JP2016021921A - 軟質化方法および軟質化動物性食材 - Google Patents

軟質化方法および軟質化動物性食材 Download PDF

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Abstract

【課題】動物性素材を、食感および風味を維持しつつ、バラツキを生じることなく確実に軟質化することができる軟質化方法、および、かかる軟質化方法により食感および風味を維持した状態で軟質化された軟質化動物性食材を提供すること。【解決手段】本発明の軟質化方法は、食肉または魚介類からなる動物性素材を軟質化する方法であり、前記動物性素材に含まれるたん白質を変性させることで、動物性素材を硬化させる硬化処理工程と、硬化した前記動物性素材を穴開けする穴開け処理工程と、穴開けされた前記動物性素材に処理液を接触させることで、前記たん白質を加水分解する加水分解処理工程と、を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、軟質化方法および軟質化動物性食材に関するものである。
例えば、高齢者や、何らかの疾患のため、硬い食物を噛めない・飲み込めない患者(咀嚼・嚥下困難者)が多数存在する。これらの人々は、通常、複数の食品を混合した混合物を、磨り潰してペースト状や、液状にしたものを摂取している。
しかしながら、かかる場合、如何なる食品(食材)を食べているのかがはっきりせず、食欲も十分に出ず、その結果、体力を落とす等の弊害が生じやすい。したがって、食欲を増大させる観点からは、食材の軟らかさのみならず、その食材が元来有する食材自体の形状を維持していることも重要である。
これらの双方を満足する動物性素材の軟質化方法として、例えば、特許文献1では、パパインのようなたん白質分解酵素を用いて、動物性素材の形状を保持した状態で、動物性素材を軟らかくする軟質化方法が開示されている。
しかしながら、この特許文献1に記載の軟質化方法では、動物性素材が元来有する食材自体の形状がある程度維持されているものの、食感や風味に劣り、美味しく食することができるものとは言い難かった。
かかる問題点を解決することを目的に、本発明者らによる検討により、例えば、たん白質分解酵素と、澱粉と、カードランとを含有する酵素処理液を用いた軟質化方法が提案されている。
この特許文献2に記載の軟質化方法によれば、食感や風味に優れ、美味しく食することができる食材を得ることができるものの、得られた食材において、かたさや食感等にムラが生じる傾向を示した。
特開2008−125437号公報 特開2010−166904号公報
本発明の目的は、動物性素材を、食感および風味を維持しつつ、バラツキを生じることなく確実に軟質化することができる軟質化方法、および、かかる軟質化方法により食感および風味を維持した状態で軟質化された軟質化動物性食材を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明により達成される。
(1) 食肉または魚介類からなる動物性素材を軟質化する軟質化方法であって、
前記動物性素材に含まれるたん白質を変性させることで、動物性素材を硬化させる硬化処理工程と、
硬化した前記動物性素材を穴開けする穴開け処理工程と、
穴開けされた前記動物性素材に処理液を接触させることで、前記たん白質を加水分解する加水分解処理工程と、を有することを特徴とする軟質化方法。
(2) 前記硬化処理工程は、前記動物性素材を加熱することで、前記たん白質を熱変性させる加熱処理工程、前記動物性素材を酸に接触させることで、前記たん白質を酸変性させる酸処理工程または前記動物性素材をアルカリに接触させることで、たん白質をアルカリ変性させるアルカリ処理工程である上記(1)に記載0の軟質化方法。
(3) 前記穴開け処理工程において、前記動物性素材に対し、1本以上の針状をなす刃を、硬化した前記動物性素材に突き刺すテンダライズ処理法が用いられる上記(1)または(2)に記載の軟質化方法。
(4) 前記加水分解処理工程は、穴開けされた前記動物性素材を、たん白質分解酵素を含有する酵素処理液に接触させる酵素処理工程、酸性を示す酸溶液に接触させる酸処理工程、または、アルカリ性を示すアルカリ溶液に接触させるアルカリ処理工程である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の軟質化方法。
(5) 前記加水分解処理工程において、穴開けされた前記動物性素材を、前記処理液中に浸漬する浸漬法を用いて、穴開けされた前記動物性素材に前記処理液を接触させる上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の軟質化方法。
(6) 前記加水分解処理工程の後に、前記たん白質が加水分解された前記動物性素材を加熱する加熱処理工程を有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の軟質化方法。
(7) 前記加熱処理工程における加熱温度は、50℃以上、130℃以下である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の軟質化方法。
(8) 前記動物性素材を、上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の軟質化方法により軟質化してなることを特徴とする軟質化動物性食材。
(9) 前記軟質化動物性食材は、「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」に記載の「えん下困難者用食品の試験方法」を遵守して測定した圧縮応力が1×10N/m以下である上記(8)に記載の軟質化動物性食材。
本発明によれば、動物性素材を、食感および風味を維持しつつ、バラツキを生じることなく確実に軟質化することができることから、滑らかな食感を有する軟質化動物性食材が得られることとなる。
よって、このような軟質化動物性食材は、高齢者や嚥下・咀嚼困難者が食するのに適する。
以下、本発明の軟質化方法および軟質化動物性食材を好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の軟質化方法は、食肉または魚介類からなる動物性素材を軟質化する方法であり、前記動物性素材に含まれるたん白質を変性させることで、動物性素材を硬化させる硬化処理工程と、硬化した前記動物性素材を穴開けする穴開け処理工程と、穴開けされた前記動物性素材に処理液を接触させることで、前記たん白質を加水分解する加水分解処理工程と、を有することを特徴とする。
ここで、本発明が適用される、動物性素材としては、食肉または魚介類からなる。これらのうち、食肉としては、特に限定されず、例えば、牛、豚、馬、羊、鶏、アヒル、七面鳥のような畜肉、猪、鹿、熊のような獣肉、クジラ、海豚のような海産動物、カモ、ダチョウ、カンガルーおよびワニ等の精肉、皮ならびにこれらの加工品が挙げられる。また、魚介類としては、特に限定されず、例えば、マグロ、カジキ、シャケ、アジ、サバ、赤魚のような魚類、赤貝、ホタテのような貝類、タコ、イカのような頭足類、および、エビ、カニ、オキアミのような甲殻類等の生肉ならびにこれらの加工品等が挙げられる。
本発明の軟質化方法をこれらの動物性素材の軟化に適用すれば、後に詳述するように、動物性素材を、その食感および風味を維持しつつ、確実に軟質化することができ、高齢者および嚥下・咀嚼困難者でも飲み込み易く、美味しく食することができる軟質化動物性食材を、得られる軟質化動物性食材においてムラを生じることなく製造することができる。
本実施形態の動物性素材の軟質化方法は、[1]動物性素材に含まれるたん白質を変性させることで動物性素材を硬化させる硬化処理工程と、[2]動物性素材を穴開けする穴開け処理工程と、[3]動物性素材に含まれるたん白質を加水分解する加水分解処理工程と、[4]動物性素材を加熱する加熱処理工程と、[5]動物性素材を凍結させる凍結処理工程とを有する。
かかる工程を経ることにより、動物性素材の構成成分であるたん白質やペプチドの分子鎖を、動物性素材の食感および風味を維持しつつ、その全体にわたって均等に切断(加水分解)することにより低分子化し、結果として、食物素材の形状を維持した状態で、軟質化を行うことができる。また、かかる動物性素材の軟質化を、ムラを生じることなく施すことができる。
以下、各工程について詳述する。
[1]硬化処理工程
まず、軟質化すべき動物性素材を用意する。
ここで用意する動物性素材(動物性食品)としては、食肉を軟質化する場合、精肉、皮であってもよいし、ハム・ソーセージのような加工品であってもよい。また、魚類や頭足類を軟質化する場合、皮や内臓等を除いた切り身であってもよいし、特に前処理を施すことなくそのまま硬化処理に供するようにしてもよい。さらに、貝類や甲殻類を軟質化する場合、殻を取り除くようにする。また、動物性素材は、冷凍処理を経ることなく生のものであってもよいし、冷凍処理の後、解凍されたものであってもよく、さらに、冷凍処理された冷凍状態のものであってもよい。
次に、用意した動物性素材に、かかる動物性素材に含まれるたん白質を変性させることで動物性素材を硬化させる硬化処理を施す。
この硬化処理としては、動物性素材に含まれるたん白質を変性させ得るものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、[1−1]動物性素材を加熱することで、たん白質を熱変性させる加熱処理、[1−2]動物性素材を酸に接触させることで、たん白質を酸変性させる酸処理、[1−3]動物性素材をアルカリに接触させることで、たん白質をアルカリ変性させるアルカリ処理が挙げられる。以下、これらの各処理[1−1]〜[1−3]について順次説明する。
[1−1]加熱処理工程
この加熱処理では、用意された動物性素材を加熱する。
このように、後述する穴開け処理工程[2]に先立って、動物性素材を加熱する構成とすることにより、動物性素材に含まれるたん白質が変性し、その結果、動物性素材が硬化する。このため、後述する穴開け処理工程[2]において、動物性素材に対して、穴開けする際に、この穴開けを容易かつ確実に行うことができるようになる。
加熱処理の方法としては、特に限定されず、例えば、動物性素材を加湿下で加熱する方法(蒸す方法)、動物性素材を熱した湯中に浸漬する方法(茹でる方法)、動物性素材に熱湯を噴霧または塗布する方法(噴霧法または塗布法)、動物性素材を火炎に接触させる方法(火炎法)、動物性素材に加熱した空気を吹き付ける方法(熱風加熱法)、動物性素材を加熱した食用油脂中で加熱する方法(油ちょう法)、動物性素材にマイクロ波を照射することで加熱する方法(マイクロ波照射法)、および、動物性素材を加熱された板(フライパン)上で加熱する方法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、加熱処理の方法としては、特に、動物性素材を加湿下で加熱する方法(蒸す方法)が好適である。
かかる方法によれば、加熱処理時において、動物性素材中心部にまで、その全体に亘って温度の制御を容易かつ正確に行うことができる。
また、動物性素材に焦げ目等の外表面の変色(変質)が生じること、すなわち動物性素材の外観を損なうことなく、加熱することができる。
この場合、加湿の湿度は、相対湿度で60〜100%RH程度であるのが好ましく、85〜100%RH程度であるのがより好ましい。かかる範囲の湿度の加湿下において、動物性素材に加熱処理を行うことにより、動物性素材の外表面の変色(変質)等をともなうことなく、動物性素材の中心部まで均等に加熱することができる。
また、加熱温度(動物性素材の中心部の温度)は、好ましくは50〜130℃程度、より好ましくは60〜80℃程度とされる。かかる範囲内に設定することにより、動物性素材の中心部まで均一に加熱することができる。
また、加熱時間は、動物性素材の加熱温度によっても若干異なるため、特に限定されないが、前記温度範囲とする場合、5〜30分程度であるのが好ましく、10〜20分程度であるのがより好ましい。かかる時間で動物性素材を加熱することにより、動物性素材の中心部まで(動物性素材全体を)より確実かつ均一に加熱することができ、動物性素材全体に亘って均一にその硬化を行うことができる。
[1−2]酸処理工程
この酸処理では、用意された動物性素材を、酸性を示す酸溶液に接触させる。
このように、後述する穴開け処理工程[2]に先立って、動物性素材を酸処理する構成とすることで、動物性素材に含まれるたん白質が変性し、その結果、動物性素材が硬化する。このため、後述する穴開け処理工程[2]において、動物性素材に対して、穴開けする際に、この穴開けを容易かつ確実に行うことができるようになる。
