JPH09570A - 姿勢変換装置および姿勢変換方法 - Google Patents

姿勢変換装置および姿勢変換方法

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JPH09570A
JPH09570A JP7248962A JP24896295A JPH09570A JP H09570 A JPH09570 A JP H09570A JP 7248962 A JP7248962 A JP 7248962A JP 24896295 A JP24896295 A JP 24896295A JP H09570 A JPH09570 A JP H09570A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 適用できる患者の範囲を拡大することのでき
る姿勢変換装置および方法を提供する。 【解決手段】 姿勢変換装置Aは、キャスタ14を備え
たフレーム2を有し、フレーム2に、ねじ駆動機構82
により揺動させられるアーム20と、膝パッド40と、
高さ調整可能な足台手段42とが設けられている。アー
ム20は、互いに平行に延びる上下のロッド24、26
で構成され、これらロッド24、26は平行リングを構
成している。アーム20の揺動中心(24a、26a)
は、座位姿勢の患者Bの腹部の高さ位置に設置されてい
る。アーム20には、アームの延び方向に移動自在なス
ライダ116が設けられ、スライダ116にはフック1
18が設けられている。また、アーム20の先端に前傾
して取付けられた胸パッド28にはフック34が設けら
れている。患者Bに装着したスリング100は、上側ア
ーム部104が胸パッド28のフック34に係止され、
下側アーム部106がスライダ116のフック118に
係止され、これにより患者Bと装置Aとが一体化にな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、身体不自由者、
特に自力で立ち上がることが困難な患者に適用される姿
勢変換装置および姿勢変換方法に関し、より詳しくは、
座位姿勢の患者を立位姿勢にさせ、また、立位姿勢から
座位姿勢に戻すことに関する。
【0002】
【従来の技術】近時の老人医療問題において、寝たきり
老人を自立させることの重要性が認識され始めている。
このことは、例えば交通事故等で脊椎等を損傷して身体
不自由者になってしまった患者にとっても同じことであ
る。立位姿勢をとることが一生できないと考えている寝
たきりの患者にとって、例え補助機器を用いたにして
も、介護者に多大な介護負担をかけずに立位姿勢をとる
ことができたときの喜び或いはトイレに行って排泄行為
をすることの喜び、ベッドから車椅子に移乗して移動で
きることの喜びは、健康な者には想像もできない程のも
のがある。
【0003】このような要請に応じるための装置とし
て、デンマーク国のエルゴエイドデンマーク(Ergo Aid
Denmark)社の「Patient Mover 」(商品名)が知られて
いる。この「Patient Mover 」は、キャスタ付きフレー
ムに取付けられて水平軸を中心に垂直平面内で回動可能
なアームと、アームを動かすための駆動手段と、フレー
ムに取付けられた膝パッドとを有している。また、アー
ムの自由端には、患者の両脇を通って患者の背部を後方
から支えるスリング部材が取付けられており、座位姿勢
の患者にスリング部材を装着した後、シリンダを作動さ
せてアームを立ち上げることにより、座位姿勢の患者を
起立させる構成となっている。
【0004】この装置によれば、自力で立ち上がること
が困難な患者に立位姿勢をとらせることができる。ま
た、介護者は、姿勢変換装置に患者を乗せた状態でその
ままトイレ等まで移動させ、便器の前で立位姿勢から座
位姿勢に戻して、患者を便器に座らせることができる。
このことから、寝たきりの患者にとって、この装置は福
音と呼べる待望の装置であり、また、立ち上がることに
よって下肢の機能低下を防止できるというリハビリ機能
を併せ持つ装置であるといえる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の装置による患者
の立ち上がり動作を観察すると、従来の装置は、患者の
背中に回したサポート部材で患者を吊り上げるという考
えに基づくものと言える。すなわち、従来の装置は、膝
パッドで患者の膝を支えながら、上半身を引き上げるこ
とによって、患者を立たせる構成となっており、したが
って、患者は、背中を支えるサポート部材に身を預け、
後方に重心を残しながら起立する動作が強要されてい
た。
【0006】しかしながら、このような立ち上がり動作
は極めて不自然であり、このため患者は最終的な立位姿
勢をとるまでの移行過程で違和感あるいは不安感を覚え
るものとなっていた。すなわち、この移行過程では、人
間にとって極めて不自然な姿勢である、後ろに傾いた仰
向けの姿勢が強要されていた。このようなことから、従
来の装置の適用対象は、主に、少なくとも下半身のかな
りしっかりした患者を制限されており、例えば膝関節が
硬化した患者は適用対象外とせざるを得ないのと考えら
れていた。
【0007】そこで、本発明の目的は、適用できる患者
の範囲を拡大することのできる姿勢変換装置および姿勢
変換方法を提供することにある。本発明の他の目的は、
患者に違和感を覚えさせることなく、極力自然な動作で
患者を立たせることのできる姿勢変換装置および姿勢変
換方法を提供することにある。本発明の他の目的は、例
えば膝関節の硬化など患者の身体の具合に応じた立位姿
勢をとらせることのできる姿勢変換装置および姿勢変換
方法を提供することにある。
【0008】
【本発明の概要】人間の自然な立ち上がり動作を見てみ
ると、上半身を若干前傾させた状態を維持し且つ膝を若
干前方にスライド移動させながら立ち上がり動作を行っ
ている。このような自然な立ち上がり動作を約束する上
で何が必要かについて本願発明者は鋭意研究した結果、
次の点を見い出した。すなわち、従来の装置では患者の
背中を支える構成となっているため、これに支えられる
患者としては前傾姿勢をとることが基本的に不可能であ
る。逆に、患者の胸を支えるようにすれば、これに身体
を預ける患者の姿勢は、必然的に、前傾姿勢になる。
【0009】このような認識に基づき、上述した技術的
課題を達成すべく、本発明の姿勢変換装置にあっては、
基本的には、患者の胸、膝を支えながら立たせるように
してある。具体的には、水平軸を中心に垂直平面内で揺
動するアームと、該アームの先端に取付けられ、患者の
両脇から背中にわたって延びる患者を支えるための支持
部材と、患者の膝を支える膝パッドとを有する、座位姿
勢の患者を立位姿勢まで姿勢変換させるための装置を前
提として、前記アームの先端に設けられた患者の胸を支
えるための胸パッドと、前記支持部材に設けられ、該支
持部材の実質的な有効長さを調整するための手段とを有
し、該支持部材の有効長さを調整することにより患者の
胸を前記胸パッドに預けさせた後に、前記アームを揺動
させて患者の姿勢変換を行うことを特徴とする。
【0010】上記の構成によれば、胸パッドで患者を支
えるようにしてあるため、これに身体を預ける患者は必
然的に前傾姿勢をとることになる。この前傾姿勢を更に
確実なものにしたければ、胸パッドを前傾させてアーム
に取付ければよい。また、患者が立ち上がる際の膝の前
後動は、膝パッドを弾性で吸収することも可能である
が、膝の前後動を一層積極的に吸収するのであれば、膝
パッドを水平軸を中心に揺動可能にすればよい。この場
合、患者の膝のピボット点が、膝バッドの揺動中心より
