JP5802214B2 - 畜肉加工食品の製造方法及び畜肉加工食品改質用の酵素製剤 - Google Patents

畜肉加工食品の製造方法及び畜肉加工食品改質用の酵素製剤 Download PDF

Info

Publication number
JP5802214B2
JP5802214B2 JP2012541896A JP2012541896A JP5802214B2 JP 5802214 B2 JP5802214 B2 JP 5802214B2 JP 2012541896 A JP2012541896 A JP 2012541896A JP 2012541896 A JP2012541896 A JP 2012541896A JP 5802214 B2 JP5802214 B2 JP 5802214B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
arginine
meat
added
amount
control
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012541896A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2012060409A1 (ja
Inventor
律彰 山田
律彰 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ajinomoto Co Inc
Amano Enzyme Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
Amano Enzyme Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ajinomoto Co Inc, Amano Enzyme Inc filed Critical Ajinomoto Co Inc
Priority to JP2012541896A priority Critical patent/JP5802214B2/ja
Publication of JPWO2012060409A1 publication Critical patent/JPWO2012060409A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5802214B2 publication Critical patent/JP5802214B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L13/00Meat products; Meat meal; Preparation or treatment thereof
    • A23L13/60Comminuted or emulsified meat products, e.g. sausages; Reformed meat from comminuted meat product
    • A23L13/67Reformed meat products other than sausages
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L13/00Meat products; Meat meal; Preparation or treatment thereof
    • A23L13/40Meat products; Meat meal; Preparation or treatment thereof containing additives
    • A23L13/42Additives other than enzymes or microorganisms in meat products or meat meals
    • A23L13/428Addition of flavours, spices, colours, amino acids or their salts, peptides, vitamins, yeast extract or autolysate, nucleic acid or derivatives, organic acidifying agents or their salts or acidogens, sweeteners, e.g. sugars or sugar alcohols; Addition of alcohol-containing products
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L13/00Meat products; Meat meal; Preparation or treatment thereof
    • A23L13/40Meat products; Meat meal; Preparation or treatment thereof containing additives
    • A23L13/48Addition of, or treatment with, enzymes
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L13/00Meat products; Meat meal; Preparation or treatment thereof
    • A23L13/60Comminuted or emulsified meat products, e.g. sausages; Reformed meat from comminuted meat product
    • A23L13/65Sausages

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Nutrition Science (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Description

