JPWO2010126165A1 - 食肉の軟化改質方法及び軟化改質剤 - Google Patents

食肉の軟化改質方法及び軟化改質剤 Download PDF

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Abstract

乳酸カルシウム、有機酸、アミノ酸、糖質を肉軟化改質剤として用いることにより、肉の食感がジューシーかつソフトで、食味が良好な食肉加工食品を得ることができる。

Description

本発明は、食肉の肉質や食感等を改善するためのジューシーでソフトな食感・繊維感・食味が保持されることを目的とする畜肉及び魚介類等の食肉用食感改良剤及び当該食肉用食感改良剤を用いる食肉加工食品の製造法に関する。
近年、牛肉の輸入自由化により大量かつ安価に牛肉を入手することが可能となった。輸入牛肉は国産牛肉と比較して脂肪含量が少なく健康に適しているが、その一方で呈味的に劣り、また肉質も硬く、特に高齢者にとっては摂取するのが困難となっている。あるいは輸入牛肉ならびに国産牛肉の食感は部位によって大きく異なっており、結合組織が比較的多いスネ肉やスジ肉などの硬質肉は調理法が制限されている。更に魚介資源の枯渇により、これまで活用されなかった魚肉が加工食品に利用されているが、一部の魚種で食感上の課題が散見されている。以上から食肉や魚肉の食感改質や軟化技術の構築は重要な課題となっている。
一般に、牛肉は屠殺後に内在性のカテプシンやカルパイン等のプロテアーゼにより骨格筋タンパク質が分解され、熟成・軟化することが知られている。そのため、肉質を改善する方法として、これまでプロテアーゼを用いた肉質の軟化法が検討・報告され(特開2007−319166号)、既に実用化されているものもある。これらプロテアーゼのうち最も一般的なものはパパイン、ブロメライン、アクチジニンであるが、これらはその基質特異性の低さと強力なタンパク質分解活性のために、食肉の結合組織や筋原組織を非特異的に分解してしまうので、処理された食肉の食感は肉本来の食感からかけ離れたものとなってしまう。また、例えば肉重量に対してわずか0.05重量%程度を肉に作用させただけでも過剰軟化を生じ、長時間放置すると更に分解が進行するため、肉質の改質の程度をコントロールするのが非常に難しい。この過剰軟化の問題は低温条件下で行っても制御が困難である。
それに対して基質特異性の高いプロテアーゼとしてエステラーゼやコラゲナーゼが肉軟化酵素として検討されている。しかし、これらの酵素を他のプロテアーゼの混入なく大量に精製・調製するのは困難である。また、これらの酵素で肉質を改善するには比較的多量の酵素を長時間反応させる必要がある。更に、実際、これらの酵素を肉に作用させても十分な効果が期待できない。
また、プロテアーゼ特有の重大な問題もある。食品用プロテアーゼの基質特異性は疎水性アミノ酸の前後を切断するものが殆どである。このようなプロテアーゼで分解して調製したペプチドは強烈な苦味を伴い、呈味の面で問題がある。
タンパク質加水分解酵素以外にも、各種食品素材を用いて、ジューシー及びソフト感があり美味しい食感・食味を有する等品質劣化防止対策の検討が為されてきた。例えば(1)アルカリ製剤(リン酸塩類、炭酸塩類)などの単独もしくは組み合わせで改質する方法(特開平4−36167号、特開平11−200823号、特許第2568946号、特開2000−60492号)、(2)糖質により改質する方法(特許第3804571号、特許3268543号)、(3)乳化剤配合(特開平8−276074号)、(4)有機酸を活用する方法(特開2002−159281号、特開2000−106846号、特開2001−178416号)、(5)アミノ酸を活用する方法(特許第2880183号、特開平8−196252号)、(6)カルシウムを活用する方法(特開平10−14536号、特開平4−341160号)、あるいは(7)これらの組み合わせ法など、それぞれの特性を利用して効果を見出す方法が知られている。しかし、いずれも充分な食感及び食味の改質効果は得られていないのが現状である。(1)のアルカリ製剤を用いる方法は、ジューシー感の向上と歩留まり効果はあるものの、体内カルシウムがリン酸塩により排出される問題がありリン酸塩フリーの食品を好む消費者は増加している。また肉組織が均一化し、繊維感が損なわれる大きな課題がある。更に時間が経過すると食感が硬くなり品質が低下する事や異味(主に苦味、渋み)が発生する。(2)については、保湿性の付与効果があるものの単独での顕著な肉質改質効果は期待できない。