JP6512007B2 - アクリル酸系重合体水溶液の製造方法 - Google Patents

アクリル酸系重合体水溶液の製造方法 Download PDF

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本発明は、アクリル酸系重合体を含む水溶液の製造方法に関し、より詳しくは、無機顔料の分散剤等として好適なアクリル酸系重合体含有水溶液の製造方法に関する。
アクリル酸又はその塩に由来する構造単位を有し、重量平均分子量(Mw)が2000〜20000程度のアクリル酸系重合体の水溶液は、無機顔料の分散剤、配管、ボイラー、熱交換器等におけるスケール抑制剤、洗剤ビルダー等に用いられている。このような低分子量のアクリル酸系重合体を生成させる場合には、通常、次亜リン酸及びその塩、亜リン酸及びその塩、亜硫酸及びその塩、チオール基を有する化合物、イソプロピルアルコール等の連鎖移動剤が用いられる。これらのうち、分子量調整が容易で安全性に優れる点から、次亜リン酸及びその塩を含む次亜リン酸化合物が、広く用いられている(特許文献1〜4等参照)。
特許文献1には、スケール防止剤、腐蝕抑制剤、無機顔料分散剤等として好適な(メタ)アクリル酸系水溶性重合体を得るために、(メタ)アクリル酸系水溶性単量体を水溶液重合して(メタ)アクリル酸系重合体を製造するに際し、重合後の反応液中の重合体の単量体換算濃度が38〜72重量%となるのに必要な(メタ)アクリル酸系水溶性単量体、重合開始剤及び次亜リン酸(塩)を水性媒体中に逐次導入して重合することを特徴とする(メタ)アクリル酸系水溶性重合体の製造方法が開示されている。
特許文献2には、分散剤、洗剤組成物、水処理剤、スケール防止剤等として好適な(メタ)アクリル酸系重合体を、(メタ)アクリル酸系単量体を含む単量体成分を含有する循環液を、タンクから出て該タンクの外部を循環し該タンクに戻る循環ラインに循環させながら該単量体成分を重合する方法において、該循環ラインが、次亜リン酸ナトリウム等のリン含有化合物を供給する供給口、少なくとも1つの冷却器、および、該循環液の一部を該循環ライン外に排出する排出ラインを備え、該(メタ)アクリル酸系単量体1モルに対して該リン含有化合物を3〜7g供給することを特徴とする(メタ)アクリル酸系重合体の製造方法が開示されている。
特許文献3には、無機粒子の分散剤として好適なポリ(メタ)アクリル酸(塩)の水溶液を製造する方法として、(メタ)アクリル酸(塩)を含む単量体を水性溶媒中で、次亜リン酸(塩)を含むリン系化合物の存在下で重合する工程を備え、リン系化合物は、亜リン酸(塩)の含有量がリン系化合物100質量%に対して0〜0.3質量%であり、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)の重量平均分子量は、1000〜10000であり、無機陰イオンの含有量が0〜10000ppmであることを特徴とするポリ(メタ)アクリル酸(塩)水溶液の製造方法が開示されている。
また、特許文献4には、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体と、次亜リン酸(塩)とを含む重合体組成物であって、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、分子内に0.6〜10質量%の次亜リン酸(塩)基を有し、重量平均分子量が500〜1000000であり、次亜リン酸(塩)の含有量は、組成物に含まれるポリ(メタ)アクリル酸系重合体の総量に対して、10〜50000ppmであることを特徴とするポリ(メタ)アクリル酸系重合体組成物が開示されており、繊維用架橋剤として好適であることが記載されている。また、このポリ(メタ)アクリル酸系重合体の好ましい製造方法は、水系溶媒中、重合開始剤及び連鎖移動剤の存在下、(メタ)アクリル酸(塩)を含む単量体成分を重合する工程を備えるものと記載されている。
特開平6−263803号公報 特開2010−77340号公報 WO2012/86716 WO2013/31890
次亜リン酸化合物を連鎖移動剤として用いる場合の多くは、次亜リン酸化合物を水に溶解させてなる水溶液が用いられる。しかしながら、次亜リン酸化合物の水溶液では、次亜リン酸イオンは、徐々に酸化されて亜リン酸イオンに変化することが知られており、亜リン酸イオンを含む次亜リン酸イオン含有水溶液を用いてアクリル酸を含む単量体の重合を行うと、そのまま、亜リン酸イオンを含むアクリル酸系重合体の水溶液が得られ、これを無機顔料の分散剤として用いると、得られるスラリーの保存安定性が十分でないことが分かった。
単量体の重合直前に、次亜リン酸化合物の水溶液を調製することにより、このような不具合を回避することは可能であるが、予め調整した水溶液を保管して使用することができないため、生産工程上の制約が大きい。また、連続重合等により大量生産を行う場合に、次亜リン酸化合物水溶液の調製を繰り返すことは、作業性の観点から効率的ではなかった。そこで、大量生産用に準備した次亜リン酸化合物の水溶液の変質を引き起こさない次亜リン酸化合物含有水溶液が求められていた。
本発明の課題は、亜リン酸イオンの含有割合が低く、分散性等の性能が良好なアクリル酸系重合体の水溶液を製造する方法を提供することである。
