JP3630443B2 - 加工食品用品質改良剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物、油脂、油脂包含用基材およびポリオールを含有することを特徴とする加工食品用品質改良剤、ならびに上記加工食品用品質改良剤の保水性が1.5以上であることを特徴とするさらに好ましい加工食品用品質改良剤に関する。
【0002】
さらに詳しくは、蒲鉾、竹輪、揚げ蒲、魚肉ソーセージ等の水産練り製品の弾力(あし)の増強、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、ミートボール等の畜肉加工品の結着力、弾力の増強、麺類の弾力(こし)の増強、パン類のボリューム増大等を目的とした加工食品用品質改良剤に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来より水酸化カルシウムは各種食品の栄養(カルシウム)強化、コンニャクの凝固、野菜漬物の歯切れ向上等に使用されている。一方、水と反応し水酸化カルシウムに誘導される酸化カルシウムは、食品グレードにおいては貝殻または卵殻等を焼成して得られるため、「貝殻焼成カルシウム」「卵殻焼成カルシウム」または単に「焼成カルシウム」の慣用名で畜肉加工品の結着、麺類のこしの増強、コンニャクの凝固、水産練り製品の弾力増強、各種食品のカルシウム強化等の目的で使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の食品分野において従来から使用されている水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物は、飛散性の高い微粉末であるため、使用時眼へ混入したり、吸気し易く、強アルカリを呈する物質であるから危険を伴う。また、食品に添加した場合、分散性が悪くママコとなり易いので所望の効果が得られ難い。
【0005】
また、上記水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物は反応性が高く、特に蛋白質のゲル化能が高いため、前述の分散性の悪さと相まって局部的なゲル化が起こったり、添加量,添加時期が不適切な場合、混合,攪拌の途中でゲル化が起こり、所望の弾力が得られないばかりか、その後の成型が困難となる等、使い方が非常に難しい。
さらに、これらの化合物は、空気中の二酸化炭素と反応し炭酸カルシウムとなるため、保存中にその効力が低減していくという問題もある。
【0006】
前項記載のとおり、水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物は、畜肉加工品の結着、麺類のこし、水産練り製品の弾力増強に寄与し得るので、加水量の増量が期待されるところであるが、これを試みた場合、所望の弾力が確保されたとしても、保型性の低下に伴う製造工程中のトラブルや製品化後の離水等の問題が発生する場合が多い。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記の問題点を解決するため鋭意研究の結果、以下に示すような優れた特徴を有する品質改良剤を見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物、油脂、油脂包含用基材、およびポリオールを含有することを特徴とする加工食品用品質改良剤、ならびに上記要件に加え、1.5以上の保水性を有することを特徴とする加工食品用品質改良剤に関するものである。
【0008】
本発明で云う加工食品とは、穀類、豆類、野菜類(芋類、山菜類も含む)、果実類、菌藻類、食肉類、乳類、卵類、魚介類等の農林水産・畜産物を原料とし、解体、不可食部の除去、剥皮・脱皮、裁断・切断(カット)、細断(チョップ)、粉砕、粗砕、搗精、磨砕、塩ずり、混練、混合、餅搗、乳化、圧搾、抽出、酸処理、アルカリ処理、中和、酵素処理、分離、濃縮、晶析、凝固、ゲル化、塩漬、糖漬、酢漬、発酵、熟成、脱色、脱臭、脱塩、調味、着色、着香、圧延、圧偏、成型、包あん、煮炊、蒸煮、焼成、炒煎、油揚げ、燻煙、焙煎、焙焼、焙乾、加圧、エクストルーダー処理、膨化、乾燥、造粒、分級、殺菌、包装等の加工を施したすべての食品を指し、従来より水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物を添加することにより品質の改良される加工食品であれば特に限定されない。
【0009】
