JP3843774B2 - 水溶性アクリル系重合体の連続的製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、アクリル酸単量体またはアクリル酸塩単量体等のアクリル系単量体等を連続的にラジカル重合させて、ポリアクリル酸ソーダ等の水溶性アクリル系重合体を連続的に製造する方法に関する。本発明は、特に、重量平均分子量が2000〜30000程度で、分子量分布が狭いアクリル系重合体を連続的に、しかも、高反応率をもって製造するのに適する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアクリル酸ソーダ等のアクリル系重合体は、顔料分散剤やスケール防止剤または洗剤ビルダー等に多用されている産業上重要な化合物である。これらの用途には、アクリル系重合体の重量平均分子量は2000〜10000程度が好ましく、また重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで除した商Mw/Mn、すなわち分散度等で表される分子量分布はできるだけ狭いことが好ましい。更に、その製造にあたっては、当然ながら、重合反応収率はできるだけ高いことが好ましい。
【0003】
従来、ポリアクリル酸ソーダ等のアクリル系重合体は、アクリル酸単量体またはアクリル酸塩単量体を、例えば過硫酸ナトリウム等の重合開始剤およびイソプロピルアルコール等の連鎖移動剤の存在の下に、ラジカル重合させることにより製造されていた。この重合プロセスにおいて、適切な量の連鎖移動剤を使用すれば、連鎖移動剤の作用により、得られるアクリル系重合体の重量平均分子量は十分低い2000〜10000程度に制御できた。
【0004】
もっとも、使用する連鎖移動剤の量が多くなると、得られるアクリル系重合体の分子量分布が広くなる傾向にあり、上記分子量分布を可及的に狭くする目的からは外れると共に、残余の連鎖移動剤を除去する工程が必要になるという問題があった。
【0005】
かかる問題に関しては、いくつかの解決策が提案されており、たとえば本出願人が先になした特許出願(特願2001−87137号)に記載の発明もその一例である。
【0006】
しかしながら、提案されている従来の製造方法は、バッチ方式又は半回分方式によるものが多く、例えば単量体、重合開始剤、連鎖移動剤等を1〜6時間かけて連続的に反応器に滴下して重合させ、その後反応器から重合体を取出す工程を経るものであり、これらは、各バッチ毎に煩雑な操作が要求された。
【0007】
このように、従来のバッチ方式、又は半回分方式は、操業効率において改良の余地があり、生産性向上の大幅な改良のためにアクリル系重合体を連続的に製造する方法の開発が望まれていた。
【0008】
かゝる努力の成果としては、特開昭62−121705号公報に、円筒状反応器を使用し、その一端から反応に関与する単量体および亜硫酸水素ナトリウム等を供給し、これと並流的に不活性ガス、空気、または、酸素を供給し、このガス流により、中和度70〜90%のアクリル酸ナトリウム水溶液の薄膜液を反応器の内壁にそって形成させ、重合させることを特徴とする、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液の製造方法が開示されている。この方法によれば、分散剤やスケール防止剤として好適な分子量分布の狭い重合体が連続的に製造できると説明されているが、この方法では、単量体の反応率すなわち重合転換率が高々90〜95%であり、得られる重合体水溶液中には単量体が多量に含まれていた。
【0009】
上記方法においては、さらに以下のような問題もあった。すなわち、水溶液中で亜硫酸水素ナトリウムの存在下にアクリル酸またはアクリル酸ナトリウムの重合を行うと、亜硫酸水素塩と単量体との1:1付加反応が起こることが知られており[高分子学会発行「高分子」第43巻5月号(1994年)325頁および特開昭56−103207号公報等]、その付加物(一般的にマイケル付加物と称される)の含有量が多くなると、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液の品質が低下することである。
【0010】
特開平11−246604号公報には、5個以上の反応器からなる連続重合装置を使用し、第1の反応器に不飽和ジカルボン酸系単量体の全量を供給し、第1〜第3の反応器に不飽和モノカルボン酸系単量体を供給し、少なくとも最終反応器には不飽和モノカルボン酸系単量体が供給されないようにして、不飽和モノカルボン酸系単量体が供給される反応器への不飽和モノカルボン酸系単量体の供給量を実質的に等しくすることゝした水溶性共重合体の製造方法が開示されている。上記公開公報に記載の発明は、不飽和ジカルボン酸の重合転換率を高く維持しながら連続重合を行うことを課題としており、そのために多数の反応器を使用する必要があった。
