JP2003002909A - ポリアクリル酸塩水溶液の連続的製造方法 - Google Patents

ポリアクリル酸塩水溶液の連続的製造方法

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JP2003002909A JP2001186686A JP2001186686A JP2003002909A JP 2003002909 A JP2003002909 A JP 2003002909A JP 2001186686 A JP2001186686 A JP 2001186686A JP 2001186686 A JP2001186686 A JP 2001186686A JP 2003002909 A JP2003002909 A JP 2003002909A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ポリアクリル酸ソーダ等のアクリル酸塩重合体
を、連続的工程をもって、しかも、重量平均分子量が2
000〜30000程度であり、マイケル付加物の含有
量が少なく、分子量分布が狭く、かつ反応率が高いとい
う利点を維持して、製造する方法の提供である。 【構成】アクリル系単量体を水性媒体中で重合させてポ
リアクリル酸塩を連続的に製造するにあたり、複数個の
反応器よりなり少なくとも第1反応器は槽型反応器であ
る連続反応装置を使用し、第1反応器内に、アクリル系
単量体、重合開始剤および亜硫酸水素塩を連続的に仕込
みながら、pH値を3.5以下に維持した水性媒体中で
重合を行い、第1反応器から排出される反応液と重合開
始剤とを第2反応器に連続的に仕込み、反応器において
重合を継続するとともに、第2反応器または第3反応器
以降の反応器において反応液にアルカリを添加して中和
することを特徴とするpH値が6〜9のポリアクリル酸
塩水溶液の連続的製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、アクリル酸単量体
またはアクリル酸塩単量体例えばアクリル酸ソーダ単量
体等を連続的にラジカル重合させて、ポリアクリル酸ソ
ーダ等のアクリル酸塩重合体を連続的に製造する方法に
関する。本発明は、特に、重量平均分子量が2000〜
30000程度であり、分子量分布が狭いポリアクリル
酸塩を連続的に、しかも、高反応率をもって製造するの
に適するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリアクリル酸ソーダ等のポリアクリル
酸塩は、顔料分散剤やスケール防止剤または洗剤ビルダ
ー等の用途に使用されて好適である。これらの用途に
は、ポリアクリル酸塩の重量平均分子量は2000〜1
0000程度が好ましく、また重量平均分子量Mwを数
平均分子量Mnで除した商Mw/Mnすなわち分散度等
で表される分子量分布はできるだけ狭いことが好まし
い。さらにその製造にあたっては、当然ながら、重合反
応収率はできるだけ高いことが好ましい。従来、ポリア
クリル酸塩を製造するには、アクリル酸単量体またはア
クリル酸塩単量体を、例えば過硫酸ナトリウム等の重合
開始剤およびイソプロピルアルコール等の連鎖移動剤の
存在の下にラジカル重合させることにより製造されてい
た。この重合プロセスにおいて、適切な量の連鎖移動剤
を使用すれば、連鎖移動剤の作用により重合体の分子量
は十分低く押さえられるために、得られるポリアクリル
酸塩の重量平均分子量は2000〜10000程度に制
御できた。もっとも、使用する連鎖移動剤の量が多くな
ると、得られるポリアクリル酸塩の分子量分布が広くな
るという問題があり、また、残余の連鎖移動剤を除去す
る工程が必要になるという問題があった。かかる問題に
関しては、いくつかの解決策が提案されており、たとえ
ば本出願人が先になした特許出願(特願2001−87
137号)に記載の発明もその一例である。しかしなが
ら、従来の製造方法では、バッチ方式が採られていたの
で、操業効率において改良の余地があり、生産性向上の
大幅な改良のためにアクリル酸塩重合体を連続的に製造
する方法の開発が望まれていた。
【0003】かゝる努力の成果としては、特開昭62−
121705号公報に、円筒状反応器を使用し、その一
端から反応に関与する単量体および亜硫酸水素ナトリウ
ム等を供給し、これと並流的に不活性ガス、空気、また
