高齢者の生活の質を考える上で、毎日の食事を如何に美味しく楽しめるものとするかは極めて重要である。
ところが、加齢とともに咀嚼力や嚥下力が低下していくことも事実であり、十分な咀嚼力や嚥下力のある人には喫食に何らの支障のない食品であっても、高齢者にとっては食しづらいことがあり、咀嚼や嚥下に困難を感じる機会が増えると、一日に摂取する食事の量も次第に少なくなり、食の楽しみが失われ、その結果、低栄養状態を招いてしまうことになりかねない。
このような不都合を解決するために、食品素材や食品原料に様々な処理を施すことによって、咀嚼力や嚥下力が低下した高齢者でも咀嚼かつ嚥下が可能な軟らかさや流動性を備えた食品や食品素材に加工することが種々提案されている。例えば、特許文献1には、魚介類や肉、野菜などの食品素材をペースト状に加工後、元の食品素材の形状に成型することによって、咀嚼困難者や嚥下障害者でも容易に喫食することができるようにした加工食品が提案されており、また、特許文献2には、ペースト状の食品原材料にマンナン等のゲル化剤を混合することでゼリー状に加工した介護食用の加工食品材料が提案されている。
しかし、これらの介護食用加工食品又は加工食品材料は、基本的に食品素材をペースト状又はゼリー状に加工したものであり、軟らかさや流動性の点では十分であるものの、その形状や色調などの外観は食品素材本来のものとは大きく掛け離れており、視覚を通じての食欲の喚起や、食品素材そのものを食べているという実感に欠け、食事を楽しむという点からは十分なものではない。
一方、本来の外観形状を保持したまま、食品素材を軟らかくする技術も提案されている。例えば、特許文献3及び特許文献4には、肉類や魚介類、穀物類などの食品素材を酵素処理することによって、食品素材固有の形状、外観等を保持した状態で軟らかくした咀嚼・嚥下困難者用の軟化食品が開示されており、これらの軟化食品は、軟らかい上に食品素材固有の形状、外観等が保持されているので、視覚を通じて十分に食欲を喚起できるとされている。
しかしながら、本発明者らが独自に得た知見によれば、食品素材が魚介類、中でも紅サケや銀サケなどのサケである場合には、その切り身を酵素処理して軟化させると、それを焼成して得られる焼成品には、往々にして、本来のサケの焼成品にはない異味、異臭が感じられることがあり、軟らかさや形状、外観等の見た目はともかく、サケの焼成品本来の味という観点からは、必ずしも満足のできるものではないという問題点がある。
特開2012−175934号公報 特開2014−18129号公報 特開2015−23800号公報 特開2015−159753号公報
本発明は、従来の軟化食品が有する上記の問題点を解決するために為されたもので、咀嚼困難者であっても十分に咀嚼できる軟らかさを有するとともに、素材本来の外観、形状を保持し、かつ、異味、異臭のないサケの皮付き切り身の軟らか焼成品と、その製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究努力を重ねた結果、サケの切り身を酵素処理した後に焼成して得られるサケの焼成品に、往々にして、異味、異臭が感じられることがあるのは、サケの切り身を酵素処理するに際し市販の酵素製剤を使用することに原因があるのではないかとの仮定の下、市販の酵素製剤に依らない酵素処理として、マイタケを用いる酵素処理に思い至った。マイタケは、サルノコシカケ科に属する茸の一種であり、複数の蛋白質分解酵素を含んでいることが知られており、マイタケ又はその抽出液をサケの切り身を軟化させるための酵素処理に用いることには合理性がある。しかし、例えば特開2003−250481号公報に記載されているとおり、マイタケに含まれる蛋白質分解酵素は強力であり、人工栽培法が確立されているとはいえ自然の産物であるマイタケ又はその抽出液に、安定した一定の蛋白質分解酵素活性値を期待することは難しく、果たして、商品として大量に製造されるサケの切り身の焼成品の軟化処理にマイタケ又はその抽出液を安定的に使用することができるのか否かは全く不明であった。
斯かる状況下、本発明者は多数の試行錯誤を繰り返し、数々の工夫を加えた結果、比較的安定した物性のマイタケ抽出液を安定的に得ることができるマイタケ抽出液の調製方法、軟化処理に最適なマイタケ抽出液の濃度、マイタケ抽出液へのサケの切り身の最適な浸漬時間及び浸漬温度を見出し、さらに、斯かる軟化処理によって得られるサケの切り身を焼成することによって得られる焼成品が、咀嚼力の低下した人でも十分に咀嚼可能な軟らかさを有するとともに、サケの切り身本来の外観、形状を保持し、加えて、異味、異臭がないことを確認して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、サケの切り身の焼成品であって、喫食時の温度条件下において、硬さが、直径15mmの金属球を3mm押し込むに必要な荷重が350gf以下という硬さ、好適には直径15mmの金属球を3mm押し込むに必要な荷重が100gf以下という硬さであるとともに、サケの切り身の焼成品本来の外観形状を保持し、かつ、異味、異臭のないサケの切り身の軟らか焼成品を提供することによって、上記課題を解決するものである。
本発明者らの知見によれば、直径15mmの金属球を3mm押し込むに必要な荷重が350gf以下という硬さは、通常、「弱い力で噛める」程度の硬さであり、例えば、焼き豆腐又はそれ以上の軟らかさに相当する。また、直径15mmの金属球を3mm押し込むに必要な荷重が100gf以下という硬さは、通常「舌でつぶせる」程度の硬さであり、例えば、絹ごし豆腐又はそれ以上の軟らかさに相当する。いずれにしても、本発明に係るサケの切り身の軟らか焼成品は、軟化処理を経ない通常のサケの切り身の焼成品に比べて極めて軟らかく、高齢者などの咀嚼力が低下した人でも、十分に咀嚼することができる軟らかさを備えている。
なお、「喫食時の温度条件下において」とは、本発明に係るサケの切り身の軟らか焼成品は、通常、冷凍状態で流通、保存されることが想定されるところ、本発明に係るサケの切り身の軟らか焼成品が、冷凍又は半解凍状態ではなく、実際の喫食時の温度、例えば常温或いは通常100℃以下に加温された状態にあることを意味している。すなわち、上述した350gf以下及び100gf以下という硬さは、いずれも、本発明に係るサケの切り身の軟らか焼成品が、例えば解凍又は加温されるなどして、その温度が常温乃至100℃以下にある状態での硬さであって、冷凍又は半解凍状態にあるときの硬さを意味しているのではない。
本発明に係るサケの切り身の軟らか焼成品は、サケの切り身の焼成品本来の外観形状を保持しているとともに、より好適にはサケの切り身の焼成品本来の色調も保持しており、外観上は、軟化処理を経ない通常のサケの切り身の焼成品と変わるところがない。このため、本発明に係るサケの切り身の軟らか焼成品は、食卓に並んだときに、喫食者の食欲を十分に喚起することができる。
さらに、本発明に係るサケの切り身の軟らか焼成品は、マイタケ抽出液に浸漬する軟化処理を経ても尚、異味、異臭がなく、サケの切り身本来の味を有している。なお、異味、異臭がないことは、パネラーを用いた官能試験によって容易に確認することが可能であり、特に、異味に関していえば、例えば、人工脂質膜型味覚センサーを用いる味認識装置(株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー製 味認識装置「TS−5000Z」)を用いて、対照品に対する相対値として定量的に確認することが可能である。
因みに、本発明に係るサケの切り身の軟らか焼成品は、その好適な一例において、人工脂質膜型味覚センサーを用いる味認識装置によって測定される苦味雑味が、同装置で測定される通常のサケの切り身の焼成品の苦味雑味の値を基準値=0としたときの相対値として、±2未満であり、より好適な一例においては±1未満である。なお、上記味認識装置によって測定される味の相対値が+2以上又は−2以下である場合には、多くの人が対照品と比べて味に差を感じるといわれており、苦味雑味の相対値が±2未満ということは、対照品と比べて苦味雑味において差がないことを意味している。上記味認識装置によって測定される苦味雑味は一般に不快な苦味に相当し、異味として認識される味であるとされており、その苦味雑味の相対値が±2未満、より好適には±1未満であるということは、本発明に係るサケの切り身の軟らか焼成品は、対照品である通常のサケの切り身の焼成品と比べて苦味雑味において差がなく、異味がないということを意味している。
なお、本発明が対象とするサケの切り身は、皮付き又は皮なしのいずれであっても良いが、サケの切り身の焼成品らしさという点からは皮付きの切り身であるのが好ましい。サケの切り身がサケの皮付き切り身である場合、本発明に係るサケの切り身の軟らか焼成品は、サケの切り身本来の外観形状に加えて、サケの皮付き切り身本来の皮目を保持している。因みに、皮目とは皮の状態をいい、サケの切り身本来の皮目を保持しているとは、肉眼で観察したときに、皮に軟化処理による剥がれや崩れがなく、皮の状態が軟化処理をせずに焼成した通常のサケの皮付き切り身の焼成品と実質的に変わるところがないことを意味している。また、本発明が対象とするサケの切り身は、咀嚼力が低下した人が喫食することを想定しているので、骨を取り除いた骨取り切り身であるのが望ましい。
また、本発明に係るサケの切り身の軟らか焼成品は、その焼成の仕方や調理法に特段の制限はない。代表的な焼成品としては、サケの切り身の塩焼、味噌焼、照焼、又は幽庵焼が挙げられるが、本発明に係るサケの切り身の軟らか焼成品はこれらに限られるものではない。なお、本明細書でいうサケとしては、紅サケ、銀サケ、白サケ、キングサーモン、ピンクサーモンなどが挙げられる。
本発明は、また、サケの切り身に針を刺して、切り身表面の1cmあたり、5〜7個の孔をあける穿孔工程、前記穿孔工程を経た前記切り身を、生のマイタケの切断物の絞り汁を水で7〜30質量%に希釈した軟化浸漬液に6〜22℃で4〜24時間浸漬する浸漬工程、及び、前記浸漬工程を経た前記切り身を焼成する工程を含むサケの切り身の軟らか焼成品の製造方法を提供することによって、上記課題を解決するものである。
上記製造方法によれば、喫食時の温度条件下において、硬さが、直径15mmの金属球を3mm押し込むに必要な荷重が350gf以下という硬さであるとともに、サケの切り身本来の外観形状を保持し、かつ、異味、異臭のない本発明のサケの切り身の軟らか焼成品を安定して製造することができる。
また、本発明の製造方法は、その好適な一例において、前記穿孔工程においてあけられる孔の数が切り身表面の1cmあたり5個であり、前記浸漬工程が、生のマイタケの切断物の絞り汁を水で7〜30質量%に希釈した軟化浸漬液に22℃で20〜24時間浸漬する工程である。本発明の製造方法がこのような浸漬工程を含む場合には、さらに軟らかいサケの切り身の軟らか焼成品を製造することができ、喫食時の温度条件下において、硬さが、直径15mmの金属球を3mm押し込むに必要な荷重が100gf以下という硬さであるとともに、サケの切り身本来の外観形状を保持し、かつ、異味、異臭のない本発明のサケの切り身の軟らか焼成品を安定して製造することができる。