澱粉に化学処理を加えるなど特性を付与した肉軟化剤も存在するが、溶解性の低さから筋肉中への浸透が困難であり、また効果自体も顕著とは言えない。(3)の乳化剤は肉質の表面にコーテイングする為、調理すると柔らかさがに乏しい問題があった。様々な用途で多様な乳化剤が開発されているが、十分な効果発現に至っていない。(4)は単独では酸味を有する課題があると共に、通常は肉を硬化する作用が報告されているため、アルカリ製剤との併用が必須である。(5)は明細書に記載があるものの、肉改質効果に対する記述は無い。(6)は塩化カルシウムが一般的に使用されているが、肉改質効果を発揮する濃度で処理すると非常に強い苦味が生じるため、実用性は低く、乳酸カルシウムは溶解性の低さもあり、浸漬液中1%より高い濃度で検討された報告は無い。(7)の例としては、アルカリ金属塩化物とアルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属炭酸水素塩を含む食肉改質剤(特開平10−370923号)がある。これの添加効果を確認すると、食感及び食味が時間とともに劣化し、出来上がり時の機能(食肉の食感と食味のバランス)が損なわれておりジューシー感と肉の柔らかさの低下が認められた。このように、多数の先行技術はあるものの、また、無処理に比べれば多少の効果は認められるものの十分に満足できるレベルに至っておらず、食味と食感の向上を有する改質効果の優れた素材もしくは効率的な改質方法が更に求められている。
後述するとおり、本発明の肉軟化製剤は、乳酸カルシウム、有機酸、アミノ酸及び糖質を含有するものであるが、それらを単独で、あるいは一部の他素材と配合して食肉改質や保存性向上に使用している知見はある。しかし本発明の肉軟化製剤や、本肉軟化製剤で処理することにより優れた食肉に改質されるとの報告はない。以下に本特許内容と公知知見との違いを説明する。例えば、塩化カルシウムによる食肉軟化作用の報告は多い(肉の科学、32巻2号 245頁 1991、肉の科学、31巻1号 131頁 1990)。しかし塩化カルシウムは強い苦味を有し、実用的に使用に大きな課題がある。そのため本発明では呈味の優れた乳酸カルシウムの有用性を見出した。ただし乳酸カルシウムの溶解性は低く、実用的に使用する際の課題であった。本発明では溶解性向上に、これまでその効果が知られていなかったアミノ酸等を用いることで課題を解決した。乳酸カルシウムを使用している報告として、特開平4−341160号が知られている。具体的には特開平4−341160号ではトレハロースを含むカルシウム溶液を赤身肉に処理し、加工肉の赤身中に5重量%以上のトレハロースを含む方法である。しかし、特開平4−341160号の濃度のトレハロースを本特許の乳酸カルシウムに対して作用させると、目的とは逆にカルシウムの溶解性が著しく低下し、析出するカルシウム塩が調理中に凝集し食肉加工の品質を劣化させる。食肉軟化に有効な濃度に調製した乳酸カルシウムの溶解性向上技術はこれまでに報告されていなかった。
アミノ酸のうちグリシンに関して、日持ち向上目的で使用される報告は多く、有機酸や糖質を併用して使用している(特許第2880183号、特開平8−196252号)。しかし、これらの特許文献にはカルシウムとの併用効果についての記載は無い。一般に有機酸単独では酸味を有し、低いpHは肉を硬化させるためアルカリ製剤を併用する用途が報告されている(特開2004−329165号)。あるいは特開昭59−175870号には、グリシンの有する殺菌作用を相乗的に高め、しかも食品に対して食味、食感等の嗜好面に何ら悪影響を及ぼすことのない加工食品の保存性向上方法として、グリシン0.1〜1.0重量%およびグリシンの50〜500重量%に相当する酢酸塩および/または乳酸塩を含有せしめる加工食品の保存性向上方法が記載されている。しかし、特に多くの食品で酸敗などの変敗原因菌となっている乳酸菌に対し、十分な効果を得るためそれぞれの成分の添加量を増加させたが、グリシンによる甘み、酢酸ナトリウムによる酸味、乳酸ナトリウムによる金属的な味が発現し、風味バランス上問題がないとはいえなかった。一方、本発明で明らかになった手法では、グリシンやグルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウムなどのアミノ酸により、有機酸の酸味をマスキング出来ると共にCa溶解性が改善され、さらに、糖質との併用で食肉の改質効果も可能となったが、これらは先行知見から類推できる効果でなく新規な知見である。
