JP7109900B2 - 植物性タンパク含有組成物用の香味改善剤及び香味改善方法 - Google Patents
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Description
(I)植物性タンパク含有組成物用香味改善剤
(I-1)トマト加工物を含有する、植物性タンパク含有組成物用香味改善剤。
(I-2)前記植物性タンパク含有組成物が加熱処理組成物である、(I-1)記載の香味改善剤。
(I-3)前記植物性タンパク含有組成物がn-ヘキサナール及びリノール酸の少なくとも1種を含有するものである、(I-1)または(I-2)に記載する香味改善剤。
(I-4)前記植物性タンパク含有組成物が大豆タンパク及び小麦タンパクからなる群より選択される少なくとも1つのタンパクを含有する食品組成物である、(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載する香味改善剤。
(I-5)前記食品組成物が食肉含有食品、魚介類含有食品、菓子、パン、麺、及び栄養強化食品からなる群から選択される少なくとも1種である、(I-4)に記載する香味改善剤。
(I-6)前記トマト加工物が、脱パルプ処理濃縮トマトである(I-1)乃至(I-5)のいずれかに記載する香味改善剤。
(I-7)前記脱パルプ処理濃縮トマトが、無塩可溶性固形分が40質量%以上の濃縮トマトである(I-6)に記載する香味改善剤。
(I-8)前記トマト加工物が、品温85℃以上の加熱処理に、少なくとも3回供してなるものである(I-1)乃至(I-7)のいずれかに記載する香味改善剤。
(I-9)植物性タンパク含有組成物を香味改善するための香味改善剤であって、植物性タンパク含有組成物に対して、(1)トマト由来無塩可溶性固形分、及び/又は、(2)クエン酸の量が、下記の割合になるように使用される、(I-1)乃至(I-8)のいずれかに記載する香味改善剤:
(1)トマト由来無塩可溶性固形分:0.05質量%以上、好ましくは0.05~4質量%
(2)クエン酸:0.02質量%以上、好ましくは0.02~2質量%。
(I-10)香味改善が植物性タンパクに起因する不快臭のマスキングである、(I-1)乃至(I-9)のいずれかに記載する香味改善剤。
(I-11)植物性タンパクが大豆タンパク及び小麦タンパクからなる群より選択される少なくとも1つのタンパク、好ましくは大豆タンパクである(I-10)に記載する香味改善剤。
(II-1)(I-1)乃至(I-11)のいずれかに記載する香味改善剤を植物性タンパク含有組成物の原料に配合し、植物性タンパク含有組成物を調製する工程を有する、香味が改善された植物性タンパク含有組成物の製造方法。
(II-2)(I-1)乃至(I-11)のいずれかに記載する香味改善剤を植物性タンパク含有組成物の原料に配合した後、加熱工程を有する(II-1)に記載する製造方法。
(II-3)前記植物性タンパク含有組成物が大豆タンパク及び小麦タンパクからなる群より選択される少なくとも1つのタンパク、好ましくは大豆タンパクを含有する食品組成物である、(II-1)または(II-2)に記載する製造方法。
(II-4)前記食品組成物が食肉含有食品、魚介類含有食品、菓子、パン、麺、栄養強化食品からなる群から選択される少なくとも1種である、(II-3)に記載する製造方法。
(III-1)植物性タンパク含有組成物の香味改善方法であって、
植物性タンパク含有組成物の製造原料の一つとしてトマトまたはトマト加工物を用いることを特徴とする、上記方法。
(III-2)前記植物性タンパク含有組成物が加熱処理組成物である、(III-1)記載の香味改善方法。
(III-3)前記植物性タンパク含有組成物がn-ヘキサナール及びリノール酸の少なくとも1種を含有するものである、(III-1)または(III-2)に記載する香味改善方法。
(III-4)前記植物性タンパク含有組成物が大豆タンパク及び小麦タンパクからなる群より選択される少なくとも1つのタンパク、好ましくは大豆タンパクを含有する食品組成物である、(III-1)乃至(III-3)のいずれかに記載する香味改善方法。
(III-4)前記食品組成物が食肉含有食品、魚介類含有食品、菓子、パン、麺、及び栄養強化食品からなる群から選択される少なくとも1種である、(III-3)に記載する香味改善方法。
(III-5)前記トマト加工物が、脱パルプ処理濃縮トマトである(III-1)乃至(III-4)のいずれかに記載する香味改善方法。
