JP5144814B2 - 電気電子部品用銅合金材料 - Google Patents

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Description

本発明は、リードフレーム、コネクタ、端子材、リレー、スイッチ、ソケットなどの電気電子部品に適用される銅合金材料およびその製造方法に関する。
銅または銅合金などの金属基体上にスズめっきを施したスズめっき材料は、安価でありながら、基体の優れた導電性と強度に加え、めっき層の低い接触抵抗と耐食性及びはんだ付け性を備えているため、高性能な接点用導体材料として、各種の端子やコネクタなどに広く使用されている。
また、スズめっき材料の用途の一部では、高温環境下で長時間使用され、その場合にはスズめっき層のスズが基体中への熱拡散により消失し、めっきの機能が低下することが問題となる。そのため、スズめっき層の下層にニッケルやコバルトなどの下地めっきを施し、スズの熱拡散を低減する。スズめっき層と基体材料との間のニッケルやコバルトの下地めっき層は、スズの拡散のバリア層としての機能を持つ。
この様に、使用環境に応じて、下地めっきの有無について2種類の構成のスズめっき材料が開発されている。
近年のスズめっき材料が使用される状況には、以下の様な変化が挙げられる。
第1に、自動車や電機・電子機器の高機能化とともに、コネクタの多極化が進行しているため、端子や接点部品の一つ一つの小型化が進行している。例えば、タブ幅が約1.0mmの端子を0.64mmへダウンサイズする動きが進んでいる。
第2に、鉱物資源の低減や、部品を軽量化するため、基体材料の薄肉化が進行しており、なおかつバネ接圧を保つために、従来よりも高強度な基体材料が要求されている。
第3に使用環境の高温化が進行している。例えば自動車部品では、二酸化炭素発生量の低減のために、車体軽量化を進めるため、従来、ドアに設置していた様なエンジン制御用のECUなどの電子機器をエンジンルーム内やエンジン付近に設置し、電子機器とエンジンの間のワイヤーハーネスを短くする動きが進んでいる。
一方、上記の変化に伴い、めっき材料には下記の様な問題が生じている。
端子の小型化に伴い、接点部分やバネ部分に施される曲げ加工の曲げ半径は小さくなり、めっき材料には従来よりも厳しい曲げ加工が施される。そのため、めっき材料のめっき部分または、めっき部分と基体材料にクラックが発生する問題が生じている。
めっき材料の高強度化に伴い、めっき材料の曲げ加工性は、一般的に強度とトレードオフの関係にあるため、めっき材料のめっき部分または、めっき部分と基体にクラックが発生する問題が生じている。
使用環境の高温化に伴い、スズめっき層の熱拡散による消失を防止するためには、バリア層となるニッケルやコバルトなどの下地めっきを厚くする必要があるが、これらのめっきはスズめっきよりも硬く延性に乏しいため、曲げ加工を行った場合に、このバリアめっき層を基点とした、クラックが発生する問題が生じている。
接点部分やバネ部分に施される曲げ加工部にクラックが発生すると、接点部分の接圧が低下することにより、接点部分の接触抵抗が上昇し、電気的接続が絶縁され、コネクタとしての機能が失われることとなる。
上記の様な課題を解決する従来の方法として、下記の様な技術が提案されている。
ニッケルやコバルトなどの下地層を含まないスズめっき材料に関しては、特許文献1において、Cu−Sn化合物層の厚さの制御により、成形加工性が悪化することを防止している。
ニッケルやコバルトなどの下地層を含むスズめっき材料に関しては、特許文献2、3において、ニッケル下地めっき層の厚さの制御により、また、特許文献4において、ニッケル下地めっき層とCu−Sn化合物層の厚さの制御により、曲げ加工性が悪化することを防止している。
但し、これらの方法では、最先端技術の小型端子の小さい曲げ半径でクラックの発生を防止することが困難になってきている。また、めっき層の厚さの制御は、肝心のめっきとしての機能を損なう場合があるため、抜本的な解決にならない場合があった。
特開2006−183068号公報 特開2003−147579号公報 特開2003−293187号公報 特開2004−068026号公報
曲げ半径の小さい、厳しい曲げ加工条件で曲げ加工した場合や、高強度の基体材料を使用して曲げ加工した場合でも、めっき材料のめっき部分または、めっき部分と金属基体材料にクラックが発生しない、スズめっき材料が求められている。特に、めっきの厚さを制御することで、めっき部分及び基体材料のクラックを抑制する方法では、耐熱性の低下などのめっきの機能低下に繋がるため、それ以外の方法が求められている。
本発明者らは、電気・電子部品用途に適したスズめっき材料について研究を行い、銅または銅合金基体材料のcube方位の面積割合と、スズめっき材料の曲げ加工後のクラック発生頻度について相関があることを見出し、さらに鋭意検討を重ね本発明に至った。
また、それに加えて前記基体材料のcube方位面積を高めながら、なおかつ、スズめっき材料に要求される強度及び導電性を満足する基体材料の合金組成を見出し、発明に至った。
更に、基体材料の導電率や曲げ加工性を損なうことなく、耐応力緩和特性を向上させる働きのある添加元素について発明を行った。
すなわち、本発明は、以下の解決手段を提供する。
(1)銅合金からなる基体上に、
