JP3775246B2 - ポリアクリル酸塩水溶液の連続的製造方法 - Google Patents

ポリアクリル酸塩水溶液の連続的製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、アクリル酸単量体またはアクリル酸塩単量体例えばアクリル酸ソーダ単量体等を連続的にラジカル重合させて、ポリアクリル酸ソーダ等のアクリル酸塩重合体を連続的に製造する方法に関する。本発明は、特に、重量平均分子量が2000〜30000程度であり、分子量分布が狭いポリアクリル酸塩を連続的に、しかも、高反応率をもって製造するのに適するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリアクリル酸ソーダ等のポリアクリル酸塩は、顔料分散剤やスケール防止剤または洗剤ビルダー等の用途に使用されて好適である。これらの用途には、ポリアクリル酸塩の重量平均分子量は2000〜10000程度が好ましく、また重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで除した商Mw/Mnすなわち分散度等で表される分子量分布はできるだけ狭いことが好ましい。さらにその製造にあたっては、当然ながら、重合反応収率はできるだけ高いことが好ましい。
従来、ポリアクリル酸塩を製造するには、アクリル酸単量体またはアクリル酸塩単量体を、例えば過硫酸ナトリウム等の重合開始剤およびイソプロピルアルコール等の連鎖移動剤の存在の下にラジカル重合させることにより製造されていた。この重合プロセスにおいて、適切な量の連鎖移動剤を使用すれば、連鎖移動剤の作用により重合体の分子量は十分低く押さえられるために、得られるポリアクリル酸塩の重量平均分子量は2000〜10000程度に制御できた。もっとも、使用する連鎖移動剤の量が多くなると、得られるポリアクリル酸塩の分子量分布が広くなるという問題があり、また、残余の連鎖移動剤を除去する工程が必要になるという問題があった。
かかる問題に関しては、いくつかの解決策が提案されており、たとえば本出願人が先になした特許出願(特願2001−87137号)に記載の発明もその一例である。
しかしながら、従来の製造方法では、バッチ方式が採られていたので、操業効率において改良の余地があり、生産性向上の大幅な改良のためにアクリル酸塩重合体を連続的に製造する方法の開発が望まれていた。
【0003】
かゝる努力の成果としては、特開昭62−121705号公報に、円筒状反応器を使用し、その一端から反応に関与する単量体および亜硫酸水素ナトリウム等を供給し、これと並流的に不活性ガス、空気、または、酸素を供給し、このガス流により、中和度70〜90%のアクリル酸ナトリウム水溶液の薄膜液を反応器の内壁にそって形成させ、重合させることを特徴とする、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液の製造方法が開示されている。この方法によれば、分散剤やスケール防止剤として好適な分子量分布の狭い重合体が連続的に製造できると説明されているが、この方法では、単量体の反応率すなわち重合転換率が高々90〜95%であり、得られる重合体水溶液中には単量体が多量に含まれていた。
上記方法においては、さらに以下のような問題もあった。すなわち、水溶液中で亜硫酸水素ナトリウムの存在下にアクリル酸またはアクリル酸ナトリウムの重合を行うと、亜硫酸水素塩と単量体との1:1付加反応が起こることが知られており[高分子学会発行「高分子」第43巻5月号(1994年)325頁および特開昭56−103207号公報等]、その付加物(一般的にマイケル付加物と称される)の含有量が多くなると、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液の品質が低下することである。
【0004】
特開平11−246604号公報には、5個以上の反応器からなる連続重合装置を使用し、第1の反応器に不飽和ジカルボン酸系単量体の全量を供給し、第1〜第3の反応器に不飽和モノカルボン酸系単量体を供給し、少なくとも最終反応器には不飽和モノカルボン酸系単量体が供給されないようにして、不飽和モノカルボン酸系単量体が供給される反応器への不飽和モノカルボン酸系単量体の供給量を実質的に等しくすることゝした水溶性共重合体の製造方法が開示されている。上記特許公報に記載の発明は、不飽和ジカルボン酸の重合転換を高く維持しながら連続重合を行うことを課題としており、そのために多数の反応器を使用する必要があった。
