JP6190574B2 - 二次電池集電体用圧延銅箔およびその製造方法 - Google Patents

二次電池集電体用圧延銅箔およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、二次電池用集電体に適用可能な圧延銅箔およびその製造方法に関し、特に、0.2%耐力の高い圧延銅箔およびその製造方法に関するものである。
圧延銅箔は、リチウムイオン電池などの二次電池の負極集電体に用いられている。圧延銅箔は、その上に負極活物質を保持して負極集電体として用いられる。
近年の電池容量向上の要求に伴い、この負極活物質について、カーボン系からシリコン(Si)系やスズ(Sn)系への変更が検討されている。これらの新しい活物質は、充・放電の容量が大きい反面、充・放電に伴う体積膨張・収縮量がカーボン系よりも大きい特徴がある。この活物質の変形に伴って、負極集電体の圧延銅箔がその弾性限度を超えて変形すると、負極の変形や集電体の折れ、活物質の脱落などを引き起こし、電池容量を低下させる原因となる。従って、0.2%耐力の高い負極集電体用の圧延銅箔が求められている。特に、圧延銅箔製造工程における圧延の幅方向が負極電極の長手方向となるため、高い強度が求められる。
上記のように、電池用圧延銅箔の0.2%耐力が低いと電池の性能低下の原因となるため、0.2%耐力を高めることが求められている。また、0.2%耐力が高められるとともに、導電性が高いことが電池用圧延銅箔としては要求される。
また、電池の組み立て工程において、活物質の固定に使用されるポリイミドをイミド化するために300〜350℃の熱処理がなされる。電池用に使用される場合に、この熱処理によっても圧延銅箔が軟化しないことが求められる。
圧延銅箔の高強度化に関しては、以下のようにいくつか提案がされている
特許文献1に開示された発明では、Agを1.5〜3.0wt%含有し、CrまたはZrと複合的に析出させることで高強度化している。圧延平行方向の0.2%耐力で640MPa以上の高強度が得られている。但し、Agは高価で、埋蔵量も少ないため、汎用材への高濃度添加元素としては、適さない。
特許文献2に開示された発明では、Feを高濃度に添加して二相化し、高強度化している。圧延平行方向の0.2%耐力で779MPa以上の高強度が得られている。但し、導電率は56%IACS以下と低い。
特許文献3に開示された発明では、Cu−Cr−Zr合金で析出状態を制御し、引張強度と導電性の両立を図っている。但し、引張強度はおおよそ600MPa以下であり、低い。
特開2008−081835号公報 特開2009−242871号公報 特開2006−283106号公報
電池の集電体の用途に対しては、圧延垂直方向の0.2%耐力が高く、かつ導電性が高いことが重要となり、このような圧延銅箔は知られていない。
本発明は、圧延垂直方向の0.2%耐力及び導電率が高く、350℃以下の温度で1時間の熱処理を施した後にも0.2%耐力が高く維持されることで、二次電池の電気的特性を向上させることができる二次電池集電体用圧延銅箔およびその製造方法を提供することを課題とする。
金属材料を強化する機構として、分散強化、固溶強化、転位強化、粒界強化の4つが知られている(例えば、参考文献1参照)。分散強化や固溶強化を積極的に使用するためには、添加元素量を増やす必要があるが、その場合、導電率が低下するため、集電体の用途には適用が制限される。転位強化、粒界強化については、圧延銅箔は加工率で80%以上の高い圧延加工で製造されるのが一般的であり、既に用いられている強化機構である。
本発明においては、上記の4つの機構とは異なる強化機構として、方位強化の発現を見出した。これは、結晶すべりが起き難い結晶面を応力方向に高く集積させることで、耐力を高める手法である。この方法によれば、分散強化及び固溶強化のように導電率を下げることがないため、集電体用圧延銅箔の特性改善に寄与し得る。
(参考文献1)
幸田成康著、「標準金属工学講座第9巻 金属物理学序論」、コロナ社、1964年
(参考文献2)
伊藤邦夫著、「軽金属」“アルミニウム合金板の集合組織”、軽金属学会、第43巻第5号、1993年、p285−293
即ち、上述した二次電池集電体用圧延銅箔の課題は以下の発明により解決された。
(1)Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなる圧延銅箔であって、(111)面からのずれが15度以内の結晶面が圧延垂直方向に配向する領域の面積率が45%より高い、二次電池集電体用圧延銅箔。
(2)Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6mass%含有し、さらにSn、Zn、Mn、Mg、Agのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.95mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなる圧延銅箔であって、(111)面からのずれが15度以内の結晶面が圧延垂直方向に配向する領域の面積率が45%より高い、二次電池集電体用圧延銅箔。
