JP4059845B2 - 温度制御した重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水を主溶媒として用いる水溶液系重合における、温度制御した重合体の製造方法に関する。
一般に重合反応においては、反応熱を除去しつつ重合反応が行われる。溶剤を重合溶媒として用いる溶液重合は、溶剤を還流させながら反応を行わせる分、重合熱の除熱が容易で、塊状重合に比べて重合温度をコントロールし易いことが知られている。
しかしながら、溶液重合を採用していても、重合反応が進行しやすいラジカル重合性単量体を重合させる場合は、重合の進行過程において、反応容器の内温が、ラジカル重合性単量体の重合熱により目標温度から一気に上昇してしまう現象が起こりやすい。重合熱による内温の上昇は重合開始剤の分解速度をも速めるため、重合反応が更に急激に進行することとなり、一旦、重合温度が上昇し始めると、所望の特性を有する重合体が得られないことがある。また、ひどい時には、爆発の可能性もある。
所望の特性を有する重合体が得られないのは、高分子鎖の三次元化によるポリマーのゲル化が起こったり、あるいはゲル化しないまでも、重合開始剤が一気に分解することにより単量体に対するラジカルの濃度が大きくなり過ぎて、低分子量体が多量に生成するためである。
水を主たる重合溶媒として用いる水溶液系重合では、一般にジャケットおよび還流凝縮器(コンデンサー)を備えた重合器中に、水、単量体、重合開始剤、および必要に応じてその他の各種添加剤を仕込み、ジャケットおよび還流凝縮器に冷却水を通して重合熱を除去し、反応系を常圧下で一定の温度に制御する方法がとられている。その際に除熱能力の悪化に伴い生じる発泡等の問題は、還流凝縮器の冷却能力や重合釜の加熱具合等を調整することで行われており、更には、特許文献1に記載されるとおり、実機プラントにおける生産性及び再現性を高めるために、最終的に得ようとする重合体の重量平均分子量から適切な蒸気線速度を規定し、発泡状態を一定レベル以内に保ちつつ水溶性重合体を製造する技術が知られている。
特開2001−192404号公報
しかしながら、従来の除熱方法では、簡便な方法で、重合温度を沸点以下に温度制御することが難しい。特に近年の重合器の大型化に伴い、重合反応物に対する伝熱面積の割合が減少したため、従来の冷却手段では除熱を有効に行うことが困難となっている。そのため、重合の進行と共に重合温度の上昇が生じ、重合中の反応温度が高くなる等の問題があった。
特に、単量体濃度(重合性不飽和結合濃度)が高い水溶液系重合において、重合温度を沸点以下に制御することが、重要であることが分かってきた。重合温度を制御できないと、使用する重合開始剤が限定されるという問題がある。例えば、重亜硫酸塩等の重合反応時に気体(ガス)を発生し得る重合開始剤を用いて水溶液系重合する場合には、重合温度が高いと製造過程において開始剤の重亜硫酸塩が亜硫酸ガスとして多量に発生し、液相に溶解しない亜硫酸ガスが多量に系外に排出されるため、これを適当な吸着剤などで吸収して廃棄物処理するための回収処理コストがかかる。また、開始剤の重亜硫酸塩が亜硫酸ガスとして抜けて効果が少なくなるため、重合体の分子量が下がらなくなり、開始剤総量が多く必要となり、不純物が多く生成する結果、得られる重合体が本来持っている高い性能を十分に発現できず、性能低下や低温保持時の不純物析出を招くという新たなる課題が生じることもわかってきた。
また、用いる重合開始剤によっては、沸点で重合を行うと、大きな発泡があり得るため危険であり、好ましくない場合もある。
水溶液系重合において重合温度を制御しながら製造するために、重合反応などで発生する熱量と除熱量のバランスをとるために、反応時間を極端に長くしたり、反応溶液の濃度を極端に薄くして製造する方法も考えられる。しかしながら、この方法では、高濃度の重合体を得るのに生産性が低すぎるという問題がある。
更に、反応容器内を減圧状態とし、反応温度を溶媒の還流する温度、あるいは溶媒とラジカル重合性単量体との混合物が還流する温度に制御する方法も考えられるが、減圧にする方法では、亜硫酸塩のような気液平衡となる連鎖移動剤を用いた場合には、反応に直接寄与するであろう液相部に存在する亜硫酸(塩)濃度が低下するだけでなく、気相部に存在する亜硫酸ガスが抜き取られてしまうという問題が生ずる。また、この方法では、温度制御しているとはいえ、反応溶液は沸騰状態であるため、依然発泡の危険性がある。
このようなことから、水溶液系重合においても、単に反応熱を除熱したり、除熱と発熱のバランスをとるのみならず、積極的に反応温度を一定温度に確実に制御する必要性があった。
上述のように、一般に実験的規模から工業的規模にスケールアップするに伴い、すなわち、重合反応容器が大きくなって単量体の使用量が多くなるのに伴い、除熱効率が低下するため、反応温度を素早く低下させることが難しくなる。こういったことから、重合熱の除熱は、実操業上極めて重要な問題である。
従って、本発明の目的は、有毒ガスの発生やそれによる不純物の生成、あるいは発泡等の危険性がなく、且つ生産性の良好な水溶液系重合による重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、水溶液系重合において、重合温度を沸点以下の温度に温度制御する可能性について検討し、種々検討したところ、下記の構成により上記課題が解決されることが見出された。
(1)熱交換機能を有する外部循環装置を用いた重合体の製造方法において、該外部循環装置の溶液保有量が重合体溶液総仕込量の1〜30体積%であり、重合温度を50℃以上沸点未満に温度制御して(メタ)アクリル酸系単量体を水溶液系重合することを特徴とする重合体の製造方法。
(2)全単量体中の(メタ)アクリル酸系単量体の配合量が、単量体全量に対して、50〜100mol%であることを特徴とする上記(1)記載の重合体の製造方法。
(3)共重合可能な水溶性モノエチレン性不飽和単量体が、モノエチレン性不飽和脂肪族ジカルボン酸、スルホン酸基を有するモノエチレン性不飽和単量体、水酸基を含有する不飽和炭化水素又は不飽和ポリアルキレングリコール系単量体であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の重合体の製造方法。
(4)重合反応溶液が、重金属イオンを含むことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の重合体の製造方法。
(5)前記金属イオンが、鉄イオンであることを特徴とする上記(4)に記載の重合体の製造方法。
(6)単量体を添加時間1〜8時間の範囲内で添加しながら重合反応を行うことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の重合体の製造方法。
(7)重合反応溶液の粘度が1000mPa・s以下であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の重合体の製造方法。
(8)外部循環装置の溶液流速が毎分重合体溶液総仕込量の0.01〜15体積%であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の重合体の製造方法。
(9)水溶液系重合の開始剤として、過硫酸塩および重亜硫酸塩をそれぞれ1種類以上組み合わせて用いることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載の重合体の製造方法。
10) 好ましくは外部循環装置の出口温度が、10〜90℃であることを特徴とする上記(1)〜()のいずれか一つに記載の重合体の製造方法。
本発明によれば、熱交換機能を有する、内部コイル装置および/または外部循環装置を用いて重合温度を制御することにより、初めて水を主溶媒として用いる水溶液系重合において積極的に重合温度を制御することが可能となり、有毒ガスの発生やそれによる不純物の生成あるいは発泡等の危険性がなく、しかも生産性良く、高濃度の重合体を得ることに成功したものである。
特に、外部循環装置を用いる除熱方法は、除熱効率が高く、複雑な内部構造を必要としないため、反応器の容積を最大限にいかすことができ、重合初期段階の除熱も容易であり、洗浄等のメンテナンスも容易である。また、現行の反応器に容易に設置でき、設置工事における手間、時間、コスト上の観点からも好ましい。
本発明の重合方法においては、ラジカル重合性単量体を滴下しながら反応を行っても、一括仕込みで重合しても良く、あるいは一括仕込み分と滴下分に分けて重合させてもよい。本発明では、分子量を制御しやすいことから、単量体を滴下しながら重合する方法が好ましい。単量体の添加時間は特に限定的ではないが、1〜8時間であることが好ましく、2〜6時間であることが特に好ましい。この範囲内において、除熱の効果が高くなり、好ましい。
本発明における重合温度は、除熱効率および生産性の観点から、50℃以上沸点未満であることが好ましい。
また、除熱効率と循環用ポンプへの負荷の観点から、重合反応溶液の粘度が1000mPa・s以下であることが好ましく、100mPa・s以下であることがより好ましい。
本発明で行うラジカル重合の一例としては、ラジカル重合性単量体として(メタ)アクリル酸および/またはその塩を用いる場合が挙げられる。これらの単量体は重合し易いという特性を有するため、本発明の温度制御の効果が特に顕著に得られる。
更に、本発明の水溶性重合体の製造方法においては、重合反応液中に、重金属イオン、特に好ましくは鉄イオンが含まれることが好ましい。重合反応液中に重金属イオンが含まれていると、開始剤効率が向上し、より少ない開始剤量で重合体を合成することができる。つまり、同一のモノマーから、同等の分子量を有する重合体を合成する際、使用する開始剤量を減少させることができ、その結果、水溶性重合体中に含まれる開始剤由来の不純物量を低減させることができる。
この方法では、重金属イオンを重合反応液に添加するといった容易な手法によって、効果的に不純物を低減させうるため、工業的に適用する際に発生する設備コストが比較的小さく、製造される製品の競争力が増大する。また、得られる水溶性重合体中には、不純物含有量が少ないため、水溶性重合体が適用される製品の品質が向上する。更に、使用する開始剤量が少ないと、製造コスト的に有利である。その上、使用する開始剤量を減少させれば、重合反応液から生じる亜硫酸ガスの量を減少させうるため、重合反応における安全性が向上する。
本発明によれば、有毒ガスの発生やそれによる不純物の生成、あるいは発泡等の危険性がなく、且つ生産性の良好く、水溶液系重合により重合体を製造することができる。
本発明の方法は、水溶液系重合において、熱交換機能を有する外部循環装置および/または内部コイル装置を用いて温度制御することを大きな特徴とする。
本発明における水溶液系重合とは、水を主溶媒として用いた均一な溶液重合を意味する。本発明に従い、外部循環装置および/または内部コイル装置を用いて水溶液系重合を温度制御することにより、初めて生産性良く、水系溶媒の沸点未満の温度に重合温度を有効に制御することが可能となったものである。
本発明では、水を主溶媒とする溶剤存在下で、ラジカル重合による水溶液系重合を行うことが大前提である。水以外の有機溶剤を含有していてもよく、かかる有機溶剤としては、ラジカル重合性単量体および重合によって生成する重合体を溶解させるものであれば、特に限定されず使用可能である。
具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールジアセタート、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールジアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グリセリン等の多価アルコール及びその誘導体;アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種のみの使用に限られず、沸点の調整のため、あるいは溶解性の調整のため、2種以上を混合して水と併用してもよい。水との混合割合は、重合体の溶解性を考慮して適宜設定すればよく、通常10質量%以下であることが好ましい。
