JP5170916B2 - 銅合金板材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は銅合金板材およびその製造方法に関し、詳しくは車載部品用や電気・電子機器用部品、例えば、リードフレーム、コネクタ、端子材、リレー、スイッチ、ソケット、モーターなどに適用される銅合金板材及びその製造方法に関する。
車載部品用や電気・電子機器用のリードフレーム、コネクタ、端子材、リレー、スイッチ、ソケットなどの用途に使用される銅合金板材には、導電率、耐力(降伏応力)、引張強度、曲げ加工性、耐応力緩和特性が要求される。近年、電気・電子機器の小型化、軽量化、高機能化、高密度実装化や、使用環境の高温化に伴って、これらの部品に要求されるレベルが高まっている。
鉱物資源の低減や、部品の軽量化を背景に、部品に使用される銅合金材料(例えば、板材)の薄肉化が進んでおり、バネ接圧を保つために、従来よりも高強度の銅合金板材が使用されている。一般的に、曲げ加工性は強度とトレードオフの関係にあるため、高強度の銅合金板材を従来通りの曲げ半径で加工すると、クラックが発生する場合がある。特に、車載端子や電子機器用途のコネクタなどにはU字型に180°曲げる設計が必要な場合が多い。この場合、曲げ部の外側に大きな応力が加えられるため、曲げ加工性が低い銅合金板材では、クラックが発生し、コネクタの接圧低下による導通障害が生じる。そこで、180°曲げを行う銅合金板材の内側に複数のノッチ加工を施したり、内側曲げ半径を大きく取ったりする設計変更などが行われている。このため、プレスコストの低減と電子機器部品の小型化を両立させることができない。
昨今、コネクタなどの電子部品の小型化の進行に伴い、端子の寸法精度やプレス加工の公差が厳しくなっている。銅合金板材のヤング率を低減することで、コンタクト接圧に及ぼす寸法変動の影響を低減出来るため、部品の設計が容易となる。このため、銅合金部品には、ヤング率(縦弾性係数)が低いことが求められ、ヤング率が120GPa以下、たわみ係数が105GPa以下の銅合金板材が求められている。
銅合金板材の曲げ加工性向上のために、結晶方位の制御によって解決する提案がされている。例えば、特許文献1では、Cu−Ni−Si系銅合金において、結晶粒径と、{311}、{220}、{200}面からのX線回折強度がある条件を満たす結晶方位を有する、曲げ加工性に優れた銅合金板材が提案されている。また、特許文献2では、Cu−Ni−Si系銅合金において、{200}面および{220}面からのX線回折強度がある条件を満足する結晶方位を有する、曲げ加工性に優れた銅合金板材が提案されている。さらに、特許文献3では、Cu−Ni−Si系銅合金において、Cube方位{100}<001>の割合が50%以上の曲げ加工性に優れた銅合金板材が提案されている。
また、銅合金のヤング率を変える提案がされている。例えば、特許文献4では、銅合金層と鉄合金層を交互に合計で100層以上重ね合わせて、ヤング率を変える方法が提案されている。さらに、銀を微量に含有する銅合金箔の圧延方向に対して45°方向のヤング率を上げる方法(例えば、特許文献5参照)や、多量のZnの添加と、他にSn量の制御によって銅合金板材のヤング率を小さくする方法(例えば、特許文献6、7参照)が提案されている。
特開2006−009137号公報 特開2008−013836号公報 特開2006−283059号公報 特開2005−225063号公報 特開2009−242846号公報 特開2001−294957号公報 特開2003−306732号公報
しかし、特許文献1、2に記載された発明においては、{220}や{311}などの特定原子面のX線回折による解析では、広がりのある結晶方位の分布の中でごく一部の特定の面に着目するにすぎず、これらの方位制御を行っても十分とはいえない場合がある。また、特許文献3に記載された発明においては、結晶方位の制御を溶体化熱処理後の圧延加工率の低減によって実現しているが、それだけでは、曲げ性の改善効果が不十分な場合があった。近年、電気・電子機器の小型化、高機能化、高密度実装化等が必要とされ、特許文献1〜3に記載された発明において想定されていた曲げ加工性よりもさらに高い曲げ加工性が要求されるようになっている。これらの文献に記載された発明では、この特性を満足することは困難である。
また、特許文献4に記載された発明では、導電率が低いうえに、鉄合金層の腐食の問題や、メッキを施した場合の均一性が不十分などの問題があり、部品用として使用するのには十分とはいえない。さらに、通常、コネクタなどの端子は圧延方向に対して平行か垂直に部品取りされる。このため、特許文献5に記載された発明のように、銅合金箔の圧延方向に対して45°方向のヤング率を上げる方法では実用的とはいえない。また、特許文献6では、Znの添加量が23〜28質量%である、Cu−Zn−Sn系合金とすることによってヤング率を所定の値以下に下げるものであり、展伸方向と直角方向のヤング率で130kN/mm以下としている。特許文献7では、Znの添加量が15質量%を超え35%以下である、Cu−Ni−Sn−Zn系合金とすることによってヤング率を115kN/mm以下としている。特許文献6、7に記載された発明は、Znを大量に固溶させる必要があるため、導電率が低下し、電気・電子機器の部品に使用することはできない。
上記のような課題に鑑み、本発明の課題は、曲げ加工性に優れ、優れた強度を有し、電気・電子機器用のリードフレーム、コネクタ、端子材等、自動車車載用などのコネクタや端子材、リレー、スイッチなどに適した銅合金板材及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、電気・電子部品用途に適した銅合金板材について鋭意検討を行い、銅合金板材において、曲げ加工性及びヤング率と、Cube方位集積割合に相関があることを見出した。本発明は、この知見にもとづきなされたものである。
すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
(1)Cr、Zr、Tiの少なくとも1種を合計で0.05〜1.0mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる銅合金板材であって、EBSD測定における結晶方位解析において、Cube方位{001}<100>の面積率が5%以上70%以下であり、ビッカース硬さが120以上であることを特徴とする銅合金板材。
(2)Cr、Zr、Tiの少なくとも1種を合計で0.05〜1.0mass%含有し、Sn、Zn、Si、Ag、Mn、B、P、Mg、Ni、CoおよびHfからなる群から選ばれた少なくとも1種を合計で0.005〜1.0mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる銅合金板材であって、EBSD測定における結晶方位解析において、Cube方位{001}<100>の面積率が5%以上70%以下であり、ビッカース硬さが120以上であることを特徴とする銅合金板材
)Copper方位{121}<111>とBrass方位{110}<112>の面積率の合計が、20%以下であることを特徴とする(1)又は2)に記載の銅合金板材。
)30〜1000nmの大きさの第2相粒子が、10〜10個/mmで存在することを特徴とする(1)〜()のいずれか1項に記載の銅合金板材。
)(1)または2)に記載の銅合金板材を製造する方法であって、前記銅合金板材を与える合金成分組成から成る銅合金素材に、
鋳造[工程1]、
900〜1020℃で3分〜10時間の保持の均質化熱処理[工程2]、
熱間加工[工程3]、
水冷[工程4]、
加工率70%〜99.9%の冷間圧延1[工程6]、
200℃〜750℃で5秒〜20時間の保持の熱処理1[工程7]、
加工率2〜50%の冷間圧延2[工程8]、