少なくとも銅およびスズを含む合金層がめっき処理と加熱溶融処理により形成されている電気電子部品用銅合金材料であって、
前記基体のEBSD法結晶方位測定におけるcube方位{0 0 1}<1 0 0>から20°以内である領域の面積率が、5%以上であり、
前記基体は、ニッケルまたはコバルトの少なくとも一方を合計で0.4〜5.0mass%含有し、ケイ素を0.1〜1.5mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる組成を有し、該基体は表層の加工変質層を除去してなり、
前記基体上に隣接して、ニッケルまたはコバルトの少なくとも一方を含有する下地めっき層が設けられており
前記銅合金材料を、内側半径0.15mmとして90°W曲げ加工し、温度140℃で120時間の条件で大気中において加熱した後の曲げ部頂点の接触抵抗が、Agプローブを介した荷重490mNの条件下で10mΩ以下である
ことを特徴とする、電気電子部品用銅合金材料。
(2)銅合金からなる基体上に、
少なくとも銅およびスズを含む合金層がめっき処理と加熱溶融処理により形成されている電気電子部品用銅合金材料であって、
前記基体のEBSD法結晶方位測定におけるcube方位{0 0 1}<1 0 0>から20°以内である領域の面積率が、5%以上であり、
前記基体は、ニッケルまたはコバルトの少なくとも一方を合計で0.4〜5.0mass%含有し、ケイ素を0.1〜1.5mass%含有し、スズ、亜鉛、銀、マンガン、ホウ素、リン、マグネシウム、クロム、鉄、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.005〜2.0mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる組成を有し、該基体は表層の加工変質層を除去してなり、
前記基体上に隣接して、ニッケルまたはコバルトの少なくとも一方を含有する下地めっき層が設けられており
前記銅合金材料を、内側半径0.15mmとして90°W曲げ加工し、温度140℃で120時間の条件で大気中において加熱した後の曲げ部頂点の接触抵抗が、Agプローブを介した荷重490mNの条件下で10mΩ以下である
ことを特徴とする、電気電子部品用銅合金材料。
(3)前記合金層上に、スズまたはスズ合金からなる最表層が設けられていることを特徴とする、(1)または(2)記載の電気電子部品用銅合金材料。
(4)前記下地めっき層と前記合金層との間に、銅または銅合金からなる中間層が設けられていることを特徴とする、(1)または(2)記載の電気電子部品用銅合金材料。
(5)前記下地めっき層と前記合金層との間に、銅または銅合金からなる中間層が設けられ、かつ前記合金層上に、スズまたはスズ合金からなる最表層が設けられていることを特徴とする、(1)または(2)記載の電気電子部品用銅合金材料。
(6)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の銅合金材料が加工されてなる電気電子部品。
(7)ニッケルまたはコバルトの少なくとも一方を合計で0.4〜5.0mass%含有し、ケイ素を0.1〜1.5mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる組成を有する銅合金からなり、均質化熱処理した鋳塊を850〜1020℃で熱間圧延し、800℃以下まで水冷または空冷して500〜800℃で合計の加工率が40%以上の高温圧延を行って得た基体上に、
ニッケルまたはコバルトの少なくとも一方を含有する下地めっき層と、銅または銅合金からなる銅めっき層と、スズまたはスズ合金からなるスズめっき層をこの順に形成し、その後250〜800℃で0.1〜120秒の加熱溶融処理によって前記スズめっき層を溶融させて、前記銅めっき層の構成元素と前記スズめっき層の構成元素からなる合金層を形成する、電気電子部品用銅合金材料の製造方法であって、
前記加熱溶融処理後の前記基体のEBSD法結晶方位測定におけるcube方位{0 0 1}<1 0 0>から20°以内である領域の面積率が5%以上であることを特徴とする、電気電子部品用銅合金材料の製造方法。
(8)ニッケルまたはコバルトの少なくとも一方を合計で0.4〜5.0mass%含有し、ケイ素を0.1〜1.5mass%含有し、スズ、亜鉛、銀、マンガン、ホウ素、リン、マグネシウム、クロム、鉄、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.005〜2.0mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる組成を有する銅合金からなり、均質化熱処理した鋳塊を850〜1020℃で熱間圧延し、800℃以下まで水冷または空冷して500〜800℃で合計の加工率が40%以上の高温圧延を行って得た基体上に、
ニッケルまたはコバルトの少なくとも一方を含有する下地めっき層と、銅または銅合金からなる銅めっき層と、スズまたはスズ合金からなるスズめっき層をこの順に形成し、その後250〜800℃で0.1〜120秒の加熱溶融処理によって前記スズめっき層を溶融させて、前記銅めっき層の構成元素と前記スズめっき層の構成元素からなる合金層を形成する、電気電子部品用銅合金材料の製造方法であって、