本発明の方法において用いられるラジカル重合性単量体としては、ラジカル重合可能な単量体であれば特に限定されず使用可能である。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸アリル等のモノ(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート類;等の(メタ)アクリレート類および(メタ)アクリル酸が好ましい単量体として挙げられ、これらのうち1種または2種以上を適宜選択して使用することができる。
また、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン等のN基含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアミド系単量体等;イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体等、あらゆる公知のラジカル重合性単量体も使用可能である。
重合体の分子量を調整する必要がある場合には、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、特に限定されず、亜硫酸(塩)、亜硫酸水素(塩)、ピロ亜硫酸(塩)、亜リン酸(塩)、ジ亜リン酸(塩)、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル、チオプロピオン酸、チオプロピオン酸オクチル、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、エチレングリコールジチオグリコレート、エチレングリコールジチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオプロピオネート等のメルカプト基含有化合物等を用いることができる。
本発明の水溶液系重合に用いることのできる重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2'−アゾビス(2−アミノジプロパン)2塩酸塩、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、アゾビスイソブチルニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、過コハク酸、ジ−t−ブチルパーオサイド、t−ブチルヒドロパーオサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられる。これらは、1種類のみであっても2種類以上含んでいてもよい。中でも、過硫酸塩、過酸化水素、有機過酸化物、2,2'−アゾビス(2−アミノジプロパン)2塩酸塩が好ましく、過硫酸塩、過酸化水素、2,2'−アゾビス(2−アミノジプロパン)2塩酸塩がより好ましく、過硫酸塩、2,2'−アゾビス(2−アミノジプロパン)2塩酸塩がさらに好ましい。
本発明においては、重金属イオンを重合反応液中に配合することが好ましく、これにより、重合開始剤、特に過硫酸塩および重亜硫酸塩の配合量を低減することができる。
ここで、重金属とは、比重が4g/cm3以上の金属を意味する。具体的な重金属としては、鉄、コバルト、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀、金、鉛、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどが挙げられる。2種以上の重金属が用いられてもよい。重合反応液は、これらのイオンを含むことが好ましく、鉄イオンを含むことがより好ましい。重金属イオンのイオン価については特に限定しない。例えば、重金属として鉄が用いられる場合には、重合反応中に溶解している鉄イオンは、Fe2+であっても、Fe3+であってもよい。これらが組み合わされていても良い。
重金属イオンは、重金属化合物を溶解してなる溶液を用いて添加することが好ましい。その際に用いられる重金属化合物は、重合反応液中に含有されることを所望する重金属イオンに応じて決定される。溶媒として水が用いられる場合には、水溶性の重金属塩が好ましい。水溶性の重金属塩としては、モール塩(Fe(NH4)2(SO4)2・6H2O)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化マンガンなどが挙げられる。
重金属イオンの含有量は、特に限定されないが、重合反応完結時における重合反応液の全質量に対して好ましくは0.1〜30ppm、より好ましくは0.1〜10ppm、更に好ましくは0.1〜5ppmである。重合反応完結時とは、重合反応液中において重合反応が実質的に完了し、所望する重合体が得られた時点を意味する。例えば、重合反応液中において重合された重合体がアルカリ成分で中和される場合には、中和した後の重合反応液の全質量を基準に、重金属イオンの含有量を算出する。2種以上の重金属イオンが含まれる場合には、重金属イオンの総量が上述の範囲であればよい。
重金属イオンの含有量が上記範囲内において、重合体の色調の悪化をきたすことなく、重金属イオン添加の効果を十分に発現させることができる。また、重金属イオンの含有量が多すぎると、洗剤ビルダーとして用いられた際の汚れや、スケール防止剤として用いられた際のスケールが、増加する恐れがあり、好ましくない。
重合方法としては、重合溶剤としては水を主溶媒として用い、単量体を一括仕込みで重合する方法と、単量体を滴下しながら重合する方法、単量体の一部を一括で仕込んでおき、残りの単量体を滴下しながら重合する方法等、いずれも採用できる。重合開始剤においても、単量体と共に一括仕込みで重合する方法、単量体を一括で仕込み、開始剤は滴下しながら重合する方法、単量体と共に滴下しながら重合する方法(一部仕込み、一部滴下も含む)等、適宜選択可能である。
溶剤と単量体との使用量比は、特に限定されないが、溶剤100質量部に対し、単量体全量を200質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは150質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下である。
本発明の重合温度は、50℃以上であって、且つ反応溶液の沸点未満の温度に制御することが好ましい。この範囲内において、安価な汎用の重合開始剤が使用でき、好ましい。より好ましくは、60℃以上沸点未満であり、更に好ましくは70℃〜98℃であり、特に好ましくは80℃〜95℃である。
重合進行によって単量体が重合体に転化していくと、反応容器内の溶剤と単量体の混合比が変化するため沸点が微妙に変化するが、重合反応温度を一定にしておくことにより、重合開始剤の分解速度を一定にでき、均一な重合進行が行える点で好ましい。そこで、反応物の温度を温度センサーで検出し、この検出値に応じて熱交換器の温度を調節して、反応容器内の温度が、目標とする重合温度(例えばT℃とする)にほぼ一致するように、フィードバック制御しながら重合を行うことが好ましい。制御範囲の好ましい目安はT℃±10℃である。より好ましくはT℃±5℃、更に好ましくはT℃±3℃である。
また、1m3以上の重合体溶液の製造反応器においては、反応器表面からの放熱が減少するため、特に外部循環装置による除熱の効果が現れ易く、好ましい。より好ましくは5m3以上、更に好ましくは10m3以上である。
重合のための反応容器としては、安全のための還流凝縮器を備えた反応器であってもよい。また、重合反応中に単量体および/または重合開始剤(通常、有機溶剤または単量体に溶解させて溶液状態として滴下される)を滴下する場合には、滴下ロート等の滴下手段を設けてもよい。
次いで、本発明に従う温度制御方法について詳述する。
本発明においては、熱交換機能を有する部循環装置および内部コイル装置の少なくともいずれか一方の装置を用いて、温度制御を行う。
まず、熱交換機能を有する外部循環装置を用いて温度制御する方法について説明する。
外部循環装置は熱交換器を有しており、この外部循環法は、水系重合混合物を重合器の外部に設けた熱交換器に通して循環するものである。水系重合混合物と接触する伝熱面積を大きくできる点で効率的であり、かつ外部装置であるために、設置上およびメンテナンス上も有効である。
以下、添付図面に示す具体例に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明の外部循環装置を用いて温度制御する方法を好適に実施するために使用される製造装置の全体略図を略示するもので、図1において1は重合器、2は重合反応液の加熱または冷却を行うための熱交換器、3は重合器1の底部より熱交換器2を経て重合器1の上部に至る循環配管である。また4は重合器1と熱交換器2との間の循環配管3に設けられた循環ポンプである。外部循環用ポンプ4としては、気泡をかこみにくいものが好ましい。この循環ポンプ4には、インバーター、減速機等の流量可変装置(図示せず)が設けられており、循環液量を増大し得るようになっている。また、循環液量は、体積流量計5で測定することができる。重合器1の上部には、原料仕込み用の配管(図示せず)が設けられ、また重合器1はジャケット(図示せず)を備えている。ジャケットには配管により、また熱交換器2には配管(図示せず)により、加熱または冷却用の媒体が供給される。
かかる製造装置において、重合器1内に仕込まれた単量体、水性媒体、重合開始剤等を含有する重合水溶液は、循環ポンプ4の作用により重合器1より抜き出されて循環配管3より熱交換器2に至り、そこで冷却された後、再び循環配管3を経て重合器1内の気相部に戻される。重合器1から外部循環装置への液の抜き出し口は、最も圧力がかかり、泡がかみにくくなるため、重合器1の下部であることが好ましい。
かかる製造装置を用いて、重合水溶液を外部循環装置を用いて循環させながら溶液重合が行われる。
本発明においては、外部循環装置の溶液流速が毎分重合体溶液総仕込量の0.01〜15体積%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10体積%、更に好ましくは1〜8体積%、特に好ましくは2〜5体積%である。外部循環装置の溶液流速が毎分重合体溶液総仕込量の0.01体積%未満であると、反応溶液が外部に存在する時間が長すぎるため、また、15体積%を超えると、重合する前に外部に持ち出される単量体が多くなるため、それぞれ高分子量化又はゲル化するおそれがあり、好ましくない。
また、外部循環装置の溶液保有量が、重合体溶液総仕込量の1〜30体積%であることが好ましく、より好ましくは5〜20体積%である。ここで、重合体溶液総仕込量は、25℃における溶液の比重(比重計によって測定)から用いた体積を用いて表す。また、外部循環装置の溶液保有量とは、外部循環装置の配管から熱交換機などを含めた総容積のことである。外部循環装置の溶液保有量が、重合体溶液総仕込量の1体積%未満であると、温度制御のために外部で極端に冷却する必要がでてくるため、また30体積%を超えると、特に重合初期にほとんどの液が外部に持ち出されるため、それぞれ高分子化又はゲル化するおそれがあり、好ましくない。また、外部循環装置の溶液保有量は、初期液量(開始剤を添加し始める前にすでに反応器内に仕込まれている液の量)の1〜60体積%であることが好ましい。