(III-6)前記脱パルプ処理濃縮トマトが、無塩可溶性固形分が40質量%以上の濃縮トマトである(III-5)に記載する香味改善方法。
(III-7)前記トマト加工物が、品温85℃以上の加熱処理に、少なくとも3回供してなるものである(III-1)乃至(III-6)のいずれかに記載する香味改善方法。
(III-8)植物性タンパク含有組成物中の、(1)トマト由来無塩可溶性固形分、及び/又は、(2)クエン酸含量が、下記の割合になるようにトマトまたはトマト加工物を用いる、(III-1)乃至(III-7)のいずれかに記載する香味改善方法:
(1)トマト由来無塩可溶性固形分:0.05質量%以上、好ましくは0.05~4質量%
(2)クエン酸:0.02質量%以上、好ましくは0.02~2質量%。
(III-9)香味改善方法が、植物性タンパク含有組成物について、植物性タンパクに起因する不快臭をマスキングする方法である、(III-1)乃至(III-8)のいずれかに記載する香味改善方法。
(III-10)植物性タンパクが大豆タンパク及び小麦タンパクからなる群より選択される少なくとも1つのタンパク、好ましくは大豆タンパクである(III-9)に記載する香味改善方法。
本発明は、植物性タンパク含有組成物の香味を改善するために好適に使用される香味改善剤(植物性タンパク含有組成物用香味改善剤)である。以下、本明細書において、単に「香味改善剤」と称する。当該香味改善剤は、有効成分としてトマト加工物を含有することを特徴とする。
本発明は、香味が改善された植物性タンパク含有組成物の製造方法を提供する。当該製造方法は、前述する本発明の香味改善剤を所望の植物性タンパク含有組成物の原料に配合し、植物性タンパク含有組成物を調製する工程を経ることで実施することができる。ここで本発明の香味改善剤に代えて、当該香味改善剤の有効成分として使用するトマト加工物を用いることもできる。
本発明は、植物性タンパク含有組成物の香味改善方法を提供する。当該方法は、前述する香味改善剤の有効成分であるトマト加工物を、所望の植物性タンパク含有組成物の製造原料の一つとして使用することで実施することができる。
生鮮トマトを圧搾することでトマト搾汁液を得た。このトマト搾汁液を遠心分離にて沈殿物(不溶性固形物)を除去することによりBrix約5°(無塩可溶性固形分5%)のトマトジュースを得た。このトマトジュースを加熱殺菌(液温98℃、50秒)した後、減圧濃縮機にて濃縮することで、Brix60°(無塩可溶性固形分60%)の濃縮トマトを得た。この濃縮トマトをプレート式殺菌機にて加熱殺菌(液温110℃、30秒間)した後、ステンレス製のメッシュ(目開き400μm)にてろ過し、無菌容器にアセプティック充填を行い、これをトマト加工物Aとした。
前記で得られたトマト加工物Aを水道水に適宜希釈し、ペクチナーゼ(新日本化学工業社製、Aspergillus niger由来)にて45℃で4時間処理することで酵素分解した後、95℃で10秒間以上加熱することで酵素活性を失活化させた。得られたトマト酵素分解液を珪藻土を用いてろ過した後、減圧濃縮機にて濃縮することで、Brix60°(無塩可溶性固形分60%)のトマト濃縮清澄汁を得た。このトマト濃縮清澄汁をプレート式殺菌機にて加熱殺菌(液温95~98℃、30秒間)した後、ステンレス製メッシュ(目開き99μm)にてろ過し、金属缶包材に液温80℃以上でホットパック充填を行い、これをトマト加工物Bとした。
トマト加工物Aを水道水に適宜希釈し、これにトマト加工物Aの固形分と等量のデキストリンを混合した。これを加熱殺菌(液温90℃、達温)し、次いで常法にて加熱条件下でスプレードライ(熱風入り口温度160℃、排風温度90℃、品温90℃以上瞬時)を行い、これをトマト加工物Cとした。
生鮮トマトを圧搾した後、90℃達温殺菌し、ろ過・遠心分離工程を行い沈殿物(不溶性固形分)を除去した。これで得られたトマトジュースを濃縮機で約3倍に濃縮した後、90℃達温殺菌を行った。トマトピューレーの規格に合う威容に無塩可溶性固形分が24%未満に該当する11%(Brix11°)になるよう調整した後、90℃30秒間、加熱殺菌を行い、これをトマト加工品Dとした。
5:生鮮トマトの素材香または素材味よりも、とても強い
4:生鮮トマトの素材香または素材味よりも、強い
3:生鮮トマトの素材香または素材味と同じ
2:生鮮トマトの素材香または素材味よりも、弱い
1:生鮮トマトの素材香または素材味よりも、とても弱い(殆どなし)
