JP3730615B2 - カルボン酸系重合体の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルボン酸系重合体の製造法に関する。更に詳しくは、洗剤用ビルダー、分散剤、スケール防止剤等として好適に使用しうるカルボン酸系重合体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
亜硫酸水素塩と酸素のレドックス開始剤存在下で重合を行うカルボン酸系重合体の製造法としては、攪拌槽型反応器で滴下方式により重合反応を行う方法(例えば、特許文献1参照)及び反応管内に薄膜流を形成させて重合反応を行う方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0003】
しかしながら、前者の方法には、スケールを増大させる場合には、気泡径の制御が難しくなるので、固形分濃度を下げる必要があり、また低分子量の重合体を得る場合には、開始剤を増量する必要がある。したがって、その方法には、生産性が低下したり、不純物の生成割合が増大するという欠点がある。
【0004】
また、後者の方法には、反応管内に薄膜流を形成するために膨大な量のガスが必要となるという欠点がある。
【0005】
上記以外の重合法として、スタティック・ミキサーでモノマー及びレドックス開始剤の連続混合を行った後、適当な重合器に供給するという方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。
【0006】
しかしながら、この方法には、レドックス開始剤が混合器に導入される段階で液状である必要があり、開始反応速度が大きく、閉塞の防止のため混合器の仕様及び開始剤の供給方法に制約があるという欠点がある。
【0007】
また、連続的にアクリル酸塩系重合体を製造する方法として、静止型混合器を備えたループ型反応器を用いて製造する方法(例えば、特許文献4参照)及び静止型混合器とリサイクルタンクを備えたループ型反応器により製造する方法(例えば、特許文献5参照)が知られている。
【0008】
しかし、前者の方法には、生産性が低く、また気液系を取り扱う場合には、ガスの分離機構が不十分なため、循環ができなくなるという欠点がある。
【0009】
また、後者の方法においては、亜硫酸水素塩及び酸素をレドックス開始剤として用いた場合、これらの開始剤及びモノマーをループ内に直接供給され、水溶性粘性の高い重合体が循環している状態で開始反応を行うこととなる。その結果、開始剤効率の高い重合反応を行うことができず、不純物の量が増大する。そこで、開始剤効率を高めるために水溶性重合体の粘度を下げるべく開始剤を増量し、分子量を下げた場合には、やはり開始剤由来の不純物の量が増大し、また水溶性重合体の濃度を下げた場合には、生産性が低下するという欠点がある。
【0010】
【特許文献1】
特公昭60-24806号公報
【特許文献2】
特公平02-24283号公報
【特許文献3】
特公昭60-8001 号公報
【特許文献4】
特開昭60-28409号公報
【特許文献5】
特開2001-98001号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、亜硫酸水素塩と酸素をレドックス開始剤としたカルボン酸系重合体 (以下、「重合体」という) の製造法において、重合反応を開始させる際に使用される酸素を含有するガス量を大幅に低減させても、着色を抑制し、不純物量が少なく品質の高い重合体を安定に、生産性よく製造しうる方法を提供することを課題とする。
【0012】
なお、本明細書にいう不純物とは、開始剤である亜硫酸水素塩と、α−不飽和カルボン酸又はその塩との付加反応物質(以下、「付加物」という)を意味する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(A) α−不飽和カルボン酸又はその塩を含有するモノマーの水溶液、亜硫酸水素塩を含有する水溶液、及び酸素を含有するガスを流通式混合器に導入し、モノマーを重合させる第1重合反応工程、及び
(B) 第1重合反応工程で得られた、未反応のモノマーを含有する反応生成物を配管により導入して更に重合させる、少なくとも気液混合機構及び温調機構を有する第2重合反応工程
を有するカルボン酸系重合体の製造法
に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
α−不飽和カルボン酸又はその塩の重合反応において、亜硫酸水素塩と酸素をレドックス開始剤として用い、亜硫酸水素塩を含有する水溶液、酸素を含有するガス及びモノマーの水溶液(以下、「反応原料」という)を流通式混合器に導入する。流通式混合器に反応原料を導入することにより、水溶液中に微細な気泡を分散させ、液側への酸素の吸収効率が高められるので、開始剤効率の高い反応を行うことができる。
【0015】
更に、前記反応工程(以下、「第1重合反応工程」という)で得られた反応生成物を少なくとも気液混合機構及び温調機構を有する反応工程(以下、「第2重合反応工程」という)に導入することにより、最終的に重合率が高く、付加物量が少ない所望の重合体を生産性よく製造することができる。
【0016】
また、本発明では、亜硫酸水素塩と酸素とが気液系のレドックス開始剤として用いられている。気体はその体積が大きく混合器内での流速が大きいため、連続混合及び連続重合を行うに際し、スタティック・ミキサーを用いなくても混合器の閉塞を防止することができる。
【0017】
