JP7417223B2 - 穀類加工品、穀類加工品の製造方法、および軟化穀類加工品の製造方法 - Google Patents

穀類加工品、穀類加工品の製造方法、および軟化穀類加工品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、咀嚼・嚥下困難者や高齢者用の軟化穀類加工品の製造に用いる穀類加工品、穀類加工品の製造方法及び軟化穀類加工品の製造方法に関する。
日本において、米は主食であり、エネルギー獲得の最も重要な食材である。とうもろこしや麦類などの穀類は、世界中で主食として利用されている。ところで、咀嚼・嚥下困難者や高齢者用の介護食には、咀嚼や嚥下を助け、安全かつ栄養面で優れた特性を有することが求められている。そのため、咀嚼・嚥下困難者や高齢者等に用いられる介護食用炊飯米は、健常者用の炊飯米では硬いため、粥にして提供されている。現在、米に対する加水量を増やすことで様々な硬さを有する粥が製造されているが、粥は健常者用の炊飯米に比べ、同量を食した場合のカロリーが低く、大量に喫食しないと同等のカロリーを補給することはできない。また、毎日の食卓の主食が粥というのは生活の質の低下につながる。すなわち、咀嚼・嚥下困難者用の炊飯米には、軟らかいという食べやすさに加え、咀嚼・嚥下困難者用介護食における誤嚥防止性、そして毎日喫食できる美味しさが求められる。そのため、見た目や美味しさは、健常者用の炊飯米に近く、食べやすい軟らかい物性を有し、誤嚥性の低い、エネルギーも通常の喫食量で補給できる炊飯米が望まれている。尚、誤嚥性に対しては米を軟化することが最大の安全性付与になる。他方、米以外の穀類の炊飯加工品は硬く、介護食はもとより通常の食品としても食べにくい。さらに、食味を改善することも望まれている。
食材の物性を変える技術として、熱に不安定で高分子物質である酵素を食材内に急速導入する技術が存在する。これまでに、圧力法や真空法、インジェクション法、タンブリング装置を用いる方法などの物理的な方法で酵素を食材内に導入する方法が実施されてきた。これらの方法は、いずれも圧力装置や真空装置、注入装置など高価な機器を使用する。さらに、密でかつ結晶構造を有する生米には、これらの方法を用いたとしても十分な効果が得られない。
食材内に酵素を導入する方法としては、これまでに様々な方法が知られている。例えば、特許文献1には、植物性食品素材の組織内へ酵素を導入し、元の食品素材の形状を保ったまま、軟化させる軟化食材の製造方法が記載されている。特許文献2には、調味液の塩分濃度等を調整し凍結及び解凍した植物性食品を酵素液に浸漬して減圧操作して酵素を組織に導入し、型崩れなく調味及び加圧加熱殺菌をする方法が記載されている。特許文献3には、この酵素導入技術を厨房施設等の現場で簡便に実施でき、また軟化させた食品素材の製造工程・搬送・流通過程での型崩れが防止でき、あるいは衛生面の配慮から、食品素材への酵素導入、酵素反応、加熱工程を同一の包装容器の中で実施できる調理食品の製造方法が記載されている。特許文献4および5には、飽和水蒸気で加熱した後、酵素液中で減圧処理する方法が記載されている。
炊飯米の軟化方法としては、特許文献1の技術を応用し、炊飯米にアミラーゼなどを添加して製造する方法が知られているが、厨房で調理する病院や福祉施設では手間がかかり、水分調整、硬さ調整も困難である。工業的には炊飯後の貯蔵中の褐変も問題となる。例えば、特許文献6には、ホスホジエステラーゼ、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、α-グルコシダーゼなどの酵素を炊飯前または炊飯後に添加する方法が記載されているが、介護食レベルの軟らかさを達成しているのか不明で、また、市販の無洗米をそのまま利用している。介護食レベルの硬さにまで軟化させるためには、米粒の内部にまで酵素を導入しなければならない。また、α-アミラーゼで軟化させる場合、市販の生米のままでは均一な硬さを達成することはできない。特許文献7には、アミラーゼを澱粉に作用させた改質剤が記載されているが、アミラーゼを穀類自体に作用させることは記載されていない。特許文献8には、炊飯米の食味向上と老化(経時劣化)防止を目的に α-グルコシダーゼ及び/又はβ-アミラーゼとアミロペクチン含量が75%以上の澱粉とを含有する米飯改質剤が記載されているが、α-グルコシダーゼ及び/又はβ-アミラーゼを炊飯前の米に添加しているに過ぎず、米の軟化を目的としていない。
特許文献9には、酵素の導入方法として、食材をマイクロ波乾燥後、減圧処理を行って、分解酵素を含浸する方法が記載されているが、軟化を目的としたものではない。また、食材も米ではなく組織構造が緩やかな穀類以外の食材を対象として、減圧含浸のための前処理法として用いられているに過ぎない。特許文献10には、前処理として米を乾燥処理し、含有水分を普通の米の水分(12~14%)よりも多い15%以上に調節した炊飯処理していない加工米が記載されている。この米は、炊飯時間を短縮化することを目的としており、米の軟化を目的としていない。特許文献11には、原料米を凍結処理しさらにその原料米を蒸煮し、その後これに水または温湯を加えて蒸煮米に吸水させ、次いでこの吸水させた蒸煮米を凍結乾燥させることを特徴とする電子レンジ炊飯可能な加工米の製造方法が記載されているが、介護食のような軟らかい物性の炊飯米を製造する方法ではない。
特許文献12には、アルファー化米及び/又はその粉末にでんぷん粉末とゼラチン粉末を配合して成る嚥下容易な粥状食品の素が記載されている。このアルファー化米は、水に浸漬して吸水させた米を蒸煮(炊飯)した後に乾燥して製造され、さらには粉砕されることで、脱穀後の外観形状は失われている。特許文献13には、原料米をマイクロ波加熱による一次アルファ化処理と焙煎による二次アルファ化処理とを行った後、急速に常温に冷却して得られる早炊き米が記載されているが、米の軟化を目的としていない。
特許第3686912号公報 特開2006-223122号公報 特開2008-11794号公報 特開2010-115164号公報 特開2015-023800号公報 特開2011-172564号公報 特開平7-31396号公報 特開2011-193876号公報 特開2008-187908号公報 特開2003-153657号公報 特開2008-131887号公報 特開2002-17275号公報 特開平6-70707号公報
しかしながら、特許文献1~13のいずれにも、脱穀後または搗精後の外観形状が保持されている穀類加工品において、酵素活性を有した状態の外部由来の分解酵素を含有させ、穀類加工品に含まれるデンプンを全てα化させずに一部のみをα化させ、かつ含水率を低く調節することは何ら記載されていない。してみると、上記に記載したいずれの方法においても、軟らかいが、穀類の本来の形状を維持しており、食味も、栄養も劣らない米飯等の軟化穀物加工品を特殊な装置なしに簡易に供給することができない。
