JP3820940B2 - 水溶性重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、アクリル酸等の水溶性ビニル系単量体を必須成分として製造する水溶性重合体の製造方法に関する。本発明によれば、分散剤、キレ−ト剤等として有用な、分子量分布の狭い水溶性重合体を効率的に生産できる。
【0002】
【従来の技術】
アクリル酸等の水溶性ビニル系単量体を主成分とし、これを重合して製造する水溶性重合体は、分散剤、キレ−ト剤等として有用である。これらの用途に用いる水溶性重合体の重量平均分子量は2000〜10000程度が好ましく、また重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで除した商Mw/Mn、すなわち分散度等で表される分子量分布はできるだけ狭いことが好ましい。
【0003】
分子量分布の広い重合体を分散剤等の用途に使用すると、分散性能等が劣る問題があり、このため分子量分布の狭い水溶性重合体の製造方法が求められている。
【0004】
しかし、上記要求を充分満たすことのできる分子量分布の狭い水溶性重合体の製造は現実には困難を伴っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、前記問題を解決するために鋭意検討しているうちに、以下に述べる考え方に想到した。即ち、水溶性重合体の製造においては、通常反応器へ単量体や重合開始剤等の重合原料を供給して重合を行うが、反応液は重合体を含んでいるので粘度が高くなっている。このため、バッチ式重合装置を用いる場合、供給する重合原料は反応液中へ迅速に拡散できず、その結果高濃度の重合原料の偏在箇所が生じていると考えた。
【0006】
例えば、反応液中に単量体が高濃度に偏在する箇所があると、この箇所で生成する水溶性重合体は分子量が極端に高くなる。この分子量の極端に高い水溶性重合体の存在は、最終的に得られる水溶性重合体の分子量分布を広いものにする。
【0007】
この分子量分布を広いものにする問題は、連続重合装置を用いる製造方法においても同様に起きる。連続重合の場合は、反応器内の反応液に常時一定量の重合体が含まれているので、重合原料はさらに偏在しやすい状況にあるといえ、前記同様に分子量分布の広い水溶性重合体が得られる。
【0008】
そこで、本発明者等は水溶性ビニル系単量体を必須成分とし、これを重合する水溶性重合体の製造方法において、撹拌効率を重点的に検討した。その結果、重合時に、反応器の反応液1m3当たりの撹拌所要動力Pv(kw/m3)を、0.5以上の範囲に制御すると、分子量分布の狭い重合体が得られる事を見出した。
【0009】
重合時においては、反応器内に単量体及び重合開始剤等を供給するが、この場合Pvが0.5未満なら、各原料が反応液中へ拡散するまでに時間がかかり、単量体が高濃度で偏在した状態で重合するため、極端な高分子量の水溶性重合体が生成する。
【0010】
一方、Pvを0.5以上に制御すれば、各原料は速やかに反応液中へ拡散するので、単量体は反応液で希釈された状態で重合し、極端な高分子量の水溶性重合体は生成しない。その結果、分子量分布の狭い重合体が得られる。更に、撹拌翼の形状を検討した結果、特定の形状のものを使用すると、より好ましい結果を得ることを知得した。
【0011】
本発明は上記考察及び発見の結果完成するに至ったものである。
【0012】
従って、本発明の目的とするところは、分子量分布の狭い水溶性重合体の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は以下に記載するものである。
【0014】
〔1〕 水溶性ビニル系単量体を水性媒体中で重合させて水溶性重合体を製造するにあたり、重合を実施する反応器として撹拌槽型反応器を用い、重合工程において反応器の反応液1m3当たりの撹拌所要動力Pv(kw/m3)を、0.5以上の範囲に制御する事を特徴とする水溶性重合体の製造方法。
【0015】
〔2〕 重合を実施する反応器の撹拌回転軸に装着する撹拌翼が2枚の垂直に保持された羽根板からなる2段のパドル翼であって、各パドル翼は上下方向に配置し、各パドル翼の羽根板は軸対称に装着し、羽根板の高さは翼径の1/2以上の大きさであり、下段パドル翼の翼径は反応器内径の1/2以上であり、下段パドル翼の外端側は後退羽根に形成し、下段パドル翼は反応器の底面に近接して配置し、上段パドル翼及び下段パドル翼と反応器内面との間にはバッフルまたは邪魔板を設置できる空間を有し、上段パドル翼の翼径は下段パドル翼の翼径より小さくし、上段パドル翼と下段パドル翼の翼間距離は反応器内径の20%以下であり、上段パドル翼と下段パドル翼は外端側において互いに上下方向に部分的にオ−バ−ラップし、上段パドル翼は下段パドル翼に対して45〜75度の交差角度で回転方向に先行してなる〔1〕に記載の水溶性重合体の製造方法。
