JP6441149B2 - 移乗支援のための体幹支持装置 - Google Patents

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Description

本発明は、福祉介護機器、特に、ベッドから車椅子、トイレへの移乗等を支援する体幹支持装置に関する。
現在、我が国をはじめ、先進各国では、高齢化が急速に進んでおり、歩行困難の要介護者が急増している。
介護の現場では、介護者により、被介護者をベッド−車いす間、ベッド−簡易トイレ間で移乗させる支援作業が頻繁に行われている。これが、介護者の腰部障害の大きな要因となっており、介護施設においては、職員の離職理由につながっているケースが大きな割合を占めている。
米国国立労働安全衛生研究所では、重量物持ち上げ時の腰部椎間板の許容限界圧を3,400Nとする勧告を発表しており(1981年)、現在これが国際的に腰痛に関わる労働安全の基準値となっている。これは約20kgの持ち上げに相当し、成人の介護にあたっては、なんらかの移乗支援機器を使用しない限り、この基準値に適合することは困難である。
こうした被介護者の移乗を支援する移乗支援機器として、電動駆動装置を用いた様々なものが開発されているが、安全確保、被介護者の負担低減の観点から、いずれも操作が難しく、時間と手間がかかるため、普及が進んでいない。
現在、移乗支援機器は特に要介護度が高い被介護者を対象としたハンモックのような吊り具とエンジンクレーンのような小型クレーンを組み合わせて持ち上げるタイプの床走行リフトが主流であり、座位または臥位の被介護者の体の下に吊り具を敷き,クレーンでつり上げて移乗を行うようにしている。
また、特許文献1、2にみられるように、被介護者が支持部に負ぶさる姿勢で体重を預け、移乗を行う負ぶさり型の移乗支援機器も開発されている。
特許第5246789号公報 特開2012−40215号公報
しかし、吊り具を使う移乗支援機器は被介護者を安全に固定するために多くの時間と手間がかかり,臀部を解放する必要があるトイレでの使用に制限がある。また、揺れ動くため被介護者をつり上げた状態での長距離の移動には適さない。
一方、負ぶさり型の移乗支援機器では、比較的少ない手間と時間で搭乗でき,臀部の解放が容易であるうえ,車いすを介さずにベッドのある居室からトイレまで移動することもできる。
しかし、全体重を支えた場合には被介護者の胸が圧迫されて甚だしく息苦しくなることから、被介護者自己の体重をある程度支えられる下肢の機能を備えていることが条件となり、適用対象が少なく普及していない。
特許文献1と特許文献2には、移乗支援機器の負ぶさり面を広く取ることで、腸骨まで支持することが示されている。
腸骨は骨盤最大の骨であり、強度が高く、しかも、下腹部の左右両側に張り出しており、腸骨で上半身の体重をバランスよく支持することは、被介護者に与える胸の圧迫を低減する上で有効である。
しかし、特許文献1の体重支持板、特許文献2の保持具本体とも、被介護者の体重を確実に保持し得る強度、剛性を備えた剛体である。
一方、腸骨左右両側の張り出し部の位置、幅は、被介護者の体型、腹部の位置,形状によって大きく異なっている。このため、負ぶさり面を広く取るだけでは、被介護者それぞれの腸骨の張り出し部を起点として、腹部に圧迫を与えることなく、体重を支持することが困難である。
このため、体重支持板を被介護者毎に専用設計しない限り、被介護者に与える胸部、腹部への負担低減に限界が生じている。
そこで、本発明の目的は、負ぶさり型の移乗支援機器により、介護者の負担低減を実現しつつ、胸への圧迫を低減することで、被介護者にも優しい移乗支援機器を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明の体幹支持装置においては、被介護者の上半身を支持する上半身保持部と、上半身保持部が先端に取り付けられた旋回アームを回動し、上半身保持部の傾斜角を可変とする回動装置と、前記上半身保持部に対し被介護者の下腹部側に取り付けられ、腸骨張り出し部両側を起点に、被介護者の下腹部を保持する下腹部保持用スリングとを備えている。
