JP5587409B2 - 粒子状吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents

粒子状吸水性樹脂の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5587409B2
JP5587409B2 JP2012519419A JP2012519419A JP5587409B2 JP 5587409 B2 JP5587409 B2 JP 5587409B2 JP 2012519419 A JP2012519419 A JP 2012519419A JP 2012519419 A JP2012519419 A JP 2012519419A JP 5587409 B2 JP5587409 B2 JP 5587409B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
drying
absorbent resin
gas stream
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012519419A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2011155540A1 (ja
Inventor
智嗣 松本
修二 神▲崎▼
一正 小西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2012519419A priority Critical patent/JP5587409B2/ja
Publication of JPWO2011155540A1 publication Critical patent/JPWO2011155540A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5587409B2 publication Critical patent/JP5587409B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J3/00Processes of treating or compounding macromolecular substances
    • C08J3/12Powdering or granulating
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F222/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a carboxyl radical and containing at least one other carboxyl radical in the molecule; Salts, anhydrides, esters, amides, imides, or nitriles thereof
    • C08F222/10Esters
    • C08F222/1006Esters of polyhydric alcohols or polyhydric phenols
    • C08F222/102Esters of polyhydric alcohols or polyhydric phenols of dialcohols, e.g. ethylene glycol di(meth)acrylate or 1,4-butanediol dimethacrylate
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J2300/00Characterised by the use of unspecified polymers
    • C08J2300/14Water soluble or water swellable polymers, e.g. aqueous gels
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J2333/00Characterised by the use of homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical, or of salts, anhydrides, esters, amides, imides, or nitriles thereof; Derivatives of such polymers
    • C08J2333/02Homopolymers or copolymers of acids; Metal or ammonium salts thereof

