WO2013073303A1 - 軟化食品 - Google Patents

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Abstract

摂食者が視覚的な満足感を得、かつ、摂食者の咀嚼・嚥下機能に応じた適切なかたさを有し、咀嚼・嚥下困難者用の食品または消化機能低下者用の食品としても十分に使用できる食品を提供する。 次の1)~3)の工程を経た食品を提供することにより、軟化食品として摂食者が視覚的な満足感を得、かつ、摂食者の咀嚼・嚥下機能または消化機能に応じた適切なかたさを有し、咀嚼・嚥下困難者用の食品または消化機能低下者用の食品として十分に使用できる食品を提供する。1)素材に分解酵素を導入し、軟質化する工程 2)上記1)の工程により軟質化された素材を含む食品を製造する工程 3)上記2)の工程によって得られた食品を加熱し物性調整する工程

Description

軟化食品
 本発明は、軟化食品に関する。さらに詳しくは、摂食者が視覚的な満足感を得、かつ、摂食者の咀嚼・嚥下機能または消化機能に応じた適切なかたさを有する軟化食品に関する。本発明の軟化食品は、適切なかたさを有するため、咀嚼・嚥下困難者用食品や、消化機能低下者用食品とすることが可能である。
 高齢者、要介護者等の咀嚼・嚥下機能が低下した人々が、誤嚥せず、安全に摂食できる食品として、近年、様々な咀嚼・嚥下困難者用の食品が開発されている。また、咀嚼・嚥下機能が低下した人々が、より安全に、より常食に近いものを摂食できるようにするための様々な咀嚼・嚥下訓練用の食品も開発されている。
 例えば、特許文献1には、特定の割合で混合されたキサンタンガムとローカストビーンガムから成るゲル化剤を、白がゆ、とん汁、クリームシチュー等の水分に、一定量含むように配合して咀嚼・嚥下訓練食品とすることが開示されている。そして、配合量等により粘性および弾性を調整することにより、咀嚼・嚥下前段訓練食や咀嚼・嚥下後段訓練食を提供することが記載されている。
 特許文献2には、食用油とゲル状物を含む咀嚼・嚥下困難者用組成物が開示されており、咀嚼・嚥下困難者のために使用されている液状、ピューレ状、ムース状、ペースト状の食事に混合して使用することが記載されている。
 また、特許文献3には、各ビタミンを一定の割合で含有し、寒天、ゼラチン等のゲル化剤でゲル化させた高エネルギーゲル状栄養組成物を嚥下障害者やそのリハビリ患者のために使用することが開示されている。特許文献4には、モチ性小麦を含有する咀嚼・嚥下困難者用組成物をリハビリテーション用食品とすることが記載されている。
 その他、キシリトールやゼラチンを含む水を凍結した嚥下機能向上訓練用食品(特許文献5)や、メントールを含有する粉末状、液状等の摂食・嚥下機能改善食品等も開示されている。
 しかし、いずれの咀嚼・嚥下困難者用およびリハビリ患者用の食品も、液状、ピューレ状等の食品をゲル化剤等でゲル化させたもの等でしかなく、食品に使用される素材の素材固有の形状や外観等が保持されていない。従って、これらの食品は患者が視覚的な満足感を得られないものであった。
 また、これらの咀嚼・嚥下困難者用の食品は、素材が液状、ピューレ状等であるため、摂食者の各々の咀嚼・嚥下機能に応じた適切なかたさを有するものではないという問題もあった。
 そこで、患者が視覚的な満足感を得、かつ、摂食者の咀嚼・嚥下機能に応じた適切なかたさを有する咀嚼・嚥下困難者用の食品の提供が望まれている。
 また、胃、大腸、小腸等の消化器官の損傷や疾患、またはその治療や手術で消化機能が低下した人々において、その消化機能に応じた適切なかたさを有する食品の提供が望まれている。
 このような食品として、例えば、特許文献6に、胃癌等の術後患者に対し、術後早期、術後中期または術後後期のそれぞれの時期に適切な栄養素が摂取できるように、摂取対象者に応じて適切なNPC/N(非タンパクカロリー窒素比)を選択するための経口栄養材が開示されており、その組み合わせ方法等が提案されている。
 また、特許文献7にも、術後の回復を促進するために、術後早期の患者に対し、NPC/N(非タンパクカロリー窒素比)が75以下であり、かつ、タンパク質、ペプチド、アミノ酸等を多く含む窒素量が0.95~2.00g/100mLの経腸栄養剤等を提供することが開示されている。
 しかし、これらはいずれも摂食者に十分な栄養素を摂取させることを目的とするものであり、摂食者の消化機能に合わせて、適切なかたさ等の物性を有する食品を提供し得るものではなかった。
 本発明者らは、素材固有の形状、外観等を保持した状態で軟化されている植物性素材や動物性素材等の素材を含む軟化食品を開発しており、この軟化食品が咀嚼・嚥下困難者用の食品等として利用できることを確認している(特許文献8、9等)。
 そこで、本発明者らは本発明において、これらの軟化食品からさらに、摂食者が視覚的な満足感を得、かつ、摂食者の咀嚼・嚥下機能または消化機能に応じた適切なかたさを有し、咀嚼・嚥下困難者用の食品や、消化機能低下者用の食品としても十分に使用できる食品の提供を試みた。
