JP7456698B2 - タンパク質食材含有食品の食感改良剤、並びにこれを使用する食感改良方法及びタンパク質食材含有食品の製造方法 - Google Patents

タンパク質食材含有食品の食感改良剤、並びにこれを使用する食感改良方法及びタンパク質食材含有食品の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、タンパク質食材含有食品の食感を改良するための組成物、並びにこれを使用する食感改良方法及びタンパク質食材含有食品の製造方法に関する。特に、本開示はエビ、アサリなどの魚介類、豚肉、牛肉、鶏肉などの畜肉を含めたタンパク質材料を含むレトルト食品における、当該タンパク質材料の食感を改良するための組成物(食感改良剤)に関する。更に、本開示は、当該食感改良剤を使用する、タンパク質食材含有食品の食感改良方法及びタンパク質食材含有食品の製造方法に関する。また、本開示は、上記食感改良剤を含むタンパク質食材含有食品に関する。
本出願は、特願2021-098769号を基礎とする優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に取り込まれる。
タンパク質食材を含有する食品、特に、エビ、アサリなどの魚介類、牛肉、豚肉、鶏肉などの畜肉を含むレトルト食品が市販されている。レトルト食品は、食品を気密性及び遮光性を有する容器で密封し、加圧加熱殺菌処理を施したものである。特に袋状の容器に密封したものをレトルトパウチ食品と称し、これが「レトルト食品」と広く呼ばれている(本明細書において、レトルトパウチ食品をレトルト食品とも称する)。
レトルト食品は、プラスチックフィルム、金属はく、又はこれらの積層体を、袋状、又はその他の形状に成形した容器(気密性及び遮光性を有するものに限る)に、調理した食品を詰め、熱溶融により容器を密封し、加圧加熱殺菌処理(いわゆるレトルト処理)を施したものとされている。このように調製されるレトルト食品の材料には、エビなどに代表される甲殻類を含む食品がある。甲殻類を含むレトルト食品では、加圧加熱殺菌処理の後、甲殻類のタンパク質が変性し、食感に変化が生じる。これを改善するために、例えば以下の方法が提案されている。
特開2020-145973号公報(特許文献1)には、レトルト処理後の食感が優れ、脆さが軽減された、物性改善のための処理をした甲殻類の簡便な製造方法及びレトルト食品の製造方法が開示されている。この方法は、pH8~13の溶液に甲殻類を浸漬する第1のアルカリ処理工程と、前記第1のアルカリ処理工程の後に食塩を含むpH2~5の溶液に甲殻類を浸漬する酸処理工程と、前記酸処理工程の後にpH8~13の溶液に甲殻類を浸漬する第2のアルカリ処理工程を含む。
特許第5828174号(特許文献2)には、レトルト殺菌後も良好な食感を有し、その外観、香気及び味が良好なレトルト殺菌したエビを簡便且つ安価に作製できる、殺菌エビの製造方法、及び、レトルト殺菌した収容容器入りエビが開示されている。この文献の方法は、エビの水分を減少させる水分減少工程と、水分を減少させたエビを所定のヘッドスペースを有する収容容器に充填して容器を密封する工程と、当該密封した容器を加熱加圧下で殺菌処理をする殺菌工程を含む。この特許の発明は、レトルト食品に使用するエビの水分を減少させることで、加熱加圧下で殺菌する際のコラーゲンの可溶化及び分解を低減することを特徴とする。
特許第5197100号(特許文献3)には、レトルト処理の後でも脆い食感を呈することなく、ぷりぷりとした弾力のある食感を実現するレトルトエビの製造方法が開示されている。この製造方法は、原料エビをトランスグルタミナーゼ溶液、所定濃度以上の食塩水又は食塩粉末、リン酸塩溶液に順次浸漬する工程を経た後、レトルト処理を実施する。
エビのレトルト食品以外にも、例えば、アサリ、イカ、ホタテ、カニなどの魚介類、牛、豚、鶏などの獣肉を含めた動物性タンパク質食材のレトルト食品も知られている。
特許第3844700号(特許文献4)には、酸又はアルカリとの接触処理を含む加工食品の製造方法において、当該接触処理中若しくはその後における溶液や原料のpHの変化を回避する方法が開示されている。この製造方法は、対象原料を、酸若しくはアルカリと、これらとpH緩衝作用を持つ緩衝物質とを含むpH緩衝溶液を用いて、前記酸若しくはアルカリと接触処理を実施することを含む。加工食品の製造においては、酸又はアルカリ処理により原材料(アサリなど)を処理した後に加圧加熱殺菌が行われると、原材料中に残存した酸又はアルカリが、加工食品のソースなどに溶出しpHを変化させ、原材料の食感が変化することがある。この文献の発明は、このようなpH及び食感の変化を防止するものである。
特開平7-8225号公報(特許文献5)には、レトルト処理後においてもレトルト食品に使用した食材の食感が維持できるレトルト食品の製造方法が開示されている。この製造方法は、動物性食品素材をトランスグルタミナーゼ、重炭酸ナトリウム及び食塩を含む溶液に浸漬後、調理し、調理した動物性食品素材にレトルト処理を行う。この文献での動物性食品素材は、牛、豚、鶏などの獣肉、イカ、エビ、ホタテ、カニなどの魚介類等である。
特許第2539653号(特許文献6)には、魚介類及び肉類を使用した加熱殺菌済み食品、特にレトルト食品の製造方法が開示されている。この文献の製造方法は、未加熱の魚介類及び肉類をリン酸塩及び食塩を含む水溶液中に浸漬し、その後食塩を含む水溶液中で加圧加熱処理を実施する。
特許第6820685号(特許文献7)には、肉まんの中具の肉を柔らかくでき、且つ皮部生地への影響が小さくできる、肉まんの製造方法が開示されている。この文献の製造方法では、肉まんを加熱処理するときの肉の硬化を防止する目的で、ヒト、ウシ、ブタ、マウス等の動物組織、クロストリジウム(Clostridium)属、ストレプトミセス(Streptonyces)属などの細菌、放線菌、真菌などから得られるコラゲナーゼを使用することが開示されている。
特開2020-145973号公報 特許第5828174号公報 特許第5197100号公報 特許第3844700号公報 特開平7-8225号公報 特許第2539653号公報 特許第6820685号公報
タンパク質食材含有食品、特に魚介類、畜肉などを含むレトルト食品では、加圧加熱殺菌処理などにより、これらの材料のタンパク質が変性し、タンパク質食材の食感が硬くなったり、脆くなったりすることがある。特に、パスタソースにエビなどを主に含むレトルト食品、その他の動物性タンパク質食材を含むレトルト食品などでは、好ましい食感を実現することが困難であった。また、好ましい食感が得られないため、レトルト食品の歩留まりが悪く、これを改善する必要性もある。
本開示は、このような問題を解決するものであり、魚介類、畜肉等を含むタンパク質食材含有食品(特にレトルト食品)に食感改良剤を使用して、当該食品の食感及び歩留まりを改善することを目的とする。
本開示の第1の態様は、タンパク質食材含有レトルト食品の食感改良剤である。本開示の第1の実施形態のレトルト食品の食感改良剤は、
(a)アルカリ剤
(b)タンパク質
(c)プロテアーゼ及び
(d)食塩
を含む。
本開示の食感改良剤の第2の実施形態は、タンパク質食材含有レトルト食品の食感改良剤であって、
(a)アルカリ剤、
(b)タンパク質、
(c)プロテアーゼ、
(d)食塩、及び
(e)アルギン酸塩
を含む。
本開示の食感改良剤の第3の実施形態は、タンパク質食材含有レトルト食品の食感改良剤であって、
(a)アルカリ剤、
(b)タンパク質、
(c)プロテアーゼ、
(d)食塩、
(e)アルギン酸塩、及び
(f)カルシウム塩
を含む。
本開示のレトルト食品の食感改良剤では、前記アルカリ剤は無機酸塩又は有機酸塩から選択されることが好ましい。
本開示のレトルト食品の食感改良剤では、前記タンパク質は動物性タンパク質又は植物性タンパク質であることが好ましい。
本開示のレトルト食品の食感改良剤では、前記タンパク質食材は魚介類又は畜肉から選択されることが好ましい。更に、本開示のレトルト食品の食感改良剤では、前記魚介類は甲殻類であることが好ましい。
本開示の食感改良剤は、タンパク質食材含有食品、特にレトルト食品の歩留まりを改善し、当該タンパク質食材含有食品の食感を改善することができる。
本開示は、動物性タンパク質食材(例えば、畜肉、獣肉、甲殻類を含む魚介類など)、植物性タンパク質食材(例えば、大豆、ソラマメ、エンドウ豆など)などの、各種タンパク質食材を含む食品(以下、タンパク質食材含有食品とも称する)に対して当該タンパク質食材の変性を抑え、タンパク質食材の硬化又は脆弱化を防止し、タンパク質食材含有食品の食感を改善することができる食感改良剤を提供する。本開示では、タンパク質食材含有食品は、缶詰、凍結乾燥品、冷凍食品などの各種食品、特に甲殻類を含むレトルト食品が含まれる。本開示の食感改良剤は、タンパク質食材含有食品に含まれる、エビ、アサリなどの魚介類、豚肉、牛肉、鶏肉などの畜肉を含めたタンパク質材料を含む食品、特にレトルト食品のタンパク質食材の変性を抑えることにより、タンパク質食材含有食品の歩留まりを改善することができる。更に、本開示は、当該食感改良剤を使用したタンパク質食材含有食品、特にレトルト食品の食感を改良する方法、並びに、当該食感改良剤を使用したタンパク質食材含有食品、特にレトルト食品の製造方法を提供する。また、本開示において、タンパク質食材を本開示の食感改良剤で処理した後、容器に詰め加圧加熱殺菌処理を行うことができる。このような加圧加熱殺菌処理を、本明細書において、レトルト処理又は単に加圧加熱処理とも称する。

