JP2006082197A - 砥石車 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワークの端面を研削する場合であってもワークに研削焼けを生じ難くすることができ、研削能率の向上を容易に図ることのできる砥石車を提供する。
【解決手段】外周面を構成する第一砥石30と、該第一砥石30の砥粒よりも粗い砥粒を用いて形成されると共に前記第一砥石30の端面に設けられ、端面を構成する第二砥石40とを備えることを特徴とする砥石車10。なお、前記第二砥石40は、単層の砥粒により構成されていることを特徴とする砥石車10としてもよい。また、前記第二砥石40の最大径は、前記第一砥石30の最大径よりも小寸であることを特徴とする砥石車10としてもよい。さらに、前記第二砥石40の最大径は、前記第一砥石30の最大径と同寸であることを特徴とする砥石車10としてもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、砥石車に関するものであり、詳しくは、円盤状に形成されると共に外周面が砥石により構成された砥石車に関するものである。
円筒研削盤等の研削盤おいては、砥石車が用いられる。ここで、砥石車は、円盤状に形成されると共に外周面が砥石により構成されたものであり、研削盤の砥石台に装着されて回転駆動され、その外周面の砥石によって、ワークの外周面等の研削対象面に研削加工を施すものである。
上記の背景技術は、一般的な事項であり、本願出願人は、出願時において、この背景技術を特定する記載がなされた文献を特に知見していない。
ところで、図4に示すように、砥石車10でワークWを研削加工する場合、砥石車10の外周面によってワークWの外周面Waを研削加工するばかりでなく、砥石車10の端面によってワークWの端面Wbを研削加工することもある。特に、ワークがクランクシャフトである場合には、クランクシャフトのクランクジャーナルの外周面やクランクピンの外周面を研削加工する際に、こられクランクジャーナルの外周面やクランクピンの外周面に隣接するワークの端面形状部分を、砥石車の端面、すなわち、砥石の端面によって研削加工することがある。
このように砥石の端面によってワークの端面を研削加工する場合には、砥石車の径方向に、砥石の端面がワークの端面に広く接触するため、ワークと砥石との接触部分(以下、「研削作用部分」と称する)にクーラントが入り難く、また、研削作用部分からの切屑の捌けも悪くなる。よって、ワークに研削焼けが生じ易く、研削送り速度を速めることで研削能率の向上を図ることが困難であった。
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、ワークの端面を研削する場合であってもワークに研削焼けを生じ難くすることができ、研削能率の向上を容易に図ることのできる砥石車の提供を課題とする。
上記課題を解決するために本発明の採った主要な手段は、
「外周面を構成する第一砥石と、
該第一砥石の砥粒よりも粗い砥粒を用いて形成されると共に前記第一砥石の端面に設けられ、端面を構成する第二砥石と
を備えることを特徴とする砥石車」
である。
ここで、上記構成においては、第一砥石の端面に、この第一砥石とは別種の砥石として予め形成された第二砥石を、接着剤等を介して一体化してもよいが、これに限らない。例えば、第一砥石の端面に接着剤を介して砥粒を固着し、この固着された砥粒によって、第一砥石とは別種の第二砥石が形成されるようにしてもよい。また、第一砥石を形成するに際して端面に粗い砥粒を埋設しておき、この埋設された砥粒によって、第一砥石とは別種の第二砥石が形成されるようにしてもよい。
上記構成の砥石車では、粗い砥粒を用いて形成された第二砥石により端面が構成されるため、この端面の第二砥石によってワークの端面を研削加工するに際しては、砥粒が粗い分だけ、研削作用部分にクーラントが入り易く、また、研削作用部分からの切屑の捌けもよくなる。従って、上記構成の砥石車によれば、ワークの端面を研削する場合であってもワークに研削焼けを生じ難くすることができ、研削能率の向上を容易に図ることができる。
なお、クランクシャフト等のワークでは、外周面について、端面よりも高品質な表面粗さが要求されるのが一般的である。これに対して、上記構成の砥石車では、第二砥石の砥粒よりも細かい砥粒によって形成された第一砥石にて外周面が構成されている。よって、この外周面の第一砥石によりワークの外周面を研削加工することで、高品質の表面粗さの研削加工を実現することができる。
また、クランクシャフト等のワークでは、端面について、外周面よりも高品質な表面粗さは要求されないものの、外周面に対する高精度な垂直度が要求されることがある。ここで、研削作用部分にクーラントが良好に浸入しなかったり、研削作用部分から切屑が良好に排出されないと、ワークが加熱されて熱変形を生じ、端面の外周面に対する高精度な垂直度が得られなくなる。これに対して、上記構成の砥石車では、研削作用部分にクーラントが良好に浸入することからワークが良好に冷却される。また、研削作用部分から切屑が良好に排出されることからワークが余剰に加熱されることがない。よって、ワークに熱変形が生じ難く、端面の外周面に対する高精度な直角度を実現することができる。
上述した手段において、