[関連出願についての記載]
本発明は、日本国特許出願:特願2010−248247号(2010年11月05日出願)の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は引用をもって本書に組み込み記載されているものとする。
本発明は、アルギニン又はその塩とプロテイングルタミナーゼを用いることを特徴とする畜肉加工食品の製造方法、及び畜肉加工食品改質用の酵素製剤に関するものである。
畜肉加工食品分野においては、様々なニーズが存在する。例えば、絹挽きソーセージのような絹挽き肉を用いた加工品においてはしっかりとした歯ごたえや弾力が求められ、ハンバーグのような粗挽き肉を用いた加工品においては肉粒感が求められ、から揚げや豚カツのような一枚肉を用いた加工品においては柔らかさや自然な繊維感が求められる。また、全てに共通して、歩留まりやジューシー感の向上が求められている。これらの課題を解決するために、多くの改質技術が既に用いられており、特に重合リン酸塩の使用は非常に効果的であるため畜肉加工食品の製造過程においてごく一般的に使用されている。しかし、多くのニーズを実現できる一方で、肉粒感や繊維感が低下してしまうという欠点もある。また、リン酸塩は生体内のカルシウムとリンのバランスを崩すこと、特に重合リン酸塩はその強力な金属封鎖能によりカルシウムを不溶化させその吸収を阻害するということが明らかになりつつあり、リン酸塩を多用する加工食品の消費量が高まる中で、栄養学的にリン酸塩の過剰摂取が問題と考えられるようになってきている。
特許2705024号公報 特許4385632号公報 WO2010−074338 WO2006−075771 特開2004−242674号公報 特公昭57−021969号公報 特開平7−155138号公報 特開2002−199859号公報 WO2005−032279
上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。
以下の分析は、本発明によって与えられたものである。
そのため近年は重合リン酸塩を使用しない改質技術に注目が集まっており、トランスグルタミナーゼを用いた畜肉加工食品の改質方法(特許文献1)が開示されているが、食感における一部のニーズは満たすものの、歩留まりが低下するなどの課題が残されている。更には、トランスグルタミナーゼと酸化カルシウム及びクエン酸三ナトリウムを用いた畜肉加工食品の改質方法(特許文献2)なども開示されている。しかし、この方法は食感改質効果は非常に高いものの、強アルカリ原料を使用しているため、酸性静菌剤の使用が困難である。ハムに対してトランスグルタミナーゼと塩化マグネシウムを併用するという方法(特許文献3)も開示されており、ハムの硬さや結着性において非常に高い効果を発揮するものの、歩留まりにおいては更なる向上が期待されている。
タンパク質に作用するその他の酵素としては、プロテイングルタミナーゼを用いた畜肉加工食品の改質方法(特許文献4)が開示されている。歩留まりの向上や単身品におけるやわらかさの付与など、非常に顕著な効果が得られるものの、練製品において硬さが低下するなどの課題も残されていた。また、プロテイングルタミナーゼと他の改質剤を畜肉加工食品に対して併用するという知見は、未だ報告されていない。
酵素以外の食肉改質方法としては多くの知見が報告されており、例えば塩化ナトリウムと共に塩化カルシウムと塩化マグネシウムを併用する方法(特許文献5)が開示されているが、弾力や結着性における改質効果が不十分であった。また、アルギニンなどの塩基性アミノ酸を用いる方法(特許文献6)は非常に効果的であり、アルギニンとタンパク加水分解物などを併用する方法(特許文献7)、アルギニンなどの塩基性アミノ酸と油脂および乳化剤からなる乳化液を用いる方法(特許文献8)なども開示されている。いずれにおいても高い改質効果は得られるものの、リン酸塩の利点を代替し、かつリン酸塩の欠点を克服するには至っていない。アルギニンと焼き塩、グルタチオン、糖アルコール、加工澱粉などを併用する方法(特許文献9)も開示されており、非常に高い効果を発揮するものの、加工澱粉を用いており沈殿が生じるため、更なるハンドリング適性の向上が期待されている。
このように畜肉加工食品の改質方法に関しては非常に多くの知見が報告されているが、プロテイングルタミナーゼとアルギニンを併用した例はなく、これらの組み合わせによる効果が単純な相加効果ではないことは容易に想像し得るものではなかった。
本発明の目的は、物性や歩留まり及び食味の改善された畜肉加工食品の製造方法、及び畜肉加工食品改質用の酵素製剤を提供することである。
本発明者等は、鋭意研究を行った結果、アルギニン又はその塩及びプロテイングルタミナーゼを用いて畜肉加工食品を製造することにより上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の通りである。
(1)アルギニン又はその塩とプロテイングルタミナーゼを用いることを特徴とする畜肉加工食品の製造方法。
(2)アルギニン又はその塩の添加量が、アルギニン換算で畜肉原料1gあたり0.000001g〜0.1gであり、プロテイングルタミナーゼの添加量が畜肉原料1gあたり0.00001U〜100Uである(1)記載の方法。
(3)アルギニン又はその塩の添加量が、アルギニン換算で畜肉原料1gあたり0.00001g〜0.05gであり、プロテイングルタミナーゼの添加量が畜肉原料1gあたり0.0001U〜10Uである(1)記載の方法。
(4)さらにトランスグルタミナーゼを用いることを特徴とする(1)記載の方法。
(5)アルギニン又はその塩とプロテイングルタミナーゼを含有する畜肉加工食品改質用の酵素製剤。
(6)プロテイングルタミナーゼの含有量が、アルギニン換算でのアルギニン又はその塩1gあたり、0.01U〜1000000Uである(5)記載の酵素製剤。
(7)プロテイングルタミナーゼの含有量が、アルギニン換算でのアルギニン又はその塩1gあたり、0.1U〜100000Uである(5)記載の酵素製剤。
(8)さらにトランスグルタミナーゼを含有する(5)記載の酵素製剤。
本発明により、物性や歩留まり及び食味の改善された畜肉加工食品を提供することができる。
本発明の実施例2に係る豚ゲルの歩留まりを示す図である。 本発明の実施例2に係る豚ゲルの破断強度を示す図である。 本発明の実施例3に係る豚ゲルの歩留まり及び破断強度を示す図である。
本発明による畜肉加工食品の製造方法には、アルギニン又はその塩とプロテイングルタミナーゼを用いる。アルギニン又はその塩の例としては、アルギニン、アルギニングルタミン酸塩、アルギニン塩酸塩、アルギニン酢酸塩、アルギニン酪酸塩、アルギニン硫酸塩などが挙げられ、その他いかなる塩でもよく、それらの組み合わせでも構わない。L体、D体、それらの混合物でもよい。また、本発明で用いるアルギニン又はその塩は、醗酵法、抽出法など、いかなる方法で製造されたものでも構わない。尚、味の素(株)より市販されているアルギニンがその一例である。
プロテイングルタミナーゼは、タンパク質中のグルタミン残基が有するアミド基に直接作用して、ペプチド結合の切断及びタンパク質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有する酵素のことを指し、蛋白質脱アミド酵素と呼ばれることもある。この活性を有する酵素であれば、いかなる起源のものでもよく、組み換え酵素であっても構わない。このような酵素の例として、特許3609648号公報〈参考文献1〉、特許3696500号公報〈参考文献2〉に開示された、クリセオバクテリウム属、フラボバクテリウム属又はエンペドバクター属由来の、蛋白質脱アミド酵素があるが、これらに特に限定されるものではない。好ましくは、クリセオバクテリウム属由来の酵素が選択され、クリセオバクテリウム属由来のプロテインフルタミナーゼは天野エンザイム社より市販されている。尚、トランスグルタミナーゼは食品原料に作用させた場合、タンパク質の架橋反応が優先的に起こり、脱アミド反応はほとんど起こらないため、トランスグルタミナーゼは本発明におけるプロテイングルタミナーゼに含まれない。尚、上記参考文献1及び2の記載内容は、引用をもって本書に組み込まれる。