は、酸素を供給し、このガス流により、中和度70〜9
0%のアクリル酸ナトリウム水溶液の薄膜液を反応器の
内壁にそって形成させ、重合させることを特徴とする、
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液の製造方法が開示され
ている。この方法によれば、分散剤やスケール防止剤と
して好適な分子量分布の狭い重合体が連続的に製造でき
ると説明されているが、この方法では、単量体の反応率
すなわち重合転換率が高々90〜95%であり、得られ
る重合体水溶液中には単量体が多量に含まれていた。上
記方法においては、さらに以下のような問題もあった。
すなわち、水溶液中で亜硫酸水素ナトリウムの存在下に
アクリル酸またはアクリル酸ナトリウムの重合を行う
と、亜硫酸水素塩と単量体との1:1付加反応が起こる
ことが知られており[高分子学会発行「高分子」第43
巻5月号(1994年)325頁および特開昭56−1
03207号公報等]、その付加物(一般的にマイケル
付加物と称される)の含有量が多くなると、ポリアクリ
ル酸ナトリウム水溶液の品質が低下することである。
【0004】特開平11−246604号公報には、5
個以上の反応器からなる連続重合装置を使用し、第1の
反応器に不飽和ジカルボン酸系単量体の全量を供給し、
第1〜第3の反応器に不飽和モノカルボン酸系単量体を
供給し、少なくとも最終反応器には不飽和モノカルボン
酸系単量体が供給されないようにして、不飽和モノカル
ボン酸系単量体が供給される反応器への不飽和モノカル
ボン酸系単量体の供給量を実質的に等しくすることゝし
た水溶性共重合体の製造方法が開示されている。上記特
許公報に記載の発明は、不飽和ジカルボン酸の重合転換
を高く維持しながら連続重合を行うことを課題としてお
り、そのために多数の反応器を使用する必要があった。
特開平10−147620号公報には、端部に設けた不
飽和ジカルボン酸供給口と、端部より下流に設けた複数
の不飽和モノカルボン酸供給口とを有する管型連続重合
装置を使用し、重合開始剤を、不飽和ジカルボン酸と不
飽和モノカルボン酸との合計量の7.5〜90%使用
し、前記の端部供給口から不飽和ジカルボン酸の全量を
供給し、前記の下流に設けた第1の供給口に不飽和モノ
カルボン酸の30〜80%を供給し、前記の下流に設け
た第2の供給口に不飽和モノカルボン酸の残量を供給す
ることゝした共重合体の連続製造方法が開示されてい
る。しかしながら、ここに記載された方法では、重量平
均分子量を比較的低めに制御することが困難であり、例
えば10000の重量平均分子量のものを得る場合に
は、単量体に対して80重量%の重合開始剤を用いる必
要があり、分子量分布の狭い重合体は得られ難いという
問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の要望に応えることにあり、生産性向上のため、ポリア
クリル酸ソーダ等のアクリル酸塩重合体を、連続的工程
をもって、しかも、重量平均分子量が2000〜300
00程度であり、マイケル付加物の含有量が少なく、分
子量分布が狭く、かつ反応率が高いという利点を維持し
て、製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記の課
題を解決するために鋭意研究した結果、本発明を完成す
るに至った。すなわち、本発明は、アクリル酸単量体ま
たはアクリル酸塩単量体を主体とするアクリル系単量体
を水性媒体中で重合させてポリアクリル酸塩を連続的に
製造するにあたり、複数個の反応器よりなり少なくとも
第1反応器は槽型反応器である連続反応装置を使用し、
前記第1反応器内に、前記アクリル系単量体、重合開始
剤および亜硫酸水素塩を連続的に仕込みながら、pH値
を3.5以下に維持した水性媒体中で前記単量体の重合
を行い、該第1反応器から排出される反応液と重合開始
剤とを第2反応器に連続的に仕込み、該反応器において
重合を継続するとともに、第2反応器または第3反応器
以降の反応器において反応液にアルカリを添加して中和
することを特徴とするpH値が6〜9のポリアクリル酸
塩水溶液の連続的製造方法である。本発明の中間体とし
てポリアクリル酸が製造されるが、本発明においてこれ
を中和してpH値が6〜9のポリアクリル酸塩水溶液と
することは、分散剤、洗剤ビルダー等の実際の用途にお
いては、ほぼ中性に中和されたポリアクリル酸塩が優れ
