JP5455797B2 - ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液およびその製造方法 - Google Patents
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すなわち、本発明にかかるポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液であって、上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、炭素数1〜6のアルコール存在下で重合されたものであり、上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基の少なくとも一部は有機アミンで中和されており、上記水溶液に含まれる、(メタ)アクリル酸(塩)に由来する構造と有機アミン(塩)に由来する構造のモル比が100:10〜100:75であり、上記水溶液に含まれる、硫黄原子またはリン原子を含む無機の陰イオンの濃度が、上記水溶液に対して5000〜40000ppm、
であることを特徴とする水溶液である。
本発明の別の局面からは、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の製造方法が提供される。すなわち、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の製造方法は、(メタ)アクリル酸系単量体を、炭素数1〜6のアルコール存在下で重合することを特徴とする上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の製造方法である。
本発明の重合体水溶液の製造方法によれば、優れた色調を有し、優れた泥汚れや無機顔料等の無機微粒子の分散性を有し、更に経時的な分散力を発揮することができる重合体水溶液を効率良く製造することができる。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体(本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体とも言う)を含む。
本発明において、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体とは、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造を含んでいる重合体を言う。(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造とは、(メタ)アクリル酸(塩)がラジカル重合することにより形成される構造であり、−CH2CR(COOM)−、で表される構造である。該構造で、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Mは、水素原子、Li、Na、K等のアルカリ金属原子、Ca、Mg等のアルカリ土類金属原子、アンモニウム塩、有機アミン塩を表す。
なお、本発明において(メタ)アクリル酸(塩)とは、アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸、メタクリル酸塩をいい、塩としては、Li、Na、K等のアルカリ金属塩、Ca、Mg等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩を表す。
上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の有するカルボキシル基の、酸型のカルボキシル基/有機アミンで中和されたカルボキシル基(有機アミン塩型のカルボキシル基)/有機アミン塩型カルボキシル基以外のカルボキシル基の塩の割合は、特に限定されないが、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液に含まれる(言い換えれば本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液に含まれる化合物の全量に含まれる)、(メタ)アクリル酸(塩)に由来する構造と有機アミン(塩)に由来する構造のモル比が100:10〜100:75であることが重要である。好ましくは、100:15〜100:70であることがより好ましく、100:20〜100:65であることが特に好ましい。
経時的な顔料分散性能が向上する傾向にあることから、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は無機塩等を極力低減することが好ましく、そのため有機アミン(塩)由来の構造は、有機アミンで中和されたカルボキシル基であることが好ましい。従って、上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の有するカルボキシル基100モル%に対する、有機アミンで中和されたカルボキシル基(有機アミン塩型のカルボキシル基)の割合は、10〜75モル%であることが好ましく、15〜70モル%であることがより好ましく、20〜65モル%であることが特に好ましい。
炭素数1〜6のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソペンチルアルコール、イソヘキシルアルコール等が例示される。中でも色調の向上効果に優れることからイソプロピルアルコール、イソブチルアルコールが好ましい。
本発明において、上記特定の還元性化合物としては、色調が良好になることから、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等の次亜リン酸(塩)、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等の重亜硫酸塩が好ましい。