更に、本発明においては、外部循環装置の出口温度又は重合反応器への投入口が、10〜90℃であることが好ましい。これにより、安定的に除熱することができる。この温度は外部循環装置における溶液流速と冷却媒体の温度を適宜設定することにより、制御することができる。
本発明の方法においては、重合溶液の循環量は一定でもよく、また重合の進行に伴って循環量を連続的または段階的に変化させてもよい。
本発明の重合装置における重合器2としては、攪拌機、ジャケット等が付設された従来周知の形式のものが用いられる。
熱交換器2としては多管式、コイル式、スパイラル式、トロンボンクーラー等の、一般に使用されているものが適用可能であり、その加熱、冷却用の媒体には蒸気、冷却水、ブラインなどが用いられる。また循環配管3自体を二重管にして、その外側の間隙に冷却水やブラインを通して除熱の効率を上げるようにしてもよい。
本発明の方法を実施する製造装置において、熱交換器2、循環配管3、循環ポンプ4、その他バルブ等反応混合物が接触する箇所は、伝熱および耐食性の点から、SUS製のものが好ましく、具体的には、SUS304、SUS316、SUS316L等が挙げられる。これらの場所にはまた、従来公知のスケール防止剤を塗布したり、これを水性懸濁混合物中に添加することも可能である。
次いで、内部コイル装置を用いた温度制御法について説明する。重合器内に熱交換機能を有する内部コイル装置を設けて温度制御することにより、効率よく重合することができる。以下、図2を用いて説明する。
図2は本発明の内部コイル装置を用いて温度制御する方法を好適に実施するために使用される製造装置の全体略図を略示するものである。図2において、11は重合器、12は重合反応液の加熱または冷却を行うための内部コイル、13は内部コイル12の底部より温度調節器16を経て内部コイル12の上部に至る循環配管である。また14は内部コイル12と温度調節器16との間の循環配管13に設けられた循環ポンプである。この循環ポンプ14には、インバーター、減速機等の流量可変装置(図示せず)が設けられており、循環液量を増大し得るようになっている。また、循環液量は、体積流量計15で測定することができる。重合体重合器11の上部には、原料仕込み用の配管(図示せず)が設けられ、また重合器11はジャケット(図示せず)を備えている。ジャケットには配管により加熱または冷却用の媒体が供給される。
内部コイル12は熱交換機能を有しており、内部コイル12内の加熱または冷却用の媒体は、循環ポンプ14の作用により重合器1の底部より抜き出されて循環配管13より温度調節器16に至り、そこで冷却または加熱された後、再び循環配管13を経て重合器11内の内部コイル12内に戻される。かかる製造装置を用いて、重合器11内の重合水溶液は、温度制御されながら、溶液重合が行われる。
内部コイル12内の媒体の温度は、液温の温度を効率よく制御するため、0℃〜90℃であることが好ましい。
本発明の方法は、(メタ)アクリル酸系単量体を用いた水溶液系重合、特に発生する気体(亜硫酸ガス等)を効率よく利用できるため、重亜硫酸塩や過酸化水素水を重合開始剤として用いる(メタ)アクリル酸系の水溶液系重合において、有用である。本発明の方法を用いることにより、分散能、キレート能、および耐ゲル性に優れた低分子量の水溶性重合体である(メタ)アクリル酸系重合体を容易に得ることができる。すなわち、本発明の温度制御法を適用することにより、排出される亜硫酸ガスが低減され、さらに開始剤量を減らす(好ましくは重合中の中和度についても低くする)ことで不純物を低減でき、これにより、(メタ)アクリル酸系重合体の持つ性能を格段に向上させることができ、さらに性能低下や低温保持時の不純物析出も低減され、製造段階で付与された高い性能を保存環境に左右されることなく常に安定して保持することができる(すなわち、本来持っていた性能を低下させることなく十分に発現することができる)。
本発明において、(メタ)アクリル酸(塩)系重合体とは、(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基が酸型でも、部分塩型でも、完全塩型でも、またはこれらの混合物でも良いことを表し、以下これら部分塩型と完全塩型を単に(塩)とのみ表記する。塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩等が挙げられる。これらの塩は単独で用いても良いし、2種以上の混合物として用いても良い。塩とする場合における好ましい形態は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩であり、特に好ましくはナトリウム塩である。
(メタ)アクリル酸系重合体を製造する際に用いられる単量体は、(メタ)アクリル酸系重合体を重合することができる単量体成分からなるものであればよく、特に制限されない。少なくとも(メタ)アクリル酸(塩)(以下、単量体(I)ともいう)を含有するものであればよく、必要があれば(メタ)アクリル酸(塩)に共重合可能な水溶性モノエチレン性不飽和単量体(以下、単量体(II)ともいう)および/または他の単量体(以下、単量体(III)ともいう)が含まれていてもよい。ここでいう単量体は、単量体成分で構成されるものであって、重合の際に用いる他の成分である溶媒や開始剤その他の添加剤は含まない。
上記単量体(I)成分としては、アクリル酸(塩)、メタクリル酸(塩)が挙げられる。アクリル酸塩およびメタクリル酸塩としては、具体的に、(メタ)アクリル酸をナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属により部分中和した塩、または完全中和した塩;(メタ)アクリル酸をアンモニアまたはモノエタノールアミンやトリエタノールアミンなどの有機アミン類により部分中和した塩または完全中和した塩;クロトン酸、α−ヒドロキシアクリル酸などのモノエチレン性不飽和脂肪族モノカルボン酸;上記モノエチレン性不飽和脂肪族モノカルボン酸をアルカリ金属により部分中和した塩または完全中和した塩;上記モノエチレン性不飽和脂肪族モノカルボン酸をアンモニア、またはモノエタノールアミンやトリエタノールアミンなどの有機アミン類により部分中和した塩または完全中和した塩が挙げられる。これらは、1種単独であってもよいし、組み合わせてもよい。好ましくは、アクリル酸(塩)単独またはアクリル酸(塩)とメタクリル酸(塩)とを所定比率で混合してなる混合物を用いる。
全単量体中の単量体(I)の配合量は、単量体全量に対して、50〜100mol%、好ましくは70〜100mol%、より好ましくは90〜100mol%の範囲である。単量体(I)の配合量が50mol%以上において、キレート能と耐ゲル化能をバランスよく発現させることができ、好ましい。一方、上限については、100mol%、すなわち全量(メタ)アクリル酸(塩)であってもよい。さらに、単量体(I)としてアクリル酸(塩)およびメタクリル酸(塩)を併用する場合には、該メタクリル酸(塩)の配合量は、単量体全量に対して好ましくは50mol%以下、より好ましくは0.5〜40mol%、更に好ましくは1〜30mol%の範囲で用いる。メタクリル酸(塩)の配合量がこの範囲内の場合に、特に好ましいキレート能を得ることができる。
なお、単量体(I)を、後述する溶媒、好ましくは水に溶解して単量体(I)の溶液(好ましくは水溶液)の形態で添加してもよい。単量体(I)溶液(好ましくは水溶液)として用いる場合の濃度は、30〜70質量%、好ましくは35〜65質量%、より好ましくは40〜60質量%である。単量体(I)溶液の濃度がこの範囲の場合において、良好な濃度の製品を得ることができ、輸送および保管の点で好ましい。
また上記単量体(II)である(メタ)アクリル酸に共重合可能な水溶性モノエチレン性不飽和単量体成分としては、特に限定されるものではなく、具体的には、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのモノエチレン性不飽和脂肪族ジカルボン酸;上記モノエチレン性不飽和脂肪族ジカルボン酸をアルカリ金属により部分中和した塩、または完全中和した塩;上記モノエチレン性不飽和脂肪族ジカルボン酸をアンモニア、あるいはモノエタノールアミンやトリエタノールアミンなどの有機アミン類により部分中和した塩、または完全中和した塩;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などのスルホン酸基を有するモノエチレン性不飽和単量体;上記モノエチレン性不飽和単量体をアルカリ金属により部分中和した塩、または完全中和した塩;上記モノエチレン性不飽和単量体をアンモニア、あるいはモノエタノールアミンやトリエタノールアミンなどの有機アミン類により部分中和した塩、または完全中和した塩;3−メチル−2−ブテン−1−オール(単に、プレノールともいう)、3−メチル−3−ブテン−1−オール(単に、イソプレノールともいう)、アリルアルコール等の水酸基を含有する不飽和炭化水素およびイソプレノールやアリルアルコールにアルキレンオキシドを付加した不飽和ポリアルキレングリコール系単量体等を挙げることができる。
単量体(II)は、上記の各化合物から必要に応じて1種類または2種類以上を適宜選択して用いることができる。また、上記化合物の中でも、特に、キレート能、分散能、耐ゲル化能に優れることから、不飽和脂肪族ジカルボン酸、スルホン酸基を含有する不飽和炭化水素、およびそれらの部分または完全中和塩より選択される1種類または2種類以上の化合物を用いることがより好ましい。
単量体中の単量体(II)の配合量は、単量体全量に対して、0〜50mol%、好ましくは0〜30mol%、より好ましくは0〜10mol%である。該(II)の配合量は50mol%以下において、良好なキレート能が達成される。一方、該単量体(II)は任意成分であることから、その下限値は0mol%である。すなわち、上記単量体(I)成分による単独重合体(ホモポリマー)ないし共重合体(コポリマー)のいずれでもよい。
単量体(II)を水を後述する溶媒、好ましくは水に溶解して単量体(II)の溶液(好ましくは水溶液)の形態で添加してもよい。単量体(II)溶液(好ましくは水溶液)として用いる場合の濃度としては、10〜100質量%、好ましくは20〜95質量%、より好ましくは30〜90質量%である。単量体(II)溶液の濃度が10質量%以上の場合において、良好な濃度の製品を得ることができ、輸送および保管の点で好ましい。一方、上限については特に制限されるべきものではなく、100質量%(すなわち、全量)単量体(II)(すなわち、無溶媒)であってもよい。
上記単量体(I)、(II)以外の他の単量体(III)を併用してもよい。単量体(III)は、特に制限されず、例えば、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ビニルエーテル類、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステルなどの疎水性単量体を用いることができる。これらの単量体(III)は、必要に応じて1種類または2種類以上を適宜選択して用いることができる。単量体(III)として疎水性単量体を用いると、疎水性化合物の分散性の点で優れるものの、得られる(メタ)アクリル酸系重合体の耐ゲル性を悪化させることがある。このため、使用用途に応じて、その配合量を制限する必要がある。
上記単量体(III)として疎水性単量体を配合する場合には、単量体(III)成分の配合量は、単量体全量に対して好ましくは40mol%未満、より好ましくは0〜20mol%、更に好ましくは0〜10mol%の範囲内である。換言すれば、上記単量体(I)および単量体(II)を合わせた親水性単量体(すなわち、(メタ)アクリル酸を50mol%以上含む親水性単量体)の配合量は、単量体全量に対して好ましくは60mol%以上、より好ましくは80〜100mol%、更に好ましくは90〜100mol%の範囲である。上記単量体(III)の疎水性単量体の配合量が40mol%以上の場合(=上記単量体(I)および単量体(II)を合わせた親水性単量体の配合量が60mol%未満の場合)には、米国特許第3,646,099号で説明されるように、得られる低分子量の重合体は水溶性とはならない場合があり、好ましくない。また、得られる(メタ)アクリル酸系重合体の耐ゲル能Q値が大きくなる場合があり、耐ゲル性に優れた(メタ)アクリル酸系重合体を得られない恐れがある。
