JP2004187854A - 起立補助装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】着座している要介助者を起立させ且つ起立状態を維持させる際に、要介助者の臀部が車椅子の座部から離れる瞬間にかかる要介助者の負担を軽減することを目的としている。
【解決手段】要介助者の身体を支えるパッド部12と、パッド部12を斜め上方に移動させるパッド部移動機構とを備えるとともに、パッド部12の下方に、要介助者の足を載せる足載せ台25、要介助者の両膝を当接させるニーパッド29、若しくは要介助者が着座している車椅子を載せる台盤17のうち少なくとも一つが配置された起立補助装置において、起立補助装置には、足載せ台25、ニーパッド29、若しくは台盤17のうち少なくとも一つを要介助者の前後方向に移動させる前後方向移動機構が備えられている。
【選択図】 図7
【解決手段】要介助者の身体を支えるパッド部12と、パッド部12を斜め上方に移動させるパッド部移動機構とを備えるとともに、パッド部12の下方に、要介助者の足を載せる足載せ台25、要介助者の両膝を当接させるニーパッド29、若しくは要介助者が着座している車椅子を載せる台盤17のうち少なくとも一つが配置された起立補助装置において、起立補助装置には、足載せ台25、ニーパッド29、若しくは台盤17のうち少なくとも一つを要介助者の前後方向に移動させる前後方向移動機構が備えられている。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば入浴する際などに、自力で起立することが困難な要介助者の衣服を着替えさせるため等に、着座状態の要介助者を起立状態にさせ、且つ起立状態を維持させる起立補助装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、足腰が不自由であり自力で起立することが困難な要介助者が衣服の着替え等を行う際、要介助者は車椅子やベッド等から立ち上がるための補助と、起立状態を維持するための補助と、衣服の着脱等を行うための補助とを必要としている。従来、これらの補助は介助者が全て行っており、介助者は、要介助者の上半身を持ち上げて要介助者を車椅子から立ち上げさせ、要介助者の身体を支えて要介助者の起立状態を維持しつつ、要介助者の衣服の着脱等を行っている。
【0003】
また、近年では介助者の負担の軽減を図るため、要介助者が車椅子或いはベッドから立ち上がるための補助機器が提供されている。この補助機器は、水平方向に回転するターンテーブルに傾動機構によって鉛直方向に円弧回転される支柱が立設され、この支柱の上端には要介助者の腹部を載せるパッド部が設けられているものである。この補助機器によれば、支柱を円弧回転させて要介助者の腹部にパッド部を配置し、要介助者の身体を前屈みして要介助者の腹部をパッド部に載せ、パッド部に要介助者の体重を載せた状態で支柱を起動させることで要介助者の腰を浮かすことができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−192346号公報 (第2頁、第7図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の介助者が要介助者の身体を支える方法によると、介助者の負担は大きいとともに、一人の要介助者に対して二人の介助者が付かなければならない。このため、在宅看護等では、介助者が高齢である場合や一人の介助者で介助している場合が多いので、要介助者を着替えさせる事や車椅子を乗り換えさせる事などができなく十分な介助ができないという問題がある。
【0006】
また、上記した従来の補助機器によると、要介助者の臀部が車椅子の座部から離れる瞬間には、要介助者の身体重心の投影点と要介助者の足部との間隔は大きい。身体重心の投影点と要介助者の足部との間隔が大きいほど、起立する際の要介助者にかかる負担は大きくなる。このため、要介助者の臀部が車椅子の座部から離れる瞬間は、要介助者にかかる負担は大きくなるという問題がある。
【0007】
また、要介助者の両膝を支えるニーパッドが設けられている場合があるが、要介助者の臀部が車椅子の座部から離れる瞬間は要介助者の膝は前方に移動し、要介助者が起立するとともに後方に移動するため、要介助者が起立した際の両膝の位置にニーパッドがあると起立しにくいという問題がある。さらに、要介助者が起立した際に、要介助者の後方に位置する車椅子が要介助者の起立の邪魔になる場合や、車椅子が要介助者の脚に当たる場合がある。
【0008】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、着座している要介助者を起立させ且つ起立状態を維持させる際に、要介助者の臀部が車椅子の座部から離れる瞬間にかかる要介助者の負担を軽減することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、要介助者の身体を支えるパッド部と、該パッド部を斜め上方に移動させるパッド部移動機構とを備えるとともに、前記パッド部の下方に、前記要介助者の足を載せる足載せ台、前記要介助者の両膝を当接させるニーパッド、若しくは前記要介助者が着座している車椅子を載せる台盤のうち少なくとも一つが配置された起立補助装置において、前記起立補助装置には、前記足載せ台、前記ニーパッド、若しくは前記台盤のうち少なくとも一つを前記要介助者の前後方向に移動させる前後方向移動機構が備えられていることを特徴としている。
【0010】
このような特徴により、足載せ台が前後方向に移動可能な場合には、要介助者の臀部が車椅子の座部から離れると同時に、要介助者の足部が後方にスライド移動し、要介助者の身体重心の投影点と要介助者の足部との間隔は小さくなる。また、ニーパッドが前後方向に移動可能な場合には、要介助者が起立する際にニーパッドが要介助者の両膝に当接する。さらに、台盤が前後方向に移動可能な場合には、要介助者が起立する際に要介助者の足に車椅子が干渉しない。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の起立補助装置において、前記パッド部の下方には前記要介助者が着座している車椅子を載せる台盤が配置され、該台盤は台盤傾斜機構によって後方が上昇され前方に傾斜されることを特徴としている。
【0012】
このような特徴により、車椅子に着座している要介助者の身体は前方に傾き、要介助者の身体重心の投影点は前方に移動する。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の起立補助装置において、前記パッド部は、パッド部回転機構によって鉛直方向に回転されることを特徴としている。
【0014】
このような特徴により、このような特徴により、パッド部に傾けられた要介助者の身体は、パッド部の鉛直方向の回転力により上方に押し上げられる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の起立補助装置において、前記パッド部には、前記要介助者の身体を支えるホルダーが連結され、前記ホルダーは、要介助者の身体を前記要介助者の側方から支える側方ホルダーと前記要介助者の後方から支える後方ホルダーとのうち少なくとも一方から構成され、前記ホルダーには、前記側方ホルダーまたは前記後方ホルダーを、要介助者を保持する保持状態から非保持状態へ一時的に切換える切換手段が備えられていることを特徴としている。
【0016】
このような特徴により、要介助者の身体を支えるための側方ホルダー又は後方ホルダーは、要介助者の側方又は後方の所定の位置にそれぞれ固定される。また、側方ホルダー又は後方ホルダーは、要介助者の身体の側方又は後方から容易に移動する。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の起立補助装置において、前記パッド部は、前記パッド部移動機構にパッド部の左右いずれか一方から片持ち支持されていることを特徴としている。
【0018】
このような特徴により、パッド部の前方および一側方には開かれた空間が確保される。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の起立補助装置において、前記パッド部は、中央部の断面形状が円弧状であり、両側部の上面が平らであることを特徴としている。