表2に記載する処方に従って製造した植物性タンパク含有肉団子について、植物性タンパク由来の不快臭(以下、「タンパク臭」と称する)に対するトマト加工物A~Dのマスキング効果を評価した。
植物性タンパクとして大豆タンパク(加水粒状大豆たん白)(タンパク質含有率50質量%)を使用して、表2に記載する処方に従って植物性タンパク含有肉団子を製造した。具体的には、表2に記載する割合で原料1~10を全てよく混合し、ピンポン球状に成型した後、200℃に熱したオーブンに入れて同温度にて15分間焼成して、焼成肉団子を製造した(焼成歩留85%、焼成後の肉団子に含まれるトマト加工物A~Dの割合:1.18質量%)。なお、加水粒状大豆たん白は、粒状大豆たん白(フジニックエース400:不二製油(株)製)5kgを15kgの水に1晩浸漬したものを使用した。
上記で製造した各肉団子(比較例1、実施例1~4)を、良く訓練されたパネル5名にて試食してもらい、口腔内で咀嚼して感じる臭い(口腔内から鼻に抜ける臭い)から、肉団子の大豆タンパクに由来する不快臭(タンパク臭)の程度を評価してもらった。評価は、比較例1の肉団子のタンパク臭の強さを「5」、タンパク臭を全く感じないを「1」とし、下記基準に従って、間隔が均等になるように5段階で評価してもらった。なお、試験に先立ち、各パネルには、大豆タンパク(加水粒状大豆たん白)を焼成した際に生じる不快臭(タンパク臭)を嗅いでもらい、タンパク臭に対する認識を統一しておいた。
5:とても強い(比較例1のタンパク臭)
4:強い
3:感じるが弱い
2:殆ど感じない
1:全く感じない
上記評価に加えて、前記パネルに、試食した各肉団子(比較例1、実施例1~4)のトマト素材香を評価してもらった。評価は、トマト加工物を含有していない比較例1の肉団子のトマト素材香を「1」、生鮮トマトを試食して口腔内で咀嚼した際に感じるトマト素材香を「5」として、下記の判断基準に従って、間隔が均等になるように5段階で評価してもらった。なお、試験に先立ち、各パネルには、予め生鮮トマトを試食して口腔内で咀嚼した際に感じるトマト素材香を確認してもらい、トマト素材香に対する認識を統一しておいた。
5:とても強く感じる(生鮮トマトのトマト素材香と同程度)
4:強く感じる(生鮮トマトのトマト素材香よりもやや弱い)
3:感じる(生鮮トマトのトマト素材香よりも弱い)
2:殆ど感じない(生鮮トマトのトマト素材香が僅かにする)
1:全く感じない(比較例1の肉団子(トマト素材香0)と同じ)
トマト加工物として製造例2で製造したトマト加工物B(無塩可溶性固形分60%、Brix60°)を用いて、表5に記載する処方に従って、その配合量の異なる植物性タンパク含有肉団子を製造し、植物性タンパク由来の不快臭(タンパク臭)に対するマスキング効果を評価した。
実験例1と同様に植物性タンパクとして大豆タンパク(実験例1と同じ加水粒状大豆たん白)を使用して、表5に記載する処方に従って植物性タンパク含有肉団子(比較例1、実施例5~9)を製造した。具体的には、表5に記載する割合で原料1~7を全てよく混合し、ピンポン球状に成型した後、200℃に熱したオーブンに入れて同温度にて15分間焼成して、肉団子を製造した(焼成歩留85%)。
上記で製造した各肉団子(比較例1、実施例5~9)を、実験例1(2)と同様にして良く訓練されたパネル5名にて試食してもらい、口腔内で咀嚼して感じる臭い(口腔内から鼻に抜ける臭い)から、肉団子の大豆タンパクに由来する不快臭(タンパク臭)の程度を評価してもらった。評価は、比較例1の肉団子のタンパク臭の強さを「5」、タンパク臭を全く感じないを「0」とし、下記基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。なお、試験に先立ち、各パネルには、大豆たん白(加水粒状大豆たん白)を焼成した際に生じる不快臭(タンパク臭)を嗅いでもらい、タンパク臭に対する認識を統一しておいた。
5:とても強い(比較例1のタンパク臭)
4:強い
3:感じるが弱い
2:感じるが気にならない程度
1:殆ど感じない
0:全く感じない
上記評価に加えて、前記パネルに、試食した各肉団子(比較例1、実施例5~9)のトマト素材香を評価してもらった。評価は、トマト加工物を含有していない比較例1の肉団子のトマト素材香を「0」、生鮮トマトを試食して口腔内で咀嚼した際に感じるトマト素材香を「5」として、下記の判断基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。なお、試験に先立ち、各パネルには、予め生鮮トマトを試食して口腔内で咀嚼した際に感じるトマト素材香を確認してもらい、トマト素材香に対する認識を統一しておいた。