単量体(III)は、後述する溶媒(好ましくは有機溶媒を含む)に溶解して単量体(III)の溶液の形態で添加されてもよい。単量体(III)溶液として用いる場合の濃度は、10〜100質量%、好ましくは20〜95質量%、より好ましくは30〜90質量%である。単量体(III)溶液の濃度が10質量%以上の場合において、良好な濃度の製品を得ることができ、輸送および保管の点で好ましい。一方、上限については特に制限されるべきものではなく、100質量%(すなわち、全量)単量体(III)(すなわち、無溶媒)であってもよい。
本発明の方法では、上記単量体を水溶液中で重合する。水溶液には、溶媒、開始剤、その他の添加剤を含む。ここで、上記単量体を水溶液中で重合する際に重合反応系に用いられる他の溶媒は、アルコール、グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール類などの水性の溶媒であることが好ましく、これらの1種以上を水と併用して用いることができる。また、上記単量体の溶媒への溶解性を向上させるために、各単量体の重合に悪影響を及ぼさない範囲で他の有機溶媒を適宜加えてもよい。上記有機溶媒は、具体的には、メタノール、エタノールなどの低級アルコール;ジメチルホルムアルデヒドなどのアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類;などから、1種類または2種類以上を適宜選択して用いることができる。
上記溶媒の使用量は、単量体全量に対して40〜200質量%、好ましくは45〜180質量%、より好ましくは50〜150質量%の範囲である。該溶媒の使用量が40質量%未満の場合には、分子量が高くなってしまい、一方、該溶媒の使用量が200質量%を超える場合には、製造された(メタ)アクリル酸系重合体の濃度が低くなり、場合によっては溶媒除去が必要となるため、好ましくない。なお、該溶媒の一部は、重合初期に反応容器内に仕込んでおけばよい。溶媒の一部は、単独で重合中に反応系内に適当に添加(滴下)されてもよい。あるいは、単量体成分や開始剤成分やその他の添加剤を予め溶媒に溶解させた形で、これらの成分と共に重合中に反応系内に適当に添加(滴下)されてもよい。
上記単量体を水溶液中で重合する際に重合反応系に用いられる開始剤としては、過硫酸塩および亜硫酸塩系、過硫酸塩および過酸化水素水系、亜硫酸塩および酸素系、鉄および過酸化水素系、過硫酸塩系などが挙げられる。中でも、過硫酸塩および亜硫酸塩系、または過硫酸塩および過酸化水素水系素が好ましい。また、多価金属イオン(具体的には、後述の重金属含有化合物で挙げられる化合物、例えば、オキシ三塩化バナジウム等の水溶性多価金属塩、五酸化バナジウム等の多価金属酸化物、硫化鉄(III)等の多価金属硫化物、銅粉末等の金属単体等が挙げられる。中でも硫酸鉄アンモニウム(モール塩)が好ましい)を併用してもよい。
特に、過硫酸塩および重亜硫酸塩をそれぞれ1種類以上組み合わせて用いることにより、分散能やキレート能に加えて耐ゲル性にも優れた低分子量の水溶性重合体を得ることができ、好ましい。過硫酸塩に加えて、重亜硫酸塩を開始剤系に加えることで、得られる重合体が必要以上に高分子量化することが抑制され、低分子量の重合体を効率よく製造することができる。
過硫酸塩としては、具体的には、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウムなどを挙げることができる。また、重亜硫酸塩としては、具体的には、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウムおよび重亜硫酸アンモニウムなどを挙げることができる。さらに重亜硫酸塩の代わりに、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩等を用いてもよい。
過硫酸塩および重亜硫酸塩の添加比率は、過硫酸塩1質量部に対して、重亜硫酸塩は0.5〜5質量部、好ましくは1〜4質量部、より好ましくは2〜3質量部の範囲内である。過硫酸塩1質量部に対して重亜硫酸塩を0.5質量部以上用いることにより、重亜硫酸塩による十分な効果が得られるとともに、(メタ)アクリル酸系重合体の重量平均分子量も十分に低く抑えることができる。一方、過硫酸塩1質量部に対して重亜硫酸塩が5質量部以下において、十分な重亜硫酸塩添加効果を得ることができ、重亜硫酸塩の過剰供給を抑えることができる。このため、過剰な重亜硫酸塩が重合反応系で分解されることによる亜硫酸ガスの発生を抑制することができる。また、得られる(メタ)アクリル酸系重合体の性能低下や低温保持時の不純物析出を有効に防止することができ、低温保持時に不純物析出を招くこともなく、好ましい。
開始剤である過硫酸塩および重亜硫酸塩の添加量は、単量体1モルに対して、開始剤の過硫酸塩および重亜硫酸塩の合計量が好ましくは2〜20g、より好ましくは4〜15g、更に好ましくは6〜12g、特に好ましくは6〜9gである。本発明では、このように低い添加量の範囲で過硫酸塩および重亜硫酸塩を加えてもよく、不純物の発生を格段に低減できる。また、重合温度を低く制限していることもあり、製造過程での亜硫酸ガスの発生を格段に低減できる。更に、得られる(メタ)アクリル酸系重合体の性能低下や低温保持時の不純物析出を防止することができる。上記開始剤の過硫酸塩および重亜硫酸塩の添加量が2〜20gの範囲内において、得られる(メタ)アクリル酸系重合体の純度低下などの悪影響を及ぼすことなく、良好な分子量の重合体を効率よく得ることができる。
開始剤の1種である上記過硫酸塩は、上記水系溶媒に溶解して過硫酸塩の溶液(好ましくは水溶液)の形態で添加されてもよい。該過硫酸塩溶液(好ましくは水溶液)として用いる場合の濃度としては、1〜35質量%、好ましくは5〜35質量%、より好ましくは10〜30質量%である。ここで、過硫酸塩溶液の濃度が1質量%未満の場合には、製品の濃度が低下してしまい、輸送および保管が繁雑となる。一方、過硫酸塩溶液の濃度が35質量%を超える場合には、過硫酸塩が析出するおそれがある。
開始剤の1種である重亜硫酸塩は、上記水系溶媒に溶解して重亜硫酸塩の溶液(好ましくは水溶液)の形態で添加されてもよい。該重亜硫酸塩溶液(好ましくは水溶液)として用いる場合の濃度としては、10〜40質量%、好ましくは20〜40質量%、より好ましくは30〜40質量%である。重亜硫酸塩溶液の濃度を上記範囲内とすることにより、重亜硫酸塩の析出の恐れなく、十分な濃度の製品を得ることができ、輸送および保管上好ましい。
また、本発明においては、重合開始剤として、1種類または2種類以上の過硫酸塩および過酸化水素を併用して用いることも好ましい。また場合により、連鎖移動剤や多価金属イオンを用いてもよく(ここで、多価金属イオンは開始剤の分解促進剤として働く)、これらは両方同時に用いても良い。
以下、具体的に説明する。
過硫酸塩としては、具体的には、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、および過硫酸アンモニウムを挙げることができる。好ましくは過硫酸ナトリウムである。
上記過酸化水素の添加量は、単量体1molに対して2.0〜10.0gであることが好ましく、3.0〜8.0gであることがより好ましい。過酸化水素の添加量が2.0g以上において、重合平均分子量が十分に低い(メタ)アクリル酸(塩)系重合体を得ることができる。また、添加量が10.0g以下において、残存する過酸化水素による悪影響もなく、十分に有効な過酸化水素の効果を得ることができる。
上記過硫酸塩の添加量は、単量体1molに対して1.0〜5.0gであることが好ましく、2.0〜4.0gであることがより好ましい。過硫酸塩の添加量が1.0g以上において、分子量が十分に低い(メタ)アクリル酸(塩)系重合体を得ることができ、また、添加量が5.0g以下において、得られる(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の純度低下を招くことなく十分に有効な過硫酸塩の効果を得ることができる。
上記過酸化水素および過硫酸塩の添加比率は、重量比で過酸化水素の重量が1としたときに、過硫酸塩の重量が0.1〜5.0であることが好ましく、0.5〜3.0であることがより好ましい。過硫酸塩の重量比が0.1以上において、得られる(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の重量平均分子量を十分に低く抑えることができ、また5.0以下で過硫酸塩添加効果を十分に得ることができる。
過硫酸塩の添加方法としては、特に限定はされないが、その分解性等を鑑み、全使用量に対し、実質的に連続的に滴下する量が必要所定量の50質量%以上であることが好ましく、特に好ましくは80質量%以上であり、全量を滴下することが最も好ましい。過硫酸塩は連続的に滴下するが、その滴下速度は変えてもよい。
本発明は、さらに他の開始剤(連鎖移動剤を含む)を併用する実施態様を排除するものではない。必要であれば、本発明の作用効果に悪影響を及ぼさない範囲で、適宜使用してもよい。さらに、本発明においては、開始剤系として上記過硫酸塩および重亜硫酸塩の組み合わせが好適に用いられるが、この組み合わせに特に限定されるものではない。他の開始剤(連鎖移動剤を含む)としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノパレリン酸、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物、及び過酸化水素が挙げられる。
これらの開始剤についても、上記水系溶媒に溶解して水溶液の形態で添加してもよい。該水溶液として用いる場合の濃度としては、本発明の効果を損なわない範囲であればよく、通常は、上記した過硫酸塩または重亜硫酸塩の溶液の濃度と同程度に基づき適宜決定される。
上記単量体を水溶液中で重合する際に重合反応系に用いることのできる開始剤以外の他の添加剤としては、本発明の作用効果に影響を与えない範囲で適当な添加剤を適量加えることができる。例えば、重金属含有化合物、有機過酸化物、H22と金属塩などが用いられる。
上記重金属含有化合物は、特に制限されるべきものではなく、多価金属化合物または単体が利用できる。具体的には、オキシ三塩化バナジウム、三塩化バナジウム、シュウ酸バナジル、硫酸バナジル、無水バナジン酸、メタバナジン酸アンモニウム、硫酸アンモニウムハイポバナダス[(NH42SO4・VSO4・6H2O]、硫酸アンモニウムバナダス[(NH4)V(SO42・12H2O]、酢酸銅(II)、銅(II)、臭化銅(II)、銅(II)アセチルアセテート、塩化第二銅アンモニウム、塩化銅アンモニウム、炭酸銅、塩化銅(II)、クエン酸銅(II)、ギ酸銅(II)、水酸化銅(II)、硝酸銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅(II)、マレイン酸銅、リン酸銅、硫酸銅(II)、塩化第一銅、シアン化銅(I)、ヨウ化銅、酸化銅(I)、チオシアン酸銅、鉄アセチルアセナート、クエン酸鉄アンモニウム、シュウ酸第二鉄アンモニウム、硫酸鉄アンモニウム、硫酸第二鉄アンモニウム、クエン酸鉄、フマル酸鉄、マレイン酸鉄、乳酸第一鉄、硝酸第二鉄、鉄ペンタカルボニル、リン酸第二鉄、ピロリン酸第二鉄等の水溶性多価金属塩;五酸化バナジウム、酸化銅(II)、酸化第一鉄、酸化第二鉄等の多価金属酸化物;硫化鉄(III)、硫化鉄(II)、硫化銅等の多価金属硫化物;銅粉末、鉄粉末を挙げることができる。