400℃〜1000℃で5秒間〜10分間の熱処理2[工程9]
400℃〜700℃で5分間〜10時間の時効析出熱処理[工程11]、
加工率0〜40%の冷間圧延[工程12]、
200℃〜600℃で5秒〜10時間の保持の調質焼鈍[工程13]をこの順に施すことを特徴とする銅合金板材の製造方法
(6)(1)〜()のいずれか1項に記載の銅合金板材からなる銅合金部品。
)(1)〜()のいずれか1項に記載の銅合金板材からなるコネクタ。
本発明は、曲げ加工性に優れ、優れた強度を有し、電気・電子機器用のリードフレーム、コネクタ、端子材等、自動車車載用などのコネクタや端子材、リレー、スイッチなどに適した銅合金板材及びこれを用いた銅合金部品を提供することができる。
また、本発明の銅合金板材の製造方法は、曲げ加工性に優れ、優れた強度を有し、電気・電子機器用のリードフレーム、コネクタ、端子材等、自動車車載用などのコネクタや端子材、リレー、スイッチなどに適した銅合金板材の製造方法として好適である。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
図1は{001}<100>Cube方位からのずれ角度が10°以内の例を示す模式図である。 図2は実施例1についての、φ2が0°〜90°まで5°おきの、横軸φ1、縦軸Φの方位密度分布関数マップである。 図3は比較例1についての、φ2が0°〜90°まで5°おきの、横軸φ1、縦軸Φの方位密度分布関数マップである。 図4は耐応力緩和特性の試験方法の説明図であり、図4の(a)は熱処理前、図4の(b)は熱処理後の状態をそれぞれ示す。
本発明者らは、曲げ加工性に優れた銅合金板材を開発するために、銅合金板材の曲げ加工を行う際に発生するクラックの発生原因について、詳細に調査・分析を行った。その結果、銅合金板材の曲げ加工時に銅塑性変形が局所的に発達して剪断変形帯を形成し、局所的な加工硬化によってマイクロボイドの生成と連結が起こり、成形限界に達することが原因であることを見出した。そこで、鋭意検討したところ、本発明者らは、曲げ変形時に微視的な歪みを蓄積しにくい結晶方位の割合を高めることで、曲げ加工性に優れた銅合金板材を得ることができることを見出した。本発明は、この知見に基づきなされたものである。
本発明の銅合金板材の好ましい実施の態様について、詳細に説明する。ここで、「銅合金材料」とは、(加工前であって所定の合金組成を有する)銅合金素材が所定の形状(例えば、板、条、箔、棒、線など)に加工されたものを意味する。その中で、板材とは、特定の厚みを有し形状的に安定しており面方向に広がりをもつものを指し、広義には条材を含む意味である。本発明において、板材の厚さは、特に限定されるものではないが、本発明の効果が一層よく顕れ実際的な用途に適合することを考慮すると、4〜0.03mmが好ましく、1〜0.05mmがより好ましい。
なお、本発明の銅合金板材は、その特性を圧延板の所定の方向における原子面の集積率で規定するものであるが、これは銅合金板材としてそのような特性を有しておれば良いのであって、銅合金板材の形状は板材や条材に限定されるものではない。本発明では、管材も板材として解釈して取り扱うことができるものとする。
(1)結晶方位解析における面積率
本発明の銅合金板材は、EBSD測定における結晶方位解析において、Cube方位{001}<100>の面積率が5%以上70%以下である。
本明細書における結晶方位の表示方法は、銅合金板材の長手方向(LD){板材の圧延方向(RD)に等しい}をX軸、板幅方向(TD)をY軸、板材の厚さ方向{板材の圧延法線方向(ND)に等しい}をZ軸とする直角座標系を取り、銅合金板材中の各領域において、Z軸に垂直な(圧延面(XY面)に平行な)結晶面の指数(h k l)と、X軸に垂直な(YZ面に平行な)結晶面の指数[u v w]とを用いて、(h k l)[u v w]の形で表す。また、(1 3 2)[6 −4 3]と(2 3 1)[3 −4 6]などのように、銅合金の立方晶の対称性のもとで等価な方位については、ファミリーを表すカッコ記号を使用し、{h k l}<u v w>と表す。
本発明における結晶方位の解析は、EBSD法を用いる。「EBSD」とは、Electron Backscatter Diffraction(電子後方散乱回折)の略で、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)内で銅合金板材に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折(菊池パターン)を利用した結晶方位解析技術のことである。本発明においては、結晶粒を200個以上含む、500μm四方の試料面積に対し、0.5μmのステップでスキャンし、方位を解析する。
各方位の面積率とは、各理想方位からのずれ角度が10°以内の領域の面積を、測定面積で割って算出したものである。
理想方位からのずれ角度については、共通の回転軸を中心に回転角を計算し、ずれ角度とする。図1に、Cube方位からのずれ角度が10°以内の方位の例を示す。ここでは、(100)及び(110)及び(111)の回転軸に関して、10°以内の方位を示しているが、あらゆる回転軸に関してCube方位との回転角度を計算することができる。回転軸は最も小さいずれ角度で表現できるものを採用し、全ての測定点に対してこのずれ角度を計算し、各方位から10°以内の方位を持つ結晶粒の面積の和を全測定面積で除し、面積率とする。
EBSDによる方位解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数10nmの深さまでの方位情報を含んでいるが、測定している広さに対して小さすぎるため、本明細書中では面積率を用いる。方位分布は銅合金板材の板材表面から測定し、方位分布が板厚方向に変化している場合は、EBSDによる方位解析は板厚方向に何点かを任意にとって平均を取った値をいう。
本発明の銅合金板材は、上記のEBSD測定における結晶方位解析において、Cube方位{001}<100>の面積率が5%以上70%以下である。Cube方位{001}<100>の面積率がこの範囲内のものは、曲げ加工性に優れている。Cube方位{001}<100>の面積率が低すぎると、曲げ加工性が低下する。Cube方位{001}<100>の面積率が高すぎると、銅合金板材の強度が低下する場合があり、好ましくない。また、Cube方位の面積率が70%以上を超えて高い状態では、Cube方位を有する結晶粒が粒径が大きく粗大化した状態となっており、結晶粒界割れなどによりかえって曲げ加工性が劣化する場合がある。Cube方位面積率の好ましい範囲は7〜48%、さらに好ましくは、10〜35%である。
上記範囲のCube方位に加えて、Copper方位{121}<111>とBrass方位{110}<112>の面積率の合計が、20%以下である場合に、曲げ加工性がさらに向上する。この面積率が20%を越えると曲げ加工性が低下する。この面積率は好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。
その他の結晶方位として、RDW方位{120}<001>、S方位{231}<346>、D方位{4 11 4}<11 8 11>、Goss方位{110}<001>、R1方位{352}<358>、BR方位{362}<853>などが発生するが、上記のCube方位を満足し、さらに好ましくは上記のcopper方位、Brass方位の面積率を満足していれば、これらの方位成分を含んでいてもよい。
ここで、EBSD測定の特徴について、X線回折測定との対比として説明する。