Description

本発明は、粒子状吸水性樹脂の製造方法に関するものである。更に詳しくは、吸水性能を低下させることなく、安価で、着色異物の混入を低減することができる、粒子状吸水性樹脂の製造方法に関する。特に、乾燥工程において均一な乾燥を迅速に行うことができる粒子状吸水性樹脂の製造方法に関する。
吸水性樹脂は、自重の数倍から数百倍という多量の水性液を吸収する性質から紙オムツや生理用ナプキン、成人用失禁製品等の衛生材料、土壌用保水剤等の各種用途に幅広く利用され、大量に生産及び消費されている。このような吸水性樹脂(高吸水性樹脂、吸水性ポリマーとも呼ばれる)は、例えば、日本工業規格(JIS)K7223−1996に記載されており、又、市販の多くの参考図書でも紹介されている。
吸水性樹脂は一般的に、親水性不飽和単量体を重合することにより重合ゲルを得て、これを乾燥して粉末状態として提供される。上記親水性不飽和単量体としては、アクリル酸(塩)、特に部分中和されたアクリル酸ナトリウムが用いられる。単量体を重合した重合ゲルは、塊状又は重合ゲル粒子の凝集体として得られることが多く、通常、固形分濃度95重量%程度まで乾燥された後、所望の大きさの粒子まで粉砕、分級される。こうして得られた吸水性樹脂は、好ましくは表面架橋工程を経て、加圧下吸水倍率や通液性に優れた吸水性樹脂となる。表面架橋工程とは、具体的には単量体又は架橋剤を吸水性樹脂に添加し、光や熱により反応させることにより、吸水性樹脂の表面近傍に架橋密度の高い層を形成する工程である。
衛生材料として吸水性樹脂を用いる場合、清潔なイメージから吸水性樹脂の色調は白色が好まれる。特に近年は、吸水性樹脂の量が多くパルプが少ない紙オムツ等の吸収体は、吸水性樹脂の色が目立つために、より白色に近い吸水性樹脂が求められている。しかしながら種々の原因により、生産直後の吸水性樹脂の色調(初期色調)が黄ばんだり、高温多湿条件での吸水性樹脂の保管により着色(黄色、更には茶色への着色)が進行する現象(経時着色)が起きたりする。
この問題に対し、これまで様々な解決手段が提供されてきた。例えば、重合禁止剤に着目した吸水性樹脂の着色防止技術として特許文献1〜7が提案されている。即ち、単量体には望まない重合が起きないよう重合禁止剤、例えば、メトキシフェノール類が加えられているが、特許文献1ではメトキシフェノール類を特定の濃度にして重合させることにより着色が低減された吸水性樹脂の製造方法が開示されている。又、特許文献1、2では、メトキシフェノール類を減らすために活性炭を用いることが開示されている。更に、特許文献3では、メトキシフェノール類の代わりにN−オキシル化合物やマンガン化合物を用いることにより着色を低減している。特許文献4では、重合禁止剤としてトコフェロール類を使用する技術が提案されている。特許文献5では、重合禁止剤としてヒンダード(メトキシ)フェノール類を使用する技術が提案されている。特許文献6では、重合禁止剤として、アクリル酸中の残存重合禁止剤であるハイドロキノンを0.2ppm以下に低減する技術が提案されている。
別の着色防止方法として、重合開始剤に着目した吸水性樹脂の着色防止技術として、特許文献7では、過硫酸塩のような酸化剤は、重合開始剤として用いられるが、メトキシフェノール類と作用して経時着色を生じることを開示した上で、着色しない開始剤系が提案され、又、特許文献8では、重合に特定還元剤を使用する着色防止技術が提案されている。
さらに、吸水性樹脂の着色防止剤も特許文献9〜18等種々提案され、具体的に、特許文献9〜11では金属キレート剤の添加、特許文献12では有機酸の添加、特許文献13ではα−ヒドロキシカルボン酸の添加、特許文献14、15では表面架橋での多価金属有機酸塩を添加、特許文献16〜18では亜硫酸塩や次亜リン酸塩等の還元剤の添加、特許文献19では吸水性樹脂に酸化防止剤を添加する着色防止技術が提案されている。又、吸水性樹脂の着色防止剤の併用技術として、特許文献20では吸水性樹脂に有機酸及び還元剤の添加、特許文献21では吸水性樹脂にキレート剤及びリン化合物の添加、特許文献22では還元剤及び酸化防止剤の添加、特許文献23では吸水性樹脂にキレート剤及び還元剤の添加がそれぞれ提案されている。
さらに、着色の原因に着目した技術として、酸素に着目して特許文献24では酸素分圧を減少させた状態で乾燥や表面架橋することが示され、また、特許文献25、26では、吸水性樹脂の原料である苛性ソーダや多価金属中のFe量に注目した技術も提案させている。
しかしながら、上記特許文献1〜26等の技術は着色を低減できるものの、工程を増やし、添加する物質が増えるため、コストがかかる技術である。更に着色を抑えるために添加する物質を増やそうとすると、少なくとも添加量に比例して、或いはそれ以上に吸水能力が減少するという問題点もあった。
一方、乾燥工程以降に焦げた吸水性樹脂等有機物の着色異物(通常、約0.1〜1mmの着色粒子)が存在すること、更には金属異物と違って着色した吸水性樹脂は磁石では除去できないため、これを色調により選択、除去する方法が特許文献27に記載されている。しかし、着色異物の検出、除去装置の導入コストの問題や、吸水性樹脂の生産量が大きいと、着色異物の検出漏れや異物とともに、正常の白色の吸水性樹脂も除去されてしまうことによるロスが大きいという問題があった。
又、従来の吸水性樹脂の乾燥技術として、通気バンド式乾燥機を用いる方法が特許文献28〜32や非特許文献1に開示されている。更に、流動層で流動乾燥する方法において、サイクロンを使用する技術が特許文献33に開示されているが、これら特許文献28〜33には本願発明の課題及び効果の開示や示唆はなく、通気バンド式乾燥機における熱風のフィルター通過又は吸水性樹脂粒子若しくはその含水ゲルの除去についても開示や示唆がない。
国際公開第2003/051940号パンフレット 米国特許出願公開第2006/0089512号明細書 米国特許出願公開第2010/0009846号明細書 国際公開第2005/54356号パンフレット 米国特許出願公開第2005/0013865号明細書 米国特許第6444744号明細書 国際公開第2004/085496号パンフレット 国際公開第2004/084962号パンフレット 日本国特開2003−206381号公報 日本国特開平5−086251号公報 米国特許出願公開第2011/0046279号明細書 日本国特開2000−327926号公報 米国特許出願公開第2009/0312183号明細書 米国特許出願公開第2011/0042612号明細書 米国特許出願公開第2010/0041550号明細書 米国特許第6359049号明細書 米国特許出願公開第2010/0286287号明細書 米国特許出願公開第2006/0074160号明細書 国際公開第2009/011717号パンフレット 日本国特開2003−052742号公報 米国特許出願公開第2009/0275470号明細書 欧州特許出願公開第1645596号明細書 米国特許出願公開第2005/0085604号明細書 米国特許出願公開第2007/0293632号明細書 米国特許出願公開第2008/0161512号明細書 国際公開第2007/072969号パンフレット 国際公開第2008/015946号パンフレット 米国特許出願公開第2008/214749号明細書 国際公開第2008/087114号パンフレット 米国特許出願公開第2010/0016522号明細書 日本国特開平8−073518号公報 日本国特開平7−270070号公報 米国特許出願公開第2010/0249320号明細書
Modern Superabsorbent Polymer Techonology(1998) p.85〜93
本発明は、上記従来の問題点に鑑みられたものであり、大きなコストアップ及び吸水性樹脂の物性を低下させることなく、吸水性樹脂の着色異物、特に吸水性樹脂由来の着色異物を低減する、粒子状吸水性樹脂の製造方法を提供することにある。
又、着色や異物のない吸水性能(特に吸水倍率や吸水速度)に優れた吸水性樹脂を安価で安定的に製造する方法、特に初期着色や着色異物のない吸水性樹脂を安価で安定的に製造する方法(特に乾燥方法)を提供することにある。
本願発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、着色の原因(一因)を解明し、その原因物質を根本的に除去することで上記課題を解決した。即ち、本発明は着色異物発生源を探求した結果、従来、上記特許文献1〜27等でなんら着目されてこなかった「高温のガス気流を吸水性樹脂に通気させる工程において、該ガス流に乗ってガス配管に入った吸水性樹脂粒子」が着色異物の原因物質の一因であることを解明し、該ガス流を加熱して再使用する際、着色した吸水性樹脂粒子が正常な白色の吸水性樹脂に混入するのを防止することにより、着色異物が低減できることを見出して、本発明を完成させた。
即ち、上記課題を解決するために、本発明は、不飽和単量体水溶液の重合工程と、重合中又は重合後のゲル細粒化工程で得られる固形分濃度が30重量%以上の粒子状含水ゲル状架橋重合体の乾燥工程とを含み、該乾燥工程及び/又はその後の工程の少なくとも1つにおいて、吸水性樹脂に高温ガス気流を通風させる装置が1以上設置された、粒子状吸水性樹脂の製造方法であって、上記通風装置において、高温ガス気流をフィルターに通過させた後に、該通風装置が設置された工程と同一工程又は別の工程で再使用する粒子状吸水性樹脂の製造方法(第1の製造方法)を提供する。
また、上記課題を解決するために、当該第1の製造方法の下位概念として、本発明の第2の製造方法は、不飽和単量体水溶液の重合工程と、重合中又は重合後のゲル細粒化工程で得られる固形分濃度が30重量%以上の粒子状含水ゲル状架橋重合体の乾燥工程とを含み、該乾燥工程及び/又はその後の工程の少なくとも1つにおいて、吸水性樹脂に高温ガス気流を通風させる装置が1以上設置された、粒子状吸水性樹脂の製造方法であって、上記通風装置が乾燥工程での通気乾燥機であり、上記通気乾燥機による乾燥工程において、高温ガス気流を再使用前に再加熱し、再加熱前に設置される金属メッシュ、再加熱後に設置されるパンチングメタルの何れか1つ以上の、開孔率が1〜70%であるフィルターを通過させた後に、高温ガス気流を流速0.1〜5[m/s]、温度が100〜250℃の条件下で吸水性樹脂に通風させる粒子状吸水性樹脂の製造方法(第2の製造方法)を提供する。
本発明の粒子状吸水性樹脂の製造において、大幅なコストアップや物性の低下なしに着色異物の混入を低減することができる。特に、固形分濃度が45重量%以上、更には50重量%以上、特に55重量%以上の粒子状含水ゲル状架橋重合体を乾燥して、粒子状の吸水性樹脂を得る方法において、物性(例えば、吸水倍率、水可溶分、残存モノマー等)を維持又は向上した着色のない吸水性樹脂の効率的な製造方法を提供する。スケールアップや重合濃度アップ(固形分アップ)を行っても着色なく効率的に製造できる。
図1は本願発明の一実施形態を示す概略図である。図1中、1は通風装置(通気室)を、2はベルトコンベアを、3は吸水性樹脂を、4はブロアーを、5はフィルターを、6は熱交換機を、7はパイプを、8はガス排出パイプを、9はガス取込口を、「矢印」は高温ガス気流の方向を、それぞれ示す。 図2は本願発明の別の実施形態を示す概略図である。図2中、1は通気室を、2はベルトコンベアを、3は吸水性樹脂を、4はブロアーを、5はフィルターを、6は熱交換機を、7はパイプを、8はガス排出パイプを、9はエア取込口を、10はその他の工程を、「矢印」は高温ガス気流の方向を、それぞれ示す。 図3は本願発明の更に別の実施形態を示す概略図である。図3中、1は通風装置(通気室)を、2はベルトコンベアを、3は吸水性樹脂を、4はブロアーを、5はフィルターを、6は熱交換機を、7はパイプを、8はガス排出パイプを、9はガス取込口を、「矢印」は高温ガス気流の方向を、それぞれ示す。 図4は本願発明の更に別の実施形態を示す概略図である。図4中、1は通風装置(通気室)を、2はベルトコンベアを、3は吸水性樹脂を、4はブロアーを、5は第一のフィルターを、6は熱交換機を、7はパイプを、8はガス排出パイプを、9はガス取込口を、11は第二のフィルターを、「矢印」は高温ガス気流の方向を、それぞれ示す。
以下、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更、実施し得る。具体的には、本発明は下記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の実施形態は、生産設備での大スケールの生産(例えば、吸水性樹脂の生産量が1ラインあたり1[t/hr]以上)が好ましい。更には、工業的には乾燥工程前後の工程を含め、各工程が連結されて、全体として連続製造されることが好ましい。
〔1〕用語の定義
(1−1)「吸水性樹脂」
本発明における「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を意味する。尚、「水膨潤性」とは、ERT441.2−02で規定するCRC(無加圧下吸水倍率)が通常5[g/g]以上であることをいい、好ましくは10〜100[g/g]、更に好ましくは20〜80[g/g]であり、又、「水不溶性」とは、ERT470.2−02で規定するExt(水可溶分)が通常0〜50重量%であることをいい、好ましくは0〜30重量%、更に好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0〜10重量%である。
上記吸水性樹脂は、その用途に応じて適宜設計可能であり、特に限定されるものではないが、カルボキシル基を有する不飽和単量体を架橋重合させた、親水性架橋重合体であることが好ましい。又、全量(100重量%)が重合体である形態に限定されず、上記性能を維持する範囲内において、吸水性樹脂以外のその他の成分として添加剤等を含んでもよい。即ち、吸水性樹脂組成物であっても、本発明では吸水性樹脂と総称する。ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の含有量は、好ましくは全体に対して70〜99.9重量%であり、より好ましくは80〜99.7重量%であり、更に好ましくは90〜99.5重量%である。吸水性樹脂以外のその他の成分としては、吸水速度や粉末(粒子)の耐衝撃性の観点から水が好ましく、必要により後述の添加剤が含まれる。更に、各製造工程で排出される各形態を包含する。
(1−2)「ポリアクリル酸(塩)」
本明細書における「ポリアクリル酸(塩)」とは、任意にグラフト成分を含み、繰り返し単位として、アクリル酸及び/又はその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を主成分とする重合体を意味する。具体的には、重合に用いられる総単量体(架橋剤を除く)のうち、アクリル酸(塩)を通常50〜100モル%含む重合体をいい、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%、特に好ましくは実質100モル%含む吸水性樹脂をいう。又、重合体としての塩は、必須に水溶性塩を含み、好ましくは一価塩、更に好ましくはアクリル金属塩又はアンモニウム塩、特にアルカリ金属塩、更にはナトリウム塩を含む。
(1−3)「EDANA」及び「ERT」
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)である吸水性樹脂の測定方法(EDANA Recommeded Test Method)の略称である。尚、本発明においては、特に断りのない限り、ERT原本(公知文献:2002年改定)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
(a)「CRC」(ERT441.2−02)
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、無加圧下吸水倍率(以下、「吸水倍率」と称することもある)を意味する。具体的には、不織布袋中の吸水性樹脂0.2gについて、大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対して30分間自由膨潤させた後、更に遠心分離機で水切りした後の吸水倍率(単位;[g/g])である。
(b)「AAP」(ERT442.2−02)
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、加圧下吸水倍率を意味する。具体的には、0.9gの吸水性樹脂を、大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対して1時間、2.06kPa(0.3psi、21[g/cm2])での荷重下で膨潤させた後の吸水倍率(単位;[g/g])である。尚、本発明においては、荷重条件を4.83kPa(0.7psi、50[g/cm2])に変更して測定することもある。
(c)「Ext」(ERT470.2−02)
「Ext」は、Extractablesの略称であり、水可溶分(水可溶成分量)を意味する。具体的には、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200gに対して、吸水性樹脂1gを500rpmで16時間攪拌した後、溶解したポリマー量をpH滴定で測定した値(単位;重量%)である。
(d)「Residual Monomers」(ERT410.2−02)
「Residual Monomers」とは、吸水性樹脂中に残存するモノマー量を意味する。具体的には、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200cm3に対して、吸水性樹脂1.0gを500rpmで1時間攪拌した後、溶解した残存モノマー量をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)で測定した値(単位;ppm)である。
(1−4)「通液性」
荷重下又は無荷重下における膨潤ゲルの粒子間を流れる液の流れを「通液性」という。この「通液性」の代表的な測定方法として、SFC(Saline Flow Conductivity/生理食塩水流れ誘導性)や、GBP(Gel Bed Permeability/ゲル床透過性)がある。
「SFC(生理食塩水流れ誘導性)」は、荷重0.3psiにおける吸水性樹脂0.9gに対する0.69重量%塩化ナトリウム水溶液の通液性をいう。米国特許第5,669,894号明細書に記載されたSFC試験方法に準じて測定される。
「GBP(ゲル床透過性)」は、荷重下又は自由膨張における吸水性樹脂に対する0.69重量%塩化ナトリウム水溶液の通液性をいう。国際公開第2005/016393号パンフレットに記載されたGBP試験方法に準じて測定される。
(1−5)「初期色調及び経時着色」
本発明における「初期色調」とは、製造直後の吸水性樹脂又はユーザー出荷直後の吸水性樹脂の色調をいい、通常、工場出荷前の色調で管理する。色調の測定方法については、米国特許出願公開第2009/0275470号公報に記載される方法(Lab値、YI値、WB値等)を例示することができる。
本明細書における「初期色調」とは、製造直後又はユーザー出荷直後の吸水性樹脂の色調をいい、通常、工場出荷前の色調で管理する。
又、「経時着色」とは、未使用状態で長期間の保管、あるいは、流通時に生じる吸水性樹脂の色調変化をいう。経時によって吸水性樹脂が着色するため、紙オムツの商品価値の低下となりうる。経時着色は数ヶ月〜数年単位で生じるため、米国特許出願公開第2009/0275470号公報に開示される促進試験(高温・高湿下での促進試験)で検証する。
(1−6)「着色異物」
本発明における「着色異物」とは、吸水性樹脂粒子中に存在する色の異なる粒子のことを指し、特に白色粒子中に少量混入する黒色又は茶色等の着色粒子を意味する。尚、国際公開第2008/015946号に開示される。
(1−7)「フィルター」
本発明における「フィルター」とは、液体又は気体(特に熱風)中に分散した固形物(特に吸水性樹脂)を捕集又は分離する機能を有する部材(特に布、ハニカム、孔又は網)をいう。したがって、吸水性樹脂や含水ゲルを必要により積層する部材(例えば、金網、パンチングメタル等)は本発明のフィルターには該当しない。
(1−8)その他
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は、「X以上、Y以下」であることを意味する。又、重量の単位である「t(トン)」は、「Metric ton(メトリック トン)」であることを意味し、更に、特に注釈のない限り、「ppm」は「重量ppm」又は「質量ppm」を意味する。又、本願明細書において、「質量」と「重量」、「質量%」と「重量%」、及び「質量部」と「重量部」は同義語であり、物性等の測定に関しては特に断りがない場合は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%で測定する。更に、「〜酸(塩)」は「〜酸及び/又はその塩」を意味し、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。
〔2〕本発明の説明(高温ガス気流の通風装置)
本発明は、不飽和単量体水溶液の重合工程と、重合中又は重合後のゲル細粒化工程で得られる固形分濃度が30重量%以上の粒子状含水ゲル状架橋重合体の乾燥工程とを含み、該乾燥工程及び/又はその後の工程の少なくとも1つにおいて、吸水性樹脂に高温ガス気流を通風させる装置が1以上設置された、粒子状吸水性樹脂の製造方法であって、上記通風装置において、高温ガス気流をフィルターに通過させた後に、該通風装置が設置された工程と同一工程又は別の工程で再使用する、粒子状吸水性樹脂の製造方法(第1の製造方法)を提供する。尚、「吸水性樹脂に高温ガス気流を通風」とは、「粒子状含水ゲル状架橋重合体又はその乾燥物である吸水性樹脂に高温ガス気流を通風」の意味である。
即ち、本発明は、吸水性樹脂(粒子状含水ゲル状架橋重合体(以下、「重合ゲル」と称する)並びにその乾燥物、粉砕物及び分級物を含む)に高温ガス気流を通風させる装置を1又は2以上有する粒子状吸水性樹脂の製造方法であって、少なくとも1の工程において、吸水性樹脂を通風した高温ガス気流の一部又は全部を、該高温ガス気流に含まれる「吸水性樹脂粒子又はその含水ゲル」を捕集するフィルターに通過させた後に、該通風装置が設置された工程と同一又は別の工程で再使用される、製造方法である。
尚、上記「吸水性樹脂粒子又はその含水ゲル」とは、高温ガス気流中に含まれる吸水性樹脂のことを指し、該気流中でその固形分濃度が順次変化するものである。通常、固形分濃度が80重量%以上、更には85重量%以上、特に90重量%以上のものを吸水性樹脂粒子といい、80重量%未満のものを含水ゲルというが、本発明においては、吸水性樹脂粒子と含水ゲルとの明確な境界は大きな問題とはならない。したがって、「吸水性樹脂粒子又はその含水ゲル」を、以下、「含水ゲル」と総称する。
本発明者らは、乾燥工程において高温ガス気流(例えば、後述の100〜250℃のガス気流)を吸水性樹脂の通風に再使用する際、高温ガス気流に含まれる含水ゲルが乾燥工程系内で長時間滞留又は付着することによって着色し、当該着色した含水ゲルの一部が通常の乾燥時間で排出される吸水性樹脂に混入して、結果的に、吸水性樹脂の色調悪化を引き起こすこと、更に、含水ゲルが熱交換機に付着して経時的に熱効率の低下を引き起こすことを見いだした。更に上記問題は、高固形分濃度の重合ゲルでより顕著であることが見いだされ、固形分濃度として、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上の順に問題が大きくなるが、本発明は、かような高固形分濃度の重合ゲルに好ましく適用することができる。尚、乾燥工程において粒子状含水ゲル状架橋重合体(重合ゲル)が固形分濃度の異なる混合物である場合(例えば、固形分濃度が異なる含水ゲルの混合物や含水ゲルと乾燥物との混合物を乾燥する場合)や、重合工程において、水分の蒸発又は吸水性樹脂微粉の添加等により、粒子状含水ゲル状架橋重合体(重合ゲル)の固形分濃度が高められる場合においても、上記問題が大きくなるが、本発明を好ましく適用することができる。
上記重合ゲルの固形分濃度としては、含水ゲル状である限り上限は限定されないが、好ましくは80重量%以下、より好ましくは80重量%未満、更に好ましくは75重量%以下、特に好ましくは70重量%以下である。該固形分濃度が30重量%未満の場合、吸水性樹脂の生産性が劣るばかりでなく、本発明特有の効果が発現し難い。一方、固形分濃度が80重量%を超え、過度に高い場合、吸水倍率等の吸水性能が低下するおそれがある。固形分濃度は、重合時の単量体の濃度や重合時の蒸発、更に必要により、重合中や重合後に添加する添加剤等により決定されるが、該添加剤として吸水性樹脂微粉やその水添加物を添加することでも、固形分濃度を制御することもできる。
(a)高温ガス気流の通風装置
本発明に係る製造方法においては、吸水性樹脂(重合ゲル並びにその乾燥物、粉砕物及び分級物を含む)に高温ガス気流を通風させる装置を1又は2以上有することが必須である。該通風装置を設置する工程としては、粒子状含水ゲル状架橋重合体(重合ゲル)の乾燥工程、乾燥後の乾燥物を粉砕する粉砕工程、粉砕後の粉砕物を分級する分級工程、及び分級工程で得られた吸水性樹脂粉末の表面を架橋する表面架橋工程が挙げられ、中でも、乾燥工程、表面架橋工程が好ましく、乾燥工程が特に好ましい。また、通風装置は、下記に詳述されるように通気乾燥機であることが好ましい。特に、通風装置が乾燥工程での通気乾燥機、特に通気バンド乾燥機であることが好ましい。
本発明において、使用される高温ガス気流(熱風)の通風装置としては、図1に例示したように、ブロワー、熱交換機、フィルター及びこれらを接続する配管等を備えていればよく、特に限定されない。又、下記に示す温度、風量等の高温ガス気流が得られる範囲内で、各機器の仕様が適宜選択、決定される。更に高温ガス気流を別工程で再使用する場合には、特に限定されないが、図2に例示したような装置が採用されるのが好ましい。
以下に、図1を参照しながら、通風装置を乾燥工程に設置した場合の実施形態を説明する。しかし、本発明は、下記実施形態に限定されるものではなく、他の工程でも同様にして適用できる。図1において、通風装置(通気室)としての熱風乾燥機1内に気流を流して、所定温度に予め予熱しておく。次に、所定の固形分濃度に調整された粒子状含水ゲル状重合体(重合ゲル)3をベルトコンベア2にのせ、高温ガス気流を重合ゲルに対して上向きに通風する。通風後の高温ガス気流は、ブロアー4を介して、一部は系外へガス排出パイプ8により排出され、残りのガスはフィルター5に通過させる。これにより、製品の色調悪化を招く危険性のある吸水性樹脂粒子又はその含水ゲルを高温ガス気流から除去することができる。尚、本形態において、一部のガスの排出は、フィルター5の通過後に行われてもよい。フィルター5を通過したガスは、熱交換機6で所定温度に再加熱された後、熱風乾燥機1に再使用される。尚、図3は、図1において、高温ガス気流が逆の流れである他の実施形態である。即ち、図3では、通風装置(通気室)としての熱風乾燥機1内に気流を流して、所定温度に予め予熱しておく。次に、所定の固形分濃度に調整された粒子状含水ゲル状重合体(重合ゲル)3をベルトコンベア2にのせ、高温ガス気流を重合ゲルに対して下向きに通風する。通風後の高温ガス気流は、ブロアー4を介して、一部は系外へガス排出パイプ8により排出され、残りのガスはフィルター5に通過させる。これにより、製品の色調悪化を招く危険性のある吸水性樹脂粒子又はその含水ゲルを高温ガス気流から除去することができる。尚、本形態において、一部のガスの排出は、フィルター5の通過後に行われてもよい。フィルター5を通過したガスは、熱交換機6で所定温度に再加熱された後、熱風乾燥機1に再使用される。
本発明で好ましくは、高温ガス気流は再加熱されるが、再加熱する場合、高温ガス気流の再加熱後および/または再加熱前にフィルターを設置する。ここで、フィルター及び熱風乾燥機の設置順序は、上記したようにガスをフィルターに通過させた後に熱交換器で再加熱しても、あるいはガスを熱交換器で再加熱した後にフィルターに通過させても、または、それらを併用して異なる複数箇所(特に2箇所、更には再加熱の前後)でフィルターを設置しても、いずれでもよいが、少なくとも、熱交換機に含水ゲルが付着しないことを鑑みると、ガスをフィルターに通過させた後に熱交換器で再加熱ことが好ましい。即ち、高温ガス気流のフィルター通過が吸水性樹脂の通風に使用する高温ガス気流の再加熱前であることが好ましい。更に、好ましくは、高温ガス気流の再加熱後もフィルター(好ましくは金網又は格子板、特に格子板)に通過させることが好ましい。