得られる(メタ)アクリル酸系重合体の重金属イオン濃度が0.05〜10ppmであることが望ましいことから、上記重金属含有化合物を必要に応じて適量添加するのが望ましい。さらに、本発明者らは、SUS(ステンレス)製の容器や撹拌器などを用いた場合に、本発明の製造条件下において、上記に規定する適量の重金属イオン、特に鉄イオンが、容器等の材質であるSUSから反応溶液中に溶出(供給)することを見出した。これは、費用対効果の面から有利である。本発明の製造方法にあっては、こうしたSUS製の反応容器や撹拌翼などの反応装置を利用する場合には、上記重金属含有化合物を添加する場合と同様の作用効果を奏しうる。なお、既存の鋼鉄(スチール)製や銅合金製の反応容器であっても問題はないが、重金属イオン濃度が多く溶出されるおそれがある。そうした場合には、重金属による色がでてしまうため、こうした重金属イオンを除去する操作が必要となり、不経済である。また、グラスライニング加工等された反応容器であっても問題はなく、必要に応じて、重金属含有化合物を使用すればよい。
上記単量体の重合における重合温度は、通常25〜99℃である。重合温度は50℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。また重合温度は98℃以下であることが好ましく、95℃以下であることがより好ましく、更に90℃未満で重合してもよい。重合温度が25〜99℃の範囲において、分子量の上昇、不純物の増加等を生じることなく、適切な重合時間により充分な生産性を達成することができる。なお、重合温度が沸点となる場合には、(i)開始剤の重亜硫酸塩が分解して亜硫酸ガスが多量に発生し、このため、重合後に液相に亜硫酸ガスが溶解して不純物が形成される、(ii)重合中に系外に亜硫酸ガスが排出され回収処理コストがかかる、(iii)開始剤の重亜硫酸塩が亜硫酸ガスとして抜けてしまうため、添加に見合うだけの十分な効果が得られず、分子量が下がらなくなる、等の弊害があるため好ましくない。なお、ここでいう重合温度とは、反応系内の反応溶液温度をいう。
重合温度は、重合中、常に略一定に保持する必要はない。例えば、室温(25℃未満であってもよい。すなわち、上記好適な重合温度範囲を一時的外れることがあってもよい)から重合を開始し、適当な昇温時間(ないし昇温速度)で設定温度まで昇温し、その後、当該設定温度を保持してもよい。あるいは、単量体や開始剤などの滴下成分ごとに滴下時間を変えてもよい。滴下の仕方によっては、重合途中に上記温度範囲内で経時的に温度変動(昇温または降温)させてもよい。本発明の作用効果を損なわない範囲であれば、特に制限されるべきものではない。
特に、室温から重合を開始する方法(室温開始法)の場合には、例えば、300分処方であれば、120分以内に、好ましくは0〜90分間、より好ましくは0〜60分間で設定温度(上記に規定する重合温度の範囲内であればよいが、好ましくは70〜90℃、より好ましくは80〜90℃程度)に達するようにする。その後、重合終了までかかる設定温度を維持することが望ましい。昇温時間が上記範囲を外れる場合には、得られる(メタ)アクリル酸系重合体が高分子量化する恐れがある。なお、重合時間が300分の例を示したが、重合時間の処方が異なる場合には当該例を参照に、重合時間に対する昇温時間の割合が同様になるように昇温時間を設定するのが望ましい。
上記単量体の重合に際して、反応系内の圧力は、特に限定されない。常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下の何れの圧力下であってもよい。好ましくは、重合中、亜硫酸ガスの放出を防ぎ、低分子量化を可能にするため、常圧または、反応系内を密閉し、加圧下で行うのがよい。また、常圧(大気圧)下で重合を行うと、加圧装置や減圧装置を併設する必要がなく、また耐圧製の反応容器や配管を用いる必要がない。このため、製造コストの観点からは、常圧(大気圧)が好ましい。すなわち、得られる(メタ)アクリル酸系重合体の使用目的によって、適宜最適な圧力条件を設定すればよい。
反応系内の雰囲気は、空気雰囲気のままで行ってもよく、また、不活性雰囲気で行ってもよい。例えば、重合開始前に系内を窒素などの不活性ガスで置換してもよく、これにより、反応系内の雰囲気ガス(例えば、酸素ガスなど)が液相内に溶解し、重合禁止剤として作用する結果、開始剤である過硫酸塩が失活して低減するのが防止され、より低分子量化が可能となる場合がある。
本発明の製造方法では、上記単量体の重合反応は、酸性条件下で行うのが望ましい。酸性条件下で行うことによって、重合反応系の水溶液の粘度の上昇を抑制し、低分子量の(メタ)アクリル酸系重合体を良好に製造することができる。しかも、従来よりも高濃度の条件下で重合反応を進行させることができるため、製造効率を大幅に上昇させることができる。特に、重合中の中和度を1〜25mol%と低くすることで、上記開始剤量低減による効果を相乗的に高めることができ、不純物の低減効果を格段に向上させることができる。さらに重合中の反応溶液の25℃でのpHが1〜6となるように調整するのが望ましい。このような酸性条件下で重合反応を行うことにより、高濃度かつ一段で重合を行うことができる。そのため、従来の製造方法では場合によっては必要であった濃縮工程を省略することも可能である。それゆえ、(メタ)アクリル酸系重合体の生産性が大幅に向上し、製造コストの上昇も抑制しうる。
上記酸性条件のうち、重合中の反応溶液の25℃でのpHは1〜6、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4である。pHが1〜6の範囲において、亜硫酸ガスの発生、装置の腐食が生じるおそれがなく、かつ重亜硫酸塩の効率を低下させることなく、得られる重合体を低い分子量に抑えることができ、好ましい。
上記重合中の反応溶液のpHに調整するためのpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。本明細書では、これらのものを単に「pH調整剤」または「中和剤」と言う場合がある。
重合中の中和度は1〜25mol%であるが、重合に用いられる単量体が上記単量体(I)のみの場合には、好ましくは2〜15mol%、より好ましくは3〜10mol%の範囲内である。重合に用いられる単量体が上記単量体(I)に加えて単量体(II)を含む場合には、該単量体(II)の一部または全量を初期に仕込むことが可能であるが、このときの重合中の中和度は、好ましくは1〜25mol%、より好ましくは3〜10mol%の範囲内である。重合中の中和度がかかる範囲内であれば、上記単量体(I)のみの場合であっても、単量体(I)と単量体(II)とを共重合させる場合であっても、最も良好に重合ないし共重合することが可能である。また、重合反応系の水溶液の粘度が上昇することがなく、低分子量の重合体を良好に製造することができる。しかも、従来よりも高濃度の条件下で重合反応を進行させることができるため、製造効率を大幅に上昇させることができる。重合中の中和度が1mol%以上において、亜硫酸ガスの発生量を良好に抑制でき、得られる重合体の分子量を十分に低く抑えることができ、好ましい。また、重合中の中和度が25mol%以下において、十分な重亜硫酸塩の連鎖移動効率を得ることができるため、得られる重合体の分子量を十分に低く抑えることができ、また、重合が進行するに伴う重合反応系の水溶液の粘度の上昇も抑えることができ、得られる重合体の分子量が必要以上に増大することなく、低分子量の重合体を得ることができる。さらに、上記中和度低減による効果を十分に発揮でき、不純物を低減することができる。
ここでの中和の方法は、特に制限されない。中和剤として、例えば、(メタ)アクリル酸ナトリウムなどのアルカリ性の単量体(I)成分を利用してもよい。あるいは、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などを用いてもよい。これらを併用してもよい。また、中和の際の中和剤の添加形態は、固体であってもよいし、適当な溶媒、好ましくは水に溶解した水溶液であってもよい。水溶液を用いる場合の水溶液の濃度は、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは20〜55質量%、更に好ましくは30〜50質量%である。水溶液の濃度が10質量%以上において、良好な濃度の製品を得ることができ、輸送および保管上好ましい。一方、60質量%以下において、析出や粘度上昇のおそれがなく、液液も容易であり、好ましい。
重合に際しては、上記単量体、開始剤系の過硫酸塩および重亜硫酸塩その他の添加剤は、通常、これらを予め適当な溶媒(好ましくは被滴下液用の溶媒と同種の溶媒)に溶解し、単量体溶液、過硫酸塩溶液および重亜硫酸塩溶液その他の添加剤溶液とする。そして、それぞれを反応容器内に仕込んだ(水性の)溶媒(必要があれば所定の温度に調節したもの)に対して、所定の滴下時間に渡って連続的に滴下しながら重合することが好ましい。さらに水性の溶媒の一部についても、反応系内の容器に予め仕込んでなる初期仕込みの溶媒とは別に、後から滴下してもよい。ただし、本発明の製造方法は、これらに制限されない。例えば、滴下方法に関しては、連続的に滴下しても、断続的に何度かに小分けして滴下してもよい。単量体(II)は、一部または全量を初期仕込みしてもよい(すなわち、重合開始時に一時に全量ないしその一部を滴下したものと見なすこともできる)。また、単量体(II)の滴下速度(滴下量)も、滴下の開始から終了まで常に一定(一定量)として滴下してもよいし、あるいは重合温度等に応じて経時的に滴下速度(滴下量)を変化させてもよい。また、すべての滴下成分を同じように滴下せずとも、滴下成分ごとに開始時や終了時をずらせたり、滴下時間を短縮させたり延長させてもよい。このように、本発明の製造方法は、本発明の作用効果を損なわない範囲で適当に変更可能である。また、溶液の形態で各成分を滴下する場合には、反応系内の重合温度と同程度まで滴下溶液を加温しておいてもよい。こうしておくと、重合温度を一定に保持する場合に、温度変動が少なく温度調整が容易である。
単量体(I)、(II)および/または(III)を共重合する場合、単量体それぞれの重合性に応じて滴下時間を制御するとよい。例えば、重合性の低い単量体を用いる場合には、滴下時間を短くしてもよい。また、予め単量体の一部または全量を反応系内の容器に仕込んでおいてもよい。
さらに、重亜硫酸塩は、重合初期の分子量が最終分子量に大きく影響する。このため、初期分子量を低下させるために、重合開始より60分以内、好ましくは30分以内、より好ましくは10分以内に重亜硫酸塩ないしその溶液を5〜20質量%添加(滴下)するのが望ましい。特に、室温から重合を開始する場合には有効である。
また、重合に際しては、重合温度を低くして亜硫酸ガスの発生を抑え、不純物の形成を防止することがより好ましい。このため、重合の際の総滴下時間は、60〜600分、好ましくは90〜480分、より好ましくは120〜420分であることが好ましい。ここでいう総滴下時間とは、最初の滴下成分(1成分とは限らない)の滴下開始時から最後の滴下成分(1成分とは限らない)を滴下完了するまでの時間をいう。製造過程で発生する上記問題や得られる重合体の性能向上が図られることを勘案すれば、重合時間を長くすることは極めて有意な対処法であるといえる。総滴下時間が60分未満の場合には、開始剤系として添加する過硫酸塩溶液および重亜硫酸塩溶液による効果が効率的になされにくい。その結果、該重合体の重量平均分子量が高くなる傾向にある。また、反応系内に短期間に滴下されることで過剰に開始剤が存在することが起こり得る。このため、こうした過剰な開始剤が分解して亜硫酸ガスが発生し、系外に放出されたり、不純物を形成したりする。ただし、重合温度および開始剤量を低い特定の範囲で実施することの技術的有意性を見出すことで、従来技術で説明したような問題を生じるまでには至らないといえる。このことは他の各種重合条件を外れる場合においても同様のことが言える。一方、総滴下時間が600分を越える場合には、亜硫酸ガスの発生が抑えられるため得られる重合体の性能は良好であるが、(メタ)アクリル酸系重合体の生産性が低下し、使用用途が制限される場合があり、好ましくない。
