JP5603571B2 - 車両用灯具 - Google Patents

Description

本発明は、車両後方へ湾曲する導光レンズの基端にＬＥＤ光源を設け、導光レンズの先端に車両側方を向く機能配光部を形成した車両用灯具に関する。

この種の車両用灯具として、従来、自動車のサイドミラーに装備されるサイドターンシグナルランプが知られている。例えば、図１０に示すサイドターンシグナルランプ５１は、ミラーハウジング５２の前面側に導光レンズ５３を備え、導光レンズ５３の基端にＬＥＤ光源５４が設けられている。導光レンズ５３の先端は車両後方へ湾曲し、湾曲部に複数のステップ５５からなる機能配光部５６が形成され、ＬＥＤ光源５４からの光をステップ５５で車両側方へ拡散させ、法規に準拠した配光パターンを形成するようになっている。

特許文献１には、図１０と類似する湾曲形状のサイドターンシグナルランプにおいて、導光レンズの後側に反射壁を設け、レンズから漏れ出た光を車両前方へ反射させ、導光レンズ前面における発光量を増やす技術が提案されている。特許文献２には、導光レンズを覆う前面カバーを備えたサイドフラッシュランプにおいて、棒状の導光レンズの前面および後面にそれぞれ多数のステップをレンズ長手方向に狭い間隔で配列し、導光レンズの全域を均一に発光させる技術が提案されている。

特開２００６−１１４３０９号公報 米国公開特許ＵＳ２００６／１９３１４４号公報

ところが、図１０および特許文献１のサイドターンシグナルランプ５１によると、ＬＥＤ光源５４が照射した光の大部分が導光レンズ５３の長手方向に通り抜け、機能配光部５６から出射されるため、図１１に示すように、機能配光部５６と光源側発光部５７との間において意匠配光部５８が暗くなり、車両前方からの見栄えが低下するという問題点があった。特許文献２のサイドフラッシュランプの場合は、ＬＥＤ光源からの光を導光レンズの全域へほぼ均一に配分しているので、意匠配光部は明るくなるが、その分、機能配光部に導かれる光量が減り、機能配光部が暗くなり、特に車両側方からの視認性が低下するという問題点があった。

そこで、本発明の目的は、ＬＥＤ光源からの光をバランスよく配分し、意匠配光部を少量の光で見栄えよく発光させ、機能配光部を充分量の光で明るく発光させることができる車両用灯具を提供することにある。

上記課題を解決するために、本発明は、先端が車両後方へ湾曲する導光レンズを備え、導光レンズの基端にＬＥＤ光源を装着し、導光レンズの先端にＬＥＤ光源からの光を車両側方へ拡散させる機能配光部を形成した車両用灯具において、次のような手段を採用したことを特徴とする。

（１）ＬＥＤ光源と機能配光部との間の導光レンズに意匠配光部を設け、意匠配光部に線形の光学ステップを導光レンズの長手方向へ延びるように形成し、ＬＥＤ光源から機能配光部に向かう光の一部を光学ステップで車両前方へ反射させることを特徴とする車両用灯具。

（２）光学ステップを意匠配光部の後面に突出形成したことを特徴とする（１）に記載の車両用灯具。

（３）複数のＬＥＤ光源を導光レンズの幅方向に並設し、光学ステップを隣接するＬＥＤ光源の間に配置し、該光源の主光軸と略平行に延びるように形成したことを特徴とする（１）または（２）に記載の車両用灯具。

（４）光学ステップの複数個所に該ステップを横切る向きの溝部を該ステップの高さよりも浅く形成したことを特徴とする（１）〜（３）の何れか一つに記載の車両用灯具。

（５）光学ステップの表面にシボ加工部を設けたことを特徴とする（１）〜（４）の何れか一つに記載の車両用灯具。

上記（１）の車両用灯具によれば、意匠配光部に線形の光学ステップを形成したので、ＬＥＤ光源からの光を意匠配光部と機能配光部とにバランスよく配分し、意匠配光部を少ない光量で線状に発光させ、車両前方からの見栄えを改善できるとともに、機能配光部を充分な光量で明るく発光させ、車両側方からの視認性を高めることができるという効果がある。

上記（２）の車両用灯具によれば、光学ステップを意匠配光部の後面に突出形成したので、導光レンズを成形する金型において、光学ステップの附形部を凹溝とし、金型メンテナンス時におけるステップ附形部の損傷を防止できるという効果がある。