5:とても強く感じる(生鮮トマトのトマト素材香と同程度)
4:強く感じる(生鮮トマトのトマト素材香よりもやや弱い)
3:感じる(生鮮トマトのトマト素材香よりも弱い)
2:感じるが弱い(生鮮トマトのトマト素材香よりもかなり弱い)
1:殆ど感じない(生鮮トマトのトマト素材香が微かにする)
0:全く感じない(比較例1の肉団子(トマト素材香0)と同じ)
トマト加工物として製造例2で製造したトマト加工物B(Brix60°)を用いて、表8に記載する処方に従って植物性タンパク含有肉ハンバーグを製造し、植物性タンパク由来の不快臭(タンパク臭)に対するマスキング効果を評価した。
実験例1と同様に植物性タンパクとして大豆タンパク(加水粒状大豆たん白)を使用して、表8に記載する処方に従って植物性タンパク含有ハンバーグ(比較例2、実施例10)を製造した。具体的には、表8に記載する割合で原料1~8を全てよく混合し、ハンバーグ状に成型した後、200℃に熱したオーブンに入れて同温度にて15分間焼成して、ハンバーグを製造した(焼成歩留80%)。なお、加水粒状大豆たん白は、粒状大豆たん白(フジニックエース400:不二製油(株)製)2.5kgを7.5kgの水に1晩浸漬したものを使用した。
上記で製造した各ハンバーグ(比較例2、実施例10)を、実験例1(2)と同様にして良く訓練されたパネル10名にて試食してもらい、口腔内で咀嚼して感じる臭い(口腔内から鼻に抜ける臭い)から、ハンバーグの大豆タンパクに由来する不快臭(タンパク臭)の程度を評価してもらった。評価は、比較例2のハンバーグのタンパク臭の強さを「5」、タンパク臭を全く感じないを「0」とし、実験例2と同じ基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。
トマト加工物として製造例2で製造したトマト加工物B(Brix60°)を用いて、表10に記載する処方に従って植物性タンパク含有肉餃子を製造し、植物性タンパク由来の不快臭(タンパク臭)に対するマスキング効果を評価した。
実験例1と同様に植物性タンパクとして大豆タンパク(加水粒状大豆たん白)を使用して、表10に記載する処方に従って植物性タンパク含有ハンバーグ(比較例3、実施例11)を製造した。具体的には、表10に記載する割合で原料1~8を全てよく混合し、これを餡として市販の餃子の皮に包み込み、成型した後、230℃に熱したホットプレート上で皮表面に焦げ目が付くまで焼成して、焼餃子を製造した(餡部の焼成歩留90%)。なお、加水粒状大豆たん白は、粒状大豆たん白(フジニックエース400:不二製油(株)製)を4容量倍の水に1晩浸漬したものを使用した。
上記で製造した各焼餃子(比較例3、実施例11)を、実験例1(2)と同様にして良く訓練されたパネル10名にて試食してもらい、口腔内で咀嚼して感じる臭い(口腔内から鼻に抜ける臭い)から、焼餃子の大豆タンパクに由来する不快臭(タンパク臭)の程度を評価してもらった。評価は、比較例3の焼餃子のタンパク臭の強さを「5」、タンパク臭を全く感じないを「0」とし、実験例2と同じ基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。
上記実験例1~4の結果から、トマトに含まれる無塩可溶性固形分(トマト由来無塩可溶性固形分)が、植物性タンパクである大豆タンパクに由来する不快臭(タンパク臭)の抑制に寄与していると考えられた。そこで、ここでは大豆タンパクの異臭(オフフレーバー)成分として知られているn-ヘキサナール(青臭さ)及びリノール酸(脂肪酸臭)の各々に対して、トマト添加によるオフフレーバー低減効果を評価した。
(a)n-ヘキサナール臭に対するマスキング評価用の被験液
n-ヘキサナールをエタノールに溶解して0.1質量%濃度のエタノール溶液(1,000ppm)を調製した。これを水に1容量%、およびトマト加工物Bを最終濃度が100ppmとなるように添加して、「n-ヘキサナール10ppm+トマト加工物B100ppm」の水溶液を調製した(実施例12)。比較被験液として、上記n-ヘキサナールのエタノール溶液を水に1容量%、及び0.1容量%の割合でそれぞれ添加して、10ppm濃度のn-ヘキサナール水溶液(比較例4)及び1ppm濃度のn-ヘキサナール水溶液(比較例5)を調製した。
(b)リノール酸臭に対するマスキング評価用の被験液
