JP6709336B2 - 食感改良組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、食感改良組成物に関する。
高齢者・幼児・病弱者などのように硬い食物を咀嚼・嚥下できない者が存在する。これらの者に対し、硬い肉を軟化することにより、容易に食物として提供できるようにする研究開発が行われている(特許文献1,2)。
このうち、特許文献1には、食肉または魚介類からなる動物性素材を所定の酵素処理液で処理することにより軟質化する方法が開示されている。また、特許文献2には、卵白、乳清または脱脂乳の還元糖量を蛋白質量の1/200以下まで低減した後、至適pHが5以下である酸性プロテアーゼにてアミノ基量が分解前の10倍以上40倍以下になるまで分解した蛋白加水分解物を添加することを特徴とする畜肉または魚肉含有食品の製造方法が開示されている。しかしながら、従来の技術を実施するためには、適当な設備が必要であり、相当の時間が必要であった。
特開2014−30410号公報 特開平9−141814号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、処理時間が短くて済み、通常の設備のみで行える食感改良組成物を提供することである。
上記課題を達成するための本発明に係る食感改良組成物は、ポリフェノール酸化物重合体を含有することを特長とする。このとき、前記ポリフェノールが、さとうきび、りんご、茶、ぶどう、コーヒー、チョコレート及びイチゴからなる群から選択される少なくとも一つのものに由来のポリフェノールであることが好ましい。
また、別の発明に係る上記食感改良組成物の製造方法は、純品として0.001%〜5%または糖、アミノ酸若しくは油脂との混合として0.001%〜10%のポリフェノールを含む溶液をpH3〜10に調整し、0.01%〜1%のポリフェノールオキシダーゼ活性を持つ酵素を加えた後、0〜65℃で空気を抱き込ませながら1〜24時間以上加熱することを特長とする。
ポリフェノール濃度に関しては、高すぎるとポリフェノール重合体が過度に凝集して完全に不溶化してしまい、食感改良効果がなくなってしまう。一方、ポリフェノール濃度が低すぎると、食感改良効果が十分に発揮できない。但し、ポリフェノール濃度が高い場合に、(1)糖・アミノ酸などのポリフェノール酸化物と反応する水溶性物質を混合したり(後述の実施形態では、黒蜜・りんご・ぶどう・イチゴが、そのような水溶性物質に相当する)、(2)油脂を混合して疎水性物質を溶けやすくする(後述の実施形態では、チョコレートが、そのような油脂に相当する)ことによって、回避することができる。
また、ポリフェノールオキシダーゼ活性を持つ酵素としては、例えば、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、チロシナーゼ、フェノールオキシダーゼなどが含まれる。
また、別の発明に係る上記食感改良組成物の製造方法は、純品として0.001%〜5%または糖、アミノ酸若しくは油脂との混合として0.001%〜10%のポリフェノールを含む溶液を空気を抱き込ませながら積算温度60℃時以上加熱することを特長とする。加熱反応条件は、温度及び時間で規定できる。このため、温度と時間の積算で、反応条件を規定できる。本発明者の検討によれば、バブリングしながら(空気を抱き込ませながら)、60℃で6時間加熱することで得られた物質には、明らかな食感改良効果が確認できた。
また、別の発明に係る上記食感改良組成物の製造方法は、純品として0.001%〜5%または糖、アミノ酸若しくは油脂との混合品として0.001%〜10%のポリフェノールを含む溶液に1時間以上紫外線を照射することを特長とする。
本発明者の検討によれば、被験物を薄く広げ、ここに紫外線(殺菌線(254 nm)出力4.9Wのランプ×2本)を1時間以上照射することで食感改良効果が認められた。
また、別の発明に係る上記食感改良組成物の製造方法は、純品として0.001%〜5%または糖、アミノ酸若しくは油脂との混合品として0.001%〜10%のポリフェノールを含む溶液に過酸化水素をポリフェノールに対し1/20量〜20倍量加え、20〜65℃で1〜24時間以上加熱することを特長とする。本発明者の検討によれば、植物由来ポリフェノールを上記条件で処理することにより、食感改良効果を確認できた。
他の発明に係る食感改良組成物は、糖及びアミノ酸の混合物を加熱することで生成したメラノイジンを含有することを特長とする。
また、別の発明に係る食肉調味料は、上記食感改良組成物を0.01%〜10%含有することを特長とする。
本発明によれば、処理時間が短くて済み、通常の設備のみで行える食感改良組成物を提供できる。
各種の肉を用いた効果確認試験(官能評価)の結果をまとめた棒グラフである。 各種の肉を用いた効果確認試験(クリープメーター評価)の結果をまとめた棒グラフである。 加熱済の肉の軟化効果確認試験の結果をまとめた棒グラフである。 バブリング処理後のリンゴ果汁を用いた肉軟化試験の結果を示す写真図である。図中の符号は、(a)陰性対照、(b)試験、(c)陽性対照1及び(d)陽性対照2を示す。 EGCgモノマー(未処理)、EGCgモノマーの13時間バブリング処理物(13hr)及び24時間バブリング処理物(24hr)をHPLCで測定した結果を示すHPLCチャートの拡大図である。