その他の単量体としては、具体的にはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、2−メチレングルタル酸、及びこれらの塩等のアクリル酸以外のカルボキシル基含有単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のアルキル基のエステルである、アルキル(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたはその4級化物等のアミノ基含有アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド等のアミド基含有単量体類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;スチレン等の芳香族ビニル系単量体類;マレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体類;3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスルホン酸基を有する単量体及びこれらの塩;ビニルホスホン酸、(メタ)アリルホスホン酸などのホスホン酸基を有する単量体等(メタ)アクロレイン等のアルデヒド基含有ビニル系単量体類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール:ビニルピロリドン等のその他官能基含有単量体類;ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、モノアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の不飽和アルコールにアルキレンオキシドが1〜300モル付加した構造を有する単量体等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体;等が挙げられる。これらの他の単量体についても、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
また、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は具体的には、好ましくは1.1〜3.0、より好ましくは1.5〜2.8、さらに好ましくは1.8〜2.6である。
この分子量分布の値が小さすぎると、例えばポリ(メタ)アクリル酸系重合体を無機物の分散剤として使用した場合に、無機物を湿式粉砕した場合の粉砕直後のスラリー粘度が増加する虞があり、また大きすぎるとスラリーの経時粘度安定性が低下する虞がある。なお、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体の分子量分布の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
本発明の重合体水溶液中には、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体が必須に含まれる。このほか、未反応の(メタ)アクリル酸(塩)、未反応のその他の単量体、未反応の重合開始剤、重合開始剤分解物等が含まれうる。
重合体組成物中に存在する未反応の単量体の含有量((メタ)アクリル酸(塩)とその他の単量体の合計の含有量)は、使用する単量体の種類によっても異なるが、重合体組成物の固形分100質量%に対して1質量%未満が好ましい。より好ましくは0.5%未満であり、0.1%未満である。
従って、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液が上記工程(イ)を含む製造方法により製造される場合、炭素数1〜6のアルコールを除去する工程を含むことが好ましい。炭素数1〜6のアルコールの除去は、液液分離させて除去する方法、蒸留により留去する方法等が好ましく用いられる。特に、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液が重合後に中和工程を含む場合には、中和工程前または中和工程中に炭素数1〜6のアルコールを留去させることが好ましい。ここで言う「中和工程中に炭素数1〜6のアルコールを留去する」というのは、アルカリ金属の水酸化物や炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物や炭酸塩、アンモニア、アミン等の塩基で中和しながら、並行して炭素数1〜6のアルコールを留去すること、あるいは、アルカリ金属の水酸化物や炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物や炭酸塩、アンモニア、アミン等の塩基で部分中和した後(中和工程の一部を行なった後)、炭素数1〜6のアルコールを留去すること、を示す。
上記重合体水溶液は、後述する有効成分値を35〜45%に調整したときの硫黄原子またはリン原子を含む無機の陰イオンの濃度が上記範囲になるようにすることが好ましい。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、乾燥、または、その他の溶剤で置換・希釈して使用することもできる(ポリ(メタ)アクリル酸系重合体組成物という)。本発明のポリアクリル酸系重合体水溶液を乾燥後水に再溶解したり、乾燥後に他の任意な成分を添加したものも本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体組成物に含まれる。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、(メタ)アクリル酸(塩)を必須として重合することにより製造することが好ましい。本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、(メタ)アクリル酸(塩)に加えて、上記その他の単量体を共重合することにより製造しても構わない。本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体の製造に用いる全単量体((メタ)アクリル酸(塩)とその他の単量体の合計をいう)100質量%に対する(メタ)アクリル酸(塩)の割合は、酸型換算で90質量%以上であることが好ましい。90質量%以上であれば、得られる重合体水溶液の経時的な顔料分散性能が向上する傾向にある。ここで、上記の通り、酸型換算とは、塩型の単量体を対応する酸型単量体として質量割合を計算することをいい、例えば(メタ)アクリル酸ナトリウムであれば、(メタ)アクリル酸として質量割合を計算する。その他の単量体も同様に酸型換算で計算する。
