JP5764122B2 - ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂及びその製造方法 - Google Patents
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Description
又、アクリル酸の占める割合が高い、言い換えれば、吸水性樹脂はプロピレン(石油)の価格に大きく依存するという問題、又、紙オムツ等の使い捨て用途に主に使用される吸水性樹脂のため、上記問題に加えて、吸水性樹脂はアクリル酸を主成分とするため、コスト中の原料の供給安定性も有していた。そこで、澱粉やセルロース架橋して吸水性樹脂、例えば、カルボキシメチルセルロース架橋体等を得る手法も知られているが、ポリアクリル酸(塩)に比べて諸物性は低い。
又、上記課題を解決するため、本発明のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法(第2の製法発明)は、水溶性不飽和単量体の重合工程、得られた含水ゲル状架橋重合体の乾燥工程を含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、前記重合工程では、水溶性不飽和単量体として、炭素安定同位体比(δ13C)が−20‰以上のアクリル酸を重合する、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法を提供する。
又、上記2つの製造方法(第1の製法発明及び第2の製法発明)を言い換えれば、上記課題を解決するため、本発明は、水溶性不飽和単量体の重合工程、得られた含水ゲル状架橋重合体の乾燥工程を含む、水溶性ポリアクリル酸(塩)又は水不溶性水膨潤性ポリアクリル酸(塩)から選ばれるポリアクリル酸(塩)の製造方法であって、前記重合工程では、水溶性不飽和単量体として、炭素安定同位体比(δ13C)が−20‰以上のアクリル酸を重合する、ポリアクリル酸(塩)の製造方法を提供する。
(1−1)「吸水性樹脂」
本発明における「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を意味する。尚、「水膨潤性」とは、ERT441.2−02で規定するCRC(無加圧下吸水倍率)が通常5[g/g]以上、好ましくは10〜100[g/g]、更に好ましくは20〜80[g/g]であることをいう。又、「水不溶性」とは、ERT470.2−02で規定するExt(水可溶分)が通常0〜50質量%、好ましくは0〜30質量%、更に好ましくは0〜20質量%、特に好ましくは0〜10質量%であることをいう。
本発明における「ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂」とは、任意にグラフト成分を含み、繰り返し単位としてアクリル酸及び/又はその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を主成分とする吸水性樹脂を意味する。
又、「ポリアクリル酸(塩)」とは、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の上位概念として定義され、本発明においては水溶性のポリアクリル酸(塩)も含まれる。即ち、ポリアクリル酸(塩)が水に実質100質量%溶解する場合は、ポリアクリル酸(塩)系水溶性ポリマー或いは水溶性ポリアクリル酸(塩)と称する。尚、本発明における「ポリアクリル酸(塩)」は、水溶性ポリアクリル酸(塩)或いは水不溶性水膨潤性ポリアクリル酸(塩)(別称;ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂)から選ばれ、効果の観点からポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂が好ましい。
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)である吸水性樹脂の測定方法(EDANA Recommended Test Method)の略称である。尚、本発明においては、特に断りのない限り、ERT原本(公知文献:2002年改定)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、無加圧下吸水倍率(以下、「吸水倍率」と称することもある)を意味する。具体的には、不織布製袋中の吸水性樹脂0.2gについて、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に対する30分間の自由膨潤後更に遠心分離機で水切りした後の吸水倍率(単位;[g/g])である。
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、加圧下吸水倍率を意味する。具体的には、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に対する1時間、2.06kPa(0.3psi)での荷重下膨潤後の吸水倍率(単位;[g/g])である。尚、荷重条件を4.83kPa(0.7psi)に変更して測定することもある。
「Ext」は、Extractablesの略称であり、水可溶分(水可溶成分量)を意味する。具体的には、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液200gに対して、吸水性樹脂1gを加え、500rpmで16時間攪拌した後、溶解したポリマー量をpH滴定で測定した値(単位;質量%)である。
「FSC」は、Free Swell Capacityの略称であり、自由膨潤倍率を意味する。具体的には、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に吸水性樹脂0.20gを30分浸漬した後、遠心分離機で水切りを行わないで測定した吸水倍率(単位;[g/g])である。
「Residual Monomers」とは、吸水性樹脂中に残存するモノマー量を意味する。具体的には、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液200cm3に対して、吸水性樹脂1.0gを500rpmで1時間攪拌した後、溶解した残存モノマー量をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)で測定した値(単位;ppm)である。
「PSD」とは、Particle Size Distributionの略称であり、ふるい分級により測定される粒度分布を意味する。尚、質量平均粒子径(D50)及び粒子径分布幅は欧州公告特許第0349240号明細書7頁25〜43行に記載された「(1) Average Particle Diameter and Distribution of Particle Diameter」と同様の方法で測定する。
荷重下又は無荷重下における膨潤ゲルの粒子間を流れる液の流れを「通液性」という。この「通液性」の代表的な測定方法として、SFC(Saline Flow Conductivity)や、GBP(Gel Bed Permeability)がある。
本発明における「初期色調」とは、製造直後の吸水性樹脂又はユーザー出荷直後の吸水性樹脂の色調をいい、通常、工場出荷前の色調で管理する。色調の測定方法については、国際公開第2009/005114号に記載される方法(Lab値、YI値、WB値等)を例示することができる。
本発明における「バイオマス」とは、枯渇性資源ではない、現生生物構成体物質起源の産業資源のことをいい、再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたものをいう。
本発明における「炭素安定同位体比(δ13C)」とは、自然界に存在する炭素原子の3種類の同位体(存在比 12C:13C:14C=98.9:1.11:1.2×10−12 単位;%)のうち、12Cに対する13Cの割合をいい、炭素安定同位体比は、標準物質に対する偏差で表され、以下の式で定義される値(δ値)をいう。
伝播の状態や範囲を追跡調査するための微量添加物質や性質をいう。本発明では吸水性樹脂に特定範囲量の13C、更に好ましくは14Cを使用するが、市販ないし公知の吸水性樹脂と13C(及び14C量)で判別できる範囲においてトレーサビリティーを有しており、よって、製造後ないし販売後の吸水性樹脂の追跡調査(13C量及び14C量)の有無に関わらず、本発明の特定13C量を示す吸水性樹脂は本発明の権利範囲である。
尚、製造後のポリアクリル酸(塩)、特にポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂とポリアクリル酸(塩)、特に該ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造に用いた重合前の原料のアクリル酸の同定方法としては、予めポリアクリル酸(塩)、特にポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造に用いた重合前の原料であるアクリル酸の炭素安定同位体比(δ13C)を加速器質量分析法によって測定しておけば、この測定値と、製造後のポリアクリル酸(塩)、特にポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の炭素安定同位体比(δ13C)を測定した値とを、比較することによって、判定することができる。
又、製造後のポリアクリル酸(塩)、特にポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂からポリアクリル酸(塩)、特に該ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造に用いた重合前のアクリル酸を追跡する方法についても同様に、予めポリアクリル酸(塩)、特にポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造に用いた重合前の原料であるアクリル酸や製造過程における中間生成物の炭素安定同位体比(δ13C)を測定しておけば、製造後のポリアクリル酸(塩)、特にポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の炭素安定同位体比(δ13C)から、中間生成物や原料を追跡することができる。したがって、製品(吸水性樹脂)から原料や製造過程を追跡できるため、製品に不具合が生じている場合には、製造ラインや原料等の調査等が容易にできるようになる。