リノール酸をエタノールに溶解して0.1質量%濃度のエタノール溶液(1,000ppm)を調製した。これを水に1容量%、およびトマト加工物Bを最終濃度が100ppmとなるように添加して、「リノール酸10ppm+トマト加工物B100ppm」の水溶液を調製した(実施例13)。比較被験液として、上記リノール酸のエタノール溶液を水に1容量%、及び0.1容量%の割合でそれぞれ添加して、10ppm濃度のリノール酸(比較例6)及び1ppm濃度のリノール酸水溶液(比較例7)を調製した。
n-ヘキサナール臭に対するマスキング評価用被験液(実施例12、比較例4及び5)及びリノール酸臭に対するマスキング評価用被験液(実施例13、比較例6及び7)を、それぞれ良く訓練されたパネル10名に口腔内に含んでもらい、口腔内で咀嚼して感じる臭い(口腔内から鼻に抜ける臭い)から、各臭い(オフフレーバー)の程度を評価してもらった。n-ヘキサナール臭に対するマスキング評価については、比較例4の被験液のn-ヘキサナール臭の強さを「5」、臭いを全く感じないを「0」とし、実験例2と同じ基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。同様に、リノール酸臭に対するマスキング評価についても、比較例6の被験液のリノール酸臭の強さを「5」、臭いを全く感じないを「0」とし、実験例2と同じ基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。
n-ヘキサナール臭に対するマスキング評価結果を表12及び図7に、リノール酸臭に対するマスキング評価結果を表13及び図8に示す。
トマトによる植物性タンパク臭抑制効果の有効成分(臭いマスキング成分)を検討するために、実験例1と同様に、トマト加工物を配合した肉団子(実施例14)、及びトマト加工物に代えてクエン酸を配合した肉団子(比較例A~C)をそれぞれ製造し、各肉団子の臭いを比較して、トマト加工物及びクエン酸の臭いマスキング効果を評価した。
実験例1と同様にして、植物性タンパクとして大豆タンパク(加水粒状大豆たん白、実験例1と同じ)を使用して、表14に記載する処方に従って植物性タンパク含有肉団子(比較例8、実施例14、比較例A~C)を製造した。なお、実施例14の肉団子には、トマト加工物を配合することで、クエン酸相当量に換算して、比較例Bの肉団子と同量のクエン酸が含まれている(焼成前含有量:0.05質量%)。
マスキング評価結果を表15及び図9に示す。
トマト加工物として製造例2で製造したトマト加工物B(Brix60°)を用いて、表16に記載する処方に従って植物性タンパク含有クッキーを製造し、植物性タンパク由来の不快臭(タンパク臭)に対するマスキング効果を評価した。
植物性タンパクとしておから(乾燥おから(イオンプライベート商品)、タンパク質含量21.5質量%[ケルダール法による])を使用して、表16に記載する処方に従っておから含有クッキー(比較例9、実施例15~17)を製造した。具体的には、表16に記載する割合で原料1~6を全てよく混合してドウを調製し、これを延伸したシートから型抜きしてクッキー状に成型した後、170℃に熱したコンベクションオーブンにて同温度で焼成して、クッキーを製造した(焼成歩留88%)。
上記で製造した各おから含有クッキー(比較例9、実施例15~17)を、良く訓練されたパネル5名にて試食してもらい、口腔内で咀嚼して感じる臭い(口腔内から鼻に抜ける臭い)に基づいて、クッキーのおからに由来する不快臭(タンパク臭)の程度を評価してもらった。評価は、比較例9のおから含有クッキーのタンパク臭の強さを「5」、タンパク臭を全く感じないを「0」とし、実験例2と同じ基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。
上記評価に加えて、前記パネルに、試食した各おから含有クッキー(比較例9、実施例18~20)のトマト素材香を評価してもらった。評価は、トマト加工物を含有していない比較例9のおから含有クッキーのトマト素材香を「0」、生鮮トマトを試食した際に感じるトマト素材香を「3」として、実験例2で規定した判断基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。なお、試験に先立ち、各パネルには、予め生鮮トマトを試食した際に感じるトマト素材香を嗅いでもらい、トマト素材香に対する認識を統一しておいた。