本発明の製造方法としては、(メタ)アクリル酸(塩)として、アクリル酸(塩)を使用することが好ましい。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体(水溶液)が、上記有機アミンで中和する工程を含んで製造される場合、有機アミンの他に他の中和剤を使用しても構わないが、その場合、中和反応時の着色を低減する為に、最初に酸型および/または部分中和型のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液を、その他の中和剤で中和する工程を行い、その後に酸型および/または部分中和型のポリアクリル酸系重合体を含む水溶液を、有機アミンで中和する工程を行うことが、色調が良好になることから好ましいが、その逆にすることも可能である。なお、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液に含まれる、(メタ)アクリル酸(塩)に由来する構造と有機アミン(塩)に由来する構造のモル比が上記範囲になる限りにおいて、中和点を越えて過剰の有機アミン(塩)を加えても良い。ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液に含まれる有機アミン(塩)に由来する構造のモル比を上記範囲に設定することにより、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液が顔料の経時的な分散力を顕著に発現することとなる。
有機アミンの他の中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、アンモニア等が挙げられる。
但し、製造工程の簡略化を目的として、(メタ)アクリル酸の有機アミン塩を必須として重合を行うことによってポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を製造しても構わない。この場合、着色が大きくなり、洗剤添加物や顔料分散剤としては使用し難くなる場合がある。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、酸型および/または部分中和型のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液を他の中和剤により部分中和する工程(工程C)を含んで製造することが好ましい。上記C工程は、上記工程Bの後に実施することが好ましい。上記C工程後の部分中和型のポリ(メタ)アクリル酸系重合体の中和率としては、色調が向上する傾向にあることから、5〜90%が好ましく、10〜85%がより好ましく、15〜80%が特に好ましい。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、(メタ)アクリル酸(塩)を必須として含む単量体組成物を、重合開始剤(開始剤とも言う)の存在下に重合して得ることができる。
重合開始剤としては公知のものを使用することができ、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化水素;ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノパレリン酸、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が好適である。これらの重合開始剤は、単独で使用されてあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。重合体の分子量分布が小さくなる傾向にあるので、1種のみを使用することが好ましい。
重合開始剤の使用量は、特に言及する場合を除き、全単量体成分1モルに対して、15g以下、より好ましくは0.1〜12gであることが好ましい。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、重合開始剤の他に、連鎖移動剤を使用することも可能である。この際使用できる連鎖移動剤としては、分子量の調節ができる化合物であれば特に制限されず、公知の連鎖移動剤が使用できる。具体的には、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン際、3−メルカプトプロピオン際、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ブチルチオグリコレート等の、チオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等の、ハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の、第2級アルコール;亜リン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸、次亜リン酸塩、及びこれらの水和物等;亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、及びその塩(亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等の重亜硫酸塩)等の、低級酸化物およびその塩などが挙げられる。上記連鎖移動剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
連鎖移動剤の添加量は、特に言及する場合を除き、全単量体成分1モルに対して、1〜20g、より好ましくは2〜15gである。1g未満であると、分子量の制御ができないおそれがあり、逆に、20gを超えると、連鎖移動剤が残留したり、重合体純分が低下するおそれがある。
次亜リン酸(塩)および/または重亜硫酸塩の使用量が全単量体1モルに対して、上記上限を超えると、連鎖移動に寄与しない次亜リン酸塩および/または重亜硫酸塩(重合体末端に取り込まれない次亜リン酸(塩)および/または重亜硫酸塩)が増加し、無機陰イオン量が増加することに起因して、経時的な分散力が低下する虞がある。
なお、上記の通り、一定量の次亜リン酸(塩)および/または重亜硫酸塩を添加することにより、その還元作用に起因して(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の色相が良好になる傾向にある。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、重合開始剤等の他に、重合開始剤の分解触媒や還元性化合物(反応促進剤ともいう)を使用(重合系に添加)して製造しても良い。