特開平10−147620号公報には、端部に設けた不飽和ジカルボン酸供給口と、端部より下流に設けた複数の不飽和モノカルボン酸供給口とを有する管型連続重合装置を使用し、重合開始剤を、不飽和ジカルボン酸と不飽和モノカルボン酸との合計量の7.5〜90%使用し、前記の端部供給口から不飽和ジカルボン酸の全量を供給し、前記の下流に設けた第1の供給口に不飽和モノカルボン酸の30〜80%を供給し、前記の下流に設けた第2の供給口に不飽和モノカルボン酸の残量を供給することゝした共重合体の連続製造方法が開示されている。しかしながら、ここに記載された方法では、重量平均分子量を比較的低めに制御することが困難であり、例えば10000の重量平均分子量のものを得る場合には、単量体に対して80重量%の重合開始剤を用いる必要があり、分子量分布の狭い重合体は得られ難いという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の要望に応えることにあり、生産性向上のため、ポリアクリル酸ソーダ等のアクリル酸塩重合体を、連続的工程をもって、しかも、重量平均分子量が2000〜30000程度であり、マイケル付加物の含有量が少なく、分子量分布が狭く、かつ反応率が高いという利点を維持して、製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記の課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、アクリル酸単量体またはアクリル酸塩単量体を主体とするアクリル系単量体を水性媒体中で重合させてポリアクリル酸塩を連続的に製造するにあたり、複数個の反応器よりなり少なくとも第1反応器は槽型反応器である連続反応装置を使用し、前記第1反応器内に、前記アクリル系単量体、重合開始剤および亜硫酸水素塩を連続的に仕込みながら、pH値を3.5以下に維持した水性媒体中で前記単量体の重合を行い、該第1反応器から排出される反応液と重合開始剤とを第2反応器に連続的に仕込み、該反応器において重合を継続するとともに、第2反応器または第3反応器以降の反応器において反応液にアルカリを添加して中和することを特徴とするpH値が6〜9のポリアクリル酸塩水溶液の連続的製造方法である。
本発明の中間体としてポリアクリル酸が製造されるが、本発明においてこれを中和してpH値が6〜9のポリアクリル酸塩水溶液とすることは、分散剤、洗剤ビルダー等の実際の用途においては、ほぼ中性に中和されたポリアクリル酸塩が優れた性能を発現するからである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明においては、複数個の反応器よりなり少なくとも第1反応器は槽型反応器である連続反応装置を使用する。槽型反応器としては、反応生成液の取り出しが可能であることを除けば、バッチ式の重合において普通に使用されている重合器が使用でき、攪拌機および温調用のジャケット等を有するものが好ましい。
第2反応器としては、槽型反応器を使用することもできるし、管型反応器を使用してもよい。第2反応器として管型反応器を使用する場合、第1反応器および第2反応器で単量体の重合および中和の各反応を完結することができる。すなわち、管型反応器として十分な長さを有するものを使用すれば、該反応器の中で重合転換率を高くすることができるし、また、アルカリを添加する部位の選択により、重合が進行する場所における水性媒体のpHを管理することができる。
第1反応器供給する成分について述べる。まず、単量体としては、アクリル酸単量体またはアクリル酸塩単量体を使用することができるが、第1反応器の反応液のpH値を3.5以下に管理するためには、アクリル酸塩単量体の使用量は全単量体の合計量を基準にして、10モル%以下が適当である。なお、アクリル酸単量体のみを供給する場合、重合反応液のpH値は0.1〜1程度となる。本発明において、通常第1反応器における単量体の重合転換率が90%以上なるような条件を選択して重合を行うことが好ましく、その際に反応液のpH値が3.5より高いと、アクリル系単量体と亜硫酸水素塩とが付加反応を発生し(ミカエル付加物を生成)、それが原因となって得られる重合体の分子量分布が広くなる。
上記アクリル酸単量体またはアクリル酸塩単量体以外に、所望により、全単量体の合計量を基準にして、20質量%以下の範囲で、メタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、マレイン酸、イタコン酸およびそれらの塩、並びに、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等を併用してもよい。