好適な一態様において、前記マイタケの絞り汁は、生のマイタケを1mm角以下に切断した切断物を圧搾して得られる絞り汁である。生のマイタケには水分が含まれているので、これを適当な大きさに切断して絞ることによって、マイタケ切断物の絞り汁を得ることができ、この絞り汁を軟化処理用の浸漬液として用いることができる。圧搾して絞り汁を得るマイタケ切断物の大きさは特に1mm角以下に限られる訳ではないが、1mm角以下に切断した切断物からは、例えば3mm角程度にみじん切りにした切断物からよりも、比較的大量の絞り汁を安定的に得ることができるので好ましい。因みに、マイタケの1mm角以下の切断物は、例えば、サイレントカッターなどの市販の電動切断機を用いることによって容易に得ることができる。
本発明のサケの切り身の軟らか焼成品は、弱い力で噛むことができる程度、好適には舌でつぶすことができる程度に軟らかいだけでなく、皮目や色調を含めてサケの切り身本来の外観形状を有し、かつ、異味、異臭がないので、見た目に美味しく食欲をそそり、咀嚼力の弱い人であっても、これを喫食して、サケの切り身の焼成品本来の味を楽しむことができるという利点を有している。また、本発明のサケの切り身の軟らか焼成品の製造方法は、薬剤等によるのではなく、自然の産物であるマイタケの抽出液を軟化液として用いることによって、本発明のサケの切り身の軟らか焼成品を大量かつ安定的に製造することができるという利点を有している。本発明のサケの切り身の軟らか焼成品及びその製造方法によれば、高齢者などの咀嚼力が低下した人に、見た目も味も良く、かつ、十分に軟らかいサケの切り身の焼成品を提供し喫食してもらうことができ、高齢者の生活の質の維持向上を図ることができるという利点が得られる。
穿孔個数が1cmあたり0個の切り身を希釈率20質量%の軟化液を用いて軟化処理して得られた銀サケの切り身の焼成品の外観写真である。 穿孔個数が1cmあたり1個の切り身を希釈率20質量%の軟化液を用いて軟化処理して得られた銀サケの切り身の焼成品の外観写真である。 穿孔個数が1cmあたり3個の切り身を希釈率20質量%の軟化液を用いて軟化処理して得られた銀サケの切り身の焼成品の外観写真である。 穿孔個数が1cmあたり5個の切り身を希釈率20質量%の軟化液を用いて軟化処理して得られた銀サケの切り身の焼成品の外観写真である。 穿孔個数が1cmあたり7個の切り身を希釈率20質量%の軟化液を用いて軟化処理して得られた銀サケの切り身の焼成品の外観写真である。 穿孔個数が1cmあたり9個の切り身を希釈率20質量%の軟化液を用いて軟化処理して得られた銀サケの切り身の焼成品の外観写真である。 穿孔個数が1cmあたり5個の切り身を希釈率30質量%の軟化液に24時間浸漬して得られた銀サケの切り身の焼成品の外観写真である。 穿孔個数が1cmあたり7個の切り身を希釈率30質量%の軟化液に24時間浸漬して得られた銀サケの切り身の焼成品の外観写真である。 穿孔個数が1cmあたり5個の切り身を希釈率40質量%の軟化液に24時間浸漬して得られた銀サケの切り身の焼成品の外観写真である。 穿孔個数が1cmあたり7個の切り身を希釈率40質量%の軟化液に24時間浸漬して得られた銀サケの切り身の焼成品の外観写真である。 味認識装置を用いて測定された各種の味の相対値を示すレーダチャートである。 味認識装置を用いて測定された各種の味の相対値を示すレーダチャートである。
以下、本発明に係るサケの切り身の軟らか焼成品とその製造方法について説明する。
<1.予備実験−マイタケ絞り汁の調製−>
市販の生マイタケの各200gをサイレントカッターに掛けて約20秒間切断し、1mm角以下の切断物とし、その切断物を濾布で包んで圧搾機に掛けて絞り汁を回収する作業を生マイタケのロットを変えて2回行ったところ、いずれの検体からも約120gの絞り汁を回収することができた。絞り汁の回収率は、使用した生マイタケの質量に対し約60質量%の高率であった。また、得られた絞り汁のpHを測定したところ、pH5.51〜pH6.12の範囲に分布し、安定した物性値を備えていることが分かった。
一方、サイレントカッターに代えて、包丁を用いてみじん切りにして人力で3mm角の切断物を得た以外は上記と同様に処理したところ、約73〜75gの絞り汁が得られた。得られた絞り汁のpHを測定したところ、pH5.08〜pH5.15の範囲に分布し安定した物性値を備えてはいたが、絞り汁の回収率は、使用した生マイタケの質量に対し約37質量%〜38質量%にとどまり、使用したマイタケの量に比べて得られる絞り汁の量が十分なものとはいえなかった。
さらに、生マイタケ約35gを手でほぐして小分けしたものを、472gの水又は135gの水に2時間又は16時間浸漬後、濾過してマイタケを取り除いてマイタケの抽出液を得た。472gの水に2時間又は16時間浸漬したものからは、それぞれ455g及び449gの抽出液が、135gの水に2時間又は16時間浸漬したものからは、それぞれ123g及び116gの抽出液が得られたが、マイタケが水を吸収し、得られる抽出液の量が変化し不安定になることが避けられなかった。また、得られた抽出液のpHを測定したところ、pH4.97〜pH6.85と広範囲に分布し、安定した物性値が得られなかった。因みに、135gという水の量は、約35gの手でほぐしたマイタケがひたひたに浸かる量であり、472gという水の量は、約35gの手でほぐしたマイタケが十分な水に浸漬された状態になる量である。
以上の予備実験の結果から、マイタケを1mm角以下に切断した切断物を濾布で圧搾して得られる絞り汁は、原料マイタケに対して比較的高率で得られ、かつpHで示される物性値も安定しているので、これを軟化処理に用いるマイタケ抽出液として用いるのが良いとの結論に至った。
<2.軟化試験1(銀サケ味噌焼)>
銀サケの皮付きで骨を全て取り除いた切り身の冷凍品(切り身質量約100g)を用い、通常の製造、流通、保管形態を想定し、以下のア〜ソの工程で銀サケの皮付き骨取り切り身の味噌焼を製造した。
ア 原料搬入(銀サケ、皮付き骨取り切り身冷凍品)
イ 解凍
ウ 穿孔
エ 軟化液浸漬(軟化処理)
オ 液切り
カ 調味液浸漬
キ 液切り
ク 焼成
ケ 冷却
コ 真空包装
サ 加熱殺菌
シ 冷却
ス 凍結
セ 梱包
ソ 保管
なお、ウの穿孔工程においては、縦横長さが、それぞれ2mm、1mm、50mmの針を1cmあたり1、3、4、5、7、8、又は9本有する穿孔器具を用い、各切り身の芯温が−3℃〜+5℃の範囲内の温度になるまで解凍されるのを待って各切り身に突き刺して、切り身表面1cmあたり1、3、4、5、7、8、又は9個の貫通孔を有する切り身を作成した。併せて穿孔工程を施さず、切り身表面1cmあたりの貫通孔が0個である切り身も用意した。
また、エの軟化液浸漬工程においては、上記予備実験におけると同様の手順で、1mm角以下に切断した生マイタケの切断物を圧搾して得た絞り汁(pH6.04)を通常の水道水で20質量%(以下、本明細書においては、特段の断りがない限り、「質量%」を単に「%」と記載する)に希釈した希釈液を軟化液とし、この軟化液の液温を6℃、14℃、20℃、又は22℃に保つようにコントロールしながら、これら軟化液のそれぞれに、解凍し、適宜穿孔工程を経た銀サケの切り身を24時間、20時間、又は4時間浸漬した。なお、軟化液の液温の上限を22℃としたのは、液温が22℃超になると微生物汚染が懸念されるためである。軟化液の希釈率、浸漬時間、浸漬温度(軟化液の温度)、及び穿孔個数の組み合わせは下記の表1に記載のとおりである。
ソの保管工程後、適宜のタイミングで解凍し、喫食時の温度に相当する常温まで戻した後に、梱包を開封して切り身を取り出し、市販の荷重測定器(アイコーエンジニアリング株式会社販売 デジタルフォースゲージ MODEL RZ−5)を用い、直径15mmの金属球を3mm押し込むのに必要な荷重を測定した。測定は、各切り身の腹側、中央、背側の3箇所を裏表計6箇所測定した。それぞれの軟化液浸漬条件について3検体ずつ測定し、計18個の測定値の中で最も大きな荷重をもって硬さの測定値(gf)とした。結果を表1に示す。なお、表中で350gfを超える数値には下線を付し、100gf以下の数値には右肩に「※」を付してある。表中、「−」は試験していないことを、「×」は梱包を開封して切り身を取り出し、荷重測定器にまで搬送する途中に切り身(検体)が破損して硬さの測定ができなかったことを表している。なお、表中、「−」で表される試験していない軟化処理条件の組み合わせが存在するのは、軟化液の希釈率、浸漬時間、浸漬温度、及び穿孔個数といった軟化処理条件の全組合せを試験すると検体数が非常に多くなるので、他の軟化処理条件下での結果から大凡の予測がつく場合には、試験を省略したためである。以下の軟化試験においても同じである。
Figure 0006901970
表1に見られるとおり、マイタケの絞り汁を水で20%に希釈した軟化液を用いて軟化処理を施した場合、サケの切り身の穿孔個数が1cmあたり0個〜4個及び8〜9個のときには、浸漬時間や浸漬温度にも依るが、硬さが350gfを超える場合があり、350gf以下の硬さを有するサケの切り身の軟らか焼成品を安定して製造することができないという結果となった。
また、上記硬さの測定時に、測定対象となる銀サケの切り身の味噌焼を肉眼で観察したところ、穿孔個数が1cmあたり0個〜4個の切り身には、試験した各浸漬時間と浸漬温度の組み合わせの全てにおいて、皮目の崩れや剥がれが認められた。一例として、浸漬時間が4時間、浸漬温度が22℃で軟化処理を行ったときの穿孔個数が1cmあたり0個、1個又は3個の切り身の外観写真をそれぞれ図1〜図3に示す。図1〜図3に見られるとおり、穿孔個数が1cmあたり0個、1個又は3個の切り身には、皮目の崩れや剥がれが認められる。
一方、穿孔個数が1cmあたり8〜9個の切り身には、皮目の崩れや剥がれは認められなかったものの、身の崩れや割れが認められ、手作業による搬送が困難なほどであった。一例として、浸漬時間が4時間、浸漬温度が22℃で軟化処理を行ったときの穿孔個数が1cmあたり9個の切り身の外観写真を図6に示す。図6に見られるとおり、穿孔個数が1cmあたり9個の切り身には身割れが認められ、身の崩れが大きい。
以上のとおり、試験した限りにおいて、穿孔個数が1cmあたり0個〜4個及び8〜9個の銀サケの切り身の味噌焼は、銀サケの切り身の味噌焼本来の外観形状を保持しているとはいえないものであった。