本発明は、食肉の肉質や食感等を改善するための軟化改質剤、食感等の改善された食肉加工品、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、乳酸カルシウム、有機酸、アミノ酸、糖質の配合物、あるいは該配合物にプロテアーゼを併用することにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)乳酸カルシウム、有機酸、アミノ酸及び糖質が含有されていることを特徴とする肉軟化改質剤。
(2)さらに、プロテアーゼが含有されている(1)記載の肉軟化改質剤。
(3)有機酸が、フマル酸及び/又はフィチン酸である(1)又は(2)記載の肉軟化改質剤。
(4)アミノ酸が、グリシン、グルタミン酸ナトリウム及びアスパラギン酸ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上のものである(1)乃至(3)の何れかに記載の肉軟化改質剤。
(5)糖質が、マルチトール、ショ糖及びデキストリンからなる群より選ばれる1種以上のものである(1)乃至(4)の何れかに記載の肉軟化改質剤。
(6)プロテアーゼが、酸性プロテアーゼ及び/又はアルカリプロテアーゼである(2)乃至(5)の何れかに記載の肉軟化改質剤。
(7)肉軟化改質剤中の乳酸カルシウムの量が15〜70重量%であり、有機酸の量が0.3〜5重量%であり、アミノ酸の量が10〜55重量%であり、糖質の量が20〜50重量%である(1)乃至(6)の何れかに記載の肉軟化改質剤。
(8)乳酸カルシウム、有機酸、アミノ酸及び糖質を食肉に接触させ、食肉を処理することを特徴とする食肉加工食品の製造方法。
(9)さらに、プロテアーゼを食肉に接触させる(8)記載の製造方法。
(10)有機酸が、フマル酸及び/又はフィチン酸である(8)又は(9)記載の製造方法。
(11)アミノ酸が、グリシン、グルタミン酸ナトリウム及びアスパラギン酸ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上のものである(8)乃至(10)の何れかに記載の製造方法。
(12)糖質が、マルチトール、ショ糖及びデキストリンからなる群より選ばれる1種以上のものである(8)乃至(11)の何れかに記載の製造方法。
(13)プロテアーゼが、酸性プロテアーゼ及び/又はアルカリプロテアーゼである(8)乃至(12)の何れかに記載の製造方法。
(14)肉に接触させる乳酸カルシウムの量が肉重量に対し0.01〜10重量%であり、有機酸の量が肉重量に対し0.001〜2重量%であり、アミノ酸の量が肉重量に対し0.1〜15重量%であり、糖質の量が肉重量に対し0.1〜15重量%である(8)乃至(13)の何れかに記載の製造方法。
(15)(1)乃至(7)の何れかに記載の肉軟化改質剤を用いて食肉を処理することを特徴とする(8)記載の製造方法。
(16)食肉処理法が、浸漬法、インジェクション法及びタンブリング法からなる群より選ばれる1種以上のものである(8)乃至(15)の何れかに記載の製造方法。
(17)(8)乃至(16)の何れかに記載の方法で製造された食肉加工食品。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の食肉の軟化改質剤は、乳酸カルシウム、有機酸、アミノ酸及び糖質が含有されているものである。改質剤に含まれる乳酸カルシウムの量は、乾物重量として、15〜70%が好ましく、28〜68%がより好ましく、25〜50%がさらに好ましい。改質剤に含まれる有機酸の量は、乾物重量として、0.3〜5%が好ましく、1〜3%がより好ましい。改質剤に含まれるアミノ酸の量は、乾物重量として、10〜55%が好ましく、15〜53%がより好ましい。改質剤に含まれる糖質の量は、乾物重量として、20〜50%が好ましく、20〜46%がより好ましい。
有機酸は、食品添加物である高純度の有機酸が実用的で好ましく、フマル酸やフィチン酸が呈味的にも優れている。アミノ酸は、食品添加物である高純度のアミノ酸が実用的で好ましく、グリシン、グルタミン酸ナトリウム(MSG)、アスパラギン酸ナトリウムが好ましい。糖質としてショ糖、デキストリン、マルチトール、オリゴ糖などが挙げられるが、乳酸カルシウムの溶解性を阻害するトレハロースは好ましくない。