た性能を発現するからである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明においては、複数個の反応
器よりなり少なくとも第1反応器は槽型反応器である連
続反応装置を使用する。槽型反応器としては、反応生成
液の取り出しが可能であることを除けば、バッチ式の重
合において普通に使用されている重合器が使用でき、攪
拌機および温調用のジャケット等を有するものが好まし
い。第2反応器としては、槽型反応器を使用することも
できるし、管型反応器を使用してもよい。第2反応器と
して管型反応器を使用する場合、第1反応器および第2
反応器で単量体の重合および中和の各反応を完結するこ
とができる。すなわち、管型反応器として十分な長さを
有するものを使用すれば、該反応器の中で重合転換率を
高くすることができるし、またアルカリを添加する部位
の選択により、重合が進行する場所における水性媒体の
pHを管理することができる。第1反応器へ供給する成
分について述べる。まず、単量体としては、アクリル酸
単量体またはアクリル酸塩単量体を使用することができ
るが、第1反応器の反応液のpH値を3.5以下に管理
するためには、アクリル酸塩単量体の使用量は全単量体
の合計量を基準にして、10モル%以下が適当である。
なお、アクリル酸単量体のみを供給する場合、重合反応
液のpH値は0.1〜1程度となる。本発明において通
常第1反応器において、単量体の重合転換率が90%以
上となるような条件を選択して重合を行うことが好まし
く、その際に反応液のpH値が3.5より高いと、アク
リル系単量体と亜硫酸水素塩とが付加反応を起こし(ミ
カエル付加物を生成)、それが原因となって得られる重
合体の分子量分布が広くなる。上記アクリル酸単量体ま
たはアクリル酸塩単量体以外に、所望により全単量体の
合計量を基準にして、20質量%以下の範囲で、メタク
リル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸、マレイン酸、イタコン酸およびそれらの塩、並
びに(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等を併用し
てもよい。単量体は水溶液として供給することが好まし
く、単量体の水溶液濃度としては30〜60質量%が好
ましい。単量体の供給速度としては、生産効率および得
られる重合体の品質のバランスから、第1反応器に単量
体が1〜4時間程度滞留するような供給速度が好まし
い。本発明においては、第1反応器において重合反応の
90%以上を行うことが好ましく、そのためには用いる
単量体の大半を第1反応器に供給することが好ましい。
具体的には、用いる単量体の90%以上を第1反応器に
供給することが好ましく、さらに好ましくは95%以上
を第1反応器に供給することが好ましい。全単量体を第
1反応器に供給しない場合、当然のことながら残余の単
量体は第2反応器以降の反応器に供給する。
【0008】重合開始剤としては、ラジカルを発生し得
る化合物であれば使用可能であるが、過酸化物が好まし
く使用できる。過酸化物としては、過硫酸ナトリウム、
過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素およびタ
ーシャリーブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸
化物等が挙げられる。さらに好ましい過酸化物は、後述
する亜硫酸水素塩とともにレドックス系重合開始剤とな
りうる過酸化物であり、具体的には過硫酸ナトリウム、
過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩である。上記重合開始
剤は、例えば水性媒体等に希釈して、前記単量体とは別
の供給口から反応器に供給する。好ましい供給量は、単
量体100質量部あたり0.1〜20質量部であり、さ
らに好ましくは0.5〜10質量部である。また、本発
明においては目的とする重合体の分子量の調整のために
連鎖移動剤として、亜硫酸水素ナトリウムに代表される
亜硫酸水素塩を使用する。亜硫酸水素塩は、前記単量体
または重合開始剤と別の供給口から反応器に供給しても
よいが、反応器に供給する直前に単量体と混合してもよ
い。その好ましい使用量は、単量体の量(モル数)に対
して0.3〜50モル%であり、さらに好ましくは1.
