JP6303206B2 - 軟化食品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、咀嚼が困難な高齢者などが食べるための軟化食品の製造方法に関し、詳しくは、食品本来の形状を維持しつつ、舌や歯茎で食品をつぶすことができるほど軟らかく、歯で噛まなくても食べることができ、かつ、酵素剤由来の苦みなどの雑味を除去した軟化食品の製造方法に関する。
咀嚼が困難な高齢者や離乳期の乳児などが食べるための食品として、歯で噛まなくても食べることのできる流動食やゼリー食等が知られている。しかし、これらの食品は、食品本来の形状を有していないため、特に咀嚼が困難な高齢者などは、視覚的に食欲が減退し、食品を美味しく食べることができないといった問題がある。
このため、食品素材に酵素剤を作用させて食品本来の形状を維持しつつ、十分な軟らかさを有する食品の製造方法が提案されている。例えば、特開2004−89181号公報には、外観や食感に優れ、軟化・煮崩れ等の起こりにくい食品素材や、適度に柔らかくした食品素材を得るための食品素材を改質する方法として、酵素を含む溶液と食品素材とを接触させて、1.04〜50気圧で加圧処理して食品素材内部に酵素を浸透させ、食品素材内部で酵素反応を起こさせて食品素材を改質する方法が提案されている(特許文献1)。
また、特開2008−11794号公報には、凍結または凍結後解凍した食品素材と分解酵素とを包装材中に入れて真空包装することによって分解酵素を食品素材内部に均一に含有させ、分解酵素の作用によって食品素材を柔軟にした後、加熱調理した食品の製造方法が提案されている(特許文献2)。
特開2004−89181号公報 特開2008−11794号公報
従来、咀嚼が困難な高齢者や離乳期の乳児などが食べるための食品は、流動食やゼリー食等であるが、食品本来の形状を有しておらず、食品を美味しく食べることができないという問題があった。
また、食品素材に酵素剤を作用させて食品本来の形状を維持しつつ、十分な軟らかさを有する食品の製造のため、食品素材と酵素剤とを加圧又は真空減圧条件下で作用させること等が行われているが、そのための装置が必要であること、その装置の操作が煩雑であること等の問題がある。また、加圧又は真空減圧操作によって食品素材の形状が一部崩れしてしまう等の問題もある。
一方、加圧又は真空減圧等の操作を行わず、単に酵素剤を作用させることによって食品素材を十分な軟らかさにしようとすると、高濃度の酵素剤を使用しなければならず、酵素剤由来の苦みなどの雑味を食品に付与してしまう等の問題がある。
そこで、本発明の目的は、食品本来の形状を維持しつつ、舌や歯茎で食品をつぶすことができ、歯で噛まなくても食べることのできる軟らかさを有し、かつ、酵素剤由来の苦みを除去した軟化食品を専用の装置を用いることなく簡単に製造することができる製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の条件で製造した軟化食品が食品本来の形状を維持しつつ、舌や歯茎で容易につぶすことができ、歯で噛まなくても食べることのできる軟らかさを有し、かつ、酵素剤由来の苦みが除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、食品本来の形状を維持しつつ、十分な軟らかさを有し、かつ、酵素剤由来の苦みを除去した軟化食品の製造方法であって、食品素材を酵素濃度0.005%(w/v)以上を含む酵素剤溶液に浸漬する酵素処理工程と、前記酵素処理した食品素材に対し熱水加熱を行う加熱処理工程とを有することを特徴とする軟化食品の製造方法を提供するものである。
本発明に係る軟化食品の製造方法によれば、食品本来の形状を維持しつつ、舌や歯茎で容易につぶすことができ、歯で噛まなくても食べることのできる軟らかさを有し、かつ、酵素剤由来の苦みを除去した軟化食品を専用の装置を用いることなく簡単に得ることができる。
本実施形態によって調理された軟化食品の一例を示す図である。
本発明の軟化食品の製造方法は、食品素材を酵素濃度0.005%(w/v)以上を含む酵素剤溶液に浸漬する酵素処理工程と、前記酵素処理した食品素材に対し熱水加熱を行う加熱処理工程とを有する。
本実施形態で使用する食品素材は、食品を調理するためのものであれば特に限定されず、例えば、野菜類、魚介類、肉類やこれらを加工した加工食品などを例示することができる。
前記野菜類としては、例えば、牛蒡、竹の子、インゲン、レンコン、ふき、もやし、ひじき、ぜんまい、ニンジン、ジャガイモ、きゅうり、大根、ブロッコリー、カリフラワー、ホウレンソウ、アスパラ、里芋、菜の花などを挙げることができる。
前記魚介類としては、例えば、鮭、鯖、鰆、かじき、赤魚、鰤、スケソウダラ、ホッケ、カレイ、鯛、イナダ、サゴシ、イカ、エビなどを挙げることができる。
前記肉類としては、例えば、鶏肉、豚肉、牛肉などを挙げることができる。
前記加工食品としては、例えば、ミートボール、ハンバーグ、ハム、かまぼこ、ちくわ、さつま揚げなどを挙げることができる。
本実施形態において、前記食品素材をそのまま用いることができるが、酵素作用の促進の観点から、凍結後に解凍及び/又は下茹で、焼き、蒸し等の加熱処理を行うことが好ましい。
本実施形態において、前記食品素材を酵素濃度0.005%(w/v)以上を含む酵素剤溶液に浸漬させて酵素処理する。これにより、食品素材が軟らかくなる。