【0020】
このような特徴により、断面形状が円弧状のパッド部には要介助者の胴体部が接触され、パッド部の両側部の平らな上面には要介助者の腕が載せられる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における起立補助装置の実施の形態について図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態は、車椅子に着座している要介助者の衣服の着脱を行うために要介助者を車椅子から起立させ、且つ起立状態を保持させる場合について説明する。
【0022】
図1に示すように、基台フレーム1は、断面形状が長方形の角形鋼管部材1aと、この角形鋼管部材1aの一側面に端面が当接されている90度に屈曲されている断面形状が正方形の角形鋼管部材1bとから構成されている。
【0023】
図2に示すように、基台フレーム1の下面には、鉛直下方に延在する脚部材3が複数設けられている。断面形状が長方形の角形鋼管部材1aの上面には、支持フレーム4が立設されている。支持フレーム4は、角形鋼管部材1bの一端部の上面に鉛直に立設されている支柱部材4aと、支柱部材4aよりも短いものであって他端部の上面に鉛直に立設されている支柱部材4bとから構成されている。
【0024】
一方の支柱部材4aの上部と他方の支柱部材4bの上部との間には斜め上方に延在するレール部材5が架設されている。レール部材5の上面には軌道部材6がレール部材5の軸方向に沿って設けられている。
【0025】
図2、図3に示すように、レール部材5にはレール部材5の上面及び両側面にそれぞれ対向するように加工された板金等からなる移動部材7が取り付けられており、移動部材7はレール部材5に沿って移動可能に取り付けられている。移動部材7の内側面には軌道部材6に掛止するとともに軌道部材6上を滑動する滑動部材8が設けられている。移動部材7の一方の側面部には、レール部材5の側面に対向するローラー9が二個づつ取り付けられているとともに、上方に延在する鉛直支持ロッド10が固定されている。
【0026】
図3に示すように、鉛直支持ロッド10の上端部には移動部材7の移動方向に直交する方向かつ水平方向に延在する中空円筒形の水平支持ロッド11の一端部が固定されている。水平支持ロッド11の他端部には、要介助者の身体を支えるパッド部12が回転可能に取り付けられている。パッド部12は、断面形状が円弧形になっていて要介助者の胴体を支えるパッド本体12aと、パッド本体12aの両側に設けられて上面がフラット面になっている要介助者の腕を載せるためのアームパッド12bと、パッド本体12aの下方に取り付けられ一端部が水平支持ロッド11に回転可能に取り付けられている丸棒部材12cとから構成されている。
【0027】
図3、図4に示すように、パッド部12の両側には、パッド部12に要介助者の身体を固定するホルダー13を取り付けるホルダー取付部14が設けられている。ホルダー13は、要介助者の身体を側方から支持する側方ホルダー13aと要介助者の身体を後方から支持する後方ホルダー13bとから構成されている。
【0028】
図5に示すように、ホルダー取付部14には、切換手段15を介して側方ホルダー13aの一端が取り付けられ、側方ホルダー13aの他端には、切換手段15を介して後方ホルダー13bが取り付けられている。切換手段15は、外周に連続的にレ形の溝が設けられている円盤状の被掛止部材15aと、レ形の溝に掛止される爪を有している掛止部材15bと、掛止部材15bを付勢する付勢部材15cとから構成された一方向クラッチからなるものである。また、側方ホルダー13a及び後方ホルダー13bの内側面には、要介助者を固定したときに衝撃、摩擦などを防ぐための緩衝材16が被覆されている。
【0029】
図1、図2に示すように、パッド部12の下方には車椅子を載せる矩形の台盤17が設けられている。台盤17の中央部には移動部材7の移動方向と平行に伸びる凸面部17aが形成され、凸面17部aの両側には移動部材7の移動方向と平行に伸びる凹面部17bが形成されている。台盤17の前方端面には移動部材7の移動方向と直交する方向に延在する丸棒状の芯部材18が設けられている。
芯部材18の両端部には、芯部材18を中心に鉛直方向に回転する回動部材19がそれぞれ取り付けられている。また、台盤17の凹面部17bの後方端部には、鉛直方向に回転可能に乗入れ板20が取り付けられている。
【0030】
図2、図6に示すように、角形鋼管部材1aの中間部の内側には、鉛直に配置されている矩形のガイドプレート21が取付板22を介して取り付けられている。ガイドプレート21には、斜め方向に延在する長孔21aが設けられている。
ガイドプレート21の下方の台盤15には、ガイドプレート21と平行に配置された矩形プレート23が固定されている。矩形プレート23の先端部にはピン部材24が設けられ、ピン部材24は長孔21aの中に挿通されている。
【0031】
また、図2に示すように、台盤17の前方には、要介助者の足部を載せる足載せ部25が設けられている。足載せ部25は、取付板26を介して台盤17の前部に取り付けられており、前部には床面を回動する回動部材27が複数取り付けられている。
【0032】
また、台盤17の前方に位置する角形鋼管部材1bの上面には、上端部が後方に90度屈曲した中央支柱部材28が立設されており、中央支柱部材28の上端面には要介助者の両膝を当接させるニーパッド29が若干斜めに傾けた状態で取り付けられている。また台盤17の前方の凹面部15bには車輪止め30が設けられている。
【0033】
一方、図1、図2に示すように、角形鋼管部材1aの後方部の上面には第1のアクチュエーター31が設置されている。第1のアクチュエーター31には、第1のアクチュエーター31により回転される第1のスプロケット32が備えられている。第1のスプロケット32は、レール部材5の下端方向に配置されている。レール部材5の上端方向には、一方の支柱部材4aの上部外側面に取り付けられている第2のスプロケット33が配置されている。第1のスプロケット32および第2のスプロケット33にはチェーン34が巻回されており、チェーン34のは図3に示す移動部材7の他方の側面部に設けられた取付部35を介して移動部材7にそれぞれ取り付けられている。
【0034】
上記した第1のアクチュエーター31、第1のスプロケット32、第2のスプロケット33、チェーン34、レール部材5及び移動部材7によって、パッド部12を斜め上方に移動させるためのパッド部移動機構36は構成されている。
【0035】
また、角形鋼管部材1aの中間部の上面には、第2のアクチュエーター37が設置されている。第2のアクチュエーター37には、第2のアクチュエーター37により回転される第3のスプロケット38が備えられている。第3のスプロケット38の斜め上方には第4のスプロケット39が配置されており、第4のスプロケット39は他方の支柱部材4bの上部に取り付けられた台座部材40の上に取り付けられている。第3のスプロケット38および第4のスプロケット39には、チェーン41が巻回されており、チェーン41の一端は台盤17の後方部側面に固定された取付部42に接続され、他端は他方の支柱部材4bの側面に取り付けられた付勢部材43に接続されている。付勢部材43は、チェーン41の他端を図2における右方向へ付勢するものであり、例えば、弾性に富む鋼を薄く細長くして渦巻状に巻いた渦巻ばね等からなるものである。
【0036】
上記した第2のアクチュエーター37、第3のスプロケット38、第4のスプロケット39、チェーン41、付勢部材43、ガイドプレート21及びピン部材24によって、足載せ台25を後方にスライド移動させる前後方向移動機構44が構成されている。また、第2のアクチュエーター37、第3のスプロケット38、第4のスプロケット39、チェーン41及び付勢部材43によって、台盤17の後方部を持ち上げる台盤傾斜機構45は構成されている。
【0037】
また、図3に示すように、パッド部12の下方には第3のアクチュエーター46が取り付けられている。第3のアクチュエーター46の側端面には第3のアクチュエーター46により鉛直方向に回転される例えばギアからなる一次回転部材47が取り付けられており、一次回転部材47の上方には一次回転部材47の回転に係合して鉛直方向に回転する例えばギアからなる二次回転部材48が配置されている。二次回転部材48は丸棒部材12cの他端面に固定されている。