(1−9)放射性炭素年代測定法(14C/C)
本発明におけるバイオマス由来の炭素は、大気中に二酸化炭素として存在していた炭素が、植物中に取り込まれ、これを原料として合成されたアクリル酸中に存在する炭素を示すものであり、放射性炭素(即ち、炭素14)を測定することによって同定できる。
又、バイオマス由来成分の含有割合は、放射性炭素(炭素14)の測定を行うことによって特定することができる。即ち、石油等の化石原料中には炭素14原子が殆ど残っていないため、対象となる試料中における炭素14の濃度を測定し、大気中の炭素14の含有割合(107pMC(percent modern carbon))を指標として逆算することで、試料中に含まれる炭素のうちのバイオマス由来炭素の割合を求めることができる。
このような放射性炭素の測定によるバイオマス由来炭素の存在割合は、例えば、試料(吸水性樹脂)を必要によりCO2やC(グラファイト)とした後、加速機質量分光計(AMS)にかけて、標準物質(例えば、米国NISTシュウ酸)に対する炭素14の含有量を比較測定することにより求めることができる。バイオマス由来炭素の含有割合(%)は、[(試料中のバイオマス由来の炭素量)/(試料中の全炭素量)×100]によって算出できる。
ここで、ポリアクリル酸(塩)の非化石原料と化石原料の比率は上記14C/Cを測定することで判別でき、石油由来のプロピレンから得られた市販のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂と判別できる。非化石原料の割合(pMC)は好ましくは炭素中の1%以上、10%以上、50%以上、70%以上、90%以上、特に99%とされる。本発明では従来の天然物系吸水性樹脂(例えば、カルボキシメチルセルロース)では不可能な下記の高物性を示す利点を有する。
即ち、本発明は上記課題を解決するため、加速器質量分析法によって測定される炭素安定同位体比(δ13C)が−20‰以上及びpMCが好ましくは1%以上、10%以上、50%以上、70%以上、90%以上、特に99%以上である、ポリアクリル酸(塩)、特にポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂及びその製造方法を提供する。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は、「X以上、Y以下」であることを意味する。又、質量の単位である「t(トン)」は、「Metric ton(メトリック トン)」であることを意味し、更に、特に注釈のない限り、「ppm」は「質量ppm」を意味し、「質量」と「重量」、「質量%」と「重量%」及び「質量部」と「重量部」は同義語として扱う。更に、「〜酸(塩)」は「〜酸及び/又はその塩」を意味し、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。
(2−1)アクリル酸製造工程
本工程は、ポリアクリル酸(塩)、特にポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の原料として用いるアクリル酸、特にバイオマスからアクリル酸を得る工程である。
本発明は、加速器質量分析法によって測定される炭素安定同位体比(δ13C)が−20‰以上のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を提供するものであり、かかる吸水性樹脂の製造方法として、水溶性不飽和単量体の重合工程、得られた含水ゲル状架橋重合体の乾燥工程を含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、炭素安定同位体比(δ13C)が−20‰以上のアクリル酸を重合する、吸水性樹脂の製造方法を提供する。
又、本発明は水不溶性水膨潤性のポリアクリル酸(塩)(別称;ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂)に加えて、水溶性のポリアクリル酸(塩)にも適用でき、上位概念としてのポリアクリル酸(塩)及びその製造方法を提供する。
即ち、本発明は、水不溶性水膨潤性のポリアクリル酸(塩)又は水溶性のポリアクリル酸(塩)から選ばれるポリアクリル酸(塩)について、加速器質量分析法によって測定される炭素安定同位体比(δ13C)が−20‰以上のポリアクリル酸(塩)を提供するものであり、かかるポリアクリル酸(塩)の製造方法として、水溶性不飽和単量体の重合工程を含む、ポリアクリル酸(塩)の製造方法であって、炭素安定同位体比(δ13C)が−20‰以上のアクリル酸を重合する、ポリアクリル酸(塩)の製造方法を提供する。
本発明で炭素安定同位体比(δ13C)が−20‰以上のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を得るために、単量体としてアクリル酸を主成分とし、且つ単量体として炭素安定同位体比(δ13C)が−20‰以上であればよい。
即ち、アクリル酸の炭素安定同位体比(δ13C)は−20‰以上であればよく、好ましくは−20〜−5‰、より好ましくは−18〜−8‰、更に好ましくは−17〜−9‰、特に好ましくは−15〜−10‰であり、当該アクリル酸を用いることで、上記範囲内のポリアクリル酸(塩)、特にポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を得ることができる。
尚、ポリアクリル酸(塩)は、必要により使用される微量の架橋剤や添加剤、グラフト成分等があるものの、これらの炭素源の主成分、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは99重量%以上がアクリル酸由来のため、アクリル酸の炭素安定同位体比(δ13C)を制御することで、ポリアクリル酸(塩)の炭素安定同位体比(δ13C)や14C/Cを制御することができる。
ここで、アクリル酸の炭素安定同位体比(δ13C)は主に原料の炭素安定同位体比(δ13C)に依存するため、異なる炭素同位体比のアクリル酸原料(異なる植物原料由来の上記原料)を適宜混合(例えば、炭素源としてC3植物の併用等)して、得られるアクリル酸及びポリアクリル酸(塩)の炭素安定同位体比(δ13C)を調整してもよい。尚、原料主成分とされるC4植物は、炭素源の50質量%以上が好ましく、以下順に60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上が好ましく、100質量%が特に好ましい。ここで、「炭素源の50質量%以上がC4植物」とは、例えば、植物由来のグリセリンからアクリル酸を得る場合、グリセリンの50質量%以上がC4植物由来であることを意味する。
植物は、その光合成炭酸固定経路における二酸化炭素の初期固定産物の種類から、C3植物、C4植物及び多肉植物型光合成(CAM/Crassulacean Acid Metabolism)植物の3種類に分類される。作物ではトウモロコシや雑穀類がC4植物であり、イネやコムギといった主要作物はC3植物であり、サボテン(Cactaceae)、弁慶草(Crassulaceae)、トウザイクサ(Euphorbiaceae)等がCAM植物である。
脂肪酸とグリセリンのエステルである油脂として、米油、ぬか油等のC3植物由来の油脂も知られており、又、コーン油,大豆油,胡麻油,ひまわり油等のC4植物由来の油脂、更には鯨油、鮫油、肝油等の動物由来の油脂が知られている、又、バイオディーゼル(BDF)の原料として、菜種油、(油椰子やココ椰子から得られる)パーム油、オリーブ油、ひまわり油、落花生油、胡麻油、大豆油、コメ油、ヘンプ・オイル(大麻油)等の植物油、魚油や豚脂、牛脂等の獣脂及び廃食用油(いわゆる天ぷら油等)等、様々なC3植物/C4植物/動物から由来の油脂がバイオディーゼル(PDF)燃料の原料となりうる。欧州では菜種油、中国ではオウレンボク等、北米及び中南米では大豆油、東南アジアではアブラヤシやココヤシ、ナンヨウアブラギリから得られる油が利用されている。
尚、上記米国特許(米国特許出願公開第2007/0219521号)は、再生可能な原料からの重合体を含む吸収物品及び該吸収物品の製造方法(Absorbent article comprising a synthetic polymer derived from a renewable resource and methods of producing said article)を開示する(請求項1〜3、6、7等)が、その実施例2において、カノーラオイル(C3植物)由来のグリセリンからアクリル酸を得た後、当該アクリル酸を重合、乾燥、粉砕、表面架橋することで、AAPが21[g/g]、SFCが50[×10−7・cm3・s・g−1]のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂が得られることが開示されているものの、PSD(粒度分布/850−150μm)や、吸水速度(FSR)、多価金属、無機微粒子、ポリアミンポリマー等の添加、重合禁止剤(特にp−メトキシフェノール)の使用については、開示も示唆もない。 一方、本発明は、アクリル酸の原料としてC4植物の使用を達成手段の一例とし、13C量/14C量に加えて、上記の物性制御や微量成分の添加によって更にトレーサビリティーや物性を高めることができ、上記米国特許との差異を有する。
本発明でアクリル酸の製造方法は炭素安定同位体比(δ13C)が−20‰以上である限り特に問わず、C4植物由来のバイオマスから得られるアクリル酸が好ましく、例えば、C4植物から得られた非化石原料、特に天然物を脱水、酸化ないし発酵等してアクリル酸を得てもよい。
非化石原料からのかかるアクリル酸系吸水性樹脂の製造方法は、例えば、国際公開第2006/092271号、同第2006/092272号、同第2006/136336号、同第2008/023039号、同第2008/023040号、同第2007/109128号等に例示されている。これら6件の特許文献はなんら13C量やそのトレーサビリティーになんら着目するものではなく、本願吸水性樹脂の製造方法を示唆しない。又、米国特許出願公開第2007/0219521号については、上記の通りである。
