JPH0779707A - 食用蛋白の改質 - Google Patents

食用蛋白の改質

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JPH0779707A
JPH0779707A JP5231805A JP23180593A JPH0779707A JP H0779707 A JPH0779707 A JP H0779707A JP 5231805 A JP5231805 A JP 5231805A JP 23180593 A JP23180593 A JP 23180593A JP H0779707 A JPH0779707 A JP H0779707A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 食用蛋白にポリリジンの添加存在下にトラン
スグルタミナーゼを作用させる。 【効果】 トランスグルタミナーゼによる食用蛋白の架
橋改質法が改良された。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食用蛋白にトランスグ
ルタミナーゼを作用させてこれを架橋改質するに当り、
ポリリジンを添加存在させることを特徴とする食用蛋白
の改質方法、ならびに同じ原理を利用した食用蛋白素
材、食用魚畜肉加工素材、麺類および餅類の製造法。
【0002】
【従来の技術】トランスグルタミナーゼを利用して食用
蛋白を種々の観点から架橋改質する方法は既に少なから
ず提案されているが、さらなる改質あるいは従来トラン
スグルタミナーゼでは改質効果の顕著でないものを満足
できる程度まで改質することが望まれている。
【0003】例えば、食品蛋白は、従来からゲル形成
性、乳化性、気泡性等の機能性や経済性を生かして食品
加工によく使用されてきた。この背景の中で、蛋白を用
途に応じて、さらに乳化性やゲル化性を向上させようと
する目的思考の強い改良がなされてきた。これらの試み
の1つとして、特開昭64−27471にみられるよう
に、トランスグルタミナーゼを使用して蛋白のゲル物性
を改良し、これらのゲルにかたさや弾力性を付与してき
た。
【0004】しかしながら、食品蛋白にかたさと弾力を
向上させると同時に、さらに喉ごし性を付与することも
要求されている。確かに、トランスグルタミナーゼを活
用することによって、前述のように、食品蛋白ゲルにか
たさと弾力を付与することができるが、反面、かたさと
弾力を向上させることは、言い換えれば、スプリング性
が強くなる方向に改質されることを意味し、延いてはこ
のようなスプリング性の向上が蛋白ゲルの喉ごし性を欠
除させる原因となる。
【0005】そこで、食品蛋白ゲルのかたさと弾力を向
上させる同時に、喉ごし性を付与することによって、よ
り食品加工に適した食品蛋白を提供することが重要であ
る。
【0006】また、例えば、畜肉魚肉加工品は、蛋白の
熱凝固個性を活かした代表的な食品であり、蒲鉾、揚げ
蒲、竹輪等の水産練り製品やソーセージ、ハンバーグ等
の畜肉加工品は、特にこの蛋白のゲル化性が最終製品の
食感を左右する。このゲル化性の改善に対して、大豆蛋
白、卵白等の食品蛋白を使用したり、澱粉、ガム類等を
使用したりすることによって解決しようとされてきた。
しかしながら、これらの食品改質剤ではある程度多量に
添加しないと効果が発揮できず、一方、多量に添加する
と、食感の質が変わってしまい好ましくない。即ち、硬
くはなるが、もそつく歯ごたえとなってしまう。
【0007】最近、このような畜肉魚肉ゲルの改良法と
して、トランスグルタミナーゼによる方法が考案され
た。確かに、この方法は食品蛋白や糖類による方法以上
に、高度にゲルの粘弾性を改質する。即ち、トランスグ
ルタミナーゼは、蛋白や糖類に比べて少量でゲルに硬さ
と弾力を付与することが可能である。しかしながら、硬
さと弾力が付与されることによって、逆に、ジューシー
感や脂っぽさが消失してしまい、食品としては美味しさ
にかけるものとなる。さらに、レトルト処理や冷凍処理
された畜魚肉加工品は、120℃以上の高温もしくは氷
点下の低温にさらされるため、蛋白がダメージを受け、
バサバサでジューシー感がなく、硬く締った脆い歯ごた
えとなり、好ましくない。
【0008】そこで、畜肉魚肉ゲルの粘弾性を改善する
と同時に、畜魚肉加工品にジューシー感を付与すること
が重要となる。ジューシー感を付与することによって、
畜魚肉加工食品の持つ本来的な味や風味を損なわれるこ
とのない最終食品を製造することができ、延いては価値
のある畜魚肉加工食品を提供することが出来るので、こ
のような製造方法の開発が間たれている。
【0009】さらにまた、例えば、従来、麺類には、チ
ルド、冷凍、常温、レトルト処理品等と多岐にわたり開
発されているが、いずれも食する時点で、しこしこした
こし(弾力)のある食感が望まれており、そのためにゆ
で後の麺の食感を長時間こしのある状態に維持すべく種
々の改良がなされてきた。たとえば、ゆで後ののび防止
をするためうどん、中華麺、パスタ類では、やや蛋白含
量の高い中力ないしは準強力小麦粉が主原料として用い
られ、さらには澱粉、小麦グルテンなどの混合により、
こしのある食感を発現してきた。また、タンパク質素材
を添加することも行われており、これには活性グルテ
ン、大豆蛋白、卵白や全卵、カゼイン等の素材が用いら
れ、この他、乳化剤、多糖類の糖類誘導体等も用いられ
ている(特開平2−117353)。また、レトルト殺
菌処理の場合に食感を維持させる為に、高温、短時間の
レトルト処理、例えは、125℃以上でF0 =3.1と
なるような条件で物性を保っているのが実状である(特
開平2−186954)。更に、本発明におけると同様
にトランスグルタミナーゼを使用する方法、すなわち、
麺を熱加工した後、トランスグルタミナーゼ含有液に浸
漬することを特徴とする麺類の製造方法が知られている
(特開平2−286054)。
【0010】しかしながら、これらのいずれの方法によ
っても、ゆで上げ、蒸し上げ等による熱処理後に優れた
食感を長時間にわたって充分に維持することは必ずしも
容易とは言えない。換言すれば、喫食時の麺の食感は硬
さはあるが、長時間にわたって、しなやかな粘りがあ
り、そして、弾力(こし)のある好ましい食感を与える
うどん等は今だ得られていない。
【0011】本来、麺類は熱処理を経て原料中の澱粉が
アルファー化したもの、即ち、ゆで直後に食するとおい
しいものであるが、通常市販されているゆで麺等の麺類
は、工場での製造工程及び製造後の流通過程に長時間を
必要とするため、この間に食感が著しく劣化してしまう
のが実状である。又、長期の保存性を持たせるために、
酸処理およびレトルト処理を講ずる。また、スープ等の
具材として調味液中での加熱処理、あるいはスープ等の
中でのレトルト加熱処理等が行なわれることもある。そ
の結果、軟らかくなり、食感が低下し、食味も落ちるこ
とが知られている。さらには、外観上も水を含み、調味
液を吸収して膨潤してしまい、この理由でも好ましい食
感を失う。
【0012】前記の特開平2−117353に開示の添
加物は、熱処理直後の麺の改良には優れた効果を示すも
のもあるが、総じて、熱処理後の長時間を経た麺の食感
の改善、また、スープ及びたれ等の液体の中で長時間を
経た麺の食感の改善には見るべきものはなかった。ま
た、特開平2−286054に開示のトランスグルタミ
ナーゼ処理麺も更なる品質の向上が望まれる。さらに、
スープ等の調味液の中でのレトルト高温加熱処理後での
食感の改良が要望されている。
【0013】そこで、前述のような欠点のない、優れた
食感を維持できる麺類の提供が待たれている。
【0014】あるいはまた、例えば、餅類に対して餅ら
しい粘りと弾力のある食感を付与することが望まれてい
る。その目的とするところは、レトルト処理などの高温
加熱後においても餅らしい粘りと弾力のある食感を保持
することにある。また、餅類をお汁粉やスープ中で加熱
されても、時間の経過と共に軟化したり、煮くずれする
ことがなく、喫食時の品質劣化の少ない餅様食感を保持
することにもある。
【0015】このような観点からは、従来の餅加工品と
しては、特開昭52−128249では、もち生地にキ
サンタンガム、グアーガム、タラガム、カラヤガム等の
多糖類、更に、紅ソウ類抽出物を併せ添加している。特
公平4−40979では、糖入り餅にLMペクチン(低
メトキシペクチン)、アルギン酸ナトリウム等を含ませ
るとともに、餅を包む外液にCa塩を含ませて餅と外液
の浸透圧をほぼ等しくしている。さらにローカストビー
ンガム、キサンタンガム等の多糖類を併用してレトルト
殺菌による型くずれを少なくしている。
【0016】更に、餅類加工品の老化を押える方法とし
ては、餅に砂糖や水飴等の糖質を加える方法、酸素を加
える方法及び乳化剤を加える方法が知られている。
【0017】しかし、いずれの方法によっても餅全体が
軟化してしまうため、ぜんざいなどのようにお汁粉中で
の加熱処理により餅の表面および中程も柔らかくなり、
時間の経過によって餅の外側が溶け出す傾向がみられ
る。さらに、レトルトなどの高温加熱殺菌処理によっ
て、経時的な老化及び型くずれ性を押えることはできて
いない。したがって、現状では、お汁粉などの液、スー
プ類の中で高温加熱処理された餅加工品は市販されてい
ないのが実状である。それ故に、すべての餅加工品等
は、餅とお汁粉等の調味液、スープ等とが別充填であ
り、餅とお汁粉が合わせられたものはない。
【0018】そこで、このような高温加熱処理後におい
ても、本来の餅の食感である硬さのある弾力と餅らしい
粘りと、もちもちした食感を保持することのできる餅類
の開発提供が望まれている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】前項記載の技術的背景
下において、本発明の目的は、種々の分野におけ食用蛋
白の架橋改質についての改良法を開発提供することにあ
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前項記載の
目的を達成すべく鋭意研究の結果、トランスグルタミナ