本発明の畜肉加工食品としては、から揚げ、豚カツ、ハム、焼き肉、トンポーロー、チャーシュー等の単身品や、ソーセージ、ハンバーグ、ミートボール等の畜肉練り製品が挙げられる。また、これらの冷凍品も含まれる。畜肉加工食品にアルギニン又はその塩及びプロテイングルタミナーゼを用いる場合は、製造時のどの段階で添加し、作用させても構わない。あるいは、原料の一部に作用させてもよく、例えばから揚げの漬け込み用或いはタンブリング用のピックル液に添加して原料肉に作用させても構わない。更に、アルギニン又はその塩とプロテイングルタミナーゼを食塩、糖類、香辛料、酵素等他の食品原料、食品添加物と併用しても構わない。畜肉原料としては、豚、牛、鶏、羊、山羊、馬、らくだ、鳩、鴨、アヒル、鶉、アルパカなど、いかなる動物由来の原料でもよく、生、乾燥、加熱品など、いかなる状態、品質でも構わない。
畜肉加工食品の製造において、アルギニン又はその塩及びプロテイングルタミナーゼを添加し、畜肉原料に作用させる場合、アルギニン又はその塩の添加量は、アルギニン換算で畜肉原料1gに対して0.000001g〜0.1g、好ましくは0.00001g〜0.05gの範囲が適正である。尚、アルギニン換算とは、アルギニン塩の重量にアルギニンの分子量を乗じ、アルギニン塩の分子量で除した値を意味する。例えば、アルギニン塩酸塩(分子量210.66)の場合、アルギニン塩酸塩1gのアルギニン換算は、1g×174.20÷210.66=0.83gとなる。
畜肉加工食品の製造において、アルギニン又はその塩及びプロテイングルタミナーゼを添加し、畜肉原料に作用させる場合、プロテイングルタミナーゼの添加量は、畜肉原料1gに対して酵素活性が0.00001U〜100U、好ましくは0.0001U〜10Uの範囲が適正である。尚、プロテイングルタミナーゼの酵素活性については、下記の方法で測定する。
(1)30mM Z−Gln−Glyを含む0.2Mリン酸バッファー(pH6.5)1mlにタンパク質脱アミド酵素を含む水溶液0.1mlを添加して、37℃、10分間インキュベートした後、0.4M TCA溶液を1ml加えて反応を停止させる。ブランクとして、30mM Z−Gln−Glyを含む0.2Mリン酸バッファー(pH6.5)1mlに0.4M TCA溶液を1ml加えて得られたものに、タンパク質脱アミド酵素を含む水溶液0.1mlを添加して、37℃で10分間インキュベートしたものを調製する。
(2)(1)で得られた溶液についてアンモニアテストワコー(和光純薬)を用い、反応により生じたアンモニア量の測定を行う。アンモニア標準液(塩化アンモニウム)を用いて作成したアンモニア濃度と吸光度(630nm)の関係を表す検量線より、反応液中のアンモニア濃度を求める。
(3)タンパク質脱アミド酵素の活性は、1分間に1μmolのアンモニアを生成する酵素量を1単位とし、以下の式から算出する。
酵素活性(u/mL)=反応液中のアンモニア濃度(mg/L)×(1/17.03)×(反応液量/酵素溶液量)×(1/10)×Df
(17.03:アンモニアの分子量 2.1:酵素反応系の液量 0.1:酵素溶液量 10:反応時間 Df:酵素溶液の希釈倍数)
畜肉加工食品にプロテイングルタミナーゼを作用させる場合の両者の添加量比については、プロテイングルタミナーゼの含有量が、アルギニン換算でのアルギニン又はその塩1gあたり、0.01U〜1000000Uであることが好ましく、0.1U〜100000Uであることがより好ましい。
プロテイングルタミナーゼの反応時間は、プロテイングルタミナーゼが基質物質に作用することが可能な時間であれば特に構わなく、非常に短い時間でも逆に長時間作用させても構わないが、現実的な作用時間としては5分〜24時間が好ましい。また、反応温度に関してもプロテイングルタミナーゼが活性を保つ範囲であればどの温度であっても構わないが、現実的な温度としては0℃〜80℃で作用させることが好ましい。すなわち、通常の畜肉加工工程を経ることで十分な反応時間が得られる。
アルギニン又はその塩及びプロテイングルタミナーゼを混合することにより、畜肉加工食品改質用の酵素製剤を得ることができる。さらに、澱粉、加工澱粉、デキストリン等の賦形剤、トランスグルタミナーゼ等の酵素、畜肉エキス等の調味料、植物蛋白、グルテン、卵白、ゼラチン、カゼイン等の蛋白質、蛋白加水分解物、蛋白部分分解物、乳化剤、クエン酸塩、重合リン酸塩等のキレート剤、グルタチオン、システイン等の還元剤、アルギン酸、かんすい、色素、酸味料、香料等その他の食品添加物等を混合することにより、畜肉加工食品改質用の酵素製剤を得ることができる。本発明の酵素製剤は液体状、ペースト状、顆粒状、粉末状のいずれの形態でも構わない。また、酵素製剤におけるアルギニン又はその塩及びプロテイングルタミナーゼの配合量は0%より多く、100%より少ないが、プロテイングルタミナーゼの含有量が、アルギニン換算でのアルギニン又はその塩1gあたり、0.01U〜1000000Uが好ましく、0.1U〜100000Uがより好ましい。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。尚、本発明は、この実施例により何ら限定されない。また、本発明において%は特に規定されている場合を除き、すべて重量%を意味する。
豚内モモ肉(国産一枚肉)を除脂し、2cm角程度の小片にカットした後、3mmダイスのミンサー(「グレートミンチWMG−22」(ワタナベフーマック社製))にてミンチ状にした。その後、肉に対して1%相当の食塩を添加し、更に上述のミンサーに3回通してペースト状の肉を得た。得られたペースト状の肉を1試験区あたり100gずつに分け、表1に示す各添加剤を10gの蒸留水に事前に溶解した溶液を上述の100gのペースト状の肉に添加混合した。すなわち、肉に対して110%加水となる。アルギニンとしては味の素社製のL−アルギニンを、プロテイングルタミナーゼとしてはクリセオバクテリウム属由来の天野エンザイム社製のもの(550U/g)を使用した。尚、前者はArg、後者はPGと略して表記する場合がある。
Figure 0005802214
添加剤溶液にて加水されたペースト状の肉を、脱気した後ビニール製のケーシングチューブ(「クレハロンフィルム47mm×270mm」(呉羽化学工業社製))に詰め、クリッパーにて結搾した。ケーシングチューブに詰めたペースト肉の重量を測定した。ケーシングチューブに詰めた肉を、5℃にて1時間静置した後、プログラムインキュベーター(「恒温恒湿槽LH21−13P」(ナガノ科学機械製作所社製))を用いて55℃にて1時間、75℃にて1時間加熱し、豚肉の加熱ゲルを得た。得られた加熱ゲルを豚ゲルと称した。豚ゲルを、5℃にて12時間保存した後、1時間室温にて静置した。豚ゲルのケーシングを開き、豚ゲル表面に付着した水分をペーパータオルにて拭き取った後、重量を測定した。加熱前のペースト状の肉の重量と比較することで、加熱歩留まりを算出した(単位は%)。豚ゲルは、2cm幅にカットし、1本の豚ゲルから5つの円筒状の豚ゲル片を得た。2cm幅の円筒状の豚ゲル片は、曲面に対してプランジャーが挿入される方向にセットし、テクスチャーアナライザー(「TA.XT.plus」(Stable Micro Systems社製))に供した。プランジャーはステンレス製の直径7mmの球体を使用し、テストスピードは1mm/secとした。破断点における荷重を破断強度(単位はg)とし、各試験区5つのデータの平均値を求め、破断強度の実測値とした。結果を表2および表3に示す。尚、アルギニンの添加量は畜肉原料に対する重量%、PGの添加量は畜肉原料1gに対する添加ユニット(U)で示した。