プロテアーゼとして、例えば「ニューラーゼF3G」(天野エンザイム社製)や「グルタミナーゼダイワ」(天野エンザイム社製)および、「アルカラーゼ」(ノボザイムス社製)などを本発明素材と併用して使用することができる。基質に対する反応性や、反応条件などによりプロテアーゼの分解力は影響を受けると考えられるが、本発明素材と上記酵素を使用しても過剰分解は生じない。改質剤に含まれるプロテアーゼの量は、乾物重量として、0.0005〜11重量%が好ましく、0.0005〜15重量%がより好ましい。
本発明の軟化改質剤は、乳酸カルシウム、有機酸、アミノ酸、糖質が含まれていればよいが、プロテアーゼ、糖アルコール、エステル化澱粉、エーテル化澱粉誘導体、有機酸塩類、食塩、調味料等の他の食品素材が配合されていてもよい。
本発明の食肉加工品の製造方法は、乳酸カルシウム、有機酸、アミノ酸及び糖質を食肉に接触させることにより食肉を軟化させることを特徴とする。食肉の処理に用いる乳酸カルシウム、有機酸、アミノ酸及び糖質の量は、食肉重量に対し、乳酸カルシウムは0.01〜10%が好ましく、0.4〜9%がより好ましい。有機酸は0.001〜2%が好ましく、0.01〜1%がより好ましい。アミノ酸は0.1〜15%が好ましく、0.2〜10%がより好ましい。糖質は0.1〜15%が好ましく、0.5〜12%より好ましい。乳酸カルシウム、有機酸、アミノ酸、糖質に加えプロテアーゼを用いる場合、プロテアーゼの量は、食肉重量に対し、0.00001〜5%が好ましく、0.00004〜3%がより好ましい。
本発明の乳酸カルシウム、有機酸、アミノ酸及び糖質を食肉に接触させる方法、乳酸カルシウム、有機酸、アミノ酸、糖質及びプロテーゼを食肉に接触させる方法は、各素材を順次食肉に接触させてもよいが、前述の本発明の軟化改質剤を用いる等各素材を食肉に同時に接触させるのが望ましい。
本発明の軟化改質剤による食肉の処理は、食肉と本発明の軟化改質剤とを接触させることにより行われる。軟化改質剤はなるべく食肉全体及びその内部に均一に分散されるようにする。このためには、挽き肉、細切り肉、薄切り肉等に対しては、食肉を軟化改質剤の溶液に漬け込む浸漬法や、軟化改質剤の溶液や粉末を食肉へ噴霧して揉む方法等を採用することができ、ステーキ肉やブロック肉の場合には、軟化改質剤の溶液を注射器で内部に注入するインジェクション法や、表面に塗布したりする方法が採用することができる。肉軟化剤を処理した後、または肉軟化剤に肉を浸漬した後にタンブリング処理することも可能である。軟化改質剤の溶液に一定時間浸漬する浸漬法でもよい。また、屠殺前の動物に血管から酵素溶液を静脈注入してもよい。
肉軟化改質剤の使用量は、食肉重量に対して、肉軟化改質剤を1〜65%、好ましくは1〜40%であるが、肉処理法が浸漬法の場合と比較して、インジェクション法の方が少ない量で効果がある。
上記のようにして、食肉と本発明の軟化改質剤とを接触させ、好ましくは、肉全体に十分浸透するように、例えば0〜60℃で、0.05〜48時間放置しておくのが好ましい。あるいは浸漬時間を取らずに、食肉加工/調理直前に本発明の軟化改質剤で処理する方法も可能である。
処理できる食肉としては食用可能な肉であれば特に限定されるものではなく、例えば、牛肉、豚肉、羊肉、馬肉等の畜肉、鶏、七面鳥、カモ、ガチョウ、アヒル、ウズラ等の家禽類の肉、魚肉等のいずれのものでも処理できるが、輸入牛肉やカタやモモ、スジ、スネの部分等の硬質のタンパク質や結合組織を多く含む硬質肉に対して特に効果的である。また、食肉の形状としては特に限定されるものではなく、厚切り肉、薄切り肉、細切り肉、挽き肉等が挙げられる。
本発明の製造方法により軟化処理を行った食肉は、例えば、焼く、炒める、揚げる、煮る、蒸すなどの加熱調理やレトルト処理によっても過度に硬質化することなく、適度な柔らかさを有し、食しやすいものとなる。また、本発明の軟化改質剤は食肉を過度に軟化させることがないので、例えば、本発明の軟化改質剤を適用した食肉を常温、冷凍、冷蔵で長期間保存しても過剰軟化することなく適度な肉の柔らかさやジューシーさが維持され、良好な風味・食感を長期間維持することができる。特に、乳酸カルシウム、有機酸、アミノ酸、糖質、プロテアーゼに、エステル化又は/及びエーテル化された澱粉誘導体及び有機酸塩類を組み合わせた混合系は、品質劣化が低く、様々な畜肉・魚介類加工製品に適用できる。
以下に実験例、実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、この実施例により何ら限定されない。
実験例1