0〜25モル%である。なお、反応温度としては、20
〜90℃が好ましく、さらに好ましくは30〜70℃で
ある。
【0009】第2反応器として槽型反応器を使用する場
合は、第2反応器における反応液のpH値を3.5以下
としてさらに重合を進行させることが好ましい。この場
合には、第2反応器の後にさらに第3反応器を置き、そ
こで中和をすることにより、最終的にpH値が6〜9の
ポリアクリル酸塩水溶液を得る。勿論、第2反応器まで
で製造工程を完結させてもよく、その場合には、該反応
器においてアリカリを添加して反応液をpH値6〜9に
中和する。槽型反応器の第2反応器には、第1反応器か
ら排出される反応液とゝもに、別途重合開始剤を供給す
ることが望ましい。それらの成分の第2反応器における
滞留時間としては、1〜4時間程度が好ましい。重合開
始剤の使用量は、単量体の供給量(第1反応器に供給す
る単量体の量)に対して0.1〜3質量部が好ましく、
さらに好ましくは、第1反応器に供給する重合開始剤の
量の0.1倍以上である。そして、第1および第2反応
器に供給する重合開始剤の合計量は、単量体に対して1
〜10質量%が好ましい。第2反応器における反応温度
は、40〜90℃が好ましい。第1反応器において単量
体の重合転換率が90%以上に到達する場合、さらに第
2反応器での重合を進行させることにより、98%以上
に重合転換率を高めることができる。
【0010】第2反応器として管型反応器を使用する場
合にも、反応温度および重合開始剤の使用量等に関して
は、前記と同様な条件を採用できる。管型反応器として
は、内側に反応液を流し、外側に熱媒や冷媒を流すこと
ができる二重管構造のものが好ましい。反応液を通過さ
せる管内には、反応液の混合状態をよくするために、エ
レメント、邪魔板等が設置されていてもよい。管長と管
径の比は、10倍以上が適当であり、好ましくは20倍
以上である。管型反応器に供給する重合開始剤は、一箇
所から全量を供給することもできるが、管の入り口から
出口の間の適当な複数の個所から分割して供給してもよ
い。反応液の好ましい滞留時間は、1〜4時間であり、
これは、反応液の供給速度と管型反応器の容量によって
決まる。アルカリの添加場所も特に制限はないが、単量
体の重合中はpH値が低いことが好ましいために、管の
後半部におけるアルカリの添加が好ましい。または、管
型反応器の後に、第3反応器として、槽型の中和槽を設
けてもよい。
【0011】上記したとおり、本発明に係るポリアクリ
ル酸塩水溶液の連続的製造方法に使用される連続反応装
置には、反応器として、槽型と管型との選択が可能であ
り、構成する反応器の個数にも選択可能の範囲がある
が、以下、図面を参照して、本発明の製造方法に使用さ
れる連続反応装置の1例に就いて説明する。図1は、本
発明において好ましく使用できる3個の槽型反応器より
なる連続反応装置の概略構成図である。図において、1
は第1の槽型反応器であり、11は重合開始剤供給管で
あり、12はアクリル系単量体供給管であり、13は連
鎖移動剤供給管であり、14は反応液排出管であり、1
5はポンプであり、16は攪拌機であり、17は攪拌機
駆動用モータである。2は第2の槽型反応器であり、2
1は第1の槽型反応器1から排出された反応液を第2の
槽型反応器2に供給する反応液供給管であり、22は重
合開始剤供給管であり、23は反応液排出管であり、2
4はポンプであり、25は攪拌機であり、26は攪拌機
駆動用モータである。3は第3の槽型反応器であり、3
1は第2の槽型反応器2から排出された反応液を第3の
槽型反応器3に供給する反応液供給管であり、32はア
ルカリ供給管であり、33は重合体排出管であり、34
はポンプであり、35は攪拌機であり、36は攪拌機駆
動用モータである。4は重合体採取管である。
【0012】
【実施例1】本実施例においては、図1に示す連蔵反応
装置を使用してpH値が6〜9のポリアクリル酸塩水溶
液を製造した。第1反応器、第2反応器および第3反応
器として用いた槽型反応器は、いずれも内容積3リット