特開2004-147639号公報 特開2011-105702号公報 特開平11-18723号公報 特開2005-323532号公報 特開2008-94743号公報 特開2010-273671号公報 特開2011-84536号公報 特開2010-273670号公報 特開2012-55191号公報
 本発明は、摂食者が視覚的な満足感を得、かつ、摂食者の咀嚼・嚥下機能または消化機能に応じた適切なかたさを有し、咀嚼・嚥下困難者用の食品や、消化機能低下者用食品として使用することが可能な食品の提供を課題とする。
 本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、次の1)~3)の工程を経て得られた軟化食品が、摂食者が視覚的な満足感を得、かつ、摂食者の咀嚼・嚥下機能に応じた適切なかたさを有し、咀嚼・嚥下困難者用の食品や、消化機能低下者用食品としても十分に使用することが可能な食品となり得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
1)素材に分解酵素を導入し、軟質化する工程
2)上記1)の工程により軟質化された素材を含む食品を製造する工程
3)上記2)の工程によって得られた食品を加熱し物性調整する工程
 即ち、本発明は次の(1)~(11)の軟化食品および該軟化食品の製造方法等に関する。
(1)次の1)~3)の工程を経て得られる軟化食品。
1)素材に分解酵素を導入し、軟質化する工程
2)上記1)の工程により軟質化された素材を含む食品を製造する工程
3)上記2)の工程によって得られた食品を加熱し物性調整する工程
(2)素材に分解酵素を導入し、軟質化する工程において得られる素材の圧縮応力が「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」中の「えん下困難者用食品の試験方法」に準拠して測定した場合、1×105N/m2以下である上記(1)に記載の軟化食品。
(3)軟化食品の圧縮応力が「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」中の「えん下困難者用食品の試験方法」に準拠して測定した場合、1×106N/m2以下である上記(1)または(2)に記載の軟化食品。
(4)食品を加熱し物性調整する工程における食品の加熱方法がマイクロウェーブによる誘電加熱、蒸気加熱、遠赤外線加熱、熱風加熱、火炎、油ちょう、電気ヒーター(シーズヒーター)またはIHのいずれか一種以上である上記(1)~(3)のいずれかに記載の軟化食品。
(5)上記(1)~(4)のいずれかに記載の軟化食品を含む咀嚼・嚥下困難者用食品。
(6)上記(5)に記載の咀嚼・嚥下困難者用食品と、分解酵素の導入により軟質化された素材を含む食品とを組み合わせて含む咀嚼・嚥下訓練用キット。
(7)上記(1)~(4)のいずれかに記載の軟化食品を含む消化機能低下者用食品。 
(8)次の1)~3)の工程を経る、上記(1)~(4)のいずれかに記載の軟化食品の製造方法。
1)素材に分解酵素を導入し、軟質化する工程
2)上記1)の工程により軟質化された素材を含む食品を製造する工程
3)上記2)の工程によって得られた食品を加熱し物性調整する工程
(9)食品を加熱し物性調整する工程における食品の加熱方法がマイクロウェーブによる誘電加熱、蒸気加熱、遠赤外線加熱、熱風加熱、火炎、油ちょう、電気ヒーター(シーズヒーター)またはIHのいずれか一種以上である上記(8)に記載の軟化食品の製造方法。
(10)素材に分解酵素を導入し、軟質化する工程を経て得られた素材を含む軟化食品を、加熱により物性調整する方法。
(11)素材に分解酵素を導入し、軟質化する工程を経て得られた素材を含む軟化食品の圧縮応力が「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」中の「えん下困難者用食品の試験方法」に準拠して測定した場合に1×106N/m2以下となるように、加熱により物性調整する上記(10)に記載の方法。
 本発明によって得られる軟化食品は、加熱により物性調整が可能である。従って、摂食者の咀嚼・嚥下機能または消化機能に応じて適切なかたさを有するものに調整することができる。摂食者が咀嚼・嚥下機能や消化機能が低下した人である場合には、咀嚼・嚥下機能や消化機能に合わせ、順次かたさ等の物性を調整して提供することもできる。
 このような本発明の軟化食品は、食品に使用される素材が素材固有の形状や外観等を保持していることから、摂食者が視覚的な満足感を得、かつ、摂食者の咀嚼・嚥下機能または消化機能に応じた適切なかたさを有する、咀嚼・嚥下困難者用の食品または消化機能低下者用食品等として有効に利用され得る。
 本発明の「軟化食品」は、次の1)~3)の工程を経て得られた素材を含む「軟化食品」であれば、いずれの食品も含まれる。
1)素材に分解酵素を導入し、軟質化する工程
2)上記1)の工程により軟質化された素材を含む食品を製造する工程
3)上記2)の工程によって得られた食品を加熱し物性調整する工程
 このうち「1)素材に分解酵素を導入し、軟質化する工程」とは、素材に分解酵素を導入し、分解酵素を作用させることにより、素材固有の形状、外観等が保持された状態で素材を軟質化することをいう。