所定濃度(醤油15.5%、砂糖7.7%)に調整した溶液にフィチン酸(アサマ化成社製「アサマF−1」)0.3%を添加した。該溶液に0.3M塩化カルシウム、0.1M乳酸カルシウム、0.2M乳酸カルシウム、0.1Mグルコン酸カルシウム、0.16Mグルコン酸カルシウムそれぞれ添加した肉軟化剤溶液を調製した。コントロールはカルシウム塩を添加していない。バラ肉は国産豚を用い、縦4cm、横4cm、厚さ1.5cm程度のサイズに切り出し、フォークを用いて表裏をそれぞれ3ヵ所突き刺した。バラ肉に対して所定の肉軟化剤溶液を肉重量の1.5倍加え、2回揉み込んだ後、4℃で一晩放置した。翌日、スチームコンベクションにて調理(熱風、100℃、50min)し、冷却後、官能評価などの評価に供した。結果を表1に示した。肉・脂肪の柔らかさに記載されている数値は柔らかさの程度を示しており、数値が大きいほど柔らかい事を示す。コントロールを0とし、十分な柔らかさを示した場合を2とした。またカルシウム溶解性の列の表記法に関しては、○の数が多いほど溶解状態が優れている事を示している。最も濃度の高い塩化カルシウムの肉軟化効果が最も優れていたが、強い苦味と脂肪部分の不適切なベトベトした食感が課題であった。一方、乳酸カルシウムやグルコン酸カルシウムは苦味が弱いものの、肉軟化効果は塩化カルシウムよりも低かった。更にいずれの条件でもカルシウム塩が完全溶解せず、一部が不溶性状態のままであった。これらは加熱後、不溶性塩化物として肉に接着しているなどの課題が明らかとなった。この現象はグルコン酸カルシウムで特に顕著であった。以上より、呈味性や溶解性の観点から乳酸カルシウムの有用性が示唆されたものの、溶解性改善の課題が明らかとなった。
Figure 2010126165
実験例2
所定濃度(醤油15.5%、砂糖7.7%)に調整した溶液にフィチン酸(「アサマF−1」)0.3%、フマル酸(日本触媒社製)0.2%・0.5%、グルコン酸2%をそれぞれ添加した肉軟化剤溶液を調製した。コントロールは有機酸を添加していない。バラ肉は国産豚を用い、縦4cm、横4cm、厚さ1.5cm程度のサイズに切り出し、フォークを用いて表裏をそれぞれ3ヵ所突き刺した。バラ肉に対して所定の肉軟化剤溶液を肉重量の1.5倍加え、2回揉み込んだ後、4℃で一晩放置した。翌日、スチームコンベクションにて調理(熱風、100℃、50min)し、冷却後、官能評価などの評価に供した。官能結果を表2に示した。肉と脂肪の列に記載されている数値は柔らかさの程度を示しており、コントロールを0とし、十分な柔らかさを示した場合を2とした。また酸味の列の表記法に関しては、○の数が多いほど酸味が強い事を示している。
Figure 2010126165
フィチン酸とフマル酸による肉軟化効果が大きいと示された。しかし最も効果が優れていたフマル酸添加においては、一晩放置により酸味が残ってしまう点が課題であった。
以上より、肉の軟化の観点からフマル酸の有用性が示唆されたものの、酸味の改善が明らかとなった。
実験例3
調味料(醤油15.5%、砂糖7.7%)に「ヌクレアーゼ」(天野エンザイム社製)0.4%、「ビオプラーゼOP」(ナガセケムテック社製)0.03%、「グルタミナーゼダイワC100S」(天野エンザイム社製)0.4%、「ニューラーゼF3G」(天野エンザイム社製)0.05%、アルカラーゼ(ノボザイム社製)0.00003%をそれぞれ添加した。
国産豚バラ肉を厚さ1.5×4×4cmにカットし、表裏共にフォークで3箇所ずつ穴をあけ、溶液に入れ2回手で揉みこんだ。4℃一晩放置後、スチームコンベクションにより100℃50分で調理し冷却後、官能評価に供した。結果を表3に示した。肉と脂肪の列に記載されている数値は柔らかさの程度を示しており、数値が大きいほど柔らかい事を示す。レバー感の列の表記法に関しては、○の数が多いほど過分解が大きいことを示している。「ビオプラーゼOP」、「グルタミナーゼダイワC100S」、「ニューラーゼF3G」、「アルカラーゼ」添加により、更なる肉軟化効果が示された。電子顕微鏡観察から酵素により結合組織の脆弱化が示唆された。なお、ビオプラーゼOP添加系では過分解が生じており、レバー状の肉様食感となり本来の食感には遠いものであった。素材との組合せで特定の酵素が有効であった。
Figure 2010126165
実験例4