以下に本開示を具体的に説明する。
1. 食感改良剤
本開示の第1の態様は、タンパク質食材含有食品の食感改良剤である。
1)第1の実施形態の食感改良剤
本開示の第1の実施形態の食感改良剤は、(a)アルカリ剤、(b)タンパク質、(c)プロテアーゼ、及び(d)食塩を含む。本開示の一実施形態では、食感改良剤は溶媒を含むことができ、溶液の形態とすることができる。溶媒は水であることが好ましい。別の実施形態では、本開示の食感改良剤は固形又は粉末の形態である。
本発明者らは、動物性タンパク質食材(例えば、畜肉、獣肉、甲殻類を含む魚介類など)、植物性タンパク質食材(例えば、大豆、ソラマメ、エンドウ豆、ライスなど)などを含む、各種タンパク質食材含有食品の製造において、アルカリ剤、タンパク質、プロテアーゼ、及び食塩を含む食感改良剤を用いることで、タンパク質食材の変性を抑え、食感を改善できることを見出した。特に、本発明者らは、エビなどの甲殻類を含むタンパク質食材含有食品、特にレトルト食品(例えば、エビ、アサリなどの魚介類、鶏肉、豚肉、牛肉などの畜肉を含むパスタソースのような加工品)を製造する際に、タンパク質食材含有食品に、上記のアルカリ剤、タンパク質、プロテアーゼ、及び食塩を含む食感改良剤を添加することで、タンパク質食材含有食品に含まれるタンパク質食材の変性(例えばタンパク質の分解、溶解等)を抑え、タンパク質食材の食感を改善できることを見出した。これにより、タンパク質食材を含むタンパク質食材含有食品、特にレトルト食品の食感を改善することができる。
(a)アルカリ剤
本開示の食感改良剤は、アルカリ剤を含有する。
アルカリ剤は、タンパク質食材含有食品の食材、好ましくはエビ、アサリなどの魚介類、鶏肉、豚肉、牛肉などの畜肉などに使用しうるものであれば特に限定されない。例えば、無機塩及び有機塩を例として挙げることができる。無機塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウムなどを挙げることができる。本開示では、例えば、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムが好ましく、炭酸ナトリウムがより好ましい。有機塩としては、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、コハク酸塩などが挙げられる。ここで、塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。好ましくは、有機塩としては、クエン酸三ナトリウム、リンゴ酸三ナトリウム、乳酸カルシウムなどを挙げることができる。アルカリ剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
アルカリ剤は、後述するタンパク質及び酵素と共に使用することで食材の食感を改善することができる。
本開示の食感改良剤におけるアルカリ剤の含有量は、例えば1~5%の水溶液の場合、食感改良剤の全重量を基準として0.1重量%~5重量%、好ましくは0.5重量%~3重量%、より好ましくは0.5重量%~1.3重量%、更により好ましくは0.6重量%~1.0重量%、最も好ましくは0.7重量%~1.0重量%である。また、溶媒を含まない食感改良剤を基準(固形分)にした場合、アルカリ剤の含有量は、10重量%~30重量%、好ましくは、10重量%~25重量%である。
(b)タンパク質
本開示の食感改良剤はタンパク質を含む。タンパク質は、食品に添加できるものであれば動物由来又は植物由来いずれのタンパク質であってよく、特に限定されない。本開示の食感改良剤では、タンパク質は、血漿タンパク質、コラーゲンなどの動物性タンパク質、又は、エンドウ豆タンパク質、ソラマメタンパク質、大豆タンパク質、ライスタンパク質などの植物性タンパク質が好ましい。
血漿タンパク質は、タンパク質食材含有食品に使用される食材(本明細書において単に食材とも称する)に添加できるものであれば特に限定されない。例えば、甲殻類を含む魚介類、畜肉などに添加できるものであればよい。血漿タンパク質は使用される食材により適宜選択すればよい。例えば、畜肉由来の血漿タンパク質であってよい。本開示では、血漿タンパク質は、ブタ、ウシ、トリなどの畜肉由来であることがより好ましい。血漿タンパク質は、市販品として入手することができる。あるいは、血漿タンパク質は、当分野で公知の方法により得ることができる。例えば、対象とする畜肉の血液を採取して容器に入れ、抗凝固剤(例えば、フッ化カルシウム、クエン酸ナトリウム、EDTA-二カリウムなどの塩類)で処理し、遠心分離にかけ、上澄み液を分離し、回収することにより得ることができる。
タンパク質は、コラーゲンであってもよい。コラーゲンは、タンパク質食材含有食品に使用される食材(本明細書において単に食材とも称する)、例えば、甲殻類を含む魚介類、畜肉などに添加できるものであれば限定されない。コラーゲンは市販品として入手することができる。
タンパク質は、植物性タンパク質であってもよい。植物性タンパク質は、エンドウ豆タンパク質、ソラマメタンパク質、大豆タンパク質、ライスタンパク質など、公知のタンパク質を使用することができる。植物性タンパク質は市販品として入手することができる。
本開示の食感改良剤では、タンパク質は、畜肉由来の血漿タンパク質などの血漿タンパク質、又はエンドウ豆タンパク質、ソラマメタンパク質、大豆タンパク質、ライスタンパク質などの植物性タンパク質が特に好ましい。
本開示の食感改良剤におけるタンパク質の含有量は、例えば1~5%の水溶液の場合、食感改良剤の全重量を基準として0.2重量%~5重量%、好ましくは0.5重量%~3重量%、より好ましくは0.6重量%~1.3重量%、更により好ましくは0.7重量%~1.5重量%、最も好ましくは0.8重量%~1.5重量%である。また、溶媒を含まない食感改良剤を基準(固形分)にした場合、タンパク質の含有量は、15重量%~40重量%、好ましくは、15重量%~30重量%である。
(c)酵素(プロテアーゼ)
本開示の食感改良剤は酵素を含む。酵素は、本開示の食感改良剤の成分(b)のタンパク質及び他の成分と共に使用することで、食材(例えば、甲殻類を含む魚介類、鶏肉、豚肉、牛肉などの畜肉)の変性を防止し、食材の食感を改善することができる。本開示では、酵素はこのような目的を実現できるものであれば特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、酵素は、タンパク質食材含有食品、例えば、畜肉、獣肉、甲殻類を含む魚介類などを含む食品、特に魚介類、畜肉などを含むレトルト食品に使用される食材、好ましくはエビなどの甲殻類に使用しうるものであれば、特に限定されない。本開示では、酵素は、プロテアーゼを含む。プロテアーゼは、動物由来、植物由来又は微生物由来のものであってよい。
プロテアーゼの非限定的な例としては、カルボキシプロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼ、アミノプロテアーゼ、アミノペプチダーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、金属プロテアーゼ、チオールプロテアーゼ、メタロプロテアーゼなどが挙げられる。また、プロテアーゼは、例えば酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼであってよい。プロテアーゼは植物に由来するもの、動物に由来するもの又は微生物に由来するものでもよい。本開示の食感改良剤では、プロテアーゼは、タンパク質をペプチド又はアミノ酸に加水分解する触媒機能を有するものであれば制限されない。植物性プロテアーゼとしては、例えばパパイン、ブロメライン、フィカイン、アクチニジン、ジンギバインなどが挙げられる。動物性プロテアーゼとしては、例えばペプシン、トリプシン、キモトリプシン、動物性コラゲナーゼ、動物性エラスターゼ、動物性ゼラチナーゼなどが挙げられる。微生物由来のプロテアーゼとしては、真菌、放線菌、細菌(例えば、バチルス属細菌、アスペルギルス属真菌、ストレプトマイセス属細菌、クロストリジウム属細菌など)などに由来するプロテアーゼ、ペプチダーゼ、コラゲナーゼ、エラスターゼ、ゼラチナーゼなどが挙げられる。微生物由来のプロテアーゼの具体例又は市販品は、例えば特許第6756333号、特開2021-103956などに記載されている。プロテアーゼは、単独で使用してもよく、又は2種類以上を組み合わせてもよい。
酵素は、製剤(例えば複数の酵素を組み合わせたもの、又はデキストリンなどで希釈したもの)の形態であってよい。例えば、酵素製剤はプロテアーゼを含むものであればよい。酵素は単体の形態であってもよい。
酵素製剤及び単体の酵素は、市販品を使用することができる。