【0011】
特開平10−147620号公報には、端部に設けた不飽和ジカルボン酸供給口と、端部より下流に設けた複数の不飽和モノカルボン酸供給口とを有する管型連続重合装置を使用し、重合開始剤を、不飽和ジカルボン酸と不飽和モノカルボン酸との合計量の7.5〜90%使用し、前記の端部供給口から不飽和ジカルボン酸の全量を供給し、前記の下流に設けた第1の供給口に不飽和モノカルボン酸の30〜80%を供給し、前記の下流に設けた第2の供給口に不飽和モノカルボン酸の残量を供給することゝした共重合体の連続製造方法が開示されている。しかしながら、ここに記載された方法による場合は、重量平均分子量を比較的低めに制御することが困難であり、例えば10000の重量平均分子量のものを得る場合には、単量体に対して80質量%の重合開始剤を用いる必要があり、分子量分布の狭い重合体は得られ難いという問題があった。
【0012】
連続的にアクリル系重合体を製造する上記方法は、それぞれ問題点を有するものの、バッチ法固有のバッチ毎の煩雑な操作から開放され、生産性が高くなる点で評価されるべきものと言える。また、連続的にアクリル系重合体を製造する方法には、単一反応器を用いるだけでは反応率を100%にすることが困難な問題があるが、この点に関しては複数の反応器を直列に配置させることにより反応率を高めることが提案されている(特開平11−246604号、特公平−57804号)。
【0013】
これらの提案は、全体の重合反応率を高める上で非常に有効な提案であるが、これらの複数の反応器を用いる場合は、新たに以下に述べる問題が発生している。
【0014】
即ち、第1反応器と第2反応器とは、反応液の粘度、単量体濃度、重合開始剤濃度、連鎖移動剤濃度等の反応条件が異なるため、生成する重合体の分子量が大きく異なる問題がある。例えば、第2反応器内の単量体濃度が第1反応器内の単量体濃度よりも低濃度であれば、第2反応器内においては第1反応器内におけるよりも低分子量の重合体が生成する。従って、最終的には分子量が異なる重合体同士がブレンドされて得られる製品重合体は分子量分布の広いものとなる。
【0015】
上記複数の反応器を用いる連続的アクリル系重合体の製造方法においては、反応器毎に分子量の異なる重合体が生成する問題は考慮されておらず、このため上記複数の反応器を用いてアクリル系重合体を連続的に製造する場合は、得られるアクリル系重合体の分子量分布は広くなる。このため、分散剤、スケール防止剤、ビルダー等の用途に使用する場合は、所期の性能を満たし得ない問題がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的とするところは、上記問題を解決し、生産性向上のため連続的工程を採用し、しかも得られるアクリル系重合体の重量平均分子量が2000〜30000程度であり、マイケル付加物の含有量が少なく、分子量分布が狭く、かつ反応率が高いという利点を維持して、ポリアクリル酸ソーダ等のアクリル系重合体を製造する方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、複数の反応器を有する連続重合装置を用いて水溶性アクリル系単量体をラジカル重合させるに際し、第1反応器において反応器内に供給する単量体の90質量%以上を重合させるようにすると、重量平均分子量が2000〜30000程度、好ましくは2000〜10000程度であり、分子量分布が狭いアクリル系重合体を製造できることを知得した。
【0018】
本発明方法によれば、第1反応器において単量体の90質量%以上を反応させるので、残りの単量体は第2反応器以後の反応器で重合させることになる。第2反応器以後で生成するアクリル系重合体は第1反応器内で生成するアクリル系重合体よりも低分子量である。しかし、第2反応器以後で生成するアクリル系重合体量は10質量%未満であるので、最終製品の分子量分布に及す影響は少ない。その結果、従来得ることのできなかった分子量分布の狭い重量平均分子量が2000〜30000程度のアクリル系重合体を製造できるようになる。
【0019】
本発明は、上記知見に基づき完成するに至ったものである。
【0020】
即ち、本発明は、以下に記載するものである。
【0021】
