JP5560192B2 - 吸水性樹脂の製造方法および通液性向上方法 - Google Patents
吸水性樹脂の製造方法および通液性向上方法 Download PDFInfo
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Description
(1)アクリル酸(塩)水溶液を重合して含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程と、前記含水ゲル状架橋重合体を乾燥して吸水性樹脂粉末を得る乾燥工程と、前記吸水性樹脂粉末を分級する分級工程と、前記分級工程の前または後に前記吸水性樹脂粉末を表面架橋する表面架橋工程と、を含む吸水性樹脂の製造方法であって、前記分級工程で除電することを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。
(2)前記除電がイオン化気流、除電ブラシ、および接地からなる群から選択される少なくとも一つによって行われる、(1)に記載の製造方法。
(3)接地抵抗値が100Ω以下を示す接地を用いて除電される、(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)前記分級工程が減圧状態で行われる、(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)前記分級工程に気流が通過され、前記気流の露点が15℃以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)前記分級工程において篩分級され、前記分級工程で用いられる篩の温度が40〜80℃である、(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)前記分級工程で少なくとも3種類の目開きの篩を用いる、(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)前記表面架橋工程後の吸水性樹脂の生理食塩水流れ誘導性(SFC)値が10(×10−7・cm3・s・g−1)以上である、(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)前記分級工程において篩分級され、前記分級工程で用いられる篩内面の表面粗さ(Rz)が800nm以下である、(1)〜(8)のいずれかに記載の製造方法。
(10)生産量が1時間あたり1トン以上の連続生産である、(1)〜(9)のいずれかに記載の製造方法。
(11)前記吸水性樹脂の形状が連続ニーダー重合または連続ベルト重合で得られる不定形粒子である、(1)〜(10)のいずれかに記載の製造方法。
(12)前記吸水性樹脂の含水率が5重量%以下である、(1)〜(11)のいずれかに記載の製造方法。
(13)前記分級工程後、さらに除鉄工程を含む、(1)〜(12)のいずれかに記載の製造方法。
(14)前記表面架橋工程の前および後に前記分級工程を行う、(1)〜(13)のいずれかに記載の製造方法。
(15)前記分級工程後の吸水性樹脂の微粉をリサイクルする工程をさらに含む、(1)〜(14)のいずれかに記載の製造方法。
(16)前記分級工程の前後が、露点20℃以下の空気輸送で連結される、(1)〜(15)のいずれかに記載の製造方法。
(17)前記除電は分級装置、吸水性樹脂、篩分級において使用される篩の少なくとも一つに対して行われる、(1)〜(16)のいずれかに記載の製造方法。
(18)前記重合工程から分級工程の前までは一系列であり、前記一系列に対して、前記分級工程が二系列以上である、(1)〜(17)のいずれかに記載の製造方法。
(19)前記重合工程一系列に対して、表面架橋工程が二系列以上である、(1)〜(18)のいずれかに記載の製造方法。
(20)前記重合工程一系列に対して、前記分級工程及び表面架橋工程のすべてが二系列以上である、(1)〜(19)のいずれかに記載の製造方法。
(21)前記表面架橋工程において、共有結合性表面架橋剤とイオン結合性表面架橋剤とが併用される、(1)〜(20)のいずれかに記載の製造方法。
(22)アクリル酸(塩)水溶液を重合して含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程と、前記含水ゲル状架橋重合体を乾燥して吸水性樹脂粉末を得る乾燥工程と、前記吸水性樹脂粉末を分級する工程と、前記分級工程の前または後に前記吸水性樹脂粉末を表面架橋する表面架橋工程と、を含み、前記分級工程で除電することを特徴とする吸水性樹脂の通液性向上方法。
(23)前記表面架橋工程で得られる吸水性樹脂のSFC値が10(×10−7・cm3・s・g−1)以上である、(21)に記載の通液性向上方法。
(a)「吸水性樹脂」
「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を意味し、以下の物性を有するものをいう。すなわち、無加圧下吸水倍率(CRC)が、必須に5g/g以上、好ましくは10〜100g/g、さらに好ましくは20〜80g/gであり、また、水可溶分(Extractables)が、必須に0〜50重量%、好ましくは0〜30重量%、さらに好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0〜10重量%である高分子ゲル化剤をいう。