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施できる。
<食感改良組成物の製造>
1.さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)
甘蔗黒蜜(三井製糖(株)、pH4.0)1000 gにラッカーゼM120(天野エンザイム(株))を5 g加え、空気を抱き込むよう撹拌しながら60℃で17時間反応させた。2N塩酸にてpH2.7に調整した後Bx 65弱になるよう希釈し、90℃で30分加熱処理を行って酵素を失活させることで、本実施形態の食感改良組成物を得た。
2.さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(粉末)
上記「1.さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」と同様に酵素失活まで行った後、賦形剤としてサンデック#100(三和澱粉工業(株))を加えスプレードライヤーにて粉末化することで、本実施形態の食感改良組成物を得た。
なお、本発明によれば、賦形剤は上記実施例には限定されず、さらさらの粉末であれば何でも良い。また、賦形剤を用いなくても本発明に係る食感改良組成物を得ることができるが、収率が下がる。このため、好ましくは、ポリフェノールを含有する固形分5に対し賦形剤5、更に好ましくは固形分3に対し賦形剤7程度を加える。
3.リンゴ・ポリフェノール由来の食感改良組成物
アップル7倍濃縮透明果汁((株)果香、pH3.8)400 gを2N水酸化ナトリウム溶液にてpH 4.0に調整した後、ラッカーゼM120(天野エンザイム(株))を2 g加え、空気を抱き込むよう撹拌しながら60℃で16時間反応させた。2N塩酸にてpH2.7に調整した後Bx 65弱になるよう希釈し、90℃で30分加熱処理を行って酵素を失活させることで、本実施形態の食感改良組成物を得た。
4.茶カテキン・ポリフェノール由来の食感改良組成物
0.56%サンフェノンBG-3(太陽化学(株))溶液100 gを1N水酸化ナトリウム溶液にてpH 4.0に調整した後、ラッカーゼM120(天野エンザイム(株))を0.5 g加え、空気を抱き込むよう撹拌しながら60℃で6時間反応させた。沸騰水で30分加熱処理を行って酵素を失活させることで、本実施形態の食感改良組成物を得た。
5.ブドウ・ポリフェノール由来の食感改良組成物
6倍濃縮ブドウ果汁((株)果香)50 gを1N水酸化ナトリウム溶液にてpH 4.2に調整した後、ラッカーゼM120(天野エンザイム(株))を0.25 g加え、空気を抱き込むよう撹拌しながら60℃で6時間反応させた。沸騰水で30分加熱処理を行って酵素を失活させることで、本実施形態の食感改良組成物を得た。
6.コーヒー・ポリフェノール由来の食感改良組成物
ヘルシアCOFFEE無糖BLACK(花王(株))300 gを5N クエン酸溶液にてpH 4.2に調整した後、ラッカーゼM120(天野エンザイム(株))を1.5 g加え、空気を抱き込むよう撹拌しながら60℃で6時間反応させた。沸騰水で30分加熱処理を行って酵素を失活させることで、本実施形態の食感改良組成物を得た。
7.カカオ・ポリフェノール由来の食感改良組成物
チョコレート効果カカオ95%((株)明治)20 gをイオン交換水80 gに溶解させ、5N クエン酸溶液にてpH 4.4に調整した後、ラッカーゼM120(天野エンザイム(株))を0.5 g加え、空気を抱き込むよう撹拌しながら60℃で7時間反応させた。沸騰水で30分加熱処理を行って酵素を失活させることで、本実施形態の食感改良組成物を得た。
8.イチゴ・ポリフェノール由来の食感改良組成物
愛知のゆめのか(JAあいち)より葉・ヘタを除去し、フードプロセッサーにてペースト状にしたもの150 gを1N水酸化ナトリウム溶液にてpH 4.1に調整した後、ラッカーゼM120(天野エンザイム(株))を0.75 g加え、空気を抱き込むよう撹拌しながら60℃で6時間反応させた。沸騰水で30分加熱処理を行って酵素を失活させることで、本実施形態の食感改良組成物を得た。
<各種の肉を用いた効果確認試験(官能評価)>
次に、各種の肉を用いて、本実施形態の食感改良組成物の効果を官能評価によって調べた。
1.試験方法
下記に示す各種の肉について、効果確認試験を行った。
(1)オージービーフすきやき
上記<食感改良組成物の製造>にて製造した「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」を2 g、すき焼きのたれマイルド(エバラ食品工業(株))126 g、水100 gの混合物に、オージービーフモモ薄切り肉100 gを加え、真空パックした後、沸騰浴中で5分間加熱することですき焼きを調製した。このとき、牛肉は厚さ1.5mm前後とし、肉質が均一となるようにトリミングし、1枚あたり5g程度にカットしたものを用いた。加熱後に、パックを氷水浴にて急冷し、一晩冷蔵した。これを沸騰浴で5分間再加熱したものを官能評価した。なお、比較のため食感改良組成物を加えないものも調製し、両者の肉のやわらかさについて比較検証を行った。