酸処理の方法としては、特に限定されず、例えば、動物性素材を酸溶液中に浸漬する方法(浸漬法)、および、動物性素材に酸溶液を噴霧または塗布する方法(噴霧法または塗布法)、減圧含浸法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、酸処理の方法としては、特に、動物性素材を酸溶液中に浸漬する方法(浸漬法)が好適である。
かかる方法によれば、酸処理時において、動物性素材の外表面全体を均一に酸溶液に接触させることができるため、動物性素材の全体を均一に硬化させることができる。
この場合、酸溶液のpHは、2.0以上、7.0未満であることが好ましく、2.5以上、5.5以下であることがより好ましい。かかる範囲のpHにおいて、動物性素材に酸処理を行うことにより、動物性素材の外表面の変色(変質)等をともなうことなく、動物性素材の中心部側にまで均質に酸処理することができる。
また、酸溶液の温度は、好ましくは4〜40℃程度、より好ましくは4〜20℃程度とされる。かかる範囲内に設定することにより、動物性素材の中心部側にまで均質に酸処理することができる。
また、酸溶液に浸漬する時間は、酸溶液の温度によっても若干異なり、特に限定されないが、前記温度範囲とする場合、5分〜24時間程度であるのが好ましく、16〜24時間程度であるのがより好ましい。かかる時間で動物性素材を酸溶液に浸漬することにより、動物性素材の中心部側にまで均質に酸処理することができ、動物性素材全体に亘って均一にその硬化を行うことができる。また、動物性素材に含まれるたん白質が酸処理により加水分解されるのを的確に抑制または防止しつつ、たん白質を変性させることができる。
また、酸溶液のpHは、酸溶液をpH調製剤が含まれる溶液とし、このものの種類および濃度を適宜設定することにより、前述したような範囲内に容易に設定することができる。
pH調製剤としては、特に限定されず、例えば、塩酸、酒石酸、アジピン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酢酸、炭酸、乳酸、ピロリン酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸と、これら酸のナトリウム塩およびカリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属塩、水酸化ナトリウム、グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、酸溶液中のpH調製剤の含有量は、特に限定されないが、0.01M以上、3.0M以下であるのが好ましく、0.3M以上、1.3M以下であるのがより好ましい。かかる範囲内のpH調製剤を酸溶液中に含有することにより、酸処理中において、酸溶液のpHの変化量を抑制しつつ、動物性素材に酸処理を施すことができる。
以上のような酸溶液を調製するのに用いる液体としては、例えば、水、および、エタノール等のアルコール類が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[1−3]アルカリ処理工程
このアルカリ処理では、用意された動物性素材を、アルカリ性を示すアルカリ溶液に接触させる。
このように、後述する穴開け処理工程[2]に先立って、動物性素材をアルカリ処理する構成とすることで、動物性素材に含まれるたん白質が変性し、その結果、動物性素材が硬化する。このため、後述する穴開け処理工程[2]において、動物性素材に対して、穴開けする際に、この穴開けを容易かつ確実に行うことができるようになる。
アルカリ処理の方法としては、特に限定されず、例えば、動物性素材をアルカリ溶液中に浸漬する方法(浸漬法)、および、動物性素材にアルカリ溶液を噴霧または塗布する方法(噴霧法または塗布法)、減圧含浸法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、アルカリ処理の方法としては、特に、動物性素材をアルカリ溶液中に浸漬する方法(浸漬法)が好適である。
かかる方法によれば、アルカリ処理時において、動物性素材の外表面全体を均一にアルカリ溶液に接触させることができるため、動物性素材の全体を均一に硬化させることができる。
この場合、アルカリ溶液のpHは、7.0超、12.0以下であることが好ましく、8.5以上、10.5以下であることがより好ましい。かかる範囲のpHにおいて、動物性素材にアルカリ処理を行うことにより、動物性素材の外表面の変色(変質)等をともなうことなく、動物性素材の中心部側にまで均質にアルカリ処理することができる。
また、アルカリ溶液の温度は、好ましくは4〜40℃程度、より好ましくは4〜20℃程度とされる。かかる範囲内に設定することにより、動物性素材の中心部側にまで均質にアルカリ処理することができる。
また、アルカリ溶液に浸漬する時間は、アルカリ溶液の温度によっても若干異なり、特に限定されないが、前記温度範囲とする場合、5分〜24時間程度であるのが好ましく、16時間〜24時間程度であるのがより好ましい。かかる時間で動物性素材をアルカリ溶液に浸漬することにより、動物性素材の中心部側にまで均質にアルカリ処理することができ、動物性素材全体に亘って均一にその硬化を行うことができる。また、動物性素材に含まれるたん白質がアルカリ処理により加水分解されるのを的確に抑制または防止しつつ、たん白質を変性させることができる。
また、アルカリ溶液のpHは、アルカリ溶液をpH調製剤が含まれる溶液とし、このものの種類および濃度を適宜設定することにより、前述したような範囲内に容易に設定することができる。
pH調製剤としては、前記酸溶液に用いられるpH調製剤で挙げたのと同様のものが用いられる。
また、アルカリ溶液中のpH調製剤の含有量は、特に限定されないが、0.01M以上、3.0M以下であるのが好ましく、0.3M以上、1.3M以下であるのがより好ましい。かかる範囲内のpH調製剤をアルカリ溶液中に含有することにより、アルカリ処理中において、アルカリ溶液のpHの変化量を抑制しつつ、動物性素材にアルカリ処理を施すことができる。
以上のようなアルカリ溶液を調製するのに用いる液体としては、例えば、水、および、エタノール等のアルコール類が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、硬化処理工程[1]として、酸処理工程[1−2]またはアルカリ処理工程[1−3]を選択した場合には、これらの処理により、動物性素材に含まれるたん白質が加水分解されるのを的確に抑制または防止しつつ、たん白質が変性する程度で、その処理を完了することが好ましい。
また、この硬化処理工程[1]としては、上述した加熱処理工程[1−1]、酸処理工程[1−2]およびアルカリ処理工程[1−3]を単独で行うことが可能であるが、加熱処理工程[1−1]と、酸処理工程[1−2]またはアルカリ処理工程[1−3]とを組み合わせて行うようにしてもよい。すなわち、酸処理工程[1−2]またはアルカリ処理工程[1−3]を加熱条件下で行うことも可能である。
[2]穴開け処理工程
次に、硬化処理が施された動物性素材に対して、穴開けする穴開け処理を施す。
ここで、前記硬化処理工程[1]において、動物性素材に含まれるたん白質を変性させることで動物性素材が硬化しているため、本工程[2]における、動物性素材に対する穴開けを容易かつ確実に行うことができる。また、このような動物性素材の硬化がなされているため、例えば、動物性素材として、エビ、オキアミ、ホタテのような小片物状をなすものや、タコ、イカのようなヌメリを有するものを選択したとしても、この動物性素材に対する穴開けを確実に実施することができる。
以上のことから、次工程である加水分解処理工程[3]に先立って、動物性素材に穴開けすることで、加水分解処理工程[3]で用いる加水分解用溶液を、その内部までムラなく浸透させ得るとともに、軟質化すべき動物性素材の表面積を増大させることができるため、加水分解処理工程[3]における動物性素材に含まれるたん白質の加水分解を効率良く、その中心部にまで均一に行うことができる。
なお、動物性素材が例えば、精肉のように平坦面を有するものである場合には、その厚さ方向に穴開けを行うのが好ましい。これにより、動物性素材への穴開けを、容易かつ効率よく行うことができる。
この穴開け処理としては、特に限定されないが、例えば、ほぼ等間隔に配列された複数の針状をなす刃を備える剣山状の突刺部材を有するテンダライズ装置(筋切り機)を用い、この突刺部材が備える複数の刃を、動物性素材に、同時に突き刺すことにより、一度の突刺部材による突き刺しにより複数の穴開けが行われるテンダライズ処理法を用いるのが好ましい。
このようなテンダライズ装置を用いた処理法によれば、一度の突刺部材の操作で動物性素材に複数の穴開けを実施できることから、穴開けを行う処理時間の短縮を図ることができる。また、動物性素材の全体に亘ってより均一に穴開けを行え得る点からも好ましい。さらに、動物性素材の原型を保持した状態で、動物性素材が備える筋や繊維を短く切断できるため、かかる観点からも、動物性素材の軟質化を促進させることができる。
また、動物性素材の穴開けは、動物性素材の途中まで行うものであっても良いが、突き通して貫通孔を形成するものであることが好ましい。これにより、加水分解処理工程[3]における動物性素材に含まれるたん白質の加水分解をより効率良く、その中心部にまでより均一に行うことができるようになる。
さらに、動物性素材に穴開けを行うピッチは、動物性素材を穴開けする方向から見たとき、すなわち、平面視で1穴/6mm×6mm以上であることが好ましく、1穴/5.2mm×5.2mm以上、1穴/3.2mm×3.2mm以下であることがより好ましい。
また、このようなピッチで穴開けを行う際に用いる刃の横断面積の最大値は、0.8mm×0.8mm以上、3.0mm×3.0mm以下であることが好ましく、1.2mm×1.2mm以上、2.4mm×2.4mm以下であることがより好ましい。
また、テンダライザーや針刺し器具を複数回通すことにより上記密度での針刺しができれば刃のピッチは特に限定されない。
これらの関係を満足することにより、加水分解処理工程[3]における動物性素材に含まれるたん白質の加水分解をより効率良く、その中心部にまでより均一に行うことができるようになる。
[3]加水分解処理工程
次に、穴開け処理が施された動物性素材に処理液を接触させることで、動物性素材に含まれるたん白質を加水分解する加水分解処理工程を施す。
ここで、動物性素材の硬さは、骨格筋に含まれる筋肉結合組織や筋原繊維等の含有量およびその質により決定付けられている。そのため、筋肉結合組織の主成分であるコラーゲンおよびエラスチン等のたん白質、さらには、筋原繊維の主成分であるアクチンおよびミオシン等のたん白質を、加水分解(切断)することで、低分子化することにより、動物性素材の軟質化を図ることができる。
ところで、このような加水分解によるたん白質の低分子化の際に、本発明では、動物性素材に対して穴開け処理が施されているため、動物性素材の全体に亘って均質に処理液が含浸されて加水分解がなされることから、動物性素材は、その全体が均一に軟質化されることとなる。
そのため、本工程[3]において、動物性素材は、その形状、食感および風味を維持しつつ、均一に軟質化がなされ、その結果、得られた軟質化動物性食材は、高齢者および嚥下・咀嚼困難者でも飲み込み易く、美味しく食することができるものとなり、さらに、複数のものにおいてバラツキの小さいものとなる。
この加水分解処理としては、動物性素材に含まれるたん白質を加水分解させ得るものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、[3−1]動物性素材をたん白質分解酵素に接触させることで、たん白質を加水分解させる酵素処理、[3−2]動物性素材を酸に接触させることで、たん白質を加水分解させる酸処理、[3−3]動物性素材をアルカリに接触させることで、たん白質を加水分解させるアルカリ処理が挙げられる。以下、これらの各処理[3−1]〜[3−3]について順次説明する。
[3−1]酵素処理工程
この酵素処理では、穴開け処理が施された動物性素材を、動物性素材に含まれるたん白質を加水分解することで低分子化させるたん白質分解酵素を含有する酵素処理液に接触させる。
このように、穴開け処理が施された動物性素材を酵素処理液に接触させることで、動物性素材を、その全体に亘って均質に加水分解させることができる。
