JP2014030410A - 酵素処理液、軟質化方法および軟質化動物性食材 - Google Patents
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Abstract
【課題】動物性素材を、食感および風味を維持しつつ、バラツキを生じることなく確実に軟質化することができる軟質化方法に用いられる酵素処理液、かかる酵素処理液を用いて動物性素材を軟質化する軟質化方法、および、かかる酵素処理液を用いた軟質化方法により食感および風味を維持した状態で軟質化された軟質化動物性食材を提供すること。
【解決手段】本発明の酵素処理液は、食肉または魚介類からなる動物性素材を酵素処理することにより軟質化する軟質化方法に用いられるものであり、かかる酵素処理液の25℃における粘度が10mPa・s以上、5000mPa・s以下であることを特徴する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の酵素処理液は、食肉または魚介類からなる動物性素材を酵素処理することにより軟質化する軟質化方法に用いられるものであり、かかる酵素処理液の25℃における粘度が10mPa・s以上、5000mPa・s以下であることを特徴する。
【選択図】なし
Description
本発明は、酵素処理液、軟質化方法および軟質化動物性食材に関するものである。
例えば、高齢者や、何らかの疾患のため、硬い食物を噛めない・飲み込めない患者(咀嚼・嚥下困難者)が多数存在する。これらの人々は、通常、複数の食品を混合した混合物を、磨り潰してペースト状や、液状にしたものを摂取している。
しかしながら、かかる場合、如何なる食品(食材)を食べているのかがはっきりせず、食欲も十分に出ず、その結果、体力を落とす等の弊害が生じやすい。したがって、食欲を増大させる観点からは、食材の軟らかさのみならず、その食材が元来有する食材自体の形状を維持していることも重要である。
これらの双方を満足する動物性素材の軟質化方法として、例えば、特許文献1では、パパインのようなたん白質分解酵素を用いて、動物性素材の形状を保持した状態で、動物性素材を軟らかくする軟質化方法が開示されている。
しかしながら、この特許文献1に記載の軟質化方法では、動物性素材が元来有する食材自体の形状がある程度維持されているものの、食感や風味に劣り、美味しく食することができるものとは言い難かった。
かかる問題点を解決することを目的に、本発明者らによる検討により、例えば、たん白質分解酵素と、澱粉と、カードランとを含有する酵素処理液を用いた軟質化方法が提案されている。
この特許文献2に記載の軟質化方法によれば、食感や風味に優れ、美味しく食することができる食材を得ることができるものの、得られた複数の食材において、かたさや食感等にバラツキが生じる傾向を示した。
本発明の目的は、動物性素材を、食感および風味を維持しつつ、バラツキを生じることなく確実に軟質化することができる軟質化方法に用いられる酵素処理液、かかる酵素処理液を用いて動物性素材を軟質化する軟質化方法、および、かかる酵素処理液を用いた軟質化方法により食感および風味を維持した状態で軟質化された軟質化動物性食材を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(15)の本発明により達成される。
(1) 食肉または魚介類からなる動物性素材を酵素処理することにより軟質化する軟質化方法に用いられる酵素処理液であって、
当該酵素処理液の25℃における粘度が10mPa・s以上、5000mPa・s以下であることを特徴する酵素処理液。
(1) 食肉または魚介類からなる動物性素材を酵素処理することにより軟質化する軟質化方法に用いられる酵素処理液であって、
当該酵素処理液の25℃における粘度が10mPa・s以上、5000mPa・s以下であることを特徴する酵素処理液。
(2) 5℃における粘度が10mPa・s以上である上記(1)に記載の酵素処理液。
(3) 70℃における粘度が5mPa・s以上である上記(1)または(2)に記載の酵素処理液。
(4) 増粘剤を含有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の酵素処理液。
(5) 分散剤および油脂成分を含有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の酵素処理液。
(5) 分散剤および油脂成分を含有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の酵素処理液。
(6) 当該酵素処理液は、前記分散剤および前記油脂成分を含有することにより乳化されている上記(4)に記載の酵素処理液。
(7) 酵素として、たん白質分解酵素を含有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の酵素処理液。
(8) 前記たん白質分解酵素の含有量は、5.0×10−4wt%以上、3.0wt%以下である上記(7)に記載の酵素処理液。
(9) 上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の酵素処理液で前記動物性素材を酵素処理することにより軟質化することを特徴とする軟質化方法。
(10) 前記酵素処理は、前記動物性素材に前記酵素処理液を供給した後、前記たん白質分解酵素を前記動物性素材の構成成分と反応させる上記(9)に記載の軟質化方法。
(11) 前記酵素処理の後、前記動物性素材を加熱することにより、前記酵素を失活させる酵素失活処理を行う上記(9)または(10)に記載の軟質化方法。
(12) 前記酵素失活処理における加熱温度は、60℃以上、120℃以下である上記(11)に記載の軟質化方法。
(13) 動物性素材を、上記(9)ないし(12)のいずれかに記載の軟質化方法により軟質化してなることを特徴とする軟質化動物性食材。
(14) 前記軟質化動物性食材は、「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」に記載の「えん下困難者用食品の試験方法」を遵守して測定した圧縮応力が1×105N/m2以下である上記(13)に記載の軟質化動物性食材。
(15) かたさのばらつきが相対標準偏差で50%以下に収まる上記(14)に記載の軟質化動物性食材。
本発明によれば、動物性素材を、食感および風味を維持しつつ、バラツキを生じることなく確実に軟質化することができることから、滑らかな食感を有する軟質化動物性食材が得られることとなる。
よって、このような軟質化動物性食材は、高齢者や嚥下・咀嚼困難者が食するのに適する。
以下、本発明の酵素処理液、軟質化方法および軟質化動物性食材を好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の軟質化方法は、食肉または魚介類からなる動物性素材を本発明の酵素処理液を用いて酵素処理することにより軟質化する軟質化方法であり、かかる酵素処理液として、酵素処理液の25℃における粘度が10mPa・s以上、5000mPa・s以下であるものを用いることを特徴とする。
ここで、本発明が適用される、動物性素材としては、食肉または魚介類からなる。これらのうち、食肉としては、特に限定されず、例えば、牛、豚、馬、羊、鶏、アヒル、七面鳥のような畜肉、猪、鹿、熊のような獣肉、クジラ、海豚のような海産動物、カモ、ダチョウ、カンガルーおよびワニ等の精肉ならびにこれらの加工品が挙げられる。また、魚介類としては、特に限定されず、例えば、マグロ、カジキ、シャケ、アジ、サバ、赤魚のような魚類、赤貝、ホタテのような貝類、タコ、イカのような頭足類、および、エビ、カニ、オキアミのような甲殻類等の生肉ならびにこれらの加工品等が挙げられる。
本発明の酵素処理液を用いた軟質化方法(本発明の軟質化方法)をこれらの動物性素材の軟化に適用すれば、後に詳述するように、動物性素材を、その食感および風味を維持しつつ、確実に軟質化することができ、高齢者および嚥下・咀嚼困難者でも飲み込み易く、美味しく食することができる軟質化動物性食材を、得られる複数の軟質化動物性食材においてバラツキを生じることなく製造することができる。
本実施形態の動物性素材の軟質化方法は、[1]酵素処理液で動物性素材を酵素処理する酵素処理工程と、[2]たん白質分解酵素を反応・失活させる酵素反応・失活処理工程と、[3]動物性素材を凍結させる凍結処理工程を有する。
かかる工程を経ることにより、動物性素材の構成成分であるたん白質やペプチドの分子鎖を、動物性素材の食感および風味を維持しつつ、その全体にわたって均等に切断することにより低分子化し、結果として、食物素材の形状を維持した状態で、軟質化を行うことができる。また、複数の動物性素材に対して、かかる動物性素材の軟質化を、バラツキを生じることなく施すことができる。
以下、各工程について詳述する。
[1]酵素処理工程
まず、軟質化すべき動物性素材を用意する。
[1]酵素処理工程
まず、軟質化すべき動物性素材を用意する。
ここで用意する動物性素材(動物性食品)としては、食肉を軟質化する場合、精肉であってもよいし、ハム・ソーセージのような加工品であってもよい。また、魚類や頭足類を軟質化する場合、皮や内臓等を除いた切り身であってもよいし、特に前処理を施すことなくそのまま酵素処理に供するようにしてもよい。さらに、貝類や甲殻類を軟質化する場合、殻を取り除いてもよいし、取り除かなくてもよい。
次に、用意した動物性素材を、25℃における粘度が10mPa・s以上、5000mPa・s以下である酵素処理液(本発明の酵素処理液)で酵素処理する。
ここで、動物性素材の硬さは、骨格筋に含まれる筋肉結合組織や筋原繊維等の含有量およびその質により決定付けられている。そのため、筋肉結合組織の主成分であるコラーゲンおよびエラスチン等のたん白質、さらには、筋原繊維の主成分であるアクチンおよびミオシン等のたん白質を、酵素処理液中に含まれるたん白質分解酵素の作用により、分解(切断)して低分子化することにより、動物性素材の軟質化を図ることができる。
ところで、このようなたん白質分解酵素によるたん白質の低分子化の際に、本発明の軟質化方法に用いる酵素処理液(本発明の酵素処理液)のように25℃における粘度が10mPa・s以上、5000mPa・s以下となっていない酵素処理液を用いると、動物性素材の軟質化は行われるものの、たん白質の低分子化に伴い、形状保持性や保水性が低下することに起因して、ジューシー感や風味が抜け、さらには筋原繊維がレバー状となったり、あるいは離水による水分過剰流出などが起因してパサツキ感が生じたりして、食肉類を味わっているという肉質感にも劣るという問題がある。すなわち、酵素処理液の粘度が適切な範囲内に設定されていない、従来の酵素処理液で酵素処理された動物性食材は、軟質化されているため、高齢者や嚥下・咀嚼困難者であっても食することができるが、ジューシー感、肉質感のような食感、さらには風味等に劣り、美味しく食することができるものとは言い難かった。