 ここで、「素材固有の形状、外観等が保持された状態」とは、健常者が通常摂取している食品(常食)と同様に、その軟化食品に含まれる素材が何であるかが視認できる程度に素材の形状や外観等が保持されていることをいう。例えば、本発明の「素材」がニンジンの場合には、ニンジンそのままの状態で、形状や外観等が保持されているものが「素材固有の形状、外観等が保持された状態」となる。ニンジンを細かく刻んだり、摩り下ろしたりした後に、ゼリー等で寄せてニンジンの形状に類似させたものは、「素材固有の形状、外観等が保持された状態」には含まれない。
 この「1)素材に分解酵素を導入し、軟質化する工程」における具体的な方法としては、本出願人の次の文献および特許出願の各明細書等に記載されている方法等を挙げることができる。また、この工程によって得られる素材の圧縮応力が「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」中の「えん下困難者用食品の試験方法」に準拠して測定した場合、1×105N/m2以下となるような方法であれば、従来知られているいずれの方法であってもよい。
<方法>
 文献1:WO2008/142853国際公開パンフレット
 文献2:特開2009-195213号公報
 文献3:特開2010-115164号公報
 文献4:国際出願番号PCT/JP2008/002740
 文献5:特開2010-273670号公報
 文献6:特開2011-24490号公報
 文献7:特開2012-55191号公報
 本発明における「素材」には、生の肉類・魚介類、青果類や穀類等の植物性の素材または動物性の素材が挙げられる。切り身にした魚や乱切りしたニンジン等、これらを調理しやすい、または食べやすい大きさに包丁等で切ったものも本発明における「素材」に含まれる。具体的には、ニンジン、ブロッコリー、タケノコ等の野菜やりんご等の果物を含む青果類、シイタケ、ブナシメジ等の菌類等が植物性の素材として挙げられる。また、動物性の素材として、食肉としては特に限定されず、例えば、牛、豚、馬、羊、鶏、アヒル、七面鳥のような畜肉、猪、鹿、熊のような獣肉、クジラ、海豚のような海産動物、カモ、ダチョウ、カンガルーまたはワニ等が挙げられる。魚介類としても特に限定されず、例えば、マグロ、カジキ、シャケ、アジ、サバ、赤魚のような魚類、赤貝、アワビ、ホタテのような貝類、タコ、イカのような頭足類、および、エビ、カニ、オキアミのような甲殻類等が挙げられる。
 また、本発明の「素材」として、これらの植物性の素材や動物性の素材が加熱調理されたものや、加工された加工食品等も含むことができる。具体的には、大豆の加工食品である納豆、豆腐、油揚げ、厚揚げ等、こんにゃく芋の加工食品であるこんにゃく、糸こんにゃく等、卵の加熱調理品であるオムレツ、目玉焼き、玉子焼き、厚焼き玉子、錦糸玉子、いり玉子またはゆで卵等が挙げられる。また、魚肉の加工食品である蒲鉾、竹輪、魚肉ソーセージ等や、肉類の加工食品であるベーコン、ソーセージ等も挙げられる。
 本発明における「分解酵素」とは、上記素材を軟質化できるものであればいずれのものであってもよく、例えば、プロテアーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、アミラーゼ等を挙げることができる。これらの「分解酵素」は独自に調製したものであっても良く、プロテアーゼP「アマノ」3G(天野エンザイム社製)、ヘミセルラーゼアマノ90(天野エンザイム社製)等の市販の物であっても良い。
 軟質化する素材の種類に応じて「分解酵素」を選択することが好ましく、複数の「分解酵素」を組み合わせても良い。
 「素材に分解酵素を導入」する方法としては、分解酵素や分解酵素を含む酵素処理液に素材を浸漬したり、これらを素材に塗布したり、注入したりすること等により行うことができる。その後、さらに圧力処理を行い、素材内部に分解酵素を導入しても良い。
 分解酵素の注入には、「スーパーミニインジェクターTN-SP18型」(株式会社トーニチ社製)等のインジェクション装置により行うことができる。また、浸漬、塗布または注入等を行った後、さらに素材内部に酵素を導入するために圧力処理等を行っても良い。
 導入する「分解酵素」の濃度や、導入後、軟質化のために分解酵素を作用させる時間等は、軟質化する素材の性質、大きさ等に合わせて適宜調製することができる。
 さらに、分解酵素を作用させた後、「スチームマイスターCK-120V」(三浦工業株式会社製)、「スチームマイスターCK-20EL」(三浦工業株式会社製)等の飽和蒸気調理器や、「CQ120」(三浦工業株式会社製)等の食品加熱冷却機等によって加熱することにより、素材に導入した分解酵素を失活させることが好ましい。
 次に、「2)上記1)の工程により軟質化された素材を含む食品を製造する工程」とは、上記1)の工程により軟質化された素材を、そのまま、または複数組み合わせて「食品」としたり、それを調味して「食品」としたりすることをいう。また、一種または複数の軟質化された素材とその他の素材を組み合わせて「食品」としたり、さらにはそれを調味して「食品」としたりすることも、この工程に含まれる。