本開示の食感改良剤は、一般には、例えば1~5%程度の濃度の水溶液として使用されうる。例えば、上記の食感改良剤の濃度を有する本開示の食感改良剤では、例えばタンパク質含有食品に対して100%の液量で浸漬によりタンパク質食材を処理する場合は、本開示の食感改良剤の酵素は、使用に際して、0.005~50U/g、好ましくは0.01~10U/g、より好ましくは0.02~1U/g、さらに好ましくは0.03~0.08U/gの活性値を有するように配合される。上記と同様の食感改良剤では、例えばタンパク質含有食品に対して50%の液量でタンブリングによりタンパク質食材を処理する場合は、酵素は、使用に際して、0.0025~30U/g、好ましくは0.005~10U/g、より好ましくは0.01~1U/g、更に好ましくは0.01~0.05U/gの活性値を有するように配合される。なお、上記濃度の水溶液を使用する場合の好ましい活性値は、レトルト処理時に使用されるソースなどのpH、処理する時間などによって適宜調整することが望ましい。また、溶媒を含まない食感改良剤を基準(固形分)にした場合、酵素は、使用に際して0.1~100U/g、好ましくは0.5~50U/g、より好ましくは0.5~10U/g、さらに好ましくは0.5~5U/gの活性値を有するように配合されることが望ましい。
プロテアーゼは、タンパク質食材含有食品、特にレトルト食品に使用されるタンパク質食材を変性させる可能性があるが、成分(a)、成分(b)及び成分(d)、特に成分(b)の動物性タンパク質、植物性タンパク質などをはじめとするタンパク質と共に使用することで、加熱処理などの食品の製造過程における食材(畜肉、獣肉、甲殻類を含む魚介類、植物など)、特にエビなどの甲殻類、畜肉などの変性を抑え、タンパク質食材含有食品、特にレトルト食品の食感を改善することができる。
本開示の食感改良剤における酵素(プロテアーゼ)の含有量は、上記の好ましい活性範囲を有するように配合される場合、食感改良剤の全重量(例えば1~5%の水溶液の場合)を基準として0.05重量%~1重量%、好ましくは0.1重量%~0.5重量%である。また、溶媒を含まない食感改良剤を基準(固形分)にした場合、酵素(プロテアーゼ)の含有量は、上記の好ましい活性範囲を有するように配合される場合、1重量%~15重量%、好ましくは、2.0重量%~12重量%、より好ましくは2.5重量%~6.0重量%である。
(d)食塩
本開示の食感改良剤は、食塩を含有する。食塩は、タンパク質食材含有食品、例えば、レトルト食品に使用できるもの、或いは甲殻類を含む魚介類、畜肉などに添加できるものであれば限定されない。一般の食品用として販売されるものを使用できる。
食塩は、本開示の食感改良剤の他の成分(a)~(c)と共に使用することで食材の食感を向上させることができる。
例えば、食肉などのタンパク質にはミオシン、アクトミオシン、アクチンなどの塩溶解性タンパク質が存在する。食塩などの塩を適切な濃度で使用することにより、これらのタンパク質がゲル化し、食品製造時の歩留まりを改善し、食感を維持若しくは改善することが期待できる。
本開示の食感改良剤における食塩の含有量は、例えば1~5%の水溶液の場合、食感改良剤の全重量を基準として0.1重量%~2重量%、好ましくは0.5重量%~1.5重量%である、より好ましくは1重量%~1.5重量%である。また、溶媒を含まない食感改良剤を基準(固形分)にした場合、食塩の含有量は、食感改良剤の全重量を基準として、20重量%~40重量%、好ましくは20重量%~35重量%、より好ましくは25重量%~35重量%、更により好ましくは25重量%~30重量%である。
本開示の第1の実施形態の食感改良剤は、上記成分(a)~成分(d)を含むが、酵素を含むことによって、甲殻類などの魚介類、畜肉などのタンパク質材料の分解が進む可能性があると考えられる。本開示では、タンパク質食材本来(例えば魚介類、畜肉など)の食感を保つには、動物性又は植物性タンパク質などのタンパク質(上記成分(b))と酵素(上記成分(c))を組み合わせて使用することが特に好ましい。
2)第2の実施形態の食感改良剤
本開示の第2の実施形態の食感改良剤は、(a)アルカリ剤、(b)タンパク質、(c)プロテアーゼ、(d)食塩、及び(e)アルギン酸塩を含む。本開示の一実施形態では、食感改良剤は溶媒を含むことができ、溶液の形態とすることができる。溶媒は水であることが好ましい。別の実施形態では、本開示の食感改良剤は固形又は粉末の形態である。
第2の実施形態の食感改良剤の成分(a)~(d)は、第1の実施形態の食感改良剤で説明したとおりである。
(e)アルギン酸塩
本開示の第2の実施形態の食感改良剤は、第1の実施形態の食感改良剤の成分(a)~(d)に加えて、(e)アルギン酸塩を含む。アルギン酸塩は、アルギン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などを含む。好ましいアルギン酸塩は、アルギン酸のアルカリ金属塩であり、更に好ましくは、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸カルシウムである。アルギン酸塩は、タンパク質食材含有食品、例えば、レトルト食品に使用できるもの、或いは甲殻類を含む魚介類、畜肉などに添加できるものであれば限定されない。アルギン酸塩は、一般の市販品として入手することができる。
アルギン酸塩は、ゲル化して耐熱性ゲルを形成することができる。この耐熱性ゲルは、タンパク質食材の安定性を高めることができる。
本開示の食感改良剤におけるアルギン酸塩の含有量は、例えば1~5%の水溶液の場合、食感改良剤の全重量を基準として0.01重量%~0.5重量%、好ましくは0.02重量%~0.2重量%である。また、溶媒を含まない食感改良剤を基準(固形分)にした場合、アルギン酸塩の含有量は、食感改良剤の全重量を基準として、1重量%~10重量%、好ましくは2重量%~5重量%、より好ましくは2重量%~4重量%である。
3)第3の実施形態の食感改良剤
本開示の第3の実施形態の食感改良剤は、(a)アルカリ剤、(b)タンパク質、(c)プロテアーゼ、(d)食塩、(e)アルギン酸塩、及び(f)カルシウム塩を含む。本開示の一実施形態では、食感改良剤は溶媒を含むことができ、溶液の形態とすることができる。溶媒は水であることが好ましい。別の実施形態では、本開示の食感改良剤は固形又は粉末の形態である。
第3の実施形態の食感改良剤の成分(a)~(d)は、第1の実施形態の食感改良剤で説明したとおりであり、成分(e)アルギン酸塩は、第2の実施形態の食感改良剤で説明したとおりである。
(f)カルシウム塩
本開示の第3の実施形態の食感改良剤は、第2の実施形態の食感改良剤の成分(a)~(e)に加えて、(f)カルシウム塩を含む。カルシウム塩は、食品に添加できるものであれば特に限定されない。例えば、レトルト食品に使用できるもの、或いは甲殻類を含む魚介類、畜肉などに添加できるものであればいずれのカルシウム塩であってもよい。例えば、カルシウム塩は、無機カルシウム塩、有機カルシウム塩などであって、タンパク質食材含有食品、特にレトルト食品に使用しうるものであれば特に限定されない。カルシウム塩の非制限的な例として、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム、クエン酸カルシウムなどを挙げることができる。カルシウム塩は、一般の市販品として入手することができる。
カルシウム塩は、アルギン酸塩と反応し、耐熱性のゲルを形成することができる。この耐熱性ゲルは、タンパク質食材の安定性を高めることができる。
本開示の食感改良剤におけるカルシウム塩の含有量は、例えば1~5%の水溶液の場合、食感改良剤の全重量を基準として食感改良剤の全重量を基準として0.01重量%~5重量%、好ましくは0.02重量%~1重量%、より好ましくは0.02~0.5重量%である。また、溶媒を含まない食感改良剤を基準(固形分)にした場合、カルシウム塩の含有量は、1重量%~10重量%、好ましくは、1重量%~5重量%である。
<食感改良剤の調製方法>
本開示の食感改良剤は、上記第1~第3の実施形態の食感改良剤に対応した成分(a)~成分(f)の各成分を、水などの溶媒中に溶解し、混合することにより調製することができる。得られた溶液は、pHを3~11、好ましくは4~11程度に調整することが好ましい。本開示では、特にpHが中性からアルカリ域となるように調整されることが好ましい。タンパク質食材含有食品の食材との混合処理後は、pHが中性から弱アルカリ域となるように調整されることがより好ましい。pHを中性からアルカリ性若しくは弱アルカリ性に調整することで、歩留まり及び食感の改良を更に高めることができる。
本開示の食感改良剤のpHの調整には、食品に一般的に使用できるpH調整剤を制限なく好適に使用できる。pH調整剤としては、例えば、クエン酸、乳酸及び酒石酸等の有機酸、食品に使用できる各種バッファー剤等を挙げることができる。即ち、本開示の食感改良剤は、上記成分(a)、(b)、(c)及び(d)に、クエン酸、乳酸及び酒石酸等の有機酸、各種バッファー剤等を、酸性~アルカリ性、特に中性~アルカリ性の水溶液(例えば、4%水溶液でpH7~11)とすることができる量添加し、当該範囲のpHの水溶液として調製することができる。特に本開示の食感改良剤では、タンパク質食材含有食品の食材との混合処理後のpHを中性から弱アルカリ性のpH(例えば、4%水溶液を用いた場合でpH7~10)にすることが好ましい。本開示の食感改良剤は、pHをこの範囲とすることでタンパク質食材含有食品の歩留まり及び食感を改善することができる。