【0016】
〔3〕 重合を実施する反応器の撹拌回転軸に装着するパドル翼であって、パドル翼は反応器の底面に近接して配置し、パドル翼より上位部分にア−ム部分と該ア−ム部分と直角方向に延びるストリップから構成される格子翼を装着し、格子翼はストリップの間隔を撹拌回転軸から遠ざかるに従って狭く配置してなる〔1〕に記載の水溶性重合体の製造方法。
【0017】
〔4〕 複数個の反応器よりなり、少なくとも第1反応器は撹拌槽型反応器である連続反応装置を使用し、前記第1反応器が重合反応を実施する反応器である〔1〕乃至〔3〕の何れかに記載の水溶性重合体の製造方法。
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の水溶性重合体の製造方法は、上述のように、撹拌槽型反応器を用い、重合工程において反応液1m3当りの撹拌所要動力Pv(kw/m3)を、0.5以上、好ましくは0.8〜2.5の範囲に制御することを特徴とする。
【0020】
本発明において使用する反応装置は、反応器1個からなるバッチ式反応装置、及び複数個の反応器よりなる連続反応装置の何れも使用できる。連続反応装置の場合は、少なくとも第1反応器として槽型反応器を用いる。連続重合の場合は、単量体及び重合開始剤を供給する反応器において、Pvを0.5以上、好ましくは0.8〜2.5に制御すれば良い。連続反応装置の第2反応器としては、槽型反応器を使用することもできるし、管型反応器を使用することもできる。槽型反応器は、撹拌翼以外は前記第1反応器と同様の構成のものが好ましい。
【0021】
第2反応器として管型反応器を使用する場合、第2反応器で単量体の重合および中和の各反応を完結することができる。即ち、管型反応器として十分な長さを有するものを使用すれば、該反応器の中で重合転換率を高くすることができ、更にアルカリを添加する部位を選択することにより、重合が進行する場所における反応液のpHを管理することができる。
【0022】
槽型反応器としては、連続重合に適するように反応液の取り出しを可能にする手段を備えていることを除けば、バッチ式の重合において通常使用している反応器が使用できる。槽型反応器は、後で詳述する攪拌機、及び温調用のジャケット等を有するものが好ましい。
【0023】
バッチ式で用いる反応器または連続反応装置の第1反応器の撹拌翼は、フルゾ−ン型の撹拌翼、または、マックスブレンド型の撹拌翼が好ましい。
【0024】
図1は、本発明に用いて好適なバッチ用反応器または連続反応装置の第1反応器の一例を示すもので、図1(A)は側面断面概略図、図1(B)は平面断面概略図である。図1(A)中、2は円筒状反応槽で、該反応槽の上下は外方に膨出した上部蓋4及び底部6により閉塞している。また、反応槽2は上部蓋4を除くほぼ全表面に温度調節用ジャケット8を備えている。
【0025】
前記反応槽2内には、上部蓋4を貫通して撹拌回転軸10を回転自在に挿入すると共に、撹拌回転軸10には、上段パドル翼12、下段パドル翼14を取付けてある。なお、撹拌回転軸10の上部は不図示の減速機付モータに連結してある。
【0026】
前記撹拌回転軸10に取付けた上段パドル翼12の羽根板12aと12bは略長方形で、その撹拌回転軸10から離れた外端側下部には長方形のフィン12c、12dを一体に形成してある。上段羽根板の撹拌回転軸10の軸方向に沿った高さLは、上段パドル翼12の翼径Mの1/2以上である。また、羽根板12aと12bとは軸対象に撹拌回転軸10に取付けてある。
【0027】
前記撹拌回転軸10に取付けた下段パドル翼14の羽根板14aと14bは略長方形で下端は底部6の内壁に沿ってなだらかな楕円弧に形成すると共に、撹拌回転軸10から離れた外端側は30〜60度の角度Pで回転方向の逆方向に折曲げて後退翼14c、14dを形成している。
【0028】
下段羽根板14a、14bの撹拌回転軸10の軸方向に沿った高さNは、下段パドル翼14の翼径Qの1/2以上である。撹拌回転軸10の中心から後退翼までの長さ(折曲げ部までの長さ)Rは翼径Qの50〜80%が好ましい。
【0029】