上記重金属イオンは、本発明においては、重金属塩(重金属化合物)を溶解してなる水溶液または水性溶液を重合系に添加することにより、反応系に存在させる。その際に用いる重金属塩は、開始剤に含有することを所望する重金属イオンを含むものであればよく、用いる開始剤に応じて決定することができる。上記重金属イオンとして鉄を用いる場合、モール塩(Fe(NH4)2(SO4)2・6H2O)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄等の重金属塩等を用いることが好ましい。また、重金属イオンとしてマンガンを用いる場合、塩化マンガン等を好適に用いることができる。これらの重金属塩を用いる場合においては、いずれも水溶性の化合物であるため、水溶液の形態として用いることができ、取り扱い性に優れることになる。なお、上記重金属塩を溶解してなる溶液の溶媒としては、水に限定されるものではなく、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体の製造において、重合反応を著しく妨げるものでなければ、重金属塩の溶解性を損ねない範囲で使用できる。
重合系に添加する、重金属化合物を溶解してなる水溶液または水性溶液中の重金属化合物の濃度は、0.1質量%〜10質量%とすることが好ましい。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、溶液重合で製造することが好ましい。本発明の製造方法においては、得られる重合体(組成物)の色調が向上することから、炭素数1〜6のアルコールを使用することが好ましい。また、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の溶解性の観点から、溶媒は水を含むことが好ましい。従って、水と炭素数1〜6のアルコールの混合溶媒を使用することが最も好ましい。この場合、更に他の溶媒を使用しても良いが、脱溶剤工程を簡略化できることから他の有機溶剤を使用する場合であっても、重合終了後の反応液100質量%に対して、10質量%以下にすることが好ましく、5質量%以下にすることが更に好ましく、1質量%以下にすることがより好ましい。
ここで重合の際、水、炭素数1〜6のアルコールとともに(または以外に)使用できる溶剤としては、ジメチルホルムアルデヒド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、回分式(バッチ式)、連続式、半連続式のいずれの重合方法も採用することができる。本発明のポリアクリル酸系重合体を製造する条件は、上記の方法の他、特に断りの無い限りは、公知の重合方法あるいは公知の方法を修飾した方法が使用できる。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体組成物(以下、本発明の重合体等とも言う)は、水処理剤、繊維処理剤、分散剤、洗剤ビルダー(または洗剤組成物)等として用いられうる。洗剤ビルダーとしては、衣料用、食器用、住居用、毛髪用、身体用、歯磨き用、及び自動車用など、様々な用途の洗剤に添加されて使用されうる。
本発明の重合体等は、水処理剤に用いることができる。該水処理剤には、必要に応じて、他の配合剤として、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤を用いても良い。
本発明の重合体等は、繊維処理剤に用いることができる。該繊維処理剤は、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つと、本発明の重合体を含む。
本発明の重合体等(重合体、重合体水溶液、重合体組成物)は、顔料分散剤に用いることができる。
本発明の重合体等は単独で顔料分散剤として使用することができるが、本発明の顔料分散剤には、必要に応じて、水などの溶媒や、他の配合剤として、縮合リン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、ポリビニルアルコールを用いても良い。
本発明によれば、低粘度で粘性の経時安定性を有し、かつ高濃度の製紙用顔料スラリーを提供することが可能となる。ひいては、該スラリーを用いて塗工した際に塗工欠陥を抑制し、良好な原紙被覆性、印刷光沢、耐ブリスター性、ムラのない印刷面感を与え、かつ顔料が本来持つ白色度、不透明度、インキ受理性の有意点を備えた印刷用塗工紙を提供することが可能となる。
なお、上記顔料スラリー粘度は、B型粘度計を使用し、測定条件としては、ローターNo.4、60rpm、5分間で測定した値をいう。
本発明の重合体等は、洗剤組成物にも添加しうる。
洗剤組成物における本発明の重合体の含有量は特に制限されない。ただし、優れたビルダー性能を発揮しうるという観点からは、本発明の重合体の含有量は、洗剤組成物の全量に対して、好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.3〜10質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
洗剤用途で用いられる洗剤組成物には、通常、洗剤に用いられる界面活性剤や添加剤が含まれる。これらの界面活性剤や添加剤の具体的な形態は特に制限されず、洗剤分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。また、上記洗剤組成物は、粉末洗剤組成物であってもよいし、液体洗剤組成物であってもよい。
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選択される1種または2種以上である。2種以上が併用される場合、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤との合計量は、界面活性剤の全量に対して50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上である。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸またはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和脂肪酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルリン酸エステルまたはその塩、アルケニルリン酸エステルまたはその塩等が好適である。これらのアニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等が好適である。これらのノニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等が好適である。また、両性界面活性剤としては、カルボキシル型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等が好適である。これらのカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