本開示の食感改良剤は、粉末状の上記各成分を使用し、他の任意成分と混合することで粉末として調製することもできる。また、本開示の食感改良剤は、上述のように調製した溶液状の食感改良剤を準備し、得られた溶液を噴霧乾燥等により乾燥して粉末として調製することもできる。粉末の食感改良剤は、使用に際してそのまま食材に添加することができる。あるいは、本開示の食感改良剤は、粉末の食感改良剤を水などに溶解し、適切な濃度の水溶液とした後、食材に添加又はタンブリングすることができる。
本開示の食感改良剤を溶液として使用する場合は、食感改良剤は、使用する食材に対して100重量%以下の量で加えることができる。本開示では、使用する食材に対して、好ましくは、0.5重量%~60重量%、より好ましくは1重量%~60重量、更により好ましくは10重量~50重量%の濃度で、食感改良剤を使用することができる。本開示の食感改良剤を溶液とする場合、溶媒は、好ましくは水である。本開示の食感改良剤を粉末として使用する場合は、食感改良剤は、使用する食材に対して0.05重量%~15重量%、好ましくは0.1重量%~10重量%、より好ましくは1~5重量%の濃度で使用することができる。
本開示の食感改良剤には、食感を調整する目的で種々の追加の添加剤を含んでいてもよい。例えば、本開示の食感改良剤には調味料を混合することができる。調味料は特に限定されない。食材に一般的に使用できるものであれば制限なく使用できる。また、調味料の濃度は、本開示の食感改良剤を使用した製品の食感、風味などに影響しない範囲であればよい。他の添加剤としては、ジューシーさ、しなやかさ、歯ごたえ、弾力、喉ごしといった食感を調整するために、乳化剤、乳タンパク、ゼラチン及び卵白から選ばれる少なくとも1つの成分を添加することができる。ここで、乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びレシチン等を挙げることができる。その他の添加剤成分としては、ショ糖、ぶどう糖、果糖、各種糖アルコール等の糖類;澱粉や穀粉;ステビア、アスパルテーム等の甘味料;デキストリン;有機酸やその塩(例えば、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、これらの塩など)、グリシンやDL-アラニン等の制菌作用がある成分;調味及び/又は呈味成分;香料;色素;フェルラ酸;茶抽出物;グルコマンナン、カラギーナン、キサンタンガム、アルギン酸塩などの増粘剤(ゲル化剤)等を挙げることができる。これらの添加剤は、添加剤の使用目的に応じて適宜選択することができる。
これらの追加の添加剤は、上述した各成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び(f)を混合する際に一緒に混合してもよく、別々に混合してもよい。追加の添加剤の添加量は特に限定されない。添加剤の使用目的に応じて適宜選択することができる。
上述のように構成される本開示の食感改良剤は、これを添加する食材に対して当該食材のタンパク質の変性を抑制し、食材及びタンパク質食材含有食品(特にレトルト食品)の食感を改善する効果を示す。
2. 食感改良剤を用いた、タンパク質食材含有食品の食感を改良する方法
本開示の第2の態様は、上記本開示の食感改良剤を用いた、タンパク質食材含有食品、特にレトルト食品の食感を改良する方法である。本開示の改良方法は、以下の工程を含む。
(1)本開示の食感改良剤を提供する工程と、
(2)工程(1)で得た前記食感改良剤とタンパク質食材含有食品の原材料を混合し、加熱処理する工程。
<工程(1)>
工程(1)は、本開示の食感改良剤を提供する工程である。この工程における食感改良剤は、上述した食感改良剤の調製方法で説明した手順に従って調製することができる。本工程(1)は、上記の食感改良剤の調製手順に従った食感改良剤の調製工程を含んだ工程としてもよく、又は上記の食感改良剤の調製手順若しくはその他の手順に従って既に調製済みの食感改良剤を提供する工程であってもよい。
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で提供された食感改良剤でタンパク質食材含有食品の原材料、例えばエビなどの甲殻類を含む魚介類、畜肉等を処理する。
食材を処理する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、工程(1)の食感改良剤が溶液である場合には、この溶液に食材を加えて混合する方法、食材を前記溶液にタンブリングする方法、食材に前記溶液を散布又は塗布する方法などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。別の食材の処理方法としては、粉末の食感改良剤を用いる場合、直接食材に添加して混合する方法などが挙げられる。
より具体的には、本開示において、本開示の食感改良剤が溶液状の場合、これを食材に添加して、揉み込み、手こね、単純混合、三本ロール機、タンブラーなどの混合器等により混合する方法がある。その他、食材を、食感改良剤を含む溶液に所定時間(例えば0.5時間~1時間)タンブリングし、食材に溶液を浸透させる方法などがある。更には、溶液を食材に散布、塗布又は浸漬して、所定時間(例えば0.5時間~24時間)放置するなどの方法がある。また、上記の方法を組み合わせた混合方法により食感改良剤とタンパク質材料を混合することもできる。
本開示の方法では、本開示の食感改良剤とタンパク質食材を混合し、食感改良剤で処理したタンパク質食材とした後、必要に応じて、一次加熱処理(食感改良剤で処理したタンパク質食材の調理処理を含む)などを実施できる。次に、得られたタンパク質食材を容器に入れ、加圧加熱処理を実施する。本開示では、一次加熱処理は、食感改良剤で処理したタンパク質食材を加熱処理する一般的な手順及び条件を適用できる。加圧加熱処理は、一般的には、50℃~150℃において1分~1時間、好ましくは90℃~130℃の温度において3分~30分の範囲で実施することができる。本開示では、「加熱処理」は、レトルト処理などにおける加圧加熱処理単独の処理、及び、本開示の食感改良剤で処理したタンパク質食材の一次加熱処理とその後の加圧加熱処理の両方を含む処理をいう。
このように処理することで食材の食感を改善することができ、更に、タンパク質食材含有食品(特にレトルト食品)の食感を改善することができる。
また、本開示の食感改良剤が粉末状の場合、食感改良剤を食材に直接混合することができる。混合は、例えば、揉み込み、手こね、単純混合、三本ロール機、タンブラー等による混合方法などを挙げることができる。このようにして食材の食感を改善することができる。
本開示の食感改良剤を添加しうる食材の種類は、特に限定されず、食品として利用できる如何なるものも使用することができる。本開示の食感改良剤は、例えば、えび、かに等の甲殻類、特にエビの食感を改善するのに有効である。エビの種類としては、例えば、ウシエビ、クルマエビ、アマエビ、クマエビ、ブラックタイガー、バナメイエビ、アカエビ、シロエビ、ヨシエビ、コウライエビ、シバエビ、ボタンエビ、ホワイトシュリンプ、イセエビ、タイショウエビ、ロブスター、セミエビなどを挙げることができる。また、カニの種類としては、例えば、タラバガニ、ズワイガニ、毛ガニ、ハナサキガニ、紅ズワイガニ、ワタリガニ、クリガニ、アブラガ二、タカアシガニ、イシガニ、イバラガニ、アサヒガニ、モクズガニ、サワガニ、スナガニ、イソガニ、イチョウガニ、上海ガニなどを挙げることができる。
甲殻類以外の食材としては、牛肉、豚肉、羊肉、馬肉、鶏肉などの畜肉を挙げることができる。また、本開示の食感改良剤は、上記の畜肉の食材以外にも、鹿肉、猪肉、熊肉や鯨肉等の獣肉類にも使用することができる。更に、本開示の食感改良剤は、上記の甲殻類及び肉類に加えて、魚介肉及び植物などにも使用することができる。魚介肉としては、すけとうだら、ほっけ、あじ、まいわし、きんときだい、いとよりだい、しろぐち、たちうお、はも、ほしざめ、よしきりざめ、れんこだい及びくろかじき等の魚類、いか、ほたて、アサリ等の貝類を挙げることができる。植物としては、イネ属植物、コムギ属植物、オオムギ属植物及びカラスムギ属植物等の種子、大豆、エンドウ豆、ひよこ豆、そら豆などの豆類を挙げることができる。
上記の食材は、上述した具体的な食材を単独で使用する、又は複数種類組み合わせて使用することができる。また、上記食材は、生、加工品(加熱済みのものを含む)、冷凍品などの市販品として入手することができる。
本開示の食感改良剤を食材と混合するときの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。本開示では、食感改良剤の添加量(溶媒を含まない)は、食材1kgあたり、0.2%~10%、好ましくは0.5%~10%、より好ましくは1~5%の重量割合である。なお、本開示の食感改良剤を溶液として食材に添加する場合、前記重量割合となるように、本開示の上記第1~第3の実施形態の食感改良剤の成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)、成分(e)及び/又は成分(f)を含む溶液を調製して、食材に添加すればよい。具体的には、例えば本開示の食感改良剤の1~5%、好ましくは4%水溶液を、食材の全重量の50重量%の量で添加することができる。
3. 食感改良剤を用いたタンパク質食材含有食品の製造方法