ーゼを使用し、その酵素作用を利用して食用蛋白を架橋
改質する酵素反応をポリリジンの添加存在下に行うこと
で、従来のトランスグルタミナーゼによる改質効果が向
上すること、また、従来トランスグルタミナーゼでは改
質効果の奏せられなかったものがポリリジンとの併用に
より改質効果が奏されるようになること、を見出し、こ
のような知見に基いて本発明を完成するに至った。
【0021】以下、本発明を逐次詳細に説明する。
【0022】本発明は、第1に、食用蛋白に、ポリリジ
ンの添加存在下にトランスグルタミナーゼを作用させて
これを架橋改質することを特徴とする食用蛋白の改質方
法に関する。
【0023】周知のように、トランスグルタミナーゼ
は、ペプチド鎖内にあるグルタミン残基のγ−カルボキ
シアミド基のアシル転移反応を触媒する酵素である。こ
のトランスグルタミナーゼは、アシル受容体としてタン
パク質中のリジン残基のε−アミノ基が作用すると、タ
ンパク質分子の分子内において及び分子間においてε−
(γ−Glu)−Lys結合が形成される。
【0024】ところで、トランスグルタミナーゼには、
カルシウム非依存性のものとカルシウム依存性のものが
あるが、いずれも使用することが可能である。前者の例
としては、微生物由来のもの(例えば、特開昭64−2
7471参照)をあげることができる。後者の例として
は、モルモット肝臓由来のもの(特公平1−50382
参照)、魚由来のもの(例えば、関信夫ら「昭和63年
度日本水産学会秋期大会講演要旨集」167頁及び「平
成2年度日本水産学会春期大会講演要旨集」219頁参
照)をあげることができる。この他、遺伝子組み変えに
より製造されるもの(特開平1−300889)等、い
ずれのトランスグルタミナーゼでも用いることができ、
起源及び製法に限定されることはない。但し、食品用途
としての機能性及び経済性の点から、好ましくはカルシ
ウム非依存性のものがよく、たとえば、上述の微生物由
来のトランスグルタミナーゼ(特開昭64−2747
1)等は、いづれの条件をも満足するものであり、現時
点では最適といえる。
【0025】次に、トランスグルタミナーゼに併用され
るべき、そして本発明の最大の特徴であるポリリジンに
ついて説明する。ポリリジンは、L−リジンの重合した
ものであり、例えば、放線菌の培養液中に産生され、こ
れより分画して製造することができることは周知の通り
である。
【0026】ポリリリジンは、その重合度が2以上であ
れば効果を発揮するが、架橋改質効果と溶解性の点か
ら、10〜30程度の重合度が適当である。
【0027】なお、リジンを多く含むα−ラクトアルブ
ミン、αS2 −カゼインなどもある程度同様の効果を発
揮するものとしてあげられるが、これらはある程度分画
精製を必要とするため、経済性からみてその使用は限定
されるが、ポリリジンと併用してもよいことはもちろん
である。
【0028】架橋改質されるべき蛋白にも特別の制限は
なく、食用に供し得るものであればいずれも本発明の対
象となる。
【0029】さて、このような原材料を使用する本発明
の方法は、方法自体には特別の制限はない。すなわち、
食用蛋白にポリリジンの添加存在下にトランスグルタミ
ナーゼを作用させる方法自体には特別の制限はなく、ポ
リリジンを添加存在させることを除いては、トランスグ
ルタミナーゼによる従来の食用蛋白の架橋改質法に準ず
ることができる。
【0030】ポリリジンを添加存在させるには、例え
ば、これをそのまま使用するか、水溶液として使用する
ことで行なうことができる。ポリリジンの添加量は、要
するに、トランスグルタミナーゼを単独使用した場合に
比して、ポリリジンにトランスグルタミナーゼを併用し
た場合に効果が増大する量であるが、この量は場合によ
って異なるものの、所与の場合の好ましい使用量は、当
業者であれば簡単な事前トライアルにより、または、後
掲の各実施例を参照して、極めて容易に定めることがで
きる。
【0031】本発明は、第2に、食用蛋白に、ポリリジ
ンの添加存在下にトランスグルタミナーゼを作用させて
これを架橋改質することを特徴とする食品用蛋白素材の
製造法に関する。
【0032】本発明は、本発明者が食品蛋白にかたさ、
弾力及び喉ごし性を付与することを目的として種々検討
をおこなった結果、蛋白組成物にトランスグルタミナー
ゼ及びポリリジンを併用添加後、酵素反応に付すること
により目的とする食品用蛋白素材を得ることが可能とな
ることを見出して完成するに至ったものである。
【0033】本発明の対象となる食用蛋白には、一般に
食用に用いられているものである限りは特別の制限はな
く、例えば、乳蛋白、粉乳、乳ホエー蛋白、全卵、卵
白、卵黄、血漿蛋白、カゼイン、ゼラチン、コラーゲ
ン、大豆蛋白、小麦蛋白等の単独もしくはこれらの2種
以上の組合せをあげることができる。
【0034】このような食用蛋白に、ポリリジンの添加
存在下にトランスグルタミナーゼを作用させてこれを架
橋改質する方法は、先に説明した本発明の第1における
と同様であるが、留意することが望まれる事項を若干付
言する。
【0035】まず、トランスグルタミナーゼの添加量
は、蛋白1gあたり0.2〜100ユニット(u/g蛋
白と略す)が好ましい。この添加量において、0.2u
/g蛋白以下では蛋白ゲルにある程度のかたさと弾力は
付与できても、喉ごし性の改良は達せられない。一方、
100u/g蛋白以上では蛋白ゲルがかたすぎて、脆く
なり、弾力と喉ごし性が低下してしまい好ましくない。
【0036】因みに、本明細書を通じて、トランスグル
タミナーゼの活性単位(ユニット)は、次のようにして
測定され、かつ定義される。即ち、ベンジルオキシカル
ボニル−L−グルタミニルグリシンとヒドロキシルアミ
ンを基質として反応を行い、生成したヒドロキサム酸を
トリクロル酢酸存在下で鉄錯体を形成させた後、525
nmの吸光度を測定し、ヒドロキサム酸の量を検量線よ
り求め、活性を算出する(特開昭64−27471公報
参照)。
【0037】また、ポリリリジンの添加量は、蛋白1g
当り0.0001〜0.1g(g/g蛋白と略す)であ
る。この添加量が0.0001g/g蛋白以下では蛋白
ゲルは無添加のものと物性はかわらず、一方、0.1g
/g蛋白以上では蛋白ゲルに喉ごし性は付与できるが、
かたさと弾力が低下してしまい、軟弱なゲルとなってし
まい不適である。
【0038】トランスグルタミナーゼおよびポリリジン
をこのような量で使用して行なう、食用蛋白の改質方
法、すなわち、架橋改質された食用蛋白組成物(すなわ
ち、改質蛋白含有食品素材)の具体的な製造方法を例示
する。
【0039】まず、食用蛋白組成物に、トランスグルタ
ミナーゼを0.2〜100u/g蛋白相当量(トランス
グルタミナーゼ活性が1u/mgの場合、0.0002
〜0.1g)、及びポリリジンを0.0001〜0.1
g/g蛋白加えて混合する。これに通常2〜15倍(重
量)の水を加えた後、酵素反応に付する。加水量につい
ては、酵素反応後得られたゲルをそのまま食品に使用す
る場合は、2〜10倍程度の加水を採用するが、酵素反
応後乾燥して得た粉末として食品に使用する場合は3〜
15倍程度の加水が適当である。さらに、これらの加水
量は、対象となる蛋白組成物の種類によっても異なり、
小麦蛋白の場合は約2〜4倍加水程度であり、ゼラチン
の場合は10〜15倍加水程度である。なお、これらの
加水量は一応の目安であり、これらの範囲外の加水を行
なってもよい。酵素反応条件は、0〜65℃において5
分から24時間保持するというものであるが、通常は2
0〜60℃で20〜60分程度で処理すると短時間に、
かつ、安定した物性のゲルが得られる。
【0040】酵素反応の方法としては、バイオリアクタ
ーを用いることもできる。この方法が採用できる領域と
しては、水や塩溶液に可溶な蛋白が取扱い易い。まず、
所定の蛋白とポリリジンを水等に可溶化した後、アクリ
ルアミドゲルマトリックス等で固定されたトランスグル
タミナーゼからなるバイオリアクターに接触せしめる際
に、所定の反応時間をとることによって、トランスグル
タミナーゼ及びポリリシンにより改質された蛋白を得る
ことが出来る。
【0041】なお、乾燥処理を行なうことによって、改
質された粉末状の蛋白含有素材を得ることができる。乾
燥方法は、凍結乾燥法、真空乾燥法、噴霧乾燥法、等の
一般的に食品の粉末化に用いられる方法が適宜採用され
るが、経済性の点から噴霧乾燥法が好ましい。
【0042】本発明の方法により架橋改質された食用蛋
白、すなわち、改質蛋白素材の用途は、現在加工食品に
おいて使用されている乳蛋白、小麦蛋白、大豆蛋白、卵
蛋白等の食品蛋白と同様の用途に用いることができる。
例えば、畜魚肉を主体とした練り製品を中心に、ヨーグ
ルト、生クリーム、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシ
ング等の乳化食品等において、喉ごし性やなめらかさを
付与し、さらに乳化安定性や保水性の改善に機能を発揮
できる。改質蛋白素材の乾燥粉末の使用法としては、こ
の粉末と水を直接食品に添加する方法と、粉末に2〜1
0倍程度の水を加え、水和物としてそのまま食品に添加
する方法がある。食品製造上の操作性を考慮すると、前
者の粉末を直接添加する方法が便利である。このような
改質蛋白素材の食品用途としては、例えば、乳蛋白の場
合ではヨーグルトの離水防止や生クリームの乳化安定性
付与、改質卵蛋白の場合はマヨネーズ、ドレッシングの
乳化安定性の付与、等が可能となる。さらに、この改質
蛋白素材を一般に用いられる蛋白食品の代わりに用いた
場合、その利用された食品に耐熱性や吸水性防止等の特
殊な機能を付与することができる。例えば、魚肉ソーセ
ージ、グミキャンディ等のゼラチン加工品がその例であ
る。
【0043】本発明は、第3に、食用魚畜肉に、ポリリ
ジンの添加存在下にトランスグルタミナーゼを作用させ
てこれを架橋改質することを特徴とする魚畜肉加工品の
製造法に関する。
【0044】本発明は、本発明者が、魚畜肉加工品の製
造に当り、魚畜肉ゲルに対して、その硬さと弾力を保持
しつつ、ジューシー感を付与することを目的として種々