上記界面活性剤の配合割合は、通常、洗剤組成物の全量に対して10〜60質量%であり、好ましくは15〜50質量%であり、さらに好ましくは20〜45質量%であり、特に好ましくは25〜40質量%である。界面活性剤の配合割合が少なすぎると、十分な洗浄力を発揮できなくなる虞があり、界面活性剤の配合割合が多すぎると、経済性が低下する虞がある。
添加剤としては、アルカリビルダー、キレートビルダー、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の汚染物質の再沈着を防止するための再付着防止剤、ベンゾトリアゾールやエチレン−チオ尿素等の汚れ抑制剤、ソイルリリース剤、色移り防止剤、柔軟剤、pH調節のためのアルカリ性物質、香料、可溶化剤、蛍光剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、殺菌剤、漂白剤、漂白助剤、酵素、染料、溶媒等が好適である。また、粉末洗剤組成物の場合にはゼオライトを配合することが好ましい。
上記洗剤組成物は、本発明の重合体等に加えて、他の洗剤ビルダーを含んでもよい。他の洗剤ビルダーとしては、特に制限されないが、例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩などのアルカリビルダーや、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、ボウ硝、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、ゼオライト等のキレートビルダー、カルボキシメチルセルロース等の多糖類のカルボキシル誘導体等が挙げられる。上記ビルダーに用いられる対塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、アンモニウム、アミン等が挙げられる。
上記添加剤と他の洗剤用ビルダーの合計の配合割合は、通常、洗浄剤組成物100質量%に対して0.1〜50質量%が好ましい。より好ましくは0.2〜40質量%であり、さらに好ましくは0.3〜35質量%であり、特に好ましくは0.4〜30質量%であり、最も好ましくは0.5〜20質量%以下である。添加剤/他の洗剤ビルダーの配合割合が0.1質量%未満であると、十分な洗剤性能を発揮できなくなる虞があり、50質量%を超えると経済性が低下する虞がある。
なお、上記洗剤組成物の概念には、家庭用洗剤の合成洗剤、繊維工業その他の工業用洗剤、硬質表面洗浄剤のほか、その成分の1つの働きを高めた漂白洗剤等の特定の用途にのみ用いられる洗剤も含まれる。
上記洗剤組成物が液体洗剤組成物である場合、液体洗剤組成物に含まれる水分量は、通常、液体洗剤組成物の全量に対して0.1〜75質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜70質量%であり、さらに好ましくは0.5〜65質量%であり、さらにより好ましくは0.7〜60質量%であり、特に好ましくは1〜55質量%であり、最も好ましくは1.5〜50質量%である。
上記洗剤組成物が液体洗剤組成物である場合、当該洗剤組成物は、カオリン濁度が200mg/L以下であることが好ましく、より好ましくは150mg/L以下であり、さらに好ましくは120mg/L以下であり、特に好ましくは100mg/L以下であり、最も好ましくは50mg/L以下である。
また、本発明の重合体等を洗剤ビルダーとして液体洗剤組成物に添加する場合としない場合とでのカオリン濁度の変化(差)は、500mg/L以下であることが好ましく、より好ましくは400mg/L以下であり、さらに好ましくは300mg/L以下であり、特に好ましくは200mg/L以下であり、最も好ましくは100mg/L以下である。カオリン濁度の値としては、以下の手法により測定される値を採用するものとする。
厚さ10mmの50mm角セルに均一に攪拌した試料(液体洗剤)を仕込み、気泡を除いた後、日本電色株式会社製NDH2000(商品名、濁度計)を用いて25℃でのTubidity(カオリン濁度:mg/L)を測定する。
上記洗浄剤組成物に配合することができる酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等が好適である。中でも、アルカリ洗浄液中で活性が高いプロテアーゼ、アルカリリパーゼ及びアルカリセルラーゼが好ましい。
上記酵素の添加量は、洗浄剤組成物100質量%に対して5質量%以下であることが好ましい。5質量%を超えると、洗浄力の向上が見られなくなり、経済性が低下するおそれがある。
上記洗剤組成物は、カルシウムイオンやマグネシウムイオンの濃度が高い硬水(例えば、100mg/L以上)の地域中で使用しても、塩の析出が少なく、優れた洗浄効果を有する。この効果は、洗剤組成物が、LASのようなアニオン界面活性剤を含む場合に特に顕著である。
また、本発明の重合体の重量平均分子量、数平均分子量、未反応の単量体の定量、重合体組成物、重合体水溶液の固形分量は、下記の方法に従って測定した。
窒素雰囲気下、110℃に加熱したオーブンで重合体組成物(重合体組成物1.0g+水3.0g)を2時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)と、揮発成分(%)を算出した。
有効成分値は重合して得られたポリマーのカルボキシル基濃度として平沼産業株式会社製 自動滴定装置COM−1500にて測定、算出した。まず1N NaOH水溶液で完全にポリマー中のカルボン酸を中和した後、1N HCl水溶液にて滴定曲線を作成し、その曲線の第二変曲点と第一変曲点の差(1N HCl溶液量)から以下のように算出した。
有効成分値(%)=9.4×(第2変曲点での1N HCl量(質量)−第1変曲点での1N HCl量(質量))×HCl力価/分析物量(質量)。