ルのものである。アクリル酸6720gを水6515g
に溶解して、アクリル酸を50.8重量%に含むアクリ
ル酸水溶液13235gを調製した。連鎖移動剤として
の亜硫酸水素ナトリウムを濃度27.7重量%で含む亜
硫酸水素ナトリウム水溶液1457gと、重合開始剤と
して6.0重量%の過硫酸ナトリウム水溶液1120g
を第1反応器への供給用原料として、調製した。また、
第2反応器への供給用原料として25.0重量%の過硫
酸ナトリウム水溶液403gを、また第3反応器に供給
する原料として48重量%の水酸化ナトリウム水溶液6
994gを、それぞれ別途調製した。上記の原料は、図
1に表したように配管およびポンプで各反応器と連結し
た。
【0013】上記したように調整したアクリル酸水溶液
と亜硫酸水素ナトリウム水溶液と過硫酸ナトリウム水溶
液とを、第1反応器1に供給した。アクリル酸水溶液と
亜硫酸水素ナトリウム水溶液と過硫酸ナトリウム水溶液
とは、それぞれ、アクリル酸系単量体供給管12と、連
鎖移動剤供給管13と、重合開始剤供給管11とを介し
て供給され、それぞれの供給速度は、アクリル酸水溶液
が27.57g/分、亜硫酸水素ナトリウム水溶液が
3.035g/分、過硫酸ナトリウム水溶液が2.33
3g/分であり、反応液量は2.7リットルに維持し
た。このとき、ポンプ15が使用されたことは言うまで
もない。攪拌機駆動用モータ17によって駆動される攪
拌機16を使用して攪拌しながら、第1反応器1中にお
いて重合反応を進行させた。第1反応器における反応条
件は、反応媒体のpH値2.0で、反応温度50℃で、
滞留時間1.5時間である。
【0014】つぎに、第2反応器には、第1反応器によ
る反応生成物および重合開始剤を以下のように供給し
た。すなわち、上記反応生成物を反応液排出管14と反
応液供給管21とを介して第2反応器2に供給するとと
もに、前記過硫酸ナトリウム水溶液を0.840g/分
の供給速度をもって、重合開始剤供給管22を介して第
2反応器2に供給した。第2反応器および第3反応器に
ついても、反応液量を2.7リットルに維持した。第2
反応器における反応条件は、反応媒体のpH値2.0
で、反応温度50℃で、滞留時間1.5時間である。第
2反応器による反応生成物は、第3反応器において水酸
化ナトリウムにより中和されpH値が8.0のポリアク
リル酸ソーダ水溶液を得た。なお、第3反応器の反応液
温度は70℃、そこでの滞留時間は70分である。上記
方法によって製造されたポリアクリル酸ソーダの重量平
均分子量、分子量分布、マイケル付加物の含有量、単量
体の重合転換率(以下単に反応率という)等は、表1に
記載のとおりである。
【0015】なお、上記分子量またはマイケル付加物の
含有量等の測定は以下の方法によった。 イ)重量平均分子量(Mw)・数平均分子量(Mn)・
分子量分布(Mw/Mn)の測定;ゲルパーミェーショ
ンクロマトグラフィー法を使用。使用した分離カラム
は、東ソー株式会社製商品名TSK−gelG4000
PWXL+G3000PWXL+G2500PWXL
(3本を直列に接続)であり、溶離液は0.1MNaC
1を含むリン酸緩衝液である。 ロ)マイケル附加物の含有量;イオンクロマトグラフィ
ー法を使用。使用した分離カラムは、東ソー株式会社製
商品名TSK−gel IC−Anion―PWであ
り、溶離液はグルコン酸カリ溶液である。 ハ)反応率;高速液体クロマトグラフィー法を使用して
未反応単量体の含有量を測定した。使用した分離カラム
は、株式会社日立製作所製HPLCパックドカラム#3
056であり、溶離液は0.1%リン酸緩衝液である。
【0016】
【実施例2】本実施例においても、図1に示す連蔵反応
装置を使用することゝし、第1反応器1内の反応温度を
70℃とした以外は、すべて実施例1と同様な操作を行
い、固形分濃度が40%の重合体水溶液を得た。また、
この実施例における第1反応器1・第2反応器2内の反
応液のpH値は、それぞれ、2.8、2.8であり、第
2反応器2内の反応液の反応率は99.8%であった。
【0017】