検討をおこなった結果、畜肉、魚肉、魚介類等の食用魚
畜肉に対してトランスグルタミナーゼ及びポリリジンを
添加した後に、酵素反応に付することにより目的とする
畜魚肉加工品を得ることが可能となることを見出して完
成にするに至ったものである。
【0045】本発明の対象となる原料である食用魚畜肉
には、魚肉及び畜肉の他に魚介類等も含まれる。例え
ば、畜産練り製品や水産練り製品等の原料として用いら
れる、牛、豚、鶏、羊、マトン、スケトウダラ、かじ
き、グチ、エソ、エビ、イカ、カニ等の天然原料が本発
明の原料である食用魚畜肉に含まれる。
【0046】このような食用魚畜肉の原材料に、ポリリ
ジンの添加存在下にトランスグルタミナーゼを作用させ
てこれを架橋改質する方法は、先に説明した本発明の第
1または第2におけると同様であり、またトランスグル
タミナーゼおよびポリリジンを使用する点を除いては従
来の魚畜肉加工品の製造法と同様であるが、留意するこ
とが望まれる事項を若干付言する。
【0047】まず、トランスグルタミナーゼの添加量
は、蛋白1g当り0.1〜100uである。
【0048】また、ポリリジンの添加量は、蛋白1g当
り0.0001〜0.1gである。
【0049】トランスグルタミナーゼおよびポリリジン
をこのような量で使用して行なうが、以下にこのように
して行なう食用魚畜肉の改質方法、すなわち、改質され
た魚畜肉加工品の具体的な製造方法を例示する。
【0050】まず、通常の原材料に加えて、通常の原材
料中の畜肉、魚肉及び魚介類等の天然原料蛋白に対して
トランスグルタミナーゼを0.1〜100u/g蛋白
(トランスグルタミナーゼ活性が1u/mlである場
合、0.0002〜0.1g)及びポリリジンを0.0
001〜0.1g加え、サイレントカッター等で混合
し、得られた生地を必要に応じて成形後、酵素反応に付
する。成形は目的とする魚畜肉加工品、即ち、ソーセー
ジ、ハンバーグ、ミートボール、蒲鉾、竹輪、揚げ蒲
等、に対して一般的に行われる成形方法でよい。
【0051】酵素反応条件は、上に述べた生地を0〜6
0℃で5分から48時間程度保持するのが一応の目安で
ある。また、生肉を対象として処理するので、0〜10
℃の低温で処理し、この範囲の温度帯で1時間以上反応
させてもよい。
【0052】但し、ソーセージ製造ではスモークチャン
バー内での50〜60℃で10〜20分間の乾燥処理工
程が、また、蒲鉾製造では約40℃で30〜60分間も
しくは冷蔵で一夜放置による座り処理工程等がとられる
場合は、これらの工程内で本発明の酵素反応が生起する
ので、特に別途独立の酵素反応処理を施さなくとも架橋
改質効果は奏される。
【0053】酵素反応による架橋改質処理後は、目的と
する畜魚肉加工品に通常とられる処理と同様に処理され
ることはもちろんである。これらの処理としては、ボイ
ル、蒸煮、油ちょう等の加熱、ついで冷却等がある。目
的に応じて、レトルト処理もしくは冷蔵処理に付され
る。これらの処理法及び条件は特に限定されるものでは
なく、魚畜肉加工食品の製造で通常採用されている方法
に従えばよいことはもちろんである。
【0054】本発明の方法により製造される魚畜肉加工
品、例えば、ソーセージ、ハム、ハンバーグ、ミートボ
ール、蒲鉾、竹輪、揚げ蒲等の畜肉加工品及び水産練り
加工品等は、最終製品とするまでに加工食品における処
理、例えばレトルト処理や冷凍処理等を施しても、その
原料素材の持つソフトさやジューシー感等の品質が損な
われることのない最終魚畜肉加工食品となる。
【0055】本発明は、第4に、生地原材料に含まれる
蛋白に、ポリリジンの添加存在下にトランスグルタミナ
ーゼを作用させてこれを架橋改質することを特徴とする
麺類の製造法、換言すれば、ゆで後の食感、特に弾力
(こし)及び硬さを長時間にわたって維持することが可
能な、そば、うどん類、中華麺類、パスタ類等の麺類の
製造法に関するものである。
【0056】本発明は、本発明者が麺類における先に説
明した課題を解決するために鋭意研究を行った結果、麺
類を製造する工程において、特に、原料粉を水、食塩な
どと混練して生地を作成する工程で同時に酵素トランス
グルタミナーゼ及びポリリジンを加えて混練し、原料粉
に含まれる蛋白質に該酵素とポリリジンを作用させるこ
とにより、前記の課題が解決することが出来るとの知見
を得て完成したもので、即ち、本発明は、麺類の製造に
際し、ポリリジンの添加存在下にトランスグルタミナー
ゼを作用させてこれを架橋改質することを特徴とする麺
類の製造法である。更に詳しくは、トランスグルタミナ
ーゼとポリリジンを、原料粉と水、食塩、かん水などを
混練するときに同時に水、食塩などとともに麺生地に練
り込み、得られた生地のねかし工程で該酵素とポリリジ
ンを十分作用させるように用いることを特徴とする麺類
加工品の製造方法である。
【0057】本発明の対象となる麺類、すなわち、本発
明の方法で製造できる麺類としては、原料から分類され
る、うどん、そうめん、ひやむぎ(以上は、小麦粉を主
原料とする)、そば(そば粉の他につなぎとして小麦
粉、ヤマイモ、卵白等を主原料とする)、中華麺、ワン
タン、ぎょうざの皮(小麦粉の他にかん水などのアルカ
リ剤が必要)、マカロニ、グラタンなどのパスタ類(デ
ュウラムセモリナ等特定の小麦粉を主原料とする)等を
挙げることができる。
【0058】本発明の麺類の製造法は、麺生地の作成工
程において通常の原材料に加えてトランスグルタミナー
ゼとポリリジンを添加使用することを除いては、通常の
方法に準ずることができる。因みに、麺類の製造法の通
常の方法は、要するに、水を含む諸種の原料を混練して
麺生地を作成し、必要により熟成した後にこの麺生地を
麺線等の形状に成形して生麺とするものである。
【0059】ポリリジン存在下におけるトランスグルタ
ミナーゼの酵素作用は、ねかし工程で生起するので、こ
のための別個独立の工程は不要である。
【0060】生麺は、そのまま流通に置くことができる
が、これをゆでたり、蒸したりしたゆで麺、蒸し麺の形
態で、また、ゆで麺を包装した包装ゆで麺の形態で流通
に置くことも出来、また、生麺を乾燥した乾麺の形態で
も流通に置くことが可能である。また、ゆで麺を酸溶液
に浸漬したり、レトルト包材に充填してレトルト処理し
て、常温流通に置くことができる。すなわち、本発明に
よれば、各種の麺類を、その製品の形態を問わず、加熱
耐性のあるものとして製造することが出来る。
【0061】先に説明したように、本発明の方法は、生
地原材料として、通常の原材料に加えてトランスグルタ
ミナーゼとポリリジンを添加使用することを除いては、
従来の麺類の製造法に準ずることができ、したがって、
先に挙げた諸種の種原料は当業者に周知である。例え
ば、穀類としては、強力小麦粉、中力小麦粉、薄力小麦
粉等を挙げることができ、また、その他の原料として
は、小麦グルテン、卵白、大豆蛋白、ワキシスターチ、
酸処理澱粉等を挙げることができ、これらには特別の制
限はない。
【0062】従来の麺類の製造法と異なるところは、諸
原料の混練工程においてトランスグルタミナーゼおよび
ポリリジン重合物を該諸原料に添加し、原料中の蛋白質
にこれを作用させる点である。以下、これについて説明
する。
【0063】先に触れたように、本発明においてはトラ
ンスグルタミナーゼはその由来を問わず使用できる。ト
ランスグルタミナーゼを用いることにより、原料穀類の
蛋白質のグルタミン残基のγ−カルボキシアミド基と各
種一級アミン間のアシル転移反応が触媒され、一級アミ
ンがタンパク質のリジン残基である場合は、ε−(γ−
Glu)−Lys架橋結合が形成される。さらに、加熱
処理した後もしこしこした食感が保持される効果が発現
する。そのメカニズムは明らかでないが、本発明で用い
るポリリジン(例えば、チッソ(株)のポリリジン製
剤)はポリカチオンとして作用するアミノ基の窒素
(N)がポリペプチド鎖による網状構造において静電気
的に結合し、より網状構造をしっかりとさせてゲル特性
が向上し、耐熱性を付与するものと考えられる。換言す
れば、麺類の製造に際して穀類の諸原料にトランスグル
タミナーゼおよびポリリジンを添加混練して、該麺類生
地を酵素作用の充分発現するような適当な温度にて適当
な時間ねかせることにより、タンパク質間および蛋白質
内のネットワーク構造が麺体中に形成され、麺体内での
水分の均一化を防止することにより、ゆでた後も、さら
には、酸処理したり、レトルト処理後も弾力(こし)の
ある好ましい食感が維持されるものと推定される。
【0064】トランスグルタミナーゼの添加量は、穀類
原料蛋白質1g当り0.001〜50ユニット、好まし
くは0.1〜30ユニットである。添加量が前記範囲よ
り少ない場合には、麺類の食感改良やレトルト処理後の
物性、ゆでのぴ防止等において、所期の効果を納めるこ
とが出来ず、また、前記範囲を越える場合は麺類の食感
が著しく硬くなり過ぎるなどの不都合があり、いずれ
も、本発明の目的を充分には達成できない。
【0065】さらに、併用するポリリジンの添加量は主
原料の穀類蛋白質1g当り0.0001〜1gであり、
好ましくは0.001〜0.5gである。添加量が前記
範囲より少ない場合には、麺類の食感は硬く、ボソつき
がみられ、また、前記範囲を越える場合には、柔らかす
ぎるなどの不都合があり、いずれも、本発明の目的を充
分に達成することはできない。
【0066】そしてトランスグルタミナーゼおよびポリ
リジンはそのまま、または、水溶液として添加するとよ
い。
【0067】混練して得られた麺生地は、ポリリジンの
添加存在下におけるトランスグルタミナーゼの酵素作用
を充分に発揮させるために10〜65℃、好ましくは、
35〜55℃でねかせる。このようなねかし温度に生地
を維持すると、30〜120分程度で該酵素作用が充分
に発現する。
【0068】本発明は、第5に、製造工程中において、
原材料に含まれる蛋白に、ポリリジンの添加存在下にト
ランスグルタミナーゼを作用させてこれを架橋改質する
ことを特徴とする餅類の製造法に関する。
【0069】本発明は、本発明者が、先に説明した餅類
に関する課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、餅類