本発明における水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物とは、水酸化カルシウムのほか少なくとも食品に添加した時点で水酸化カルシウムに誘導される化合物を云い、例えば、水と反応して水酸化カルシウムに誘導される酸化カルシウム、食品分野で慣用的に焼成カルシウム、貝殻焼成カルシウム、卵殻焼成カルシウム等と呼ばれる物質等を挙げることができる。
また、場合によっては、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、硫酸カルシウム等のカルシウム塩とアルカリとの組合せも考えられる。最も好ましい化合物としては、酸化カルシウムが挙げられる。
【0010】
本発明で用いる油脂は、植物油、動物油等のその起源、融点等の物性の制約を受けず、一般的に食用に供される油脂であれば特に限定されないが、加工食品用品質改良剤の流動性確保のためには、上昇融点が20℃以上、さらには、30℃以上の油脂を用いるのが好ましい。
本発明で云う油脂包含用基材とは、油脂を包蔵または含浸させるための基材を云う。
【0011】
本発明で用いる油脂包含用基材としては、親水性物質が好ましく、さらに具体的にはゼラチン、カゼインナトリウム、ホエー蛋白に代表される各種アルブミン等の親水性蛋白質、澱粉、各種化工澱粉(酸分解澱粉、酸化澱粉、α化澱粉、グラフト化澱粉、カルボキシメチル基、ヒドロキシアルキル基等を導入したエーテル化澱粉、酢酸、リン酸等を反応させたエステル化澱粉、2個所以上の澱粉の水酸基間に多官能基を結合させた架橋澱粉、湿熱処理澱粉等)、アルギン酸塩、アラビアゴム、グアーガム、キサンタンガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、アガロース等の親水性多糖類、HAP、HVP等の蛋白部分加水分解物、デキストリン、オリゴ糖等の澱粉部分加水分解物、グルタミン酸、リジンに代表される親水性アミノ酸またはその塩、乳糖に代表される糖類、酢酸、クエン酸、コハク酸、アジピン酸等の有機酸またはその塩、5’−イノシン酸塩、5’−グアニル酸ナトリウムに代表されるヌクレオチドまたはその塩、および塩化ナトリウム、塩化カリウム等の通常の食品に使用される塩類等のいずれかを少なくとも一種含有していればよく、これ以外の物質が共存していても差し支えない。また、油脂包含用基材として、上記親水性物質の少なくとも一種を含有する食用組成物を挙げることができる。
【0012】
この食用組成物としては、畜肉、魚介類、卵,乳,殻類、野菜、果実、海藻等を加工して得られる加工素材の他、上記素材を乾燥、粉砕して得た粉末、またはエキスパウダー、粉末卵白、粉乳、粉末ホエー、大豆粉、α化小麦粉、焙焼小麦粉、粉飴、香辛料粉末、果汁パウダー、またはHAP,HVP等の天然調味料、醤油、ソース、酢、砂糖、味噌、ケチャップ等の粉末を挙げることができる。
該油脂包含用基材の好ましい水分含量は15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
【0013】
本発明で用いるポリオールとしては、グリセリン、プロピレングリコール等の無毒性グリコールおよび糖類または糖アルコール類が挙げられるが、中でも常温で液体のポリオールが好ましく、さらに好ましくはグリセリンが例示される。
本発明の品質改良剤の形態は、粉状または粒状が好ましい。その平均粒径の好ましい範囲は30〜1000μm、さらには好ましくは100〜500μmである。平均粒径が上記範囲より下回ると飛散性、分散性の改善効果が薄くなり、該範囲を上回る場合には食品へ添加後も粒子が崩壊せず、局部的なゲル化、粒子周辺の黄変、所望の弾力が得られない等の問題が生ずるので必ずしも好ましくはないが、これらは選択されるものである。
【0014】
本発明の品質改良剤の飛散性の指標である分散度は、好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下である。分散度はパウダーテスターを用い、試料10gを一定高さから落下させ、真下に置いた時計皿上に載った試料重量を測定し、次式で算出する分散度により評価する。
分散度=(10−時計皿上に載った試料重量g)×10〔%〕
【0015】
本発明の品質改良剤の流動性の指標である圧縮度は、好ましくは50%以下、さらに好ましくは40%以下である。圧縮度は以下の式により算出される。
圧縮度=100×(固め見掛比重−ゆるみ見掛比重)/固め見掛比重〔%〕
ゆるみ見掛比重および固め見掛比重は、パウダーテスターを用い、常法により測定する。すなわち、一定容積のカップに試料を徐々に落下させ、充填された重量(g)をカップ容積(ml)で除した値がゆるみ見掛比重、さらに過剰の試料を追加し、180回のタッピングを行ない、充填された試料全重量をカップ容積で除した値が固め見掛比重である。