9名のパネラーに対し、60℃で保温したサンプルを提供し、官能評価を行った。官能評価として、ロースハムスライス(丸大食品(株))のかたさを1、トップバリュ ビーフジャーキー(イオン(株))のかたさを10とした際の各サンプルのかたさを10段階で評価した。
(2)国産牛すきやき
上記「1.試験方法、(1)オージービーフすきやき」において、オージービーフに代えて、国産牛(厚さ2mm前後とし、肉質が均一となるようにトリミングし、1枚あたり7g程度にカットしたもの)を用いる以外は、同一の条件として、官能評価を行った。
(3)豚ロースすきやき
上記「(1)オージービーフすきやき」において、オージービーフに代えて、豚ロース(厚さ2mm前後とし、肉質が均一となるようにトリミングし、1枚あたり5g程度にカットしたもの)を用いる以外は、同一の条件として、官能評価を行った。
(4)鶏胸肉すきやき
上記「1.試験方法、(1)オージービーフすきやき」において、オージービーフに代えて、鶏胸肉(肉質が均一となるようにトリミングし、幅1cmのそぎ切りにした後、1.5cm幅にカットしたもの)を用い、沸騰浴中での加熱時間を7分間に代える以外は、同一の条件として、官能評価を行った。
(5)鶏モモ肉スキヤキ
上記「1.試験方法、(1)オージービーフすきやき」において、オージービーフに代えて、鶏モモ肉(肉質が均一となるようにトリミングし、1個あたり15g程度にカットしたもの)を用い、沸騰浴中での加熱時間を10分間に代える以外は、同一の条件として、官能評価を行った。
(6)白身魚(赤魚、煮魚)
「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」1.3 g、千切りしょうが4.5 g、しょうゆ34.8 g、みりん34.5 g、上白糖3.1 g、日本酒60 g、水60 gを混合し、煮立たせた後赤魚130 gを加え、5分間加熱処理を行った。これを真空パックした後、沸騰浴で5分加熱した。加熱後氷水浴で急冷し、一晩冷蔵保存したものを沸騰浴で5分再加熱することで、煮魚を調製した。比較のため食感改良組成物を加えないものも調製し、両者の肉のやわらかさについて比較検証を行った。
(7)赤身魚(サバ、サバの味噌煮)
「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」0.9 g、あわせみそ16.6 g、千切りしょうが4.5 g、ザラメ8.6 g、日本酒21 g、水45gを混合し、煮立たせた後サバ90 gを加え、2.5分間加熱処理を行った。これを真空パックした後、沸騰浴で5分加熱した。加熱後氷水浴で急冷し、一晩冷蔵保存したものを沸騰浴で5分再加熱することで、サバの味噌煮を調製した。比較のため食感改良組成物を加えないものも調製し、両者の肉のやわらかさについて比較検証を行った。
2.試験結果
表1及び図1には、試験結果を示した。
もともと柔らかい国産牛を除いた肉、すなわちオージービーフ・豚ロース・鶏胸肉・鶏モモ肉・赤魚・サバにおいて、食感改良組成物を添加することにより、無添加品に比べ、かたさの低下が確認できた。
また、もともと柔らかい国産牛においては、食感改良組成物の添加による軟化が確認できなかった。このため、食感改良組成物は、肉を過度に軟化させることがなく、肉本来の食感を損なうことがないことが確認できた。
<各種の肉を用いた効果確認試験(クリープメーター評価)>
次に、各種の肉を用いて、本実施形態の食感改良組成物の効果をクリープメーターによって調べた。
1.試験方法
下記2種類の肉について、クリープメーター((株)山電:RE2- 33005B)を用いた効果確認試験を行った。
(1)オージービーフ
上記<食感改良組成物の製造>にて製造した「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」を2.5 g、すき焼きのたれマイルド(エバラ食品工業(株))126 g、水100 gの混合物を500mlステンレスビーカーに注ぎ、95℃の湯浴に入れた。たれ混合物が90℃以上に達した後に、オージービーフモモ肉125 gを投入し、かき混ぜながら10分間湯浴した。このとき、牛肉は、冷凍した塊肉を約2時間低温室(約4℃)に放置して半解凍した後、ミートスライサーで2cm幅にスライスし、ダイサーで2cm×1cmのダイスカットしたもの(2cm×2cm×1cm)を低温室で完全解凍したものを用いた。
10分間の湯浴後に、速やかに氷水浴で急冷し、一晩冷蔵保存した。これを95℃の温浴で7分間再加熱し、60℃で保温したサンプルを測定に用いた。