本発明によれば、下腹部保持用スリングが被介護者の腸骨左右両側の張り出し部を起点として、被介護者の下腹部に沿って腸骨に向けて保持するよう位置決めされる。そして、上半身が上半身保持部により支持された状態で、回動装置により上半身保持部を引き上げていくと、下方に取り付けられた下腹部保持用スリングが、腸骨張り出し部両側を起点に、被介護者の下腹部を保持した状態で、負ぶさり状態とすることができる。
これにより、介護者の腰などへの負担を抜本的に低減するばかりでなく、被介護者の円滑な呼吸を維持しつつ、移乗することが可能となる。
図1は、実施例1の全体図である。 図2は、初期セットの状態を示す図である。 図3は、被介護者の臀部を上昇させた状態を示す図である。 図4は、被介護者の重心移動が完了した状態を示す図である。 図5は、実施例2の全体図である。 図6は、実施例2の正面図である。 図7は、実施例2の要部を斜め上方から俯瞰した図である。 図8は、被介護者が、実施例2の足載板に足を載せた状態を示す図である。 図9は、初期セットに到る直前の状態を示す図である。 図10は、初期セットを示す図である。 図11は、被介護者の重心移動が完了した状態を示す図である。 図12は、被介護者を立位させた状態を示す図である。
[実施例1]
図1は、本実施例による体幹支持装置の全体図を示しており、支持フレーム1の底面には、キャスター式ローラが取り付けられている。図において、支持フレーム1は、被介護者の足が入り込めるように左方を開放しており、右方に回動装置2が立設されている。
回動装置2の上部には、旋回アーム3が設けられており、本実施例では、図示しないコントローラにより、回動装置2の内部に設けられた駆動モータを作動させ、旋回アーム3を回動し、反時計方向に所定角度(例えば水平面に対し45°)傾いた状態から、床面に対し略直交する状態まで回動し、その間の任意の角度でロックできるようになっている。
もちろん、駆動モータに代え、足踏み機構、レバーなどにより、介護者が人力で旋回アーム3を回動するようにしてもよい。
旋回アーム3の上端には、被介護者の上半身を支える上半身保持板4が直交する方向に設けられており、また、上半身保持板4の下面に沿って、上方に延びる被介護者用のハンドル7が取り付けられている。そして、上半身保持板4の下方には、下腹部保持用スリング5の両側を保持する、スリング保持部材6が立設されている。なお、下腹部保持用スリング5は、強度とともに、被介護者の下腹部にフィットするよう柔軟性を備え、しかも、過度な伸縮性がない繊維材料が好ましく、本実施例ではナイロン製スリングを用いている。スリング5は,形状保持する高弾性ウレタンフォームのシートが縫い込まれていて、いわゆるよれの発生を防いでいる。
スリング保持部材6は、上半身保持板4の下方において、その下面に着脱自在に装着される中央部6aと、この中央部6aの両端から上半身保持板4に対し垂直方向に延びる垂直部6b、6cと、垂直部6b、6cの上端から上半身保持板4と平行に、下方に向けて延びるスリング保持部6d、6eとから構成される。本実施例では、スリング保持部材6は曲げ加工したステンレスパイプである。そして、例えば、中央部6aに一体に設けたプレート部を、上半身保持板4の背面に設けた溝部やポケット部に差し込み、係止爪などのロック装置により簡単に着脱できるようになっている。
後述するように、スリング保持部材6のスリング保持部6d、6e間に掛け渡された下腹部保持用スリング5は、被介護者が上半身保持板4に上半身を密着させた際、腸骨張り出し部間に掛け渡され、ベッド−車いす間、ベッド−簡易トイレ間を移乗する間、被介護者の下腹部を保持し、横隔膜への圧迫を低減するものである。