尚、本発明で再加熱後にフィルターを設置する場合、乾燥機上の含水ゲルに対して上向きに通気を行う場合、乾燥機の下部に水平又は准水平(傾斜角45°以内)にフィルター(好ましくは格子板)を設置すればよい。一方、乾燥機上の含水ゲルに対して下向きに通気を行う場合、乾燥機の上部に水平又は准水平(傾斜角45°以内)にフィルター(好ましくは格子板)を設置すればよい。かような再加熱後及び/又は再加熱前、特に再加熱後のフィルターの設置によって、着色異物の混入を防止するだけでなく、均一な乾燥、特に通気乾燥に積層する含水ゲルの均一な乾燥も可能となり、物性や生産性も向上する。
または、図2に示されるように、フィルター5を通過したガスは、熱交換機6で所定温度に再加熱された後、別の工程10(例えば、別の粒子状含水ゲル状架橋重合体(重合ゲル)の乾燥工程、乾燥後の乾燥物を粉砕する粉砕工程、粉砕後の粉砕物を分級する分級工程、及び分級工程で得られた吸水性樹脂粉末の表面を架橋する表面架橋工程等)に再使用されてもよい。
高温ガス気流の温度としては、100〜250℃が好ましく、以下、100〜220℃、120〜220℃、140〜220℃、150〜190℃の順に好ましい。該温度が100℃未満の場合、乾燥後の吸水倍率や吸水速度の低下や、所定の乾燥効率が得られず、あるいは、表面架橋反応が進行しない可能性がある。一方、該温度が250℃を超える場合、所望する吸水性能が得られず、吸水性樹脂全体が着色するおそれがある。尚、本発明の高温ガス気流の通風装置が乾燥工程に設置されている場合は、高温ガス気流の温度は乾燥工程における乾燥温度と同一のものとし、又、該装置が表面架橋工程に設置されている場合は、熱処理温度と同一のものとする。
高温ガス気流の流速(風速)としては、好ましくは0.1〜5[m/s]、より好ましくは0.5〜3[m/s]、1.0〜2.9[m/s]、1.2〜2.8[m/s]である。該風速が0.1[m/s]未満の場合には、例えば、通風装置を乾燥工程に設置する場合、乾燥後の吸水速度の低下や所定の乾燥効率が得られない虞があり、又、通風装置を吸水性樹脂粉末の表面を架橋する表面架橋工程に設置する場合、表面架橋反応が進行しない虞がある。一方、上記風速が5[m/s]を超える場合、吸水性樹脂が過度に飛散し、収率低下を招く虞がある。高温ガス気流は、通常、空気であるが、窒素、アルゴン等の不活性ガスや水蒸気等が80容積%以上含まれてもよい。又、高温ガス気流は、通風する吸水性樹脂に対して、上向き又は下向きのいずれでもよく、交互に風向きを併用してもよいが、少なくとも、一部(特に前半)では上向きであることが好ましい。上向きで通風することにより、吸水性樹脂の粒子間の隙間が保たれて高温ガス気流が通りやすく、乾燥効率および/または加熱効率がよい。一方、下向きで通風すると、吸水性樹脂が押さえつけられて、粒子間の隙間が減少し高温ガス気流が通り難くなることがある。
(b)高温ガス気流の再使用
本発明に係る製造方法においては、吸水性樹脂(重合ゲル並びにその乾燥物、粉砕物及び分級物を含む)に高温ガス気流を通風させた後に、該高温ガス気流の一部又は全部を再使用することが必須である。高温ガス気流は、通常、熱風を熱媒体とするものであり、吸水性樹脂を通風させた後であっても常温より高い温度を有しているため、エネルギー効率の観点から、該高温ガス気流の一部又は全部が循環、再使用される。更に、吸水性樹脂から蒸発した水分が該高温ガス気流に含まれ、高露点のガスとなるため、得られる粒子状吸水性樹脂の残存モノマーを低減できる等、吸水特性の優れた吸水性樹脂が得られる。かようなガス気流の再使用については、熱風を循環させる方式が一般的である。尚、該通風装置が設置された工程と同一工程で高温ガス気流を再使用することを、「循環」と称することもある。
又、乾燥効率や着色低減の観点から、吸水性樹脂を通風させた後の高温ガス気流は、同一の工程に循環(再使用)してもよいし、別の工程で再使用してもよいが、熱風を熱媒体とする加熱を行う工程で再使用することが好ましく、具体的には、乾燥工程や表面架橋工程で再使用することが好ましい。又、該高温ガス気流の一部が系外に排出され、更に、該排出されるガス流からの熱エネルギーをリサイクルすることが好ましい。尚、上記高温ガス気流を同一工程で循環(再使用)する場合の循環率(高温ガス気流循環率)は、通気装置を設ける工程等によって適宜決定すればよく、特に限定されないが、50〜99.99%が好ましく、80〜99.5%がより好ましく、90〜99%が更に好ましい。高温ガス気流の循環率は下記式で規定される。尚、ガスの体積は標準体積とする。
(c)高温ガス気流の再加熱
本発明に係る製造方法においては、高温ガス気流を再使用する前に加熱することが好ましい。該加熱の方法は、特に限定されないが、通常、熱交換機を用いて行われ、好ましくは省エネルギーの観点から、熱風乾燥機やその他の工程、あるいはプラント(特にアクリル酸製造プラント)からの廃熱を利用することができる。又、再使用する工程に合わせて高温ガス気流に温度等が制御される。ここで、高温ガス気流の温度は、特に限定されず、再使用される工程(例えば、乾燥工程、表面架橋工程等)で規定される温度であることが好ましい。具体的には、高温ガス気流の再使用時の温度は100〜250℃が好ましく、更には上記範囲が好ましい。
又、上記加熱の前に新規なガスを取込み、再使用するガスと混合してよい。この場合、再使用するガス1標準体積に対して、新規なガスを0.01〜10標準体積の割合で混合することが好ましい。ここで、新規なガスは、特に制限されないが、通常、再使用されるガスと同じガスを使用することが好ましい。例えば、新規なガスは、通常、空気であるが、窒素、アルゴン等の不活性ガスや水蒸気等が80容積%以上含まれてもよい。
(d)フィルターに捕集される含水ゲル
本発明では、液体又は気体(特に熱風)中に分散した固形物(特に吸水性樹脂)を捕集又は分離する機能を有する部材(特に布、ハニカム、孔又は網)としてフィルターが使用される。更にフィルターを通じて高温ガス気流の流れを整えてもよい。尚、本発明においては、バンド乾燥機等で重合ゲルを積層する金網や格子板(パンチングメタル)はフィルターには含まれない。即ち、バンド乾燥機等で重合ゲルを積層する金網や格子板に対して、本発明でフィルターは乾燥又は加熱される重合ゲルや吸水性樹脂と実質的に非接触の場所に設置される部材(特に布、ハニカム、孔又は網)である。尚、ハニカムとは正六角柱に限定されず、立方体、直方体等を含む広義の意味での立体形状のフィルターである。
本発明者らは、バンド乾燥機を使用した乾燥工程において、吸水性樹脂の着色や乾燥効率の低下に関し、従来、考慮されていなかった高温ガス気流に含まれる含水ゲルが、上記問題点を引き起こすことを見いだした。即ち、高温ガス気流に含まれる含水ゲルが、該ガス流に乗って運ばれ、ガスを再加熱する際に、同時に加熱されるため、着色し、更にこれらが正常な吸水性樹脂に混合し、得られる製品の色調悪化を招いていた。又、連続流動層乾燥機を用いて乾燥する場合、十分なピストンフロー性が発揮されず、結果として長時間滞留し、吸水性樹脂が着色することもあった。上記観点から、高温ガス気流を再使用する際には、再加熱する前にフィルターを通過させて、高温ガス気流中に含有する含水ゲルを除去することが好ましい。又、本発明に係る吸水性樹脂に高温ガス気流を通風させる装置(通風装置)は、再加熱する前に高温ガス気流に含まれる吸水性樹脂粒子又はその含水ゲルを除去する装置を更に含んでもよい。ここで、上記装置は、高温ガス気流に含まれる吸水性樹脂粒子又はその含水ゲルを除去できるものであれば特に制限されず、例えば、本発明に係るフィルターは同様にしてあるいは適宜修飾して使用できる。
本発明において、捕集される含水ゲルの粒子径は、製品として好ましい粒子径である150μm以上850μm未満であることが好ましい。上記範囲の粒子径の含水ゲルを捕集すると、粒子径が850μm以上の含水ゲルも捕集されるが、飛散量が少ないため、特に問題とはならない。一方、粒子径が150μm未満の含水ゲルは、捕集されずにフィルターを通過してしまうが、仮にこれらが着色し、正常な吸水性樹脂に混入したとしても異物として目立ちにくく、更に、逆に捕集しようとするとガス流の圧力損失が大きくなるため、好ましくない。尚、150μm以上850μm未満の含水ゲルの捕集には、かかる目開きの金属メッシュやパンチングメタルの使用に限定されず、目開き850μm以上の金属メッシュやパンチングメタルでも非開口部での捕集や付着を含め適宜捕集できるため、目開き50mm以下、30mm以下、10mm以下の金属メッシュやパンチングメタル(下限は例えば150μm、更には300μm)が使用される。
上記粒子径が150μm以上850μm未満の含水ゲルの捕集量は、全捕集量の30重量%以上であり、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上となるように、フィルターを設置すればよい。尚、粒子径が150μm以上850μm未満の含水ゲルの捕集量の上限は、特に制限されず、全捕集量の100重量%であるが、90重量%程度であれば十分である。
更に、フィルターに捕集される吸水性樹脂又はその含水ゲルの捕集量は、特に制限されないが、吸水性樹脂の生産量(乾燥物)に対して、0重量%を超え0.1重量%未満であることが好ましく、0.05重量%以下であることがより好ましく、0.05重量%未満(下限は0.0001重量%)が更に好ましい。尚、フィルターに捕集された含水ゲルは廃棄されるのが好ましい。ここで、「吸水性樹脂の生産量」としては、最終製品としての吸水性樹脂の生産量(乾燥物基準の重量)を意味する。尚、フィルターで捕集された吸水性樹脂又はその含水ゲルはフィルターから随時除去すればよい。
上記吸水性樹脂の生産量に対する捕集量が0.1重量%以上である場合、収率低下を招くのみならず、得られる粒子状吸水性樹脂の吸水性能が悪化する場合がある。したがって、吸水性樹脂を通気させる高温ガス気流の温度や風速、あるいは、吸水性樹脂の状態(層の厚みや装置の諸条件)等を最適化し、含水ゲルの飛散量を低減することが好ましい。
(e)フィルターの目開き
本発明に係る製造方法において、フィルターとして固形物(特に吸水性樹脂又はその含水ゲル)を捕集又は分離できれば特にその部材は問わないが、織布、不織布、ハニカム、網(特に金網)、孔(特に格子板)やそれらの併用等、特に問わないが、網(特に金網)又は孔(格子板)、更には格子板が好ましい。網又は孔をフィルターとする場合、高温ガス気流に含まれる含水ゲルを捕集するフィルターの目開きとして、上記(d)に記載の目開き(好ましくは50mm以下)及び/又は1つの孔あたりの開孔面積が0.01〜500mm2(50mm2)であることが好ましい。より好ましくはフィルターの目開き(1つの孔あたりの開孔面積)は0.02〜10mm2であり、0.03〜1mm2であることが更に好ましい。本発明において、高温ガス流の再加熱後および/または再加熱前にフィルターを設置する際のフィルターの目開きは同じであってもあるいは異なるものであってもよい。好ましくは、再加熱前には小さな目開き(例えば、0.01〜50mm2、0.02〜10mm2、特に0.03〜1mm2)のフィルターを使用する。また、再加熱後には大きな目開き(例えば、0.1〜500mm2、2〜100mm2、特に3〜50mm2)のフィルターを使用することが好ましい。該開孔面積が0.01mm2未満の場合、含水ゲルで目詰まりを起こしやすいため、ガス流の圧力損失が大きくなる場合がある。一方、開孔面積が500mm2、50mm2を超える場合、含水ゲルの大部分が捕集されない場合がある。又、孔の形状は、特に限定されないが、円形又は正方形が好ましく、孔の開孔率は、フィルター面全体の1〜70%であり、2〜65%が好ましく、以下、3〜60%、15〜50%、20〜50%、20〜45%、25〜40%の順に好ましい。尚、開孔率は、孔、ピッチ等で決定されるが、一定領域に孔が有しない場合、例えば、パンチングメタルに「ふち」が有る場合、その部分も含んだ面積で規定する。該開孔率が1%未満の場合、ガス流の圧力損失が大きくなる場合があり、一方、開孔率が70%を超える場合、フィルター強度に問題が生じる場合がある。尚、フィルターは、必要により複数設置して、高温ガス気流を複数箇所で異なるフィルターを通過させてもよい。好ましくは、フィルターは同じ乾燥工程(同じ乾燥室)で複数のフィルター、例えば、2〜4枚のフィルターが使用され、特に熱風を再加熱前と再加熱後にフィルターを通過させて、該熱風で含水ゲルを乾燥すればよい。また、複数箇所でフィルターを設置する場合、再加熱の前後に設置することが好ましく、フィルターの形状や目開きは同じでもよく、異なってもよいが、好ましくは、異なるフィルター、特に金網と格子板の併用又は目開きが異なるフィルター(特に2〜100倍、3〜50倍)で異なるフィルターが再加熱の前後で併用されることによって、異物混入の防止、着色の防止、均一な乾燥が可能となるので好ましい。また、複数枚設置する場合、それぞれのフィルターの開孔面積は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
(f)フィルターの素材
本発明において、フィルターを通過する際の高温ガス気流の温度は60〜250℃が好ましく、100〜180℃がより好ましい。したがって、フィルターの素材としては、上記温度において耐久性を有するものであれば特に限定されないが、好ましくは金属、有機繊維、無機繊維、セラミックス等が挙げられる。上記金属の具体例としては、ステンレス、鉄、アルミニウム等が挙げられる。又、フィルターの形状としては、ハニカム(立体形状)、メッシュやパンチング板が挙げられ、特にステンレス製のメッシュ又はパンチングメタルが好ましい。
上記パンチングメタルの孔の形状は、特に限定されず、例えば、丸穴、楕円穴、角穴、六角穴、長丸穴、長角穴、菱穴、十字穴等が挙げられ、これら複数形状の併用でもよい。又、孔の並び方も特に限定されず、千鳥状でも並列状でもよい。更に、孔がルーバー(出窓)形状等、立体的に形成されてもよいが、好ましくは平面構造の孔、特に丸穴を有する。又、ピッチの方向は縦でも横でも斜めでもよく、これらが併用されてもよい。
(g)フィルターによる圧力損失の防止
本発明において、高温ガス気流を通す配管は、圧力損失及び設置スペースとを考慮して、その径を決定すればよい。尚、高温ガス気流は圧力損失を低減するために、低速であることが好ましく、具体的には、フィルターを通過する際の風速(断面風速=風量/フィルター断面積)が0.1〜5[m/s]であることが好ましい。フィルターを通過する際の風速を低減するために、フィルターの設置箇所の径を太くし、フィルターの面積を増大することが好ましい。
(h)フィルターの目詰まり防止
フィルターの目詰まり防止の観点から、フィルターを通過する高温ガス気流の向きは、好ましくは下向き以外、より好ましくは鉛直下向きから45°以上異なる方向である。尚、高温ガス気流がフィルターを下向きに通過する場合、フィルター上に含水ゲルが堆積して目詰まりを起こしやすいので好ましくない。又、フィルターに傾斜をつけることで、含水ゲルの堆積を防いだり、振動を与えたりする方法がある。
〔3〕吸水性樹脂の製造方法
(3−1)不飽和単量体水溶液
(a)単量体
本発明で使用できる不飽和単量体として、アクリル酸単独、アクリル酸とアクリル酸以外の単量体との併用、又は、アクリル酸以外の単量体単独が挙げられる。これらの中でも、吸水性樹脂の物性(吸水倍率や水可溶分、残存モノマー、通液性等)の観点から、アクリル酸及び/又はその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を主成分として含む水溶液が好ましい。単量体水溶液中の単量体濃度は、通常10〜90重量%であり、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%、更に好ましくは30〜60重量%である。
又、該水溶液の重合により得られる重合ゲルは、吸水性能の観点から、重合体の酸基の少なくとも一部が中和されていることが好ましい。上記中和は、アクリル酸の重合前、重合中又は重合後に行うことができるが、吸水性樹脂の生産性、AAP(加圧下吸水倍率)やSFC(生理食塩水流れ誘導性)の向上等の観点から、アクリル酸の重合前に中和を行うことが好ましい。つまり、中和されたアクリル酸(即ち、アクリル酸の部分中和塩)を単量体として使用することが好ましい。ここで、アクリル酸の塩としては、必須に水溶性塩を含み、好ましくは一価塩、更に好ましくはアクリル金属塩又はアンモニウム塩、特にアルカリ金属塩、更にはナトリウム塩を含む。
上記中和の中和率は、特に制限されないが、酸基に対して10〜100モル%が好ましく、20〜100モル%がより好ましく、50〜99モル%が更に好ましく、60〜90モル%が特に好ましい。中和率が10モル%未満の場合、特に、CRC(無加圧下吸水倍率)が著しく低下することがあり好ましくない。
又、上記アクリル酸以外の単量体(以下、「他の単量体」と称することもある)としては、特に限定されないが、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリロキシアルカンスルホン酸、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレートやそれらの塩等が挙げられる。これら他の単量体を使用する場合、その使用量は目的や機能に応じて決定され、特に限定されないが、全単量体の重量に対して0〜50重量%が好ましく、0〜20重量%がより好ましい。
本発明では、重合安定性の観点から、単量体に重合禁止剤、特にメトキシフェノール類が含まれることが好ましく、p−メトキシフェノール(通称メトキノン)が含まれることがより好ましい。重合禁止剤の使用量は、単量体に対して、1〜1000ppmが好ましく、1〜250ppm(重量基準、以下同じ)がより好ましく、5〜200ppmが更に好ましく、10〜160ppmが特に好ましく、20〜100ppmが最も好ましい。重合禁止剤の使用量が1ppm未満の場合、予期せぬ重合が起こるおそれがあり、一方、1000ppmを超える場合、吸水性樹脂の着色が問題となるおそれがある。
本発明では、吸水性樹脂の着色及び重合速度の観点から、単量体又は単量体水溶液中に鉄分として鉄イオンを含むことが好ましい。鉄イオンの含有量は、単量体に対して、Fe23換算値で、0を超えて10ppm以下が好ましく、0を超えて5ppm以下がより好ましく、0.001〜5ppmが更に好ましく、0.001〜4ppmが特に好ましく、0.005〜3ppmが最も好ましい。鉄イオンの含有量が10ppmを超える場合、吸水性樹脂の着色が見られる場合がある。一方、鉄イオンの含有量をN.D(検出限界以下;通常0ppm)とするには、多大なコストが費やされるにもかかわらず、コストに見合った効果が得られないばかりか、レドックス重合等では重合速度が遅くなるおそれもある。
又、アクリル酸中のプロトアネモニン、アリルアクリレート、アリルアルコール、アルデヒド分(特にフルフラール)、マレイン酸、安息香酸の不純物6種類のうち、1以上、2以上、更には3以上、4以上、5以上、6個が各々0〜20ppm(質量基準、以下同じ)である。好ましくは各々が0〜10ppm、より好ましくは0〜5ppm、更に好ましくは0〜3ppm、特に好ましくは0〜1ppm、最も好ましくはN.D(検出限界)である。更に、これらプロトアネモニン、アリルアクリレート、アリルアルコール、アルデヒド分、マレイン酸、安息香酸の合計量は、アクリル酸に対して、100ppm以下が好ましく、0〜20ppm、更には0〜10ppmであることがより好ましい。又、残存モノマー低減の観点から、アクリル酸ダイマーの含有量は0〜500ppmが好ましく、0〜200ppmがより好ましく、0〜100ppmが特に好ましい。
(b)架橋剤
本発明においては、得られる吸水性樹脂の吸水性能の観点から、架橋剤(以下、「内部架橋剤」と称することもある)を使用することが特に好ましい。使用できる内部架橋剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸との重合性架橋剤や、カルボキシル基との反応性架橋剤、それらを併せ持った架橋剤等を例示することができる。具体的には、重合性架橋剤として、N,N'−メチレンビスアクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリオキシエチレン)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アリロキシアルカン等、分子内に重合性二重結合を少なくとも2個有する化合物が例示できる。又、反応性架橋剤として、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル;プロパンジオール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール等の共有結合性架橋剤、アルミニウム塩等の多価金属化合物であるイオン結合性架橋剤が例示できる。これらの中でも、吸水性能の観点から、アクリル酸との重合性架橋剤が好ましく、特に、アクリレート系、アリル系、アクリルアミド系の重合性架橋剤が好適に使用される。これらの内部架橋剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記内部架橋剤の使用量は、物性面から、架橋剤を除く上記単量体に対して、0.0001〜5モル%が好ましく、0.0005〜2モル%がより好ましい。又、内部架橋剤は重合前の単量体水溶液に添加してもよく、重合中又は重合後の含水ゲルに添加してもよく、これらを併用してもよいが、単量体水溶液に添加することが好ましい。
(c)単量体水溶液中のその他の成分
本発明で得られる粒子状吸水性樹脂の諸物性を改善するために、任意成分として、上記単量体水溶液に、以下の物質を添加することができる。即ち、澱粉、ポリアクリル酸(塩)やその架橋体(吸水性樹脂)、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン等の高分子化合物、各種キレート剤、各種添加剤等を、単量体に対して、0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜10重量%、更に好ましくは0〜3重量%添加することができる。尚、本発明において、単量体水溶液は飽和濃度を超えた分散液も含んでもよいが、好ましくは飽和濃度以下の水溶液である。ここで、上記任意成分を添加する際の、任意成分の添加量の下限は、その種類や目的、効果に応じて適宜決定され特に制限されないが、単量体に対して、0.001重量%程度であることが好ましい。
更に、各種の発泡剤(炭酸塩、アゾ化合物、気泡等)、界面活性剤、各種キレート剤、ヒドロキシカルボン酸や還元性無機塩等の添加剤を、単量体に対して、例えば0〜5重量%、好ましくは0〜1重量%添加することができる。ここで、上記添加剤を添加する際の、添加剤の添加量の下限は、その種類や目的、効果に応じて適宜決定され特に制限されないが、単量体に対して、0.001重量%程度であることが好ましい。
これらの中でも、吸水性樹脂の経時着色の抑制(高温高湿下で長期間保存した際の色調安定性の向上)や耐尿性(ゲル劣化防止)の向上を目的とする場合には、キレート剤、ヒドロキシカルボン酸、還元性無機塩が好ましく使用され、キレート剤が特に好ましく使用される。この場合の使用量は、吸水性樹脂に対して、10〜5000ppmが好ましく、10〜1000ppmがより好ましく、50〜1000ppmが更に好ましく、100〜1000ppmが特に好ましい。尚、上記キレート剤、ヒドロキシカルボン酸、還元性無機塩については、米国特許出願公開第2009/0275470号公報、欧州特許第2057228号、同第1848758号に開示される化合物が使用される。
(3−2)重合工程
(a)重合方法
本発明の吸水性樹脂は、前記不飽和単量体を架橋重合し、重合ゲルを得ることにより製造される。重合方法は、性能面や重合の制御の容易さから、通常、噴霧重合、滴下重合、水溶液重合又は逆相懸濁重合により行われるが、中でも水溶液重合又は逆相懸濁重合が好ましく、水溶液重合がより好ましく、連続水溶液重合が特に好ましい。
尚、逆相懸濁重合とは、単量体水溶液を疎水性有機溶媒に懸濁させる重合法であり、例えば、米国特許第4093776号、同第4367323号、同第4446261号、同第4683274号、同第5244735号等の米国特許に記載されている。一方、水溶液重合とは、分散溶媒を用いずに単量体水溶液を重合する方法であり、例えば、米国特許第4625001号、同第4873299号、同第4286082号、同第4973632号、同第4985518号、同第5124416号、同第5250640号、同第5264495号、同第5145906号、同第5380808号等の米国特許や、欧州特許第0811636号、同第0955086号、同第0922717号、同第1178059号等の欧州特許に記載されている。更に、噴霧重合や滴下重合とは、気相に単量体水溶液の液滴を分散させて重合を行う方法であり、例えば、国際公開第2011/026876号、同第2008/009598号、同第2005/030810号等の国際特許出願に記載されている。これらの重合に際して、上記の単量体、架橋剤、重合開始剤、その他の添加剤等を本発明で使用することができる。
本発明においては、得られる粒子状吸水性樹脂の物性と乾燥効率の向上という観点から、重合時の重合熱によって重合溶媒の少なくとも一部を揮発させることが好ましく、例えば、重合前後での固形分濃度上昇度(「重合後の重合ゲルの固形分濃度」−「重合前の単量体濃度」)が、0.1重量%以上が好ましく、1〜40重量%がより好ましく、2〜30重量%が更に好ましく、3〜20重量%がとくに好ましい。該固形分濃度上昇度は、重合時の温度(例えば、沸点で重合)、ガスや形状(重合ゲルの粒径やシート厚み)等で適宜決定される。尚、重合後の重合ゲルの固形分濃度としては、30〜80重量%、更には前記範囲(35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上)であることが好ましい。
又、これらの重合は、空気雰囲気下でも実施可能であるが、着色防止の観点から窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気(例えば、酸素濃度1容積%以下)下で実施することが好ましい。又、単量体又は単量体を含む溶液中の溶存酸素を不活性ガスで置換(例えば、溶存酸素濃度;1[mg/L]未満)した後に、重合することが好ましい。又、減圧、常圧、加圧のいずれの圧力下でも実施することができる。
本発明は、吸水性樹脂の1ラインあたりの生産量が多い巨大スケールでの製造でより効果を発揮する。該生産量として、好ましくは0.5[t/hr]以上であり、より好ましくは1[t/hr]以上、更に好ましくは5[t/hr]以上、特に好ましくは10[t/hr]以上である。又、上記水溶液重合の好ましい形態として、連続ベルト重合(米国特許第4893999号、同第6241928号、米国特許出願公開第2005/215734号等に開示)、連続ニーダー重合、バッチニーダー重合(米国特許第6987151号、同第6710141号等に開示)等が挙げられ、これらの中でも、連続ニーダー重合又は連続ベルト重合、特に水分を蒸発してなる連続ニーダー重合又は連続ベルト重合が特に好ましい。
上記連続水溶液重合においては、重合開始温度を好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、更に好ましくは40℃以上、特に好ましくは50℃以上(上限は沸点)とする高温開始重合、あるいは、単量体濃度を好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは45重量%以上(上限は飽和濃度)とする高単量体濃度重合が、最も好ましい一例として例示できる。尚、上記重合開始温度は、単量体水溶液の重合機供給直前の液温で規定されるが、米国特許第6906159号及び同第7091253号等に開示された条件等を、本発明に好ましく適用することができる。