この酵素処理の方法としては、特に限定されず、例えば、動物性素材に酵素処理液を噴霧する方法(噴霧法)、動物性素材に酵素処理液を塗布する方法(塗布法)、動物性素材を酵素処理液中に浸漬する方法(浸漬法)、減圧含浸法、動物性素材に酵素をまぶす方法(粉まぶし法)等が挙げられる。
これらの中でも、特に、動物性素材を酵素処理液中に浸漬する方法(浸漬法)が好適である。
かかる方法によれば、酵素処理時において、穴開け処理が施された動物性素材の穴(または孔)内に、酵素処理液を確実に浸透させることができるため、動物性素材の全体を均一に軟質化させることができる。
なお、動物性素材の厚さが、具体的には、5mm以上のもの、より好ましくは10〜50mm程度のものであることがより好ましい。かかる厚さを有する動物性素材であっても、穴開け処理が施された動物性素材の穴(または孔)内にまで、浸漬法を用いて確実に浸透させることができる。
また、酵素処理液の温度は、好ましくは0〜40℃程度、より好ましくは4〜20℃程度とされる。かかる範囲内に設定することにより、動物性素材の中心部側にまで均質に酵素処理することができる。
また、酵素処理液に接触する時間は、浸漬法の場合、酵素処理液の温度によっても若干異なり、特に限定されないが、前記温度範囲とする場合、5時間以上、48時間以下であるのが好ましく、15時間以上、30時間以下であるのがより好ましい。その他の接触方法や組み合わせ処理の場合、酵素処理液または酵素に接触後、次の工程まで静置される時間が5時間以上、48時間以下であるのが好ましく、15時間以上、30時間以下であるのがより好ましい。かかる時間で動物性素材を酵素処理液に浸漬することにより、動物性素材の中心部側にまで均質に酵素処理することができ、例えば、動物性素材のぱさつきや、動物性素材の風味の劣化等の発生を的確に抑制または防止しつつ、動物性素材全体に亘って均一にその加水分解を行うことができる。
酵素処理液中に含まれるたん白質分解酵素は、特に限定されないが、例えば、パパイン、ブロメライン、フィシン、アクチニジンのような植物由来のもの、Bacillus属由来のプロテアーゼ(サチライシン、サーモライシン)、Aspergillus属由来のプロテアーゼのような微生物由来のもの、トリプシン、カテプシン、ロイシンアミノペプチターゼのような動物由来のもの等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらが混合配合された酵素製剤も使用できる。
また、酵素処理液中のたん白質分解酵素の含有量は、酵素処理液中に含まれるたん白質分解酵素の種類によっても若干異なり、特に限定されないが、好ましくは5.0×10−4wt%以上、0.5wt%以下に設定され、より好ましくは5.0×10−3wt%以上、0.2wt%以下に設定される。これにより、前述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
また、酵素処理液のpHは、2.0以上、12.0未満であるのが好ましく、8.0以上、10.5未満であるのがより好ましい。これにより、ジューシー感、肉質感のような食感、さらには風味等を維持しつつ、動物性食材を軟質化させることができるため、高齢者や嚥下・咀嚼困難者であっても美味しく食することができる。
酵素処理液のpHは、酵素処理液中に、pH調製剤を添加し、このものの種類および濃度を適宜設定することにより、前述したような範囲内に容易に設定することができる。
この、pH調製剤としては、前記工程[1−2]において、酸溶液に用いられるpH調整剤で挙げたのと同様のものが用いられる。
また、酵素処理液中のpH調製剤の含有量は、特に限定されないが、0.01M以上、3.0M以下であるのが好ましく、0.3M以上、1.3M以下であるのがより好ましい。かかる範囲内のpH調製剤を酵素処理液中に含有することにより、酵素処理中において、酵素処理液のpHの変化量を抑制しつつ、動物性素材に酵素処理を施すことができる。
また、酵素処理液中には、前述した成分の他、軟質化動物性食材の味を調整する調味剤、フェルラ酸のような抗酸化剤、アルギニン、グルタミン、グリシンのようなアミノ酸、ビタミン類およびミネラル類等が含まれていても良い。
なお、調味剤としては、特に限定されず、例えば、食塩、グルタミン酸ナトリウム、醤油、味噌等、一般の調味料および酵母エキスのような食品エキス(抽出物)など酵素処理液中に溶解し塩濃度やpHに影響するもの等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上のような酵素処理液を調製するのに用いる液体としては、例えば、水、および、エタノール等のアルコール類が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、動物性素材に酵素処理液を接触させる際には、動物性素材の形状が崩れない程度で、振動(超音波振動、タンブリング、撹拌など)を付与するのが好ましい。これにより、穴開け処理が施された動物性素材の穴(または孔)内に、酵素処理液を確実に浸透させることができるため、動物性素材のほぼ全体に亘ってより均一に酵素による軟質化を行うことができ、より均一に軟質化された動物性素材を得ることができる。
[3−2]酸処理工程
この酸処理では、穴開け処理が施された動物性素材を、動物性素材に含まれるたん白質を加水分解することで低分子化させる得る酸性を示す酸溶液に接触させる。
このように、穴開け処理が施された動物性素材を酸溶液に接触させることで、動物性素材を、その全体に亘って均質に加水分解させることができる。
酸処理の方法としては、特に限定されず、例えば、動物性素材を酸溶液中に浸漬する方法(浸漬法)、および、動物性素材に酸溶液を噴霧または塗布する方法(噴霧法または塗布法)、減圧含浸法、動物性素材にクエン酸のような粉体をなす酸性物質をまぶす方法(粉まぶし法)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、酸処理の方法としては、特に、動物性素材を酸溶液中に浸漬する方法(浸漬法)が好適である。
かかる方法によれば、酸処理時において、穴開け処理が施された動物性素材の穴(または孔)内に、酸溶液を確実に浸透させることができるため、動物性素材の全体を均一に軟質化させることができる。
なお、動物性素材の厚さが、具体的には、5mm以上のもの、より好ましくは10〜50mm程度のものであることがより好ましい。かかる厚さを有する動物性素材であっても、穴開け処理が施された動物性素材の穴(または孔)内にまで、浸漬法を用いて確実に浸透させることができる。
この場合、酸溶液のpHは、2.0以上、6.0未満であることが好ましく、2.5以上、5.0以下であることがより好ましい。かかる範囲のpHにおいて、動物性素材に酸処理を行うことにより、例えば、動物性素材のぱさつきや、動物性素材の風味の劣化等の発生を的確に抑制または防止しつつ、動物性素材全体に亘って均一にその加水分解を行うことができる。
また、酸溶液の温度は、好ましくは0〜40℃程度、より好ましくは4〜20℃程度とされる。かかる範囲内に設定することにより、動物性素材の中心部側にまで均質に酸処理することができる。
また、酸溶液に浸漬する時間は、酸溶液の温度によっても若干異なり、特に限定されないが、前記温度範囲とする場合、5時間以上、48時間以下であるのが好ましく、15時間以上、30時間以下であるのがより好ましい。かかる時間で動物性素材を酸溶液に浸漬することにより、動物性素材の中心部側にまで均質に酸処理することができ、例えば、動物性素材のぱさつきや、動物性素材の風味の劣化等の発生を的確に抑制または防止しつつ、動物性素材全体に亘って均一にその加水分解を行うことができる。
また、酸溶液のpHは、酸溶液をpH調製剤が含まれる溶液とし、このものの種類および濃度を適宜設定することにより、前述したような範囲内に容易に設定することができる。
このpH調製剤としては、前記工程[1−2]において、酸溶液に用いられるpH調整剤で挙げたのと同様のものが用いられる。
また、酸溶液中のpH調製剤の含有量は、特に限定されないが、0.01M以上、3.0M以下であるのが好ましく、0.3M以上、1.3M以下であるのがより好ましい。かかる範囲内のpH調製剤を酸溶液中に含有することにより、酸処理中において、酸溶液のpHの変化量を抑制しつつ、動物性素材に酸処理を施すことができる。
また、酸溶液中には、前述した成分の他、前記工程[3−1]において説明した、調味剤、抗酸化剤、アミノ酸、ミネラル類等が含まれていても良い。
[3−3]アルカリ処理工程
このアルカリ処理では、穴開け処理が施された動物性素材を、動物性素材に含まれるたん白質を加水分解することで低分子化させる得るアルカリ性を示すアルカリ溶液に接触させる。
このように、穴開け処理が施された動物性素材をアルカリ溶液に接触させることで、動物性素材を、その全体に亘って均質に加水分解させることができる。
アルカリ処理の方法としては、特に限定されず、例えば、動物性素材をアルカリ溶液中に浸漬する方法(浸漬法)、および、動物性素材にアルカリ溶液を噴霧または塗布する方法(噴霧法または塗布法)、減圧含浸法、動物性素材に重曹、炭酸ナトリウムのような粉体をなすアルカリ性物質をまぶす方法(粉まぶし法)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、アルカリ処理の方法としては、特に、動物性素材をアルカリ溶液中に浸漬する方法(浸漬法)が好適である。
かかる方法によれば、アルカリ処理時において、穴開け処理が施された動物性素材の穴(または孔)内に、アルカリ溶液を確実に浸透させることができるため、動物性素材の全体を均一に軟質化させることができる。
なお、動物性素材の厚さが、具体的には、5mm以上のもの、より好ましくは10〜50mm程度のものであることがより好ましい。かかる厚さを有する動物性素材であっても、穴開け処理が施された動物性素材の穴(または孔)内にまで、浸漬法を用いて確実に浸透させることができる。
この場合、アルカリ溶液のpHは、7.5超、11.5以下であることが好ましく、9.5以上、11.0以下であることがより好ましい。かかる範囲のpHにおいて、動物性素材にアルカリ処理を行うことにより、例えば、動物性素材のぱさつきや、動物性素材の風味の劣化等の発生を的確に抑制または防止しつつ、動物性素材全体に亘って均一にその加水分解を行うことができる。
また、アルカリ溶液の温度は、好ましくは0〜40℃程度、より好ましくは4〜20℃程度とされる。かかる範囲内に設定することにより、動物性素材の中心部側にまで均質にアルカリ処理することができる。
また、アルカリ溶液に浸漬する時間は、アルカリ溶液の温度によっても若干異なり、特に限定されないが、前記温度範囲とする場合、5時間以上、48時間以下であるのが好ましく、15時間以上、30時間以下であるのがより好ましい。かかる時間で動物性素材をアルカリ溶液に浸漬することにより、動物性素材の中心部側にまで均質にアルカリ処理することができ、例えば、動物性素材のぱさつきや、動物性素材の風味の劣化等の発生を的確に抑制または防止しつつ、動物性素材全体に亘って均一にその加水分解を行うことができる。
また、アルカリ溶液のpHは、アルカリ溶液をpH調製剤が含まれる溶液とし、このものの種類および濃度を適宜設定することにより、前述したような範囲内に容易に設定することができる。
このpH調製剤としては、前記工程[1−2]において、酸溶液に用いられるpH調整剤で挙げたのと同様のものが用いられる。
また、アルカリ溶液中のpH調製剤の含有量は、特に限定されないが、0.01M以上、3.0M以下であるのが好ましく、0.3M以上、1.3M以下であるのがより好ましい。かかる範囲内のpH調製剤をアルカリ溶液中に含有することにより、アルカリ処理中において、アルカリ溶液のpHの変化量を抑制しつつ、動物性素材にアルカリ処理を施すことができる。
また、アルカリ溶液中には、前述した成分の他、前記工程[3−1]において説明した、調味剤、抗酸化剤、アミノ酸、ミネラル類等が含まれていても良い。
なお、この加水分解処理工程[3]としては、上述した酵素処理工程[3−1]、酸処理工程[3−2]およびアルカリ処理工程[3−3]を単独で行うことが可能であるが、酵素処理工程[3−1]と、酸処理工程[3−2]またはアルカリ処理工程[3−3]とを組み合わせて行うようにしてもよい。すなわち、酸処理工程[3−2]またはアルカリ処理工程[3−3]をたん白質分解酵素の存在下で行うことも可能である。
また、前記硬化処理工程[1]および本工程[3]において、それぞれ、酸処理工程[1−2]および酸処理工程[3−2]、または、アルカリ処理工程[1−3]およびアルカリ処理工程[3−3]を選択した場合には、それぞれに用いる酸溶液、または、アルカリ溶液としては、同一のものを用いることもできる。