したがって、スリング保持部6d、6e間の幅は、被介護者の腸骨張り出し部間の幅を若干超える程度に、スリング保持部6d、6eの高さ(上半身保持板4からの高さ)、そして、下腹部保持用スリング5の長さは、被介護者が上半身保持板4に上半身を密着させた際、少なくとも、被介護者の腸骨張り出し部を越える程度にするのが好ましい。このため、スリング保持部6d、6eの幅、高さ、そして、下腹部保持用スリング5の長さが異なるユニットを複数用意し、被介護者の体型に合わせて交換することが好ましい。
次に、本実施例による体幹支持装置の使用手順を説明する。
図2は、本実施例による体幹支持装置の初期セットを示している。
介護者は、キャスター式ローラを利用して、体幹支持装置を移動させ、支持フレーム1の間にベッドサイドに座った状態の被介護者の足を通し、支持フレーム1の先端をベッドの下方に向けて移動する。
このとき、予め、図示しないコントローラにより回動装置2を調整して、旋回アーム3を反時計方向に回動させ、上半身保持板4が座った状態の被介護者の上半身に沿うように、傾斜角度を高めた状態にしておく。
介護者が本実施例の体幹支持装置を被介護者に向けてゆっくりと押し込んでいくと、弾性を持つ下腹部保持用スリング5が被介護者の大腿部上面に案内されながら、スリング保持部6d、6eが、被介護者の腸骨張り出し部を越えていく。
最終的に、被介護者の上半身が上半身保持板4に軽く密着し、両腸骨張り出し部が下腹部保持用スリング5に接触した状態となり、介護者は必要に応じてキャスター式ローラをストッパでロックする。
この状態で、コントローラにより回動装置2を調整して、旋回アーム3を時計方向に回動させると、上半身保持板4と、スリング保持部6d、6eが連動して傾動していき,被介護者の腸骨も前傾していく。
ここで、旋回アーム3の下端(回動装置2側)を中心点として、上半身保持板4が取り付けられた旋回アーム3の上端までの距離に対し、スリング保持部材6の垂直部6b、6c上端までの距離の方が長い。
このため、下腹部保持用スリング5の上昇量が、上半身保持板4の上昇量より大きくなり、スリング5に生じる張力によってスリング5は変形して腹部形状にフィットし、前傾させられた両腸骨張り出し部を包み込む。さらに図3に示すように、両腸骨張り出し部を起点に被介護者の下腹部を持ち上げ、ちょうど健常者が、椅子から立ち上がるときと同じように、臀部がベッドの座面から離れていく。
さらに旋回アーム3を時計方向に回動させ、直立状態に近づいていくと、図4に示すように、下腹部保持用スリング5が、両腸骨張り出し部を起点として、被介護者の下腹部を確実に保持した状態で、胸部が上半身保持板4に保持され、被介護者の踵が浮いた状態となる。
このとき、下腹部保持用スリング5により、下半身の荷重が、両腸骨張り出し部を起点に被介護者の下腹部に分散されるため、みぞおちに過度な圧迫力が加わることが回避される。これにより、横隔膜に対する腹部側からの圧力を降下させ、横隔膜による腹式呼吸を容易にする。
なお、下腹部圧迫によって小腸が押し上げられるが,腹部上部まで伝達する圧力が少ないので、被介護者に不快感を与えることはない。
このように、上半身保持板4と下腹部保持用スリング5aによる体幹のつり上げが十分に進んで、被介護者の体が移乗支援機器に乗って安定したら、介護者は移乗支援機器のキャスターの固定を解除し、移乗支援機器を移動、回転させて車いすの前、あるいは便器の前に動かしてキャスターを固定する。これまでと逆の手順で、車いす、便器に着座させることができる。
なお、着座前に下肢を脱衣する場合には、下腹部保持用スリング21a腰ベルトをあらかじめ下着の中に入れて皮膚に直接接触させておけばよい。
[実施例2]
図5は、実施例2による体幹支持装置の全体図、図6は、図5において右方から見た正面図を示している。