【実施例3】本実施例においても、図1に示す連続反応
装置を使用することゝし、第3反応器3に14.571
g/分の供給速度をもって水酸化ナトリウム水溶液の全
量を供給する工程に代えて、それぞれ、第1反応器1に
は1.619g/分の供給速度をもって、第3反応器3
には12.952g/分の供給速度をもって、水酸化ナ
トリウム水溶液を2工程に分割して供給した以外は、す
べて実施例1と同様な操作を行い、固形分濃度が40%
の重合体水溶液を得た。この実施例における第1反応器
1・第2反応器2内の反応液のpH値は、それぞれ、
3.2、3.2であり、第2反応器2内の反応液の反応
率は99.8%であった。
【0018】
【実施例4】第1反応器1に供給する重合開始剤を3.
0重量%の過硫酸ナトリウム水溶液1120gに変更し
たことゝ、第2反応器2内の滞留時間が30分になるよ
うに第2反応器2内の液量を900mLに低減したこと
以外は、すべて実施例2と同様な操作を行い、固形分濃
度が40%の重合体水溶液を得た。この実施例における
第1反応器1・第2反応器2の反応液のpH値は、それ
ぞれ、2.8、2.8であり、第2反応器2内の反応液
の反応率は97.0%であった。
【0019】
【実施例5】第1反応器1の反応温度を80℃とした以
外は、すべて実施例1と同様な操作を行い、固形分濃度
が40%の重合体水溶液を得た。この実施例5における
第1反応器1・第2反応器2の反応液のpH値は、それ
ぞれ、2.8、2.8であり、第2反応器2内の反応液
の反応率は99.8%であった。
【0020】
【比較例1】本比較例においても、図1に示す連蔵反応
装置を使用することゝし、下記(1)(2)および
(3)以外の条件は、すべて、実施例1と同様な操作を
行い、固形分濃度が40%の重合体水溶液を得た。この
ときの第1反応器1・第2反応器2の反応液のpH値
は、それぞれ、7.0、7.0であり、第2反応器2内
の反応液の反応率は99.8%であった。実施例1の工
程と異なるところは、(1)アクリル酸6720gを水
6515gに溶解した水溶液に、48重量%の水酸化ナ
トリウム水溶液5828gを徐々に加えて、全アクリル
酸の75モル%を予め部分中和した単量体水溶液(単量
体濃度は43.3重量%)19063gを調製したこ
と、(2)この単量体水溶液を、39.71g/分の供
給速度をもって第1反応器1に供給したこと、(3)4
8重量%の水酸化ナトリウム水溶液1166gを2.4
29g/分の供給速度をもって第3反応器3に供給した
ことである。
【0021】
【比較例2】下記以外は、すべて、実施例1と同様な操
作を行い、固形分濃度が40%の重合体水溶液を得た。
このときの第1反応器1・第2反応器2内の反応液のp
H値は、それぞれ、4.5、4.5であり、第2反応器
2の反応液の反応率は99.8%であった。実施例1の
工程と異なるところは、(1)アクリル酸6720gを
水6515gに溶解した水溶液に、48重量%の水酸化
ナトリウム水溶液2331gを徐々に加えて、全アクリ
ル酸の30モル%を予め部分中和した単量体水溶液(単
量体濃度は47.1重量%)15566gを調製したこ
と、(2)この単量体水溶液を32.43g/分の供給
速度にて第1反応器に供給したこと、(3)48重量%
の水酸化ナトリウム水溶液4663gを9.715g/
分の供給速度にて第3反応器に供給したことである。
【0022】以上に記載した実施例5件と比較例2件と
の効果確認試験の結果を、反応温度・pH値・反応率と
ゝもに、下記の表1に示す。表示項目は、第1反応器1
の反応温度と第1反応器1・第2反応器2のpH値と第
2反応器2内の反応液の反応率と重量平均分子量(M
w)と分子量分布(Mw/Mn)とマイケル附加物の含
有量とである。
【0023】
【表1】
【0024】上記の表から明らかなように、いずれの実
施例においても、マイケル附加物の含有量は、比較例に
比して顕著に少ない。そして、分子量分布も、重量平均
分子量が近似している実施例4と比較例1、2とを比較
すれば、実施例の値が比較例に比して顕著に小さい。さ