なお、羽根板14aと14bとは軸対象に撹拌回転軸10に取付けてある。
【0030】
上段パドル翼12の翼径Mは、下段パドル翼14の翼径Qの70〜95%が好ましい。
【0031】
上段パドル翼12と下段パドル翼14との翼間距離Sは反応器内径の20%以下である。
【0032】
上段パドル翼12と、下段パドル翼14とは、フィン12c、12dの回転軌跡内において部分的にオーバーラップする。
【0033】
上段パドル翼12は、下段パドル翼14に対して45〜75度の交差角度Tで、撹拌回転軸10の回転方向に先行して回転軸10に装着してある。
【0034】
前記反応槽2内壁には、上段パドル翼12の高さとほぼ同等の長さの複数(本図では4個)の邪魔板16を上段パドル翼12に対向して垂直に取付けてある。邪魔板の数としては、2〜4個が好ましい。
【0035】
図2は、本発明に用いて好適な反応器の他の例を示すもので、図2(A)は側面断面概略図、図2(B)は平面断面概略図である。図2(A)中、20は図1の反応槽と同様の構成の円筒状反応槽で、その内部に挿入した撹拌回転軸22にパドル翼24を装着している。前記パドル翼は前記回転軸の軸対象に形成してあり、略長方形で、その下端26は、反応槽20の底壁に倣って下方に膨出した楕円弧に形成すると共に、パドル翼24上部には水平に形成したアーム部分32と、前記アーム部分から直角方向にのびるストリップ34とから構成される格子翼36とを一体に形成してなる。そして、格子翼36はストリップ34の間隔を撹拌回転軸22から遠ざかるに従って狭くしてある。
【0036】
その他の構成は、図1と同様であるからその説明は省略する。
【0037】
次に、バッチ式で用いる反応器または連続反応装置の第1反応器に供給する各成分について述べる。
【0038】
水溶性ビニル系単量体としては、アクリル酸単量体またはアクリル酸塩単量体を主体とするアクリル系単量体を挙げることができる。
【0039】
アクリル酸単量体、アクリル酸塩単量体は単独で、または混合して、更には後述するその他の単量体を併用して重合に供することができる。アクリル酸塩としては、アクリル酸のナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等を例示できる。
【0040】
連鎖移動剤に亜硫酸水素塩を用いる場合は、反応器内の反応液のpH値は3.5以下に管理することが好ましい。反応液のpH値が3.5より高いと、アクリル系単量体と、連鎖移動剤として用いる亜硫酸水素塩とが付加反応を起こし(ミカエル付加物を生成)、それが原因となって、得られる重合体の分子量分布が広くなる。
【0041】
反応器の反応液のpH値を3.5以下に管理するためには、アクリル酸塩単量体の使用量は全単量体の合計量を基準にして、10モル%以下が適当である。なお、アクリル酸単量体のみを第1反応槽に供給する場合、反応液のpH値は0.1〜2程度となる。
【0042】
上記アクリル酸単量体またはアクリル酸塩単量体以外の単量体としては、メタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、マレイン酸、イタコン酸およびそれらの塩、並びに(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等を例示できる。
【0043】
これら単量体は水溶液として反応器に供給することが好ましい。単量体の水溶液濃度としては各単量体の合計量で30〜60質量%が好ましい。
【0044】
単量体の供給速度としては、生産効率および得られる重合体の品質のバランスから、第1反応器に反応液が0.5〜4時間滞留するような供給速度が好ましい。
【0045】
連続反応装置を用いて重合を行う場合は、第1反応器において、単量体の重合転換率が90%以上となるような条件を選択する。そのためには用いる単量体の大半を第1反応器に供給する。具体的には、用いる単量体の95%以上を第1反応器に供給することが好ましく、さらに好ましくは100%を第1反応器に供給する。
【0046】
全単量体を第1反応器に供給しない場合、残余の単量体は第2反応器以降の反応器に供給することになる。
【0047】
重合開始剤は、ラジカルを発生し得る化合物であれば何れの重合開始剤でも使用可能であるが、過酸化物が好ましい。過酸化物としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素およびターシャリーブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられる。さらに好ましい過酸化物は、後述する亜硫酸水素塩と共にレドックス系重合開始剤となりうる過酸化物である。具体的には過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩を挙げることができる。
