JP6500659B2 - アクリル酸系重合体塩水溶液の製造方法 - Google Patents

アクリル酸系重合体塩水溶液の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アクリル酸系重合体塩を含む水溶液を、着色を抑制して製造する方法に関する。
アクリル酸塩に由来する構造単位を有するアクリル酸系重合体塩の水溶液は、無機粒子の分散剤や、配管、ボイラー、熱交換器等におけるスケール抑制剤、更には、洗剤ビルダー等に用いられている。これらのうち、例えば、製紙分野向けの無機粒子分散剤や洗剤ビルダーの場合には、無色透明の水溶液が好適である。
更に、その製造にあたっては、当然ながら反応時間の短縮化や生産性の向上等、効率のよい製造方法が望ましく、これに見合う製造方法として、従来のバッチ式による製造方法に加えて、重合工程と、中和工程とを独立させた連続的製造方法についても開発が進められている。
アクリル酸系重合体塩の水溶液を連続的に製造する方法としては、以下のように、アクリル酸を用いる方法が広く知られている。
特許文献1には、アクリル酸単量体又はアクリル酸塩単量体を主とするアクリル系単量体を水性媒体中で重合させてポリアクリル酸塩を連続的に製造するにあたり、複数個の反応器よりなり、少なくとも第1反応器は槽型反応器である連続反応装置を使用し、第1反応器に、アクリル系単量体、重合開始剤及び亜硫酸水素塩を連続的に仕込みながら、pH値を3.5以下に維持した水性媒体中で単量体の重合を行い、第1反応器から排出される反応液を第2反応器に連続的に仕込み、第2反応器において重合を継続するとともに、第2反応器又は第3反応器以降の反応器において反応液にアルカリを添加して中和することを特徴とする、pH値が6〜9のポリアクリル酸塩水溶液の連続的製造方法が開示されている。
特許文献2には、アクリル酸単量体又はアクリル酸塩単量体を主とするアクリル系単量体を水性媒体中で重合させ、更に、必要によりアルカリを添加することにより水溶性アクリル系重合体を連続的に製造するにあたり、複数個の反応器よりなり、少なくとも第1反応器は槽型反応器である連続反応装置を使用し、第1反応器にアクリル系単量体、重合開始剤及び連鎖移動剤を供給しながら、アクリル系単量体を重合させ、第1反応器に供給された単量体の重合転換率を第1反応器の出口反応液において90質量%以上に維持することを特徴とする水溶性アクリル系重合体の連続的製造方法が開示されている。そして、第1反応器、第2反応器及び第3反応器を備える製造装置を用いて、第1反応器にアクリル酸水溶液、重合開始剤の水溶液及び連鎖移動剤の水溶液を供給して、単量体を重合し、反応液を第2反応器に送液し、その後、反応液を第3反応器に送液し、第3反応器において水酸化ナトリウム水溶液を供給して中和する水溶性アクリル系重合体の製造方法が記載されている。
特許文献3には、水溶性ビニル系単量体を水性媒体中で重合させて水溶性重合体を製造するにあたり、重合を実施する反応器として撹拌槽型反応器を用い、重合工程において反応器の反応液1m当たりの撹拌所要動力Pv(kw/m)を0.5以上の範囲に制御することを特徴とする水溶性重合体の製造方法が開示されている。そして、第1反応器、第2反応器及び第3反応器を備える製造装置を用いて、第1反応器にアクリル酸水溶液、重合開始剤の水溶液及び連鎖移動剤の水溶液を供給して、単量体を重合し、反応液を第2反応器に送液し、その後、反応液を第3反応器に送液し、第3反応器において水酸化ナトリウム水溶液を供給して中和する水溶性重合体の製造方法が記載されている。
また、特許文献4には、重合工程と中和工程とを順次備えることにより得られる炭酸カルシウム用分散剤であって、重合工程は、アクリル酸を含む単量体、イソプロピルアルコール水溶液、次亜リン酸塩、過硫酸塩及び水酸化ナトリウムが連続的に反応器に供給され、上記単量体を連続的に重合させる工程であり、上記重合工程における、上記イソプロピルアルコール水溶液に含まれるイソプロピルアルコール、上記次亜リン酸塩、上記過硫酸塩及び上記水酸化ナトリウムの供給量は、上記単量体100質量部に対して、上記イソプロピルアルコールが15〜100質量部、上記次亜リン酸塩が2.0〜5.0質量部、上記過硫酸塩が0.5〜2.0重量部及び上記水酸化ナトリウムが5.0〜20質量部であり、重合工程の反応温度は、68〜82℃であり、中和工程は、重合工程により得られた重合体を構成する上記単量体由来の構成単位が有するカルボキシル基の15〜95モル%を中和させる工程であることを特徴とする炭酸カルシウム用分散剤が開示されている。
特開2003−2909号公報 特開2003−40912号公報 特開2003−64108号公報 国際公開2012/011068号公報