も若干上方に位置するように位置決めすることが必要で
ある。この膝の高さ位置を調整するために、高さ調整可
能な患者の足を乗せるための足台を設けるのが好まし
い。これによれば、患者の立ち上がり動作に伴う膝の前
後移動を、膝パッドの揺動で吸収することができる。
【0011】アームの水平軸の高さ位置は、座位姿勢の
患者の胸の高さ位置に設定してもよいが、これよりも低
い高さ位置に設定して、アームの初期立ち上がり動作か
ら患者の胸を下方から押し上げるようにするのが好まし
い。これにより、初期動作段階での患者の前傾姿勢の維
持を確かなものにすることができるという利点がある。
アームの回動中心の具体的な高さ位置としては、座位姿
勢の患者の腹部の高さ位置であってもよく、あるいは、
患者の膝部分の高さ位置であってもよい。また、例え
ば、フレームに含まれる支柱にアームを取付けるように
したときには、この支柱を高さ調整可能に構成して、ア
ームの回動中心の高さ位置を患者の身長に応じて調整す
るようにしてもよい。
【0012】患者を立ち上がらせる手法として、1段階
の工程つまり患者の膝の前後移動を許容しながら膝を支
えると共に患者の胸を支えながら、患者の胸を上方に押
し上げることで、座位姿勢の患者を立ち上がらせるよう
にしてもよく、あるいは、2つの工程つまり、患者の膝
を支えると共に患者の胸を支えながら、患者の下半身を
伸ばす工程と、患者の胸を押し上げて、患者の上半身を
起こす工程とで患者を起立させてもよい。この2つの工
程は、1段階で行ってもよく、時系列的に分けて2段階
で行ってもよい。
【0013】本発明に従う装置および方法によれば、患
者に違和感を与えることなく、座位姿勢と立位姿勢との
間で患者の姿勢を変えることができるだけでなく、胸パ
ッドに胸を預ける形の直立姿勢をとらせることができ
る。加えて、患者は胸を胸パッドに預けているため、装
置を途中で止めることができ、従来の装置では対象外と
されていた患者に対しても適用することができる。した
がって、従来対象外として寝たきりにされていた患者に
とって、仮に自分の能力に見合った立ち上がり姿勢であ
ったとしても、立つこと等の喜びを味わうことができる
だけでなく、生活のなかで下肢機能の維持及びその回復
ができるというリハビリ機器としての意義を提供するこ
とができる。この他、本発明の利点および他の目的は、
以下の好ましい実施例の説明から明らかになろう。
【0014】
【実施の形態】以下に、本発明の好ましい実施の形態を
添付した図面に基づいて説明する。第1の実施の形態(図1ないし図11) 図1は第1実施例の姿勢変換装置Aを斜め前方側から見
た斜視図であり、図2は姿勢変換装置Aの側面図であ
る。この姿勢変換装置Aは、典型的には、自力で立ち上
がることのできない或いは困難な身体不自由者に適用さ
れるものであり、例えばベッド、ポータブル便器、車椅
子等に着座した患者あるいはベッドサイドに端座した患
者を立せて立位姿勢をとらせ、また、立位姿勢の患者を
座位姿勢に戻すのに用いられる。
【0015】姿勢変換装置Aはフレーム2を有し、フレ
ーム2は、基本的には、前後方向に延びる左右一対の基
部4、4と、これら基部4、4の前部同士を連結する下
側横メンバー6と、基部4、4の中央部分同士を部分的
に連結するベースプレート8と、下側横メンバー6の中
央部分から上方に延びる左右一対の支柱10、10と、
これら支柱10、10の上端部同士を連結する上側横メ
ンバー12とで構成されている。装置Aは、これを介護
者が前後左右に自在に移動させることができるようにす
るために、各基部4の前端および後端に、夫々、キャス
タ14を有し、また、上側横メンバー12の中央部に、
前方且つ上方に延びる介護者用把手16を有している。
なお、基部4の前端つまり介護者側端のキャスタ14は
ストッパ付きのキャスタを採用するのが好ましく、これ
により介護者は、装置Aを適当な場所に移動させた後
に、例えば足でストッパ付きキャスタを操作して装置A
を不動にすることができる。
【0016】支柱10は、その上端が座位姿勢の患者の
腹部の高さに位置する程度の長さ寸法を有し、上側横メ
ンバー12の上面には、その中央部に第1のブラケット
18が上方に向けて突設されている。この第1ブラケッ
ト18には、アーム20の基端が回動自在に取り付けら
れており、アーム20の自由端は第2のブラケット22
を有している。より詳しく説明すると、図2に示すよう
に、アーム20は、垂直平面で上下に離置されて互いに
平行に延びる一対のロッド24、26で構成され、これ
ら上下のロッド24、26は、その基端が、夫々、第1
水平軸24a、26aを介して第1ブラケット18に取
付けられ、また各自由端が第2水平軸24b、26bを
介して第2ブラケット22に取付けられて、これら要素
によって平行リンクが構成されている。アーム20に
は、後に詳しく説明するスライド機構27が付設されて
いる。
【0017】第2ブラケット22には、鉛直線に対して
約10°ないし15°前傾させた状態で胸パッド28が
取付けられている。この胸パッド28は、第2ブラケッ
ト22に対して垂直に取付けられていてもよいが、好ま
しくは、前傾した状態で第2ブラケット22に固定され
るのがよく、最も好ましくは、胸パッド28の前傾角度
が調整可能であるのがよい。
【0018】胸パッド28は、ボルト等の締結手段を介
して第2ブラケット22に固定された支持プレート30
と、これに添設されて胸当てを構成する弾性部材32と
からなる。支持プレート30は前方に向けて突出する一
対のフック34を有し、これらフック34は、各々、支
持プレート30の各側部に固設されている。この左右一
対のフック(第1のフック)34の役割については後に
詳しく説明するが、フック34は単一であってもよく、
また、配置位置として、第2ブラケット22あるいはア
ーム20を選択してもよい。
【0019】第2のブラケット22には、上ロッド24
の上方且つ近傍で水平に延びるテーブル36と、胸パッ
ド28の前方域に位置して垂直に起立する患者用把手3
8とが固設されている。第2ブラケット22に取付けら
れたテーブル36および患者用把手38は、平行リンク
を構成するアーム20によって、アーム20の動きとは
関係なく、常に、同じ向きを保ち続ける。
【0020】姿勢変換装置Aは、患者の膝部分に対応す
る高さ位置に配設された膝パッド40と、患者が足を乗
せる足台手段42とを有している。膝パッド40は、上
下方向に延びる左右一対の平らな支持プレート44、4
4と、各プレート44に添設されて膝当てを構成する弾
性部材46とからなり、各支持プレート44は、その高
さ方向中間部において、前後方向に延びる膝パッド用ロ
ッド48の後端に水平軸50を介して回動自在に取付け
られている。左右一対のロッド48の前半部は、夫々、
前後方向に延びる左右一対の外筒52の中に嵌挿されて
おり、各外筒52は、夫々、対応する左右の支柱10の
外側面に固設されている。
【0021】平均身長から極端に離れた身長を有する患
者のために、膝パッド40の高さ位置を上下に調整でき
るようにしてもよく、このための具体的な構成として
は、例えば、支柱10に対し、外筒52を上下方向に平
行移動可能に取付けるようにすればよい。
【0022】膝パッド用ロッド48は、無段階あるいは
段階的に長さ調整可能であるのが好ましい。ロッド48
の長さ調整を段階的に行うための具体的な構成としては
次のようなものがある。すなわち、ロッド48側に、例
えば、軸線方向に間隔を隔てて形成された複数の凹部4
8aを設け、また、外筒52側に、単一の孔(図示せ
ず)を形成し、この孔に対して抜き差し自在にストッパ