本実施形態において使用する酵素剤は、食品素材に含まれるタンパク質、炭水化物、脂質などに作用し、これらを分解することで食品素材を軟らかくすることができるものであれば特に限定されないが、食品素材に対する軟化力及び経済性の観点から、パパイヤ由来の酵素剤が好ましい。
従来、パパイヤ由来の酵素剤は、これに含まれる主要な酵素がタンパク質分解酵素のパパインであることから、食肉を軟らかくするために用いられてきた。しかしながら、意外にもパパイヤ由来の酵素剤は、繊維質などの糖質を多く含む野菜類に対しても軟らかくする効果があることが判明した。
前記酵素剤溶液の酵素濃度は、食品素材に対する軟化力、苦みなどの雑味付与の防止及び食品素材の型崩れ防止の観点から、0.005〜0.0125%(w/v)が好ましい。
本実施形態において、食品素材を酵素濃度0.005%(w/v)以上を含む酵素剤溶液に浸漬させる時間は、食品素材を目的に適う軟らかさとなるように適宜設定することができるが、作業性の観点から、1〜15時間が好ましい。
本実施形態において、酵素剤溶液に浸漬した食品素材を酵素剤溶液から取り出して液切りを行い、この酵素処理した食品素材を熱水加熱による加熱処理する。これにより、食品素材から酵素剤が遊離し、酵素剤由来の苦みなどの雑味を食品に付与するのを防ぐことができる。また、熱水加熱による加熱処理することで酵素剤処理によって軟化した食品素材をより軟らかくすることができる。
前記熱水加熱による加熱処理は、酵素処理した食品素材を熱水中で加熱処理できれば制限はないが、酵素剤由来の苦みなどの雑味付与及び食品素材の型崩れを防止する観点から、酵素処理した食品素材を水に完全に浸漬させ、これを蒸気によって加熱することで食品素材を熱水中で加熱処理する又は沸騰させた後に火を止めた湯中に酵素処理した食品素材を投入することで加熱処理することが好ましい。
前記熱水加熱による加熱処理における熱水量は、酵素剤由来の苦みなどの雑味付与を防止する観点から、食品素材をその重量に対して1.33倍以上であることが好ましい。
前記熱水加熱による加熱処理において、酵素処理した食品素材を水に完全に浸漬させた後、これを蒸気によって加熱することで食品素材を熱水中で加熱処理する場合は、作業性の観点から、コンベクションを用いて100℃の蒸気で水に完全に浸漬した食品素材を10〜45分間加熱処理を行うことが好ましい。また、コンベクションを用いて加熱処理する食品素材は、特に制限がないが、例えば、加熱処理時間が長時間である竹の子や肉などの場合にコンベクションを用いて加熱処理することが好ましい。
前記熱水加熱による加熱処理において、沸騰させた後に火を止めた湯中に酵素処理した食品素材を投入することで加熱処理する場合は、作業性の観点から、湯中に2〜5分間浸漬することが好ましい。また、湯中に投入する加熱処理は、例えば、加熱処理時間が短時間である牛蒡やインゲンなどの場合に用いることができる。
前記加熱処理した食品素材を所望の風味となるように味付けを行うことで目的に適う軟化食品を得ることができる。
本実施形態によって軟化した食品素材を材料として調理される食品は、特に限定されないが、例えば、煮物、焼き物、蒸し物、炒め物、茹で物等を挙げることができる。
本実施形態によって調理された軟化食品は、舌や歯茎で容易につぶすことができ、歯で噛まなくても食べることのできるほど軟らかいのにもかかわらず、図1に示したように、食品本来の形状を有している。また、軟化させるために用いた酵素剤由来の苦みは除去され、食品本来の呈味、色調及び香りを有する。さらに、本実施形態においては、加圧機や真空減圧機などの特別な装置を必要とせず、通常の調理器具を用いて簡単に軟化食品を調理することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
1.野菜類
(1)牛蒡
牛蒡の皮を剥き、牛蒡の外側の繊維質を切断するために包丁で浅く切り込みを入れた後、適当な大きさに乱切りした。この乱切りした牛蒡100gを熱湯中で30分間下茹でを行い、お湯切りをした後、直ちにあらかじめ用意したパパイヤ由来の酵素を含有するスベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)6%(w/v)(酵素濃度として0.0075%(w/v))溶液100mLに浸漬させ、冷蔵庫内で15時間保持した後、酵素剤溶液から取り出して液切りをした。
次いで、この酵素処理した牛蒡を水200mLが入ったバット中に完全に浸漬させた。これをコンベクション(SSC−10SC、株式会社マルゼン社製)に入れてコンベクションの設定を100℃で12分間の蒸気加熱を行うことで牛蒡を熱水中で加熱処理した(実施例1−1)。なお、コンベクションが100℃に達する時間は約8分間であった。一方、酵素処理した牛蒡を沸騰させた後に火を止めた湯中200mLに投入して5分間加熱処理(実施例1−2)した。これを所望の風味となるように調製した煮汁に浸すことで味付けを行い、牛蒡の煮物を調理した。