支持フレーム10の底面にはキャスター式ローラが取り付けられており、支持フレーム10の長さ方向(図5の左右方向)中央部には、被介護者が足を載せる足載板12、右方には、足載板12に連接して、支持フレーム10の幅方向中央部において、リンク回動装置13が長手方向に沿って立設されている。
リンク回動装置13には、図示しない電動モータ、減速ギアなどからなる駆動装置が内蔵されており、その左方上端付近に設けた出力軸14が、第1リンク15aの基部に連結され、出力軸14を中心に回動させる。
第1リンク15aの他端は、第1ジョイント16aを介して、第2リンク15bの下方側端部に回動自在に連結される。第2リンク15bの上方側他端部には、第2ジョイント16bを介して、第3フレーム15cの上方側一端が連結され、第3リンク15cの基部は、第4リンク15dの下端に第3ジョイント16cを介して、支持フレーム10に回動自在に連結されている。なお、第4リンク15dの基部は、通常、支持フレーム10の表面に当接した状態を維持する。
また、出力軸14は、リンク回動装置13の左右両側に設けられ、第1リンク15a、第3リンク15c、第4リンク15dは、リンク回動装置13の両側に、同一配置、同一長さでそれぞれ設けられている。これらは、それぞれ第2リンク15bの両側面にそれぞれ設けた第1ジョイント16a、第2ジョイント16bを介して回転自在に連結される。
図5において、リンク回動装置13の出力軸14を介して第1リンク15aを時計方向に回動すると、第2リンク15bを介して、第3リンク15cも第3ジョイント16cを中心に時計回りに回動する。ここで、第1リンク15a、第3リンク15cの形状や長さと、出力軸14の位置、そして、第3ジョイント16cの位置を選定することにより、第2リンク15bは、第1ジョイント16a側を上昇、第2ジョイント16b側を水平移動させながら、水平面に対する傾斜角度を小さくしていく。
図6に示すように、リンク回動装置13を挟んで、その両側面に位置する第1リンク15aと第3リンク15cに連結される第2リンク15bには、その中央部付近において、両側面から直交する方向に支柱18が張り出しており、その両端部に、湾曲したスイングアーム19a、19bの一端がそれぞれ回動自在に連結されている。
図5に示すように、スイングアーム19a、19bの他端には、それぞれスリング保持部20a、20bが直交する方向(第2リンク15bの長手方向)に延設されている。
図7に示すように、スリング保持部20a、20bの下端側には、腸骨左右両側の張り出し部を起点として、被介護者の下腹部に沿って腸骨に向けて保持する、下腹部保持用スリング21aが掛け渡されている。また、上端側には、被介護者の胸部を保持する、上半身保持用スリング21bが掛け渡されている。
なお、22a、22bは、第2リンク15bの上端に取り付けられた被介護者用ハンドルである。
また、下腹部保持用スリング21aおよび上半身保持用スリング21bの中心部は、被介護者用ハンドル22a、22bの中心部でテザー23により固定され、下腹部保持用スリング21aおよび上半身保持用スリング21bが過度に揺動するのを抑止している。
次に、本実施例による体幹支持装置の使用手順を説明する。
図8は、第1段階の初期セット状態を示している。このとき、第1リンク15aは、ほぼ垂直の状態で、第2リンク15bは、水平方向に対する傾斜角度が小さい寝かせた状態にしておく。
介護者は、足載板12がベッドサイドに位置するまで支持フレーム10をベッド下方に押し込み、必要に応じてキャスター式ローラをストッパでロックする。
次にベッドに伏している被介護者の上半身を起き上がらせ、ベッドサイドに座るよう下半身を回転させ、足の裏を足載板12に着地させる。
第2段階として、介護者は、図9に示すように、図示しないコントローラを用いて第1リンク15aを反時計方向に回動させ、第2リンク15bを垂直方向に立たせ、被介護者に対向させる。最終的に、両腸骨張り出し部が下腹部保持用スリング21aに軽く接触した状態となる。