また、重合の際の滴下成分のうち、重亜硫酸塩ないしその溶液の滴下時間については、単量体(I)ないしその溶液の滴下終了よりも1〜30分、好ましくは1〜20分、より好ましくは1〜15分滴下終了を早めることが好ましい。これにより、重合終了後の重亜硫酸塩量を低減でき、該重亜硫酸塩による亜硫酸ガスの発生や不純物の形成を有効かつ効果的に抑制することができる。そのため重合終了後、気相部の亜硫酸ガスが液相に溶解してできる不純物を格段に低減することができる。重合終了後に重亜硫酸塩が残存する場合には、不純物を生成し重合体の性能低下や低温保持時の不純物析出等を招くことにつながる。したがって、重合の終わりには重亜硫酸塩を含む開始剤が消費され残存していないことが望ましい。
ここで、重亜硫酸塩(溶液)の滴下終了時間を、単量体(I)(溶液)の滴下終了時間よりも1分未満しか早めることができない場合には、重合終了後に重亜硫酸塩が残存する場合がある。かかる場合としては、重亜硫酸塩ないしその溶液の滴下終了と単量体(I)(溶液)の滴下終了が同時である場合や、重亜硫酸塩(溶液)の滴下終了の方が単量体(I)(溶液)の滴下終了よりも遅い場合が含まれる。こうした場合には亜硫酸ガスの発生や不純物の形成を有効かつ効果的に抑制するのが困難となり、残存する開始剤が得られる重合体の熱的安定性に悪影響を及ぼす恐れがある。一方、重亜硫酸塩ないしその溶液の滴下終了時間が単量体(I)(溶液)の滴下終了時間よりも30分を超えて早い場合には、重合終了までに重亜硫酸塩が消費されてしまっている。このため、分子量の増大をまねく恐れがある。そのほか、重合中に重亜硫酸塩の滴下速度が単量体(I)(溶液)の滴下速度に比して速く、短時間で多く滴下されるために、この滴下期間中に不純物や亜硫酸ガスが多く発生する恐れがある。
また、重合の際の滴下成分のうち、過硫酸塩(溶液)の滴下終了時間は、単量体(I)(溶液)の滴下終了時間よりも1〜30分、好ましくは1〜20分、より好ましくは1〜15分遅らせる。これにより、重合終了後に残存する単量体成分量を低減できるなど、残存モノマーに起因する不純物を格段に低減することができる。
ここで、過硫酸塩(溶液)の滴下終了時間が単量体(I)(溶液)の滴下終了時間よりも1分未満しか遅くすることができない場合には、重合終了後に単量体成分が残存する場合がある。かような場合としては、過硫酸塩(溶液)の滴下終了と単量体(I)(溶液)の滴下終了が同時である場合や、過硫酸塩(溶液)の滴下終了の方が単量体(I)(溶液)の滴下終了よりも早い場合が含まれる。こうした場合には、不純物の形成を有効かつ効果的に抑制するのが困難となる。一方、過硫酸塩(溶液)の滴下終了時間が単量体(I)(溶液)の滴下終了時間よりも30分を超えて遅い場合には、重合終了後に過硫酸塩またはその分解物が残存し、不純物を形成する恐れがある。
上記各成分の滴下が終了し、重合反応系における重合反応が終了した時点での水溶液中の固形分濃度(すなわち単量体の重合固形分濃度)は、35質量%以上、好ましくは40〜70質量%、より好ましくは45〜65質量%である。このように重合反応終了時の固形分濃度が35質量%以上において、高濃度かつ一段で重合を行うことができる。そのため、効率よく低分子量の(メタ)アクリル酸系重合体を得ることができる。例えば、従来の製造方法では場合によっては必要であった濃縮工程を省略することができる。それゆえ、その製造効率を大幅に上昇させたものとすることができる。その結果、(メタ)アクリル酸系重合体の生産性が大幅に向上し、製造コストの上昇も抑制することが可能となる。
ここで、上記固形成濃度が35質量%未満の場合には、(メタ)アクリル酸系重合体の生産性を大幅に向上することができない場合がある。例えば、濃縮工程を省略することが困難となる。
重合反応系において固形分濃度を高くすると、従来の方法では、重合反応の進行に伴う反応溶液の粘度の上昇が顕著となり、得られる重合体の重量平均分子量も大幅に高くなるという問題点を生じていた。しかしながら、重合反応は酸性側(25℃でのpHが1〜6であり、中和度が1〜25mol%の範囲)でなされていると、重合反応が進行に伴う反応溶液の粘度の上昇を抑制することができる。それゆえ、重合反応を高濃度の条件下で行っても低分子量の重合体を得ることができ、重合体の製造効率を大幅に上昇させることができる。
ここで、重合反応が終了した時点とは、全ての滴下成分の滴下が終了した時点であってもよいが、好ましくはその後、所定の熟成時間を経過し(重合が完結し)た時点を言う。
上記熟成時間は、通常1〜120分間、好ましくは5〜60分間、より好ましくは10〜30分間である。熟成時間が1分間未満の場合には、熟成不十分につき単量体成分が残ることがあり、残存モノマーに起因する不純物を形成し性能低下などを招くおそれがある。一方、熟成時間が120分間を超える場合には、重合体溶液の着色の恐れがある。そのほか、既に重合が完結しており、更なる重合温度を印加することは不経済である。
また、熟成中は、上記重合反応期間内であり、重合中に含まれるため、上記重合温度が適用される。したがって、ここでの温度も一定温度(好ましくは滴下終了時点での温度)で保持してもよいし、熟成中に経時的に温度を変化させてもよい。したがって、重合時間は、上記総滴下時間+熟成時間をいい、最初の滴定開始時点から熟成終了時点までに要した時間をいう。
また、本発明に係る(メタ)アクリル酸塩系重合体の製造方法では、重合は、上記酸性条件下(重合中の反応溶液の25℃でのpHが1〜6であり、重合中の中和度が1〜25mol%である)で行われる。そのため、得られる(メタ)アクリル酸系重合体の中和度(最終中和度)は、重合が終了した後に、必要に応じて、後処理として適当なアルカリ成分を適宜添加することによって所定の範囲に設定されうる。
該最終中和度は、その使用用途によって異なるため特に制限されるべきものではなく、1〜100mol%の極めて広範囲に設定可能である。例えば、素肌に優しいといわれている弱酸性洗剤などに、洗剤ビルダーとして利用するような場合には、酸性のまま中和せずに使用してもよい。また、中性洗剤やアルカリ洗剤などに使用するような場合には、後処理としてアルカリ成分で中和して中和度90mol%以上に中和して使用してもよい。特に酸性の重合体として使用する場合の最終中和度は、好ましくは1〜75mol%、より好ましくは5〜70mol%である。中性ないしアルカリ性の重合体として使用する場合の最終中和度は、好ましくは75〜100mol%、より好ましくは85〜99mol%である。また、中性ないしアルカリ性の重合体として使用する場合の最終中和度が99mol%を超える場合には重合体水溶液が着色する恐れがある。
上記アルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン類で代表されるようなものが挙げられる。上記アルカリ成分は1種類のみを用いても良いし、2種類以上の混合物を用いても良い。
なお、従来の完全中和方式や部分中和方式で得られる(メタ)アクリル酸塩系重合体を脱塩処理することで、最終中和度を設定することも可能ではある。しかし、この場合には、脱塩工程の追加により製造工程が煩雑化し、製造コストも上昇することになる。このため、使用用途が制限される場合がある。
また、上述したように酸性のまま中和せずに使用するような場合には、反応系内が酸性のため、反応系内の雰囲気中に毒性のある亜硫酸ガス(SO2ガス)が残存している場合がある。こうした場合には、過酸化水素などの過酸化物を入れて分解するか、あるいは空気や窒素ガスを導入(ブロー)して追い出しておくのが望ましい。
また、本発明の(メタ)アクリル酸系重合体は、バッチ式で製造されてもよいし、連続式で製造されてもよい。
以上、説明したように、(メタ)アクリル酸系重合体の製造においては、開始剤として過硫酸塩および重亜硫酸塩をそれぞれ1種類以上組み合わせて用いるに際し、過硫酸塩を質量比で1とした場合に、重亜硫酸塩を質量比で0.5〜5の範囲内となるように用いるとともに、重合反応系に添加される過硫酸塩および重亜硫酸塩の合計量が単量体1mol当たり2〜20gの範囲内であり、かつ重合温度が25〜99℃の範囲内であることが好ましい。ここで、酸性条件下(重合中の反応溶液の25℃でのpHが1〜6であり、重合中の中和度が1〜25mol%である)で、各滴下成分の滴下時間を調節しながら重合を行うことが好ましい。また、重合反応終了時の重合固形分濃度が35質量%以上であり、得られる重合体の重量平均分子量が500〜30000の範囲であることが好ましく、1000〜20000の範囲であることがより好ましい。得られる(メタ)アクリル酸系重合体の重量平均分子量が上記の範囲内であれば、重合反応系への開始剤の添加量を格段に抑制することができ、コスト面でより有利である。さらに、製造過程で亜硫酸ガスを発生する場合には、該ガスの発生や不純物の発生を有効かつ効率的に防止(低減)することができる。このため、特に(メタ)アクリル酸系重合体の製造に適用することにより、高分散能、高キレート能および高耐ゲル性といった各種性能を高い次元でより顕著かつ効果的に発揮することができる(メタ)アクリル酸系重合体を効率よく製造することができる。すなわち、無機顔料の分散剤、スケール防止剤、および洗剤ビルダー等として好適に用いることができる重合体を高品位かつ低コストで製造することができる。さらに、重合反応系に添加する開始剤の量の増加を格段に抑制するなどして、コストを低減することも可能である。
本発明の方法により得られる(メタ)アクリル酸系重合体の用途は、水系の分散剤(顔料分散剤を含む)、スケール防止剤(スケール抑制剤)、洗剤ビルダーおよびこれを用いた洗剤などが挙げられる。ただし、これらに制限されるべきものではなく、幅広く適用できる。例えば、金属イオン封止剤、増粘剤、各種バインダーなどにも適用できる。
以下、本発明を実施例により更に詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
体積流量計を備えた外部循環冷却装置(溶液保有量170ml)、還流冷却器および攪拌機を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水360.0gを仕込み(初期仕込)、攪拌下、加熱昇温した。
外部循環装置を流速約50ml/minで作動させ、セパラブルフラスコ内の溶液温度を約90℃とした。このとき、外部循環装置の出口温度は約55℃であった。以後、流速を±5ml/minの幅で調整することによって、溶液温度を約90℃に保った。