所定濃度(醤油15.5%、砂糖7.7%)に調整した溶液に0.2M乳酸カルシウムのみ、フィチン酸(「アサマF−1」)0.3%のみ、0.2M乳酸カルシウムとフィチン酸0.3%を添加した肉軟化剤溶液を調製した。コントロールは乳酸カルシウムあるいはフィチン酸を添加していない。バラ肉は国産豚を用い、縦4cm、横4cm、厚さ1.5cm程度のサイズに切り出し、フォークを用いて表裏をそれぞれ3ヵ所突き刺した。バラ肉に対して所定の肉軟化剤溶液を肉重量の1.5倍加え、2回揉み込んだ後、4℃で一晩放置した。翌日、スチームコンベクションにて調理(熱風、100℃、50min)し、冷却後、官能評価などの評価に供した。官能結果を表4に示した。肉と脂肪の列に記載されている数値は柔らかさの程度を示しており、コントロールを0とし、十分な柔らかさを示した場合を2とした。硬くなった場合はマイナス表記としている。
Figure 2010126165
表4の通り、乳酸カルシウムで軟化効果が確認されたが、フィチン酸のみでは逆に肉の柔らかさは低下した。しかし共存することで相乗的な軟化効果が確認でき、カルシウム塩と有機酸の併用効果が示された。
所定濃度(醤油15.5%、砂糖7.7%、乳酸カルシウム6.2%、フマル酸0.25%、プロテアーゼ(天野エンザイム社製「ニューラーゼF3G」)0.05%)に調整した対照溶液にアミノ酸2.5%を添加し、軟化改質剤溶液を調製した。アミノ酸は、グリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウム(MSG)、プロリン、スレオニン、アスパラギン酸ナトリウムを用いた。
国産豚バラ肉を厚さ1.5×4×4cmにカットし、フォークで表裏共に3箇所穴をあけた。肉を、肉重量の1.5倍量の軟化改質剤溶液に入れ、手で2回揉みこみ4℃一晩放置した。スチームコンベクションにて100℃50分で調理した後、冷水で常温まで冷却した後、官能評価に供した。結果を表5に示した。
グリシン、MSG、アスパラギン酸Na含有系において、大きな肉軟化効果を示した。肉と脂肪の列に記載されている数値はコントロールを0とし、十分な柔らかさを示した場合を2とした。数値が大きいほど柔らかい事を示す。また酸味・Ca溶解性の列の表記法に関しては、○の数が多いほど酸味が強い・Ca溶解性が大きい事を示している。乳酸カルシウム6.2%は表1のCa0.2Mに相当することより、アミノ酸の添加によりCa溶解性が改善されることが明らかになった。またアラニン以外の添加系で、課題であった酸味抑制をクリアできた。
Figure 2010126165
所定濃度(醤油15.5%、乳酸カルシウム6.2%、フマル酸0.5%、グリシン7%)に調整した対照溶液に、糖としてデキストリンまたはグラニュー糖7.7%を添加し、軟化改質剤溶液を調製した。国産豚バラ肉を厚さ1.5×4×4cmにカットし、フォークで表裏共に3箇所穴をあける。肉を肉重量の1.5倍量の軟化改質剤溶液に入れ、手で2回揉みこみ4℃一晩放置した。スチームコンベクションにて100℃50分で調理した後、冷水で常温まで冷却し、官能評価に供した。結果を表6に示した。肉と脂肪の列に記載されている数値は柔らかさの程度を示しており、数値が大きいほど柔らかい事を示す。いずれの糖においても肉軟化効果を示したが、デキストリンよりもグラニュー糖の方が脂の軟化において効果が大きかった。
Figure 2010126165
所定濃度(乳酸カルシウム6.2%、フマル酸0.25%、「ニューラーゼF3G」0.05%、グリシン7%)に調整した溶液にグラニュー糖またはマルチトール3.85%を添加し、軟化改質剤溶液を調製した。
厚さ1cmのオーストラリア産牛すね肉を肉重量の1.5倍量の軟化改質剤溶液にいれ、4℃一晩放置した。スチームコンベクションにて110℃60分で調理した後、冷水で常温まで冷却した後、官能評価に供した。結果を表7に示した。肉と脂肪の列に記載されている数値は柔らかさの程度を示しており、数値が大きいほど柔らかい事を示す。しっとり感の列の表記法に関しては、○の数が多いほどしっとり感が大きいことを示しており、カルシウム溶解性の列の表記法に関しては、○の数が多いほど溶解状態が優れている事を示している
肉中の甘味の点では若干差があるものの、肉軟化効果の点ではいずれの糖も効果を示した。本検討結果から、本特許改質剤の糖質としてマルチトールなどを添加することでホグレ性を高められることが見出された。
Figure 2010126165
所定濃度(醤油15.5%、ショ糖7.7%)に調整した対照溶液に、それぞれ乳酸カルシウム6.2%、フマル酸0.5%、グリシン7%を添加し、軟化改質剤液を調製した。国産豚バラ肉を厚さ1.5×4×4cmにカットし、表裏共にフォークで3箇所ずつ穴をあけ、肉重量の1.5倍量の軟化改質剤溶液に入れ2回手で揉みこんだ。4℃一晩放置後、スチームコンベクションにより100℃50分で調理し冷却後、官能評価に供した。結果を表8に示した。肉と脂肪の列に記載されている数値は柔らかさの程度を示しており、数値が大きいほど柔らかい事を示す。コントロールには無添加の系を用いた。