(b)重合開始剤
本発明において使用される重合開始剤は、上記特許文献等に例示された各種の重合開始剤を使用することができ、重合形態によって適宜選択され、特に限定されない。例えば、熱分解型重合開始剤、光分解型重合開始剤、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。より具体的には、熱分解型重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化水素、t−ブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド等の過酸化物;2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド等のアゾ化合物等が挙げられる。又、光分解型重合開始剤としては、ベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、アセトフェノン誘導体(例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、ベンゾフェノン誘導体、アゾ化合物等が挙げられる。更に、レドックス系重合開始剤としては、上記過硫酸塩や過酸化物に、L−アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム等の還元性化合物を組み合わせた系が挙げられる。上記熱分解型重合開始剤と光分解型重合開始剤とを併用することも、好ましい態様として挙げることができる。又、本発明においては、光分解型重合開始剤と熱分解型重合開始剤とを併用することも、好ましい態様として挙げることができる。これらの重合開始剤の使用量は、上記単量体に対して、0.0001〜1モル%が好ましく、0.001〜0.5モル%がより好ましい。重合開始剤の使用量が1モル%を超える場合、吸水性樹脂の着色を引き起こすことがあるため好ましくない。又、重合開始剤の使用量が0.0001モル%を下回る場合、残存モノマーを増加させるおそれがあるため好ましくない。尚、上記重合開始剤を使用する代わりに、放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより重合を行ってもよい。又は、これらの活性エネルギー線と重合開始剤とを併用して重合してもよい。
(3−3)ゲル細粒化工程
本工程は、上記重合工程で得られた重合ゲルを解砕し、粒子状の含水ゲル状架橋重合体(以下、「粒子状重合ゲル」と称することもある)を得る工程である。
乾燥効率の面と乾燥後の粉砕効率の面から、乾燥前の重合ゲルが重合中又は重合後に細粒化されていることが好ましい。なお、上記逆相懸濁重合、噴霧重合や滴下重合においては、重合時に粒子状重合ゲルが得られ、これらの重合とゲル細粒化工程が同時に行われるが、本発明では、水溶液重合で得られた重合ゲルが機械的なゲル細粒化工程を経て粒子状重合ゲルとされることが好ましい。
本発明で水溶液重合により得られる、例えば、塊状、シート状等の重合ゲルは、解砕装置によって細粒化され、乾燥される。又、噴霧重合、滴下重合、逆相懸濁重合では、液相や気相中の分散重合によって、重合時のゲル細粒化工程を経た粒子状の重合ゲルが得られるが、そのまま乾燥してもよく、又、必要により更に解砕又は造粒して粒度を調整してもよい。
上記重合工程、特に水溶液重合で得られた重合ゲルは、そのまま乾燥を行ってもよいが、好ましくは重合時又は重合後、機械的なゲル細粒化工程、即ち、必要により解砕機(ニーダー、ミートチョパー、カッターミル等)を用いてゲル解砕され粒子状にされる。即ち、連続ベルト重合又は連続ニーダー重合による重合工程と乾燥工程との間に、重合ゲルの細粒化(以下、「ゲル解砕」とも称する)工程を更に含んでもよい。尚、逆相懸濁重合等、重合時に溶媒中での分散よってゲルが細粒化されている場合も、本発明の細粒化(重合工程の細粒化)に含むものとするが、好適には解砕機を用いて解砕される。又、細粒化(解砕)工程において、重合ゲルに対して上記添加剤等の混合やポリアクリル酸(塩)の酸基の後中和、ポリアクリル酸(塩)の後架橋を行ってもよい。最終的な中和率や内部架橋剤量は上記の範囲であり、重合後の後中和には水酸化ナトリウムや炭酸(水素)塩又はそれらの水溶液や水分散液が用いられる。又、重合後の後架橋には架橋剤(内部架橋剤)に記載される(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテルや水溶性多価金属塩等のカルボキシル基と反応できる架橋剤が適宜使用できる。
ゲル解砕時の重合ゲルの温度は、物性の面から、好ましくは40〜95℃、より好ましくは50〜80℃に保温又は加熱されてもよい。又、ゲル解砕時又は解砕後の粒子状重合ゲルの樹脂固形分は、特に限定されるものではないが、物性の面から、35〜75重量%である。尚、ゲル解砕工程においては、解砕効率向上を目的に、必要に応じて、水、多価アルコール、水と多価アルコールとの混合液、多価金属水溶液、あるいはこれらの蒸気等を添加してもよい。又、本願発明を好ましく適用できる高固形分濃度(例えば、以下の45〜70重量%)の重合ゲルを解砕する場合には、解砕装置内を通風、好ましくは乾燥空気を通気してもよい。
上記粒子状重合ゲルの好ましい粒径としては、標準篩分級により求められる重量平均粒子径(D50)が0.5〜10mmの範囲内であり、1〜5mmの範囲内、更には1〜3mm、特に1〜2mmであることが更に好ましい。本発明では、乾燥工程、特に通気乾燥機を用いた乾燥工程等で、かかる粒子状含水ゲルが気流に分散してしまう場合、上記フィルターで分離される。尚、ゲル細粒化工程において、上記の範囲内に制御する方法としては、米国特許第第6906159号、同第5275773号、同第6100305号、同第6140395号、同第6875511号、米国特許出願公開第2004/234607号、同第2005/46069号等が採用される。乾燥前の重合ゲルが粒子径1mm未満の粒子を含む場合にも、好適に本発明は適用される。
(3−4)微粉リサイクル工程
本工程は、乾燥工程及び必要により粉砕工程、分級工程で発生する微粉(特に粒子径150μm以下の粉体を70重量%以上含む微粉)を分離した後、そのままの状態で、あるいは水和して重合工程や乾燥工程にリサイクルする工程をいい、米国特許出願公開第2006/247351号や米国特許第6228930号に記載された方法を適用することができる。微粉をリサイクルすることで、吸水性樹脂の粒度を制御することができるとともに、微粉の添加によって、高固形分濃度を容易に達成することができ、更に、乾燥機の通気ベルトから、乾燥後の吸水性樹脂を容易に剥離することができるので好ましい。即ち、本発明の方法は、吸水性樹脂微粉又はその水添加物を、重合工程又は乾燥工程にリサイクルする工程を更に含むことが好ましい。
(3−5)乾燥工程
本工程は、上記重合工程やゲル細粒化工程で得られた粒子状含水ゲル状架橋重合体(重合ゲル)を乾燥して乾燥物を得る工程である。
本発明における乾燥方法としては、目的の含水率となるように種々の方法を採用することができる。例えば、伝導伝熱型乾燥機、輻射伝熱型乾燥機(例えば、赤外線乾燥)、熱風伝熱型乾燥機、誘電加熱型乾燥機(例えば、マイクロ波乾燥)、疎水性有機溶媒との共沸脱水やそれらの併用が挙げられる。これらの乾燥は減圧下で行ってもよいが、好ましくは、乾燥効率から熱風伝熱型乾燥機が用いられる。
熱風乾燥方法としては、静置状態で乾燥を行う方法、攪拌状態で乾燥を行う方法、振動状態で乾燥を行う方法、流動状態で乾燥を行う方法、気流で乾燥を行う方法等がある。これらの中でも、効率面から、流動層乾燥又は静置乾燥(更には通気バンド乾燥)、更には連続静置乾燥(連続通気バンド乾燥)を用いた熱風乾燥が使用される。これらの熱風乾燥において、好ましく本発明を適用することができる。又、連続通気バンド乾燥等の通気バンド乾燥では、多室を有する連続通気バンド式乾燥装置等の通気バンド式乾燥装置を使用することが好ましい。即ち、乾燥工程において、多室を有する連続通気バンド式乾燥機を使用することが好ましい。これにより、粒子状含水ゲル状架橋重合体(重合ゲル)に吹き付ける熱風の温度、露点、風量を多段階に変化させることが可能である。この際、乾燥室数としては、5室以上が好ましく、6室以上がより好ましく、8室以上が特に好ましい。上記乾燥室の各部屋の大きさ(言い換えれば、ベルトの進行方向に対する長さ)は、同じでも異なっていてもよい。又、上記熱風は、重合ゲルのゲル層を上下(上から下向き、又は下から上向き)に通過できるように、吹き付けられる。尚、乾燥室数の上限は生産量等により適宜設定すればよいが、通常20室程度で十分である。尚、多室を有する通気バンド型乾燥機は、前記特許文献28(米国特許出願公開第2008/0214749号明細書)、特許文献31(特開平8−73518号及びその日本国特許第2700531号公報)の図2や非特許文献1(Modern Superabsorbent Polymer Technology(1998))のFig.3.6に示されている。尚、上記通気型乾燥装置(通気バンド乾燥機)を日本国内において製作、販売しているメーカーとしては、栗本鉄工所、クメタ製作所、(株)ダルトン、フジパウダル(株)、大川原製作所等が例示される。
従来技術として、通気乾燥機、特に通気バンド式乾燥機を用いる吸水性樹脂の乾燥方法は、上記特許28〜32、その他、本願の基礎出願時2010年6月8日には未公開であった国際公開第2011/025012号(PCT出願日2010年8月30日)、同第2011/025013号(同)、また、現在も未公開の先願PCT/JP2011/051004号(PCT出願日2011年1月20日)、PCT/JP2011/051003号(同)等に記載されている。しかし、特許文献31の図2や非特許文献1のFig3.6を含め、従来技術では本願フィルター、特に、高温ガス気流を再加熱前の金属メッシュ、再加熱後のパンチングメタルやその特定口径・開孔率を開示しない。尚、通気バンド式熱風乾燥機での乾燥は、一般に大量(量・時間)の乾燥が必要であり、従って、後述の実施例のように、バッチ式の静置通気乾燥機をモデルとして実験を行ってもよい。
通気バンド式熱風乾燥機等の通気型連続式乾燥装置を用いた工業的スケールでの実験(乾燥条件の設定)には、一般に大量の連続乾燥(特に0.5[t/hr]以上、更には1[t/hr]以上、5[t/hr]以上)及び数時間又は数日の生産が必要である。しかしながら、乾燥条件を一定にした場合に得られる吸水性樹脂粉末の物性は、連続乾燥と、バッチ式乾燥とで、ほぼ同じ挙動を示すので、通気型連続乾燥のシミュレーション実験として、バッチ式乾燥を採用することができる。つまり、通気型連続乾燥のモデル実験として小スケール(1バッチ当り、数kg〜数10kg)で乾燥実験を行い、大スケールでの連続乾燥と、小スケールでのバッチ乾燥との相関を確認しつつ、通気バンド式熱風乾燥機の運転条件を決定することができるのである。例えば、後述の実施例の通気型静置バッチ式乾燥機における乾燥条件を、そのまま、通気バンド式熱風乾燥機における乾燥工程に適用することも可能である。このように、通気静置バッチ式乾燥機における乾燥結果をもとに、通気バンド式熱風乾燥機の乾燥条件を決定することで、単位時間あたりの乾燥量が10倍以上、100倍以上、200〜1万倍のスケールアップが容易となる。
又、乾燥機として、通気バンド式熱風乾燥機又は通気静置バッチ式乾燥機の何れを使用した場合であっても、乾燥工程の熱風温度範囲及び風量が特定の範囲とする限りにおいては、同様に本発明の効果が達成できる。即ち、通気バンド式熱風乾燥機又は通気静置バッチ式乾燥機の何れを使用した場合であっても、乾燥条件を適宜選択することで、吸収物性の低下(例えば、吸水速度(FSR)の低下)や着色或いは乾燥効率や収率の低下を抑制することができる。
熱風乾燥を行う乾燥機は通常、ガス気流を発生させるファン、ガスを加熱する熱交換器と重合体を乾燥する乾燥室を持ち、パイプ等でつながれている。重合体は通常、乾燥室においてパンチングメタルや網等により保持されている。連続静置乾燥においてはパンチングメタルや網が連続ベルトを形成している。
尚、通常、流動層乾燥機は、通気バンド式乾燥機に比して風量及び含水ゲルの飛散量が多いため、フィルターのみでは目詰まりを起こす可能性がある。そこで、本発明を流動層乾燥機に適用する場合には、先ずサイクロンで高温ガス気流中の含水ゲルを回収し、その後、更に該高温ガス気流中に残存した含水ゲルをフィルターで分離、及び必要により回収することが好ましい。サイクロンを有する流動層乾燥機を利用する吸水性樹脂の製造方法については、前記特許文献33(国際公開第2009/028568号及びその米国特許出願公開第2010/0249320号明細書)に開示されている。ただし、サイクロンでの捕集率や高温ガス気流に含まれる含水ゲルによる着色異物に関する記載はない。
乾燥温度は、通常100〜250℃、好ましくは100〜220℃、より好ましくは120〜200℃、特に150〜190℃、特に160〜190℃の温度範囲(熱風温度)で行われる。乾燥室を通過する熱風の風速は、重合体があまり吹き飛ばされないような範囲で、できるだけ速い方が効率的であり、0.1〜5[m/s]、好ましくは0.5〜3[m/s]、1.0〜2.9[m/s]、1.2〜2.8[m/s]である。風速が0.1[m/s]を下回ると、乾燥後の吸水速度の低下や所定の含水率まで乾燥するのに必要な時間が長くなりすぎて、乾燥機が巨大になるおそれがある。一方、風速が5[m/s]を超えると、乾燥室から飛び出す重合体が多くなり、安定的な運転が難しくなる可能性がある。乾燥時間は、重合体の表面積、含水率、及び乾燥機の種類、風量に依存し、目的とする含水率になるよう選択される。例えば、乾燥時間は、1分〜1時間の範囲内で適宜選択すればよい。
含水ゲル等に接触させる気体は、好ましくは水蒸気を含有し、その露点は、乾燥方法や目的により変更できるが、好ましくは30〜100℃の露点、より好ましくは30〜90℃の露点を有する。この範囲に制御することで乾燥中の重合ゲルの飛び散り、落下を抑えたり、残存モノマーを低減できたりする。尚、露点は少なくとも含水ゲル等の含水率が少なくとも10重量%、好ましくは20重量%以上の時点での値とする。
本発明は少なくとも一部で上向きのガスを吸水性樹脂に当てるとき、より効果を発揮する。尚、通気バンド乾燥機や静置乾燥機等において、下向きのガスを用いた場合、吸水性樹脂にガスが当たったのち、吸水性樹脂が保持されているパンチングメタルや網をガスが通過することになるが、これらと本発明のフィルターは別概念である。通気バンド乾燥機で用いられる、吸水性樹脂が保持されているパンチングメタルや網の好ましい穴の大きさ、好ましい落下飛散率は、乾燥効率の観点から下記の通りである。このときパンチングメタルや網は重合ゲル又は乾燥物の落下飛散が起こりうる構造であるため、通常本発明のフィルターとしての効果は発揮しない。
この乾燥により得られる乾燥物(親水性架橋重合体)の固形分量は、好ましくは85〜97重量%、より好ましくは90〜97重量%に上昇する。
(3−6)更に好ましい乾燥方法
本発明では上記制御することに特徴があるが、通気バンド乾燥において、更に好ましい乾燥方法を述べる。
(a)乾燥装置
本発明で用いられる乾燥装置として、通気乾燥機、特に通気バンド式乾燥機(ベルト式乾燥機)が好ましく用いられるが、必要に応じて、他の乾燥機を用いてもよい。具体的には、伝導伝熱型乾燥機、輻射伝熱型乾燥機、熱風伝熱型乾燥機、誘電加熱乾燥機等の1種又は2種以上が挙げられ、これらの中でも乾燥速度の観点から、熱風伝熱型乾燥機(以下、「熱風乾燥機」と称する)が好ましく用いられる。上記熱風乾燥機としては、通気ベルト(バンド式)、通気回路式、通気竪型式、平行流ベルト(バンド)式、通気トンネル式、通気溝型攪拌式、流動層式、気流式、噴霧式等、各種の熱風乾燥機を挙げることができるが、本発明では物性制御の観点から、通気ベルト式乾燥機(バンド式乾燥機)を使用する。他の形式の乾燥機を併用することもできるが、通気ベルト式乾燥機(バンド式乾燥機)のみを使用することが好ましい。
本発明で用いられる上記通気ベルト式乾燥機が、そのベルト長が好ましくは5〜100m、より好ましくは10〜70m、更に好ましくは20〜60mである通気ベルトをエンドレス型にしたものが使用される。又、ベルト幅についても、制限されないが、通常0.5〜10m、好ましくは1〜5mの範囲内で適宜決定される。更に、ベルト長とベルト幅の比についても、目的に応じて適宜決定すればよいが、通常、ベルト幅よりベルト長が長く、3〜500倍が好ましく、5〜100倍がより好ましい。
上記通気ベルトとして、例えば、目開き45〜1000μm、より好ましくは150〜500μmの金網やパンチングメタル等が挙げられるが、本発明の効果を発揮するには、パンチングメタルが好ましく使用される。尚、上記パンチングメタルを使用してバッチ式で乾燥する場合は、パンチングプレートと称することがある。
上記パンチングメタルの孔の形状は上記フィルターにも記載のように特に限定されない。
本発明において、重合ゲルの移送速度は、ベルト長、ベルト幅、生産量、乾燥時間等により適宜調整することができるが、ベルト駆動装置の負荷、耐久性等の観点から、0.3〜5[m/min]が好ましく、0.5〜2.5[m/min]がより好ましく、0.5〜2[m/min]が更に好ましく、0.7〜1.5[m/min]が特に好ましい。移送速度を上記範囲内とすることで、落下飛散率を低く制御することができる。又、上記移送速度が上記範囲を超える場合、装置の耐久性が低下する上に、装置の振動が激しくなり落下飛散率が高くなるため、好ましくない。上記範囲を下回る場合は、生産性が劣るため、好ましくない。
本発明を達成するうえでは、乾燥条件(乾燥温度、露点、風量)を多段階的に変化させることが好ましい。そのため、本発明では多室を有する通気ベルト式乾燥機が使用され、好ましくは5室以上、より好ましくは6室以上、更に好ましくは8室以上を有する連続通気ベルト式乾燥機が好ましい。上限については、生産量等で適宜設定されるが、通常、20室程度で十分である。
(b)開孔率及び孔
本発明で使用される通気バンド式乾燥機の通気ベルトの「開孔率」とは、通気ベルトの表面全体の面積に対する金網又はパンチングメタルの全孔面積の比(百分率)をいう。
本発明において、上記開孔率は、落下飛散率を低く制御するために、15〜50%が好ましく、20〜45%が更に好ましい。開孔率が上記範囲から逸脱する場合、落下飛散率が低くなるばかりか、吸水性樹脂の物性が低下し、更に乾燥効率や連続乾燥性が低下する傾向にある。
尚、本発明において、パンチングメタルの孔は、下記の特定の大きさを有することが好ましい。即ち、孔ひとつ当たりの面積(複数種類の孔を有する場合は、平均面積として規定)は、重合ゲル一粒の断面積より大きいことが好ましく、2〜100倍、より好ましくは4〜50倍の範囲である。又、孔の最大開孔距離(孔の形状が円形であれば直径、楕円形であれば長径をさす)は、重合ゲルの重量平均粒子径(D50)より大きいことが好ましく、2〜100倍、より好ましくは4〜50倍の範囲である。更に、孔の平均開孔面積は、好ましくは5〜500mm2であり、より好ましくは10〜100mm2であり、更に好ましくは15〜50mm2である。パンチングメタルの孔の大きさが上記範囲より小さい場合、乾燥効率が低下し、大きい場合は乾燥物の落下飛散率が上昇するため好ましくない。
又、本発明において、重合ゲルの少なくとも一部、好ましくは1〜50重量%が、パンチングメタルの孔より小さいことが好ましい。尚、従来から金網(例えば、目開き300μm)上で重合ゲル(例えば、1〜2mm)を乾燥する技術は知られていたが、従来技術より大きな孔を有する通気ベルトを使用しながらも、落下飛散率を低く制御することができる。本発明によって、高濃度の単量体水溶液を重合する場合であっても、物性を維持、向上し、着色のない、乾燥ムラや収率低下のない吸水性樹脂を得ることができる。
(c)重合ゲルの厚み
本発明において、通気ベルト上に積層する重合ゲルの厚みとその状態について、特に限定されないが、均一乾燥及び物性維持の観点から、厚みを均一とすることよりも厚み方向に変化をもたせて、通気ベルト上で乾燥させることが好ましい。具体的には、重合ゲルの幅方向の厚み変化率(1)(以下、「厚み変化率(1)」と称する)を1.05〜5とすることが好ましく、重合ゲルの幅方向の厚み変化率(2)(以下、「厚み変化率(2)」と称する)を1.05〜3.00とすることが好ましい。尚、上記厚み変化率(1)、及び厚み変化率(2)は次式によって定義される。
重合ゲルの幅方向の厚みとは、連続可動する通気ベルトの進行方向に対して鉛直方向の断面での厚みであり、上述した通気ベルトの進行方向の一定区間で測定した幅方向の重合ゲルの厚みである。即ち、本発明の重合ゲルの厚みは、通気ベルト上で乾燥が開始する前の厚み、言い換えれば、重合ゲルの固形分濃度が上昇するまでのゲル厚みである。尚、「固形分濃度が上昇するまで」とは、乾燥前の重合ゲルの固形分濃度に対して、固形分濃度が1重量%上昇するまでのことであり、より好ましくは0.5重量%上昇するまで、更に好ましくは0重量%を超える範囲で上昇するまでのことをいう。
落下飛散率を制御するため、通気ベルト上に積層される重合ゲルの厚みの平均値は、通常1〜30cm、好ましくは2〜20cm、より好ましくは5〜15cm、特に好ましくは7〜13cmに制御される。更に、通気ベルト上の重合ゲルの厚み、即ち重合ゲルの厚みの上下限は0〜30cmであり、好ましくは5〜20cm、より好ましくは8〜15cm、特に好ましくは9〜11cmの範囲とされ、その範囲で前記厚みに変化をもたせればよい。
(d)面積占有率
本発明の製造方法において、面積占有率とは、乾燥工程初期における通気ベルトの面積(A)に対する、重合ゲルの積層物が通気ベルト面上を占める面積(B)の比(百分率)をいう。即ち、乾燥工程初期の一定区間の長さと幅の積から求められる面積(A)と、その区間内に散布される粒子状含水ゲルの積層物が占める面積(B)とから、次式にしたがって、面積占有率が規定される。
上記面積占有率は、ゲル厚み測定と同時に測定することができ、重合ゲルの通気バンド上への散布が終了してから、通気ベルト上の重合ゲルが乾燥を開始するまでの一定区間に、該ベルト面上を占めている割合である。換言すれば、重合ゲルの固形分濃度が上昇(上限値として、1重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がより好ましく、特に0重量%を超えることが好ましい)するまでの重合ゲルがベルト面上を占めている割合であり、通気ベルトの両端を含めた長方形又は正方形を、重合ゲルが占める割合である。
即ち、上記「一定区間」とは、具体的には、重合ゲルの通気バンド上への散布が終了してから、通気ベルト全体の長さ(エンドレス形式の場合は、通気ベルトの先端から終端までの距離で規定)の1/50(LL50)〜1/10(LL10)の長さ、又は、前記通気ベルトが乾燥開始時を始点として0.5分間に進行する通気ベルトの長さ(LT0.5)〜1分間に進行する通気ベルトの長さ(LT1.0)、のいずれかによって定められる長さだけ該通気ベルトの進行方向に向かった範囲である。この範囲(区間)の長さとベルトの幅を掛けて求められる面積を、面積(A)とする。また、面積(B)は、上記面積(A)の領域のうち重合ゲルが占める面積、即ち、上記面積(A)の対応する範囲(区間)と重合ゲルを散布した幅を掛けて求められる面積である。
重合ゲルが通気ベルト上に散布される前の面積占有率は0%であり、又、重合ゲルの散布途中を含め、散布前又は途中の区間は、本発明の規定の対象外とする。更に、重合ゲルをトラバースフィーダーや振動フィーダーを用いて散布する場合、通気ベルト上で円弧を描くように積層されるが、このような場合、円弧を含まない区間で上記面積占有率を規定する。
本発明において、上記面積占有率は、落下飛散率の制御という観点から通常85〜100%であり、好ましくは87〜100%、より好ましくは87〜99%、更に好ましくは90〜98%、特に好ましくは93〜97%である。尚、上記面積占有率が上記範囲を外れる場合、吸水性樹脂の物性低下が認められ、更に乾燥効率や連続乾燥性が低下する傾向が認められるため好ましくない。
通気ベルト上での非占有箇所は適宜決定され、中央部、両端部、中間の一定位置に重合ゲルを積層しない部分を設ければよく、好ましくは両端部に重合ゲルを設置しない一定領域が設けられる。又、上記面積占有率を周期的に変化させる場合は、その平均値で規定するが、乾燥に供している時間(乾燥時間)に対して、60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは100%が、上記範囲の面積占有率を有していることが好ましい。
(e)落下飛散率
本発明において「落下飛散率」とは、乾燥工程において通気ベルトに供給された重合ゲルが、乾燥終了後に通気ベルトから所定位置で排出され、次工程に搬送されるまでの間に、ベルト外へ散逸(通常、重合ゲルやその乾燥物の落下と飛散の合計量)される重合ゲルの比率のことである。尚、落下飛散率は次式により求められる。
あるいは、
これらの測定法は適宜選択されるが、簡便で正確な方法として、落下飛散率は乾燥ベルトから落下あるいは飛散した乾燥ゲル又はその乾燥物の重量を実測することで求めることできる。
落下飛散率は、特に制限されないが、低いことが好ましい。具体的には、落下飛散率(1)は、1%以下であることが好ましく、0〜0.5%であることがより好ましい。同様にして、落下飛散率(2)は、1%以下であることが好ましく、0〜0.5%であることがより好ましい。
含水ゲルの落下飛散率を制御する具体的手段としては、上述した方法(ベルトの移送速度、含水ゲルの厚み、面積占有率、開孔率)等を用いて、落下飛散率を上記範囲に制御できれば限定されないが、上述した方法やその他、特に、通気ベルト上に積層された重合ゲルを乾燥初期に凝集させる手段、いわば凝集区間を備えること、いわゆる、凝集処理が重要であり、例えば、凝集処理として下記(A)〜(E)等の方法が例示でき、それらを併用してもよい。
(A)乾燥初期の乾燥速度を抑制して凝集時間を確保する方法
(B)乾燥初期に乾燥室内の湿分を上げて凝集を促進させる方法
(C)乾燥初期に圧着装置を設けて強制的に凝集させる方法
(D)乾燥初期に凝集剤を噴霧して強制的に凝集させる方法
(E)重合ゲルを冷却して凝集させる方法
(3−6)冷却工程
本発明における乾燥物は好ましくは冷却工程で強制的に冷却される。強制冷却温度としては、本発明を達成する上で乾燥物の温度が95℃以下、好ましくは85〜35℃、より好ましくは80〜40℃、更に好ましくは70〜45℃の範囲に強制冷却される。
(3−7)粉砕・分級工程
本工程は、上記乾燥工程で得られた乾燥物を、粉砕・分級して、吸水性樹脂を得る工程である。
本発明では、乾燥工程の後に凝集した乾燥物の粉砕工程を任意にもつ。ここで、「粉砕」とは得られた乾燥物が凝集物(ブロック状物)である場合、流動性のある粒子状にする機械的操作であり、更に、凝集物を構成する乾燥粒子の物理的破壊や粒径の有意な減少にまでは至らず、数mm〜数10程度mmにまで軽く凝集を解す機械的操作である。特に乾燥物が3mm以上の乾燥粒子ないし凝集物を含む場合、特に5重量%以上含む場合に好適に適用される。
本発明で粉砕方法としては、乾燥物やその凝集物(ブロック状物)を流動性のある粒子状、好ましくは重量平均粒子径(D50)を2mm以下の粒子状にできれば、特に限定されるものではなく、例えば、ハンマー式粉砕機、ジェットガス式粉砕機等を用いて粉砕する方法、従来公知の種々の粉砕ないし解砕方法の1種又は2種以上を用いることができる。
乾燥物は、粒径制御のため、粉砕、及び分級される。これらの方法については、例えば、米国特許出願公開第2006/024755号に記載されているが、種々の粉砕方法を用いることができ、限定されるものではない。
粉砕により得られた粒子状吸水性樹脂は、分級工程で、重量平均粒子径(D50)としては200〜600μm、好ましくは200〜550μm、より好ましくは250〜500μm、特に好ましくは350〜450μmに調整され、衛材向けであれば、その後に通常は表面架橋が施される。分級工程により得られる吸水性樹脂は、衛材向けであれば、好ましくは150μm以上850μm未満の粒子が80〜99重量%、更には90〜99重量%を占めるように粉砕される。
粉砕工程で発生し、分級工程で分離された微粉は必要により、上記リサイクルされる。上記表面架橋前の粒子状吸水性樹脂の粒度は好ましくは表面架橋後更には最終製品にも適用され、表面架橋後に再度分級してもよい。