これに対し、穿孔個数が1cmあたり5個〜7個の場合には、試験したいずれの浸漬時間及び浸漬温度の組み合わせにおいても、硬さが350gfを下回る軟らかい切り身の味噌焼が安定して得られた。また、硬さの測定時に、これらの切り身の味噌焼を肉眼観察したところ、皮目の崩れや剥がれ、及び身の崩れや割れは一切認められず、手作業による搬送が容易であるとともに、色調も良く、銀サケの切り身の味噌焼本来の外観形状を保持していた。一例として、浸漬時間が4時間、浸漬温度が22℃で軟化処理を行ったときの穿孔個数が1cmあたり5個又は7個の切り身の外観写真をそれぞれ図4及び図5に示す。図4及び図5に見られるとおり、穿孔個数が1cmあたり5個又は7個の切り身は、銀サケの切り身の味噌焼本来の外観形状を保持しており、皮目の崩れや剥がれ、身の崩れや割れは一切認められない。さらに、穿孔個数が1cmあたり5個又は7個の切り身を食してみたところ、銀サケの味噌焼本来の味がし、軟化液浸漬による異味、異臭は全く感じられなかった。
以上の結果は、希釈率が20%の軟化液を用いる場合、軟化処理前に切り身に1cmあたり5個〜7個の孔をあけておくことにより、浸漬時間4時間〜24時間、浸漬温度6℃〜22℃の範囲の軟化処理によって、「弱い力で噛める」程度若しくはそれ以上の軟らかさに相当する硬さ350gf以下という軟らかさを備え、かつ、サケの切り身の焼成品本来の外観形状を有し、異味、異臭がない焼成品が安定して得られることを示している。特に、軟化処理前に切り身に1cmあたり5個の孔をあけておく場合には、浸漬時間20〜24時間、浸漬温度22℃の軟化処理によって、「舌でつぶせる」程度若しくはそれ以上の軟らかさに相当する硬さ100gf以下という軟らかさを備え、かつ、サケの切り身の焼成品本来の外観形状を有し、異味、異臭がない焼成品が安定して得られることを示している。
<3.軟化試験2(銀サケ味噌焼)>
エの軟化液浸漬工程において、マイタケの絞り汁(pH6.04)を通常の水道水で7%に希釈した希釈液を軟化液とし、この軟化液の液温を6℃、14℃、18℃、又は22℃に保つようにコントロールしながら、これら軟化液のそれぞれに、解凍し、適宜穿孔工程を経た銀サケの切り身を24時間、20時間、16時間、又は4時間浸漬した以外は、軟化試験1と同様にして、銀サケの皮付き骨取り切り身の硬さを測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006901970
表2に見られるとおり、マイタケの絞り汁を水で7%に希釈した軟化液を用いて軟化処理を施した場合においても、サケの切り身の穿孔個数が1cmあたり1個〜4個のときには、浸漬時間や浸漬温度にも依るが、硬さが350gfを超える場合があり、350gf以下の硬さを有するサケの切り身の軟らか焼成品を安定して製造することができなかった。また、硬さの測定時に、銀サケの切り身を肉眼で観察したところ、穿孔個数が1cmあたり0個〜4個の切り身には、浸漬時間24時間、20時間、及び4時間のいずれにおいても、先に軟化試験1で述べたと同様な皮目の崩れや剥がれが認められた。
同じく、穿孔個数が1cmあたり8個〜9個のときにも、硬さが350gfを超える場合があり、350gf以下の硬さを有するサケの切り身の軟らか焼成品を安定して製造することができなかった。また、穿孔個数が1cmあたり8個〜9個の切り身には、20%の希釈液を軟化液として用いたときと同様に、身の崩れや割れが認められ、サケの切り身の焼成品本来の外観形状を保持しているとはいえないものであった。なお、浸漬時間24時間、浸漬温度22℃の場合、穿孔個数が1cmあたり4個及び9個の切り身は、試験した3検体ともに、荷重測定器までの手作業による搬送中に身が崩れ、硬さ測定そのものを行うことができなかった。
これに対し、穿孔個数が1cmあたり5個〜7個の場合には、浸漬時間4時間〜24時間、浸漬温度6℃〜22℃の範囲において、いずれも、硬さが350gf以下の軟らかい銀サケの切り身の味噌焼が安定して得られ、特に、穿孔個数が1cmあたり5個、浸漬時間20時間〜24時間、浸漬温度22℃の条件下では、硬さが100gf以下の特に軟らかい銀サケの切り身の味噌焼を得ることができた。また、硬さの測定時に、これらの切り身の味噌焼を肉眼観察したところ、皮目の崩れや剥がれ、及び身の崩れや割れは一切認められず、色調も良く、手作業による搬送が容易であるとともに、銀サケの切り身の味噌焼本来の外観形状が保持されていた。さらに、これらの切り身を食してみたところ、銀サケの味噌焼本来の味がし、軟化液浸漬による異味、異臭は全く感じられなかった。
<4.軟化試験3(銀サケ味噌焼)>
エの軟化液浸漬工程において、マイタケの絞り汁(pH6.04)を通常の水道水で30%に希釈した希釈液を軟化液とし、この軟化液の液温を6℃、14℃、20℃、又は22℃に保つようにコントロールしながら、これら軟化液のそれぞれに、解凍し、適宜穿孔工程を経た銀サケの切り身を24時間、20時間、16時間、又は4時間浸漬した以外は、軟化試験1と同様にして、銀サケの皮付き骨取り切り身の硬さを測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006901970
表3に見られるとおり、マイタケの絞り汁を水で30%に希釈した軟化液を用いて軟化処理を施した場合、サケの切り身の穿孔個数が1cmあたり1個〜4個のときには、浸漬時間や浸漬温度にも依るが、硬さが350gfを超える場合があり、350gf以下の硬さを有するサケの切り身の軟らか焼成品を安定して製造することができなかった。また、硬さの測定時に、銀サケの切り身を肉眼で観察したところ、穿孔個数が1cmあたり0個〜4個の切り身には、浸漬時間24時間及び4時間のいずれにおいても、先に軟化試験1で述べたと同様な皮目の崩れや剥がれが認められた。
同じく、穿孔個数が1cmあたり8個〜9個のときにも、硬さが350gfを超える場合があり、350gf以下の硬さを有するサケの切り身の軟らか焼成品を安定して製造することができなかった。また、穿孔個数が1cmあたり8個〜9個の切り身には、希釈率20%の軟化液を用いて軟化処理したときと同様に、身の崩れや割れが認められ、サケの切り身の焼成品本来の外観形状を保持しているとはいえないものであった。なお、浸漬時間24時間、浸漬温度20℃の場合、穿孔個数が1cmあたり4個及び8個の切り身、並びに浸漬時間24時間、浸漬温度22℃の場合、穿孔個数が1cmあたり8個及び9個の切り身は、試験した3検体ともに、荷重測定器までの手作業による搬送中に身が崩れ、硬さ測定そのものを行うことができなかった。
これに対し、穿孔個数が1cmあたり5個〜7個の場合には、浸漬時間4時間〜24時間、浸漬温度6℃〜22℃の範囲において、いずれも、硬さが350gf以下の軟らかい銀サケの切り身の味噌焼が安定して得られ、特に、穿孔個数が1cmあたり5個、浸漬時間20時間〜24時間、浸漬温度22℃の条件下では、硬さが100gf以下の特に軟らかい銀サケの切り身の味噌焼を得ることができた。また、硬さの測定時に、これら1cmあたり5個〜7個の孔をあけて軟化処理を行った切り身の味噌焼を肉眼観察したところ、色調も軟化処理をしていない通常の銀サケの切り身の味噌焼と変わるところがなく、皮目の崩れや剥がれ、及び身の崩れや割れは一切認められず、手作業による搬送が容易であるとともに、銀サケの切り身の味噌焼本来の外観形状が保持されていた。さらに、これらの切り身を食してみたところ、銀サケの味噌焼本来の味がし、軟化液浸漬による異味、異臭は全く感じられなかった。
一例として、浸漬時間が24時間、浸漬温度が6℃で軟化処理を行ったときの穿孔個数が1cmあたり5個又は7個の切り身の外観写真をそれぞれ図7及び図8に示す。図7及び図8に見られるとおり、穿孔個数が1cmあたり5個又は7個の切り身は、銀サケの切り身の焼成品本来の外観形状を保持しており、皮目の崩れや剥がれ、身の崩れは認められない。
軟化試験1〜3において得られた以上の結果は、「弱い力で噛める」程度若しくはそれ以上の軟らかさに相当する350gf以下の軟らかさを備え、かつ、サケの切り身の焼成品本来の外観形状を有し、異味、異臭がない焼成品を安定して得るには、穿孔工程が必要であることを示している。そして、1cmあたり4個以下又は8個以上の穿孔個数では良い結果が得られず、5個又は7個で良い結果が得られたことからみて、硬さ350gf以下という軟らかさを備え、かつ、サケの切り身の焼成品本来の外観形状を有するとともに、異味、異臭がない焼成品を安定して得るに必要な穿孔個数は1cmあたり5個〜7個であると結論された。
また、特に穿孔個数を1cmあたり5個とした場合には、浸漬時間20〜24時間、浸漬温度22℃で、硬さ100gf以下という極めて軟らかいサケの切り身の焼成品が得られるということが分かった。
なお、適度の個数の孔をあける穿孔工程を経ることによって、硬さが350gf以下の軟らかさを備え、かつ、サケの切り身の焼成品本来の外観形状を有するとともに、異味、異臭がない焼成品が安定して得られる理由は定かではないが、通常、魚の皮は身よりも蛋白質分解酵素の作用を受けやすいと言われていることからみて、軟化液に浸漬する前に、適度な密度で切り身に穿孔を施しておくことによって、皮と身の軟化がほぼ同様に進行し、身の部分が所定の軟らかさまで軟化したときにも、依然として皮目が保持されているのではないかと推測される。逆に、穿孔の密度が必要以上に高くなると、軟化液が身の内部に浸透する割合が増えるため、身が軟らかくなり過ぎて、身崩れや身割れが生じるのではないかと推測される。
なお、軟化試験1〜軟化試験3では、縦横長さが、それぞれ2mm、1mm、50mmの針を備えた穿孔器具を用いたが、針の縦横の長さは必ずしも2mm×1mmである必要はなく、皮を突き通り、身の内部にまで軟化液が浸透する孔をあけることができる限り、縦横の長さはいくらであっても良く、その断面形状も四角形に限らず、円形、楕円形、三角形等であっても良い。さらに、軟化液の浸透を十分なものとするためには、切り身を貫通する孔をあけるのが好ましいが、切り身を貫通しない途中までの孔であっても良い。
なお、直径15mmの金属球を3mm押し込むに必要な荷重が350gfという硬さは、本発明者らの知見によれば、上述したとおり、「弱い力で噛める」程度の硬さであり、例えば、焼き豆腐の軟らかさに相当する。これに対して、穿孔個数が1cmあたり5個〜7個の場合に得られたサケの切り身の味噌焼の硬さは、表1〜表3に見られるとおり、最高でも334gfであって、350gfを下回っており、例えば焼き豆腐などの「弱い力で噛める」食材よりも軟らかく、咀嚼力が低下した人でも十分に咀嚼できる硬さである。
また、直径15mmの金属球を3mm押し込むに必要な荷重が100gfという硬さは、本発明者らの知見によれば、上述したとおり、「舌でつぶせる」程度の硬さであり、例えば、絹ごし豆腐又はそれ以上の軟らかさに相当する。これに対して、穿孔個数が1cmあたり5個、浸漬時間20時間〜24時間、浸漬温度22℃の条件下で軟化処理を行った場合に得られたサケの切り身の味噌焼の硬さは、表1〜表3に見られるとおり、最高でも98gfであって、100gfを下回っており、例えば絹ごし豆腐などの「舌でつぶせる」食材よりも軟らかく、咀嚼力が低下した人でも十分に味わい、喫食できる硬さである。