クリープメーターの応力測定条件は、アンプ倍率1倍、格納ピッチ0.02sec、測定歪率90%、測定速度10mm/sec、プランジャー3mm円柱とした。サンプル厚さは、サンプル厚さの90%まで押し込んだときの最大応力を2回測定した。1枚のサンプルについて、3ヶ所の最大応力を測定した(7枚のサンプルについて測定した。N=21)。比較のため食感改良組成物を加えないものも調製し、両者の肉のやわらかさについて比較検証を行った。
(2)国産牛
上記「1.試験方法、(1)オージービーフ」において、オージービーフに代えて、国産牛を用いる以外は、同一の条件として、クリープメーターによる測定を行った。但し、10枚のサンプルについて、3ヶ所の最大応力を測定した(N=30)。
2.試験結果
表2及び図2には、試験結果を示した。
オージービーフでは、食感改良組成物添加群は、無添加群に比べると、最大応力が低下しており、国産牛に近づいていることが確認できた(有意差あり; p<0.01)。しかし、国産牛では、食感改良組成物添加群と無添加群との間で、応力にほぼ差違は認められなかった。その結果、食感改良組成物には、肉軟化効果があること及び肉本来の食感を損うことはないことが、客観的に評価できた。
<加熱済の肉の軟化効果確認試験>
下記の方法にて、加熱済の肉に対する効果確認試験を行った。
1.試験方法
(1)厚さ2 mm前後の豚ロース肉85gを、すき焼きのたれマイルド(エバラ食品工業(株))126 g、水100 gとともに真空パックし沸騰浴で8分加熱することで、肉に完全に火を通した。これに「茶カテキン・ポリフェノール由来の食感改良組成物」14 gを加え、再びパックした後沸騰浴で5分加熱した。加熱後氷水浴で急冷し、一晩冷蔵保存したものを沸騰浴で5分再加熱することで、すき焼きを調製した。比較のため食感改良組成物の代わりに水を添加したものも調製し、両者の肉のやわらかさについて比較検証を行った。
その結果、食感改良組成物添加品は無添加品に比べ、肉の軟化が確認できた。
(2)2 × 2 × 3 cmの角切り肉(オージービーフ、モモ肉)150 gをフライパンで3分焼成し表面に焼き色をつけた後、水380 gで20分煮込むことで、肉に完全に火を通した。これに「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」2 g、横濱舶来亭カレーフレーク中辛(エバラ食品工業(株))90 gを加え、10分煮込むことで、カレーを調製した。比較のため食感改良組成物を加えていないものも調製し、両者の肉のやわらかさについて比較検証を行った。
9名のパネラーに対し、60℃で保温したサンプルを提供し、官能評価を行った。官能評価として、ロースハムスライス(丸大食品(株))のかたさを1、トップバリュ ビーフジャーキー(イオン(株))のかたさを10とした際の各サンプルのかたさを10段階で評価した。
2.試験結果
表3及び図3には、試験結果を示した。
食感改良組成物を添加することにより、無添加品に比べ、かたさの低下が確認できた。
<その他の効果確認試験>
(1)牛肉(すきやき、焼肉)
(i)上記<食感改良組成物の製造>にて製造した「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」1.5 g、すき焼きのたれマイルド(エバラ食品工業(株))94.5 g、水75 gの混合物を煮立たせた後、牛モモ薄切り肉150 gを加え3.5分加熱することですき焼きを調製した。比較のため食感改良組成物を加えないものも調製し、両者の肉のやわらかさについて、官能試験により比較検証を行った。
また、このとき調理直後だけでなく、常温に冷ました後、電子レンジで再加熱した後の肉のやわらかさについても検証を行った。
その結果、食感改良組成物添加品は無添加品に比べ、調理直後および再加熱後の両方において肉の軟化が確認できた。
(ii)牛モモ薄切り肉150 gに、「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」1.5 g、黄金の味甘口(エバラ食品工業(株))42.5 gの混合品を加え、揉み込んだものをフライパンに並べ、5分焼成することで、焼肉を調製した。比較のため食感改良組成物を加えないものも調製し、両者の肉のやわらかさについて比較検証を行った。また調理直後だけでなく、常温で冷ました後電子レンジで再加熱した後の肉のやわらかさについても検証を行った。
その結果、食感改良組成物添加品は無添加品に比べ、調理直後および再加熱後の両方において肉の軟化が確認できた。
(2)豚肉(すきやき、焼肉)
(i)上記<食感改良組成物の製造>にて製造した「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」2 gを、厚さ2 mm前後の豚ロース肉100 g、すき焼きのたれマイルド(エバラ食品工業(株))126 g、水100 gとともに真空パックし、沸騰浴で5分加熱した。加熱後氷水浴で急冷し、一晩冷蔵保存したものを沸騰浴で5分再加熱することで、すき焼きを調製した。比較のため食感改良組成物を加えないものも調製し、両者の肉のやわらかさについて比較検証を行った。
その結果、食感改良組成物添加品は無添加品に比べ、調理直後および再加熱後の両方において肉の軟化が確認できた。