第1重合反応工程は、反応原料を流通式混合器に導入し、モノマーを重合させる工程である。
【0018】
α−不飽和カルボン酸又はその塩は、原料モノマーとして用いられる。α−不飽和カルボン酸又はその塩の中では、アクリル酸又はその塩を必須成分とするモノマーは、単独重合又は共重合に適しているので好ましい。アクリル酸は、無水アクリル酸又はアクリル酸60重量%以上を含有するアクリル酸水溶液として用いることができる。このアクリル酸水溶液は、一部ないし全部を中和したアクリル酸アルカリ金属塩の水溶液、例えば、アクリル酸ナトリウム水溶液、アクリル酸カリウム水溶液等であってもよい。
【0019】
原料モノマーには、α−不飽和カルボン酸又はその塩と共重合可能な親水性モノマー、例えば、マレイン酸、アクリルアミド、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル等が含有されていてもよい。原料モノマーにおける親水性モノマーの含有量は、重合反応速度を高めるとともに、分子量の制御を容易にする観点から、0〜30モル%が好ましい。
【0020】
モノマーの水溶液(以下、「モノマー水溶液」という)におけるモノマーの濃度は、生産性を高める観点、並びに反応及び温度の制御を容易にする観点から、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%である。
【0021】
モノマー水溶液のpHは、反応性の観点から5〜9が好ましく、更に開始剤効率の高い開始反応を行う観点から6〜7がより好ましい。
【0022】
モノマー水溶液の温度は、水溶液として取り扱う観点から5℃以上、また反応開始前のモノマーの重合を抑制する観点から30℃以下が好ましい。これらの観点から、モノマー水溶液の温度は、5〜30℃が好ましい。なお、マレイン酸を共重合させる場合、マレイン酸塩を水溶液として用いるときには、そのマレイン酸塩水溶液の温度は、50〜90℃が好ましい。
【0023】
亜硫酸水素塩としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素マグネシウム等が挙げられる。これらの中では、還元作用の強い亜硫酸水素ナトリウムが好ましい。
【0024】
亜硫酸水素塩を含有する水溶液(以下、「亜硫酸水素塩水溶液」という)の濃度は、生産性の観点から、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは20〜40重量%である。
【0025】
亜硫酸水素塩の量は、使用用途に適した分子量の制御を容易にするとともに、付加物の生成を抑制する観点から、モノマー1モルに対して0.008 〜0.1 モルであることが好ましい。
【0026】
また、酸素を含有するガス(以下、単に「ガス」という)としては、一般的に空気が用いられるが、純酸素や純酸素を不活性ガスで希釈したガスであってもよい。ガスにおける酸素濃度は、亜硫酸水素塩との反応性の観点から、好ましくは10容量%以上、より好ましくは20容量%以上である。ガスを供給する機器としては、コンプレッサーやブロアー設備等が挙げられる。反応を安定化させる観点から、ガスを定圧かつ定容量で供給することが好ましい。
【0027】
流通式混合器は、気液混合のために用いられる。本発明における流通式混合器としては、例えば、スタティックミキサー、オリフィスミキサー等の静止型混合器;エジェクター等の噴流ノズル;ラインミキサー等の管路攪拌機等が挙げられる。これらの中では、少ないガス量においても高い混合性能を発揮させることができる観点及び設備の耐久性、メンテナンス等の観点から、静止型混合器が好ましい。
【0028】
流通式混合器内に反応原料の導入する方法としては、例えば、モノマー水溶液を流通式混合器に導入する配管に、亜硫酸水素塩水溶液及びガスを導入する方法、反応原料を個別に流通式混合器内に直接導入する方法等が挙げられる。これらの方法の中では、前者の方法は、液とガスの予備混合を行うことができ、気液の分散性を高めることができるので好ましい。
【0029】
なお、2種類以上のモノマーを用いる場合には、各モノマーの水溶液を個別に又は混合して流通式混合器に導入することができる。
【0030】
流通式混合器内における気液の混合状態は、第1重合反応の反応性を決める重要な要素である。安定してフリーラジカルを発生させるためには、気液の接触効率を高めるとともに、液中に微細気泡が分散した分散流の状態をつくり出す必要がある。かかる観点から、第1重合反応工程終点において、20℃における反応生成物の粘度は、好ましくは700 mPa ・ s 以下、より好ましくは400mPa ・ s以下である。このような粘度範囲であれば、液側へのガスの吸収効率が高くなり、少ない開始剤量でも分子量の制御を行うことができ、また付加物の生成を抑制することもできる。
【0031】
静止型混合器を用いる場合には、その混合器内部におけるモノマー及び亜硫酸水素塩水溶液の混合液の流速及びガスの流速は、脈動するような不安定な流動状態にならない範囲内で分散流の状態を形成させる観点から、それぞれ好ましくは0.5m/s以上及び1.0m/s以上、より好ましくは1.0m/s以上及び3.0m/s以上である。かかる流速は、例えば、混合器内で流体が通過する箇所における最小断面積を調整することによって調節することができる。
【0032】
噴流ノズルを用いる場合にも、分散流の状態を形成させる観点から、その噴流ノズル内部におけるモノマー及び亜硫酸水素塩水溶液の混合液の流速及びガスの流速は、それぞれ好ましくは1.0m/s以上及び5m/s 以上、より好ましくは3.0m/s以上及び10m/s 以上である。かかる流速は、例えば、噴流ノズル内を通過する箇所における流体の最小断面積を調整することによって調節することができる。