Figure 0005802214
Figure 0005802214
また、PGのみを添加した区分およびアルギニンのみを添加した区分の結果をもとに、併用添加区分の理論上の歩留まりおよび破断強度を算出し解析を行った。例えば、アルギニン0.3%とPG0.18U/原料肉1gを添加した試験区7の場合、試験区3のコントロールに対する歩留まり変化が「7.88%」、試験区2のコントロールに対する歩留まり変化が「6.11%」であるため、これらを同量添加した試験区7ではコントロールに対する歩留まり変化が理論上これらの値の和である「13.99%」(7.88%+6.11%)となるはずである。この値を理論値Bとした。また、同じく試験区7は、アルギニン0.6%の半量とPG0.36U/原料肉1gの半量を添加したこととなり、試験区6のコントロールに対する歩留まり変化が「14.15%」、試験区5のコントロールに対する歩留まり変化が「9.51%」であるため、これらを半量ずつ添加した試験区7ではコントロールに対する歩留まり変化が理論上これらの半数の和である「11.83%」(14.15%/2−9.51%/2)となるはずである。この値を理論値Aとした。実測値におけるコントロールに対する変化量が、これら理論値と等しければ理論通りの効果、すなわち相加効果であり、理論値よりも大きければ理論を上回る効果、すなわち相乗効果であることを意味する。
表2および表3に示す通り、歩留まり、破断強度いずれにおいても、アルギニンとPGを併用した試験区4および試験区7のコントロールに対する変化量(表2および表3中の網掛け部分)が、理論値Aおよび理論値Bのいずれよりも大きい値であった(試験区4においては理論値Aのみ)。従って、歩留まり、破断強度いずれにおいても、アルギニンとPGを併用することによる効果は、相乗的な効果であることが示された。以上より、畜肉加工食品に対してアルギニンとPGを併用することは、歩留まりや食感を改善するこれまでにない優れた手段であることが明らかとなった。
実施例1と同様の方法にて、表4に示す各添加剤を10gの蒸留水に事前に溶解した溶液を100gのペースト状の肉に添加混合し豚ゲルを作成した。ただし、実施例1の方法に加え、ケーシングチューブに注入する前に、加水した肉ペーストのpH測定を実施した。アルギニンおよびプロテイングルタミナーゼは実施例1と同じものを使用し、炭酸ナトリウムは「精製炭酸ナトリウム(無水)」(大東化学社製)を使用した。結果を図1および図2に示す。尚、本書において、炭酸ナトリウムは炭酸Naと略して表記する場合がある。アルギニンの添加量は畜肉原料に対する重量%、PGの添加量は畜肉原料1gに対する添加ユニット(U)、炭酸ナトリウムの添加量は畜肉原料に対する重量%で示した。
Figure 0005802214
図1に示す通り、5.75±0.02の同一pHにおいて、炭酸ナトリウムとPGを併用した試験区4では、試験区3の炭酸ナトリウム単独添加に比べて、2.46%の歩留まりの増加であったが、アルギニンとPGを併用した試験区6では、試験区5のアルギニン単独添加に比べて、4.27%もの歩留まりの増加が見られた。また、6.00±0.02のpHにおいても全く同じ傾向が確認された。また、図2に示す通り、破断強度においても、5.75±0.02の同一pHにおいて、炭酸ナトリウムとPGを併用した試験区4では、試験区3の炭酸ナトリウム単独添加に比べて、84.93gもの破断強度の低下が見られたが、アルギニンとPGを併用した試験区6では、試験区5のアルギニン単独添加に比べて、わずか28.84gの破断強度の低下であった。また、6.00±0.02のpHにおいても全く同じ傾向が確認された。以上より、アルギニンとPGによる歩留まりおよび破断強度に対する相乗効果は、アルギニンによるpH上昇がもたらしているのではなく、アルギニン特有の効果であることが示唆された。
実施例1と同様の方法にて、表5に示す各添加剤を10gの蒸留水に事前に溶解した溶液を100gのペースト状の肉に添加混合し豚ゲルを作成した。アルギニンおよびプロテイングルタミナーゼは実施例1と同じものを使用し、リン酸塩は「ポリゴン」(千代田商工社製)を使用した。結果を図3に示す。尚、アルギニンの添加量は畜肉原料に対する重量%、PGの添加量は畜肉原料1gに対する添加ユニット(U)、リン酸塩の添加量は畜肉原料に対する重量%で示した。
Figure 0005802214
図3に示す通り、リン酸塩とPGを併用した試験区3では、試験区2のリン酸塩単独添加に比べて、歩留まりは増加するものの破断強度が大きく低下していたが、アルギニンとPGを併用した試験区7では、試験区2とほぼ同等の物性を示す試験区6のアルギニン単独添加に比べて、歩留まりが大きく増加し破断強度の低下も非常に小さかった。また、上記とは添加量の異なる試験区4のアルギニン単独添加に対しても、PGを添加することで歩留まりが大きく増加し破断強度の低下は非常に小さかった。以上より、アルギニンとPGを併用することによる相乗効果は、リン酸塩とPGの併用では得ることのできない、アルギニン特有の効果であることが示唆された。
アルギニンとPGの併用による畜肉加工食品の改質効果の汎用性を確認するため、各種畜肉加工食品の試作を行った。
[畜肉加工食品の製造及び評価例1(ソーセージ)]
豚腕肉を除脂した後、3mmダイスのミンサー(「グレートミンチWMG−22」(ワタナベフーマック社製))を用いてミンチにし、豚脂も同様に3mmダイスのミンサーを用いてミンチにした。表6に示す配合比率にて、サイレントカッターに各原料を投入しカッティングした。品温が12℃になった時点で取り出し、脱気をした後、17mm径のコラーゲンケーシングに充填した。その後、60℃で30分間乾燥加熱、60℃で10分間スモーク、75℃で30分間ボイルし、10分間流水にて冷却することでソーセージを得た。試験区はコントロールとアルギニンおよびPG併用添加区の2試験区とし、これら添加剤は他の原料と共に投入し混合した。アルギニンの添加量は対肉0.42%、PGの添加量は0.26U/原料肉1gとし、アルギニンおよびPGは実施例1と同じものを使用した。尚、豚腕肉と豚脂を合わせて肉と称する。得られたソーセージは沸騰水にて加熱をした後、官能評価を行った。官能評価は、プリプリ感とジューシー感を有する好ましい食感であるかどうかを評価ポイントとして、4名で行った。コントロールに対してアルギニンとPGの併用区が評価ポイントにおいて非常に優れている場合は「◎」、優れている場合は「○」、やや優れている場合は「△」、コントロールと同等もしくはコントロールより劣っている場合は「×」とした。
Figure 0005802214
[畜肉加工食品の製造及び評価例2(モデルハム)]