(3)350℃で1時間保持される熱処理をされた後に、(111)面からのずれが15度以内の結晶面が圧延垂直方向に配向する領域の面積率が45%より高い(1)または(2)に記載の二次電池集電体用圧延銅箔。
(4)(1)または(2)に記載の二次電池集電体用圧延銅箔の合金組成を有した銅合金原料を溶解(ステップ1)し、鋳造(ステップ2)して得た鋳塊に、900〜1030℃で5分から4時間の均質化熱処理(ステップ3)と温度600〜1030℃で加工率が40〜95%の高温圧延1(ステップ4)と高温圧延2(ステップ5)を施し、冷却(ステップ6)、面削(ステップ7)を行い、さらに加工率が90.0〜99.9%の中間冷間圧延(ステップ8)と熱処理(ステップ9)と加工率が66〜95%の最終冷間圧延(ステップ10)を施す二次電池集電体用圧延銅箔の製造方法であって、
前記高温圧延2(ステップ5)は、加工温度400℃以上600℃以下、加工率50%以上70%以下とし、前記熱処理(ステップ9)は400℃以上450℃以下に0.5時間から3時間保持する、
もしくは、前記高温圧延2(ステップ5)は、加工温度400℃以上600℃以下、加工率20%以上40%以下とし、前記熱処理(ステップ9)は450℃以上500℃以下に0.5時間から3時間保持する(1)〜(3)のいずれか1項に記載の二次電池集電体用圧延銅箔の製造方法。
本発明によれば、充・放電時の膨張・収縮量の大きいSn系やSi系などの活物質が変形するのに伴って、集電体である圧延銅箔が変形する際に、集電体の変形は弾性変形域内となるので、活物質の形状変化に集電体を追従させることができる。従って、活物質の集電体からの離脱を防止して、二次電池の充・放電のサイクル特性を向上させることができる。
本発明における圧延垂直方向に(111)結晶面からのずれが15度以内の結晶面が配向する場合(a)と配向しない場合(b)の銅合金の結晶方位の一例を示した図である。 SB方位、Brass方位を説明した図である。 実施例104の350℃に1時間保持した後の透過型電子顕微鏡像を示した図面代用写真である。図中の矢印によりCrの微細な析出粒子を示した。 本実施形態の圧延銅箔の製造工程を示したフローチャートである。 実施例104及び、比較例204について、1時間等時熱処理による軟化曲線を示した図である。 本発明例104の応力−歪曲線を示した図である。 比較例301の応力−歪曲線を示した図である。
[結晶方位]
本明細書における結晶方位の表示方法は、材料の圧延方向(RD)をX軸、圧延垂直方向(TD)をY軸、圧延面法線方向(ND)をZ軸の直角座標系を取り、材料中の各領域がZ軸に垂直な(圧延面に平行な)結晶面の指数(hkl)と、X軸に平行な結晶方向の指数[uvw]とを用いて、(hkl)[uvw]の形で示す。また、(132)[6−43]と(231)[3−46]などのように、銅合金の立方晶の対称性のもとで等価な方位については、ファミリーを表すカッコ記号を使用し、{hkl}<uvw>と示す。
Brass方位とは、圧延面法線方向(ND)に(110)面を、圧延方向(RD)に(112)面を向いている状態であり、{110}<112>の指数で示される。同様に、SB方位は、{186}<211>の指数で示される。
圧延垂直方向へ(111)結晶面を配向する結晶方位の例を図1に示す。また、前記参考文献2に紹介されているSB方位とBrass方位の方位関係を、図2に示す。これらの結晶方位成分を含む、(111)面がTDに向く集合組織合金成分の割合が総合的に抑制された状態が、本発明で規定される所定の面積率を有する集合組織である。従来、これらの方位を有する原子面の面積率を同時に制御した圧延銅箔は知られていない。特に、圧延箔においては、付加的せん断変形を受ける表層近傍の影響が強く、通常の圧延板とは異なる。
[結晶方位解析]
本実施形態における上記結晶方位の解析には、FE−SEM/EBSD法を用いる。EBSDとは、Electron Back Scatter Diffraction(電子後方散乱回折)の略で、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折(菊池パターン)を利用した結晶方位解析技術のことである。FE−SEMは電界放出電子銃(Field Emission電子銃)を利用しているために電子線が細く、空間分解能が高い特徴がある。圧延銅箔のように高い加工率の圧延によって材料が強く歪んでいる場合は、組織中に高い方位勾配を有する。一方、照射電子線の径が大きいタングステンフィラメントの電子銃などを用いた場合は複数方位の回折パターンとなってしまい、方位の特定が困難な場合がある。