現在、アクリル酸の原料として使用されているプロピレンについて、化石資源である原油のクラッキング法に代わり、バイオマス由来とする製造方法が例示される。具体的には、ブテンとエチレンとのメタセシス反応、プロパノールの脱水反応、グリセリンの脱水還元反応、ブテンの接触分解、バイオガス(合成ガス)のGTL合成反応、バイオガス(合成ガス)からのメタノール合成を経たMTO合成反応、バイオエタノール又はその脱水物であるバイオエチレンを経由してのバイオプロピレン、バイオマスプロパンの脱水素反応等が挙げられる。所定の13C量のバイオプロピレンを得たのち、通常のアクリル酸製造方法に従い、プロピレンよりアクロレイン更にはアクリル酸を得ればよい。
所定δ13Cのアクリル酸を得るために、所定δ13Cの上記バイオマスより、グルコース等を経て、3−ヒドロキシプロピオン酸や2−ヒドロキシプロピオン酸を得たのち、脱水してアクリル酸を得ればよい。
グリセリンから3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HPA)を得る方法は、例えば、米国特許第6852517号、特開2007−082476号、特開2005−102533号に示されている。グリセリンから2−ヒドロキシプロピオン酸(乳酸)を得る方法は、例えば、特開平4−356436号に示されている。β−アラニンから3−ヒドロキシプロピオン酸を得る方法は、国際公開第2002/042418号、同第2007/042494号に示されている。3−ヒドロキシプロピオン酸を得る際に、国際公開第2010/0118743号に開示の手法でヒドロキシプロピオン酸への耐性を向上させてもよいし、国際公開第2010/0118743号に開示の手法でヒドロキシプロピオン酸がアルデヒドアルデヒドに変換されることを阻害することも好ましい。一例として、オキサロ酢酸を脱炭酸し、マロン酸セミアルデヒドを生成した後、3−ヒドロキシプロピオン酸デヒドロゲナーゼを用いて3−ヒドロキシプロピオン酸を生成する方法が挙げられる。
ヒドロキシプロピオン酸から脱水でアクリル酸を得る方法は、例えば、国際公開第2002/090312号、同第2003/08795号、同第2005/095320号、同第2007/106099号、同第2008/1042958号、米国特許出願公開第2007/219391号等に例示されている。脱水される未中和ヒドロキシプロピオン酸は酸ないしその塩(特に一価塩、更にはナトリウム塩やアンモニム塩)が使用され、その際、溶媒は使用してもよく未使用でもよい。得られたアクリル酸は晶析や蒸留等で精製すればよく、アクリル酸の晶析法は層状又は分散型で連続又は回分で行われ、例えば、国際公開第2008/023039号等に示されている。尚、ヒドロキシプロピオン酸アンモニム塩からの脱水にはアクリルアミドの副生に注意する必要がある。
アクリル酸の原料として天然物(特に非化石原料)を使用する場合、又は、後述の化石原料のアクリル酸と非化石原料のアクリル酸を併用する場合、米国特許出願公開第2007/219521号に準じて、得られた吸水性樹脂の非化石原料の比率は、得られるポリアクリル酸の14C(放射性炭素)/C(炭素)で特定できる。従来の化石原料(特に石油、更にプロピレン)から得られるアクリル酸(塩)系吸水性樹脂では14C/Cが1.0×10−14未満であるのに対して、本発明の吸水性樹脂は14C/Cが好ましくは1.0×10−14以上、更に好ましくは1.0×10−13以上、特に好ましくは1.0×10−12である。ほぼ100質量%が非化石原料の場合、上限は1.2×10−12である。14C/Cはアイソトープ・マススペクトロフィー等で測定でき、例えば、米国特許第3885155号、同第4427884号、同第5438194号、同第5661299号に示される。
尚、天然には大気圏内の核実験で生成された人工起源の14Cが存在するため、14C濃度が標準レベルよりも若干高くなること、上記(1−9)に示すようにpMCが100数%となる場合があるが、適宜補正して非化石原料と化石原料の割合を求めればよい。又、14Cの半減期は5730年であるが、一般的な化学製品、特に吸水性樹脂の製造から市場に出回る期間を考えると、14C量の減少は無視できる。尚、本発明において、14C/Cが1.0×10−14である場合について、適宜pMC(現代炭素率)に置き換えて表記することができる。
13C、14Cの定量は、目的とするポリアクリル酸(塩)、特にポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を燃焼させてCO2とした後、CO2又はその誘導体(還元体)であるグラファイト(C)を加速器質量分析法で分析すればよい。例えば、Csビーム照射によってイオン化されたCについて、12Cイオン、13Cイオン、14Cイオンの量がそれぞれ測定される。
ポリアクリル酸(塩)、特にポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の13C、14C量又は下記水素同位体比の制御は、原料であるアクリル酸として、所定量の13C、14C量又は下記水素同位体比を有するアクリル酸を使用すればよい。そのためには、後述する特定の天然物(特に非化石原料)を出発原料として、グリセリン、3−ヒドロキシプロピオン酸、2−ヒドロキシプロピオン酸を経て得られるアクリル酸、又は中間体にアクロレインを経て得られるアクリル酸について、所定量の13C、14C量又は下記水素同位体比を有するようにすればよい。
尚、13C、14Cを多く含むアクリル酸は、その分、分子量が大きくなる(12C由来のアクリル酸の分子量は72)ため、沸点が若干高くなる(通常、アクリル酸の沸点は143℃)。従って、質量(分子量)比由来の沸点差(分子量が小さい方が低沸点となる)を利用して、13C、14C量を調整することができる。具体的には、アクリル酸の原料(グリセリン、3−ヒドロキシプロピオン酸、2−ヒドロキシプロピオン酸)や中間体であるアクロレインの気相酸化反応時の気化や、当該反応で得られたアクリル酸の蒸留精製で、所定の13C、14C量を有するアクリル酸とすることができる。
但し、上記質量(分子量)比由来の沸点差が微小の場合、炭素安定同位体比(δ13C)の制御は、実質的には特定の植物原料を用いて行われ、気相酸化反応での気化率、蒸留精製(低沸点化合物、言い換えれば低同位体比の化合物が先に気化)では微調整(数‰)すればよい。
又、水素同位体比についても同様に、質量(分子量)比由来の沸点差を利用して、蒸留等で変化(特に減少)させてもよい。
上記13C及び14Cに加えて、水素同位体比を調整ないし測定して、更にトレーサビリティーを向上させてもよい。水素同位体比(δD 対SMOW)は、例えば、−500〜0‰が好ましく、特に好ましくは−300〜0‰、更に好ましくは−300〜−15‰(vs SMOW:Standard Mean Ocean Water)の範囲でアクリル酸原料を選択することで、制御できる。例えば、C3植物でも米は−30‰前後、小麦は−100〜−70‰前後、じゃが芋は−100〜−70‰前後(vs SMOW)の水素同位体比を有する。
水素同位体比の測定方法としては、例えば、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を構成する水素を、水素分子(H2又はその同位体D2)とした後、ガスの質量比(H;1、D;2)について安定同位体比測定用質量分析計を使用して測定する、質量分析法が例示される。ポリアクリル酸(塩)、特にポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を前処理によって水素ガスとした後、PICARRO社 WS−CRDS方式水素安定同位体比アナライザー等で測定する。
バイオマス由来のアクリル酸を用いる場合、アルデヒド分や飽和カルボン酸(特に酢酸やプロピオン酸)が増加する傾向にあり、吸水性樹脂に使用する場合、それらをより低く制御することが好ましい。制御方法としては、アクリル酸の製造方法や精製方法、蒸留方法や晶析方法を適宜制御すればよく、好ましくは晶析、更には多段晶析がなされる。
尚、質量(分子量)比由来の沸点差を利用して、上述したように蒸留や精留の前後で炭素安定同位体比(δ13C)を変化させてもよい。
本発明では目的の炭素安定同位体比(δ13C)を示す範囲で、異なる炭素安定同位体比(δ13C)のアクリル酸を混合して水溶性不飽和単量体を得ることも好ましい。即ち、上記13Cのアクリル酸以外に、所定の微量成分(特にプロピオン酸)を含む単量体ないしアクリル酸を簡便に安価に得るために、異なる製造方法の複数のアクリル酸(以下複数のアクリル酸)を混合して単量体を調製することも好ましい。又、C4植物由来の原料を用いて特定炭素安定同位体比(δ13C)を示すアクリル酸を得るだけでなく、異なる炭素安定同位体比(δ13C)のアクリル酸を混合して所定の特定炭素安定同位体比(δ13C)、即ち、C4植物の単体では達成し得ない炭素安定同位体比(δ13C)を含め、より特定の炭素安定同位体比(δ13C)とすることで、得られる吸水性樹脂のトレーサビリティーを更に高めることが好ましい。即ち、異なる炭素安定同位体比(δ13C)の原料を用いると、その炭素安定同位体比を分析して得られる統計解析値は固有のものとなるため、他の原料と区別することができ、したがってそのような原料から製造された吸水性樹脂の炭素安定同位体比も固有の分析値を有することとなり、同定、追跡が容易となる。
尚、異なる炭素安定同位体比(δ13C)を有する複数のアクリル酸を混合して使用する場合、最終製品として精製アクリル酸の段階で混合してもよく、その前段階である粗製アクリル酸を混合した後、精製(蒸留や晶析、又はこれらの併用)してもよく、又、気相酸化段階で異なるアクロレインを混合した後に酸化してアクリル酸としてもよい。
又、製造ライン、製造時間、製品品番の何れか、特に製造時間によって、前記重合工程におけるアクリル酸の炭素安定同位体比(δ13C)を変化させることも好ましい。即ち、化石原料である石油由来のプロピレン価格に対して、非化石原料であるグリセリンはその原料C4植物、原料C3植物の価格に大きく依存するため、原料C4植物、原料C3植物の価格にあわせて、その使用比率を転嫁することで、原料価格を安定化すればよい。