[4]加熱処理工程
次に、加水分解(軟質化)後の動物性素材を加熱する加熱処理を施す。
これにより、動物性素材に含まれる加水分解されたたん白質の断片化をより促進し、軟質化後の動物性素材(軟質化動物性食材)の軟質化をより確実なものとすることができる。
加熱処理の方法としては、特に限定されず、例えば、加熱処理の方法としては、特に限定されず、例えば、動物性素材を加湿下で加熱する方法(蒸す方法)、動物性素材を熱した湯中に浸漬する方法(茹でる方法)、動物性素材に熱湯を噴霧または塗布する方法(噴霧法または塗布法)、動物性素材を火炎に接触させる方法(火炎法)、動物性素材に加熱した空気を吹き付ける方法(熱風加熱法)、動物性素材を加熱した食用油脂中で加熱する方法(油ちょう法)、動物性素材にマイクロ波を照射することで加熱する方法(マイクロ波照射法)、および、動物性素材を加熱された板(フライパン)上で加熱する方法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、加熱する方法としては、動物性素材を加湿下で加熱する方法を用いるのが好ましい。かかる方法によれば、加熱処理時において、動物性素材の表面に焦げ目等を付けることなく、動物性素材の中心部にまで亘ってほぼ均一な温度で加熱することができ、動物性素材に含まれる加水分解されたたん白質の断片化を促進させることができる。
また、加熱する温度は、加熱処理する時間によっても若干異なるが、好ましくは50〜130℃程度、より好ましくは70〜115℃程度とされる。かかる範囲内に設定することにより、動物性素材に含まれる加水分解されたたん白質のさらなる断片化を、動物性素材の中心部にまで亘ってより均一に行うことができる。
さらに、加熱する際の雰囲気の湿度は、相対湿度で60〜100%RH程度であるのが好ましく、85〜100%RH程度であるのがより好ましい。かかる範囲の湿度の加湿下において、動物性素材に加熱処理を行うことにより、動物性素材の外表面に焦げ目等が生じることなく、動物性素材の中心部まで均一に加熱することができる。
また、動物性素材を加熱する時間は、加熱する温度によっても若干異なるため、特に限定されないが、前記温度範囲とする場合、1〜120分程度であるのが好ましく、10〜70分程度であるのがより好ましい。かかる時間で動物性素材を加熱することにより、動物性素材の中心部まで(動物性素材全体を)より確実かつ均一に加熱することができる。
前記のような加熱の後、加熱処理された動物性素材を、そのまま次工程[5]である冷凍処理工程を施すようにしてもよいし、室温程度にまで冷却するようにしてもよい。
[5]冷凍処理工程
次に、加熱処理が施された軟質化動物性素材を冷凍保存するための冷凍処理を行う。
これにより、軟質化動物性素材を長期保存に適したものとすることができるとともに、所望の時に、冷凍された軟質化動物性素材を解凍して、軟質化動物性素材を食材として食することができる。
軟質化動物性素材の冷凍は、如何なる方法を用いて行ってもよいが、液体窒素や冷却したアルコール等を用いた急速冷凍(急速凍結)法を用いて行うのが好ましい。また、素材を急速に冷凍することが可能な冷凍装置を用いることも可能である。かかる方法を用いることにより、軟質化動物性素材中における氷結晶の発生を的確に抑制または防止することができるため、この冷凍された軟質化動物性素材を解凍した際に、形状が変化してしまったり、離水が生じるのをより効果的に防止することができる。
軟質化動物性素材を急速冷凍する際の温度は、−20℃以下であるのが好ましく、−25℃以下であるのがより好ましい。これにより、軟質化動物性素材を冷凍する際に、軟質化動物性素材に氷結晶が生成してしまう0〜−5℃の温度領域を比較的短時間(具体的には、15分以内)で通過させることができ、氷結晶の生成がより的確に抑制される。
なお、本発明の軟質化方法では、本実施形態における工程[4]および工程[5]のいずれか1工程を省略してもよい。また、任意の工程が付加されていてもよく、例えば、前記硬化処理工程[1]に先立って、動物性素材中の水分を除去する水分除去工程を付加するようにしても良い。かかる工程を付加することにより、前記硬化処理工程[1]において、動物性素材の硬化を促進させることができる。
この水分除去工程において、水分を除去する方法としては、特に限定されず、例えば、加熱乾燥法、熱風乾燥法、冷風乾燥法、凍結乾燥法、塩蔵法、遠心分離法、油ちょう法および毛細管現象を用いた方法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
その中で、加熱乾燥法は、例えば、密封容器中に動物性素材を封じ、湯煎等により50〜90℃に加熱することにより、水分をドリップとして除去する方法である。
また、熱風乾燥法または冷風乾燥法は、例えば、10〜120℃の空気を吹き付けることにより、水分を蒸発させ除去する方法である。
凍結乾燥法は、例えば、動物性素材を−20〜−80℃程度まで冷却凍結した後、減圧することにより、動物性素材中の水分を昇華させ除去する方法である。
塩蔵法は、例えば、5%以上の食塩水や、食塩と水を混合したスラリーに動物性素材を接触させることにより、水分を除去する方法である。
遠心分離法は、例えば、遠心脱水機等の装置を用いて、かご状の容器中に動物性素材を配置させた状態で、この容器を回転運動させることにより、動物性素材中の水分を除去する方法である。
油ちょう法は、例えば、70〜180℃程度に加熱した食用油脂中で動物性素材を加熱することにより、水分を蒸発させて除去する方法である。
さらに、毛細管現象を用いた方法は、例えば、キッチンペーパーを重層し、これらの間に動物性素材を挟み込むことにより、動物性素材中の水を除去する方法である。
また、前記工程[3]において用いられる、酵素処理液、酸溶液およびアルカリ溶液に、前述したような調味剤が含まれない場合には、前記工程[3]または前記工程[4]の後に、前記調味剤を含む調味液を用いて調味する調味工程を施すようにしてもよい。
以上の工程を経て、冷凍状態の本発明の軟質化動物性食材が得られる。
このようにして得られた軟質化動物性食材は、このものを解凍した際に、軟質化前の動物性素材とほぼ等しい形状をなしている。
また、かかる軟質化動物性食材は、十分に軟質化されているうえに、ジューシー感や肉質感のような食感もよく、風味等の漏出も確実に防止されている。
このため、高齢者や咀嚼・嚥下困難者に対して、食欲の増進を促し、美味しく食することが期待できるとともに、容易に飲み込むことができる。
かかる軟質化動物性食材は、解凍したときすなわち冷凍されていない状態で、厚生労働省で規定の「えん下困難者用食品の試験方法」にしたがって測定した圧縮応力が好ましくは1×10N/m以下に、より好ましくは5×10N/m以下になっている。このような数値を満たすことにより、前述の高齢者や患者でも、確実に軟質化動物性食材を咀嚼し、飲み込むことが可能となる。
さらに、このような軟質化動物性食材を、かたさや食感等にバラツキを生じることなく、効率よく複数個製造することができる。
以上、本発明の軟質化方法および軟質化動物性食材を前記実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、本発明の軟質化方法は、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.硬化処理工程の有無、穴開け処理工程の有無の検討
1−1.酵素処理液の調整
(酵素処理液1)
たん白質分解酵素としてパパインおよびブロメラインを用意し、これらの含有量が、それぞれ、0.1wt%および0.001wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液1を調製した。なお、この酵素処理液1のpHは、6であった。
1−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例および各比較例において、酵素処理液1を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(実施例1A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてエビ(平均重量約8〜10g)を用意し、このエビを5分、75℃、100%RHの条件で蒸すことで、芯温が70℃となるまで加熱して、エビを硬化させた。
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いて穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、エビに対して1穴/5.2mm×5.2mmのピッチで行った。
<3>加水分解処理工程
次に、エビを予め調製した酵素処理液1中に浸漬することで、エビに含まれるたん白質を加水分解させることにより、エビを軟質化させた。なお、この酵素処理液1中へのエビの浸漬は、4℃で20時間行った。
<4>加熱処理工程
次に、エビを、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間40分の条件で加熱した後、さらに庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
<5>冷凍処理工程
次に、エビ(軟質化されたエビ)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(実施例1B)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの酵素処理液1中への浸漬を、4℃、減圧下(95%以上(大気圧を1013hPaとしたとき、50.65hPa以下まで減圧すること))の条件で、5分間行ったこと以外は、前記実施例1Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(実施例1C)
前記硬化処理工程<1>を、エビをpH3の酸溶液中に、4℃、1時間の条件で酸処理して、エビを硬化させたこと以外は、前記実施例1Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(実施例1D)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの酵素処理液1中への浸漬を、4℃、減圧下(95%以上)の条件で、5分間行ったこと以外は、前記実施例1Cと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(実施例1E)
前記硬化処理工程<1>を、エビをpH10のアルカリ溶液中に、4℃、1時間の条件でアルカリ処理して、エビを硬化させたこと以外は、前記実施例1Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(実施例1F)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの酵素処理液1中への浸漬を、4℃、減圧下(95%以上)の条件で、5分間行ったこと以外は、前記実施例1Eと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(比較例1A)
前記硬化処理工程<1>を、省略したこと以外は、前記実施例1Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(比較例1B)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの酵素処理液1中への浸漬を、4℃、減圧下(95%以上)の条件で、5分間行ったこと以外は、前記比較例1Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(比較例1C)
前記穴開け工程<2>を、省略したこと以外は、前記実施例1Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(比較例1D)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの酵素処理液1中への浸漬を、4℃、減圧下(95%以上)の条件で、5分間行ったこと以外は、前記比較例1Cと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
1−3.評価
各実施例および各比較例の冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を以下に示す1−3−1〜1−3−3の各種項目について評価した。