また、本発明者らによる検討により、例えば、酵素処理液として、たん白質分解酵素と、澱粉と、カードランとを含有するものを用いることが提案されているが、この場合には、食感や風味に優れ、美味しく食することができる食材を得ることができるものの、得られた複数の軟質化動物性食材において、かたさや食感等にバラツキが生じる傾向を示すという問題があった。
本発明者は、かかる問題点に鑑み鋭意検討を重ねた結果、酵素処理液の粘度が、軟質化された動物性食材の食感および風味等に関連性を有すること、より詳しくは、かかる酵素処理液の25℃における粘度を10mPa・s以上、5000mPa・s以下に設定することにより、前記問題点を解消し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
酵素処理液中には、動物性素材に含まれるたん白質を低分子化することにより、動物性素材を軟質化するために、たん白質分解酵素が添加される。
このようなたん白質分解酵素は、特に限定されないが、例えば、パパイン、ブロメライン、フィシン、アクチニジンのような植物由来のもの、Bacillus属由来のプロテアーゼ(サチライシン、サーモライシン)、Aspergillus属由来のプロテアーゼのような微生物由来のもの、トリプシン、カテプシン、ロイシンアミノペプチターゼのような動物由来のもの等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらが混合配合された酵素製剤も使用できる。
また、酵素処理液中のたん白質分解酵素の含有量は、酵素処理液中に含まれるたん白質分解酵素の種類によっても若干異なり、特に限定されないが、好ましくは5.0×10−4wt%以上、3.0wt%以下に設定され、より好ましくは1.0×10−3wt%以上、1.0wt%以下に設定される。これにより、前述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
酵素処理液の25℃における粘度は、10mPa・s以上、5000mPa・s以下であればよいが、20mPa・s以上、4200Pa・s以下であるのが好ましい。これにより、前述したような効果をより確実に発揮させることができる。特に、酵素処理液の粘度が高く設定されているため、供給された酵素処理液が動物性素材から漏出してしまうのを的確に抑制または防止することができ、動物性素材を均質に軟質化することができる。その結果、得られる複数の軟質化動物性食材は、かたさや食感等のバラツキの発生が効果的に抑制されたものとなる。
また、酵素処理液の5℃における粘度は、好ましくは10mPa・s以上に設定され、より好ましくは20mPa・s以上に設定される。例えば、本工程[1]において、25℃(常温)よりも低温度領域で保持して酵素反応を行う場合には、酵素処理液の5℃における粘度が前記範囲に設定されることにより、動物性素材からの酵素処理液の漏出をより確実に防止して、酵素反応を進行させることができる。
また、酵素処理液の70℃における粘度は、好ましくは5mPa・s以上に設定され、より好ましくは20mPa・s以上に設定される。例えば、後述する酵素反応・失活処理工程[2]において、酵素を失活させる際に動物性素材を加熱する場合には、酵素処理液も加熱されることとなる。そこで、酵素処理液の70℃における粘度が前記範囲内に設定されることにより、このような加熱によっても、動物性素材からの酵素処理液の漏出を的確に抑制しつつ、酵素処理液を動物性素材中により均一に拡散させることができる。
なお、酵素処理液の粘度の測定は、例えば、粘度・粘弾性測定装置レオストレス(英弘精機社製、「HAAKE RS6000」)等を用い、センサーとして、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、「C35/1 Ti」を使用して、せん断速度を10(1/s)に設定して測定される。
また、酵素処理液の粘度は、たん白質分解酵素の添加により上述したような範囲内に設定されればよいが、酵素処理液中に、増粘剤や、分散剤および油脂成分を添加し、これらの種類および濃度を適宜設定することにより、前述したような範囲内に設定するのが好ましい。
増粘剤は、酵素処理液の粘度を前記範囲内に設定し、これにより、たん白質分解酵素による動物性素材の軟質化による形状保持性や保水性の低下を抑制または防止し、食感および風味等が変質・劣化してしまうのを抑制または防止する機能を有するものである。
増粘剤としては、特に限定されず、例えば、澱粉、カードラン、ペクチン、グアーガム、アラビアガム、キサンタンガム、トラガントガム、タマリンドシードガム、セルロース、グルコマンナン、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)等が挙げられる。
酵素処理液中の増粘剤の含有量は、特に限定されないが、0.01〜10.0wt%程度であるのが好ましく、0.03〜3.0wt%程度であるのがより好ましい。かかる範囲内の増粘剤を含有することにより、得られる軟質化動物性食材の食感および風味等が変質・劣化してしまうのを的確に抑制または防止することができる。
分散剤および油脂成分は、酵素処理液の粘度を前記範囲内に設定し、前述した増粘剤と同様の機能を有するとともに、軟質化動物性食材の食感により滑らかさを付与するために添加されるものである。
分散剤(乳化剤)としては、食用添加物として認可されているものであれば特に限定されないが、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリド、ポリグリセリドおよびレシチン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ショ糖脂肪酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、ショ糖と、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸のような高級脂肪酸とのエステルが挙げられ、モノグリセリドとしては、特に限定されず、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジアセチル酒石酸モノグリセリド等が挙げられ、ポリグリセリドとしては、特に限定されず、例えば、グリセリンの脱水縮合により得られるポリグリセリンと、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸とのモノエステルが挙げられ、レシチンとしては、特に限定されず、例えば、大豆レシチン、卵黄レシチンおよびこれらの酵素分解処理レシチン等が挙げられる。
酵素処理液中の分散剤(乳化剤)の含有量は、特に限定されないが、0.01〜3.0wt%程度であるのが好ましく、0.05〜1.0wt%程度であるのがより好ましい。かかる範囲内の分散剤を含有することにより、酵素処理液中に油脂成分を確実に分散させるか、または、酵素処理液を分散剤と油脂成分とで乳化させることができる。
油脂成分としては、食用として用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、牛脂、ラード、魚油のような動物性油脂、ナタネ油、大豆油、パーム油、オリーブ油、ヤシ油、米油、コーン油のような植物性油脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
酵素処理液中の油脂成分の含有量は、特に限定されないが、0〜50wt%程度であるのが好ましく、5〜40wt%程度であるのがより好ましい。かかる範囲内の油脂成分を含有することにより、得られる軟質化動物性食材の食感をより滑らかさを有するものと、確実にすることができる。
なお、酵素処理液を分散剤と油脂成分とを含有する構成とする場合、酵素処理液は、これらを含有することにより、油脂成分が酵素処理液中に分散した分散液であればよいが、分散剤がミセルを形成することで乳化された乳化液であるのが好ましい。これにより、酵素処理液の粘度を効果的に上昇させて、その粘度をより確実に前記範囲内に設定することができる。
また、上述した増粘剤の中には、アラビアガム、キサンタンガム、トラガントガムのように乳化安定能を有するものがある。そのため、増粘剤として、乳化安定能を有するものを用いた場合には、分散剤および油脂成分の組み合わせに代えて、乳化安定能を有する増粘剤と油脂成分との組み合わせによっても、酵素処理液中において油脂成分を分散(または乳化)させつつ、酵素処理液の粘度を前記範囲内に設定することができる。
さらに、酵素処理液のpHは、8.0以上、10.5未満であるのが好ましく、9.0以上、10.5未満であるのがより好ましい。これにより、ジューシー感、肉質感のような食感、さらには風味等を維持しつつ、動物性食材を軟質化させることができるため、高齢者や嚥下・咀嚼困難者であっても美味しく食することができる。
酵素処理液のpHは、酵素処理液中に、pH調製剤を添加し、このものの種類および濃度を適宜設定することにより、前述したような範囲内に容易に設定することができる。
pH調製剤としては、特に限定されず、例えば、塩酸、酒石酸、アジピン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酢酸、炭酸、乳酸、ピロリン酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸とそれら酸のナトリウム塩およびカリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属塩等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、酵素処理液中には、前述した各種成分の他、軟質化動物性食材の味を調整する調味剤、フェルラ酸のような抗酸化剤、アルギニン、グルタミン、グリシンのようなアミノ酸、ビタミン類およびミネラル類等が含まれていても良い。