「ポリアクリル酸(塩)」とは、繰り返し単位として、アクリル酸(塩)を主成分とする重合体を意味する。具体的には、架橋剤を除く単量体として、アクリル酸(塩)を、必須に50〜100モル%、好ましくは70〜100モル%、さらに好ましくは90〜100モル%、特に好ましくは実質100モル%含む重合体を意味する。重合体としての塩は、必須に水溶性塩を含み、好ましくは一価塩、より好ましくはアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、さらに好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリム塩を含む。なお、形状は特に問わないが、粒子または粉体が好ましい。
荷重下または無荷重下における膨潤ゲルの粒子間を流れる液の流れを「通液性」といい、この「通液性」の代表的な測定方法として、SFC(Saline Flow Conductivity;生理食塩水流れ誘導性)や、GBP(Gel Bed Permeability)がある。
「標準偏差」とは、データの散らばりの度合いを示す数値であり、n個からなるデータの値とその相加平均値との差、すなわち偏差の2乗を平均し、n−1で割った値の正の平方根をいう。変動に富む現象について、変動の度合いを知るために用いられる。なお、本明細書においては、目的とする所望の物性値に対する変動(振れ)を数値化するため、標準偏差を利用する。
「EDANA」は、European Disposables and Nonwovens Associationsの略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)の吸水性樹脂の測定法(ERT/EDANA Recomeded Test Method)の略称である。本明細書においては、特に断りのない限り、ERT原本(公知文献:2002年改定)に基づいて、吸水性樹脂の物性を測定する。
「CRC」とは、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、無加圧下吸水倍率(単に「吸水倍率」とも称することもある)を意味する。具体的には、0.9重量%食塩水に対する30分自由膨潤後さらに遠心分離機で水切りした後の吸水倍率(単位;g/g)である。
「AAP」とは、Absorption Against Pressureの略称であり、加圧下吸水倍率を意味する。具体的には、0.9重量%食塩水に対する1時間、1.9kPaでの荷重下膨潤後の吸水倍率(単位;g/g)である。なお、本発明および実施例では4.8kPaで測定した。
「Extractables」とは、水可溶分量(可溶分)を意味する。具体的には、0.9重量%食塩水200gに対して、吸水性樹脂1gを16時間攪拌した後、溶解したポリマー量をpH滴定で測定した値(単位;重量%)である。
「Residual Monomers」とは、吸水性樹脂中に残存しているモノマー量を意味する。具体的には、0.9重量%食塩水に吸水性樹脂0.5gを投入し2時間攪拌後、該水溶液に溶出したモノマー量を高速液体クロマトグラフィーで測定した値(単位;重量ppm)である。
「PSD」とは、Particle Size Disributionの略称であり、ふるい分級により測定される粒度分布を意味する。なお、重量平均粒子径および粒子径分布幅は、欧州公告特許第0349240号明細書7頁25〜43行に記載された「(1) Average Particle Diameter and Distribution of Particle Diameter」と同様の方法で測定する。
「pH」(ERT400.2−02):吸水性樹脂のpHを意味する。
「吸水性樹脂粉末」とは、粉体として一定の流動性を有する吸水性樹脂をいい、例えば、流動性として、Flow Rate(ERT450.2−02)が測定可能な状態、あるいは、PSD(ERT420.2−02)で篩分級可能な吸水性樹脂のことである。具体的には、篩分級で規定される粒子径5mm以下の吸水性樹脂を意味する。吸水性樹脂であれば含水率は問わないが、通常は30重量%未満が好ましく、さらには20重量%以下が好ましい。粒子径の下限は、特に制限されないが、例えば、1nm以上である。なお、一般的には、粒子径が1mm以上のものを「粒体」、1mm未満のものを「粉体」と呼ぶ場合もあるが、本明細書では、後述する乾燥工程で得られた乾燥物、後述する粉砕工程で得られた粉砕された乾燥物、後述する分級工程で得られた分級物を総称して「吸水性樹脂粉末」と称する。また、本明細書では、「粉体」および「粉末」は、同義語として扱う。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は、「X以上Y以下」であることを意味する。また、重量の単位である「t(トン)」は、「Metric ton(メトリック トン)」であることを意味する。
(1)重合工程
本工程は、アクリル酸(塩)水溶液を重合して含水ゲル状架橋重合体を得る工程である。
本発明に係る吸水性樹脂は、その原料(単量体)として、アクリル酸(塩)水溶液を使用する。該水溶液は、アクリル酸および/またはその塩を主成分として含む。また、重合により得られる含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」とも称する)は、吸水特性の観点から、重合体の酸基の少なくとも一部が中和されていることが好ましい。このようなアクリル酸の部分中和塩としては、特に制限されないが、吸水性樹脂の吸水性能の観点から、アクリル酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩から選ばれるアクリル酸の一価塩が好ましく、アクリル酸のアルカリ金属塩がより好ましく、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩から選ばれるアクリル酸塩がさらに好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