(ii)厚さ2〜3 mmの豚モモ肉120 gに、「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」1.2 g、黄金の味甘口(エバラ食品工業(株))33.96 gの混合品を加え、揉み込んだものをフライパンに並べ、2分40秒焼成することで、焼肉を調製した。比較のため食感改良組成物を加えないものも調製し、両者の肉のやわらかさについて比較検証を行った。また調理直後だけでなく、常温で冷ました後電子レンジで再加熱した後の肉のやわらかさについても検証を行った。
その結果、食感改良組成物添加品は無添加品に比べ、調理直後および再加熱後の両方において肉の軟化が確認できた。また、モモ肉の他にロース肉・バラ肉等でも同様に肉の軟化が確認できた。
(3)鶏胸肉(すきやき、焼肉、照り焼き)
(i)上記<食感改良組成物の製造>にて製造した「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」2 g、すき焼きのたれマイルド(エバラ食品工業(株))126 g、水100 gとともに鶏胸肉(1 cm幅に削ぎ切りにした後、太さ1.5 cmの細切りにしたもの)150 gを真空パックし、沸騰浴で7分加熱した。加熱後氷水浴で急冷し、一晩冷蔵保存したものを沸騰浴で5分再加熱することで、すき焼きを調製した。比較のため食感改良組成物を加えないものも調製し、両者の肉のやわらかさについて比較検証を行った。
その結果、食感改良組成物添加品は無添加品に比べ、肉の軟化が確認できた。
(ii)鶏胸肉(1 cm幅に削ぎ切りにした後、太さ1.5 cmの細切りにしたもの)200 g に、「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」2 g、黄金の味甘口(エバラ食品工業(株))57 gの混合品を加え、揉み込んだものをフライパンに並べ、3分20秒焼成することで、焼肉を調製した。比較のため食感改良組成物を加えないものも調製し、両者の肉のやわらかさについて比較検証を行った。また調理直後だけでなく、常温で冷ました後電子レンジで再加熱した後の肉のやわらかさについても検証を行った。
その結果、食感改良組成物添加品は無添加品に比べ、調理直後および再加熱後の両方において肉の軟化が確認できた。
(iii)鶏胸肉を肉重量の10%の漬込液(日本酒:しょうゆ:生姜おろし汁=3 : 3.6 : 1の混合品に肉重量の1%の「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」を混合したもの)に2時間前後漬込んだ後、水気をふき取りフライパンで17分焼成した。その後フライパンに肉重量の15%の照り焼きタレ(日本酒:みりん:砂糖:醤油=2.5 : 6 : 1 : 6)を加え、肉にタレをかけながら12分加熱した。フライパンより肉を取り出し、タレを数分煮詰めた後、肉とタレを真空パックした後、沸騰浴で5分加熱した。加熱後氷水浴で急冷し、一晩冷蔵保存したものを沸騰浴で5分再加熱することで、鶏照り焼きを調製した。比較のため食感改良組成物を加えないものも調製し、両者の肉のやわらかさについて比較検証を行った。
その結果、食感改良組成物添加品は無添加品に比べ、肉の軟化が確認できた。また、食感改良組成物を漬込液でなく照り焼きタレに添加したものについても、肉の軟化が確認できた。
(4)鶏モモ肉(すきやき、からあげ)
(i)「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」2.5 g、すき焼きのたれマイルド(エバラ食品工業(株))236 g、水188 gを混合し煮立たせた後、3.5 × 4 × 1.5 cmに切り分けた鶏モモ肉250 gを加え、3.5分間加熱処理を行った。これをそのまま常温で冷ました後、7分間再加熱処理を行うことで、すき焼きを調製した。比較のため食感改良組成物を加えないものも調製し、両者の肉のやわらかさについて比較検証を行った。
その結果、食感改良組成物添加品は無添加品に比べ、肉の軟化が確認できた。
(ii)25 g前後に切り分けた鶏モモ肉1000 g に対し、「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」の2%溶液を500 g加え、真空タンブリング処理を行い、加水率116%となるよう漬込み液の浸透処理を行った。肉の水気をよく切り、日清から揚げ粉(日清フーズ(株))をまぶした後、180℃の油で3分揚げることで、からあげを調製した。比較のため食感改良組成物を加えないものも調製し、両者の肉のやわらかさについて比較検証を行った。また調理直後だけでなく、一晩冷蔵保存した後電子レンジで再加熱した後の肉のやわらかさについても検証を行った。
その結果、食感改良組成物添加品は無添加品に比べ、調理直後および再加熱後の両方において肉の軟化が確認できた。
(5)ひき肉(ハンバーグ)