まず1点目に挙げられるのは、X線回折の方法で測定可能なのは、ブラッグの回折条件を満足し、かつ充分な回折強度が得られる、ND//(111)、(200)、(220)、(311)、(420)面の5種類のみであり、Cube方位からのずれ角度が15〜30°に相当する、例えばND//(511)面やND//(951)面などの高指数で表現される結晶方位については、測定出来ない。即ち、EBSD測定を採用することにより、初めて、それらの高指数で表現される結晶方位に関する情報が得られ、それにより特定される金属組織と作用の関係が明らかになる。
2点目は、X線回折はND//{hkl}の±0.5°程度に含まれる結晶方位の分量を測定しているのに対し、EBSD測定によれば菊池パターンを利用するため、特定の結晶面に限定されない、桁違いに広範な金属組織に関する情報が網羅的に得られ、合金材料全体としてX線回折では特定することが難しい状態が明らかになる。
以上のとおり、EBSD測定とX線回折測定とで得られる情報はその内容及び性質が異なる。
なお、本明細書において特に断らない限り、EBSDの測定は、銅合金板材のND方向に対して行ったものである。
(2)ビッカース硬さ
本発明の銅合金板材のビッカース硬さは、120以上であり、190以上であることが好ましい。この板材のビッカース硬さの上限値には特に制限はないが、通常、400以下である。本明細書におけるビッカース硬さとは、JIS Z 2244により、測定された値をいう。ビッカース硬さがこの範囲内のものは、本発明の銅合金板材をコネクタなどに使用した場合の電気接点の接圧が十分であるという効果を奏する。ビッカース硬さが小さすぎると、コネクタの電気接点の接圧が不十分なために、導通障害が生じる場合がある。
本発明の銅合金板材の組成は、以下のものが好ましい。
(3)Cu−(Cr、Zr、Ti)系合金
本発明の銅合金板材は、Cr、Zr、Tiの少なくとも1種を合計で0.05〜1.0mass%含有し、必要に応じて、Sn、Zn、Si、Ag、Mn、B、P、Mg、Ni、CoおよびHfからなる群から選ばれた少なくとも1種を合計で0.005〜1.0mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる。したがって、Sn、Zn、Si、Ag、Mn、B、P、Mg、Ni、CoおよびHfからなる群の元素を含有していなくてもよい。Cr、Zr及びTiの含有量を上記の範囲内とすることにより、(6−1)Cr単独、Zr単独及びTi単独などの金属や、(6−2)Cr、Zr、Tiの少なくとも2種以上からなる化合物、(6−3)Cr、Zr、Tiの少なくとも1種以上からなる元素と銅との化合物を析出させて銅合金の強度と耐応力緩和特性を向上させることができる。Cr、Zr及びTiの含有量は、Cr、Zr、Tiの少なくとも1種を合計で、0.05〜1.0mass%、好ましくは0.35〜0.7mass%である。Cr、Zr及びTiのそれぞれの添加量は、好ましくは0.1〜0.45mass%、さらに好ましくは0.2〜0.4mass%である。
これらの元素の合計の添加量が上記範囲よりも多すぎると導電率を低下させ、また、少なすぎると上記の効果が十分に得られない。
(4)Cu−(Be、Ni)系合金
本発明の銅合金板材は、Be、Niの少なくとも1種を合計で0.1〜3.0mass%含有し、必要に応じて、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Al、Cr、Co、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれた少なくとも1種を合計で0.005〜1.0mass%含有する。したがって、Sn、Zn、Ag、Mn、B、P、Mg、Al、Cr、Co、Ti、ZrおよびHfからなる群の元素を含有していなくてもよい。Be及びNiの含有量を上記の範囲内とすることにより、Beや、BeとNiとの化合物を析出させて、銅合金の強度と耐応力緩和特性を向上させることができる。BeとNiの含有量は、Be、Niの少なくとも1種を合計で、0.1〜3.0mass%、好ましくは2.0〜3.0mass%である。Beの添加量は好ましくは0.1〜2.8mass%、さらに好ましくは0.2〜2.5mass%である。Niの含有量は好ましくは0.1〜2.5mass%、さらに好ましくは0.2〜2.0mass%である。これらの元素の合計の含有量が上記範囲よりも多すぎると導電率を低下させ、また、少なすぎると上記の効果が十分に得られない。
(5)Cu−(Ni、Sn)−P系合金
本発明の銅合金板材は、NiとSnの少なくとも1種を合計で0.03〜5.0mass%、Pを0.01〜0.3mass%含有し、必要に応じて、Zn、Si、Ag、Mn、B、Mg、Cr、Co、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれた少なくとも1種を合計で0.005〜1.0mass%含有する。したがって、Zn、Si、Ag、Mn、B、Mg、Cr、Co、Ti、ZrおよびHfからなる群の元素を含有していなくてもよい。Ni、Sn及びPの含有量を上記の範囲内とすることにより、NiとPの化合物を析出させて、銅合金板材の強度と耐応力緩和特性を向上させることができる。SnにNi、Pを配合することにより、耐応力緩和特性の向上について、相乗効果を奏することができる。NiとSnの少なくとも1種を合計で、0.03〜5.0mass%、好ましくは1.0〜4.0mass%、さらに好ましくは2.0〜3.0mass%含有する。Niの含有量は好ましくは0.03〜3.0mass%、さらに好ましくは0.5〜2.0mass%である。Snの含有量は好ましくは0.2〜1mass%、さらに好ましくは0.25〜0.5mass%である。また、Pの含有量は好ましくは0.01〜0.3mass%、さらに好ましくは0.02〜0.08mass%である。
これらの元素の合計の含有量が上記範囲よりも多すぎると導電率を低下させ、また、少なすぎると上記の効果が十分に得られない。また、この範囲を超えて添加した場合に、Cube方位が減少する場合があり、好ましくない。
(6)Cu−Mg−P系合金
本発明の銅合金板材は、Mg、Pを合計で0.3〜2.0mass%含有し、必要に応じて、Sn、Zn、Ag、Mn、B、Ni、Co、Cr、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれた少なくとも1種を合計で0.005〜1.0mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる。したがって、Sn、Zn、Ag、Mn、B、Ni、Co、Cr、Ti、ZrおよびHfからなる群の元素を含有していなくてもよい。Mg及びPの含有量を上記の範囲内とすることにより、MgとPの化合物を析出させて、銅合金の強度と耐応力緩和特性を向上させることができる。その含有量は、Mg、Pを合計で、0.3〜2.0mass%、好ましくは1.5〜2.0mass%である。Mg及びPのそれぞれの添加量は好ましくは0.3〜1.0mass%、さらに好ましくは0.35〜0.5mass%である。これらの元素の合計の添加量が上記範囲よりも多すぎると導電率を低下させ、また、少なすぎると上記の効果が十分に得られない。また、この範囲を超えて添加した場合に、Cube方位が減少する場合があり、好ましくない。
(7)副添加元素
上記合金(3)〜(6)は、以下の副添加元素を含有する。好ましい副添加元素としては、Sn、Zn、Si、Ag、Mn、B、P、Mg、Al、Ni、Cr、Co、Ti、Zr及びHfが挙げられる。これらの元素が、上記の主添加元素に含まれる場合は除かれる。
これらの副添加元素の含有量は、Sn、Zn、Si、Ag、Mn、B、P、Mg、Al、Ni、Cr、Co、Ti、Zr及びHfからなる群から選ばれた少なくとも1種の総量で0.005〜1.0mass%であり、好ましくは0.01mass%〜0.9mass%、さらに好ましくは、0.03mass%〜0.8mass%である。これらの副添加元素の含有量をこの範囲内とすることにより、上記効果を十分奏することができ、導電率を低下させることがない。