なお、上記分析物量とは、分析したポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の質量を表す。
装置:株式会社日立製作所製 L−7000シリーズ
検出器:HITACHI RI Detector L−2490
カラム:東ソー製 TSK−GEL G3000PWXL
カラム温度:40℃
流速:0.5mL/min
検量線:創和科学株式会社製 POLY SODIUM ACRYLATE STANDARD
溶離液:リン酸二水素ナトリウム12水和物/リン酸水素二ナトリウム2水和物(34.5g/46.2g)の混合物を純水にて5000gに希釈した溶液。
該単量体の測定は、下記条件にて液体クロマトグラフィーを用いて行った。
測定装置:株式会社日立製作所製 L−7000シリーズ
検出器:株式会社日立製作所製 UV検出器 L−7400
カラム:株式会社昭和電工製 SHODEX RSpak DE−413
温度:40.0℃
溶離液:0.1%リン酸水溶液
流速:1.0ml/min。
陰イオン濃度分析は、下記条件にてイオンクロマト分析を行なった。
装置 :Metrohm社製(762 Interface)
検出器 :Metrohm社製 732 IC Detecter
イオン分析方式:サプレッサー法
カラム :Shodex IC SI−90 4E
ガードカラム :Shodex SI−90 G
カラム温度 :40℃
溶離液 :NaHCO3水(2gを水で2000gに希釈)
流速 :1.0mL/min。
下記実施例で得られた重合体水溶液を分析したところ、過硫酸ナトリウム由来の硫酸イオンと次亜りん酸ナトリウム由来の次亜りん酸イオンが検出された。
市販の丸尾カルシウム社製、重質炭酸カルシウム粉体200質量部を500mlSUS製容器に投入し、保温材を巻いたガラス製四つ口セパラブルフラスコの蓋上部の一番広い口に撹拌シールを取り付けたものに3段ピンを装着したSUS製攪拌翼を装着、残りの口はシリコーンゴム栓で蓋をして、SUS製容器とガラス製蓋上部を固定用の止め具で2箇所固定する。このSUS製攪拌翼と強力な撹拌モーターを接続し、粉砕途中で緩まないように容器全体を支柱にしっかりと固定した。
続いて、四つ口セパラブルフラスコのシリコーンゴム栓の一つを開けて、ロートを差し込み、撹拌モーターを200〜300rpm程度の低速回転の状態で撹拌しながら、ここから、有効成分値10%に調整した(水で希釈または濃縮等)ポリマー水溶液8質量部と純水46質量部を混合したものと、2mmセラミックビーズ500質量部を順に少しずつ投入していった。すべて投入後、一気に1000rpmまで回転数を上昇させ、ビーズの状態を確認後、さらに1500rpmまで回転数をあげた。粉砕開始40分後に10%ポリマー水溶液を4質量部、さらに70分後と90分後に2質量部ずつ投入した。この状態で2μm以下の粒径が90%以上に到達するまで粉砕を継続した。最終的には重質炭酸カルシウムに対し0.80質量%のポリマー添加量となった。粉砕後、内容物をセラミックと分離し、回収した。
粒径は日立製 レーザー式粒度分布測定装置LA−910にて分析した。
スラリーの粘度をB型粘度計で、回転子No.4、60rpm、5分後の粘度を測定し(直後のスラリー粘度)、比較した。なお、回収したスラリーは、測定直前まで25℃の環境下で保存した。
バッチ型重合釜(SUS製、容積5m3)と、当該重合釜に備えられた温度計、攪拌器(パドル翼)、および、ジャケット、供給経路(重合用組成物用および中和剤用)、並びに、還流冷却装置、溶媒留去装置を有する反応装置を用い、以下に示す重合処方・条件で重合を行った。イオン交換水215質量部、イソプロピルアルコール(以下、「IPA」とも称する)300質量部を仕込んだ。その後、重合釜内の水溶液を撹拌しながら、常圧下、外部ジャケットにより混合溶液が還流するまで昇温させた(混合溶媒の温度は80℃であった)。
次に、80質量%アクリル酸水溶液(以下、「80%AA」とも称する)900質量部、45%次亜リン酸ナトリウム水溶液(以下、「45%SHP」とも称する)83質量部、および15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、「15%NaPS」とも称する)67質量部をそれぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより、80%AAおよび45%SHPは150分間に亘って、15%NaPSは80%AAと同時に滴下を開始して155分間に亘って(すなわち、80%AAの滴下終了5分後まで)滴下した。それぞれの成分の滴下は、一定の滴下速度で連続的に行なった。15%NaPSの滴下終了後、混合溶液が還流した状態を保持したまま30分間熟成した。
熟成終了後、48質量%水酸化ナトリウム水溶液583質量部(AA中和率70%分)をその供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に滴下して、重合体を部分中和した後、45%SHP80質量部を重合釜内に添加した。次に、重合釜内のIPAが無くなるまでIPAと水の混合物を80〜103℃で留去した後、イオン交換水320質量部を重合釜内に投入して溶液温度が80℃になるようにした。続いて、モノエタノールアミン171質量部(AA中和率28%分)を別の供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に滴下して、重合体を中和した。以上のようにして、ポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(1)を得た。
得られた水溶液(1)(重合体水溶液(1)という)の固形分値は52.5%、有効成分値は40.3%であった。重合体水溶液(1)のブルックフィールド粘度は810mPa・s、重合平均分子量(Mw)4500、重合平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.15であった。また、重合体水溶液(1)中の硫黄原子またはリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、23900ppmであり、重合体水溶液(1)の有姿での色相(APHA)は40であった。
当該重合処方を表1に、重合体の分析結果を表2に示した。