第3段階として、図10に示すように、被介護者の胸部を上半身保持用スリング21bに密着させ、可能であれば、被介護者用のハンドル22a、22bを握らせる。このとき、被介護者の体型、腹部形状に応じて、スイングアーム19a、19b(図7参照)が開閉し、下腹部保持用スリング21a、上半身保持用スリング21bが、自動的に被介護者にフィットした状態で引き回されることになる。
第4段階として、コントローラを用いて第1リンク15aを時計方向にゆっくりと回動させ、第2リンク15bを再び水平方向に寝かせる。このとき、図11に示すように、下腹部保持用スリング21aが上昇し、弛みが除かれて被介護者の腸骨左右両側の張り出し部間にフィットして下半身の重量を支えつつ、水平移動する上半身保持用スリング21bが被介護者を足載板12上に移動させる。同時に上半身の荷重が上半身保持用スリング21bにより包み込まれるように保持される。
すなわち、下腹部保持用スリング21aは、大腿の付け根付近の腰部を支持し、上半身保持用スリング21bとともに被介護者の体幹をつり上げる。そして、上半身保持用スリング21bは、肋骨と肩甲骨、腰ベルトは骨盤の位置にあって被介護者の上半身骨格を支持する。
骨盤の腸骨稜は腸を包み込む形をして前方に突き出しており、ここに下腹部保持用スリング21aを掛け渡すことによって腹腔内の軟組織に与える圧力を小さくすることができる。このため横隔膜は腹腔側から運動を妨げる大きな圧力を受けることがなく、被介護者の腹式呼吸を妨げることがない。
このように、被介護者の体幹をつり上げた状態のとき、下腹部保持用スリング21aは体軸方向に揺動できるため、被介護者の骨盤が体軸下方に移動して脊柱を過度に伸展させる可能性がある。
円背の高齢者の脊柱を伸展させると強い痛みを引き起こす可能性があるため、前述のように、下腹部保持用スリング21a上部を移乗支援機器のフレームに固定するテザー23で固定することにより下腹部保持用スリング21aの揺動範囲を制限することができる。
このテザー23の上半身保持用スリング21bと下腹部保持用スリング21aとの間の長さの調節により、被介護者の搭乗姿勢の脊柱伸展範囲を制限することができ、またテザー23を介して、被介護者と下腹部保持用スリング21aとの接触面に摩擦力を介して剪断方向の力を作用させることができる。これにより、被介護者の骨盤に対して、横断面の背後方向への垂直抗力だけでなく、体軸上方向に平行な抗力も与えることができて体重のより多くを分担することができる。これにより胸室、腹腔内への圧迫を低減し、移乗中もスムースな腹式呼吸を維持することができる。
さらに、下腹部保持用スリング21aが腹部上方にずれないように、下腹部保持用スリング21aに高弾性ワイヤーを内挿して形状を維持するようにしたり、下腹部保持用スリング21aの中央部下端部にウエイトを取り付けて同様の効果を得るようにしてもよい。
下腹部保持用スリング21a、上半身保持用スリング21bによる体幹のつり上げが十分に進んで、被介護者の体が移乗支援機器に乗って安定したら、第5段階として、介護者は移乗支援機器のキャスターの固定を解除し、移乗支援機器を移動、回転させて車いすの前、あるいは便器の前に動かしてキャスターを固定する。これまでと逆の手順で、車いす、便器に着座させることができる。
なお、着座前に下肢を脱衣する場合には、下腹部保持用スリング21aをあらかじめ下着の中に入れて皮膚に直接接触させておけばよい。
被介護者がハンドル22a、22bを握り、立位を維持できる場合には、下腹部保持用スリング21a、上半身保持用スリング21bによる体幹のつり上げにより、被介護者の体が移乗支援機器に乗って安定した状態で、第6段階として、図12に示すように、第4リンク15dを反時計方向に回動し、第3リンク15cの下端を上昇させる。
これにより第2リンク15bが垂直に近い状態に起立し、被介護を立位に近い状態とすることができる。これにより、ベッドからトイレまで移動する時に前傾姿勢ではなく立位をとれるので羞恥心を緩和できる。