なお、調味剤としては、特に限定されず、例えば、食塩、グルタミン酸ナトリウム、醤油、味噌等、一般の調味料および酵母エキスのような食品エキス(抽出物)など酵素液中に溶解し塩濃度やpHに影響するもの等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上のような酵素処理液を調製するのに用いる液体としては、例えば、水、および、エタノール等のアルコール類が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本工程において、動物性素材内に酵素処理液を供給する方法は、特に限定されず、例えば、動物性素材中に酵素処理液を注入する方法(注入法)、動物性素材に酵素処理液を噴霧する方法(噴霧法)、動物性素材に酵素処理液を塗布する方法(塗布法)、動物性素材を酵素処理液中に浸漬する方法(浸漬法)、減圧含浸法等が挙げられる。
これらの中でも、注入法を用いるのが好ましい。注入法によれば、簡単な操作で、目的とする量の酵素処理液を動物性素材中に供給(注入)することができることから好ましい。また、注入法を用いれば、比較的厚い厚みを有する動物性素材を軟質化する場合であっても、その厚さ方向に沿って、酵素処理液を均一に注入でき、その内部をも均一に軟質化できるため、かかる観点からも、注入法が好ましく用いられる。
なお、動物性素材の厚さが、具体的には、好ましくは5mm以上のもの、より好ましくは10〜50mm程度のものが注入法に好適に適用される。
また、動物性素材に酵素処理液を注入する注入法(インジェクション法)としては、特に限定されないが、以下に示すようなインジェクション装置を用いた方法であるのが好ましい。
すなわち、ほぼ等間隔に配列された複数本の注射針と、これら注射針に圧力を付与した状態で酵素処理液を送液し得る送液部とを備えるインジェクション装置を用い、動物性素材に複数本の注射針を穿刺した状態で、複数本の注射針に送液部から酵素処理液を送液することにより、動物性素材中に酵素処理液を注入する方法を用いるのが好ましい。
このようなインジェクション装置を用いた方法によれば、一度の操作で広範囲に亘って動物性素材に酵素処理液を注入できることから、酵素処理液を注入するための処理時間の短縮を図ることができる。さらに、動物性素材の全体に亘ってより均一に酵素処理液を注入することができる点からも好ましい。
また、注入法(インジェクション法)を用いた場合、本発明のように、酵素処理液の粘度を前述した範囲内のように粘度の高いものとすることで、動物性素材に注入された注入箇所から漏出させることなく確実に滞留させることができるようになる。そのため、動物性素材の全体を確実に軟質化させることができる。また、酵素処理液の注入箇所と、その近辺では、注入されたたん白質分解酵素の濃度に若干のムラが生じるため、動物性素材が備える筋原繊維の全体が軟質化することに起因してレバー状となるのを的確に抑制または防止することができる。その結果、得られる軟質化動物性食材は、肉質感に特に優れたものとなる。
動物性素材に供給する酵素処理液の供給量は、軟質化する動物性素材の種類によっても若干異なるが、動物性素材の初期重量(酵素処理液を注入する前の動物性素材の重量)に対して好ましくは10〜80wt%の重量、より好ましくは10〜50wt%の重量の酵素処理液で酵素処理する。
また、動物性素材内に酵素処理液を供給する際の酵素処理液の温度は、特に限定されないが、通常、25℃程度に設定される。これにより、酵素処理液中に含まれるたん白質分解酵素が不活化してしまうのを的確に抑制または防止した状態で、酵素処理液を動物性素材に供給することができるため、酵素処理液を動物性素材中に均一に含浸させることができる。また、酵素処理液の25℃における粘度が、10mPa・s以上、5000mPa・s以下となっているため、動物性素材に供給された供給箇所に確実に滞留させることができるため、動物性素材の全体をより均一に軟質化させることができる。
なお、上記のように動物性素材の厚さが厚い場合には注入法が好適に用いられるものの、動物性素材の厚さが5mm以下、もしくは小エビのごとく縦横の長さが3cm以下のように比較的薄いもの、小型のものを軟質化する場合には、動物性素材に酵素処理液を供給する方法としては、噴霧法、塗布法または浸漬や減圧含浸法が好適に適用される。
以上のようにして動物性素材に供給した酵素処理液(酵素)による、動物性素材の構成成分に対する酵素反応は、特に限定されないが、例えば、以下のような条件で行うのが好ましい。
(低温)酵素反応を行う際の動物性素材の温度は、0〜20℃程度であるのが好ましく、5〜10℃程度であるのがより好ましい。
酵素反応を行う時間は、前記温度範囲とする場合、1〜24時間程度であるのが好ましく、5〜18時間程度であるのがより好ましい。
以上のような条件で酵素反応を進行させることにより、例えば、動物性素材のぱさつきや、動物性素材の風味の劣化等の発生を的確に抑制または防止しつつ、動物性素材の軟質化を確実に行うことができる。また、酵素処理液の5℃における粘度を10mPa・s以上とした際には、動物性素材に供給された酵素処理液の漏出をより確実に防止して、酵素反応を確実に進行させることができる。
また、酵素反応を行う際には、動物性素材の形状が崩れない程度で、振動(超音波振動、タンブリングなど)を付与するのが好ましい。これにより、動物性素材のほぼ全体に亘ってより均一に酵素による軟質化を行うことができ、より均一に軟質化された動物性素材を得ることができる。
[2]酵素(高温)反応・失活処理工程
次に、軟質化後の動物性素材内のたん白質分解酵素を(高温)反応・失活させる処理を行う。
次に、軟質化後の動物性素材内のたん白質分解酵素を(高温)反応・失活させる処理を行う。
これにより、最終的な酵素反応を完了し、また、軟質化後の動物性素材(軟質化動物性食材)が、保存時等において、さらに酵素反応が進行して、例えば、動物性素材の型崩れを起こすことや、動物性素材の風味が劣化すること等を防止することができる。
この失活処理としては、特に限定されず、例えば、酵素処理された動物性素材を加熱する加熱処理、酵素処理された動物性素材に酸溶液を接触させる処理(酸溶液に浸漬する処理等)等が挙げられるが、加熱処理により酵素を失活させるのが好ましい。加熱処理によれば、軟質化動物性素材に新たな処理液(酸溶液等)を接触させることなく、酵素を失活させることができるので、新たな処理液を接触させることに起因する、離水の発生や型崩れ等を確実に防止することができる。
加熱処理の方法としては、特に限定されず、例えば、動物性素材を加湿下で加熱する方法、動物性素材を火炎に接近もしくは接触させる方法、および、動物性素材を誘電加熱する方法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、加熱する方法としては、動物性素材を加湿下で加熱する方法を用いるのが好ましい。かかる方法によれば、加熱処理時において、動物性素材の表面に焦げ目等を付けることなく、動物性素材の中心部にまで亘ってほぼ均一な温度で加熱することができ、このものに含まれるたん白質分解酵素を均一に失活させることができる。
また、加熱する温度は、加熱処理する時間によっても若干異なるが、好ましくは60〜120℃程度、より好ましくは70〜115℃程度とされる。かかる範囲内に設定することにより、加熱に起因する動物性素材の硬化を抑制または防止しつつ、動物性素材中に含まれるたん白質分解酵素を確実に失活させることができる。
また、酵素処理液は、70℃における粘度が好ましくは5mPa・s以上に設定されるが、このような酵素処理液を用いることにより、本工程[2]において動物性素材を加熱したとしても、加熱による粘度の低下が的確に抑制されている。そのため、動物性素材の加熱に起因する、動物性素材のぱさつきが的確に抑制または防止される。
さらに、加熱する際の雰囲気の湿度は、相対湿度で60〜100%RH程度であるのが好ましく、85〜100%RH程度であるのがより好ましい。かかる範囲の湿度の加湿下において、動物性素材に加熱処理を行うことにより、動物性素材の外表面の変質(変性)等をともなうことなく、動物性素材の中心部まで均一に加熱することができる。
また、動物性素材を加熱する時間は、加熱する温度によっても若干異なるため、特に限定されないが、前記温度範囲とする場合、5〜60分程度であるのが好ましく、10〜30分程度であるのがより好ましい。かかる時間で動物性素材を加熱することにより、動物性素材の中心部まで(動物性素材全体を)より確実かつ均一に加熱して、動物性素材中の酵素を失活させることができるとともに、動物性素材の外表面に焦げ目が付いてしまうのをより確実に防止することができる。
前記のような加熱の後、加熱処理された動物性素材を、そのまま次工程[3]である冷凍処理工程を施すようにしてもよいし、室温程度にまで冷却するようにしてもよい。
[3]冷凍処理工程
次に、たん白質分解酵素が失活された軟質化動物性素材を冷凍保存するための冷凍処理を行う。
次に、たん白質分解酵素が失活された軟質化動物性素材を冷凍保存するための冷凍処理を行う。
これにより、軟質化動物性素材を長期保存に適したものとすることができるとともに、所望の時に、冷凍された軟質化動物性素材を解凍して、軟質化動物性素材を食材として食することができる。
軟質化動物性素材の冷凍は、如何なる方法を用いて行ってもよいが、液体窒素や冷却したアルコール等を用いた急速冷凍(急速凍結)法を用いて行うのが好ましい。また、素材を急速に冷凍することが可能な冷凍装置を用いることも可能である。かかる方法を用いることにより、軟質化動物性素材中における氷結晶の発生を的確に抑制または防止することができるため、この冷凍された軟質化動物性素材を解凍した際に、形状が変化してしまったり、離水が生じるのをより効果的に防止することができる。
軟質化動物性素材を急速冷凍する際の温度は、−20℃以下であるのが好ましく、−25℃以下であるのがより好ましい。これにより、軟質化動物性素材を冷凍する際に、軟質化動物性素材に氷結晶が生成してしまう0〜−5℃の温度領域を比較的短時間(具体的には、15分以内)で通過させることができ、氷結晶の生成がより的確に抑制される。
なお、本発明の軟質化方法では、本実施形態における工程[2]および工程[3]のいずれか1工程を省略してもよい。また、任意の工程が付加されていてもよく、例えば、前記酵素処理工程[1]に先立って、動物性素材中の水分を除去する水分除去工程を付加するようにしても良い。かかる工程を付加することにより、前記酵素処理工程[1]において、動物性素材内への酵素処理液の含浸(浸透)率を向上させることができる。