本発明では、吸水特性の観点から架橋剤(以下「内部架橋剤」と称することもある)を使用することが特に好ましい。内部架橋剤の使用量は、物性面から、架橋剤を除く上記単量体に対して、0.001〜5モル%が好ましく、0.005〜2モル%がより好ましく、0.01〜1モル%がさらに好ましく、0.03〜0.5モル%が特に好ましい。
本発明で使用される重合開始剤としては、重合の形態によって適宜選択される。このような重合開始剤としては、例えば、光分解型重合開始剤、熱分解型重合開始剤、レドックス系重合開始剤等を例示できる。重合開始剤の使用量は、前記単量体に対して、0.0001〜1モル%が好ましく、0.001〜0.5モル%がより好ましい。
本発明の実施形態に係る重合方法は、性能や重合制御の観点から、通常、水溶液重合または逆相懸濁重合で行われ、好ましくは水溶液重合で行われ、さらに好ましくは連続水溶液重合で行われる。従来、水溶液重合や連続水溶液重合で得られた吸水性樹脂は、その形状が不定形粒子となるため、通液性の向上が困難であったが、本発明においては、不定形粒子の場合にも通液性が優位に向上する。
上記重合工程で得られた含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル)は、そのまま乾燥を行っても良いが、重合時または重合後、必要により解砕機(ニーダー、ミートチョパー等)を用いてゲル解砕され粒子状にされる。すなわち、連続ベルト重合または連続ニーダー重合による重合工程と乾燥工程との間に、含水ゲルの細粒化(以下、「ゲル解砕」とも称する)工程をさらに含んでもよい。
上記重合工程で得られた含水ゲル状架橋重合体、またはゲル細粒化工程で得られた粒子状含水ゲルを、所望する樹脂固形分量まで乾燥することができれば、その方法について特に制限されないが、例えば、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー乾燥、疎水性有機溶媒との共沸による脱水乾燥、高温の水蒸気を用いた高湿乾燥等、種々の乾燥方法を採用することができる。これらの中でも、熱風乾燥が好ましく、露点温度が0〜100℃の気体による熱風乾燥がより好ましく、露点温度が20〜90℃の気体による熱風乾燥がさらに好ましい。
上記乾燥工程で得られた乾燥物を粉砕することができれば、その方法について特に制限されないが、例えば、ロールミル、ハンマーミル、ロールグラニュレーター、ジョーククラッシャー、ジャイレクトリークラッシャー、コーンクラッシャー、ロールクラッシャー、カッターミル等、従来から知られている粉砕機を使用することができる。これらの中でも、粒度制御の観点から、ロールミルまたはロールグラニュレーターを多段で使用することが特に好ましい。
本工程は、吸水性樹脂の物性を向上させるために、特定粒度(重量平均粒子径、粒子径分布等)に調整する工程である。なお、粒度は、本分級工程に限らず、重合工程(特に逆相懸濁重合)、粉砕工程、造粒工程、微粉回収工程等で適宜調整することもできる。以下、粒度は標準篩(JIS Z8801−1(2000))で規定される。
上記粉砕工程で得られた吸水性樹脂粉末は、後述する表面架橋工程の前または表面架橋工程の後に分級、特に好ましくは篩分級される。分級工程により、上記所望の粒度を有する分級物(吸水性樹脂粉末)が得られる。好ましくは、表面架橋工程の前および後に分級工程を行う。表面架橋工程前に分級工程を行うことで、最終製品の粒度を所望する範囲内に調整することができるため好ましく、また、表面架橋工程後に分級工程を行うことで、表面架橋剤混合時あるいは加熱処理時に発生する所望外の粒度を持つ凝集粒子や、これらの工程において、物理的、機械的破壊により発生する所望外の粒度を持つ微細な粒子を、表面架橋工程後に、分級除去、解砕することで、優れた性能を有する吸水性樹脂を製造することができるため好ましい。
本発明は、分級工程(好ましくは、篩分級工程)において、除電することを特徴とする。かかる除電を行うことで、表面架橋された吸水性樹脂の物性、特に通液性(例えばSFC)が向上する。このような効果は、実験室レベルの小スケールよりも、高通液性の吸水性樹脂の製造や工業的な連続生産、特にSFCが10(×10−7・cm3・s・g−1)以上の吸水性樹脂や、1トン/hr以上の連続生産を24時間以上続ける際に、顕著に発揮される。
本発明は、分級工程において除電することを必須とする。除電は、分級装置、吸水性樹脂、篩の少なくとも一つに対して行われるが、これらの3つは、分級工程で互いに接するため、いずれかを除電すればよく、分級装置および/または篩自体を除電することが好ましい。
(A)除電ブラシ:静電気が発生した篩面から除電
(B)イオン化気流(イオン発生ブラシ):高電圧を印加することでイオンを発生させ除電
(C)接地(アース):回転物、回転軸、回転体、装置に発生した静電気を除電
上記(A)の除電ブラシを使用する場合、除電ブラシと帯電物との間に少し隙間を作る自己放電法を採用してもよく、あるいは接地(アース)した除電ブラシを帯電物に接触させ、溜った静電気を漏洩電流として取り出し、除電する接地漏洩法を採用してもよい。このような除電ブラシの具体例としては、ステンレス繊維、カーボン繊維、アモルファス繊維、化学繊維、植物繊維、獣毛等で製造されたものが好ましく、その線径は、通常1〜100μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。また、その線長は、通常1〜100mmが好ましく、ステンレス極細加工がより好ましい。
接地抵抗とは、接地のために土壌に埋設したアース電極から大地に流れる電流に対する抵抗値のことを示す。測定方法としては、市販されている接地抵抗計を用いて測定すればよい。接地抵抗値の好ましい範囲としては、好ましくは100Ω以下、より好ましくは10Ω以下、さらに好ましくは5Ω以下である。接地抵抗値の下限は特に制限されず、小さいほど好ましいが、通常1Ω以上である。