【0038】
上記した第3のアクチュエーター46、一次回転部材47及び二次回転部材48によって、パッド部12を鉛直方向に回転させるパッド部回転機構49は構成されている。また、図2に示す第1のアクチュエーター31、第2のアクチュエーター37および第3のアクチュエーター46は、図示せぬ制御盤を介して図示せぬ操作盤にそれぞれ接続されている。
【0039】
次に上記した構成からなる起立補助装置を使用して車椅子に着座している要介助者を起立させるとともに起立状態を保持させる方法について説明する。
【0040】
図2に示すように、まず、乗入れ板20の後方端部が床面に接するように後方に傾斜させ、要介助者が着座している車椅子を乗入れ板20から凹面部17bに沿って進入させて台盤17上に移動させる。車椅子の車輪が車輪止め30に当接して車椅子が所定の位置に配置された後、乗入れ板20を回転させ前方に傾斜させる。この車輪止め30と乗入れ板20とで車椅子の前後方向の移動を規制する。
【0041】
次に、図示せぬ操作盤を操作して第1のアクチュエーター31を作動させ、移動部材7を移動させることにより要介助者の前方にパッド部12を配置する。また、図示せぬ操作盤を操作して第3のアクチュエーター46を作動させパッド部12を要介助者の方向に傾ける。このとき、要介助者の足を車椅子のステップから足載せ台25に載せ代えるとともに、要介助者の両腕を図3に示すアームパッド12bに載せ、且つ要介助者の胴体部をパッド本体12aに付けて、要介助者の上半身をパッド部12にあずける。次に、図3に示す側方ホルダー13a及び後方ホルダー13bを内側方向に屈曲して、パッド本体12aに支持された要介助者の胴体をホルダー13によって固定する。
【0042】
次に、図7に示すように、図示せぬ操作盤を操作して第1のアクチュエーター31を作動させて第1のスプロケット22を回転させるとともに、第2のアクチュエーター37を作動させて第3のスプロケット38を回転させ、さらに第3のアクチュエーター46を作動させて一次回転部材47を回転させる。
【0043】
第1のスプロケット32の回転によりチェーン34は黒塗り矢印方向に移動し、チェーン34に取り付けられた移動部材7は第1のスプロケット32と第2のスプロケット33との間でレール部材5に沿って斜め上方に直進移動する。図4に示す鉛直支持ロッド10および水平支持ロッド11を介して移動部材7に接続されたパッド部12は移動部材7の移動に伴って斜め上方に直進移動する。
【0044】
また、第3のスプロケット38の回転により、チェーン41は白塗り矢印の方向に移動する。チェーン41の一端に取付部材42を介して接続されている台盤17は、後方部がチェーン41の移動によって上昇する。また、ガイドプレート21の長孔21aに案内されるピン部材24が固定された台盤17は、上方に移動するとともに後方に移動する。これにより、車椅子を載せた台盤17は、前方部に設けられた芯部材18を軸に鉛直方向に円弧回転し傾斜角度20度程度まで前方に傾斜するとともに、回動部材19を回転させつつ後方に移動する。台盤17の前方に配置されて取付板26を介して台盤17に固定された足載せ台25は、台盤17の後方へのスライド移動に係合して回動部材27を回転させつつ後方に移動する。
【0045】
さらに、一次回転部材47の回転に係合して、二次回転部材48は破線矢印の方向に回転する。二次回転部材48に固定されたパッド部12は、二次回転部材48が回転することで破線矢印の方向に回転する。
【0046】
台盤17に載せられた車椅子に着座している要介助者の身体は前方に傾き、足載せ台25に載せられた要介助者の足部は後方に移動する。また、パッド部12にあずけられた要介助者の身体は斜め上方に移動し、着座している要介助者の臀部は車椅子の座部から離れる。引き続き第1のアクチュエーター31及び第3のアクチュエーター46を作動させて、パッド部12を斜め上方に移動させるとともに鉛直方向に回転させる。パッド部12が斜め上方に移動することで要介助者の身体は斜め上方に移動し、要介助者の両膝はニーパッド29に当接し、要介助者は起立する。
【0047】
要介助者の胴体部を支持するパッド部12と、要介助者の身体をパッド部12に固定するホルダー13と、要介助者の両膝を支えるニーパッド29とによって、要介助者の起立姿勢を安定した状態で保持させる。
【0048】
上記した起立補助装置によれば、側方ホルダー13a及び後方ホルダー13bは、切換手段15によって、要介助者の身体をパッド部12に固定する位置から一時的に離される。これによって、要介助者の身体をパッド部12に付ける際には、ホルダー13を外方に移動させ、容易に要介助者の身体をパッド部12に付けさせることができる。また、要介助者を起立させる際には、側方ホルダー13a及び後方ホルダー13bの位置を要介助者の身体に合わせて調節することができ、要介助者の身体を圧迫せずパッド部12に固定することができる。
【0049】
また、要介助者の足を載せる足載せ台25は後方に移動するため、要介助者の臀部が車椅子の座部から離れると同時に要介助者の足部は身体重心の投影点の方向に移動し、要介助者が起立した際には要介助者の足部の位置が要介助者の身体重心の投影点よりも若干前方に位置する。これによって、立ち上がる際の要介助者にかかる負担を軽減することができるとともに、要介助者が起立した際の要介助者の身体はパッド部12及びニーパッド29に支持され、安定した起立姿勢を保持させることができる。また、車椅子を載せた台盤17も一緒に後方に移動するため、要介助者の足部が後方に移動した際に、要介助者の足部と車椅子とが干渉することはない。
【0050】
また、車椅子を載せる台盤17が前方に傾斜されるので、車椅子に着座している要介助者の身体は前方に傾き、要介助者の身体重心は前方に移動する。これによって、要介助者の臀部が車椅子の座部から離れる瞬間の要介助者にかかる負担を軽減することができる。
【0051】
また、パッド部12は一側方から片持ち支持されているため、パッド部の前方および他側方にはが確保される。これによって、介助者は要介助者の正面及び他側方から補助を行うことができる。
【0052】
また、パッド部12が鉛直方向に回転することで、パッド部12にあずけられた要介助者の身体は上方に押し上げられる。これによって、要介助者の胴体部をパッド部12に載せることなく、要介助者の胴体部をパッド部12に傾けることで要介助者の身体は支持され、要介助者の腹部などを圧迫せず、要介助者に不快を与えることなく起立させることができる。
【0053】
また、要介助者の胴体部を支持するパッド本体12aは断面形状が円弧状になっているため、パッド部12が回転する際に要介助者に角が当たって不快を与えることがない。さらに、アームパッド12bに要介助者の腕を載せることで要介助者の胴体部への負担を軽減することができる。
【0054】
以上、本発明にかかる起立補助装置の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限り適宜変更可能である。例えば、図3、図5に示すように、本実施の形態では、パッド部12と側方ホルダー13a、及び側方ホルダー13aと後方ホルダー13bを接続するための切換手段15に両方とも一方向クラッチを使用しているが、図8に示す位置決めプランジャ50を少なくとも一方に用いた接続手段を使用してもよい。
【0055】
図9に示すように、位置決めプランジャ50は、上下方向に移動するノブ51と、ノブ51の下方に配置されノブ51の下方への移動を規制するノブストローク決めナット52と、ノブストローク決めナット52の下方に配置されノブ51に付勢部材53を介して取り付けられているピン54とから構成されている。
【0056】
図8に示すように、後方ホルダー13bの一端には、先端に貫通孔55aを有する取付部55が設けられている。貫通孔55aの中には位置決めプランジャ50が挿通されており、位置決めプランジャ50はプランジャ固定ナット56で取付部55に固定されている。貫通孔55aの下方に位置する側方ホルダー13aの一端には、被係止部57が固定されている。被係止部57の上面には孔57aが設けられており、孔57aの中にはピン54が挿入されている。また、取付部55の下面には中心に円柱孔58aを有する回転部58が固定されている。円柱孔58aの中には、側方ホルダー13aの一端部上面に設けられた回転軸部59が貫入されている。