本開示の第3は、上記本開示の食感改良剤を用いるタンパク質食材含有食品、例えばレトルト食品の製造方法である。本開示の製造方法は、以下の工程を含む。
(1)本開示の食感改良剤を提供する工程と、
(2)工程(1)で得た前記食感改良剤とタンパク質食材含有食品の原材料を混合し、加熱処理する工程。
<工程(1)>
工程(1)は、本開示の食感改良剤を提供する工程である。この工程における食感改良剤は、上述した食感改良剤の調製方法で説明した手順に従って調製することができる。本工程(1)は、上記の食感改良剤の調製手順に従った食感改良剤の調製工程を含んだ工程としてもよく、又は上記の食感改良剤の調製手順若しくはその他の手順に従って既に調製済みの食感改良剤を提供する工程であってもよい。
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で提供された食感改良剤でタンパク質食材含有食品の原材料、例えばエビなどの甲殻類を含む魚介類、畜肉等を処理する。
食材を混合する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。本工程は、上述した食感改良剤を用いた食感を改良する方法(第2の態様)の工程(2)と同様の手順を用いることができる。
本開示の食感を改良する方法、及び、タンパク質食材含有食品の製造方法では、更に追加の工程を含むことができる。
追加の工程としては、本開示の効果を損なわない限り制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、レトルト食品では、上記工程(2)において、本開示の食感改良剤とタンパク質食材を混合し、必要に応じて混合物を加熱(一次加熱)した後、レトルト食品を調製する工程を含むことができる。なお、本開示の食感改良剤を用いた場合、一次加熱をすることで、書簡改良剤の効果を高めることができることがある。また、レトルト食品の調製には、レトルト食品の調理、殺菌を含む加圧加熱処理(レトルト処理)等の工程が含まれうる。レトルト食品の調理及び加圧加熱処理は、当技術分野において知られる一般的な条件及び手順を用いることができる。例えば、加圧加熱殺菌処理はオートクレーブ中で、調理した食品を加圧加熱処理することが含まれる。加えて、食材として冷凍されているものを使用する場合、上記工程(2)の前に冷凍食材を解凍する解凍工程を含むことができる。更に、上記工程(2)において、加熱処理(例えば一次加熱処理)には、タンパク質食材含有食品を調理する工程(例えば、煮込む、焼く、蒸す等の各種工程)が含まれていてもよい。
本開示の食感改良剤を利用する食品は、レトルト食品が好ましいが、これに限定されない。例えば、缶詰、凍結乾燥品、冷凍食品などを挙げることができる。例えば、タンパク質食材含有食品が缶詰である場合は、工程(2)において、レトルト袋に代えて缶詰容器を使用すればよい。例えば、本開示の食感改良剤で処理し、得られたタンパク質食材を必要に応じて一次加熱処理を施した後、缶詰容器に詰め、上記のレトルト食品で説明したような加圧加熱処理を実施すればよい。また、凍結乾燥品、冷凍食品などでは、工程(2)で上記と同様の必要に応じた一次加熱処理及び加圧加熱処理を施した後に、得られた食品を、凍結乾燥、冷凍処理などの各種工程にかけることができる。これらの工程は、当分野で周知の方法を適用することができる。本開示では、「タンパク質食材含有食品」は、本開示の食感改良剤で処理したタンパク質食材自体を含む。
本開示の食感改良剤を用いたタンパク質食材含有食品の製造方法によれば、上述した食材自体の食感を改善できるとともに、当該食材を含む食品の食感を改善することができる。より具体的には、本開示の食感改良剤を用いた、食感を改良する方法、及び、タンパク質食材含有食品の製造方法によれば、上述したタンパク質食材のタンパク質の変性を抑えることに起因して、歯ごたえ及び弾力性などが優れた、独特の食感を達成することができる。なお、エビを含む甲殻類の歯ごたえは、食材のプリプリ感で評価することができる。食品のプリプリ感は、例えば、トレーニングを積んだパネラー(例えば5名)によって食材を評点法官能検査により評価することができる。また、アサリなどの魚介類、鶏肉、豚肉、牛肉などの肉類では、軟らかさ、肉繊維のまとまり等によっても食感を評価することができる。
実施例により本開示を更に詳細に説明するが、本開示の技術的範囲は以下の実施例に限定されない。
実施例において使用した原材料及び機器を以下に示す。なお、本明細書において、食感改良剤の水溶液を単に「処理液」とも称する。
<食材>
・エビ:5尾(大きさ:71/90)((株)海老正)
・ボイル済みアサリ:5匹(市販品)
・鶏むね肉:(カット:5個)((株)プレコフーズ社製)
・牛もも肉:(カット:5個)((株)プレコフーズ社製)
・トマトソース(品名:カゴメ基本のトマトソース(カゴメ(株)社製))
<各種原料>
・アルカリ剤
炭酸ナトリウム(NaCO3
品名:ソーダ灰(ソーダアッシュジャパン社製)
有機酸塩
品名:クエン酸三ナトリウム(扶桑化学工業社製)(クエン酸Na3
有機酸
品名:クエン酸(扶桑化学工業社製)
・タンパク質
血漿タンパク質
品名:AProPork(APC Europe SLU社製)
エンドウ豆タンパク質
品名:Empro(登録商標) E86 HV(EMSLAND社製)
コラーゲンタンパク質
品名:ScanProTMFCP 75/SF(Essentia Protein Solutions Ptd.Ltd.社製)
・酵素(粉末)
酵素製剤(プロテアーゼ(1))ナガセケムテックス社製
酵素製剤(プロテアーゼ(2))プロテアーゼ(1)に比べ活性値が2倍のもの(ナガセケムテック社製)
プロテアーゼ(3)高活性プロテアーゼ(ナガセケムテックス社製)
・食塩
品名:精選特級塩うず塩微粒(鳴門塩業(株)社製)
・アルギン酸ナトリウム
品名:キミカアルギン((株)キミカ社製)
・乳酸カルシウム
品名:発酵乳酸カルシウム(昭和化工(株)社製)
<機器>
・オーブン
スチームコンベクションオーブン(ニチワ電気社製)
・オートクレーブ
高圧蒸気滅菌機KTS-2346型(アルプ株式会社製)
以下の実施例において、各数値のパーセンテージは重量%である。
以下の実施例及び比較例の評価方法について説明する。
<レトルト試料の評価>
a.)歩留りの評価
タンパク質材料の初期重量(g)、タンブリング試料(各実施例で説明した手順でタンパク質食材を4%食感改良剤水溶液で処理したもの)の重量(処理後重量)(g)タンブリング試料の一次加熱試料(タンブリング試料に一次加熱を施した試料)の重量(g)、及びレトルト試料の加圧加熱殺菌処理(レトルト処理)後の重量(g)を測定し、以下の2種の歩留まりを求めた。以下の計算式より歩留まり(%)を求めた。
(一次/初期)歩留まり(%)=(A/B)×100
A:タンブリング試料の一次加熱後の試料の重量(g)
B:タンパク質食材の初期重量(g)
(レトルト/初期)歩留まり(%)=(A/B)×100
A:レトルト試料の加圧加熱殺菌処理後の重量(g)
B:タンパク質食材の初期重量(g)
レトルト試料について測定した歩留りは、ジューシー感に直接関連し、弾力、プリプリ感にも間接的な関連性を有する。歩留りの数値が高い試料ほど、ジューシー感、弾力及びプリプリ感に優れる食感を有することにつながる。
b.)官能検査方法
官能評価は、トレーニングを積んだパネラー5名によってレトルト試料のジューシー感、プリプリ感、弾力、味、香り、及び総合的な評価についての評点法官能検査を行うことで実施した。なお、鶏肉、牛肉等の肉類については、プリプリ感に代えて、軟らかさ及び肉繊維のまとまりについて試験した。この評点法官能検査では、比較例1のレトルト試料の「ジューシー感」、「プリプリ感」、「軟らかさ」、「肉繊維のまとまり」、「弾力」、「味」、「香り」及び「総合評価」を4.0とした上で、残りの試料に関するジューシー感」、「プリプリ感」、「弾力」、「味」、「香り」及び「総合評価」について1(非常に悪い)~4(普通)~7(非常に良い)で評価した。
ジューシー感は、パサついた食感を非常に悪い(1点)とし、良好な食感を非常によい(7点)とした。プリプリ感は、柔らかい食感を非常に悪い(1点)とし、プリプリとした食感を非常に良い(7点)とした。軟らかさは、硬い食感を非常に悪い(1点)とし、軟らかい食感を非常に良い(7点)とした。「肉繊維のまとまり」は、肉繊維の崩れが多い場合を非常に悪い(1点)とし、肉繊維の崩れがない場合を非常によい(7点)とした。弾力については、弾力のない食感を非常に悪い(1点)とし、弾力を有する食感を非常に良い(7点)とした。味は、美味しくない、食べにくい食味(食べ物の味)を非常に悪い(1点)とし、美味しい、食べやすい食味を非常によい(7点)とした。香りは、臭みがある風味を非常に悪い(1点)とし、臭みがない風味を非常によい(7点)とした。
レトルト試料について、プリプリ感は、エビなどのレトルト試料のタンパク質食材を変形させるのに必要な力であり、タンパク質食材を形作るタンパク質の変性の評価(レトルト試料を食べたときの歯ごたえ、プリプリした感触を示す指標)となりうる。
レトルト試料について、弾力はレトルト試料を食べたときの弾力感を示す指標となる。