上記（３）の車両用灯具によれば、光学ステップを複数のＬＥＤ光源の主光軸の間に配置したので、光学ステップで反射される光量を制限し、その分、機能配光部への光量を増やし、全体としての光配分率を最適化できるという効果がある。

上記（４）の車両用灯具によれば、光学ステップの複数個所に横向きの溝部を形成したので、光学ステップが形成する線状発光と溝部が形成する点状発光とを組み合わせ、意匠配光部の外観をさらに見栄えよくすることができるという効果がある。

上記（５）の車両用灯具によれば、光学ステップの表面にシボ加工部を設けたので、シボ加工部からの拡散反射光によって、意匠配光部の線状発光をすっきりとした見栄えで鮮明に形成できるという効果がある。

本発明の実施形態を示すサイドターンシグナルランプの正面図である。 図１のＡ−Ａ線断面図である。 図１のＢ−Ｂ線断面図である。 ＬＥＤ光源と光学ステップの配置を示す導光レンズの基端部正面図である。 光学ステップとレンズ成形金型の附形部を示す導光レンズの断面図である。 溝付き光学ステップの形状を示す導光レンズの基端部斜視図である。 図６のステップによる配光パターンを示す導光レンズの外観図である。 シボ付き光学ステップの形状を示す導光レンズの基端部斜視図である。 図８のステップによる配光パターンを示す導光レンズの外観図である。 従来のサイドターンシグナルランプを示す先端部破断平面図である。 図１０のランプの発光部を示す導光レンズの外観図である。

以下、本発明をサイドターンシグナルランプに具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図１〜図３に示すように、この実施形態のサイドターンシグナルランプ１は、従来と同様、ミラーハウジング２の前面側に導光レンズ３を備えている。導光レンズ３は、帯状のレンズ部３ａと上下一対の取付部３ｂとからなり、全体が透明な合成樹脂材料で平面弓形に成形されている。

取付部３ｂはミラーハウジング２の内部フレーム４にリテーナ５で保持され、レンズ部３ａの前面がミラーハウジング２の開口部２aから車両前方および側方に露出している。レンズ部３ａの基端には環状壁６が形成され、環状壁６の内側に光源ユニット７が装着されている。光源ユニット７には、３つのＬＥＤ光源８が導光レンズ３の幅方向（ミラーハウジング２の縦方向）に並設され、可視光をレンズ部３ａのソケット９から導光レンズ３の先端側に向けて出射するようになっている。

導光レンズ３の先端は車両後方へ湾曲し、レンズ部３ａの湾曲部内面（ミラーハウジング２の内側を向く面）に複数の散光ステップ１０が形成され、ＬＥＤ光源８からの光を車両側方へ拡散する機能配光部１１を構成している。そして、この実施形態の導光レンズ３では、ＬＥＤ光源８と機能配光部１１との間の領域に意匠配光部１２が設定され、意匠配光部１２におけるレンズ部３ａの後面（車両後方を向く面）に上下２本の光学ステップ１４が導光レンズ３の長手方向へ線形に延びるように形成されている。

詳しくは、図３に示すように、断面三角形の光学ステップ１４がレンズ部３ａの後面から突出し、図４に示すように、隣接する２つのＬＥＤ光源８の間をその主光軸８ａと平行に延びるように形成されている。図５、図６に示すように、光学ステップ１４の長手方向の複数個所には、Ｖ字形の溝部１５がステップ１４を横切る向きに切り欠いて形成され、それぞれの溝部１５にステップ１４の長手方向から相対する一対の傾斜反射面１５ａが設けられている。

そして、図７に示すように、ＬＥＤ光源８の点灯時には、光学ステップ１４が光源８から機能配光部１１に向かう光の一部を車両前方へ反射させ、意匠配光部１２の前面に２本の線状発光部（光輝ライン）１６を光源側発光部１３と機能発光部１１との間を延びるように形成する。また、溝部１５はさらに一部の光を周辺に散乱させ、線状発光部１６上に複数の点状発光部１７を付加するようになっている。

したがって、このサイドターンシグナルランプ１によれば、ＬＥＤ光源８からの光を意匠配光部１２と機能配光部１１とにバランスよく配分し、意匠配光部１２を少ない光量で線状に見栄えよく発光させ、機能配光部１１を充分な光量で明るく発光させることができる。特に、光学ステップ１４上にＶ字形の溝部１５を配列したので、意匠発光部１２に線状発光部１６と点状発光部１７とを混在させ、両者の明暗差をアクセントにした斬新な配光パターンを形成することができる。