【0057】
後方ホルダー13bを固定された位置から移動させる場合は、まず、ノブ51を上方に引き上げて、ピン54を孔57aの中から引き抜く。次に、回転軸部59を軸に後方ホルダー13bを回転させて後方ホルダー13bを移動させる。なお、パッド部12と側方ホルダー13aとを接続するための切換手段15についても同様の位置決めプランジャ50で接続される。
【0058】
また、図2に示すように、本実施の形態では、足載せ台25と台盤17とを後方に移動させ、ニーパッド29は一定の位置に固定しているが、ニーパッド29を前後に移動させてもよい。これにより、要介助者が起立する過程において、要介助者の両膝は常にニーパッド29に支持され、要介助者の負担は軽減される。
【0059】
また、本実施の形態では、パッド部12はレール部材5に沿って斜め上方に直進移動するとともにパッド部回転機構49によって鉛直方向に回転するが、図10に示すように、パッド部12はレール部材5に沿って斜め上方に直進移動し、パッド部回転機構49を使用せずにパッド部12を回転させないでもよい。また、図11に示すように、パッド部12はレール部材5に沿って斜め上方に直進移動し、且つパッド部12の端点にロッド部材60の一端を固定し、ロッド部材60の他端を中心にロッド部材60を回転させ、パッド部12を鉛直方向に回転させるパッド部回転機構を使用してもよい。また、図12に示すように、パッド部12はレール部材5に沿って斜め上方に直進移動し、且つパッド部12の端点にピン部材61を設け、ピン部材61を曲線状の長孔62の中で移動させ、パッド部12を鉛直方向に回転させるパッド部回転機構を使用してもよい。なお、長孔62は曲線状のものに限らず、直線状或いは行き帰りに異なった経路をとるものでもよい。
【0060】
また、図2に示すように、本実施の形態では、パッド部移動機構36は、鉛直支持ロッド10及び水平支持ロッド11を介してパッド部12が取り付けられた移動部材7を第1のアクチュエーター31等によってレール部材5に沿って移動させる構成からなっている。しかし、図13から図17に示すように、本発明は、下端を中心に回転する駆動棒63と、駆動棒63の上端に回転自在に取り付けられ駆動棒63の回転とともに平行移動する平行棒64とを有する平行リンク機構65にパッド部12を設ける構成からなるパッド部移動機構36を使用してもよい。
【0061】
パッド部12を平行リンク機構65に取り付ける態様は、例えば、図13に示すように、パッド部12を駆動棒63の上端に回転自在に取り付けるとともに、パッド部12の端点を平行棒64の中間部に固定する態様がある。また、図14に示すように、パッド部12を駆動棒63の上端に固定する態様がある。また、図15に示すように、パッド部12を駆動棒63の上端に固定するとともに、パッド部12の端点を駆動棒63の中間部に固定する態様とがある。
【0062】
また、図16に示すように、パッド部12を駆動棒63の上端に回転自在に取り付けるとともに、パッド部12の端点にピン部材66を設ける。このピン部材66を直線状の長孔67の中で移動させて、パッド部12を回転させてもよい。
なお、長孔62は直線状のものに限らず、曲線状或いは行き帰りに異なった経路をとるものでもよい。また、図17に示すように、パッド部12を駆動棒63の上端に回転自在に取り付けるとともに、パッド部12の端点にロッド部材68の一端を回転自在に取り付ける。このロッド部材68の他端を中心にロッド部材68を鉛直方向に回転させてもよい。
【0063】
また、図3に示すように、本実施の形態では、パッド部12は、断面形状が円弧形になっているパッド本体12aと、パッド本体12aの両側に設けられて上面がフラット面になっているアームパッド12bとから構成されているが、図19に示すように、断面形状が円弧形のパッド本体69aと、パッド本体69aの両側から前方にかけて平らな面をもつアームパッド69bとから構成され、アームパッド69bの前部に要介助者が掴む円弧状のハンドル70が設けられたパッド部69を使用してもよい。また、図20に示すように、パッド本体71aの中央部の断面形状が、パッド本体71aの両側の断面形状よりも小さい円弧形になり、中央部に窪みを有するパッド部71を使用してもよい。
【0064】
【発明の効果】
本発明にかかる起立補助装置によると、要介助者の臀部が車椅子の座部から離れると同時に、要介助者の足部が後方に移動し、要介助者の身体重心の投影点と要介助者の足部との間隔は小さくなるため、要介助者にかかる負担を軽減することができる。また、ニーパッドが前後方向に移動することにより要介助者が起立するとともにニーパッドが要介助者の両膝に当接するため要介助者が起立し易くなり、要介助者の身体は両膝で支持されるため要介助者の上半身にかかる負担を軽減することができる。さらに、要介助者が起立する際に台盤が前後方向に移動して要介助者の足に車椅子が干渉しないため、要介助者はスムーズに立ち上がることができ、要介助者にかかる負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る起立補助装置の実施の形態を説明する平面図である。
【図2】本発明に係る起立補助装置の実施の形態を説明する側面図である。
【図3】本発明に係る起立補助装置の実施の形態を説明する部分前面図である。
【図4】本発明に係る起立補助装置の実施の形態を説明する部分側面図である。
【図5】本発明に係る起立補助装置の実施の形態を説明する部分詳細図である。
【図6】本発明に係る起立補助装置の実施の形態を説明する背面図である。
【図7】本発明に係る起立補助装置の実施の形態を説明する使用状態図である。
【図8】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する部分図である。
【図9】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する部分詳細図である。
【図10】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する動作図である。
【図11】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する動作図である。
【図12】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する動作図である。
【図13】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する動作図である。
【図14】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する動作図である。
【図15】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する動作図である。
【図16】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する動作図である。
【図17】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する動作図である。
【図18】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する部分平面図である。
【図19】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する部分斜視図である。
【符号の説明】
12 パッド部
13 ホルダー
13a側方ホルダー
13b後方ホルダー
15 切換手段
17 台盤
25 足載せ台
29 ニーパッド
36 パッド部移動機構
44 前後方向移動機構
45 台盤傾斜機構
49 パッド部回転機構