また、以下に示す実施例及び比較例における総合評価とは、ジューシー感、プリプリ感、柔らかさ、肉繊維のまとまり、弾力、味及び香りの全体を加味した評価がレトルト製品として好ましいかどうかに関する評価であり、ジューシー感、プリプリ感、軟らかさ、肉繊維のまとまり、弾力、味及び香りについて総合的に評価したものである。
(I)実施例1~5及び比較例1
実施例1~5及び比較例1の食感改良剤を、以下の表1に示す各実施例の組成、及び比較例の組成に従って調製した。
Figure 0007456698000001
<食感改良剤、食感改良剤でエビを処理したエビ試料、及びレトルト試料の調製>
上記表1の実施例1~5に示す配合割合で各原材料を混合し、水を加えて、各食感改良剤(4%水溶液)を調製した。得られた各食感改良剤を食用エビに添加してエビ試料を調製し、更にレトルト試料を調製した。各試料の調製は以下の手順に従った。
1. アルカリ剤「ソーダ灰」(ソーダアッシュジャパン社製)とクエン酸三ナトリウム(扶桑化学工業社製)、血漿タンパク質「AProPork」(APC Europe SLU社製)、プロテアーゼ(1)(ナガセケムテックス社製)又はプロテアーゼ(2)、食塩(精選特級塩うず塩微粒、鳴門塩業(株))、クエン酸(扶桑化学工業社製)などの各原材料を、水中で混合して、食感改良剤を4%水溶液として調製した。
2. エビ(5匹)に対して、各実施例1~5の4%水溶液を、当該エビの総重量の50%液量で添加して1時間タンブリング処理した。
3. 食感改良剤を添加したエビタンブリング処理物を一夜(18時間)4℃の冷蔵庫中で静置し、エビタンブリング試料を得た。
4. 静置後、得られたエビタンブリング試料の溶液の性質(pH及びナトリウム量)及び重量(g)(処理後重量)を測定した。
5. エビタンブリング試料を一次加熱処理(スチームコンベクションオーブン中、90℃で5分)を行い、一次加熱処理後の溶液の性質及び重量(g)を測定した。
6. 一次加熱処理後のエビ(5尾)をレトルト袋に入れ、トマトソースを加え、真空下で密封し、レトルト試料を得た。
7. 得られたレトルト試料をオートクレーブ中で、120℃又は121℃で、20分間、加圧加熱殺菌処理を行った。得られたレトルト試料を流水下で放冷し、5分間水切りした。
8. 得られたレトルト試料の重量(g)を測定した。
上記手順に従って得られたエビタンブリング試料の一次加熱処理前後及びレトルト試料の加圧加熱殺菌処理前後のpH及びナトリウム量(%)を測定した。結果を表2に示した。
比較例1として、アルカリ剤、クエン酸三ナトリウム、血漿タンパク質、プロテアーゼ(1)、食塩、クエン酸などの食感改良剤の各材料を用いずに、エビ試料を処理し、上記実施例1~5と同様に、工程5.~8.により一次加熱及びレトルト試料の作製を行った。比較例1について、レトルト試料の加圧加熱殺菌処理(レトルト処理)前後の性質(pH及びナトリウム量(%))及び重量(g)を測定した。結果を表2に示した。
Figure 0007456698000002

アルカリ剤、血漿タンパク質、プロテアーゼ(1)及び食塩を含む食感改良剤とこれを使用したエビ試料及びレトルト試料の調製
上記「食感改良剤、食感改良剤でエビを処理したエビ試料及びレトルト試料の調製」に従い、表1の実施例1~5及び比較例1の食感改良剤を調製し、エビ試料とレトルト試料を作製した。
<評価結果>
(i)歩留まりの評価結果
実施例1~5及び比較例1の歩留まりの評価結果を表3に示した。
Figure 0007456698000003
表3に示すように、本開示の食感改良剤を使用して作製した試料では、比較例1と比較して優れた歩留まりを達成した。
(ii)官能検査の結果
実施例1~5及び比較例1の官能検査の評価結果を表4に示した。
Figure 0007456698000004
本開示の食感改良剤は、比較例1と比較して、優れた結果を得ることができた。
(II)実施例6~9及び比較例2
本開示の食感改良剤におけるアルカリ剤の含有量の検討を行った。上記「食感改良剤、食感改良剤でエビを処理したエビ試料及びレトルト試料の調製」に従い、表5に示す配合量の食感改良剤を調製し、且つエビ試料及びレトルト試料を作製した。比較例2は、タンパク質と酵素のみを有効成分として含む場合の例である。なお、比較例1及び実施例3は、参考例として実施例6~9と併せて試料を再度作製し、評価した。
Figure 0007456698000005
<評価結果>
(i)pH及びナトリウム量(%)の評価
上記手順に従って得られた実施例6~9、比較例1~2及び実施例3のエビタンブリング試料の一次加熱処理前後のpH及びナトリウム量(%)を測定した。結果を表6に示した。
Figure 0007456698000006
(ii)歩留まりの評価結果
実施例6~9及び比較例2、並びに参考例としての実施例3及び比較例1の歩留まりの評価結果を表7に示した。
Figure 0007456698000007
(iii)官能検査の結果
実施例6~9及び比較例2、並びに参考例としての実施例3及び比較例1(再試験)の官能検査の評価結果を表8に示した。
Figure 0007456698000008
表7及び8に示されるように、実施例9では、歩留まり、ジューシー感、総合評価について優れた結果を示すが、プリプリ感及び弾力、味及び香りについて、比較例1よりも低い結果が得られた。この結果から、アルカリ剤の含有量は30重量%以下であることが好ましい。
(III)実施例3、10~13及び比較例3
本開示の食感改良剤における酵素(プロテアーゼ)の含有量の検討を行った。上記「食感改良剤、食感改良剤でエビを処理したエビ試料及びレトルト試料の調製」に従い、表9に示す配合量の食感改良剤を調製し、且つエビ試料及びレトルト試料を作製した。比較例3は、酵素を使用しない例である。なお、比較例1及び実施例3は、実施例10~13及び比較例3と併せて試料を再度作製し、評価した。
Figure 0007456698000009
<評価結果>
(i)歩留まりの評価結果
実施例3、10~13、及び比較例3、並びに参考例としての比較例1の歩留まりの評価結果を表10に示した。
Figure 0007456698000010
(ii)官能検査の結果
実施例3、10~13、及び比較例3、並びに参考例としての比較例1の官能検査の評価結果を表11に示した。
Figure 0007456698000011
表10及び11に示されるように、実施例3及び10~13は、比較例1及び3と比較して、歩留まり、官能検査について優れた結果を示した。これらの結果から、酵素の含有量は1~15重量であることが好ましいと考えられる。
(IV)実施例14~16及び比較例4
本開示の食感改良剤におけるタンパク質の種類及びプロテアーゼの検討を行った。上記「食感改良剤、食感改良剤でエビを処理したエビ試料及びレトルト試料の調製」に従い、表12に示す配合量の食感改良剤を調製し、且つエビ試料及びレトルト試料を作製した。比較例1及び実施例3は参考例として、実施例14~16及び比較例4と併せて試料を再度作製し、評価した。なお、比較例4は、タンパク質を使用しない場合の例である。実施例16、及び実施例16と比較した比較例1は、後述する(VI)実施例16及び18~20の「食感改良剤、当該食感改良剤で処理したタンパク質食材試料、及びレトルト試料の調製」に記載した手順に従って試料を調製した。
Figure 0007456698000012
(i)歩留まりの評価結果
実施例14~16及び比較例4、並びに参考例としての実施例3及び比較例1の歩留まりの評価結果を表13に示した。また、実施例16は、改めて比較例1と一緒に試料を調製して、実施例14~15、比較例4、並びに実施例3とは別に試験した結果を示す。
Figure 0007456698000013
(ii)官能検査の結果
実施例14~16及び比較例4、並びに参考例としての実施例3及び比較例1(再試験)の官能検査の評価結果を表14に示した。なお、実施例16は、改めて比較例1と一緒に試料を調製して、実施例14~15、比較例4、並びに実施例3とは別に試験した結果を示す。
Figure 0007456698000014
表13及び表14からわかるとおり、血漿タンパク質、エンドウ豆タンパク質、及びコラーゲンタンパク質は、本開示の食感改良剤の成分として適する。また、プロテアーゼも活性を2倍にすることで、含有量を半減しても、実施例14~15と同程度の官能検査の結果を達成した。
(V)実施例17及び比較例5
本開示の食感改良剤における酵素の種類の検討を行った。上記「食感改良剤、食感改良剤でエビを処理したエビ試料及びレトルト試料の調製」に従い、表15に示す配合量の食感改良剤を調製し、且つエビ試料及びレトルト試料を作製した。なお、比較例1及び実施例3は、参考例として実施例17及び比較例5と併せて試料を再度作製し、評価した。なお、比較例5は、酵素を使用しない場合の例である。
Figure 0007456698000015
<評価結果>
(i)pH及びナトリウム量(%)の評価
上記手順に従って得られた実施例17、比較例1、5及び実施例3のエビタンブリング試料の一次加熱処理前後のpH及びナトリウム量(%)を測定した。結果を表16に示した。
Figure 0007456698000016
(ii)歩留まりの評価結果
実施例17及び比較例5、並びに参考例としての実施例3及び比較例1の歩留まりの評価結果を表17に示した。
Figure 0007456698000017
(iii)官能検査の結果