1−3−1.かたさ
解凍したエビ(軟質化動物性食材;試料)を食し、その際に感じられたかたさを、「5:舌で容易に潰せる、4:舌で崩せる、3:やや力は要るが舌で崩せる、2:食べるのに歯が必要、1:常食並み」の5段階の基準にしたがって評価した。かかる食感の評価を、10名のパネラーについて実施し、各パネラーから得られた評価結果の平均値を求めた。
1−3−2.外観
解凍したエビ(軟質化動物性食材;試料)の外観を、「5:常食と同じ、4:やや変化があるがほぼ常食、3:変化があるがほぼ常食、2:許容できない変化がある、1:形がない、溶けている」の5段階の基準にしたがって評価した。なお、エビの外観は、色、形、大きさ(高さ)、穴の目立ちの5項目について評価した。かかる外観の評価を、10名のパネラーについて実施し、各パネラーから得られた評価結果の平均値を求めた。
1−3−3.なめらかさ
解凍したエビ(軟質化動物性食材;試料)を食し、その際に感じられたなめらかさを、「5:非常になめらか、4:なめらか、3:ややざらつくが概ねなめらか、2:ざらつきが目立つ、1:ざらつく、粉っぽい」の5段階の基準にしたがって評価した。かかるなめらかさの評価を、10名のパネラーについて実施し、各パネラーから得られた評価結果の平均値を求めた。
1−3−4.総合評価
1−3−1〜1−3−3で評価したかたさ、外観およびなめらかさの各々の評価結果の平均値について、全て4点以上である場合を「◎製品として非常に適している」、全て2.5点以上である場合を「○製品として適する」、1つが2.5未満である場合を「△製品としてやや不適」、2つ以上2.5未満である場合を「×製品として不適」として、総合的に評価した。
これらの結果を表1に示す。
Figure 2016021921
表1から明らかなように、各実施例では、硬化処理工程<1>、穴開け工程<2>および加水分解処理工程<3>を施すことで、外観およびなめらかさを維持しつつ、動物性素材を軟質化し得ることが判った。さらに、複数の動物性素材において、ムラなく軟質化することができた。これに対して、各比較例では、硬化処理工程<1>および穴開け工程<2>のうちいずれか一方を省略することで、十分に動物性素材の軟質化がなされない結果となった。
2.硬化処理(加熱処理)工程における加熱温度の検討
2−1.酵素処理液の調整
(酵素処理液2)
たん白質分解酵素としてパパインおよびブロメラインを用意し、これらの含有量が、それぞれ、0.2wt%および0.002wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液2を調製した。なお、この酵素処理液2のpHは、6であった。
2−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、酵素処理液2を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(実施例2A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてエビ(平均重量約8〜10g)を用意し、このエビを100%RHの条件で蒸すことで、芯温が50℃となるまで加熱して、エビを硬化させた。
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いて穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、エビに対して1穴/5.2mm×5.2mmのピッチで行った。
<3>加水分解処理工程
次に、エビを予め調製した酵素処理液2(浸漬液)中に浸漬することで、エビに含まれるたん白質を加水分解させることにより、エビを軟質化させた。なお、この酵素処理液2中へのエビの浸漬は、4℃で20時間行った。
<4>加熱処理工程
次に、エビを、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間40分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
<5>冷凍処理工程
次に、エビ(軟質化されたエビ)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(実施例2B〜2F)
前記硬化処理工程<1>における、エビを蒸すことによる加熱を、芯温が表2に示す温度となるまで実施したこと以外は、前記実施例2Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(実施例2G)
前記硬化処理工程<1>における、エビの加熱を、飽和蒸気圧調理器(三浦工業社製、「スチームマイスターCK−20EL」)を用いて飽和蒸気圧下でエビをホテルパン上で加熱し、その芯温が130℃となるまで実施したこと以外は、前記実施例2Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
2−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているエビの軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表2に示す。
Figure 2016021921
表2から明らかなように、前記硬化(加熱)処理工程<1>において、エビの芯温が60〜90℃になるまで加熱すること(実施例2B〜2E)で、他の実施例と比較して、エビの軟質化が良好になされることが判った。
3.硬化処理(加熱処理)工程における加熱手段の検討
3−1.酵素処理液の調整
(酵素処理液3)
たん白質分解酵素としてパパインおよびブロメラインを用意し、これらの含有量が、それぞれ、0.2wt%および0.002wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液3を調製した。なお、この酵素処理液3のpHは、6であった。
3−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、酵素処理液3を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(実施例3A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてとり皮(平均重量約20g)を用意し、このとり皮を100%RHの条件で蒸すことで、芯温が60℃となるまで加熱して、とり皮を硬化させた。
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてとり皮の穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、とり皮に対して1穴/5.2mm×5.2mmのピッチで行った。
<3>加水分解処理工程
次に、とり皮を予め調製した酵素処理液3(浸漬液)中に浸漬することで、とり皮に含まれるたん白質を加水分解させることにより、とり皮を軟質化させた。なお、この酵素処理液3中へのとり皮の浸漬は、4℃で15時間行った。
<4>加熱処理工程
次に、とり皮を、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間40分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
<5>冷凍処理工程
次に、とり皮(軟質化されたとり皮)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
(実施例3B〜3H)
前記硬化処理工程<1>における、とり皮を加熱する手段を、表3に示す方法に変更したこと以外は、前記実施例3Aと同様にして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
3−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているとり皮の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表3に示す。
Figure 2016021921
表3から明らかなように、前記硬化(加熱)処理工程<1>における加熱手段によらず、とり皮の軟質化がなされることが判ったが、特に加熱手段として蒸す方法を選択すること(実施例3A、3B)で、他の実施例と比較して、とり皮の軟質化がより良好になされることが判った。
4.加水分解処理工程における加水分解処理の種類の検討
4−1.処理液の調整
(酵素処理液4A)
たん白質分解酵素としてパパインおよびブロメラインを用意し、これらの含有量が、それぞれ、0.05wt%および0.001wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液4Aを調製した。なお、この酵素処理液4AのpHは、6であった。
(アルカリ溶液4B)
pH調整剤としてグリシンおよび水酸化ナトリウムを用意し、グリシンの含有量が0.05Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解してアルカリ溶液4Bを調製した。なお、この際、アルカリ溶液4BのpHを10.5に調製した。
(アルカリ溶液4C)
pH調整剤として炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が0.05Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解してアルカリ溶液4Cを調製した。なお、この際、アルカリ溶液4CのpHを10.5に調製した。
(酸溶液4D)
pH調整剤としてクエン酸およびクエン酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が0.05Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液4Dを調製した。なお、この際、酸溶液4DのpHを2.5に調製した。
(酸溶液4E)
pH調整剤として塩酸、酢酸および酢酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が0.05Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液4Eを調製した。なお、この際、酸溶液4EのpHを2.5に調製した。
(酸溶液4F)
pH調整剤としてグリシンおよび塩酸を用意し、グリシンの含有量が0.05Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液4Fを調製した。なお、この際、酸溶液4FのpHを2.5に調製した。
(酵素処理液4G)
たん白質分解酵素としてパパインおよびブロメラインを用意し、これらの含有量が、それぞれ、0.05wt%および0.001wt%となるように、また、pH調整剤としてグリシンおよび水酸化ナトリウムを用意し、グリシンの含有量が0.05Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液4Gを調製した。なお、この酵素処理液4GのpHは、10.5に調製した。
(アルカリ溶液4H)
pH調整剤としてグリシンおよび水酸化ナトリウムを用意し、グリシンの含有量が0.3Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解してアルカリ溶液4Hを調製した。なお、この際、アルカリ溶液4HのpHを10.5に調製した。
(酸溶液4I)
pH調整剤としてクエン酸およびクエン酸ナトリウムを用意し、クエン酸の含有量が0.3Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液4Iを調製した。なお、この際、酸溶液4IのpHを2.5に調製した。
4−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、各種処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(実施例4A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてエビ(平均重量約8〜10g)を用意し、このエビを100%RHの条件で蒸すことで、芯温が75℃となるまで加熱して、エビを硬化させた。
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いて穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、エビに対して1穴/5.2mm×5.2mmのピッチで行った。