上記アクリル酸製造工程と吸水性樹脂の製造工程は好ましくは近接、更には連結される。又、油脂由来のグリセリンからアクリル酸を得る場合、油脂から脂肪酸誘導体(例;バイオディーゼル)とグリセリンを同時に得て更にアクリル酸、更には吸水性樹脂とすればよく、これらの工程も好ましくは近接、更に直結される。又、CO2低減の観点から、上記特定13Cの植物原料の近隣でアクリル酸、更には吸水性樹脂を製造することが好ましく、輸送へのエネルギー低減から上記特定13Cの植物原料について「地産地消」でアクリル酸を製造及び重合する。
重合の安定性や速度面から、アクリル酸を用いた単量体は所定量の重合禁止剤を含有することが好ましく、0を超えて200ppm以下がより好ましく、更には1〜160ppmが好ましく、特に10〜100ppmが好ましい、更により好ましくは15〜80ppmの重合禁止剤を含有することである。重合禁止剤としては、好ましくはメトキシフェノール類、特にp−メトキシトキシフェノールを含有する。多量の重合禁止剤は重合速度遅延や製造後の着色の問題があるが、少なすぎると単量体の安定性のみならず、かえって重合が遅くなることもある。又、所定量の含有はトレーサビリティーやゲルの耐候性の点からも好ましいことがある。
当該重合禁止剤は、アクリル酸等の単量体に所定量含有しているが、ポリアクリル酸(塩)、特にポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造過程(特に重合工程)でその一部が消費され、得られるポリアクリル酸(塩)、特にポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂には一部が残存する。
重合禁止剤の残存量、即ち、ポリアクリル酸(塩)、特にポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂中の含有量は、重合時間や重合開始剤量、乾燥温度等で適宜決定されるが、p−メトキシフェノールの含有量として5〜60ppmが好ましく、6〜40ppmがより好ましく、8〜30ppmが更に好ましく、8〜20ppmが特に好ましい。重合禁止剤の残存量の制御方法として、具体的には、上記範囲の重合禁止剤を含有するアクリル酸を用いた単量体を重合した後、得られた含水ゲル状架橋重合体を後述の乾燥温度150〜250℃、乾燥時間10〜120分間で含水率20質量%以下となるまで乾燥し、乾燥後の吸水性樹脂粉末100質量部に対して、表面架橋剤を0.001〜10質量部混合し、70〜300℃、1〜120分間加熱処理することが挙げられる。p−メトキシフェノール等の微量成分の定量は、大過剰の水又は生理食塩水を用いて抽出することができ、濾液を必要により濃縮等の処理を行った後、液体クロマトグラフィー等を用いて濾液中の濃度を測定すればよい。
尚、米国特許出願公開第2007/0219521号の実施例2にはメトキシフェノール類の使用が開示されていないが、これらの化合物が未使用の場合、物性のフレやトレーサビリティーの低下を伴う虞がある。
本工程は、上記(2−1)アクリル酸製造工程で得られたアクリル酸(塩)を主成分として含む水溶液を重合して、含水ゲル状重合体、特に含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)を得る工程である。
本発明で得られるポリアクリル酸(塩)、特にポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、その原料(単量体)として、アクリル酸(塩)を主成分として含む水溶液を使用し、通常、水溶液状態で重合される。該単量体水溶液中の単量体濃度は、通常10〜90質量%であり、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%、更に好ましくは40〜60質量%である。
上記単量体としてのアクリル酸又は重合後の重合体(含水ゲル)の中和に用いられる塩基性物質としては、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物や炭酸(水素)ナトリウム、炭酸(水素)カリウム等の炭酸(水素)塩等の一価の塩基性物質が好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。又、中和時の温度(中和温度)についても、特に制限されず、10〜100℃が好ましく、30〜90℃がより好ましい。尚、上記以外の中和処理条件等については、国際公開第2006/522181号に開示されている条件等が、本発明に好ましく適用される。中和の塩(NaOH)等は、所定量以下のFeを含有することが好ましく、後述の範囲とされる。
アクリル酸は上記範囲の微量成分とされ、上記範囲の重合禁止剤を含む。又、吸水性樹脂の着色や劣化の抑制の観点から上記中和塩を主な由来とする鉄量(Fe2O3換算)は好ましくは0〜5ppm、更に好ましくはは0〜2ppm、特に好ましくは0〜1ppmであり、下限は重合速度から少量の含有、好ましくは0.01ppm以上、更に好ましくは0.02ppm以上である。更に、上記アクリル酸中の3−HPA、特に3−HPA由来のアクリル酸に加えて、アクリル酸製造後に副生するアクリル酸ダイマー(オリゴマー)や3−HPAも、残存モノマーの観点から少ないほど好ましく、単量体中にそれぞれ好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは500ppm以下、より好ましくは300ppm以下、特に好ましくは100ppm以下とされる。
重合禁止剤の含有量が1〜160ppm
Fe含有量が0〜2ppm
モノ又はジヒドロキシアセトンの含有量が0〜10ppm以下
(内部架橋剤)
本発明においては、目的とするポリアクリル酸(塩)が、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の場合、得られる吸水性樹脂の吸水性能の観点から、架橋剤(以下、「内部架橋剤」と称することもある)を使用することが特に好ましい。使用できる内部架橋剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸との重合性架橋剤や、カルボキシル基との反応性架橋剤、それらを併せ持った架橋剤等を例示することができる。具体的には、重合性架橋剤として、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリオキシエチレン)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アリロキシアルカン等、分子内に重合性二重結合を少なくとも2個有する化合物が例示できる。又、反応性架橋剤として、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル;プロパンジオール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール等の共有結合性架橋剤、アルミニウム塩等の多価金属化合物であるイオン結合性架橋剤が例示できる。これらの中でも、吸水性能の観点から、アクリル酸との重合性架橋剤が好ましく、特に、アクリレート系、アリル系、アクリルアミド系の重合性架橋剤が好適に使用される。これらの内部架橋剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記内部架橋剤の使用量は、物性面から、架橋剤を除く上記単量体に対して、0.001〜5モル%が好ましく、0.005〜2モル%がより好ましく、0.01〜1モル%が更に好ましく、0.03〜0.5モル%が特に好ましい。
本発明で得られる吸水性樹脂の諸物性を改善するために、任意成分として、上記単量体水溶液に、以下の物質を添加することができる。即ち、澱粉、ポリアクリル酸(塩)、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン等の水溶性樹脂或いは吸水性樹脂を、単量体に対して、例えば0〜50質量%、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは0〜3質量%、特に0〜1重量%添加することができる。更に、各種の発泡剤(炭酸塩、アゾ化合物、気泡等)、界面活性剤、各種キレート剤、ヒドロキシカルボン酸や還元性無機塩等の添加剤を、単量体に対して、例えば0〜5質量%、好ましくは0〜1質量%添加することができる。
尚、本発明のポリアクリル酸(塩)では、特定量の13C/14Cを有するアクリル酸が主成分とされるが、少量の天然物グラフト成分(例えば、澱粉)を使用することもできる。当該天然物グラフト成分を有意に含まない場合、又は、好ましくは0〜3質量%、より好ましくは0〜1質量%の場合、ポリアクリル酸(塩)の13C/14C量は、実質的にアクリル酸の13C/14C量で決定される。
本発明において使用される重合開始剤は、重合形態によって適宜選択され、特に限定されない。例えば、熱分解型重合開始剤、光分解型重合開始剤、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。具体的には、熱分解型重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化水素、t−ブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド等の過酸化物;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド等のアゾ化合物等が挙げられる。又、光分解型重合開始剤としては、ベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アゾ化合物等が挙げられる。更に、レドックス系重合開始剤としては、上記過硫酸塩や過酸化物に、L−アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム等の還元性化合物を組み合わせた系が挙げられる。上記熱分解型重合開始剤と光分解型重合開始剤とを併用することも、好ましい態様として挙げることができる。これらの重合開始剤の使用量は、上記単量体に対して、0.0001〜1モル%が好ましく、0.001〜0.5モル%がより好ましい。重合開始剤の使用量が1モル%を超える場合、吸水性樹脂の着色を引き起こすことがあるため好ましくない。又、重合開始剤の使用量が0.0001モル%を下回る場合、残存モノマーを増加させるおそれがあるため好ましくない。