なお、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)3%(w/v)(酵素濃度として0.0375%(w/v))溶液を用いて、上記と同様に調理した場合を比較例1−1とした。また、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)6%(w/v)溶液を用いて酵素処理した後、加熱処理を行わなかった場合を比較例1−2とした。さらに、酵素剤の代わりに、酵素を含まない食品用軟化剤である「ヴィネッタ」(商標;株式会社キティー)をメーカーが指定する使用濃度である1.5%(w/v)溶液を用いた場合を比較例1−3とした。この時の比較例1−1及び1−3における加熱処理条件は、コンベクションを用いて100℃で12分間とした。
サンプルの硬さは、市販の楊枝(株式会社大創産業社製:直径2.2mm、長さ65mm)による切断試験によって評価した。すなわち、楊枝による切断試験の評価は、サンプルを切断する際に、楊枝が折れることなく切断することができた場合を可(○)、切断できずに楊枝が折れてしまった場合を不可(×)とした。
また、官能評価員20名(男性10名、女性10名、年齢19〜68才)による官能試験も実施した。なお、官能評価員による官能試験の評価は、サンプルが「口に入れただけで溶ける」場合を5点、「舌で容易に潰せる」場合を4点、「舌で潰すことができる」場合を3点、「舌で潰すことが困難」な場合を2点、「舌で潰すことができない」場合を1点とし、その平均値をやわらか度として示した。
さらに、サンプルの苦みについて、上記の官能評価員がサンプルを食べることで酵素処理で用いた酵素剤特有の苦みを4段階(4:苦みを強く感じる、3:苦みを感じる、2:苦みをわずかに感じる、1:苦みを感じない)で評価し、その平均値を苦み度として示した。
サンプルの外観は、目視によって観察した。
表1に示したように、酵素処理濃度が6%(w/v)でコンベクションを用いて牛蒡を熱水中で加熱処理した場合(実施例1−1)及び酵素処理濃度が6%(w/v)で沸騰させた後に火を止めた湯中に投入することで加熱処理した場合(実施例1−2)のサンプルともに楊枝で簡単に切断できたのに対し、すべての比較例では楊枝が折れてしまい、サンプルを切断することができなかった。また、実施例1−1及び1−2のサンプルのやわらか度はともに3.9であり、比較例1−1〜1−3の場合の1.35〜2.9と比べて高い値を示し、咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできるやわらかさとなっていた。
また、実施例1−1及び1−2のサンプルの外観について、それらサンプルは咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできる程のやわらかさであるにもかかわらず、食品の形状はしっかりと維持されており、食品の型崩れや食品表面の溶解による滑りは認められなかった。
さらに、酵素剤由来の苦みについて、実施例1−1及び1−2のサンプルは苦み度がともに1.05であり、比較例1−2の場合の2.5と比べて低い値を示し、酵素処理後に加熱処理することによってサンプルの苦みが除去された。一方、実施例1−1及び1−2のサンプルはやわらか度がともに3.9であり、比較例1−2の場合の2.9と比べて高い値を示した。このように、高濃度酵素剤添加による酵素処理後に加熱処理することによって酵素剤特有の苦みを除去するとともに、酵素剤単独の場合と比べて食品素材をより軟らかくすることができた。
(2)竹の子
生の竹の子を、常法に従って、水煮することであく取りを行った後、厚さ4mmの輪切りにして冷凍庫内で2日間以上保持することで冷凍した。なお、竹の子の直径が9cm以上の場合では、竹の子を輪切りにした後、4つ切にカットした。この冷凍した竹の子100gを室温で解凍し、これを熱湯中で20〜30分間茹でた後、お湯切りをし、直ちにあらかじめ用意したパパイヤ由来の酵素を含有するスベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)7%(w/v)(酵素濃度として0.00875%(w/v))溶液100mLに浸漬させ、冷蔵庫内で15時間保持した後、酵素剤溶液から取り出して液切りをした。
次いで、この酵素処理した竹の子を、水230mLが入ったバット中に完全に浸漬させた。これをコンベクション(SSC−10SC、株式会社マルゼン社製)に入れてコンベクションの設定を100℃で30分間の蒸気加熱を行うことで竹の子を熱水中で加熱処理した。なお、コンベクションが100℃に達する時間は約8分間であった。これを所望の風味となるように調製した煮汁に浸すことで味付けを行った(実施例2)。
なお、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)3%(w/v)(酵素濃度として0.00375%(w/v))溶液を用いて、上記と同様に調理した場合を比較例2−1とした。また、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)7%(w/v)溶液を用いて酵素処理した後、加熱処理を行わなかった場合を比較例2−2とした。さらに、酵素剤の代わりに、酵素を含まない食品用軟化剤である「ヴィネッタ」(商標;株式会社キティー)をメーカーが指定する使用濃度である1.5%(w/v)溶液を用いた場合を比較例2−3とした。
サンプルの硬さ、苦み及び外観について、上記1.(1)と同様の方法で評価を行った。