本実施形態において、(111)面からのずれが15度以内の結晶面が圧延垂直方向(TD)に配向する領域の面積率の測定は、700平方μm以上の試料面積に対し、0.05μmのステップでスキャンし、結晶方位を解析した結果に基づくものである。すなわち、面積率は材料の任意の700平方μm以上の領域における面積率である。また、測定面積は、200個以上の結晶粒が含まれることを基準とし、測定面積が充分でない場合は、2〜5視野の観察を行って、それらを平均することが好ましい。本明細書では特に断りのない限り、ある結晶方位を有する結晶面の面積率はこのようにして測定したものを呼ぶことにする。
EBSDによる方位解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数10nmの深さまでの方位情報を含んでいるが、測定している広さに対して充分に浅いため、本明細書中では面積率として記載した。
[合金成分]
本発明の二次電池集電体用圧延銅箔について、好ましい一実施形態を以下に説明する。
本発明の二次電池集電体用圧延銅箔は、Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなる圧延銅箔であって、(111)面からのずれが15度以内の結晶面が圧延垂直方向に配向する領域の面積率が45%より高い。
より好ましくは、Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.35mass%含有する。特に好ましくは、Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.25mass%含有する。
本発明の二次電池集電体用圧延銅箔は、Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6mass%含有し、さらに副添加物としてSn、Zn、Mn、Mg、Agのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.95mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなる圧延銅箔であって、(111)面からのずれが15度以内の結晶面が圧延垂直方向に配向する領域の面積率が45%より高い。より好ましくは50%より高く、さらに好ましくは55%より高いことである。面積率の上限は制限しないが80%以下である
より好ましくは、Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.35mass%含有する。特に好ましくは、Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.25mass%含有する。
さらに、より好ましくは、Sn、Zn、Mn、Mg、Agのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.48mass%含有する。特に好ましくは、Sn、Zn、Mn、Mg、Agのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.19mass%含有する。
また、上述した二次電池集電体用圧延銅箔は、350℃で1時間保持される熱処理をされた後に、(111)面からのずれが15度以内の結晶面が圧延垂直方向に配向する領域の面積率が45%より高いことが好ましい。
本発明の二次電池集電体用圧延銅箔は、Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6mass%含有する。これによって、導電性を大きく低下させることなく、耐熱性を向上させる効果がある。
そのメカニズムの一つとして、結晶粒界の移動をピン止めする微細な粒子として分散することが挙げられる。図3に示すように、10nm以下の大きさのCr粒子が存在する粒界が張り出しており、結晶粒成長が抑制されていることを示している。
上記の各々で規定した成分の上限を超えて添加した場合に、酸化物、析出物、晶出物などの形態で粗大な第2相として分散し、15μm以下の板厚までの圧延の際に、ピンホールや板切れの原因となるため、好ましくない。また、導電性を著しく低下させるため、好ましくない。
Cr、ZrおよびTiの合計量について上記で規定した成分の下限を下回って添加した場合に、耐熱性が低下し、好ましくない。
本発明の二次電池集電体用圧延銅箔で得られる、圧延垂直方向の耐力は、600MPa以上、より好ましくは700MPa以上、更に好ましくは750MPa以上である。同時に導電率は60%IACS以上を満足する。導電率のより好ましい範囲は70%IACS以上、更に好ましい範囲は75%IACS以上である。
また、ポリイミドのイミド化熱処理を模擬した350℃で1時間保持する熱処理の後の圧延垂直方向の耐力は、350MPa以上、より好ましくは400MPa以上、さらに好ましくは510MPa以上である。
なお、本明細書で言う不可避不純物とは、概ね金属製品において、原料中に存在するものや、製造工程において不可避的に混入するもので、本来は不要なものであるが、微量であり、金属製品の特性に影響を及ぼさないため許容されている不純物である。
[結晶方位を制御する工程]