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば入浴する際などに、自力で起立することが困難な要介助者の衣服を着替えさせるため等に、着座状態の要介助者を起立状態にさせ、且つ起立状態を維持させる起立補助装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、足腰が不自由であり自力で起立することが困難な要介助者が衣服の着替え等を行う際、要介助者は車椅子やベッド等から立ち上がるための補助と、起立状態を維持するための補助と、衣服の着脱等を行うための補助とを必要としている。従来、これらの補助は介助者が全て行っており、介助者は、要介助者の上半身を持ち上げて要介助者を車椅子から立ち上げさせ、要介助者の身体を支えて要介助者の起立状態を維持しつつ、要介助者の衣服の着脱等を行っている。
【0003】
また、近年では介助者の負担の軽減を図るため、要介助者が車椅子或いはベッドから立ち上がるための補助機器が提供されている。この補助機器は、水平方向に回転するターンテーブルに傾動機構によって鉛直方向に円弧回転される支柱が立設され、この支柱の上端には要介助者の腹部を載せるパッド部が設けられているものである。この補助機器によれば、支柱を円弧回転させて要介助者の腹部にパッド部を配置し、要介助者の身体を前屈みして要介助者の腹部をパッド部に載せ、パッド部に要介助者の体重を載せた状態で支柱を起動させることで要介助者の腰を浮かすことができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−192346号公報 (第2頁、第7図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の介助者が要介助者の身体を支える方法によると、介助者の負担は大きいとともに、一人の要介助者に対して二人の介助者が付かなければならない。このため、在宅看護等では、介助者が高齢である場合や一人の介助者で介助している場合が多いので、要介助者を着替えさせる事や車椅子を乗り換えさせる事などができなく十分な介助ができないという問題がある。
【0006】
また、上記した従来の補助機器によると、要介助者の臀部が車椅子の座部から離れる瞬間には、要介助者の身体重心の投影点と要介助者の足部との間隔は大きい。身体重心の投影点と要介助者の足部との間隔が大きいほど、起立する際の要介助者にかかる負担は大きくなる。このため、要介助者の臀部が車椅子の座部から離れる瞬間は、要介助者にかかる負担は大きくなるという問題がある。
【0007】
また、要介助者の両膝を支えるニーパッドが設けられている場合があるが、要介助者の臀部が車椅子の座部から離れる瞬間は要介助者の膝は前方に移動し、要介助者が起立するとともに後方に移動するため、要介助者が起立した際の両膝の位置にニーパッドがあると起立しにくいという問題がある。さらに、要介助者が起立した際に、要介助者の後方に位置する車椅子が要介助者の起立の邪魔になる場合や、車椅子が要介助者の脚に当たる場合がある。
【0008】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、着座している要介助者を起立させ且つ起立状態を維持させる際に、要介助者の臀部が車椅子の座部から離れる瞬間にかかる要介助者の負担を軽減することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、要介助者の身体を支えるパッド部と、該パッド部を斜め上方に移動させるパッド部移動機構とを備えるとともに、前記パッド部の下方に、前記要介助者の足を載せる足載せ台、前記要介助者の両膝を当接させるニーパッド、若しくは前記要介助者が着座している車椅子を載せる台盤のうち少なくとも一つが配置された起立補助装置において、前記起立補助装置には、前記足載せ台、前記ニーパッド、若しくは前記台盤のうち少なくとも一つを前記要介助者の前後方向に移動させる前後方向移動機構が備えられていることを特徴としている。
【0010】
このような特徴により、足載せ台が前後方向に移動可能な場合には、要介助者の臀部が車椅子の座部から離れると同時に、要介助者の足部が後方にスライド移動し、要介助者の身体重心の投影点と要介助者の足部との間隔は小さくなる。また、ニーパッドが前後方向に移動可能な場合には、要介助者が起立する際にニーパッドが要介助者の両膝に当接する。さらに、台盤が前後方向に移動可能な場合には、要介助者が起立する際に要介助者の足に車椅子が干渉しない。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の起立補助装置において、前記パッド部の下方には前記要介助者が着座している車椅子を載せる台盤が配置され、該台盤は台盤傾斜機構によって後方が上昇され前方に傾斜されることを特徴としている。
【0012】
このような特徴により、車椅子に着座している要介助者の身体は前方に傾き、要介助者の身体重心の投影点は前方に移動する。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の起立補助装置において、前記パッド部は、パッド部回転機構によって鉛直方向に回転されることを特徴としている。
【0014】
このような特徴により、このような特徴により、パッド部に傾けられた要介助者の身体は、パッド部の鉛直方向の回転力により上方に押し上げられる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の起立補助装置において、前記パッド部には、前記要介助者の身体を支えるホルダーが連結され、前記ホルダーは、要介助者の身体を前記要介助者の側方から支える側方ホルダーと前記要介助者の後方から支える後方ホルダーとのうち少なくとも一方から構成され、前記ホルダーには、前記側方ホルダーまたは前記後方ホルダーを、要介助者を保持する保持状態から非保持状態へ一時的に切換える切換手段が備えられていることを特徴としている。
【0016】
このような特徴により、要介助者の身体を支えるための側方ホルダー又は後方ホルダーは、要介助者の側方又は後方の所定の位置にそれぞれ固定される。また、側方ホルダー又は後方ホルダーは、要介助者の身体の側方又は後方から容易に移動する。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の起立補助装置において、前記パッド部は、前記パッド部移動機構にパッド部の左右いずれか一方から片持ち支持されていることを特徴としている。
【0018】
このような特徴により、パッド部の前方および一側方には開かれた空間が確保される。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の起立補助装置において、前記パッド部は、中央部の断面形状が円弧状であり、両側部の上面が平らであることを特徴としている。
【0020】
このような特徴により、断面形状が円弧状のパッド部には要介助者の胴体部が接触され、パッド部の両側部の平らな上面には要介助者の腕が載せられる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における起立補助装置の実施の形態について図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態は、車椅子に着座している要介助者の衣服の着脱を行うために要介助者を車椅子から起立させ、且つ起立状態を保持させる場合について説明する。
【0022】
図1に示すように、基台フレーム1は、断面形状が長方形の角形鋼管部材1aと、この角形鋼管部材1aの一側面に端面が当接されている90度に屈曲されている断面形状が正方形の角形鋼管部材1bとから構成されている。
【0023】
図2に示すように、基台フレーム1の下面には、鉛直下方に延在する脚部材3が複数設けられている。断面形状が長方形の角形鋼管部材1aの上面には、支持フレーム4が立設されている。支持フレーム4は、角形鋼管部材1bの一端部の上面に鉛直に立設されている支柱部材4aと、支柱部材4aよりも短いものであって他端部の上面に鉛直に立設されている支柱部材4bとから構成されている。
【0024】
一方の支柱部材4aの上部と他方の支柱部材4bの上部との間には斜め上方に延在するレール部材5が架設されている。レール部材5の上面には軌道部材6がレール部材5の軸方向に沿って設けられている。
【0025】
図2、図3に示すように、レール部材5にはレール部材5の上面及び両側面にそれぞれ対向するように加工された板金等からなる移動部材7が取り付けられており、移動部材7はレール部材5に沿って移動可能に取り付けられている。移動部材7の内側面には軌道部材6に掛止するとともに軌道部材6上を滑動する滑動部材8が設けられている。移動部材7の一方の側面部には、レール部材5の側面に対向するローラー9が二個づつ取り付けられているとともに、上方に延在する鉛直支持ロッド10が固定されている。