【0033】
管路攪拌機を用いる場合には、攪拌翼の回転数及びその駆動力を、気泡径が1000μm以下となるように調整することが好ましい。
【0034】
流通式混合器に導入されるガスの標準状態(273K 、101.3kPa) における体積と、モノマー水溶液及び亜硫酸水素塩水溶液との合計体積との比(ガスの体積を液体の体積で除した値。以下、「液ガス比」という)は、その流通式混合器の種類にもよるが、通常、分散流の状態をつくり出し、モノマー及び亜硫酸水素塩の水溶液に対するガスの溶解度を高め、開始剤効率の高い重合反応を行う観点から、好ましくは1以上、より好ましくは4以上であり、また混合部における圧力損失を低減させるとともに流動状態を安定化させ、得られる重合体の分子量を一定化させる観点から、好ましくは300 以下、より好ましくは200 以下である。これらの観点から、液ガス比は、好ましくは1〜300 、より好ましくは4〜200 である。
【0035】
流通式混合器内における反応原料の滞留時間は、開始効率の高い開始反応を行う観点から、好ましくは0.05秒間以上、より好ましくは0.1 秒間以上であり、また非常に速いレドックス開始反応の場合であっても、重合熱による温度の上昇や混合器の圧力損失を抑制することができるようにする観点から、好ましくは30秒間以下、より好ましくは10秒間以下である。これらの観点から、滞留時間は、好ましくは0.05〜30秒間以内、より好ましくは0.1 〜10秒間以内である。
【0036】
第1重合反応工程における反応温度は、重合体の分子鎖の分岐や色相劣化を抑制するとともに、付加物の生成を抑制する観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下であり、得られる反応生成物は重合体水溶液として取扱う観点から、5℃以上が好ましい。これらの観点から、反応温度は、好ましくは5〜80℃、より好ましくは5〜60℃である。
【0037】
反応温度を制御をする方法としては、例えば、流通式混合器での重合開始反応条件を選定し、重合速度を制御する方法や、冷却器等により重合熱を除去する方法等が挙げられる。
【0038】
第1重合反応工程における重合率は、開始効率の高い開始反応を行うとともに、付加物の生成量の低減を図る観点から、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上であり、装置コスト及びガスの使用量の低減を図り、品質が一定した重合体を得る観点から、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。これらの観点から、重合率は、好ましくは30〜90%、より好ましくは35〜80%である。
【0039】
流通式混合器を通過し、重合反応を開始した反応生成物は、通常、配管により第2重合反応工程に導入されるが、第2重合反応工程に導入される前に、熱交換器や貯槽、また気液分離装置等を経由させてもよい。
【0040】
かくして第1重合反応工程で得られた、未反応のモノマーを含有する反応生成物 (以下、「第1重合反応生成物」という)の重合を、更に第2重合反応工程で行う。
【0041】
第2重合反応工程は、少なくとも▲1▼気液混合機構及び▲2▼温調機構を有し、必要により、▲3▼ガス供給機構、▲4▼気液分離機構及び▲5▼循環機構を有していてもよい。これらの各機構は、重合率を高める反応部で通常用いられているものであればよく、特に限定されるものではない。
【0042】
▲1▼気液混合機構としては、第1重合反応工程で用いるものと同じ流通式混合器、インペラーやノズル噴流、また通気操作等により気液混合を行う攪拌槽、ガスと液体とを接触混合させる気泡塔等が挙げられる。また、気液の混合操作を行うことができる気液反応装置であってもよい。
【0043】
▲2▼温調機構としては、熱交換が行われればよく、特に制限はないが、一般的な熱交換器として二重管式熱交換器、多管式熱交換器、スパイラル型熱交換器等が挙げられ、攪拌槽に付随したジャケットやコイル等を利用して温度調節を行うこともできる。
【0044】
必要に応じて用いられる▲3▼ガス供給機構としては、第1重合反応工程で用いるものと同じであればよい。なお、第1重合反応により反応が開始され、系の粘度上昇によるガス吸収速度の低下を補うために、設備の圧力損失が許される範囲内で、重合率を高めるためのガスを追加供給することが好ましい。
【0045】
また、▲4▼気液分離機構は、特に制限されるものではないが、サイクロン、流下膜式気液分離塔、排気弁を有するガス分離タンク等が挙げられる。なお、ガス分離タンクを用いる場合には、冷却を行ったり、局所的にモノマー濃度が高くならないようにするために、攪拌機がガス分離タンクに設置されていることが好ましい。また、気液分離機構のガス放出部には、必要に応じてガス中の水蒸気を凝縮するための熱交換器が設置されていてもよい。
【0046】
▲5▼循環機構についても、配管その他の機器により、循環系が形成されていればよく、単独で又は複数で循環系を形成させてもよい。
【0047】
第2重合反応工程で用いられる好ましい反応部としては、上記▲1▼〜▲3▼の機構を具備する流通式混合器を配設した反応部、上記▲1▼〜▲4▼の機構を具備する攪拌槽型反応器を配設した反応部、上記▲1▼〜▲5▼の機構を具備するループ型反応器を配設した反応部等が挙げられる。これらの反応部を複数組み合わせて用いることもできる。
