JP5920527B2 - 自動車のフロントピラー下部構造 - Google Patents
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Description
本発明は、自動車のフロントピラー下部構造に関する。
下記特許文献1に記載された自動車のフロントピラー構造では、フロントピラーの内面に沿って上下方向に延びるピラーレインフォースの下端部と、車両前後方向に沿ってフロアサイドに設けられたサイドシル(ロッカ)の前端部とが結合されている。
なお、本願発明に関連するその他の先行技術文献としては、下記特許文献2〜特許文献4がある。
ところで、自動車の前部におけるフロントサイドメンバよりも車幅方向外側の部分が他車両等に対して前面衝突した場合(所謂微小ラップ衝突時)には、フロントサイドメンバの変形によって衝突エネルギを吸収することができない。そのような場合、フロントピラー側へ後退してくる前輪からの過大な荷重が、フロントピラーアウタリインフォースメントとロッカアウタリインフォースメントとの結合部に入力されることがある。この過大な荷重によって上記結合部が破断すると、フロントピラーの後退量が増加し、車室の変形量が増加する。
本発明は上記事実を考慮し、微小ラップ衝突時における車室の変形を抑制することができる自動車のフロントピラー下部構造を得ることを目的とする。
本発明の第1の態様における自動車のフロントピラー下部構造は、フロントピラーの長手方向を長手とする長尺状に形成されて前記フロントピラーを補強するピラーリインフォースメントと、ロッカの長手方向を長手とする長尺状に形成されて前記ロッカを補強すると共に、前端部が前記ピラーリインフォースメントの下端部と接合されたロッカリインフォースメントと、前記ピラーリインフォースメントとは別体に形成され、前記ピラーリインフォースメントと前記ロッカリインフォースメントとの結合部を上下に跨ぐ状態で設けられ、前記ピラーリインフォースメントの下端部と接合されると共に、前記ロッカリインフォースメントを車両前方側から覆った前壁、及び前記前壁の下端から車両後方側へ延びて前記ロッカリインフォースメントの下面と接合された下壁が、前記ロッカリインフォースメントの車幅方向外側に位置する側壁から延設された結合補強部と、を備えている。
第1の態様では、ピラーリインフォースメントの下端部と接合された結合補強部を備えている。この結合補強部では、ロッカリインフォースメントの車幅方向外側に位置する側壁から、前壁及び下壁が延設されている。前壁は、ロッカリインフォースメントを車両前方側から覆っており、下壁は、前壁の下端から車両後方側へ延びてロッカリインフォースメントの下面と接合されている。この結合補強部によって、ピラーリインフォースメントとロッカリインフォースメントとの結合部の強度を向上させることができるので、当該結合部が微小ラップ衝突時に破断することを防止又は抑制できる。
しかも、例えば、微小ラップ衝突によって後退してくる前輪からの荷重が、フロントピラーに入力された際には、結合補強部を介してロッカリインフォースメントの下面に荷重を伝達することができる。その結果、ロッカリインフォースメントの前端部には、上方側への引き上げ荷重が作用するので、前輪からの荷重をロッカリインフォースメント側へ分散することができる。これにより、フロントピラーが車両後方側へ倒れ込む量を低減することができる。
また、本態様では、結合補強部の前壁によってロッカリインフォースメントが車両前方側から覆われている。このため、例えば、前輪からの荷重がロッカの前端部付近に入力された場合には、荷重の受圧部が結合補強部によって覆われることにより、フロントピラーとロッカとの相対変位を小さくすることができる。その結果、ピラーリインフォースメントとロッカリインフォースメントとの結合部に破断や亀裂が生じることを効果的に抑制することが可能になり、衝突終了時まで上記各リインフォースメントを構造補強材として機能させることができる。それにより、ロッカの前端部付近の変形量を効果的に低減することができる。以上のことから、本態様では、微小ラップ衝突時における車室の変形を抑制することができる。
本発明の第2の態様における自動車のフロントピラー下部構造は、第1の態様において、前記ロッカリインフォースメントの前端部には、車幅方向外側へ突出した凸部が設けられ、前記結合補強部の前記側壁に形成された開口に前記凸部が挿入されている。
第2の態様では、ピラーリインフォースメントの下端部と接合され又は一体に設けられた結合補強部には、開口が形成されており、ロッカリインフォースメントの前端部に設けられた凸部が上記開口に挿入されている。このため、微小ラップ衝突時における前輪からの荷重がフロントピラーに入力されることにより、ロッカリインフォースメントの前端部に、結合補強部を介して上方側への引き上げ荷重が作用した際には、上記凸部が上記開口の縁部と当接することにより、結合補強部の下壁に作用する荷重を前記当接部分に分散することができる。その結果、ロッカリインフォースメントの前端部に作用する引き上げ荷重を増加させることが可能になるので、ロッカリインフォースメントの剛性によるフロントピラーの倒れ抑制効果を向上させることができる。
本発明の第3の態様における自動車のフロントピラー下部構造は、第1の態様において、前記ロッカリインフォースメントには、前壁部が設けられており、前記結合補強部は、前記側壁が前記ロッカリインフォースメントの車幅方向外側面と接合されると共に、前記前壁が前記前壁部の前面と接合されている。
第3の態様では、ピラーリインフォースメントの下端部と接合され又は一体に設けられた結合補強部は、側壁がロッカリインフォースメントの車幅方向外側面と接合され、下壁がロッカリインフォースメントの下面と接合され、前壁がロッカリインフォースメントの前壁部の前面と接合されている。このように、結合補強部がロッカリインフォースメントに対して三つの面で接合されることにより、結合補強部とロッカリインフォースメントとの結合強度を効果的に向上させることができる。
本発明の第4の態様における自動車のフロントピラー下部構造は、第2の態様において、前記結合補強部の前記側壁における前記開口よりも車両前方側の部位と、前記ロッカリインフォースメントの前記凸部とが、前記ピラーリインフォースメントの下端部に対してそれぞれ別々に接合されている。