本発明者は、連続重合等により大量の次亜リン酸化合物含有水溶液を用いる場合に、予め、調製された水溶液中における次亜リン酸イオンの酸化を抑制する方法について、検討した。その結果、微量のカルシウムイオンを併含させると、次亜リン酸イオンの酸化が抑制されることを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下に示される。
[1]アクリル酸及び/又はその塩を含む単量体と、重合開始剤と、次亜リン酸化合物を含む水溶液とを用いて、上記単量体を重合し、アクリル酸系重合体の水溶液を製造する方法において、
上記次亜リン酸化合物含有水溶液は、水と水溶性カルシウム化合物と次亜リン酸化合物とを、カルシウムの濃度が1〜500質量ppm、及び、上記次亜リン酸化合物の濃度が10〜45質量%となるように用いて、これらを混合した後に得られた、遊離亜リン酸イオンの濃度が300質量ppm以下の水溶液であることを特徴とするアクリル酸系重合体水溶液の製造方法。
[2]上記アクリル酸系重合体水溶液が無機顔料の分散剤として用いられる上記[1]に記載のアクリル酸系重合体水溶液の製造方法。
本明細書において、重合体の重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう)は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう)により測定された標準ポリアクリル酸ナトリウム換算値である。また、「(メタ)アクリル」の記載は、アクリル及びメタクリルを意味する。
本発明によれば、特定の方法により調製された次亜リン酸化合物含有水溶液を用いるので、亜リン酸イオンの含有割合の低いアクリル酸系重合体の水溶液を効率よく製造することができる。また、連続重合等により、大量の次亜リン酸化合物含有水溶液を用いる場合にも、次亜リン酸イオンの酸化が抑制されるので、製造後、1週間程度貯蔵したものを用いても、不具合のない製造を行うことができる。従って、得られたアクリル酸系重合体水溶液を無機顔料の分散剤として用いて、経時安定性に優れたスラリーを製造することができる。
実施例及び比較例で用いた製造装置の構成を示す概略図である。
本発明は、アクリル酸及び/又はその塩を含む単量体と、重合開始剤と、特定の方法により調製した次亜リン酸化合物含有水溶液とを用いて、上記単量体を重合する工程(以下、「重合工程」という)を備える、アクリル酸系重合体水溶液の製造方法である。本発明においては、必要により、上記単量体の種類により、重合工程により得られた重合体をアルカリ剤により中和する工程(以下、「中和工程」という)を更に備えることができる。
上記次亜リン酸化合物含有水溶液は、水と水溶性カルシウム化合物と次亜リン酸化合物とを、カルシウムの濃度が1〜500質量ppm、及び、次亜リン酸化合物の濃度が10〜45質量%となるように用いて、これらを混合した後に得られた、遊離亜リン酸イオンの濃度が300質量ppm以下の水溶液である。
重合工程で用いる単量体は、アクリル酸のみであってよいし、アクリル酸塩のみであってよいし、アクリル酸及びアクリル酸塩の組み合わせであってもよいし、更に、これらに、他の重合性不飽和化合物(以下、「他の単量体」という)を組み合わせたものであってもよい。尚、アクリル酸塩としては、ナトリウム、カリウム等によるアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等によるアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩等とすることができる。
また、他の重合性不飽和化合物としては、炭素原子数4以上の不飽和モノカルボン酸又はその塩、不飽和ジカルボン酸又はその無水物若しくはその塩、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、アミド基含有重合性不飽和化合物、スルホン酸基含有重合性不飽和化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他の重合性不飽和化合物を用いる場合、その使用量の上限は、上記単量体の全量に対して、好ましくは50質量%、より好ましくは30質量%、更に好ましくは20質量%である。
上記重合工程では、通常、重合開始剤が用いられる。この重合開始剤は、特に限定されないが、好ましくは水溶性化合物であり、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]n水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物等を用いることができる。上記重合開始剤の使用量は、上記単量体を100質量部とした場合に、好ましくは0.1〜4質量部、より好ましくは0.3〜3質量部、更に好ましくは0.5〜2質量部である。
また、上記重合工程では、連鎖移動剤として、特定の方法により調製された次亜リン酸化合物含有水溶液が用いられる。この次亜リン酸化合物含有水溶液は、上記のように、水と水溶性カルシウム化合物と次亜リン酸化合物とを混合して得られたものであり、この混合液を、そのまま、用いてよいし、混合により副生した成分を除去したものを用いてもよい。