アクリル酸は、重合しやすいため、一般に市販されている製品(アクリル酸原料)には、キノン化合物等の重合禁止剤が微量に含まれている。上記のように、中和前の重合体を合成する重合工程と、アルカリ剤を用いて中和する中和工程とを、順次、行う場合であって、特に、スケールアップを図った場合には、有色のアクリル酸系重合体塩水溶液が製造されることがあった。これについて、中和工程では、アルカリ剤が、中和前のアクリル酸系重合体を含む反応液の液面の一箇所に供給されることが多いため、中和工程が撹拌下に行われるにしても、反応液において高いpHの領域が局部的に形成される。反応液に残存する重合禁止剤は、極微量であるものの、例えば、pHが11以上の条件下にあると、可視光線を吸収する化合物に変性すると考えられ、結果として有色のアクリル酸系重合体塩水溶液が製造されると推測される。
アルカリ剤の供給速度を低下させれば、着色を抑制することができるが、生産性に劣ることとなった。
本発明の課題は、アクリル酸系重合体塩を含む水溶液を、着色を抑制して製造する方法を提供することである。
本発明者は、アクリル酸を含む単量体を重合して、アクリル酸系重合体の水溶液を得る重合工程と、この水溶液にアルカリ剤を供給して中和する中和工程とを、順次、行って、着色が抑制されたアクリル酸系重合体塩水溶液を大量製造するにあたり、中和工程におけるアルカリ剤の供給方法について、鋭意検討し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下に示される。
[1]水を含む媒体において、アクリル酸を含む単量体を重合し、アクリル酸系重合体の水溶液を得る重合工程と、アルカリ剤を用いて、上記アクリル酸系重合体水溶液を中和する中和工程とを、順次、備えるアクリル酸系重合体塩水溶液の製造方法において、上記アルカリ剤は、反応槽におけるアクリル酸系重合体水溶液の液面の上方及び/又は該アクリル酸系重合体水溶液の内部であって、上記アクリル酸系重合体水溶液の上記液面の表面積が均等割された各区画に配された供給口から供給され、上記供給口の合計数は2以上であることを特徴とするアクリル酸系重合体塩水溶液の製造方法。
[2]上記アクリル酸系重合体水溶液の上記液面の表面積1mあたりの上記供給口の数が1.0以上である上記[1]に記載のアクリル酸系重合体塩水溶液の製造方法。
[3]上記重合工程及び上記中和工程を、互いに連結された反応槽内で、別々に行い、上記アクリル酸系重合体塩水溶液を連続的に製造する上記[1]又は[2]に記載のアクリル酸系重合体塩水溶液の製造方法。
[4]上記中和工程における反応液の平均滞留時間が30〜240分間である上記[3]に記載のアクリル酸系重合体塩水溶液の製造方法。
本明細書において、重合体の重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう)は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう)により測定された標準ポリアクリル酸ナトリウム換算値である。また、「(メタ)アクリル」の記載は、アクリル及びメタクリルを意味する。
本発明によれば、アクリル酸系重合体塩を含む水溶液の着色が抑制され、無色透明である。本発明の製造方法により得られるアクリル酸系重合体塩水溶液は、製紙分野向けの無機粒子分散剤や洗剤ビルダー等の用途に好適である。
反応槽を上から見たときの横断面図であって、中和工程で用いるアルカリ剤供給口の配置の1例を示す概略図である。 反応槽の正面図であって、中和工程で用いるアルカリ剤供給口の配置を示す概略図であり、(1)は、供給口が反応液の液面の上方にある態様を、(2)は、供給口が反応液の内部にある態様を、それぞれ、示す。 実施例及び比較例で用いた製造装置の構成を示す概略図である。
本発明は、水を含む媒体において、アクリル酸を含む単量体を重合し、アクリル酸系重合体の水溶液を得る重合工程と、アルカリ剤を用いて、アクリル酸系重合体を中和する中和工程と、を順次、備えるアクリル酸系重合体塩水溶液の製造方法であり、中和工程において、例えば、内径1000mm以上、又は、液面の表面積が0.8m以上の反応槽を用いて、液深が500mm以上であり、且つ、アクリル酸系重合体塩の濃度が30〜60質量%の水溶液を大量製造するにあたって、アルカリ剤の供給を特定の方法によるものとし、水溶液の着色を抑制しようとするものである。
重合工程で用いる単量体は、アクリル酸のみであってよいし、アクリル酸と、他の重合性不飽和化合物(以下、「他の単量体」という)との組み合わせであってもよい。他の重合性不飽和化合物としては、アクリル酸の塩、炭素原子数4以上の不飽和モノカルボン酸又はその塩、不飽和ジカルボン酸又はその無水物若しくはその塩、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、アミド基含有重合性不飽和化合物、スルホン酸基含有重合性不飽和化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記「塩」は、ナトリウム、カリウム等によるアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等によるアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩等とすることができる。尚、アクリル酸と他の単量体とを組み合わせた場合、アクリル酸の使用量の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