酵素「ニューラーゼF3G」添加により軟化効果は非常に大きなものとなった。尚、今回サンプル3における改質剤中の各素材の配合割合は酵素0.23%、乳酸カルシウム28.90%、有機酸2.33%、アミノ酸32.63%、糖質35.90%である。また、肉重量に対する各素材の量は、酵素0.075%、乳酸カルシウム9.3%、有機酸0.75%、アミノ酸10.5%、糖質11.55%である。
Figure 2010126165
オーストラリア産牛すね肉、国産牛バラ肉、国産豚モモ肉を軟化改質剤溶液に浸漬し4℃一晩放置した。牛すね肉を浸漬した軟化改質剤溶液は各素材を所定の濃度(乳酸カルシウム6.2%、フマル酸0.25%、「ニューラーゼF3G」0.05%、マルチトール7.7%、グリシン2.5%)に調整したものを用い、その他の肉を浸漬した軟化改質剤溶液は各素材を所定の濃度(乳酸カルシウム6.2%、フマル酸0.25%、「ニューラーゼF3G」0.05%、マルチトール3.85%、グリシン5%)に調整したものを用いた。液切りした肉をそれぞれ煮込み、焼き、揚げの系によって調理を行った。加熱条件は、牛すね肉は110℃60分煮込み、牛バラ肉は中火で2分焼き、豚モモ肉は焼肉のモミダレをつけ、室温で30分放置した後、中火で2分焼いた。常温まで冷却した後、官能評価を供した。結果を表9に示した。それぞれの列の表記法に関しては、○の数が多いほど軟化度が高いことを示している。全ての肉や部位において、肉軟化効果に差があるものの、効果が認められた。以上より、ほとんどの肉種・部位において、今回の併用系による肉軟化効果を示す事が出来ると考える。尚、今回用いた改質剤中の各素材の配合割合は、牛すね肉では酵素0.30%、乳酸カルシウム37.13%、有機酸1.50%、アミノ酸14.97%、糖質46.11%であり、その他の肉では酵素0.33%、乳酸カルシウム40.39%、有機酸1.63%、アミノ酸32.57%、糖質25.08%である。である。また、肉重量に対する各素材の量は牛すね肉では、酵素0.075%、乳酸カルシウム9.3%、有機酸0.375%、アミノ酸3.75%、糖質11.55%である。またその他の肉では、酵素0.075%、乳酸カルシウム9.3%、有機酸0.375%、アミノ酸7.5%、糖質5.78%である。
Figure 2010126165
マルチトール2.57%、フマル酸0.06%、ニューラーゼF3G0.016%、乳酸カルシウム2.1%、グリシン0.83%を含有する軟化改質剤溶液を調製した。オーストラリア産牛すね塊肉に液を20%インジェクションし、4℃で1時間タンブリングしそのまま一晩放置した。固まり肉を厚さ1cmにカットした後、40秒表面を炒め、30分カレーソースに入れて煮込み、カレーを作製した。冷却後、官能評価を行った。結果を表10に示した。タンブリング系においても素材処理を行うことにより、軟化効果が示された。以上より、浸漬法だけでなく様々な方法による処理で今回の軟化効果を実現できると言える。また今回用いた改質剤中の各素材の配合割合は酵素0.29%、乳酸カルシウム36.66%、有機酸1.48%、アミノ酸14.78%、糖質45.54%である。また、肉重量に対する各素材の量は、酵素0.0032%、乳酸カルシウム0.42%、有機酸0.012%、アミノ酸0.17%、糖質0.51%である。
Figure 2010126165
フマル酸0.25%、ニューラーゼF3G0.05%、乳酸カルシウム6.2%、マルチトール3.85%または7.7%、グリシン2.5%または5%を含有するように軟化改質剤溶液を調製した。尚、コントロールには上記の素材は添加されていない。
厚さ1cmのオーストラリア産牛すね肉を用い、すね肉に対して所定の肉軟化剤溶液を肉重量の1.5倍加え4℃で一晩放置した。翌日、スチームコンベクションにて調理(熱風、110℃、60min)し、冷却後、官能評価などの評価に供した。官能結果を表11に示した。肉と脂肪の列に記載されている数値は柔らかさの程度を示しており、数値が大きいほど柔らかい事を示す。酸味と甘味の列の表記法に関しては、○の数が多いほどそれぞれの味が強いことを示している。