前記加熱溶融処理後の前記基体のEBSD法結晶方位測定におけるcube方位{0 0 1}<1 0 0>から20°以内である領域の面積率が5%以上であることを特徴とする、電気電子部品用銅合金材料の製造方法。
ここでcube方位とは、結晶の<0 0 1>方向が圧延方向、圧延面法線および幅方向と平行になる方位である。
本発明の電気電子部品用銅合金材料は曲げ加工性が優れスズまたはスズめっき(最表層)と基体材料にクラックを生じることがない。したがってコネクタの接点材料として有用である。また本発明の電気電子部品用銅合金材料の製造方法によれば上記の優れた物性のコネクタなどに用いられる電気電子部品用銅合金材料が得られる。
図1(A)はずれ角度の説明図である。図1(B)は図1(A)における座標系の説明図である。 耐応力緩和特性の試験方法の説明図である。
本発明の銅合金材料の好ましい実施の態様について、詳細に説明する。ここで、「銅合金材料」とは、銅合金素材が所定の形状(例えば、板、条、箔、棒、線など)に加工されたものを意味する。なお、実施形態として板材、条材について説明する。
スズめっき材料の曲げ加工時のクラックが発生する原因を明らかにするために、本発明者らは、曲げ変形した後のスズめっき材料の金属組織を詳細に調査した。その結果、基体材料は均一に変形しているのではなく、特定の結晶方位の領域のみに変形が集中する、不均一な変形が進行することが観察された。そして、その不均一変形により、曲げ加工した後の基体材料表面には、数ミクロンの深さのシワや、微細なクラックが発生し、結果的にスズめっきの割れに至ることが解った。
本発明の様に、複数の相を積み重ねためっき構造の場合、NiやCoなどの下地層及び、Cu−Sn化合物などの拡散層は、周囲のSn及び母材よりも強度が高く、これらの層ごとの変形挙動の差が問題となる。結果的に、下地層及び拡散層は延性に乏しく周囲よりも破壊が先に起こり、その破壊を起点としてめっき層全体が割れるため、多層めっきにおけるめっき割れは本質的な問題であった。この問題に対し、本発明は、めっきされる母材の表面について特定の結晶方位を有するように調整することにより、その変形状態を変化させる手法を取ったものである。
本発明で規定するように、基体材料のcube方位面積率を所定の大きさとすると、不均一な変形が抑制され、基体材料の表面に発生するシワが低減され、スズめっきの割れが抑制されることが解った。
更に、ニッケルや銅下地層もcube方位に配向し、めっき自体にも不均一な変形体が発達しにくくなる効果を見出した。
cube方位面積率は、EBSD法(電子後方散乱回折像法)などで測定される、試料の被測定面積に対するcube方位の面積の比率である。cube面積率が5%以上の場合に、上記の効果が得られる。好ましくは、7%以上、更に好ましくは、10%以上である。また上限は特に制限するものではないが、好ましくは50%以下である。cube方位面積率が大きすぎる場合は、材料の加工硬化量が低下し、バネ接点の接触圧力が低下することがある。
本明細書における結晶方位の表示方法は、材料の圧延方向(RD)をX軸、板幅方向(TD)をY軸、圧延法線方向(ND)をZ軸の直角座標系を取り、材料中の各領域がZ軸に垂直な(圧延面に平行な)結晶面の指数(h k l)と、X軸に平行な結晶方向の指数[u v w]とを用いて、(h k l)[u v w]の形で示す。また、(1 3 2)[6 −4 3]と(2 3 1)[3 −4 6]などのように、銅合金の立方晶の対称性のもとで等価な方位については、ファミリーを表すカッコ記号を使用し、{h k l}<u v w>と示す。
本発明における上記結晶方位の解析には、EBSD法を用いた。EBSD法(電子後方散乱回折像法)とは、Electron Back Scatter Diffractionの略で、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折像(菊池パターン)を利用した結晶方位解析技術のことである。ここでは、結晶粒を200個以上含む、500μm四方の試料面積に対し、0.5μmのステップでスキャンし、方位を解析した。
ずれ角度については、共通の回転軸を中心に回転角を計算して求める。図1(A)および図1(B)にずれ角度の説明図を示す。図1(A)の例1は、(1 0 0)方向を回転軸にして回転した例、例2は、(1 1 0)方向を回転軸にして回転した例、例3は、(1 1 1)方向を回転軸にして回転した例をそれぞれ示す。例えば、cube方位(0 0 1)[1 0 0]に対して、(−1 1 5)[5 0 1]は(1 1 0)方向を回転軸にして15°回転、(−1 1 10)[9 −1 1]は(1 1 1)方向を回転軸にして10°回転した関係になっている。この角度をずれ角度とした。共通の回転軸は最も小さいずれ角度で表現できるものを採用する。面積率の算出方法自体は通常の方法であり、全ての測定点に対してこのずれ角度を計算して小数第一位までを有効数字とし、cube方位からのずれ角度が20°以内の方位を持つ結晶粒の面積を全測定面積で除し、面積率とする。図1(B)は上記図1(A)での座標系を示す。なお、図1(A)における回転角度は、四捨五入して整数で表示している。