表2に示したように、酵素処理濃度7%(w/v)でコンベクションを用いて竹の子を熱水中で加熱処理した場合(実施例2)のサンプルは楊枝で簡単に切断できたのに対し、すべての比較例では楊枝が折れてしまい、サンプルを切断することができなかった。また、実施例2のサンプルのやわらか度は3.9であり、比較例2−1〜2−3の場合の1.2〜2.45と比較して高い値を示し、咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできるやわらかさとなっていた。
また、実施例2のサンプルの外観について、該サンプルは咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできる程のやわらかさであるにもかかわらず、食品の形状はしっかりと維持されており、食品の型崩れや食品表面の溶解による滑りは認められなかった。
さらに、酵素剤由来の苦みについて、実施例2のサンプルは苦み度が1.05であり、比較例2−2の場合の2.7と比較して低い値を示し、酵素処理後に加熱処理することによってサンプルの苦みが除去された。一方、実施例2のサンプルはやわらか度が3.9であり、比較例2−2の場合の2.45と比べて高い値を示した。このように、高濃度酵素剤添加による酵素処理後に加熱処理することによって酵素剤特有の苦みを除去するとともに、酵素剤単独の場合と比べて食品素材をより軟らかくすることができた。
(3)インゲン及びレンコン
生インゲンを長さ4cmに切った後、かど取りを行った。一方、生レンコンを厚さ3〜5mmに輪切りにした後、4つ切にカットした。これらインゲン及びレンコンをそれぞれ下茹でを行った後、冷凍庫内で2日間以上保持することで冷凍した。これら冷凍処理したインゲン及びレンコン各100gを室温で解凍し、あらかじめ用意したパパイヤ由来の酵素を含有するスベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)4%(w/v)(酵素濃度として0.005%(w/v))又は6%(w/v)(酵素濃度として0.0075%(w/v))溶液100mLに浸漬させて冷蔵庫内で15時間保持した後、酵素剤溶液から取り出して液切りをした。なお、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)溶液の濃度は、インゲンの場合を4%(w/v)、レンコンの場合を6%(w/v)とした。
次いで、酵素剤溶液に浸漬した食品素材を酵素剤溶液から取り出して液切りを行い、これら酵素処理したインゲン及びレンコンを、インゲンの場合は水133mL、レンコンの場合は水200mLが入ったバット中に完全に浸漬させた。これをコンベクション(SSC−10SC、株式会社マルゼン社製)に入れてコンベクションの設定を100℃で、インゲンの場合は10分間、レンコンの場合は20〜30分間の蒸気加熱を行うことでインゲン及びレンコンを熱水中で加熱処理した。なお、コンベクションが100℃に達する時間は約8分間であった。これらを所望の風味となるように調製した煮汁に浸すことでインゲン(実施例3)及びレンコン(実施例4)の味付けを行った。
なお、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)3%(w/v)(酵素濃度として0.00375%(w/v))溶液を用いて、上記と同様にインゲン及びレンコンを調理した場合を比較例3−1(インゲン)及び比較例4−1(レンコン)とした。また、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)4%(w/v)溶液を用いてインゲンを酵素処理した後、加熱処理を行わなかった場合を比較例3−2、6%(w/v)溶液を用いてレンコンを酵素処理した後、加熱処理を行わなかった場合を比較例4−2とした。さらに、酵素剤の代わりに、酵素を含まない食品用軟化剤である「ヴィネッタ」(商標;株式会社キティー)をメーカーが指定する使用濃度である1.5%(w/v)溶液を用いた場合を比較例3−3(インゲン)及び4−3(レンコン)とした。
サンプルの硬さ、苦み及び外観について、上記1.(1)と同様の方法で評価を行った。
表3に示したように、酵素処理濃度4%(w/v)でコンベクションを用いてインゲンを熱水中で加熱処理した場合(実施例3)及び酵素処理濃度6%(w/v)でコンベクションを用いてレンコンを熱水中で加熱処理した場合(実施例4)のサンプルはともに楊枝で簡単に切断できたのに対し、すべての比較例では楊枝が折れてしまい、サンプルを切断することができなかった。また、実施例3のサンプルのやわらか度は4.1であり、比較例3−1〜3−3の場合の1.8〜3.25と比べて高い値を示した。一方、実施例4のサンプルについてもやわらか度は4.0であり、比較例4−1〜4−3の場合の1.65〜2.95と比べて高い値を示した。このように、実施例3及び4ともに咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできるやわらかさとなっていた。
また、実施例3及び4のサンプルの外観について、これらのサンプルは咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできる程のやわらかさであるにもかかわらず、食品の形状はしっかりと維持されており、食品の型崩れや食品表面の溶解による滑りは認められなかった。