 このような工程を経た後、さらに、「3)上記2)の工程によって得られた食品を加熱し物性調整する工程」を経ることで、本発明の軟化食品を得ることができる。この「加熱し物性調整する工程」とは、軟質化された素材を含む食品を加熱することにより、そのかたさを調整することをいう。
 本発明において、かたさは圧縮応力で示すことができる。本発明においては、「軟化食品」の圧縮応力を、「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」中の「えん下困難者用食品の試験方法」に準拠して測定した場合、1×106N/m2以下に調整することになる。
 食品の物性調整の程度は、加熱時間や方法を組み合わせることで適宜調整することができる。例えば、加熱する食品が軟質化されたやわらかい(抵抗無く舌ですりつぶせる)トリムネ肉を含むものであれば、これを加熱することにより、(1)やわらかい(抵抗無く舌ですりつぶせる)ものから、(2)舌で潰せる(繊維を感じるが舌で潰せる)もの、(3)舌で潰しきれない(舌でほぐせるが繊維を潰せない)もの、(4)楽に噛める(歯を使わないとほぐせないが、噛むのに大きな力は要らない)もの、(5)茹でた素材と同等(歯を使いよく噛まないと食べられない)のもの、または、(6)茹でた素材よりかたい(噛み切りにくい)もの、の(1)~(6)のように段階的に、常食に含まれるトリムネ肉、すなわち、健常者が容易に咀嚼・嚥下できるトリムネ肉に近づくように、物性調整することが可能である。
 また、加熱する食品が軟質化されたやわらかい(抵抗無く舌ですりつぶせる)ホタテや、非常にやわらかい(舌で容易にすりつぶせる)ニンジンを含むものであれば、これを加熱することにより、表2または表3に示したように、段階的に、常食に含まれるホタテやニンジン、すなわち、健常者が容易に咀嚼・嚥下できるホタテやニンジンに近づくように、物性調整することが可能である。
 本発明では、上記2)の工程によって得られた食品が、素材固有の形状、外観等が保持された状態で軟化されている素材を含む食品であるため、物性調整によって得られる軟化食品もこの特徴を維持しており、摂食者が視覚的な満足感を得られるという利点がある。
 食品を「加熱」する方法としては、本発明の「軟化食品」が得られる方法であれば、従来知られるいずれの加熱方法であっても良いが、例えば、マイクロウェーブによる誘電加熱、蒸気加熱、遠赤外線加熱、熱風加熱、火炎、油ちょう、電気ヒーター(シーズヒーター)またはIH(Induction Heating)等による加熱等が挙げられる。本発明においては、これらの加熱方法を複数組み合わせて行っても良い。
 この「加熱」を行う時間は、本発明の「軟化食品」として、望ましい物性を有する「軟化食品」が得られれば特に問わないが、軟化食品に含まれる「軟質化された素材」が素材本来の外観等を維持し得る時間内とすることが好ましい。
 このような「加熱」を行う時間として、例えば、マイクロウェーブによる誘電加熱、スチームコンベクション等による蒸気加熱、または、ホットプレート等の電気ヒーターによる加熱によって「加熱」を行う場合には5分以下であればよく、3分以下とすることが好ましい。また、バーナー等の火炎によって、「加熱」を行う場合には60秒以下とすることが好ましい。
 この工程を経ることによって、例えば、咀嚼・嚥下機能が低下した人に対して、咀嚼・嚥下機能の程度に合わせて物性が調整された軟化食品を得て、「咀嚼・嚥下困難者用食品」等として提供すること等が可能となる。また、消化機能が低下した人に対して、消化機能の程度に合わせて物性が調整された軟化食品を得て、「消化機能低下者用食品」等として提供すること等も可能となる。
 本発明における「咀嚼・嚥下困難者用食品」とは、高齢者、要介護者や術後患者等の咀嚼・嚥下機能が低下した人々に対し、その咀嚼・嚥下機能に合わせ、かたさ等の物性を調整し、提供する食品のことをいう。
 このような本発明において物性が調整された食品は、上記工程1)および2)において得られた「分解酵素の導入により軟質化された素材を含む食品」と組み合わせて、「咀嚼・嚥下訓練用キット」として提供することもできる。
 この「咀嚼・嚥下訓練用キット」により、咀嚼・嚥下機能が著しく低下した人を対象とする場合には、まず、上記工程1)および2)において得られた「分解酵素の導入により軟質化された素材を含む食品」を摂食させる。次に、摂食者の咀嚼・嚥下機能が向上した場合には、加熱によって物性が調整された軟化食品を摂食させる。
 このように摂食者の咀嚼・嚥下機能の向上に応じて、常食に近い軟化食品を段階的に摂食させることで、最終的に常食と同一または同等の食品を摂食できるようにすることを目的とすることができる。また、本発明の「咀嚼・嚥下訓練用キット」は、物性の調整の程度が異なる軟化食品を組み合わせて提供しても良い。
 このように製造された本発明の「軟化食品」または「咀嚼・嚥下訓練用キット」は、介護食、病院食等に使用することができ、咀嚼・嚥下機能が未発達な乳児を対象とする離乳食等にも利用することができる。
 また、本発明における「消化機能低下者用食品」とは、胃癌、大腸癌等の消化器官の損傷や疾患、またはその治療や手術によって、消化機能が低下した人々に対し、その消化機能に合わせ、かたさ等の物性を調整し、提供する食品のことをいう。