〔1〕 アクリル酸単量体またはアクリル酸塩単量体を主体とするアクリル系単量体を水性媒体中で重合させ、さらに必要によりアルカリを添加することにより水溶性アクリル系重合体を連続的に製造するにあたり、複数個の反応器よりなり少なくとも第1反応器は槽型反応器である連続反応装置を使用し、該第1反応器に前記アクリル系単量体、重合開始剤および連鎖移動剤を供給しながら、前記アクリル系単量体を重合させ、第1反応器に供給された単量体の重合転換率を第1反応器の出口反応液において90質量%以上に維持することを特徴とする水溶性アクリル系重合体の連続的製造方法。
【0022】
〔2〕 第1反応器における反応液の滞留時間が30分〜4時間である〔1〕に記載の水溶性アクリル系重合体の連続的製造方法。
【0023】
〔3〕 全単量体の95質量%以上を第1反応器に供給する〔1〕又は〔2〕に記載の水溶性アクリル系重合体の連続的製造方法。
【0024】
〔4〕 連鎖移動剤が亜硫酸水素塩である〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の水溶性アクリル系重合体の連続的製造方法。
【0025】
〔5〕 第2反応器として槽型反応器を使用し、第2反応器の反応液中に分子状酸素を吹込む〔1〕〜〔4〕の何れかに記載の水溶性アクリル系重合体の連続的製造方法。
【0026】
本発明の中間体としてポリアクリル酸が製造される場合は、本発明においてこれを中和してpH値が6〜9のポリアクリル酸塩水溶液とすることは、分散剤、洗剤ビルダー等の実際の用途においては、ほぼ中性に中和されたポリアクリル酸塩が優れた性能を発現するからである。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明において使用する連続反応装置は複数個の反応器よりなり、少なくとも第1反応器は槽型反応器である。槽型反応器としては、連続重合に適するように反応液の取り出しを可能にする手段を備えていることを除けば、バッチ式の重合において通常使用している反応器が使用できる。槽型反応器は、攪拌機および温調用のジャケット等を有するものが好ましい。
【0028】
第2反応器としては、槽型反応器を使用することもできるし、管型反応器を使用することもできる。槽型反応器は、前記第1反応器と同様の構成のものが好ましい。第2反応器として管型反応器を使用する場合、第2反応器で単量体の重合および中和の各反応を完結することができる。すなわち、管型反応器として十分な長さを有するものを使用すれば、該反応器の中で重合転換率を高くすることができ、更にアルカリを添加する部位を選択することにより、重合が進行する場所における反応液のpHを管理することができる。
【0029】
第1反応器へ供給する各成分について述べる。まず、単量体としては、アクリル酸単量体またはアクリル酸塩単量体を主体とするアクリル系単量体を使用することができる。
【0030】
これらアクリル酸単量体、アクリル酸塩単量体は単独で、または混合して、更には後述するその他の単量体を併用して使用することができる。アクリル酸塩としては、アクリル酸のナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が例示できる。
【0031】
第1反応器における反応液のpH値は3.5以下に管理することが好ましい。反応液のpH値が3.5より高いと、アクリル系単量体と亜硫酸水素塩とが付加反応を起こし(ミカエル付加物を生成)、それが原因となって得られる重合体の分子量分布が広くなる。
【0032】
第1反応器の反応液のpH値を3.5以下に管理するためには、アクリル酸塩単量体の使用量は全単量体の合計量を基準にして、10モル%以下が適当である。なお、アクリル酸単量体のみを第1反応槽に供給する場合、反応液のpH値は0.1〜2程度となる。
【0033】
上記アクリル酸単量体またはアクリル酸塩単量体以外の単量体としては、メタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、マレイン酸、イタコン酸およびそれらの塩、並びに(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等を併用してもよい。
【0034】
単量体は水溶液として第1反応器に供給することが好ましい。単量体の水溶液濃度としては各単量体の合計量で30〜60質量%が好ましい。
【0035】
単量体の供給速度としては、生産効率および得られる重合体の品質のバランスから、第1反応器に反応液が0.5〜4時間滞留するような供給速度が好ましい。