さらに、酵素剤由来の苦みについて、実施例3及び4のサンプルは苦み度がともに1.0であり、比較例3−2の場合の2.48、比較例4−2の場合の2.84と比べて共に低い値を示し、酵素処理後に加熱処理することによってサンプルの苦みが除去された。一方、実施例3及び4のサンプルはやわらか度がそれぞれ4.1及び4.0であり、比較例3−2の場合の3.25及び比較例4−2の場合の2.95と比べて高い値を示した。このように、高濃度酵素剤添加による酵素処理後に加熱処理することによって酵素剤特有の苦みを除去するとともに、酵素剤単独の場合と比べて食品素材をより軟らかくすることができた。
2.魚介類
(1)冷凍魚
表4に示した冷凍魚(銀鮭、鯖又は鰆)を室温で半解凍した後、骨を取り除き、平たくカットすることで表面積を大きくした切り身35g/枚を得た。この切り身3枚をあらかじめ用意したパパイヤ由来の酵素を含有するスベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)8%(酵素濃度として0.01%(w/v))又は10%(w/v)(酵素濃度として0.0125%(w/v))溶液100mLに浸漬させ、冷蔵庫内で15時間保持した後、酵素剤溶液から取り出して液切りをした。
次いで、この酵素処理した切り身を、切り身1枚あたり水105mLが入ったバット中に完全に浸漬させた。これをコンベクション(SSC−10SC、株式会社マルゼン社製)に入れてコンベクションの設定を100℃で15〜30分間の蒸気加熱を行うことで切り身を熱水中で加熱処理した。なお、コンベクションが100℃に達する時間は約8分間であった。これを所望の風味となるように味付けを行った(実施例5〜7)。
なお、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)3%(w/v)(酵素濃度として0.00375%(w/v))溶液を用いて、上記と同様に調理した場合を比較例5−1〜7−1とした。また、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)8%又は10%(w/v)溶液を用いて酵素処理した後、加熱処理を行わなかった場合を比較例5−2〜7−2とした。さらに、酵素剤の代わりに、酵素を含まない食品用軟化剤である「ヴィネッタ」(商標;株式会社キティー)をメーカーが指定する使用濃度である1.5%(w/v)溶液を用いた場合を比較例5−3〜7−3とした。
サンプルの硬さ、苦み及び外観について、上記1.(1)と同様の方法で評価を行った。
表5に示したように、酵素処理濃度10%(w/v)でコンベクションを用いて銀鮭の切り身を熱水中で加熱処理した場合(実施例5)、酵素処理濃度10%(w/v)でコンベクションを用いて鯖の切り身を熱水中で加熱処理した場合(実施例6)及び酵素処理濃度8%(w/v)でコンベクションを用いて鰆の切り身を熱水中で加熱処理した場合(実施例7)のサンプル全ての場合において、楊枝で簡単に切断できたのに対し、すべての比較例では楊枝が折れてしまい、サンプルを切断することができなかった。また、実施例5のサンプルのやわらか度は4.25であり、比較例5−1〜5−3の場合の1.9〜3.4と比べて高い値を示した。一方、実施例6のサンプルのやわらか度は4.05であり、比較例6−1〜6−3の場合の1.68〜2.4と比べて高い値を示した。他方、実施例7のサンプルのやわらか度は4.15であり、比較例7−1〜7−3の場合の2.09〜3.05と比べて高い値を示した。このように、実施例5〜7は咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできるやわらかさとなっていた。
また、実施例5〜7のそれぞれのサンプルの外観について、各サンプルは咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできる程のやわらかさであるにもかかわらず、これら食品の形状がしっかりと維持されており、食品の型崩れや食品表面の溶解による滑りは認められなかった。
さらに、酵素剤由来の苦みについて、実施例5〜7のサンプルは苦み度がすべての場合において1.00であり、比較例5−2の場合の2.9、比較例6−2の場合の2.65、比較例7−2の場合の3.05と比べて低い値を示し、酵素処理後に加熱処理することによってサンプルの苦みが除去された。一方、実施例5〜7のサンプルはやわらか度が4.05〜4.25であり、比較例5−2の場合の3.4、比較例6−2の場合の2.6、比較例7−2の場合の3.05と比べて高い値を示した。このように、高濃度酵素剤添加による酵素処理後に加熱処理することによって酵素剤特有の苦みを除去するとともに、酵素剤単独の場合と比べて食品素材をより軟らかくすることができた。
(2)冷凍イカ
冷凍イカ100gを室温で解凍した後、長さ4cmで厚さ5mmにカットした。これを下茹でした後、あらかじめ用意したパパイヤ由来の酵素を含有するスベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)8%(w/v)(酵素濃度として0.01%(w/v))溶液100mLに浸漬させ、冷蔵庫内で15時間保持した後、酵素剤溶液から取り出して液切りをした。