【0048】
上記重合開始剤は、例えば水性媒体等で希釈し、前記単量体とは別の供給口から反応器に供給することが好ましい。重合開始剤の好ましい供給量は、単量体100質量部あたり0.1〜20質量部であり、さらに好ましくは0.3〜5質量部である。
【0049】
また、本発明においては目的とする重合体の分子量の調整のために連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤としては、亜硫酸水素ナトリウムに代表される亜硫酸水素塩が好ましい。亜硫酸水素塩は、前記単量体または重合開始剤と別の供給口から反応器に供給してもよいが、反応器に供給する直前に単量体と混合してもよい。その好ましい使用量は、単量体の量(モル数)に対して0.3〜50モル%であり、さらに好ましくは1.0〜25モル%である。
【0050】
反応温度は、20〜100℃が好ましく、さらに好ましくは30〜80℃である。
【0051】
上記条件を選択することにより、反応器(連続反応装置を用いる場合は第1反応器)において単量体の重合転換率を90%以上にすることができる。
【0052】
連続反応装置を用いる場合は、第1反応器中で重合転換率が90%以上になった反応液を、次いで第2反応器に連続的に送り、更に重合反応を進める。
【0053】
第2反応器として槽型反応器を使用する場合は、第2反応器における反応液のpH値を3.5以下としてさらに重合を進行させることが好ましい。この場合には、第2反応器の後にさらに第3反応器を置き、そこで中和をすることにより、最終的にpH値が6〜9のアクリル系重合体塩水溶液を得ることができる。勿論、第2反応器までで製造工程を完結させてもよく、その場合には、該反応器においてアリカリを添加して反応液をpH値6〜9に中和する。
【0054】
第2反応器に槽型反応器を用いる場合、第1反応器から排出される反応液と共に、別途重合開始剤を第2反応器に供給することが望ましい。それらの成分の第2反応器における滞留時間としては、0.5〜4時間程度が好ましい。重合開始剤の使用量は、単量体の供給量(第1反応器に供給する単量体の量)100質量部に対して0〜3質量部が好ましい。そして、第1および第2反応器に供給する重合開始剤の合計量は、単量体合計量を100質量部とすると0.1〜20質量部が好ましい。
【0055】
第2反応器における反応温度は、40〜90℃が好ましい。第1反応器において単量体の重合転換率を90%以上にし、さらに第2反応器における重合を進行させることにより、全体として98%以上に重合転換率を高めることができる。
【0056】
第1反応器の反応液中に連鎖移動剤として亜硫酸水素塩を加える場合は、前記第2反応器の反応液に分子状酸素を吹込むことが好ましい。分子状酸素源としては空気が好ましい。分子状酸素の吹込みにより、亜硫酸水素塩が酸化されて失活し、第2反応器中で生成する重合体の分子量低下を防止する。分子状酸素の吹き込み量は、亜硫酸水素が失活するのに充分な量であれば特に制限がない。
【0057】
第2反応器として管型反応器を使用する場合にも、反応温度および重合開始剤の使用量等に関しては、前記槽型反応器と同様の条件を採用できる。
【0058】
管型反応器としては、内側に反応液を流し、外側に熱媒や冷媒を流すことができる二重管構造のものが好ましい。反応液を通過させる管内には、反応液の混合状態をよくするために、エレメント、邪魔板等を設置してもよい。管長と管径の比は、10倍以上が適当であり、好ましくは20倍以上である。管型反応器に供給する重合開始剤は、一箇所から全量を供給することもできるが、管の入り口から出口の間の適当な複数の個所から分割して供給してもよい。反応液の好ましい滞留時間は、0.5〜4時間である。これは、反応液の供給速度と管型反応器の容量によって決まる。
【0059】
アルカリの添加場所も特に制限はないが、前述のように単量体の重合中はpH値を低く保つことが好ましいので、管の後半部におけるアルカリの添加が好ましい。または、管型反応器の後に、第3反応器として、槽型の中和槽を設けてもよい。
【0060】
【実施例】
実施例1