(分級網)
本発明では分級網を使用して吸水性樹脂粉末を分級することが好ましい。分級網は、例えば、JIS、ASTM、TYLER等の各種標準篩が例示できる。これら篩は板篩でもよく、網篩でもよい。網篩の形状はJIS Z8801−1(2000)等を参照して適宜選択される。標準篩の目開きは好ましくは10μm〜100mm、さらに好ましくは20μm〜10mmの範囲で、1種または2種以上の篩、特に金属篩が使用されることが好ましい。
本発明に用いられる分級装置は、ふるい網面を有するものであれば特に限定されず、例えば、バイブレーティングスクリーンやシフタに分類されるものが挙げられる。バイブレーティングスクリーンには、傾斜形、ローヘッド(Low−head)形、ハムマー(Hum−mer)、レーブン(Rhewum)、タイロック(Ty−Rock)、ジャイレックス(Gyrex)、および楕円振動(Eliptex)等があり、シフタにはレシプロ(Reciprocating)形、Exolon−grader、Traversator−sieb、Sauer−meyer、ジャイレトリーシフタ(Gyratory)、ジャイロシフタ、およびローテックススクリーン(Ro−tex)等がある。これらは、網面の運動形状(円、楕円、直線、円弧、擬似楕円、スパイラル、螺旋状)、振動方式(自由振動、強制振動)、駆動方法(偏心軸、不平衡重錘、電磁石、インパクト)、網面の傾斜(水平式、傾斜式)、設置方法(床置式、吊り下げ式)等によって細分類されている。
本発明による分級方法に適した篩分け装置は、何ら制限されることはないが、好ましくは、平面分級方法を使用するものが好ましく、特に好ましくはタンブル形篩分け装置である。この篩分け装置は、分級をサポートするために典型的には振動させる。振動は、好ましくは、分級すべき製品が篩い上にスパイラル状(螺旋状)に導かれる程度におこなう。これらの強制的なバイブレーションは、典型的には10〜100mm、好ましくは25〜40mmの偏心量で、かつ、60〜600rpm、好ましくは100〜400rpmの回転数を有する。
本発明では分級装置の篩が吸水性樹脂粉末のガイドを有することも好ましい。かかるガイドの設置でより効率的な分級が可能となる。かかるガイド装置は吸水性樹脂粉末を篩中心部に誘導するなどの働きをしており、その長さは直径の5〜40%程度に決定される。
篩装置の材質は特に制限されず、樹脂製、金属製など適宜選択される。ただし、特開平11−156299号に例示の樹脂コートされた篩に比べて、好ましくは、吸水性樹脂との接触面を含めて金属性篩であり、特に好ましくはステンレス製篩である。この場合、より本発明の効果を発揮する。ステンレス鋼が鏡面仕上げされることにより、物性が更に高まる。ステンレス鋼としては、SUS304、SUS316、SUS316L等が挙げられる。
本発明の製造方法では、吸水性樹脂の物性向上および安定化の観点から、前記重合工程が連続ベルト重合または連続ニーダー重合で行われ、かつ、該重合工程一系列に対して、複数の分級工程が並列で行われることが好ましい。ここで、本発明における「一系列」とは、原料(単量体)から含水ゲル状架橋重合体、吸水性樹脂粉末、吸水性樹脂へと、最終製品が得られるまでに、工程を経るごとに進んでいく一つの系を意味する。その系が二つに分岐する場合を「二系列」という。したがって、「二系列以上」とは、同一工程内において、二基以上の装置が並列に配置され、それらが同時にあるいは交互に、稼動させる形態を指す。
本発明において、分級工程や表面架橋工程等の工程を二系列以上とする場合、含水ゲル状架橋重合体またはその乾燥物などの吸水性樹脂粉末は下記の方法で分割することが好ましい。
(加熱温度)
本発明は除電に加えて、好ましくは、分級装置を加熱した状態および/または保温した状態で用いる。
表面架橋後の物性を向上させるため、分級工程は減圧状態で行われることが好ましい。なお、「減圧状態」とは、大気圧よりも気圧が低い状態を意味し、正(プラス)の値として、「減圧度」として表現される。つまり、大気圧が標準大気圧(101.3kPa)である場合、「減圧度が10kPa」とは、気圧が91.3kPaであることを指す。
分級工程では、好ましくは吸水性樹脂粉末上に、ガス流、特に好ましくは空気を通過させる。このガス量は、篩い面積1m2当たり、典型的には0.1〜10m3/h、好ましくは0.5〜5m3/h、特に好ましくは1〜3m3/hであり、その際、ガス体積は、標準的な条件下(例えば、25℃および1barの条件下)で測定する。特に好ましくは、ガス流を、篩分け装置に装入する前に、典型的には40℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは65℃以上、特に好ましくは70℃以上に加熱する。ガス流の温度は、通常は120℃以下、好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは90℃以下、特に好ましくは80℃以下である。
分級工程を行う雰囲気(空気)露点は好ましくは20℃以下、より好ましくは15℃以下、さらに好ましくは10℃以下、特に好ましくは0℃以下である。露点の下限値は特に制限されないが、コストパーフォマンスを考え、好ましくは−5℃程度である。
本発明の効果をより発揮できる表面架橋前の吸水性樹脂粉末は、無加圧下吸水倍率(CRC)が好ましくは20〜100g/g、より好ましくは25〜50g/g、さらに好ましくは27〜45g/gであり、固形分(言い換えれば、100−含水率)が好ましくは85〜99.9重量%、より好ましくは90〜99.9重量%、さらに好ましくは95〜99.9重量%の範囲である。該固形分が上記範囲を外れると、物性が低下することがある。