豚ロース肉を除脂した後、3mmダイスのミンサー(「グレートミンチWMG−22」(ワタナベフーマック社製))を用いてミンチにし、表7の配合に従い事前に調製したピックル液を、ミンチ肉の40%相当量添加した。すなわち140%加水である。ミキサー(HOBART社製)にてスピード「1」で1分間、スピード「2」で4分間混合し、脱気をした後、折り径104mmのファイブラスケーシングに充填した。その後、55℃で90分間乾燥加熱、65℃で20分間スモーク、75℃で90分間ボイルし、10分間流水にて冷却することでハムを得た。試験区はコントロールとアルギニンおよびPG併用添加区の2試験区とし、これら添加剤はピックル液と共に肉原料に添加し混合した。アルギニンの添加量は対肉0.42%、PGの添加量は0.25U/原料肉1gとし、アルギニンおよびPGは実施例1と同じものを使用した。得られたハムは厚さ1.2mmにスライスし、官能評価を行った。官能評価は、プリプリ感とジューシー感を有する好ましい食感であるかどうかを評価ポイントとして、4名で行った。コントロールに対してアルギニンとPGの併用区が評価ポイントにおいて非常に優れている場合は「◎」、優れている場合は「○」、やや優れている場合は「△」、コントロールと同等もしくはコントロールより劣っている場合は「×」とした。
Figure 0005802214
[畜肉加工食品の製造及び評価例3(冷凍ハンバーグ)]
表8の配合に従い、ミキサー(HOBART社製)にて原料を混合した。混合して得られた生地についてはこれを45gずつ成型し、180℃にて3分間焼成した後、裏返して2分間焼成し、冷却した後、更に急速凍結をして冷凍ハンバーグを得た。試験区はコントロールとアルギニンおよびPG併用添加区の2試験区とし、これら添加剤は他の原料と共に投入し混合した。アルギニンの添加量は対肉0.5%、PGの添加量は0.30U/原料肉1gとし、アルギニンおよびPGは実施例1と同じものを使用した。冷凍ハンバーグは、室温にて解凍した後レンジアップをし、官能評価を行った。官能評価は、肉粒感とジューシー感を有する好ましい食感であるかどうかを評価ポイントとして、4名で行った。コントロールに対してアルギニンとPGの併用区が評価ポイントにおいて非常に優れている場合は「◎」、優れている場合は「○」、やや優れている場合は「△」、コントロールと同等もしくはコントロールより劣っている場合は「×」とした。
Figure 0005802214
[畜肉加工食品の製造及び評価例4(冷凍ミートボール)]
豚モモ肉を除脂した後、3mmダイスのミンサー(「グレートミンチWMG−22」(ワタナベフーマック社製))を用いてミンチにし、豚脂も同様に3mmダイスのミンサーを用いてミンチにした。表9に示す配合比率にて、ミキサー(HOBART社製)に各原料を投入し混合した。品温が12℃になった時点で生地を取り出し、成型した。これを50℃にて30分間座らせた後、95℃にて8分間加熱し、冷却した後急速凍結をして冷凍ミートボールを得た。試験区はコントロールとアルギニンおよびPG併用添加区の2試験区とし、これら添加剤は他の原料と共に投入し混合した。アルギニンの添加量は対肉0.44%、PGの添加量は0.27U/原料肉1gとし、アルギニンおよびPGは実施例1と同じものを使用した。尚、豚モモ肉と豚脂を合わせて肉と称する。冷凍ミートボールは、室温にて解凍した後レンジアップをし、官能評価を行った。官能評価は、肉粒感とジューシー感を有する好ましい食感であるかどうかを評価ポイントとして、4名で行った。コントロールに対してアルギニンとPGの併用区が評価ポイントにおいて非常に優れている場合は「◎」、優れている場合は「○」、やや優れている場合は「△」、コントロールと同等もしくはコントロールより劣っている場合は「×」とした。
Figure 0005802214
[畜肉加工食品の製造及び評価例5(から揚げ)]
鶏モモ肉を除皮および除脂した後、25〜30gのピースにカットし、500gのカット肉に150gの水を投入して肉に浸透させた。すなわち130%加水である。水の肉への浸透方法は2通り実施した。一つ目は、そのまま3時間漬け込む方法、二つ目はタンブラーを用いて3時間タンブリングする方法である。それぞれの方法にて処理した肉は、ザルにて5分間水を切った後、小麦粉をまぶして165℃にて4分間フライし、から揚げを得た。試験区は、漬け込み法、タンブリング法それぞれにおいて、コントロールとアルギニンおよびPG併用添加区の2試験区とし、これら添加剤は事前に水に溶解させた。アルギニンの添加量は対肉0.3%、PGの添加量は0.18U/原料肉1gとし、アルギニンおよびPGは実施例1と同じものを使用した。得られたから揚げについて、官能評価を行った。官能評価は、やわらかさとジューシー感と自然な繊維感を有する好ましい食感であるかどうかを評価ポイントとして、4名で行った。コントロールに対してアルギニンとPGの併用区が評価ポイントにおいて非常に優れている場合は「◎」、優れている場合は「○」、やや優れている場合は「△」、コントロールと同等もしくはコントロールより劣っている場合は「×」とした。
[畜肉加工食品の製造及び評価例6(豚カツ)]
豚ロース肉を除脂した後、8mmの厚さにスライスし、500gのスライス肉に150gの水を投入して肉に浸透させた。すなわち130%加水である。水の肉への浸透方法は2通り実施した。一つ目は、そのまま3時間漬け込む方法、二つ目はタンブラーを用いて3時間タンブリングする方法である。それぞれの方法にて処理した肉は、ザルにて5分間水を切った後、小麦粉をまぶし、液卵をくぐらせ、パン粉を付けて170℃にて4分間フライし、豚カツを得た。試験区は、漬け込み法、タンブリング法それぞれにおいて、コントロールとアルギニンおよびPG併用添加区の2試験区とし、これら添加剤は事前に水に溶解させた。アルギニンの添加量は対肉0.3%、PGの添加量は0.18U/原料肉1gとし、アルギニンおよびPGは実施例1と同じものを使用した。得られた豚カツについて、官能評価を行った。官能評価は、やわらかさとジューシー感と自然な繊維感を有する好ましい食感であるかどうかを評価ポイントとして、4名で行った。コントロールに対してアルギニンとPGの併用区が評価ポイントにおいて非常に優れている場合は「◎」、優れている場合は「○」、やや優れている場合は「△」、コントロールと同等もしくはコントロールより劣っている場合は「×」とした。
[畜肉加工食品の製造及び評価例7(焼き肉)]
牛バラ肉を除脂した後、2mmの厚さにスライスした。500gのスライス肉を150gの水に3時間漬け込み、水を肉に浸透させた。すなわち130%加水である。漬け込みをした肉は、ザルにて5分間水を切った後、ホットプレートを用いて180℃で5分間焼き、焼き肉を得た。試験区は、コントロールとアルギニンおよびPG併用添加区の2試験区とし、これら添加剤は事前に水に溶解させた。アルギニンの添加量は対肉0.3%、PGの添加量は0.18U/原料肉1gとし、アルギニンおよびPGは実施例1と同じものを使用した。得られた焼き肉について、官能評価を行った。官能評価は、やわらかさとジューシー感と自然な繊維感を有する好ましい食感であるかどうかを評価ポイントとして、4名で行った。コントロールに対してアルギニンとPGの併用区が評価ポイントにおいて非常に優れている場合は「◎」、優れている場合は「○」、やや優れている場合は「△」、コントロールと同等もしくはコントロールより劣っている場合は「×」とした。
[畜肉加工食品の製造及び評価例8(トンポーロー)]
豚バラ肉を除脂した後、130〜140gになるようにスライスし、スライス肉の1.7倍量の調味液と合わせてパウチ(袋容器)に封入した。調味液は、表10の配合に従い調製した。室温にて60分間静置した後、沸騰水にて60分間ボイルし、トンポーローを得た。試験区は、コントロールとアルギニンおよびPG併用添加区の2試験区とし、これら添加剤は事前に調味液に溶解させた。アルギニンの添加量は対肉0.3%、PGの添加量は0.18U/原料肉1gとし、アルギニンおよびPGは実施例1と同じものを使用した。得られたトンポーローについて、官能評価を行った。官能評価は、やわらかさとジューシー感と自然な繊維感を有する好ましい食感であるかどうかを評価ポイントとして、4名で行った。コントロールに対してアルギニンとPGの併用区が評価ポイントにおいて非常に優れている場合は「◎」、優れている場合は「○」、やや優れている場合は「△」、コントロールと同等もしくはコントロールより劣っている場合は「×」とした。