この水分除去工程において、水分を除去する方法としては、特に限定されず、例えば、加熱乾燥法、熱風乾燥法、冷風乾燥法、凍結乾燥法、塩蔵法、遠心分離法、油ちょう法および毛細管現象を用いた方法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
その中で、加熱乾燥法は、例えば、密封容器中に動物性素材を封じ、湯煎等により50〜90℃に加熱することにより、水分をドリップとして除去する方法である。
また、熱風乾燥法または冷風乾燥法は、例えば、10〜120℃の空気を吹き付けることにより、水分を蒸発させ除去する方法である。
凍結乾燥法は、例えば、動物性素材を−20〜−80℃程度まで冷却凍結した後、減圧することにより、動物性素材中の水分を昇華させ除去する方法である。
塩蔵法は、例えば、5%以上の食塩水や、食塩と水を混合したスラリーに動物性素材を接触させることにより、水分を除去する方法である。
遠心分離法は、例えば、遠心脱水機等の装置を用いて、かご状の容器中に動物性素材を配置させた状態で、この容器を回転運動させることにより、動物性素材中の水分を除去する方法である。
油ちょう法は、例えば、70〜180℃程度に加熱した食用油脂中で動物性素材を加熱することにより、水分を蒸発させて除去する方法である。
さらに、毛細管現象を用いた方法は、例えば、キッチンペーパーを重層し、これらの間に動物性素材を挟み込むことにより、動物性素材中の水を除去する方法である。
以上の工程を経て、冷凍状態の本発明の軟質化動物性食材が得られる。
このようにして得られた軟質化動物性食材は、このものを解凍した際に、軟質化前の動物性素材とほぼ等しい形状をなしている。
このようにして得られた軟質化動物性食材は、このものを解凍した際に、軟質化前の動物性素材とほぼ等しい形状をなしている。
また、かかる軟質化動物性食材は、十分に軟質化されているうえに、ジューシー感や肉質感のような食感もよく、風味等の漏出も確実に防止されている。
このため、高齢者や咀嚼・嚥下困難者に対して、食欲の増進を促し、美味しく食することが期待できるとともに、容易に飲み込むことができる。
かかる軟質化動物性食材は、解凍したときすなわち冷凍されていない状態で、厚生労働省で規定の「えん下困難者用食品の試験方法」にしたがって測定した圧縮応力が好ましくは1×105N/m2以下に、より好ましくは5×104N/m2以下になっている。このような数値を満たすことにより、前述の高齢者や患者でも、確実に軟質化動物性食材を咀嚼し、飲み込むことが可能となる。
さらに、このような軟質化動物性食材を、かたさや食感等にバラツキを生じることなく、効率よく複数個製造することができる。
以上、本発明の酵素処理液、軟質化方法および軟質化動物性食材を前記実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、本発明の軟質化方法は、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.酵素処理液の25℃における粘度の検討
1−1.酵素処理液の調整
1.酵素処理液の25℃における粘度の検討
1−1.酵素処理液の調整
(酵素処理液1A)
たん白質分解酵素としてBacillus属由来のプロテアーゼ、調味剤として食塩、酵母エキス、pH調製剤としてリン酸水素二ナトリウム、アミノ酸としてグリシンを用意し、プロテアーゼおよび食塩の含有量が、それぞれ、0.05wt%および1.50wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液1Aを調製した。なお、酵母エキス、リン酸水素二ナトリウムおよびグリシンについては、それぞれ適量添加した。なお、この酵素処理液1Aの25℃での粘度は、3mPa・sであった。
たん白質分解酵素としてBacillus属由来のプロテアーゼ、調味剤として食塩、酵母エキス、pH調製剤としてリン酸水素二ナトリウム、アミノ酸としてグリシンを用意し、プロテアーゼおよび食塩の含有量が、それぞれ、0.05wt%および1.50wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液1Aを調製した。なお、酵母エキス、リン酸水素二ナトリウムおよびグリシンについては、それぞれ適量添加した。なお、この酵素処理液1Aの25℃での粘度は、3mPa・sであった。
(酵素処理液1B)
酵素処理液中に、たん白質分解酵素、調味剤、pH調製剤およびアミノ酸の他に、さらに増粘剤としてキサンタンガムを、その含有量が0.15wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液1Aと同様にして、酵素処理液1Bを調製した。なお、この酵素処理液1Bの25℃での粘度は、77mPa・sであった。
酵素処理液中に、たん白質分解酵素、調味剤、pH調製剤およびアミノ酸の他に、さらに増粘剤としてキサンタンガムを、その含有量が0.15wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液1Aと同様にして、酵素処理液1Bを調製した。なお、この酵素処理液1Bの25℃での粘度は、77mPa・sであった。
(酵素処理液1C)
酵素処理液中に、たん白質分解酵素、調味剤、pH調製剤およびアミノ酸の他に、さらに増粘剤としてキサンタンガムを、その含有量が0.30wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液1Aと同様にして、酵素処理液1Cを調製した。なお、この酵素処理液1Cの25℃での粘度は、216mPa・sであった。
酵素処理液中に、たん白質分解酵素、調味剤、pH調製剤およびアミノ酸の他に、さらに増粘剤としてキサンタンガムを、その含有量が0.30wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液1Aと同様にして、酵素処理液1Cを調製した。なお、この酵素処理液1Cの25℃での粘度は、216mPa・sであった。
(酵素処理液1D)
酵素処理液中に、たん白質分解酵素、調味剤、pH調製剤およびアミノ酸の他に、さらに増粘剤としてキサンタンガムを、その含有量が0.60wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液1Aと同様にして、酵素処理液1Dを調製した。なお、この酵素処理液1Dの25℃での粘度は、733mPa・sであった。
酵素処理液中に、たん白質分解酵素、調味剤、pH調製剤およびアミノ酸の他に、さらに増粘剤としてキサンタンガムを、その含有量が0.60wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液1Aと同様にして、酵素処理液1Dを調製した。なお、この酵素処理液1Dの25℃での粘度は、733mPa・sであった。
(酵素処理液1E)
酵素処理液中に、たん白質分解酵素、調味剤、pH調製剤およびアミノ酸の他に、さらに増粘剤としてキサンタンガムを、その含有量が1.0wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液1Aと同様にして、酵素処理液1Eを調製した。なお、この酵素処理液1Eの25℃での粘度は、1677mPa・sであった。
酵素処理液中に、たん白質分解酵素、調味剤、pH調製剤およびアミノ酸の他に、さらに増粘剤としてキサンタンガムを、その含有量が1.0wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液1Aと同様にして、酵素処理液1Eを調製した。なお、この酵素処理液1Eの25℃での粘度は、1677mPa・sであった。
(酵素処理液1F)
酵素処理液中に、たん白質分解酵素、調味剤、pH調製剤およびアミノ酸の他に、さらに増粘剤として低分子寒天を、その含有量が2.0wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液1Aと同様にして、酵素処理液1Fを調製した。なお、この酵素処理液1Fの25℃での粘度は、4181mPa・sであった。
酵素処理液中に、たん白質分解酵素、調味剤、pH調製剤およびアミノ酸の他に、さらに増粘剤として低分子寒天を、その含有量が2.0wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液1Aと同様にして、酵素処理液1Fを調製した。なお、この酵素処理液1Fの25℃での粘度は、4181mPa・sであった。
なお、酵素処理液の粘度の測定は、粘度・粘弾性測定装置レオストレス(英弘精機社製、「HAAKE RS6000」)を用いて測定した。また、センサーはC35/1 Ti(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を使用し、せん断速度10(1/s)で測定した。
1−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例および比較例において、25℃での粘度が異なる酵素処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
以下の各実施例および比較例において、25℃での粘度が異なる酵素処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(比較例1A)
<1>酵素処理工程
まず、脂身を除去した生のトリムネ肉(平均重量約240g)に、それぞれ、インジェクション装置を用いて、生のトリムネ肉の重量(初期重量)に対して酵素処理液1Aを注入した。なお、インジェクション装置としては、半径1cm内に4本の針を持つ針ユニットを4ユニット持つものを使用した。また、このインジェクション装置を用いた酵素処理液1Aの注入は、25℃(室温)において行なった。
<1>酵素処理工程
まず、脂身を除去した生のトリムネ肉(平均重量約240g)に、それぞれ、インジェクション装置を用いて、生のトリムネ肉の重量(初期重量)に対して酵素処理液1Aを注入した。なお、インジェクション装置としては、半径1cm内に4本の針を持つ針ユニットを4ユニット持つものを使用した。また、このインジェクション装置を用いた酵素処理液1Aの注入は、25℃(室温)において行なった。
次に、酵素処理液を注入したトリムネ肉を、4℃の冷蔵室内に収納し、18時間静置した。これにより、トリムネ肉とたん白質分解酵素とを反応させた。
なお、このトリムネ肉のインジェクト保持率[%]は、酵素処理液の注入後、30分以上経過した後の重量を静置後重量としたとき、静置後重量÷初期重量×100で求められる値とした。
<2>酵素失活処理工程