【0048】
第2重合反応工程において、流通式混合器が配設された反応部を用いる場合の一実施態様を図1に基づいて説明する。
【0049】
図1において、モノマー水溶液は原料モノマー供給口1a、ガスはガス供給口▲1▼2a、亜硫酸水素塩水溶液は亜硫酸水素塩水溶液供給口3aから供給される。
【0050】
供給された各成分は、流通式混合器▲1▼4aに導入され、第1重合反応生成物導入口5aより、第2重合反応工程として用いられる流通式混合器▲2▼7aを配設した反応部に導かれる。ガス供給口▲2▼6aから空気の補給を行い、流通式混合器▲2▼7a及び熱交換器▲2▼8aを介して製品受槽9aに移送される。
【0051】
まず、反応原料を流通式混合器▲1▼4a内に導入し、第1重合反応を開始する。
次いで、第1重合反応生成物を第2重合反応工程に導入し、ガス供給口▲2▼6aから更にガスの供給を行い、流通式混合器▲2▼7aで気液の混合性を高めながら第2重合反応を連続的に行い、熱交換器▲2▼8aで発生する重合熱の除去を行う。
【0052】
重合率を更に高める観点から、第2重合反応工程で用いられる流通式混合器▲2▼7aの1種以上が配列されていてもよい。この場合、各混合器の手前からガスの補給を行い、反応を促進させることが好ましい。また、圧力損失を低減させる観点から、反応の進行に伴い、順次、低圧損タイプの流通式混合器を設置してもよい。
【0053】
次に、第2重合反応工程において、撹拌槽型反応器が配設された反応部を用いる場合の一実施態様を図2に基づいて説明する。
【0054】
図2において、モノマー水溶液は原料モノマー供給口1bから、ガスはガス供給口▲1▼2bから、亜硫酸水素塩水溶液は亜硫酸水素塩水溶液供給口3bから供給される。供給された各成分は、流通式混合器4bに導入され、第1重合反応工程導入口5bより、第2重合反応工程に用いられる撹拌槽型反応器8bを配設した反応部に導入される。なお、撹拌槽型反応器8bには、ガス供給口▲2▼9bが配設されている。
【0055】
まず、反応原料を流通式混合器4b内に導入し、第1重合反応を開始する。
次いで、第1重合反応生成物を第2重合反応工程に導入し、排気口6bにより脱気を行い、ジャケット7bを具備した撹拌槽型反応器8bで冷却を行うとともに、第2重合反応を行う。また、反応を促進するためのガスをガス供給口▲2▼9bから供給し、通気攪拌操作を行いながら重合率を高める。
【0056】
このとき、ガス供給口▲2▼9bから供給されるガスは、気液の接触効率を高めるために、例えば、シンタードグラスや多孔板等の装置により、気泡径が1000μm 以下となるように微細化することが好ましい。
【0057】
第2重合反応を行う前に、第1重合反応を行うことは、従来提案されている滴下方式の撹拌槽型反応器と対比して、その欠点である分子量の制御を大幅に改良することができるという利点がある。
【0058】
従来の反応においては、モノマー、開始剤等を直接撹拌槽型反応器内に滴下するため、生産性を向上させるためにモノマー濃度を高めると、高分子量体が生成され、分子量分布も大きくなるという問題がある。そこで、その分子量を下げるために開始剤量を増量すれば、開始剤に由来の付加物量が増大するという問題が発生する。
【0059】
これに対して、本発明においては、第2重合反応を行う前に第1重合反応が行われるため、すでに反応を開始した反応生成物を撹拌槽型反応器内に導入することができるので、実質的にモノマー濃度の低い状態での反応が可能となる。
【0060】
その結果、撹拌槽内におけるモノマー濃度を低く保つことができるとともに、分子量が低く、分子量分布の狭い重合体を生産性よく製造することができる。
【0061】
また、本発明における第2重合反応工程としてループ型反応器を配設した反応部を用いる場合の一実施態様を図3に基づいて説明する。
【0062】
図3において、モノマー水溶液は原料モノマー供給口1cから、ガスはガス供給口▲1▼2cから、亜硫酸水素塩水溶液は亜硫酸水素塩水溶液供給口3cから供給され、各成分は流通式混合器▲1▼4c内に導入され、第1重合反応生成物導入口5cより、第2重合反応工程として用いられるループ型反応器6cを配設した反応部に導かれる。
【0063】
なお、ループ型反応器6cには、第2重合反応で得られる反応生成物 (以下、「第2重合反応生成物」という) の抜き出し口7c、循環ポンプ8c、ガス供給口▲2▼9c、流通式混合器▲2▼10c 、熱交換器11c 及び気液分離器12c が配設されている。
【0064】
まず、反応原料を流通式混合器▲1▼4c内に導入し、第1重合反応を開始する。
次に、第1重合反応生成物を第2重合反応工程に導入し、反応を促進するためのガスをガス供給口▲2▼9cから供給するとともに流通式混合器▲2▼10c で更に気液の混合を行い、循環操作により第2重合反応を行う。
【0065】
循環する第2重合反応生成物は、ループ型反応器6cに設けられた熱交換器11c での重合熱の除去及び気液分離器12c でのガス分離、循環ポンプ8aによる再循環を行う。そして、ループ型反応器6cの一部に設けられた第2重合反応生成物抜き出し口7cから、ループ型反応器6c内に導入される第1重合反応生成物と同じ量の第2重合反応生成物を製品受槽13c に抜き出すことにより、連続的に重合を行うことができる。
【0066】
第2重合反応工程において、重合率を高める方法としては、流通式混合器▲2▼10c における混合性能を高める方法、ガス供給口▲2▼9cからの供給量を増やす方法等が挙げられる。しかし、ループ型反応器6c内における第2重合反応生成物の平均滞留時間あたりの混合部のパス回数を増やすことが循環操作において効果的である。平均滞留時間あたりのパス回数は、5パス以上が好ましく、10パス以上がより好ましい。
