JP6881714B2 - 回転式移乗補助具 - Google Patents
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Description
また、介助を受ける要介護者が介助者に対して精神的な気兼ねを起こすと、両者が共にストレスを溜めて精神状態に不調を起こす事態となり、或いは危険な一人だけで立ち動作を試みる事態も危惧される。
その故に、従来から、要介護者が例えば車椅子からベッドへ乗り移り、又はその逆にベッドから車椅子へ乗り移るような移乗動作に際して、安全に便利に使用できる移乗補助具ないし移乗補助装置の開発が進められ、上記特許文献1〜5に示すような各種形式の移乗補助具が提案され、実用化も行われている。
この移乗支援機は、要介護者を移乗させる目的を簡易、迅速に達成でき、小形で使い勝手が良いと説明されている。
上記特許文献2に提案された歩行補助器は、ベースフレームの四隅位置に歩行用キャスターを備え、前記ベースフレームに垂直に立てられた支柱の上端部にハンドル形状のもたれ部を有し、このもたれ部をアームレスト部及び安定把持部材と一体的構成としたから、部品点数を削減でき、製造コストを抑制出来ると説明されている。
上記特許文献3に開示された移乗装置は、足が不自由な人を移動させる装置で、キャスターにより移動自在とした台盤上に支柱を設け、同支柱に取り付けた操作アーム(ハンドル)の基端部に胸当部を取り付け、フレーム(支柱)の下部に要介護者の膝当て部を設け、前記胸当て部はガイド板を介して前方へ傾け、膝当て部はガイドレールを介して後方へ連動させる構成とし、要介護者の労力を最少限度で移乗を行えると説明されている。
更に、上記特許文献5に開示された移乗支援装置は、床面上へベタ置きされる台座と、前記台座の上で水平回転自在な支持台と、前記支持台へスライド自在に設置されたスライド台座と、傾動自在な支柱と、前記支柱の先端部に設けられた身体保持具と、前記支柱を傾動させる駆動手段とを備え、使用者を含めた重心位置を、前記スライド台座の伸縮量を調整して制御する構成と認められる。
更に極言すれば、要介護者の増加が心配される中で、介護者が不足している現実もあって、立ち座りができないか、又はそうした立ち・座りの姿勢、動作が苦手な高齢者や障害者などの要介護者が、介助者による若干の介助を受けるだけで、容易且つ軽便に向きを転回したり、乗り移り動作の自立・支援に役立つ機能、構成の回転式移乗補助具ないし装置が求められている。
よって、要介護者の足を載せる回転盤は、一時的にもせよ、その使用時ないし使用の当初には、微動だにせず、その位置をしっかり固定できる構成であることが望まれる。
また、高齢者や障害者などの要介護者が、立ち姿の姿勢を保ち得ないか、保ち難い人でも、両手でしっかりと掴めて、もたれかかった状態が安定し、安心できる構造であると、要介護者も自力で立ち姿をしっかり安定に保て、乗り移り動作(移乗)を比較的容易に勇気をもって実行することに役立ち、その繰り返し動作により、要介護者が自立する支援にも役立つ効果が知られている。
ベース部材1に対し、要介護者(利用者)100の足101を乗せる回転盤3は水平回転が自在な構成に組み合わされて成り、前記回転盤3へ下端を固定された支柱5が垂直姿勢に立てられており、
前記回転盤3はベース部材1に対して相対的に水平回転する構成とされ、回転盤3又はベース部材1のいずれか一方の円周上の複数箇所の位置にピン孔40aが設けられ、他方には前記ピン孔40aへ突入して回転盤3の回転を止める位置決めピン11が前進、後退の動作が自在に設置されており、
所望位置の前記ピン孔40aへ前記位置決めピン11を突入させて回転盤3を望ましい回転角の位置に止め、かつ前記所望位置の回転角を越えて回転盤3が回転しないようにオーバーラン防止ピン40dが設けられていることを特徴とする。
前記位置決めピン11を前記ピン孔40aから引き抜いて回転盤3の回転を自由にする操作機構15が設置されていることを特徴とする。
オーバーラン防止ピン40dは、基準線Lの位置を中心に、その両側方向へ±90度の位置決めピン11の位置の回転角を越えて回転盤が回転しないように設けられていることを特徴とする。
[発明の効果]
そして、利用者100が乗り込む回転盤3は利用者100が乗り込む以前から、ベース部材1(又は回転盤3、以下同じ。)に設けられた正面と反対側の角度位置のピン孔部材40のピン孔40aには、位置決めピン11が突入しており、回転盤3を予め決して動かない(回転しない)状態に固定している。
そのため要介護者の利用者100が回転盤3上へ乗り込む際には、足下を支える回転盤3は決してゆらゆら揺れ動く心配は無い。それで利用者100は、十分高い安心感と信頼性(安定性)の基に回転盤3の上へ足を乗り込ませ、先ずは両手で肘受け部7を掴み、両足の膝部分を膝当て部8へ膝を当てがう所作で体勢を安定させ、一人立ちを促すように利用できる。