EBSDによる方位解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数10nmの深さまでの方位情報を含んでいるが、測定している広さに対して充分に小さいため、本明細書中では面積率として記載した。また、測定は板表面から行った。
EBSD測定にあたっては、鮮明な菊池線回折像(菊池パターン)を得るために、機械研磨の後に、コロイダルシリカの砥粒を使用して、基体表面を鏡面研磨した後に、測定を行った。
本発明のコネクタ用端子の基体材料金属としては、銅または銅合金が用いられる。これらの基体銅合金としては、従来の公知のものから適宜選ぶことができるが、各物性を向上させる好ましい実施態様について以下に説明する。
コネクタに要求される導電性、機械的強度および耐熱性を有する銅、リン青銅、黄銅、洋白、ベリリウム銅、コルソン系合金(Cu−Ni−Si系)などの銅合金が好ましい。特に、cube方位の面積率を高めたい場合は、純銅系の材料やベリリウム銅、コルソン系合金が好ましい。更に、最先端の小型端子材料に求められるような、高強度と高導電性を両立させるためには、Cu−Ni−Si系やCu−Ni−Co−Si系の銅合金が好ましい。
銅(Cu)に添加する第1の添加元素群であるニッケル(Ni)とコバルト(Co)とケイ素(Si)について、それぞれの添加量を制御することにより、Ni−Si、Co−Si、Ni−Co−Siの化合物を析出させて銅合金の強度を向上させることができる。その添加量は、ニッケルとコバルトの中から1種または2種を合計で0.4〜5.0mass%、好ましくは0.6〜4.5mass%、さらに好ましくは0.8〜4.0mass%、Siの含有量は0.1〜1.5mass%、好ましくは0.2〜1.2mass%である。これらの元素の添加量が合計で0.5〜5.1mass%である。この量が多すぎると導電率を低下させ、また、少なすぎると強度が不足することがある。
次に、耐応力緩和特性などの特性(二次特性)を向上させる添加元素の効果について示す。好ましい添加元素としては、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ホウ素(B)、リン(P)、マグネシウム(Mg)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)およびハフニウム(Hf)が挙げられる。添加効果を充分に活用し、かつ導電率を低下させないためには、総量で0.005〜2.0mass%であることが必要で、好ましくは0.01〜0.9mass%、さらに好ましくは、0.03〜0.8mass%である。これらの添加元素が総量で2mass%を超えると導電率を低下させる弊害を生じることがあり好ましくない。なお、これらの添加元素が総量で0.005mass%より少ない場合は、これらの元素を添加した効果がほとんど発揮されない。
以下に、各元素の添加効果を示す。Sn、Zn、Mgは、Cu−Ni−Si系、Cu−Ni−Co−Si系、Cu−Co−Si系銅合金に添加することで耐応力緩和特性が向上する。それぞれを添加した場合よりも併せて添加した場合に相乗効果によってさらに耐応力緩和特性が向上する。また、半田脆化を著しく改善する効果がある。また、Agを含めると、固溶効果により強度が向上する効果がある。
また、Mn、B、P、Cr、Fe、Ti、ZrおよびHfは、結晶粒の微細化による強度の向上などの効果を奏する。
次に、基体材料の結晶方位の、cube方位の面積率を制御する方法について説明する。ここでは、析出型銅合金の板材(条材)を例に挙げて説明する。
一般に、析出型銅合金は、均質化熱処理した鋳塊を熱間と冷間の各ステップで薄板化し、700〜1020℃の温度範囲で中間溶体化熱処理を行って溶質原子を再固溶させた後に、時効析出熱処理と仕上げ冷間圧延によって必要な強度を満足させるように製造される。これらの製造条件は銅合金組成によって若干異なるが、鋳塊の均質化熱処理条件は、800〜1020℃で3分〜10時間行うのが好ましい。鋳塊の熱間圧延は好ましくは500〜1000℃で、冷間圧延は好ましくは室温〜200℃で行われる。冷間圧延の加工率は好ましくは80〜99.9%である。時効析出熱処理と仕上げ冷間圧延の条件は、所望の強度及び導電性などの特性に応じて、調整される。具体例をあげると時効析出熱処理は、好ましくは350〜650℃、より好ましくは400〜600℃で、好ましくは1分間〜10時間、より好ましくは10分間〜6時間で行われる。銅合金の集合組織については、この一連のステップの中の中間溶体化熱処理中に起きる再結晶によってそのおおよそが決定し、仕上げ圧延中に起きる方位の回転により、最終的に決定される。
中間溶体化熱処理においてcube方位面積率を上昇させるためには、溶質元素が充分に固溶するような高い温度に設定することが有効である。更に、cube方位面積率を上昇させるためには、熱間圧延にて1パスあたり好ましくは40%以下の加工率、より好ましくは3%〜20%の加工率で加工する。熱間圧延時の温度は、850℃〜1020℃、好ましくは900℃〜1000℃とする。熱間圧延工程で動的及び静的再結晶により鋳造組織を破壊した後、一旦、800℃以下まで水冷または空冷し、500℃〜800℃、更に好ましくは550℃〜750℃の温度で、合計の加工率が40%以上(好ましくは90%以下)の高温圧延を行うことにより、cube方位面積率を本発明で規定する範囲に制御することができる。