【0036】
本発明においては、第1反応器において、単量体の重合転換率が90%以上となるような条件を選択して重合を行う。そのためには用いる単量体の大半を第1反応器に供給する。具体的には、用いる単量体の95%以上を第1反応器に供給することが好ましく、さらに好ましくは100%を第1反応器に供給する。
【0037】
全単量体を第1反応器に供給しない場合、残余の単量体は第2反応器以降の反応器に供給する。
【0038】
重合開始剤としては、ラジカルを発生し得る化合物であれば使用可能であるが、過酸化物が好ましい。過酸化物としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素およびターシャリーブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられる。さらに好ましい過酸化物は、後述する亜硫酸水素塩とともにレドックス系重合開始剤となりうる過酸化物であり、具体的には過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩である。
【0039】
上記重合開始剤は、例えば水性媒体等に希釈して、前記単量体とは別の供給口から反応器に供給することが好ましい。好ましい供給量は、単量体100質量部あたり0.1〜20質量部であり、さらに好ましくは0.3〜5質量部である。
【0040】
また、本発明においては目的とする重合体の分子量の調整のために連鎖移動剤を使用する。連鎖移動剤としては、亜硫酸水素ナトリウムに代表される亜硫酸水素塩が好ましい。亜硫酸水素塩は、前記単量体または重合開始剤と別の供給口から反応器に供給してもよいが、反応器に供給する直前に単量体と混合してもよい。その好ましい使用量は、単量体の量(モル数)に対して0.3〜50モル%であり、さらに好ましくは1.0〜25モル%である。
【0041】
なお、反応温度としては、20〜100℃が好ましく、さらに好ましくは30〜80℃である。
【0042】
上記条件を選択することにより、第1反応器において単量体の重合転換率を90%以上にすることができる。
【0043】
第1反応器中で重合転換率が90%以上になった反応液を、次いで第2反応器に連続的に送り、更に重合反応を進める。
【0044】
第2反応器として槽型反応器を使用する場合は、第2反応器における反応液のpH値を3.5以下としてさらに重合を進行させることが好ましい。この場合には、第2反応器の後にさらに第3反応器を置き、そこで中和をすることにより、最終的にpH値が6〜9のアクリル系重合体塩水溶液を得ることができる。勿論、第2反応器までで製造工程を完結させてもよく、その場合には、該反応器においてアリカリを添加して反応液をpH値6〜9に中和する。
【0045】
第2反応器に槽型反応器を用いる場合、第1反応器から排出される反応液と共に、別途重合開始剤を第2反応器に供給することが望ましい。それらの成分の第2反応器における滞留時間としては、0.5〜4時間程度が好ましい。重合開始剤の使用量は、単量体の供給量(第1反応器に供給する単量体の量)100質量部に対して0〜3質量部が好ましい。そして、第1および第2反応器に供給する重合開始剤の合計量は、単量体合計量を100質量部とすると0.1〜20質量部が好ましい。
【0046】
第2反応器における反応温度は、40〜90℃が好ましい。第1反応器において単量体の重合転換率を90%以上にし、さらに第2反応器における重合を進行させることにより、全体として98%以上に重合転換率を高めることができる。
【0047】
第1反応器の反応液中に連鎖移動剤として亜硫酸水素塩を加えた場合は、前記第2反応器の反応液に分子状酸素を吹込むことが好ましい。分子状酸素源としては空気が好ましい。分子状酸素の吹込みにより、亜硫酸水素塩が酸化されて失活し、第2反応器中で生成する重合体の分子量低下を防止する。分子状酸素の吹き込み量は、亜硫酸水素が失活するのに充分な量であれば特に制限がない。
【0048】
第2反応器として管型反応器を使用する場合にも、反応温度および重合開始剤の使用量等に関しては、前記槽型反応器と同様の条件を採用できる。
【0049】
管型反応器としては、内側に反応液を流し、外側に熱媒や冷媒を流すことができる二重管構造のものが好ましい。反応液を通過させる管内には、反応液の混合状態をよくするために、エレメント、邪魔板等を設置してもよい。管長と管径の比は、10倍以上が適当であり、好ましくは20倍以上である。管型反応器に供給する重合開始剤は、一箇所から全量を供給することもできるが、管の入り口から出口の間の適当な複数の個所から分割して供給してもよい。反応液の好ましい滞留時間は、0.5〜4時間である。これは、反応液の供給速度と管型反応器の容量によって決まる。