重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は1050mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は3800mPa・sであった。
重合条件を表1に記載の方法に変更する以外は、実施例1と同様にしてポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(2)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(2)という)の固形分値は57.1%、有効成分値は40.2%であった。重合体水溶液(2)のブルックフィールド粘度は980mPa・s、重合平均分子量(Mw)4700、重合平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.18であった。また、重合体水溶液(2)中の硫黄原子またはリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、23600ppmであり、重合体水溶液(2)の有姿での色相(APHA)は50であった。当該重合処方を表1に、得られた重合体の測定結果と評価結果を表2に示した。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は1020mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は3400mPa・sであった。
重合条件を表1に記載の方法に変更する以外は、実施例1と同様にしてポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(3)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(3)という)の固形分値は57.4%、有効成分値は40.4%であった。重合体水溶液(3)のブルックフィールド粘度は990mPa・s、重合平均分子量(Mw)4900、重合平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.21であった。また、重合体水溶液(3)中の硫黄原子またはリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、7800ppmであり、重合体水溶液(3)の有姿での色相(APHA)は120であった。当該重合処方を表1に、得られた重合体の測定結果と評価結果を表2に示した。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は900mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は3000mPa・sであった。
重合条件を表1に記載の方法に変更する以外は、実施例1と同様にしてポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(4)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(4)という)の固形分値は57.0%、有効成分値は39.9%であった。重合体水溶液(4)のブルックフィールド粘度は960mPa・s、重合平均分子量(Mw)4600、重合平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.17であった。また、重合体水溶液(4)中の硫黄原子またはリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、34800ppmであり、重合体水溶液(4)の有姿での色相(APHA)は20であった。当該重合処方を表1に、得られた重合体の測定結果と評価結果を表2に示した。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は1100mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は4000mPa・sであった。
重合条件を表1に記載の方法に変更する以外は、実施例1と同様にしてポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(5)を得た。なお表1に記載された「35%SBS」は35%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を表す。得られた水溶液(重合体水溶液(5)という)の固形分値は56.7%、有効成分値は39.7%であった。重合体水溶液(5)のブルックフィールド粘度は960mPa・s、重合平均分子量(Mw)4800、重合平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.21であった。また、重合体水溶液(5)中の硫黄原子またはリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、8200ppmであり、重合体水溶液(5)の有姿での色相(APHA)は120であった。当該重合処方を表1に、得られた重合体の測定結果と評価結果を表2に示した。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は1000mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は3400mPa・sであった。
重合条件を表1に記載の方法に変更する以外は、実施例1と同様にしてポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(6)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(6)という)の固形分値は57.4%、有効成分値は40.4%であった。重合体水溶液(6)のブルックフィールド粘度は970mPa・s、重合平均分子量(Mw)4800、重合平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.19であった。また、重合体水溶液(6)中の硫黄原子またはリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、35500ppmであり、重合体水溶液(6)の有姿での色相(APHA)は20であった。当該重合処方を表1に、得られた重合体の測定結果と評価結果を表2に示した。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は1150mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は4200mPa・sであった。