本発明においては、熱間圧延温度の下限値と高温圧延温度の上限値の間の温度範囲、好ましくは上記800℃〜850℃、さらに好ましくは750℃〜900℃の中間温度範囲では、圧延加工を行わず、水冷または空冷することが好ましい。以下にこの理由を示す。この温度帯は最も溶質元素の析出が速い温度帯である。なお、この中間温度帯より高温は、溶質元素がほぼ固溶する温度であり、この中間温度帯より低温は原子の運動が遅いため、析出が軽微である。そして、この好ましくは800℃〜850℃、さらに好ましくは750℃〜900℃の中間温度帯で圧延加工を受けた場合は、格子欠陥の増加により析出が更に速くなり、数ミクロン前後の大きさの粗大な析出物が生成してしまう。次に、500℃〜800℃の高温圧延及び、その後の冷間圧延において、この数ミクロン前後の大きさの粗大な析出粒子の周囲には歪みが集中する。その結果、中間溶体化熱処理において、粒子周囲の高歪み領域からランダムな方位の再結晶粒が発生し、所望のcube方位面積率を得られないことがある。すなわち、本発明で規定するcube方位面積率を達成するためには、粗大析出粒子の制御が肝要であり、そのためには上記中間温度での圧延加工を行わないことが好ましい。よって、上記の理由から、空冷よりも水冷により中間温度を推移することが、より好ましい。
なお、本発明の基体材料にめっきを施す際は、定法の前処理手段、例えば水酸化ナトリウム60グラム/リットルの水溶液におけるカソード電解脱脂および希硫酸浸漬による酸洗処理を実施することで、密着性に優れためっき皮膜を形成することが可能である。より密着性や曲げ加工性を向上させるためには、めっきを施す前に、基体材料の表面に形成される加工変質層の除去を行うことで、更に、基体材料の結晶方位を制御する効果が充分に得られる場合がある。
本発明において、加工変質層はバフ掛け工程や調質圧延(機械加工)の際に発生する熱、作用力、周囲の雰囲気、金属新生面の性質などの影響を受けて形成される層で、金属基体内部の結晶組織よりも微細な組織を呈する。前記加工変質層はベイルビー層(上層)と塑性変形層(下層)とからなり、前記ベイルビー層は極微細な結晶集合組織或いは非晶質組織からなり、前記塑性変形層は歪みの多い不均一な結晶集合組織からなり、その結晶粒の大きさはベイルビー層の結晶粒と金属基体内部の結晶粒のほぼ中間の大きさである。本発明では、これらの加工変質層を除去することとなるが、加工変質層を完全に除去するか否かは、加工変質層除去後の金属基体の表面状態などを考慮して決定することが好ましい。
加工変質層は熱的に不安定な組織であり、加熱溶融処理中の熱による原子拡散によって熱的に安定な原子配列に変化し、加工変質層は減少する。よって、本発明の様な加熱溶融処理を行うめっきの場合は、めっきの前に加工変質層を除去する利点は少なく、めっきの前に加工変質層の除去行うことは一般的ではないと考えられる。因みに、Niめっき、Cuめっき、Agめっきなどの場合は、めっき後に加熱溶融処理は行わないのが一般的である。
前記金属基体の加工変質層の除去には、硫酸、硝酸、塩酸、過酸化水素水、フッ酸などの酸の単体水溶液もしくは混合水溶液による溶解法、電解液中での通電溶解法、スパッタリング法、エッチング法などの常法が適用できる。
前記加工変質層の厚さは、材質、鋳造圧延条件およびバフ掛け条件により決まるので、前記加工変質層の厚さを、予め、材質別、製法別に調べておけば、前記加工変質層は、金属基体の露出面を観察することなく除去することができる。例えば、鋳造圧延しバフ掛けした板の表層の酸化物層および吸着物層の厚さは0.01〜0.1μm程度、加工変質層の厚さは0.3〜0.4μm程度であり、従って金属基体の表層を、めっき前に0.4μm程度、望ましくは0.5μm程度除去することにより加工変質層は除去される。
因みに、酸によって金属基体の表面を処理する技術として酸洗処理が知られているが、酸洗処理は、密着性向上のための金属基体表面酸化膜の除去を目的とし、例えば濃度数%の希硫酸に数秒間浸漬して行っており、そのため溶解除去される表層厚さはせいぜい数十ナノメートルにすぎず、加工変質層は殆ど除去されない。
電気スズめっきは、例えば硫酸スズ浴を用い、めっき温度30℃以下、電流密度5A/dmで行えばよい。ただし、条件はこの限りではなく適宜設定可能である。
本発明において形成されるスズめっきの成分組成、種類については特に制限はない。本発明に使用しうるスズめっきとしては、スズ、スズ−銀、スズ−ニッケル、スズ−銅、スズ−鉛、スズ−アンチモンなどがあげられる。スズめっき層の厚さは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5〜5μmとする。
さらに本発明において、基体材料上に、めっきの前処理として、常法によりニッケル、コバルトなどの下地めっきを例えば被覆厚0.2〜5μm程度の厚さで設けることができるが、これは必須ではない。
さらに本発明においてはスズめっき層の下層の、中間層として、銅または銅合金からなる銅めっき層を形成するのが好ましい。