(3−8)表面架橋工程
本発明において、上記の(3−7)分級工程で得られた吸水性樹脂は、従来から知られている表面架橋工程を経て、より衛生材料向けに好適な吸水性樹脂とすることができる。表面架橋とは、吸水性樹脂の表面層(表面近傍、吸水性樹脂表面から通常は数10μm前後)に更に架橋密度の高い部分を設けることであり、表面でのラジカル架橋や表面重合、表面架橋剤との架橋反応等により形成することができる。
本発明に用いることができる表面架橋剤としては、種々の有機架橋剤又は無機架橋剤を例示することができるが、物性や取り扱い性の観点から、カルボキシル基と反応し得る架橋剤が好ましい。例えば、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、多価アミン化合物又はそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、モノ,ジ又はポリオキサゾリジノン化合物、多価金属塩、アルキレンカーボネート化合物等が挙げられる。
より具体的には、米国特許第6228930号、同第6071976号、同第6254990号等に例示されている化合物を挙げることができる。例えば、モノ,ジ,トリ,テトラ又はポリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,3,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン等の多価アミン化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;上記多価アミン化合物と上記ハロエポキシ化合物との縮合物;2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン化合物;エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート化合物;オキセタン化合物;2−イミダゾリジノンのような環状尿素化合物等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
表面架橋剤の使用量は、用いる化合物やそれらの組み合わせ等にもよるが、吸水性樹脂粒子100重量部に対して、0.001〜10重量部の範囲内が好ましく、0.01〜5重量部の範囲内がより好ましい。本発明において、表面架橋剤とともに水が使用され得る。この際、使用される水の量は、吸水性樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。又、本発明において、水以外に、親水性有機溶媒を用いることも可能である。この際使用される親水性有機溶媒の量は、吸水性樹脂粒子100重量部に対して、0〜10重量部、好ましくは0〜5重量部の範囲である。又、吸水性樹脂粒子への架橋剤溶液の混合に際し、本発明の効果を妨げない範囲、例えば、0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0〜1重量%で、水不溶性微粒子粉体や界面活性剤を共存させてもよい。好ましい界面活性剤やその使用方法は、例えば、米国特許第7381775号明細書に例示されている。
上記表面架橋剤の添加は、種々の手法で行うことができる。ただし、表面架橋剤を、必要により水及び/又は親水性有機溶媒と予め混合した後、粒子状吸水性樹脂に噴霧あるいは滴下混合する方法が好ましく、噴霧する方法がより好ましい。
表面架橋剤を混合後の吸水性樹脂は、好ましくは加熱処理され、必要によりその後に冷却処理される。加熱温度は、好ましくは100〜250℃、より好ましくは150〜250℃の範囲である。又、加熱時間は、好ましくは1〜120分の範囲である。加熱処理は、通常の乾燥機又は加熱炉を用いて行うことができる。このとき高温のガスを吸水性樹脂に当てて加熱する装置で、加熱されたガスを吸水性樹脂に当てた後、高温のガスを再使用する場合は、本発明を適用する。即ち100℃のガスを吸水性樹脂に当てた後、このガスを再使用する場合はフィルター又は金網を通す。
加熱されたガスの風速は好ましくは0.01〜1[m/s]、より好ましくは0.05〜0.7[m/s]である。表面架橋に用いる吸水性樹脂は通常、150〜850μmの粒径をもつものが好ましくは50〜100重量%、更に好ましくは70〜95%含まれているため、ガスの風速が1[m/s]を超えると吸水性樹脂がガスによって飛ばされてしまう。一方0.01[m/s]未満では伝熱効率の悪化が見られる。
又、本発明における表面架橋処理の別の形態としては、ラジカル重合性化合物を含む処理液を粒子状吸水性樹脂に添加した後に、活性エネルギーを照射して表面架橋処理する方法が挙げられ、例えば、米国特許第7201941号に記載されている。又、上記処理液に界面活性剤を添加し、活性エネルギーを照射して表面架橋処理することもできる。更に、本発明における表面架橋処理の別の形態としては、過酸化物ラジカル開始剤を含む水性溶液を粒子状吸水性樹脂に添加した後に、加熱して表面架橋処理する方法が挙げられ、例えば米国特許第4783510号に記載されている。
(3−9)添加工程
粒子状吸水性樹脂は、重合中又は重合後に、滑剤、キレート剤、消臭剤、抗菌剤、水、界面活性剤、水不溶性微粒子、酸化防止剤、還元剤等が吸水性樹脂に0〜30重量%、更には0.01〜10重量%程度で添加混合されうる。好適に使用できるキレート剤は米国特許第6599989号、国際公開第2008/090961号等に、界面活性剤や滑剤は米国特許第6107358号、同第7473739号等に例示されている。
〔4〕吸水性樹の物性
本発明の吸水性樹脂は、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を主成分とし、衛生用品、特に紙オムツへの使用を目的とする場合、上述した重合方法や表面架橋方法等によって得られる。更に得られる吸水性樹脂は、下記(4−1)〜(4−7)に挙げた各物性のうち、少なくとも1以上の物性を制御することが好ましく、更にはAAPを含めた2以上、特に3以上の物性を制御することが好ましい。吸水性樹脂が下記の各物性を満たさない場合、40重量%以上の吸水性樹脂濃度を有する高濃度オムツでは十分な性能を発揮しないおそれがある。
(4−1)初期色調
本発明で得られる吸水性樹脂は、紙オムツ等の衛生用品の原材料として使用するため、白色粉末であることが好ましい。したがって、分光式色差計によるハンターLab表色系測定において、初期色調として、L値(Lightness/明度)が、85以上が好ましく、87以上がより好ましく、89以上が更に好ましい。又、a値は、−2〜2が好ましく、−1〜1がより好ましく、−0.5〜1が更に好ましく、0〜1が特に好ましい。更に、b値は、−5〜10が好ましく、−5〜5がより好ましく、−4〜4が更に好ましい。尚、上記L値の上限は100であるが、85以上を示せば、衛生用品等において色調による問題が発生しない。又、YI(Yellow Index)値は、10以下が好ましく、8以下が好ましく、6以下がより好ましい。更に、WB(White Balance)値は、70以上が好ましく、75以上がより好ましく、77以上が更に好ましい。
上記初期色調とは、製造後の粒子状吸水剤の色調を指し、一般的には工場出荷前に測定される色調をいうが、30℃以下、相対湿度50%RHの雰囲気下での保存であれば、製造後1年以内に測定される色調でもよい。
又、本発明の吸水性樹脂は、長期保存時の経時着色を評価する促進試験において、高温多湿下での保存でも十分な白色度を示す。
(4−2)AAP(加圧下吸水倍率)
本発明で得られる吸水性樹脂のAAP(加圧下吸水倍率)は、紙オムツでのモレを防止するため、上記乾燥を達成手段の一例として、1.9kPa、更に好ましくは4.8kPaの加圧下において、20[g/g]以上が好ましく、22[g/g]以上がより好ましく、24[g/g]以上が更に好ましい。AAPの上限値は、特に限定されないが、他の物性とのバランスから40[g/g]以下が好ましい。上記AAPが20[g/g]未満の場合、かような吸水性樹脂を吸収体に使用すると、吸収体に圧力が加わった際の液の戻り(通常、「リウェット(Re−Wet)」とも称される)が少ない衛生用品を得ることができないおそれがあるため、好ましくない。
(4−3)SFC(生理食塩水流れ誘導性)
本発明で得られる吸水性樹脂のSFC(生理食塩水流れ誘導性)は、紙オムツでのモレを防止するため、上記乾燥を達成手段の一例として、加圧下において、1[×10-7・cm3・s・g-1]以上が好ましく、10[×10-7・cm3・s・g-1]以上がより好ましく、50[×10-7・cm3・s・g-1]以上が更に好ましく、70[×10-7・cm3・s・g-1]以上が特に好ましく、100[×10-7・cm3・s・g-1]以上が最も好ましい。SFCの上限値は、特に限定されないが、3000[×10-7・cm3・s・g-1]以下が好ましく、2000[×10-7・cm3・s・g-1]以下がより好ましい。上記SFCが3000[×10-7・cm3・s・g-1]を超える場合、かような吸水性樹脂を吸水体に使用すると、吸水体で液漏れが発生するおそれがあるため、好ましくない。
(4−4)CRC(無加圧下吸水倍率)
本発明で得られる吸水性樹脂のCRC(無加圧下吸水倍率)は、10[g/g]以上が好ましく、20[g/g]以上がより好ましく、25[g/g]以上が更に好ましく、30[g/g]以上が特に好ましい。CRCの上限値は、特に限定されないが、他の物性とのバランスから、50[g/g]以下が好ましく、45[g/g]以下がより好ましく、40[g/g]以下が更に好ましい。上記CRCが10[g/g]未満の場合、吸水性樹脂の吸水量が低く、紙オムツ等、衛生用品中の吸収体への使用に適さないおそれがある。又、上記CRCが50[g/g]を超える場合、かような吸水性樹脂を吸収体に使用すると、液の取込み速度に優れる衛生用品を得ることができないおそれがあるため、好ましくない。
(4−5)Ext(水可溶分)
本発明で得られる吸水性樹脂のExt(水可溶分)は、35重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましく、15重量%以下が更に好ましく、10重量%以下が特に好ましい。上記Extが35重量%を超える場合、得られる吸水性樹脂のゲル強度が弱く、液透過性に劣ったものとなるおそれがある。又、かような吸水性樹脂を吸水体に使用すると、吸水体に圧力が加わった際の液の戻り(リウェット)が少ない吸水性樹脂を得ることができないおそれがあるため、好ましくない。
(4−6)Residual Monomers(残存モノマー)
本発明で得られる吸水性樹脂のResidual Monomers(残存モノマー)は、安全性の観点から、上記乾燥を達成手段の一例として、通常500ppm以下、好ましくは0〜400ppm、より好ましくは0〜300ppm、更に好ましくは0〜200ppmに制御される。
(4−7)含水率
本発明で得られる吸水性樹脂の含水率は、吸水速度や耐衝撃性の観点から、上記乾燥を達成手段の一例として、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは1〜8重量%に調整される。
〔5〕吸水性樹脂の用途
本発明にかかる製造方法により得られる吸水性樹脂の用途は、特に限定されず、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パット等の衛生用品、農園芸用保水剤、廃液固化剤や、工業用止水材等、吸収性物品に使用することができる
本発明で得られる吸水性樹脂は、吸水性樹脂を高濃度に使用する吸収性物品で、特に優れた性能が発揮される。即ち、該吸収性物品中の吸収体における吸水性樹脂の含有量(コア濃度)は、30〜100重量%が好ましく、40〜100重量%がより好ましく、50〜100重量%が更に好ましく、60〜100重量%が更により好ましく、70〜100重量%が特に好ましく、75〜95重量%が最も好ましい。該コア濃度を上記範囲内とすることで、本発明の効果をより発揮することができるため、好ましい。特に、本発明で得られる吸水性樹脂を上記コア濃度の範囲内で吸収体上層部分に使用する場合、高通液性(加圧下通液性)のため、尿等の吸収液の拡散性に優れ、効率的な液分配によって、紙オムツ等、吸収性物品全体の吸収量が向上するため、好ましい。更に、衛生感のある白色状態が保たれた吸収性物品を提供することができるため、好ましい。
〔実施例〕
以下に、製造例、実施例、比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。異なる実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例についても、本発明の範囲に含まれる。
〔物性の測定方法〕
下記において、特に断りの無い限り、〔1〕用語の定義に示した測定方法に準じて測定した。
<粒径>
粒径の分布及び重量平均粒子径(D50)は、米国特許出願公開第2006/204755号に準じてJIS標準篩にかけることにより測定した。
<含水ゲルの重量平均粒子径(D50)>
特開2000−63527号公報の段落〔0091〕に記載の、湿式の分級方法を用いて測定した。
<固形分(樹脂固形分)>
固形分(樹脂固形分)とは、吸水性樹脂中の180℃、3時間で揮発しない成分が占める割合を表し、含水率とは以下の関係を有する。
尚、固形分(樹脂固形分)は、以下の操作により測定した。
底面の直径が4cm(約5cm)、高さ2cmのアルミ製カップに、吸水性樹脂1.00gを該アルミ袋カップ底面に均一に広げ、アルミ製カップ全体の重さ[W1(g)]を測定した。これを180℃に調温した熱風乾燥機中に3時間放置し、熱風乾燥機から取り出した直後(少なくとも1分以内)のアルミ製カップ全体の重さ[W2(g)]を測定した。そして、これらW1、W2から、次式に従って全体含水率(重量%)を算出した。
<FSR(吸水速度)>
国際公開第2009/016055号に開示された測定方法に準じて、吸水性樹脂1.00gについて、20gの生理食塩水に対するFSR(吸水速度)[g/g/s]を求めた。
〔製造例1〕
アクリル酸(メトキシフェノール 70ppm含有)、48重量%水酸化ナトリウム水溶液、工業純水、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量523)、及びジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム水溶液を混合して作成した単量体水溶液に過硫酸ナトリウムを加えた。単量体水溶液中の単量体成分の濃度は53重量%、アクリル酸の中和率は70モル%、ポリエチレングリコールジアクリレートの濃度は0.017モル%(対単量体成分)、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウムの濃度は50ppm(対単量体成分)、過硫酸ナトリウムの添加量は0.017モル%(対単量体成分)、過硫酸ナトリウム添加時の単量体水溶液温度は95℃であった。重合は速やかに進み、重合ゲルが得られた。重合ゲルはカッターミル((有)吉工製 RC250型)により粉砕(細粒化)された(重合ゲル1)。粉砕(細粒化)後のゲル粒径は平均ゲル粒径D50が2.0mm、粒径が1mm以下の粒子が10重量%含まれていた。又、得られた粉砕後の重合ゲル(含水ゲル状架橋重合体)1の固形分濃度は70重量%であった。
〔実施例1〕
直径13cm、高さ50cmの乾燥室をもつバッチ式の熱風乾燥機(目開き300μm及び開孔率36%のステンレス製メッシュ上で重合ゲル及び乾燥物を保持)を予め速度2.0[m/s]、温度180℃の上向きの気流(空気)で予熱しておいた。このとき熱交換機の温度は220℃であった。尚、この乾燥機の排気ラインにはフィルター(目開き150μmの開口を持つメッシュ、ステンレス製;1つの孔あたりの開孔面積=0.02mm2;開孔率=36%(目開き150μm、線径100μm))が付けられており、気流がフィルターを通過する際の温度は90℃であった。更にフィルターの後で排気ラインが枝分かれし、排気ラインを通った一部のガスが乾燥機外部へ排出され、残りのガスは上記熱交換機で180℃に再加熱されて、この乾燥機を循環するようになっている。尚、本乾燥工程中、高温ガス気流の循環率は80%となるように調節した。重合ゲル1を上記乾燥機に入れたところ、ゲル層の高さは10cmであった。重合ゲルの大部分は塊状となり流動しなかったが、細かい含水ゲルが気流により浮いているのが確認された。1時間乾燥したのち、気流を停止し、フィルターに捕捉された吸水性樹脂粒子を確認したところ、150μm以上850μm未満の粒径をもつ粒子が57重量%、850μm以上の粒径をもつ粒子が0.1重量%含まれていた。
上記乾燥により得られた乾燥物をロールミルで粉砕し、更に目開きが850μmと150μmの標準篩で分級することにより、粒子径が150μm以上850μm未満の粒子状吸水性樹脂(1)を得た。この粒子状吸水性樹脂(1)の固形分量は、約96重量%、CRCは33[g/g]であった。
フィルターに捕捉された吸水性樹脂粒子は乾燥物の0.05重量%を占めていた。尚、粒子状吸水性樹脂(1)に対しては0.06重量%であった。この乾燥機の排気を熱交換機温度220℃で再加熱したが目視で着色異物はなかった。又、1ヶ月の乾燥(バッチ乾燥の繰り返し運転 200回)も安定的に行えた。
〔比較例1〕
フィルターを取り外した以外は実施例1と同様に操作した。乾燥機の排気中の粒子を採取し、220℃で再加熱すると目視で茶色い着色異物が確認された。又、1ヶ月の乾燥(バッチ乾燥の繰り返し運転 200回)を行ったところ、乾燥効率が徐々に低下した。
〔実施例2〕
製造例1で得られた重合ゲル1を、通風式バンド乾燥機のベルト上に首振り式ベルトでほぼ均一なゲル層高(ゲル層高さ:70mm)になるように展開した。この通風式バンド乾燥機は6室からなり、各室5分、合計30分の滞留時間を持つようベルトスピードを制御した。重合ゲルあるいは吸水性樹脂は長さ3mm、幅1mmのほぼ長方形の穴が多数開いているパンチングプレートにより保持されており、開孔率は30%であった。又、面積占有率は95%であった。各室の熱風(高温ガス気流)の温度、風速、及び風向は以下の通り制御した。尚、熱風の温度は重合ゲルに接触する直前で測定した。尚、上記通風式バンド乾燥機の6室内の環境は下記のように調節された。
第1、2室は図1に、第3〜6室は図3に示すような構造を持つ。各室において、熱風を重合ゲルに当てた後、その熱風はメッシュ状のステンレス製フィルター(1つの孔あたりの開孔面積=0.02mm2;開孔率=36%(目開き150μm、線径100μm))を通して、220℃の熱交換器により再加熱され、再利用された。循環率は各室とも90〜95%で制御した。
得られた乾燥物は板状の凝集体を形成していた。この凝集体をハンマー状の粉砕機でばらばらに解し、更にロールミルで粉砕した。得られた粉砕物を目開きが850μmと150μmの篩で分級し、二つの篩の間にある粒子状吸水性樹脂(2)を得た。粒子状吸水性樹脂(2)の固形分濃度は95重量%、CRCは34[g/g]、FSRは0.16[g/g/s]であった。
上記粒子状吸水性樹脂の製造を1ヶ月連続行ったが、着色異物はほとんど見られず、安定して運転できた。フィルターに捕捉された含水ゲルは乾燥物の0.001重量%で、150μm以上850μm未満の粒子は捕集された含水ゲルの50重量%を占めていた。
〔比較例2〕
実施例2においてフィルターを設けなかった以外は同様に操作した。運転開始から数日後、時々着色異物が見られるようになった。又、徐々に熱交換効率が低下した。1ヶ月の運転の後、熱交換器をチェックすると、粒径が150μm以上の茶色に変色した粒子が熱交換器に付着しているのが見られた。
〔実施例3〕
実施例2に引き続き表面架橋工程を行った。即ち、粒子状吸水性樹脂(2)100重量部に対し、1,4−ブタンジオール0.4重量部、イオン交換水3重量部からなる表面架橋剤溶液を添加、混合した。更に実施例1の乾燥機を用い、気流の速度を1m/s、温度を200℃(熱交換器温度240℃)として、40分間熱処理した。尚、熱処理中、吸水性樹脂は流動した。得られた吸水性樹脂のCRCは28[g/g]、AAPは24[g/g]であった。上記操作を1ヶ月間(200回)繰り返したが、着色異物は見られなかった。
〔実施例4〕
実施例2に引き続き表面架橋工程を行った。即ち、粒子状吸水性樹脂(2)100重量部に対し、1,4−ブタンジオール0.4重量部、イオン交換水3重量部からなる表面架橋剤を、混合機(商品名:タービュライザー、ホソカワミクロン製)中で粒子状吸水性樹脂に噴霧、混合した。更に予め熱風温度を205℃、風速0.5m/秒、伝熱管温度を205℃に設定しておいた流動層乾燥機(流動床長さ850mm、流動床幅240mm)で熱処理した。尚、排気ラインにはサイクロンが設置されており、捕集された粒子を再び乾燥室に戻した。サイクロンを経た高温ガス気流はメッシュ状のステンレス製フィルター(1つの孔あたりの開孔面積=0.02mm2;開孔率=36%(目開き150μm、線径100μm))を通過して、一部を排気し、残りを約230℃の熱交換器で再加熱して循環させた。循環率は95%であった。1ヶ月間上記運転を行い、着色異物の混入がほとんどなく、安定した熱処理を行うことができた。運転終了後、フィルターを点検すると、1ヶ月間に得られた熱処理物の0.02重量%に相当する吸水性樹脂が捕捉されていた。
〔実施例5〕
実施例2において、乾燥機1、2室の高温ガス気流を図4に示すように、熱交換器6により再加熱後、再び第二のフィルター11(開孔率25%、丸穴のパンチングメタル)に通して、再利用した以外は同様に操作し、粒子状吸水性樹脂(5)を得た。粒子状吸水性樹脂(5)の固形分濃度は96重量%、CRCは34[g/g]であった。
上記粒子状吸水性樹脂の製造を1ヶ月連続行ったが、着色異物はほとんど見られず、乾燥ムラもなく、安定して運転できた。フィルター(熱交換器の前及び後のフィルター)に捕捉された含水ゲルは乾燥物の0.001重量%で、150μm以上850μm未満の粒子は捕集された含水ゲルの60重量%を占めていた。
〔実施例6〕
実施例2で、粉砕、分級により得られた目開き150μmの篩の通過物(吸水性樹脂微粉(2))を50重量部、イオン交換水を50重量部、横型混合機(商品名:タービュライザー、細川ミクロン製)で混合した。得られた吸水性樹脂微粉の水添加物10重量部、および製造例1の重合ゲル(1)100重量部の割合で、実施例2の乾燥機に投入し、以下、実施例2と同様に操作し、粒子状吸水性樹脂(6)を得た。粒子状吸水性樹脂(6)の固形分濃度は94重量%、CRCは33[g/g]、FSRは0.21[g/g/s]であった。
上記粒子状吸水性樹脂の製造を1ヶ月連続行ったが、着色異物はほとんど見られず、乾燥ムラもなく、安定して運転できた。フィルター(熱交換器の前及び後のフィルター)に捕捉された含水ゲルは乾燥物の0.001重量%で、150μm以上850μm未満の粒子は捕集された含水ゲルの40重量%を占めていた。尚、捕集された含水ゲルの残りの成分には吸水性樹脂微粉やその凝集状物が多く見られた。
〔製造例2〕
シグマ型羽根を2本有するジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、中和率73モル%のアクリル酸ナトリウム水溶液5450重量部(単量体濃度:39重量%)と、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)11.5重量部(単量体に対して0.09モル%)とを投入し、溶解させて反応液とした。尚、使用したアクリル酸中のp−メトキシフェノールは70ppmであった。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。続いて、10重量%過硫酸ナトリウム水溶液29.5重量部、及び0.1重量%L−アスコルビン酸水溶液24.5重量部を、それぞれ別個に上記反応液を攪拌しながら20℃で添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。そして、生成した含水ゲル状架橋重合体を粉砕しながら、重合を行い(ピーク温度95℃)、重合が開始して30分後に粒子状の重合ゲル(2)を取り出した。得られた重合ゲル(2)の重量平均粒子径(D50)は約1300μmであり、固形分は41重量%であった。
〔実施例7〕
製造例2で得られた重合ゲル(2)について、重合ゲルを保持するパンチングプレート(材質:SUS304、孔の形状:長丸穴千鳥型、孔の大きさ:幅1.2mm、長さ15mm、開孔率:27%)を有する、図4に示すような構造の通気バンド乾燥機を用いて、乾燥時間35分間、熱風温度150℃、熱風の平均風速1.0[m/s]の条件下で重合ゲルに熱風を当てて重合ゲルを乾燥し(乾燥1)た後、熱風(高温ガス気流)をメッシュ状のステンレス製フィルター(1つの孔あたりの開孔面積=0.02mm2;開孔率=36%(目開き150μm、線径100μm))を通して、220℃の熱交換器6により再加熱した後、再び第二のフィルター11(開孔率25%、丸穴のパンチングメタル)に通して、再利用して、乾燥物(7−1)を得た。尚、乾燥に使用した熱風は、水蒸気と空気との混合ガスであり、露点温度は60℃に固定した。又、熱風はパンチングプレート面に対して垂直方向上向きで流した。その流速は、定温度熱式風速計アネモマスター(登録商標)6162(日本カノマックス株式会社製)を用いて測定した。
次に得られた乾燥物(7−1)を粉砕し、目開き850μm及び150μmのJIS標準篩をこの順に用いて分級した。該分級操作において、目開き150μmのJIS標準篩を通過する粒子径150μm未満の粒子を、吸水性樹脂微粒子(7)(固形分濃度;96重量%、添加(回収)量;20重量%)として得た。得られた吸水性樹脂微粒子(1−1)は、米国特許第6228930号のGranulation Example 1に開示された造粒方法に準じて造粒を行い、含水造粒粒子(7)(固形分濃度45重量%)を得た。
次に、別途、製造例2で得られた重合ゲル(2)100重量部と、上記で得られた含水造粒粒子(7)15重量部とを混合し(ゲル混合物(7)とする)、上記含水造粒粒子の製造における乾燥工程と同じ通気バンド式熱風乾燥機に投入した(乾燥2:熱風温度150℃、熱風の平均風速2.0[m/s]、露点;乾燥開始時70℃、乾燥終了時40℃)。
続いて、得られた乾燥物(7−2)を、ロールミル粉砕機を用いて粉砕し、次いで、目開き425μm及び目開き300μmのJIS標準篩をこの順に用いて分級し、粒子径が300μm以上425μm未満の吸水性樹脂粉末(7−2)を得た。得られた吸水性樹脂粉末の固形分濃度は96重量%、CRCは31.5[g/g]、FSRは0.25[g/g/s]であった。
乾燥2においてフィルター(熱交換器の前及び後のフィルター)に捕捉された含水ゲルは乾燥物(7−2)の0.0005重量%で、150μm以上850μm未満の粒子は捕集された含水ゲルの40重量%を占めていた。尚、捕集された含水ゲルの残りの成分には吸水性樹脂微粉やその凝集状物が多く見られた。
〔実施例8〕
実施例7において、ゲル混合物(7)の乾燥する際、熱風乾燥機の高温ガス流(流速2.0[m/s]、温度180℃)の風速を0.9[m/s]に低下させた以外は、実施例7と同様の操作を行った。結果、吸水速度(FSR)が0.24[g/g/s]に低下し、風速(好ましくは1.0〜2.9[m/s])が吸水速度に重要であることが分かる。
〔実施例9〕
実施例7において、ゲル混合物(7)の乾燥する際、熱風乾燥機の高温ガス流(流速2.0[m/s]、温度180℃)の温度を145℃に低下させた以外は、実施例7と同様の操作を行った。結果、吸水倍率(CRC)が28.3[g/g]に低下し、乾燥温度(好ましくは150〜190℃)が吸水倍率に重要であることが分かる。
本発明に係る製造方法で得られた吸水性樹脂は、着色や着色異物も少なく、吸水性能(吸水倍率、吸水速度等)にも優れ、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パット等の衛生材料に適している。
さらに、本出願は、2010年6月8日に出願された日本特許出願番号2010−130608号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。