【0050】
アルカリの添加場所も特に制限はないが、前述のように単量体の重合中はpH値を低く保つことが好ましいので、管の後半部におけるアルカリの添加が好ましい。または、管型反応器の後に、第3反応器として、槽型の中和槽を設けてもよい。
【0051】
上記のとおり、本発明に係る水溶性アクリル系重合体の連続的製造方法に使用する連続反応装置には、反応器として、槽型と管型との選択が可能であり、構成する反応器の個数にも選択可能の範囲がある。以下、図面を参照して、本発明の製造方法に使用される連続反応装置の1例について説明する。
【0052】
図1は、本発明において好ましく使用できる3個の略同一構造の槽型反応器よりなる連続反応装置の概略構成図である。図において、1は第1の槽型反応器である。11は重合開始剤供給管、12はアクリル系単量体供給管、13は連鎖移動剤供給管であり、その一端が前記第1の槽型反応器1内に上方から挿入されている。14は第1の槽型反応器1の底部に連結された反応液排出管であり、15は排出管14に連結されたポンプである。16は第1の槽型反応器1内に取付けられた攪拌機であり、17は攪拌機駆動用モータである。
【0053】
2は第2の槽型反応器であり、21は第1の槽型反応器1から排出された反応液を第2の槽型反応器2に供給する反応液供給管であり、22は重合開始剤供給管であり、23は反応液排出管であり、24はポンプであり、25は攪拌機であり、26は攪拌機駆動用モータである。
【0054】
3は第3の槽型反応器であり、31は第2の槽型反応器2から排出された反応液を第3の槽型反応器3に供給する反応液供給管であり、32はアルカリ供給管であり、33は重合体排出管であり、34はポンプであり、35は攪拌機であり、36は攪拌機駆動用モータである。4は重合体採取管である。
【0055】
【実施例】
比較例1
図1に示す連続反応装置を使用してポリアクリル酸ナトリウム水溶液を製造した。第1反応器、第2反応器および第3反応器として用いた槽型反応器は、ジャケット、還流冷却器、攪拌機を備えた、いずれも内容積3リットルのものであった。
【0056】
なお、重合開始前の第1反応器及び第2反応器には、予め重量平均分子量が6000のポリアクリル酸水溶液を2l入れ、第3反応器には予め重量平均分子量が6000のポリアクリル酸ソーダ水溶液を2l入れ、攪拌機を用いて撹拌し続けた。
【0057】
第1反応器への供給用原料として、60.0質量%のアクリル酸水溶液15000gと、連鎖移動剤として亜硫酸水素ナトリウムを濃度28.0質量%含む亜硫酸水素ナトリウム水溶液2900gと、重合開始剤として15質量%の過硫酸ナトリウム水溶液1000gとをそれぞれ調製した。
【0058】
また、第3反応器への供給用原料として48質量%の水酸化ナトリウム水溶液11000gを調製した。
【0059】
アクリル酸水溶液と亜硫酸水素ナトリウム水溶液と過硫酸ナトリウム水溶液とは、それぞれ、アクリル酸系単量体供給管12と、連鎖移動剤供給管13と、重合開始剤供給管11とを介して第1反応器1に供給した。それぞれの供給速度は、アクリル酸水溶液が19.8g/分、亜硫酸水素ナトリウム水溶液が3.78g/分、過硫酸ナトリウム水溶液が1.16g/分であり、反応液量は2.0lに維持した。このとき、ポンプ15が使用されたことは言うまでもない。攪拌機駆動用モータ17によって駆動される攪拌機16を使用して攪拌しながら、第1反応器1中において重合反応を進行させた。
【0060】
第1反応器における反応条件は、反応液のpH値1.7で、反応温度80℃で、滞留時間95分間であった。
【0061】
次に、第2反応器に、第1反応器中の反応液を以下のように供給した。
【0062】
すなわち、上記反応液を反応液排出管14と反応液供給管21とを介して第2反応器2に連続的に供給した。第2反応器および第3反応器についても、反応液量を2.0リットルに維持した。
【0063】
第2反応器における反応条件は、反応液のpH値1.7で、反応温度80℃で、滞留時間95分間であった。
【0064】
第2反応器の反応液は、第3反応器において水酸化ナトリウムで中和してpH値が7.5のポリアクリル酸ソーダ水溶液を重合体採取管4から取出した。なお、第3反応器の反応液温度は70℃、滞留時間は70分間であった。
【0065】