【0067】
第2重合反応を行う前に前記第1重合反応を行うことは、従来提案されているループ型反応器を用いた場合と対比して、その欠点である生産性の低さを大幅に改良することができるという利点がある。
【0068】
従来の反応では、モノマー、開始剤等をループ型反応器内に直接導入するため、生産性を高めるためにその導入量を増やしたり、あるいはその濃度を高めれば、分子量の制御が難しくなり、また未反応モノマーも多くなるという問題がある。また、これら生産性と品質の両方を満足させようとすると、ループ型反応器内の平均滞留時間を長くする必要があり、設備が大型化してしまうという問題が生じる。
【0069】
これに対して、本発明においては、第2重合反応を行う前に第1重合反応を行うことにより、すでに反応を開始した反応生成物としてループ型反応器内に導入することができるため、実質的にモノマー濃度の低い状態での反応が可能となる。その結果、循環流量に対する第1重合反応生成物の導入量比率を大きくすることができるので、生産性や品質を満足させることができるのみならず、更に設備を小型化させることができるので、装置効率の高いプロセスの構築が可能となる。また、ループ型反応器内の平均滞留時間を短くすることができることから、低圧力損失での運転も可能となる。
【0070】
本発明における第1重合反応生成物のループ型反応器への導入量は、生産性の観点から、好ましくは循環流量の3.3 重量%以上、また分子量の制御や重合率を高める観点から、好ましくは循環流量の50重量%以下である。これらの観点から導入量は、好ましくは循環流量の3.3 〜50重量%である。また、ループ型反応器内における平均滞留時間は、重合率を高める観点から、好ましくは1分間以上、また、生産性や設備を小型化する観点から、好ましくは120 分間以下である。これらの観点から平均滞留時間は1〜120 分間である。
【0071】
第2重合反応工程における反応温度は、反応性や品質を向上させ、重合体水溶液としての取扱いを容易にする観点から、第1重合反応工程と同様に、5〜80℃であることが好ましく、5〜60℃であることがより好ましい。反応温度は、温調機構により、容易に調整することができる。
【0072】
品質を向上させる観点から、第2重合反応工程での重合率が95%以上となるまで反応を継続することが好ましく、重合率をより一層高める観点から、製品受槽等で未反応モノマーの低減を行う熟成操作を行うことがより好ましい。
【0073】
なお、重合体の水溶液中の未反応モノマーの含有量は、重合体の40重量%水溶液において、品質及び収率を高める観点から、好ましくは1.0 重量%以下、より好ましくは0.5 重量%以下である。
【0074】
付加物の含有量は、品質及び収率を高める観点から、重合体の40重量%水溶液において、好ましくは2.0 重量%以下、より好ましくは1.0 重量%以下である。
【0075】
重合体の重量平均分子量は、分散性及び吸着性を高める観点から、通常、1000〜100000であることが好ましく、重合体を洗剤用ビルダー、分散剤、スケール防止剤等に用いる場合には、その重量平均分子量は2000〜30000 であることが好ましい。また、重量平均分子量を数平均分子量で除した値(以下、「分散指数」という)は、好ましくは7以下、より好ましくは5以下である。
【0076】
重合体水溶液における固形分量は、生産性を向上させる観点から、20重量%以上であることが好ましい。
【0077】
重合体には、例えば、固形分調整、pH調整、脱臭処理、脱色処理等の後処理を行ってもよい。
【0078】
【実施例】
実施例及び比較例で得られた重合体に関する物性は、以下の方法で測定した。
【0079】
(1)未反応モノマー量及び付加物量の測定と重合率の算出
未反応モノマー及び付加物量はHPLC(高速液体クロマトグラフィー)による測定を行うとともに、既知濃度の未反応モノマー及び付加物量の検量線により、それぞれ重合体水溶液中の濃度を算出した。
また、重合率は、反応前後における未反応モノマー量及び付加物に転化したモノマー量から下式に基づいて算出した。
【0080】
〔重合率〕
=〔(反応前の未反応モノマー量)−(反応後の未反応モノマー量)−(付加物に転化したモノマー量)〕÷〔反応前の未反応モノマー量〕×100
【0081】
なお、標準となる付加物(3-スルホプロピオン酸二ナトリウム) に関しては、Schenck, R.T.E. and Danishefski, I., J. Org. Chem., 16, 1683 (1951) と同様にして合成し、前記HPLCにより未反応モノマー量を、また1H-NMR (プロトン核磁気共鳴法) により重合体の量を測定し、標準となる付加物の純度を求めた。
【0082】
以下にHPLCの測定条件を示す。
カラム:東ソー(株)製、商品名:TSK-GEL ODS-80TS
移動相:0.02mol/Lリン二水素カリウムにリン酸を加えてpHを2.5 に調整した水溶液
検出器:紫外線検出器(波長:210nm)
カラム温度:30℃
流速:1.0mL/min
試料:固形分0.8gを含む重合体水溶液にイオン交換水を添加し、総液量が200mL となるように調製する。そして、この調製液から10μL を分取し、カラムに注入する。
【0083】
(2)分子量の測定と分散指数の算出