上記水溶性カルシウム化合物としては、20℃〜25℃における水100gに対する溶解度が、好ましくは1g以上、より好ましくは10g以上の化合物であり、酢酸カルシウム、蟻酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、硝酸カルシウム等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記次亜リン酸化合物含有水溶液を調製する場合には、カルシウムの濃度が1〜500質量ppm、好ましくは5〜300質量ppm、より好ましくは20〜100質量ppmとなるように、上記水溶性カルシウム化合物を用いる。上記水溶性カルシウム化合物の使用量が少なすぎると、本発明の効果は得られない。
また、上記次亜リン酸化合物としては、次亜リン酸;次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等の次亜リン酸アルカリ金属塩;次亜リン酸アンモニウム等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記次亜リン酸化合物含有水溶液を調製する場合には、上記次亜リン酸化合物の濃度が10〜45質量%、好ましくは15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%となるように用いられる。上記範囲の濃度であると、連鎖移動剤の作用が十分に発揮される。
上記次亜リン酸化合物含有水溶液の調製方法は、特に限定されず、以下に例示される。
(1)水溶性カルシウム化合物及び次亜リン酸化合物を混合した後、得られた混合物を水に溶解する工程を含む方法
(2)水溶性カルシウム化合物の水溶液に、次亜リン酸化合物を添加して、これを溶解する工程を含む方法
(3)次亜リン酸化合物の水溶液に、水溶性カルシウム化合物を添加して、これを溶解する工程を含む方法
(4)水溶性カルシウム化合物の水溶液と、次亜リン酸化合物の水溶液とを混合する工程を含む方法
これらのうち、方法(1)及び(2)が好ましく、特に、方法(2)が好ましい。
次亜リン酸化合物を水に溶解させると、低速ではあるが、徐々に、次亜リン酸イオンが亜リン酸イオンに酸化されるので、これを抑制するために、次亜リン酸化合物の溶解と同時又はそれ以前に、水溶性カルシウム化合物を溶解する方法(1)及び(2)が好ましく、方法(2)が特に好ましい。亜リン酸イオン及びカルシウムイオンが併存すると、亜リン酸カルシウム沈殿が形成されるので、次亜リン酸イオンの酸化により亜リン酸イオンが形成されても、水溶液の中に遊離する亜リン酸イオンの含有割合を低減することができる。亜リン酸イオンの生成速度が低くても、亜リン酸カルシウム沈殿が効率よく形成されるため、重合工程に用いる直前に、亜リン酸カルシウム沈殿を濾別する工程を備えることにより、遊離亜リン酸イオンの含有割合の低い次亜リン酸化合物含有水溶液を得ることができる。従って、水と水溶性カルシウム化合物と次亜リン酸化合物とを混合した直後だけでなく、長期間に渡る貯蔵後においても、本発明に係る次亜リン酸化合物含有水溶液は、有用である。
上記次亜リン酸化合物含有水溶液において、遊離亜リン酸イオンの濃度は、300質量ppm以下であり、好ましくは1〜250質量ppm、より好ましくは5〜200質量ppmである。
連鎖移動剤として用いる上記次亜リン酸化合物の使用量は、上記単量体を100質量部とした場合に、好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部、更に好ましくは2〜10質量部である。
上記重合工程は、水を含む媒体において進められる。この媒体は、水のみからなるものであってよいし、水と、有機溶剤とからなる混合物であってもよい。好ましい有機溶剤としては、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類が挙げられ、特に好ましくはイソプロピルアルコールである。
媒体にイソプロピルアルコールを含む場合、イソプロピルアルコールは、連鎖移動剤としても作用する。従って、イソプロピルアルコール水溶液を用いる場合、反応溶媒及び連鎖移動剤として用いることができる。
イソプロピルアルコール水溶液のイソプロピルアルコール濃度は、好ましくは30質量%〜60質量%であり、より好ましくは35〜50質量%である。
イソプロピルアルコールの濃度が30質量%以上であれば、イソプロピルアルコールが有する連鎖移動剤としての連鎖移動効果が有効に作用する。また、60質量%以下であれば重合中の反応液が均一に保たれるため、分子量分布の狭い重合体を得やすい。
また、重合時におけるイソプロピルアルコールの使用量は、単量体100質量部に対して、好ましくは30〜95質量部であり、より好ましくは40〜85質量部である。イソプロピルアルコールの使用量が30質量部以上であると、イソプロピルアルコールの連鎖移動効果が有効に作用する。また、95質量部以下であると、後述する溶剤留去に要する時間を短くすることができるため、着色の少ない重合体溶液が得られる。
重合時にイソプロピルアルコール水溶液を用いた場合は、重合終了後に反応系を減圧及び/又は反応系を加熱することにより、イソプロピルアルコールを系外へ留出させ、反応液からイソプロピルアルコールを留去することが好ましい。
留去されるイソプロピルアルコールは、通常、水との共沸混合物である。従って、イソプロピルアルコールは、水溶液として反応液から留去され、イソプロピルアルコール及び水を低減させた濃縮組成物となる。