【0026】
図3に示すように、鉛直支持ロッド10の上端部には移動部材7の移動方向に直交する方向かつ水平方向に延在する中空円筒形の水平支持ロッド11の一端部が固定されている。水平支持ロッド11の他端部には、要介助者の身体を支えるパッド部12が回転可能に取り付けられている。パッド部12は、断面形状が円弧形になっていて要介助者の胴体を支えるパッド本体12aと、パッド本体12aの両側に設けられて上面がフラット面になっている要介助者の腕を載せるためのアームパッド12bと、パッド本体12aの下方に取り付けられ一端部が水平支持ロッド11に回転可能に取り付けられている丸棒部材12cとから構成されている。
【0027】
図3、図4に示すように、パッド部12の両側には、パッド部12に要介助者の身体を固定するホルダー13を取り付けるホルダー取付部14が設けられている。ホルダー13は、要介助者の身体を側方から支持する側方ホルダー13aと要介助者の身体を後方から支持する後方ホルダー13bとから構成されている。
【0028】
図5に示すように、ホルダー取付部14には、切換手段15を介して側方ホルダー13aの一端が取り付けられ、側方ホルダー13aの他端には、切換手段15を介して後方ホルダー13bが取り付けられている。切換手段15は、外周に連続的にレ形の溝が設けられている円盤状の被掛止部材15aと、レ形の溝に掛止される爪を有している掛止部材15bと、掛止部材15bを付勢する付勢部材15cとから構成された一方向クラッチからなるものである。また、側方ホルダー13a及び後方ホルダー13bの内側面には、要介助者を固定したときに衝撃、摩擦などを防ぐための緩衝材16が被覆されている。
【0029】
図1、図2に示すように、パッド部12の下方には車椅子を載せる矩形の台盤17が設けられている。台盤17の中央部には移動部材7の移動方向と平行に伸びる凸面部17aが形成され、凸面17部aの両側には移動部材7の移動方向と平行に伸びる凹面部17bが形成されている。台盤17の前方端面には移動部材7の移動方向と直交する方向に延在する丸棒状の芯部材18が設けられている。
芯部材18の両端部には、芯部材18を中心に鉛直方向に回転する回動部材19がそれぞれ取り付けられている。また、台盤17の凹面部17bの後方端部には、鉛直方向に回転可能に乗入れ板20が取り付けられている。
【0030】
図2、図6に示すように、角形鋼管部材1aの中間部の内側には、鉛直に配置されている矩形のガイドプレート21が取付板22を介して取り付けられている。ガイドプレート21には、斜め方向に延在する長孔21aが設けられている。
ガイドプレート21の下方の台盤15には、ガイドプレート21と平行に配置された矩形プレート23が固定されている。矩形プレート23の先端部にはピン部材24が設けられ、ピン部材24は長孔21aの中に挿通されている。
【0031】
また、図2に示すように、台盤17の前方には、要介助者の足部を載せる足載せ部25が設けられている。足載せ部25は、取付板26を介して台盤17の前部に取り付けられており、前部には床面を回動する回動部材27が複数取り付けられている。
【0032】
また、台盤17の前方に位置する角形鋼管部材1bの上面には、上端部が後方に90度屈曲した中央支柱部材28が立設されており、中央支柱部材28の上端面には要介助者の両膝を当接させるニーパッド29が若干斜めに傾けた状態で取り付けられている。また台盤17の前方の凹面部15bには車輪止め30が設けられている。
【0033】
一方、図1、図2に示すように、角形鋼管部材1aの後方部の上面には第1のアクチュエーター31が設置されている。第1のアクチュエーター31には、第1のアクチュエーター31により回転される第1のスプロケット32が備えられている。第1のスプロケット32は、レール部材5の下端方向に配置されている。レール部材5の上端方向には、一方の支柱部材4aの上部外側面に取り付けられている第2のスプロケット33が配置されている。第1のスプロケット32および第2のスプロケット33にはチェーン34が巻回されており、チェーン34のは図3に示す移動部材7の他方の側面部に設けられた取付部35を介して移動部材7にそれぞれ取り付けられている。
【0034】
上記した第1のアクチュエーター31、第1のスプロケット32、第2のスプロケット33、チェーン34、レール部材5及び移動部材7によって、パッド部12を斜め上方に移動させるためのパッド部移動機構36は構成されている。
【0035】
また、角形鋼管部材1aの中間部の上面には、第2のアクチュエーター37が設置されている。第2のアクチュエーター37には、第2のアクチュエーター37により回転される第3のスプロケット38が備えられている。第3のスプロケット38の斜め上方には第4のスプロケット39が配置されており、第4のスプロケット39は他方の支柱部材4bの上部に取り付けられた台座部材40の上に取り付けられている。第3のスプロケット38および第4のスプロケット39には、チェーン41が巻回されており、チェーン41の一端は台盤17の後方部側面に固定された取付部42に接続され、他端は他方の支柱部材4bの側面に取り付けられた付勢部材43に接続されている。付勢部材43は、チェーン41の他端を図2における右方向へ付勢するものであり、例えば、弾性に富む鋼を薄く細長くして渦巻状に巻いた渦巻ばね等からなるものである。
【0036】
上記した第2のアクチュエーター37、第3のスプロケット38、第4のスプロケット39、チェーン41、付勢部材43、ガイドプレート21及びピン部材24によって、足載せ台25を後方にスライド移動させる前後方向移動機構44が構成されている。また、第2のアクチュエーター37、第3のスプロケット38、第4のスプロケット39、チェーン41及び付勢部材43によって、台盤17の後方部を持ち上げる台盤傾斜機構45は構成されている。
【0037】
また、図3に示すように、パッド部12の下方には第3のアクチュエーター46が取り付けられている。第3のアクチュエーター46の側端面には第3のアクチュエーター46により鉛直方向に回転される例えばギアからなる一次回転部材47が取り付けられており、一次回転部材47の上方には一次回転部材47の回転に係合して鉛直方向に回転する例えばギアからなる二次回転部材48が配置されている。二次回転部材48は丸棒部材12cの他端面に固定されている。
【0038】
上記した第3のアクチュエーター46、一次回転部材47及び二次回転部材48によって、パッド部12を鉛直方向に回転させるパッド部回転機構49は構成されている。また、図2に示す第1のアクチュエーター31、第2のアクチュエーター37および第3のアクチュエーター46は、図示せぬ制御盤を介して図示せぬ操作盤にそれぞれ接続されている。
【0039】
次に上記した構成からなる起立補助装置を使用して車椅子に着座している要介助者を起立させるとともに起立状態を保持させる方法について説明する。
【0040】
図2に示すように、まず、乗入れ板20の後方端部が床面に接するように後方に傾斜させ、要介助者が着座している車椅子を乗入れ板20から凹面部17bに沿って進入させて台盤17上に移動させる。車椅子の車輪が車輪止め30に当接して車椅子が所定の位置に配置された後、乗入れ板20を回転させ前方に傾斜させる。この車輪止め30と乗入れ板20とで車椅子の前後方向の移動を規制する。
【0041】
次に、図示せぬ操作盤を操作して第1のアクチュエーター31を作動させ、移動部材7を移動させることにより要介助者の前方にパッド部12を配置する。また、図示せぬ操作盤を操作して第3のアクチュエーター46を作動させパッド部12を要介助者の方向に傾ける。このとき、要介助者の足を車椅子のステップから足載せ台25に載せ代えるとともに、要介助者の両腕を図3に示すアームパッド12bに載せ、且つ要介助者の胴体部をパッド本体12aに付けて、要介助者の上半身をパッド部12にあずける。次に、図3に示す側方ホルダー13a及び後方ホルダー13bを内側方向に屈曲して、パッド本体12aに支持された要介助者の胴体をホルダー13によって固定する。
【0042】