 この消化機能が低下した人には、胃、小腸、大腸等の消化器官において摂取した食品が詰まりやすい人や、これらの消化器官の損傷や疾患に対し、胃を全部摘出する手術を行った人や、小腸や大腸の一部を摘出した人、手術を行った後、術後早期、術後中期または術後後期の人等、様々な人々が該当する。
 本発明の「消化機能低下者用食品」は、これらの人々がそれぞれ本発明の軟化食品を摂食し、十分に消化できるようなかたさに調整されているものであり、それぞれの消化機能の程度に応じて、徐々に常食に近いかたさを有するように調製したものとなる。
 本発明の「軟化食品」を製造するための方法は、少なくとも次の1)~3)の工程を経ればよく、さらに、これら以外に有用な工程を含んでも良い。
1)素材に分解酵素を導入し、軟質化する工程
2)上記1)の工程により軟質化された素材を含む食品を製造する工程
3)上記2)の工程によって得られた食品を加熱し物性調整する工程
 本発明の「軟化食品の製造方法」において、物性調整における加熱方法は、上記に列挙した加熱方法等であればよい。また、「素材に分解酵素を導入し、軟質化する工程を経て得られた素材を含む軟化食品を、加熱により物性調整する方法」における加熱方法も、同様である。
 この本発明における、「加熱により物性調整する方法」では、軟化食品の圧縮応力が「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」中の「えん下困難者用食品の試験方法」に準拠して測定した場合に1×106N/m2以下となるように、物性調整することが必須である。
 以下、実施例等をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
 次の1~3の素材について分解酵素を導入し軟質化を行った(工程1)。その後、軟質化された素材をそのまま軟質化素材を含む食品とし(工程2)、実施例1~6により加熱し物性調整する(工程3)ことで軟化食品を製造した。
I.素材の軟質化
1.トリムネ肉
1)酵素処理工程
 たん白質分解酵素として、Aspergillus melleus由来のプロテアーゼ(天野エンザイム社製、「プロテアーゼP「アマノ」3G」)を用意し、増粘剤として、低温糊化甘薯澱粉(廣八堂社製、「冨貴葛」;糊化開始温度 37℃)およびカードラン(キリンフードテック社製、「カードランNS」)を用意した。そして、プロテアーゼ、低温糊化甘薯澱粉およびカードランの含有量が、それぞれ、1.0wt%、2.0wt%および1.0wt%となるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液を調製した。
 脂身、皮を除去した生のトリムネ肉に、インジェクション装置(トーニチ社製、「スーパーミニインジェクター」)によって、生のトリムネ肉の重量(初期重量)に対して50wt%の酵素処理液を注入した。なお、このインジェクション装置は、1cm四方間隔に1本ずつ、計30本の注射針を備えるものである。
 次に、酵素処理液を注入したトリムネ肉を、4℃の冷蔵室内に収納し、18時間静置した。これにより、トリムネ肉とたん白質分解酵素とを低温反応させた。
2)酵素反応・失活処理工程
 次に、低温酵素反応終了後のトリムネ肉を、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)によって、相対湿度80%RH、庫内温度80℃、加熱時間20分の条件でトリムネ肉内部の温度が75℃以上となるように加熱して、酵素を失活させた。
3)保存処理工程
 次の(1)または(1)および(2)により、上記2)で処理したトリムネ肉を保存処理した。
(1)酵素失活処理終了後のトリムネ肉(軟質化されたトリムネ肉)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストフリーザー QXF-006S5」)によって、芯温-35℃となるまで急速冷凍させ、冷凍状態の軟質化されたトリムネ肉を得た。
(2)上記(1)の処理をした後、凍結乾燥機(東京理化器械社製、「EYELA 凍結乾燥機 FDU-1100型」)によって、棚温度20℃の条件で3日間凍結乾燥させ、軟質化トリムネ肉の凍結乾燥物を得た。
4)加温・復元
 次の<加温>または<復元>により、上記3)で処理した軟質化されたトリムネ肉を加温または復元した。
<加温>
 上記3)(1)で処理した冷凍状態の軟質化されたトリムネ肉を耐熱容器に密封しスチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)によって、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した。これを軟質化トリムネ肉Aとした。以後、この軟質化トリムネ肉Aを本発明の食品とした。
<復元>
 上記3)(2)で処理した軟質化されたトリムネ肉の凍結乾燥物を4倍重量以上の水またはビジパーク水溶液(40%(w/w))に浸し15分常温静置して復元した。これをそれぞれ軟質化トリムネ肉B(水で復元)、軟質化トリムネ肉C(ビジパーク水溶液で復元)とした。以後、この軟質化トリムネ肉Bおよび軟質化トリムネ肉Cを本発明の食品とした。
2.ホタテ
1)酵素処理工程