従って、上記重合工程により得られるアクリル酸系重合体は、ポリアクリル酸又はその部分塩、アクリル酸と他の単量体との共重合体又はその部分塩等である。
上記重合工程で用いるアクリル酸は、工業的には、アクリル酸及び重合禁止剤を併含する「アクリル酸原料」である。重合禁止剤としては、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ベンゾキノン、tert−ブチルカテコール等のキノン化合物が用いられる。
上記重合工程では、通常、重合開始剤が用いられる。この重合開始剤は、特に限定されないが、好ましくは水溶性化合物であり、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]n水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物等を用いることができる。上記重合開始剤の使用量は、上記単量体を100質量部とした場合に、好ましくは0.1〜4.0質量部、より好ましくは0.3〜3.0質量部、更に好ましくは0.5〜2.5質量部である。
また、上記重合工程では、必要に応じて、連鎖移動剤を用いることができる。この連鎖移動剤は、特に限定されないが、次亜リン酸及びその塩、亜リン酸及びその塩、亜硫酸及びその塩、チオール基を有する化合物等を用いることができる。上記連鎖移動剤の使用量は、上記単量体を100質量部とした場合に、好ましくは3.0〜15.0質量部、より好ましくは4.0〜12.0質量部、更に好ましくは5.0〜9.0質量部である。
上記重合工程は、水を含む媒体において進められる。この媒体は、水のみからなるものであってよいし、水と、有機溶剤とからなる混合物であってもよい。好ましい有機溶剤としては、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類が挙げられ、特に好ましくはイソプロピルアルコールである。
媒体にイソプロピルアルコールを含む場合、イソプロピルアルコールは、連鎖移動剤としても作用する。従って、イソプロピルアルコール水溶液を用いる場合、反応溶媒及び連鎖移動剤として用いることができる。
イソプロピルアルコール水溶液のイソプロピルアルコール濃度は、好ましくは30質量%〜60質量%であり、より好ましくは35〜50質量%である。
イソプロピルアルコールの濃度が30質量%以上であれば、イソプロピルアルコールが有する連鎖移動剤としての連鎖移動効果が有効に作用する。また、60質量%以下であれば重合中の反応液が均一に保たれるため、分子量分布の狭い重合体を得やすい。
また、重合時におけるイソプロピルアルコールの使用量は、単量体100質量部に対して、好ましくは30〜95質量部であり、より好ましくは40〜85質量部である。イソプロピルアルコールの使用量が30質量部以上であると、イソプロピルアルコールの連鎖移動効果が有効に作用する。また、95質量部以下であると、後述する溶剤留去に要する時間を短くすることができるため、着色の少ない重合体溶液が得られる。
重合時にイソプロピルアルコール水溶液を用いた場合は、重合終了後に反応系を減圧及び/又は反応系を加熱することにより、イソプロピルアルコールを系外へ留出させ、反応液からイソプロピルアルコールを留去することが好ましい。
留去されるイソプロピルアルコールは、通常、水との共沸混合物である。従って、イソプロピルアルコールは、水溶液として反応液から留去され、イソプロピルアルコール及び水を低減させた濃縮組成物となる。
イソプロピルアルコールの留去の方法は、特に限定されない。例えば、反応系を減圧に供し、その内温をイソプロピルアルコールの共沸温度以上に保つことで水とイソプロピルアルコールとを系外へ留出させることができる。また、減圧にした薄膜蒸発機へ反応液を通液することにより、水とイソプロピルアルコールとを系外へ留出させてもよい。
イソプロピルアルコールを留去した場合、得られる濃縮組成物に含まれるイソプロピルアルコールの含有量は、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは質量5000ppm以下であり、更に好ましくは2000質量ppm以下、特に好ましくは1000質量ppm以下である。
上記重合工程において、単量体の使用量は、特に限定されないが、通常、目的のアクリル酸系重合体水溶液に含まれるアクリル酸系重合体の濃度が30〜60質量%程度となるように、使用される。
重合温度は、重合開始剤の種類等により、適宜、設定されるが、通常、60℃〜100℃である。尚、上記重合工程では、横断面形状が円形又は楕円形の有底筒状容器等の、従来、公知の反応槽と、撹拌手段と、還流冷却手段と、反応槽内の液の温度を調整する温度調整手段とを備える反応器を含む装置を用いることができる。
上記重合工程により得られる水溶液に含まれるアクリル酸系重合体の濃度は、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは30〜55質量%、更に好ましくは35〜50質量%である。また、このアクリル酸系重合体水溶液のpHは、好ましくは6.0〜10.0、より好ましくは6.5〜9.5、更に好ましくは7.0〜9.0である。