本発明においては、上記単量体水溶液を重合するに際して、得られる吸水性樹脂の吸水性能や重合制御の容易性等の観点から、通常、水溶液重合又は逆相懸濁重合が採用されるが、好ましくは水溶液重合、より好ましくは連続水溶液重合が採用される。中でも、吸水性樹脂の1ラインあたりの生産量が多い巨大スケールでの製造に好ましく適用される。該生産量として、好ましくは0.5[t/hr]以上であり、より好ましくは1[t/hr]以上、更に好ましくは5[t/hr]以上、特に好ましくは10[t/hr]以上である。又、上記水溶液重合の好ましい形態として、連続ベルト重合(米国特許第4893999号、同第6241928号、米国特許出願公開第2005/215734号等に開示)、連続ニーダー重合、バッチニーダー重合(米国特許第6987151号、同第6710141号等に開示)等が挙げられ、これらの中でも、連続ベルト重合が特に好ましい。
本工程は、上記重合工程で得られた含水ゲルを解砕し、粒子状の含水ゲル(以下、「粒子状含水ゲル」と称する)を得る工程である。
上記重合工程で得られた含水ゲル状架橋重合体、又はゲル細粒化工程で得られた解砕ゲルを、所望する樹脂固形分量まで乾燥することができれば、その方法について特に制限されないが、例えば、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、流動床乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー乾燥、疎水性有機溶媒との共沸による脱水乾燥、高温の水蒸気を用いた高湿乾燥等、種々の乾燥方法を採用することができる。
本工程は、上記乾燥工程で得られた乾燥物を、粉砕・分級して、吸水性樹脂を得る工程である。
本工程は、上記粉砕工程、分級工程で得られた吸水性樹脂の表面近傍を、吸水性能向上のために、表面架橋剤を用いて架橋(表面架橋反応)する工程である。本表面架橋処理によって、着色の少ない白色度の高い吸水性樹脂が得られ、特に高温表面架橋での吸水性樹脂に好ましく適用される。更に、本発明で得られる吸水性樹脂を衛生用品(特に紙オムツ)の原材料として使用する場合、本表面架橋処理によって、AAP(加圧下吸水倍率)を、好ましくは20[g/g]以上に高めればよい。
物性向上やトレーサビリティーの観点から、多価金属(多価カチオン)、ポリアミンポリマー、水不溶性微粒子が好ましく使用され、その使用量は吸水性樹脂100質量部に対して好ましくは0〜10質量部、より好ましくは0.001〜5質量部、更に好ましくは0.01〜3質量部の範囲で適宜決定される。尚、多価金属はカチオン量(例えば、Al3+)として抽出して測定できる。例えば、吸水性樹脂中の多価金属量は抽出多価金属カチオンとして定量でき、特開2005−113117号公報(欧州特許第1641883号)に記載の方法で定量できる。
又、別の方法として、例えば、電子線マイクロ分析法(EPMA)は、吸水性樹脂の表面近傍に存在する元素の定性分析ができるため、多価金属の種類を判別することができる。未知のサンプルについて、一次スクリーニングとして当該分析手法を用いるのが好ましい。即ち、複数の未知のサンプルから、トレース対象の吸水性樹脂を判別するために先ず上記分析を行って選別し、残ったサンプルについて、炭素同位体比を測定してもよい。
本発明においては、必要により微紛回収を行ってもよい。本工程は、乾燥工程及び必要により粉砕工程、分級工程で発生する微粉(特に粒子径150μm以下の粉体を70重量%以上含む微粉)を分離した後、そのままの状態で、或いは水和して重合工程や乾燥工程にリサイクルする工程をいい、米国特許出願公開第2006/247351号や米国特許第6228930号に記載された方法等を適用することができる
上記工程以外に、必要により、多価金属の表面処理工程、蒸発モノマーのリサイクル工程、造粒工程、微粉除去工程等を設けてもよい。更に、経時色調の安定性効果やゲル劣化防止等のために、上記各工程のいずれか又は全部に、上記添加剤を必要により使用してもよい。
本発明のバイオマスからアクリル酸を得る場合、アクリル酸中の飽和有機酸、特に酢酸及びプロピオン酸、特にプロピオン酸が従来のアクリル酸より増加することがある。かかる飽和有機酸について、本発明ではプロピオン酸(沸点141℃;760mmHg)は重合時に存在してもよいが、重合後には酸臭等の原因となることもある。又、酢酸やプロピオン酸等の飽和有機カルボン酸はアクリル酸(沸点141℃;同)と化学構造や沸点が近いため、アクリル酸製造時の晶析や蒸留での分離精製が困難であり、アクリル酸の製造コスト上昇や収率低下の問題を伴うものであった。そこで、飽和有機カルボン酸が重合しないことを利用して、飽和有機カルボン酸は重合中ないし重合後、特に重合後のポリアクリル酸(塩)から除去することが好ましい。
プロピオン酸や酢酸はヒドロキシプロピオン酸に比べて低沸点であるため、本発明で得られた吸水性樹脂に臭気(酸臭)の問題がある場合、プロピオン酸や酢酸が多いアクリル酸(例;400ppm以上)を使用する場合、好ましくは、重合工程の後に塩基性物質を添加する工程を更に含む。
(2−11)水溶性ポリアクリル酸(塩)
本発明は、その目的や効果の観点から、水不溶性水膨潤性のポリアクリル酸(塩)(別称;ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂)が最も好ましく適用されるが、水溶性のポリアクリル酸(塩)にも適用することができる。
当該水溶性ポリアクリル酸(塩)は、その炭素安定同位体比(δ13C)や14C/C、水素同位体比が上記(2−1)の範囲であり、又、その他微量成分として、上記p−メトキシフェノール、3−HPA等も上記範囲で含有することで、優れたトレーサビリティーを有する水溶性ポリアクリル酸(塩)とされる。
即ち、本発明のポリアクリル酸(塩)は、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の上位概念として、水不溶性水膨潤性ポリアクリル酸(塩)(別称;ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂)又は水溶性ポリアクリル酸(塩)(別称;ポリアクリル酸(塩)系水溶性ポリマー)から選ばれる。
本発明における水溶性ポリアクリル酸(塩)は、上記(2−1)〜(2−10)、特に(2−1)〜(2−5)に記載した製造方法において、水溶性ポリマーとなる範囲、即ち、重合時又は重合後に架橋剤を実質的に使用しないことで得られる。特に、上記(2−1)に記載されたアクリル酸を用いて、(2−2)に記載された重合工程で架橋剤を用いずに重合することで、所定の13C量を有する水溶性ポリアクリル酸(塩)を得ることができる。
又、重合後の(2−3)乾燥工程は、水溶性ポリアクリル酸(塩)の製造では任意であり、水溶性ポリアクリル酸(塩)を乾燥せずに、ポリマー水溶液としてそのまま製品としてもよく、(2−3)乾燥工程、(2−4)粉砕・分級工程を経て、水溶性ポリマー粉末とすることもできる。この場合、分子量は好ましくは500〜1000万、より好ましくは1000〜100万、更に好ましくは1万〜20万の範囲で適宜決定することができる。尚、分子量は、重合時の連鎖移動剤、重合開始剤、重合濃度等で制御することができる。水溶性ポリアクリル酸(塩)の中和率は好ましくは0〜100モル%であり、より好ましくは0モル%或いは100モル%である。ポリマー水溶液とする場合の濃度は適宜決定されるが、上記重合濃度の範囲である。
水溶性ポリアクリル酸(塩)の製造方法は、特開2009−252498号、特開2003−02909号、特開平8−239423号等に開示された方法が適用でき、上記(2−1)アクリル酸を用いて重合すればよい。
本発明は、上述したポリアクリル酸(塩)及びその製造方法を提供するが、分子量測定やTg(ガラス転移点)の測定が不可能なため、分析(トレース)が特に困難であったポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂に好ましく適用される。以下、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を中心に述べる。
本発明の吸水性樹脂は、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を主成分とし、衛生用品、特に紙オムツへの使用を目的とする場合、上述した重合方法や表面架橋方法等によって得られる。更に得られる吸水性樹脂は、下記(3−1)〜(3−7)に挙げられた各物性のうち、少なくとも1以上の物性を制御することが好ましく、更にはAAPを含めた2以上、特に3以上の物性を制御することが好ましい。吸水性樹脂が下記の各物性を満たさない場合、吸水性樹脂濃度が40質量%以上の高濃度オムツでは十分な性能を発揮しないおそれがある。又、特定物性に制御することで、本発明では製造後のトレーサビリティーをより高めることができる。
本発明で得られる吸水性樹脂は、紙オムツ等の衛生用品の原材料として使用するため、白色粉末であることが好ましい。したがって、分光式色差計によるハンターLab表色系測定において、初期色調として、L値(Lightness/明度)が、85以上が好ましく、87以上がより好ましく、89以上が更に好ましい。又、a値は、−2〜2が好ましく、−1〜1がより好ましく、−0.5〜1が更に好ましく、0〜1が特に好ましい。更に、b値は、−5〜10が好ましく、−5〜5がより好ましく、−4〜4が更に好ましい。尚、上記L値の上限は100であるが、85以上を示せば、衛生用品等において色調による問題が発生しない。又、YI(Yellow Index)値は、10以下が好ましく、8以下が好ましく、6以下がより好ましい。更に、WB(White Balance)値は、70以上が好ましく、75以上がより好ましく、77以上が更に好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂は、上述した通り、紙オムツ等の衛生用品の原材料として使用するため、高温多湿条件下での長期貯蔵状態においても、清浄な白色状態を維持することが好ましい。したがって、分光式色差計によるハンターLab表色系測定において、経時色調として、L値(Lightness/明度)が少なくとも80を示すことが好ましく、81以上がより好ましく、82以上が更に好ましく、83以上が特に好ましい。又、a値は、−3〜3が好ましく、−2〜2がより好ましく、−1〜1が更に好ましい。更に、b値は、0〜15が好ましく、0〜12がより好ましく、0〜10が更に好ましい。尚、上記L値の上限は100であるが、80以上を示せば、高温多湿条件下での長期保存状態において実質上問題が発生しない。