らに、実施例における反応率は、99%程度であり、既
に概ね満足すべき値である。冒頭に述べた従来技術にお
ける連続重合法では、これらの特性要素が回分式(バッ
チ式)による製造法よりも劣っていたが、本発明によれ
ば、回分式によって得られる重合体と同等以上の高性能
なものが得られることが分かった。
【0025】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
連続的方法により高い生産効率で、重量平均分子量20
00〜30000程度の低分子量の重合体を、極めて狭
い分子量分布でかつ98%以上の高反応率で製造でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に使用する3個の槽型反応器より
なる連続反応装置の概略構成図である。
【符号の説明】 1 第1の槽型反応器 11 重合開始剤供給管 12 アクリル系単量体供給管 13 連鎖移動剤供給管 14 反応液排出管 15 ポンプ 16 攪拌機 17 攪拌機駆動用モータ 2 第2の槽型反応器 21 反応液供給管 22 重合開始剤供給管 23 反応液排出管 24 ポンプ 25 攪拌機 26 攪拌機駆動用モータ 3 第3の槽型反応器 31 反応液供給管 32 アルカリ供給管 33 重合体排出管 34 ポンプ 35 攪拌機 36 攪拌機駆動用モータ 4 重合体採取管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 美保 亨 愛知県名古屋市港区昭和町17番地23 東亞 合成株式会社生産技術研究所内 Fターム(参考) 4J011 HA02 HB01 HB12 HB19 HB24 4J100 AJ02P AK08P CA03 CA04 DA01 FA19 FA27 FA39 FA47

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル酸単量体またはアクリル酸塩単
    量体を主体とするアクリル系単量体を水性媒体中で重合
    させてポリアクリル酸塩を連続的に製造するにあたり、
    複数個の反応器よりなり少なくとも第1反応器は槽型反
    応器である連続反応装置を使用し、前記第1反応器内
    に、前記アクリル系単量体、重合開始剤および亜硫酸水
    素塩を連続的に仕込みながら、pH値を3.5以下に維
    持した水性媒体中で前記単量体の重合を行い、該第1反
    応器から排出される反応液を第2反応器に連続的に仕込
    み、該反応器において重合を継続するとともに、第2反
    応器または第3反応器以降の反応器において反応液にア
    ルカリを添加して中和することを特徴とするpH値が6
    〜9のポリアクリル酸塩水溶液の連続的製造方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも3個の槽型反応器からなる連
    続反応装置を使用し、前記第2反応器中においても、p
    H値を3.5以下に維持した水性媒体中で前記単量体の
    重合を行うことを特徴する請求項1記載のpH値が6〜
    9のポリアクリル酸塩水溶液の連続的製造方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも前記第1反応器は槽型反応器
    であり少なくとも前記第2反応器は管型反応器である連
    続反応装置を用いることを特徴とする請求項1記載のp
    H値が6〜9のポリアクリル酸塩水溶液の連続的製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記製造されるポリアクリル酸塩の重量
    平均分子量は2000〜30000であることを特徴と
    する、請求項1、2、または、3記載のpH値が6〜9
    のポリアクリル酸塩水溶液の連続的製造方法。
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