単量体は水溶液として供給することが好ましく、単量体の水溶液濃度としては30〜60質量%が好ましい。
単量体の供給速度は、生産効率および得られる重合体の品質のバランスから、第1反応器に単量体が1〜4時間程度滞留するような供給速度が好ましい。
本発明においては、第1反応器において重合反応の90%以上を行うことが好ましく、そのためには、用いるアクリル系単量体の大半を第1反応器に供給することが好ましい。具体的には、用いるアクリル系単量体の90%以上を第1反応器に供給することが好適に採用される。さらに、95%以上を第1反応器に供給することがより好ましい。全単量体を第1反応器に供給しない場合、当然のことながら、残余の単量体は第2反応器以降の反応器に供給する。
【0008】
重合開始剤としては、ラジカルを発生し得る化合物であれば使用可能であるが、過酸化物が好ましく使用できる。過酸化物としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素およびターシャリーブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられる。さらに好ましい過酸化物は、後述する亜硫酸水素塩とともにレドックス系重合開始剤となりうる過酸化物であり、具体的には過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩である。
上記重合開始剤は、例えば水性媒体等に希釈して、前記単量体とは別の供給口から反応器に供給する。好ましい供給量は、単量体100質量部あたり0.1〜20質量部であり、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。
また、本発明においては目的とする重合体の分子量の調整のために連鎖移動剤として、亜硫酸水素ナトリウムに代表される亜硫酸水素塩を使用する。亜硫酸水素塩は、前記単量体または重合開始剤と別の供給口から反応器に供給してもよいが、反応器に供給する直前に単量体と混合してもよい。その好ましい使用量は、単量体の量(モル数)に対して0.3〜50モル%であり、さらに好ましくは1.0〜25モル%である。
なお、反応温度としては、20〜90℃が好ましく、さらに好ましくは30〜70℃である。
【0009】
第2反応器として槽型反応器を使用する場合は、第2反応器における反応液のpH値を3.5以下としてさらに重合を進行させることが好ましい。この場合には、第2反応器の後にさらに第3反応器を置き、そこで中和をすることにより、最終的にpH値が6〜9のポリアクリル酸塩水溶液を得る。勿論、第2反応器までで製造工程を完結させてもよく、その場合には、該反応器においてアリカリを添加して反応液をpH値6〜9に中和する。
槽型反応器の第2反応器には、第1反応器から排出される反応液とゝもに、別途重合開始剤を供給することが望ましい。それらの成分の第2反応器における滞留時間としては、1〜4時間程度が好ましい。重合開始剤の使用量は、単量体の供給量(第1反応器に供給する単量体の量)に対して0.1〜3質量部が好ましく、さらに好ましくは、第1反応器に供給する重合開始剤の量の0.1倍以上である。そして、第1および第2反応器に供給する重合開始剤の合計量は、単量体に対して1〜10質量%が好ましい。
第2反応器における反応温度は、40〜90℃が好ましい。第1反応器において単量体の重合転換率が90%以上に到達する場合、さらに第2反応器での重合を進行させることにより、98%以上に重合転換率を高めることができる。
【0010】
第2反応器として管型反応器を使用する場合にも、反応温度および重合開始剤の使用量等に関しては、前記と同様な条件を採用できる。
管型反応器としては、内側に反応液を流し、外側に熱媒や冷媒を流すことができる二重管構造のものが好ましい。反応液を通過させる管内には、反応液の混合状態をよくするために、エレメント、邪魔板等が設置されていてもよい。管長と管径の比は、10倍以上が適当であり、好ましくは20倍以上である。管型反応器に供給する重合開始剤は、一箇所から全量を供給することもできるが、管の入り口から出口の間の適当な複数の個所から分割して供給してもよい。反応液の好ましい滞留時間は、1〜4時間であり、これは、反応液の供給速度と管型反応器の容量によって決まる。