第4の態様では、微小ラップ衝突時における前輪からの荷重がフロントピラーに入力され始めた初期の段階では、ピラーリインフォースメントと結合補強部との間に上方側への引き上げ荷重が作用する。この際には、結合補強部の側壁における開口よりも車両前方側の部位とピラーリインフォースメントの下端部との接合部によって、ピラーリインフォースメントと結合補強部との結合状態を保つことができる。
一方、前輪からの荷重によって結合補強部の前部側が潰された後は、ピラーリインフォースメントからロッカリインフォースメントに伝達される車両後方側への荷重が増加する。この際には、結合補強部の開口内に挿入されたロッカリインフォースメントの凸部と、ピラーリインフォースメントの下端部との接合部によって、ロッカリインフォースメントとピラーリインフォースメントとの結合状態を保つことができる。このように、本態様では、上方側への荷重と車両後方側への荷重とを、それぞれの荷重に適した異なる接合部に分担させることができる。
本発明の第5の態様における自動車のフロントピラー下部構造は、第1の態様において、前記結合補強部の前記側壁には、前後一対の長孔が形成されると共に、前側の前記長孔の長手方向が車両上下方向に沿う一方、後側の前記長孔の長手方向が車両上方側へ向かうに従い車両前方側へ向かうように傾斜しており、前記各長孔の前縁部が前記ピラーリインフォースメントと接合されている。
第5の態様では、結合補強部の側壁部に形成された前後一対の長孔の前縁部が、例えばアーク溶接等の手段によってピラーリインフォースメントと接合されている。前側の長孔は、長手方向が車両上下方向に沿っており、後側の長孔は、長手方向が車両上方側へ向かうに従い車両前方側へ向かうように傾斜している。このため、微小ラップ衝突時における前輪からの荷重がフロントピラーに入力された初期の段階では、前側の長孔の前縁部とピラーリインフォースメントとの接合部において、ロッカ前端部への引き上げ荷重を増加させることができる。
一方、前輪からの荷重によって結合補強部の前部側が潰れ始めた後は、前輪からの荷重の入力位置にばらつきが生じるが、この際には、フロントピラーが車両後方側へ倒れてくることにより、後側の長孔が車両上下方向に沿うように起立してくる。これにより、後側の長孔の前縁部とピラーリインフォースメントとの接合部において、ロッカ前端部への引き上げ荷重を増加させることができる。以上により、ロッカ前端部への引き上げ荷重を増加させるに際してのロバスト性を向上させることができる。
本発明の第6の態様における自動車のフロントピラー下部構造は、第1の態様において、前記ピラーリインフォースメントは、フロントピラーアウタリインフォースメントと、当該フロントピラーアウタリインフォースメントの内側に接合されたヒンジリインフォースメントとを有しており、前記ピラーアウターリインフォースメントの側壁部が前記ロッカリインフォースメントの車幅方向外側面と接合されると共に、前記ヒンジリインフォースメントの側壁部が下方側へ延長されることにより、前記フロントピラーアウタリインフォースメントの前記側壁部と前記ロッカリインフォースメントの車幅方向外側面との間に、前記ヒンジリインフォースメントの側壁部の下端部が介在している。
第6の態様では、ヒンジリインフォースメントの下端部が上記のように下方側へ延長されているため、微小ラップ衝突時における前輪からの荷重によってフロントピラーアウタリインフォースメントとロッカリインフォースメントとの間に生じるせん断荷重を、ヒンジリインフォースメントの剛性によって低減することができる。これにより、フロントピラーアウタリインフォースメントとロッカリインフォースメントとの間でせん断破壊が生じることを防止又は効果的に抑制できる。
本発明の第7の態様における自動車のフロントピラー下部構造は、第1の態様において、前記結合補強部は、前記前壁が前記ピラーリインフォースメントの前面と接合されると共に、前記ピラーリインフォースメントの後面と接合される後壁を有しており、前記前壁と前記後壁との間に前記ピラーリインフォースメントが嵌合している。
第7の態様では、結合補強部の前壁と後壁との間にピラーリインフォースメントが嵌合しており、ピラーリインフォースメントの前面及び後面が、結合補強部の前壁及び後壁と接合されている。これにより、ピラーリインフォースメントと結合補強部との結合強度を効果的に向上させることができるので、ピラーリインフォースメントと結合補強部とが、微小ラップ衝突時における前輪からの荷重によって相対変位することを防止又は効果的に抑制できる。
本発明の第8の態様における自動車のフロントピラー下部構造は、第1の態様において、前記結合補強部の上方で前記ピラーリインフォースメントと接合されたブラケットが、前記ピラーリインフォースメントと共に閉断面を形成している。
第8の態様では、上記のようなブラケットを備えているため、結合補強部の上方においてフロントピラーの剛性を向上させることができる。ここで、前輪のホイールがスチール製の場合には、当該ホイールが微小ラップ衝突時の荷重により側面視で略8字状に変形し、フロントピラーの上下2箇所に前輪からの荷重が入力されることがある。そのような場合でも、上側の荷重によるフロントピラーの断面変形をブラケットによって抑制する一方、下側の荷重によるフロントピラーの断面変形を結合補強部によって抑制することができる。これにより、フロントピラーの変形を効果的に抑制することができる。
本発明の第9の態様における自動車のフロントピラー下部構造は、第1の態様において、前記ロッカリインフォースメントは、車両前後方向視で車幅方向内向きに開口した開断面形状に形成されており、内側に節状のバルクが接合されている。
第9の態様では、上記のバルクによってロッカリインフォースメントの断面が補強されるため、微小ラップ衝突時におけるロッカリインフォースメントの断面変形を効果的に抑制することができる。その結果、フロントピラーの後退量すなわち車室の変形量を一層効果的に低減することが可能になる。
以上説明したように、本発明に係る自動車のフロントピラー下部構造では、微小ラップ衝突時における車室の変形を抑制することができる。
<第1の実施形態>
本発明の第1実施形態に係る自動車のフロントピラー下部構造10について、図1〜図11に基づいて説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印OUTは、車両の前方向(進行方向)、上方向、車幅方向の外側をそれぞれ示している。以下、単に前後、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下を示すものとする。