「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」2 g、ひき肉(オージービーフ)200 g、炒めたまねぎ50 g、食塩1.6 g、こしょう0.2 gよりなるハンバーグ種をこね、種120 gを空気を抜き成型し、フライパンで10分焼成した。これを真空パックし、沸騰浴で5分加熱後氷水浴で急冷し、一晩冷蔵保存したものを沸騰浴で5分再加熱することで、ハンバーグを調製した。比較のため食感改良組成物を加えないものも調製し、両者について、木屋式硬度計にてハンバーグ(上記品を8等分したもの)に1kgの荷重をかけた際の遊離水分の測定、及び肉質の柔らかさの官能評価を行った。
その結果、食感改良組成物添加品では、切り口から肉汁が溢れ、口の中でシットリとジューシーな感じが認められ、肉には弾力感があった。また、無添加品に比べると、肉質が柔らかかった。遊離水分については、無添加品では9.5%、食感改良組成物添加品では11.1%であり、食感改良組成物の水分保持効果が認められた。
(6)ロースハム
熱したフライパンに油小さじ1を添加し、厚切りロースハムステーキ(伊藤ハム(株))155gを片面30秒ずつ焼き、下記タレを片面30秒ずつからめた。タレとして、焼き肉用タレ(エバラ食品工業(株):黄金の味甘口)100gに対し、「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」2 gを添加したものを用いた。ハムを十分に冷ました後に、電子レンジで20秒間、加熱処理した。
比較のため、食感改良組成物を加えないものを上記と同様に調製し、両者のやわらかさについて比較検証を行った。
その結果、無添加品では、全体に肉質が締まっているように感じられた。一方、食感改良組成物を添加した品では、明らかに肉質が柔らかかった。また、肉の外側は締まっていたが、内側は柔らかくジューシーであった。
また、ロースハムに代えて、ボロニアソーセージ(厚切りカット!あらびきステーキ(丸大食品(株)))について、同様の試験を行ったところ、上記と同様の結果を得た。
(7)青椒肉絲
(i)未処理品の調製
脂身を外した豚ロース肉110gを5mmの細切りとし、片栗粉小さじ2をまぶした。所定量の野菜(水煮たけのこ70g、ピーマン60g)を中火で炒めた後、皿に取った。豚ロース肉を炒めた後、市販の青椒肉絲の素(味の素(株):「Cook Do」青椒肉絲用)50gを添加し、絡めた。炒めた野菜を戻し、炒め合わせた。
(ii)漬け込み品の調製
上記(i)未処理品の調製において、片栗粉に代えて、片栗粉に「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(粉末)」1.1g(「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(粉末)」の固形分3に賦形剤7を加えたもの(水分量2.1%))を加えたものを用いた以外は、上記の通りとした。
(iii)タレ処理品の調製
上記(i)未処理品の調製において、青椒肉絲の素に代えて、青椒肉絲の素に「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」2.2gを加えたものを用いた以外は、上記の通りとした。
その結果、(ii)漬け込み品では、(i)未処理品に比べて、豚ロース肉が柔らかく、筋繊維の歯応えは、しっかりと保たれていた。(iii)タレ処理品では、(ii)漬け込み品の豚ロース肉よりも柔らかい食感となり、筋繊維の歯応えは、しっかりと保たれていた。総体的に、豚ロース肉の食感(肉の硬さ)は、(i)<(ii)<(iii)の順に柔らかくなった。
(8)調理済みの焼鳥
密封可能なポリ袋の内側に、調理済みの冷凍タレ付きつくね串(神戸物産:炭火つくね串)2本62.6gに対し、1.2gの「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」を添加し、脱気した後に密封した。これを700Wの電子レンジにて、80秒間加熱処理した(処理品)。食感改良組成物を添加しないもの(未処理品)を電子レンジで処理したものと比較した。
その結果、処理品は、未処理品に比べて、肉質が柔らかく感じられた。このように、本実施形態は、調理済みの焼鳥であっても、肉軟化効果が認められた。
(9)調理済みの焼鳥(2)
市販の焼鳥のタレ(エバラ食品工業(株):厨房応援団 やきとりのたれ)に、本実施形態の食感改良組成物を添加したときの効果を調べた。
(i)対照群
加熱済みの冷凍スチーム鶏もも串(ジャパンフード(株))を焼鳥のタレに漬け込んだ。漬込み時間として、0時間および16時間の2点とした。漬け込み処理後に鶏もも串をスチームグリルで10分間焼いた。
(ii)食感改良組成物群(さとうきび)
上記(i)において、焼鳥のタレに代えて、焼鳥のタレ98gに「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」2gの割合で混合したものを用いた以外は、上記(i)と同様に処理した。
(iii) 食感改良組成物群(リンゴ)
上記(i)において、焼鳥のタレに代えて、焼鳥のタレ98gに「リンゴ・ポリフェノール由来の食感改良組成物」2gの割合で混合したものを用いた以外は、上記(i)と同様に処理した。