アルカリの添加場所も特に制限はないが、単量体の重合中はpH値が低いことが好ましいために、管の後半部におけるアルカリの添加が好ましい。または、管型反応器の後に、第3反応器として、槽型の中和槽を設けてもよい。
【0011】
上記したとおり、本発明に係るポリアクリル酸塩水溶液の連続的製造方法に使用される連続反応装置には、反応器として、槽型と管型との選択が可能であり、構成する反応器の個数にも選択可能の範囲があるが、以下、図面を参照して、本発明の製造方法に使用される連続反応装置の1例に就いて説明する。
図1は、本発明において好ましく使用できる3個の槽型反応器よりなる連続反応装置の概略構成図である。図において、1は第1の槽型反応器であり、11は重合開始剤供給管であり、12はアクリル系単量体供給管であり、13は連鎖移動剤供給管であり、14は反応液排出管であり、15はポンプであり、16は攪拌機であり、17は攪拌機駆動用モータである。2は第2の槽型反応器であり、21は第1の槽型反応器1から排出された反応液を第2の槽型反応器2に供給する反応液供給管であり、22は重合開始剤供給管であり、23は反応液排出管であり、24はポンプであり、25は攪拌機であり、26は攪拌機駆動用モータである。3は第3の槽型反応器であり、31は第2の槽型反応器2から排出された反応液を第3の槽型反応器3に供給する反応液供給管であり、32はアルカリ供給管であり、33は重合体排出管であり、34はポンプであり、35は攪拌機であり、36は攪拌機駆動用モータである。4は重合体採取管である。
【0012】
【実施例1】
本実施例においては、図1に示す連蔵反応装置を使用してpH値が6〜9のポリアクリル酸塩水溶液を製造した。第1反応器、第2反応器および第3反応器として用いた槽型反応器は、いずれも内容積3リットルのものである。
アクリル酸6720gを水6515gに溶解して、アクリル酸を50.8重量%に含むアクリル酸水溶液13235gを調製した。連鎖移動剤としての亜硫酸水素ナトリウムを濃度27.7重量%で含む亜硫酸水素ナトリウム水溶液1457gと、重合開始剤として6.0重量%の過硫酸ナトリウム水溶液1120gを第1反応器への供給用原料として、調製した。
また、第2反応器への供給用原料として25.0重量%の過硫酸ナトリウム水溶液403gを、また第3反応器に供給する原料として48重量%の水酸化ナトリウム水溶液6994gを、それぞれ別途調製した。上記の原料は、図1に表したように配管およびポンプで各反応器と連結した。
【0013】
上記したように調整したアクリル酸水溶液と亜硫酸水素ナトリウム水溶液と過硫酸ナトリウム水溶液とを、第1反応器1に供給した。アクリル酸水溶液と亜硫酸水素ナトリウム水溶液と過硫酸ナトリウム水溶液とは、それぞれ、アクリル酸系単量体供給管12と、連鎖移動剤供給管13と、重合開始剤供給管11とを介して供給され、それぞれの供給速度は、アクリル酸水溶液が27.57g/分、亜硫酸水素ナトリウム水溶液が3.035g/分、過硫酸ナトリウム水溶液が2.333g/分であり、反応液量は2.7リットルに維持した。このとき、ポンプ15が使用されたことは言うまでもない。攪拌機駆動用モータ17によって駆動される攪拌機16を使用して攪拌しながら、第1反応器1中において重合反応を進行させた。
第1反応器における反応条件は、反応媒体のpH値2.0で、反応温度50℃で、滞留時間1.5時間である。
【0014】
つぎに、第2反応器には、第1反応器による反応生成物および重合開始剤を以下のように供給した。
すなわち、上記反応生成物を反応液排出管14と反応液供給管21とを介して第2反応器2に供給するとともに、前記過硫酸ナトリウム水溶液を0.840g/分の供給速度をもって、重合開始剤供給管22を介して第2反応器2に供給した。第2反応器および第3反応器についても、反応液量を2.7リットルに維持した。
第2反応器における反応条件は、反応媒体のpH値2.0で、反応温度50℃で、滞留時間1.5時間である。
第2反応器による反応生成物は、第3反応器において水酸化ナトリウムにより中和されpH値が8.0のポリアクリル酸ソーダ水溶液を得た。なお、第3反応器の反応液温度は70℃、そこでの滞留時間は70分である。
上記方法によって製造されたポリアクリル酸ソーダの重量平均分子量、分子量分布、マイケル付加物の含有量、単量体の重合転換率(以下単に反応率という)等は、表1に記載のとおりである。
【0015】
なお、上記分子量またはマイケル付加物の含有量等の測定は以下の方法によった。