本実施例においては、図3に示す3個の槽型反応器よりなる連続反応装置を使用して水溶性重合体を製造した。第1槽型反応器50は、ジャケット、還流冷却器、トルクメ−タ−つき撹拌機を備えた容積3リットルの反応器であった。この反応器50は図4にその寸法(単位mm)を示すように、内径150mm、高さ230mm、底部の高さ50mmであり、底部から80mm上方に幅10mm、高さ100mmの邪魔板を90度の間隔で4カ所に設置した。
【0061】
第1反応器50の撹拌翼は、上下2段からなり、上段パドル翼は、翼径80mm、翼高80mm、フィン部の横幅10mm、フィン部の突き出し長さ20mmであり、下段パドル翼は、回転半径45mm、中央部の翼高80mm、外端部の翼高70mm、軸の中心と折り線までの距離30mm、折り曲げ角45度の後退翼であり、上段パドル翼・下段パドル翼の交差角度45度、翼間距離15mmのものを使用した。また、下段パドル翼下端と槽底との距離を10mmとした。
【0062】
第2の槽型反応器52には、第1槽型反応器と同一のジャケット、還流冷却器、撹拌機を備えた容積3リットルの反応器を使用した。但し、第2反応器52の撹拌翼は、ファウドラ−翼を設置した。第3槽型反応器54は、第2反応器52と同一であった。第3反応器の撹拌翼は、ファウドラ−翼を設置した。
【0063】
なお、重合開始前の第1反応器及び第2反応器には、予め重量平均分子量が6000のポリアクリル酸水溶液を2.4L入れ、第3反応器には、予め重量平均分子量が6000のポリアクリル酸ソーダ水溶液を2.4L入れた。第1反応器50は260回転/分、第2反応器52は400回転/分、第3反応器54は400回転/分で撹拌した。
【0064】
一方、第1反応器50へ供給する原料溶液として、60.0質量%のアクリル酸水溶液19kgと、連鎖移動剤として濃度28.0質量%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液3.4kgと、重合開始剤として5質量%過硫酸ナトリウム水溶液2.4kgとをそれぞれ調製した。また、第3反応器に供給する原料溶液として48質量%の水酸化ナトリウム水溶液15kgを調製した。
【0065】
上記アクリル酸水溶液と亜硫酸水素ナトリウム水溶液と過硫酸ナトリウム水溶液とを水溶性ビニル系単量体供給管と、連鎖移動剤供給管と、重合開始剤供給管とを介して第1反応器に供給し、重合を開始した。これらの供給速度は、アクリル酸水溶液が26.2g/分、亜硫酸水素ナトリウム水溶液が4.55g/分、過硫酸ナトリウム水溶液が3.19g/分であった。
【0066】
第1反応器における反応条件は、反応温度は70℃、液量は2.4Lに制御し、滞留時間は85分であった。
【0067】
第1反応器50中の反応液を第1反応器50の最下部に連結した反応液排出管から取りだし、反応液供給管を介して第2反応器52に供給した。第2反応器52における反応条件は、反応温度は70℃、液量は2.4Lに制御し、滞留時間は85分であった。
【0068】
第2反応器52中の反応液は、同様にして第3反応器54に供給し、ここで水酸化ナトリウム水溶液によりpH値を7.5となるよう中和した後、反応液排出管から取りだした。なお、第3反応器の反応液温度は70℃、液量は2.4Lに制御し、滞留時間は60分であった。
【0069】
上記の条件で、12時間重合を継続させた後、第3反応器54の反応液排出管より目的とする水溶性重合体を得た。運転中の第1反応器50の撹拌機のトルク値Tは、0.066(N・m)であった。水溶性重合体の重量平均分子量、分子量分布、第1反応器50の単位容積当たりの撹拌動力Pv等は、表1に記載の通りである。
【0070】
なお、上記分子量等の測定は以下の方法によった。
【0071】
(イ)重量平均分子量(Mw)・数平均分子量(Mn)・分子量分布(Mw/Mn)の測定;ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−法によった。使用した分離カラムは、東ソ−株式会社製商品名TSK−gelG4000PWXL+G3000PWXL+G2500PWXL(3本を直列に接続)であり、溶離液は0.1MNaClを含むリン酸緩衝液である。
【0072】
(ロ)Pv;トルク値T(N・m)、撹拌の回転数n(1/s)、反応液の体積V(m3)の各値を式Pv=2πnT/Vに代入して算出した。
【0073】
実施例2