イソプロピルアルコールの留去の方法は、特に限定されない。例えば、反応系を減圧に供し、その内温をイソプロピルアルコールの共沸温度以上に保つことで水とイソプロピルアルコールとを系外へ留出させることができる。また、減圧にした薄膜蒸発機へ反応液を通液することにより、水とイソプロピルアルコールとを系外へ留出させてもよい。
イソプロピルアルコールを留去した場合、得られる濃縮組成物に含まれるイソプロピルアルコールの含有量は、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは質量5000ppm以下であり、更に好ましくは2000質量ppm以下、特に好ましくは1000質量ppm以下である。
上記重合工程における単量体の使用量は、特に限定されないが、通常、目的のアクリル酸系重合体水溶液に含まれるアクリル酸系重合体の濃度が30〜50質量%程度となるように、使用される。
重合温度は、重合開始剤の種類等により、適宜、設定されるが、通常、70〜90℃である。尚、上記重合工程では、横断面形状が円形又は楕円形の有底筒状容器等の、従来、公知の反応槽と、撹拌手段と、還流冷却手段と、反応槽内の液の温度を調整する温度調整手段とを備える反応器を含む装置を用いることができる。
上記重合工程により得られたアクリル酸系重合体であって、カルボキシル基を有する重合体は、更に、中和工程に供することができる。この中和工程では、通常、アクリル酸系重合体水溶液にアルカリ剤が供給される。
上記アルカリ剤としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物又は炭酸塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン等を、そのまま、あるいは、水に溶解させた水溶液を用いることができる。上記アルカリ剤としては、アルカリ性化合物の濃度を、好ましくは20〜70質量%、より好ましくは30〜60質量%、更に好ましくは40〜55質量%とした水溶液を用いることが好ましい。尚、上記中和工程で用いる反応槽は、撹拌手段を備えるものであれば、重合工程で用いたものそのままであってよいし、配管を介して、別途、連結された反応槽であってもよい。これらいずれの場合も大量製造に好適であるが、連続的に製造する場合には、後者の態様が特に好ましい。
上記中和工程においては、アルカリ剤の供給に加えて、形成されるアクリル酸系重合体塩の濃度調整、粘度調整等のために、水を供給してもよい。
上記アルカリ剤による中和温度は、特に限定されないが、通常、95℃以下であり、好ましくは、50〜90℃、より好ましくは55〜85℃である。
上記中和工程により、上記アクリル酸系重合体に含まれるカルボキシル基の一部又は全部を−COOM(但し、Mは、Na、K、NH等である)としたアクリル酸系重合体塩を含む水溶液を得ることができる。このアクリル酸系重合体塩水溶液のpHは、その使用目的等に応じて、適宜、設定されるが、通常、4〜9である。
本発明により製造されたアクリル酸系重合体水溶液に含まれるアクリル酸系重合体(塩)のMwは、好ましくは2000〜20000、より好ましくは4000〜10000である。
以下、アクリル酸を含む単量体を重合し、カルボキシル基を有するアクリル酸系重合体を得る重合工程と、アルカリ剤により中和する中和工程とを、順次、備えるアクリル酸系重合体塩を含む水溶液の製造方法について、図1を用いて、説明する。図1に示す製造装置1は、上記の重合工程と中和工程とを、互いに連結された反応槽内で別々に行って、アクリル酸系重合体水溶液を連続的に製造する装置である。
図1の製造装置1は、3基の反応器10,30及び50を備え、第1反応器10において、単量体の重合を行った後、反応液を第2反応器30に送液し、次いで、この第2反応器30において、更に重合を行って、重合転化率を向上させ、未反応単量体の残存量の少ないアクリル酸系重合体の水溶液を製造した後、これを第3反応器50に送液して、中和を行って、アクリル酸系重合体塩の水溶液を得る装置の概略図である。
第1反応器10は、水を含む媒体において、アクリル酸を含む単量体を重合する第1反応槽11と、撹拌手段12と、単量体、重合開始剤、水等を、第1反応槽11に供給する原料供給手段13と、連鎖移動剤原料貯蔵部14から次亜リン酸化合物含有水溶液を供給する手段とを備える重合用反応器である。
単量体は、通常、温度を一定に保ちながら重合されるので、第1反応器10は、反応液の温度を調整するための温度調整手段、還流冷却手段等を備えることができる(いずれも図示せず)。温度調整手段は、第1反応槽11の側壁及び底壁を被覆する構造を備えることが好ましい。
連鎖移動剤原料貯蔵部14では、水と、水溶性カルシウム化合物と、次亜リン酸化合物とを含む混合液、又は、上記方法(1)〜(4)のいずれかにより調製された次亜リン酸化合物含有水溶液が収容される。前者の場合、次亜リン酸化合物含有水溶液を第1反応槽11に供給する際には、連鎖移動剤原料貯蔵部14の出口又は第1反応槽11への配管にフィルター部(図示せず)を備えることが好ましい。後者の場合、このフィルター部は、必須ではないが、配設されていてもよい。
第1反応器10において、冷却効率を向上させるために、例えば、第1反応槽11の槽底と上側側壁とを連絡する配管であって、第1反応槽11との間で反応液を循環させる循環用配管を備えることができる(図示せず)。