分子量はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定を行い、換算標準物質により重量平均分子量及び数平均分子量を求めた。
また、分散指数は重量平均分子量及び数平均分子量から下式に基づいて算出した。
〔分散指数〕=〔重量平均分子量〕÷〔数平均分子量〕
【0084】
以下に、GPCの測定条件を示す。
【0085】
(3)固形分量の測定
重合体水溶液を乾燥器で105 ℃、2時間乾燥し、その前後の重量から固形分量(重量%)を算出した。
【0086】
(4)色相の測定
重合体水溶液の色相をAPHA標準色と比較し、標準色列の中の最も近い標準色番号をその重合体水溶液の色相 (APHA値) とした。
【0087】
実施例1
図4に示す装置を用い、第1重合反応工程として、39.0重量%アクリル酸ナトリウム水溶液(20℃、pH=6.3、中和度:95mol %)と35重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(対アクリル酸5.5mol%)を定量ポンプにより、またガスとして空気 (空気供給▲1▼) をコンプレッサーによりそれぞれ71.4kg/h[60L/h] 、4.89kg/h[3.76L/h] 、1.2Nm3/hの流量で流通式混合器▲1▼に導入した。
【0088】
流通式混合器▲1▼として、ハニカムプレート静止型混合器〔環境科学工業(株)製、商品名:ラモンド・スーパーミキサー、型式03型、プレート2ユニット〕、熱交換器▲1▼として伝熱面積0.3m2 スパイラル型熱交換器を用い、液ガス比は19(=1200[L/h]/63.8[L/h])とした。流通式混合器▲1▼の入口部での圧力は0.45MPa 、出口部での温度は60℃、第1重合反応生成物導入口での重合率は68%であった。
【0089】
第2重合反応工程としては、3/4B配管(長さ:5.5m)に、流通式混合器、熱交換器の順に各機器を直列に2段配列した反応部(流通式混合器▲2▼−熱交換器▲2▼−流通式混合器▲3▼−熱交換器▲3▼)を用いた。また、各混合器の手前には反応を促進するための空気(空気供給▲2▼及び▲3▼)を供給した。
【0090】
流通式混合器▲2▼として、オリフィスプレート型静止混合器〔(株)フジキン製、商品名:分散君、型式:25D 型、プレート枚数:15組-30 枚〕、流通式混合器▲3▼として、同社製の格子プレート型静止混合器〔(株)フジキン製、商品名:混合君、型式:25M 型、プレート枚数:15組-30 枚〕、熱交換器▲2▼及び▲3▼としてそれぞれ伝熱面積0.3m2 スパイラル型熱交換器を用いた。また、各混合器の手前より供給を行った空気の流量は、空気供給▲2▼では4.2Nm3/h、空気供給▲3▼では3.0Nm3/hとした。
【0091】
第1重合反応工程で得られた反応生成物は、第1重合反応生成物導入口より流通式混合器▲2▼及び▲3▼が2段に配列された反応部に導入され、空気供給▲2▼及び▲3▼により空気の補給を受け、第2重合反応を行い、得られる第2重合反応生成物を300L製品受槽に受け入れた。また、その後、0.5 時間、製品受槽で熟成を行った。
【0092】
第2重合反応工程出口と熟成終了後の製品受槽の2箇所からサンプリングを行い、未反応モノマー量、付加物量、重合体の分子量、固形分量及び色相の分析と、重合率及び分散指数の算出を行った。運転開始から2.0 時間目に行った第2重合工程出口でのサンプリングでは、未反応モノマー量は1.1 重量%、付加物量は1.46重量%、重合率は95.1%、重量平均分子量は14700 、分散指数は5.34であった。また、製品受槽における未反応モノマー量は0.23重量%、付加物量は1.90重量%、重合率は96.7%、重量平均分子量は14980 、分散指数は5.47、固形分量は40.2重量%、色相(APHA値)は20であった。
【0093】
実施例2
実施例1において、第1重合反応工程における静止型混合器のプレートユニット数を2ユニットから10ユニットに変更し、液ガス比を19から100(空気流量6.38Nm3/h)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0094】
第1重合反応工程における流通式混合器の入口部での圧力は1.2MPa、出口部での温度は81℃、重合率は93%であったが、流動状態は不安定で、間欠的な流れとなった。
【0095】
また、第2重合反応工程の出口におけるサンプリングの分析の結果、未反応モノマー量は0.71重量%、付加物量は1.52重量%、重合率は95.5%、重量平均分子量は13700 、分散指数は7.25であった。また、製品受槽における未反応モノマー量は0.39重量%、付加物量は1.95重量%、重合率は96.1%、重量平均分子量は14500 、分散指数は7.68、固形分量は39.9重量%、色相(APHA値)は20であった。
【0096】
実施例3
図5に示す装置を用い、第1重合反応工程として、38.6重量%アクリル酸ナトリウム水溶液(20℃、pH=6.4、中和度:97mol %) と35重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(対アクリル酸5.4mol%) を定量ポンプにより、またガスとしては空気 (空気供給▲1▼) をコンプレッサーによりそれぞれ56.4kg/h[47.4L/h] 、3.75kg/h[2.88L/h] 、0.40Nm3/h の流量で流通式混合器に導入した。
【0097】