次に、酵素反応処理終了後のトリムネ肉を、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度80%RH、庫内温度80℃、加熱時間20分の条件でトリムネ肉内部の温度が75℃以上となるように加熱して、酵素を失活させた。
次に、酵素反応処理終了後のトリムネ肉を、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度80%RH、庫内温度80℃、加熱時間20分の条件でトリムネ肉内部の温度が75℃以上となるように加熱して、酵素を失活させた。
<3>冷凍処理工程
次に、酵素失活処理終了直後のトリムネ肉(軟質化されたトリムネ肉)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のトリムネ肉の軟質化動物性食材を得た。
次に、酵素失活処理終了直後のトリムネ肉(軟質化されたトリムネ肉)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のトリムネ肉の軟質化動物性食材を得た。
(実施例1B〜1F)
酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液1B〜1Fを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、冷凍状態のトリムネ肉の軟質化動物性食材を製造した。なお、実施例1B〜1Fの軟質化動物性食材におけるインジェクト保持率は、表1に示す通りであった。
酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液1B〜1Fを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、冷凍状態のトリムネ肉の軟質化動物性食材を製造した。なお、実施例1B〜1Fの軟質化動物性食材におけるインジェクト保持率は、表1に示す通りであった。
1−3.評価
比較例1Aおよび実施例1B〜1Fの冷凍状態のトリムネ肉の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を以下に示す1−3−1〜1−3−5の各種項目について評価した。
比較例1Aおよび実施例1B〜1Fの冷凍状態のトリムネ肉の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を以下に示す1−3−1〜1−3−5の各種項目について評価した。
1−3−1.かたさ(圧縮応力)
かたさ(圧縮応力)は、「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」中の「えん下困難者用食品の試験方法」を遵守して測定した。すなわち、解凍したトリムネ肉(軟質化動物性食材;試料)を直径40mm、高さ20mmの容器の高さ15mmまで充填し、その後、直線運動により試料の圧縮応力を測定することが可能なレオメーター(山電株式会社製、「RE2−33005S」)を用いて、直径20mm、高さ8mmのプランジャーを圧縮速度10mm/秒で、試料の上端から、厚さの10mmまで押し込み、下端側の5mm残存するようにクリアランスを設定して、圧縮応力(N/m2)を測定した。なお、ここで、クリアランスとは、最大に試料を圧縮した時のプランジャーの先端からゼロ点(すなわち、試料の下端)までの距離をいう。
また、測定温度は20±2℃とした。
かたさ(圧縮応力)は、「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」中の「えん下困難者用食品の試験方法」を遵守して測定した。すなわち、解凍したトリムネ肉(軟質化動物性食材;試料)を直径40mm、高さ20mmの容器の高さ15mmまで充填し、その後、直線運動により試料の圧縮応力を測定することが可能なレオメーター(山電株式会社製、「RE2−33005S」)を用いて、直径20mm、高さ8mmのプランジャーを圧縮速度10mm/秒で、試料の上端から、厚さの10mmまで押し込み、下端側の5mm残存するようにクリアランスを設定して、圧縮応力(N/m2)を測定した。なお、ここで、クリアランスとは、最大に試料を圧縮した時のプランジャーの先端からゼロ点(すなわち、試料の下端)までの距離をいう。
また、測定温度は20±2℃とした。
なお、かたさの測定は、10個の軟質化動物性食材について実施し、得られた測定値から標準偏差、平均値および相対標準偏差(%)を求めた。
1−3−2.食感
解凍したトリムネ肉(軟質化動物性食材;試料)を食し、その際に感じられた食感を、「4:やわらかい(抵抗なく舌ですり潰せる)、3:舌で潰せる(繊維を感じるが舌で潰せる)、2:舌で潰しきれない(舌でほぐせるが繊維を潰せない)、1:歯では楽に噛める(歯を使わないとほぐせないが、噛むのに大きな力は要らない)」の4段階の基準にしたがって評価した。かかる食感の評価を、10名のパネラーについて実施し、各パネラーから得られた評価結果の平均値を求めた。
解凍したトリムネ肉(軟質化動物性食材;試料)を食し、その際に感じられた食感を、「4:やわらかい(抵抗なく舌ですり潰せる)、3:舌で潰せる(繊維を感じるが舌で潰せる)、2:舌で潰しきれない(舌でほぐせるが繊維を潰せない)、1:歯では楽に噛める(歯を使わないとほぐせないが、噛むのに大きな力は要らない)」の4段階の基準にしたがって評価した。かかる食感の評価を、10名のパネラーについて実施し、各パネラーから得られた評価結果の平均値を求めた。
1−3−3.風味
解凍したトリムネ肉(軟質化動物性食材;試料)を食し、その際に感じられた風味を、軟質化せずに一般的な調理方法で加熱調理したトリムネ肉(軟質化していない動物性食材)と比較して、「4:素材の味が強くする(素材の風味が強くある)、3:弱いが素材の味がする(素材の風味が弱いがある)、2:素材以外の味がする(素材の風味以外のものを感じる)、1:素材以外の味が強い(酵素や増粘剤等の素材以外の味の方が強い)」の4段階の基準にしたがって評価した。かかる風味の評価を、10名のパネラーについて実施し、各パネラーから得られた評価結果の平均値を求めた。
解凍したトリムネ肉(軟質化動物性食材;試料)を食し、その際に感じられた風味を、軟質化せずに一般的な調理方法で加熱調理したトリムネ肉(軟質化していない動物性食材)と比較して、「4:素材の味が強くする(素材の風味が強くある)、3:弱いが素材の味がする(素材の風味が弱いがある)、2:素材以外の味がする(素材の風味以外のものを感じる)、1:素材以外の味が強い(酵素や増粘剤等の素材以外の味の方が強い)」の4段階の基準にしたがって評価した。かかる風味の評価を、10名のパネラーについて実施し、各パネラーから得られた評価結果の平均値を求めた。
1−3−4.飲み込みやすさ
解凍したトリムネ肉(軟質化動物性食材;試料)を食し、その際に感じられた飲み込みやすさ(滑らかさ)を、「4:飲み込みやすい(飲み込んだのちに残留を感じない、送り込みやすい)、3:やや飲み込みやすい(どちらかといえば残留が少ない、やや送り込みがよい)、2:やや飲み込みにくい(どちらかといえば残留が多い、やや送り込みが悪い)、1:飲み込みにくい(飲んだ後に残留が多い、送り込みにくい)」の4段階の基準にしたがって評価した。かかる飲み込みやすさの評価を、10名のパネラーについて実施し、各パネラーから得られた評価結果の平均値を求めた。
解凍したトリムネ肉(軟質化動物性食材;試料)を食し、その際に感じられた飲み込みやすさ(滑らかさ)を、「4:飲み込みやすい(飲み込んだのちに残留を感じない、送り込みやすい)、3:やや飲み込みやすい(どちらかといえば残留が少ない、やや送り込みがよい)、2:やや飲み込みにくい(どちらかといえば残留が多い、やや送り込みが悪い)、1:飲み込みにくい(飲んだ後に残留が多い、送り込みにくい)」の4段階の基準にしたがって評価した。かかる飲み込みやすさの評価を、10名のパネラーについて実施し、各パネラーから得られた評価結果の平均値を求めた。
1−3−5.総合評価
1−3−2〜1−3−4で評価した食感、風味および飲み込みやすさの評価結果の平均値において、全てが3.5点以上である場合を◎、2つが3.5点以上である場合を○、1つが3.5点以上である場合を△、1つも3.5点以上がない場合を×として、総合評価を行った。
これらの結果を表1に示す。
1−3−2〜1−3−4で評価した食感、風味および飲み込みやすさの評価結果の平均値において、全てが3.5点以上である場合を◎、2つが3.5点以上である場合を○、1つが3.5点以上である場合を△、1つも3.5点以上がない場合を×として、総合評価を行った。
これらの結果を表1に示す。
表1から明らかなように、酵素処理液の25℃における粘度を10mPa・s以上、5000mPa・s以下に設定することにより、インジェクト保持率が高く維持され、食感、風味および飲み込み性を維持しつつ、動物性素材を軟質化し得ることが判った。さらに、複数の動物性素材において、バラツキなく相対標準偏差50%以下で軟質化し得ることが判った。
2.酵素処理液の5℃における粘度の検討
2−1.酵素処理液の調整
2−1.酵素処理液の調整
(酵素処理液2A)
たん白質分解酵素としてパパイン、増粘剤としてキサンタンガム、調味剤として食塩、酵母エキス、pH調製剤としてリン酸水素二ナトリウム、アミノ酸としてグリシンを用意し、パパイン、キサンタンガムおよび食塩の含有量が、それぞれ、0.01wt%、0.15wt%および1wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液2Aを調製した。なお、酵母エキス、リン酸水素二ナトリウムおよびグリシンについては、それぞれ適量添加した。なお、この酵素処理液2Aの25℃での粘度および5℃での粘度は、それぞれ76mPa・sおよび93mPa・sであった。
たん白質分解酵素としてパパイン、増粘剤としてキサンタンガム、調味剤として食塩、酵母エキス、pH調製剤としてリン酸水素二ナトリウム、アミノ酸としてグリシンを用意し、パパイン、キサンタンガムおよび食塩の含有量が、それぞれ、0.01wt%、0.15wt%および1wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液2Aを調製した。なお、酵母エキス、リン酸水素二ナトリウムおよびグリシンについては、それぞれ適量添加した。なお、この酵素処理液2Aの25℃での粘度および5℃での粘度は、それぞれ76mPa・sおよび93mPa・sであった。
(酵素処理液2B)