の主原料であるモチ米類等を洗米、浸漬、蒸した後の搗
きあげ工程において、トランスグルタミナーゼとポリリ
ジンを併用添加して搗きあげ処理に付することにより前
記課題を解決されるという知見を見いだし、完成するに
至ったものである。
【0070】本発明の餅類の製造法は、搗きあげ工程に
おいて、トランスグルタミナーゼとポリリジンを併用添
加して搗きあげ処理に付することを除いては、全て従来
の方法によることができるので、以下の説明も従来の方
法との相違点を主体に行なう。
【0071】本発明の方法において、餅類の主原料は、
通常モチ米が主体となるが、また、澱粉類等の蛋白強化
のために副原料を使用することもでき、特に制限される
ものではない。例えば、副原料として、餅独特の歯ごた
え感を更に発現するために、小麦グルテンのようにタン
パク質含量を高めるものを使用することにより、架橋改
質の効果をより発現させることもできる。
【0072】原料の穀類を予めトランスグルタミナーゼ
溶液に浸漬することもできるが、通常は、浸漬後のモチ
米を蒸した後の搗きあげの工程において、トランスグル
タミナーゼとポリリジンを併用して混合添加して混練
し、搗きあげる。
【0073】トランスグルタミナーゼの添加量は、主原
料の穀類のタンパク質1gあたり、0.1〜500ユニ
ット、好ましくは1〜30ユニットである。そして、搗
きあげた後に得られる餅は、板状に圧延してお汁粉など
の餅とすると、水分は通常の35〜46%で、しかも餅
独特の弾力と、もちもちした粘りとこしのある好ましい
食感のものである。これは、トランスグルタミナーゼを
用いることにより、モチ米の蛋白質のグルタミン残基の
γ−カルボキシアミド基と各種一級アミン間のアシル転
移反応が触媒され、一級アミンがタンパク質のリジン残
基である場合は、ε−(γ−Glu)−Lys結合が形
成されることによるものと考えられる。
【0074】さらに、ポリリジンの併用添加により餅独
特の弾力と粘り、しなやかさが発現されるものである。
先に本発明の第4(麺類の製造法)に関して述べたよう
に、本発明で用いるポリリジンはポリカチオンとして作
用するアミノ基の窒素(N)がポリペプチド鎖による網
状構造において静電気的に結合し、より網状構造をしっ
かりさせるものと考えられる。ポリリジンの添加量は、
原料穀類の蛋白質1g当り、0.0001〜0.1gで
ある。ポリリジンの添加量が0.0001以下では効果
が不十分であり、0.1g以上であればのびはでるが、
柔らかい食感となる。
【0075】次に、本発明の餅類の具体的製造法につい
て例示説明する。
【0076】モチ米等の穀類原料を水洗し、水浸漬し、
水切り後に、手水をくわえつつ、搗きあげ時にトランス
グルタミナーゼとポリリジンをそのままで、また例えば
溶液として添加し、搗きあげる。副原料としては小麦グ
ルテン等を用いるが、これらにも特別の制限はない。本
発明の方法により製造される餅類は、品質的にも液体の
中でレトルト条件での高温加熱処理された場合でも好ま
しい食感を保持することが出来る。
【0077】餅類の製造においては、通常、餅を搗きあ
げた後に圧延し、冷却する。冷却は放冷によることもで
きるし、通風乾燥によることもできる。例えば、後者の
場合、65〜20℃まで低下させるのに2時間程度要す
るとすると、この間にトランスグルタミナーゼが作用す
る条件があり、好ましくは25〜55℃で30〜120
分程度の保持で、こうすることにより酵素作用が充分に
行われる。このように、ポリリジン添加存在下でトラン
スグルタミナーゼの酵素作用を充分に発現させるために
は、特別に困難な処理はなんら必要とされない。
【0078】トランスグルタミナーゼおよびポリリジン
を併用することを特徴とする本発明の方法で製造された
餅類は、そのままで商品価値の高いものであるが、さら
に所望によりレトルト食品の具材とすることもできる。
すなわち、通常の餅としてお汁粉等のレトルト食品とす
る場合は、例えば、3cm×4cm×1cm程度に餅を
カットし、お汁粉および/または餡等の具材とともにレ
トルトパウチに充填し、密閉後、レトルト処理を行う。
レトルト処理の条件は、内容物の量目、レトルトパウチ
の特性などの要件を考慮して決定するが、一般には10
0〜132℃、好ましくは116〜126℃に5〜45
分間程度の高温加熱処理を行うものであり、通常はF0
=4以上とする。
【0079】本発明の方法によれば、主原料のモチ米の
タンパク質間及びタンパク質内の網目構造のネットワー
クの形成により、粘りのある食感ともちもちした弾力を
長時間維持することが出来、また、原料モチ米のタンパ
ク質間の架橋結合が強化されることにより、液中でのレ
トルト処理後でも餅独特の食感を長時間保持し、型くず
れのない餅類を製造することができる。
【0080】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に説明する。
なお、本実施例において、部は重量部を、そして%は重
量%を意味する。また、本実施例において用いたポリリ
ジンはチッソ(株)製のものである。なお、チッソ
(株)製の商品「ポリリジン」にはポリリジン以外の成
分も含むが、本実施例におけるポリリジンの添加量は、
商品「ポリリジン」の添加量ではなく、商品「ポリリジ
ン」中に含まれるポリリジンの添加量である。
【0081】実施例1 カゼインナトリウム(ベスター化工(株)製「インスタ
ンラックS」)20部に水80部を加え十分に混合溶解
後、ポリリジン0.03部及び放線菌ストレプトベルチ
シリウムに属する微生物(Streptoverticillium mobara
ense IFO 13819)起源のトランスグルタミナーゼ(比活
性1ユニット/mg)0.1部を溶解して静かに撹拌
後、20℃で60分間保持して酵素反応をおこなった。
反応終了後、噴霧乾燥し、改質カゼインナトリウム粉末
を得た。この粉末に4倍加水をしてから、折り幅47m
mケーシングチューブに充填後、80℃で40分間加熱
した。このものを流水にて冷却し、カゼイネートゲル試
料(A)を得た。
【0082】対照として、上記と同様の操作に従うが、
カゼイネートのみでトランスグルタミナーゼ及びポリリ
ジンをともに含まないゲル試料(B)、カゼイネートと
トランスグルタミナーゼを含み、ポリリジンを含まない
ゲル試料(C)、及びカゼイネートとポリリジンを含
み、トランスグルタミナーゼを含まないゲル試料(D)
を調製した。
【0083】これら4種類のゲル試料の物性を官能的に
評価した結果、トランスグルタミナーゼを含まないBと
Dは全くゲルを形成せず溶液のままであった。一方、ト
ランスグルタミナーゼを含んだAとCはゲルを形成し
た。そこで、AとCをパネルn=10にて、各項目10
点法にて評価した結果を第1表に示した。なお、高スコ
アーほどその評価項目の性質が優れていることを意味
し、Aの各項目を5点とした。
【0084】
【表1】
【0085】実施例2 市販の牛乳(蛋白含量3.0%)100部にポリリジン
0.006部、及び実施例1で用いたと同じトランスグ
ルタミナーゼ0.02gを溶解して静かに撹拌後、40
℃で30分間保持して酵素反応をおこなった。反応終了
後、噴霧乾燥し、牛乳粉末を得た。この粉末に4倍加水
をしてから、折り幅47mmケーシングチューブに充填
後、80℃で40分間加熱した。このものを流水にて冷
却し、牛乳ゲル試料(A)を得た。
【0086】対照として、上記と同様の操作に従うが、
牛乳のみでトランスグルタミナーゼ及びポリリジンをと
もに含まない牛乳粉末を用いたゲル試料(B)、牛乳と
トランスグルタミナーゼを含み、ポリリジンを含まない
牛乳粉末を用いたゲル試料(C)、牛乳とポリリジンを
含み、トランスグルタミナーゼを含まない牛乳粉末を用
いたゲル試料(D)を調製した。
【0087】これら4種類のゲル物性を官能的に評価し
た結果、トランスグルタミナーゼを含まないBとDは全
くゲルを形成せず溶液のままであった。一方、トランス
グルタミナーゼを含んだAとCはゲルを形成した。そこ
で、AとCを実施例1におけると同様にして評価した結
果を第2表に示した。
【0088】
【表2】
【0089】さらに、上に示した牛乳にトランスグルタ
ミナーゼ及びポリリジンを作用させた後噴霧乾燥して得
た牛乳粉末(Aの牛乳粉末)を用いて、ヨーグルト、ア
イスクリーム、及び缶コーヒーを試作した。対照とし
て、原料牛乳をそのまま乾燥した対照牛乳粉末(上記B
の牛乳粉末)を用いて、同様に各食品を試作した。
【0090】ヨーグルトの試作法は通常行われる方法に
従った。まず、本発明による改質牛乳粉末に水を加え、
無脂乳固形分8.3%に調製した。品温を25℃に保っ
て1時間撹拌した。さらに1時間静置した後、乳酸菌
(WIESBY社製「Joghurt V2」)を対乳
原料1.5%添加し、同温度で約4.5時間発酵させ
た。得られたヨーグルトはpHが4.6であった。各試
作品の冷蔵下(約15℃)で3週間静置した後の離水率
(ヨーグルト全量に対する分離乳清の重量比)は、対照
牛乳粉末の場合は2.4%であったのに対して、本発明
による牛乳粉末では0.2%に押えられ、外観的には離
水はないものとみなされ、かつ、対照牛乳粉末に比べ
て、なめらかでジューシーであり、食感的には好まれ
た。
【0091】アイスクリームを以下の方法に従って試作
した。ヤシ油3%、本発明の乾燥牛乳粉末(Aの牛乳粉
末)4%、水飴21.4%、アスパルテーム0.05
%、グアガム0.15%、カラギーナン0.05%、ロ
ーカストビーンガム0.1%、卵黄0.3%、シュガー
エステル0.15%、バニラエッセンス0.3%及び水
70.5%を配合した混合物を70℃で30分間加熱
後、5℃で一晩エージングし、オーバーラン50%に設
定してフリージングを行い、カップとりして、−40℃
にて1日硬化させてラクトアイスを得た。対照牛乳粉末
の場合に比べて、オイリーで、かつ匙入れ性がよく、し
かも滑らかな食感を呈し良好であった。
【0092】缶コーヒーを以下の方法に従って試作し
た。インスタントコーヒー(味の素ゼネラルフーズ
(株)製)1.4g、及びグラニュウ糖4gを加温した