この範囲を超えて添加した場合に、Cube方位が減少する場合があり、好ましくない。
上記副添加元素のうち、Mg、Sn及びZnは、耐応力緩和特性を向上させ、半田脆化を著しく改善することができる。Mn、Ag、B及びPを添加すると熱間加工性を向上させるとともに、強度を向上させることができる。Cr、Ti、Zr、Hf及びCoは、粒成長を抑制することによって結晶粒径を微細にする効果があるため、曲げ加工性や強度に優れた銅合金板材を得ることができる。
ここで、Feは、溶解・鋳造時の溶湯の温度が不十分である場合、もしくは、添加するFe原料におけるFeの粒径が大きすぎる場合に、数100μmから数mmの大きさで、銅中に固溶しない粗大な第2相の形態で残存することがある。本発明における70〜99.9%の加工率の冷間圧延1[工程6]において、Feの粗大な粒子周辺には歪みが高集積する場合があり、不均一な再結晶の核生成を誘発する原因となる。この場合、結晶方位はランダム化するなどして、所望のCube方位が得られないため好ましくない。また、導電率を低下させるため好ましくない。これらの理由から、本発明においては、前記副添加元素としてFeを添加しないことが好ましい。
(8)他の好ましい特徴
上記の各合金板材に含まれる30〜1000nmの大きさの第2相は、結晶粒が粗大化するのを抑制し、曲げ加工性や強度を向上させることができる。合金板材中の第2相とは、鋳造工程で生成した晶出物や、熱間圧延や熱処理で生成した析出物が含まれる。より好ましい第2相の大きさの範囲は、40〜600nm、さらに好ましい範囲は50〜200nmである。
上記の各合金板材に含まれる30〜1000nmの大きさの第2相の密度は、10〜10個/mmが好ましい。より好ましい範囲は、5×10〜5×10個/mm、さらに好ましい範囲は、10〜10個/mmである。
第2相の大きさが30nmより小さい場合は十分に曲げ加工性向上の効果が得られず、1000nmより大きい場合は、メッキ性が低下する場合があるため好ましくない。密度が小さすぎると、十分に曲げ加工性向上の効果が得られず、密度が大きすぎると、曲げ加工性が低下する場合があるため、好ましくない。
平均結晶粒径は、80μm以下が好ましい。より好ましい範囲は、60μm以下、さらに好ましい範囲は40μm以下である。平均結晶粒径が大きすぎると、強度が低下し、曲げ部のしわが大きくなるため、好ましくない。平均結晶粒径の下限は特に制限はないが、通常、2μm以上である。
本発明の銅合金板材は、例えば、コネクタ用銅合金板材に要求される特性を満足することができる。特に0.2%耐力が400MPa以上、ビッカース硬度が120以上、曲げ加工性が90°W曲げ試験においてクラックなく曲げ加工が可能な最小曲げ半径を板厚で割った値が1以下、ヤング率が120GPa以下、たわみ係数が105以下、導電率が25%IACS以上、耐応力緩和特性として応力緩和率が30%以下の優れた特性を有する。
本発明の銅合金板材は、好ましくは、0.2%耐力が600MPa以上、ビッカース硬度が190以上で、180°密着U曲げ可能な曲げ加工性を有し、ヤング率が115GPa以下、たわみ係数が100以下、導電率40%IACS以上、耐応力緩和特性として応力緩和率が25%以下である。
ここで、ヤング率の代用特性として、たわみ係数を用いても良い。たわみ係数は、日本伸銅協会技術標準JCBA T312(2002年)「銅及び銅合金板条の片持ち梁による曲げたわみ係数測定方法」に従って、片持ち梁法によって測定する。
また、耐応力緩和特性については、後述する150℃に1000時間保持する方法で測定した応力緩和率(SRR)の値である。
本発明の銅合金板材における好ましい導電率と耐力は合金系ごとに値が異なるので、以下に合金系ごとに示す。
Cu−(Cr、Zr、Ti)系合金では、導電率は、好ましくは60%IACS以上、より好ましくは70%IACS以上、さらに好ましくは75%IACS以上、特に好ましくは80%IACS以上であり、耐力は、好ましくは430MPa以上、より好ましくは470MPa以上、さらに好ましくは500MPa以上、特に好ましくは530MPa以上である。導電率と耐力の上限にはそれぞれ特に制限はないが、通常、導電率は98%IACS以下、耐力は800MPa以下である。
Cu−(Be、Ni)系合金では、導電率は、好ましくは20%IACS以上、より好ましくは25%IACS以上、さらに好ましくは40%IACS以上、特に好ましくは46%IACS以上であり、耐力は、好ましくは700MPa以上、より好ましくは750MPa以上、さらに好ましくは850MPa以上、特に好ましくは950MPa以上である。導電率と耐力の上限にはそれぞれ特に制限はないが、通常、導電率は80%IACS以下、耐力は1300MPa以下である。
Cu−(Ni、Sn)−P系合金では、導電率は、好ましくは30%IACS以上、より好ましくは34%IACS以上、さらに好ましくは37%IACS以上、特に好ましくは41%IACS以上であり、耐力は、好ましくは500MPa以上、より好ましくは530MPa以上、さらに好ましくは560MPa以上、特に好ましくは585MPa以上である。導電率と耐力の上限にはそれぞれ特に制限はないが、通常、導電率は80%IACS以下、耐力は800MPa以下である。
Cu−Mg−P系合金では、導電率は、好ましくは50%IACS以上、より好ましくは54%IACS以上、さらに好ましくは57%IACS以上、特に好ましくは60%IACS以上であり、耐力は、好ましくは450MPa以上、より好ましくは490MPa以上、さらに好ましくは520MPa以上、特に好ましくは550MPa以上である。導電率と耐力の上限にはそれぞれ特に制限はないが、通常、導電率は90%IACS以下、耐力は900MPa以下である。
(9)銅合金板材の製造方法
(従来の銅合金板材の製造方法)
本発明の銅合金板材の好ましい製造方法について説明する前に、従来の析出型銅合金板材の製造方法について説明する。銅合金素材を鋳造[工程1]して鋳塊を得て、これに均質化熱処理[工程2]を施し、熱間圧延等の熱間加工[工程3]、水冷[工程4]、面削[工程5]、冷間圧延1[工程6]をこの順に行い薄板化し、析出型合金であれば700〜1020℃の温度範囲で溶体化と再結晶が目的の、固溶型合金であれば300〜900℃の温度範囲で再結晶が目的の、熱処理2[工程9]を行い、析出型合金であれば時効析出熱処理[工程11]を行い、仕上げ冷間圧延[工程12]によって必要な強度を満足させる。
この一連の工程の中で、銅合金板材中の集合組織は、[工程9]の最終再結晶熱処理によっておおよそが決定し、仕上げ冷間圧延[工程12]中に起きる方位の回転により、最終的に決定される。Cube方位は圧延において不安定であり、工程9で形成したCube方位領域は、工程12にて顕著に増加することはない。
添加元素の量の少ない純銅系の合金の場合、上記の冷間圧延1[工程6]の加工率が例えば90%以上などの様に高い場合に、熱処理2[工程9]において、Cube方位が発達するが、ビッカース硬度が120以上のものは得られなかった。一方、コネクタに使用される様な高強度合金の場合はビッカース硬度が120以上のものが得られるものの、溶質元素量が多く、結晶粒界の移動度が低いために、上記の[工程6]で加工後の[工程9]での再結晶という製造工程ではCube方位は発達しなかった。
(本発明の銅合金板材の好ましい製造方法)