【0016】
本発明の品質改良剤の好ましい組成は、水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物1〜50重量%、さらに好ましくは5〜30重量%、油脂1〜50重量%、さらに好ましくは10〜30重量%、油脂包含用基材30〜98重量%、さらに好ましくは35〜84重量%、ポリオール0.1〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%である。
上記組成範囲にあることにより、前述の好ましい範囲の平均粒径ならびに油脂の滲み出しがなく、流動性の良好な品質改良剤が得られる。
【0017】
次に、本発明の品質改良剤の製造方法について説明する。
本発明の品質改良剤は、水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物、油脂、油脂包含用基材およびポリオールを均一に混合攪拌することによって得られる。具体的には、下記の4つの方法が例示される。
(1法) 水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物と油脂包含用基材を混合したものに油脂を均一混合後、ポリオールを添加し高速攪拌造粒する方法(ポリオールは噴霧し添加する方法が好ましい)。
(2法) 水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物と油脂包含用基材を混合したものに、油脂、ポリオールを均一混合後、押し出し造粒する方法。
(3法) 水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物を油脂包含用基材を混合したものに、油脂、ポリオールを均一混合後、乾式造粒機を用いてロール圧によりシートを成型し、その後解砕することによって造粒する方法。
(4法) 水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物と油脂包含用基材を混合したものを、流動層造粒機を用いて気流中に流動させながらポリオールを噴霧し造粒し、そこに油脂を噴霧し包含させる方法。
【0018】
いずれの方法によって得られた品質改良剤も、最終的にふるい分けにより好ましい平均粒径の範囲内に収めることが可能であるが、収率の面から(1法)が最も好ましい。ここで用いるふるいの好ましい目開きは、150〜2000μm、さらに好ましくは300〜1000μmである。
前述の混合工程において、油脂は一旦その融点以上まで昇温し、液状として用いるのが好ましい。また、ポリオールも混合時点において液状とする。すなわち、グリセリン、プロピレングリコール等のグリコール類は、その融点以上の温度に保ち、糖類または糖アルコール類の場合は、できる限り高濃度の水溶液とする。
【0019】
さらに、前述の混合時点における全原料組成物中の好ましい水分含量は15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
本発明の品質改良剤が従来の水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物の高飛散性、炭酸カルシウムへの変化、食品への添加時の分散性の悪さ、過剰反応による局部的なゲル化、所望の弾力が得られない、成型困難等の問題を解決できる理由は、以下のように推察される。
【0020】
ポリオールが親水性の油脂包含用基材の一次粒子間を架橋し、その空隙に水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物および油脂を包合しながら造粒するため、水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物の高い反応性が適度に制御される。
さらに、本発明の加工食品用品質改良剤は1.5以上、さらには2以上の保水性を有することが好ましい。
【0021】
ここで云う保水性とは、植物性蛋白および調味植物性蛋白の日本農林規格(JAS)品質表示基準に定める保水性を指す。具体的には、水分10%以下の乾燥試料にあっては試料10gに、水分がそれ以上のペースト状試料にあっては試料30gに熱水100mlを加え、20分間置いて十分吸水させ室温まで冷却後、1000Gで5分間遠心分離して分離水を除く。残存したものの重量を測定し、これを無水物に換算した試料重量(105℃、4時間乾燥後の重量)で除して得た値を保水性とする。