本工程は、上記工程(乾燥工程、粉砕工程または分級工程)で得られた吸水性樹脂粉末を表面架橋する工程である。本明細書において、「表面架橋」とは、吸水性樹脂粉末の表面または表面近傍を架橋することをいう。なお、「表面または表面近傍」とは、通常、厚み数10μm以下の表層部分、または全体の厚みの1/10以下の表層部分を意味するが、これらの厚みは目的に応じて適宜決定される。本発明の製造方法では、表面架橋により通液性や加圧下吸水倍率が向上する。
本発明で用いることのできる表面架橋剤としては、種々の有機または無機表面架橋剤を例示できるが、有機表面架橋剤が好ましく使用できる。該有機表面架橋剤として、例えば、モノ,ジ,トリ,またはテトラ−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ソルビトール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルやグリシドール等のエポキシ化合物;多価アミン化合物またはそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物;(モノ、ジ、またはポリ)オキサゾリジノン化合物;エチレンカボネート等のアルキレンカーボネート化合物;オキセタン化合物;2−イミダゾリジノンのような環状尿素化合物等が挙げられる。これらの中でも、高温での反応が必要な、多価アルコール化合物、アルキレンカーボネート化合物、オキサゾリジノン化合物からなる脱水エステル化反応性表面架橋剤が特に好ましく使用できる。上記有機表面架橋剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
上記表面架橋剤の使用時に、好ましくは水が使用される。該水の使用量としては、特に制限されないが、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、0.5〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
本工程において、上記表面架橋剤溶液を吸水性樹脂粉末へ混合する際、本発明の効果を妨げない範囲で、水不溶性微粒子粉体や界面活性剤を共存させてもよい。用いられる水不溶性微粒子粉体や界面活性剤の種類やその使用量は、特に制限されず、国際公開第2005/075070号パンフレットに例示されている範囲を適用することができる。なお、上記「本発明の効果を妨げない範囲」とは、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、さらに好ましくは1重量部以下である範囲内をいう。
上記表面架橋剤を吸水性樹脂粉末と混合した後、該混合物は、好ましくは加熱処理され、必要により、その後冷却処理される。上記加熱処理時の加熱温度は、表面架橋反応が進行する温度であれば、特に制限されないが、70〜300℃が好ましく、120〜250℃がより好ましく、150〜250℃がさらに好ましい。また、加熱時間は、1分〜2時間の範囲内が好ましい。加熱処理において、通常の乾燥機または加熱炉を使用することができ、具体的にはパドルドライヤーや流動床等、公知の加熱処理装置を使用することが好ましく、特に連続加熱処理装置を使用することが好ましい。本発明は、従来、物性の安定化が困難であった高温加熱や空気(熱風)での乾燥を行った場合であっても、安定した高物性の吸水性樹脂を提供することができる。加熱処理後の吸水性樹脂粉末は、表面架橋反応を停止するため、必要により冷却処理をすればよい。
本発明においては、表面架橋剤を使用せずに表面架橋を行うこともできる。例えば、ラジカル重合開始剤による表面架橋(例えば、米国特許第4783510号)、活性エネルギー線による表面架橋(欧州特許公開第1506788号)、表面での重合による表面架橋(例えば、米国特許第7201941号)等も本発明に適用できる。
上記表面架橋工程を通過した後の吸水性樹脂を、本発明の上記分級がなされることが好ましい。すなわち、本発明の課題解決のために、表面架橋工程の前および表面架橋工程の後に、上記分級工程を第1分級工程(分級工程1)および第2分級工程(分級工程2)として行うことが好ましい。また、表面架橋工程で凝集物が生成する場合、分級工程前または分級工程後に凝集物の破砕処理を行ってもよい。
本工程は、分級工程等で除去された微粉(例えば、150μm未満の粒子を主成分とし、特に好ましくは150μm未満の粒子を70重量%以上含む微粉)を吸水性樹脂の製造工程に戻す工程であり、好ましくは、重合工程ないし乾燥工程にリサイクルされることで、微粉の除去および再利用が可能である。該リサイクル工程は、上記微粉をそのままの状態で製造工程に戻してもよく、また、造粒工程において、造粒してから製造工程に戻してもよい。リサイクル方法としては、重合機、好ましくは、ニーダー等の攪拌重合機に微粉を混合して一体化したり、重合後に重合ゲルと微粉またはその造粒物とを別途混合、例えば、ミートチョッパーで(解砕)混合したり、乾燥機中で混合したりすればよい。好ましい微粉リサイクル方法は、例えば、米国特許第6133193号、同第6228930号、同第5455284号、同第5342899号、米国特許出願公開第2008/0306209号等に例示されている。重合工程、ゲル粉砕工程、乾燥工程など、吸水性樹脂の製造工程に微粉を添加することで微粉量は低減される。また、微粉のリサイクル量は、特に限定されないが、例えば、製造量の1〜30重量%が好ましく、5〜25重量%がより好ましく、8〜20重量%がさらに好ましい。また、微粉は、乾燥粉末のまま、あるいは、必要により水を添加してゲル化して製造工程にリサイクルされ、特に、単量体および/または(乾燥前や重合中の)ゲルにリサイクルされる。リサイクルにより、吸水性樹脂の廃棄量を低減しうる。