したがって、本発明は、炊飯時に特殊な装置を用いずに、簡易に炊飯することにより、柔らかいが、穀類の本来の形状を維持しており、食味も、栄養も劣らない米飯等の軟化穀類加工品を供給することを目的とする。さらに、そのために、長期保存性を有する炊飯前の中間品である穀類加工品の提供、及び、その穀類加工品の特殊な装置を要さず簡易な製造方法の提供、並びに、特殊な装置を用いずに簡易な軟化穀類加工品の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、脱穀後または搗精後の外観形状が保持されている穀類加工品であって、酵素活性を有した状態の外部由来の分解酵素を含有し、かつ含水率が15%未満のものが長期保存性を有する穀類加工品として提供できることを発見した。
本発明者らは、上記の知見に基づいて本発明を完成するに至った。その結果、以下の[1]~[14]の発明を提供する。
[1] 脱穀後または搗精後の外観形状が保持されている穀類加工品であって、
前記穀類加工品に含まれるデンプンの一部がα化しており、そのα化度が15%以上85%以下であり、
酵素活性を有した状態の外部由来の分解酵素を含有し、かつ、
含水率が15%未満である、穀類加工品。
[2] 前記外部由来の分解酵素が、少なくともα-アミラーゼを含む、[1]に記載の穀類加工品。
[3] 前記外部由来の分解酵素が、更に、β-アミラーゼおよび/またはグルコアミラーゼを含む、[2]に記載の穀類加工品。
[4] 前記穀類加工品が、10ユニット/g以上の分解酵素活性を有するα-アミラーゼを含む、[2]に記載の穀類加工品。
[5] 前記穀類加工品の原料が、うるち米である、[1]~[4]のいずれかに記載の穀類加工品。
[6] 前記穀類加工品の原料が、うるち米以外であって、
前記外部由来の分解酵素が、セルラーゼ、ペクチナーゼ、およびヘミセルラーゼからなる群から選択される少なくとも1種の分解酵素を含む、[1]に記載の穀類加工品。
[7] 前記穀類加工品が、10ユニット/g以上の分解酵素活性を有する、セルラーゼ、ペクチナーゼ、およびヘミセルラーゼからなる群から選択される少なくとも1種の分解酵素を含む、[6]に記載の穀類加工品。
[8] 脱穀または搗精後の外観形状を保持し、かつ、含水率が15%未満である穀類加工品の製造方法であって、
脱穀または搗精前後の穀類を乾燥し、含水率を4%~12%に調整を行う工程と、
前記乾燥後の穀類に、穀類の含水率が15%未満に留まる範囲で分解酵素を含有する酵素液または酵素粉末を接触させる工程と、
を含む、穀類加工品の製造方法。
[9] 前記穀類の乾燥が、85℃以下の温度で行われる、[8]に記載の穀類加工品の製造方法。
[10] 前記穀類の乾燥が、穀類に含まれるデンプンの一部をα化させる、[8]または[9]に記載の穀類加工品の製造方法。
[11] 脱穀または搗精後の外観形状を保持した軟化穀類加工品の製造方法であって、
脱穀または搗精前後の穀類を乾燥し、含水率を4%~12%に調整を行う工程と、
前記乾燥後の穀類に、分解酵素を含有する酵素液または酵素粉末を接触させる工程と、
前記分解酵素に接触させた穀類を加熱し、酵素反応によって穀類を軟化する工程と、
を含む、軟化穀類加工品の製造方法。
[12] 前記分解酵素を導入した穀類の加熱が、加水物としての沸騰温度未満で少なくとも10分間行われた後、α化するまで行われる、[11]に記載の軟化穀類加工品の製造方法。
[13] 前記軟化穀類加工品は、グルコースまたはマルトースを100mg/100g以上を含有し、かつ、含水率が60%以上90%以下である、[11]または[12]に記載の軟化穀類加工品の製造方法。
[14] 前記軟化穀類加工品は、温度60℃時での硬さの測定値が5.0×10N/m以上5.0×10N/m以下である、[11]~[13]のいずれかに記載の軟化穀類加工品の製造方法。
本発明によれば、脱穀後または搗精後の外観形状が保持されている穀類加工品であって、酵素活性を有した状態の外部由来のデンプン分解酵素を含有させ、かつ含水率が15%未満に維持されており、長期保存可能な状態で流通可能な穀類加工品を提供することができる。このような穀類加工品を用いれば、咀嚼・嚥下困難者や高齢者用の軟化穀類加工品を特殊な装置を用いることなく簡易に製造することができる。ここで穀類加工品とは、酵素を含有している状態で、炊飯や水添加後の加熱処理を行う前の状態を言う。軟化穀類加工品とは、酵素含有米や酵素含有穀類に水を添加して、炊飯または加熱処理して軟化させた状態のものを言う。
さらに、本発明の酵素を含有させた穀類加工品を用いて、水を添加して加熱処理した軟化穀類加工品、または穀類に所定量の水分除去した後、酵素液を噴霧、酵素液に浸漬、または酵素粉末を噴霧して、所定量の水を添加して加熱処理した軟化穀類加工品は、粥とは異なり通常の炊飯米と同じ水分量で通常炊飯米と同じような美味しさを実感することができる。水の添加量を増加させれば粥状にすることができるが、同じ分量の水添加粥に比べ、遥かに軟らかく、食べやすくなる。このような軟化穀類加工品は、普通の食事と変わらない見た目の介護食を提供することができる。咀嚼や嚥下能力の低下した高齢者が健常者と同じ見た目の軟化米を安心して食することができる。粥とは異なり、水分の加水量を少なくできることから、喫食量が少なくてもカロリーを相当量補給することができる。他の穀類に対しても同様の効果を発揮する。
実施例3および4の米加工品ならびに未処理の米の写真である。 実施例4の軟化炊飯米ならびに比較例1および2の炊飯米の写真である。
[穀類加工品]
本発明の穀類加工品は、脱穀後または搗精後の外観形状が保持されていることが必要である。加工品の段階で形状が保持されていなければ、その後炊飯等の工程を経た後に食する場合には外観が維持されずに、食品としての見た目が悪くなるからである。
本発明において、「外観形状が保持されている」とは、穀類の外観形状が目視で判別できる程度に保持されていればよい。脱穀後または搗精後の穀類の球状、楕円球状、扁平回転楕円体状等の形状が一見して維持されていればよい。脱穀後または搗精後の穀類の形状あるいは原料穀類の形状よりも分解や分裂して形状が大きく崩れているものや、粒径が明らかに小さい粉状のものは含まれない。
本発明において、「外観形状が保持されている穀類加工品」とは、搗精または脱穀処理した穀類を対象とし、米は玄米もしくは精米処理した形状のもの、麦類は粒麦、丸麦、押し麦の形状のもの、その他の穀類にあっては粒状の形状のものであって、酵素を含有させた穀類が、使用原料の元の外観形状を残存している状態を示す。使用原料の元の外観形状を残存している状態とは、乾燥による収縮、加熱による部分的な着色は認められるが、目視で明らかな欠損部位を有する酵素含有穀類の個数が全体の30%以下のものを指す。
本発明の穀類加工品は、酵素活性を有した状態の外部由来の分解酵素を含有するものである。本発明において、「分解酵素を含有する穀類加工品」とは、穀類加工品の内部に分解酵素が含まれたものだけでなく、穀類加工品の表面のみに分解酵素が付着したものも含む。