なお、第4リンク15dを設けることに代えて、第3リンク15cの内部にボールねじを内蔵し、第3リンク15cを直接に伸張させるようにしてもよい。
一般に、高齢者の介護に介護機器を用いる場合、過度な支援を行うことにより、高齢者が介護機器に過度に依存することで身体機能の低下を加速させてしまう廃用症候群の危険性を考慮する必要がある。
これに対し、本実施例によれば、第2リンク15bの回動に伴う立ち上がり動作が、自然な立ち上がり動作時の軌道となるよう、第1リンク15a〜第4リンク15dの配置、長さを設計することにより、腹部、胸部への負担を自らの力でさらに軽減すべく、立位に必要な自身の筋肉を最大限使って立位することを促進することができる。
すなわち、ベッド上の座位からの自然な立ち上がり動作は、
(1)かかとの引き寄せ
(2)上体前傾によるかかと直上への重心移動
(3)膝関節伸展による重心の上昇と足裏中心付近直上への重心移動
(4)膝関節と股関節の同時伸展により足裏中心付近直上に重心を保持したままの重心上昇
という過程を経るが、上述の第1段階〜第6段階により、この過程をそのまま再現することができる。
なお、被介護者の立位を期待できない場合には、第4リンク15d及びその駆動装置を省略し、第3リンク15cの下端を支持フレーム10に回動自在に固定するようにしてもよい。
その場合には、第1リンク15aを駆動装置で回動することに代え、第3リンク15cを駆動装置で回動させるようにしてもよい。
さらに、駆動装置として、電動モータに代え、例えば、足踏みペダル、クランク式レバー、ラチェット等により、一方向クラッチ、ラチェットを介して、第1リンク15aを駆動して、第2リンク15bの傾斜を垂直方向に移動させ、リリースボタンによりダンパーを操作して第2リンク15bを水平方向に徐々に寝かせるようにする等様々な変形が可能である。
また、駆動装置等が故障しても、第2リンク15bが急激に変動するのを防止するため、負荷の過度な上昇や、急減に応じて、駆動するリンクを固定する等の安全対策を講じることもできる。
この実施例では、第1リンク15a〜第3リンク15cを連携させ、第1リンク15aを回動することで、上半身保持用スリング21bを保持する第2リンク15bを傾動させ、被介護者を座位から負ぶさり状態、あるいはその逆に遷移させた。
しかし、第2リンク15bを設けることなく、第1リンク15a、第3リンク15cを独立させ、第1リンク15aに下腹部保持用スリング21a、第3リンク15cを、同様の構造をしたスイングアームを利用して、独立して保持するようにしてもよい。
そして、第1リンク15a、第3リンク15cをそれぞれ別個のモータで回動し、制御装置により、各モータを相互に連携させることで、実施例2と同様に、下腹部保持用スリング21a、上半身保持用スリング21bの作動を再現することができる。
その際、各モータをプログラム制御したり、下腹部保持用スリング21a、上半身保持用スリング21bの張力を検出して、最適な荷重分散を行う等、様々な制御が可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、上半身保持部の下方に、腸骨張り出し部両側を起点に、被介護者の下腹部を保持する下腹部保持用スリングを付加することで、負ぶさり型の移乗支援機器の機動性、低コスト性を活かした上で、安全性を高め、しかも、介護者の負担低減と被介護者の快適性を両立できるので、介護施設等の移乗支援機器として広く採用されることが期待できる。
1・・・支持フレーム
2・・・回動装置
3・・・旋回アーム
4・・・上半身保持板
5・・・下腹部保持用スリング
6・・・スリング保持部材
7・・・ハンドル
10・・・支持フレーム
12・・・足載板
13・・・リンク回動装置
14・・・出力軸
15a・・第1リンク
15b・・第2リンク