<5.軟化試験4(銀サケ味噌焼)>
軟化試験1〜3において、希釈率20%、7%、及び30%の軟化液を用いて軟化処理するに際し、サケの切り身表面の1cmあたり5個〜7個の孔を穿孔したときに、硬さが350gf以下の軟らかさを備え、かつ、サケの切り身の焼成品本来の外観形状を有するとともに、異味、異臭がないサケの切り身の焼成品が安定して得られることが判明したので、穿孔個数を1cmあたり5個又は7個に固定し、軟化液浸漬処理に用いる軟化液の希釈率を種々変えて、希釈率並びに浸漬温度及び浸漬時間が得られる銀サケの切り身に及ぼす影響を調べた。
上記予備実験におけると同様の手順で、1mm角以下に切断した生マイタケの切断物を圧搾して得た絞り汁(pH5.51〜6.12)を通常の水道水で5%、9%、10%、12%、又は40%に希釈したものを軟化液として使用し、浸漬温度を6℃、14℃、18℃、又は22℃、浸漬時間を24時間、20時間、16時間、8時間、又は4時間に変化させ、穿孔工程における穿孔個数を1cmあたり0個、5個、又は7個にした以外は軟化試験1と同様にして、銀サケの皮付き骨取り切り身の味噌焼を製造し、保管、解凍後、その硬さを測定するとともに、外観形状を肉眼観察し、併せて、実際に喫食してその味及び異味、異臭の有無を調べた。結果を表4〜表8に示す。なお、各表中、350gfを超える数値には下線、100gf以下の数値には右肩に「※」を付してある。また、各表中、硬さの欄における「−」の記載は試験をしていないことを示している。
(希釈率5%)
Figure 0006901970
表4は、絞り汁の希釈率が5%の軟化液を用いて軟化処理を行った切り身についての結果を表している。表4に示されるとおり、希釈率が5%の軟化液を用いて軟化処理を行った場合には、穿孔個数が1cmあたり0個の切り身はもとより、穿孔個数が1cmあたり5個の切り身でも、試験した各浸漬時間及び浸漬温度において、硬さの測定値が350gfを超えることがあり、「弱い力で噛める」程度の軟らかさを備えた銀サケの切り身の軟らか焼成品を安定して製造することはできなかった。また、硬さの測定時に銀サケの切り身を肉眼観察したところ、穿孔個数が1cmあたり0個の切り身には、皮目の崩れや剥がれが認められ、銀サケの切り身の味噌焼本来の外観形状は保持されていなかった。以上の結果から、マイタケ切断物の絞り汁の希釈率が5%の軟化液は不適であると判断された。
(希釈率9%)
Figure 0006901970
(希釈率10%)
Figure 0006901970
(希釈率12%)
Figure 0006901970
表5、表6及び表7は、それぞれ、マイタケ切断物の絞り汁の希釈率が9%、10%及び12%の軟化液を用いて軟化処理を行った切り身についての結果を表している。表5〜表7に示されるとおり、希釈率が9%、10%、及び12%の軟化液を用いて軟化処理を行った場合にも、希釈率20%、7%、及び30%の軟化液を用いて軟化処理した場合と同様に、穿孔個数が1cmあたり5個の切り身を用いて製造された焼成品は、浸漬時間24時間〜4時間、浸漬温度6℃〜22℃の範囲で、いずれも、測定された硬さが350gf以下となり、「弱い力で噛める」程度若しくはそれ以上の軟らかさを有する銀サケの切り身の軟らか焼成品であった。
この結果は、表1〜表3に示される希釈率20%、7%、及び30%の軟化液を用いて軟化処理した場合の結果が、希釈率が7%と20%の間に入る希釈率9%、10%、及び12%の軟化液を用いて軟化処理を行う場合にも当てはまることを物語っている。したがって、軟化液の希釈率が7%〜30%の範囲において、穿孔個数を1cmあたり5個〜7個とすることにより、浸漬時間24時間〜4時間、浸漬温度6℃〜22℃の範囲で、硬さが350gf以下であり、「弱い力で噛める」程度若しくはそれ以上の軟らかさを有する銀サケの切り身の軟らか焼成品が得られると合理的に判断された。
特に、軟化液の希釈率が9%、10%、及び12%の場合にも、浸漬時間が24時間〜20時間、浸漬温度が22℃の条件下で、硬さが100gf以下の極めて軟らかい銀サケの切り身の軟らか焼成品が得られ、希釈率が7%、20%、及び30%の軟化液を用いて軟化処理を行った場合と同様の結果となった。この事実は、軟化液の希釈率が7%〜30%の範囲において、穿孔個数を1cmあたり5個とし、浸漬時間を24時間〜20時間、浸漬温度を22℃とする場合には、硬さが100gf以下となり、「舌でつぶせる」程度若しくはそれ以上の軟らかさを有する銀サケの切り身の軟らか焼成品が得られるということを示している。
なお、硬さの測定時に各銀サケの切り身を肉眼観察したところ、表5〜表7に示される穿孔個数が1cmあたり5個の切り身を用いて製造された焼成品は、いずれの浸漬時間及び浸漬温度で軟化処理されたものであっても、皮目の崩れや剥がれは認められず、身の崩れや割れもなく、色調も含めて銀サケの切り身の味噌焼本来の外観形状を保持していた。また、食したところ、銀サケの切り身の味噌焼本来の味であり、異味、異臭は感じられなかった。
(希釈率40%)
Figure 0006901970
表8は、それぞれ、マイタケ切断物の絞り汁の希釈率が40%の軟化液を用いて軟化処理を行った切り身についての結果を表している。表8に示されるとおり、希釈率が40%の軟化液を用いて軟化処理した場合には、穿孔個数が1cmあたり0個、5個、及び7個の切り身を用いて製造された焼成品のいずれもが、試験された浸漬時間及び浸漬温度の浸漬条件下で350gf以下の硬さを示し、中には100gf以下の硬さを示すものがあった。
しかしながら、硬さの測定時に切り身の外観形状を肉眼観察したところ、皮目の崩れや剥がれが認められ、さらには身の崩れや割れも認められ、加えて、軟化液に起因すると思われる赤身がかった色調に染まり、サケの切り身本来の色調を失っていた。
一例として、穿孔個数が1cmあたり5個又は7個、希釈率40%の軟化液を用いて、浸漬時間24時間、浸漬温度22℃で軟化処理を行った銀サケの切り身の焼成品の外観写真をそれぞれ図9及び図10として示す。図9及び図10に見られるとおり、穿孔個数が1cmあたり5個又は7個とした場合であっても、希釈率40%の軟化液で軟化処理して得られたサケの切り身の焼成品は、皮の剥がれや身割れが認められ、銀サケの切り身の焼成品本来の外観形状が失われていた。
また、希釈率が40%の軟化液を用いて軟化処理して得られたこれらの焼成品を試食したところ、いずれの焼成品も軟化処理に用いた軟化液に起因すると思われるマイタケ臭が強く感じられ、その味は銀サケの切り身の味噌焼本来の味からはほど遠いものであった。この結果は、軟化処理に用いるマイタケの絞り汁の希釈率は40%未満が好ましく、30%以下が好適であることを示している。
以上の表1〜表8に示した軟化試験1〜4の結果から、銀サケの切り身の焼成品本来の外観形状を有し、異味、異臭がなく、かつ、硬さが350gf以下という軟らかさを有するサケの切り身の軟らか焼成品を安定的に製造するには、切り身表面の1cmあたり5個〜7個の孔をあける穿孔工程を経た切り身を、マイタケの切断物の絞り汁を7%〜30%に希釈した軟化液に、4時間〜24時間、6℃〜22℃浸漬した後に焼成するのが良く、硬さが100gf以下という軟らかさを有するサケの切り身の軟らか焼成品を安定的に製造するには、切り身表面の1cmあたり5個の孔をあける穿孔工程を経た切り身を、マイタケの切断物の絞り汁を7%〜30%に希釈した軟化液に、20時間〜24時間、22℃で浸漬した後に焼成するのが良いという結論が得られた。なお、浸漬温度の上限を22℃としたのは、浸漬温度が23℃以上になると、微生物の繁殖が激しくなり、雑菌の増加、腐敗臭の発生が懸念されるためである。
なお、以上の結果は、銀サケの切り身の味噌焼についてのものであるが、後述するとおり、味噌焼に限らず、塩焼、照焼、幽庵焼、その他の焼成品にも妥当するものである。また、銀サケに限らず、紅サケ、白サケ、キングサーモン、ピンクサーモンなどのその他のサケについても妥当する。
<6.官能検査1(銀サケ味噌焼)>
健康な計10名の男女をパネラーとし、軟化試験1、3、4で製造された下記の銀サケの皮付き骨取り切り身の味噌焼について、官能検査を行った。なお、対照として、軟化処理を行わない通常の銀サケの皮付き骨取り切り身の味噌焼を、通常品であることをパネラーには伏せた状態で官能検査に供した。
(対象とした切り身の味噌焼)
・味噌焼A(軟化処理を行わない通常の銀サケの皮付き骨取り切り身の味噌
焼)
・味噌焼B(表1の#1の浸漬条件における穿孔個数5個のもの)
軟化液の希釈率:20%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:6℃
穿孔個数:1cmあたり5個
硬さ:188gf
・味噌焼C(表3の#24の浸漬条件における穿孔個数5個のもの)
軟化液の希釈率:30%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:6℃
穿孔個数:1cmあたり5個
硬さ:152gf
・味噌焼D(表8の#92の浸漬条件における穿孔個数5個のもの)
軟化液の希釈率:40%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:6℃
穿孔個数:1cmあたり5個
硬さ:105gf
(検査項目)
・外観形状(肉眼による)
・外観色調(肉眼による)(身肉の色目)
・異味(苦味、えぐみ)
・味(銀サケの切り身の味噌焼の通常品を基準)
・異臭(銀サケの切り身の味噌焼の通常品を基準)
・マイタケ臭(軟化液に起因するマイタケ臭)
評価は、「非常に悪い=1」、「悪い=2」、「普通=3」、「良い=4」、「非常に良い=5」の五段階で行い、各パネラーの評価点を合計して評点とした。結果を評価点の平均値とともに表9〜表12に示す。
Figure 0006901970
Figure 0006901970
Figure 0006901970
Figure 0006901970
表9〜表11に示すとおり、マイタケ絞り汁の希釈率が20%及び30%の軟化液を用いて軟化処理をした切り身を焼成して得られた味噌焼B及び味噌焼Cは、検査した「外観形状(肉眼による)」、「外観色調(肉眼による)(身肉の色目)」、「異味(苦味、えぐみ)」、「味(銀サケの切り身の味噌焼の通常品を基準)」、「異臭(銀サケの切り身の味噌焼の通常品を基準)」、「マイタケ臭(軟化液に起因するマイタケ臭)」のいずれの項目においても、軟化処理をしていない通常の銀サケの切り身の焼成品である味噌焼Aとほぼ同じ評点となり、銀サケの味噌焼本来の外観形状、色調、味を有するとともに、異味、異臭がなく、マイタケ臭も感じられない優れた味噌焼であると評価された。
これに対し、表12に示すとおり、マイタケ絞り汁の希釈率が40%の軟化液を用いて軟化処理をした切り身を焼成して得られた味噌焼Dは、検査した項目のいずれにおいても、「悪い=2」若しくは「非常に悪い=1」と評価され、銀サケの切り身の味噌焼本来の外観形状や色調、味を有していない上に、異味、異臭が感じられ、マイタケ臭が強く残る味噌焼であると評価された。