第2反応器30は、第2反応槽31と、撹拌手段32とを備える重合用反応器であり、更に、第2反応槽31内の液温を調整するための温度調整手段、還流冷却手段等を備えることができる(いずれも図示せず)。第1反応器10のみにおいて、単量体を重合する場合には、十分な重合転化率が得られないことがあるので、上記のように、未反応単量体の重合を第2反応器30においても行う。
第3反応器50は、第3反応槽51と、撹拌手段52と、pH調整剤供給用配管53とを備える中和用反応器であり、更に、第3反応槽51内の液温を調整するための温度調整手段、第3反応槽51内で生成するアクリル酸系重合体塩の濃度を調整したり、粘度を調整したりするための水供給手段等を備えることができる(図示せず)。
尚、アクリル酸系重合体塩水溶液の製造を、より円滑に行うために、第1反応槽11に各原料を供給する前に、予め、目的のアクリル酸系重合体に近い固形分濃度としたアクリル酸系重合体水溶液を、第1反応槽11及び第2反応槽31に収容しておくことが好ましい。そして、アクリル酸系重合体水溶液の製造中は、第1反応槽11及び第2反応槽31の中の液量を、一定に保持することが好ましい。
初めに、第1反応器10の第1反応槽11には、単量体、重合開始剤、連鎖移動剤(次亜リン酸化合物含有水溶液)、水等が連続的又は間欠的に供給され、撹拌手段12を駆動させてこれらを撹拌しながら単量体を重合する。一般に、アクリル酸系重合体水溶液を製造する際には、各原料が別々に供給されるが、特定の成分どうしを組み合わせて供給するようにしてもよい。
第1反応槽11における単量体の重合温度は、単量体及び重合開始剤の種類により、適宜、設定されるが、好ましくは、60〜100℃、より好ましくは70〜90℃である。
第1反応槽11及び第2反応槽31における液量を一定として製造する場合、第1反応槽11に各原料が供給されて単量体の重合が始まると同時に、第1反応槽11における液が、排出口15から排出用配管29を介して第2反応器30の第2反応槽31に送られ始める。このときの、原料供給手段13から供給された単量体が十分に重合するまでの第1反応槽11における液の平均滞留時間は、各原料の供給速度、第1反応槽11内の液量等によるが、好ましくは45〜240分間、より好ましくは60〜180分間である。
第2反応槽31には、必要に応じて、重合開始剤、連鎖移動剤、水等を供給してもよい。第2反応槽31においても、予め、収容した別のアクリル酸系重合体水溶液の液量、第1反応槽11で得られたアクリル酸系重合体水溶液の第2反応槽31への供給速度等から、液の平均滞留時間を、適宜、設定して、未反応単量体の重合を確実に行う。
第1反応槽11及び第2反応槽31における液量を一定として製造する場合、第1反応槽11に各原料が供給されて単量体の重合が始まると同時に、第2反応槽31における液が、排出口35から排出用配管39を介して第3反応器50の第3反応槽51に送られ始める。第3反応槽51では、pH調整剤供給用配管53からアルカリ剤を供給し、撹拌下、中和反応を進めて、所望のpHの水溶液とする。
第3反応槽51において、アルカリ剤による中和を開始してから計時される液の平均滞留時間は、第3反応槽51へのアクリル酸系重合体水溶液(中和前水溶液)の供給速度、目的のアクリル酸系重合体塩水溶液のpH等によるが、好ましくは30〜240分間、より好ましくは40〜120分間である。
本発明によれば、亜リン酸イオン濃度が、好ましくは600質量ppm以下、より好ましくは500質量ppm以下、更に好ましくは300質量ppm以下のアクリル酸系重合体水溶液を製造することができる。
本発明により製造されたアクリル酸系重合体水溶液は、無機顔料の分散剤等として、好適である。
無機顔料の分散剤に用いる場合、通常、上記水溶液がそのまま用いられるが、必要に応じて、消泡剤、防腐剤等の他の成分と組み合わせて用いてもよい。無機顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレイ、シリカ、水酸化アルミニウム、ゼオライト、二酸化チタン等からなる粒子を用いることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。但し、本発明は、この実施例に何ら限定されるものではない。尚、下記において、%及びppmは、特に断らない限り、質量基準である。
1.アクリル酸系重合体水溶液の製造装置
下記の実験例において、図1に示す装置、即ち、第1反応器10、第2反応器30及び第3反応器50が、この順に連結された装置1を用いて、pH7のアクリル酸系重合体水溶液を製造した。
第1反応器10は、その内部で重合を行う有底の円筒状容器(第1反応槽)11と、撹拌機12と、単量体、重合開始剤等を供給する原料供給用配管13と、水、水溶性カルシウム化合物及び次亜リン酸化合物の混合液が収容された連鎖移動剤原料貯蔵部14と、この連鎖移動剤原料貯蔵部14の出口で混合液を濾過して得られた次亜リン酸化合物含有水溶液を円筒状容器11に供給する配管と、コンデンサ(図示せず)と、円筒状容器11の外周を覆うように配設された温度調整手段であって、冷却水を利用して、円筒状容器11内の液温を調整するためのジャケット(図示せず)とを備え、更に、円筒状容器11の底壁には、アクリル酸系重合体を含む反応液を第2反応器30へ送液するための排出口15が形成されており、第2反応器30の第2反応槽31に接続される排出用配管29との間に、送液ポンプ27が配設されている。