本発明で得られる吸水性樹脂のCRC(無加圧下吸水倍率)はERT441.2−02測定法で10[g/g]以上が好ましく、20[g/g]以上がより好ましく、25[g/g]以上が更に好ましく、30[g/g]以上が特に好ましい。CRCの上限値は、特に限定されないが、50[g/g]以下が好ましく、45[g/g]以下がより好ましく、40[g/g]以下が更に好ましい。上記CRCが10[g/g]未満の場合、吸水性樹脂の吸水量が低く、紙オムツ等、衛生用品中の吸収体への使用に適さないおそれがある。又、上記CRCが50[g/g]を超える場合、かような吸水性樹脂を吸収体に使用すると、液の取り込み速度に優れる衛生用品を得ることができないおそれがあるため、好ましくない。尚、CRCは、上述した内部架橋剤や表面架橋剤等で適宜制御することができる。
本発明で得られる吸水性樹脂のAAP(加圧下吸水倍率)は、紙オムツでのモレを防止するため、上記粒度制御と表面架橋を達成手段の一例として、1.9kPa、更に好ましくは4.8kPaの加圧下において、20[g/g]以上が好ましく、22[g/g]以上がより好ましく、24[g/g]以上が更に好ましい。AAPの上限値は、特に限定されないが、他の物性とのバランスから40[g/g]以下が好ましい。上記AAPが20[g/g]未満の場合、かような吸水性樹脂を吸収に使用すると、吸収体に圧力が加わった際の液の戻り(通常、「リウェット(Re−Wet)」とも称される)が少ない衛生用品を得ることができないおそれがあるため、好ましくない。尚、AAPは、上述した表面架橋剤や粒度等で適宜制御することができる。
本発明で得られる吸水性樹脂のSFC(食塩水流れ誘導性)は、紙オムツでのモレを防止するため、上記粒度制御と表面架橋を達成手段の一例として、加圧下において、1[×10−7・cm3・s・g−1]以上が好ましく、10[×10−7・cm3・s・g−1]以上がより好ましく、50[×10−7・cm3・s・g−1]以上が更に好ましく、70[×10−7・cm3・s・g−1]以上が特に好ましく、100[×10−7・cm3・s・g−1]以上が最も好ましい。SFCの上限値は、特に限定されないが、3000[×10−7・cm3・s・g−1]以下が好ましく、2000[×10−7・cm3・s・g−1]以下がより好ましい。上記SFCが3000[×10−7・cm3・s・g−1]を超える場合、かような吸水性樹脂を吸水体に使用すると、吸水体で液漏れが発生するおそれがあるため、好ましくない。尚、SFCは、上述した乾燥方法等で適宜制御することができる。
本発明で得られる吸水性樹脂のExt(水可溶分)はERT470.2−02の測定法で35質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましく、10質量%以下が特に好ましい。上記Extが35質量%を超える場合、得られる吸水性樹脂のゲル強度が弱く、液透過性に劣ったものとなるおそれがある。又、かような吸水性樹脂を吸水体に使用すると、吸水体に圧力が加わった際の液の戻り(リウェット)が少ない吸水性樹脂を得ることができないおそれがあるため、好ましくない。尚、Extは、上述した内部架橋剤等で適宜制御することができる。
本発明で得られる吸水性樹脂のResidual Monomers(残存モノマー)はERT410.2−02測定法で1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましく、400ppm以下が更に好ましく、300ppm以下が特に好ましく、200ppm以下が最も好ましい。尚、Residual Monomersは、上述した重合方法等で適宜制御することができる。
生理食塩水に対する20倍膨潤時間で規定される吸水速度は0.1[g/g/s]以上、更には0.15[g/g/s]以上、0.15[g/g/s]以上、更には0.30[g/g/s]以上である。上限は、他の物性とのバランスから、2.00[g/g/s]以下、更には1.00[g/g/s]程度である。FSRは、国際公開第2009/016055号パンフレットに開示された測定方法に準じて、吸水性樹脂粉末又は表面処理された吸水性樹脂1.00gについて、20gの生理食塩水に対するFSR(吸水速度)[g/g/s]を求めることができる。
(3−9)粒度(PSD(ERT420.2−02))
上記(2−5)粉砕工程、分級工程に記載した範囲の粒度とすることが好ましい。かかる粒度となることで、吸水速度、通液性、加圧下吸水倍率等に優れた吸水性樹脂となる。
本発明で得られた吸水性樹種は残存モノマー以外の微量成分として、残存モノマー低減の観点から3−HPAは1000ppm以下、更には500ppm以下、300ppm以下、特に100ppm以下が好ましい。又、酸臭低減の観点からプロピオン酸(好ましくは酢酸)も1000ppm以下であり、これらは上記範囲に低減されることが好ましい。更に、着色抑制の観点からFeや(ジ)ヒドロキシプロピオン酸や重合禁止剤(特にp−メトキシフェノール)も上記範囲に低減されることが好ましい。微量成分は残存モノマーに準じて吸水性樹脂より抽出して液体クロマトクラフィィー(HPLC)等で定量できる。即ち、上記理由から、本発明では好ましくは吸水性樹脂が下記のいずれかひとつ以上、より好ましくは2つ以上、更に好ましくは3つ以上、特に好ましくは4つ同時に下記の含有量を満たすことが好ましい。
・3−ヒドロキキシプロピオン酸の含有量が1000ppm以下、更には上記(3−9)に記載の範囲である。
・重合禁止剤(特にp−メトキシフェノール)の含有量が1〜160ppm、更には上記(2−1)に記載の範囲であり、5〜60ppmが好ましく、6〜40ppmがより好ましく、8〜30ppmが更に好ましく、8〜20ppmが特に好ましい。
・Fe含有量が0〜2ppm、更には上記(2−2)に記載の範囲である。
・モノ又はジヒドロキシアセトンの含有量が0〜10ppm以下、更には上記(2−1)に記載の範囲である。
又、トレーサビリティーと物性(特に通液性やAnti−caking)の観点から、多価金属塩、ポリアミンポリマー、水不溶性無機粒子から選ばれる1種以上の表面処理剤で被覆されてなることが好ましい。
本発明は、製造後のポリアクリル酸(塩)の同定方法/追跡方法であって、該ポリアクリル酸(塩)中の13C量を定量する、ポリアクリル酸(塩)の同定方法/追跡方法を提供する。
特にポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂について同定/追跡するには、紙おむつ等に組み込まれた吸水性樹脂や、土中に埋められた吸水性樹脂を取り出し、13C量を定量すればよい。吸水性樹脂の同定ないし追跡の制度を高めるために、吸水性樹脂の物性が測定されたり、微量成分が定量されたりすればよい。
本発明にかかる製造方法により得られる吸水性樹脂の用途は、特に限定されず、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パット等の衛生用品、農園芸用保水剤、廃液固化剤や、工業用止水材等、吸収性物品に使用することができる。
又、非化石原料由来でありながら従来の天然物系吸水性樹脂に比べて格段に高物性であり、更に石油価格に大きく依存する従来の吸水性樹脂に対して、原料コストを適宜調整できる。
〔6〕ポリアクリル酸(塩)の用途
本発明のポリアクリル酸(塩)は、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を主成分とした粉末又は水溶液(濃度は例えば1〜80重量%)であって、ビルダー、増粘剤、液体洗剤、分散剤、パップ等に使用できる。本発明では製造後や各種用途でのトレーサビリティーをより高めることができる。
(a)「CRC」(ERT441.2−02)
(b)「AAP」(ERT442.2−02)−荷重1.9kPa更には4.9kPa
(c)「Ext」(ERT470.2−02)
(d)「FSC」(ERT440.2−02)
(e)「Residual Monomers」(ERT410.2−02)
(f)「PSD」(ERT420.2−02)
SFC(生理食塩水流れ誘導性)は、膨潤した吸水性樹脂の液透過性を示す値であり、値が大きいほど高い液透過性を有することを示している。尚、SFCの測定は、米国特許第5849405号明細書に開示された方法にしたがって行った。
底面の直径が約50mmのアルミカップに、吸水性樹脂1.00gを量り取り、試料(吸水性樹脂及びアルミカップ)の総質量W8[g]を測定した。
以下の目開きを有するJIS標準篩を用いて吸水性樹脂10.00gを分級し、ふるい毎の質量を測定し、粒子径150μm未満の質量百分率を算出した。又、各粒度の残留百分率Rを数確率紙にプロットし、このグラフからR=50質量%に相当する粒子径を質量平均粒子径(D50)として読み取った。尚。質量平均粒子径(D50)は、米国特許第5051259号明細書等に開示されているように、粒子全体の50質量%に対応する標準篩の粒子径のことをいう。更に、粒度分布の対数標準偏差(σζ)は下記の式にしたがって算出した。尚、粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、値が小さいほど粒度分布が狭いことを意味する。
吸水性樹脂の色調評価は、ハンターLab表色系で実施した。尚、測定装置(分光式色差計)としては、HunterLab社製のLabScan(登録商標)XEを使用し、その測定条件としては、反射測定を選択した。又、粉末・ペースト試料用容器(内径30mm、高さ12mm)、粉末・ペースト用標準丸白板No.2及び30Φ投光パイプを用いた。
米国材料試験協会(American Society of Testing and Materials)で規定される前処理方法(ASTM D6866/MethodB)により、試料をCO2化させた後、鉄触媒を用いた完全還元処理によりC(グラファイト)化し、加速器質量分析(Accelerator Mass Spectrometry)法により、炭素安定同位体比(δ13C)を求めた。尚、計算式には、(1−7)「炭素安定同位体比(δ13C)」及び数1を参照する。又、PDBは、Pee Dee Belmniteの略称であり、13C/12Cの標準体を指す。