各群において、官能評価での肉質の硬さを評価した結果を表4に示した。表中、対照群において、漬け込み0時間での肉質の硬さを普通(±)とし、柔らかさを「+」が増加する方向で、4段階で示した。
このように、本実施形態の食感改良組成物は、浸漬時間が0時間でも、柔らかい食感(++)となることがわかった。また、浸漬時間が長いほど、肉質が柔らかくなることがわかった。
(10)卵白加水分解物との併用
卵白加水分解物と、食感改良組成物とを併用したときの肉軟化効果を調べた。
(i) 無添加群
肉として、鶏ささみを用いた。肉100gに対し水125gの割合で混合し、肉を30分間浸漬した。その後、肉を沸騰水で10分間、加熱処理した。冷蔵保存した肉を50℃にて30分間加温した後に試食し、肉の硬さを評価した。
(ii) 卵白加水分解物添加群
上記(i)において、水に代えて、2gの食塩と5gの卵白加水分解物に対し93gの割合で水を加えて100gとしたものを用いた以外は、上記(i)と同様に処理した。
(iii) 卵白加水分解物+食感改良組成物添加群
上記(i)において、水に代えて、2gの「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体)」と2gの食塩と5gの卵白加水分解物に対し91gの割合で水を加えて100gとしたものを用いた以外は、上記(i)と同様に処理した。
各群において、歩留(加熱後肉の質量/原料肉の質量(%))及び肉質の硬さを評価した結果を表5に示した。表中、無添加群における肉質の硬さを普通(±)とし、柔らかさを「+」が増加する方向で3段階で示した。
卵白加水分解物+食感改良組成物添加群では、卵白加水分解物添加群以上に歩留の上昇と、食感の向上が認められた。
このように、本実施形態の食感改良組成物については、単独でも、他の食品素材と併用しても、良好に使用できることがわかった。
<メラノイジンの肉軟化効果確認試験>
1.メラノイジンの調製
D(+)-グルコース(和光)4.5 g、D(-)-フルクトース(和光)4.5 g、L(+)-グルタミン酸水素ナトリウム一水和物(和光)4.06 g、L-アラニン(和光)1.93 g、L-アスパラギン酸(和光)0.36 gを34.65 gのイオン交換水に溶解させ、1N水酸化ナトリウム溶液にてpH 7.1に調整することで、糖アミノ酸混合物を得た。これを90℃で3時間加熱処理を行うことで、加熱処理後糖アミノ酸混合物であるメラノイジンを得た。
2.肉の柔らかさの比較
メラノイジン5 gを、厚さ2 mm前後の豚ロース肉100 g、すき焼きのたれ(エバラ)126 g、水100 gとともに真空パックし、沸騰浴で5分加熱した。加熱後氷水浴で急冷し、一晩冷蔵保存したものを沸騰浴で5分再加熱することで、すき焼きを調製した。
比較のためメラノイジンに代えて、糖アミノ酸混合物(加熱前)を添加したものを調製し、両者の肉のやわらかさについて比較検証を行った。
その結果、食感改良組成物添加品は加熱前添加品に比べ、肉の軟化が確認できた。
上記各種の実施例において、「さとうきび・ポリフェノール由来の食感改良組成物(液体・粉末)」に代えて、リンゴ・ポリフェノール由来の食感改良組成物、茶カテキン・ポリフェノール由来の食感改良組成物、ブドウ・ポリフェノール由来の食感改良組成物、コーヒー・ポリフェノール由来の食感改良組成物、カカオ・ポリフェノール由来の食感改良組成物、イチゴ・ポリフェノール由来の食感改良組成物を用いたところ、ほぼ同様の食感改良効果を示した。
<バブリング処理後のリンゴ果汁を用いた肉軟化試験>
上記のように、本発明者の検討によれば、黒蜜・茶・ブドウ・コーヒー・カカオ・リンゴ・イチゴ等のポリフェノールを酵素処理にて酸化重合させた組成物は、肉軟化効果を示すことがわかった。これらの中でも、リンゴ果汁を酵素処理したものは肉軟化効果が高く(酵素処理黒蜜と同等)、かつ「色が薄い」「それほど風味が強くない」「価格が安い」等の観点から応用の可能性が高い。そこで、リンゴ果汁をバブリング加熱処理し、その肉軟化効果を確認した。
1.試験方法
(1)対照品
対照品1として、黒蜜ポリフェノールを酸化重合したものを用いた。対照品2として、リンゴ果汁(アップル7倍濃縮透明果汁(果香))に0.5%のラッカーゼM120を加え、60℃で1晩反応させたものを用いた。
(2)試験品
300gのリンゴ果汁(Bx70.5)を1リットルのステンビーカーに入れ、これを61℃の湯浴に浸した。ホモミキサーを操作しながら、リンゴ果汁がなるべく高く吹き上がって空気を抱き込むように回転させながら5000rpmにて16時間撹拌した。この操作により、Bx72.5のリンゴ果汁バブリング品を得た。これを試験品とした。
(3)肉軟化効果の確認
100gの豚ロース肉(厚さ2mm程度にスライスしたもの)、126gのタレ(エバラスキヤキのタレ、マイルド)及び100gの水を基礎含有物とし、これに下記(a)〜(d)の組成物を添加した。
(a)陰性対照:未処理リンゴ果汁(Bx70.4)を1.09g添加した
(b)試験:上記試験品を(Bx72.5)1.06g添加した。
(c)陽性対照1:上記対照品1(Bx76.5)を1.00g添加した。