本発明においては、銅合金からなる基体上に少なくとも銅およびスズを含む合金層を形成する。この銅または銅合金からなる銅めっき層は、次にスズまたはスズ合金からなるスズめっき層をこの上に形成し、好ましくは厚さ0.2〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmで形成され、その後加熱溶融処理によって前記スズめっき層を溶融させて、前記銅めっき層の構成元素と前記スズめっき層の構成元素からなる合金層を形成することにより得ることができる。この場合の前記の加熱溶融処理(リフロー処理)は、250〜800℃で、時間は0.1〜120秒行う
以下、実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
(実施例1)
[基体材料の製造]
第1の添加元素を表1に示す割合で含有するように配合し、残部がCuと不可避不純物から成る合金を高周波溶解炉により溶解し、これを0.1〜100℃/秒の冷却速度で鋳造して鋳塊を得た。これを900〜1020℃の温度で3分〜10時間の均質化熱処理後、850℃〜1020℃の温度で熱間圧延を行った。その後800℃以下まで水冷または空冷し、500℃〜800℃の温度で、合計の加工率が40%以上90%以下の高温圧延を行った後に水焼き入れを行い、酸化スケール除去のために面削を行った。その後に、加工率80%から99.8%の冷間圧延、700〜1020℃で5秒〜1時間の中間溶体化熱処理、400〜700℃で5分〜10時間の時効析出熱処理、加工率3〜25%の仕上げ冷間圧延、200〜600℃で5秒〜10時間の調質焼鈍を行って、基体材料とした。これらの供試材の組成および特性を、本発明例および比較例について併せて表1に示す。各熱処理や圧延の後に、材料表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を、形状に応じてテンションレベラーによる矯正を行った。
なお、表1、表2中の比較例1−1、1−2、2−1、2−2は、上記工程内の、高温圧延を900℃より高い温度で行い、中間溶体化熱処理を700℃未満で行い、30%より大きい加工率の仕上げ冷間圧延を行うことによって製造した。また、表1、表2中の比較例1−3、1−4、2−3、2−4は、上記工程内の、高温圧延を900℃より高い温度で行うことによって製造した。
[めっきの前処理]
次に、めっきの前処理として電解脱脂処理および酸洗処理をこの順に施した。電解脱脂処理の条件は、脱脂液はNaOH 60グラム/リットルとし、脱脂液温度60℃、電流密度2.5 A/dm、脱脂時間60秒でおこなった。
本実施例の前処理における酸洗処理の条件は、条件aとして、H 35ミリリットル/リットルと、HSO 61ミリリットル/リットルと、1−プロパノール10ミリリットル/リットルをそれぞれ含む水溶液を酸洗液として用いて、25℃の酸洗液に20秒間浸漬した。この条件は、表層に形成された加工変質層を除去できる酸洗条件である。この条件aを利用して、表1記載の試料の酸洗処理を実施した。
[めっき]
次いで、表1に示すように下地層1のめっきを施す。下地層1のめっき条件は、例えばニッケルめっきの場合は、めっき液はNi(NHSO・4HOを500グラム/リットル、HBOを30グラム/リットル、NiCl・6HOを30グラム/リットルをそれぞれ含む水溶液とし、めっき液温度55℃、電流密度を10A/dmとした。コバルトめっきの場合も同様に行った。めっき厚は、被覆厚0.5〜1μmで適宜調整した。なお、下地層がニッケルとコバルトから形成されている場合は、それぞれの被覆厚を適宜調整し、合計の厚さが0.5〜1μmになるよう調整した。
次に、中間層2としてCuめっきを施す。中間層2のめっき条件は、めっき液はCuSO・5HOを250グラム/リットル、HSOを50グラム/リットル、NaClを0.1グラム/リットルをそれぞれ含む水溶液とし、めっき液温度40℃、電流密度を6A/dmとした。
さらに、最表層3としてスズめっきを施す。最表層3のめっき条件は、めっき液はSnSOを80グラム/リットル、HSOを80グラム/リットルをそれぞれ含む水溶液とし、めっき液温度25℃、電流密度を2A/dmとした。
なお、中間層2および最表層3の合計層厚は、0.2〜10μmとなるよう調整を行った。
[リフロー処理]
最後に、リフロー処理を行って溶融処理した。リフロー処理の条件は300℃、60秒が目安だが、適宜調整することにより、所望のめっき構成を得た。このリフロー処理により、中間層2と最表層3との間に、合金層4が形成される。
上記の、基体製造、めっき前処理、めっき、リフロー処理の製造工程により、供試材を得た。
この供試材について下記の特性調査を行った。ここで、供試材の厚さは0.15mmとした。
a.cube方位からのずれ角度が20°以内の領域の面積率[cube方位]:
めっき前の時点で、基体材料の表面より測定した。EBSD法により、測定面積が500μm、スキャンステップが0.5μmの条件で測定を行った。測定面積は結晶粒を200個以上含むことを基準として調整した。
b.めっき構成
断面を機械研磨し、EPMA測定により、下地層1、中間層2、合金層4、最表層3の構成元素を測定した。合金層4の形成により、中間層2及び最表層3の残存が認められない場合は、表中に「消滅」と記した。
c.曲げ加工して加熱した後の接触抵抗:
スズめっき材料を圧延方向に垂直に幅10mm、長さ35mmに切出し、これに曲げの軸が圧延方向に垂直になるようにW曲げしたものをGW(Good Way)、圧延方向に平行になるようにW曲げしたものをBW(Bad Way)とし、90°W曲げを行った。各曲げ部の曲げ角度は90°、角曲げ部の内側半径は0.15mmとした。