次に、中和工程では、重合工程で得られた、アクリル酸系重合体水溶液にアルカリ剤が供給される。このアルカリ剤としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物又は炭酸塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン等を、そのまま、あるいは、水に溶解させた水溶液を用いることができる。本発明においては、アルカリ性化合物の濃度を、好ましくは25〜60質量%、より好ましくは35〜55質量%、更に好ましくは45〜50質量%とした水溶液を用いることが好ましい。
本発明は、上記中和工程を、特定の方法、即ち、上記アルカリ剤を、反応槽におけるアクリル酸系重合体水溶液の液面の上方及び/又は該アクリル酸系重合体水溶液の内部であって、アクリル酸系重合体水溶液の液面の表面積が均等割された各区分に配された供給口から供給し、更に、供給口の合計数を2以上とするものである。これにより、所定時間で所定量のアルカリ剤を使用する場合に、1供給口あたりのアルカリ剤の供給量が少なくなるものの、複数の供給口からアルカリ剤が供給されるため、反応槽内の広い範囲においてアクリル酸系重合体水溶液とアルカリ剤とを接触させることができる。そして、反応液において高いpHの領域が局部的に形成されることなく、重合禁止剤に起因する反応液の着色を抑制し、撹拌による反応液の均一化を促進することができる。
上記中和工程で用いる反応槽は、撹拌手段を備えるものであれば、重合工程で用いたものそのままであってよいし、配管を介して、別途、連結された反応槽であってもよい。これらいずれの場合も大量製造に好適であるが、連続的に製造する場合には、後者の態様が特に好ましい。
上記中和工程では、アクリル酸系重合体塩水溶液の大量製造に際して、内径が好ましくは1000mm以上、より好ましくは1300〜2000mmであるか、あるいは、アクリル酸系重合体水溶液の液面の表面積が好ましくは0.8m以上、より好ましくは1.3〜3.1mであり、底壁からアクリル酸系重合体水溶液の液面までの高さを好ましくは500mm以上、より好ましくは1000mm以上とした反応槽を用いることが好ましい。
上記反応槽におけるアルカリ剤の供給口の合計数は、好ましくは3〜16、より好ましくは4〜14、更に好ましくは5〜12である。尚、アルカリ剤の供給口が配される「アクリル酸系重合体水溶液の液面の表面積が均等割された各区分」は、通常、液面の中心を利用して等しい表面積に分割された領域を意味する。有底の円筒型反応槽11を上から見た図1の場合、円の中心を利用して8分割した領域(A〜H)に、それぞれ、供給口(55A〜55H)が配置される。
本発明において、着色が抑制されたアクリル酸系重合体塩水溶液の大量製造を効率よく行うためには、反応槽に収容されたアクリル酸系重合体水溶液の液面の表面積1mあたりの供給口の数を、好ましくは1.0以上、より好ましくは2.0〜8.0、更に好ましくは3.0〜6.0とする。
また、アルカリ剤の供給口の位置は、特に限定されず、図2(1)に示すように、全ての供給口が、反応槽におけるアクリル酸系重合体水溶液の液面の上方に配置されていてよいし、図2(2)に示すように、全ての供給口が、アクリル酸系重合体水溶液の内部に配置されていてもよい。また、図示していないが、供給口の一部が反応槽におけるアクリル酸系重合体水溶液の液面の上方に配置されており、残部がアクリル酸系重合体水溶液の内部に配置されていてもよい。
図2(1)において、液面から全ての供給口までの高さを同一としたがこれに限定されない。また、図2(2)においても、液面から全ての供給口までの深さを同一としたがこれに限定されない。
上記中和工程においては、アルカリ剤の供給に加えて、形成されるアクリル酸系重合体塩の濃度調整、粘度調整等のために、水を供給してもよい。
上記アルカリ剤による中和温度は、特に限定されないが、通常、100℃以下であり、好ましくは、50℃〜95℃、より好ましくは60℃〜90℃である。
本発明において、重合工程と、中和工程とを、互いに連結された反応槽内で、別々に行い、連続的に製造する場合、中和用の反応槽における液の平均滞留時間は、中和用反応槽へのアクリル酸系重合体水溶液(中和前水溶液)の供給速度や、目的のアクリル酸系重合体塩水溶液のpH等によるが、通常、30〜240分間であり、好ましくは45〜120分間である。
上記中和工程により、上記アクリル酸系重合体に含まれるカルボキシル基の一部又は全部を−COOM(但し、Mは、Na、K、NH等である)としたアクリル酸系重合体塩を含む水溶液を得ることができる。このアクリル酸系重合体塩水溶液のpHは、その使用目的等に応じて、適宜、設定されるが、通常、6.0〜10.0である。
以下、本発明において、好ましい方法である、図3に示す製造装置1を用いて、上記の重合工程と中和工程とを、互いに連結された反応槽内で別々に行って、アクリル酸系重合体塩を含む水溶液を連続的に製造する方法について、説明する。