第2反応器30は、有底の円筒状容器(第2反応槽)31と、撹拌機32と、コンデンサ(図示せず)と、ジャケット(図示せず)とを備え、更に、円筒状容器31の底壁には、アクリル酸系重合体を含む反応液を第3反応器50へ送液するための排出口35が形成されており、第3反応器50の第3反応槽51に接続される排出用配管39との間に、送液ポンプ37が配設されている。
また、第3反応器50は、有底の円筒状容器(第3反応槽)51と、撹拌機52と、この容器51内に、pH調整剤(アルカリ剤)を供給するpH調整剤供給用配管53と、コンデンサ(図示せず)と、ジャケット(図示せず)とを備え、更に、円筒状容器51の底壁には、アクリル酸系重合体水溶液を排出、回収するための排出口55が形成されている。
2.アクリル酸系重合体水溶液の製造
酢酸カルシウム一水和物と、次亜リン酸ナトリウムと、脱イオン水とを用いて、混合液を調製した後、更に、所定時間の貯蔵及び濾過を行って得られた次亜リン酸ナトリウム水溶液(次亜リン酸化合物含有水溶液)を連鎖移動剤として用い、アクリル酸を含む単量体の連続重合を行って、アクリル酸系重合体水溶液の製造を行った(表1参照)。
実施例1
(1)次亜リン酸化合物含有水溶液の調製
円筒状容器11に供給される次亜リン酸化合物含有水溶液は、上記のように、連鎖移動剤原料貯蔵部14の出口で濾過して得られた次亜リン酸化合物含有水溶液である。
酢酸カルシウム一水和物1.11gを脱イオン水2520gに溶解し、カルシウム濃度が100ppmの水溶液を得た後、この水溶液に、次亜リン酸ナトリウム1080gを入れてこれを溶解し、30%次亜リン酸ナトリウム水溶液を得た。そして、この水溶液を、連鎖移動剤原料貯蔵部14を密封状態として、35℃で貯蔵した。
3日間の貯蔵後の水溶液を、下記に示す条件でイオンクロマトグラフィーに供して亜リン酸全濃度を測定したところ、350ppmであった。
次に、この水溶液を、目開き38μmのフィルターを用いて濾過した。そして、得られた濾液中の亜リン酸イオン濃度を測定したところ、10ppmであった。この濾液(30%次亜リン酸化合物含有水溶液)を、連続製造用の連鎖移動剤として用いた。
<イオンクロマトグラフィー測定条件>
装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製ICS3000システム
カラム:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製IonPacAG19
溶離液:10mM−KOH
(2)アクリル酸系重合体水溶液(E1)の製造
初めに、第1反応槽11、第2反応槽31及び第3反応槽51のすべてに、水を2160g収容し、液温を75℃に保持した。
その後、原料供給用配管13を利用して、60%アクリル酸水溶液を20.0g/分、15%過硫酸ナトリウム水溶液を1.0g/分で、また、連鎖移動剤原料貯蔵部14から、連鎖移動剤(30%次亜リン酸化合物含有水溶液)を3.0g/分で、それぞれ、第1反応槽11に供給し、液温を75℃に保持しつつ、撹拌機12の回転数を280rpmとして、重合反応を開始した。これと同時に、送液ポンプ27の出力を調整して、第1反応槽11の排出口15から、75℃の反応液を24.0g/分で抜き出し、排出用配管29に配されたバルブの弁を調整して、第2反応器30へ送液した。これにより、第1反応槽11における液量を2160gに保持し、反応液の平均滞留時間を90分とした。
次に、第2反応器30では、上記のように、排出用配管29を介して、24.0g/分で供給される反応液と、予め、収容されていた水とを、液温を75℃に、且つ、第2反応槽31における液量を2160gに保持しつつ、撹拌機32の回転数を280rpmとして混合しながら、残存するアクリル酸の重合反応を行った。尚、第2反応槽31における液量を2160gに保持するために、第1反応槽11から供給される反応液と同じ量の反応液を、第2反応槽31の排出口35から、送液ポンプ37及び排出用配管39を利用して第3反応器50に送液した。第2反応槽31における反応液の平均滞留時間は90分であった。
その後、第3反応器50に、第2反応器30からの反応液、水供給用配管からの脱イオン水、及び、アルカリ剤供給用配管53からの48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、「48%NaOH」ともいう)を供給し、中和反応を行った。中和反応は、混合液を撹拌しながら、且つ、液温を75℃に保持しつつ行い、混合液のpHを7.0とした。尚、この中和反応は、第3反応槽51における液量を2160gに保持しつつ行い、この量を超えたところで、中和液(アクリル酸系重合体水溶液)を排出口55から排出した。
これらの運転を20時間継続した後、第3反応槽51の排出口55からの中和液を回収し、アクリル酸系重合体の固形分濃度が43%の水溶液(E1)を得た。このアクリル酸系重合体水溶液(E1)に含まれる亜リン酸イオンの濃度を、31P−NMRにより分析したところ、250ppmであった。
次いで、アクリル酸系重合体を、下記に示す条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に供したところ、Mwは7000であった。