54を挿入するように構成すればよい。ストッパ54
は、例えばヘッド付きピンあるいはボルトで構成するこ
とができる。このような構成を採用したときには、ロッ
ド48の複数の凹部48aと共にロッド48の実質的な
前後長さを調整するための手段を構成し、ストッパ54
と係合する凹部48aを選択することによって、膝パッ
ド40の前後位置を段階的に調整することができる。
【0023】足台手段42は水平面で延びる足乗せプレ
ート54を有し、このプレート54の各側部とフレーム
のベースプレート8とは左右一対のクロスリンク56を
介して連結されている。各クロスリンク56は、互いに
クロスして配置された第1リンク58と第2リンク60
との交差部分を枢軸62で連結した構成を有し、ベース
プレート8から斜め前方に延びる第1リンク58は、そ
の下端が軸58aを介してベースプレート8に取付けら
れ、上端が軸58bを介して足乗せプレート54の前部
に取付けられている。他方、ベースプレート8から斜め
後方に延びる第2リンク60の下端60aおよび上端6
0bは、夫々、ベースプレート8および足乗せプレート
54に対して前後方向に移動可能に取付けられている。
【0024】この点について詳しく説明すると、ベース
プレート8には第1のガイド部材64が固設され、足乗
せプレート54の後端部には第2のガイド部材66が固
設され、これら第1、第2のガイド部材64、66に
は、夫々、水平に延びる第1、第2の長孔64a、66
aが形成されている。ベースプレート8側の第1の長孔
64aには、第2リンク60の下端に取付られた軸60
aが移動可能に嵌挿され、足乗せプレート54側の第2
の長孔66aには、第2リンク60の上端に取付けられ
た軸60bが移動可能に嵌挿されている。また、この第
2リンク60は、その下端部が引張バネ70によって後
方に向けて付勢されている。すなわち、引張バネ70
は、第2リンク60の下端部と、ベースプレート8の後
方位置との間に張設され、このバネ力によって、第2リ
ンク60は起立方向に付勢されている。
【0025】左右一対の第2リンク60の下端に取付け
られた軸60aは、この実施例では、横方向に延びる一
本の共通軸68で構成されており、共通軸68の中間部
は、前方に向けて延びる操作ロッド71の後端に連結さ
れている。操作ロッド71はネジ棒で構成され、操作ロ
ッド71に螺合されたナット72は、ベースプレート8
の左右方向中央部における前端に取付けられている。
【0026】操作ロッド71は、前端に円形ハンドル7
4を有し、このハンドル74を介護者が時計方向あるい
は反時計方向に回すことによって、足乗せプレート54
の高さ位置を調整することができる。また、足乗せプレ
ート54の高さ位置を上昇させる際のハンドル74を回
転させるのに要する操作力は、バネ70の付勢力によっ
て軽減される。更に、ベースプレート8から斜め後方に
延びる第2リンク60の下端および上端が夫々ガイド部
材64、66に案内されて移動可能になっているため、
足乗せプレート54が上昇するのに従ってこのプレート
54は、後方に移動することになる。
【0027】左右一対の支柱10と10とで挟まれた領
域には、ねじ駆動(screw-driven)ユニット80が配設さ
れている。ユニット80は、ねじ駆動機構82と、制御
機構84とを備える。この種のユニットは、従来から既
知であるので、これ以上の詳しい説明は省略する。装置
Aは、家庭用電源のコンセントから電力の供給を受けて
もよく、あるいは、装置Aにバッテリ(図示せず)を搭
載し、このバッテリを電力源としてもよい。
【0028】ねじ駆動機構82の基端はフレーム2に回
動自在に取付けられ、このねじ駆動機構82から上方に
延出する作動ロッド82aの先端がアーム20(詳しく
は、下ロッド26)の第3ブラケット84に水平軸86
を介して取付けられている。ねじ駆動機構82の作動に
よって、作動ロッド82aが伸長すると、アーム20は
軸24a、26aを中心にして立ち上がり動作を行い、
逆に、ロッド82aが短縮すると、アーム20は軸24
a、26aを中心にして下降動作を行う。ねじ駆動機構
82の動作は、手元スイッチ90の「上昇ボタン」およ
び「下降ボタン」を選択的に押すことによって制御され
る。この手元スイッチ90は移動可能であり、介護者が
操作してもよく、あるいは、スイッチ90をテーブル3
6の上に置いて患者自身が操作してもよい。
【0029】アーム20の下降動作は、手元スイッチ9
0とは別に、アーム20の後端部に取付けられた揺動ス
イッチ92によっても停止される。揺動スイッチ92
は、アーム20の第2ブラケット22に回動自在に取付
られたレバー部材94と、このレバー部材94の揺動に
連動して作動するスイッチ(図示せず)とで構成されて
いる。レバー部材94は、自重で下ロッド26の下方に
突出する位置をとる。レバー部材94に関連したスイッ
チは、図2で実線で示す位置から僅かに矢印Cの方向に
揺動しただけでOFFになる。レバー部材94は、スイ
ッチがOFFになった後も矢印Cの方向に大きく揺動す
ることができるように設定されている。
【0030】姿勢変換装置Aは、患者の上半身と臀部と
を支持するサポート部材である図3に示すスリング10
0を用いて患者の姿勢変換を行う。スリング100は、
患者の腰および背中を支持するサポート部101と、サ
ポート部101の左右の上角部から夫々斜め上方に延び
る左右一対の上側アーム部102と、サポート部101
の左右の下角部から夫々下方に延びて患者Bの臀部を支
持する下側アーム部103とを有し、各アーム部10
2、103には、その長手方向に並んだ複数の孔102
a、103aが形成されている。
【0031】スリング100の装着は、図4に示す
(A)ないし(D)の工程に従って行われる。図4の
(A)は第1工程を示すものであり、同図(A)から明
らかなようにサポート部101を患者Bの腰および背中
に当てがった後、同図(B)から(D)の工程を経て、
一対の上側アーム部102を患者Bの脇の下を通して前
方に引き出し、また一対の下側アーム部103を内股へ
通して患者Bの前方に引き出す。後に詳しく説明するよ
うに、左右の上側アーム部102、102は、夫々、胸
パッド28の左右の第1フック34に係止される。ま
た、左右の下側アーム部103、103は、スライド機
構27に係止される。なお、図4の(A)および(B)
では、患者Bを中腰の姿勢にしてスリング100を装着
するように図示してあるが、これらの図面は、スリング
100の装着工程を図面上明確にするために描いた単な
る説明図であり、患者Bを椅子等に着座させたままでス
リング100を装着してもよいことは言うまでもない。
【0032】図1および図2を参照してスライド機構2
7を説明すると、スライド機構27は、アーム20の上
ロッド24の前半部分の上方に配設されたガイドロッド
110を有する。ガイドロッド110は、上ロッド24
と同一の垂直平面で上方に若干離置されて平行に延びて
おり、ガイドロッド110の前端および後端は止め具1
12、114によって上ロッド24に固定されている。
スライド機構27は、また、スライダ116を有し、ス
ライダ116はガイドロッド110および上ロッド24
に案内されて移動自在である。止め具112、114、
特に、後側の止め具114は、スライダ116に対する
ストッパとして機能する。スライダ116には、上方に
向けて突出する1本のフック(第2フック)118が固
設されており、この第2フック118を利用して前述し
たスリング100の取付けが行われる。
【0033】図5は装置Aに対するスリング100の取
付けを示す部分斜視図である。患者Bに装着したスリン