上記保水性を有する加工食品用品質改良剤は、例えば、保水性の高い食品素材を油脂包含用基材として用いるか、または、さらに簡便な方法として前述のとおり調製した改良剤と保水性の高い食品素材とを均一に混合することにより製造できる。
【0022】
ここで用いる保水性の高い食品素材の好ましい例として、実質的に水に不溶の蛋白質、植物繊維、澱粉等を挙げることができる。具体的には、大豆蛋白(粉末状、粒状、繊維状、ペースト状等)、小麦グルテン、コラーゲン、カゼイン、ツェイン(トウモロコシ蛋白)、および樹木、草本、穀類(麦、サツマイモ、ビート、大豆、トウモロコシ等)、野菜、果実(リンゴ等)由来の植物繊維(セルロースが主成分)、およびトウモロコシ、モチトウモロコシ、馬鈴薯、甘藷、小麦、米、餅米、タピオカ等由来の澱粉、ならびにこれらに物理的または化学的な処理を施した化工澱粉等が挙げられるが、通常は保水性が2以上、さらに好ましくは2.5以上の食品素材を用いるのが好ましい。特に好ましい食品素材の例として、特開昭62−64841号公報および特開昭63−2991号公報に開示したアルカリ金属水酸化物水溶液から再生されたセルロースIIの結晶型をもつセルロースと、ポリペプチドおよび/または食用多糖類のゲスト成分とを含む構造体中で、ポリペプチドをゲスト成分とする部分は、前記セルロースIIがポリペプチドの島を取り囲む海成分を形成し、また、食用多糖類をゲスト成分とする部分は、前記セルロースIIが食用多糖類との均質な連続体を形成し、該海成分または該連続体が少なくとも10%以上存在する構造体からなる可食体を挙げることができる。
【0023】
これらの可食体は、以下のようにして製造することができる。
木材パルプ、綿、麻等の樹木、草本、穀類、野菜、果実由来の天然セルロースを酸加水分解、酵素処理、機械的粉砕または磨砕、爆砕処理等を施した重合度が100〜1200のセルロースと、食用蛋白質であるポリペプチドおよび/または増粘多糖類または澱粉等の食用多糖類を、アルカリ金属水酸化物水溶液に混合溶解しドープを得る。該ドープを押出機等を用いて酸性浴または塩を含む酸性浴に吐出し凝固、中和を同時に行なうか、水中または中性塩水溶液に吐出し凝固後、酸により中和することにより、繊維状、綿状、フィルム状、またはシート状の可食体を得ることができる。該可食体は必要に応じて磨砕しペースト状にしたり、乾燥後、解砕または粉砕することによって繊維状、粒状または粉状の乾燥物を得ることもできる。
【0024】
ここで云うポリペプチドとしては、種々の方法にて精製した大豆蛋白、小麦蛋白(グルテン)、トウモロコシ蛋白、乳清蛋白、卵白アルブミン、カゼイン、カゼインナトリウム、コラーゲン、ゼラチン等、またはこれらを部分的に加水分解したものが挙げられる。
【0025】
一方、食用多糖類としては、寒天(アガロース)、カラギーナン、ファーセレラン、アルギン酸塩、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、タラガム、カッシァガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ペクチン、アラビノガラクタン、キサンタンガム、スクレログルカン、プルラン、デキストラン、ジュランガム、カードラン、ガティガム、コンニャクマンナン、キシラン等の増粘多糖類、トウモロコシ、モチトウモロコシ、馬鈴薯、甘藷、小麦、米、餅米、タピオカ等由来の澱粉、ならびにこれらに物理的または化学的な処理を施した化工澱粉(酸分解澱粉、酸化澱粉、α化澱粉、グラフト化澱粉、カルボキシルメチル基、ヒドロキシアルキル基等を導入したエーテル化澱粉、酢酸、リン酸等を反応させたエステル化澱粉、2個所以上の澱粉の水酸基間に多官能基を結合させた架橋澱粉、湿熱処理澱粉等)、さらに、キチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等を挙げることができる。
【0026】
また、アルカリ金属水酸化物とは、ナトリウム、カリウム、その他のアルカリ金属の水酸化物を指すが、水酸化ナトリウムが好ましい。
一方、酸性浴に用いる酸の種類としては、硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、リン酸等が挙げられ、これらは通常水溶液として用いる。これらの酸の濃度は、限定的ではなく経済的な見地から適宜選択すればよい。さらに、ここで用いる塩としては、硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、リン酸等のアル金属塩やアルカリ土類金属塩が好適に用いられる。