又、14C濃度の標準体として、米国国内率標準技術研究所が提供しているシュウ酸標準物質(HOxII)から合成したグラファイトを用いた。加速器質量分析によって試料及び標準体の炭素同位体比(14C/12C比,13C/12C比)を測定し、それらの測定結果から14C濃度を算出した。測定により得られた試料の14C濃度を用いて、試料中に含まれる炭素について、バイオマス由来の炭素と化石原料由来の炭素の混合割合を評価できる。
即ち、ポリアクリル酸(塩)を構成する炭素をCO2化、或いは得られたCO2を更にグラファイト(C)としたのち、炭素同位体比の加速器質量分析することで、本発明のポリアクリル酸(塩)は同定又は追跡が可能である。又、水素同位体比もポリアクリル酸(塩)を構成する水素をH2化した後、別途、分析できる。
[その他の微量成分]
上記(e)「Residual Monomers」(ERT410.2−02)に準じて、吸水性樹脂又はポリアクリル酸(塩)を生理食塩水に分散させて濾過した抽出液について、抽出液中のヒドロキシプロピオン酸、プロピオン酸、p−メトキシフェノール量等を液体クロマトグラフィーで分析した。液体クロマトグラフィーのカラムや溶離液や検量線は微量成分にあわせて適宜設定される。
[耐候性(耐光性)]
国際公開第2011/040530号の段落[0305]〜[0309]に準じて、吸水性樹脂3.0gから得られた20倍膨潤ゲル60gに対して、照射強度60[mW/cm2]で1分間、室温で紫外線を照射し、紫外線を照射による膨潤ゲルの水可溶分の増加量(%)を特定することで、耐候性(耐光性)とした。
[p−メトキシフェノール量]
国際公開第2011/040530号の段落[0317]に従い測定した。
C4植物であるサトウキビを出発原料とするグルコースから3−ヒドロキシプロピオン酸を経て、更に脱水及び精製を行うことで、炭素安定同位体比(δ13C)が−13‰、水素同位体比が−200‰(対SMOW)のアクリル酸を得た。
化石資源である原油のクラッキングにより得られたプロピレンガスを出発原料として合成されたアクリル酸を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
実施例1で用いたC4植物由来のアクリル酸(非化石原料)と、比較例1で用いたアクリル酸(化石原料)とを1:1で混合したアクリル酸を用いる以外は、実施例1と同様に重合・乾燥・粉砕・分級・表面架橋等を行うことで、炭素安定同位体比(δ13C)が−19‰である吸水性樹脂(2)を得た。かかる吸水性樹脂(2)はより独自の炭素安定同位体比を示し、容易に特定できることが判る。14C/Cが約0.6×10−12よりポリアクリル酸中の炭素の50%が非化石原料、50%が化石原料であることが判明した。尚、その他物性は、実施例1とほぼ同等であった。
実施例1で用いたC4植物由来のアクリル酸(非化石原料)と、比較例1で用いたアクリル酸(化石原料)とを3:1で混合したアクリル酸を用いる以外は、実施例1と同様に重合・乾燥・粉砕・分級・表面架橋等を行うことで、炭素安定同位体比(δ13C)が−16‰、14C/Cが約0.9×10−12である吸水性樹脂(3)を得た。かかる吸水性樹脂(2)はより独自の炭素安定同位体比を示し、容易に特定できることが判る。また14C/Cよりポリアクリル酸中の炭素の非化石原料と化石原料の比が3:1であることが判明した。尚、その他物性は実施例1とほぼ同等であった。
米国国内で市販の紙おむつ(パンパース(登録商標);製造元プロクターアンドギャンブル)より、吸水性樹脂を取り出し分析したところ、部分中和ポリアクリル酸ナトリウム塩であり、その炭素安定同位体比は−25‰であった。本発明の吸水性樹脂は製造後も、容易に特定できることが判る。
実施例1で得られた吸水性樹脂(1)100質量部について、27.5質量%硫酸アルミニウム水溶液(酸化アルミニウム換算で8質量%)1.17質量部、60質量%乳酸ナトリウム水溶液0.196質量部、プロピレングリコール0.029質量部からなる表面架橋剤溶液(イオン結合性表面架橋剤)を均一に混合した。硫酸アルミニウムを添加することで通液性(SFC)が30まで向上するとともに、アルミニウム元素やより高い通液性で他の吸水性樹脂との区別がより容易かつ確実になり、13Cに加えてトレーサビリティーがより向上した。
[実施例5]
C4植物であるトウモロコシから得られたコーンオイルのバイオディーセル化で得られたグリセリン(トウモロコシ由来のグリセリン)を気相脱水してアクロレインを得て、次いでアクリル酸に気相酸化した後、蒸留及び晶析することで、トウモロコシ由来のアクリル酸(δ13Cが−10‰、14C/Cが約1.2×10−12)を得た。アクリル酸中のプロピオン酸は1000ppm以下であった。
上記アクリル酸に、重合禁止剤及びトレーサーとしてp−メトキシフェノールを70ppm添加した。上記得られたアクリル酸に、NaOH水溶液を中和温度60℃で添加し、中和率75モル%で濃度38質量%のアクリル酸ナトリウム水溶液を得た。更に、架橋剤としてトリメチロールプロパントリアクレート0.05モル%を添加した後、単量体水溶液20℃にしたのち、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.12[g/モル]、L−アスコルビン酸0.005[g/モル]を添加して重合を行い、更に、実施例1と同様に乾燥・粉砕・分級した。次いで、吸水性樹脂100重量部に、表面架橋剤としてグリセリン0.5重量部/硫酸アルミニウム16水和物0.2重量部/水2重量部/イソプロパノール0.5重量部からなる表面架橋剤水溶液を添加して、更に180℃で30分加熱することで、表面架橋された吸水性樹脂(5)を得た。
得られた吸水性樹脂(5)のハンターLab表色系のL値は89の白色であった。又、炭素安定同位体比は−10‰であった。更に、CRCは27[g/g]、AAP(荷重50[g/cm2])は21[g/g]、p−メトキシフェノールが10ppm、SFCが50[×10−7・cm3・s・g−1]であった。又、プロピオン酸含有量は1300ppm、水可溶分は10質量%、残存モノマーは300ppmであった。更に粒子径が150μm以上850μm未満の粒子が全体の99重量%であり、質量平均粒子径(D50)が380μmであった。又、14C/Cが約1.0×10−12であり、実質100%が非化石原料由来であることが判明した。
[比較例3]
実施例5において、化石原料として石油由来のプロピレンから気相酸化で得られたアクリル酸を使用した以外は実施例5と同様の操作を行い、比較吸水性樹脂(3)(δ13Cが−27‰、14C/Cが1.0×10−14以下)を得た。
[実施例6]
実施例5において、米国特許出願公開第2007/0219521号及びその実施例2(20〜240mesh;850〜53μmに相当)に準じて、粒度を850〜53μmとした以外は実施例5と同様の操作を行った。結果、SFCが実施例5の50[×10−7・cm3・s・g−1]から粒度を変えることで、得られた吸水性樹脂(6)のSFCは42[×10−7・cm3・s・g−1]に低下した。又、炭素安定同位体比(δ13C)は−10‰であった。
[実施例7]
実施例5において、米国特許出願公開第2007/0219521号及びその実施例2(表面架橋剤はエチレンカーボネートのみ。多価金属である硫酸アルミニウムは未使用)に準じてグリセリンのみで表面架橋を行った。多価金属を使用しないことで、SFCが実施例5の50[×10−7・cm3・s・g−1]から表面架橋剤を変えることで、得られた吸水性樹脂(7)のSFCは30[×10−7・cm3・s・g−1]に低下した。又、炭素安定同位体比(δ13C)は−10‰であった。
[実施例8]
実施例5において、米国特許出願公開第2007/0219521号及びその実施例2(重合時のp−メトキシフェノールは未使用)に準じて、p−メトキシフェノールなしで重合を行った。得られた吸水性樹脂(8)は、吸水性樹脂(5)とほぼ同程度の物性(δ13Cは−10‰)であったが、p−メトキシフェノールは検出されず、結果、耐光性も約10%低下(30倍膨潤ゲルに対する紫外線照射で可溶分増加量で規定)していた。
[実施例9]
実施例5において、表面架橋剤に硫酸アルミニウム16水和物0.2重量部を使用せず、表面架橋後の吸水性樹脂100重量部に水不溶性無機微粒子として、アエロジル200(日本アエロジル社製シリカ微粒子)0.3重量部を乾式混合した。AAP(荷重50[g/cm2])は19[g/g]に低下し、SFCが55[×10−7・cm3・s・g−1]となった以外は吸水性樹脂(5)と同様な吸水性樹脂(9)が得られた。尚、吸水性樹脂(9)の炭素安定同位体比(δ13C)は−10‰であった。
[実施例10]
実施例5において、表面架橋剤に硫酸アルミニウム16水和物0.2重量部を使用せず、表面架橋後の吸水性樹脂100重量部にポリエチレンイミン(P−1000、日本触媒)0.3重量部を水溶液で混合した。AAP(荷重50[g/cm2])は20[g/g]に低下し、SFCが53[×10−7・cm3・s・g−1]となった以外は吸水性樹脂(5)と同様な吸水性樹脂(10)が得られた。尚、吸水性樹脂(10)の炭素安定同位体比(δ13C)は−10‰であった。
[実施例11]
実施例5で用いたアクリル酸を用いて水溶性ポリアクリル酸(塩)を得た。
即ち、攪拌機、温度計、還流冷却管を取付けた300mlフラスコにイソプロパノール(以下、IPAと略する。)55g、純水42g、過硫酸アンモニウム(以下APSと略する。)1.1gを仕込み攪拌しながら80℃に加熱した。ここにアクリル酸90g、10重量%APS水溶液11.0gを各々独立に、かつ同時に4時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で1時間熟成を行い、熟成後IPA及び水を系内より共沸留去した。留去量は70gで、このときフラスコ中のIPA濃度は0.5重量%以下となった。冷却後、40重量%のNaOH水溶液125gを加え、中和し、更に系内pHが10になるように40重量%のNaOH水溶液を添加した。そののち45gの水を加え、40重量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液を得た。ポリアクリル酸ソーダ(13Cが−10‰)を得た。その炭素安定同位体比は−10‰であり、14C/Cは約1.2×10−12であった。この水溶性ポリアクリル酸ソーダは、従来の石油由来のポリアクリル酸(塩)や、C3植物由来のポリアクリル酸(塩)と区別することができる。