流通式混合器として、実施例1と同じハニカムプレート静止型混合器を用い、液ガス比を8(=400[L/h]/50.3[L/h])とした。流通式混合器の入口部での圧力は0.35MPa 、出口部での温度は52℃、第1重合反応生成物導入口での重合率は62%であった。
【0098】
第2重合反応工程としては、ジャケット及び外部熱交換器(伝熱面積0.3m2 スパイラル型熱交換器)により冷却することができ、排気口を具備する撹拌槽型反応器(容量300L、タービン翼、200r/min)を配設した反応部を用い、初期にイオン交換水64L を仕込んだ。また、撹拌槽下部より反応を促進するための空気(空気供給▲2▼:1.5Nm3/h) を供給しながら、第2重合反応を行うための通気撹拌操作を行った。
【0099】
第1重合反応工程で得られた反応生成物は、第1重合反応生成物導入口より撹拌槽型反応器内に滴下導入し、通気撹拌を行うとともに第2重合反応を行った。また、冷却操作により槽内温度を30℃±5℃の範囲で制御した。この滴下重合操作を3.0 時間継続し、その後、0.5 時間熟成を行った。
【0100】
熟成終了後、撹拌槽型反応器からサンプリングを行い、未反応モノマー量、付加物量、重合体の分子量、固形分量及び色相の分析と、重合率及び分散指数の算出を行ったところ、未反応モノマー量は0.21重量%、付加物量は1.52重量%、重合率は96.3%、重量平均分子量は11020 、分散指数は4.85、固形分量は29.8重量%、色相(APHA値)は30であった。
【0101】
実施例4
図6に示す装置を用い、第1重合反応工程として、38.6重量%アクリル酸ナトリウム水溶液(20 ℃、pH=6.4、中和度:97mol %) と35重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(対アクリル酸3.6mol%) を定量ポンプにより、また、ガスとして空気 (空気供給▲1▼) をコンプレッサーによりそれぞれ56.4kg/h[47.4L/h] 、2.50kg/h[1.92L/h] 、1.0Nm3/hの流量で流通式混合器▲1▼に導入した。
【0102】
流通式混合器▲1▼として、(株)フジキンのオリフィスプレート型静止混合器(商品名:分散君、型式:15D 型、プレート枚数:5 組-10 枚)を用い、液ガス比は20(=1000[L/h]/49.1[L/h])とした。流通式混合器の入口部での圧力は0.25MPa 、出口部での温度は45℃、第1重合反応生成物導入口での重合率は50%であった。
【0103】
第2重合反応工程としては、流通式混合器▲2▼、熱交換器、撹拌機を有する50L ガス分離タンク及び循環ポンプを具備したループ型反応器(3/4B配管×ループ配管長さ:8m)を配設した反応部を用い、重量平均分子量10,000、分散指数3.90、固形分40.0重量%の部分中和されたポリアクリル酸ナトリウム水溶液を仕込み、30℃、520L/hの条件で第2重合反応を行うための循環操作を行った。
【0104】
第1重合反応工程で得られた反応生成物は、ループ型反応器内に設置した流通式混合器▲2▼〔(株)フジキンのオリフィスプレート型静止混合器(商品名:分散君、型式:25D 型、プレート枚数:3 組-6枚)〕の手前に導入し、反応を促進するための空気(空気供給▲2▼:2.4Nm3/h) とともに更に気液の混合を行い、熱交換器による重合熱の除去及びガス分離タンクによる脱気を行って、循環操作により第2重合反応を行った。循環圧力は、循環ポンプ吐出側で0.15MPa 、ループ型反応器内の温度は40℃±3℃の範囲内で制御し、ループ型反応器内の平均滞留時間を24分とした。そして、ガス分離タンクに設けた第2重合反応生成物抜き出し口からループ型反応器に導入される第1重合反応生成物と同じ流量で第2重合反応生成物を300L製品受槽に受け入れた。
【0105】
上記操作を3.5 時間継続し、連続的に得られた第2重合反応生成物を300L製品受槽に受け、0.5 時間熟成を行った。50L ガス分離タンクと熟成終了後の300L製品受槽の2箇所からサンプリングを行い、未反応モノマー量、付加物量、重合体の分子量、固形分量及び色相の分析と、重合率及び分散指数の算出を行った。
【0106】
運転開始から2.0 時間目に行った50L ガス分離タンクのサンプリングでは、未反応モノマー量は1.14重量%、付加物量は0.53%、重合率は95.3%、重量平均分子量は9800、分散指数は3.30であった。また、製品受槽における未反応モノマー量は0.11重量%、付加物量は0.61重量%、重合率は98.8%、重量平均分子量は10250 、分散指数は3.80、固形分量は39.9重量%、色相(APHA値)は10であった。
【0107】
比較例1
図7に示されるように、実施例1において、本発明における第2重合反応を行わず、第1重合反応生成物を300L製品受槽に受け、0.5 時間熟成を行った。製品受槽におけるサンプリングでは、高粘性のゲル化物が生成し、水溶液として取り扱うことができなかった。
【0108】
比較例2
図7に示されるように、実施例2において、本発明における第2重合反応を行わず、第1重合反応生成物を300L製品受槽に受け、0.5 時間熟成を行った。製品受槽におけるサンプリングでは、未反応モノマー量は1.36重量%、付加物量は2.05重量%、重合率は92.6%、重量平均分子量は20600 、分散指数は8.56であった。
【0109】
比較例3