これら官能検査の結果は、軟化試験1〜4において、実施者が各焼成品の硬さ測定の際にその都度行った肉眼観察及び試食の結果と一致しており、軟化試験1〜4の実施者による肉眼観察及び試食による評価が客観性を備えた妥当なものであることを裏付けるものである。
<7.官能検査2(銀サケ味噌焼)>
官能検査1で、穿孔個数が1cmあたり5個の切り身について、軟化試験の実施者による肉眼観察及び試食による評価と一致する結果が得られたので、穿孔個数が1cmあたり7個の切り身についても同様の結果が得られることを確認すべく、健康な計7名の男女をパネラーとし、軟化試験2、3、4で製造された下記の銀サケの皮付き骨取り切り身の味噌焼について、官能検査を行った。
(対象とした切り身の味噌焼)
・味噌焼E(表2の#8の浸漬条件における穿孔個数7個のもの)
軟化液の希釈率:7%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:6℃
穿孔個数:1cmあたり7個
硬さ:268gf
・味噌焼F(表2の#11の浸漬条件における穿孔個数7個のもの)
軟化液の希釈率:7%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:22℃
穿孔個数:1cmあたり7個
硬さ:324gf
・味噌焼G(表3の#24の浸漬条件における穿孔個数7個のもの)
軟化液の希釈率:30%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:6℃
穿孔個数:1cmあたり7個
硬さ:271gf
・味噌焼H(表3の#27の浸漬条件における穿孔個数7個のもの)
軟化液の希釈率:30%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:22℃
穿孔個数:1cmあたり7個
硬さ::326gf
・味噌焼I(表8の#94の浸漬条件における穿孔個数7個のもの)
軟化液の希釈率:40%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:22℃
穿孔個数:1cmあたり7個
硬さ:251gf
評価は官能検査1と同じ基準で行い、各パネラーの評価点の平均値を評点とした。結果を表13〜表17に示す。
Figure 0006901970
Figure 0006901970
Figure 0006901970
Figure 0006901970
Figure 0006901970
表13〜表16に示すとおり、マイタケ絞り汁の希釈率が7%及び30%の軟化液を用い、穿孔個数が1cmあたり7個の切り身を軟化処理し、焼成して得られた味噌焼E〜味噌焼Hは、味噌焼Hが、「異味」と「異臭」の項目で「良い=4」とほぼ等しい評点3.9と評価された点を除けば、検査した全ての項目において、「良い=4」を上回る評点となり、銀サケの味噌焼本来の外観形状、色調、味を有するとともに、異味、異臭がなく、マイタケ臭も感じられない優れた味噌焼であると評価された。
これに対し、表17に示すとおり、マイタケ絞り汁の希釈率が40%の軟化液を用いて軟化処理をした切り身を焼成して得られた味噌焼Iは「外観形状」及び「外観色調」において、それぞれ「普通=3」に近い評点3.0及び3.1と評価されたものの、その他の「異味」、「味」、「異臭」、及び「マイタケ臭」の項目においては、「悪い=2」若しくはそれに近い評点2.0又は2.1と評価され、銀サケの切り身の味噌焼本来の味を有していない上に、異味、異臭が感じられ、マイタケ臭が強く残る味噌焼であると評価された。
以上の官能検査の結果に示されるとおり、軟化液として用いるマイタケ絞り汁の希釈率が40%以上になると、得られる切り身の焼成品は、相応の軟らかさを備えてはいるものの、銀サケの切り身の焼成品本来の外観形状や色調を失い易く、軟化液として用いたマイタケの絞り汁に起因すると思われる異味、異臭、特にマイタケ臭が感じられる焼成品となるのに対し、軟化液として用いるマイタケ絞り汁の希釈率が30%以下である場合には、得られる切り身の焼成品は、350gf以下という軟らかさを備えていることに加えて、銀サケの切り身の焼成品本来の外観形状や色調を保持しており、しかも、軟化液としてマイタケの絞り汁に浸漬する工程を経て製造されているにもかかわらず、異味、異臭がなく、マイタケ臭もない優れた焼成品であった。
因みに、上記官能検査2の結果も、軟化試験1〜4において、実施者が各焼成品の硬さ測定の際にその都度行った肉眼観察及び試食の結果と一致しており、軟化試験の実施者による肉眼観察及び試食による評価が客観性を備えた妥当なものであることを裏付けるものである。
<8.味認識装置による評価1>
本発明に係るサケの切り身の焼成品が異味、異臭のないものであることをより客観的に確認すべく、味認識装置による味分析を外部の検査機関(厚生労働省登録検査機関 株式会社キューサイ分析研究所)に依頼した。その詳細は以下のとおりである。
(味分析対象試料)
以下の比較対照品と試料1〜5についての味分析を依頼した。
・比較対照品:通常の(軟化処理を経ない)銀サケの切り身の味噌焼(株
式会社新東京フード製)
・試料1:穿孔個数が1cmあたり5個の銀サケの切り身を希釈率9%
の軟化液に18℃で20時間浸漬したものを焼成して得られた切り身の
味噌焼(表5における浸漬条件#50の穿孔個数5個のものに相当:硬
さ144gf)
・試料2:穿孔個数が1cmあたり5個の銀サケの切り身を希釈率12
%の軟化液に22℃で20時間浸漬したものを焼成して得られた切り身
の味噌焼(表7における浸漬条件#83の穿孔個数5個のものに相当:
硬さ53gf)
・試料3:穿孔個数が1cmあたり5個の銀サケの切り身を希釈率7%
の軟化液に18℃で8時間浸漬したものを焼成して得られた切り身の味
噌焼(硬さ213gf)
・試料4:市販の「銀鮭塩焼き」(酵素処理した軟化品)
・試料5:市販の「鮭の照焼き柚子風味」(酵素処理した軟化品)
(使用機器)
インテリジェントセンサーテクノロジー株式会社販売 味認識装置「TS−5000Z」(人工脂質膜型味覚センサーを用いる味認識装置)
(味分析結果)
「酸味」、「苦味雑味」、「渋味刺激」、「旨味」、「塩味」、「苦味」、「渋味」、「旨味コク」の8種類の味が、比較対照品である軟化処理をしていない通常の銀サケの切り身の味噌焼の測定値を基準値=0とした相対値で求められた。結果を表18に示す。また、結果をレーダチャートとして表したものを図11に示す。
Figure 0006901970
表18及び図11に示すとおり、本発明品の中から適宜ピックアップした試料1〜3の味の測定値は、「苦味雑味」「渋味刺激」「苦味」「渋味」「旨味コク」のいずれにおいても、比較対照品である軟化処理をしていない通常の銀サケの切り身の味噌焼の各味を基準=0として、±2未満に収まっていた。味認識装置を用いる味分析において、比較対照品を0としたときの味の測定値が±2未満の場合には、これを人が食しても比較対照品との味の差としては認識されないといわれている。また、「異味」として認識されると考えられる「苦味雑味」「渋味刺激」「苦味」「渋味」の測定値がいずれも±2未満に収まっていたという上記分析結果は、人が試料1〜3を食したときにも通常品である比較対照品と比べて異味があるとは感じられず、本発明品が異味を有さない焼成品であることを物語っている。特に異味として最も強く感じられるとされる「苦味雑味」については、本発明品である試料1〜3は、比較対照品と比べて±0.2以内の差にとどまっており、軟化処理をしていない通常の銀サケの味噌焼と殆ど変わらない。
これに対し、市販されている酵素処理した軟化食品である試料4の「銀鮭塩焼き」と試料5の「鮭の照焼き柚子風味」は、「渋味刺激」「苦味」「渋味」の測定値は±2未満に収まっていたものの、異味として最も強く感じられるとされる「苦味雑味」は+7.53及び+5.57であり、2を大きく上回っており、比較対照品に比べて明らかに「苦味雑味」が強く、異味があると評価されるものであった。また、「旨味コク」の測定値も−5.29及び−3.30であり、比較対象品よりも明らかに低い。
このように味認識装置による味分析においても、本発明に係るサケの切り身の軟らか焼成品が、軟化処理をしていない通常の銀サケの切り身の味噌焼と比べて異味がなく、サケの切り身の焼成品本来の味を備えたものであることが数値として確認された。
<9.味認識装置による評価2>
分析対象試料を下記の試料6〜8に変えた以外は<味認識装置による評価1>と同様にして、味認識装置による味分析を外部の検査機関(厚生労働省登録検査機関 株式会社キューサイ分析研究所)に依頼した。使用機器は<味認識装置による評価1>におけると同じである。
(味分析対象試料)
・比較対照品:通常の(軟化処理を経ない)銀サケの切り身の味噌焼(株
式会社新東京フード製)
・試料6:穿孔個数が1cmあたり5個の銀サケの切り身を希釈率30
%の軟化液に22℃で24時間浸漬したものを焼成して得られた切り身
の味噌焼(表3における浸漬条件#27の穿孔個数5個のものに相当:
硬さ61gf)
・試料7:穿孔個数が1cmあたり7個の銀サケの切り身を希釈率30
%の軟化液に22℃で24時間浸漬したものを焼成して得られた切り身
の味噌焼(表3における浸漬条件#27の穿孔個数7個のものに相当:
硬さ326gf)
・試料8:市販の「鮭の照焼き柚子風味」(酵素処理した軟化品)
(味分析結果)
「酸味」、「苦味雑味」、「渋味刺激」、「旨味」、「塩味」、「苦味」、「渋味」、「旨味コク」の8種類の味が、比較対照品である軟化処理をしていない通常の銀サケの切り身の味噌焼の測定値を基準値=0とした相対値で求められた。結果を表19に示す。また、結果をレーダチャートとして表したものを図12に示す。
Figure 0006901970
表19及び図12に示すとおり、本発明品に相当する希釈率30%の軟化液を用いて軟化処理して得られた試料6及び試料7の味の測定値は、「苦味雑味」「渋味刺激」「旨味」「塩味」「苦味」「渋味」「旨味コク」のいずれにおいても、比較対照品である軟化処理をしていない通常の銀サケの切り身の味噌焼の各味を基準=0として、±2未満に収まっており、通常のサケの切り身の味噌焼と比べて味の差がないことが確認された。中でも、「異味」として認識されると考えられる「苦味雑味」「渋味刺激」「苦味」「渋味」の測定値がいずれも±2未満に収まっていたという上記分析結果は、人が試料6又は7を食したときにも通常品である比較対照品と比べて異味があるとは感じられず、本発明品が異味を有さない焼成品であることを物語っている。特に、異味として最も強く感じられるとされる「苦味雑味」においても、本発明品である試料6及び7は、比較対照品と比べて±0.2以内の差にとどまっており、軟化処理をしていない通常の銀サケの味噌焼と殆ど変わらない。