 たん白質分解酵素として、Aspergillus melleus由来のプロテアーゼ(天野エンザイム社製、「プロテアーゼP「アマノ」3G」)を用意し、増粘剤として、低温糊化甘薯澱粉(廣八堂社製、「冨貴葛」;糊化開始温度 37℃)およびカードラン(キリンフードテック社製、「カードランNS」)を用意した。そして、プロテアーゼ、低温糊化甘薯澱粉およびカードランの含有量が、それぞれ、1.0wt%、2.0wt%および1.0wt%となるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液を調製した。
 生か解凍したホタテ(帆立貝貝柱)に、インジェクション装置(トーニチ社製、「スーパーミニインジェクター」)によって、酵素処理液を注入した。なお、このインジェクション装置は、1cm四方間隔に1本ずつ、計30本の注射針を備えるものである。
 次に、酵素処理液を注入したホタテを、4℃の冷蔵室内に収納し、18時間静置した。これにより、ホタテとたん白質分解酵素とを低温反応させた。
2)酵素反応・失活処理工程
 次に、低温酵素反応終了後のホタテを、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)によって、相対湿度80%RH、庫内温度80℃、加熱時間20分の条件でホタテ内部の温度が75℃以上となるように加熱して、酵素を失活させた。
[規則91に基づく訂正 05.03.2013] 
3)保存処理工程
 次の(1)または(1)および(2)により、上記2)で処理したホタテを保存処理した。
(1)酵素失活処理終了後のホタテ(軟質化されたホタテ)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストフリーザー QXF-006S5」)によって、芯温-35℃となるまで急速冷凍させた。以上のようにして、冷凍状態の軟質化されたホタテを得た。
(2)上記(1)の処理をした後、凍結乾燥機(東京理化器械社製、「EYELA 凍結乾燥機 FDU-1100型」)によって、棚温度-20℃の条件で3日間凍結乾燥させ、軟質化ホタテの凍結乾燥物を得た。
4)加温・復元
 次の<加温>または<復元>により、上記3)で処理した軟質化されたホタテを加温または復元した。
<加温>
 上記3)(1)で処理した冷凍状態の軟質化されたホタテを耐熱容器に密封しスチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)によって、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した。これを軟質化ホタテAとした。以後、この軟質化ホタテAを本発明の食品とした。
<復元>
 上記3)(2)で処理した軟質化されたホタテの凍結乾燥物を4倍重量以上の水またはビジパーク水溶液(40%(w/w))に浸し15分常温静置して復元した。これをそれぞれ軟質化ホタテB(水で復元)、軟質化ホタテC(ビジパーク水溶液で復元)とした。以後、この軟質化ホタテBおよび軟質化ホタテCを本発明の食品とした。
3.ニンジン
1)前処理
 皮むき・へた取りした後、一片が10gとなるような大きさで乱切りし、水中に浸漬することによりあく抜きしたニンジンを得た。
2)酵素液調製
 5wt%のヘミセルラーゼ(ヘミセルラーゼアマノ90(天野エンザイム社製))と、25wt%のトレハロース(林原商事社製)を0.020Mクエン酸緩衝液(pH5.0)に溶解することで調製した。
3)酵素処理工程(酵素反応・失活処理工程)
 次の1)~4)の工程により、軟質化されたニンジンを製造した。
1)ニンジンを飽和蒸気調理器(スチームマイスター(三浦工業))にて庫内温度120℃・10分間で加熱処理した。
2)上記酵素処理液を、ニンジンの重量に対して20wt%となるように加え、大気圧(1気圧)から0.095MPa圧力を低下させた減圧下で2分間×6回で含浸させた。
3)上記2)のニンジンを4℃の冷蔵庫内に16時間静置した後、45℃の恒温室内に30分間収納することで、酵素反応を行った。
4)上記3)のニンジンをスチームコンベクションにて庫内温度70℃・40分間加熱することで酵素失活処理を行い、軟質化されたニンジンを製造した。
[規則91に基づく訂正 05.03.2013] 
4)保存処理工程
 次の(1)または(2)により、上記2)で処理したニンジンを保存処理した。
(1)酵素失活処理終了後のニンジン(軟質化されたニンジン)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストフリーザー QXF-006S5」)によって、芯温-35℃となるまで急速冷凍させ、冷凍状態の軟質化されたニンジンを得た。
(2)上記(1)の処理をした後、凍結乾燥機(東京理化器械社製、「EYELA 凍結乾燥機 FDU-1100型」)によって、棚温度-20℃の条件で3日間凍結乾燥させ、軟質化ニンジンの凍結乾燥物を得た。
5)加温・復元
 次の<加温>または<復元>により、上記4)で処理した軟質化されたニンジンを加温または復元した。
<加温>