本発明の第1実施形態に係る自動車のフロントピラー下部構造10について、図1〜図11に基づいて説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印OUTは、車両の前方向(進行方向)、上方向、車幅方向の外側をそれぞれ示している。以下、単に前後、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下を示すものとする。
(構成)
図1には、フロントピラー下部構造10が適用された自動車におけるフロントピラー12(Aピラー)の周辺の構成が側面図にて示されている。なお、この実施形態における自動車は、例えば通常のセダンタイプの自動車とされている。
図1には、フロントピラー下部構造10が適用された自動車におけるフロントピラー12(Aピラー)の周辺の構成が側面図にて示されている。なお、この実施形態における自動車は、例えば通常のセダンタイプの自動車とされている。
フロントピラー12は、車両上下方向に延びるフロントピラーロア12Aと、フロントピラーロア12Aの上端から車両後方斜め上方へ延びるフロントピラーアッパ12Bとによって構成されている。フロントピラーロア12Aの車両前方には、ホイールハウス14が形成されており、当該ホイールハウス14内には、前輪16が配設されている。また、フロントピラーロア12Aの下端からは、車両後方側へ向けてロッカ18が延設されている。なお、図1において符号17が付された部材は、前輪16のホイールである。
フロントピラー12及びロッカ18は、車体骨格を成す閉断面状の部材であり、図示しないルーフサイドレール及びセンタピラー(Bピラー)と共に乗員乗降用のドア開口部20を形成している。このドア開口部20は、車室21の側部に形成されており、図示しないサイドドアによって開閉される構成になっている。なお、サイドドアは、前端部が上下一対のドアヒンジ22、24を介してフロントピラー12に回動可能に連結されており、該回動によってドア開口部20を開閉するようになっている。
フロントピラー12及びロッカ18の車幅方向外端の外壁は、共通化された大型プレス部品であるサイドアウタパネル26によって構成されている。なお、図示は省略するが、ロッカ18及びルーフサイドレールは、リヤピラーまで至っている。
サイドアウタパネル26は、ロッカ18を構成するロッカアウタ部26Aが、車両前後方向から見て車幅方向内向きに開口した断面ハット形状を成している。このロッカアウタ部26Aの車幅方向内側には、図示しないロッカインナパネルが接合されている。これにより、ロッカ18が閉断面状に形成されている。このロッカ18の閉断面内には、図2〜図6に示されるロッカアウタリインフォースメント28が設けられている。
ロッカアウタリインフォースメント28は、ロッカリインフォースメント29(ロッカ補強部材)の構成部材である。ロッカリインフォースメント29は、ロッカ18の長手方向を長手とする長尺状に形成されてロッカ18を補強するものである。ロッカアウタリインフォースメント28は、サイドアウタパネル26やロッカインナパネルよりも板厚の厚い高強度の板金材料によって形成されている。このロッカアウタリインフォースメント28は、車両前後方向から見て車幅方向内向きに開口した断面ハット形状を成している。
具体的には、ロッカアウタリインフォースメント28は、側壁部28Aの車両上下端から車幅方向内向きに上壁部28B及び下壁部28Cが延設されると共に、該上壁部28B及び下壁部28Cの車幅方向内端からフランジ28Dが張り出されて構成されている。このロッカアウタリインフォースメント28は、上下のフランジ28Dがロッカアウタ部26Aとロッカインナパネルとの間に挟まれて、スポット溶接等の手段により接合されている。
なお、上記のロッカアウタリインフォースメント28は、図3に示される前部30と後部32とに分割して成形されると共に、前部30の後端部と後部32の前端部と重ね合わされて、スポット溶接等の手段により接合されている。また、図6に示されるように、ロッカアウタリインフォースメント28の断面内には、ロッカリインフォースメント29の構成部材である内側リインフォースメント34が配設されている。
この内側リインフォースメント34は、ロッカアウタリインフォースメント28の側壁部28Aと接合された側壁部34Aと、該側壁部34Aの車両上下端から車幅方向内向きに延設された上壁部34B及び下壁部34Cとを有しており、車両前後方向から見て車幅方向内向きに開口した断面略U字状に形成されている。この内側リインフォースメント34は、前部30と後部32とに跨る状態でロッカアウタリインフォースメント28と接合されており(図3参照)、ロッカリインフォースメント29は、全体として車両前後方向視で車幅方向内向きに開口した開断面形状に形成されている。
一方、図7に示されるように、サイドアウタパネル26は、フロントピラーロア12Aを構成するフロントピラーアウタ部26Bが、車両上下方向から見て車幅方向内向きに開口した断面ハット形状を成している。このフロントピラーアウタ部26Bの車幅方向内側には、フロントピラーインナパネル36が接合されている。これにより、フロントピラーロア12Aが閉断面状に形成されている。
フロントピラーロア12Aの閉断面内には、フロントピラーアウタリインフォースメント38の下部を構成するアウタリインフォースメントロア40が設けられている。フロントピラーアウタリインフォースメント38は、ピラーリインフォースメント41の構成部材である。ピラーリインフォースメント41は、フロントピラー12の長手方向を長手とする長尺状に形成されてフロントピラー12を補強する部材である。
アウタリインフォースメントロア40の上端部には、フロントピラーアウタリインフォースメント38の上部を構成する図示しないアウタリインフォースメントアッパが接合されている。これらのアウタリインフォースメントロア40及びアウタリインフォースメントアッパは、サイドアウタパネル26及びフロントピラーインナパネル36よりも板厚が厚い高強度の板金材料によって形成されている。
アウタリインフォースメントロア40は、車両上下方向から見て車幅方向内向きに開口した断面ハット形状を成している。具体的には、アウタリインフォースメントロア40は、側壁部40Aの車両前後端から車幅方向内向きに前壁部40B及び後壁部40Cが延設されると共に、該前壁部40B及び後壁部40Cの車幅方向内端からフランジ40Dが張り出されて構成されている。このアウタリインフォースメントロア40は、前後のフランジ40Dがフロントピラーアウタ部26Bとフロントピラーインナパネル36との間に挟まれて、スポット溶接等の手段により接合されている。