実施例17の及び比較例5、並びに参考例としての実施例3及び比較例1(再試験)の官能検査の評価結果を表18に示した。
Figure 0007456698000018
(VI)実施例16及び18~20
本開示の食感改良剤を表19に示した組成を用いて調製した。
Figure 0007456698000019
表19に記載の組成の食感改良剤を用いて、食感改良剤の水溶液(4%)を作製した。実施例16及び18~20のタンパク質食材はエビを使用した。具体的には、上記表19に示す配合割合で各原材料を混合し、水を加えて、各食感改良剤の水溶液(処理液)(4%)を調製した。得られた各食感改良剤の処理液をタンパク質食材に添加して試験用試料を調製し、更にレトルト試料を調製した。各試料の調製は以下の手順に従った。
<食感改良剤、当該食感改良剤で処理したタンパク質食材試料、及びレトルト試料の調製>
1. 表19に記載の各原材料を、水中で混合して、食感改良剤の水溶液(4%)を調製した。
2. タンパク質食材(エビ(5匹))に、各実施例16及び18~20の処理液を当該タンパク質食材(エビ)の総重量の50%液量で添加して1時間タンブリング処理した。
3. 食感改良剤を添加したタンパク質食材のタンブリング処理物を5分間水切りし、タンブリング試料(タンパク質食材試料)を得た。
4. 得られたタンブリング試料の溶液の性質(pH及びナトリウム量)及び重量(g)(処理後重量)を測定した。
5. タンブリング試料を一次加熱処理(スチームコンベクションオーブン中、90℃で5分)を行い、放冷後、一次加熱処理後の溶液の性質及び重量(g)を測定した。
6. 一次加熱処理後のタンパク質食材(エビ(5尾))をレトルト袋に入れ、トマトソースを加え、真空下で密封し、レトルト試料を得た。
7. 得られたレトルト試料をオートクレーブ中で、121℃で20分間、加圧加熱殺菌処理を行った。得られたレトルト試料を流水下で30分冷却し、5分間水切りした。
8. 得られたレトルト試料の重量(g)を測定した。
なお、実施例16、18~20及び比較例1において、比較例1は、実施例16及び実施例18~20と併せて試料を再度作製し、評価した。
<評価結果>
(i)pH及びナトリウム量(%)の評価
上記手順に従って得られた実施例16及び18~20のエビタンブリング試料の一次加熱処理前後のpH及びナトリウム量(%)を測定した。結果を表20に示した。
Figure 0007456698000020
(ii)歩留まりの評価結果
実施例16及び18~20、並びに比較例1の歩留まりの評価結果を表21に示した。
Figure 0007456698000021
(iii)官能検査の結果
実施例16(再試験)及び18~20及び比較例1(再試験)の官能検査の評価結果を表22に示した。
Figure 0007456698000022
表21及び22に示されるように、実施例16及び18~20では、歩留まり、ジューシー感、総合評価について優れた結果を示した。この結果から、本開示の食感改良剤は、プロテアーゼの活性を高めることで、プロテアーゼの含有量を低減でき、且つアルギン酸ナトリウム及び乳酸カルシウムを成分として追加することができる。
(VII)実施例20~24
本開示の食感改良剤を表23に示した組成を用いて調製した。
Figure 0007456698000023
表23に記載の組成の食感改良剤を用いて、表24に示す1重量%~5重量%の食感改良剤の濃度範囲を有する処理液を作製した。実施例20~24のタンパク質食材はエビを使用した。具体的には、上記表23に示す配合割合で各原材料を混合し、水を加えて、各食感改良剤の水溶液(処理液)(1~5%)を調製した。得られた各食感改良剤の処理液をタンパク質食材(エビ(5尾))に添加して試験用試料を調製し、更にレトルト試料を調製した。各試料の調製は実施例16及び18~20で説明した手順に従った。
なお、実施例20~24において、比較例1及び実施例20は、実施例21~24と併せて試料を再度作製し、評価した。
Figure 0007456698000024
<評価結果>
(i)pH及びナトリウム量(%)の評価
上記手順に従って得られた実施例20~24及び比較例1のエビタンブリング試料の一次加熱処理前後のpH及びナトリウム量(%)を測定した。結果を表25に示した。
Figure 0007456698000025
(ii)歩留まりの評価結果
実施例20~24及び比較例1の歩留まりの評価結果を表26に示した。
Figure 0007456698000026
(iii)官能検査の結果
実施例20~24及び比較例1(再試験)の官能検査の評価結果を表27に示した。
Figure 0007456698000027
表26及び27に示されるように、実施例20~24では、歩留まり、ジューシー感、総合評価について優れた結果を示すが、実施例21の結果は、比較例1と同程度の結果が得られた。この結果から、本開示の食感改良剤は、約2%以上の濃度で使用することが好ましく、約3%以上の濃度で使用することがより好ましいと考えられる。
(VIII)実施例20及び25~28
実施例20及び25~28では、アルギン酸塩の濃度範囲を検討した。
本開示の食感改良剤を表28に示した組成を用いて調製した。
Figure 0007456698000028
表28に記載の組成の食感改良剤を用いて、4%の食感改良剤の濃度を有する処理液を作製した。実施例20及び25~28のタンパク質食材はエビを使用した。具体的には、上記表28に示す配合割合で各原材料を混合し、水を加えて、各食感改良剤の水溶液(処理液)(4%)を調製した。得られた各食感改良剤の処理液をタンパク質食材(エビ(5尾))に添加して試験用試料を調製し、更にレトルト試料を調製した。各試料の調製は実施例16及び18~20で説明した手順に従った。
なお、実施例20及び25~28において、比較例1は、実施例20及び実施例25~28と併せて試料を再度作製し、評価した。
<評価結果>
(i)pH及びナトリウム量(%)の評価
上記手順に従って得られた実施例20及び25~28のエビタンブリング試料の一次加熱処理前後のpH及びナトリウム量(%)を測定した。結果を表29に示した。
Figure 0007456698000029

(ii)歩留まりの評価結果
実施例20及び25~28、並びに比較例1の歩留まりの評価結果を表30に示した。
Figure 0007456698000030

(iii)官能検査の結果
実施例20(再試験)及び25~28、並びに比較例1(再試験)の官能検査の評価結果を表31に示した。
Figure 0007456698000031

表30及び31に示されるように、実施例20及び25~28では、歩留まり、ジューシー感、総合評価について優れた結果を示した。特に、アルギン酸ナトリウムの濃度が3重量%の場合に、優れた効果が実現された。
(IX)実施例29~33及び比較例6
実施例29~33及び比較例6は、タンパク質食材としてアサリを使用した場合の例である。
実施例29~33では、食感改良剤は表32に示される組成を有していた。なお、比較例6は、本開示の食感改良剤を用いない例である。
Figure 0007456698000032
表32に記載の組成の食感改良剤を用いて、表33に示す1重量%~5重量%の食感改良剤の濃度範囲を有する処理液を作製した。これらの実施例のタンパク質食材はアサリを使用した。具体的には、上記表32に示す配合割合で各原材料を混合し、水を加えて、各食感改良剤の水溶液(処理液)(1~5%)を調製した。得られた各食感改良剤の処理液をタンパク質食材(実施例29~33及び比較例6はアサリを使用した。)に添加して試験用試料を調製し、更にレトルト試料を調製した。各試料の調製は以下の手順に従った。
<食感改良剤、当該食感改良剤で処理したタンパク質食材試料、及びレトルト試料の調製>
1. 表32に記載の各原材料を、水中で混合して、食感改良剤の水溶液(1~5%)を調製した。
2. タンパク質食材(ボイル済みの冷凍アサリ(5匹))に、各実施例29~33の処理液を当該タンパク質食材(アサリ)の総重量の50%液量で添加して2時間浸漬処理した。
3. 食感改良剤を添加したタンパク質食材のタンブリング処理物を5分間水切りし、タンブリング試料(タンパク質食材試料)を得た。
4. 得られたタンブリング試料の溶液の性質(pH及びナトリウム量)及び重量(g)(処理後重量)を測定した。
5. タンブリング試料を一次加熱処理(スチームコンベクションオーブン中、90℃で5分)を行い、放冷後、一次加熱処理後の溶液の性質及び重量(g)を測定した。
6. 一次加熱処理後のタンパク質食材(アサリ(5匹))をレトルト袋に入れ、トマトソースを加え、真空下で密封し、レトルト試料を得た。
7. 得られたレトルト試料をオートクレーブ中で、121℃で20分間、加圧加熱殺菌処理を行った。得られたレトルト試料を流水下で30分冷却し、5分間水切りした。
8. 得られたレトルト試料の重量(g)を測定した。
なお、実施例29~33及び比較例6において、比較例6は、本開示の食感改良剤を用いずに、アサリのタンパク質食材に対して上記調製手順に従い、工程5.~8.を実施して、一時加熱及びレトルト試料を作製し、評価した。
Figure 0007456698000033
<評価結果>
(i)pH及びナトリウム量(%)の評価