その後に、温度140℃で120時間の条件で大気加熱した。
その後に、曲げ部頂点の接触抵抗を測定した。測定は4端子法を用い、Agプローブ、荷重490mN、n=10の平均値を算出した。接触抵抗の値が10mΩ以下の場合を「良」と判定して表に「○」印を付し、10mΩを超えた場合は「否」と判定して表に「×」印を付して評価を示した。
d.0.2%耐力[YS]:
圧延平行方向から切り出したJIS Z2201−13B号の試験片をJIS Z2241に準じて3本測定し、その平均値を示した。
e.導電率[EC]:
20℃(±0.5℃)に保たれた恒温槽中で四端子法により比抵抗を計測して導電率を算出した。なお、端子間距離は100nmとした。
f.応力緩和率[SR]:
日本伸銅協会技術標準「JCBA T309:2001(仮)」に準じて測定した。図2は下方たわみ式片持ちねじ式のたわみ変位負荷用試験ジグを用いた応力緩和試験方法の説明図である。この試験方法では、まず、試験片11を試験ジグ(試験装置)12に取り付け、所定の変位を室温で与え、30秒間保持後除荷し、試験ジグ12の底面を基準面13とし、この面13と試験片11たわみ負荷点との距離をHとして測定する。次に、所定時間(ここでは150℃の恒温槽に1000時間)保持し、その後恒温槽から試験ジグ12を常温に取り出し、たわみ負荷用ボルト14をゆるめ除荷する。試験片11を常温まで冷却後、基準面13と試験片11のたわみ負荷点との距離Hを測定する。測定後、再びたわみ変位を与える。なお、図2において、11は除荷時の試験片を表し、15はたわみ負荷時の試験片を表す。永久たわみ変位δを次の式によって求める。
δ=H−H
この関係から、応力緩和率(%)はδ/δ×100と算出する。
なお、δは所定の応力を得るのに必要な試験片の初期たわみ変位で、次の式で算出する。
δ=σl /1.5Eh
ここで、σ:試験片の表面最大応力(N/mm);h:板厚(mm)、E:たわみ係数(N/mm)、l:スパン長さ(mm)である。
基体材料の特性については、0.2%耐力(YS)が500MPa以上、導電率(EC)が30%IACS以上、応力緩和率(SR)が30%以下の特性を示すものを、良好な特性を示す銅合金材料であるとする。
Figure 0005144814
表1に示すように、本発明例1−1〜本発明例1−16は、耐力、導電率、耐応力緩和特性、曲げ加工し加熱後の接触抵抗のすべてに優れた。しかし、本発明の規定を満たさない場合は、特性が劣る結果となった。すなわち、比較例1−1〜比較例1−4は、基体のcube方位面積率が低いために、曲げ加工時にめっきにクラックが生じ、加熱後の接触抵抗が上昇した。
(実施例2)
表2に示す元素と、残部がCuと不可避不純物からなる銅合金を用いて、実施例1に記載の製造方法と同様の製造方法で基体の製造及び、めっき前の処理を行った。なお、この際の前処理における酸洗処理条件は、条件bとして、硫酸 61ミリリットル/リットルを含む水溶液を酸洗液として、25℃の酸洗液に30秒間浸漬した。この条件は、表層に形成された酸化膜を除去するのみの作用であり、加工変質層を除去するまでには至らない条件である。この条件bを利用して、表2の試料の酸洗処理を実施した。
めっきは下地層1のめっきを行わずに、中間層2、最表層3のめっきを行い、リフロー処理を行った。このリフロー処理により、中間層2と最表層3との間に合金層4を形成した。各めっきの条件は、実施例1に記載の方法で行った。
本発明例2−1から本発明例2−16および比較例2−1〜比較例2−4を得、実施例1に記載の測定方法と同様の測定方法で特性調査を行った。以上の結果を表2に示す。
Figure 0005144814
表2に示すように、本発明例2−1〜本発明例2−16は、耐力、導電率、耐応力緩和特性、曲げ加工し加熱後の接触抵抗のすべてに優れた。しかし、本発明の規定を満たさない場合は、特性が劣る結果となった。すなわち、比較例2−1〜比較例2−4は、基体のcube方位面積率が低いために、曲げ加工時にめっきにクラックが生じ、加熱後の接触抵抗が上昇した。なお、これら実施例の結果より、加工変質層の除去有無よりもcube方位面積率を所定の範囲とすることの方が特性に影響を与えることが分かる。このため、本発明では加工変質層除去のみでは得られない優れた効果を得られることが分かるので、従来技術に無い優れた効果が得られていることが分かる。
11 試験片(除荷時)
12 試験ジグ
13 基準面
14 たわみ負荷用ボルト
15 試験片(たわみ負荷時)

Claims (8)

  1. 銅合金からなる基体上に、
    少なくとも銅およびスズを含む合金層がめっき処理と加熱溶融処理により形成されている電気電子部品用銅合金材料であって、
    前記基体のEBSD法結晶方位測定におけるcube方位{0 0 1}<1 0 0>から20°以内である領域の面積率が、5%以上であり、
    前記基体は、ニッケルまたはコバルトの少なくとも一方を合計で0.4〜5.0mass%含有し、ケイ素を0.1〜1.5mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる組成を有し、該基体は表層の加工変質層を除去してなり、