本発明の実施形態において有効性が見出された結晶方位に制御するための製造工程を示す。なお、上述したように、本発明の二次電池集電体用圧延銅箔は、圧延垂直方向への(111)結晶面の配向している領域の面積率を満足すれば、ここで示す工程によって製造されたものに限定されるものではない。
結晶方位を制御するための圧延銅箔の製造工程としては、図4に示すように、第1工程ステップ1から第10工程ステップ10が基本工程となる。また、若干の伸びの向上や特性調整などを目的に第10工程ステップ10の後に、調質低温焼鈍を行っても良い。
但し、これらの工程において、本発明における好ましい条件を組み合わせて行うのが望ましい。特にステップ5及びステップ9の条件の組み合わせを選定することが重要となる。
・高温圧延2(ステップ5):
ステップ5の高温圧延2は、400℃以上600℃未満、より好ましくは420℃以上580℃以下、さらに好ましくは440℃以上560℃以下の加工温度とし、この温度範囲での加工率を25%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは55%以上とする。加工率の上限はコバ割れの抑制という理由から85%である。加工温度はパス前後で材料上面の温度を放射温度計によって測定した。これらの条件は、(111)結晶面がTDに配向する領域を増加させるために行う。
・熱処理(ステップ9):
ステップ9の熱処理は、400℃以上500℃以下、より好ましくは405℃以上495℃以下、さらに好ましくは410℃以上490℃以下の温度で0.5時間から3時間、好ましくは0.8時間から2.7時間、より好ましくは1時間から2.3時間の範囲で行う。
これより低い温度では、主成分であるCr、Zr、Tiの析出が不十分となり、導電率が低下する。これより高い温度では、再結晶粒の粗大化に伴う結晶方位のランダム化により、(111)結晶面がTDに配向する領域が減少し、耐力が低下する。
[箔厚]
本実施形態では、電池のエネルギー密度向上の目的のために、特に15μm以下の厚さの銅箔が対象であるが、15μmよりも厚い銅箔に適用することも可能である。具体的には、本発明の銅箔は5μm〜25μm程度のものに適用することができる。
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
[圧延銅箔の製造方法]
本実施形態に係る二次電池集電体用圧延銅箔の製造方法の実施例について、図4を参照して説明する。本発明はこれに限定されるものではない。
ステップ1において、原料を真空溶解炉により溶解し、ステップ2において、溶解した原料を0.1〜100℃/秒の冷却速度で冷却して鋳造し、鋳塊を得た。鋳塊は、表2に示す合金成分を含有し、残部がCuと不可避不純物により形成された。
ステップ3で900〜1030℃で5分から4時間保持する均質化熱処理を行い、そのまま、ステップ4で加工率が40〜95%、温度600℃〜1030℃の高温圧延1を行った。次いで、ステップ5で表1に示す条件で高温圧延2を行った。材料の加工温度は、放射温度計及び、接触式温度計にて測定した。
次にステップ6で水冷し、ステップ7で酸化スケール除去のために面削を行い、ステップ8で加工率が90.0〜99.9%の中間冷間圧延を順に行った。
次に、表1に示した製造条件で、ステップ9の熱処理を行った。
次に、ステップ10で加工率が66〜95%の最終冷間圧延を行って6〜15μmの厚さの供試材を作製した。
これらの本発明例101〜111および比較例201〜203,301〜306のそれぞれの組成および特性については、表2に示す通りである。
なお、各熱処理や圧延の後に、材料表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を行い、また形状に応じてテンションレベラーによる矯正を行った。
この圧延銅箔について、下記の評価を行った。
[圧延垂直方向に(111)面が配向する領域の面積率:(TD(111))]
圧延方向に(111)面が配向している領域の面積率を、EBSD法により、前述した方法によって圧延表面から測定した。圧延表面の加工変質層が厚いためにパターンが鮮明でない場合は、電解研磨の時間を長くして表層の1μm厚前後を溶解した後に測定した。
[圧延垂直方向の耐力:(YS)]
JIS Z2241に準じて圧延垂直方向の引張試験により測定した。ひずみは、カメラ式非接触伸び計によって、短軸引張試験中の標点間距離を測定し、算出した。そして応力−歪み曲線により0.2%耐力を測定した。カメラ式非接触伸び計は(株)島津製作所製DVE−201(商品名)を使用した。CCDカメラ画像により標線マークを自動追尾して伸びを計測するものである。試験片は幅13mmの短冊状とし、圧延方向に対して、90°の方向に試験片を採取して測定した。
[導電率:(EC)]
4端子法により、20±2℃で測定した。
[350℃に加熱後の、圧延垂直方向に(111)面からのずれが15度以内の結晶面が配向する領域の面積率:(加熱後TD(111))]