その後、体勢を目的方向に変える準備として、回転盤3上へ乗り込んだ利用者100へ「回転盤3を回転させる」との声かけを行い「心の準備」をさせた後に、利用者又は介助者が操作機構15で位置決めピン11をピン孔40aから外して回転盤3を回転可能状態にし、介助者が回転盤3を正面から90°(−90°)の向き(角度)に回転させると、自動的にその位置のピン孔部材40のピン孔40aへ再び、位置決めピン11が突入するので、再度回転盤3が決して動かない(回転しない)固定状態になる。
よって、固定された回転盤3上の要介護者である利用者100を、移乗目的のベッドや椅子などに向かって下ろす移乗目的を、心理的に十分安心して安全に達成することができる。こうして使用上の安全確保に万全を期して心理的な信頼感を増大させると共に、要介護者自身の使用意欲を高め、ひいては自立支援に役立つし、介助者の負担軽減にも効果を奏する。
本発明の実施例1である回転式移乗補助具の構成は、図1〜図4により全体構成の概要を類推できるように、床面F上に足10を介して載置されるベース部材1の上に、利用者(要介護者)100が両足101を乗せる回転盤3が水平回転が自在な関係に組み合わされ、この回転盤3の上面のほぼ中心部に、下端のフランジ部5aをボルト5bで強固に固定された(図2参照)中空管構造の支柱5が垂直上向き姿勢に立てられている。
前記支柱5の高さ方向の途中位置に、回転盤3の上へ乗り込んだ利用者(要介護者)100が両足101の膝部を当てがう膝当て部8が、支柱5へ固定された取付け盤8aへボルト止めで設置されている。
また、同支柱5の上端部には、回転盤3の上へ乗り込んだ利用者(要介護者)100が両手で掴まり立つのに適切な高さに調節が可能で、かつ両腕の肘が十分に着ける大きさの肘受け部材7が、段階的に高さ位置を変更可能に、支柱5内に下端部を挿入して、上下に伸縮できる挿入支柱5cの上端部に広がる取付け盤7aにボルト止めをされて、要介護者100の掴まり立ちに適正な高さで設置可能とされている(図2参照)。
他方、ベース部材1の上に載る回転盤3の下面には、その外周部位に、前記ベース部材1の内周面(ベアリング受け面1a)との間に一定の軸受け隙間を確保して相対峙する配置で、同じくリング形状の回転枠3aが、複数の止めねじ3b・・により固定して一体的構造に設けられている。
そして、互いに向き合った上記ベース部材1の内周面であるベアリング受け面1aと、上記回転枠3aの外周面であるベアリング受け面3cとの間に、スラスト受け型のベアリングボール3dが設置されて、回転盤3はその下面がベース部材1の上面との間に水平回転運動に適切な間隙を確保した構成で、一つの回転中心を持つ水平回転が自在な構造が形成されている。
上記構成により、前記ベース部材1で囲まれた中に、ベアリングボール3dを介して回転枠3aが嵌る構成なので、回転枠3aひいては回転盤3が横滑りせずに外れ難い構造であり、回転盤3が、床面F上の背高Hが可及的に低い構成となって、運動が不自由ないし苦手な要介護者の乗り降り時の段差H(ステップ量)が小さく、乗り降りしやすい構成とされている。
図中の符号4は、前記回転盤3の上面へ敷いた滑り止め用マットを示す。
40fが、複数のビス40cで強固にベース部材1に固定されて設置されている。但し、前記ピン孔部材40の位置及び個数はこの限りではない。
また、前記起立片部40bの両端には、水平方向に外側に向かって折れ曲がって延びる屈曲部40eが設定されている。これは後述する位置決めピン11をピン孔40aへ自動的に突き出すための導入部である。
そして、図3中に示す符号40dは、後述する位置決めピン11の水平回転時における無闇なオーバーランを防止するため、左右両側方向へ各90度ずつ回転した±90度位置の各ピン孔部材40へ設けたオーバーラン防止ピンを示している。当然、このオーバーラン防止ピン40dは、回転盤3と共に水平回転する位置決めピン11の本体部11aが、丁度突き当たる位置に水平方向へ突き出た構成とされている。
次に、操作機構15でピン孔40aから位置決めピン11を引き抜き、回転盤3の回転を自由にする構成を説明する。
上記位置決めピン11の後端部には、連結具11cを介して操作用ロープ15dの一端が連結されている。この操作用ロープ15dは、図4に示した通り、中空管構造である支柱5の下端位置に設けたガイドローラ14を介して同支柱5の中空部内へ立ち上げられ、挿入支柱5c内の上端位置のガイドローラ14を経て管外方向へ引き出され、上記した肘受け部材7の前側下面に用意された可動操作レバー15aへ着脱自在なローララチェット15cを介して連結されている。この操作用ロープ15dは、前記ローララチェット15cにより長さ調整可能であり、設定された肘受け部材7の位置に合わせて、最適なテンションに設定されている。