一方、酵素処理によって軟化させた市販の軟化食品である試料8の「鮭の照焼き柚子風味」は、「渋味刺激」「苦味」「渋味」「旨味コク」の測定値は±2未満に収まっていたものの、特に異味として感じられるとされる「苦味雑味」は2を大きく上回る+7.91であり、比較対照品に比べて明らかに「苦味雑味」が強く、異味があると評価されるものであった。
上述したとおり、本発明に係るサケの切り身の軟らか焼成品の人工脂質膜型味覚センサーを用いる味認識装置によって測定される「苦味雑味」は、比較対照品である通常の軟化処理をしていないサケの切り身の味噌焼の測定値を基準値=0としたときの相対値として±2未満であり、人が食しても比較対照品との味の差としては認識されないレベルにある。勿論、測定値の絶対値が小さいほど比較対象品との味の差が小さいことを意味し、したがって、「苦味雑味」の測定値は、より好ましくは±1未満であるのが良く、さらに好ましくは±0.5未満であるのが良い。また「旨味コク」の測定値についても±2未満であるのが好ましく、より好ましくは±1未満、さらに好ましくは±0.5未満であるのが良い。
<10.軟化試験5(銀サケ照焼)>
上記銀サケ味噌焼の製造工程における「カ 調味液浸漬」工程で用いる調味液を照焼用の調味液に変えた以外は銀サケ味噌焼と同様にして、銀サケの照焼を製造し、その硬さを測定した。
すなわち、上記予備実験におけると同様の手順で、1mm角以下に切断した生マイタケの切断物を圧搾して得た絞り汁(pH5.51〜6.12)を通常の水道水で30%又は40%に希釈したものを軟化液として使用し、浸漬温度を6℃又は22℃、浸漬時間を24時間とし、穿孔工程における穿孔個数を1cmあたり0個、3個、4個、5個、7個、8個、又は9個に変化させるとともに、「カ 調味液浸漬」工程で用いる調味液を照焼用の調味液に変えた以外は軟化試験1と同様にして、銀サケの皮付き骨取り切り身の照焼を製造し、保管、解凍後、その硬さを測定するとともに、外観形状を肉眼観察し、併せて、実際に喫食してその味及び異味、異臭の有無を調べた。結果を表20に示す。
Figure 0006901970
表20に見られるとおり、希釈率が30%の軟化液を用いて、24時間、6℃又は22℃の軟化処理を行った場合には、味噌焼におけると同様に、穿孔個数が1cmあたり4個以下、又は8個以上では350gf以下の硬さは得られず、穿孔個数が1cmあたり5個又は7個のときに、350gf以下の硬さが得られた。また、特に、孔の個数が1cmあたり5個で、24時間、22℃の条件下では、94gfという100gf以下の硬さとなり、味噌焼についての表3に示した結果と同様の結果となった。
また、硬さの測定時に、これら1cmあたり5個〜7個の孔をあけて希釈率30%の軟化液を用いて軟化処理を行った切り身の照焼を肉眼観察したところ、皮目の崩れや剥がれ、及び身の崩れや割れは一切認められず、手作業による搬送が容易であるとともに、銀サケの切り身の照焼本来の外観形状が保持されていた。さらに、これらの切り身を食してみたところ、銀サケの照焼本来の味がし、軟化液浸漬による異味、異臭は全く感じられなかった。
一方、希釈率が40%の軟化液を用いた場合には、穿孔個数が1cmあたり5個又は7個のときには、24時間、6℃又は22℃の軟化処理で、硬さが350gf以下の切り身が得られたが、これらを喫食したところ、苦味があり、マイタケ臭も強く感じられた。
これらの結果は、先に示した銀サケの切り身の味噌焼における結果とほぼ同じであり、銀サケの切り身の味噌焼において確認された軟化処理条件が、銀サケの切り身の照焼にも当てはまるものであることが確認された。
<11.官能検査3(銀サケ照焼)>
健康な計7名の男女をパネラーとし、軟化試験5で製造された下記の銀サケの皮付き骨取り切り身の照焼について、官能検査2と同様にして、官能検査を行った。
(対象とした切り身の照焼)
・味噌焼J(表20の#102の浸漬条件における穿孔個数5個のもの)
軟化液の希釈率:30%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:22℃
穿孔個数:1cmあたり5個
硬さ:94gf
・味噌焼K(表20の#102の浸漬条件における穿孔個数7個のもの)
軟化液の希釈率:30%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:22℃
穿孔個数:1cmあたり7個
硬さ:98gf
・味噌焼L(表20の#104の浸漬条件における穿孔個数5個のもの)
軟化液の希釈率:40%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:22℃
穿孔個数:1cmあたり5個
硬さ:265gf
・味噌焼M(表20の#104の浸漬条件における穿孔個数7個のもの)
軟化液の希釈率:40%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:22℃
穿孔個数:1cmあたり7個
硬さ:180gf
評価は官能検査1と同じ基準で行い、各パネラーの評価点の平均値を評点とした。結果を表21〜表24に示す。
Figure 0006901970
Figure 0006901970
Figure 0006901970
Figure 0006901970
表21及び表22に示すとおり、マイタケ絞り汁の希釈率30%の軟化液を用い、穿孔個数が1cmあたり5個又は7個の切り身を軟化処理し、焼成して得られた照焼J、Kは、検査した全ての項目において、「良い=4」を上回る評点となり、銀サケの照焼本来の外観形状、色調、味を有するとともに、異味、異臭がなく、マイタケ臭も感じられない優れた味噌焼であると評価された。
これに対し、表23及び表24に示すとおり、マイタケ絞り汁の希釈率が40%の軟化液を用い、穿孔個数が1cmあたり5個又は7個の切り身を軟化処理し、焼成して得られた照焼L、Mは「外観形状」及び「外観色調」においては「普通=3」に近い評点3.1又は3.0と評価されたものの、その他の「異味」、「味」、「異臭」、及び「マイタケ臭」の項目においては、「悪い=2」若しくはそれに近い評点1.9〜2.3と評価され、銀サケの切り身の照焼本来の味を有していない上に、異味、異臭が感じられ、マイタケ臭が強く残る照焼であると評価された。
<12.軟化試験6(銀サケ西京焼・塩焼)>
上記銀サケ味噌焼の製造工程における「カ 調味液浸漬」工程で用いる調味液を西京焼用の調味液又は塩水に代えた以外は銀サケ味噌焼と同様にして、銀サケの西京焼及び塩焼を製造し、その硬さを測定した。
すなわち、上記予備実験におけると同様の手順で、1mm角以下に切断した生マイタケの切断物を圧搾して得た絞り汁(pH5.51〜6.12)を通常の水道水で30%に希釈したものを軟化液として使用し、浸漬温度を22℃、浸漬時間を24時間とし、穿孔工程における穿孔個数を1cmあたり5個にするとともに、「カ 調味液浸漬」工程で用いる調味液を西京焼用の調味液又は塩水に変えた以外は軟化試験1と同様にして、銀サケの皮付き骨取り切り身の西京焼及び塩焼を製造し、保管、解凍後、その硬さを測定するとともに、外観形状を肉眼観察し、併せて、実際に喫食してその味及び異味、異臭の有無を調べた。結果を表25に示す。
Figure 0006901970
表25に見られるとおり、穿孔個数を1cmあたり5個とし、希釈率が30%の軟化液を用いて、24時間、22℃の軟化処理を行った場合には、西京焼及び塩焼のいずれにおいても、硬さが100gf以下である97gf(西京焼)及び96gf(塩焼)となり、味噌焼におけると同様の結果になった。
また、硬さの測定時に、これら切り身の西京焼及び塩焼を肉眼観察したところ、皮目の崩れや剥がれ、及び身の崩れや割れは一切認められず、手作業による搬送が容易であるとともに、色調も良く、銀サケの切り身の西京焼又は塩焼本来の外観形状が保持されていた。さらに、これらの切り身を食してみたところ、銀サケの西京焼又は塩焼本来の味がし、軟化液浸漬による異味、異臭は全く感じられなかった。
以上の結果は、先に銀サケの切り身の味噌焼について得られた好適な軟化処理条件の範囲が、味噌焼だけにとどまらず、照焼、西京焼、さらには塩焼にも妥当するものであり、調理法に依らない軟化処理条件であることを物語っている。
<13.軟化試験7(紅サケ味噌焼)>
サケの種類を銀サケから紅サケに変えた以外は軟化試験1におけると同様にして、紅サケの味噌焼を製造し、その硬さを測定した。
すなわち、上記予備実験におけると同様の手順で、1mm角以下に切断した生マイタケの切断物を圧搾して得た絞り汁(pH5.51〜6.12)を通常の水道水で30%又は40%に希釈したものを軟化液として使用し、浸漬温度を6℃又は22℃、浸漬時間を24時間とし、穿孔工程における穿孔個数を1cmあたり0個、3個、4個、5個、7個、8個、又は9個に変化させるとともに、サケの種類を銀サケから紅サケに変えた以外は軟化試験1と同様にして、紅サケの皮付き骨取り切り身の味噌焼を製造し、保管、解凍後、その硬さを測定するとともに、外観形状を肉眼観察し、併せて、実際に喫食してその味及び異味、異臭の有無を調べた。結果を表26に示す。
Figure 0006901970
表26に見られるとおり、希釈率が30%の軟化液を用いて、24時間、6℃又は22℃の軟化処理を行った場合には、銀サケの味噌焼におけると同様に、穿孔個数が1cmあたり4個以下、又は8個以上では350gfを超える硬さとなる場合があるのに対し、穿孔個数が1cmあたり5個又は7個のときには、350gf以下の硬さが安定して得られた。また、特に、孔の個数が1cmあたり5個で、24時間、22℃の条件下では、63gfという100gf以下の硬さとなり、銀サケの味噌焼についての表3に示した結果と同様の結果となった。
また、硬さの測定時に、これら1cmあたり5個〜7個の孔をあけて希釈率30%の軟化液を用いて軟化処理を行った紅サケの切り身の味噌焼を肉眼観察したところ、皮目の崩れや剥がれ、及び身の崩れや割れは一切認められず、手作業による搬送が容易であるとともに、色調も含めて、紅サケの切り身の味噌焼本来の外観形状が保持されていた。さらに、これらの切り身を食してみたところ、紅サケの味噌焼本来の味がし、軟化液浸漬による異味、異臭は全く感じられなかった。
一方、希釈率が40%の軟化液を用いた場合には、穿孔個数が1cmあたり5個又は7個のときに、24時間、6℃又は22℃の軟化処理で、硬さが350gf以下の切り身が得られたが、これらを喫食したところ、6℃で軟化処理を行った切り身には異味、異臭があり、22℃で軟化処理をした切り身は苦味があり、マイタケ臭も強く感じられた。
これらの結果は、先に示した銀サケの切り身の味噌焼における結果とほぼ同じであり、銀サケの切り身の味噌焼において確認された軟化処理条件が、紅サケの切り身の味噌焼にも当てはまるものであることが確認された。
<14.官能検査4(紅サケ味噌焼)>
健康な計7名の男女をパネラーとし、軟化試験7で製造された下記の紅サケの皮付き骨取り切り身の味噌焼について、官能検査2と同様にして、官能検査を行った。