図3の製造装置1は、3基の反応器10,30及び50を備え、第1反応器10において、単量体の重合を行った後、反応液を第2反応器30に送液し、次いで、この第2反応器30において、更に重合を行って、重合転化率を向上させ、未反応単量体の残存量の少ないアクリル酸系重合体の水溶液を製造し、これを第3反応器50に送液して、中和を行って、アクリル酸系重合体塩の水溶液を得る装置の概略図である。
第1反応器10は、水を含む媒体において、アクリル酸を含む単量体を重合する第1反応槽11と、撹拌手段12と、原料供給手段13とを備える重合用反応器である。
原料供給手段13は、単量体、重合開始剤、連鎖移動剤、水等を、第1反応槽11に供給する手段である。
単量体は、通常、温度を一定に保ちながら重合されるので、第1反応器10は、原料又は反応液の温度を調整するための温度調整手段、還流冷却手段等を備えることができる(いずれも図示せず)。温度調整手段は、第1反応槽11の側壁及び底壁を被覆する構造を備えることが好ましい。
第1反応器10において、冷却効率を向上させるために、例えば、第1反応槽11の槽底と上側側壁とを連絡する配管であって、第1反応槽11との間で反応液を循環させる循環用配管を備えることができる(図示せず)。
第2反応器30は、第2反応槽31と、撹拌手段32とを備える重合用反応器であり、更に、第2反応槽31内の液温を調整するための温度調整手段、還流冷却手段、原料供給手段等を備えることができる(いずれも図示せず)。第1反応器10のみにおいて、単量体を重合する場合には、十分な重合転化率が得られないことがあるので、上記のように、未反応単量体の重合を第2反応器30においても行う。
第3反応器50は、第3反応槽51と、撹拌手段52と、アルカリ剤供給手段53と、アルカリ剤の供給口55とを備える中和用反応器であり、更に、第3反応槽51内の液温を調整するための温度調整手段、第3反応槽51内で生成するアクリル酸系重合体塩の濃度を調整したり、粘度を調整したりするための水供給手段等を備えることができる(図示せず)。
アルカリ剤による中和を行う第3反応槽51のサイズ及びアルカリ剤の供給口の構成は、上記のとおりである。図3において、アルカリ剤の供給口55は、液面の上方としたが、図2における(1)及び(2)のいずれでもよいし、一部が液面の上方に配置されており、残部が液中に配置されていてもよい。
尚、アクリル酸系重合体塩水溶液の製造を、より円滑に行うために、第1反応槽11に原料を供給する前に、予め、目的のアクリル酸系重合体塩に近い固形分濃度としたアクリル酸系重合体水溶液を、第1反応槽11及び第2反応槽31に収容しておくことが好ましい。そして、アクリル酸系重合体塩水溶液の製造中は、第1反応槽11及び第2反応槽31の中の液量を、一定に保持することが好ましい。
初めに、第1反応器10の第1反応槽11には、原料供給手段13から、単量体、重合開始剤、連鎖移動剤、水等が連続的又は間欠的に供給され、撹拌手段12を駆動させてこれらを撹拌しながら単量体を重合する。一般に、アクリル酸系重合体水溶液を製造する際には、各原料が別々に供給されるが、特定の成分どうしを組み合わせて供給するようにしてもよい。
第1反応槽11における単量体の重合温度は、単量体及び重合開始剤の種類により、適宜、設定されるが、好ましくは、60℃〜100℃、より好ましくは70℃〜90℃である。
第1反応槽11及び第2反応槽31における液量を一定として製造する場合、第1反応槽11に原料が供給されて単量体の重合が始まると同時に、第1反応槽11における液が、排出口15から排出用配管29を介して第2反応器30の第2反応槽31に送られ始める。このときの、原料供給手段13から供給された単量体が十分に重合するまでの第1反応槽11における液の平均滞留時間は、原料の供給速度、第1反応槽11内の液量等によるが、好ましくは45〜240分間、より好ましくは60〜180分間である。
第2反応槽31には、必要に応じて、重合開始剤、連鎖移動剤、水等を供給してもよい。第2反応槽31においても、予め、収容した別のアクリル酸系重合体水溶液の液量、第1反応槽11で得られたアクリル酸系重合体水溶液の第2反応槽31への供給速度等から、液の平均滞留時間を、適宜、設定して、未反応単量体の重合を確実に行う。
第1反応槽11及び第2反応槽31における液量を一定として製造する場合、第1反応槽11に原料が供給されて単量体の重合が始まると同時に、第2反応槽31における液が、排出口35から排出用配管39を介して第3反応器50の第3反応槽51に送られ始める。第3反応槽51では、アルカリ剤供給手段53からアルカリ剤を供給し、撹拌下、中和反応を進めて、所望のpHの水溶液とする。
第3反応槽51において、アルカリ剤による中和を開始してから計時される液の平均滞留時間は、第3反応槽51へのアクリル酸系重合体水溶液(中和前水溶液)の供給速度、目的のアクリル酸系重合体塩水溶液のpH等によるが、好ましくは30〜240分間、より好ましくは45〜120分間である。