アウタリインフォースメントロア40の内側には、ピラーリインフォースメント41の構成部材であるヒンジリインフォースメント42が設けられている。ヒンジリインフォースメント42は、車両上下方向から見て車幅方向内向きに開口した断面略U字状を成している。具体的には、ヒンジリインフォースメント42は、下側のドアヒンジ24と共にアウタリインフォースメントロア40の側壁部40Aに締結固定される側壁部42Aと、該側壁部42Aの車両前後端から車幅方向内向きに延設された前壁部42B及び後壁部42Cとを有している。前壁部42B及び後壁部42Cは、アウタリインフォースメントロア40の前壁部40B及び後壁部40Cに、スポット溶接等の手段により接合されている。なお、図4において符号46が付された部材は、ドアヒンジ24を締結するためのナットである。
アウタリインフォースメントロア40の下端部には、ロッカアウタリインフォースメント28と接合されるロッカ接合部40A1が設けられている。このロッカ接合部40A1は、車両後方側へ延びており、ロッカアウタ部26Aの前端部とロッカアウタリインフォースメント28の前端部との間に挟まれて、スポット溶接等の手段により接合されている。また、このロッカ接合部40A1は、複数箇所がスポット溶接等の手段によってロッカアウタリインフォースメント28の前端部と接合されている。
さらに、本実施形態では、アウタリインフォースメントロア40の下端部とロッカアウタリインフォースメント28の前端部とが、結合補強部としてのガセット50を介して接合されている。このガセット50は、本実施形態では、ピラーリインフォースメント41とは別体に形成され、ピラーリインフォースメント41に接合されている。このガセット50は、例えばロッカアウタリインフォースメント28と同等の板厚の高強度の板金材料によって成形されたものであり、図8(A)〜図8(C)に示されるように、側壁50Aと下壁50Cと前壁50Bとを一体に備えている。
側壁50Aは、板厚方向が車幅方向に沿う状態でロッカアウタリインフォースメント28の車幅方向外側に設けられている。この側壁50Aは、車両上下方向に長尺状に形成されており、図4に示される如く上部側がヒンジリインフォースメント42の内側へ延びている。この側壁50Aの上部側は、ヒンジリインフォースメント42の側壁部42Aに対して車幅方向内側から対向している。
側壁50Aの下部には、車幅方向から見て矩形状の開口52が形成されている。この開口52に対応してロッカアウタリインフォースメント28の側壁部28Aの前端部には、車幅方向外側へ膨出した凸部54(膨出部)が設けられている。この凸部54は、図4及び図5に示される如く開口52内に挿入されており、側壁50Aの車幅方向外側へ突出している。この凸部54の車幅方向外側面には、アウタリインフォースメントロア40の下端部が重ね合わされており、凸部54とアウタリインフォースメントロア40の下端部とサイドアウタパネル26とが、スポット溶接等の手段により三枚合わせの状態で接合されている(図3に示される打点S1参照)。
また、側壁50Aの下部において、開口52よりも車両前方側の部位には、車幅方向外側へ膨出した下側接合部56が設けられている。この下側接合部56の車幅方向外側面には、アウタリインフォースメントロア40の下端部が重ね合わされており、下側接合部56とアウタリインフォースメントロア40の下端部とサイドアウタパネル26とが、スポット溶接等の手段により三枚合わせの状態で接合されている(図3に示される打点S2参照)。
さらに、側壁50Aの上部には、車幅方向外側へ膨出した上側接合部58が設けられている。この上側接合部58には、前後一対の長孔60、62が形成されている。前側の長孔60は、長手方向が車両上下方向に沿うように形成されており、後側の長孔62は、長手方向が車両上方側へ向かうに従い車両前方側へ向かうように傾斜している。なお、本実施形態では、車両上下方向に対する長孔62の長手方向の傾斜角度θは、例えば30°≦θ≦45°度の範囲に設定されている。
これらの長孔60、62は、前縁部がアーク溶接によってヒンジリインフォースメント42の側壁部42Aにおける車幅方向内側面と接合されている。つまり、これらの長孔60、62は、側壁50Aの上部をアーク溶接によってヒンジリインフォースメント42と接合するためのアーク作業孔である。
一方、下壁50Cは、側壁50Aの下端からロッカアウタリインフォースメント28の下壁部28Cの下面に沿って車幅方向内側へ一体に延設されており、スポット溶接等の手段によって下壁部28Cの下面と接合されている。この下壁50Cは、前壁50Bの下端から車両後方側へ延びている。
前壁50Bは、側壁50Aの前端から車幅方向内側へ一体に延設されており、下端側が車両後方側へ湾曲して下壁50Cに一体に連続している。この前壁50Bによってロッカリインフォースメント29の前端部が車両前方側から覆われている。この前壁50Bの上部側は、ヒンジリインフォースメント42の内側へ延びており、ヒンジリインフォースメント42の前壁部42Bに対して車両後方側から対向している。
前壁50Bの上端部における車幅方向内側端部には、車両前方側へ膨出した前側接合部64が設けられている。この前側接合部64の前端面には、ヒンジリインフォースメント42の前壁部42Bが重ね合わされており、スポット溶接等の手段によって前側接合部64と前壁部42Bとが接合されている。
上記構成のガセット50は、ピラーリインフォースメント41とロッカリインフォースメント29との結合部51を上下に跨ぐ状態で、ピラーリインフォースメント41とロッカリインフォースメント29とに接合されている。
また、本実施形態では、図2及び図4に示される如く、上記ガセット50の上方には、ヒンジリインフォースメント42の断面を補強するブラケット68が設けられている。このブラケット68は、例えばロッカアウタリインフォースメント28よりも板厚が厚い高強度の板金材料によって形成されている。このブラケット68は、ドアヒンジ24よりも上方に位置しており、ヒンジリインフォースメント42の側壁部42Aから車幅方向内側かつ車両下方側へ向けて斜めに延びている。このブラケット68における側壁部42A側の端部からは、外側フランジ68Aが上方側へ延設されており、当該外側フランジ68Aが側壁部42Aの車幅方向内側面に、スポット溶接等の手段により接合されている。