グ100の取付けは、患者Bの左右の脇の下から前方に
延び出た一対の上側アーム102、102を、夫々、胸
パッド28の左右の第1フック34に係止し、また患者
Bの内股から前方に延び出た下側アーム103をスライ
ダ116の第2フック118に係止することによって行
われる。このようにしてスリング100を第1フック3
4および第2フック118に係止させることによって患
者Bは装置Aと一体になる。
【0034】スリング100の形態として、患者の保有
している機能に応じた種々の形態を考えることができ
る。例えば、患者の背中を支持する部分と、臀部を支持
する部分とを分割した個々のスリングを用意し、患者の
リハビリの進行具合に応じて、使い分けるようにしても
よい。
【0035】例えば、患者の上半身だけを支えるだけで
立ち上がることのできる患者の場合には、患者Bの背中
から腋の下を通るスリングを用意し、このスリングで患
者Bの胸部を胸パッド28に固定するようにしてもよ
い。その一例を図6に示す。同図のスリング104は、
ベルト105とエアークッション106とで構成され、
エアークッション106は、ベルト105の内面に着脱
自在に取付けられている。また、エアークッション10
6には、バルブ(図示せず)が付設され、このバルブを
操作することによって内部エアー圧を調整できるように
なっている。
【0036】エアークッション106の外側面には、長
手方向に延びるループテープ107が縫い付けられてい
る。ループテープ107は、ベルクロファスナ(登録商
標)またはマジックテープ(登録商標)という名称で知
られている簡易な止め具を構成するものであり、対応す
るフックテープ108は、ベルト105の内面に取付け
られている。エアクッション106は、ベルト105に
内蔵してもよい。この場合、ベルト105を袋状に形成
し、このベルト105の中にエアクッション106を収
容すればよい。
【0037】ベルト105の両端部には、長手方向に並
んだ複数の孔105aが形成されている。患者Bを胸パ
ッド28と一体化させるときには、患者Bと胸パッド2
8との間に極端な遊びがないように、適当に選択された
孔105aが第1フック34に係合される。
【0038】図7ないし図9は、姿勢変換装置Aの一連
の動作およびこれに伴う患者Bの姿勢変化を示すもので
あり、図7は座位状態を示し、図8は中腰状態を示し、
図9は立位状態を示す。これら図面を参照して、以下
に、姿勢変換装置Aの初期セットから一連の動きを説明
する。
【0039】まず、椅子120等に着座している患者B
に姿勢変換装置Aをセットする。装置Aのセットは、先
ず、装置Aを患者Bに対して位置決めする工程を有す
る。装置Aの位置決めは、介護者が把手16を持って装
置Aを移動させて、胸パッド28を患者Bの胸に当てる
ことによって行う。この初期セットの状態では、アーム
20は、図7等から分かるように、ほぼ水平に延びる位
置にある。次に、介護者は患者Bの両足を足乗せプレー
ト54の上に乗せた後、足乗せプレート54の高さ位置
および膝パッド40の前後位置の調整を行う。膝パッド
40の前後位置の調整は、膝パッド40が座位姿勢の患
者Bの膝に軽く当たるようにロッド48の実質的な長さ
を調整することによって行い、また、この膝パッド40
の調整に合わせて足乗せプレート54の高さ位置の調整
を行う。
【0040】足乗せプレート54の高さ位置の調整は介
護者がハンドル74を回すことによって行われるが、そ
の際に注意すべきことは、患者Bの膝関節が膝パッド4
0の揺動中心つまり水平軸50よりも若干高い位置に存
在するようにする点である。背が低い患者Bの場合には
下腿部が短いので、足乗せプレート54を上昇させる必
要があるが、これに要するハンドル操作力は、前述した
バネ70の付勢力によって低減されるため、介護者の負
担を軽減することができる。
【0041】このような患者Bの膝関節の高さ位置の調
整を簡便に行うようにするために、例えば、図2で符号
130で示す身長指示針を足乗せプレート54に設け、
これに対面した目盛り(図示せず)を支柱10に設けて
もよい。この目盛りは、種々の身長に対応した平均的な
膝関節の高さを考慮に入れて、この者の膝関節が膝パッ
ド40の水平軸50よりも若干高い位置に位置決めされ
るように設定されている。このような手段を講じること
により、例えば患者Bの身長が150cmであれば、身長
指示針130が支柱10の目盛り「150cm」に一致す
るように足乗せプレート54の高さを調整するだけで、
自動的に、身長150cmの患者Bに対し、この患者Bの
膝関節が、膝パッド40の水平軸50よりも若干高い位
置に位置決めされることになる。
【0042】また、背の低い患者Bは、背の高い患者に
比べて、大腿部が短いので、膝パッド40のロッド48
を患者B側に大きく引き出す必要があるが、足乗せプレ
ート54は上昇するに従って後方に移動するため、プレ
ート54の上昇に伴って足乗せプレート54の上に乗せ
た両足が後方に移動することになる。この両足の後方移
動によって、膝パッド40で支えられた患者Bの膝は適
度に折れ曲がり、下腿部が膝よりも若干後方に位置する
状態になる。これにより、例えば介護者の見落とし等に
よって患者Bの下腿部が前に突き出た状態(膝関節の折
り曲げ角度が90度よりも小さい状態)のままで患者B
を立たせてしまい、これに伴って患者Bの膝が過度に伸
長して膝関節を損傷させてしまう可能性を的確に回避す
ることができる。
【0043】上述のような装置Aの調整と共にスリング
100を患者Bに装着する。介護者は、前述したよう
に、患者Bに装着したスリング100の上側アーム部1
02を胸パッド28の第1フック34に係止させ、下側
アーム部103をスライダ116の第2フック118に
係止させることによって、患者Bを装置Aに一体化させ
る。この際、患者Bの胸と胸パッド28との間に極端な
遊びがないようにするのが肝要であり、その調整は、第
1フック34に係止させる上側アーム部102の孔10
2aを選択することによって行えばよい。
【0044】他方、下側アーム部103をスライダ11
6の第2フック118に係止させる際には、スライダ1
16を後側ストッパ(止め具)114側に引き寄せた状
態にし、下側アーム部103に弛みを与えるようにして
第2フック118に係止させるのが望ましい。下側アー
ム部103を緊張させた状態で下側アーム部103を第
2フック118に係止させると、立ち上がり過程で、患
者Bの膝が膝パッド40にきつく当たりすぎる場合があ
る。好ましい態様としては、下側アーム部103の各孔
103aに印を付けておくのが好ましい。
【0045】介護者は、患者Bの身長を見て、例えば患
者Bの身長が160cmであれば、160cmの印のついた
孔103aを第2フック118に係止させることで、簡
単に、装着時の下側アーム部103に適当な弛みを与え
ることができる。この印は、160cm、165cm、17
0cmというように段階的に表示するもので足りる。これ
により、患者Bの立ち上がり動作の過程で、患者Bの膝
が膝パッド40によって適度に支持されると共に、スリ
ング100の適当な装着作業を簡便にすることができ
る。
【0046】以上の初期セットが完了した後、患者Bを
手を把手38に掴まらせ、その後、介護者あるいは患者
自身が手元スイッチ90を操作して、ねじ駆動機構82
を伸長動作させる。ねじ駆動機構の作動ロッド82aの
伸長動作に伴うアーム20の立ち上がり動作によって、
健康な者が自力で立ち上がるのと同じ自然な動作で図8
の中腰姿勢を経て図9の完全な立位姿勢まで患者Bを立
たせることができる。