本発明により製造されるアクリル酸系重合体のMwは、特に制限されるものではないが、好ましくは1000〜100000、より好ましくは2000〜50000、更に好ましくは3000〜20000である。
本発明によれば、着色が抑制された無色透明の重合体水溶液を製造することができる。具体的には、ハーゼン色数米国公衆衛生協会の規格に準ずるハーゼン色数(APHA値)を、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、更に好ましくは50以下とすることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。但し、本発明は、下記の実施例に何ら限定されるものではない。尚、下記において、%は、特に断らない限り、質量基準である。
1.アクリル酸系重合体塩水溶液の製造装置
下記の実験例において、図3に示す装置、即ち、第1反応器10、第2反応器30及び第3反応器50が、この順に連結された装置1を用いて、pH7のアクリル酸系重合体塩水溶液を製造した。
第1反応器10は、その内部で重合を行う有底の円筒状容器11と、撹拌機12と、単量体、重合開始剤、連鎖移動剤等を供給する原料供給用配管13と、コンデンサ(図示せず)と、第1反応槽11の外周を覆うように配設された温度調整手段であって、冷却水を利用して、第1反応槽11内の液温を調整するためのジャケット(図示せず)とを備え、更に、第1反応槽11の底壁には、アクリル酸系重合体を含む反応液を第2反応器30へ送液するための排出口15が形成されており、第2反応器30の第2反応槽31に接続される排出用配管29との間に、送液ポンプ27が配設されている。
第2反応器30は、有底の円筒状容器31と、撹拌機32と、コンデンサ(図示せず)と、ジャケット(図示せず)とを備え、更に、第2反応槽31の底壁には、アクリル酸系重合体を含む反応液を第3反応器50へ送液するための排出口35が形成されており、第3反応器50の第3反応槽51に接続される排出用配管39との間に、送液ポンプ37が配設されている。
また、第3反応器50は、有底の円筒状容器(容器内の直径1500mm、高さ1900mm、第3反応槽)51と、撹拌機52と、アルカリ剤を供給するアルカリ剤供給用配管53と、脱イオン水を供給する水供給用配管(図示せず)と、コンデンサ(図示せず)と、ジャケット(図示せず)とを備え、更に、第3反応槽51の底壁には、アクリル酸系重合体塩水溶液を排出、回収するための排出口57が形成されている。アルカリ剤供給用配管53の供給口55(開口径8mm)は、第3反応槽51の内部であり、且つ、反応液の液面より上側に配設され、反応液の液面に対して開口している。
2.アクリル酸系重合体塩水溶液の製造
以下において、原料として用いた「60%アクリル液水溶液」は、重合禁止剤として、p−メトキシフェノールを200ppm含有するアクリル酸原料を、脱イオン水に溶解して得られたものである。
実施例1
初めに、第1反応槽11及び第2反応槽31の両方に、Mwが8000のポリアクリル酸の水溶液(固形分濃度40%)を2900kg収容し、液温を80℃に保持した。
その後、原料供給用配管13を利用して、第1反応槽11へ、60%アクリル酸水溶液を20kg/分、15%過硫酸ナトリウム水溶液を1.5kg/分、30%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を3.0kg/分で、それぞれ、供給し、液温を80℃に保持しつつ、撹拌機12の回転数を80rpmとして、重合反応を開始した。これと同時に、送液ポンプ27の出力を調整して、第1反応槽11の排出口15から、80℃の反応液を24.5kg/分で抜き出し、排出用配管29に配されたバルブの弁を調整して、第2反応器30へ送液した。これにより、第1反応槽11における液量を2900kgに保持し、反応液の平均滞留時間を118分とした。
次に、第2反応器30では、上記のように、排出用配管29を介して、24.5kg/分で供給される反応液と、予め、収容されていたポリアクリル酸の水溶液とを、液温を80℃に、且つ、第2反応槽31における液量を2900kgに保持しつつ、撹拌機32の回転数を80rpmとして混合しながら、残存するアクリル酸の重合反応を行った。尚、第2反応槽31における液量を2900kgに保持するために、第1反応槽11から供給される反応液と同じ量の反応液を、第2反応槽31の排出口35から、送液ポンプ37及び排出用配管39を利用して第3反応器50に送液した。第2反応槽31における反応液の平均滞留時間は118分であった。
その後、第3反応器50に、第2反応器30からの反応液、水供給用配管からの脱イオン水、及び、アルカリ剤供給用配管53からの48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、「48%NaOH」ともいう)を、それぞれ、24.5kg/分、1.0kg/分、13.7kg/分の速度で供給し、中和反応を行った。48%NaOHの供給は、第3反応槽51の内部に配設された8箇所の供給口55A〜55Hから行った(図1参照)。これらの供給口55A〜55Hは、反応液の液面の表面積(1.8m)を8等分した各区分内に1体ずつであり、第3反応槽51の中心から、各供給口(開口部)の中心までの距離を360mmとした。液面の表面積1mあたりの供給口の数は4.4である。