本発明の穀類加工品においては、加熱乾燥により含まれるデンプンの一部がα化している。デンプンのα化度は、加熱乾燥を行うことで、脱穀後または搗精後の穀類のα化度よりも高い。また、低水分下でα化するため、品質劣化しやすく完全にα化させないことが好ましく、15%以上85%以下である。さらに、最適な乾燥温度と乾燥時間の関係、及び酵素反応を促進させるために、好ましくは20%以上70%以下であり、より好ましくは30%以上60%以下である。乾燥効率の高い熱風乾燥を使用できることや、デンプンの一部がα化していることにより酵素反応の促進に寄与することから、穀類加工品のデンプンの一部はα化していることが必要である。乾燥効率の高い加熱乾燥を用いることで、事前処理に必要な水分除去工程を容易かつ安価にすることができる。穀類加工品の含水率およびα化度は、下記の実施例で記載の方法により測定することができる。
本発明の穀類加工品の含水率は15%未満である。加熱乾燥による水分除去量よりも少ない酵素液を最適量含浸させることで、穀類加工品の含水率を15%未満に調節し、微生物の発生を抑制し、通常の穀類と同様に長期保存可能な状態で流通させることが可能となる。穀類加工品の含水率は、好ましくは8%以上14%以下であり、より好ましくは酵素含浸率と乾燥コストの両面から10%以上13%以下である。
このように本発明の穀類加工品は、外部由来の分解酵素を有しているため、炊飯時に通常の穀類に比べて軟化し易くなっており、軟化穀類加工品を特殊な装置を用いることなく容易に製造することができる。
本発明に用いる原料穀類としては、特に限定されず、米、大麦、ひえ、粟、とうもろこし、はとむぎ、えん麦等を用いることができる。本発明においては、いずれの穀類も搗精したものまたは脱穀したものを使用する。特に、主食である米は有用であり、玄米、精白米、無洗米等の一般的に流通している形態で利用することができる。また、大麦では、押し麦、粒麦をそのまま利用することができる。
原料穀類として米を用いる場合、玄米や精白米は、洗米工程を行った後、付着した水分を除去するための加熱または乾燥工程を行うため、エネルギーと時間的コストがかかる。そのため、洗米工程を省略できる無洗米が、特に適している。
原料穀類の乾燥工程は、分解酵素液の含浸量と軟化度合、水分吸収率(米の膨潤度)、水分吸収速度に大きく影響する。通常、流通している精白米や穀類の精白粒の含水率は13%~14%である。
乾燥によって穀類の含水率を4%~12%に調整することで、炊飯による軟化に適したものにすることができる。乾燥するほど、酵素の染み込み量と炊飯時の水分吸収率及び水分吸収速度が増加するため、軟化しやすくなる。コストや品質の観点から、乾燥後の穀類の含水率は、4%~12%であり、好ましくは5%~11%であり、より好ましくは6%~10%である。
また、乾燥工程において加温する場合、穀類のα化度を、脱穀後または搗精後の穀類のα化度よりも高くなるように調節することが好ましく、乾燥後のα化度は例えば、15%以上であり、より好ましくは30%以上60%以下である。なお、穀類加工品の含水率およびα化度は、下記の実施例で記載の方法により測定することができる。
原料穀類の乾燥工程は、通常の乾燥方法を適用することができる。装置が特殊でなく簡易な方法で行うことが好ましい。加熱乾燥は、装置も特殊なものを要さず行うことができ、簡易なため安価で、かつ加熱過程で生米のβ-デンプンの少なくとも一部がα化するため好ましい。
尚、安価な熱風乾燥や過熱水蒸気乾燥でもよく、誘電加熱であるマイクロ波を利用すれば短時間で乾燥することが可能となる。軟化穀類加工品の製造では、真空乾燥などの低温乾燥を利用可能で割れが生じにくく外観の良い炊飯米を製造できる。
本発明においては、穀類加工品は、高温での乾燥を行えば穀類に内在していた酵素は失活するが、同時に、含まれていた水分によりα化デンプンが含まれることとなる。
軟化穀類加工品の製造における原料穀類の乾燥工程の温度は特に限定されない。迅速に乾燥させるためには60℃以上、好ましくは80℃以上に加温してもよい。また、乾燥工程の温度は、穀類に内在する酵素の失活を防ぐように85℃以下に調節してもよい。なお、真空乾燥や凍結乾燥などの低温乾燥でも良い。
乾燥した穀類への分解酵素の含浸方法としては、穀類表面に適量の酵素液を噴霧や塗布してもよいし、乾燥した穀類を酵素液に浸漬させてもよい。穀類加工品の製造では、加熱乾燥による水分除去量よりも少ない酵素液を最適量含浸させることで噴霧や塗布する酵素液の量や酵素液への接触時間や、浸漬時間を調節することで、穀類加工品の含水率を調節することができる。必要ならば外部由来酵素が失活しない条件下で追加で乾燥させてもよい。分解酵素の含浸処理後、必要があれば追加乾燥後の穀類加工品の含水率は15%未満であることが必要であり、穀類への吸水率、給水量を最適化するためには、好ましくは8%~14%であり、より好ましくは10%~13%である。穀類加工品の含水率を15%未満に調節することで、微生物の発生を抑制し、通常の穀類と同様に長期保存可能な状態で流通させることが可能となる。
酵素含有させた穀類加工品は水に浸漬させ加熱することにより特殊な装置を要さず簡易に炊飯等の軟化穀類加工品を製造することができる。穀類加工品の水への浸漬時間は適宜、選択することができる。
他方、軟化穀類加工品を製造する過程で、酵素液に浸漬しそのまま加熱することで軟化穀類加工品を製造することもできる。穀類加工品を製造する過程で酵素液に浸漬後直ちに水切りを行い、水を加水してから炊飯加熱することもできる。
更に、酵素を付着または染み込ませた原料を製造・販売すれば、使用者は加水のみで炊飯加熱することができる。酵素液に浸漬後、水でさらに浸漬するなどの処理や浸漬中に減圧や加圧などの含浸処理を行い、より多くの酵素を含浸させる処理を行うことも可能である。この時の水温は酵素の活性を失活させない65℃以下であることが好ましい。
乾燥処理した穀類を水へ浸漬すると乾燥処理前の原料より、吸水速度は上昇し、吸水量も増大する。含水率14%の市販無洗米を常温水中に浸漬させ吸水開始後10分後の米の体積膨潤度を測定するとは1.28倍であったのに対し、含水率12%に水分除去した無洗米のそれは1.5倍であった。に達した。その際、浸漬水にアミラーゼを含ませておき、アミラーゼを染み込ませると穀類は膨張、膨潤し、炊飯すると炊飯後の米飯等の食材は軟らかく、そのままでも咀嚼・嚥下困難者用として利用できる。なお、水または酵素液への浸漬時間を適宜短くすることで、穀類の粒の崩壊を防ぐことができる。
乾燥による水分除去後の穀類の酵素液への浸漬時間は、適宜、設定することができ、1秒間以上60分間以下で酵素を染み込ませることが可能である。穀類の粒の崩壊を防ぐには、好ましくは5秒以上30分間以下であり、より好ましく10秒以上20分間以下である。
尚、軟化穀類の製造方法において、大量生産を想定した浸漬工程としては、酵素液に短時間浸漬後、水切りを行い、通常の水を加水して、加熱し炊飯する方法もある。
浸漬に代わり酵素液を霧吹き状にして塗布することもできる。この場合、酵素を染み込ませる時間は20分以下、好ましくは10分以下、より好ましくは30秒以下である。この場合、酵素を染み込ませる時間が短いほど酵素濃度を高めにしておくことが好ましい。ただし、この乾燥生米への酵素液の浸漬または塗布工程は、酵素含浸工程と、酵素によるでんぷん分解またはセルラーゼなどの組織多糖類分解の反応工程でもある。