上記手順に従って得られた実施例29~33及び比較例6のアサリのタンブリング試料の一次加熱処理前後のpH及びナトリウム量(%)を測定した。結果を表34に示した。
Figure 0007456698000034
(ii)歩留まりの評価結果
実施例29~33及び比較例6の歩留まりの評価結果を表35に示した。
Figure 0007456698000035

(iii)官能検査の結果
実施例29~33及び比較例6の官能検査の評価結果を表36に示した。
Figure 0007456698000036
表35及び36に示されるように、実施例29~33では、歩留まり及び官能検査について優れた結果を示した。これらの結果は、アサリなどの魚介類においても本開示の食感改良剤が有効であることを示す。
(X)実施例34~38及び比較例7
実施例34~38及び比較例7は、タンパク質食材として鶏肉を使用した場合の例である。
実施例34~38は、食感改良剤は表37に示される組成を有していた。なお、比較例7は、本開示の食感改良剤を用いない例である。
Figure 0007456698000037
表37に記載の組成の食感改良剤を用いて、表38に示す1重量%~5重量%の食感改良剤の濃度範囲を有する処理液を作製した。これらの実施例のタンパク質食材は鶏むね肉を使用した。具体的には、上記表37に示す配合割合で各原材料を混合し、水を加えて、各食感改良剤の水溶液(処理液)(1~5%)を調製した。得られた各食感改良剤の処理液をタンパク質食材(実施例34~38及び比較例7は鶏むね肉を使用した。)に添加して試験用試料を調製し、更にレトルト試料を調製した。各試料の調製は以下の手順に従った。
<食感改良剤、当該食感改良剤で処理したタンパク質食材試料、及びレトルト試料の調製>
1. 表37に記載の各原材料を、水中で混合して、食感改良剤の水溶液(1~5%)を調製した。
2. タンパク質食材(鶏むね肉(5個))に、各実施例34~38の処理液を当該タンパク質食材(鶏むね肉)の総重量の50%液量で添加して1時間タンブリング処理した。
3. 食感改良剤を添加したタンパク質食材のタンブリング処理物を5分間水切りし、タンブリング試料(タンパク質食材試料)を得た。
4. 得られたタンブリング試料の溶液の性質(pH及びナトリウム量)及び重量(g)(処理後重量)を測定した。
5. タンブリング試料を一次加熱処理(スチームコンベクションオーブン中、200℃で10分)を行い、放冷(30分)後、一次加熱処理後の溶液の性質及び重量(g)を測定した。
6. 一次加熱処理後のタンパク質食材(鶏むね肉(5個))をレトルト袋に入れ、トマトソースを加え、真空下で密封し、レトルト試料を得た。
7. 得られたレトルト試料をオートクレーブ中で、121℃で20分間、加圧加熱殺菌処理を行った。得られたレトルト試料を流水下で30分冷却し、5分間水切りした。
8. 得られたレトルト試料の重量(g)を測定した。
なお、実施例34~38及び比較例7において、比較例7は、本開示の食感改良剤を用いずに、鶏むね肉のタンパク質食材に対して上記調製手順に従い、工程5.~8.を実施して、一時加熱及びレトルト試料を作製し、評価した。
Figure 0007456698000038
<評価結果>
(i)pH及びナトリウム量(%)の評価
上記手順に従って得られた実施例34~38及び比較例7の鶏むね肉のタンブリング試料の一次加熱処理前後のpH及びナトリウム量(%)を測定した。結果を表39に示した。
Figure 0007456698000039
(ii)歩留まりの評価結果
実施例34~38及び比較例7の歩留まりの評価結果を表40に示した。
Figure 0007456698000040

(iii)官能検査の結果
実施例34~38及び比較例7の官能検査の評価結果を表41に示した。なお、実施例34~38及び比較例7では、鶏肉の繊維のまとまりについても評価した。肉繊維のまとまりは、肉繊維の崩れを評価するものであり、数値が高い方が肉繊維の崩れが少なく、肉のバラバラ感が少ないことを示す。肉繊維の崩れが少ないことは、調理後の仕上がりがよく、加熱処理時のタンパク質含有食材の筋繊維へのダメージが低減されていることを示す。
Figure 0007456698000041
表40及び41に示されるように、実施例34~38では、歩留まり及び官能検査について優れた結果を示す。これらの結果は、鶏肉などの畜肉においても本開示の食感改良剤が有効であることを示す。
(XI)実施例39~43及び比較例8
実施例39~43及び比較例8は、タンパク質食材として牛もも肉を使用した場合の例である。
実施例39~43では、食感改良剤は表42に示される組成を有していた。なお、比較例8は、本開示の食感改良剤を用いない例である。
Figure 0007456698000042
表42に記載の組成の食感改良剤を用いて、表43に示す1重量%~5重量%の食感改良剤の濃度範囲を有する処理液を作製した。これらの実施例のタンパク質食材は牛もも肉を使用した。具体的には、上記表42に示す配合割合で各原材料を混合し、水を加えて、各食感改良剤の水溶液(処理液)(1~5%)を調製した。得られた各食感改良剤の処理液をタンパク質食材(実施例39~43及び比較例8は牛もも肉を使用した。)に添加して試験用試料を調製し、更にレトルト試料を調製した。各試料の調製は以下の手順に従った。
<食感改良剤、当該食感改良剤で処理したタンパク質食材試料、及びレトルト試料の調製>
1. 表42に記載の各原材料を、水中で混合して、食感改良剤の水溶液(1~5%)を調製した。
2. タンパク質食材(牛もも肉(5個))に、各実施例39~43の処理液を当該タンパク質食材(牛もも肉)の総重量の50%液量で添加して1時間タンブリング処理した。
3. 食感改良剤を添加したタンパク質食材のタンブリング処理物を5分間水切りし、タンブリング試料(タンパク質食材試料)を得た。
4. 得られたタンブリング試料の溶液の性質(pH及びナトリウム量)及び重量(g)(処理後重量)を測定した。
5. タンブリング試料を一次加熱処理(スチームコンベクションオーブン中、200℃で10分)を行い、放冷(30分)後、一次加熱処理後の溶液の性質及び重量(g)を測定した。
6. 一次加熱処理後のタンパク質食材(牛もも肉(5個))をレトルト袋に入れ、トマトソースを加え、真空下で密封し、レトルト試料を得た。
7. 得られたレトルト試料をオートクレーブ中で、121℃で20分間、加圧加熱殺菌処理を行った。得られたレトルト試料を流水下で30分冷却し、5分間水切りした。
8. 得られたレトルト試料の重量(g)を測定した。
なお、実施例39~43及び比較例8において、比較例8は、本開示の食感改良剤を用いずに、牛もも肉のタンパク質食材に対して上記調製手順に従い、工程5.~8.を実施して、一時加熱及びレトルト試料を作製し、評価した。
Figure 0007456698000043
<評価結果>
(i)pH及びナトリウム量(%)の評価
上記手順に従って得られた実施例39~43及び比較例8の牛もも肉のタンブリング試料の一次加熱処理前後のpH及びナトリウム量(%)を測定した。結果を表44に示した。
Figure 0007456698000044
(ii)歩留まりの評価結果
実施例39~43及び比較例8の歩留まりの評価結果を表45に示した。
Figure 0007456698000045
(iii)官能検査の結果
実施例39~43及び比較例8の官能検査の評価結果を表46に示した。なお、実施例39~43及び比較例8では、牛肉の繊維のまとまりについても評価した。牛肉繊維のまとまりは、肉繊維の崩れを評価するものであり、数値が高い方が肉繊維の崩れが少なく、肉のバラバラ感が少ないことを示す。肉繊維の崩れが少ないことは、調理後の仕上がりがよく、加熱処理時のタンパク質含有食材の筋繊維へのダメージが低減されていることを示す。
Figure 0007456698000046
表45及び46に示されるように、実施例39~43は、歩留まり及び官能検査について優れた結果を示した。これらの結果は、牛肉などの畜肉においても本開示の食感改良剤が有効であることを示す。

Claims (7)

  1. タンパク質食材含有レトルト食品の食感改良剤であって、
    (a)アルカリ剤、
    (b)タンパク質、
    (c)プロテアーゼ、及び
    (d)食塩
    を含む、レトルト食品の食感改良剤。
  2. タンパク質食材含有レトルト食品の食感改良剤であって、
    (a)アルカリ剤、
    (b)タンパク質、
    (c)プロテアーゼ、
    (d)食塩、及び
    (e)アルギン酸塩
    を含む、レトルト食品の食感改良剤。
  3. (f)カルシウム塩を更に含む、請求項2に記載のレトルト食品の食感改良剤。
  4. 前記アルカリ剤が、無機酸塩又は有機酸塩から選択される、請求項1又は2に記載のレトルト食品の食感改良剤。
  5. 前記タンパク質が、動物性タンパク質又は植物性タンパク質である、請求項1~3の何れか一項に記載のレトルト食品の食感改良剤。
  6. 前記タンパク質食材が、魚介類又は畜肉から選択される、請求項1~3の何れか一項に記載のレトルト食品の食感改良剤。
  7. 前記魚介類が甲殻類である、請求項6に記載のレトルト食品の食感改良剤。
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