中和反応は、混合液を撹拌しながら、且つ、液温を80℃に保持しつつ行い、混合液のpHを7.0とした。尚、この中和反応は、第3反応槽51における液量を2900kgに保持しつつ行い、この量を超えたところで、中和液(アクリル酸系重合体塩水溶液)を排出口57から排出した。第3反応槽51における反応液の平均滞留時間は74分であった。
これらの運転を20時間継続した後、第3反応槽51の排出口57からの中和液を回収し、アクリル酸系重合体塩の固形分濃度が43%の無色透明な水溶液(E1)を得た(表1参照)。
次いで、アクリル酸系重合体塩を、下記に示す条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に供したところ、Mwは8000であった。
<GPC測定条件>
装置:東ソー社製HLC8020システム
検出:RI
カラム:東ソー社製G4000PWxl、G3000PWxl及びG2500PWxlを連結
溶離液:0.1M−NaCl+リン酸バッファー(pH7)
標準:創和科学社製ポリアクリル酸ナトリウム
また、得られた重合体水溶液(E1)の着色性を、JIS K0071−1に準じて、標準液を用いて、ハーゼン色数を目視により決定したところ、10であった。
実施例2
第1反応槽11に供給する30%亜硫酸水素ナトリウム水溶液に代えて、30%次亜リン酸ナトリウム水溶液を用い、第3反応槽51における液温を85℃に保持した以外は、実施例1と同じ操作を行い、アクリル酸系重合体塩の固形分濃度が43%であり、pH7.0の無色透明な水溶液(E2)を製造した。アクリル酸系重合体塩のMwは7000、水溶液のハーゼン色数は10であった(表1参照)。
実施例3
48%NaOHの供給を、第3反応槽51の内部に配設された4箇所の供給口(図1における55A、55C、55E及び55G)から行い、第3反応槽51における液温を85℃に保持した以外は、実施例1と同じ操作を行い、アクリル酸系重合体塩の固形分濃度が43%であり、pH7.0の淡黄色透明な水溶液(E3)を製造した。尚、液面の表面積1mあたりの供給口の数は2.2である。
得られたアクリル酸系重合体塩のMwは7000、水溶液のハーゼン色数は40であった(表1参照)。
実施例4
48%NaOHの供給を、第3反応槽51の内部に配設された2箇所の供給口(図1における55A及び55E)から行い、第3反応槽51における液温を85℃に保持した以外は、実施例1と同じ操作を行い、アクリル酸系重合体塩の固形分濃度が43%であり、pH7.0の淡黄色透明な水溶液(E4)を製造した。尚、液面の表面積1mあたりの供給口の数は1.1である。
得られたアクリル酸系重合体塩のMwは7000、水溶液のハーゼン色数は90であった(表1参照)。
実施例5
初めに、第1反応槽11及び第2反応槽31の両方に、Mwが8000のポリアクリル酸の水溶液(固形分濃度40%)を2900kg収容し、液温を85℃に保持した。
その後、原料供給用配管13を利用して、第1反応槽11へ、60%アクリル酸水溶液を11kg/分、50%2−アクリルアミド−2−メチルプロパン酸ナトリウム9kg/分、15%過硫酸ナトリウム水溶液を1.5kg/分、30%次亜リン酸ナトリウム水溶液を3.0kg/分で、それぞれ、供給し、液温を85℃に保持しつつ、撹拌機12の回転数を80rpmとして、重合反応を開始した。これと同時に、送液ポンプ27の出力を調整して、第1反応槽11の排出口15から、85℃の反応液を24.5kg/分で抜き出し、排出用配管29に配されたバルブの弁を調整して、第2反応器30へ送液した。これにより、第1反応槽11における液量を2900kgに保持し、反応液の平均滞留時間を118分とした。
次に、第2反応器30では、上記のように、排出用配管29を介して、24.5kg/分で供給される反応液と、予め、収容されていたポリアクリル酸の水溶液とを、液温を85℃に、且つ、第2反応槽31における液量を2900kgに保持しつつ、撹拌機32の回転数を80rpmとして混合しながら、残存するアクリル酸の重合反応を行った。尚、第2反応槽31における液量を2900kgに保持するために、第1反応槽11から供給される反応液と同じ量の反応液を、第2反応槽31の排出口35から、送液ポンプ37及び排出用配管39を利用して第3反応器50に送液した。第2反応槽31における反応液の平均滞留時間は118分であった。
その後、第3反応器50に、第2反応器30からの反応液、水供給用配管からの脱イオン水、及び、アルカリ剤供給用配管53からの48%NaOHを、それぞれ、24.5kg/分、1.2kg/分、7.5kg/分の速度で供給し、液温を85℃に保持しつつ、実施例1と同様にして、即ち、48%NaOHを、8箇所の供給口から供給して、中和反応を行った。第3反応槽51における反応液の平均滞留時間は87分であった。