なお、鮮明な配光パターンを形成するために、光学ステップ１４の幅（図４に示すＷｓ）は、意匠配光部１２の幅（Ｗｄ）の２〜２０％程度と、充分に狭くするのが好ましい。また、レンズ成形金型２１（図５参照）のメンテナンスが容易になる点で、溝部１５の深さ（ｄ）は、光学ステップ１４の高さ（ｈ）よりも浅く設定（ｄ＜ｈ）するのが望ましい。

すなわち、この実施形態の導光レンズ３では、光学ステップ１４がレンズ部３ａの後面に突出しているので、光学ステップ１４を附形する凹溝２２がレンズ成形金型２１の成形面２１ａに凹設され、溝部１５を附形する突起２３が凹溝２２の底面に突設される。このため、溝部１５の深さ（ｄ）を光学ステップ１４の高さ（ｈ）よりも浅くすることで、凹溝２２と突起２３を共に成形面２１ａより沈ませることができる。

したがって、成形面２１ａの頻繁な払拭清掃作業にあたり、微細な凹溝２２と突起２３を傷付けるおそれがなく、レンズ成形金型２１のメンテナンスを容易にし、導光レンズ３の量産性を高めることができる。また、光学ステップ１４と溝部１５をレンズ部３ａの後面に形成することで、消灯状態の意匠配光部１２に奥行感を出し、サイドターンシグナルランプ１の見栄えを向上させることも可能となる。

図８、図９に示す導光レンズ３では、光学ステップ１４から溝部１５が省かれ、ステップ１４の表面にシボ加工部１８が設けられている。シボ加工部１８は、ＬＥＤ光源８から機能配光部１１に向かう光の一部を車両前方へ拡散反射させ、意匠配光部１２に線状発光部１６のみを形成する。このため、点状発光同士のハレーションを含まない、すっきりとした見栄えの配光パターンを鮮明に形成できる。また、図５に示すレンズ成形金型２１と同様、シボ加工部１８に対応する微細な附形面が成形面２１ａより沈むため、金型メンテナンスも容易である。

本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するように、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成を適宜に変更して実施することも可能である。
（１）光学ステップ１４に半円形または矩形の溝部１５を形成すること。
（２）光学ステップ１４に溝部１５とシボ加工部１８の両方を設けること。
（３）光学ステップ１４の本数を１本、３本など適宜に増減すること。
（４）上記構成の導光レンズを車体上のターンシグナルランプ、クリアランスランプ、標識灯、警告灯など、車両各部の灯具に応用すること。

１ サイドターンシグナルランプ
３ 導光レンズ
８ ＬＥＤ光源
８ａ 主光軸
１１ 機能配光部
１２ 意匠配光部
１４ 光学ステップ
１５ 溝部
１６ 線状発光部
１７ 点状発光部
１８ シボ加工部
２１ レンズ成形金型

Claims (5)

1. 先端が車両後方へ湾曲する導光レンズを備え、導光レンズに前面がミラーハウジングの開口部から車両前方および側方に露出するレンズ部を設け、レンズ部の基端にＬＥＤ光源を装着し、レンズ部の先端にＬＥＤ光源からの光を車両側方へ拡散させる機能配光部を形成し、ＬＥＤ光源と機能配光部との間のレンズ部に意匠配光部を設け、意匠配光部におけるレンズ部の後面に線形の光学ステップを突出形成して導光レンズの長手方向へ延ばし、ＬＥＤ光源から機能配光部に向かう光の一部を前記光学ステップで車両前方へ反射させることを特徴とする車両用灯具。
2. 前記光学ステップを断面三角形に形成した請求項１記載の車両用灯具。
3. 複数の前記ＬＥＤ光源を導光レンズの幅方向に並設し、前記光学ステップを隣接するＬＥＤ光源の間に配置し、該光源の主光軸と略平行に延びるように形成した請求項１又は２記載の車両用灯具。
4. 前記光学ステップの複数個所に該ステップを横切る向きの溝部を該ステップの高さよりも浅く形成した請求項１〜３の何れか一項に記載の車両用灯具。
5. 前記光学ステップの表面にシボ加工部を設けた請求項１〜４の何れか一項に記載の車両用灯具。

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