図8に示されるように、実施例3において、本発明における第1重合反応を実施せずに、38.6重量%アクリル酸ナトリウム水溶液、35重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を定量ポンプにより、それぞれ56.4kg/h、3.75kg/hの流量で直接撹拌槽型反応器に3.0 時間滴下し、重合反応を行った。また、反応に必要な空気に関しては、実施例3において、第1重合反応工程で使用した空気供給▲1▼(0.40Nm3 /h)と撹拌槽下部より供給した空気供給▲2▼(1.5Nm3/h)の合計量である空気供給▲1▼+▲2▼(1.9Nm3/h)を撹拌槽下部より供給した。そして、滴下終了後、0.5 時間の熟成を行った。
【0110】
撹拌槽型反応器からサンプリングを行い、未反応モノマー量、付加物量、重合体の分子量、固形分量及び色相の分析と、重合率及び分散指数の算出を行ったところ、未反応モノマー量は1.05重量%、付加物量は4.30重量%、重合率は87.3%、重量平均分子量は28100 、分散指数は13.56 、固形分量は29.9重量%、色相(APHA値)は50であった。
【0111】
比較例4
図9に示されるように、実施例4において、本発明における第1重合反応を実施せずに38.6重量%アクリル酸ナトリウム水溶液、35重量%重量亜硫酸水素ナトリウム水溶液及び空気をそれぞれ56.4kg/h、2.49kg/h及び3.4Nm3/hの流量でループ型反応器内に直接供給し、循環操作により重合反応を行った。反応に必要な空気に関しては、実施例4において、第1重合反応工程で使用した空気供給▲1▼(1.0Nm3/h)とループ型反応器に供給している空気供給▲2▼(2.4Nm3/h)の合計量である空気供給▲1▼+▲2▼(3.4Nm3/h) をループ型反応器に供給した。運転開始直後から循環圧力が増加し続け、運転開始から1.0 時間目には循環ができない状況となった。運転開始から0.5 時間目における50L ガス分離タンク部位でのサンプリングでは、未反応モノマー量は2.07重量%、付加物量は2.53重量%、重合率は89.5%、重量平均分子量は158000、分散指数は17.65 であった。
【0112】
【発明の効果】
本発明の製造法によれば、流通式混合器が用いられているので、酸素を含有するガスの使用量を大幅に低減しても、開始効率の高い第1重合反応を行うことができ、得られた反応生成物を、更に第2重合反応工程に導入することにより、着色を抑制し、付加物の少ない、品質の高い重合体を生産性よく製造することができる。
【0113】
更に、気液系である亜硫酸水素塩を含有する水溶液及び酸素を含有するガスを用いることにより、流通式混合器での閉塞も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明における第2重合反応工程で用いられる流通式混合器を配設した反応部の一実施態様を示す概略説明図である。
【図2】図2は、本発明における第2重合反応工程で用いられる撹拌槽型反応器を配設した反応部の一実施態様を示す概略説明図である。
【図3】図3は、本発明における第2重合反応工程で用いられるループ型反応器を配設した反応部の一実施態様を示す概略説明図である。
【図4】図4は、本発明における実施例1〜2で用いられた実験装置の概略説明図である。
【図5】図5は、実施例3で用いられた実験装置の概略説明図である。
【図6】図6は、実施例4で用いられた実験装置の概略説明図である。
【図7】図7は、比較例1〜2で用いられた実験装置の概略説明図である。
【図8】図8は、比較例3で用いられた実験装置の概略説明図である。
【図9】図9は、比較例4で用いられた実験装置の概略説明図である。
【符号の説明】
1a 原料モノマー供給口
1b 原料モノマー供給口
1c 原料モノマー供給口
2a ガス供給口▲1▼
2b ガス供給口▲1▼
2c ガス供給口▲1▼
3a 亜硫酸水素塩水溶液供給口
3b 亜硫酸水素塩水溶液供給口
3c 亜硫酸水素塩水溶液供給口
4a 流通式混合器▲1▼
4b 流通式混合器
4c 流通式混合器▲1▼
5a 第1重合反応生成物導入口
5b 第1重合反応生成物導入口
5c 第1重合反応生成物導入口
6a ガス供給口▲2▼
6b 排気口
6c ループ型反応器
7a 流通式混合器▲2▼
7b ジャケット
7c 第2重合反応生成物抜き出し口
8a 熱交換器▲2▼
8b 撹拌槽型反応器
8c 循環ポンプ
9a 製品受槽
9b ガス供給口▲2▼
9c ガス供給口▲2▼
10c 流通式混合器▲2▼
11c 熱交換器
12c 気液分離器
13c 製品受槽
Claims (4)
- (A) α−不飽和カルボン酸又はその塩を含有するモノマーの水溶液、亜硫酸水素塩を含有する水溶液、及び酸素を含有するガスを流通式混合器に導入し、モノマーを重合させる第1重合反応工程、及び
(B) 第1重合反応工程で得られた、未反応のモノマーを含有する反応生成物を配管により導入して更に重合させる、少なくとも気液混合機構及び温調機構を有する第2重合反応工程
を有するカルボン酸系重合体の製造法。 - 第1重合反応工程における重合率が30〜90%である請求項1記載の製造法。
- 第1重合反応工程において、酸素を含有するガスの標準状態における体積と、モノマーの水溶液及び亜硫酸水素塩を含有する水溶液の合計体積との比(液ガス比=ガスの体積/液体の体積)が1〜300 である請求項1又は2記載の製造法。
- 第2重合反応工程において、流通式混合器が配設された反応部、撹拌槽型反応器が配設された反応部、及びループ型反応器が配設された反応部からなる群より選ばれた1種以上の反応部を用いる請求項1〜3いずれか記載の製造法。
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