次に、図7に示すように、図示せぬ操作盤を操作して第1のアクチュエーター31を作動させて第1のスプロケット22を回転させるとともに、第2のアクチュエーター37を作動させて第3のスプロケット38を回転させ、さらに第3のアクチュエーター46を作動させて一次回転部材47を回転させる。
【0043】
第1のスプロケット32の回転によりチェーン34は黒塗り矢印方向に移動し、チェーン34に取り付けられた移動部材7は第1のスプロケット32と第2のスプロケット33との間でレール部材5に沿って斜め上方に直進移動する。図4に示す鉛直支持ロッド10および水平支持ロッド11を介して移動部材7に接続されたパッド部12は移動部材7の移動に伴って斜め上方に直進移動する。
【0044】
また、第3のスプロケット38の回転により、チェーン41は白塗り矢印の方向に移動する。チェーン41の一端に取付部材42を介して接続されている台盤17は、後方部がチェーン41の移動によって上昇する。また、ガイドプレート21の長孔21aに案内されるピン部材24が固定された台盤17は、上方に移動するとともに後方に移動する。これにより、車椅子を載せた台盤17は、前方部に設けられた芯部材18を軸に鉛直方向に円弧回転し傾斜角度20度程度まで前方に傾斜するとともに、回動部材19を回転させつつ後方に移動する。台盤17の前方に配置されて取付板26を介して台盤17に固定された足載せ台25は、台盤17の後方へのスライド移動に係合して回動部材27を回転させつつ後方に移動する。
【0045】
さらに、一次回転部材47の回転に係合して、二次回転部材48は破線矢印の方向に回転する。二次回転部材48に固定されたパッド部12は、二次回転部材48が回転することで破線矢印の方向に回転する。
【0046】
台盤17に載せられた車椅子に着座している要介助者の身体は前方に傾き、足載せ台25に載せられた要介助者の足部は後方に移動する。また、パッド部12にあずけられた要介助者の身体は斜め上方に移動し、着座している要介助者の臀部は車椅子の座部から離れる。引き続き第1のアクチュエーター31及び第3のアクチュエーター46を作動させて、パッド部12を斜め上方に移動させるとともに鉛直方向に回転させる。パッド部12が斜め上方に移動することで要介助者の身体は斜め上方に移動し、要介助者の両膝はニーパッド29に当接し、要介助者は起立する。
【0047】
要介助者の胴体部を支持するパッド部12と、要介助者の身体をパッド部12に固定するホルダー13と、要介助者の両膝を支えるニーパッド29とによって、要介助者の起立姿勢を安定した状態で保持させる。
【0048】
上記した起立補助装置によれば、側方ホルダー13a及び後方ホルダー13bは、切換手段15によって、要介助者の身体をパッド部12に固定する位置から一時的に離される。これによって、要介助者の身体をパッド部12に付ける際には、ホルダー13を外方に移動させ、容易に要介助者の身体をパッド部12に付けさせることができる。また、要介助者を起立させる際には、側方ホルダー13a及び後方ホルダー13bの位置を要介助者の身体に合わせて調節することができ、要介助者の身体を圧迫せずパッド部12に固定することができる。
【0049】
また、要介助者の足を載せる足載せ台25は後方に移動するため、要介助者の臀部が車椅子の座部から離れると同時に要介助者の足部は身体重心の投影点の方向に移動し、要介助者が起立した際には要介助者の足部の位置が要介助者の身体重心の投影点よりも若干前方に位置する。これによって、立ち上がる際の要介助者にかかる負担を軽減することができるとともに、要介助者が起立した際の要介助者の身体はパッド部12及びニーパッド29に支持され、安定した起立姿勢を保持させることができる。また、車椅子を載せた台盤17も一緒に後方に移動するため、要介助者の足部が後方に移動した際に、要介助者の足部と車椅子とが干渉することはない。
【0050】
また、車椅子を載せる台盤17が前方に傾斜されるので、車椅子に着座している要介助者の身体は前方に傾き、要介助者の身体重心は前方に移動する。これによって、要介助者の臀部が車椅子の座部から離れる瞬間の要介助者にかかる負担を軽減することができる。
【0051】
また、パッド部12は一側方から片持ち支持されているため、パッド部の前方および他側方にはが確保される。これによって、介助者は要介助者の正面及び他側方から補助を行うことができる。
【0052】
また、パッド部12が鉛直方向に回転することで、パッド部12にあずけられた要介助者の身体は上方に押し上げられる。これによって、要介助者の胴体部をパッド部12に載せることなく、要介助者の胴体部をパッド部12に傾けることで要介助者の身体は支持され、要介助者の腹部などを圧迫せず、要介助者に不快を与えることなく起立させることができる。
【0053】
また、要介助者の胴体部を支持するパッド本体12aは断面形状が円弧状になっているため、パッド部12が回転する際に要介助者に角が当たって不快を与えることがない。さらに、アームパッド12bに要介助者の腕を載せることで要介助者の胴体部への負担を軽減することができる。
【0054】
以上、本発明にかかる起立補助装置の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限り適宜変更可能である。例えば、図3、図5に示すように、本実施の形態では、パッド部12と側方ホルダー13a、及び側方ホルダー13aと後方ホルダー13bを接続するための切換手段15に両方とも一方向クラッチを使用しているが、図8に示す位置決めプランジャ50を少なくとも一方に用いた接続手段を使用してもよい。
【0055】
図9に示すように、位置決めプランジャ50は、上下方向に移動するノブ51と、ノブ51の下方に配置されノブ51の下方への移動を規制するノブストローク決めナット52と、ノブストローク決めナット52の下方に配置されノブ51に付勢部材53を介して取り付けられているピン54とから構成されている。
【0056】
図8に示すように、後方ホルダー13bの一端には、先端に貫通孔55aを有する取付部55が設けられている。貫通孔55aの中には位置決めプランジャ50が挿通されており、位置決めプランジャ50はプランジャ固定ナット56で取付部55に固定されている。貫通孔55aの下方に位置する側方ホルダー13aの一端には、被係止部57が固定されている。被係止部57の上面には孔57aが設けられており、孔57aの中にはピン54が挿入されている。また、取付部55の下面には中心に円柱孔58aを有する回転部58が固定されている。円柱孔58aの中には、側方ホルダー13aの一端部上面に設けられた回転軸部59が貫入されている。
【0057】
後方ホルダー13bを固定された位置から移動させる場合は、まず、ノブ51を上方に引き上げて、ピン54を孔57aの中から引き抜く。次に、回転軸部59を軸に後方ホルダー13bを回転させて後方ホルダー13bを移動させる。なお、パッド部12と側方ホルダー13aとを接続するための切換手段15についても同様の位置決めプランジャ50で接続される。
【0058】
また、図2に示すように、本実施の形態では、足載せ台25と台盤17とを後方に移動させ、ニーパッド29は一定の位置に固定しているが、ニーパッド29を前後に移動させてもよい。これにより、要介助者が起立する過程において、要介助者の両膝は常にニーパッド29に支持され、要介助者の負担は軽減される。
【0059】
また、本実施の形態では、パッド部12はレール部材5に沿って斜め上方に直進移動するとともにパッド部回転機構49によって鉛直方向に回転するが、図10に示すように、パッド部12はレール部材5に沿って斜め上方に直進移動し、パッド部回転機構49を使用せずにパッド部12を回転させないでもよい。また、図11に示すように、パッド部12はレール部材5に沿って斜め上方に直進移動し、且つパッド部12の端点にロッド部材60の一端を固定し、ロッド部材60の他端を中心にロッド部材60を回転させ、パッド部12を鉛直方向に回転させるパッド部回転機構を使用してもよい。また、図12に示すように、パッド部12はレール部材5に沿って斜め上方に直進移動し、且つパッド部12の端点にピン部材61を設け、ピン部材61を曲線状の長孔62の中で移動させ、パッド部12を鉛直方向に回転させるパッド部回転機構を使用してもよい。なお、長孔62は曲線状のものに限らず、直線状或いは行き帰りに異なった経路をとるものでもよい。