次いで攪拌下、約90℃一定状態の重合反応系中に80%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと略す)900.0g(10.0mol)、48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、48%NaOHと略す)41.7g(0.5mol)、15%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、15%NaPSと略す)133.3g{対単量体投入量(ここで、単量体投入量とは、単量体組成物の全ての投入量をいう。以下同様とする。)に換算すると2.0g/mol}、35%重亜硫酸ナトリウム水溶液(以下、35%SBSと略す)71.4g(対単量体投入量に換算すると2.5g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AA、48%NaOHを300分間、15%NaPSを320分間、35%SBSを290分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH 750.0g(9.0mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が45質量%、最終中和度が95mol%の重合体(1)を2256g(25℃比重1.3より、体積は1735ml)得た。重合処方を下記表1にまとめた。重合体(1)の分子量を表11に示した。
実施例2
実施例1と同様に重合した。重合体溶液総仕込量は2318g(25℃比重1.3より、体積は1783ml)であった。重合処方を下記表1にまとめた。また、重合体(2)の分子量を表11に示した。
Figure 0004059845
実施例3
体積流量計を備えた外部循環冷却装置(溶液保有量170ml)、還流冷却器および攪拌機を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水370.0g、無水マレイン酸(以下、無水MAと略す)232.0g(2.0mol)、48%NaOH 16.6g(0.2mol)を仕込み(初期仕込)、攪拌下、加熱昇温した。
外部循環装置を流速50ml/minで作動させ、セパラブルフラスコ内の溶液温度を約90℃とした。このとき、外部循環装置の出口温度は約55℃であった。
以後、流速を±5ml/minの幅で調整することによって、溶液温度を約90℃に保った。
次いで攪拌下、約90℃一定状態の重合反応系中に80%AA 720.0g(8.0mol)、48%NaOH 33.3g(0.4mol)、15%NaPS 266.6g(対単量体投入量に換算すると4.0g/mol)、35%SBS 228.6g(対単量体投入量に換算すると8.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AA、48%NaOHを180分間、15%NaPSを185分間、35%SBSを175分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH 800.0g(9.6mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が45質量%、最終中和度が85mol%の重合体(3)を2667g(25℃比重1.3より、体積は2052ml)得た。重合処方を下記表2にまとめた。また、重合体(3)の分子量を表11に示した。
Figure 0004059845
実施例4
体積流量計を備えた外部循環冷却装置(溶液保有量170ml)、還流冷却器、攪拌機を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水510.0gを仕込み(初期仕込)、攪拌下、加熱昇温した。
外部循環装置を流速約50ml/minで作動させ、セパラブルフラスコ内の溶液温度を約90℃とした。このとき、外部循環装置の出口温度は約55℃であった。以後、流速を±5ml/minの幅で調整することによって、溶液温度を約90℃に保った。
次いで攪拌下、約90℃一定状態の重合反応系中に80%イソプレノールのエチレンオキサイド 10mol付加物(以下、80%IPN−10と略す)263.0g(0.4mol)、80%AA 684.0g(7.6mol)、48%NaOH 31.7g(0.4mol)、15%NaPS 213.4g(対単量体投入量に換算すると4.0g/mol)、35%SBS 182.8g(対単量体投入量に換算すると8.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%IPN−10を170分間、80%AA、48%NaOHを180分間、15%NaPSを210分間、35%SBSを180分間とした。
また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH 285.0g(3.4mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が45質量%、最終中和度が50mol%の重合体(4)を2170g(25℃比重1.2より、体積は1808ml)得た。重合処方を下記表3にまとめた。また、重合体(4)の分子量を表11に示した。
Figure 0004059845
実施例5
冷媒として約30℃の水を用い、体積流量計を備えた内部コイル冷却装置、還流冷却器および攪拌機を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水405.0gを仕込み(初期仕込)、攪拌下、加熱昇温した。
内部コイル冷却装置を流速約80ml/minで作動させ、セパラブルフラスコ内に溶液温度を約90℃とした。以後、流速を±5ml/minの幅で調整することによって、溶液温度を約90℃に保った。
次いで攪拌下、約90℃一定状態の重合反応系中に80%AA 900.0g(10.0mol)、48%NaOH 41.7g(0.5mol)、15%NaPS
33.3g(対単量体投入量に換算すると0.5g/mol)、35%SBS 200.0g(対単量体投入量に換算すると7.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AA、48%NaOHを300分間、15%NaPSを310分間、35%SBSを290分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH 750.0g(9.0mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が45質量%、最終中和度が95mol%の重合体(5)を得た。重合処方を下記表4にまとめた。また、重合体(1)の分子量を表11に示した。
Figure 0004059845
実施例6
体積流量計を備えた外部循環冷却装置(溶液保有量170ml)、還流冷却器および攪拌機を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水386.0gを仕込み(初期仕込)、攪拌下、加熱昇温した。
外部循環装置を流速約50ml/minで作動させ、セパラブルフラスコ内の溶液温度を約99℃とした。このとき、外部循環装置の出口温度は約70℃であった。以後、流速を±5ml/minの幅で調整することによって、溶液温度を約99℃に保った。
次いで攪拌下、約99℃一定状態の重合反応系中に80%AA 900.0g(10.0mol)、48%NaOH 666.6g(8.0mol)、15%NaPS 266.6g(対単量体投入量に換算すると4.0g/mol)、35%過酸化水素水溶液(以下、35%H22と略す)228.6g(対単量体投入量に換算すると8.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AA、48%NaOHを180分間、15%NaPSを190分間、35%H22を60分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに20分間に渡って反応溶液を約99℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、約99℃に保持したまま48%NaOH 125.0g(1.5mol)を反応溶液に30分間にわたって滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が40質量%、最終中和度が95mol%の重合体(6)を2573g(25℃比重1.2より、体積は2144ml)得た。重合処方を下記表5にまとめた。重合体(6)の分子量と重合中の発泡の様子を表11に示した。
実施例7
実施例5と同様に重合した。重合体溶液総仕込量は2481g(25℃比重より、体積は2068ml)であった。重合処方を下記表5にまとめた。重合体(7)の分子量と重合中の発泡の様子を表11に示した。
Figure 0004059845
実施例8
体積流量計を備えた外部循環冷却装置(溶液保有量170ml)、還流冷却器および攪拌機を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水 136.4g、無水MA 340.8g(3.48mol)、48%NaOH 492.8g(5.92mol)を仕込み(初期仕込)、攪拌下、加熱昇温した。
外部循環装置を流速約50ml/minで作動させ、セパラブルフラスコ内の溶液温度を約99℃とした。このとき、外部循環装置の出口温度は約70℃であった。以後、流速を±5ml/minの幅で調整することによって、溶液温度を約99℃に保った。
次いで攪拌下、約99℃一定状態の重合反応系中に80%AA 313.0g(3.48mol)、純水 301.4g、15%NaPS 92.8g(対単量体投入量に換算すると2.0g/mol)、35%H2276.4g(対単量体投入量に換算すると3.84g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAを120分間、15%NaPS、純水を滴下開始50分後から80分間、35%H22を50分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を約99℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH 246.4g(2.96mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が45質量%、最終中和度が85mol%の重合体(8)を2000g(25℃比重1.3より、体積は1538ml)得た。重合処方を下記表6にまとめた。重合体(8)の分子量と重合中の発泡の様子を表11に示した。
Figure 0004059845
実施例9
体積流量計を備えた外部循環冷却装置(溶液保有量170ml)、還流冷却器および攪拌機を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水810.0g、無水MA 352.8g(3.6mol)、48%NaOH 600.0g(7.2mol)を仕込み(初期仕込)、攪拌下、加熱昇温した。
外部循環装置を流速約50ml/minで作動させ、セパラブルフラスコ内の溶液温度を約99℃とした。このとき、外部循環装置の出口温度は約70℃であった。以後、流速を±5ml/minの幅で調整することによって、溶液温度を約99℃に保った。
次いで攪拌下、約99℃一定状態の重合反応系中に80%AA 810.0g(9.0mol)、15%NaPS 252.0g(対単量体投入量に換算すると3.0g/mol)、35%H22180.0g(対単量体投入量に換算すると5.0g/mol)、純水355.0gをそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAを240分間、15%NaPSを245分間、35%H22を240分間、純水を滴下開始90分後から155分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を約99℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH 615.0g(7.4mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が36質量%、最終中和度が90mol%の重合体(9)を3974g(25℃比重1.1より、体積は3613ml)得た。重合処方を下記表7にまとめた。重合体(9)の分子量と重合中の発泡の様子を表11に示した。