<3>加水分解処理工程
次に、エビを予め調製した酵素処理液4A(浸漬液)中に浸漬することで、エビに含まれるたん白質を加水分解させることにより、エビを軟質化させた。なお、この酵素処理液4A中へのエビの浸漬は、4℃で20時間行った。
<4>加熱処理工程
次に、エビを、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間40分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
<5>冷凍処理工程
次に、エビ(軟質化されたエビ)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(実施例4B)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの加水分解を、アルカリ溶液4B(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例4Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(実施例4C)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの加水分解を、アルカリ溶液4C(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例4Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(実施例4D)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの加水分解を、酸溶液4D(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例4Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(実施例4E)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの加水分解を、酸溶液4E(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例4Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(実施例4F)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの加水分解を、酸溶液4F(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例4Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(実施例4G)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの加水分解を、酵素処理液4G(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例4Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(実施例4H)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてエビ(平均重量約8〜10g)を用意し、このエビを予め調製したアルカリ溶液4H(浸漬液)中に浸漬することで硬化させた。なお、このアルカリ溶液4H中へのエビの浸漬は、4℃で60分行った。
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いて穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、エビに対して1穴/5.2mm×5.2mmのピッチで行った。
<3>加水分解処理工程
次に、エビを、再度、アルカリ溶液4H(浸漬液)中に浸漬することで、エビに含まれるたん白質を加水分解させることにより、エビを軟質化させた。なお、このアルカリ溶液4H中へのエビの浸漬は、4℃で20時間行った。
<4>加熱処理工程
次に、エビを、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間40分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
実施例4Hは相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間120分の条件で加熱した。
(実施例4I)
アルカリ溶液4Hの代わりに酸溶液4Iを使用した以外は、前記実施例4Hと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
<5>冷凍処理工程
次に、エビ(軟質化されたエビ)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
4−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているエビの軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表4に示す。
Figure 2016021921
表4から明らかなように、前記加水分解処理工程<3>における加水分解処理の種類によらず、エビの軟質化がなされることが判ったが、特に、加水分解処理としてたん白質分解酵素存在下でアルカリ処理を施す方法を選択すること(実施例4G)、または、硬化処理工程および加水分解処理工程をともにアルカリ処理を選択すること(実施例4H)で、他の実施例と比較して、エビの軟質化がより良好になされることが判った。
5.加水分解処理工程における各種処理液の濃度の検討
5−1.処理液の調整
(酵素処理液5A)
たん白質分解酵素としてパパインを用意し、その含有量が、0.001wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液5Aを調製した。なお、この酵素処理液5AのpHは、6であった。
(酵素処理液5B)
たん白質分解酵素としてパパインを用意し、その含有量が、0.5wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液5Bを調製した。なお、この酵素処理液5BのpHは、6であった。
(アルカリ溶液5C)
pH調整剤としてグリシンおよび水酸化ナトリウムを用意し、グリシンの含有量が0.01Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解してアルカリ溶液5Cを調製した。なお、この際、アルカリ溶液5CのpHを10.5に調製した。
(アルカリ溶液5D)
pH調整剤としてグリシンおよび水酸化ナトリウムを用意し、グリシンの含有量が1.0Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解してアルカリ溶液5Dを調製した。なお、この際、アルカリ溶液5DのpHを10.5に調製した。
(酸溶液5E)
pH調整剤としてクエン酸およびクエン酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が0.01Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液5Eを調製した。なお、この際、酸溶液5EのpHを2.5に調製した。
(酸溶液5F)
pH調整剤としてクエン酸およびクエン酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が1.0Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液5Fを調製した。なお、この際、酸溶液5FのpHを2.5に調製した。
5−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、各種処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(実施例5A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてタコスライス(平均重量約5g、厚さ5mm)を用意し、このタコスライスを100%RHの条件で蒸すことで、芯温が75℃となるまで加熱して、タコスライスを硬化させた。
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてタコスライスの穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、タコスライスに対して1穴/3.2mm×3.2mmのピッチで行った。
<3>加水分解処理工程
次に、タコスライスを予め調製した酵素処理液5A(浸漬液)中に浸漬することで、タコスライスに含まれるたん白質を加水分解させることにより、タコスライスを軟質化させた。なお、この酵素処理液5A中へのタコスライスの浸漬は、4℃で20時間行った。
<4>加熱処理工程
次に、タコスライスを、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間30分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
<5>冷凍処理工程
次に、タコスライス(軟質化されたタコスライス)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
(実施例5B)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、酵素処理液5B(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例5Aと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
(実施例5C)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、アルカリ溶液5C(浸漬液)中に浸漬することで行い、加熱を飽和蒸気圧調理器(三浦工業社製、「スチームマイスター CK−20EL」)を用いて飽和蒸気圧下で庫内120℃、30分加熱処理したこと以外は、前記実施例5Aと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
(実施例5D)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、アルカリ溶液5D(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例5Cと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
(実施例5E)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、酸溶液5E(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例5Cと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
(実施例5F)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、酸溶液5F(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例5Cと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
5−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているタコスライスの軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表5に示す。
Figure 2016021921
表5から明らかなように、前記加水分解処理工程<3>における加水分解処理に用いる処理液(浸漬液)の濃度を適切な範囲に設定すること(実施例5B、5D、5F)で、タコスライスの軟質化が良好になされることが判った。
6.加水分解処理工程における各種処理液の接触方法の検討
6−1.処理液の調整
(酵素処理液6)