【0060】
また、図2に示すように、本実施の形態では、パッド部移動機構36は、鉛直支持ロッド10及び水平支持ロッド11を介してパッド部12が取り付けられた移動部材7を第1のアクチュエーター31等によってレール部材5に沿って移動させる構成からなっている。しかし、図13から図17に示すように、本発明は、下端を中心に回転する駆動棒63と、駆動棒63の上端に回転自在に取り付けられ駆動棒63の回転とともに平行移動する平行棒64とを有する平行リンク機構65にパッド部12を設ける構成からなるパッド部移動機構36を使用してもよい。
【0061】
パッド部12を平行リンク機構65に取り付ける態様は、例えば、図13に示すように、パッド部12を駆動棒63の上端に回転自在に取り付けるとともに、パッド部12の端点を平行棒64の中間部に固定する態様がある。また、図14に示すように、パッド部12を駆動棒63の上端に固定する態様がある。また、図15に示すように、パッド部12を駆動棒63の上端に固定するとともに、パッド部12の端点を駆動棒63の中間部に固定する態様とがある。
【0062】
また、図16に示すように、パッド部12を駆動棒63の上端に回転自在に取り付けるとともに、パッド部12の端点にピン部材66を設ける。このピン部材66を直線状の長孔67の中で移動させて、パッド部12を回転させてもよい。
なお、長孔62は直線状のものに限らず、曲線状或いは行き帰りに異なった経路をとるものでもよい。また、図17に示すように、パッド部12を駆動棒63の上端に回転自在に取り付けるとともに、パッド部12の端点にロッド部材68の一端を回転自在に取り付ける。このロッド部材68の他端を中心にロッド部材68を鉛直方向に回転させてもよい。
【0063】
また、図3に示すように、本実施の形態では、パッド部12は、断面形状が円弧形になっているパッド本体12aと、パッド本体12aの両側に設けられて上面がフラット面になっているアームパッド12bとから構成されているが、図19に示すように、断面形状が円弧形のパッド本体69aと、パッド本体69aの両側から前方にかけて平らな面をもつアームパッド69bとから構成され、アームパッド69bの前部に要介助者が掴む円弧状のハンドル70が設けられたパッド部69を使用してもよい。また、図20に示すように、パッド本体71aの中央部の断面形状が、パッド本体71aの両側の断面形状よりも小さい円弧形になり、中央部に窪みを有するパッド部71を使用してもよい。
【0064】
【発明の効果】
本発明にかかる起立補助装置によると、要介助者の臀部が車椅子の座部から離れると同時に、要介助者の足部が後方に移動し、要介助者の身体重心の投影点と要介助者の足部との間隔は小さくなるため、要介助者にかかる負担を軽減することができる。また、ニーパッドが前後方向に移動することにより要介助者が起立するとともにニーパッドが要介助者の両膝に当接するため要介助者が起立し易くなり、要介助者の身体は両膝で支持されるため要介助者の上半身にかかる負担を軽減することができる。さらに、要介助者が起立する際に台盤が前後方向に移動して要介助者の足に車椅子が干渉しないため、要介助者はスムーズに立ち上がることができ、要介助者にかかる負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る起立補助装置の実施の形態を説明する平面図である。
【図2】本発明に係る起立補助装置の実施の形態を説明する側面図である。
【図3】本発明に係る起立補助装置の実施の形態を説明する部分前面図である。
【図4】本発明に係る起立補助装置の実施の形態を説明する部分側面図である。
【図5】本発明に係る起立補助装置の実施の形態を説明する部分詳細図である。
【図6】本発明に係る起立補助装置の実施の形態を説明する背面図である。
【図7】本発明に係る起立補助装置の実施の形態を説明する使用状態図である。
【図8】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する部分図である。
【図9】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する部分詳細図である。
【図10】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する動作図である。
【図11】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する動作図である。
【図12】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する動作図である。
【図13】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する動作図である。
【図14】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する動作図である。
【図15】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する動作図である。
【図16】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する動作図である。
【図17】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する動作図である。
【図18】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する部分平面図である。
【図19】本発明に係る起立補助装置のその他の実施の形態を説明する部分斜視図である。
【符号の説明】
12 パッド部
13 ホルダー
13a側方ホルダー
13b後方ホルダー
15 切換手段
17 台盤
25 足載せ台
29 ニーパッド
36 パッド部移動機構
44 前後方向移動機構
45 台盤傾斜機構
49 パッド部回転機構
Claims (6)
- 要介助者の身体を支えるパッド部と、該パッド部を斜め上方に移動させるパッド部移動機構とを備えるとともに、前記パッド部の下方に、前記要介助者の足を載せる足載せ台、前記要介助者の両膝を当接させるニーパッド、若しくは前記要介助者が着座している車椅子を載せる台盤のうち少なくとも一つが配置された起立補助装置において、
前記起立補助装置には、前記足載せ台、前記ニーパッド、若しくは前記台盤のうち少なくとも一つを前記要介助者の前後方向に移動させる前後方向移動機構が備えられていることを特徴とする起立補助装置。 - 請求項1に記載の起立補助装置において、
前記パッド部の下方には前記要介助者が着座している車椅子を載せる台盤が配置され、該台盤は台盤傾斜機構によって後方が上昇され前方に傾斜されることを特徴とする起立補助装置。 - 請求項1または2に記載の起立補助装置において、
前記パッド部は、パッド部回転機構によって鉛直方向に回転されることを特徴とする起立補助装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載の起立補助装置において、前記パッド部には、前記要介助者の身体を支えるホルダーが連結され、前記ホルダーは、要介助者の身体を前記要介助者の側方から支える側方ホルダーと前記要介助者の後方から支える後方ホルダーとのうち少なくとも一方から構成され、前記ホルダーには、前記側方ホルダーまたは前記後方ホルダーを、要介助者を保持する保持状態から非保持状態へ一時的に切換える切換手段が備えられていることを特徴とする起立補助装置。
- 請求項1から4のいずれかに記載の起立補助装置において、前記パッド部は、前記パッド部移動機構にパッド部の左右いずれか一方から片持ち支持されていることを特徴とする起立補助装置。
- 請求項1から5のいずれかに記載の起立補助装置において、前記パッド部は、中央部の断面形状が円弧状であり、両側部の上面が平らであることを特徴とする起立補助装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2002-12-10 JP JP2002358098A patent/JP2004187854A/ja active Pending
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