 上記4)(1)で処理した冷凍状態のニンジンを耐熱容器に密封しスチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)によって、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した。これを軟質化ニンジンAとした。以後、この軟質化ニンジンAを本発明の食品とした。
<復元>
 上記4)(2)で処理した軟質化されたニンジンの凍結物を4倍重量以上の水またはビジパーク水溶液(40%(w/w))に浸し15分常温静置して復元した。これをそれぞれ軟質化ニンジンB(水で復元)、軟質化ニンジンC(ビジパーク水溶液で復元)とした。以後、この軟質化ニンジンBおよび軟質化ニンジンCを本発明の食品とした。
II.物性調整
[実施例1~3]
 マイクロウェーブにより加熱することで軟質化素材を含む食品の物性調整を行った。
 上記I.にて得た食品(軟質化トリムネ肉A~C、軟質化ホタテA~C、および軟質化ニンジンA~C)をそれぞれ容器(『ラミコンソフトホワイト(カップ)(LS115-200WT)』(東罐興業株式会社))に入れ、フィルム(『タイカンムジ(フィルム)(L-150XENPR50)』(東罐興業株式会社))で密封した。その後、フィルム中央に1mmφ程度の穴を開けた。
 加熱には電子レンジ(『CMO-650S』 (株式会社クリスタル電器))の解凍モード(190W相当)を使用した。サンプルをレンジ内の回転受皿中央に置き、設定時間加熱した。加熱後、サンプルを取り出した後、20℃のインキュベーターに30分以上静置した。
 各食品を1/1穴あきホテルパンに乗せ、60秒、120秒または180秒加熱することで物性調整を行い、本発明の軟化食品を得た。
<評価>
 上記にて製造した各軟化食品を以下の方法により評価した。比較として加熱による物性調整を行っていない食品を評価した。これらの評価結果を表1~3に示した。
1.圧縮応力(かたさ)
 「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」中の「えん下困難者用食品の試験方法」を遵守して、各軟化食品の圧縮応力を測定した。
 すなわち、各軟化食品を試料として直径40mm、高さ20mmの容器の高さ15mmまで充填し、その後、直線運動により試料の圧縮応力を測定することが可能なレオメーター(山電株式会社製、「RE2-33005B」)によって、直径20mm、高さ8mmのプランジャーを圧縮速度10mm/秒で、試料の上端から、厚さの10mmまで押し込み、下端側の5mm残存するようにクリアランスを設定して、圧縮応力(N/m2)を測定した。なお、ここで、クリアランスとは、最大に試料を圧縮した時のプランジャーの先端からゼロ点(すなわち、試料の下端)までの距離をいう。
 各試料は20℃になるまでインキュベーターに静置し測定した。測定は3回行い、その平均値を算出した。
2.官能評価
 パネラー5人で本発明の軟化食品をそれぞれ試食し、以下、表1~表3の各基準に基づいて評価した。
 5人の評価結果(点数)を合計し、これをパネラーの人数で割ることで平均点数を調べ、最終的な評価とした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 表4に示されるように、加熱時間に応じて軟化食品の圧縮応力が上昇し、やわらかい(抵抗無く舌ですりつぶせる)ものであった軟化食品の物性が、舌で潰せる(繊維を感じるが舌で潰せる)もの、舌で潰しきれない(舌でほぐせるが線維を潰せない)もの、のように、適宜調整されることが確認できた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 表5に示されるように、加熱時間に応じて軟化食品の圧縮応力が上昇し、やわらかい(抵抗無く舌ですりつぶせる)ものであった軟化食品の物性が、舌で潰せる(繊維を感じるが舌で潰せる)もの、茹でた素材と同等(舌でほぐせるが繊維を潰せない)もの、茹でた素材よりかたい(歯を使いよく噛まないと食べられない。一部干し貝柱のような食感)もの、のように、適宜調整されることが確認できた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 表6に示されるように、加熱時間に応じて軟化食品の圧縮応力が上昇し、非常に柔らかい(舌で容易にすりつぶせる)ものであった軟化食品の物性が、やわらかい(抵抗無く舌ですりつぶせる)もの、煮た素材と同等(舌で破断可能)のもの、生または焼いた素材と同等(舌で破断不可能だが歯で容易にかめる)のもののように、適宜調整されることが確認できた。
[実施例4]
 熱風加熱により、軟質化素材を含む食品の物性調整を行った。
 上記I.にて得た食品(軟質化トリムネ肉A~C)をそれぞれスチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)によって、相対湿度0%RH、庫内温度240℃で、60秒、120秒または180秒加熱することで物性調整を行い、本発明の軟化食品を得た。