(対象とした切り身の味噌焼)
・味噌焼N(表26の#108の浸漬条件における穿孔個数5個のもの)
軟化液の希釈率:30%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:22℃
穿孔個数:1cmあたり5個
硬さ:63gf
・味噌焼O(表26の#108の浸漬条件における穿孔個数7個のもの)
軟化液の希釈率:30%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:22℃
穿孔個数:1cmあたり7個
硬さ:93gf
・味噌焼P(表26の#110の浸漬条件における穿孔個数5個のもの)
軟化液の希釈率:40%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:22℃
穿孔個数:1cmあたり5個
硬さ:159gf
・味噌焼Q(表26の#110の浸漬条件における穿孔個数7個のもの)
軟化液の希釈率:40%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:22℃
穿孔個数:1cmあたり7個
硬さ::170gf
評価は官能検査1と同じ基準で行い、各パネラーの評価点の平均値を評点とした。結果を表27〜表30に示す。
Figure 0006901970
Figure 0006901970
Figure 0006901970
Figure 0006901970
表27及び表28に示すとおり、マイタケ絞り汁の希釈率30%の軟化液を用い、穿孔個数が1cmあたり5個又は7個の切り身を軟化処理し、焼成して得られた紅サケの味噌焼N、Oは、検査した全ての項目において、「良い=4」に近い3.9若しくはそれ以上の評点となり、紅サケの味噌焼本来の外観形状、色調、味を有するとともに、異味、異臭がなく、マイタケ臭も感じられない優れた味噌焼であると評価された。
これに対し、表29及び表30に示すとおり、マイタケ絞り汁の希釈率が40%の軟化液を用い、穿孔個数が1cmあたり5個又は7個の切り身を軟化処理し、焼成して得られた紅サケの味噌焼P、Qは「外観形状」及び「外観色調」においては「普通=3」に近い評点2.9〜3.1と評価されたものの、その他の「異味」、「味」、「異臭」、及び「マイタケ臭」の項目においては、「悪い=2」を大きく下回る評点1.1〜1.7と評価され、紅サケの切り身の味噌焼本来の味を有していない上に、異味、異臭が感じられ、マイタケ臭が強く残る味噌焼であると評価された。
<15.軟化試験8(紅サケ西京焼・塩焼)>
上記紅サケ味噌焼の製造工程における「カ 調味液浸漬」工程で用いる調味液を西京焼用の調味液又は塩水に変えた以外は軟化試験7における紅サケ味噌焼と同様にして、紅サケの西京焼及び塩焼を製造し、その硬さを測定した。
すなわち、上記予備実験におけると同様の手順で、1mm角以下に切断した生マイタケの切断物を圧搾して得た絞り汁(pH5.51〜6.12)を通常の水道水で30%に希釈したものを軟化液として使用し、浸漬温度を22℃、浸漬時間を24時間とし、穿孔工程における穿孔個数を1cmあたり5個にするとともに、「カ 調味液浸漬」工程で用いる調味液を西京焼用の調味液又は塩水に変えた以外は軟化試験7と同様にして、紅サケの皮付き骨取り切り身の西京焼及び塩焼を製造し、保管、解凍後、その硬さを測定するとともに、外観形状を肉眼観察し、併せて、実際に喫食してその味及び異味、異臭の有無を調べた。結果を表31に示す。
Figure 0006901970
表31に見られるとおり、穿孔個数を1cmあたり5個とし、希釈率が30%の軟化液を用いて、24時間、22℃の軟化処理を行った場合には、西京焼及び塩焼のいずれにおいても、硬さが100gf以下である92gf(西京焼)及び96gf(塩焼)となり、味噌焼におけると同様の結果になった。
また、硬さの測定時に、これら切り身の西京焼及び塩焼を肉眼観察したところ、皮目の崩れや剥がれ、及び身の崩れや割れは一切認められず、手作業による搬送が容易であるとともに、色調も良く、紅サケの切り身の西京焼又は塩焼本来の外観形状が保持されていた。さらに、これらの切り身を食してみたところ、紅サケの西京焼又は塩焼本来の味がし、軟化液浸漬による異味、異臭は全く感じられなかった。
以上の結果は、先に銀サケの切り身の味噌焼について得られた好適な軟化処理条件の範囲が、銀サケの味噌焼だけにとどまらず、紅サケの味噌焼、西京焼、さらには塩焼にも妥当するものであり、サケの種類や調理法に依らない軟化処理条件であることを物語っている。
<16.軟化試験9(白サケ塩焼)>
サケの種類を銀サケから白サケ(時サケ)に変えるとともに、「カ 調味液浸漬」工程で用いる調味液を塩焼用の塩水に変えた以外は軟化試験1におけると同様にして、白サケの塩焼を製造し、その硬さを測定した。
すなわち、上記予備実験におけると同様の手順で、1mm角以下に切断した生マイタケの切断物を圧搾して得た絞り汁(pH5.51〜6.12)を通常の水道水で5%、7%、30%、又は40%に希釈したものを軟化液として使用し、浸漬温度を6℃又は22℃、浸漬時間を24時間とし、穿孔工程における穿孔個数を1cmあたり0個、3個、5個、7個、又は9個に変化させるとともに、サケの種類を銀サケから白サケに変え、さらに、調味液を塩焼用の塩水に変えた以外は軟化試験1と同様にして、白サケの皮付き骨取り切り身の塩焼を製造し、保管、解凍後、その硬さを測定するとともに、外観形状を肉眼観察し、併せて、実際に喫食してその味及び異味、異臭の有無を調べた。結果を表32に示す。
Figure 0006901970
表32に見られるとおり、希釈率が5%の軟化液を用いて、24時間、6℃で軟化処理を行った場合には、先に表4に示した銀サケの味噌焼におけると同様に、穿孔個数が1cmあたり5個又は7個であっても、硬さが350gfを超える場合があり、硬さが350gf以下の白サケの切り身の塩焼を安定して製造することができなかった。
一方、希釈率が7%又は30%の軟化液を用いて、24時間、6℃又は22℃で軟化処理を行った場合には、先に表2及び表3示した銀サケの味噌焼におけると同様に、穿孔個数が1cmあたり5個又は7個のときに、硬さが350gf以下の白サケの切り身の塩焼を安定して製造することができた。特に、希釈率が30%の軟化液を用い、24時間、22℃で軟化処理を行った場合、穿孔個数が1cmあたり5個のときには81gfという100gf以下の硬さとなり、銀サケの味噌焼についての表3に示した結果と同様に、特に軟らかい白サケの切り身の塩焼を製造することができた。
また、硬さの測定時に、これら1cmあたり5個〜7個の孔をあけて希釈率7%又は30%の軟化液を用いて軟化処理を行った白サケの切り身の塩焼を肉眼観察したところ、皮目の崩れや剥がれ、及び身の崩れや割れは一切認められず、手作業による搬送が容易であるとともに、色調も良く、白サケの切り身の塩焼本来の外観形状が保持されていた。さらに、これらの切り身を食してみたところ、白サケの塩焼本来の味がし、軟化液浸漬による異味、異臭は全く感じられなかった。
一方、希釈率が40%の軟化液を用いた場合には、穿孔個数にかかわらず、24時間、6℃の軟化処理で、硬さが350gf以下の切り身が得られたが、これらを喫食したところ、穿孔個数が1cmあたり、5個、7個、及び9個の切り身にはマイタケ臭があった。一方、穿孔個数が1cmあたり、0個及び3個の切り身には、皮が身から離れる皮浮きが認められ、白サケの切り身の塩焼本来の外観形状が保持されているとはいえないものであった。
これらの結果は、先に示した銀サケの切り身の味噌焼における結果とほぼ同じであり、銀サケの切り身の味噌焼において確認された軟化処理条件が、白サケの切り身の塩焼にも当てはまるものであることを示している。
<17.官能検査5(白サケ塩焼)>
健康な計7名の男女をパネラーとし、軟化試験9で製造された下記の白サケの皮付き骨取り切り身の塩焼について、官能検査2と同様にして、官能検査を行った。
(対象とした切り身の塩焼)
・味噌焼R(表32の#115の浸漬条件における穿孔個数5個のもの)
軟化液の希釈率:30%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:6℃
穿孔個数:1cmあたり5個
硬さ:251gf
・味噌焼S(表32の#115の浸漬条件における穿孔個数7個のもの)
軟化液の希釈率:30%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:6℃
穿孔個数:1cmあたり7個
硬さ:238gf
・味噌焼T(表32の#117の浸漬条件における穿孔個数5個のもの)
軟化液の希釈率:40%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:6℃
穿孔個数:1cmあたり5個
硬さ:194gf
・味噌焼U(表32の#117の浸漬条件における穿孔個数7個のもの)
軟化液の希釈率:40%
浸漬時間:24時間
浸漬温度:6℃
穿孔個数:1cmあたり7個
硬さ:273gf
評価は官能検査1と同じ基準で行い、各パネラーの評価点の平均値を評点とした。結果を表33〜表36に示す。
Figure 0006901970
Figure 0006901970
Figure 0006901970
Figure 0006901970
表33及び表34に示すとおり、マイタケ絞り汁の希釈率30%の軟化液を用い、穿孔個数が1cmあたり5個又は7個の切り身を軟化処理し、焼成して得られた白サケの塩焼R、Sは、検査した全ての項目において、「良い=4」を上回る評点となり、白サケの塩焼本来の外観形状、色調、味を有するとともに、異味、異臭がなく、マイタケ臭も感じられない優れた塩焼であると評価された。
これに対し、表35及び表36に示すとおり、マイタケ絞り汁の希釈率が40%の軟化液を用い、穿孔個数が1cmあたり5個又は7個の切り身を軟化処理し、焼成して得られた白サケの塩焼T、Uは「外観形状」においては、「普通=3」付近の評点2.9又は3.3と評価されたものの、「外観色調」においては「普通=3」を下回る評点2.7又は2.4と評価された。さらに、その他の「異味」、「味」、「異臭」、及び「マイタケ臭」の項目においては、「悪い=2」と「普通=3」の間の評点2.1〜2.7と評価され、白サケの切り身の塩焼本来の外観色調を有していない上に、異味、異臭が感じられ、マイタケ臭が残る塩焼であると評価された。
<18.軟化試験10(白サケ味噌焼・西京焼)>
上記白サケ塩焼の製造工程における「カ 調味液浸漬」工程で用いる調味液を味噌焼用又は西京焼用の調味液に変えた以外は軟化試験9における白サケ塩焼と同様にして、白サケの味噌焼及び西京焼を製造し、その硬さを測定した。