    前記基体上に隣接して、ニッケルまたはコバルトの少なくとも一方を含有する下地めっき層が設けられており
    前記銅合金材料を、内側半径0.15mmとして90°W曲げ加工し、温度140℃で120時間の条件で大気中において加熱した後の曲げ部頂点の接触抵抗が、Agプローブを介した荷重490mNの条件下で10mΩ以下である
    ことを特徴とする、電気電子部品用銅合金材料。
  2. 銅合金からなる基体上に、
    少なくとも銅およびスズを含む合金層がめっき処理と加熱溶融処理により形成されている電気電子部品用銅合金材料であって、
    前記基体のEBSD法結晶方位測定におけるcube方位{0 0 1}<1 0 0>から20°以内である領域の面積率が、5%以上であり、
    前記基体は、ニッケルまたはコバルトの少なくとも一方を合計で0.4〜5.0mass%含有し、ケイ素を0.1〜1.5mass%含有し、スズ、亜鉛、銀、マンガン、ホウ素、リン、マグネシウム、クロム、鉄、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.005〜2.0mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる組成を有し、該基体は表層の加工変質層を除去してなり、
    前記基体上に隣接して、ニッケルまたはコバルトの少なくとも一方を含有する下地めっき層が設けられており
    前記銅合金材料を、内側半径0.15mmとして90°W曲げ加工し、温度140℃で120時間の条件で大気中において加熱した後の曲げ部頂点の接触抵抗が、Agプローブを介した荷重490mNの条件下で10mΩ以下である
    ことを特徴とする、電気電子部品用銅合金材料。
  3. 前記合金層上に、スズまたはスズ合金からなる最表層が設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の電気電子部品用銅合金材料。
  4. 前記下地めっき層と前記合金層との間に、銅または銅合金からなる中間層が設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の電気電子部品用銅合金材料。
  5. 前記下地めっき層と前記合金層との間に、銅または銅合金からなる中間層が設けられ、かつ前記合金層上に、スズまたはスズ合金からなる最表層が設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の電気電子部品用銅合金材料。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の銅合金材料が加工されてなる電気電子部品。
  7. ニッケルまたはコバルトの少なくとも一方を合計で0.4〜5.0mass%含有し、ケイ素を0.1〜1.5mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる組成を有する銅合金からなり、均質化熱処理した鋳塊を850〜1020℃で熱間圧延し、800℃以下まで水冷または空冷して500〜800℃で合計の加工率が40%以上の高温圧延を行って得た基体上に、
    ニッケルまたはコバルトの少なくとも一方を含有する下地めっき層と、銅または銅合金からなる銅めっき層と、スズまたはスズ合金からなるスズめっき層をこの順に形成し、その後250〜800℃で0.1〜120秒の加熱溶融処理によって前記スズめっき層を溶融させて、前記銅めっき層の構成元素と前記スズめっき層の構成元素からなる合金層を形成する、電気電子部品用銅合金材料の製造方法であって、
    前記加熱溶融処理後の前記基体のEBSD法結晶方位測定におけるcube方位{0 0 1}<1 0 0>から20°以内である領域の面積率が5%以上であることを特徴とする、電気電子部品用銅合金材料の製造方法。
  8. ニッケルまたはコバルトの少なくとも一方を合計で0.4〜5.0mass%含有し、ケイ素を0.1〜1.5mass%含有し、スズ、亜鉛、銀、マンガン、ホウ素、リン、マグネシウム、クロム、鉄、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.005〜2.0mass%含有し、残部が銅及び不可避不純物からなる組成を有する銅合金からなり、均質化熱処理した鋳塊を850〜1020℃で熱間圧延し、800℃以下まで水冷または空冷して500〜800℃で合計の加工率が40%以上の高温圧延を行って得た基体上に、
    ニッケルまたはコバルトの少なくとも一方を含有する下地めっき層と、銅または銅合金からなる銅めっき層と、スズまたはスズ合金からなるスズめっき層をこの順に形成し、その後250〜800℃で0.1〜120秒の加熱溶融処理によって前記スズめっき層を溶融させて、前記銅めっき層の構成元素と前記スズめっき層の構成元素からなる合金層を形成する、電気電子部品用銅合金材料の製造方法であって、
    前記加熱溶融処理後の前記基体のEBSD法結晶方位測定におけるcube方位{0 0 1}<1 0 0>から20°以内である領域の面積率が5%以上であることを特徴とする、電気電子部品用銅合金材料の製造方法。
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