本発明では、上記除電ブラシを使用する場合など、金属線が混入する場合あり、分級工程後に、好ましくは除鉄工程、より好ましくは磁石を用いた除鉄工程を含む。除鉄工程を行うことにより、吸水性樹脂粉末中に存在する金属成分を除去することができる。除鉄には永久磁石を用いればよく、連続的に流れる吸水性樹脂粉末を磁石間に通過させて、篩やブラシなどに由来する金属を除去すればよい。
分級工程の前後、特に好ましくは分級工程と表面架橋工程との間における吸水性樹脂の輸送方法は、各種使用できるが、好ましくは空気輸送が使用される。該空気輸送は、吸水性樹脂の優れた物性が、安定的に保持されるという観点から、乾燥空気を用いるのが好ましい。該乾燥空気の露点の上限は、通常20℃以下であり、好ましくは−5℃以下であり、より好ましくは−10℃以下であり、さらに好ましくは−12℃以下であり、特に好ましくは−15℃以下である。また、露点の下限は、通常−100℃以上であり、好ましくは−70℃以上であり、−50℃程度で十分である。さらに、該乾燥気体の温度は、10〜40℃が好ましく、15〜35℃がより好ましい。上記空気輸送配管の内面の表面粗さ(Rz)は、上記篩装置の内面の表面粗さ(Rz)と同様の範囲を有する。
(a)生産量
下記した物性低下等の問題は、工業的スケールの生産において顕在化しやすい。本発明の製造方法は巨大スケールの製造において好適に制御できる。この観点から、本発明では、1ラインあたり吸水性樹脂の生産量が1トン/hr以上であるのが好ましい。なお、1ラインとは上記吸水性樹脂の一連の製造工程をさし、工程が分岐する場合は表面架橋工程(1装置)での処理量で規定する。また、(トン/hr)は、1時間あたりの輸送量(Metric ton;t;トン)を意味する。1ラインあたり吸水性樹脂の生産量は、より好ましくは1.5トン/hr以上、さらに好ましくは2トン/hr以上、特に好ましくは3トン/hr以上である。なお、生産量の上限については特に制限されず、例えば、10トン/hr等、適宜決定することができる。
(1)吸水性樹脂の物性
本発明の製造方法では、特に吸水性樹脂の少なくとも3つ以上の物性が制御される場合に好適に適用される。各物性の制御は、好ましくは4つ以上、5つ以上、6つ以上、という多機能化および高物性化された吸水性樹脂の製造方法で好適にその効果が発揮される。制御される物性としては、下記に記載した、(a)加圧下吸水倍率(AAP)、(b)通液性(SFC)、(c)無加圧下吸水倍率(CRC)、(d)水可溶分量(Extractables)、(e)残存モノマー(Residual Monomers)、(f)初期着色、(g)含水率(Moisture Content)に加え、自由膨潤倍率(FSC)、粒子径(Particle Size Disribution)、pH、流下速度(Flow Rate)、嵩比重(Density)、Respirable Particles、Dustなどであり、こられを高度に制御する製造方法で好適に適用できる。制御される物性やその測定方は適宜決定されるが、上記のEDANA測定法などでは下記に範囲の吸水性樹脂の製造に適用できる。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、おむつでのモレを防止するため、上記重合を達成手段の一例として、1.9kPaの加圧下さらには4.8kPaの加圧下での0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液に対する吸水倍率(AAP)が、好ましくは20(g/g)以上、よりに好ましくは22(g/g)以上、さらに好ましくは23(g/g)以上に制御される。加圧下吸水倍率(AAP)の上限値は、特に制限されず高いほど好ましいが、他の物性やコストとのバランスから、AAPの上限は1.9kPaの加圧下では40(g/g)、4.8kPaの加圧下では30(g/g)、さらには28(g/g)程度である。本明細書において、特に記載のない場合、AAPはERT442.2−02での4.8kPaの加圧下での値を示す。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、おむつでのモレを防止するため、上記重合を達成手段の一例として、加圧下での液の通液特性である0.69%生理食塩水流れ誘導性(SFC)は1(×10−7・cm3・s・g−1)以上、好ましくは10(×10−7・cm3・s・g−1)以上、より好ましくは50(×10−7・cm3・s・g−1)以上、さらに好ましくは70(×10−7・cm3・s・g−1)以上、特に好ましくは100(×10−7・cm3・s・g−1)以上に制御される。SFCの上限は、高いほど好ましいため、特に限定されないが、一般的に、1000(×10−7・cm3・s・g−1)以下、より好ましくは500(×10−7・cm3・s・g−1)以下である。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、無加圧下吸水倍率(CRC)は好ましくは10(g/g)以上であり、より好ましくは20(g/g)以上、さらに好ましくは25(g/g)以上、特に好ましくは27(g/g)以上に制御される。CRCは高いほど好ましく上限値は特に限定されないが、他の物性のバランスから、好ましくは50(g/g)以下、より好ましくは45(g/g)以下、さらに好ましくは40(g/g)以下である。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、水可溶分量が好ましくは0〜35重量%以下、より好ましくは25重量%以下であり、さらに好ましくは15重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、上記重合を達成手段の一例として、残存モノマー(残存単量体)量が好ましくは0〜700重量ppm、より好ましくは0〜600重量ppm、特に好ましくは0〜500重量ppmである。