上記の条件で12時間重合を継続させ、重合体採取管4から取出したポリアクリル酸ソーダの重量平均分子量、分子量分布、単量体の重合転換率(以下単に反応率という)等は、表1に記載のとおりである。
【0066】
なお、上記分子量等の物性値の測定は以下の方法によった。
【0067】
重量平均分子量(Mw)・数平均分子量(Mn)・分子量分布(Mw/Mn)の測定; ゲルパーミェーションクロマトグラフィー法によった。使用した分離カラムは、東ソー株式会社製商品名TSK−gelG4000PWXL+G3000PWXL+G2500PWXL(3本を直列に接続)であり、溶離液は0.1MNaC1を含むリン酸緩衝液であった。
【0068】
反応率; 高速液体クロマトグラフィー法により、未反応単量体の含有量を測定した。使用した分離カラムは、株式会社日立製作所製HPLCパックドカラム#3056であり、溶離液は0.1%リン酸緩衝液であった。
【0069】
【表1】
【0070】
実施例1
本実施例においても、図1に示す連続反応装置を使用することとした。なお、第2反応器の反応液へ空気を吹込む配管を設置した。この配管より、空気を100ml/分の供給量で吹込んだ以外は、すべて比較例1と同様な操作を行い、ポリアクリル酸ソーダ水溶液を得た。
【0071】
比較例1及び実施例1で得られたポリアクリル酸ソーダを使用して、以下の方法により分散剤としての性能を評価した。
【0072】
湿式粉砕によって得られる粒径0.6〜0.7μmの炭酸カルシウムが75質量%の濃度含まれる水性スラリー100質量部あたり、ポリアクリル酸ソーダ水溶液(濃度:40質量%)を固形分換算で0.5質量部加えて得られたスラリーの粘度を、その調製直後と、室温で2日間放置後とに測定した。その結果は以下の表2のとおりとなり、実施例1で得られたポリアクリル酸ソーダの方が分散剤として優れていることが解る。
【0073】
【表2】
比較例2
本比較例においても、図1に示す連続反応装置を使用することとし、第1反応器には予め0.5lの液を入れ、反応液量を0.5lに維持したこと(第1反応器における反応液の滞留時間を24分間にしたこと)以外は、すべて比較例1と同様の操作を行い、ポリアクリル酸ソーダ水溶液を得た。
【0074】
この例によって得られたポリアクリル酸ソーダのMw/Mn=2.9と大きかった。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、連続的方法により高い生産効率で、重量平均分子量2000〜30000程度の低分子量の重合体を、極めて狭い分子量分布でかつ98%以上の高反応率で製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に使用する3個の槽型反応器よりなる連続反応装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 第1の槽型反応器
11 重合開始剤供給管
12 アクリル系単量体供給管
13 連鎖移動剤供給管
14 反応液排出管
15 ポンプ
16 攪拌機
17 攪拌機駆動用モータ
2 第2の槽型反応器
21 反応液供給管
22 重合開始剤供給管
23 反応液排出管
24 ポンプ
25 攪拌機
26 攪拌機駆動用モータ
3 第3の槽型反応器
31 反応液供給管
32 アルカリ供給管
33 重合体排出管
34 ポンプ
35 攪拌機
36 攪拌機駆動用モータ
4 重合体採取管
Claims (4)
- アクリル酸単量体またはアクリル酸塩単量体を主体とするアクリル系単量体を水性媒体中で重合させ、さらに必要によりアルカリを添加することにより水溶性アクリル系重合体を連続的に製造するにあたり、複数個の反応器よりなり少なくとも第1反応器は槽型反応器である連続反応装置を使用し、該第1反応器に前記アクリル系単量体、重合開始剤および連鎖移動剤として亜硫酸水素塩を供給しながら、前記アクリル系単量体を重合させ、第1反応器に供給された単量体の重合転換率を第1反応器の出口反応液において90質量%以上に維持し、第2反応器の反応液中に分子状酸素を吹込むことを特徴とする水溶性アクリル系重合体の連続的製造方法。
- 第1反応器における反応液の滞留時間が30分〜4時間である請求項1に記載の水溶性アクリル系重合体の連続的製造方法。
- 全単量体の95質量%以上を第1反応器に供給する請求項1又は2に記載の水溶性アクリル系重合体の連続的製造方法。
- 第2反応器として槽型反応器を使用する請求項1乃至3の何れかに記載の水溶性アクリル系重合体の連続的製造方法。
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