よって、図3に見られる上側90度又は下側90度のいずれか方向へ回転させることが自由となり、ピンが突き出た状態の位置決めピン11が水平回転し、ピン孔部材40の屈曲部40eに沿ってピンが進むと、自動的に位置決めピン11がピン孔40aに突入して回転盤3が固定されるのである。そして、いずれかのオーバーラン防止ピン40dがその回転半径上に突き出しているから干渉し、その回転方向にはそれ以上進まず、確実に回転方向が定まって移乗位置が定まる。
要介護者100が少しでも自分で行なう事は機能回復に重要であるし、そうした参加意識で自立への道を励むことが可能である。図2中の符号7bは、上記肘受け部材7の高さを、利用する要介護者100の背丈に応じて上下にスライドさせた上で固定する調整用ネジの摘まみである。
なお、回転盤3の上に、要介護者100を座らせる椅子を設置して実施することも一案である。
移動用車輪9の取り付け構造については、図2と図3の記載を併せて見ると分かり易いように、ピン孔部材40の基端部40fを利用して、移動用車輪9が設定されている。前記基端部40fの左右両端から、一対に各車輪支持部9bを上方に立ち上げ、それに車軸9aで、移動用車輪9を回転自在に取付けている。但し、この回転式移乗補助具が使用されている時には、移動用車輪9で床面F上を動いてしまわないように、移動用車輪9の下端が床面Fに接地しない高さに設定して取付けられている。
そして、この回転式移乗補助具を移動させたい時には、回転式移乗補助具全体を車輪側に斜めに倒すと(図3で右側)、移動用車輪9だけが床Fに着いた状態となって車輪が回転し、収納場所等の目的地に簡単に移動させられる。
以下、異なる構成部分を中心に説明を進めると、ピン孔40aを設けたピン孔部材40は、回転盤3の下面へ、ビス40cでピン孔40aが前記位置決めピン11に向かう方向で固定されている。
他方、前記ピン孔部材40のピン孔40aへ出入りする位置決めピン11は、前記ピン孔部材40aと共通な半径線上にのる位置であって、ベース部材1は足10で床Fから上げらており、その床Fと前記ベース部材1の下面との隙間に、前記ベース部材1の下面に沿わせた固定板400fが回転盤3の中心に向かって延びて、その先端に前記位置決めピン11の本体部11aが載っており、その下面をビス40cで固定している。
介護者が足の先で、長い作用バー70bを押してベース部材1側に倒すと、支点間距離が短い作用バー70aはベース部材1の外側方向に回転し、操作用ワイヤ15d’がベース部材1の外側方向に引かれ、最終的に前記位置決めピン11の後端に連結しているから、前記位置決めピン11が前記コイルバネ11bの付勢力に逆らって、前記ピン孔40aから引き抜かれ、回転盤3の回転が自由になる。
また、第1の実施例のように可動操作レバー15aに連結させるように構成して、操作用ワイヤ15d′を引き回す事も可能だが、回転盤3上部にロープが出てしまって邪魔になる。よって、実施例2では解除する操作機構を、足で解除を行うような操作機構とした。
100 利用者(要介護者)
3 回転盤
3a 回転枠
1a、3c ベアリング受け面
3d ベアリングボール
5 支柱
7 肘受け部材
8 膝当て部
11 位置決めピン
15 操作機構
40 ピン孔部材
40a ピン孔
Claims (3)
- ベース部材に対し、要介護者の足を乗せる回転盤は水平回転が自在な構成に組み合わされて成り、前記回転盤へ下端を固定された支柱が垂直姿勢に立てられており、
前記回転盤はベース部材に対して相対的に水平回転する構成とされ、回転盤又はベース部材のいずれか一方の円周上の複数箇所の位置にピン孔が設けられ、他方には前記ピン孔へ突入して回転盤の回転を止める位置決めピンが、前進、後退の動作が自在に設置されており、
所望位置の前記ピン孔へ前記位置決めピンを突入させて回転盤を望ましい回転角の位置に止め、かつ前記所望位置の回転角を越えて回転盤が回転しないようにオーバーラン防止ピンが設けられていることを特徴とする回転式移乗補助具。 - 前記位置決めピンを前記ピン孔から引き抜いて回転盤の回転を自由にする操作機構が設置されていることを特徴とする、請求項1に記載した回転式移乗補助具。
- 前記オーバーラン防止ピンは、基準線(L)の位置を中心に、その両側方向へ±90度の位置決めピンの位置の回転角を越えて回転盤が回転しないように設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した回転式移乗補助具。
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