酵素処理液中に、増粘剤グァーガムが0.2wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液2Aと同様にして、酵素処理液2Bを調製した。なお、この酵素処理液2Bの25℃での粘度および5℃での粘度は、それぞれ20mPa・sおよび24mPa・sであった。
酵素処理液中に、増粘剤グァーガムが0.2wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液2Aと同様にして、酵素処理液2Bを調製した。なお、この酵素処理液2Bの25℃での粘度および5℃での粘度は、それぞれ20mPa・sおよび24mPa・sであった。
(酵素処理液2C)
酵素処理液中に、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)を用い、CMCが0.03wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液2Aと同様にして、酵素処理液2Cを調製した。なお、この酵素処理液2Cの25℃での粘度および5℃での粘度は、それぞれ74mPa・sおよび6mPa・sであった。
酵素処理液中に、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)を用い、CMCが0.03wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液2Aと同様にして、酵素処理液2Cを調製した。なお、この酵素処理液2Cの25℃での粘度および5℃での粘度は、それぞれ74mPa・sおよび6mPa・sであった。
2−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、25℃および5℃での粘度が異なる酵素処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
以下の各実施例において、25℃および5℃での粘度が異なる酵素処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(実施例2A〜実施例2C)
酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液2A〜2Cを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、実施例2A〜2Cの冷凍状態の軟質化動物性食材(トリムネ肉)を製造した。
酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液2A〜2Cを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、実施例2A〜2Cの冷凍状態の軟質化動物性食材(トリムネ肉)を製造した。
2−3.評価
各実施例および各比較例の冷凍状態となっているトリムネ肉の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した比較例1Aと同様にして前記1−3−1〜1−3−5の各種項目について評価した。
これらの結果を表2に示す。
各実施例および各比較例の冷凍状態となっているトリムネ肉の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した比較例1Aと同様にして前記1−3−1〜1−3−5の各種項目について評価した。
これらの結果を表2に示す。
表2から明らかなように、酵素処理液の25℃における粘度を10mPa・s以上、5000mPa・s以下に設定し、かつ5℃における粘度を10mPa・s以上に設定すること(実施例2A、2B)で、実施例2Cと比較して、食感と飲み込み性がより改善され、バラツキなく相対標準偏差が改善して軟質化し得ることが判った。
3.酵素処理液の70℃における粘度の検討
3−1.酵素処理液の調整
3−1.酵素処理液の調整
(酵素処理液3A)
たん白質分解酵素としてAspergillus 属由来のプロテアーゼ、増粘剤としてキサンタンガム、調味剤として食塩、酵母エキス、pH調製剤としてリン酸水素二ナトリウム、アミノ酸としてグリシンを用意し、プロテアーゼ、キサンタンガムおよび食塩の含有量が、それぞれ、0.5wt%、0.3wt%、1wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液3Aを調製した。なお、酵母エキス、リン酸水素二ナトリウムおよびグリシンについては、それぞれ適量添加した。なお、この酵素処理液3Aの25℃での粘度および70℃での粘度は、それぞれ204mPa・sおよび143mPa・sであった。
たん白質分解酵素としてAspergillus 属由来のプロテアーゼ、増粘剤としてキサンタンガム、調味剤として食塩、酵母エキス、pH調製剤としてリン酸水素二ナトリウム、アミノ酸としてグリシンを用意し、プロテアーゼ、キサンタンガムおよび食塩の含有量が、それぞれ、0.5wt%、0.3wt%、1wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液3Aを調製した。なお、酵母エキス、リン酸水素二ナトリウムおよびグリシンについては、それぞれ適量添加した。なお、この酵素処理液3Aの25℃での粘度および70℃での粘度は、それぞれ204mPa・sおよび143mPa・sであった。
(酵素処理液3B)
たん白質分解酵素としてAspergillus 属 由来のプロテアーゼ、乳化剤として卵黄レシチン、油脂成分としてラード、調味剤として食塩、酵母エキス、pH調製剤としてリン酸水素二ナトリウム、アミノ酸としてグリシンを用意し、プロテアーゼ、卵黄レシチン、ラードおよび食塩の含有量が、それぞれ、0.5wt%、1wt%、30wt%および1wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液3Bを調製した。なお、酵母エキス、リン酸水素二ナトリウムおよびグリシンについては、それぞれ適量添加した。なお、この酵素処理液3Aの25℃での粘度および70℃での粘度は、それぞれ150mPa・sおよび9mPa・sであった。
たん白質分解酵素としてAspergillus 属 由来のプロテアーゼ、乳化剤として卵黄レシチン、油脂成分としてラード、調味剤として食塩、酵母エキス、pH調製剤としてリン酸水素二ナトリウム、アミノ酸としてグリシンを用意し、プロテアーゼ、卵黄レシチン、ラードおよび食塩の含有量が、それぞれ、0.5wt%、1wt%、30wt%および1wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液3Bを調製した。なお、酵母エキス、リン酸水素二ナトリウムおよびグリシンについては、それぞれ適量添加した。なお、この酵素処理液3Aの25℃での粘度および70℃での粘度は、それぞれ150mPa・sおよび9mPa・sであった。
(酵素処理液3C)
たん白質分解酵素としてAspergillus 属由来のプロテアーゼ、増粘剤としてキサンタンガム、油脂成分としてラード、調味剤として食塩、酵母エキス、pH調製剤としてリン酸水素二ナトリウム、アミノ酸としてグリシンを用意し、プロテアーゼ、ラード、キサンタンガムおよび食塩の含有量が、それぞれ、0.5wt%、30wt%、0.3wt%、1wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液3Cを調製した。なお、酵母エキス、リン酸水素二ナトリウムおよびグリシンについては、それぞれ適量添加した。なお、この酵素処理液3Aの25℃での粘度および70℃での粘度は、それぞれ206mPa・sおよび162mPa・sであった。
たん白質分解酵素としてAspergillus 属由来のプロテアーゼ、増粘剤としてキサンタンガム、油脂成分としてラード、調味剤として食塩、酵母エキス、pH調製剤としてリン酸水素二ナトリウム、アミノ酸としてグリシンを用意し、プロテアーゼ、ラード、キサンタンガムおよび食塩の含有量が、それぞれ、0.5wt%、30wt%、0.3wt%、1wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液3Cを調製した。なお、酵母エキス、リン酸水素二ナトリウムおよびグリシンについては、それぞれ適量添加した。なお、この酵素処理液3Aの25℃での粘度および70℃での粘度は、それぞれ206mPa・sおよび162mPa・sであった。
(酵素処理液3D)
酵素処理液中に、キサンタンガムの代わりに低分子寒天を0.1wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液3Aと同様にして、酵素処理液3Dを調製した。なお、この酵素処理液3Dの25℃での粘度および70℃での粘度は、それぞれ209mPa・sおよび4mPa・sであった。
酵素処理液中に、キサンタンガムの代わりに低分子寒天を0.1wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液3Aと同様にして、酵素処理液3Dを調製した。なお、この酵素処理液3Dの25℃での粘度および70℃での粘度は、それぞれ209mPa・sおよび4mPa・sであった。
3−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、25℃および70℃での粘度が異なる酵素処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
以下の各実施例において、25℃および70℃での粘度が異なる酵素処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(実施例3A〜実施例3D)
酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液3A〜3Dを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、実施例3A〜3Dの冷凍状態の軟質化動物性食材(トリムネ肉)を製造した。
酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液1Aに代えて、それぞれ、酵素処理液3A〜3Dを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、実施例3A〜3Dの冷凍状態の軟質化動物性食材(トリムネ肉)を製造した。
3−3.評価