たん白質分解酵素としてパパインを用意し、その含有量が、0.3wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液6を調製した。なお、この酵素処理液6のpHは、6であった。
6−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、酵素処理液6を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(実施例6A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてタコスライス(平均重量約5g、厚さ5mm)を用意し、このタコスライスを100%RHの条件で蒸すことで、芯温が75℃となるまで加熱して、タコスライスを硬化させた。
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてタコスライスの穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、タコスライスに対して1穴/3.2mm×3.2mmのピッチで行った。
<3>加水分解処理工程
次に、タコスライスに予め調製した酵素処理液6(塗布液)を塗布することで、タコスライスに含まれるたん白質を加水分解させることにより、タコスライスを軟質化させた。なお、この酵素処理液6によるタコスライスの塗布は塗布後20時間4℃で静置した。
<4>加熱処理工程
次に、タコスライスを、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間30分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
<5>冷凍処理工程
次に、タコスライス(軟質化されたタコスライス)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
(実施例6B)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、酵素処理液6(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例6Aと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
(実施例6C)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、タコスライスに酵素処理液6(塗布液)を塗布した後、4℃、減圧(95%以上)の条件で、5分間減圧下としたことで行い、20時間4℃で静置したこと以外は、前記実施例6Aと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
(実施例6D)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、酵素処理液6(噴霧液)を噴霧し、その後20時間4℃で静置したこと以外は、前記実施例6Aと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
(実施例6E)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、酵素を粉まぶしし、その後20時間4℃で静置したこと以外は、前記実施例6Aと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
6−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているタコスライスの軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表6に示す。
Figure 2016021921
表6から明らかなように、前記加水分解処理工程<3>における酵素処理液の接触方法(供給方法)によらず、タコスライスの軟質化がなされることが判ったが、特に、接触方法として浸漬法を選択すること(実施例6B)で、他の実施例と比較して、タコスライスの軟質化がより良好になされることが判った。
7.加水分解処理工程における浸漬液中への浸漬時間の検討
7−1.処理液の調整
(酵素処理液7)
たん白質分解酵素としてパパインを用意し、その含有量が、0.30wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液7を調製した。なお、この酵素処理液7のpHは、6であった。
7−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、酵素処理液7を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(実施例7A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてトリムネスライス(平均重量約10g、厚さ2mm)を用意し、このトリムネスライスを100%RHの条件で蒸すことで、芯温が60℃となるまで加熱して、トリムネスライスを硬化させた。
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてトリムネスライスの穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、トリムネスライスに対して1穴/3.7mm×3.7mmのピッチで行った。
<3>加水分解処理工程
次に、トリムネスライスを予め調製した酵素処理液7(浸漬液)中に浸漬することで、トリムネスライスに含まれるたん白質を加水分解させることにより、トリムネスライスを軟質化させた。なお、この酵素処理液7によるトリムネスライスの浸漬は、4℃で5時間行った。
<4>加熱処理工程
次に、トリムネスライスを、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間40分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
<5>冷凍処理工程
次に、トリムネスライス(軟質化されたトリムネスライス)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のトリムネスライスの軟質化動物性食材を得た。
(実施例7B〜7D)
前記加水分解処理工程<3>における、トリムネスライスの酵素処理液7(浸漬液)中への浸漬時間を、表7のように変更したこと以外は、前記実施例7Aと同様にして、冷凍状態のトリムネスライスの軟質化動物性食材を得た。
7−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているトリムネスライスの軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表7に示す。
Figure 2016021921
表7から明らかなように、前記加水分解処理工程<3>において、トリムネスライスの酵素処理液中への浸漬時間を15〜30時間に設定すること(実施例7B、7C)で、他の実施例と比較して、トリムネスライスの軟質化が、その外観およびなめらかさが維持されつつ、良好になされることが判った。
8.加熱処理工程における加熱条件の検討
8−1.処理液の調整
(酸溶液8A)
pH調整剤としてクエン酸およびクエン酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が0.1Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液8Aを調製した。なお、この際、酸溶液8AのpHを2.5に調製した。
(酵素処理液8C)
たん白質分解酵素としてブロメラインを用意し、その含有量が、0.10wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液8Cを調製した。なお、この酵素処理液8CのpHは、6であった。
8−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、各種処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(実施例8A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてとり皮(平均重量約20g)を用意し、このとり皮を100%RHの条件で蒸すことで、芯温が60℃となるまで加熱して、とり皮を硬化させた。
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてとり皮の穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、とり皮に対して1穴/3.7mm×3.7mmのピッチで行った。
<3>加水分解処理工程
次に、とり皮を予め調製した酸溶液8A(浸漬液)中に浸漬することで、とり皮に含まれるたん白質を加水分解させることにより、とり皮を軟質化させた。なお、この酸溶液8Aによるとり皮の浸漬は、4℃で20時間行った。
<4>加熱処理工程
次に、とり皮を、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間120分の条件で加熱した。
<5>冷凍処理工程
次に、とり皮(軟質化されたとり皮)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
(実施例8B)
前記加熱処理工程<4>におけるとり皮の加熱を、ビーカー中に水とサンプルを入れ、飽和蒸気圧調理器(三浦工業社製、「スチームマイスターCK−20EL」)を用いて飽和蒸気圧下で芯温130℃となり、さらにその1分後まで茹でて加熱処理したこと以外は、前記実施例8Aと同様にして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
(実施例8C)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてとり皮(平均重量約20g)を用意し、このとり皮を100%RHの条件で蒸すことで、芯温が60℃となるまで加熱して、とり皮を硬化させた。
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてとり皮の穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、とり皮に対して1穴/3.7mm×3.7mmのピッチで行った。
<3>加水分解処理工程
次に、とり皮を予め調製した酵素処理液8C(浸漬液)中に浸漬することで、とり皮に含まれるたん白質を加水分解させることにより、とり皮を軟質化させた。なお、この酵素処理液8Cによるとり皮の浸漬は、4℃で20時間行った。
<4>加熱処理工程
次に、とり皮を、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度50℃、加熱時間30分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度100℃の条件で芯温100℃となり、さらにその1分後まで加熱した。
<5>冷凍処理工程
次に、とり皮(軟質化されたとり皮)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
(実施例8D)
前記加熱処理工程<4>におけるとり皮の加熱を、ビーカー中に水とサンプルを入れ、飽和蒸気圧調理器(三浦工業社製、「スチームマイスター CK−20EL」)を用いて飽和蒸気圧下で芯温130℃となり、さらにその1分後まで茹でて加熱処理したこと以外は、前記実施例8Cと同様にして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
8−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているとり皮の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表8に示す。
Figure 2016021921
表8から明らかなように、前記加熱処理工程<4>において、とり皮の加熱を適切な条件で実施すること(実施例8A)で、他の実施例と比較して、とり皮の軟質化が、その外観およびなめらかさが維持されつつ、良好になされることが判った。
9.軟質化する食材の種類の検討
9−1.処理液の調整
(酵素処理液9)