Figure 0004059845
実施例10
冷媒として約30℃の水を用い、体積流量計を備えた内部コイル冷却装置、還流冷却器および攪拌機を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水600.0gを仕込み(初期仕込)、攪拌下、加熱昇温した。
内部コイル冷却装置を流速約80ml/minで作動させ、セパラブルフラスコ内に溶液温度を約99℃とした。以後、流速を±5ml/minの幅で調整することによって、溶液温度を約99℃に保った。
次いで攪拌下、約99℃一定状態の重合反応系中に80%AA 900.0g(10.0mol)、48%NaOH 666.6g(8.0mol)、15%NaPS 266.6g(対単量体投入量に換算すると4.0g/mol)、35%H22171.4g(対単量体投入量に換算すると6.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AA、48%NaOHを180分間、15%NaPSを190分間、35%H22を60分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに20分間に渡って反応溶液を約99℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、約99℃に保持したまま48%NaOH 125.0g(1.5mol)を反応溶液に30分間にわたって滴下して中和した。このようにして、固形分濃度が36質量%、最終中和度が95mol%の重合体(10)を得た。重合処方を下記表8にまとめた。重合体(10)の分子量と重合中の発泡の様子を表11に示した。
Figure 0004059845
比較例1〜10
実施例1〜10の重合をそれぞれ外部循環冷却装置や内部コイル冷却装置を用いずに、沸点還流下で行ったものを比較例1〜10とし、得られた重合体の平均重量分子量および発泡の有無を表11に示した。本発明に従い温度制御することにより、目的の分子量の重合体を発泡なく得ることができることが明らかである。
実施例11
体積流量計を備えた外部循環冷却装置(溶液保有量170ml)、還流冷却器および攪拌機を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水350.0gおよびFe(NH4)2(SO4)2・6H2O(モール塩)0.0162gを仕込み(初期仕込)、攪拌下、加熱昇温した。重合反応完結時における重合反応液の全質量に対する、重金属イオンとしての鉄イオンの濃度を算出したところ、鉄イオンの濃度は1ppmであった。
外部循環装置を流速約50ml/minで作動させ、セパラブルフラスコ内の溶液温度を約90℃とした。このとき、外部循環装置の出口温度は約55℃であった。以後、流速を±5ml/minの幅で調整することによって、溶液温度を約90℃に保った。
次いで攪拌下、約90℃一定状態の重合反応系中に80%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと略す)900.0g(10.0mol)、48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、48%NaOHと略す)41.7g(0.5mol)、15%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、15%NaPSと略す)133.3g(対単量体投入量(ここで、単量体投入量とは、単量体組成物の全ての投入量をいう。以下同様とする。)に換算すると2.0g/mol)、35%重亜硫酸ナトリウム水溶液(以下、35%SBSと略す)142.9g(対単量体投入量に換算すると5.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AA、48%NaOHを180分間、15%NaPSを185分間、35%SBSを175分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH 750.0g(9.0mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。なお、前述の「重合反応完結時における重合反応液の全質量に対する、重金属イオンとしての鉄イオンの濃度」は、この時点での重合反応液の全質量を基準として算出した。
このようにして、固形分濃度が45質量%、最終中和度が95mol%の重合体(11)を2318g(比重1.3より、体積は1783ml)得た。重合処方を表9にまとめた。また、重合体(11)の分子量を下表11に示した。
実施例12
実施例11と同様に重合した。重合体溶液総仕込量は2328g(比重1.3より、体積は1791ml)であった。重合処方を表9にまとめた。また、重合体(12)の分子量を下表11に示した。
実施例13〜15
実施例11と同様にして各重合体(13)〜(15)を重合した。重合処方を表9にまとめた。また、重合体(13)〜(15)の分子量を下表11に示した。
Figure 0004059845
実施例16
体積流量計を備えた外部循環冷却装置(溶液保有量170ml)、還流冷却器および攪拌機を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水510.0gおよびFe(NH4)2(SO4)2・6H2O(モール塩)0.0524gを仕込み(初期仕込)、攪拌下、加熱昇温した。重合反応完結時における重合反応液の全質量に対する、重金属イオンとしての鉄イオンの濃度を算出したところ、鉄イオンの濃度は3ppmであった。
外部循環装置を流速約50ml/minで作動させ、セパラブルフラスコ内の溶液温度を約90℃とした。このとき、外部循環装置の出口温度は約55℃であった。以後、流速を±5ml/minの幅で調整することによって、溶液温度を約90℃に保った。
次いで攪拌下、約90℃一定状態の重合反応系中に80%イソプレノールのエチレンオキサイド10mol付加物(以下、80%IPN−10と略す)263.0g(0.4mol)、80%AA 684.0g(7.6mol)、48%NaOH 31.7g(0.4mol)、15%NaPS 213.4g(対単量体投入量に換算すると4.0g/mol)、35%SBS 182.8g(対単量体投入量に換算すると8.0g/mol)をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%IPN−10、80%AA、48%NaOH、35%SBSを180分間、15%NaPSを210分間とした。また、それぞれの滴下時間の間、各成分の滴下速度は一定とし、連続的に滴下した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を90℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液を放冷し、48%NaOH 601.6g(7.2mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和した。なお、前述の「重合反応完結時における重合反応液の全質量に対する、重金属イオンとしての鉄イオンの濃度」は、この時点での重合反応液の全質量を基準として算出した。
このようにして、固形分濃度が45質量%、最終中和度が95mol%の重合体(16)を2586g(比重1.3より、体積は1989ml)得た。重合処方を下記表10にまとめた。また、重合体(16)の分子量を表11に示した。
Figure 0004059845
比較例11〜16
実施例11〜16の重合をそれぞれ外部循環冷却装置や内部コイル冷却装置を用いずに、沸点還流下で行ったものを比較例11〜16とし、得られた重合体の重量平均分子量(Mw)および発泡の有無を表11に示した。
重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)により測定した。なお、ここでのサンプルには、上記の重合により得られた重合体をそのまま使用した。測定条件、装置などは以下の通りである。
GPCのカラムとしては東ソー株式会社製G−3000PWXL(商品名)を用いた。
移動相としては、リン酸水素二ナトリウム12水和物34.5g及びリン酸二水素ナトリウム2水和物46.2g(いずれも試薬特級)に純水を加えて全量を5000gとし、その後0.45μmのメンブランフィルターでろ過した水溶液を用いた。
検出器としては、ウォーターズ製のモデル481型を用い、検出波長UV:214nmとした。
ポンプとしては、株式会社日立製作所製のL−7110(商品名)を用いた。
移動相の流量は0.5ml/分とし、温度は35℃とした。検量線は、創和科学製のポリアクリル酸ナトリウム標準サンプルを用いて作成した。
Figure 0004059845
本発明に従い温度制御することにより、目的の分子量の重合体を、発泡なく得ることができることが明らかである。
本発明における外部循環装置を用いた製造方法を好適に実施するための重合装置の一例を示す概略図である。 本発明における内部コイル装置を用いた製造方法を好適に実施するための重合装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 重合器
2 熱交換器
3 循環配管
4 循環ポンプ
5 体積流量計
11 重合器
12 内部コイル
13 循環配管
14 循環ポンプ
15 体積流量計
16 温度調節器

Claims (9)

  1. 熱交換機能を有する外部循環装置を用いた重合体の製造方法において、該外部循環装置の溶液保有量が重合体溶液総仕込量の1〜30体積%であり、重合温度を50℃以上沸点未満に温度制御して(メタ)アクリル酸系単量体を水溶液系重合することを特徴とする重合体の製造方法。
  2. 全単量体中の(メタ)アクリル酸系単量体の配合量が、単量体全量に対して、50〜100mol%であることを特徴とする請求項1記載の重合体の製造方法。
  3. 共重合可能な水溶性モノエチレン性不飽和単量体が、モノエチレン性不飽和脂肪族ジカルボン酸、スルホン酸基を有するモノエチレン性不飽和単量体、水酸基を含有する不飽和炭化水素又は不飽和ポリアルキレングリコール系単量体であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の重合体の製造方法。
  4. 重合反応溶液が、重金属イオンを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の重合体の製造方法。
  5. 前記重金属イオンが、鉄イオンであることを特徴とする請求項4記載の重合体の製造方法。
  6. 単量体を添加時間1〜8時間の範囲内で添加しながら重合反応を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の重合体の製造方法。
  7. 重合反応溶液の粘度が1000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の重合体の製造方法。
  8. 外部循環装置の溶液流速が毎分重合体溶液総仕込量の0.01〜15体積%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の重合体の製造方法。
  9. 水溶液系重合の開始剤として、過硫酸塩および重亜硫酸塩をそれぞれ1種類以上組み合わせて用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の重合体の製造方法。
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