各実施例および各比較例の冷凍状態となっているトリムネ肉の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した比較例1Aと同様にして前記1−3−1〜1−3−5の各種項目について評価した。
これらの結果を表3に示す。
各実施例および各比較例の冷凍状態となっているトリムネ肉の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した比較例1Aと同様にして前記1−3−1〜1−3−5の各種項目について評価した。
これらの結果を表3に示す。
表3から明らかなように、酵素処理液の25℃における粘度を10mPa・s以上5000mPa・s以下に設定し、かつ70℃における粘度を5mPa・s以上に設定することで(実施例3A、3B、3C)、実施例3Dと比較して、食感と飲み込み性がより改善され、バラツキなく相対標準偏差が改善して軟質化し得ることが判った。
4.軟質化される動物性素材(食肉)の種類の検討
4−1.酵素処理液の調整
4−1.酵素処理液の調整
(酵素処理液4A)
たん白質分解酵素としてBacillus属由来のプロテアーゼ、調味剤として食塩、酵母エキス、pH調製剤としてリン酸水素二ナトリウム、アミノ酸としてグリシンを用意し、プロテアーゼおよび食塩の含有量が、それぞれ、0.05wt%および1.50wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液4Aを調製した。なお、酵母エキス、リン酸水素二ナトリウムおよびグリシンについては、それぞれ適量添加した。なお、この酵素処理液4Aの25℃での粘度は、3mPa・sであった。
たん白質分解酵素としてBacillus属由来のプロテアーゼ、調味剤として食塩、酵母エキス、pH調製剤としてリン酸水素二ナトリウム、アミノ酸としてグリシンを用意し、プロテアーゼおよび食塩の含有量が、それぞれ、0.05wt%および1.50wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液4Aを調製した。なお、酵母エキス、リン酸水素二ナトリウムおよびグリシンについては、それぞれ適量添加した。なお、この酵素処理液4Aの25℃での粘度は、3mPa・sであった。
(酵素処理液4B)
酵素処理液中に、たん白質分解酵素、調味剤、pH調製剤およびアミノ酸の他に、さらに増粘剤としてキサンタンガムを、その含有量が0.15wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液4Aと同様にして、酵素処理液4Bを調製した。なお、この酵素処理液4Bの25℃での粘度は85mPa・sであった。
酵素処理液中に、たん白質分解酵素、調味剤、pH調製剤およびアミノ酸の他に、さらに増粘剤としてキサンタンガムを、その含有量が0.15wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液4Aと同様にして、酵素処理液4Bを調製した。なお、この酵素処理液4Bの25℃での粘度は85mPa・sであった。
4−2.軟質化動物性食材の製造
以下の比較例4A−豚モモ、牛モモ、実施例4B−豚モモ、牛モモにおいて、種類の異なる動物性素材(食肉)に対して各酵素処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
以下の比較例4A−豚モモ、牛モモ、実施例4B−豚モモ、牛モモにおいて、種類の異なる動物性素材(食肉)に対して各酵素処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(比較例4A-豚モモ肉)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて脂身を除去した豚モモ肉を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液4Aを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、比較例4A-豚モモの冷凍状態の軟質化動物性食材(豚モモ肉)を製造した。
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて脂身を除去した豚モモ肉を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液4Aを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、比較例4A-豚モモの冷凍状態の軟質化動物性食材(豚モモ肉)を製造した。
(実施例4B-豚モモ肉)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて脂身を除去した豚モモ肉を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液4Bを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、実施例4B-豚モモの冷凍状態の軟質化動物性食材(豚モモ肉)を製造した。
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて脂身を除去した豚モモ肉を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液4Bを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、実施例4B-豚モモの冷凍状態の軟質化動物性食材(豚モモ肉)を製造した。
(比較例4A-牛モモ肉)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて脂身を除去した牛モモ肉を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液4Aを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、比較例4A-牛モモの冷凍状態の軟質化動物性食材(牛モモ肉)を製造した。
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて脂身を除去した牛モモ肉を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液4Aを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、比較例4A-牛モモの冷凍状態の軟質化動物性食材(牛モモ肉)を製造した。
(実施例4B-牛モモ肉)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて脂身を除去した牛モモ肉を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液4Bを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、実施例4B-牛モモの冷凍状態の軟質化動物性食材(牛モモ肉)を製造した。
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて脂身を除去した牛モモ肉を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液4Bを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、実施例4B-牛モモの冷凍状態の軟質化動物性食材(牛モモ肉)を製造した。
4−3.評価
各実施例および各比較例の冷凍状態となっている豚モモ肉および牛モモ肉の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した比較例1Aと同様にして前記1−3−1〜1−3−5の各種項目について評価した。
これらの結果を表4に示す。
各実施例および各比較例の冷凍状態となっている豚モモ肉および牛モモ肉の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した比較例1Aと同様にして前記1−3−1〜1−3−5の各種項目について評価した。
これらの結果を表4に示す。
表4から明らかなように、豚モモ肉および牛モモ肉の軟質化動物性食材についても、トリムネ肉の軟質化動物性食材と同様に、酵素処理液の25℃における粘度を10mPa・s以上、5000mPa・s以下に設定することにより、インジェクト保持率が高く維持され、食感、風味および飲み込み性を維持しつつ、動物性素材を軟質化し得ることが判った。さらに、複数の動物性素材において、バラツキなく軟質化し相対標準偏差50%以下で軟質化し得ることが判った。
このことから、本発明の軟質化方法は、トリムネ肉に限らず各種の畜産食肉に適応できることが示された。
5.軟質化される動物性素材(魚介類)の種類の検討
5−1.酵素処理液の調整
5−1.酵素処理液の調整
(酵素処理液5A)
たん白質分解酵素としてBacillus属由来のプロテアーゼ、調味剤として食塩、酵母エキス、pH調製剤としてリン酸水素二ナトリウム、アミノ酸としてグリシンを用意し、プロテアーゼおよび食塩の含有量が、それぞれ、0.05wt%および1.50wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液5Aを調製した。なお、酵母エキス、リン酸水素二ナトリウムおよびグリシンについては、それぞれ適量添加した。なお、この酵素処理液5Aの25℃での粘度は、4mPa・sであった。
たん白質分解酵素としてBacillus属由来のプロテアーゼ、調味剤として食塩、酵母エキス、pH調製剤としてリン酸水素二ナトリウム、アミノ酸としてグリシンを用意し、プロテアーゼおよび食塩の含有量が、それぞれ、0.05wt%および1.50wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液5Aを調製した。なお、酵母エキス、リン酸水素二ナトリウムおよびグリシンについては、それぞれ適量添加した。なお、この酵素処理液5Aの25℃での粘度は、4mPa・sであった。
(酵素処理液5B)
酵素処理液中に、たん白質分解酵素、調味剤、pH調製剤およびアミノ酸の他に、さらに増粘剤としてキサンタンガムを、その含有量が0.15wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液5Aと同様にして、酵素処理液5Bを調製した。なお、この酵素処理液5Bの25℃での粘度は、80mPa・sであった。