このブラケット68の車両前後端からは、ヒンジリインフォースメント42の前壁部42B及び後壁部42Cに沿って前側フランジ68B及び後側フランジ68Cが延設されている。前側フランジ68Bは、ヒンジリインフォースメント42の前壁部42Bの後面にスポット溶接等の手段により接合されており、後側フランジ68Cは、ヒンジリインフォースメント42の後壁部42Cの前面にスポット溶接等の手段により接合されている。このブラケット68は、ヒンジリインフォースメント42と共に閉断面を形成している。
また、本実施形態では、ロッカアウタリインフォースメント28の前端部の内側には、前述した内側リインフォースメント34よりも車両前方側において、バルク70が設けられている。このバルク70は、例えばロッカアウタリインフォースメント28よりも板厚が厚い高強度の板金材料によって形成されており、図9に示されるように、略矩形状の本体部70Aを有している。この本体部70Aは、板厚方向が車両前後方向に沿う状態でロッカアウタリインフォースメント28の内側に嵌合している(図5の二点鎖線参照)。
本体部70Aの周縁からは、車両前方側へ向けて周壁70Bが延設されており、周壁70Bの上端部、下端部及び車幅方向外側端部からは、上側接合片70C、下側接合片70Dおよび外側接合片70Eが車両前方側へ向けてそれぞれ延設されている。上側接合片70Cは、上壁部28Bの下面と接合されており、下側接合片70Dは、下壁部28Cの上面と接合されており、外側接合片70Eは、側壁部28Aの車幅方向内側面と接合されている。このバルク70によってロッカアウタリインフォースメント28の断面が補強されている。
さらに、本実施形態では、上記バルク70の車両後方側で、内側リインフォースメント34の内側には、補強パネル72(図6参照)が設けられている。この補強パネル72は、例えばロッカアウタリインフォースメント28と同等の板厚の高強度の板金材料によって車両前後方向を長手とする長尺状に形成されており、図10に示される如く、縦壁72Aと、該縦壁72Aの上端から車幅方向内側へ延びる上壁72Bとによって構成されている。縦壁72Aは、内側リインフォースメント34の側壁部34Aと接合されており、上壁72Bは、内側リインフォースメント34の上壁部34Bの前端部と接合されている。これにより、ロッカリインフォースメント29の前端部が補強されている。
(作用及び効果)
次に、本第1実施形態の作用及び効果について説明する。
次に、本第1実施形態の作用及び効果について説明する。
上記構成の自動車のフロントピラー下部構造10では、ピラーリインフォースメント41とロッカリインフォースメント29との結合部51を上下に跨ぐ状態で設けられたガセット50が、前記各リインフォースメント41、29に接合されており、当該ガセット50によって結合部51が補強されている。このガセット50では、ロッカリインフォースメント29の車幅方向外側に位置する側壁50Aから、前壁50B及び下壁50Cが延設されている。前壁50Bは、ロッカリインフォースメント29を車両前方側から覆っており、下壁50Cは、前壁50Bの下端から車両後方側へ延びてロッカリインフォースメント29の下面と接合されている。このガセット50によって結合部51の強度を向上させることができるので、結合部51が微小ラップ衝突時に破断することを防止又は効果的に抑制できる。
しかも、例えば、微小ラップ衝突によって後退してくる前輪16からの荷重F1(図11(A)参照)が、フロントピラー12に入力された場合には、ガセット50を介してロッカリインフォースメント29の下面に荷重を伝達することができる。その結果、ロッカリインフォースメント29の前端部には、上方側への引き上げ荷重F2(図11(A)参照)が作用するので、前輪16からの荷重F1をロッカリインフォースメント29側へ分散することができる。それにより、フロントピラー12が車両後方側へ倒れ込む量を低減することができるので、車室21の変形を効果的に抑制できる。
また、本実施形態では、ロッカアウタリインフォースメント28の側壁部28Aの前端部に設けられた凸部54が、ガセット50の側壁50Aに形成された開口52に車幅方向内側から挿入されている。このため、前輪16からの荷重F1がフロントピラー12に入力されることにより、ロッカリインフォースメント29の前端部に引き上げ荷重F2が作用した際には、凸部54が開口52の縁部と当接することにより、ガセット50の下壁50Cに作用する荷重を上記当接部分に分散することができる。その結果、ロッカリインフォースメント29の前端部に作用する引き上げ荷重F2を増加させることが可能になるので、ロッカリインフォースメント29の剛性によるフロントピラー12の倒れ抑制効果を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、ロッカリインフォースメント29の凸部54がピラーリインフォースメント41の下端部と接合されると共に、ガセット50の下側接合部56がピラーリインフォースメント41の下端部と接合されている。
ここで、前輪16からの荷重F1がフロントピラー12に入力され始めた初期の段階では、ピラーリインフォースメント41とガセット50との間に前述の如き引き上げ荷重F2が作用する。この際には、ガセット50の下側接合部56とピラーリインフォースメント41の下端部との接合部によって、ピラーリインフォースメント41とガセット50との結合状態を保つことができる。
一方、前輪16からの荷重F1によってガセット50の前部側が潰された後は、ピラーリインフォースメント41からロッカリインフォースメント29に伝達される車両後方側への荷重F3(図11(B)参照)が増加する。この際には、ガセット50の開口52内に挿入されたロッカリインフォースメント29の凸部54と、ピラーリインフォースメント41の下端部との接合部によって、ロッカリインフォースメント29とピラーリインフォースメント41との結合状態を保つことができる。このように、本態様では、上方側への荷重と車両後方側への荷重とを、それぞれの荷重に適した異なる接合部に分担させることができる。
また、本実施形態では、ガセット50の側壁50Aの上部に形成された前後一対の長孔60、62の前縁部が、アーク溶接によってピラーリインフォースメント41と溶接されている。前側の長孔60は、長手方向が車両上下方向に沿っており、後側の長孔62は、長手方向が車両上方側へ向かうに従い車両前方側へ向かうように傾斜している。このため、前輪16からの荷重F1がフロントピラー12に入力された初期の段階では、前側の長孔60の前縁部とピラーリインフォースメントとの接合部において、ロッカ前端部への引き上げ荷重F2を増加させることができる。