蒸留水に溶解した後、対照牛乳粉末13g、もしくは本
発明による乾燥牛乳粉末(Aの牛乳粉末)13gを加え
混合後、蒸留水にて1000gとし、ミキサーで均質化
し調製液を得た。この調製液を250gの缶に充填、密
封後、123℃で20分間レトルト殺菌し、レトルト後
冷却することによって缶入りコーヒー飲料を得た。品質
評価、製造直後、及び5℃で、3カ月保存後の両試料に
ついておこなった。結果は、製造直後及び55℃で3カ
月保存後ともに、対照牛乳粉末の場合に比べて、本発明
による乾燥牛乳粉末は、乳蛋白の凝集がなく、コーヒー
本来の風味、特に酸味を維持し良好であった。
【0093】実施例3 卵白粉末(太陽化学(株)製「卵白粉末」)20部に水
80部を加え十分に混合溶解後、ポリリジン0.018
部、及び実施例1で用いたと同じトランスグルタミナー
ゼ0.24部を溶解して静かに撹拌後、50〜55℃で
15分間保持して酵素反応をおこなった。反応終了後、
噴霧乾燥し、卵白粉末を得た。この粉末に4倍加水をし
てから、折り幅47mmケーシングチューブに充填後、
80℃で40分間加熱した。このものを流水にて冷却
し、卵白ゲル試料(A)を得た。
【0094】対照として、上記と同様の操作に従うが、
卵白のみでトランスグルタミナーゼ及びポリリジンをと
もに含まないゲル試料(B)、卵白とトランスグルタミ
ナーゼを含み、ポリリジンを含まないゲル試料(C)、
卵白とポリリジンを含み、トランスグルタミナーゼを含
まないゲル試料(D)を調製した。
【0095】これら4種類のゲル試料の物性を官能的に
評価した結果を第3表に示した。なお、評価法は実施例
1におけると同様で、Aの全ての項目を5点として評価
した。
【0096】
【表3】
【0097】実施例4 未変性脱脂大豆(NSI 85%)に9倍の水を加え、
45℃で30分間撹拌しながら蛋白を抽出した。この撹
拌物をデカンターを用いてオカラを除去することによっ
て蛋白抽出物を得た。この抽出液に硫酸を加え、pHを
4.5とした後、常温にて30分間放置し、蛋白を沈澱
後、デカンターにてホエーを除き蛋白カードを得た。こ
のカードに5倍の水を加えて撹拌後、再度デカンターを
用いて残存ホエーを除き、水洗蛋白カードを得た。この
水洗蛋白カードに4倍の水を加え、十分に混合して均質
なスラリーとしてから塩酸によりpH7に調製した。得
られた中和液の蛋白1gに対して、実施例1におけると
同様のトランスグルタミナーゼを1ユニット、及びポリ
リジン0.003gを加えてから、40℃で20分間放
置した。ついで、この処理中和液を、牛乳殺菌に用いら
れるプレート殺菌機を用いて、120℃で10秒間加熱
殺菌した。殺菌後、スプレードライヤーにて噴霧乾燥す
ることによって分離大豆蛋白粉末を得た。この粉末に4
倍加水してから、折り幅47mmケーシングチューブに
充填後、90℃で40分間加熱した。このものを流水に
て冷却し、大豆蛋白ゲル試料(A)を得た。
【0098】対照として、上記と同様の操作に従うが、
大豆蛋白のみでトランスグルタミナーゼ及びポリリジン
をともに含まない試料(B)、大豆蛋白とトランスグル
タミナーゼを含み、ポリリジンを含まないゲル試料
(C)、大豆蛋白とポリリジンを含み、トランスグルタ
ミナーゼを含まないゲル試料(D)を調製した。
【0099】これら4種類のゲル試料の物性を官能的に
評価した結果を第4表に示した。なお、評価法は実施例
1に従い、Aの全ての項目を5点として評価した。
【0100】
【表4】
【0101】実施例5 豚の真皮を1カ月間石灰漬けした後、約5cmのブロッ
ク状にカットしてから、約10秒間蒸気殺菌した。この
ものをミートチョッパータイプの肉挽肉機を用いて、第
1回目は5mmのプレートを通過させた。このものに、
コラーゲン乾物1g当り、実施例1におけると同様のト
ランスグルタミナーゼ5u相当量、及びポリリジン0.
015部を加えてから混合後、さらに第2回目として3
mmのプレートを通過させて挽肉状物を得た。この挽肉
状物を約50℃の雰囲気下で、水分12%以下になるま
で約2時間温風乾燥した。乾燥後、粉砕機を用いて粉砕
し、コラーゲン粉末を得た。
【0102】この粉末に4倍の水を加え混合後、ケーシ
ングチューブに充填した。これを80℃で30分間温浴
中で加熱した後、冷却してコラーゲンゲル(A)を調製
した。
【0103】対照として、上記と同様の操作に従うが、
コラーゲンのみでトランスグルタミナーゼ及びポリリジ
ンをともに含まないゲル試料(B)、コラーゲンとトラ
ンスグルタミナーゼを含み、ポリリジンを含まないゲル
試料(C)、コラーゲンとポリリジンを含み、トランス
グルタミナーゼを含まないゲル試料(D)を調製した。
【0104】これら4種類のゲル試料の物性を、約40
℃に品温を維持し、品温低下のないようにできるだけ速
やかにゲル物性を評価した。この結果を第5表に示し
た。評価法は実施例1に従い、Aの全ての項目を5点と
して評価した。
【0105】
【表5】
【0106】さらに、食品系を用いて利用評価を行っ
た。即ち、上述した豚の真皮を石灰漬し、殺菌し、解砕
して得た挽肉状物にトランスグルタミナーゼとポリリジ
ンを加え、トランスグルタミナーゼによる酵素反応の目
的で常温に1時間放置後冷凍し、冷凍1カ月目の冷凍物
を解凍した解凍物をエビシューマイで評価した。また、
前記A、B、C及びDのゲル試料の各粉末を蒲鉾で評価
した。
【0107】まず、エビシューマイの製造法は、SA級
すり身500gに、トランスグルタミナーゼとポリリジ
ンで処理して得た上記挽肉状物の解凍物500gを加
え、サイレントカッターにて2分間混合し、食塩17g
と氷水100gを添加後、さらに5分間混合した。これ
に、玉葱1000g、しょうが50g、醤油90g、砂
糖15g、胡椒1g、胡麻油40g、片栗粉40g及び
氷水300gを加え、更に3分間混合し、練り肉を得
た。この生地をシューマイの皮に充填し、小エビ1尾を
上部に乗せ成形した。この成形物を蒸し機により、強火
で12〜13分間蒸した後、冷蔵庫中で冷却することに
よってエビシューマイを得た。
【0108】対照として、トランスグルタミナーゼ及び
ポリリジンをともに含まないエビシューマイを試作し
た。
【0109】これらの2種類の試料品をそのまま電子レ
ンジにて加熱したものを官能検査した結果、対照のエビ
シューマイが水っぽくべちゃべちゃしていたのに対し、
本発明によるエビシューマイは弾力と肉粒感を有し、か
つ、ジューシーであり、良好であった。
【0110】また、蒲鉾の製造法は、魚肉SA級すり身
500gに対して、各改質コラーゲン粉末A、B、C及
びDの各80gに水420gを加え、サイレントカッタ
ーにて2分間混合し、食塩30gと氷水100gを添加
後、さらに5分間混合した。これに味醂20g、砂糖5
0g、核酸系調味料10g、小麦澱粉50g及び氷水3
00gを加え、さらに3分間混合して練り肉を得た。こ
れを折り幅47mmの塩化ビニディデン製ケーシングチ
ューブに充填後、85℃の恒温水槽中で30分間ボイル
した。ボイル後、氷水中で冷却してから、冷蔵庫に一晩
放置することによって4種類のケーシング蒲鉾を得た。
【0111】評価結果を第6表に示した。評価法は実施
例1に従い、Aの全ての項目を5点として評価した。
【0112】
【表6】
【0113】実施例6 ゼラチン(ニッピ(株)製)150gに対し、ゼラチン
の濃度が1.5%になるように水を加え、膨潤後50℃
で溶解し、NaOHでpH7に調整した。ついで、ゼラ
チン1gに対して、実施例1におけると同じトランスグ
ルタミナーゼ10u、及びポリリジン0.0015gを
加えた。ついで、50℃で20時間撹拌しながら反応さ
せ、その後80℃に昇温し15分間その温度に保持して
熱による酵素の失活を行った。濾過後、10%まで濃縮
し、冷却してゲル化させ乾燥した。得られた改質ゼラチ
ンに対して、9倍の水を加え、40℃にて混合溶解後、
ケーシングチューブに充填してから、80℃で30分間
温浴中で加熱した。加熱後、冷却して改質ゼラチンゲル
を得た。
【0114】対照として、トランスグルタミナーゼ及び
ポリリジンをともに含まない以外は全く同様にして対照
ゼラチンを試作し、かつ、同様にして対照ゼラチンゲル
を試作した。
【0115】官能評価の結果、本発明のゲルは対照のゼ
ラチンゲルに比べて、噛みごたえがあり、かつ、よりジ
ューシーであった。
【0116】上記で得られた対照ゼラチン及び改質ゼラ
チンを用いて、グミゼリーを試作し、評価した。製造方
法は、改質ゼラチン6.0gに水13.2gを加え、6
0℃にて湯煎溶解させる。一方、砂糖30.3gに水1
2.2gを加え、さらに水飴40.3gを添加してか
ら、品温が125℃となるまで煮詰め、90℃まで冷却
した。ついで、適宜加水して仕上がり固形分が81%と
なるように調整した後に、成形枠に注入し、冷却、固化
させることによって試作サンプルを調製した。
【0117】官能評価した結果、対照ゼラチンから製造
されたグミに比べて、改質ゼラチンから製造されたグミ
は、ジューシー感と耐熱性を有した。
【0118】実施例7 全卵100gに対し、実施例1におけると同様のトラン
スグルタミナーゼを蛋白1g当り10u、及びポリリジ
ン0.003gを加えて混合後、55℃で1時間保持し
て酵素反応を行った後、噴霧乾燥することによって改質
卵粉末を得た。このものに3倍の水を加え、ケーシング
チューブに充填後90℃で30分間加熱して改質卵ゲル
を得た。
【0119】対照として、トランスグルタミナーゼ及び
ポリリジンをともに加えない以外は全く同様にして試作
した対照卵粉末及び対照卵ゲルを得た。
【0120】この2種類の卵ゲルを官能評価した結果、
対照卵ゲルに比べて、改質卵ゲルはより喉ごしが優れて
いた。
【0121】また、上で得られた2種類の噴霧乾燥して
得た卵粉末を用いてマヨネーズを試作した。製造方法
は、各卵粉末25g、食塩20g、食酢100g及び水
115gの水相原料を混合した後、大豆油740gを加
え、プロペラミキサーにて約2分間予備乳化した。さら
に、コロイドミルで仕上げ乳化を行い、2種類のマヨネ
ーズを得た。
【0122】これらのマヨネーズを官能評価した結果、