本発明の銅合金板材は、上記の従来の、冷間圧延1[工程6]の後で、熱処理2[工程9]の前に、200℃〜750℃で5秒〜20時間の範囲で行う熱処理1[工程7]及び、2〜50%の加工率の冷間圧延2[工程8]を加えることによって、中間熱処理2[工程9]での再結晶集合組織においてCube方位の面積率を増加させることができる。熱処理1[工程7]では、本発明の銅合金板材は完全には再結晶しておらず、該工程で部分的に再結晶している亜焼鈍組織を得ることが目的である。冷間圧延2[工程8]では、低い加工率の圧延によって、微視的に不均一な歪みを導入することができる。この熱処理1[工程7]と冷間圧延2[工程8]を加えることによって、中間熱処理2[工程9]におけるCube方位粒の優先成長を可能にする。
従来、中間熱処理2[工程9]のような中間焼鈍は、次工程の圧延での荷重を低減するために銅合金板材を再結晶させて強度を落とすために行われている。また、従来の純銅系合金板材を製造する際に、最終再結晶熱処理[工程9]の前の圧延では加工率を高くすることにより、Cube方位を高めていたのに対し、本発明の銅合金板材を得るには、熱処理2[工程9]の前に、上記の熱処理1[工程7]及び、2〜50%の加工率の冷間圧延2[工程8]を加えることによって、中間熱処理2[工程9]での再結晶集合組織においてCube方位の面積率を増加させることができる。
本発明の銅合金板材を得るために施される熱処理1[工程7]の条件は、200〜750℃で5秒間〜20時間、好ましい範囲は250〜700℃で5分間〜20時間、さらに好ましくは、300〜600℃で1〜15時間である。この範囲よりも低温もしくは短時間の場合は、再結晶度が不十分となり、この範囲よりも高温もしくは長時間の場合は、再結晶が進行し過ぎて結晶粒が粗大化するため、熱処理2[工程9]においてCube方位の発達が不十分となり、好ましくない。つまり、熱処理1[工程7]における処理温度は、中間熱処理2[工程9]での処理温度よりも低い温度である。
冷間圧延[工程8]の加工率は、2〜50%、好ましくは4〜40%、さらに好ましくは5〜30%である。加工率が小さすぎると、再結晶の駆動力となる歪みが不十分となる。また加工率が大きすぎると、歪みが大きくなりすぎるため、熱処理2[工程9]においてCube方位の発達が不十分となり、好ましくない。冷間圧延[工程8]の少なくとも一部を、テンションレベラーなどによって曲げ歪みを銅合金板材に与える方法で代替してもよい。
所望のバネ性を有する銅合金板材を得るために、仕上げ冷間圧延[工程12]で、加工硬化させることができる。この工程での加工率は40%以下が好ましい。加工率が高すぎると、Cube方位から圧延安定方位に方位が変化し、Cube方位面積が減少するため好ましくない。また、Brass方位とCopper方位の面積率の合計を20%以下にするには、25%以下の加工率にすることが好ましい。
好ましくは上記の製造方法により得られた銅合金板材は、Cube方位の発達した組織を有し、曲げ加工性だけでなく、耐応力緩和特性も優れている。
上記各圧延工程での加工率(圧下率、断面減少率とも言う。以下の比較例で言う圧延率も同義である。)は、圧延工程前の板厚tと圧延工程後の板厚tを用いて、下式の様に算出される値をいう。
加工率(%)=((t−t)/t)×100
各熱処理や圧延の後に、板材表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を、形状に応じてテンションレベラーによる矯正を行っても、Cube方位{001}<100>の面積率が本発明の範囲内であれば問題はない。
析出型合金の場合には、溶体化する熱処理2[工程9]と時効析出熱処理[工程11]の間に、冷間圧延[工程10]を行ってもよい。時効での析出密度を向上し、強度を高める効果があるためである。仕上げ冷間圧延[工程12]の後に、調質焼鈍[工程13]を施してもよい。これは、回復熱処理により、バネ性を高めたり、残留応力を除去し、プレス後の寸法精度を安定させるためである。
本発明の銅合金板材の好ましい製造方法としては、例えば、上記の所定の合金成分組成から成る銅合金素材を高周波溶解炉により溶解し、鋳造[工程1]、均質化熱処理[工程2]、熱間加工(例えば、熱間圧延)[工程3]、水冷(例えば、水焼き入れ)[工程4]、面削[工程5](面削は省略してもよい)、冷間圧延1[工程6]、熱処理1[工程7]、冷間圧延2[工程8]及び熱処理2[工程9]をこの順に施してなる。この熱処理2[工程9]の後で、必要に応じて、冷間圧延[工程10](この熱処理2の後の冷間圧延は省略してもよい)、時効析出熱処理[工程11]、冷間圧延[工程12]、調質焼鈍[工程13]をこの順に施してもよい。
上記各工程について、好ましい条件は以下の通りである。鋳造[工程1]での冷却速度は0.1〜100℃/秒である。均質化熱処理[工程2]は900〜1020℃で3分〜10時間の保持を施す。熱間加工[工程3]後の水冷[工程4]には水焼き入れを施す。中間冷間圧延1[工程6]の加工率は70〜99.9%である。中間焼鈍熱処理1[工程7]は200℃〜750℃で5秒〜20時間、さらに好ましくは250℃〜700℃で5分〜20時間、より好ましくは300℃〜600℃で1〜15時間の保持を施す。中間冷間圧延2[工程8]の加工率は2〜50%、さらに好ましくは4〜40%、より好ましくは5〜30%である。最終溶体化再結晶熱処理2[工程9]の条件は、400〜1000℃において5秒間〜10分間である。冷間圧延[工程10]における加工率は0〜60%である。時効析出熱処理[工程11]の条件は、400〜700℃において5分間〜10時間である。仕上げ冷間圧延[工程12]における加工率は0〜40%であり、さらに好ましくは加工率は0〜25%であるかあるいは25〜40%である。ここで、加工率が「0%」とは、圧延を施さないことを意味する。つまり、冷間圧延[工程10]と仕上げ冷間圧延[工程12]は施さなくてもよい。仕上げ冷間圧延[工程12]を行わない場合、冷間圧延2[工程8](又は、行う場合には、冷間圧延[工程10])が最終の冷間圧延工程となる。調質焼鈍[工程13]は200〜600℃で5秒〜10時間の保持を施す。
材料表面のスケールのための面削、酸洗浄などによる溶解を、必要に応じて行ってもよい。圧延後の形状が良好でない場合は、テンションレベラーなどによる矯正を、必要に応じて行ってもよい。
本発明の銅合金板材は上記の実施態様の製造方法により製造することが好ましいが、EBSD測定における結晶方位解析において前記所定の面積率を満足し、かつ、所定のビッカース硬度を満足するならば、上記[工程1]〜[工程13]をこの順にすべて行うことに必ずしも拘束されるものではない。上記の方法に含まれるものではあるが、上記[工程1]〜[工程9]の内、[工程5]を省略して、[工程9]を最終工程として製造工程を終了してもよい。
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
(実施例及び比較例)
原料を高周波溶解炉により溶解し、これを0.1〜100℃/秒の冷却速度で鋳造[工程1]して鋳塊を得た。分析成分を表1〜4に示し、残部がCuと不可避不純物からなる。これを900〜1020℃で3分〜10時間の均質化熱処理[工程2]後、熱間加工[工程3]を行った後に水焼き入れ(水冷[工程4]に相当)を行い、酸化スケール除去のために面削[工程5]を行った。その後に、冷間圧延1[工程6]、熱処理1[工程7]、冷間圧延2[工程8]及び熱処理2[工程9]を表5中のA〜Dに示す条件で行った。その後に、400℃〜700℃で5分〜10時間の時効析出熱処理[工程11]、加工率が0%〜40%の仕上げ冷間圧延[工程12]、200℃〜600℃で5秒〜10時間の調質焼鈍[工程13]を行って実施例の供試材とした。各熱処理や圧延の後に、板材表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を、形状に応じてテンションレベラーによる矯正を適宜行い、供試材の厚さが、10μm程度の箔、100μm程度の薄板及び1000μm程度の厚板を問題なく得ることができた。
なお、表1〜4中の比較例の供試材は、表5中の工程P〜Tによって製造した。