実施例1において用いた反応装置を用いて重合を行った。但し、第1反応器の撹拌翼は図5にその寸法を示す撹拌翼に交換した。即ち、撹拌翼の寸法は、回転半径40mm、中央部の翼高160mm、外端部の翼高155mmであり、最上部のア−ム部分の幅5mmであり、該ア−ム部の下位にあるストリップは、撹拌回転軸から25mmの位置にあり、ストリップの高さ110mm、幅5mmであった。翼下端と槽底との距離を10mmとした。上記反応装置を用いて、第1反応器を360回転/分で撹拌した以外は、実施例1と同様の方法で水溶性重合体の製造を行った。運転中の第1反応器の撹拌機のトルク値は、0.10(N・m)であった。得られた結果を表1に示した。
【0074】
比較例1
実施例1で用いた反応装置を用いて第1反応器を150回転/分で撹拌した以外は、実施例1と同様の方法で水溶性重合体の製造を行った。運転中の第1反応器の撹拌のトルク値は、0.030(N・m)であった。得られた結果を表1に示した。
【0075】
【表1】
【0076】
【発明の効果】
本発明の水溶性重合体の製造方法においては、重合工程における撹拌所要動力Pvを0.5以上に制御しているので、分子量分布の狭い水溶性重合体を製造できる。分子量分布の狭い水溶性重合体は、分散剤、ビルダー、キレート剤等として工業上有用なものである。
【0077】
更に、撹拌翼として特定の形状を有する反応器を使用する場合は、更に簡単に分子量分布の狭い水溶性重合体を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において使用する反応器の一例を示す、(A)は概略側面断面模式図、(B)は概略平面断面模式図である。
【図2】本発明において使用する反応器の他の例を示す、(A)は概略側面断面模式図、(B)は概略平面断面模式図である。
【図3】本発明において使用する連続反応装置の一例を示すフロー図である。
【図4】実施例1おいて使用する反応器の寸法を示す、(A)は概略側面断面模式図、(B)は概略平面断面模式図である。
【図5】実施例2において使用する反応器の寸法を示す、(A)は概略側面断面模式図、(B)は概略平面断面模式図である。
【符号の説明】
2 反応槽
4 上部蓋
6 底部
8 ジャケット
10 撹拌回転軸
12 上段パドル翼
12a、12b 羽根板
12c、12d フィン
14 下段パドル翼
14c、14d 後退翼
N 高さ
M、Q 翼径
R 折曲げ部までの長さ
S 翼間距離
T 交差角度
16 邪魔板
20 反応槽
22 撹拌回転軸
24 パドル翼
26 下端
32 アーム部分
34 ストリップ
36 格子翼
Claims (4)
- アクリル酸単量体を必須とする水溶性ビニル系単量体を、亜硫酸水素塩の存在下で水性媒体中で重合させて水溶性重合体を製造するにあたり、重合を実施する反応器として撹拌槽型反応器を用い、重合工程において反応器の反応液1m3当たりの撹拌所要動力Pv(kw/m3)を0.5以上の範囲に制御する事を特徴とする重量平均分子量が2000〜10000の水溶性重合体の製造方法。
- 重合を実施する反応器の撹拌回転軸に装着する撹拌翼が2枚の垂直に保持された羽根板からなる2段のパドル翼であって、各パドル翼は上下方向に配置し、各パドル翼の羽根板は軸対称に装着し、羽根板の高さは翼径の1/2以上の大きさであり、下段パドル翼の翼径は反応器内径の1/2以上であり、下段パドル翼の外端側は後退羽根に形成し、下段パドル翼は反応器の底面に近接して配置し、上段パドル翼及び下段パドル翼と反応器内面との間にはバッフルまたは邪魔板を設置できる空間を有し、上段パドル翼の翼径は下段パドル翼の翼径より小さくし、上段パドル翼と下段パドル翼の翼間距離は反応器内径の20%以下であり、上段パドル翼と下段パドル翼は外端側において互いに上下方向に部分的にオ−バ−ラップし、上段パドル翼は下段パドル翼に対して45〜75度の交差角度で回転方向に先行してなる請求項1に記載の水溶性重合体の製造方法。
- 重合を実施する反応器の撹拌回転軸に装着するパドル翼であって、パドル翼は反応器の底面に近接して配置し、パドル翼より上位部分にア−ム部分と該ア−ム部分と直角方向に延びるストリップから構成される格子翼を装着し、格子翼はストリップの間隔を撹拌回転軸から遠ざかるに従って狭く配置してなる請求項1に記載の水溶性重合体の製造方法。
- 複数個の反応器よりなり、少なくとも第1反応器は撹拌槽型反応器である連続反応装置を使用し、前記第1反応器が重合反応を実施する反応器である請求項1乃至3の何れかに記載の水溶性重合体の製造方法。
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