対照卵粉末から調製したマヨネーズはぼてっとして粘り
がなかったのに比べて、改質卵粉末から調製したマヨネ
ーズはなめらかで、喉ごしが良く良好であった。
【0123】さらに、上記2種類の凍結乾燥前の酵素反
応直後の各卵液100gに、食塩20g、食酢100g
及び水40gを混合し、これに大豆油740gを加え、
プロペラミキサーにて約2分間予備乳化した。さらに、
コロイドミルで仕上げ乳化を行い、2種類のマヨネーズ
を得た。
【0124】これらのマヨネーズを官能評価した結果、
対照卵液から調製したマヨネーズは粘りがなかったのに
比べて、改質卵マヨネーズから調製したものはなめらか
で、喉ごしが良く食べ易かった。
【0125】実施例8 外葉部を除去後、流水洗浄下でセロリを約5cmのステ
ィック状にカットした。一方、ゼラチン100gを水9
00gに加温溶解し、40℃以下に冷却した。このゼラ
チン水溶液に、実施例1におけると同じトランスグルタ
ミナーゼをゼラチン1gあたり5u相当量、及びポリリ
ジンをゼラチン1gあたり0.003g相当量を水10
mlに溶解したものを加えた。このゼラチン水溶液中に
上記スティック状にカットしたセロリを浸漬後取り出し
て、常温で20分間保持し、表面に強固なゼラチン皮膜
を形成したセロリ(試験区)を試作した。このゼラチン
コーティングしたものを、24℃で2週間保存した。
【0126】比較として、トランスグルタミナーゼ及び
ポリリジンを添加しない以外は全く同様に処理された対
照区を試作した。保存後の一般生菌数の結果を第7表に
示した。この結果より明らかなように、対照区に比べて
試験区は微生物の増殖が抑制されるとともに、乾燥、萎
縮についても試験区は、特に保存中での劣化は認められ
なかったのに対して、対照区は3日程度で乾燥、萎縮が
起こり、外観的に非常に劣ったものとなった。品質的に
は、対照区が萎縮によりふにゃふにゃとなったのに対し
て、トランスグルタミナーゼ添加の試験区は歯ごたえが
商品として許容されるパリパリ性を維持し、かつしっと
りとして喉ごしも良かった。
【0127】
【表7】
【0128】実施例11(ウインナーソーセージ) 脂肪分30%を含む豚肉85部を3mm角にミンチし、
これに食塩2.5部、リン酸塩類0.5部、発色剤0.
03部、及び氷水12.47部を添加し、さらにポリリ
ジン0.05部(原料豚肉の蛋白1g当り約0.003
g相当)、及び放線菌ストレプトベルチシリウムに属す
る微生物(Streptoverticillium mobaraense IFO 1381
9)起源のトランスグルタミナーゼ(比活性1ユニット
/mg)0.017部(原料豚肉の蛋白1g当り1ユニ
ットに相当)を溶解して添加した。これを、直径1.8
mmのケーシングに充填し、スモークハウス内で60℃
で15分のスモーキング、及び75℃で45分間の蒸煮
を行うことによってウインナーソーセージ(A)を得
た。
【0129】比較のために、ポリリジンのみを含む系
(B)、トランスグルタミナーゼのみを含む系(C)、
ポリリジン及びトランスグルタミナーゼをともに含まな
い系(D)のそれぞれを試作した。ポリリジンとトラン
スグルタミナーゼ以外の豚肉、食塩、リン酸塩、発色
剤、氷水の配合及び処理条件はAについてまったく同じ
とした。
【0130】試作品4点を、ゲル強度測定(不動工業
(株)製レオメータ使用)及び官能評価を行なうことで
評価した。なお、官能評価は10名のパネラーにより、
ポリリジン及びトランスグルタミナーゼをともに含まな
い試料(D)を0点とし、−2、−1、0、+1及び+
2の5点評価法によった。結果は下記第11表に示した
ごとく、ポリリジン及びトランスグルタミナーゼを併用
添加したAは、ゲル強度が顕著に向上し、弾力のある食
感を持ち良好であった。
【0131】
【表8】
【0132】実施例12(蒲鉾) 原料魚として新鮮なスケトウダラを用い、採肉、水晒
し、脱水して脱水肉を得た。この脱水肉100部に対し
て、ソルビトール8部、リン酸塩0.2部、さらに実施
例11におけると同じトランスグルタミナーゼ0.01
部(魚肉蛋白1部当り約0.5ユニット相当)及びポリ
リジン0.06部(魚肉蛋白1g当り約0.003g)
を加え、よく混合して反応させた後、生すり身を−30
℃にて凍結し、ついで−20℃で1カ月間貯蔵すること
によって冷凍すり身(A)を得た。
【0133】対照として、ポリリジンのみを含む系
(B)、トランスグルタミナーゼのみを含む系(C)、
ポリリジン及びトランスグルタミナーゼをともに含まな
い系(D)のそれぞれを試作した。ポリリジンとトラン
スグルタミナーゼ以外の脱水肉、ソルビトール及びリン
酸塩の配合及び処理条件はAについてと全く同じとし
た。
【0134】試作品4点は、蒲鉾形成能により評価し
た。すなわち、試作冷凍すり身を解凍した解凍すり身1
00部に対して、食塩3部を加え、らい潰機でよく撹拌
した。ついで、このすり身ペーストを折り幅47mmの
ケーシングチューブに詰め、30℃で1時間坐らせた
後、90℃の温浴中で20分間加熱し、氷冷した。この
ものの蒲鉾形成能をゲル強度及び凹みを測定することで
評価した(不動工業(株)レオメータ使用)。結果は、
第12表に示すごとく、ポリリジン及びトランスグルタ
ミナーゼを併用添加したAは、ゲル強度が顕著に向上
し、弾力のある食感を持ち良好であった。
【0135】
【表9】
【0136】実施例13(蒲鉾) 洋上冷凍すり身(大洋漁業(株)製FA級すり身)を解
凍し、この解凍すり身100部に対して食塩3部を加え
て塩摺りした後、馬鈴薯澱粉5部、添加水10部、グル
タミン酸ソーダ0.5部、さらに実施例11におけると
同じトランスグルタミナーゼ0.02部(魚肉蛋白1g
当り1ユニット相当)及びポリリジン0.06部(魚肉
蛋白1g当り0.003gに相当)を加え、よく混合し
てすり身練り肉を得た。この練り肉を折り幅47mmの
ケーシングチューブに詰め、30℃で60分間加温して
坐らせた後、90℃で30分間加熱後冷却してケーシン
グ蒲鉾(A)を試作した。
【0137】対照として、ポリリジンのみを含む系
(B)、トランスグルタミナーゼのみを含む系(C)、
ポリリジン及びトランスグルタミナーゼをともに含まな
い系(D)のそれぞれを試作した。ポリリジンとトラン
スグルタミナーゼ以外のすり身、食塩、馬鈴薯澱粉、添
加水及びグルタミン酸ソーダの配合及び処理条件はAと
全く同じとした。
【0138】試作品4点を実施例12におけると同じ評
価に付した結果は、第13表に示したごとく、ポリリジ
ン及びトランスグルタミナーゼを併用添加したものはゲ
ル強度は向上し、他のものに比較して明らかに弾力ある
良好な食感であった。
【0139】
【表10】
【0140】実施例14(チキンハンバーグ) 冷凍された鶏の骨付き屑肉をクラッシャーで摩砕した
後、チョッパーを用いて、まず約5mm小穴を有するプ
レートを通過させ、さらに約3.5mmの小穴を有する
プレートを通過させた。得られたチョッパー処理物10
0部に対して、実施例11におけると同じトランスグル
タミナーゼ0.1部(蛋白1g当り5ユニット相当)及
びポリリジン0.02部(蛋白1g当り0.001gに
相当)を加え混合した。ついで、グラインダー(特殊機
械工業(株)製)を用いて均一なペーストとした後、折
り幅47mmのケーシングチューブに充填し、常温に1
時間放置後、−20℃の庫内で冷凍し、冷凍チキンペー
スト(A)を得た。
【0141】対照として、ポリリジンのみを含む系
(B)、トランスグルタミナーゼのみを含む系(C)、
ポリリジン及びトランスグルタミナーゼをともに含まな
い系(D)のそれぞれを試作した。
【0142】得られた各凍結チキンペーストを解凍し、
この解凍チキンペースト60部に対し、食塩1.2部、
玉葱20部、卵7部、牛乳7部及びパン粉4.8部を加
え、混合して練り肉とし、約80gのハンバーグ状に成
形してチキンハンバーグを得た。このものをフライパン
上で加熱して官能的に評価した結果、試料A及びCをそ
れぞれ用いたチキンハンバーグは、B及びDをそれぞれ
用いたチキンハンバーグに比べて、肉粒感、弾力に富
み、嗜好的に好まれた。また、AとCとを比較した場
合、両者は類似した食感を有するものであったが、Aの
方がさらにジューシー感にとみ、喉ごしがよくて総合的
には最適の品質を有した。
【0143】実施例15(ロースハム) 食塩6%、リン酸塩1.2%、発色剤0.3%、調味料
0.5%、さらに実施例11におけると同じトランスグ
ルタミナーゼを原料肉に対して蛋白1g当り0.5ユニ
ット相当量及びポリリジンを蛋白1g当り0.06gを
含むインジェクション液を調製した。この液を原料豚ロ
ース肉に対して30%注入した。注入後の原料肉は回転
式マッサージ機にて、7℃で18時間マッサージした。
その後、直径11cmのケーシングチューブに充填し、
60℃で30分間のスモーキングと75℃で120分間
の蒸煮を行なうことによってロースハムを試作した。
【0144】なお、比較のために、ポリリジン及びトラ
ンスグルタミナーゼを使用しなかった他は全く同様にし
て対照ロースハムを試作した。
【0145】両試作品について、ゲル強度を測定し、官
能評価を行なった結果は第14表に示すごとく、ポリリ
ジン及びトランスグルタミナーゼ添加区(本発明)は、
これらの無添加区(対照区)に対して、ゲル強度の向上
が顕著に認められ、官能的には良好な食感を有してい
た。
【0146】
【表11】
【0147】実施例16(レトルトハンバーグ) 牛挽肉1.2kg、豚挽肉1.2kg、パン粉300
g、玉葱1.2kg、脱粉50g、食塩22g、調味料
及び香辛料42g、水1kg、さらに実施例11におけ
ると同じトランスグルタミナーゼを原料肉に対して蛋白
1g当り5ユニット相当量及びポリリジンを蛋白1g当
り0.06g添加し、ホバートミキサー(墨水(株)
製)で混合した。得られた生地を1個85gで厚さ約1
5mmの楕円状に成形した。この混合及び形成工程は常
温で約1時間要した。ついで、成形物をハンバーグソー
ス30g(トマトペースト9g、玉葱5g、人参4g、
ウスターソース5g、砂糖2g、バター2g、食塩1
g、醸造酢1.3g、牛肉エキス0.5g及び胡椒0.