<GPC測定条件>
装置:東ソー社製HLC8020システム
検出:RI
カラム:東ソー社製G4000PWxl、G3000PWxl及びG2500PWxlを連結
溶離液:0.1M−NaCl+リン酸バッファー(pH7)
標準:創和科学社製ポリアクリル酸ナトリウム
実施例2
(1)次亜リン酸化合物含有水溶液の調製
酢酸カルシウム一水和物1.11gを脱イオン水2520gに溶解し、カルシウム濃度が100ppmの水溶液を得た後、この水溶液に、次亜リン酸ナトリウム1080gを入れてこれを溶解し、30%次亜リン酸ナトリウム水溶液を得た。そして、この水溶液を、連鎖移動剤原料貯蔵部14を密封状態として、35℃で貯蔵した。
7日間の貯蔵後の水溶液に含まれる亜リン酸全濃度は、600ppmであった。
次に、この水溶液を、目開き38μmのフィルターを用いて濾過した。そして、得られた濾液中の亜リン酸イオン濃度を測定したところ、190ppmであった。この濾液(30%次亜リン酸化合物含有水溶液)を、連続製造用の連鎖移動剤として用いた。
(2)アクリル酸系重合体水溶液(E2)の製造
上記(1)で得られた連鎖移動剤を用いて、実施例1と同じ操作を行い、アクリル酸系重合体の固形分濃度が43%の水溶液(E2)を得た。このアクリル酸系重合体水溶液(E2)に含まれる亜リン酸イオンの濃度は450ppmであった。また、アクリル酸系重合体のMwは7000であった。
実施例3
(1)次亜リン酸化合物含有水溶液の調製
酢酸カルシウム一水和物0.17gを脱イオン水2520gに溶解し、カルシウム濃度が15ppmの水溶液を得た後、この水溶液に、次亜リン酸ナトリウム1080gを入れてこれを溶解し、30%次亜リン酸ナトリウム水溶液を得た。そして、この水溶液を、連鎖移動剤原料貯蔵部14を密封状態として、35℃で貯蔵した。
3日間の貯蔵後の水溶液に含まれる亜リン酸全濃度は、350ppmであった。
次に、この水溶液を、目開き38μmのフィルターを用いて濾過した。そして、得られた濾液中の亜リン酸イオン濃度を測定したところ、280ppmであった。この濾液(30%次亜リン酸化合物含有水溶液)を、連続製造用の連鎖移動剤として用いた。
(2)アクリル酸系重合体水溶液(E3)の製造
上記(1)で得られた連鎖移動剤を用いて、実施例1と同じ操作を行い、アクリル酸系重合体の固形分濃度が43%の水溶液(E3)を得た。このアクリル酸系重合体水溶液(E3)に含まれる亜リン酸イオンの濃度は550ppmであった。また、アクリル酸系重合体のMwは7000であった。
実施例4
(1)次亜リン酸化合物含有水溶液の調製
酢酸カルシウム一水和物2.22gを脱イオン水2520gに溶解し、カルシウム濃度が200ppmの水溶液を得た後、この水溶液に、次亜リン酸ナトリウム1080gを入れてこれを溶解し、30%次亜リン酸ナトリウム水溶液を得た。そして、この水溶液を、連鎖移動剤原料貯蔵部14を密封状態として、35℃で貯蔵した。
3日間の貯蔵後の水溶液に含まれる亜リン酸全濃度は、350ppmであった。
次に、この水溶液を、目開き38μmのフィルターを用いて濾過した。そして、得られた濾液中の亜リン酸イオン濃度を測定したところ、10ppmであった。この濾液(30%次亜リン酸化合物含有水溶液)を、連続製造用の連鎖移動剤として用いた。
(2)アクリル酸系重合体水溶液(E4)の製造
上記(1)で得られた連鎖移動剤を用いて、実施例1と同じ操作を行い、アクリル酸系重合体の固形分濃度が43%の水溶液(E4)を得た。このアクリル酸系重合体水溶液(E4)に含まれる亜リン酸イオンの濃度は250ppmであった。また、アクリル酸系重合体のMwは8000であった。
実施例5
(1)次亜リン酸化合物含有水溶液の調製
酢酸カルシウム一水和物6.35gを脱イオン水2520gに溶解し、カルシウム濃度が571ppmの水溶液を得た後、この水溶液に、次亜リン酸ナトリウム1080gを入れてこれを溶解し、30%次亜リン酸ナトリウム水溶液を得た。そして、この水溶液を、連鎖移動剤原料貯蔵部14を密封状態として、35℃で貯蔵した。
3日間の貯蔵後の水溶液に含まれる亜リン酸全濃度は、350ppmであった。
次に、この水溶液を、目開き38μmのフィルターを用いて濾過した。そして、得られた濾液中の亜リン酸イオン濃度を測定したところ、10ppmであった。この濾液(30%次亜リン酸化合物含有水溶液)を、連続製造用の連鎖移動剤として用いた。
(2)アクリル酸系重合体水溶液(E5)の製造
上記(1)で得られた連鎖移動剤を用いて、実施例1と同じ操作を行い、アクリル酸系重合体の固形分濃度が43%の水溶液(E5)を得た。このアクリル酸系重合体水溶液(E5)に含まれる亜リン酸イオンの濃度は250ppmであった。また、アクリル酸系重合体のMwは10000であった。
比較例1
(1)次亜リン酸化合物含有水溶液の調製
酢酸カルシウム一水和物0.0055gを脱イオン水2520gに溶解し、カルシウム濃度が0.5ppmの水溶液を得た後、この水溶液に、次亜リン酸ナトリウム1080gを入れてこれを溶解し、30%次亜リン酸ナトリウム水溶液を得た。そして、この水溶液を、連鎖移動剤原料貯蔵部14を密封状態として、35℃で貯蔵した。
7日間の貯蔵後の水溶液に含まれる亜リン酸全濃度は、600ppmであった。