本発明の加工食品用品質改良剤は、上記のような食品素材を固形分として改良剤全体に対し10〜99重量%、さらには50〜90重量%含有するのが好ましい。
【0027】
加工食品用品質改良剤の保水性が前述である場合には、既に述べた効果の他に、食品への加水量を増量した場合にも保型性の低下、離水等を防止できる加工食品用品質改良剤を供することができる。
また、上記食品素材の水分含量は15重量%以下が好ましいが、それ以上の水分でペースト状の場合には、用いる油脂の上昇融点が20℃以上、さらに好ましくは30℃以上で、前述の造粒して得られた品質改良剤と混合後、速やかに冷蔵または冷凍し、保存、流通も冷蔵または冷凍が好ましい。
本発明の品質改良剤の加工食品への添加率は、特に限定されるものではないが、好ましくは加工食品の全重量に対しカルシウムとして0.001〜0.1重量%、さらに好ましくは0.005〜0.05重量%である。
【0028】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1および比較例1)
酸化カルシウム(貝殻焼成カルシウム;(株)エヌ・シー・コーポレーション製)20重量部とDE(全固形分に対する直接還元糖(ブドウ糖として)の百分率)が約9のデキストリン52重量部を高速攪拌造粒機を用いて混合後、上昇融点が37℃の植物性硬化油25重量部を50℃の温度で投入し、均一に混合した。引き続き攪拌を継続しながら50℃に保温したグリセリン3重量部を噴霧し、造粒物を得た。該造粒物を冷却後、目開き425μmの節上画分を除去して加工食品用品質改良剤▲1▼を得た。
該加工食品用品質改良剤▲1▼と上記市販の酸化カルシウムを、平均粒径、飛散性(分散度)、保存時の炭酸カルシウムの生成率について比較した結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0003630443
【0030】
なお、平均粒径は加工食品用品質改良剤▲1▼については、篩分け法による積算篩上重量割合50%の粒径を、市販の酸化カルシウムについてはレーザー回折式粒度分布測定装置による積算体積割合50%の粒径を用いた。
炭酸カルシウムの生成率については、試料を25℃の恒温器内に無包装で3ケ月間放置後、塩酸分解により発生する炭酸ガスの量から算出した。
【0031】
(実施例2)
アラスカパルプを300kg/cm、30秒の条件で爆砕処理し重合度350のセルロースを得た。該セルロースとコーンスターチを重量比4:6で2Nの水酸化ナトリウム水溶液に溶解後、硫酸14g/dlの凝固浴中に吐出、水洗し、繊維状の可食体を得た。これを乾燥後粉砕し、水分5%、平均粒径45μmの食品素材を得た。該食品素材の保水性は3.5であった。
該食品素材と実施例1の加工食品用品質改良剤▲1▼を重量比80:20で均一に混合し、加工食品用品質改良剤▲2▼を得た。品質改良剤▲2▼の保水性は2.9であった。
【0032】
(実施例3)
冷凍スケソウすり身100重量部、食塩3重量部、砂糖4重量部、旨味調味料1重量部、みりん3重量部、馬鈴薯澱粉7重量部、卵白4.5重量部、水54重量部を標準配合として、これに実施例1で作製した加工食品用品質改良剤▲1▼0.2重量部(酸化カルシウムとして0.04重量部、カルシウムの量として蒲鉾全重量に対し0.016重量%)を添加、さらに水20重量部を増量し、ステファンカッターを用いて常法により粗摺り、塩摺り、本摺りを行なった。摺り上がった身をリテナーにて成型し、45℃、60分の坐り、90℃、30分の蒸しを行ない、蒲鉾を作製した。摺り上り身および蒲鉾の評価結果を表2に示す。
【0033】
(実施例4)
実施例3に示した標準配合に対し、実施例2で作製した加工食品用品質改良剤▲2▼1重量部(酸化カルシウムとして0.04重量部、カルシウムの量として蒲鉾全重量に対し0.016重量%)を添加、さらに水20重量部を増量して、実施例3と全く同様の方法で蒲鉾を作製した。摺り上り身および蒲鉾の評価結果を表2に示す。
【0034】
(比較例2)
実施例3に示した標準配合に対し、比較例1として取り上げた市販の酸化カルシウム0.04重量部(カルシウムの量として蒲鉾全重量に対し0.016重量%)を添加、さらに水20重量部を増量して、実施例3と全く同様の方法で蒲鉾を作製した。摺り上り身および蒲鉾の評価結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例3に示した標準配合とおりの(酸化カルシウム無添加)の蒲鉾を作製した。摺り上り身および蒲鉾の評価結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