2gより成る。)とともにレトルトパウチに充填し、1
20℃でF0 =6までレトルト処理してレトルトハンバ
ーグ(試験区)を試作した。
【0148】なお、対照として、ポリリジン及びトラン
スグルタミナーゼをともに添加しない以外は、全く同様
にしてレトルトハンバーグ(対照区)を試作した。
【0149】この2種のレトルトハンバーグを沸騰水中
で5分間ボイルしたものを官能評価した結果は、ポリリ
ジン及びトランスグルタミナーゼを添加した試験区(本
発明)は、対照区に比べて、弾力と肉粒感を維持し、か
つジューシーで味、風味ともに優れていた。
【0150】実施例17(レトルト豚角肉) 豚ももブロック肉3000gに対し、下記第15表に示
す組成のピックル液を25%注入して全量を3750g
とした。ついで、カゼインナトリウム30gを添加して
混合後、さらに肉1g当り、実施例11におけると同じ
トランスグルタミナーゼを1ユニット相当量及びポリリ
ジンを0.06g相当量均一に添加した後、タンブラー
により常温で30分間タンブリングし、これを折り幅1
25mmのケーシングチューブに充填後、真空スタッフ
ァーにより脱気した。このものを室温にて1時間放置し
た後、約2cm角にカットした。これをレトルトパウチ
に充填し、シール後、レトルト装置にて123℃でF0
=7でレトルト処理を行なって、レトルト豚角肉(試験
区)を得た。
【0151】対照として、ポリリジン及びトランスグル
タミナーゼをともに添加しない以外は、全く同様にして
レトルト豚角肉(対照区)を試作した。
【0152】この2種のレトルトハンバーグを沸騰水中
で5分間ボイルしたものを官能評価した結果は、ポリリ
ジン及びトランスグルタミナーゼを添加した試験区(本
発明)は、対照区に比べて、弾力と肉粒感を維持し、か
つジューシーで味、風味ともに優れていた。
【0153】
【表12】
【0154】実施例21(うどん) 小麦粉2000g(日清製粉(株)製「白椿」)と、水
700gに食塩60gを溶解した溶液に、小麦粉中の蛋
白当り実施例1におけると同じ起源のトランスグルタミ
ナーゼ(比活性1ユニット/1mg)及びポリリジンを
それぞれ下記第21表に示す各種の添加量となるように
溶かしたものとを麺用ミキサー(品川製麺機(株)製の
製麺機)を用いて10分混練して5種類のうどん生地を
得た。これらを40℃で30分ねかしを行った。以下、
常法に従い、これらのねかした生地をバラ掛け、複合、
圧延を行い、最終麺帯2.3mmとして切り出し、切り
歯10番で切り出して生うどんとした。
【0155】
【表13】
【0156】これらの生うどんを14分間ゆで、ゆでう
どんを得た。このようにして得たゆでうどんを専門パネ
ル10名による10点評価法での官能評価に付した。な
お、ゆで直後を除き、所定の経過時間後、各ゆでうどん
をもういちど3分間ゆでを行った後、官能試験に付し
た。評価結果を第22表に示す。
【0157】
【表14】
【0158】第22表中、ゆで麺No.1、2、3、4
及び5は、それぞれ生地No.1、2、3、4及び5を
材料として製造したものである。
【0159】品質評価は、食感(硬さ)を重点にして行
なった。硬さの評点は、ゆで麺No.1のスタートの食
感を(硬さ)を対照(0点)とし、それよりやや硬い食
感を+1、それより硬い食感に+2、また、対照よりや
わらかい食感に−1、それよりやわらかい食感に−2を
配点したもので5点法による平均値である。また、噛ん
だ後の総合評価(硬さ、噛切れの良さ、弾力(こし)及
び粘り)の評点は、好ましい程度により、10から0を
配点したもの(10点は好ましい、……5点はふつう、
……0点は好ましくない)の10点法による平均値であ
る。
【0160】実施例22(レトルトうどん) 小麦粉2000gと、水800gに食塩60gを溶解し
た溶液と、実施例1におけると同じ起源のトランスグル
タミナーゼ(比活性1ユニット/mg)及びポリリジン
を第23表に示す各種の添加量となるように水200c
cに溶かしたものとを品川製麺機(株)製の製麺機を用
いて混練処理し、6種類のうどんを得た。これらの生地
を40℃で40分ねかしを行った。
【0161】以下、常法に従い、ねかした生地をバラ掛
け、複合、圧延を行い、最終麺帯厚2.5mmとして切
り出した。切り歯10番で切り出し、生うどんとした。
【0162】
【表15】
【0163】本発明による3種の生うどんを9分間ゆ
で、完全ゆで直前にレトルトパウチに充填した後、12
6℃で7分のレトルト処理(F0 =4以上)を行い、3
種のレトルトうどんを得た。このような熱処理をして得
られたレトルトうどんを実施例21と同様の官能試験に
より評価した。なお、本発明の対照として、生うどんを
通常のゆで14分間(90〜98℃)の熱処理をしただ
けのものについても同様の官能試験により評価した。
【0164】官能評価の詳細は、以上のようにして製造
した各加熱処理うどんを、実施例21におけると同じ専
門パネル10名を使用し、品質、特に、硬さ、歯切れの
良さ、弾力性(こし)などの食感を重点とする評価に付
すものであった。評価結果を第24表に示す。
【0165】
【表16】
【0166】第24表中、加熱処理麺No.1、2、
3、4及び5は、それぞれ、生地No.1、2、3、4
及び5を材料として前記の熱処理を経て製造されたもの
である。
【0167】なお、個別評価項目の評点は、実施例21
における硬さの評点として同様にして算出した。すなわ
ち、各項目の配点は、下記の第25表に示す基準によ
る。また、総合評価の評点は、実施例21におけると同
様にして算出した。
【0168】
【表17】
【0169】実施例23(中華麺) 準強力小麦粉2000g(日清製粉(株)製「天壇」)
と、水800gに食塩20g、粉末かん水20g、ワキ
シ−コーンスターチ40g、実施例1におけると同じ起
源のトランスグルタミナーゼ(比活性1ユニット/1m
g)0.3g及びポリリジンを2g加えて溶解したもの
とを製麺機(品川製麺機(株)製)により10分間混合
分散した後、常法に従い、バラ掛け、複合した後に、生
地を20℃で60分ねかした後、圧延を行い、麺帯厚
2.0mmとして2回圧延し、切り歯の番手24番で切
り出して生中華麺を調製した。
【0170】比較のため、トランスグルタミナーゼ及び
ポリリジンともに無添加としたもの(対照1)、トラン
スグルタミナーゼ無添加のもの(対照2)、およびポリ
リジン無添加のもの(対照3)を調製した。小麦粉中の
蛋白に対する添加量は、下記第26表に示す通りとなっ
た。
【0171】
【表18】
【0172】得られた4種の生中華麺の1部を採り、そ
れぞれ2.5分間ゆでた後に80℃の湯に60分間放置
したものを試食評価したところ、トランスグルタミナー
ゼ及びポリリジンともに無添加のもの(対照1)は弾力
が弱く、柔らかい食感であった。ポリリジンのみ添加し
たもの(対照2)は対照1よりも若干なめらかさをもつ
食感であった。対照3のトランスグルタミナーゼ添加品
は硬く、弾力はややあるが、やや脆い食感であった。本
発明品の生麺No.4は弾力があり、のびとしなやかさ
が付与され、中華麺として好ましい食感のものであっ
た。
【0173】また、前記4種の生中華麺の残りをそれぞ
れレトルトパウチに充填して、126℃で12分間加熱
処理を行ない(F0 =6.5)、同様に官能評価した結
果、ゆで処理後の評価と同様な結果が得られた。すなわ
ち、本発明のもののみがレトルト処理後の中華麺として
好ましい食感のものであった。
【0174】実施例24(乾燥素麺) 小麦粉2000gと、水600gに食塩60gを溶解し
た溶液と、実施例1におけると同じ起源のトランスグル
タミナーゼ(比活性1ユニット/mg)及びポリリジン
を第27表に示す各種の添加量となるように水200c
cに溶かしたものとを品川製麺機(株)製の製麺機を用
いて混練処理して5種類の素麺生地を得た。
【0175】
【表19】
【0176】これらの生地を40℃で60分ねかしを行
ない、以下、常法に従い、ねかした生地を成形して生素
麺とした。これらの生素麺を70〜50%の湿度の恒温
室で5〜7時間かけて段階的に徐々に乾燥し、水分1
3.5%の乾燥素麺を得た。
【0177】このようにして得られた乾燥素麺(乾燥素
麺のNo.は、それぞれ材料とした素麺生地のNo.を
もって示す。)をゆでたものについて、実施例21にお
けると同様に専門パネル10名による官能評価に付し
た。評価の結果、下記第28表に示すように、ゆで直後
では対照2でも硬さ及び弾力ともにあるが、ゆで後の食
感の維持は本発明品はいずれも硬さ及び総合評価とも長