次いで、この酵素処理した冷凍イカを、水270mLが入ったバット中に完全に浸漬させた。これをコンベクション(SSC−10SC、株式会社マルゼン社製)に入れてコンベクションの設定を100℃で20〜40分間の蒸気加熱を行うことでイカを熱水中で加熱処理した。なお、コンベクションが100℃に達する時間は約8分間であった。これを所望の風味となるように味付けを行った(実施例8)。
なお、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)3%(w/v)(酵素濃度として0.00375%(w/v))溶液を用いて、上記と同様に調理した場合を比較例8−1とした。また、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)8%(w/v)溶液を用いて酵素処理した後、加熱処理を行わなかった場合を比較例8−2とした。さらに、酵素剤の代わりに、酵素を含まない食品用軟化剤である「ヴィネッタ」(商標;株式会社キティー)をメーカーが指定する使用濃度である1.5%(w/v)溶液を用いた場合を比較例8−3とした。
サンプルの硬さ、苦み及び外観について、上記1.(1)と同様の方法で評価を行った。
表6に示したように、酵素処理濃度8%(w/v)でコンベクションを用いてイカを熱水中で加熱処理した場合(実施例8)のサンプルは楊枝で簡単に切断できたのに対し、すべての比較例では楊枝が折れてしまい、サンプルを切断することができなかった。また、実施例8のサンプルのやわらか度は3.4であり、比較例8−1〜8−3の場合の1.35〜2.9と比べて高い値を示し、咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできるやわらかさとなっていた。
また、実施例8のサンプルの外観について、該サンプルは咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできる程のやわらかさであるにもかかわらず、食品の形状がしっかりと維持されており、食品の型崩れや食品表面の溶解による滑りは認められなかった。
さらに、酵素剤由来の苦みについて、実施例8のサンプルは苦み度が1.0であり、比較例8−2の場合の1.45と比べて低い値を示し、酵素処理後に加熱処理することによってサンプルの苦みが除去された。一方、実施例8のサンプルはやわらか度が3.4であり、比較例8−2の場合の2.9と比べて高い値を示した。このように、高濃度酵素剤添加による酵素処理後に加熱処理することによって酵素剤特有の苦みを除去するとともに、酵素剤単独の場合と比べて食品素材をより軟らかくすることができた。
(3)冷凍むき海老
冷凍むき海老100gを室温で解凍後、下茹でを行い、あらかじめ用意したパパイヤ由来の酵素を含有するスベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)6%(w/v)(酵素濃度として0.0075%(w/v))溶液100mLに浸漬させ、冷蔵庫内で15時間保持した後、酵素剤溶液から取り出して液切りをした。
次いで、この酵素処理した冷凍むき海老を、水200mLが入ったバット中に完全に浸漬させた。これをコンベクション(SSC−10SC、株式会社マルゼン社製)に入れてコンベクションの設定を100℃で20〜40分間の蒸気加熱を行うことでむき海老を熱水中で加熱処理した。なお、コンベクションが100℃に達する時間は約8分間であった。これを所望の風味となるように味付けを行った(実施例9)。
なお、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)3%(w/v)(酵素濃度として0.00375%(w/v))溶液を用いて、上記と同様に調理した場合を比較例9−1とした。また、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)6%(w/v)溶液を用いて酵素処理した後、加熱処理を行わなかった場合を比較例9−2とした。さらに、酵素剤の代わりに、酵素を含まない食品用軟化剤である「ヴィネッタ」(商標;株式会社キティー)をメーカーが指定する使用濃度である1.5%(w/v)溶液を用いた場合を比較例9−3とした。
サンプルの硬さ、苦み及び外観について、上記1.(1)と同様の方法で評価を行った。
表7に示したように、酵素処理濃度8%(w/v)でコンベクションを用いてむき海老を熱水中で加熱処理した場合(実施例9)のサンプルは楊枝で簡単に切断できたのに対し、すべての比較例では楊枝が折れてしまい、サンプルを切断することはできなかった。また、実施例9のサンプルのやわらか度は3.35であり、比較例9−1〜9−3の場合の1.15〜2.35と比べて高い値を示し、咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできるやわらかさとなっていた。
また、実施例9のサンプルの外観について、該サンプルは咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできる程のやわらかさであるにもかかわらず、食品の形状がしっかりと維持されており、食品の型崩れや食品表面の溶解による滑りは認められなかった。