酵素液に短時間浸漬後、水切りを行い、通常の水を加水して、加熱し炊飯する方法における加水量は、適宜、選択することができるが、炊飯後の硬さ、付着性、凝集性に影響する。健常者用に近い食品を製造する場合、原料米の重量の1.3倍~2.0倍の加水量が好ましい。
2.0倍~2.5倍の加水量の場合、付着性が低下する。2.5倍を超え、5倍量の加水では嚥下困難な者でも喫食可能な粥状にすることができる。いずれも軟らかく、硬さ、付着性、凝集性を制御することができ、無処理と同等の硬さを有する調理品に比べ、水分含量が低くなるため、カロリーが高く、見た目の良好なものが製造できる。
本発明においては、原料穀類の内部に十分な量の分解酵素を含浸させるために原料である穀類の乾燥を行うが、その際に高温で乾燥すると穀類に内在する酵素は失活する。そのため、乾燥後の穀類は、軟化のための外部由来の分解酵素を含ませることが必要である。外部由来の分解酵素としては原料の穀類が本来保有していたものと同一の酵素であってもよく、異なる酵素であってもよい。
本発明の穀類加工品の原料がうるち米である場合には、外部由来の分解酵素として、少なくともα-アミラーゼを含むことが好ましく、甘味付与のためにβアミラーゼやグルコアミラーゼを含むことがより好ましい。分解酵素を含浸させるためには、酵素溶液に浸漬等する方法が簡易で好ましい。α-アミラーゼの酵素液の濃度は適宜設定することができるが、例えば0.01質量%~10質量%であることが好ましい。また、β-アミラーゼの酵素液の濃度は適宜設定することができるが、例えば、0.01質量%~10質量%の濃度であることが好ましい。特に、β-アミラーゼの使用割合として、α-アミラーゼと同量もしくは3倍以内が好ましい。β-アミラーゼと同様の使用量で、グルコアミラーゼも良好な食味を付与することができる。また、β-グルコシダーゼを使用することでオリゴ糖の生成・付与を行うことができ、でんぷんの老化防止に寄与する。
穀類の軟化のためにはデンプンの分解が必要であるが、咀嚼・嚥下困難者や離乳食に利用する場合、併せて食物繊維を分解することが好ましい。特に、米以外の穀類、例えば、麦類やひえ、あわなどの雑穀類では、α-アミラーゼの代わりにもしくはα-アミラーゼと併せて、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼの各食物繊維の分解活性を有する酵素を添加することが好ましい。これらの酵素が添加された穀類のセルラーゼ活性は、咀嚼・嚥下困難者用として軟化効果を発揮させるためには、20ユニット/g以上であることが好ましく、より適した硬さに制御するには30ユニット/g以上であることが好ましい。なお、セルラーゼは、βグルカナーゼ等のβグリコシド結合を切断する酵素を含むものである。また、ヘミセルラーゼは、キシラナーゼ等の様々な糖鎖を切断する酵素を含むものである。
酵素反応による軟化は、酵素液浸漬工程に加え、炊飯工程でも行われる。加熱開始から酵素失活温度である80℃までの温度上昇中にデンプンのα化と分解による粒子の軟化が起こる。そのため、加熱速度を緩慢にすれば、軟化が進み、急速加熱では軟化は抑制的に働く。さらに、この間でんぷんの酵素分解によって還元糖が生成する。米を120℃で30分加熱し生成する還元糖量(グルコース換算)は、0.5mg/gであるが、α-アミラーゼ含有無洗米を120℃で30分炊飯した場合の還元糖量(グルコース換算)は、1.5mg/gであり、甘味を付与することができる。さらに、α―アミラーゼを導入し、60℃~90℃の範囲で10分加熱した炊飯米の還元糖量(グルコース換算)は、10.4mg/g~17.1mg/gに達し、甘味を大幅に付与することができる。よって、沸騰開始前までの炊飯加熱速度は、10℃/分の加熱速度より遅い緩慢な加熱炊飯がより適する。沸騰前の加熱時間を確保し、炊飯容器内の対流を抑えることで米粒の崩壊を抑えることができる。例えば、炊飯工程では、分解酵素を導入した穀類を、加水物としての沸騰温度未満で少なくとも10分間加熱し、穀類への吸水を完了させた後、α化が十分に進行するまで加熱を行うことが好ましい。
軟化穀類加工品を製造するための炊飯等の加熱加工は、特殊な装置を要さず、家庭用の炊飯器でも可能である。60℃~90℃の範囲で温度制御可能な低温調理機能を有した炊飯器がより好ましい。業務用には、既存の炊飯用の誘電加熱釜、電気・ガス炊飯器、スチームコンベクションオーブン、過熱水蒸気加熱装置のいずれも利用可能である。圧力鍋や加圧加熱殺菌機のような圧力を利用した炊飯または加熱装置での炊飯は、炊飯中の水の対流が少なく、米粒の崩壊が防止できるため好ましい。誘電加熱やスチームコンベクションオーブンの場合、加熱条件を100℃以下、好ましくは95℃以下、より好ましくは89℃以下で加温し、10分以上経過後、水分が米に吸水された後、100℃以上に加温することで形状を保持し良好なやわらか炊飯米が得られる。もち米炊飯のように、吸水率、吸水速度が速いことを利用して、吸水後、蒸し加熱することもできる。
上記分解酵素液としては、液状の分解酵素製剤にあっては、そのまま、もしくは希釈して利用でき、粉末状の分解酵素製剤にあっては、分解酵素を水などの溶媒に溶解若しくは分散させた状態で用いることができる。分解酵素液のpHは、pH3~pH10の範囲であることが好ましく、pH4~pH8であることがより好ましい。酵素活性の高い酵素の至適pHに調整することもでき、食材と同じpHに調整して使用することもできる。分解酵素液のpHの調整には、クエン酸のような有機酸類とその塩類やリン酸塩等のpH調整剤等を用いることができ、またpH調整された調味液等を使うこともできる。
食材に添加する調味料には、調味料とpH調整剤(有機酸およびその塩)、香料、安定剤、乳化剤、油脂、ビタミン、ミネラル、糖類、食塩、炭酸水素ナトリウム、各種リン酸、アミノ酸、ペプチド、GABA及び増粘剤、トレハロース、その他の栄養素等を加えることができる。特に、増粘剤や糖類は軟化食材の型くずれ防止、咀嚼・嚥下困難者の誤嚥防止効果を有するのみならず、デンプンの老化防止効果を高める作用を有している。増粘剤として、デンプン、加工デンプン、デキスリン、カードラン、寒天、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、アラビアガムまたはキサンタンガムなどのガム類、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン等の増粘剤を利用することにより、咀嚼時に食品からの離水を抑制することができ、付着性や凝集性を調整することも可能で好適な嚥下困難者用食材とすることもできる。増粘剤の使用方法として、水に溶解して用いることもできるが、酵素と同時に添加する場合は、酵素分解を受けず、粘性による酵素含浸効果の低減を避けるため、水に溶解させず分散状態で使用し増粘剤と酵素を食材内に含浸後加熱によりゾル化またはゲル化させる、ゲル状態にして酵素液と混じらない状態で酵素のみ含浸させる方法が望ましい。オリゴ糖や糖質、増粘剤はでんぷんの老化防止に寄与し、低温時での加工品の硬化抑制効果が生まれる。糖化酵素による生成物はでんぷんの老化抑制効果を有する。