イ)重量平均分子量(Mw)・数平均分子量(Mn)・分子量分布(Mw/Mn)の測定;ゲルパーミェーションクロマトグラフィー法を使用。使用した分離カラムは、東ソー株式会社製商品名TSK−gelG4000PWXL+G3000PWXL+G2500PWXL(3本を直列に接続)であり、溶離液は0.1MNaC1を含むリン酸緩衝液である。
ロ)マイケル附加物の含有量;イオンクロマトグラフィー法を使用。使用した分離カラムは、東ソー株式会社製商品名TSK−gel IC−Anion―PWであり、溶離液はグルコン酸カリ溶液である。
ハ)反応率;高速液体クロマトグラフィー法を使用して未反応単量体の含有量を測定した。使用した分離カラムは、株式会社日立製作所製HPLCパックドカラム#3056であり、溶離液は0.1%リン酸緩衝液である。
【0016】
【実施例2】
本実施例においても、図1に示す連蔵反応装置を使用することゝし、第1反応器1内の反応温度を70℃とした以外は、すべて実施例1と同様な操作を行い、固形分濃度が40%の重合体水溶液を得た。また、この実施例における第1反応器1・第2反応器2内の反応液のpH値は、それぞれ、2.8、2.8であり、第2反応器2内の反応液の反応率は99.8%であった。
【0017】
【実施例3】
本実施例においても、図1に示す連続反応装置を使用することゝし、第3反応器3に14.571g/分の供給速度をもって水酸化ナトリウム水溶液の全量を供給する工程に代えて、それぞれ、第1反応器1には1.619g/分の供給速度をもって、第3反応器3には12.952g/分の供給速度をもって、水酸化ナトリウム水溶液を2工程に分割して供給した以外は、すべて実施例1と同様な操作を行い、固形分濃度が40%の重合体水溶液を得た。この実施例における第1反応器1・第2反応器2内の反応液のpH値は、それぞれ、3.2、3.2であり、第2反応器2内の反応液の反応率は99.8%であった。
【0018】
【実施例4】
第1反応器1に供給する重合開始剤を3.0重量%の過硫酸ナトリウム水溶液1120gに変更したことゝ、第2反応器2内の滞留時間が30分になるように第2反応器2内の液量を900mLに低減したこと以外は、すべて実施例2と同様な操作を行い、固形分濃度が40%の重合体水溶液を得た。この実施例における第1反応器1・第2反応器2の反応液のpH値は、それぞれ、2.8、2.8であり、第2反応器2内の反応液の反応率は97.0%であった。
【0019】
【実施例5】
第1反応器1の反応温度を80℃とした以外は、すべて実施例1と同様な操作を行い、固形分濃度が40%の重合体水溶液を得た。この実施例5における第1反応器1・第2反応器2の反応液のpH値は、それぞれ、2.8、2.8であり、第2反応器2内の反応液の反応率は99.8%であった。
【0020】
【比較例1】
本比較例においても、図1に示す連蔵反応装置を使用することゝし、下記(1)(2)および(3)以外の条件は、すべて、実施例1と同様な操作を行い、固形分濃度が40%の重合体水溶液を得た。このときの第1反応器1・第2反応器2の反応液のpH値は、それぞれ、7.0、7.0であり、第2反応器2内の反応液の反応率は99.8%であった。
実施例1の工程と異なるところは、
(1)アクリル酸6720gを水6515gに溶解した水溶液に、48重量%の水酸化ナトリウム水溶液5828gを徐々に加えて、全アクリル酸の75モル%を予め部分中和した単量体水溶液(単量体濃度は43.3重量%)19063gを調製したこと、
(2)この単量体水溶液を、39.71g/分の供給速度をもって第1反応器1に供給したこと、
(3)48重量%の水酸化ナトリウム水溶液1166gを2.429g/分の供給速度をもって第3反応器3に供給したこと
である。
【0021】
【比較例2】
下記以外は、すべて、実施例1と同様な操作を行い、固形分濃度が40%の重合体水溶液を得た。このときの第1反応器1・第2反応器2内の反応液のpH値は、それぞれ、4.5、4.5であり、第2反応器2の反応液の反応率は99.8%であった。
実施例1の工程と異なるところは、
(1)アクリル酸6720gを水6515gに溶解した水溶液に、48重量%の水酸化ナトリウム水溶液2331gを徐々に加えて、全アクリル酸の30モル%を予め部分中和した単量体水溶液(単量体濃度は47.1重量%)15566gを調製したこと、
(2)この単量体水溶液を32.43g/分の供給速度にて第1反応器に供給したこと、
(3)48重量%の水酸化ナトリウム水溶液4663gを9.715g/分の供給速度にて第3反応器に供給したこと
である。
【0022】