「前記第二砥石は、単層の砥粒により構成されていることを特徴とする砥石車」
としてもよい。
ここで、「単層」とは、複数の砥粒が積み重ねられることなく平面状に散りばめられた状態を示すものである。なお、砥粒を平面状に散りばめる場合、隣接する砥粒が接触するように緻密状に散りばめてもよく、或いは、砥粒間に砥粒1個程度等の適宜の間隙が形成されるように散開状に散りばめてもよい。
上記構成の砥石車では、第二砥石が単層の砥粒により構成されているため、各砥粒において研削を行う部位である切刃先端の間、すなわち、各砥粒の頂点の間、に大きな隙間が形成される。よって、各砥粒の頂点の間に大きな隙間が形成される分だけ、より一層、研削作用部分にクーラントが入り易く、また、研削作用部分からの切屑の捌けもよくなる。
上述した手段において、
「前記第二砥石の最大径は、前記第一砥石の最大径よりも小寸であることを特徴とする砥石車」
としてもよい。
上記構成の砥石車では、砥粒の粗い第二砥石の最大径が、砥粒の細かい第一砥石の最大径よりも小寸であるため、プランジカットによってワークの外周面を研削加工する場合に、砥粒の粗い第二砥石による悪影響が及ぼされず、ワークの外周面を高品質な表面粗さで研削加工することができる。
上述した手段において、
「角部がR形状であり、前記第二砥石の厚さ寸法は、前記R形状の半径寸法よりも小さいことを特徴とする砥石車」
としてもよい。
上記構成の砥石車は、「前記第二砥石の最大径は、前記第一砥石の最大径よりも小寸であることを特徴とする砥石車」の構成をさらに特定したものであり、角部をR形状とするとこで、砥石車の角部に、ワークに当接しない逃がし部分を良好に形成したり、ワークの周面と端面との境界部分の隅部をR形状に加工することができる。
上述した手段において、
「前記第二砥石の最大径は、前記第一砥石の最大径と同寸であることを特徴とする砥石車」
としてもよい。
上記構成の砥石車では、砥粒の粗い第二砥石の最大径が、砥粒の細かい第一砥石の最大径と同寸であるため、トラバースカットによってワークの外周面を研削加工する場合に、砥粒の粗い第二砥石を先刃として荒研削した上で、砥粒の細かい第二砥石によって仕上げ研削をすることができ、効率よく研削加工することができる。
上述の通り、本発明によれば、ワークの端面を研削する場合であってもワークに研削焼けを生じ難くすることができ、研削能率の向上を容易に図ることのできる砥石車を提供することができる。
次に、本発明に係る砥石車の実施形態の一例を、図面に従って詳細に説明する。
図1に示すように、砥石車10は、鋼材等により円盤状に形成された基盤11と、この基盤11の周面に設けられた砥石20とを備え、全体が円盤状に形成され、外周面が砥石20によって構成された構造となっている。ここで、この砥石車10は、円筒研削盤等の研削盤に用いられるものである。具体的には、研削盤の砥石台の砥石軸に着脱自在に装着され、ワークの表面に研削加工を施すべく、回転駆動されるものである。また、この砥石車10は、例えばクランクシャフトのクランクジャーナルの外周面やクランクピンの外周面等、ワークの外周面を、隣接するワークの端面形状部分を含めて研削加工するものである。
ところで、砥石20は、基盤11の外周面に設けられ、砥石20全体の外周面を構成する第一砥石30と、この第一砥石30の端面に設けられ、砥石20全体の端面を構成する第二砥石40とを備えた構造となっている。なお、本例では、第一砥石30の両端面に第二砥石40が設けられているが、これに限らず、第一砥石30の一方の端面にのみ、第二砥石40を設けてもよい。
第一砥石30は、CBN(立方晶窒化ホウ素)によって形成された#80〜120の細かい砥粒と、ビトリファイドボンド等からなる結合剤と、砥粒間隔を調整するために砥粒よりも脆弱な材質により形成された充填材とから、適度な気孔を有する形態に形成されており、ワークの外周面に、要求される高品質な表面粗さの研削加工を施すことができるものである。
一方、第二砥石40は、第一砥石30の砥粒よりも粗い砥粒、具体的には、CBN(立方晶窒化ホウ素)によって形成された#60以下(#20〜60)の粗い砥粒を用いて形成されたものであり、ワークの外周面程は高品質な表面粗さが要求されないワークの端面に対して、適度な研削加工を施すことができるものである。
なお、端面の研削加工では、研削取代が0.2mm程度に設定されているのが一般的である。よって、平均粒径がこの研削取代よりも大寸である#60の砥粒(平均粒径0.25mm)を用いて第二砥石40を形成することで、切れ味がよく、効率に優れた研削加工、及び、砥石磨耗が低減し、砥石の耐磨耗性に優れた研削加工を実現することができる。
この第二砥石40の一例を図2(a)に示す。本例は、予め形成された第一砥石30の端面に、第一砥石30の砥粒よりも粗い砥粒41を、ビトリファイドボンド等を接着剤42として固着することで第二砥石40を形成した例である。なお、本例では、第二砥石40の砥粒41が単層となるように複数の砥粒41を平面状に散りばめているが、複数の砥粒41が積み重なるようにしてもよい。また、各砥粒41が接触するように緻密状に配設しているが、各砥粒41間に適宜の間隔が確保されるように散開状に配設してもよい。この場合、砥粒41よりも脆弱な充填材を砥粒41に混合して配設してもよい。