[実施例12]
本発明の吸水性樹脂のトレーサビリティーを確認するため、下記の実験を行った。
即ち、実施例1及び比較例1において、それぞれ乾燥まで行い、得られた乾燥重合物を混合した後、実施例1の粉砕工程以降の操作を行った。尚、乾燥工程までの製造ラインのうち、実施例1と同様の操作を行ったほうを製造ラインA、又、比較例1と同様の操作を行った方を製造ラインBとした。
上記操作により得られた吸水性樹脂中に茶褐色異物(吸水性樹脂が長時間加熱されて変色したもの)が見られた。当該茶褐色異物を採取し、その13C量を測定したところ、炭素安定同位体比(δ13C)が−25‰であった。この結果から、製造ラインBに問題があると判断し、製造ラインBの乾燥機内を点検したところ、吸水性樹脂が乾燥機の内壁面に付着し変色していた。
[実施例13]
本発明の吸水性樹脂のトレーサビリティーを確認するため、下記の仮想実験を行った。
即ち、2009年に米国で入手した紙オムツ(全10サンプル)から吸水性樹脂を取り出し、それら10サンプルのうち、ひとつのサンプルが実施例4で製造された吸水性樹脂(4)であると仮定する。
上記10サンプルを先ず電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて、吸水性樹脂表面の存在する元素を分析したところ、5サンプルでアルミニウムが検出された。アルミニウムが検出された5サンプルについて、SFCを測定したところ、3サンプルについてSFCが0〜10[×10−7・cm3・s・g−1]、残りの2サンプルについてSFCが25〜35[×10−7・cm3・s・g−1]であった。更にSFCが高い値を示した2サンプルについて、CRC、AAP、Ext、残存モノマーを測定したところ、ほぼ同じ値を示した。次いで、この2サンプルについて13C量を測定したところ、一方のδ13Cが−13‰、他方が−25‰であった。以上の結果から、δ13C値が−13‰のサンプルが吸水性樹脂(4)であることが分かる。
本実施例11では、アルミニウムの有無により一次スクリーニングを行い、サンプルの測定点数を絞った上で、炭素安定同位体比を測定する方法を示している。
Claims (26)
- 加速器質量分析法によって測定される炭素安定同位体比(δ13C)が−20〜−5‰である、ポリアクリル酸(塩)。
- 水素同位体比(δD 対SMOW)が−15〜−300‰である、請求項1に記載のポリアクリル酸(塩)。
- 前記炭素安定同位体比(δ13C)が−15〜−10‰である、請求項1又は2に記載のポリアクリル酸(塩)。
- 前記ポリアクリル酸(塩)は、14C/Cが1.0×10−14 〜1.2×10 −12 である、請求項1〜3の何れか1項に記載のポリアクリル酸(塩)。
- 前記ポリアクリル酸(塩)が、水溶性のポリアクリル酸(塩)又は水不溶性水膨潤性のポリアクリル酸(塩)の何れか一方である、請求項1〜4の何れか1項に記載のポリアクリル酸(塩)。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載のポリアクリル酸(塩)からなるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂であって、
加速器質量分析法によって測定される炭素安定同位体比(δ13C)が−20〜−5‰である、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂。 - 前記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂中のプロピオン酸含有量が2000ppm以下である、請求項6に記載のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂。
- 前記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、下記(1)〜(6)に規定する物性を満たすものである、請求項6又は7に記載のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂。
(1)CRC(ERT441.2−02)が10[g/g]以上
(2)AAP(ERT442.2−02)が20[g/g]以上
(3)Ext(ERT470.2−02)が35質量%以下
(4)Residual Monomers(ERT410.2−02)が1000ppm以下
(5)PSD(ERT420.2−02)による粒子径が150μm以上850μm未満の粒子が90質量%以上
(6)SFC(食塩水流れ誘導性)が1[×10−7・cm3・s・g−1]以上 - 前記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、14C/Cが1.0×10−14 〜1.2×10 −12 である、請求項6〜8の何れか1項に記載のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂。
- 前記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、有機表面架橋剤で更に表面架橋され、更に必要により、多価金属塩、ポリアミンポリマー、水不溶性無機粒子から選ばれる表面処理剤で被覆されてなるものである、請求項6〜9の何れか1項に記載のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂。
- 前記炭素安定同位体比(δ13C)が−15〜−10‰である、請求項6〜10の何れか1項に記載のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂。
- 前記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、更に、下記の何れかひとつ以上を満たすものである、請求項6〜11の何れか1項に記載のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂。
・3−ヒドロキシプロピオン酸の含有量が1000ppm以下
・重合禁止剤の含有量が1〜160ppm
・Fe含有量が0〜2ppm
・モノ又はジヒドロキシアセトンの含有量が0〜10ppm以下 - 水溶性不飽和単量体の重合工程、得られた含水ゲル状架橋重合体の乾燥工程を含む、ポリアクリル酸(塩)の製造方法であって、
前記重合工程では、水溶性不飽和単量体として、炭素安定同位体比(δ13C)が−20〜−5‰のアクリル酸を重合することを特徴とする、ポリアクリル酸(塩)の製造方法。 - 前記アクリル酸の原料主成分がC4植物由来のバイオマスから得られるものである、請求項13に記載のポリアクリル酸(塩)の製造方法。
- 水溶性不飽和単量体の重合工程、得られた含水ゲル状架橋重合体の乾燥工程を含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、
前記重合工程では、水溶性不飽和単量体として、炭素安定同位体比(δ13C)が−20〜−5‰のアクリル酸を重合することを特徴とする、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法。 - 製造ライン、製造時間、製品品番の何れかによって、前記重合工程におけるアクリル酸の炭素安定同位体比(δ13C)を変化させる、請求項15に記載のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法。
- 前記アクリル酸の原料主成分がC4植物由来のバイオマスから得られるものである、請求項15又は16に記載のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法。
- 前記水溶性不飽和単量体は、異なる炭素安定同位体比(δ13C)を有するアクリル酸を混合したものである、請求項15〜17の何れか1項に記載のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法。
- 前記乾燥工程後に、乾燥工程で得られた乾燥物は、有機表面架橋剤で更に表面架橋され、更に必要により、多価金属塩、ポリアミンポリマー、水不溶性無機粒子から選ばれる表面処理剤で被覆されてなる、請求項15〜18の何れか1項に記載のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法。
- 前記水溶性不飽和単量体が下記の何れかひとつ以上を更に満たす、請求項15〜19の何れか1項に記載のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法。
・3−ヒドロキシプロピオン酸の含有量が1000ppm以下
・重合禁止剤の含有量が1〜160ppm
・Fe含有量が0〜2ppm
・モノ又はジヒドロキシアセトンの含有量が0〜10ppm以下 - 製造後のポリアクリル酸(塩)の同定方法であって、
該製造後のポリアクリル酸(塩)の13C量を加速器質量分析法によって定量することを特徴とする、炭素安定同位体比(δ 13 C)が−20〜−5‰であるポリアクリル酸(塩)の同定方法。 - 前記ポリアクリル酸(塩)が、水溶性のポリアクリル酸(塩)又は水不溶性水膨潤性のポリアクリル酸(塩)の何れか一方である、
請求項21に記載のポリアクリル酸(塩)の同定方法。 - その他の微量成分及び/又は複数の物性を更に測定する、請求項21又は22に記載のポリアクリル酸(塩)の同定方法。
- 製造後のポリアクリル酸(塩)の追跡方法であって、
該製造後のポリアクリル酸(塩)の13C量を加速器質量分析法によって定量することを特徴とする、炭素安定同位体比(δ 13 C)が−20〜−5‰であるポリアクリル酸(塩)の追跡方法。 - 前記ポリアクリル酸(塩)が、水溶性のポリアクリル酸(塩)又は水不溶性水膨潤性のポリアクリル酸(塩)の何れか一方である、
請求項24に記載のポリアクリル酸(塩)の追跡方法。 - 請求項6〜12の何れか1項に記載のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を含む、衛生用品。
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