トマト加工物として製造例2で製造したトマト加工物C(Brix50°)を用いて、表19に記載する処方に従って植物性タンパク含有パウンドケーキを製造し、植物性タンパク由来の不快臭(タンパク臭)に対するマスキング効果を評価した。
植物性タンパクとして大豆粉(アルファプラスHS-600:日進オイリオグループ (株)製)(タンパク質含有率42.7質量%、ケルダール法測定による)を使用して、表19に記載する処方に従って大豆粉含有パウンドケーキ(比較例11、実施例21~23)を製造した。また比較例10として大豆粉を含有しないパウンドケーキも製造した。具体的には、表19に記載する割合で、下記の手順に従ってパウンドケーキを製造した(焼成歩留88%)。
(i)原料1、2、4、6及び7を粉体混合して篩っておく。
(ii)原料4及び5に、原料3を少しずつ加えて十分混合する。
(iii)上記(ii)に、前記(i)を加え、さっくりと混合する。
(iv)斯くして調製した生地をパウンドケーキ型にいれる。
(v)オーブンにて焼成(170℃、30分間)し、室温で放冷する。
上記で製造した各大豆粉入りパウンドケーキ(比較例11、実施例18~20)および大豆粉なしパウンドケーキ(比較例10)を、良く訓練されたパネル5名にて試食してもらい、口腔内で咀嚼して感じる臭い(口腔内から鼻に抜ける臭い)に基づいて、パウンドケーキの大豆粉に由来する不快臭(タンパク臭)の程度を評価してもらった。評価は、比較例11の大豆粉入りパウンドケーキのタンパク臭の強さを「5」、比較例10の大豆粉なしパウンドケーキのタンパク臭の強さを「0」とし、実験例2と同じ基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。
上記評価に加えて、前記パネルに、試食した各大豆粉入りパウンドケーキ(比較例11、実施例18~20)、および大豆粉なしパウンドケーキ(比較例11)のトマト素材香を評価してもらった。評価は、トマト加工物を含有していない比較例11の大豆粉入りパウンドケーキのトマト素材香を「0」、生鮮トマトを試食した際に感じるトマト素材香を「3」として、実験例2で規定した判断基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。なお、試験に先立ち、各パネルには、予め生鮮トマトを試食した際に感じるトマト素材香を嗅いでもらい、トマト素材香に対する認識を統一しておいた。
Claims (8)
- 植物性タンパク含有組成物の香味改善方法であって、
植物性タンパク含有組成物の製造原料の一つとして品温85℃以上の加熱処理に少なくとも3回供してなる脱パルプ処理濃縮トマトを用いることを特徴とする、上記方法。 - 前記脱パルプ処理濃縮トマトが、無塩可溶性固形分が40質量%以上の濃縮トマトである、請求項1記載の香味改善方法。
- 前記脱パルプ処理濃縮トマトが植物組織崩壊酵素により処理されてなるものである、請求項1又は2に記載の香味改善方法。
- 前記植物性タンパク含有組成物がn-ヘキサナール及びリノール酸の少なくとも1種を含有するものである、請求項1乃至3のいずれかに記載する香味改善方法。
- 前記植物性タンパク含有組成物が大豆タンパクを含有する食品組成物である、請求項1乃至4のいずれかに記載する香味改善方法。
- 前記食品組成物が畜肉含有食品、魚介類含有食品、菓子、パン、麺、及び栄養強化食品からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項5に記載する香味改善方法。
- 植物性タンパク含有組成物中の、(1)トマト由来無塩可溶性固形分、及び/又は、(2)クエン酸含量が、下記の割合になるようにトマトまたはトマト加工物を用いる、請求項1乃至6のいずれかに記載する香味改善方法:
(1)トマト由来無塩可溶性固形分:0.05質量%以上
(2)クエン酸:0.02質量%以上。 - 香味改善方法が、植物性タンパク含有組成物について、植物性タンパクに起因する不快臭をマスキングする方法である、請求項1乃至7のいずれかに記載する香味改善方法。
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McDANIEL,M.R. et al.,Masking of Soy Protein Flavor by Tomato Sauce,Journal of Food Science,1988年,Vol.53, No.1,p.93-96,101 |
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