【0047】この点について詳しく説明すると、人間
は、本来的に、上半身を前傾させながら膝を若干前方に
スライド移動させて立ち上がる。これに対して、胸パッ
ド28は、前述したように若干前傾した状態で、平行リ
ンクを構成するアーム20に取付けられているため、ア
ーム20の動きとは関係なく、所定の前傾状態を保つ。
患者Bは、このような胸パッド28に身体を預けた状態
でスリング100によって胸パッド28と一体化されて
いるため、患者Bの上半身はやや前傾した状態を維持し
続けることになる。加えて、本実施例にあっては、アー
ム20の回動中心(水平軸24a、26a)の高さ位置
が座位姿勢の患者Bの胸のよりも低い位置に設置されて
いるため、アーム20の立ち上がり動作に伴い、前傾し
た胸パッド28で患者Bの上半身を下方から持ち上げる
ようにして患者Bを起立させることになり、患者Bは前
傾姿勢を維持を確実なものにすることができる。
【0048】また、患者Bの起立動作に伴う膝の前方移
動は、膝の動きに連動した膝パッド40の揺動動作によ
って吸収される。すなわち、前述したように、座位姿勢
の患者Bに対し、足乗せプレート54の高さ調整によっ
て、膝が膝パッド40のピボット点(水平軸50)より
も実質的に高い位置に当たるようにしてあるため、患者
Bが立ち上がる際の膝の前方移動に追従して膝パッド4
0が前傾して、膝の前方移動を吸収する。
【0049】患者Bは、足乗せプレート54に足を乗
せ、膝パッド40および胸パッド28で支えられながら
立ち上がることになるが、その際に患者Bの臀部はスリ
ング100の下側アーム部103によって持ち上げられ
るため患者Bがヘッピリ腰の状態で立ち上がるのを確実
に防止することができる。
【0050】スリング100による患者Bの臀部の支持
に関し、スリング100の下側アーム部103を支持す
るスライド機構27がアーム20の動きに連動するもの
であるため、アーム20の作動に伴う患者Bの姿勢変化
に追従する形態でスリング100の下側アーム部103
が患者Bの臀部を支持し続けることになる。すなわち、
図7ないし図9から理解できるように、患者Bの起立動
作に伴って臀部は、その高さ位置が高くなり且つフレー
ム2の支柱10に接近する。他方、下側アーム部103
の患者Bに接触する部分の実質的な長さは、患者Bの立
ち上がり動作に伴って長くなり、したがって、患者Bが
座位から中腰を経て立位姿勢に移行する過程で、下側ア
ーム部103の患者Bから延び出た部分の実質的な長さ
は短縮する。
【0051】一方、スリング100の下側アーム部10
3が取付けられたスライダ116には、アーム20の立
ち上がり動作に伴って、スライダ116を前方側に移動
させる分力が発生し、この分力によってスライダ116
は前方移動し始める。また、スライダ116は、アーム
20の立ち上がり動作と一緒になって前方に移動する。
このようなアーム20の動きに連動したスライダ116
の動きによって、このアーム20の動作に伴う患者Bの
姿勢変化に応じた下側アーム部103(スリング10
0)の動きを与えることができる。
【0052】患者Bが図9に示す立位姿勢になったら、
手元スイッチ90を操作して、ねじ駆動機構82の作動
を停止させる。ねじ駆動機構82の作動を止めた後は、
患者Bは胸パッド28、膝パッド40およびスリング1
00で支えられて、やや前傾姿勢で足乗せプレート54
の上に両足で立った状態になる。この若干前傾した立位
姿勢においても、患者Bの臀部はスリング100によっ
て支持されているので、患者Bは尻落ちしにくい立位姿
勢をとることになる。
【0053】例えば、膝関節が硬化した患者、足首が変
形してしまった患者の場合には、足の状況に応じた無理
のない範囲で立たせればよい。すなわち、例えば膝関節
が45°以上伸びない患者の場合には、無理のない姿勢
まで立ち上がった段階でねじ駆動機構82の作動を停止
させればよい。図8の中腰姿勢の状態を見て理解できる
ように、完全な立位姿勢(図9)に移行する途中段階に
あっても極めて自然な中腰姿勢であるため、この段階で
作動ロッド82aの動きを止めたとしても、患者Bが後
倒する恐れはなく、患者自身にとっても違和感の無いそ
の人なりの立位姿勢にすることができる。
【0054】ちなみに、従来にあっては、下肢の状況に
よって直立姿勢をとることのできない或いは困難な患者
は対象外であるとみなされていたのに対して、本発明の
装置によれば、座位姿勢と立位姿勢との間の移行過程の
動作が極めて自然であるため、途中段階で作動を停止し
たとしても何らの問題もなく、したがって、従来にあっ
ては適用対象外として寝たきりにされていた患者に対し
ても本発明の装置Aを適用することができる。
【0055】患者Bの足の状況に応じたその人なりの立
位姿勢をとらせた後、介護者は把手16を持って所望の
場所、例えばベッドから車椅子まで或いはトイレまで患
者ごと装置Aを移動させる。例えば、トイレまで移動さ
せたら、便器の前に装置Aを位置決めした上で、装置A
を逆動作(ねじ駆動機構のロッド82aの短縮動作)さ
せて、患者Bを立位姿勢から座位姿勢に戻す。患者Bが
例えば便器に着座する座位姿勢になったら適当なタイミ
ングで手元スイッチ90を操作してねじ駆動機構821
8の動きを停止させるものであるが、仮に、スイッチ9
0の操作タイミングが遅れた場合には、アーム20に設
けられた揺動スイッチ92のレバー部材94が患者Bの
大腿部と当接した瞬間に揺動スイッチ92によってねじ
駆動機構82の短縮動作が止まる。患者Bが便器に着座
した後、或いは、その直前にスリング100の下側アー
ム部103を第2フック118から外してもよい。これ
により、患者Bの下着を取り除くのが容易になる。
【0056】なお、前述したようにスイッチをOFFし
た後のレバー部材92の遊びを大きくとってあるため、
仮にアーム20が慣性により下降動作したとしても、患
者Bの大腿部との干渉によってレバー部材94は退避動
作を行うことから、アーム20から下方に突出したレバ
ー部材94の存在によって患者Bを傷付けることはな
い。また、患者Bを着座させた後に、装置Aだけを移動
させて患者から引き抜く際に、仮にレバー部材94が患
者Bの身体に触れたとしても、レバー部材94の揺動動
作によって、患者Bを傷つけるのを防止することができ
る。
【0057】レバー部材92に代えて、図10、図11
に示すように、ゴム製クッション材96をテーブル36
の下面に取付け、このクッション材96の中に感圧セン
サ(図示せず)を配置させて、患者の大腿部がクッショ
ン材96と当接したときに装置Aの動きを停止させるよ
うにしてもよい。この感圧センサを内蔵したゴム製クッ
ション材96は、胸パッド28の下端面に取付けるよう
にしてもよい。また、揺動スイッチ92あるいは感圧セ
ンサのように患者の身体と接触したときに、装置Aの動
作を停止するのではなく、例えば赤外線センサのように
非接触でアーム20の位置を検出して、アーム20が所
定の位置よりも下降したときに装置Aの作動を停止する
ようにしてもよい。
【0058】患者Bの体型によっては、レバー部材92
が不適切に作動してしまい患者Bが中吊りの状態で装置
Aが作動停止してしまうことが考えられる。このような
問題を解消するために、レバー部材92のような装置A
を強制的に作動停止させるための機構をキャンセルする
ためのマニュアルスイッチ(図示せず)を設けるのが好
ましい。介護者は、患者Bの体型を見て、必要ならば上
記マニュアルスイッチを操作して、レバー部材92のよ
うな作動停止機構を強制的にキャンセルし、適当なタイ
ミングで手元スイッチ90を操作して装置Aの動きを停
止させればよい。