これらの運転を20時間継続した後、第3反応槽51の排出口57からの中和液を回収し、アクリル酸系重合体塩の固形分濃度が43%であり、pH7.0の無色透明な水溶液(E5)を製造した。
得られたアクリル酸系重合体塩のMwは8000、水溶液のハーゼン色数は20であった(表1参照)。
実施例6
初めに、第1反応槽11及び第2反応槽31の両方に、Mwが8000のポリアクリル酸の水溶液(固形分濃度40%)を1000kg収容し、液温を85℃に保持した。
その後、原料供給用配管13を利用して、第1反応槽11へ、60%アクリル酸水溶液を6.6kg/分、15%過硫酸ナトリウム水溶液を0.5kg/分、30%次亜リン酸ナトリウム水溶液を1.0kg/分で、それぞれ、供給し、液温を85℃に保持しつつ、撹拌機12の回転数を80rpmとして、重合反応を開始した。これと同時に、送液ポンプ27の出力を調整して、第1反応槽11の排出口15から、85℃の反応液を8.1kg/分で抜き出し、排出用配管29に配されたバルブの弁を調整して、第2反応器30へ送液した。これにより、第1反応槽11における液量を1000kgに保持し、反応液の平均滞留時間を123分とした。
次に、第2反応器30では、上記のように、排出用配管29を介して、8.1kg/分で供給される反応液と、予め、収容されていたポリアクリル酸の水溶液とを、液温を85℃に、且つ、第2反応槽31における液量を1000kgに保持しつつ、撹拌機32の回転数を80rpmとして混合しながら、残存するアクリル酸の重合反応を行った。尚、第2反応槽31における液量を1000kgに保持するために、第1反応槽11から供給される反応液と同じ量の反応液を、第2反応槽31の排出口35から、送液ポンプ37及び排出用配管39を利用して第3反応器50に送液した。第2反応槽31における反応液の平均滞留時間は123分であった。
その後、第3反応器50に、第2反応器30からの反応液、水供給用配管からの脱イオン水、及び、アルカリ剤供給用配管53からの48%NaOHを、それぞれ、8.1kg/分、0.3kg/分、4.6kg/分の速度で供給し、液温を85℃に保持しつつ、実施例4と同様にして、即ち、48%NaOHを、2箇所の供給口から供給して、中和反応を行った。第3反応槽51における反応液の平均滞留時間は77分であった。
これらの運転を20時間継続した後、第3反応槽51の排出口57からの中和液を回収し、アクリル酸系重合体塩の固形分濃度が43%であり、pH7.0の淡黄色透明な水溶液(E6)を製造した。
得られたアクリル酸系重合体塩のMwは7000、水溶液のハーゼン色数は50であった(表1参照)。
比較例1
48%NaOHの供給を、第3反応槽51の内部に1箇所のみ配設された供給口(図1における55A)から行い、第3反応槽51における液温を85℃に保持した以外は、実施例2と同じ操作を行い、アクリル酸系重合体塩の固形分濃度が43%であり、pH7.0の透明な水溶液(C1)を製造した。尚、液面の表面積1mあたりの供給口の数は0.6である。
得られたアクリル酸系重合体塩のMwは7000、水溶液のハーゼン色数は300であった(表1参照)。
Figure 0006500659
本発明により得られるアクリル酸系重合体塩水溶液は、製紙分野向けの無機粒子分散剤や洗剤ビルダー等に好適である。
1:製造装置
10:第1反応器
11:第1反応槽
12:撹拌機(撹拌手段)
13:原料供給用配管(原料供給手段)
15:排出口
27:送液ポンプ
29:排出用配管
30:第2反応器
31:第2反応槽
32:撹拌機
35:排出口
37:送液ポンプ
39:排出用配管
50:第3反応器
51:第3反応槽
52:撹拌機
53:アルカリ剤供給手段
55(55A〜55H):アルカリ剤供給口
57:排出口
A〜H:反応液の液面の表面積が均等割された区画

Claims (4)

  1. 水を含む媒体において、アクリル酸を含む単量体を重合し、アクリル酸系重合体の水溶液を得る重合工程と、
    アルカリ剤を用いて、前記アクリル酸系重合体水溶液を中和する中和工程と、
    を順次、備えるアクリル酸系重合体塩水溶液の製造方法において、
    前記アルカリ剤は、反応槽における前記アクリル酸系重合体水溶液の液面の上方及び/又は該アクリル酸系重合体水溶液の内部であって、前記アクリル酸系重合体水溶液の前記液面の表面積が均等割された各区分に配された供給口から供給され、
    前記供給口の合計数は2以上であることを特徴とするアクリル酸系重合体塩水溶液の製造方法。
  2. 前記アクリル酸系重合体水溶液の前記液面の表面積1mあたりの前記供給口の数が1.0以上である請求項1に記載のアクリル酸系重合体塩水溶液の製造方法。
  3. 前記重合工程及び前記中和工程を、互いに連結された反応槽内で、別々に行い、前記アクリル酸系重合体塩水溶液を連続的に製造する請求項1又は2に記載のアクリル酸系重合体塩水溶液の製造方法。
  4. 前記中和工程における反応液の平均滞留時間が30〜240分間である請求項3に記載のアクリル酸系重合体塩水溶液の製造方法。
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