Figure 0005802214
[畜肉加工食品の製造及び評価例9(チャーシュー)]
豚バラ肉を除脂し、表11の配合に従い事前に調製したピックル液を、肉の30%相当量添加した。すなわち130%加水である。5℃にて一晩タンブリングした後、液を切り、75℃で40分間乾燥加熱、80℃で40分間乾燥加熱、95℃で15分間蒸煮した。冷蔵庫にて冷却した後、スライスしてチャーシューを得た。試験区は、コントロールとアルギニンおよびPG併用添加区の2試験区とし、これら添加剤は事前にピックル液に溶解させた。アルギニンの添加量は対肉0.3%、PGの添加量は0.18U/原料肉1gとし、アルギニンおよびPGは実施例1と同じものを使用した。得られたチャーシューについて、官能評価を行った。官能評価は、やわらかさとジューシー感と自然な繊維感を有する好ましい食感であるかどうかを評価ポイントとして、4名で行った。コントロールに対してアルギニンとPGの併用区が評価ポイントにおいて非常に優れている場合は「◎」、優れている場合は「○」、やや優れている場合は「△」、コントロールと同等もしくはコントロールより劣っている場合は「×」とした。評価結果を表12に示す。
Figure 0005802214
(結果)
表12に示す通り、いずれの食品系においても、アルギニンとPGを併用することでコントロールに対して優れた食感になることが明らかとなった。中でも、一枚肉を用いた食品系における効果が特に優れていた。一枚肉を用いた食品系においては、アルギニンとPGを併用することにより「ホロホロ感」が付与された。これは、アルギニンもしくはPGの単独添加では付与することのできない新規の効果である。尚、「ホロホロ感」とは、トンポーロー等を噛んだ際に感じられる、肉汁を保持した繊維が、ある程度の繊維束を保ちながら弱い力で簡単にほぐれていく感覚である。以上の結果より、畜肉加工食品に対してアルギニン及びPGを併用するという本発明は、汎用的に使用可能であることが示された。
Figure 0005802214
実施例1と同様の方法にて、表13に示す各添加剤を10gの蒸留水に事前に溶解した溶液を100gのペースト状肉に添加混合し豚ゲルを作成した。アルギニンおよびプロテイングルタミナーゼは、実施例1と同じものを使用した。得られた歩留まりおよび破断強度のデータに関し、PGのみを添加した区分およびアルギニンのみを添加した区分の結果をもとに、併用添加区分の理論上の歩留まりおよび破断強度を算出し解析を行った。例えば、アルギニン0.001g/肉1gとPG0.1U/肉1gを添加した試験区65の場合、アルギニン0.001g/肉1gを添加した試験区5のコントロールに対する破断強度変化と、PG0.1U/肉1gを添加した試験区15のコントロールに対する破断強度変化の和が、試験区65のコントロールに対する破断強度変化の理論値となる。試験区65の実測値におけるコントロールに対する破断強度変化がこの理論値と等しければ理論通りの効果、すなわち相加効果であり、理論値よりも大きければ理論を上回る効果、すなわち相乗効果であることを意味する。上記の方法を用い、試験区20から試験区109の全ての併用試験区において、歩留まりおよび破断強度それぞれに関する相乗効果の解析を行った。
Figure 0005802214
アルギニンおよびPGの併用区である試験区20から試験区109において、相乗効果であるかの解析を行った。各コントロールに対する歩留まりの増強幅を表14に、破断強度の増強幅を表15に示した。表14、15中のグレーの網掛けで示した領域で相乗効果が確認された。尚、表14、15において、歩留まりまたは破断強度向上効果が認められ、総合評価として適当であるものを「○」、効果があり総合評価として不適当ではないものを「△」、効果がかなり小さいまたは総合評価として適当ではないものを「×」で示した。以上より、アルギニンの添加量が畜肉原料1gあたり0.000001g〜0.1g、PGの添加量が畜肉原料1gあたり0.00001U〜100Uであり、PGの添加量がアルギニン1gあたり0.01U〜1000000Uである領域、好ましくはアルギニンの添加量が畜肉原料1gあたり0.00001g〜0.05g、PGの添加量が畜肉原料1gあたり0.0001U〜10Uであり、PGの添加量がアルギニン1gあたり0.1U〜100000Uである領域において、畜肉加工食品に対して相乗的な効果を発揮することが示された。
Figure 0005802214
Figure 0005802214
実施例1と同様の方法にて、表16に示す各添加剤を10gの蒸留水に事前に溶解した溶液を100gのペースト状肉に添加混合し豚ゲルを作成した。アルギニンおよびプロテイングルタミナーゼは実施例1と同じものを、トランスグルタミナーゼ(TG)は「アクティバ」TG(味の素社製)を使用した。得られた歩留まりおよび破断強度のデータに関し、アルギニンのみを添加した区分、PGのみを添加した区分およびTGのみを添加した区分の結果をもとに、併用添加区分の理論上の歩留まりおよび破断強度を算出し解析を行った。例えば、アルギニン0.0015g/肉1g、TG0.38U/肉1gとPG0.18U/肉1gを添加した試験区8の場合、アルギニン0.0015g/肉1gを添加した試験区2のコントロールに対する破断強度変化と、TG0.38U/肉1gを添加した試験区6のコントロールに対する破断強度変化と、 PG0.18U/肉1gを添加した試験区7のコントロールに対する破断強度変化の和が、試験区8のコントロールに対する破断強度変化の理論値となる。試験区8の実測値におけるコントロールに対する破断強度変化がこの理論値と等しければ理論通りの効果、すなわち相加効果であり、理論値よりも大きければ理論を上回る効果、すなわち相乗効果であることを意味する。上記の方法を用い、試験区8から試験区11の全ての併用試験区において、歩留まりおよび破断強度それぞれに関する相乗効果の解析を行った。尚、トランスグルタミナーゼの酵素活性については、ベンジルオキシカルボニル−L−グルタミニルグリシンとヒドロキシルアミンを基質として反応を行い、生成したヒドロキサム酸をトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体を形成させた後525nmの吸光度を測定し、ヒドロキサム酸の量を検量線より求め活性を算出する。37℃、pH6.0で1分間に1μmolのヒドロキサム酸を生成する酵素量を1U(ユニット)と定義した。
Figure 0005802214
表17および表18に示す通り、歩留まり、破断強度いずれにおいても、アルギニンとTGおよびPGを併用した試験区8から11のコントロールに対する変化量(表17および表18中の網掛け部分)が、理論値よりも大きい値であった。従って、歩留まり、破断強度いずれにおいても、アルギニンとTGおよびPGを併用することによる効果は、相乗的な効果であることが示された。以上より、畜肉加工食品に対してアルギニンとTGおよびPGを併用することは、歩留まりや食感を改善するこれまでにない優れた手段であることが明らかとなった。
Figure 0005802214
Figure 0005802214
本発明によると、畜肉加工食品の品質を向上できるので、食品分野において極めて有用である。
本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。