糖類としては単糖の他、ソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール類、マルトースやトレハロースなどの二糖類が好ましい。特に、油脂はカロリー強化に有効で、油脂類を乳化して利用することにより、食材内への導入濃度を高め、高カロリー食品とすることができる。
[軟化穀類加工品]
本発明の軟化穀類加工品は、通常の炊飯した穀類等と見た目はほとんど変わらないが、高齢者または咀嚼・嚥下困難者用の食品に適した硬さを有するものである。このような軟化穀類加工品は、離乳食用としても適用可能である。
本発明の軟化穀類加工品は、クリープメーター(山電製、RE2-33005B)で、測定条件として直径20mmの円筒プランジャー、測定条件を速度1mm/sec、測定歪率60%、温度60℃とし、ステンレスシャーレ(直径40mm、高さ15mm)に試料を擦り切れ充填したときの硬さ(応力)の測定結果が、好ましくは5.0×10N/m以上5.0×10N/m以下であり、より好ましくは1.0×10N/m以上2.0×10N/m以下であり、より好ましくは1.0×10N/m以上1.5×10N/m以下であり、さらに好ましくは1.0×10N/m以上1.0×10N/m以下である。
本発明の軟化穀類加工品の含水率は、カロリーの高い食事を提供する観点から好ましくは60%以上90%以下であり、より好ましくは60%以上80%以下である。軟化穀類加工品の含水率を、例えば、常食と同等の60%程度に調節したり、軟飯と同等の70~80%に調節したりすることで、様々な用途向けの食品を製造することができる。
軟化穀類加工品は、甘味付与の観点から、グルコースまたはマルトースを好ましくは100mg/100g以上、より好ましくは200mg/100g含有することが好ましい。
軟化穀類加工品の形状は、水分を加え加温しているので膨潤して相似的に大きくなっており、かつ膨潤は完全には均一ではないが、脱穀後または搗精後の穀類の球状、楕円球状、扁平回転楕円体状等の形状が凡そ維持され、あるいは一体のままでありあるのが好ましい。本発明においては、外観形状が保持されている穀類加工品を用いて軟化穀類加工品を製造することで、上記の好ましい形状を有するものが得られる。
以下、実施例と比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定解釈されるものではない。
以下の実施例および比較例ではデンプン分解酵素として、α-アミラーゼ(スミチーム(登録商標)L、新日本化学社製)、β-アミラーゼ(β-アミラーゼF「アマノ」(登録商標)、天野エンザイム社製)、およびグルコアミラーゼ(スミチーム、新日本化学社製)を使用した。デンプン分解酵素の酵素活性の測定にはα-アミラーゼ測定キット(キッコーマンバイオケミファ株式会社製)を用いた。α-アミラーゼ濃度0.1%水溶液の酵素活性は550ユニット/gであった。なお、市販の各種精白米のα-アミラーゼの酵素活性を測定したところ、最大で6ユニット/gであり、最低のもので3.5ユニット/gであった。
以下の実施例および比較例では、穀類の含水率は、常圧乾燥法を用い105℃で5時間乾燥し、含水率=(乾燥前重量-乾燥後重量)/乾燥前重量×100で表した。
以下の実施例および比較例では、穀類のα化度をグルコアミラーゼ法により測定した。α化度は測定方法によって異なることがわかっている。α化デンプンに加え、老化の影響を受ける場合がある。本実験では最もバラツキが少ない測定法として「グルコアミラーゼ法」を選択した。「グルコアミラーゼ法」は(財)日本食品分析センターが一部改良した分析法を基に飼料分析基準((独)農林水産消費安全技術センター)に公定法として記載されている。今回は使用したグルコアミラーゼは、国産市販品として入手しやすい富士フィルム和光純薬(株)製のRhizopus sp.由来のものを使用した。
α化度の測定法は以下の通りである。穀類を粒径0.15mm以下になるまで凍結粉砕した試料25mgを試験管3本に入れ、水2mLを正確に加え、試験管ミキサーを用いて均一な懸濁液を調製した。試験管3本は、それぞれ(S)、(R)及び(R0)とした。(S)には、1M酢酸緩衝液1.6mL及び水0.4mLを正確に加えた。(R)及び(R0)には、振り混ぜながら40%水酸化ナトリウム溶液0.2mLを正確に加え、65℃の水浴で5分間加温し完全にα化させ、水冷後、12%酢酸溶液1.6mLを正確に加えて中和し、更に水0.2mLを正確に加えて4mLとした。(S)、(R)及び(R0)を、あらかじめ37℃の恒温槽で10分間予備保温した後、(S)及び(R)にはグルコアミラーゼ溶液1mL(Rhizopus sp.、富士フィルム和光純薬(株)製)を加え、(R0)にはあらかじめグルコアミラーゼ溶液を沸騰水浴中で正確に8分間煮沸し失活させておいたもの(失活グルコアミラーゼ溶液)1mLを正確に加え、ときどき振り混ぜながら37℃の恒温槽で正確に60分間反応させた。なお、添加したグルコアミラーゼは、事前に酵素活性を測定し、2.63U/mLのグルコアミラーゼ溶液を調製した。ここで、グルコアミラーゼが可溶性デンプンに37℃で作用する時、1分間に1μmolのグルコースを生成する量を1単位(U)とした。その後、(S)、(R)及び(R0)を沸騰水浴中に正確に8分間入れて酵素を失活させた。放冷後、(S)、(R)及び(R0)を水で200mLの全量フラスコに移し、更に標線まで水を加え、ろ紙(5B)でろ過してそれぞれ試料溶液(S)、(R)及び(R0)とした。
続いて、試料溶液(S)、(R)及び(R0)各1mLをそれぞれ別の試験管に正確に入れ、発色液(グルコースC-II テストワコー(富士フィルム和光純薬工業製))をそれぞれ3mL正確に加えて振り混ぜた後、37℃の恒温槽中で5分間放置した。その後、水を対照として波長505nmの吸光度を測定した。得られた各吸光度から下記数式(I)によりα化度を求めた。
α化度(%)=(AS-BR)/(AR-BR)×100 ・・・(I)
(式中、
AS:試料溶液(S)の波長505nmの吸光度
AR:試料溶液(R)の波長505nmの吸光度
BR:試料溶液(R0)の波長505nmの吸光度)
市販の精白米の通常炊飯後(加水量1.3倍~1.8倍)のグルコースおよびマルトース濃度を、液体クロマトグラフ法により測定したところ、それぞれ50mg/100g前後であった。さらに、市販の無洗米の1.5倍加水炊飯後のグルコースおよびマルトース濃度を同様に測定したところ、それぞれ40mg/100g、20mg/100gであった。
(実施例1)