15c・・第3リンク
15d・・第4リンク
16a・・第1ジョイント
16b・・第2ジョイント
16c・・第3ジョイント
18・・・支柱
19a、19b・・・スイングアーム
20a、20b・・・スリング保持部
21a・・下腹部保持用スリング
21b・・上半身保持用スリング
22a、22b・・・ハンドル
23・・・テザー

Claims (7)

  1. 被介護者の上半身を支持する上半身保持部と、
    前記上半身保持部が先端に取り付けられた旋回アームを回動し、前記上半身保持部の傾斜角を可変とする回動装置と、
    前記上半身保持部における前記被介護者の下腹部側に取り付けられ、腸骨張り出し部両側を起点に、被介護者の下腹部を保持する下腹部保持用スリングとを備えたことを特徴とする、移乗支援のための体幹支持装置。
  2. 前記下腹部保持用スリングの両端は、被介護者の下腹部側において、前記上半身保持部から被介護者の両側に向けて立設したスリング保持部材により保持され、被介護者が前記上半身保持部に密着した際、前記下腹部保持用スリングが、被介護者の両腸骨張り出し部に接触した状態となる位置に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の体幹支持装置。
  3. 前記回動装置がリンク回動装置により構成され、
    前記旋回アームが、一端が前記リンク回動装置に取り付けられた第1リンクにより構成され、
    前記上半身保持部が、前記第1リンクの他端に第1ジョイントを介して回転自在に連結された第2リンクと、この第2リンクの両側面から直交するよう張り出した支柱と、この支柱の両端に回動自在に連結されるとともに、端部にスリング保持部が直交する方向に延設された2本のスイングアームと、前記スリング保持部に掛け渡された上半身保持用スリングにより構成され、
    前記下腹部保持用スリングが前記スリング保持部に掛け渡されており、
    一端が第2ジョイントを介して前記第2リンクの他端に回転自在に連結されるとともに、他端が前記リンク回動装置の両側面に取り付けられた第3リンクとを備え、
    前記リンク回動装置に設けられた第1の駆動装置により、前記第1リンクを回動することにより、前記第2リンクが、その前記第1リンクと接続される端部側を上昇させつつ、水平面に対する傾斜角度を減少させるよう、前記第1リンクおよび前記第3リンクの取付位置、並びに、前記第1リンク、第2リンク及び第3リンクの長さが設定されていることを特徴とする請求項1に記載された移乗支援のための体幹支持装置。
  4. 前記第1の駆動装置により前記第1リンクを回動するとともに、前記リンク回動装置の両側面に第4リンクの一端を取り付け、前記第3リンクの下端を、第3ジョイントを介して前記第4リンクの他端に連結し、前記リンク回動装置に設けた第2の駆動装置により、前記第4リンクを回動することにより、前記第3リンクの下端側を上昇させつつ、水平面に対する傾斜角度を増加させるようにしたことを特徴とする請求項3に記載された体幹支持装置。
  5. 前記第1の駆動装置により前記第1リンクを回動するとともに、前記第3リンクを伸張することによって水平面に対する傾斜角度を増加させるようにしたことを特徴とする請求項4に記載された体幹支持装置。
  6. 前記下腹部保持用スリングの中央部を、テザーを介して前記第3リンクに固定し,揺動範囲を制限したことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載された体幹支持装置。
  7. 前記下腹部保持用スリングに弾性体を内蔵し、形状を保持することを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載された体幹支持装置。
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