課題であった酸味と甘味は、糖とグリシンの濃度のバランスにより解消できた。また肉軟化効果以上より、3.85−7.7%糖と2.5−5%のグリシンの濃度が肉軟化と課題であった甘味・酸味の改善に関与することが明らかとなった。今回実施したサンプル2における改質剤中の各素材の配合割合は酵素0.39%、乳酸カルシウムを48.25%、有機酸を1.95%、アミノ酸を19.46%、糖質を29.96%である。また、肉重量に対する各素材の量は、酵素0.075%、乳酸カルシウム9.3%、有機酸0.375%、アミノ酸3.75%、糖質5.78%である。
Figure 2010126165
本発明により既存の肉軟化剤あるいは食感改質剤では困難であった、筋肉繊維感を保持した状態で筋肉組織の過剰分解も無く、結合組織を軟化しうる食肉改質剤及び軟化された食肉が提供される。本発明の食肉軟化剤により処理された食肉は、肉本来の味・食感を保持したまま苦味を生じることなく適度に軟化され、咀嚼力の弱い老人、子供あるいは病人等でも容易に摂取することができる。また、本発明の方法によれば、室温、低温にて食肉を軟化することができ、処理時間もプロセスに応じて調整可能である。従来の肉軟化プロテアーゼ製剤のように食肉を過剰軟化させたり、アルカリ製剤のように組織を均質化させたり、有機酸製剤にように酸味を生じることなく、適度な食感に留め、またその状態を維持することができる。このため、改質剤の添加量や処理時間等を厳密に制御しなくても適度な柔らかさを有する食肉を得ることができる。よって本発明により、低品質の食肉を呈味的・食感的に優れた肉に改質することができるため、本発明は食品分野において極めて有用である。

Claims (17)

  1. 乳酸カルシウム、有機酸、アミノ酸及び糖質が含有されていることを特徴とする肉軟化改質剤。
  2. さらに、プロテアーゼが含有されている請求の範囲第1項記載の肉軟化改質剤。
  3. 有機酸が、フマル酸及び/又はフィチン酸である請求の範囲第1項又は第2項記載の肉軟化改質剤。
  4. アミノ酸が、グリシン、グルタミン酸ナトリウム及びアスパラギン酸ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上のものである請求の範囲第1項乃至第3項の何れかに記載の肉軟化改質剤。
  5. 糖質が、マルチトール、ショ糖及びデキストリンからなる群より選ばれる1種以上のものである請求の範囲第1項乃至第4項の何れかに記載の肉軟化改質剤。
  6. プロテアーゼが、酸性プロテアーゼ及び/又はアルカリプロテアーゼである請求の範囲第2項乃至第5項の何れかに記載の肉軟化改質剤。
  7. 肉軟化改質剤中の乳酸カルシウムの量が15〜70重量%であり、有機酸の量が0.3〜5重量%であり、アミノ酸の量が10〜55重量%であり、糖質の量が20〜50重量%である請求の範囲第1項乃至第6項の何れかに記載の肉軟化改質剤。
  8. 乳酸カルシウム、有機酸、アミノ酸及び糖質を食肉に接触させ、食肉を処理することを特徴とする食肉加工食品の製造方法。
  9. さらに、プロテアーゼを食肉に接触させる請求の範囲第8項記載の製造方法。
  10. 有機酸が、フマル酸及び/又はフィチン酸である請求の範囲第8項又は第9項記載の製造方法。
  11. アミノ酸が、グリシン、グルタミン酸ナトリウム及びアスパラギン酸ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上のものである請求の範囲第8項乃至第10項の何れかに記載の製造方法。
  12. 糖質が、マルチトール、ショ糖及びデキストリンからなる群より選ばれる1種以上のものである請求の範囲第8項乃至第11項の何れかに記載の製造方法。
  13. プロテアーゼが、酸性プロテアーゼ及び/又はアルカリプロテアーゼである請求の範囲第8項乃至第12項の何れかに記載の製造方法。
  14. 肉に接触させる乳酸カルシウムの量が肉重量に対し0.01〜10重量%であり、有機酸の量が肉重量に対し0.001〜2重量%であり、アミノ酸の量が肉重量に対し0.1〜15重量%であり、糖質の量が肉重量に対し0.1〜15重量%である請求の範囲第8項乃至第13項の何れかに記載の製造方法。
  15. 請求の範囲第1項乃至第7項の何れかに記載の肉軟化改質剤を用いて食肉を処理することを特徴とする請求項8記載の製造方法。
  16. 食肉処理法が、浸漬法、インジェクション法及びタンブリング法からなる群より選ばれる1種以上のものである請求の範囲第8項乃至第15項の何れかに記載の製造方法。
  17. 請求の範囲第8項乃至第16項の何れかに記載の方法で製造された食肉加工食品。
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