時間保持することが可能であった。
【0178】
【表20】
【0179】実施例25(そば) そば粉800gと、つなぎの小麦粉としての強力小麦粉
(日清製粉(株)製「カメリア」)200と、水470
gにトランスグルタミナーゼ(比活性1ユニット/m
g)を穀類蛋白1g当り5ユニット及びポリリジンを同
じく穀類蛋白1g当り0.005gとなるように溶解し
たものとをミキサーにて10分混練した。これを製麺機
(品川製麺機(株)製)にてバラ掛けし、複合を2回、
圧延を3回行い、16番で切り出して生そばを作成した
(本発明品)。
【0180】製麺後4時間経過後に45秒間ゆでた後、
専門パネル10名にて官能評価を行なった。比較のため
に、トランスグルタミナーゼもポリリジンもともに添加
しなかった他は全く同様に作成したそば(対照品)につ
いて同様の官能評価を行なった。その結果は、対照品は
4時間後のゆで直後でプツプツ切れてしまい、柔らかい
食感で、のび及び弾力(こし)ともに弱いものであっ
た。これに対して、本発明品は、めんの弾力、しこしこ
感があり、好ましい食感であった。
【0181】実施例31 モチ米800gを水洗、浸漬及び水切り後に蒸し上げて
蒸米とし、これに手水110gに実施例1におけると同
じ起源のトランスグルタミナーゼ(比活性1ユニット/
mg)をモチ米の蛋白質1g当り5ユニット及びポリリ
ジンを同じくモチ米の蛋白質1g当り0.005gとな
る量で溶解したものを15分要して徐々に加えながら餅
搗機で搗きあげた。得られた餅を100mmの厚さに圧
延して室温で1時間放冷した。この間にトランスグルタ
ミナーゼは充分に酵素作用を発現した。
【0182】放冷後、圧延した餅を30×40mmにカ
ットした。カットした餅片2個をお汁粉の汁(糖分18
%及び塩分0.3%含有)150gとともにレトルトパ
ウチに充填し、126℃で16分レトルト処理(F0
7.6)を行ってレトルト餅を得た。
【0183】このレトルト餅について、10名からなる
専門パネルでの官能評価を行なった結果、トランスグル
タミナーゼ及びポリリジンを無添加とした他は同様にし
て作成した餅に対して、もちもちした餅らしいコシを有
していて好ましかった。
【0184】実施例32 モチ米800gを水洗、浸漬及び水切り後に、蒸煮し、
これに手水140gに実施例31におけると同じトラン
スグルタミナーゼ及びポリリジンを原料モチ米の蛋白質
1g当り、それぞれ7ユニットおよび0.01gとなる
量で加えて溶解したものを20分かけて徐々に加えなが
ら餅搗機で搗きあげた。得られた餅を厚さ10mmに圧
延して室温で1時間放冷し、この間にトランスグルタミ
ナーゼの酵素作用を充分に発現させた。
【0185】放冷後、のし餅を40×40mmにカット
し、カットした餅片をそのままレトルトパウチに充填
し、113〜125℃で12分レトルト処理を行い、う
どん「餅入り力うどん」用の具材とした。実施例31に
おけると同様にして官能評価した結果、この具材餅は、
トランスグルタミナーゼ及びポリリジンを無添加とした
他は同様にして作成した餅と比べて弾力とのびがあり、
好ましい食感のものであった。
【0186】実施例33 モチ米1000gを水洗、浸漬及び水切り後に蒸し上げ
て蒸米とし、この蒸し米を、手水120gに実施例31
におけると同じトランスグルタミナーゼをモチ米の蛋白
質1g当り10ユニット及びポリリジンを同じくモチ米
の蛋白質1g当り0.004gとなる量で溶解したもの
を使用して、餅搗機で20分程で搗きあげた。得られた
餅を厚さ10mmに圧延し、室温で30分放冷した。こ
の間トランスグルタミナーゼの酵素作用を発現させた。
【0187】放冷したのし餅を30×40mmにカット
してからオーブンで約210℃で5〜8分間焼き、その
1片をレトルトパウチに雑煮用のスープ約150gとと
もに充填し、更にカマボコ、椎茸、鶏肉等の具材を適量
加えた後、114〜127℃で18分レトルト処理を行
なってレトルト雑煮を作成した。実施例31におけると
同様にして官能評価した結果、トランスグルタミナーゼ
及びポリリジンを使用しなかった他は全く同様にして作
成した無添加品(対照餅)と比較して、添加品(本発明
の餅)は、保形性もあり、外観及び食感ともに好ましか
った。
【0188】実施例34 モチ米1000gを水洗、浸漬及び水切り後に蒸し米と
し、これを、手水130gに実施例31におけると同じ
トランスグルタミナーゼをモチ米の蛋白質1g当り12
ユニット及びポリリジンを同様に原料モチ米の蛋白質1
g当り0.01gとなる量で溶解したものを使用して、
餅搗機で25分要して搗き上げた。これをだんご状に冷
風をかけなからカットし、30℃で30分放置した。
【0189】その後竹串にさし、きな粉(糖分8%及び
塩分0.8%含有)をまぶし、レトルトパウチに充填
後、120℃で8.5分加熱してレトルトきびだんごを
得た。得られたレトルトきびだんご(本発明品)を、ト
ランスグルタミナーゼ及びポリリジン無添加のレトルト
きびだんご(対照品)とともに実施例31におけると同
様にして官能評価した結果は、無添加の対照品に対し
て、本発明品が外観及び食感とも餅らしい弾力と粘りを
もち、好ましかった。
【0190】実施例35 モチ米1000gを洗米、浸漬及び水切り後に蒸し米と
し、これを、手水140gに実施例31におけると同じ
トランスグルタミナーゼをモチ米の蛋白質1g当り5ユ
ニット及びポリリジンを同様に原料モチ米の蛋白質1g
当り0.008gを添加溶解したものを使用して、餅搗
機で搗き上げ、厚さ10mmの板状に圧延し、室温に1
時間放置してのし餅を得た(本発明品2)。また、トラ
ンスグルタミナーゼ及びポリリジンに加えて、更にキサ
ンタンガム(大日本製薬(株)製「エコーガム」)粉末
を2g添加した他は、同様にしてのし餅を作成した(本
発明品1)。
【0191】比較のために、添加物に関して、ポリリジ
ンのみを使用たもの、「エコーガム」のみ添加したも
の、及びいずれの添加物も添加しないものの、3種のの
し餅を作成した。これら3種ののし餅を、この順に、対
照品1、対照品2および対照品3と称する。
【0192】上記5種ののし餅をそれぞれ30×40m
mにカットし、レトルトパウチに充填し、120℃で1
2分加熱処理を行った。これらを実施例31におけると
同様にして官能評価した。その結果は下記第31表に示
すように、硬さについては、ポリリジンとトランスグル
タミナーゼとを、更に「エコーガム」をも添加した本発
明品1及び本発明品2は、いずれも、3種類の対照品と
比較して弾力のある食感を持ち、良好であった。官能評
価は、いずれも含まない対照品3を0点として、−2〜
+2の5段階評価によった。また、総合評価は、同じく
対照品3を0点として、10段階評価で行った。
【0193】
【表21】
【0194】
【発明の効果】本発明により、食用蛋白の優れた改質方
法が提供されるところとなった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A23J 3/16 3/18 3/34 A23L 1/10 102 1/16 A 1/325 101 (72)発明者 石井 智穂 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社食品総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食用蛋白に、ポリリジンの添加存在下に
    トランスグルタミナーゼを作用させてこれを架橋改質す
    ることを特徴とする食用蛋白の改質方法。
  2. 【請求項2】 食用蛋白に、ポリリジンの添加存在下に
    トランスグルタミナーゼを作用させてこれを架橋改質す
    ることを特徴とする食品用蛋白素材の製造法。
  3. 【請求項3】 食用魚畜肉に、ポリリジンの添加存在下
    にトランスグルタミナーゼを作用させてこれを架橋改質
    することを特徴とする魚畜肉加工品の製造法。
  4. 【請求項4】 生地原材料に含まれる蛋白に、ポリリジ
    ンの添加存在下にトランスグルタミナーゼを作用させて
    これを架橋改質することを特徴とする麺類の製造法。
  5. 【請求項5】 搗き上げ工程において、原材料に含まれ
    る蛋白に、ポリリジンの添加存在下にトランスグルタミ
    ナーゼを作用させてこれを架橋改質することを特徴とす
    る餅類の製造法。
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