これらの供試材の組成及び評価結果を表1〜4に示す。
これらの供試材について下記の項目について測定を行い、その内容について評価した。ここで、供試材の厚さは0.15mmとした。
(a)Cube方位、Copper方位、Brass方位、S方位、RDW方位の面積率
EBSD法により、約500μm四方の測定領域で、スキャンステップが0.5μmの条件で測定した。測定面積は結晶粒を200個以上含むように測定した。EBSD法の装置としては、(株)TSLソリューションズ製 OIM5.0(商品名)を用いた。
(b)ビッカース硬さ[Hv]
供試材の断面を鏡面研磨し、JIS Z 2244に準じて測定した。
(c)90°W曲げ加工性
JIS Z 2248に準じて90°W曲げ加工性を評価した。供試材の圧延方向に垂直に幅10mm、長さ35mmに切出し、これに曲げの軸が圧延方向に直角になるようにW曲げしたものをGW(Good Way)、曲げの軸が圧延方向に平行になるようにW曲げしたものをBW(Bad Way)とし、曲げ部を50倍の光学顕微鏡で観察し、クラックの有無を調査した。GW及びBWともにクラックがなく良好であるものを◎(「優」)、クラックは無いがシワが大きいものを○(「良」)、クラックが発生し好ましくないものを×(「不可」)と判定し、◎と○を合格とした。各曲げ部の曲げ角度は90°、各曲げ部の内側半径は0.15mmとした。◎と○を合格とした。
(d)180°密着U曲げ加工性
供試材の圧延方向に垂直に幅1mm、長さ25mmにプレスで打ち抜き、これに曲げの軸が圧延方向に直角になるようにW曲げしたものをGW(Good Way)、曲げの軸が圧延方向に平行になるようにW曲げしたものをBW(Bad Way)とした。JIS Z 2248に準じて曲げ加工性の評価を行った。0.4mmRの90°曲げ金型を使用して予備曲げを行った後に、圧縮試験機によって密着曲げを行った。曲げ部外側における割れの有無を50倍の光学顕微鏡で目視観察によりその曲げ加工部位を観察し、割れの有無を調査した。GW及びBWともに曲げ加工部にクラックがなく、シワも軽微なものを◎(「優」)、クラックがないがシワが大きいものを○(「良」)、クラックのあるものを×(「不可」)と判定した。◎と○を合格とした。
(e)0.2%耐力 [YS]:
供試材の圧延平行方向から切り出したJIS Z2201−13B号の試験片をJIS Z2241に準じて3本測定しその平均値を測定した。その平均値が400MPa以上のものを合格とした。
(f)導電率 [EC]:
20℃(±0.5℃)に保たれた恒温漕中で、四端子法により供試材の比抵抗を計測して導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。導電率が25%IACS以上のものを合格とした。
(g)ヤング率(縦弾性係数)
供試材の圧延平行方向と圧延垂直方向に、幅20mm、長さ200mmの短冊状試験片を採取し、試験片長さ方向に引張試験機により応力を付与した。あらかじめ降伏する歪み量を測定しておき、その80%の歪み量を最大歪み量とし、その歪み量までを10分割した歪みを与え、その10点から歪みと応力の比例定数を求めた。圧延方向に対して平行と垂直の両方向に試験片を採取して測定し、その平均値をヤング率とした。ヤング率が120GPa以下のものを合格とした。
(h)たわみ係数
日本伸銅協会技術標準(JCBA)T312(2002年)に従って、片持ち梁法によって測定した。供試材の圧延方向に対して平行と垂直の両方向に試験片を採取して測定し、平均値をたわみ係数とした。たわみ係数が105GPa以下のものを合格とした。
(i)平均結晶粒径
JIS−H0501の切断法に準じ、供試材の厚さ方向に平行でかつ圧延方向と平行な断面を鏡面研磨した後にエッチングして測定した。最終冷間圧延方向に対して平行方向と直角方向の2方向でそれぞれの平均結晶粒径を測定し、その平均値を平均結晶粒径とした。
(j)結晶粒の扁平率[a/b]
上記の平均結晶粒径の算出において、冷間圧延方向に対して平行方向に測定された平均結晶粒径(a)と垂直方向に測定された平均結晶粒径(b)の比を算出した。通常、結晶粒は圧延方向に伸びた楕円状であるため、aを長軸、bを短軸として、a/bの比によって結晶粒の扁平率を評価した。
(k)X線回折強度[I(hkl)]
供試材について、反射法で、ターゲットとして銅またはモリブデンを使用し、KαのX線を使用してX線を照射した。管電流20mA、管電圧40kV、の条件で測定し、回折角と回折強度のプロファイルにおいて、回折強度のバックグラウンドを除去後、各ピークのKα1とKα2を合わせた積分回折強度I(hkl)を求めた。ここで(hkl)は回折を起こすNDに向く結晶面の指数である。方位がランダムな場合に相当する純銅の標準粉末から測定した積分回折強度I(hkl)との比、I(hkl)/I(hkl)を算出し、X線回折強度とした。
この数値によって、本発明で見出された結晶方位を特定出来るものでは無く、この方法で方位を簡易評価した場合の参考値を示すためのものである。
(l)第2相粒子の分散密度
鏡面研磨した供試材をエッチングし、FE−SEMによって10万倍の倍率で観察し、大きさが30〜1000nmの大きさの第2相粒子の個数を数えて、測定面積で割り、密度(個/mm)を算出した。FE−SEMとしては、7001FA(日本電子社製)を用いた。第2相粒子が楕円形状や、板形状の場合は、長径の長さが30〜1000nmの場合にカウントした。
(m)応力緩和率 [SRR]
日本伸銅協会技術標準(JCBA)T309(2004)(旧日本電子材料工業会標準規格 EMAS−3003に相当)に準じ、片持ち梁法により耐力の80%の初期応力を負荷として加え、150℃で1000時間保持後の残存永久歪みから、応力緩和率を求めた。圧延垂直方向に試験片を採取した。応力緩和率が30%以下のものを合格とした。
図4は耐応力緩和特性の試験方法の説明図であり、(a)は熱処理前、(b)は熱処理後の状態である。図4(a)に示すように、試験台4に片持ちで保持した試験片1に、耐力の80%の初期応力を付与した時の試験片1の位置は、基準からδの距離である。これを150℃の恒温槽に1000時間保持(前記試験片1の状態での熱処理)し、負荷を除いた後の試験片2の位置は、図4(b)に示すように基準からHの距離である。3は応力を負荷しなかった場合の試験片であり、その位置は基準からHの距離である。この関係から、応力緩和率(%)は(H−H)/(δ−H)×100と算出した。式中、δは、基準から試験片1までの距離であり、Hは、基準から試験片3までの距離であり、Hは、基準から試験片2までの距離である。
(n)表面粗度
JIS B 0601(2001年)に従って、供試材について、算術平均粗さ(Ra)と最大高さ(Rz)を表面粗さ計SE−30H(小阪研究所社製)を用いた。測定長さは4mmで、圧延方向に対して垂直方向に測定した。
(o)打ち抜きプレス性
日本伸銅協会技術標準(JCBA)T312(2002年)に従って、打ち抜き加工を行い、バリ高さを測定した。
(p)スプリングバック量
90°W曲げを行った後に、断面から曲げ角度を観察し、90°から開いた角度を測定した。
(q)方位密度
EBSD法により測定した方位分布を、Bungeによって提唱された一般化球面調和関数を用いて展開し、方位密度分布関数(ODF Orientation Distribution Function)を計算した。この時の展開次数は16次で行った。Cube方位等の方位密度を表1〜4に示した。実施例1のODFマップを図2に、比較例1のODFマップを図3に示す。図2及び図3において、φ2が0°〜90°まで、5°おきに、横軸φ1、縦軸Φのマップを示している。Cube方位密度は、(φ1、Φ、φ2)が(0°、0°、0°)の位置で示される。