一方、前輪16からの荷重F1によってガセット50の前部側が潰れ始めた後は、前輪からの荷重の入力位置にばらつきが生じるが、この際には、フロントピラー12が車両後方側へ倒れてくることにより、後側の長孔62が車両上下方向に沿うように起立してくる。これにより、後側の長孔62の前縁部とピラーリインフォースメントとの接合部において、ロッカ前端部への引き上げ荷重F2を増加させることができる。以上により、引き上げ荷重F2を増加させるに際してのロバスト性を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、ガセット50の上方に設けられて、ヒンジリインフォースメント42と接合されたブラケット68が、ヒンジリインフォースメント42と共に閉断面を形成している。このため、ガセット50の上方においてフロントピラー12の剛性を向上させることができる。
ここで、前輪16のホイールがスチール製の場合には、当該ホイール17が微小ラップ衝突時の荷重により側面視で略8字状に変形し(図11(C)の二点鎖線参照)、フロントピラーの上下2箇所に前輪16からの荷重F4、F5(図11(C)参照)が入力されることがある。そのような場合でも、上側の荷重F4によるフロントピラー12の断面変形をブラケット68によって抑制する一方、下側の荷重F5によるフロントピラー12の断面変形をガセット50によって抑制することができる。これにより、フロントピラー12の変形を効果的に抑制することができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、前記第1実施形態と基本的に同様の構成・作用については、前記第1実施形態と同符号を付与しその説明を省略する。
<第2の実施形態>
図12には、本発明の第2実施形態に係る自動車のフロントピラー下部構造80が適用された自動車の車体側部の部分的な構成が斜視図にて示されている。なお、この実施形態における自動車は、例えば、所謂スポーツユーティリティビークルであり、セダンタイプの自動車よりも前輪16に対する車体の位置が高く設定されている。
図12には、本発明の第2実施形態に係る自動車のフロントピラー下部構造80が適用された自動車の車体側部の部分的な構成が斜視図にて示されている。なお、この実施形態における自動車は、例えば、所謂スポーツユーティリティビークルであり、セダンタイプの自動車よりも前輪16に対する車体の位置が高く設定されている。
(構成)
この実施形態では、前記第1実施形態に係るピラーリインフォースメント41及びロッカリインフォースメント29と基本的に同様の構成とされたピラーリインフォースメント41及びロッカリインフォースメント29を備えている(図13及び図14参照)。但し、この実施形態では、ピラーリインフォースメント41が備えるヒンジリインフォースメント42の内側には、図示しない別のリインフォースメントが接合されている。
この実施形態では、前記第1実施形態に係るピラーリインフォースメント41及びロッカリインフォースメント29と基本的に同様の構成とされたピラーリインフォースメント41及びロッカリインフォースメント29を備えている(図13及び図14参照)。但し、この実施形態では、ピラーリインフォースメント41が備えるヒンジリインフォースメント42の内側には、図示しない別のリインフォースメントが接合されている。
また、この実施形態では、図15に示されるように、アウタリインフォースメントロア40の側壁部40Aが下方側へ延長されており、側壁部40Aの下端部に設けられたロッカ接合部40A1が、ロッカアウタリインフォースメント28の側壁部28Aの車幅方向外側面(ロッカリインフォースメント29の車幅方向外側面)に重ね合わされている。なお、図15では、ロッカ接合部40A1が、側壁部28Aの車幅方向外側面の下部に重ね合わされているが、これに限らず、ロッカ接合部40A1が側壁部28Aの車幅方向外側面に対して重ね合わされる位置は、適宜変更可能である。
さらに、この実施形態では、ヒンジリインフォースメント42の側壁部42Aが下方側へ延長されており、アウタリインフォースメントロア40の側壁部40Aとロッカアウタリインフォースメント28の側壁部28(ロッカリインフォースメント29の車幅方向外側面)との間に、側壁部42Aの下端部42A1が介在している。
また、この実施形態では、前記第1実施形態に係るガセット50の代わりに、結合補強部としての補強部材82を備えている。この補強部材82は、ガセット50と同様に、板厚が厚い高強度の板金材料によってピラーリインフォースメント41とは別体に成形されたものであり、ピラーリインフォースメント41の下端部に接合されている。この補強部材82は、ガセット50と同様に、側壁82Aと下壁82Cと前壁82Bとを備えているが、ガセット50とは異なり、後壁82D及び前側フランジ82Eを更に備えている。
この補強部材82の側壁82Aは、ガセット50の側壁50Aとは異なり、車両前後方向を長手とする長尺状に形成されている。この側壁82Aは、ロッカ接合部40A1の車幅方向外側面に重ね合わされており、側壁82Aとロッカ接合部40A1と側壁部28Aとが三枚合わせの状態でスポット溶接等の手段により接合されている。また、この側壁82Aとロッカ接合部40A1とヒンジリインフォースメント42の下端部とが三枚合わせの状態でスポット溶接等の手段により接合されている。
前壁82Bは、ガセット50の前壁50Bと同様に、側壁82Aの前端から車幅方向内側へ向けて一体に延設されており、ロッカリインフォースメント29を車両前方側から覆っている。但し、この前壁82Bは、ガセット50の前壁50Bとは異なり、上部側がアウタリインフォースメントロア40の前壁部40Bの前面(ピラーリインフォースメント41の前面)に重ね合わされると共に、スポット溶接等の手段によって前壁部40Bと接合されている。
下壁82Cは、ガセット50の下壁50Cと同様に、前壁82Bの下端から車両後方側へ延びており、前壁82Bと一体に連続している。この下壁82Cは、側壁82Aの下端から車幅方向内側へ向けて一体に延設されており、ロッカアウタリインフォースメント28の下壁部28Cの下面(ロッカリインフォースメント29の下面)に重ね合わされた状態で、スポット溶接等の手段により下壁部28Cと接合されている。