外部由来のデンプン分解酵素を含有させた米の調製を以下の方法で行った。まず、無洗米(うるち米)150g(含水率14%)を105℃の熱風で乾燥し、米重量の6%(9g)の水分除去を行って、乾燥米(含水率8.5%)を得た。次に、5%のα-アミラーゼと1%のβ-アミラーゼの水溶解混合酵素液8gを、乾燥米を攪拌しながら噴霧し、60分間放置して、米の内部に外部由来のα-アミラーゼを含有させた米加工品を得た。得られた米加工品は、含水率は13.4%であった。得られた米加工品は、目視したところ明らかな欠損部位を有する米加工品の個数は全体の30%以下であり、元の無洗米の外観形状がそのまま保持されていた。また、対象として、得られた米加工品について、α-アミラーゼ測定キットを用いて酵素活性を測定した結果、米加工品のα-アミラーゼの酵素活性は50ユニット/g程度であり、市販の各種精白米のα-アミラーゼの酵素活性よりも明らかに高かった。また、米加工品のα化度をグルコアミラーゼ法を用いて測定したところ、44%であり、使用した無洗米よりも高い値であり、市販の精白米に比べてα化が進行していることが分かった。
水225gに上記米加工品を浸漬し、10分間放置した。その後、スチームコンベクションオーブンで以下の通り加熱炊飯した。スチームコンベクションオーブンを実験に用いたのは、温度条件や時間の設定が正確にできるからである。スチームコンベクションオーブン(タニコー(株)製、TSCO-4GBC)を用いて、コンビモードで150℃、30分間加熱し、30分蒸らしを行って、軟化炊飯米を得た。得られた軟化炊飯米のグルコースおよびマルトース濃度はそれぞれ420mg/100g、280mg/100gであった。得られた軟化炊飯米は、甘味が強く、軟らかく、見た目は通常の炊飯米のように米粒の形状が維持されており、形状がよく残存していた。得られた軟化炊飯米について、60℃の温度条件下で硬さ(クリープメーターRE2-33005Bで破断強度)を測定した結果、0.9×10N/mとなり、咀嚼・嚥下困難者用として十分な軟らかさであった。したがって、軟化炊飯米は、介護食として十分な物性を備え、かつ、咀嚼困難者でも十分安全であり、見た目の良好で食すことのできる物性を有していた。
(実施例2)
外部由来のデンプン分解酵素を含有させた米の調製を以下の方法で行った。まず、無洗米(うるち米)150g(含水率14%)を105℃の熱風で乾燥し、米重量の6%(9g)の水分除去を行って、乾燥米(含水率8.5%)を得た。次に、5%のα-アミラーゼと1%のグルコアミラーゼの水溶解混合酵素液8gを、乾燥米を攪拌しながら噴霧し、60分間放置して、米の内部に外部由来のα-アミラーゼを含有させた米加工品を得た。得られた米加工品は、含水率は13.4%であった。得られた米加工品は、目視したところ明らかな欠損部位を有する米加工品の個数は全体の30%以下であり、元の無洗米の外観形状が保持されていた。得られた米加工品について、α-アミラーゼ測定キットを用いて酵素活性を測定した結果、米加工品のα-アミラーゼの酵素活性は50ユニット/g程度であり、市販の各種精白米のα-アミラーゼの酵素活性よりも明らかに高かった。また、米加工品のα化度をグルコアミラーゼ法を用いて測定したところ、実施例1の米加工品と同程度であり、使用した無洗米よりも高い値であり、市販の精白米に比べてα化が進行していることが分かった。
水225gに上記の米加工品を浸漬し、10分間放置した。その後、スチームコンベクションオーブンで以下の通り加熱炊飯した。スチームコンベクションオーブン(タニコー(株)製、TSCO-4GBC)を用いて、コンビモードで150℃、30分間加熱し、30分蒸らしを行って、軟化炊飯米を得た。得られた軟化炊飯米は、甘味が強く、軟らかく、見た目は通常の炊飯米のように米粒の形状が維持されており、そのままで形状がよく残存していた。得られた軟化炊飯米について、60℃の温度条件下で硬さ(クリープメーターRE2-33005Bで破断強度)を測定した結果、0.9×10N/mとなり、咀嚼・嚥下困難者用として十分な軟らかさであった。したがって、軟化炊飯米は、介護食として十分な物性を備え、かつ、咀嚼困難者でも十分安全であり、見た目が良好で食すことのできる物性を有していた。
(実施例3)
外部由来のデンプン分解酵素を含有させた米の調製を以下の方法で行った。まず、無洗米(うるち米)150g(含水率14%)を105℃の熱風で乾燥して、真空乾燥し、米重量の7%(10.5g)の水分除去を行って、乾燥米(含水率7.5%)を得た。次に、実施例1と同様に5%のα-アミラーゼと1%のβ-アミラーゼの水溶解混合酵素液8gを、乾燥米を攪拌しながら噴霧し、60分間放置して、米の内部に外部由来のα-アミラーゼを含有させた米加工品を得た。得られた米加工品は、含水率が12.5%であった。得られた米加工品は、目視したところ明らかな欠損部位を有する米加工品の個数は全体の30%以下であり、元の無洗米の外観形状がそのまま保持されていた。米加工品の外観形状の写真を図1に示す。また、コントロールとして、未処理の無洗米の写真も図1に示す。得られた米加工品について、α-アミラーゼ測定キットを用いて酵素活性を測定した結果、米加工品のα-アミラーゼの酵素活性は50ユニット/g程度であり、市販の各種精白米のα-アミラーゼの酵素活性よりも明らかに高かった。また、米加工品のα化度をグルコアミラーゼ法を用いて測定したところ、実施例1の米加工品よりも多少高く、使用した無洗米よりも高い値であり、市販の精白米に比べてα化が進行していることが分かった。
水225gに上記の米加工品を浸漬し、10分間放置した。その後、スチームコンベクションオーブンで以下の通り加熱炊飯した。スチームコンベクションオーブン(タニコー(株)製、TSCO-4GBC)を用いて、一次加熱温度を沸騰温度以下の87℃に設定して30分間加熱後、二次加熱温度を沸騰温度以上である150℃に設定して10分間加熱し、軟化炊飯米を得た。得られた軟化炊飯米は、甘味が強く、軟らかく、見た目は通常の炊飯米のように米粒の形状が維持されており、そのままで形状がよく残存していた。得られた軟化炊飯米について、60℃の温度条件下で硬さ(クリープメーターRE2-33005Bで破断強度)を測定した結果、0.9×10N/mとなり、咀嚼・嚥下困難者用として十分な軟らかさであった。したがって、軟化炊飯米は、介護食として十分な物性を備え、かつ、咀嚼困難者でも十分安全であり、見た目の良好で食すことのできる物性を有していた。
(実施例4)
外部由来のデンプン分解酵素を含有させた米の調製を以下の方法で行った。まず、無洗米(うるち米)150g(含水率14%)を電子レンジ600Wで1~2分間加熱して、米重量の7%(10.5g)の水分除去を行って、乾燥米(含水率7.5%)を得た。次に、0.1%のα-アミラーゼの酵素液300gに乾燥米を20分間浸漬した。その後、乾燥米を酵素液から取り出して、水切りを行って、米の内部に外部由来のα-アミラーゼを含有させた米加工品を得た。得られた米加工品は、含水率が13%であった。得られた米加工品は、目視したところ明らかな欠損部位を有する米加工品の個数は全体の30%以下であり、元の無洗米の外観形状がそのまま保持されていた。米加工品の外観形状の写真を図1に示す。得られた米加工品について、α-アミラーゼ測定キットを用いて酵素活性を測定した結果、米加工品のα-アミラーゼの酵素活性は50ユニット/g程度であり、市販の各種精白米のα-アミラーゼの酵素活性よりも明らかに高かった。また、米加工品のα化度をグルコアミラーゼ法を用いて測定したところ、実施例1の米加工品よりも多少高く、使用した無洗米よりも高い値であり、市販の精白米に比べてα化が進行していることが分かった。