完全に結晶方位分布が完全ランダムな場合の方位密度は1であり、対象となる方位成分が完全なランダム方位の状態に対して何倍の集積状態かを表すのが、方位密度である。
表1〜4に示すように、実施例1−1〜1−12、実施例2−1〜2−9、実施例3−1〜3−11、実施例4−1〜4−8は、Cube方位面積率が5%以上70%以下であり、縦弾性係数、たわみ係数、ビッカース硬さ、曲げ加工性、耐力、導電率、耐応力緩和特性に優れている。実施例1−5や3−4では、Copper方位とBrass方位の面積率の合計が20%を越えているため、やや曲げ加工性が低い場合もあったが、合格レベルであった。
ヤング率(縦弾性係数)は、全ての試験片において、圧延方向に対して平行方向の値が、垂直方向よりも低く、その差は2〜20GPaであった。たわみ係数は、全ての試験片において、圧延方向に対して平行方向の値が、垂直方向よりも低く、その差は2〜20GPaであった。
しかし、本発明の規定を満たさない場合は、特性が劣る結果となった。
比較例1−1〜比較例1−4はCube方位面積率が低いために、曲げ加工性、ヤング率及びたわみ係数が劣った。比較例1−5はCube方位面積率が高いためにビッカース硬さ及び耐力が劣り、また結晶粒径が粗大化した状態となっており、曲げ加工性が劣った。比較例1−6は主成分であるCr、Zr、Tiの総量が少ないために、ビッカース硬さ、耐力及び耐応力緩和特性に劣った。比較例1−7は主成分であるCr、Zr、Tiの総量が多いために、圧延加工性を低下させる粗大な晶出物が多数存在し、熱間加工中にエッジ割れが発生し試作を中止した。比較例1−8は、副添加元素の総量が多いためにCube方位面積率が減少し、曲げ加工性、ヤング率及びたわみ係数が劣った。比較例1−9は、副添加元素の総量が多いためにCube方位面積率が減少し、曲げ加工性、ヤング率及びたわみ係数が劣るとともに、導電性が劣った。
比較例2−1〜比較例2−4はCube方位面積率が低いために、曲げ加工性、ヤング率及びたわみ係数が劣った。比較例2−5はCube方位面積率が高いために結晶粒径が粗大化した状態となっており、曲げ加工性が劣った。比較例2−6は主成分であるBe、Niの総量が少ないために、ビッカース硬さ、耐力及び耐応力緩和特性に劣った。比較例2−7は主成分であるBe、Niの総量が多いために、導電性が劣った。比較例2−8は、副添加元素の総量が多いために導電性が劣った。比較例2−9及び2−10は、副添加元素の総量が多いために、Cube方位面積率が少なく、曲げ加工性、ヤング率及びたわみ係数が劣った。また導電性も劣った。
比較例3−1〜比較例3−4はCube方位面積率が低いために、曲げ加工性、ヤング率、及びたわみ係数が劣った。比較例3−5は、Cube方位面積率が高いために結晶粒径が粗大化した状態となっており、曲げ加工性が劣った。比較例3−6は主成分であるNi、Snの総量が少ないために、ビッカース硬さ、耐力及び耐応力緩和特性に劣った。比較例3−7は主成分であるPが少ないために、耐応力緩和特性に劣った。比較例3−8は、主成分であるSnが多いために、Cube方位面積率が低く、曲げ加工性、ヤング率及びたわみ係数、導電率が劣った。比較例3−9は、主成分であるPが多いために、Cube方位面積率が低く、曲げ加工性、ヤング率及びたわみ係数、導電率が劣った。比較例3−10は、副添加元素が多いために、導電率が劣った。
比較例4−1〜4−4はCube方位面積率が低いために、曲げ加工性、ヤング率、及びたわみ係数が劣った。比較例4−5は、Cube方位面積率が高く、結晶粒径が粗大化した状態となっており、曲げ加工性が劣った。比較例4−6は、主成分であるMgとPの合計が少ないためにビッカース硬さ及び耐力が劣った。比較例4−7は、主成分であるMgとPの合計が多いために、Cube方位面積率が少なく、曲げ加工性、ヤング率、及びたわみ係数が劣った。比較例4−8は、副添加元素の総和が多いために、Cube方位面積率が少なく、曲げ加工性、ヤング率、たわみ係数及び導電性が劣った。
表1には示していないが、本発明例及び比較例を合わせた全てのサンプルにおいて、結晶粒の扁平率[a/b]は0.8〜2.7、表面粗度を表すRaは0.05〜0.3μm、Rzは0.3〜3μm、打ち抜きプレス性の指標であるバリ高さは40μm以下、スプリングバック量は10°以下を示した。
一般的なNiめっき、Agめっき、Snめっきを施した後の曲げ加工性も評価したところ、比較例に比べて、実施例では、めっきの割れが軽微であることが確認された。
図2に示す様に、本発明例ではODF解析においても、Cube方位の集積が高いことが確認された。一方、図3に示す様に、比較例では、Cube方位の集積は1程度であり、集積していないことが確認された。
これらとは別に、従来の製造条件により製造した銅合金板材について、本発明に係る銅合金板材との相違を明確化するために、その従来の製造条件で銅合金板材を作製し、上記と同様の特性項目の評価を行った。なお、各板材の厚さは特に断らない限り上記実施例と同じ厚さになるように加工率を調整した。
(比較例101)・・・特開2009−132965号公報実施例1の条件
無酸素銅を母材として用いて、Cr;0.2質量%、Zr;0.1質量%を含有した組成を有する銅合金を高周波溶解炉で溶製し、厚さ25mm、幅30mm、長さ150mmのインゴットに鋳造した。これを950℃に加熱して、厚さ8mmまで熱間圧延し、その後、厚さ1mmまで冷間圧延して、800℃で焼鈍した。
続いて、これに加工度40%の冷間加工と、500℃で1分間加熱する熱処理とを、3回繰り返して行って、厚さ0.22mmの金属板材を作製した。
これを試料c01とした。
得られた試験体c01は、上記本発明に係る実施例とは製造条件について、中間熱処理1[工程7]を行っておらず、冷間圧延1[工程6]より後の熱処理と冷間圧延の工程が異なり、Cube方位は5%未満であり、ヤング率(縦弾性係数)について本発明の要求特性を満たさない結果となった。
(比較例102)・・・特開2008−297617号公報本発明例1の条件
Be1.91質量%、Ni0.14質量%、Fe0.04質量%、Co0.30質量%を含有し残部が銅である組成を有する銅合金を溶製し、縦型半連続鋳造機を用いて鋳造した。得られた鋳片(厚さ60mm)を固相線より30℃以上低い温度(合金組成により820〜900℃)に加熱したのち抽出して、熱間圧延を開始した。固相線温度は、各組成の合金について予備実験を行うことによって把握してある。熱間圧延に際しては、700℃以上の温度域での圧延率が60%以上となり、かつ700℃未満の温度域でも圧下率44%で圧延が行われるようにパススケジュールを設定した。熱間圧延の最終パス温度は600℃〜400℃の間にある。鋳片からのトータルの熱間圧延率は約90%である。熱間圧延後、表層の酸化層を機械研磨により除去(面削)した。次いで、圧延率82%で冷間圧延を行った後、溶体化処理に供した。溶体化処理においては、溶体化処理後の平均結晶粒径(双晶境界を結晶粒界とみなさない)が10〜40μmとなるように到達温度を合金組成に応じて700〜850℃の範囲内で調整し、700〜850℃の温度域での保持時間を10sec〜10mimの範囲で調整した。続いて、上記溶体化処理後の板材に対して、圧延率20%で仕上冷間圧延を施した。なお、必要に応じて途中で面削を行い、板厚は0.2mmに揃えた。「未時効処理材」としての供試材にはこの段階の板材を使用した。
このようにして得られた板厚0.2mm板材について、予備実験として300〜500℃の温度範囲で最大5hまでの時効処理実験を行い、合金組成に応じて最大硬さとなる時効処理条件(その時効温度をTm(℃)、時効時間をtm(min)とする)を把握した。
この合金(上記未時効処理材)の板材を時効温度Tm(320℃)、時効時間tm(120分)で時効処理して「時効硬化材」の供試材とした。これを試料c02−1とした。