さらに、酵素剤由来の苦みについて、実施例9のサンプルは苦み度が1.1であり、比較例9−2の場合の1.35と比べて低い値を示し、酵素処理後に加熱処理することによってサンプルの苦みが除去された。一方、実施例9のサンプルはやわらか度が3.35であり、比較例9−2の場合の2.35と比べて高い値を示した。このように、高濃度酵素剤添加による酵素処理後に加熱処理することによって酵素剤特有の苦みを除去するとともに、酵素剤単独の場合と比べて食品素材をより軟らかくすることができた。
3.肉
表8に示した生肉(豚小間肉(肩ロース)又は鶏モモ肉)100gをあらかじめ用意したパパイヤ由来の酵素を含有するスベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)7%(w/v)(酵素濃度として0.00875%(w/v))又は10%(w/v)(酵素濃度として0.0125%(w/v))溶液100mLに浸漬させ、冷蔵庫内で15時間保持した後、酵素剤溶液から取り出して液切りをした。
次いで、この酵素処理した肉を、豚小間肉の場合は水240mL、鶏モモ肉の場合は水340mLが入ったバット中に完全に浸漬させた。これをコンベクション(SSC−10SC、株式会社マルゼン社製)に入れてコンベクションの設定を100℃で20〜45分間の蒸気加熱を行うことで肉を熱水中で加熱処理した。なお、コンベクションが100℃に達する時間は約8分間であった。これを所望の風味となるように味付けを行った(実施例10及び11)。
なお、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)3%(w/v)(酵素濃度として0.00375%(w/v))溶液を用いて、上記と同様に調製した場合を比較例10−1及び11−1とした。また、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)7又は10%(w/v)溶液を用いて酵素処理した後、加熱処理を行わなかった場合を比較例10−2又は11−2とした。さらに、酵素剤の代わりに、酵素を含まない食品用軟化剤である「ヴィネッタ」(商標;株式会社キティー)をメーカーが指定する使用濃度である1.5%(w/v)溶液を用いた場合を比較例10−3(豚小間肉)及び比較例11−3(鶏モモ肉)とした。
サンプルの硬さ、苦み及び外観について、上記1.(1)と同様の方法で評価を行った。
表9に示したように、酵素処理濃度7%(w/v)でコンベクションを用いて豚小間肉を熱水中で加熱処理した場合(実施例10)及び酵素処理濃度10%(w/v)でコンベクションを用いて鶏モモ肉を熱水中で加熱処理した場合(実施例11)のサンプルともに楊枝で簡単に切断できたのに対し、すべての比較例では楊枝が折れてしまい、サンプルを切断することができなかった。また、実施例10のサンプルのやわらか度は4.0であり、比較例10−1〜10−3の場合の1.55〜2.65と比べて高い値を示した。一方、実施例11のサンプルのやわらか度は3.95であり、比較例11−1〜11−3の場合の1.35〜2.25と比べて高い値を示した。このように、実施例10及び11ともに咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできるやわらかさとなっていた。
また、実施例10及び11のサンプルの外観について、各サンプルは咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできる程のやわらかさであるにもかかわらず、これら食品の形状がしっかりと維持されており、食品の型崩れや食品表面の溶解による滑りは認められなかった。
さらに、酵素剤由来の苦みについて、実施例10及び11のサンプルは苦み度がともに1.0であり、比較例10−2の場合の2.8、比較例11−2の場合の2.85と比べて低い値を示し、酵素処理後に加熱処理することによってサンプルの苦みが除去された。一方、実施例10及び11のサンプルはやわらか度がそれぞれ4.0及び3.95であり、比較例10−2の場合の2.65及び比較例11−2の場合の2.25と比べて高い値を示した。このように、高濃度酵素剤添加による酵素処理後に加熱処理することによって酵素剤特有の苦みを除去するとともに、酵素剤単独の場合と比べて食品素材をより軟らかくすることができた。
4.加工食品
合挽肉に玉ねぎ及び旨味調味料を添加してよく練り、ハンバーグの場合では60g又は80gの小判型、ミートボールの場合では20gの球形に成型し、コンベクションで蒸し焼きすることで加熱処理した後、冷凍庫内で2日間以上保持することで冷凍した。この冷凍した成型肉を室温で解凍した後、これに切り込みを入れ、あらかじめ用意したパパイヤ由来の酵素を含有するスベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)8%(w/v)(酵素濃度として0.01%(w/v))又は5%(w/v)(酵素濃度として0.00625%(w/v))溶液に浸漬させた。なお、この時のスベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)溶液の液量は、浸漬するハンバーグ又はミートボールの重量と同量とした。また、これを冷蔵庫内で15時間保持した後、酵素剤溶液から取り出して液切りをした。なお、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)溶液の濃度について、ハンバーグの場合は8%(w/v)、ミートボールの場合は5%(w/v)とした。