酵素処理液中に、たん白質分解酵素、調味剤、pH調製剤およびアミノ酸の他に、さらに増粘剤としてキサンタンガムを、その含有量が0.15wt%となるように添加したこと以外は、前記酵素処理液5Aと同様にして、酵素処理液5Bを調製した。なお、この酵素処理液5Bの25℃での粘度は、80mPa・sであった。
5−2.軟質化動物性食材の製造
以下の比較例5A−メバル、カジキ、アジ、実施例5B−メバル、カジキ、アジにおいて、種類の異なる動物性素材(魚介類)に対して各酵素処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
以下の比較例5A−メバル、カジキ、アジ、実施例5B−メバル、カジキ、アジにおいて、種類の異なる動物性素材(魚介類)に対して各酵素処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(比較例5A-メバル)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて生のメバルの切り身(厚さが約15mm)を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液5Aを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、比較例5A-メバルの冷凍状態の軟質化動物性食材(メバル)を製造した。
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて生のメバルの切り身(厚さが約15mm)を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液5Aを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、比較例5A-メバルの冷凍状態の軟質化動物性食材(メバル)を製造した。
(実施例5B-メバル)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて生のメバルの切り身(厚さが約15mm)を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液5Bを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、実施例5B-メバルの冷凍状態の軟質化動物性食材(メバル)を製造した。
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて生のメバルの切り身(厚さが約15mm)を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液5Bを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、実施例5B-メバルの冷凍状態の軟質化動物性食材(メバル)を製造した。
(比較例5A-カジキ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて生のカジキの切り身(厚さが約20mm)を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液5Aを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、比較例5A-カジキの冷凍状態の軟質化動物性食材(カジキ)を製造した。
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて生のカジキの切り身(厚さが約20mm)を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液5Aを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、比較例5A-カジキの冷凍状態の軟質化動物性食材(カジキ)を製造した。
(実施例5B-カジキ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて生のカジキの切り身(厚さが約20mm)を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液5Bを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、実施例5B-カジキの冷凍状態の軟質化動物性食材(カジキ)を製造した。
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて生のカジキの切り身(厚さが約20mm)を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液5Bを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、実施例5B-カジキの冷凍状態の軟質化動物性食材(カジキ)を製造した。
(比較例5A-アジ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて生のアジの切り身(厚さが約13mm)を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液5Aを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、比較例5A-アジの冷凍状態の軟質化動物性食材(アジ)を製造した。
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて生のアジの切り身(厚さが約13mm)を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液5Aを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、比較例5A-アジの冷凍状態の軟質化動物性食材(アジ)を製造した。
(実施例5B-アジ)
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて生のアジの切り身(厚さが約13mm)を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液5Bを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、実施例5B-アジの冷凍状態の軟質化動物性食材(アジ)を製造した。
軟質化する動物性食材として、トリムネ肉に代えて生のアジの切り身(厚さが約13mm)を用意し、酵素処理工程<1>に用いる酵素処理液として、酵素処理液5Bを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、実施例5B-アジの冷凍状態の軟質化動物性食材(アジ)を製造した。
5−3.評価
各実施例および各比較例の冷凍状態となっているメバル、カジキおよびアジの軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した比較例1Aと同様にして前記1−3−1〜1−3−5の各種項目について評価した。
これらの結果を表5に示す。
各実施例および各比較例の冷凍状態となっているメバル、カジキおよびアジの軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した比較例1Aと同様にして前記1−3−1〜1−3−5の各種項目について評価した。
これらの結果を表5に示す。
表5から明らかなように、メバル、カジキおよびアジのような魚介類の軟質化動物性食材についても、畜産食肉の軟質化動物性食材と同様に、酵素処理液の25℃における粘度を10mPa・s以上、5000mPa・s以下に設定することにより、インジェクト保持率が高く維持され、風味を維持しつつ、魚介類の動物性素材をバラツキなく軟質化し相対標準偏差50%以下で軟質化し得ることが判った。
これらのことから、本発明の軟質化方法は、畜産食肉ばかりでなく魚介類にも適応できることが示された。
Claims (15)
- 食肉または魚介類からなる動物性素材を酵素処理することにより軟質化する軟質化方法に用いられる酵素処理液であって、
当該酵素処理液の25℃における粘度が10mPa・s以上、5000mPa・s以下であることを特徴する酵素処理液。 - 5℃における粘度が10mPa・s以上である請求項1に記載の酵素処理液。
- 70℃における粘度が5mPa・s以上である請求項1または2に記載の酵素処理液。
- 増粘剤を含有する請求項1ないし3のいずれかに記載の酵素処理液。
- 分散剤および油脂成分を含有する請求項1ないし4のいずれかに記載の酵素処理液。
- 当該酵素処理液は、前記分散剤および前記油脂成分を含有することにより乳化されている請求項4に記載の酵素処理液。
- 酵素として、たん白質分解酵素を含有する請求項1ないし6のいずれかに記載の酵素処理液。
- 前記たん白質分解酵素の含有量は、5.0×10−4wt%以上、3.0wt%以下である請求項7に記載の酵素処理液。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載の酵素処理液で前記動物性素材を酵素処理することにより軟質化することを特徴とする軟質化方法。
- 前記酵素処理は、前記動物性素材に前記酵素処理液を供給した後、前記たん白質分解酵素を前記動物性素材の構成成分と反応させる請求項9に記載の軟質化方法。
- 前記酵素処理の後、前記動物性素材を加熱することにより、前記酵素を失活させる酵素失活処理を行う請求項9または10に記載の軟質化方法。
- 前記酵素失活処理における加熱温度は、60℃以上、120℃以下である請求項11に記載の軟質化方法。
- 動物性素材を、請求項9ないし12のいずれかに記載の軟質化方法により軟質化してなることを特徴とする軟質化動物性食材。
- 前記軟質化動物性食材は、「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」に記載の「えん下困難者用食品の試験方法」を遵守して測定した圧縮応力が1×105N/m2以下である請求項13に記載の軟質化動物性食材。
- かたさのばらつきが相対標準偏差で50%以下に収まる請求項14に記載の軟質化動物性食材。
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