また、ミルハードン材として出荷する場合を想定して、この合金(上記未時効処理材において、仕上げ冷間圧延率を10%に変更)の板材に、最大硬度には到達しない程度の時効処理を施したものを供試材とした。その時効処理条件は時効温度Tm(320℃)、時効時間0.1tm以上tm未満(20分)の範囲とした。これを試料c02−2とした。
得られた試験体c02−1、c02−2は、上記本発明に係る実施例とは製造条件について、中間熱処理1[工程7]を行っておらず、冷間圧延1[工程6]より後の熱処理と冷間圧延の工程が異なり、Cube方位は5%未満であり、ヤング率(縦弾性係数)について本発明の要求特性を満たさない結果となった。
(比較例103)・・・特開2009−84594号公報本発明例1の条件
Ni0.7質量%、Sn1.2質量%、P0.05質量%、Fe0.02質量%、Zn0.05質量%を含有し残部が銅である組成を有する銅合金を、コアレス炉にて溶製した後、半連続鋳造法(鋳造の冷却凝固速度2℃/sec)で造塊して、厚さ70mm×幅200mm×長さ500mmの鋳塊を得た。この鋳塊を、以下の条件にて圧延して銅合金薄板を製造した。鋳塊の表面を面削して加熱後、加熱炉で960℃で加熱した後、直ちに熱延終了温度750℃で熱間圧延を行って厚さ16mmの板とし、650℃以上の温度から水中に急冷した。
この際、溶解炉での合金元素添加完了から鋳造開始までの所要時間は、1200秒以下とし、加熱炉抽出から熱延終了までの所要時間は、1200秒以下とした。
この板を、酸化スケールを除去した後、冷延→連続仕上げ焼鈍→冷延→歪み取り焼鈍を行なって、銅合金薄板を製造した。即ち、一次冷間圧延(粗冷間圧延、中延べ冷間圧延)後の板を面削した。この板の仕上げ焼鈍を、焼鈍炉にて、板の実体温度として、最高到達温度が600℃、この温度での保持時間60秒として行った。
この仕上げ焼鈍後に、圧下率を60%とした最終冷間圧延を行った。この最終冷間圧延のロール径(60mm)と、1パス当たりの最小圧下率(30%)として行った。なお、最終冷間圧延では4パスとも同じロール径のロールを使用した。また、ロール長さは500mmとした。この最終冷間圧延後に、実体温度400℃×20秒間の低温の歪み取り焼鈍を行って、厚さ0.25mmの銅合金薄板を得た。
これを試料c03とした。
得られた試験体c03は、上記本発明に係る実施例とは、合金組成について、Fe0.02質量%を含有している点で、また、製造条件について、本発明での工程9に相当する再結晶熱処理である仕上げ焼鈍の前に、中間熱処理1[工程7]を行っておらず、冷間圧延1[工程6]より後の熱処理と冷間圧延の工程が異なり、Cube方位は5%未満であり、ヤング率(縦弾性係数)について本発明の要求特性を満たさない結果となった。
(比較例104)・・・特開2009−228013号公報実施例1の条件
0.66質量%のMgと0.04質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金を溶製し、縦型の小型連続鋳造機を用いて鋳造して、厚さ50mmの鋳片を得た。
その鋳片を900℃に加熱した後に抽出し、熱間圧延を開始した。この熱間圧延では、900℃〜600℃の温度域における圧延率が60%以上になり且つ600℃未満の温度域でも圧延が行われるようにパススケジュールを設定した。なお、600℃未満〜300℃における熱間圧延率を48%とし、熱間圧延の最終パス温度は500℃〜300℃の間とした。また、鋳片からのトータルの熱間圧延率は約90%であった。熱間圧延後、表層の酸化層を機械研磨により除去(面削)した。
次いで、圧延率92%で冷間圧延を行った後、400〜700℃で再結晶焼鈍を行った。なお、試料表面に取り付けた熱電対により再結晶焼鈍時の温度変化をモニターした。再結晶焼鈍後の平均結晶粒径(双晶境界を結晶粒界とみなさない)が10〜30μmになるように、到達温度を合金組成に応じて400〜700℃の範囲内で調整し、400〜700℃の温度域における保持時間を10秒間〜30分間の範囲で調整した。
次に、再結晶焼鈍後の板材に対して、圧延率35%で仕上げ冷間圧延を行い、次いで、300℃の炉中に5分間装入する低温焼鈍を施した。
このようにして銅合金板材を得た。なお、必要に応じて途中で面削を行い、銅合金板材の板厚を0.3mmに揃えた。これを試料c04とした。
得られた試験体c04は、上記本発明に係る実施例とは製造条件について、中間熱処理1[工程7]を行っておらず、冷間圧延1[工程6]より後の熱処理と冷間圧延の工程が異なり、Cube方位は5%未満であり、ヤング率(縦弾性係数)について本発明の要求特性を満たさない結果となった。
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2010年8月27日に日本国で特許出願された特願2010−191534に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
1 初期応力を付与した時の試験片
2 負荷を除いた後の試験片
3 応力を負荷しなかった場合の試験片
4 試験台

Claims (7)

  1. Cr、Zr、Tiの少なくとも1種を合計で0.05〜1.0mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる銅合金板材であって、EBSD測定における結晶方位解析において、Cube方位{001}<100>の面積率が5%以上70%以下であり、ビッカース硬さが120以上であることを特徴とする銅合金板材。
  2. Cr、Zr、Tiの少なくとも1種を合計で0.05〜1.0mass%含有し、Sn、Zn、Si、Ag、Mn、B、P、Mg、Ni、CoおよびHfからなる群から選ばれた少なくとも1種を合計で0.005〜1.0mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる銅合金板材であって、EBSD測定における結晶方位解析において、Cube方位{001}<100>の面積率が5%以上70%以下であり、ビッカース硬さが120以上であることを特徴とする銅合金板材。
  3. Copper方位{121}<111>とBrass方位{110}<112>の面積率の合計が、20%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の銅合金板材。
  4. 30〜1000nmの大きさの第2相粒子が、10〜10個/mmで存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅合金板材。
  5. 請求項1または2に記載の銅合金板材を製造する方法であって、前記銅合金板材を与える合金成分組成から成る銅合金素材に、
    鋳造[工程1]、
    900〜1020℃で3分〜10時間の均質化熱処理[工程2]、
    熱間加工[工程3]、
    水冷[工程4]、
    加工率70%〜99.9%の冷間圧延1[工程6]、
    200℃〜750℃で5秒〜20時間の保持の熱処理1[工程7]、
    加工率2〜50%の冷間圧延2[工程8]、
    400℃〜1000℃で5秒間〜10分間の熱処理2[工程9]
    400℃〜700℃で5分間〜10時間の時効析出熱処理[工程11]、
    加工率0〜40%の冷間圧延4[工程12]、
    200℃〜600℃で5秒〜10時間の調質焼鈍[工程13]をこの順に施すことを特徴とする銅合金板材の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の銅合金板材からなる銅合金部品。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の銅合金板材からなるコネクタ。
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