すなわち、上記予備実験におけると同様の手順で、1mm角以下に切断した生マイタケの切断物を圧搾して得た絞り汁(pH5.51〜6.12)を通常の水道水で30%に希釈したものを軟化液として使用し、浸漬温度を22℃、浸漬時間を24時間とし、穿孔工程における穿孔個数を1cmあたり5個にするとともに、「カ 調味液浸漬」工程で用いる調味液を味噌焼用の調味液又は西京焼用の調味液に変えた以外は軟化試験9と同様にして、白サケの皮付き骨取り切り身の味噌焼及び西京焼を製造し、保管、解凍後、その硬さを測定するとともに、外観形状を肉眼観察し、併せて、実際に喫食してその味及び異味、異臭の有無を調べた。結果を表37に示す。
Figure 0006901970
表37に見られるとおり、穿孔個数を1cmあたり5個とし、希釈率が30%の軟化液を用いて、24時間、22℃の軟化処理を行った場合には、味噌焼及び西京焼のいずれにおいても、硬さが100gf以下である90gf(味噌焼)及び99gf(西京焼)となり、塩焼におけると同様の結果になった。
また、硬さの測定時に、これら切り身の味噌焼及び西京焼を肉眼観察したところ、皮目の崩れや剥がれ、及び身の崩れや割れは一切認められず、手作業による搬送が容易であるとともに、色調も良く、白サケの切り身の味噌焼又は西京焼本来の外観形状が保持されていた。さらに、これらの切り身を食してみたところ、白サケの味噌焼又は西京焼本来の味がし、軟化液浸漬による異味、異臭は全く感じられなかった。
以上の結果は、先に銀サケについて得られた好適な軟化処理条件の範囲が、銀サケだけにとどまらず、白サケの塩焼、味噌焼、さらには西京焼にも妥当するものであり、サケの種類や調理法に依らない軟化処理条件であることを物語るものである。
<19.軟化試験11(ピンクサーモン味噌焼・西京焼・塩焼)>
使用するサケを銀サケからピンクサーモンに変え、上記銀サケの味噌焼の製造工程における「カ 調味液浸漬」工程で用いる調味液を味噌焼用の調味液に加えて、西京焼用の調味液及び塩焼用の塩水を用いた以外は軟化試験1におけると同様にして、ピンクサーモンの味噌焼、西京焼、及び塩焼を製造し、その硬さを測定した。
すなわち、上記予備実験におけると同様の手順で、1mm角以下に切断した生マイタケの切断物を圧搾して得た絞り汁(pH5.51〜6.12)を通常の水道水で30%に希釈したものを軟化液として使用し、浸漬温度を22℃、浸漬時間を24時間とし、穿孔工程における穿孔個数を1cmあたり5個にするとともに、「カ 調味液浸漬」工程で用いる調味液として、味噌焼用の調味液、西京焼用の調味液、又は塩焼用の塩水を用いた以外は軟化試験1と同様にして、ピンクサーモンの皮付き骨取り切り身の味噌焼、西京焼、及び塩焼を製造し、保管、解凍後、その硬さを測定するとともに、外観形状を肉眼観察し、併せて、実際に喫食してその味及び異味、異臭の有無を調べた。結果を表38に示す。
Figure 0006901970
表38に見られるとおり、穿孔個数を1cmあたり5個とし、希釈率が30%の軟化液を用いて、24時間、22℃の軟化処理を行った場合には、ピンクサーモンに関しても、味噌焼、西京焼、及び塩焼のいずれにおいても、硬さが100gf以下である77gf(味噌焼)、89gf(西京焼)、及び92gf(塩焼)となり、銀サケや紅サケ、白サケにおけると同様の結果になった。
また、硬さの測定時に、これら切り身の味噌焼、西京焼、及び塩焼を肉眼観察したところ、皮目の崩れや剥がれ、及び身の崩れや割れは一切認められず、手作業による搬送が容易であるとともに、色調も良く、ピンクサーモンの切り身の味噌焼、西京焼、又は塩焼本来の外観形状が保持されていた。さらに、これらの切り身を食してみたところ、それぞれ、ピンクサーモンの味噌焼、西京焼、又は塩焼本来の味がし、軟化液浸漬による異味、異臭は全く感じられなかった。
以上の結果は、先に銀サケについて得られた好適な軟化処理条件の範囲が、銀サケだけにとどまらず、ピンクサーモンの塩焼、味噌焼、さらには西京焼にも妥当するものであり、サケの種類や調理法に依らない軟化処理条件であることを物語るものである。
<20.軟化試験12(キングサーモン味噌焼・西京焼・塩焼)>
使用するサケを銀サケからキングサーモンに変えた以外は、上記軟化試験11と同様にして、キングサーモンの味噌焼、西京焼、及び塩焼を製造し、その硬さを測定するとともに、外観形状を肉眼観察し、併せて、実際に喫食してその味及び異味、異臭の有無を調べた。結果を表39に示す。
Figure 0006901970
表39に見られるとおり、穿孔個数を1cmあたり5個とし、希釈率が30%の軟化液を用いて、24時間、22℃の軟化処理を行った場合には、キングサーモンに関しても、味噌焼、西京焼、及び塩焼のいずれにおいても、硬さが100gf以下である91gf(味噌焼)、96gf(西京焼)、及び89gf(塩焼)となり、銀サケや紅サケ、白サケなどにおけると同様の結果になった。
また、硬さの測定時に、これら切り身の味噌焼、西京焼、及び塩焼を肉眼観察したところ、皮目の崩れや剥がれ、及び身の崩れや割れは一切認められず、色調も良く、手作業による搬送が容易であるとともに、キングサーモンの切り身の味噌焼、西京焼、又は塩焼本来の外観形状が保持されていた。さらに、これらの切り身を食してみたところ、それぞれ、キングサーモンの味噌焼、西京焼、又は塩焼本来の味がし、軟化液浸漬による異味、異臭は全く感じられなかった。
以上の結果は、先に銀サケについて得られた好適な軟化処理条件の範囲が、銀サケだけにとどまらず、紅サケ、白サケ(時サケ)、ピンクサーモン、キングサーモン等の鮭科一般の魚種に妥当するものであり、さらには、塩焼、味噌焼、西京焼にも妥当し、サケの種類や調理法に依らない汎用性のある軟化処理条件であることを物語るものである。
<21.比較試験1>
上述したとおり、マイタケが複数の蛋白質分解酵素を含んでいることは本願出願前から知られている。そこで、マイタケを従来から知られているやり方で使用して、本発明と同様に軟らかい銀サケの切り身の焼成品が得られるかどうかを試験した。
マイタケを用いた食品素材の軟化処理に際し、従来から知られているやり方を想定して、以下の4つの軟化液を調製した。
・軟化液A:市販のマイタケを手で細かくほぐして小分けしたものを、6℃
の水70質量部に対しマイタケ30質量部の割合(マイタケ質量:30%
)で30分浸漬した後、マイタケを取り出し、軟化液Aとした。
・軟化液B:市販のマイタケをほぐすことなく、6℃の水70質量部に対し
マイタケ30質量部の割合(マイタケ質量:30%)で30分浸漬した後
、マイタケを取り出し、軟化液Bとした。
・軟化液C:軟化液Aの調製工程において、水に30分浸漬後、マイタケを
取り出さずにそのままにして、軟化液Cとした。
・軟化液D:軟化液Bの調製工程において、水に30分浸漬後、マイタケを
取り出さずにそのままにして、軟化液Dとした。
軟化液A〜Dを6℃に維持しつつ、そのそれぞれに軟化試験1〜4で使用したのと同じ銀サケの皮付き骨なし切り身(切り身質量約100g)を24時間浸漬し、その後、軟化試験1〜4における検体と同様に処理して、軟化液が異なる4種類の銀サケの切り身の味噌焼を製造した。製造された検体を軟化試験1〜4におけると同様の硬さ測定に供し、直径15mmの金属球を3mm押し込むに必要な荷重を測定した。測定は、各切り身の腹側、中央、背側の3箇所を裏表計6箇所測定した。それぞれの軟化液について3検体ずつ測定し、計18個の測定値の中で最も大きな荷重をもって硬さの測定値(gf)とした。結果を表40に示す。
Figure 0006901970
表40に示すとおり、銀サケの切り身を軟化液A〜Dのいずれに浸漬した場合でも、24時間、6℃の軟化処理では、得られた銀サケの切り身の味噌焼の硬さは最少でも668gfにとどまり、本発明の味噌焼が示す350gf以下という軟らかさには到底及ばないものであった。この結果は、従来から知られているやり方でマイタケを使用したのでは、「弱い力で噛める」程度若しくはそれ以上の軟らかさに相当する硬さ350gf以下という軟らかさを備えた銀サケの切り身の焼成品を得ることはできないことを示している。
<22.比較試験2>
上述した比較試験1と同様にして、マイタケを従来から知られているやり方で使用して、本発明と同様に軟らかい白サケの切り身の焼成品が得られるかどうかを試験した。
すなわち、比較試験1で用いたと同じ軟化液A〜Dを6℃に維持しつつ、そのそれぞれに軟化試験9で使用したのと同じ白サケの皮付き骨なし切り身(切り身質量約100g)を24時間浸漬し、その後、軟化試験9における検体と同様に処理して、軟化液が異なる4種類の白サケの切り身の塩焼を製造した。製造された検体を軟化試験9におけると同様に硬さ測定に供し、直径15mmの金属球を3mm押し込むに必要な荷重を測定した。測定は、各切り身の腹側、中央、背側の3箇所を裏表計6箇所測定した。それぞれの軟化液について3検体ずつ測定し、計18個の測定値の中で最も大きな荷重をもって硬さの測定値(gf)とした。結果を表41に示す。
Figure 0006901970
表41に示すとおり、白サケの切り身を軟化液A〜Dのいずれに浸漬した場合でも、24時間、6℃の軟化処理では、得られた白サケの切り身の塩焼の硬さは最少でも569gfにとどまり、本発明の焼成品が示す350gf以下という軟らかさには到底及ばないものであった。この結果は、従来から知られているやり方でマイタケを使用したのでは、「弱い力で噛める」程度若しくはそれ以上の軟らかさに相当する硬さ350gf以下という軟らかさを備えた白サケの切り身の焼成品を得ることはできないことを示している。
以上説明したとおり、本発明のサケの切り身の軟らか焼成品は、咀嚼力が低下した人でも容易に咀嚼できる軟らかさを有するとともに、サケの切り身の焼成品本来の外観形状を保持し、かつ、異味、異臭のない焼成品であり、見た目に食欲をそそり、加えて、実際に喫食しても美味なサケの切り身の軟らか焼成品である。本発明に係るサケの切り身の軟らか焼成品及びその製造方法は、高齢者などの咀嚼力が低下した人にも、十分な咀嚼力を有する人と同様に、毎日の食事を楽しみ、自らの口を通じて栄養を摂取することを可能にするものであり、高齢者の生活の質の維持向上に貢献し、その産業上の利用可能性は多大である。

Claims (3)

  1. サケの切り身に針を刺して、切り身表面の1cmあたり、5〜7個の孔をあける穿孔工程、前記穿孔工程を経た前記切り身を、生のマイタケの切断物の絞り汁を水で7〜30質量%に希釈した軟化浸漬液に6〜22℃で4〜24時間浸漬する浸漬工程、及び、前記浸漬工程を経た前記切り身を焼成する工程を含むサケの切り身の軟らか焼成品の製造方法。
  2. 前記穿孔工程においてあけられる孔の数が切り身表面の1cmあたり5個であり、前記浸漬工程が、生のマイタケの切断物の絞り汁を水で7〜30質量%に希釈した軟化浸漬液に22℃で20〜24時間浸漬する工程である請求項記載のサケの切り身の軟らか焼成品の製造方法。
  3. マイタケの前記切断物が1mm角以下に切断された切断物である請求項1又は2記載の製造方法。
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