後壁82Dは、側壁82Aの上端部の後端側から車幅方向内側へ延出されており、アウタリインフォースメントロア40の後壁40C(ピラーリインフォースメント41の後面)の下端部に対して車両後方側かつ車両上方側から重ね合わされた状態で、スポット溶接等の手段により後壁82Dと接合されている。つまり、この実施形態では、補強部材82の前壁82Bと後壁82Dとの間に、ピラーリインフォースメント41の下端部が嵌合している。
前側フランジ82Eは、サイドアウタパネル26のフロントピラーアウタ部26Bとダッシュパネル83(図16(A)〜図16(C)参照)との間に挟まれており、フロントピラーアウタ部26Bと前側フランジ部82Eとフロントピラーインナパネル36とダッシュパネル83とが、四枚合わせの状態でスポット溶接等の手段により接合されている。
上記構成の補強部材82は、ピラーリインフォースメント41とロッカリインフォースメント29との結合部51(図12参照)を上下に跨ぐ状態で、ピラーリインフォースメント41とロッカリインフォースメント29と接合されている。
また、この実施形態では、ロッカリインフォースメント29の前端部の内側には、当該ロッカリインフォースメント29の前壁部を構成する蓋部材84が接合されている。この蓋部材84は、板厚が厚い高強度の板金材料によって形成されたものであり、外周部から車両後方側へ延設された周壁84Aが、内側リインフォースメント34(図15参照)の側壁部34A、上壁部34B及び下壁部34Cとスポット溶接等の手段により接合されている。
上記の蓋部材84は、前面が補強部材82の前壁82Bの後面に重ね合わされており、スポット溶接等の手段によって前壁82Bと接合されている。つまり、本実施形態に係る補強部材82は、ロッカリインフォースメント29の車幅方向外側面、下面及び前面(三つの面)と接合されている。
(作用及び効果)
次に、本第2実施形態の作用及び効果について説明する。
次に、本第2実施形態の作用及び効果について説明する。
上記構成の自動車のフロントピラー下部構造80では、ピラーリインフォースメント41とロッカリインフォースメント29との結合部51を上下に跨ぐ状態で設けられた補強部材82が、前記各リインフォースメント41、29と接合されており、当該補強部材82によって結合部51が補強されている。この補強部材82では、ロッカリインフォースメント29の車幅方向外側に位置する側壁82Aから、下壁82C及び前壁82Bが延設されている。前壁82Bは、ロッカリインフォースメント29を車両前方側から覆っており、下壁82Cは、前壁82Bの下端から車両後方側へ延びてロッカリインフォースメント29の下面と接合されている。この補強部材82によって結合部51の強度を向上させることができるので、結合部51が微小ラップ衝突時に破断することを防止又は効果的に抑制できる。
しかも、本実施形態では、補強部材82の前壁82Bによってロッカリインフォースメント29が車両前方側から覆われている。このため、例えば、前輪16からの荷重F1(図12参照)がロッカ18の前端部付近に入力された場合には、荷重F1の受圧部が補強部材82によって覆われることにより、フロントピラー12とロッカ18との相対変位を小さくすることができる。その結果、ピラーリインフォースメント41とロッカリインフォースメント29との結合部51に破断や亀裂が生じることを効果的に抑制することが可能になり、衝突終了時まで上記各リインフォースメント41、29を構造補強材として機能させることができる。これにより、ロッカ18の前端部付近の変形量を効果的に低減することができるので、微小ラップ衝突時における車室21の変形を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、ロッカリインフォースメント29の前端部の内側に接合された蓋部材84によって、ロッカリインフォースメント29の前壁部が形成されており、当該蓋部材84の前面が補強部材82の前壁82Bの後面と接合されている。つまり、補強部材82は、側壁82Aがロッカリインフォースメント29の車幅方向外側面と接合され、下壁82Cがロッカリインフォースメント29の下面と接合され、前壁82Bがロッカリインフォースメント29の前面と接合されている。このように、補強部材82がロッカリインフォースメント29に対して三つの面で接合されることにより、補強部材82とロッカリインフォースメント29との結合強度を効果的に向上させることができる。その結果、ロッカ18の前端部付近の変形量を一層効果的に低減することが可能になる。
例えば、図16(A)に示されるように、前輪16のホイール17がロッカ18の前端部に衝突した場合でも、補強部材82の前壁82Bがロッカリインフォースメント29の前面(ここでは蓋部材84)と接合されて剛性が向上していることにより、補強部材82の変形を抑制することができる。その結果、図16(B)及び図16(C)に示される如く、ホイール17が早期に車幅方向外側へ脱落するように促進することができるので、ロッカ18の前端部付近の損傷を抑制できる。なお、前輪16のホイール17がロッカ18の前端部に衝突する際の態様は、図16(A)〜図16(C)に示される態様には限られないが、本実施形態の構成によれば、様々なホイール17(前輪16)の衝突態様に対して、ロッカ18の前端部付近の損傷を抑制することができる。
また、本実施形態では、ヒンジリインフォースメント42の側壁部42Aが下方側へ延長されて、アウタリインフォースメントロア40の側壁部40Aとロッカリインフォースメント29の車幅方向外側面との間に側壁部42Aの下端部42A1が介在している。このため、微小ラップ衝突時における前輪16からの荷重によってアウタリインフォースメントロア40とロッカリインフォースメント29との間に生じるせん断荷重を、ヒンジリインフォースメント42の剛性によって低減することができる。これにより、アウタリインフォースメントロア40とロッカリインフォースメント29との間でせん断破壊が生じることを防止又は効果的に抑制できる。
さらに、本実施形態では、補強部材82の前壁82Bと後壁82Dとの間にピラーリインフォースメント41の下端部が嵌合しており、ピラーリインフォースメント41の前面及び後面が、補強部材82の前壁82B及び後壁82Dと接合されている。これにより、ピラーリインフォースメント41と補強部材82との結合強度を効果的に向上させることができるので、ピラーリインフォースメント41と補強部材82とが、微小ラップ衝突時における前輪16からの荷重によって相対変位することを防止又は効果的に抑制できる。