水225gに上記の米加工品を浸漬し、10分間放置した。その後、スチームコンベクションオーブンで以下の通り加熱炊飯した。スチームコンベクションオーブン(タニコー(株)製、TSCO-4GBC)を用いて、一次加熱温度を沸騰温度以下の93℃に設定して30分間加熱し、軟化炊飯米を得た。得られた軟化炊飯米について、60℃の温度条件下で硬さ(クリープメーターRE2-33005Bで破断強度)を測定した結果、1.4×10N/mとなり、咀嚼・嚥下困難者用として十分な軟らかさであった。したがって、軟化炊飯米は、介護食として十分な物性を備え、かつ、咀嚼困難者でも十分安全であり、見た目も通常の炊飯米のように米粒の形状が維持されており、良好で食すことのできる物性を有していた。軟化炊飯米の外観形状の写真を図2に示す。
(実施例5)
外部由来のデンプン分解酵素を含有させた米の調製を以下の方法で行った。まず、無洗米(うるち米)150g(含水率14%)を105℃の熱風で乾燥し、米重量の8%(12g)の水分除去を行って、乾燥米(含水率6.5%)を得た。次に、0.1%のα-アミラーゼの酵素液(乾燥米の1.5倍量)に乾燥米を30分間浸漬した。その後、乾燥米を酵素液から取り出して、水切りを行って、米の内部に外部由来のα-アミラーゼを含有させた米加工品を得た。得られた米加工品は、含水率は13%であった。得られた米加工品は、目視したところ明らかな欠損部位を有する米加工品の個数は全体の30%以下であり、元の無洗米の外観形状がそのまま保持されていた。得られた米加工品について、α-アミラーゼ測定キットを用いて酵素活性を測定した結果、米加工品のα-アミラーゼの酵素活性は50ユニット/g程度であり、市販の各種精白米のα-アミラーゼの酵素活性よりも明らかに高かった。また、米加工品のα化度をグルコアミラーゼ法を用いて測定したところ、実施例1の米加工品よりも多少高く、使用した無洗米よりも高い値であり、市販の精白米に比べてα化が進行していることが分かった。
水225gに上記の米加工品を浸漬した後、スチームコンベクションオーブンで以下の通り加熱炊飯した。スチームコンベションオーブン(タニコー(株)製TSCO-4GBC)のコンビモードで150℃、30分間加熱し、30分蒸らしを行って、軟化炊飯米を得た。得られた軟化炊飯米について、60℃の温度条件下で硬さ(クリープメーターRE2-33005Bで破断強度)を測定した結果、0.8×10N/mとなり、咀嚼・嚥下困難者用として十分な軟らかさであった。したがって、軟化炊飯米は、介護食として十分な物性を備え、かつ、咀嚼困難者でも十分安全であり、見た目も通常の炊飯米のように米粒の形状が維持されており、良好で食すことのできる物性を有していた。
(実施例6)
外部由来のデンプン分解酵素を含有させた米の調製を以下の方法で行った。まず、無洗米(うるち米)150g(含水率14%)を105℃の熱風で乾燥し、米重量の4%(6g)の水分除去を行って、乾燥米(含水率10.4%)を得た。次に、0.1%のα-アミラーゼの酵素液(乾燥米の1.5倍量)に乾燥米を30分間浸漬した。その後、乾燥米を酵素液から取り出して、水切りを行って、米の内部に外部由来のα-アミラーゼを含有させた米加工品を得た。得られた米加工品は、含水率は13%であった。得られた米加工品は、目視したところ明らかな欠損部位を有する米加工品の個数は全体の30%以下であり、元の無洗米の外観形状がそのまま保持されており、含水率は13%であった。得られた米加工品について、α-アミラーゼ測定キットを用いて酵素活性を測定した結果、米加工品のα-アミラーゼの酵素活性は50ユニット/g程度であり、市販の各種精白米のα-アミラーゼの酵素活性よりも明らかに高かった。また、米加工品のα化度、グルコアミラーゼ法を用いて測定したところ、実施例1の米加工品よりも多少低く、使用した無洗米よりも高い値であり、市販の精白米に比べてα化が進行していることが分かった。
水225gに上記の米加工品を浸漬した後、スチームコンベクションオーブンで以下の通り加熱炊飯した。スチームコンベションオーブン(タニコー(株)製TSCO-4GBC)のコンビモードで150℃、30分間加熱し、30分蒸らしを行って、軟化炊飯米を得た。得られた軟化炊飯米について、60℃の温度条件下で硬さ(クリープメーターRE2-33005Bで破断強度)を測定した結果、1.1×10N/mとなり、咀嚼・嚥下困難者用として十分な軟らかさであった。したがって、軟化炊飯米は、介護食として十分な物性を備え、かつ、咀嚼困難者でも十分安全であり、見た目も通常の炊飯米のように米粒の形状が維持されており、良好で食すことのできる物性を有していた。
(比較例1)
無洗米(うるち米)150g(含水率14%)を乾燥せず、無洗米のα化を進行させないまま、水225gに30分間浸漬した後、スチームコンベクションオーブンで加熱炊飯した。スチームコンベションオーブン(タニコー(株)製TSCO-4GBC)のコンビモードで150℃、30分間加熱し、30分蒸らしを行って、炊飯米を得た。得られた炊飯米の外観形状は通常の炊飯米のように米粒の形状が維持されていた。しかし、得られた炊飯米について、60℃の温度条件下で硬さ(クリープメーターRE2-33005Bで破断強度)を測定した結果、2.7×10N/mとなり、実施例1の炊飯米に比べると軟らかくならなかった。炊飯米の外観形状の写真を図2に示す。
(比較例2)
まず、無洗米(うるち米)150g(含水率14%)を105℃の熱風で乾燥し、米重量の6%(9g)の水分除去を行って、乾燥米(含水率8.5%)を得た。続いて、乾燥米を水225gに30分間浸漬した後、スチームコンベクションオーブンで加熱炊飯した。スチームコンベションオーブン(タニコー(株)製TSCO-4GBC)のコンビモードで150℃、30分間加熱し、30分蒸らしを行って、炊飯米を得た。得られた炊飯米の外観形状は通常の炊飯米のように米粒の形状が維持されていた。しかし、得られた炊飯米について、60℃の温度条件下で硬さ(クリープメーターRE2-33005Bで破断強度)を測定した結果、2.6×10N/mとなり、実施例1の炊飯米に比べると軟らかくならなかった。炊飯米の外観形状の写真を図2に示す。
(比較例3)
無洗米(うるち米)150g(含水率14%)を乾燥せず、無洗米のα化を進行させないまま、0.1%のα-アミラーゼの酵素液(乾燥米の1.5倍量)に30分間浸漬した。その後、無洗米を酵素液から取り出して、水切りを行った。続いて、米を水225gに浸漬した後、スチームコンベクションオーブンで以下の通り加熱炊飯した。スチームコンベションオーブン(タニコー(株)製TSCO-4GBC)を用いて、87℃で30分加熱後、コンビモードで150℃、10分間加熱し、30分蒸らしを行って、炊飯米を得た。得られた炊飯米について、60℃の温度条件下で硬さ(クリープメーターRE2-33005Bで破断強度)を測定した結果、1.7×10N/mとなり、実施例1の炊飯米に比べると軟らかくならなかった。