実施例1と同様に重合条件を表1に記載の方法に変更する以外は、同様の方法でポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(7)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(7)という)の固形分値は56.7%、有効成分値は39.6%であった。重合体水溶液(7)のブルックフィールド粘度は1210mPa・s、重合平均分子量(Mw)6200、重合平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.29であった。また、重合体水溶液(7)中の硫黄原子またはリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、4500ppmであり、重合体水溶液(7)の有姿での色相(APHA)は220であった。当該重合処方を表1に、得られた重合体の分析結果を表2に示した。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は1200mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は4500mPa・sであった。
実施例1と同様に重合条件を表1に記載の方法に変更する以外は、同様の方法でポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(8)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(8)という)の固形分値は59.1%、有効成分値は39.2%であった。重合体水溶液(8)のブルックフィールド粘度は980mPa・s、重合平均分子量(Mw)4800、重合平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.18であった。また、重合体水溶液(8)中の硫黄原子またはリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、44000ppmであり、重合体水溶液(8)の有姿での色相(APHA)は20であった。当該重合処方を表1に、得られた重合体の測定結果と評価結果を表2に示した。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は2500mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は5100mPa・sであった。
実施例1と同様に重合条件を表1に記載の方法に変更する以外は、同様の方法でポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(9)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(9)という)の固形分値は58.7%、有効成分値は39.3%であった。重合体水溶液(9)のブルックフィールド粘度は970mPa・s、重合平均分子量(Mw)4700、重合平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.20であった。また、重合体水溶液(9)中の硫黄原子またはリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、45500ppmであり、重合体水溶液(9)の有姿での色相(APHA)は20であった。当該重合処方を表1に、得られた重合体の分析結果を表2に示した。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は3000mPa・sで、1週間後にはスラリーがゲル化していたためスラリー粘度は測定できなかった。
表1及び表2に示す結果から、本発明の重合体は、優れた色調を有すると共に、良好な初期の分散力と、経時的な分散力を有することが明らかとなった。
Claims (6)
- ポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液であって、
上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、炭素数1〜6のアルコール存在下で重合されたものであり、
上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基の少なくとも一部は有機アミンで中和されており、
上記水溶液に含まれる、(メタ)アクリル酸(塩)に由来する構造と有機アミン(塩)に由来する構造のモル比が100:10〜100:75であり、
上記水溶液に含まれる、硫黄原子またはリン原子を含む無機の陰イオンの濃度が、上記水溶液に対して5000〜40000ppmであり、
APHAが200以下であることを特徴とする水溶液。 - 上記無機の陰イオンが硫酸イオン、亜硫酸イオン、燐酸イオン、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンから選ばれる陰イオンを含む、請求項1に記載の水溶液。
- 次亜リン酸(塩)または重亜硫酸塩から選ばれる還元性化合物の存在下で製造される、請求項1又は2に記載の水溶液。
- 固形分濃度を35〜70%に調整したときのpHが6.5〜9.0である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水溶液。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水溶液からなる、顔料分散剤。
- (メタ)アクリル酸系単量体を、炭素数1〜6のアルコール存在下で重合することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水溶液の製造方法。
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