Figure 0003630443
【0036】
表2中の坐り工程における蒲鉾の高さの低下率および横幅の増加率は、摺り上り身を型を用いて一定寸法に成型し、45℃、60分の坐りを行なった後、身ダレにより元の寸法に対し高さがどの程度低下したか、横幅がどの程度増加したかを測定し求めた。
蒲鉾の弾力を示すゼリー強度については、蒲鉾試料を25mmの厚さにカットし、レオメーター(5mmφ球形プランジャーを使用)を用いて測定した。
外観については、蒲鉾の外面および断面を目視で丹念に調べ、黄色斑点の有無を確認した。
離水率については、蒲鉾試料の重量A(g)を測定し、ポリ袋で包装して7日間冷蔵保存後、生じた離水を分離して蒲鉾重量B(g)を測定し、下記の式より算出した。
【0037】
【数1】
Figure 0003630443
【0038】
表2を見ると明らかなように、比較例2で作製した蒲鉾は、比較例3の標準配合の蒲鉾に対し92%のゼリー強度しか得られていないが、実施例3では標準配合の蒲鉾に対し151%、実施例4では159%と20重量部の水を増量しているにもかかわらず、有意に弾力が増強されている。
また、従来の酸化カルシウムは分散性が悪く、比較例2のように蒲鉾中に黄色斑点が生ずるのに対し、加工食品用品質改良剤▲1▼、▲2▼を用いた実施例3,4においては、そのような問題は全く発生しなかった。
さらに、保水性が1.5以上の値を示す加工食品用品質改良剤▲2▼を用いた実施例4においては、摺り上り身の保型性が改善されており、特に横幅の増加率が低い。また、20重量部の水を増量しているにもかかわらず、離水も低く抑えられている。
【0039】
(実施例5)
豚肉30重量部、牛脂および豚脂5重量部、食塩0.5重量部、乾燥卵白0.5重量部、粒状大豆蛋白12重量部、水25重量部、調味料および香辛料3重量部、玉ねぎ24重量部の標準配合に、実施例2で作製した加工食品用品質改良剤▲2▼0.3重量部(カルシウムの量としてハンバーグ生地全重量に対し0.009重量%)を添加し、ハンバーグを作製した。製造方法は常法により肉のチョッピング、塩摺り、他の原料との混合、成型、焼成の工程をとった。品質改良剤▲2▼は添加時に飛散がなく、生地への分散も良好であった。品質改良剤▲2▼無添加の標準配合の生地が保型性が悪く、成型が困難であったのに対し、改良剤▲2▼を添加したものは結着性があり、成型が容易であった。また、焼成時の肉汁のドリップも抑えられ、弾力および肉汁感のあるハンバーグが得られた。
【0040】
(実施例6)
小麦粉(中力粉)100重量部、食塩2重量部、水33重量部の標準配合に、実施例1で作製した加工食品用品質改良剤▲1▼0.2重量部(カルシウムの量として麺帯全重量に対し0.021重量)を添加し、うどんを作製した。製造方法は、常法により原材料をピンミキサーで混合し、麺帯機を用い圧延後、切り出しを行ない、97℃で20分間ゆでる工程をとった。品質改良剤▲2▼は添加時に飛散がなく、生地への分散も良好であった。また、得られたうどんはこしが強く、好ましい食感であった。
【0041】
(実施例7)
小麦粉(強力粉)100重量部、砂糖4重量部、食塩2重量部、ショートニング4重量部、脱脂粉乳1重量部、生イースト2.3重量部、イーストフード0.3重量部、水71重量部の標準配合に、実施例2で作製した加工食品用品質改良剤▲2▼1重量部(カルシウムの量としてパン生地全重量に対し0.015重量%)を添加し、食パンを作製した。製造方法は、常法により混捏,発酵,分割,成型,ホイロ,焼成の工程をとった。品質改良剤▲2▼は添加時に飛散がなく、生地への分散も良好であった。
また、得られた食パンは膨らみが良好で比容積が大きく、食感も好ましいものであった。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物からなる加工食品用品質改良剤の高飛散性、保存中の炭酸カルシウムへの変化、加工食品へ添加時の分散性の悪さ、過剰反応による局部的なゲル化等の問題が改善され、弾力増強効果が大きく向上する。また、高加水時の保型性確保,離水防止の効果もある。

Claims (2)

  1. 水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物、油脂、油脂包含用基材およびポリオールを含有し、粒状であることを特徴とする加工食品用品質改良剤。
  2. 1.5以上の保水性を有することを特徴とする請求項1記載の加工食品用品質改良剤。
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