(d)陽性対照2:上記対照品2(Bx62.4)を1.23g添加した。
(a)〜(d)の各組成物を添加した基礎含有物を真空パックし、沸騰浴中で5分間ボイルした。その後、各真空パックを氷水浴に浸漬して急冷した後、一晩冷蔵した。これを沸騰浴で5分間再加熱したものを官能評価した。
2.試験結果
(1)色の評価
上記(a)〜(d)の各組成物を写真で撮影した結果を図4に示した。色付きの度合いは、色付きが小さい方から大きい方に、(a)陰性対照=(b)試験<(d)陽性対照2<<(c)陽性対照1であった。
(2)肉軟化効果
また、官能評価によって、肉の柔らかさを確かめたところ、(d)陽性対照2(酵素処理品)>(b)試験品(バブリング処理)=(c)陽性対照1>(a)陰性対照(未処理品)の順であった。
このように、リンゴ果汁をバブリングすることにより、色が薄く、かつ肉軟化効果の高い組成物を作製することができた。
<ポリフェノール重合体の定量試験>
ポリフェノール重合体そのものの量を定量することは、混合物の存在態様が複雑であり、かつ夾雑物が多いために非常に困難な状況である。そのため、カテキンモノマー純品だけの単純系において、酸化処理したもののカテキンモノマー量を測定し、その減少量を求めることで、間接的にカテキン重合体の定量を行った。
1.試験方法
(1)試験材料
試験材料として、サンフェノンEGCg-OP(太陽化学株式会社製)を用いた。この物質は、EGCgモノマーを結晶化させ精製して得られたものであり、EGCgモノマーの純度が94%以上である。
(2)EGCg重合体の作製
ポリフェノール重合体をMilliQ水に溶解し、0.2%EGCg溶液を作製した。このEGCg溶液800gをホモミキサーにて撹拌しながら、60℃で加熱しつつバブリングした。バブリング時間として13時間及び24時間の二種類を用いた。バブリング処理後に加水し元の800gとすることで、0.2%EGCg-OPバブリング液を得た。
(3)HPLCによる測定方法
陰性対照(サンフェノンEGCg-OPを水で300ppmに希釈したもの)及び試験品(上記の各EGCg重合体を水で300ppmに希釈したもの)を用い、下表6の条件でHPLC分析を行った。各サンプルのEGCgモノマーのピーク面積を比較した。
(4)肉軟化効果の確認
100gの豚ロース肉(厚さ2mm程度にスライスしたもの)、126gのタレ(エバラスキヤキのタレ、マイルド)及び100gの水を基礎含有物とし、これに下記(a)及び(b)の組成物を添加した。
(a)陰性対照:バブリング未処理品(EGCg-OP 0.2%溶液)を11.15g添加した。
(b)試験:0.2%EGCg溶液の13時間バブリング処理品を11.15g添加した。
(a)及び(b)の各組成物を添加した基礎含有物を真空パックし、沸騰浴中で5分間ボイルした。その後、各真空パックを氷水浴に浸漬して急冷した後、一晩冷蔵した。これを沸騰浴で5分間再加熱したものを官能評価した。
2.試験結果
(1)HPLCの結果
表7及び図5には、陰性対照(未処理)、13時間バブリング処理及び24時間バブリング処理の3種類のサンプルをHPLCで分析した結果を示した。
表7及び図5から分かるように、モノマー量(バブリング処理によって減少したピーク面積)は、未処理>13時間バブリング処理≧24時間バブリング処理となり、バブリング処理時間とモノマー減少量が相関する結果となった。
(2)肉軟化効果の結果
官能評価による肉の柔らかさは、バブリング処理後>未処理となり、EGCgモノマーの減少量に応じて、肉軟化効果が向上することが分かった。
このように本実施形態によれば、処理時間が短くて済み、通常の設備のみで行える食感改良組成物を提供できた。

Claims (2)

  1. ポリフェノール酸化物重合体を含有する肉の食感改良組成物の製造方法であって、純品として0.001%〜5%または糖、アミノ酸若しくは油脂との混合品として0.001%〜10%のポリフェノールを含む溶液をpH3〜10に調整し、0.01%〜1%のポリフェノールオキシダーゼ活性を有する酵素を加えた後、0〜65℃で空気を抱き込ませながら1〜24時間以上加熱することを特長とし、前記肉が畜肉または魚肉であり、前記ポリフェノールが、さとうきび、りんご、ぶどう、コーヒー、チョコレート及びイチゴからなる群から選択される少なくとも一つのものに由来のポリフェノールである肉の食感改良組成物の製造方法。
  2. ポリフェノール酸化物重合体を含有する肉の食感改良組成物の製造方法であって、純品として0.001%〜5%または糖、アミノ酸若しくは油脂との混合品として0.001%〜10%のポリフェノールを含む溶液を肉を含ませることなく、空気を抱き込ませながら、60℃以上の温度で6時間以上加熱することを特徴とし、前記肉が畜肉または魚肉であり、前記ポリフェノールが、さとうきび、りんご、ぶどう、コーヒー、チョコレート及びイチゴからなる群から選択される少なくとも一つのものに由来のポリフェノールである肉の食感改良組成物の製造方法。
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