第二砥石40の別例を図2(b)に示す。本例は、砥粒と結合剤とを混合して成形し、焼成して第一砥石30を形成するに際して、成形時に、端面に、第一砥石30の砥粒よりも粗い砥粒41を埋設しておき、この粗い砥粒41と共に全体を焼成することで、第一砥石30を形成すると同時に、粗い砥粒41により構成されると共に第一砥石30の端面に設けられた第二砥石40を形成した例である。なお、本例では、第二砥石40の砥粒41が単層となるように複数の砥粒41を平面状に散りばめた状態で第一砥石30の端面に埋設しているが、複数の砥粒41が積み重なるようにしてもよい。また、各砥粒41を、各砥粒41間に適宜の間隔が確保されるように散開状に配設しているが、各砥粒41が接触するように緻密状に配設してもよい。ここで、各砥粒41を散開状に配設する場合には、砥粒よりも脆弱な充填材を砥粒41に混合して配設してもよい。
ところで、砥石20の角部については、適宜の形態を採用することができる。例えば、図3(a)に、第一砥石30の外周面に至る大きな面取りを施した例を示す。このような形態では、第二砥石40の最大径が第一砥石30の最大径よりも小寸となる(図3(a)における寸法A参照)。また、本例では、面取りがR形状となっており、第二砥石40の厚さ寸法が、面取りのR形状の半径寸法よりも小さな寸法となっている。これにより、プランジカットによりワークの外周面を研削加工する場合に、粗い砥粒により構成された第二砥石40が使用されず、外周面の研削加工に際して第二砥石40による悪影響が及ぼされない。
なお、本例では、R形状に面取りした例を示したが、C状やテーパ状の面取りを施してもよい。また、第二砥石40の最大径を第一砥石30の最大径よりも小寸とするためには、面取りに限らず、第二砥石40の外周面全体を第一砥石30の外周面よりも小径としてもよい。この場合には、第一砥石30と第二砥石40との接合部分は段差状となる。
また、図3(b)に、第一砥石30の外周面全体と第二砥石40の外周面全体とを面一とし、砥石20全体の角部を所謂「ピン角」とした例を示す。このような形態では、第二砥石40の最大径が第一砥石30の最大径と同寸となる。これにより、トラバースカットによりワークの外周面を研削加工する場合、第二砥石40を先刃として、第一砥石30よりも先行して、粗い砥粒により形成された第二砥石40による研削加工を行うことができる。よって、第二砥石40により荒研削を行った後に、第一砥石30により仕上げ研削を行うことができ、ワークの外周面の研削加工を効率よく行うことができる。
なお、本例では、第二砥石40の角部をピン角とした例を示したが、第一砥石30に至らない程度で、第二砥石40の角部に、R状、C状、テーパ状等、適宜形態の面取りを施してもよい。
以上、本発明に係る砥石車10の一例を説明したが、本発明に係る砥石車10はこれに限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
例えば、第一砥石30の端面に第二砥石40を設ける態様としては、上記の例に限らず、予め形成された第一砥石30の端面に、予め形成された第二砥石40を、接着剤等を介して一体化したものであってもよい。また、第二砥石40の端面形状を、砥石車10の内方に向かって後退するバックテーパを有する形状とすることで、研削作用部分にクーラントを、より一層、良好に浸入させ易くすることができ、また、研削作用部分から切屑を、より一層、良好に排出させることができる。
本発明に係る砥石車の一例を示す正面図である。 第二砥石を示す図面であり、(a)は、第二砥石の一例を示す要部断面図であり、(b)は、第二砥石の別例を示す要部断面図である。 砥石の角部の形態を示す図面であり、(a)は、角部の形態の一例を示す要部断面図であり、(b)は、角部の形態の別例を示す要部断面図である。 砥石車によってワークの端面を研削加工する状態を示す要部断面図である。
符号の説明
W ワーク
Wa 外周面
Wb 端面
10 砥石車
11 基盤
20 砥石
30 第一砥石
40 第二砥石
41 砥粒
42 接着剤

Claims (5)

  1. 外周面を構成する第一砥石と、
    該第一砥石の砥粒よりも粗い砥粒を用いて形成されると共に前記第一砥石の端面に設けられ、端面を構成する第二砥石と
    を備えることを特徴とする砥石車。
  2. 前記第二砥石は、単層の砥粒により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の砥石車。
  3. 前記第二砥石の最大径は、前記第一砥石の最大径よりも小寸であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の砥石車。
  4. 角部がR形状であり、前記第二砥石の厚さ寸法は、前記R形状の半径寸法よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の砥石車。
  5. 前記第二砥石の最大径は、前記第一砥石の最大径と同寸であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の砥石車。
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