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、初期着色に優れ、例えば、ハンターLab表面色系において、L値(Lightness)が好ましくは85以上、より好ましくは87以上、さらに好ましくは89以上であり、b値が好ましくは−5〜10、より好ましくは−5〜5、さらに好ましくは−4〜4であり、a値が好ましくは−2〜2、より好ましくは−1〜1、さらに好ましくは−0.5〜1、最も好ましくは0〜1である。YI(黄色度)は、好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下、特に好ましくは6以下であり、WB(ホワイトバランス)は、好ましくは70以上、さらに好ましくは75以上、特に好ましくは77以上である。さらに、かかる吸水性樹脂は、経時着色にも優れ、長期保存の促進試験(モデル)である高温高湿でも十分な白色度を示す。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂の含水率は、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。特に、表面架橋工程後に分級工程を行う場合、本発明の分級方法は、かかる低含水率の吸水性樹脂に対してより顕著に効果を発揮するので好ましい。含水率の下限は特に制限されないが、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上である。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、経時着色の観点から、キレート剤、還元性無機塩、およびヒドロキシカルボン酸からなる群から選ばれる添加剤をさらに含む。キレート剤である酢酸およびプロピオン酸は抗菌性の点から好ましい。好ましい含有量は上記範囲である。
本発明の吸水性樹脂の用途は、特に限定されないが、好ましくは、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パット等の吸収性物品に使用され得る。特に、従来、吸水性樹脂の原料由来の臭気、着色等が問題になっていた高濃度オムツ(1枚のオムツに多量の吸水性樹脂を使用したもの)に使用された場合、特に前記吸収性物品中の吸収体上層部に使用された場合に、特に優れた性能が発揮される。
重合工程(ベルト上での静置重合)、ゲル細粒化(解砕)工程、乾燥工程、粉砕工程、分級工程(分級工程1)、表面架橋工程(表面架橋剤の噴霧工程、加熱工程)、冷却工程、整粒工程(分級工程2)、各工程間の輸送工程、がそれぞれ連結され、各工程を連続して行うことができる吸水性樹脂の連続製造装置(1時間当たり約1500kgの生産能力)を用いて吸水性樹脂を連続製造した。
重合工程(ベルト上での静置重合)、ゲル細粒化(解砕)工程、乾燥工程、粉砕工程、分級工程(分級工程1)、表面架橋工程(表面架橋剤の噴霧工程、加熱工程)、冷却工程、整粒工程(分級工程2)、各工程間の輸送工程、がそれぞれ連結され、各工程を連続して行うことができる吸水性樹脂の連続製造装置(1時間当たり約1500kgの生産能力)を用いて粒子状吸水性樹脂を連続製造した。
重合工程(ベルト上での静置重合)、ゲル細粒化(解砕)工程、乾燥工程、粉砕工程、分級工程(分級工程1)、表面架橋工程(表面架橋剤の噴霧工程、加熱工程)、冷却工程、整粒工程(分級工程2)、各工程間の輸送工程、がそれぞれ連結され、各工程を連続して行うことができる吸水性樹脂の連続製造装置(1時間当たり約1500kgの生産能力)を用いて吸水性樹脂を連続製造した。
重合工程(ベルト上での静置重合)、ゲル細粒化(解砕)工程、乾燥工程、粉砕工程、分級工程(分級工程1)、表面架橋工程(表面架橋剤の噴霧工程、加熱工程)、冷却工程、整粒工程(分級工程2)、各工程間の輸送工程、がそれぞれ連結され、各工程を連続して行うことができる吸水性樹脂の連続製造装置(1時間当たり約3000kgの生産能力)を用いて吸水性樹脂を連続製造した。具体的には、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(平均n数(平均重合度)9)を0.06モル%(対単量体)含む75モル%が中和されたアクリル酸部分ナトリウム塩水溶液(濃度38重量%)を、単量体水溶液(1)として、得られた単量体水溶液(1)を定量ポンプで連続フィードを行い、輸送管の途中で窒素ガスを連続的に吹き込み、酸素濃度を0.5ppm以下にした。
実施例1で得られた吸水性樹脂(A)を、内面の表面粗さ(Rz)200nmの配管内に圧縮空気(露点−15℃、温度35℃)を通すことで、該吸水性樹脂を空気輸送して包装した。空気輸送後、吸水性樹脂(A)のSFCは平均値で33.4(×10−7・cm3・s・g−1)であり、SFC低下率は平均で1.8%であった。
露点20℃の圧縮空気を使用した以外は、実施例4と同様の空気輸送を行った。該空気輸送後のSFCは平均値で32.3(×10−7・cm3・s・g−1)であり、SFC低下率は平均で5.0%であった。