【0059】以下に、本発明の他の実施の形態を説明す
るが、上述した実施の形態に含まれる要素と同一の要素
には同一の参照符号を付すことにより、その詳しい説明
を省略し、以下に、各実施の形態の特徴部分について説
明する。
【0060】第2の実施の形態(図12、図13) この第2の実施例の姿勢変換装置Eは、概略的には、上
記第1実施例の装置Aに対して駆動輪150及び簡易腰
掛け152が付加されている。この自走式姿勢変換装置
Eによって、患者Bは、簡易腰掛け152に着座した姿
勢あるいは立位姿勢で、介護者の手を借りずに、自由に
目的地まで移動することが可能になる。以下に、この自
走式姿勢変換装置Eの特徴部分について詳しく説明す
る。
【0061】装置Eの基部2は、左右一対の前側フット
部材156と、左右一対の後側フット部材158とで構
成され、これらフット部材156、158は共に前後方
向に延びている。左右一対の前側フット部材156は、
夫々、下側横メンバー6の各端に配置され、各前側フッ
ト部材156は、その長手方向中間部分がピン159を
介して横メンバー6に回動可能に取付けられている。前
側フット部材156には、夫々、その前端にキャスタ1
4が取付けられ、後端に駆動輪150が取付けられてい
る。駆動輪150は、キャスタ14に比べて大きな直径
(22.5mm) を有し且つ減速機付き電動モータを内蔵した
車輪で構成されている。駆動輪150の好ましい配置位
置については後に説明する。また、減速機付き電動モー
タを内蔵した車輪については従来から既知であるので、
その詳しい説明は省略する。
【0062】左右一対の後側フット部材158は、夫
々、下側横メンバー6から後方に向けて延び且つ断面略
矩形の中空管で作られた主フット部材160と、この主
フット部材160の後端開口に挿入された延長フット部
材162とで構成されている。各延長フット部材162
は、その後端部に取付けられた2つのキャスタ14を有
する。この2つのキャスタ14は、前後方向に間隔を隔
てて配置され、延長フット部材162には、これらキャ
スタ14の中間部分に簡易腰掛け152が着脱自在に取
付られている。
【0063】簡易腰掛け152は、板状細長い座部16
4と、座部164の左右両端部から下方に向けて延びる
左右一対の脚166と、各脚166の下端に設けられた
取付部168とを有し、この取付部168を延長フット
部材162に係合させ且つロックすることによって簡易
腰掛け152が延長フット部材162に固定される。逆
に、取付部168のロックを解除し且つ延長フット部材
162との係合を解除することによって簡易腰掛け15
2を延長フット部材162つまり装置Eから取り外すこ
とができる。
【0064】簡易腰掛け152は、その高さ調整が可能
であるのが実用上好ましく、このため、図13から理解
できるように、左右一対の脚166が内外2重筒で構成
され、その構成要素である内筒を外筒から出し入れする
ことによって、脚166の実質的な有効長さ寸法を可変
にするように作られている。この場合、長手方向に間隔
を隔てて配置した複数の孔を内筒に形成し、選択した孔
に対して、外筒の上端に配置したネジ付きロックピンを
差し込むことによって、脚166の長さ寸法を固定する
ようにすればよい。これによれば、脚166の長さ寸法
を段階的に調節することができる。図13の参照符号1
70は、ネジ付きロックピンの操作ノブを示す。
【0065】テーブル36の右脇には、装置Eの動きを
制御するコントローラ172が設置され、駆動輪150
の動作は、コントローラ172の本体から上方に延びる
操作ステック172aをマニュアル操作することによっ
て制御される。すなわち、直立したニュートラル位置か
ら操作ステック172aを前に倒すと、装置Eは前方へ
直進し初め、ステック172aを大きく前方に倒すと増
速する。逆に、操作ステック172aを後ろに倒すと、
装置Eは後方に直進し初め、ステック172aを大きく
後方に倒すと増速する。また、操作ステック172aを
右に倒すと、左右の駆動輪150のうち、右側の駆動輪
が減速されて装置Eは右旋回し、ステック172aを大
きく右に倒すと、右側駆動輪が大きく減速されて小回り
する。逆に、操作ステック172aを左に倒すと、左右
の駆動輪150のうち、左側の駆動輪が減速されて装置
Eは左旋回し、ステック172aを大きく左に倒すと、
左側駆動輪が大きく減速されて小回りする。
【0066】装置Eに含まれる膝パッド40は、その支
持プレート44が、図12などから分かるように、患者
B側に向けて凹をなす横断面で湾曲した形状を有する。
このような湾曲形状の膝パッド40によって、患者Bの
膝の左右方向の動きを防止することができ、膝パッド4
0による膝の支持を確実にすることができる。
【0067】さて、駆動輪150の配置位置であるが、
図13に示すように、患者Bが立位姿勢をとったとき
に、患者Bの重心位置Gを通る真下にできるだけ近い位
置に駆動輪150を配置するのが好ましい。このように
立位姿勢の患者Bの重心位置Gに駆動輪150の配置位
置を設定することによって、患者Bが装置Eに乗って移
動するとき、旋回時の違和感を無くすることができると
共に旋回半径を小さくすることができ、小回り性が必要
となる家屋内での使用に適する。
【0068】患者Bが立位姿勢をとったときと、簡易腰
掛け152に着座したときとでは、患者Bの重心位置が
異なり、座位姿勢の患者Bの重心位置は相対的に後方に
位置する。このように患者Bの重心位置Gが変化したと
しても装置Eの安定性を一定に保持するために、延長フ
ット部材162の実質的な長さ寸法を可変にする機構を
設けるのが好ましい。具体的な手法として、アーム20
の立ち上げ動作に連動して延長フット部材162が短縮
動作を行うようにすればよい。
【0069】また、この装置Eによれば、前後に間隔を
隔ててキャスタ14および大径の駆動輪150を取付け
た前側フット部材156が、ピン159を中心に揺動可
能であるため、床に多少の段差があったとしても、この
段差を滑らかに乗り越えることができる。
【0070】第3の実施の形態(図14ないし図16) この第3の実施例の姿勢変換装置Fにあっては、図15
から分かるように、下側横メンバー6から1本の支柱1
0が上方に向けて延び、この支柱10の上端に、直接、
第1ブラケット18が取付けられている。また、膝パッ
ド40は膝パッド用ロッド48の後端に固定され、膝パ
ッド40に含まれる弾性部材は、プラスチック発泡体で
構成されている。
【0071】姿勢変換装置Fは、胸パッド28の左右両
側に腋パッド200が設けられ、脇パッド200は、胸
パッド28の側面に垂直軸201を中心に回動自在に取
付けられている。腋パッド200の後端には、一方の腋
パッドにバックル202が取付けられ、他方の腋パッド
の後端にベルト203が取付けられている。図16の参
照符号204はエアークッションを示し、このエアーク
ッションには、バルブ(図示せず)が付設され、このバ
ルブを操作することによって内部エアー圧を調整できる
ようになっている。エアークッション204は、患者B
の胸回りを一周する程度の長さ寸法を有する細長い形状
を有している。エアークッション204の外側面には、
長手方向に間隔を隔てた3箇所に、ループテープ205
が縫い付けられている。対応するフックテープ206
は、胸パッド28および腋パッド200の内面に取付け
られている。
【0072】使用時には、先ず、椅子等に着座している
患者Bの胸回りに、エアークッション204を装着す
る。次に、介護者は、ベルト203をバックル202か
ら外し且つ腋パッド200を外側に開いた状態にした後
に、把手16を持って装置Fを移動させて、胸パッド2