(実施例7)
大麦の搗精品である粒麦(日本精麦製)と丸麦((株)コムセンス製)を用い、外部由来の分解酵素を含有させた酵素含有麦の調製を以下の方法で行った。まず、麦原料に150g(含水率14%)を105℃の熱風で乾燥し、麦重量の5%(7.5g)の水分除去を行って、乾燥麦(含水率9.5%)を得た。次に、1.0%のヘミセルロース(ヘミセルロースアマノ90、アマノエンザイム製)の酵素液7.5gを乾燥麦に噴霧した。麦の内部に外部由来のヘミセルロースを含有させた麦加工品を得た。
なお、上記酵素製剤に含まれるセルラーゼ活性測定において、各酵素活性の1ユニット(U)は、40℃、10分間基質溶液中で酵素反応したときに溶液粘度を半分に減少させるために必要な酵素量と定義した。セルラーゼ活性を測定するための基質溶液は、pH5.0の50mM クエン酸ナトリウム緩衝液にカルボキシメチルセルロース(和光純薬)を1.0%(w/v)となるように溶解させて作製した。1mLの酵素溶液を10mLの基質溶液に添加して40℃、10分間酵素反応させ、反応後の溶液粘度をコーンプレート型粘度計(DVM-E2、東機産業)で測定した。2%ヘミセルラーゼアマノ90酵素液を含水率10%の粒麦に5%量噴霧した酵素含浸粒麦に含まれるセルラーゼ活性は、49.6U/gであった。
得られた麦加工品は、含水率は12%であった。得られた麦加工品は、いずれも目視したところ明らかな欠損部位を有する麦加工品の個数は全体の30%以下であり、元の粒麦及び丸麦の外観形状がそのまま保持されていた。
次に、上記酵素含有乾燥粒麦及び丸麦各150gをそれぞれ次の実験に用いた。各酵素含有乾燥麦それぞれを水300gに浸漬した後、スチームコンベクションオーブンで以下の通り加熱炊飯した。スチームコンベションオーブン(タニコー(株)製TSCO-4GBC)のコンビモードで60℃、30分間加熱し、その後150℃で20分加熱した後、30分蒸らしを行って、軟化炊飯を得た。得られた軟化炊飯麦について、60℃の温度条件下で硬さ(クリープメーターRE2-33005Bで破断強度)を測定した結果、いずれも0.9×10N/m以下となり、咀嚼・嚥下困難者用として十分な軟らかさであった。また、麦の特徴であるパサパサ感が完全に消失し、とろみが出現し、軟化炊飯麦は、介護食として食べやすく、十分な物性を備え、かつ、咀嚼困難者でも十分安全であり、見た目も通常の炊飯した粒麦および丸麦のように元の麦粒の形状が維持されており、良好で食することのできる物性を有していた。
(比較例4)
大麦の搗精品である粒麦(日本精麦製)と丸麦((株)コムセンス製)を用い、水分除去処理を行わないでそのまま外部由来の分解酵素を含有させた酵素含有麦の調製を以下の方法で行った。まず、麦原料150g(含水率14%)に1.0%のヘミセルロース(ヘミセルロースアマノ90、アマノエンザイム製)の酵素液7.5gを噴霧した。これらの丸麦および粒麦150gを水300gに浸漬した後、スチームコンベクションオーブンで以下の通り加熱炊飯した。スチームコンベションオーブン(タニコー(株)製TSCO-4GBC)のコンビモードで60℃、30分間加熱し、その後150℃で20分加熱した後、30分蒸らしを行って、軟化炊飯を得た。得られた軟化炊飯麦について、60℃の温度条件下で硬さ(クリープメーターRE2-33005Bで破断強度)を測定した結果、いずれも2.5×10N/mと軟らかくはなったが、パサパサ感と不均一な物性、すなわち一部に硬い部分が生じるなど、咀嚼・嚥下困難者用として物性面で利用できないものであった。
本発明の穀類加工品を用いれば、流通性よく、特殊な装置を要せず簡易に、咀嚼・嚥下困難者や高齢者用の軟化穀類加工品の製造をすることができる。

Claims (14)

  1. 脱穀後または搗精後の外観形状が保持されている穀類加工品であって、
    前記穀類加工品の原料が、うるち米であり、
    前記穀類加工品に含まれるデンプンの一部がα化しており、そのα化度が15%以上85%以下であり、
    酵素活性を有した状態の外部由来の分解酵素を含有し、前記外部由来の分解酵素が、少なくともα-アミラーゼを含み、かつ、
    含水率が15%未満である、穀類加工品。
  2. 前記外部由来の分解酵素が、更に、β-アミラーゼおよび/またはグルコアミラーゼを含む、請求項に記載の穀類加工品。
  3. 前記穀類加工品が、10ユニット/g以上の分解酵素活性を有するα-アミラーゼを含む、請求項1または2に記載の穀類加工品。
  4. 脱穀または搗精後の外観形状を保持し、かつ、含水率が15%未満である穀類加工品の製造方法であって、
    脱穀または搗精前後の穀類を乾燥し、含水率を4%~12%に調整を行う工程と、
    前記乾燥後の穀類に、穀類の含水率が15%未満に留まる範囲で分解酵素を含有する酵素液または酵素粉末を接触させる工程と、
    を含む、穀類加工品の製造方法。
  5. 前記分解酵素が、少なくともα-アミラーゼを含む、請求項4に記載の穀類加工品の製造方法
  6. 前記穀類加工品の原料が、うるち米である、請求項4または5に記載の穀類加工品の製造方法
  7. 前記穀類の乾燥が、85℃以下の温度で行われる、請求項4~6のいずれか一項に記載の穀類加工品の製造方法。
  8. 前記穀類の乾燥が、穀類に含まれるデンプンの一部をα化させる、請求項4~7のいずれか一項に記載の穀類加工品の製造方法。
  9. 脱穀または搗精後の外観形状を保持した軟化穀類加工品の製造方法であって、
    脱穀または搗精前後の穀類を乾燥し、含水率を4%~12%に調整を行う工程と、
    前記乾燥後の穀類に、分解酵素を含有する酵素液または酵素粉末を接触させる工程と、
    前記分解酵素に接触させた穀類を加熱し、酵素反応によって穀類を軟化する工程と、
    を含む、軟化穀類加工品の製造方法。
  10. 前記分解酵素が、少なくともα-アミラーゼを含む、請求項9に記載の軟化穀類加工品の製造方法
  11. 前記穀類加工品の原料が、うるち米である、請求項9または10に記載の軟化穀類加工品の製造方法
  12. 前記分解酵素を導入した穀類の加熱が、加水物としての沸騰温度未満で少なくとも10分間行われた後、α化するまで行われる、請求項9~11のいずれか一項に記載の軟化穀類加工品の製造方法。
  13. 前記軟化穀類加工品は、グルコースまたはマルトースを100mg/100g以上を含有し、かつ、含水率が60%以上90%以下である、請求項9~12のいずれか一項に記載の軟化穀類加工品の製造方法。
  14. 前記軟化穀類加工品は、温度60℃時での硬さの測定値が5.0×10N/m以上5.0×10N/m以下である、請求項~13のいずれか一項に記載の軟化穀類加工品の製造方法。
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