以上に記載した実施例5件と比較例2件との効果確認試験の結果を、反応温度・pH値・反応率とゝもに、下記の表1に示す。表示項目は、第1反応器1の反応温度と第1反応器1・第2反応器2のpH値と第2反応器2内の反応液の反応率と重量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn)とマイケル附加物の含有量とである。
【0023】
【表1】
Figure 0003775246
【0024】
上記の表から明らかなように、いずれの実施例においても、マイケル附加物の含有量は、比較例に比して顕著に少ない。そして、分子量分布も、重量平均分子量が近似している実施例4と比較例1、2とを比較すれば、実施例の値が比較例に比して顕著に小さい。さらに、実施例における反応率は、99%程度であり、既に概ね満足すべき値である。冒頭に述べた従来技術における連続重合法では、これらの特性要素が回分式(バッチ式)による製造法よりも劣っていたが、本発明によれば、回分式によって得られる重合体と同等以上の高性能なものが得られることが分かった。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、連続的方法により高い生産効率で、重量平均分子量2000〜30000程度の低分子量の重合体を、極めて狭い分子量分布でかつ98%以上の高反応率で製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に使用する3個の槽型反応器よりなる連続反応装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 第1の槽型反応器
11 重合開始剤供給管
12 アクリル系単量体供給管
13 連鎖移動剤供給管
14 反応液排出管
15 ポンプ
16 攪拌機
17 攪拌機駆動用モータ
2 第2の槽型反応器
21 反応液供給管
22 重合開始剤供給管
23 反応液排出管
24 ポンプ
25 攪拌機
26 攪拌機駆動用モータ
3 第3の槽型反応器
31 反応液供給管
32 アルカリ供給管
33 重合体排出管
34 ポンプ
35 攪拌機
36 攪拌機駆動用モータ
4 重合体採取管

Claims (4)

  1. アクリル酸単量体またはアクリル酸塩単量体を主体とするアクリル系単量体( 但し、該アクリル酸塩単量体の使用量は全単量体の総量を基準にして、10モル%以下である。 )を水性媒体中で重合させてポリアクリル酸塩を連続的に製造するにあたり、複数個の反応器よりなり少なくとも第1反応器は槽型反応器である連続反応装置を使用し、前記第1反応器内に、前記アクリル系単量体の90%以上と、重合開始剤、亜硫酸水素塩を連続的に仕込みながら、pH値を3.5以下に維持した水性媒体中で前記単量体の重合を行い、該第1反応器から排出される反応液を第2反応器に連続的に仕込み、該反応器において重合を継続するとともに、第2反応器または第3反応器以降の反応器において反応液にアルカリを添加して中和することを特徴とするpH値が6〜9のポリアクリル酸塩水溶液の連続的製造方法。
  2. 少なくとも3個の槽型反応器からなる連続反応装置を使用し、前記第2反応器中においても、pH値を3.5以下に維持した水性媒体中で前記単量体の重合を行うことを特徴する請求項1記載のpH値が6〜9のポリアクリル酸塩水溶液の連続的製造方法。
  3. アクリル酸単量体またはアクリル酸塩単量体を主体とするアクリル系単量体を水性媒体中で重合させてポリアクリル酸塩を連続的に製造するにあたり、複数個の反応器よりなり少なくとも第1反応器は槽型反応器である連続反応装置を使用し、前記第1反応器内に、前記アクリル系単量体と、重合開始剤と、亜硫酸水素塩とを連続的に仕込みながら、pH値を3.5以下に維持した水性媒体中で前記単量体の重合を行い、該第1反応器から排出される反応液を第2反応器に連続的に仕込み、該反応器において重合を継続するとともに、第2反応器または第3反応器以降の反応器において反応液にアルカリを添加して中和することを特徴とするpH値が6〜9のポリアクリル酸塩水溶液の連続的製造方法において、少なくとも前記第1反応器は槽型反応器であり、少なくとも前記第2反応器は管型反応器である連続反応装置を用いることを特徴とするpH値が6〜9のポリアクリル酸塩水溶液の連続的製造方法。
  4. 前記製造されるポリアクリル酸塩の重量平均分子量は2,000〜30,000であることを特徴とする、請求項1、2、または、3記載のpH値が6〜9のポリアクリル酸塩水溶液の連続的製造方法。
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