<実施形態の補足説明>
前記第2実施形態において、図17に示されるように、ロッカリインフォースメント29の開断面の内側に、1又は複数の節状のバルク90を接合する構成にしてもよい。このバルク90によってロッカリインフォースメント29の断面が補強されるため、微小ラップ衝突時におけるロッカリインフォースメント29の断面変形を効果的に抑制することができる。その結果、フロントピラー12の後退量すなわち車室21の変形量を一層効果的に低減することが可能になる。
前記第2実施形態において、図17に示されるように、ロッカリインフォースメント29の開断面の内側に、1又は複数の節状のバルク90を接合する構成にしてもよい。このバルク90によってロッカリインフォースメント29の断面が補強されるため、微小ラップ衝突時におけるロッカリインフォースメント29の断面変形を効果的に抑制することができる。その結果、フロントピラー12の後退量すなわち車室21の変形量を一層効果的に低減することが可能になる。
また、前記第2実施形態では、結合補強部としての補強部材82がピラーリインフォースメント41とは別体に形成されて、ピラーリインフォースメント41の下端部に接合された構成にしたが、これに限らず、結合補強部がピラーリインフォースメント41の下端部と一体に設けられた構成、すなわち、例えばアウタリインフォースメントロア40の下端部に結合補強部が一体に設けられた構成(アウタリインフォースメントロアの下端部によって結合補強部が形成された構成)にしてもよい。
また、前記第2実施形態では、ロッカリインフォースメント29の前壁部を構成する蓋部材84が、ロッカアウタリインフォースメント28や内側リインフォースメント34とは別体に形成されて内側リインフォースメント34に接合された構成にしたが、本発明はこれに限らず、ロッカリインフォースメント29の前壁部が、ロッカアウタリインフォースメント28又は内側リインフォースメント34と一体に形成された構成にしてもよい。
また、前記第1実施形態では、セダンタイプの自動車に対して本発明が適用された場合について説明し、前記第2実施形態では、所謂スポーツユーティリティビークルに対して本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、本発明は上記以外のタイプの自動車に対しても適用可能である。
また、前記各実施形態では、ガセット50及び補強部材82(何れも結合補強部)が、側壁50A、82Aを備えた構成にしたが、結合補強部の側壁は、結合補強部の剛性を高めるものであればよく、前壁及び下壁からフランジ状に延設されたものでもよい。
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記各実施形態に限定されないことは勿論である。
Claims (9)
- フロントピラーの長手方向を長手とする長尺状に形成されて前記フロントピラーを補強するピラーリインフォースメントと、
ロッカの長手方向を長手とする長尺状に形成されて前記ロッカを補強すると共に、前端部が前記ピラーリインフォースメントの下端部と接合されたロッカリインフォースメントと、
前記ピラーリインフォースメントとは別体に形成され、前記ピラーリインフォースメントと前記ロッカリインフォースメントとの結合部を上下に跨ぐ状態で設けられ、前記ピラーリインフォースメントの下端部と接合されると共に、前記ロッカリインフォースメントを車両前方側から覆った前壁、及び前記前壁の下端から車両後方側へ延びて前記ロッカリインフォースメントの下面と接合された下壁が、前記ロッカリインフォースメントの車幅方向外側に位置する側壁から延設された結合補強部と、
を備えた自動車のフロントピラー下部構造。 - 前記ロッカリインフォースメントの前端部には、車幅方向外側へ突出した凸部が設けられ、前記結合補強部の前記側壁に形成された開口に前記凸部が挿入されている請求項1に記載の自動車のフロントピラー下部構造。
- 前記ロッカリインフォースメントには、前壁部が設けられており、前記結合補強部は、前記側壁が前記ロッカリインフォースメントの車幅方向外側面と接合されると共に、前記前壁が前記前壁部の前面と接合されている請求項1に記載の自動車のフロントピラー下部構造。
- 前記結合補強部の前記側壁における前記開口よりも車両前方側の部位と、前記ロッカリインフォースメントの前記凸部とが、前記ピラーリインフォースメントの下端部に対してそれぞれ別々に接合されている請求項2に記載の自動車のフロントピラー下部構造。
- 前記結合補強部の前記側壁には、前後一対の長孔が形成されると共に、前側の前記長孔の長手方向が車両上下方向に沿う一方、後側の前記長孔の長手方向が車両上方側へ向かうに従い車両前方側へ向かうように傾斜しており、前記各長孔の前縁部が前記ピラーリインフォースメントと接合されている請求項1に記載の自動車のフロントピラー下部構造。
- 前記ピラーリインフォースメントは、フロントピラーアウタリインフォースメントと、当該フロントピラーアウタリインフォースメントの内側に接合されたヒンジリインフォースメントとを有しており、前記ピラーアウターリインフォースメントの側壁部が前記ロッカリインフォースメントの車幅方向外側面と接合されると共に、前記ヒンジリインフォースメントの側壁部が下方側へ延長されることにより、前記フロントピラーアウタリインフォースメントの前記側壁部と前記ロッカリインフォースメントの車幅方向外側面との間に、前記ヒンジリインフォースメントの側壁部の下端部が介在している請求項1に記載の自動車のフロントピラー下部構造。
- 前記結合補強部は、前記前壁が前記ピラーリインフォースメントの前面と接合されると共に、前記ピラーリインフォースメントの後面と接合される後壁を有しており、前記前壁と前記後壁との間に前記ピラーリインフォースメントが嵌合している請求項1に記載の自動車のフロントピラー下部構造。
- 前記結合補強部の上方で前記ピラーリインフォースメントと接合されたブラケットが、前記ピラーリインフォースメントと共に閉断面を形成している請求項1に記載の自動車のフロントピラー下部構造。
- 前記ロッカリインフォースメントは、車両前後方向視で車幅方向内向きに開口した開断面形状に形成されており、当該開断面の内側に節状のバルクが接合されている請求項1に記載の自動車のフロントピラー下部構造。
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