 得られた軟化食品は、実施例1~3と同様に評価し、評価結果を表7に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 表7に示されるように、加熱時間に応じて軟化食品の圧縮応力が上昇し、やわらかい(抵抗無く舌ですりつぶせる)ものであった軟化食品の物性が、舌で潰しきれない(舌でほぐせるが線維を潰せない)もの、楽に噛める(歯を使わないとほぐせないが、噛むのに大きな力は要らない)もののように、適宜調整されることが確認できた。また、加熱の方法が異なるトリムネ肉においては、加熱時間が同じでも、調整される物性が異なる場合があることが示された。
[実施例5]火炎
 上記I.にて得た食品(軟質化トリムネ肉A~C)を1/1穴あきホテルパンに乗せた。ガスバーナーで10cm程度の距離で各食品を60秒炙ることで物性調整を行い、本発明の軟化食品を得た。
 得られた軟化食品は、実施例1~3と同様に評価し、評価結果を表8に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
 表8に示されるように、加熱により軟化食品は圧縮応力が上昇し、やわらかい(抵抗無く舌ですりつぶせる)ものであった軟化食品の物性が、茹でた素材と同等(歯を使いよく噛まないと食べられない)のように、適宜調整されることが確認できた。
[実施例6]ホットプレート
 上記I.にて得た食品(軟質化トリムネ肉A~C)をホットプレート(CPV G130 TH(タイガー魔法瓶))の平面プレートに乗せ、200℃で各軟質化食材A~Cを、60秒、120秒または180秒加熱することで物性調整を行い、本発明の軟化食品を得た。
 得られた軟化食品は、実施例1~3と同様に評価し、評価結果を表9に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
 表9に示されるように、加熱時間に応じて軟化食品の圧縮応力が上昇し、やわらかい(抵抗無く舌ですりつぶせる)ものであった軟化食品の物性が、楽に噛める(歯を使わないとほぐせないが、噛むのに大きな力は要らない)もの、茹でた素材と同等(歯を使いよく噛まないと食べられない)もののように、適宜調整されることが確認できた。
 本発明によって得られた軟化食品は、加熱によりかたさ等の物性調整することができる。これにより、咀嚼・嚥下機能が低下した人や、消化機能が低下した人に対して、咀嚼・嚥下機能や消化機能の回復の程度に合わせて順次かたさ等の物性が調整された咀嚼・嚥下訓練用食品または消化機能低下者用食品を提供することもできる。

Claims (11)

  1. 次の1)~3)の工程を経て得られる軟化食品。
    1)素材に分解酵素を導入し、軟質化する工程
    2)上記1)の工程により軟質化された素材を含む食品を製造する工程
    3)上記2)の工程によって得られた食品を加熱し物性調整する工程
  2. 素材に分解酵素を導入し、軟質化する工程において得られる素材の圧縮応力が「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」中の「えん下困難者用食品の試験方法」に準拠して測定した場合、1×105N/m2以下である請求項1に記載の軟化食品。
  3. 軟化食品の圧縮応力が「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」中の「えん下困難者用食品の試験方法」に準拠して測定した場合、1×106N/m2以下である請求項1または2に記載の軟化食品。
  4. 食品を加熱し物性調整する工程における食品の加熱方法がマイクロウェーブによる誘電加熱、蒸気加熱、遠赤外線加熱、熱風加熱、火炎、油ちょう、電気ヒーター(シーズヒーター)またはIHのいずれか一種以上である請求項1~3のいずれかに記載の軟化食品。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の軟化食品を含む咀嚼・嚥下困難者用食品。
  6. 請求項5に記載の咀嚼・嚥下困難者用食品と、分解酵素の導入により軟質化された素材を含む食品とを組み合わせて含む咀嚼・嚥下訓練用キット。
  7. 請求項1~4のいずれかに記載の軟化食品を含む消化機能低下者用食品。
  8. 次の1)~3)の工程を経る、請求項1~4のいずれかに記載の軟化食品の製造方法。
    1)素材に分解酵素を導入し、軟質化する工程
    2)上記1)の工程により軟質化された素材を含む食品を製造する工程
    3)上記2)の工程によって得られた食品を加熱し物性調整する工程
  9. 食品を加熱し物性調整する工程における食品の加熱方法がマイクロウェーブによる誘電加熱、蒸気加熱、遠赤外線加熱、熱風加熱、火炎、油ちょう、電気ヒーター(シーズヒーター)またはIHのいずれか一種以上である請求項8に記載の軟化食品の製造方法。
  10. 素材に分解酵素を導入し、軟質化する工程を経て得られた素材を含む軟化食品を、加熱により物性調整する方法。
  11. 素材に分解酵素を導入し、軟質化する工程を経て得られた素材を含む軟化食品の圧縮応力が「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」中の「えん下困難者用食品の試験方法」に準拠して測定した場合に1×106N/m2以下となるように、加熱により物性調整する請求項10に記載の方法。
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