次いで、この酵素処理した成型肉を、ハンバーグ60gの場合は水160mL、ハンバーグ80gの場合及び220mL、ミートボール20g×4個の場合は140mLが入ったバット中に完全に浸漬させた。これをコンベクション(SSC−10SC、株式会社マルゼン社製)に入れてコンベクションの設定を100℃で15分間の蒸気加熱を行うことでハンバーグ又はミートボールを熱水中で加熱処理した。なお、コンベクションが100℃に達する時間は約8分間であった。これを所望の風味となるように味付けを行い、ハンバーグ(実施例12)及びミートボール(実施例13)を調理した。
なお、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)3%(w/v)(酵素濃度として0.00375%(w/v))溶液を用いて、上記と同様にハンバーグ及びミートボールを調理した場合を比較例12−1及び比較例13−1とした。また、スベラカーゼ(商標)・ミート(株式会社フードケア製)8%(w/v)溶液を用いてハンバーグを酵素処理した後、加熱処理を行わなかった場合を比較例12−2、5%(w/v)溶液を用いてをミートボールを酵素処理した後、加熱処理を行わなかった場合を比較例13−2とした。さらに、酵素剤の代わりに、酵素を含まない食品用軟化剤である「ヴィネッタ」(商標;株式会社キティー)をメーカーが指定する使用濃度である1.5%(w/v)溶液を用いた場合を比較例12−3(ハンバーグ)及び比較例13−3(ミートボール)とした。
サンプルの硬さ、苦み及び外観について、上記1.(1)と同様の方法で評価を行った。
表10に示したように、酵素処理濃度8%(w/v)でコンベクションを用いてハンバーグを熱水中で加熱処理した場合(実施例12)及び酵素処理濃度5%(w/v)でコンベクションを用いてミートボールを熱水中で加熱処理した場合(実施例12)のサンプルともに楊枝で簡単に切断できたのに対し、すべての比較例では楊枝が折れてしまい、サンプルを切断することができなかった。また、実施例12のサンプルのやわらか度は4.1であり、比較例12−1〜12−3の場合の2.15〜3.2と比べて高い値を示した。一方、実施例13のサンプルについてもやわらか度は4.42であり、比較例13−1〜13−3の場合の2.55〜3.55と比べて高い値を示した。このように、実施例12及び13のサンプルともに咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできるやわらかさとなっていた。
また、実施例12及び13のサンプルの外観について、これらサンプルは咀嚼が困難な高齢者などでも容易に食べることのできる程のやわらかさであるにもかかわらず、これら食品の形状がしっかりと維持されており、食品の型崩れや食品表面の溶解による滑りは認められなかった。
さらに、酵素剤由来の苦みについて、実施例12及び13のサンプルは苦み度がともに1.15であり、比較例12−2の場合の1.6、比較例13−2の場合の1.75と比べて低い値を示し、酵素処理後に加熱処理することによってサンプルの苦みが除去された。一方、実施例12及び13のサンプルはやわらか度がそれぞれ4.1及び4.42であり、比較例12−2の場合の3.2及び比較例13−2の場合の3.55と比べて高い値を示した。このように、高濃度酵素剤添加による酵素処理後に加熱処理することによって酵素剤特有の苦みを除去するとともに、酵素剤単独の場合と比べて食品素材をより軟らかくすることができた。

Claims (5)

  1. 食品素材型崩れ防止しつつ、舌や歯茎で食品を容易につぶすことができ、歯でかまなくても食べることができるほどの柔らかさを有し、かつ、酵素剤特有の苦みを除去した軟化食品の製造方法であって、
    食品素材が野菜類であり、
    酵素剤に含まれる酵素がパパインであり、
    前記野菜類をパパイン濃度0.005%(w/v)〜0.0125%(w/v)を含む酵素剤溶液に浸漬する酵素処理工程と、
    前記酵素処理した野菜類に対し熱水加熱を行うことにより酵素剤の苦みを前記野菜類から除去する加熱処理工程と、
    を有することを特徴とする、
    軟化食品の製造方法。
  2. 前記酵素処理工程の前に前記野菜類を凍結後の解凍処理及び/又は茹で、焼き又は蒸しによる加熱処理を行う、
    請求項1に記載の軟化食品の製造方法。
  3. 前記酵素処理工程における前記野菜類の浸漬時間が1〜15時間である、
    請求項1又は2のいずれか1項に記載の軟化食品の製造方法。
  4. 前記加熱処理工程における熱水量が、前記酵素処理した野菜類の重量に対して1.33倍以上である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の軟化食品の製造方法。
  5. 前記加熱処理工程の処理時間が、2〜45分間である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の軟化食品の製造方法。
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