以上、実施例1(分級工程で除電あり)と比較例1(分級工程で除電なし)との対比から、本発明の製造方法によって、加圧下吸水倍率(AAP)の平均値が0.5(g/g)向上し、通液性(SFC)の平均値が5(×10−7・cm3・s・g−1)向上することが分かる。また、実施例1〜3と比較例1の対比から、本発明の製造方法ではCRCおよびAAPの物性のフレである標準偏差が約40%小さくなり安定的な連続製造を可能にすることが確認された。特に、AAPおよびCRCの物性の標準偏差(σ)の4倍値はこれらの物性の平均値(相加平均)の4.5%以下であった。さらに、SFCの標準偏差(σ)の4倍値はSFCの平均値(相加平均)の40%以下であった。これらのことから、本発明の製造方法を使用すると物性のフレがなく、安定したおむつを提供できることが確認された。さらに、実施例1と実施例3との対比から、重合1系列に対して分級工程や表面架橋工程を2系列とすることで、さらに加圧下吸水倍率(AAP)や通液性(SFC)が向上することが分かる。
Claims (23)
- アクリル酸(塩)水溶液を重合して含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程と、
前記含水ゲル状架橋重合体を乾燥して吸水性樹脂粉末を得る乾燥工程と、
前記吸水性樹脂粉末を分級する分級工程と、
前記分級工程の前または後に前記吸水性樹脂粉末を表面架橋する表面架橋工程と、
を含む吸水性樹脂の製造方法であって、
前記分級工程で除電することを含み、
前記除電が、接地抵抗値が100Ω以下を示す接地によって行われることを特徴とする、吸水性樹脂の製造方法。 - 前記除電が、接地抵抗値が10Ω以下を示す接地を用いて行われる、請求項1に記載の製造方法。
- 前記分級工程が減圧状態で行われる、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記分級工程に気流が通過され、前記気流の露点が15℃以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記分級工程において篩分級され、
前記分級工程で用いられる篩の温度が40〜80℃である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。 - 前記分級工程で少なくとも3種類の目開きの篩を用いる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記表面架橋工程後の吸水性樹脂の生理食塩水流れ誘導性(SFC)値が10(×10−7・cm3・s・g−1)以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記分級工程において篩分級され、
前記分級工程で用いられる篩内面の表面粗さ(Rz)が800nm以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。 - 生産量が1時間あたり1トン以上の連続生産である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記吸水性樹脂の形状が連続ニーダー重合または連続ベルト重合で得られる不定形粒子である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記吸水性樹脂の含水率が5重量%以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記分級工程後、さらに除鉄工程を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記表面架橋工程の前および後に前記分級工程を行う、請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記分級工程後の吸水性樹脂の微粉をリサイクルする工程をさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記分級工程の前後が、露点20℃以下の空気輸送で連結される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記除電は分級装置、吸水性樹脂、篩分級において使用される篩の少なくとも一つに対して行われる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記重合工程から分級工程の前までは一系列であり、前記一系列に対して、前記分級工程が二系列以上である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記重合工程一系列に対して、表面架橋工程が二系列以上である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記重合工程一系列に対して、前記分級工程及び表面架橋工程のすべてが二系列以上である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記表面架橋工程において、共有結合性表面架橋剤とイオン結合性表面架橋剤とを併用する、請求項1〜19のいずれか1項に記載の製造方法。
- アクリル酸(塩)水溶液を重合して含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程と、
前記含水ゲル状架橋重合体を乾燥して吸水性樹脂粉末を得る乾燥工程と、
前記吸水性樹脂粉末を分級する工程と、
前記分級工程の前または後に前記吸水性樹脂粉末を表面架橋する表面架橋工程と、
を含み、
前記分級工程で除電することを含み、
前記除電が、接地抵抗値が100Ω以下を示す接地によって行われることを特徴とする、吸水性樹脂の通液性向上方法。 - 前記除電が、接地抵抗値が10Ω以下を示す接地を用いて行われる、請求項21に記載の通液性向上方法。
- 前記表面架橋工程で得られる吸水性樹脂の生理食塩水流れ誘導性(SFC)値が10(×10−7・cm3・s・g−1)以上である、請求項21または22に記載の通液性向上方法。
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