Claims (24)

  1. 不飽和単量体水溶液の重合工程と、重合中又は重合後のゲル細粒化工程で得られる固形分濃度が30重量%以上の粒子状含水ゲル状架橋重合体の乾燥工程とを含み、該乾燥工程及び/又はその後の工程の少なくとも1つにおいて、吸水性樹脂に高温ガス気流を通風させる装置が1以上設置された、粒子状吸水性樹脂の製造方法であって、
    上記通風装置において、高温ガス気流を、150μm〜50mmの目開きを有するフィルターに通過させた後に、該通風装置が設置された工程と同一工程又は別の工程で再使用することを特徴とする、粒子状吸水性樹脂の製造方法。
  2. 上記通風装置が、粒子状含水ゲル状架橋重合体の乾燥工程、乾燥後の乾燥物を粉砕する粉砕工程、粉砕後の粉砕物を分級する分級工程、及び分級工程で得られた吸水性樹脂粉末の表面を架橋する表面架橋工程から選ばれる少なくとも1つ工程に設置される、請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記通風装置が乾燥工程での通気乾燥機である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 上記フィルターがステンレス製のメッシュ又はパンチングメタルである、請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
  5. 上記高温ガス気流を再使用前に再加熱し、その再加熱前及び/又は再加熱後にフィルターを通過させた後、当該高温ガス気流を吸水性樹脂に通風させる、請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
  6. 上記高温ガス気流のフィルター通過が吸水性樹脂の通風に使用する高温ガス気流の再加熱前である、請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
  7. 上記高温ガス気流のフィルター通過が異なる複数箇所で行われる、請求項1〜6の何れか1項に記載の製造方法。
  8. 上記高温ガス気流の流速が吸水性樹脂の通風場所において0.1〜5[m/s]であり、かつ、温度が100〜250℃である、請求項1〜7の何れか1項に記載の製造方法。
  9. 不飽和単量体水溶液の重合工程と、重合中又は重合後のゲル細粒化工程で得られる固形分濃度が30重量%以上の粒子状含水ゲル状架橋重合体の乾燥工程とを含み、該乾燥工程及び/又はその後の工程の少なくとも1つにおいて、吸水性樹脂に高温ガス気流を通風させる装置が1以上設置された、粒子状吸水性樹脂の製造方法であって、
    上記通風装置が乾燥工程での通気乾燥機であり、
    上記通気乾燥機による乾燥工程において、高温ガス気流を再使用前に再加熱し、再加熱前に設置される金属メッシュ、再加熱後に設置されるパンチングメタルの何れか1つ以上の、目開きが150μm〜50mmでかつ開孔率が1〜70%であるフィルターを通過させた後に、高温ガス気流を流速0.1〜5[m/s]、温度100〜250℃の条件下で吸水性樹脂に通風させることを特徴とする、粒子状吸水性樹脂の製造方法。
  10. 上記フィルターの目開きが0.01〜50[mm]である、請求項1〜9の何れか1項に記載の製造方法。
  11. 上記フィルターの開孔率が1〜70%である、請求項1〜10の何れか1項に記載の製造方法。
  12. 上記高温ガス気流の再加熱後に、目開き0.1〜500[mm]及び開孔率1〜70%のパンチングメタルをフィルターとして使用する、請求項5又は9に記載の製造方法。
  13. 上記高温ガス気流の再加熱前に、目開き0.01〜50[mm]及び開孔率1〜70%の金属メッシュをフィルターとして使用する、請求項5又は9に記載の製造方法。
  14. 上記フィルターに捕集される吸水性樹脂粒子又はその含水ゲルの捕集量が、吸水性樹脂の生産量に対して、0重量%を超え0.1重量%未満である、請求項1〜13の何れか1項に記載の製造方法。
  15. 上記高温ガス気流の風向が吸水性樹脂に対して上向きである、請求項1〜14の何れか1項に記載の製造方法。
  16. 上記通風装置が設置された工程と同一工程で高温ガス気流を再使用する場合の、下記式から求められる高温ガス気流循環率が50〜99.99%である、請求項1〜15の何れか1項に記載の製造方法。
  17. 上記高温ガス気流の少なくとも一部が系外に排出され、かつ、該排出された高温ガス気流の熱エネルギーがリサイクルされる、請求項1〜16の何れか1項に記載の製造方法。
  18. 上記粒子状含水ゲル状架橋重合体の固形分濃度が45重量%以上である、請求項1〜17の何れか1項に記載の製造方法。
  19. 上記粒子状含水ゲル状架橋重合体が固形分濃度の異なる粒子状含水ゲル状架橋重合体の混合物からなる、請求項1〜18の何れか1項に記載の製造方法。
  20. 上記重合工程において、水分の蒸発又は吸水性樹脂微粉若しくはその水添加物の添加によって、粒子状含水ゲル状架橋重合体の固形分濃度が高められる、請求項1〜19の何れか1項に記載の製造方法。
  21. 上記吸水性樹脂がポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂であり、上記不飽和単量体がアクリル酸(塩)を主成分とし、かつ、メトキノンを1〜1000ppm含有する、請求項1〜20の何れか1項に記載の製造方法。
  22. 上記通気乾燥機で使用される通気バンドがパンチングメタルである、請求項3〜21の何れか1項に記載の製造方法。
  23. 上記通気バンドの開孔率が20〜50%である、請求項22に記載の製造方法。
  24. 上記重合工程が連続ニーダー重合又は連続ベルト重合である、請求項1〜23の何れか1項に記載の製造方法。
JP2012519419A 2010-06-08 2011-06-08 粒子状吸水性樹脂の製造方法 Active JP5587409B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012519419A JP5587409B2 (ja) 2010-06-08 2011-06-08 粒子状吸水性樹脂の製造方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010130608 2010-06-08
JP2010130608 2010-06-08
JP2012519419A JP5587409B2 (ja) 2010-06-08 2011-06-08 粒子状吸水性樹脂の製造方法
PCT/JP2011/063169 WO2011155540A1 (ja) 2010-06-08 2011-06-08 粒子状吸水性樹脂の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2011155540A1 JPWO2011155540A1 (ja) 2013-08-01
JP5587409B2 true JP5587409B2 (ja) 2014-09-10