8を患者Bの胸に当てる。次いで、患者Bの両腕を上げ
て、腋パッド200を内方に移動させて、胸パッド20
0を患者Bの腋の下に位置決めした後に、ベルト203
とバックル202とを利用して締め込む。これにより、
患者Bは装置Fと一体になる。その後の装置Fの動作
は、第1実施例の装置Aと同じであり、この装置Fの動
作に導かれて、患者Bは、胸を胸パッド28に預けた状
態で自然な起立動作を行う。
【0073】第4の実施の形態(図17ないし図22) 上述した第1実施例ないし第3実施例にあっては着座姿
勢の患者Bを自然な動作で起立姿勢まで導くようにして
ある。これに対して、この第4の実施例の姿勢変換装置
Gにあっては、2段階の動作で着座姿勢の患者Bを起立
姿勢まで導くようにしてある。この装置Gの2段階動作
を概略的に説明する。図21は装置Gの第1段階の動作
を示し、図22は、装置Gの第2段階の動作を示す。こ
れら図面から理解できるように、装置Gの第1段階の動
作によって患者Bの下半身だけが伸ばされ(図21)、
次の装置Gの第2動作によって、患者Bの上半身が起こ
される(図22)。この2段階の動作によって患者Bは
起立姿勢になる。
【0074】姿勢変換装置Gについて詳しく説明する
と、装置Gは、支柱10の側方に配置された主ねじ駆動
機構300を有している。主ねじ駆動機構300は、ベ
ースプレート8の一側部に固設され、ベースプレート8
から上方に若干前傾して延びている。主ねじ駆動機構3
00の作動ロッド302の先端部には、水平軸304を
介して、アーム306が取付けられている。この主ねじ
駆動機構300は、後に明らかになるように、アーム3
06の実質的な有効長さを拡大するためのエクステンシ
ョン手段を構成する。主ねじ駆動機構300には、その
上端部にブラケット308を介して第2のねじ駆動機構
310が取付けられている。
【0075】第2ねじ駆動機構310は、主ねじ駆動機
構300と略平行に延び、このねじ駆動機構310から
上方の延びる作動ロッド312には、ピン314を介し
てリンク316が回動自在に取付けられている。リンク
316は、上述した水平軸304を介してアーム306
と一体化されている。これにより、第2ねじ駆動機構3
10の作動ロッド312が伸縮すると、この動作はリン
ク316を通じてアーム306に伝達され、アーム30
6が水平軸304を中心に図17の矢印αの方向に揺動
する。
【0076】アーム306の先端には、第2の水平軸3
20を介してテーブル322が取付けられ、テーブル3
22には、図20に示すように、胸パッド324、腋パ
ッド326が固設されている。これら胸パッド324、
腋パッド326は、実質的に、図16で説明したものと
同じであるが、この実施例にあっては、図17及び図1
8から明らかなように、胸パッド324は、下方に拡大
した大きさを有している。装置Gの使用時には、図16
と同様に、患者Bは、エアークッション328およびベ
ルト330を用いて装置Gと一体化される。また、患者
Bは、下方に拡大した胸パッド324によって、胸部か
ら腹部にかけて全体的に支持される。
【0077】アーム306の先端部には、第3のねじ駆
動機構340がピン342を介して揺動自在に取付けら
れ、この第3のねじ駆動機構340の作動ロッド344
は、テーブル322に対してピン346を介して回動自
在に連結されている。このピン346の配置位置は、前
述したアーム306の取付け位置つまり第2の水平軸3
20よりも前方に設定され、これにより、第3のねじ駆
動機構340の作動ロッド344が伸縮すると、テーブ
ル322および胸パッド324は、図18に矢印βで示
す方向に揺動する。
【0078】装置Gは、例えばマイクロコンピュータで
構成されたコントローラ(図示せず)を有し、このコン
トローラに組み込まれた作動プログラムに従って、3つ
のねじ駆動機構300、310、340が制御される。
装置Gを使用するに当たって、介護者は患者Bのデータ
を図外の入力手段によってコントローラに入力する。こ
の患者Bのデータに基づいて、コントローラは患者Bの
個体差に応じた制御を行う。
【0079】次に、着座姿勢の患者Bを起立姿勢まで姿
勢変換させる際の装置Gの動作を説明する。先ず、第2
ねじ駆動機構310の作動ロッド312が短縮動作す
る。これにより、アーム306は、図17の実線位置か
ら仮想線で示す位置まで移動し、このアーム306の動
きによって、患者Bは、膝パッド40で支えられなが
ら、下半身が伸びた姿勢まで導かれる(図21参照)。
この患者Bの下半身の伸び程度つまり第2ねじ駆動機構
310の作動ロッド312の短縮ストローク量は、前記
第1実施例でも説明したように、患者Bの下半身の状況
に応じて調整すればよい。したがって、この第1段階の
作動によって、患者Bの下半身は、無理のない範囲で、
その人なりの伸び状態になる。
【0080】次に、主ねじ駆動機構300および第2ね
じ駆動機構310が共に伸長動作する(このストローク
量を図18の参照符号uで示してある)。これによりア
ーム306の実質的な有効長さが拡大され、患者Bの胸
が上方に向けて押し上げられる。これに加えて、第3ね
じ駆動機構340が伸長動作して、胸パッド324を水
平位置(図17参照)から垂直位置(図18参照)まで
起立させる。この3つのねじ駆動機構の動作に伴って、
患者Bの上半身が起こされる。この2段階の動作によ
り、患者Bは着座姿勢から図18に示す起立姿勢に姿勢
変換され、逆の動作によって、患者Bは起立姿勢から着
座姿勢に変換される。以上、下半身を伸ばす工程と、上
半身を起こす工程とを時系列的に順番に行うことを説明
したが、これに代えて、上記2つの工程を一緒に行うよ
うにしてもよい。
【0081】以上、本発明に従った幾つかの具体例を説
明したが、これら具体例に含まれる要素を様々に組合せ
て姿勢変換装置を作ることができる。また、上述した装
置は、患者の状況およびリハビリの進行具合に応じて使
い分けることが可能である。また、例えば、図14で説
明した装置Fなどは、患者Bが把手38を持って歩行訓
練にも用いることができる。また、歩行訓練が可能な患
者のように、相当にしっかりした患者に限定して姿勢変
換装置を設計するのであれば、足乗せプレート54を削
除し、左右一対の基部4と4との間の幅寸法をできるだ
け大きくして、歩行に邪魔にならないようにすればよ
い。この場合、膝パッド40の高さ調整の手段として、
支柱10の長さ寸法を可変にする手段を設けるようにし
てもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の姿勢変換装置を斜め前方から見た斜視
図。
【図2】図1に示した姿勢変換装置の側面図。
【図3】実施例の姿勢変換装置と一緒に用いられるスリ
ングの全体平面図。
【図4】図3に示したスリングの装着工程を段階的に示
す説明図であり、図中、(A)はスリングを患者の背中
および腰に当てがう第1工程を示し、(B)は患者に当
てがったスリングの上側アーム部と下側アーム部とを患
者の前方に引き出す第2工程を示し、(C)は第2工程
で引き出した上側アーム部および下側アーム部をしっか
りと引き出してスリングを患者に密着させる第3工程を
示し、(D)は姿勢変換装置にスリングを係止する最終
工程を示す。
【図5】胸パッドおよびスライダに夫々設けたフック
と、これらフックに係止させたスリングとの関係を明ら
かにするための装置の部分詳細斜視図。
【図6】装置に取付けられるスリングの他の例を示す
図。
【図7】姿勢変換装置による患者の起立動作を示す説明
図であって、患者が座位姿勢にある状態を示す側面図。