たん白質分解酵素としてパパインおよびブロメラインを用意し、これらの含有量が、それぞれ、0.01wt%および0.001wt%となるように、また、pH調整剤として炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が0.5Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液9を調製した。なお、この酵素処理液9のpHは、9.5に調製した。
9−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、酵素処理液9を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(実施例9A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてエビ(平均重量約8〜10g)を用意し、このエビを100%RHの条件で蒸すことで、芯温が60℃となるまで加熱して、エビを硬化させた。
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてエビの穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、エビに対して1穴/5.2mm×5.2mmのピッチで行った。
<3>加水分解処理工程
次に、エビを予め調製した酵素処理液9(浸漬液)中に浸漬することで、エビに含まれるたん白質を加水分解させることにより、エビを軟質化させた。なお、この酵素処理液9によるエビの浸漬は、4℃で20時間行った。
<4>加熱処理工程
次に、エビを、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間40分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
<5>冷凍処理工程
次に、エビ(軟質化されたエビ)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
(実施例9B〜9E)
軟質化する動物性素材として、表9に示すものを用いたこと以外は、前記実施例9Aと同様にして、冷凍状態の軟質化動物性食材を得た。
9−3.評価
各実施例の冷凍状態となっている軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表9に示す。
Figure 2016021921
表9から明らかなように、各種の動物性素材について、その軟質化が、外観およびなめらかさが維持されつつ、良好になされることが判った。
10.調味工程の検討
10−1.処理液の調整
(酸溶液10)
pH調整剤としてクエン酸およびクエン酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が0.05Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液10を調製した。なお、この際、酸溶液10のpHを2.5に調製した。
10−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、酸溶液10を用いて軟質化動物性食材を製造した。
(実施例10A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてとり皮(平均重量約20g)を用意し、このとり皮を100%RHの条件で蒸すことで、芯温が60℃となるまで加熱して、とり皮を硬化させた。
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてとり皮の穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、とり皮に対して1穴/3.7mm×3.7mmのピッチで行った。
<3>加水分解処理工程
次に、とり皮を予め調製した酸溶液10(浸漬液)中に浸漬することで、とり皮に含まれるたん白質を加水分解させることにより、とり皮を軟質化させた。なお、この酸溶液10によるとり皮の浸漬は、4℃で20時間行った。
<4−1>加熱処理工程
次に、とり皮を、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間60分の条件で加熱した。
<4−2>調味工程
次に、とり皮に、調味液として、めんつゆ(2倍濃縮 ヤマキ)を3倍希釈し調味剤として塗布することで、味付けを施した。
<5>冷凍処理工程
次に、とり皮(軟質化されたとり皮)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
(実施例10B)
前記工程<4−2>を省略し、前記加熱処理工程<4−1>を、めんつゆ(2倍濃縮 ヤマキ)を3倍希釈したものを調味剤として添加されたゆで汁中で、90℃、60分の条件でゆでることに変更したこと以外は、前記実施例10Aと同様にして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
(実施例10C)
前記工程<4−2>を省略し、前記加水分解処理工程<3>で用いる酸溶液10中に、めんつゆ(2倍濃縮 ヤマキ)を調味剤として添加し、さらに前記加熱処理工程<4−1>をゆで汁中で、40℃、60分の条件でゆでることに変更したこと以外は、前記実施例10Aと同様にして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
10−3.評価
各実施例の冷凍状態となっている軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価し、さらに、以下に示す10−3−1のおいしさについて評価した。
10−3−1.おいしさ
解凍したとり皮(軟質化動物性食材;試料)を食し、その際に感じられた味を、「5:素材の味が強くする、4:素材の味がする、3:素材以外の味があるが許容できる、2:やや苦み、異味がある、1:苦み、異味がある」の5段階の基準にしたがって評価した。かかるおいしさの評価を、10名のパネラーについて実施し、各パネラーから得られた評価結果の平均値を求めた。
これらの結果を表10に示す。
Figure 2016021921
表10から明らかなように、調味剤の添加時期によらず、とり皮の軟質化がなされることが判ったが、特に調味剤の添加を加水分解処理<3>の後に実施すること(実施例10A、10B)で、実施例10Cと比較して、とり皮の軟質化がより良好になされることが判った。
11.穴開け処理工程における穴開け(テンダライズ)するピッチの検討
(酸溶液11A)
pH調整剤としてクエン酸およびクエン酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が0.1Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液11Aを調製した。なお、この際、酸溶液11AのpHを2.7に調製した。
11−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、酸溶液11Aを用いて軟質化動物性食材を製造した。
(実施例11A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてとり皮(平均重量約20g)を用意し、このとり皮を100%RHの条件で蒸すことで、芯温が60℃となるまで加熱して、とり皮を硬化させた。
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてとり皮の穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、とり皮に対して1穴/6.0mm×6.0mmのピッチで行った。
<3>加水分解処理工程
次に、とり皮を予め調製した酸溶液11A(浸漬液)中に浸漬することで、とり皮に含まれるたん白質を加水分解させることにより、とり皮を軟質化させた。なお、この酸溶液11Aによるとり皮の浸漬は、4℃で20時間行った。
<4>加熱処理工程
次に、とり皮を、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間60分の条件で加熱した。
<5>冷凍処理工程
次に、とり皮(軟質化されたとり皮)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
(実施例11B)
前記穴開け工程<2>における、テンダライズ装置を用いたとり皮の穴開けを、とり皮に対して1穴/5.2mm×5.2mmのピッチで行ったこと以外は、前記実施例11Aと同様にして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
(実施例11C)
前記穴開け工程<2>における、テンダライズ装置を用いたとり皮の穴開けを、とり皮に対して1穴/4.5mm×4.5mmのピッチで行ったこと以外は、前記実施例11Aと同様にして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
11−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているとり皮の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表11に示す。
Figure 2016021921
表11から明らかなように、前記穴開け工程<2>において、とり皮に対する穴開けを適切な大きさで実施すること(実施例11B、C)で、他の実施例と比較して、とり皮の軟質化が、その外観およびなめらかさが維持されつつ、良好になされることが判った。

Claims (9)

  1. 食肉または魚介類からなる動物性素材を軟質化する軟質化方法であって、
    前記動物性素材に含まれるたん白質を変性させることで、動物性素材を硬化させる硬化処理工程と、
    硬化した前記動物性素材を穴開けする穴開け処理工程と、
    穴開けされた前記動物性素材に処理液を接触させることで、前記たん白質を加水分解する加水分解処理工程と、を有することを特徴とする軟質化方法。
  2. 前記硬化処理工程は、前記動物性素材を加熱することで、前記たん白質を熱変性させる加熱処理工程、前記動物性素材を酸に接触させることで、前記たん白質を酸変性させる酸処理工程または前記動物性素材をアルカリに接触させることで、たん白質をアルカリ変性させるアルカリ処理工程である請求項1に記載の軟質化方法。
  3. 前記穴開け処理工程において、前記動物性素材に対し、1本以上の針状をなす刃を、硬化した前記動物性素材に突き刺すテンダライズ処理法が用いられる請求項1または2に記載の軟質化方法。
  4. 前記加水分解処理工程は、穴開けされた前記動物性素材を、たん白質分解酵素を含有する酵素処理液に接触させる酵素処理工程、酸性を示す酸溶液に接触させる酸処理工程、または、アルカリ性を示すアルカリ溶液に接触させるアルカリ処理工程である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の軟質化方法。
  5. 前記加水分解処理工程において、穴開けされた前記動物性素材を、前記処理液中に浸漬する浸漬法を用いて、穴開けされた前記動物性素材に前記処理液を接触させる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の軟質化方法。
  6. 前記加水分解処理工程の後に、前記たん白質が加水分解された前記動物性素材を加熱する加熱処理工程を有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の軟質化方法。
  7. 前記加熱処理工程における加熱温度は、50℃以上、130℃以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の軟質化方法。
  8. 前記動物性素材を、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の軟質化方法により軟質化してなることを特徴とする軟質化動物性食材。
  9. 前記軟質化動物性食材は、「特別用途食品の表示許可等について(食安発第0212001号、厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、平成21年2月12日)」に記載の「えん下困難者用食品の試験方法」を遵守して測定した圧縮応力が1×10N/m以下である請求項8に記載の軟質化動物性食材。
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