Family

ID=45098144

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012519419A Active JP5587409B2 (ja) 2010-06-08 2011-06-08 粒子状吸水性樹脂の製造方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US8791230B2 (ja)
EP (1) EP2581403B1 (ja)
JP (1) JP5587409B2 (ja)
WO (1) WO2011155540A1 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2261148B1 (en) * 2008-03-28 2013-02-13 Nippon Shokubai Co., Ltd. Conveyance method for water-absorbing resin powder substance
EP2620465B2 (en) 2012-01-27 2018-03-28 Evonik Degussa GmbH Heat-treatment of water-absorbing polymeric particles in a fluidized bed at a fast heat-up rate
KR101694080B1 (ko) * 2012-08-09 2017-01-06 데페익스 피네 케미칼스 오스트리아 게엠베하 운트 코 카게 중합체 물질의 건조 방법
JP2016503449A (ja) * 2012-11-21 2016-02-04 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se モノマー溶液の液滴を重合することによる吸水性ポリマー粒子の製造方法
CN108444274B (zh) 2018-02-12 2019-11-15 中国农业科学院蜜蜂研究所 一种蜂花粉连续干燥装置及其干燥方法
CN112119112B (zh) * 2018-05-16 2024-02-27 株式会社日本触媒 吸水性树脂的制造方法
CN109900089B (zh) * 2019-03-01 2023-12-12 浙江三赢新材料有限公司 一种制备高吸水性树脂的新型烘干工艺方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08121964A (ja) * 1994-10-19 1996-05-17 Kaijo Corp 基板自動処理乾燥装置
JP3297192B2 (ja) * 1994-03-31 2002-07-02 三洋化成工業株式会社 含水ゲル状重合体の搬送方法及び乾燥方法並びにコンベア式乾燥装置
JP2005247931A (ja) * 2004-03-02 2005-09-15 San-Dia Polymer Ltd 吸水性樹脂粒子の製造方法
WO2009113679A1 (ja) * 2008-03-13 2009-09-17 株式会社日本触媒 吸水性樹脂を主成分とする粒子状吸水剤の製造方法
JP2010004743A (ja) * 2008-06-24 2010-01-14 Kawasaki Kiko Co Ltd 製茶加工における集塵・熱回収システム
JP2010053296A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Nippon Shokubai Co Ltd 吸水性樹脂の製造方法