Claims (8)

  1. アルギニン又はその塩とプロテイングルタミナーゼを用いることを特徴とする畜肉加工食品の製造方法。
  2. アルギニン又はその塩の添加量が、アルギニン換算で畜肉原料1gあたり0.000001g〜0.1gであり、プロテイングルタミナーゼの添加量が畜肉原料1gあたり0.00001U〜100Uである請求項1記載の方法。
  3. アルギニン又はその塩の添加量が、アルギニン換算で畜肉原料1gあたり0.00001g〜0.05gであり、プロテイングルタミナーゼの添加量が畜肉原料1gあたり0.0001U〜10Uである請求項1記載の方法。
  4. さらにトランスグルタミナーゼを用いることを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. アルギニン又はその塩とプロテイングルタミナーゼを含有する畜肉加工食品改質用の酵素製剤。
  6. プロテイングルタミナーゼの含有量が、アルギニン換算でのアルギニン又はその塩1gあたり、0.01U〜1000000Uである請求項5記載の酵素製剤。
  7. プロテイングルタミナーゼの含有量が、アルギニン換算でのアルギニン又はその塩1gあたり、0.1U〜100000Uである請求項5記載の酵素製剤。
  8. さらにトランスグルタミナーゼを含有する請求項5記載の酵素製剤。
JP2012541896A 2010-11-05 2011-11-02 畜肉加工食品の製造方法及び畜肉加工食品改質用の酵素製剤 Active JP5802214B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012541896A JP5802214B2 (ja) 2010-11-05 2011-11-02 畜肉加工食品の製造方法及び畜肉加工食品改質用の酵素製剤