【図8】姿勢変換装置による患者の起立動作を示す説明
図であって、患者が中腰姿勢にある状態を示す側面図。
【図9】姿勢変換装置による患者の起立動作を示す説明
図であって、患者が立位姿勢にある状態を示す側面図。
【図10】装置を強制的に停止させるための変形例の安
全手段を取付けた姿勢変換装置の部分拡大斜視図。
【図11】図10のX11−X11線に沿った断面図。
【図12】第2実施例の姿勢変換装置を斜め前方から見
た図。
【図13】第2実施例の装置の側面図であって、患者を
起立姿勢にした後の状態を示す図。
【図14】第3実施例の姿勢変換装置の側面図。
【図15】第3実施例の姿勢変換装置の正面図。
【図16】第3実施例の姿勢変換装置に組み込まれた胸
パッドおよび患者支持部材の部分を拡大して示す部分斜
視図。
【図17】第4実施例の姿勢変換装置の側面図であっ
て、座位姿勢の患者の下半身を伸ばす工程を示す図。
【図18】第4実施例の姿勢変換装置の側面図であっ
て、患者の上半身を起こす工程を示す図。
【図19】第4実施例の姿勢変換装置の平面図。
【図20】第4実施例に含まれるテーブル、胸パッドお
よび腋パッドの部分を拡大して示す部分平面図。
【図21】第4実施例の装置の作動のうち座位姿勢の患
者の下半身を伸ばす第1工程を説明するための図。
【図22】第4実施例の装置の作動のうち、図21の第
1工程の後に、患者の上半身を起こす第2工程を説明す
るための図。
【符号の説明】
A 姿勢変換装置 B 患者 2 フレーム 14 キャスタ 20 アーム 24a 第1水平軸 26a 第1水平軸 28 胸パッド 40 膝パッド 42 足台手段 54 足乗せプレート 80 ねじ駆動ユニット 92 レバー部材 100 スリング 103 スリングの下側アーム部 116 スライダ 150 駆動輪 300 第1ねじ駆動機構 304 第1水平軸 310 第2ねじ駆動機構 320 第2水平軸 324 胸パッド 340 第3ねじ駆動機構

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水平軸を中心に垂直平面内で揺動するア
    ームと、 該アームの先端に取付けられ、患者の両脇から背中にわ
    たって延びる患者を支えるための支持部材と、 患者の膝を支える膝パッドとを有する、座位姿勢の患者
    を立位姿勢まで姿勢変換させるための装置において、 前記アームの先端に設けられ、患者の胸を支えるための
    胸パッドと、 前記支持部材に設けられ、該支持部材の実質的な有効長
    さを調整するための手段とを有し、 該支持部材の有効長さを調整することにより患者の胸を
    前記胸パッドに預けさせた後に、前記アームを揺動させ
    て患者の姿勢変換を行う、ことを特徴とする姿勢変換装
    置。
  2. 【請求項2】 前記アームが、該アームの実質的な有効
    長さを拡大するエクステンション機構を含んでいる、請
    求項1に記載の姿勢変換装置。
  3. 【請求項3】 前記膝パッドが、水平軸を中心に揺動可
    能である、請求項1又は請求項2に記載の姿勢変換装
    置。
  4. 【請求項4】 前記膝パッドが、患者の膝を受け入れる
    ように横断面で凹状に湾曲した形状を有する、請求項1
    ないし請求項3のいずれか1項に記載の姿勢変換装置。
  5. 【請求項5】 前記膝パッドの前後位置を調整する手段
    と、 高さ調整可能とされ、患者が足を乗せるための足台手段
    とを更に有する、請求項3又は請求項4のいずれか1項
    に記載の姿勢変換装置。
  6. 【請求項6】 前記足台手段が、患者の足を受ける足乗
    せプレートと、該足乗せプレートの高さ位置を変化させ
    たときに、該足乗せプレートが高くなるほど、該足乗せ
    プレートを患者側に変位させる手段とを有する、請求項
    5に記載の姿勢変換装置。
  7. 【請求項7】 立位姿勢にある患者の真下の近傍に配置
    された駆動輪を更に有する、請求項1ないし請求項6の
    いずれか1項に記載の姿勢変換装置。
  8. 【請求項8】 自力で立ち上がることが困難な患者を座
    位姿勢から起立させるための装置であって、 垂直方向に延びる支柱を有するキャスタ付きフレーム
    と、 前記支柱の上端に水平軸を介して揺動可能に取付けられ
    たアームと、該アームは、垂直平面内で上下に離置した
    2つのロッドを要素に含む平行リンクで構成され、 前記アームを揺動させるための駆動手段と、 前記アームの先端に取付けられ、患者の胸を支えるため
    の胸パッドと、 前記アームの先端に着脱自在に取付けられ、少なくとも
    患者の両脇から背中にわたって延びて患者の胸部を前記
    胸パッドと一緒になって取り囲む支持部材と、 前記支柱に設けられ、患者の膝を支えるための膝パッド
    と、を有する姿勢変換装置。
  9. 【請求項9】 前記胸パッドが前傾して前記アームに取
    付けられている、請求項8に記載の姿勢変換装置。
  10. 【請求項10】 前記アームに取付けられ、該アームに
    案内されて摺動可能なスライダと、 該スライダに設けられた係止部材とを更に有し、 前記支持部材が、下方に延びる左右一対の下側アーム部
    分を有し、該下側アーム部分を患者の内股を通して患者
    の前方に引き出して該下側アーム部分の先端を前記スラ
    イダの係止部材に係止させることからなる、請求項8又
    は請求項9に記載の姿勢変換装置。
  11. 【請求項11】 自力で立ち上がることが困難な患者を
    座位姿勢から立位姿勢に2つの工程を経て姿勢変換させ
    るための装置であって、 キャスタを備えたフレームと、 該フレームに取付けられ、上下方向に伸縮可能な第1駆
    動手段と、 該第1駆動手段の上端に水平軸を介して揺動可能に取付
    けられたアームと、 前記アームを揺動させるための第2駆動手段と、 前記アームの先端に水平軸を介して揺動可能に取付けら
    れ、患者の胸を支えるための胸パッド手段と、 該胸パッド手段から少なくとも患者の両脇を通って背中
    まで延びて、患者の胸部を前記胸パッド手段と一緒にな
    って取り囲む支持部材と、 前記アームの先端部に取付けられ、前記胸パッド手段を
    揺動させる第3駆動手段と、 患者の膝を支えるための膝パッドとを有し、 前記第2駆動手段を作動させて前記アームを立ち上げる
    ことによって前記膝パッドを支えにして患者の下半身を
    伸ばし、また、前記第1駆動手段および第3駆動手段を
    作動させて、前記第1駆動手段を伸長させると共に前記
    胸パッド手段を垂直状態まで動かして、患者の上半身を
    起こすことからなる姿勢変換装置。
  12. 【請求項12】 自力で立ち上がることが困難な患者を
    座位姿勢から立位姿勢まで姿勢変換させるための方法で
    あって、 患者の膝の前後移動を許容しながら膝を支えると共に患
    者の胸を支えながら、患者の胸を上方に押し上げること
    で、座位姿勢の患者を立ち上がらせる、ことを特徴とす
    る姿勢変換方法。
  13. 【請求項13】 自力で立ち上がることが困難な患者を
    座位姿勢から立位姿勢まで姿勢変換させるための方法で
    あって、 患者の膝を支えると共に患者の胸を支えながら、患者の
    下半身を伸ばす工程と、 患者の胸を押し上げて、患者の上半身を起こす工程とを
    有する姿勢変換方法。
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