Family Cites Families (85)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5346389A (en) 1976-10-07 1978-04-25 Kao Corp Preparation of self-crosslinking polymer of acrylic alkali metal salt
US4286082A (en) 1979-04-06 1981-08-25 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo & Co., Ltd. Absorbent resin composition and process for producing same
GB2088392B (en) 1980-12-03 1984-05-02 Sumitomo Chemical Co Production of hydrogels
JPS57158209A (en) 1981-03-25 1982-09-30 Kao Corp Production of bead-form highly water-absorbing polymer
US4985518A (en) 1981-10-26 1991-01-15 American Colloid Company Process for preparing water-absorbing resins
US4625001A (en) 1984-09-25 1986-11-25 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co., Ltd. Method for continuous production of cross-linked polymer
JPS6187702A (ja) 1984-10-05 1986-05-06 Seitetsu Kagaku Co Ltd 吸水性樹脂の製造方法
DE3544770A1 (de) 1985-12-18 1987-06-19 Stockhausen Chem Fab Gmbh Verfahren und vorrichtung zum kontinuierlichen herstellen von polymerisaten und copolymerisaten der acrylsaeure und/oder methacrylsaeure
DE3609545A1 (de) 1986-03-21 1987-09-24 Basf Ag Verfahren zur diskontinuierlichen herstellung von vernetzten, feinteiligen polymerisaten
US4783510A (en) 1986-06-04 1988-11-08 Taiyo Fishery Co., Ltd. Process for improving a water absorbent polyacrylic acid polymer and an improved polymer produced by said process
CA1333439C (en) 1988-05-23 1994-12-06 Akito Yano Method for production of hydrophilic polymer
US5244735A (en) 1988-06-28 1993-09-14 Nippon Shokubai Kagaku Kabushiki Kaisha Water-absorbent resin and production process
KR930007272B1 (ko) 1988-06-28 1993-08-04 닙본 쇼쿠바이 가브시기 가이샤 흡수성 수지 및 그 제법
US5145906A (en) 1989-09-28 1992-09-08 Hoechst Celanese Corporation Super-absorbent polymer having improved absorbency properties
JPH03297192A (ja) 1990-04-17 1991-12-27 Mitsubishi Cable Ind Ltd 回路基板及びその製造方法
DE69124749T2 (de) 1990-04-27 1997-06-12 Nippon Catalytic Chem Ind Verfahren zur Herstellung von salzbeständigem Harz
EP0467073B1 (en) 1990-07-17 1995-04-12 Sanyo Chemical Industries Ltd. Process for producing water-absorbing resins
TW241279B (ja) 1991-02-01 1995-02-21 Catalyst co ltd
US5250640A (en) 1991-04-10 1993-10-05 Nippon Shokubai Co., Ltd. Method for production of particulate hydrogel polymer and absorbent resin
JP3107873B2 (ja) 1991-09-26 2000-11-13 ユニ・チャーム株式会社 高吸水性ポリマーの経時着色防止方法および経時着色防止剤
US5599335A (en) 1994-03-29 1997-02-04 The Procter & Gamble Company Absorbent members for body fluids having good wet integrity and relatively high concentrations of hydrogel-forming absorbent polymer
JP2700531B2 (ja) 1994-09-05 1998-01-21 三洋化成工業株式会社 含水ゲル状重合体の連続的乾燥方法
WO1997024394A1 (en) 1995-12-27 1997-07-10 Nippon Shokubai Co., Ltd. Water absorbent and process and equipment for the production thereof
US6194531B1 (en) 1996-06-05 2001-02-27 Nippon Shokubai Co., Ltd. Method for production of cross-linked polymer
US6107358A (en) 1996-08-23 2000-08-22 Nippon Shokubai Co., Ltd. Water-absorbent resin and method for production thereof
CN100345891C (zh) 1996-10-24 2007-10-31 株式会社日本触媒 吸水性树脂的制造方法
US6228930B1 (en) 1997-06-18 2001-05-08 Nippon Shokubai Co., Ltd. Water-absorbent resin granule-containing composition and production process for water-absorbent resin granule
TW473485B (en) 1997-12-10 2002-01-21 Nippon Catalytic Chem Ind The production process of a water-absorbent resin
JP3763376B2 (ja) 1997-12-25 2006-04-05 株式会社日本触媒 親水性樹脂の製造方法
US6254990B1 (en) 1998-02-18 2001-07-03 Nippon Shokubai Co., Ltd. Surface-crosslinking process for water-absorbent resin
US6599989B2 (en) 1998-03-03 2003-07-29 Nippon Skokubai Co., Ltd. Water-absorbent agents containing polycarboxylic amine chelating agents
US6444744B1 (en) 1998-03-11 2002-09-03 Nippon Shokubai Co., Ltd. Hydrophilic resin, absorbent article, and acrylic acid for polymerization
KR100476170B1 (ko) 1998-04-28 2005-03-10 니폰 쇼쿠바이 컴파니 리미티드 흡수성수지 함수겔상물의 제조방법
US6241928B1 (en) 1998-04-28 2001-06-05 Nippon Shokubai Co., Ltd. Method for production of shaped hydrogel of absorbent resin
JP3415036B2 (ja) 1998-08-12 2003-06-09 株式会社日本触媒 含水ゲル状架橋重合体の細粒化方法
ES2228492T3 (es) 1999-03-12 2005-04-16 Basf Aktiengesellschaft Composicion polimerica super absorbente de color estable.
JP2000327926A (ja) 1999-05-25 2000-11-28 Sanyo Chem Ind Ltd 吸収剤組成物および吸収性物品
DE19955861A1 (de) 1999-11-20 2001-05-23 Basf Ag Verfahren zur kontinuierlichen Herstellung von vernetzten feinteiligen gelförmigen Polymerisaten
US6906159B2 (en) 2000-08-03 2005-06-14 Nippon Shokubai Co., Ltd. Water-absorbent resin, hydropolymer, process for producing them, and uses of them
US20020160417A1 (en) 2001-04-30 2002-10-31 George Jackowski Biopolymer marker indicative of disease state having a molecular weight of 1424 daltons
JP2003052742A (ja) 2001-08-09 2003-02-25 San-Dia Polymer Ltd 吸収剤及びこれを使用した吸収性構造体
EP1427762B1 (en) 2001-09-12 2012-02-08 Evonik Stockhausen GmbH A continuous polymerization process for the manufacture of superabsorbent polymers
CN1831019B (zh) 2001-12-19 2010-05-12 株式会社日本触媒 吸水性树脂及其制备方法
DE10163543A1 (de) 2001-12-21 2003-07-31 Basf Ag Tocopherol-haltige Superabsorber
JP2003206381A (ja) 2002-01-15 2003-07-22 Sumitomo Seika Chem Co Ltd 吸水性樹脂の着色防止方法
JP3939988B2 (ja) 2002-01-16 2007-07-04 住友精化株式会社 吸水性樹脂の製造方法
US6875511B2 (en) 2002-05-30 2005-04-05 Nippon Shokubai Co., Ltd. Production process for particulate water-absorbent resin
DE10257397A1 (de) 2002-12-06 2004-06-24 Basf Ag Verfahren zur Reduktion des MEHQ Gehalts in Acrylsäure
JP2004210924A (ja) 2002-12-27 2004-07-29 Sumitomo Seika Chem Co Ltd 吸水性樹脂組成物
EP1594556B1 (en) 2003-02-10 2007-04-11 Nippon Shokubai Co., Ltd. Particulate water-absorbing agent
BRPI0408557B1 (pt) 2003-03-26 2017-06-27 Basf Aktiengesellschaft Method for manufacture of stable color superabsorvent polymer particles, stable color superabsorvent particles, absorbent article, and, fralda
TW200500046A (en) 2003-03-26 2005-01-01 Basf Ag Color-stable superabsorbent polymer composition
US7694900B2 (en) 2003-04-25 2010-04-13 Nippon Shokubai Co., Ltd. Method for disintegrating hydrate polymer and method for production of water-absorbent resin
JP3940103B2 (ja) 2003-07-11 2007-07-04 住友精化株式会社 吸水性樹脂組成物
US7696401B2 (en) 2003-07-31 2010-04-13 Evonik Stockhausen, Inc. Absorbent materials and absorbent articles incorporating such absorbent materials
EP1510229B1 (en) 2003-08-27 2010-07-14 Nippon Shokubai Co., Ltd. Process for production of surface-treated particulate water-absorbent resin
DE10340253A1 (de) 2003-08-29 2005-03-24 Basf Ag Sprühpolymerisationsverfahren
DE602004004840T2 (de) 2003-09-01 2007-10-31 Nippon Shokubai Co. Ltd. Verfahren zur Herstellung von wasserabsorbierenden Harzteilchen aus Hydrogelpartikeln
WO2005054356A1 (de) 2003-12-03 2005-06-16 Basf Aktiengesellschaft Mindestens ein sterisch gehindertes einwertiges und/oder mehrwertiges phenol enthaltende superabsorber
KR100858387B1 (ko) 2004-02-05 2008-09-11 가부시키가이샤 닛폰 쇼쿠바이 입자상 수분흡수제 및 그 제조방법과 수분흡수성 물품
DE602005009599D1 (de) 2004-03-24 2008-10-23 Nippon Catalytic Chem Ind Kontinuierliches Herstellungsverfahren für Wasser-absorbierendes Harz
DE102004057874A1 (de) 2004-11-30 2006-06-01 Basf Ag Verfahren zur Nachvernetzung wasserabsorbierender Polymerpartikel
AU2006216015A1 (en) 2005-02-15 2006-08-24 Nippon Shokubai Co., Ltd. Water absorbing agent, water absorbing article and method for production of water absorbing agent
US7750085B2 (en) 2005-03-14 2010-07-06 Nippon Shokubai Co., Ltd. Water-absorbing agent and its production process
DE102005014291A1 (de) 2005-03-24 2006-09-28 Basf Ag Verfahren zur Herstellung wasserabsorbierender Polymere
TWI344469B (en) 2005-04-07 2011-07-01 Nippon Catalytic Chem Ind Polyacrylic acid (salt) water-absorbent resin, production process thereof, and acrylic acid used in polymerization for production of water-absorbent resin
JP2007071415A (ja) * 2005-09-05 2007-03-22 San-Dia Polymer Ltd 吸収剤の製造法
TWI394789B (zh) 2005-12-22 2013-05-01 Nippon Catalytic Chem Ind 吸水性樹脂組成物及其製造方法、吸收性物品
JP5656403B2 (ja) 2006-07-19 2015-01-21 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se モノマー溶液の液滴の重合による、高い透過性を有する吸水性ポリマー粒子の製造方法
US10301398B2 (en) 2006-07-31 2019-05-28 Nippon Shokubai Co., Ltd. Production method of water absorbent resin powder and package of water absorbent resin powder
US8822373B2 (en) 2006-08-31 2014-09-02 Nippon Shokubai Co., Ltd Particulate water absorbing agent and production method thereof
JP5586228B2 (ja) 2006-09-25 2014-09-10 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 吸水性ポリマー粒子の連続的な製造方法
JP5553611B2 (ja) 2007-01-16 2014-07-16 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 超吸収性ポリマーの製造
CN101589066B (zh) 2007-01-24 2013-07-03 株式会社日本触媒 粒子状吸水性聚合物及其制造方法
WO2008092842A1 (de) 2007-01-29 2008-08-07 Basf Se VERFAHREN ZUR HERSTELLUNG WEIßER UND FARBSTABILER WASSERABSORBIERENDER POLYMERPARTIKEL MIT HOHEM ABSORPTIONSVERMÖGEN UND HOHER FLÜSSIGKEITSLEITFÄHIGKEIT
WO2008092843A1 (de) 2007-01-29 2008-08-07 Basf Se VERFAHREN ZUR HERSTELLUNG WEIßER UND FARBSTABILER WASSERABSORBIERENDER POLYMERPARTIKEL MIT HOHEM ABSORPTIONSVERMÖGEN UND HOHER FLÜSSIGKEITSLEITFÄHIGKEIT
US9187579B2 (en) 2007-02-05 2015-11-17 Nippon Shokubai Co., Ltd. Particle-shaped water absorbing agent and method for producing the same
SA08290402B1 (ar) 2007-07-04 2014-05-22 نيبون شوكوباي كو. ، ليمتد عامل دقائقي ماص للماء وطريقة لتصنيعه
US7816426B2 (en) 2007-07-16 2010-10-19 Evonik Stockhausen, Llc Superabsorbent polymer compositions having color stability
WO2009016055A2 (en) 2007-07-27 2009-02-05 Basf Se Water-absorbing polymeric particles and method for the production thereof
SA08290542B1 (ar) 2007-08-28 2012-11-14 نيبون شوكوباي كو. ، ليمتد طريقة لإنتاج راتنج ماص للماء
DE102007053619A1 (de) 2007-11-08 2009-05-20 Evonik Stockhausen Gmbh Wasserabsorbierende Polymergebilde mit verbesserter Farbstabilität
JP5309931B2 (ja) 2008-12-01 2013-10-09 パナソニック株式会社 投射型画像表示装置
CN102482435B (zh) 2009-08-28 2014-04-30 株式会社日本触媒 吸水性树脂的制造方法
US8481159B2 (en) 2009-09-04 2013-07-09 Basf Se Water-absorbent porous polymer particles having specific sphericity and high bulk density

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3297192B2 (ja) * 1994-03-31 2002-07-02 三洋化成工業株式会社 含水ゲル状重合体の搬送方法及び乾燥方法並びにコンベア式乾燥装置
JPH08121964A (ja) * 1994-10-19 1996-05-17 Kaijo Corp 基板自動処理乾燥装置
JP2005247931A (ja) * 2004-03-02 2005-09-15 San-Dia Polymer Ltd 吸水性樹脂粒子の製造方法
WO2009113679A1 (ja) * 2008-03-13 2009-09-17 株式会社日本触媒 吸水性樹脂を主成分とする粒子状吸水剤の製造方法
JP2010004743A (ja) * 2008-06-24 2010-01-14 Kawasaki Kiko Co Ltd 製茶加工における集塵・熱回収システム
JP2010053296A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Nippon Shokubai Co Ltd 吸水性樹脂の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US8791230B2 (en) 2014-07-29
EP2581403A1 (en) 2013-04-17
JPWO2011155540A1 (ja) 2013-08-01
US20130261276A1 (en) 2013-10-03
EP2581403A4 (en) 2014-09-03
WO2011155540A1 (ja) 2011-12-15
EP2581403B1 (en) 2019-08-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5658229B2 (ja) 粒子状含水ゲル状架橋重合体の乾燥方法
JP5632906B2 (ja) 吸水性樹脂の製造方法
JP5616346B2 (ja) 吸水性樹脂の製造方法
JP5587409B2 (ja) 粒子状吸水性樹脂の製造方法
JP5616437B2 (ja) ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法
JP5514841B2 (ja) 吸水性樹脂の製造方法
JP5587348B2 (ja) 吸水性樹脂の製造方法
KR102195097B1 (ko) 폴리아크릴산(염)계 흡수성 수지 및 그의 제조 방법
WO2015072536A1 (ja) ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法
KR102304003B1 (ko) 폴리아크릴산(염)계 흡수성 수지의 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131119

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140109

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140715

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140723

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5587409

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150