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010248247 2010-11-05
JP2010248247 2010-11-05
PCT/JP2011/075294 WO2012060409A1 (ja) 2010-11-05 2011-11-02 畜肉加工食品の製造方法及び畜肉加工食品改質用の酵素製剤
JP2012541896A JP5802214B2 (ja) 2010-11-05 2011-11-02 畜肉加工食品の製造方法及び畜肉加工食品改質用の酵素製剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2012060409A1 JPWO2012060409A1 (ja) 2014-05-12
JP5802214B2 true JP5802214B2 (ja) 2015-10-28

Family

ID=46024522

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012541896A Active JP5802214B2 (ja) 2010-11-05 2011-11-02 畜肉加工食品の製造方法及び畜肉加工食品改質用の酵素製剤

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5802214B2 (ja)
WO (1) WO2012060409A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020196570A1 (ja) * 2019-03-28 2020-10-01 日本新薬株式会社 ピックル製剤および食肉加工製品
WO2022107885A1 (ja) 2020-11-20 2022-05-27 天野エンザイム株式会社 耐熱性プロテイングルタミナーゼ
CN114391635A (zh) * 2021-12-22 2022-04-26 江苏大学 一种快速制备高品质低盐鱼糜制品的方法
WO2023149512A1 (ja) * 2022-02-03 2023-08-10 天野エンザイム株式会社 酵素製剤

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5721969B1 (ja) * 1965-02-15 1982-05-11
JPS6410949B2 (ja) * 1978-03-17 1989-02-22 Handotai Kenkyu Shinkokai
JPH07155138A (ja) * 1993-12-07 1995-06-20 Fuji Shoji:Kk 肉類加工食品用品質改良剤
JP2002199859A (ja) * 2001-01-05 2002-07-16 Hokubee Co Ltd 加工肉用乳化液及びそれを用いた加工肉
JP2004248661A (ja) * 2002-05-30 2004-09-09 Ajinomoto Co Inc 食肉単味品向け製剤および該製剤を用いる食肉単味品の製造方法
WO2005032279A1 (ja) * 2003-10-03 2005-04-14 Ajinomoto Co., Inc. 食肉用改良剤ならびに該食肉用改良剤を用いる食肉加工食品の製造法
WO2006075771A1 (ja) * 2005-01-13 2006-07-20 Ajinomoto Co., Inc. 食肉加工品又は水産練り製品及びその製造方法
WO2008156126A1 (ja) * 2007-06-21 2008-12-24 Ajinomoto Co., Inc. 畜肉加工食品又は水産加工食品の製造方法及び畜肉加工食品又は水産加工食品改質用の酵素製剤

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2705024B2 (ja) * 1987-07-02 1998-01-26 マルハ株式会社 食品の製造法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5721969B1 (ja) * 1965-02-15 1982-05-11
JPS6410949B2 (ja) * 1978-03-17 1989-02-22 Handotai Kenkyu Shinkokai
JPH07155138A (ja) * 1993-12-07 1995-06-20 Fuji Shoji:Kk 肉類加工食品用品質改良剤
JP2002199859A (ja) * 2001-01-05 2002-07-16 Hokubee Co Ltd 加工肉用乳化液及びそれを用いた加工肉
JP2004248661A (ja) * 2002-05-30 2004-09-09 Ajinomoto Co Inc 食肉単味品向け製剤および該製剤を用いる食肉単味品の製造方法
WO2005032279A1 (ja) * 2003-10-03 2005-04-14 Ajinomoto Co., Inc. 食肉用改良剤ならびに該食肉用改良剤を用いる食肉加工食品の製造法
WO2006075771A1 (ja) * 2005-01-13 2006-07-20 Ajinomoto Co., Inc. 食肉加工品又は水産練り製品及びその製造方法
WO2008156126A1 (ja) * 2007-06-21 2008-12-24 Ajinomoto Co., Inc. 畜肉加工食品又は水産加工食品の製造方法及び畜肉加工食品又は水産加工食品改質用の酵素製剤

Also Published As

Publication number Publication date
WO2012060409A1 (ja) 2012-05-10
JPWO2012060409A1 (ja) 2014-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5811098B2 (ja) 畜肉加工食品の製造方法及び畜肉加工食品改質用酵素製剤
JP6197646B2 (ja) 食肉改質剤
JPH0448414B2 (ja)
JP5802214B2 (ja) 畜肉加工食品の製造方法及び畜肉加工食品改質用の酵素製剤
JP2814533B2 (ja) 食肉挽き肉及び魚肉すり身並びに食肉挽き肉製品及び水産ねり製品の製造法
JP4385632B2 (ja) 食肉単味品向け製剤および該製剤を用いる食肉単味品の製造方法
JP4138889B2 (ja) 食肉改質剤
JP6398198B2 (ja) 食肉加工品の製造方法及び食肉加工品用改質剤
JP3585072B2 (ja) 加工動物性蛋白食材の製造方法
JPWO2010126165A1 (ja) 食肉の軟化改質方法及び軟化改質剤
JP6467786B2 (ja) 食肉単味品調理品の製造方法及び食肉単味品調理用粉体組成物
WO2010074338A1 (ja) 食肉単味品用酵素製剤及び食肉単味品の製造方法
JP6048413B2 (ja) 畜肉練り製品およびその製造方法
JP2003009821A (ja) 含蛋白食品改質剤及び含蛋白食品の改質方法
JP7456698B2 (ja) タンパク質食材含有食品の食感改良剤、並びにこれを使用する食感改良方法及びタンパク質食材含有食品の製造方法
JP7193985B2 (ja) 食肉軟化剤、食肉軟化用浸漬液、食肉、および食肉の製造方法
JP6340500B2 (ja) 食肉用結着キットおよびそれを用いた食肉製品の製造方法
JPH09299065A (ja) 魚肉、畜肉練り製品の製造法
JP2767681B2 (ja) 食肉用粉末調味料
JP2014090710A (ja) 塩化ナトリウム添加量を低減した食肉加工食品及びその製造方法
JPH09121814A (ja) 畜肉、魚肉含有食品の製造方法
JP2011004666A (ja) 食肉製品の製造方法
JP4842298B2 (ja) 肉質改質剤
WO2021167062A1 (ja) 食肉の改質方法及び改質用組成物ならびに改質された食肉を含有する食品
CN111278295A (zh) 食用肉改良用组合物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141017

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150818

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150828

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5802214

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250