次に、この水溶液を、目開き38μmのフィルターを用いて濾過した。そして、得られた濾液中の亜リン酸イオン濃度を測定したところ、600ppmであった。この濾液(30%次亜リン酸化合物含有水溶液)を、連続製造用の連鎖移動剤として用いた。
(2)アクリル酸系重合体水溶液(C1)の製造
上記(1)で得られた連鎖移動剤を用いて、実施例1と同じ操作を行い、アクリル酸系重合体の固形分濃度が43%の水溶液(C1)を得た。このアクリル酸系重合体水溶液(C1)に含まれる亜リン酸イオンの濃度は850ppmであった。また、アクリル酸系重合体のMwは7000であった。
比較例2
(1)次亜リン酸化合物含有水溶液の調製
酢酸カルシウム一水和物0.0055gを脱イオン水2520gに溶解し、カルシウム濃度が0.5ppmの水溶液を得た後、この水溶液に、次亜リン酸ナトリウム1080gを入れてこれを溶解し、30%次亜リン酸ナトリウム水溶液を得た。そして、この水溶液を、連鎖移動剤原料貯蔵部14を密封状態として、35℃で貯蔵した。
3日間の貯蔵後の水溶液に含まれる亜リン酸全濃度は、350ppmであった。
次に、この水溶液を、目開き38μmのフィルターを用いて濾過した。そして、得られた濾液中の亜リン酸イオン濃度を測定したところ、350ppmであった。この濾液(30%次亜リン酸化合物含有水溶液)を、連続製造用の連鎖移動剤として用いた。
(2)アクリル酸系重合体水溶液(C2)の製造
上記(1)で得られた連鎖移動剤を用いて、実施例1と同じ操作を行い、アクリル酸系重合体の固形分濃度が43%の水溶液(C2)を得た。このアクリル酸系重合体水溶液(C2)に含まれる亜リン酸イオンの濃度は650ppmであった。また、アクリル酸系重合体のMwは7000であった。
比較例3
(1)次亜リン酸化合物含有水溶液の調製
酢酸カルシウム一水和物9.54gを脱イオン水2520gに溶解し、カルシウム濃度が856ppmの水溶液を得た後、この水溶液に、次亜リン酸ナトリウム1080gを入れてこれを溶解し、30%次亜リン酸ナトリウム水溶液を得た。そして、この水溶液を、連鎖移動剤原料貯蔵部14を密封状態として、35℃で貯蔵した。
3日間の貯蔵後の水溶液に含まれる亜リン酸全濃度は、350ppmであった。
次に、この水溶液を、目開き38μmのフィルターを用いて濾過した。そして、得られた濾液中の亜リン酸イオン濃度を測定したところ、10ppmであった。この濾液(30%次亜リン酸化合物含有水溶液)を、連続製造用の連鎖移動剤として用いた。
(2)アクリル酸系重合体水溶液(C3)の製造
上記(1)で得られた連鎖移動剤を用いて、実施例1と同じ操作を行い、アクリル酸系重合体の固形分濃度が43%の水溶液(C3)を得た。このアクリル酸系重合体水溶液(C3)に含まれる亜リン酸イオンの濃度は250ppmであった。また、アクリル酸系重合体のMwは13000であった。
3.アクリル酸系重合体水溶液の評価
上記の実施例1〜5及び比較例1〜3で得られたアクリル酸系重合体水溶液を、下記の重質炭酸カルシウム湿式粉砕試験に供した。その結果を表1に示す。
<重質炭酸カルシウムの湿式粉砕試験>
アクリル酸系重合体水溶液7.5g、イオン交換水340g、及び、丸尾カルシウム社製重質炭酸カルシウム「No.A重炭」(商品名)1000gを、撹拌機を備えた円筒型容器へ投入し、軽く撹拌して均一になじませた。次いで、メディア(φ1mmセラミックビーズ)3500gを上記円筒型容器に投入し、1000rpmで25分間撹拌することにより、炭酸カルシウムの湿式粉砕を行った。そして、150メッシュの濾布を通した後、イオン交換水を添加して、固形分濃度が75%のスラリーを得た。
得られたスラリーについて、2.0μmアンダー積算値をマイクロメリティクス社製粒度分布測定装置「セディグラフ5120」(商品名)により測定した。
また、上記スラリーについて、これを調製した直後の粘度、及び、25℃で7日間静置した後の粘度を、B型粘度計を用いて、25℃、60rpmの条件で測定した。
Figure 0006512007
本発明により得られるアクリル酸系重合体水溶液は、無機粒子の分散剤等として好適である。
1:製造装置
10:第1反応器
11:第1反応槽
12:撹拌機(撹拌手段)
13:原料供給用配管(原料供給手段)
14:連鎖移動剤原料貯蔵部
15:排出口
27:送液ポンプ
29:排出用配管
30:第2反応器
31:第2反応槽
32:撹拌機
35:排出口
37:送液ポンプ
39:排出用配管
50:第3反応器
51:第3反応槽
52:撹拌機
53:pH調整剤供給用配管(アルカリ剤供給手段)
55:排出口

Claims (2)

  1. アクリル酸及び/又はその塩を含む単量体と、重合開始剤と、次亜リン酸化合物を含む水溶液とを用いて、前記単量体を重合し、アクリル酸系重合体の水溶液を製造する方法において、
    前記次亜リン酸化合物含有水溶液は、水と水溶性カルシウム化合物と次亜リン酸化合物とを、カルシウムの濃度が1〜500質量ppm、及び、前記次亜リン酸化合物の濃度が10〜45質量%となるように用いて、これらを混合した後に得られた、遊離亜リン酸イオンの濃度が300質量ppm以下の水溶液であることを特徴とするアクリル酸系重合体水溶液の製造方法。
  2. 前記アクリル酸系重合体水溶液が無機顔料の分散剤として用いられる請求項1に記載のアクリル酸系重合体水溶液の製造方法。
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