Ar雰囲気中で350℃にて1時間保持する熱処理を行った後に、圧延方向に(111)面からのずれが15度以内の結晶面が配向している領域の面積率を、EBSD法により、前述した方法によって圧延表面から測定した。圧延表面の加工変質層が厚いためにパターンが鮮明でない場合は、電解研磨の時間を長くして表層の1μm厚前後を溶解した後に測定した。なお、350℃で1時間保持する熱処理を行った後に、圧延方向(111)面からのずれが15度以内の結晶面が配向する領域が45%より高い状態に保たれているということは、350℃以下の温度で1時間保持しても同様の結晶面の配向状態であると考えることができる。
[350℃に加熱後の0.2%耐力:(加熱後YS)]
Ar雰囲気中で350℃にて1時間保持する熱処理を行った後に、加熱前と同様の方法で、JIS Z2241に準じて圧延平行方向の引張試験により測定した。
弾性変形と塑性変形の境界を便宜上つけるために、降伏応力に相当する応力を耐力とし、鋼の降伏時の永久歪みが約0.2%(0.002)であることから、荷重の除荷時の永久歪みが0.2%になる応力を0.2%耐力という。
本発明例104及び、比較例204については、350℃だけでなく、200℃から550℃に保持した後の0.2%耐力を同様に測定することによって、軟化カーブを採取した。図5にその結果を示す。
表2に測定結果を示す。また、応力と歪の関係の測定結果を図6、7に示す。
表2に示す様に、本発明の範囲、すなわち、Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなる組成を有し、圧延により形成した銅合金からなる圧延銅箔であり、(111)面からのずれが15度以内の結晶面が圧延垂直方向に配向する領域の面積率が45%より高いことを満たす場合には、圧延垂直方向の耐力「YS」、導電率「EC」、350℃に加熱後の0.2%耐力「加熱後YS」のいずれも良好であった。耐力では、「YS」が600MPa以上であり、「加熱後YS」が370MPa以上であり、ともに耐力が大きかった。また「EC」が63%IACS以上であり、実用上十分な高い導電率が得られた。
また、350℃で加熱後の結晶方位分布は加熱前と類似しており、(111)面から15度以内の結晶面が圧延垂直方向に配向する領域の面積率が45%より高い状態が保たれていた。すなわち、本発明の銅箔は、350℃で1時間程度の熱処理までは結晶の配向状態を維持できると言え、耐熱性のある銅箔であると言える。
また、Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6mass%含有し、さらにSn、Zn、Mn、Mg、Agのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.95mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなる組成を有し、圧延により形成した銅合金からなる圧延銅箔であり、(111)面からのずれが15度以内の結晶面が圧延垂直方向に配向する領域の面積率が45%より高いことを満たす場合には、圧延垂直方向の耐力「YS」、導電率「EC」、350℃に加熱後の0.2%耐力「加熱後YS」のいずれも良好であった。耐力では、「YS」が670MPa以上であり、「加熱後YS」が400MPa以上であり、ともに耐力が大きかった。また「EC」が62%IACS以上であり、実用上十分な高い導電率が得られた。
特に、本発明例104は、図6に示すように、「YS」が770MPaであり、大きい値を得ることができた。一方、比較例301は、図7に示すように、「YS」が560MPaであり、小さい値となった。また図5に示すように、本発明例104は400℃の加熱後まで良好な耐力を示した。本発明における副添加元素のみを含有する比較例204では、350℃では明瞭に軟化しており、集電体としての強度として不十分であった。
したがって、本発明の二次電池集電体用圧延銅箔は、活物質の集電体からの離脱を防止できるので、二次電池の充・放電のサイクル特性を向上させることができる。よって、二次電池に適した二次電池集電体用圧延銅箔として提供することができる。

Claims (4)

  1. Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなる圧延銅箔であって、
    (111)面からのずれが15度以内の結晶面が圧延垂直方向に配向する領域の面積率が45%より高い二次電池集電体用圧延銅箔。
  2. Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6mass%含有し、さらにSn、Zn、Mn、Mg、Agのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.95mass%含有し、残部が銅と不可避不純物からなる圧延銅箔であって、
    (111)面からのずれが15度以内の結晶面が圧延垂直方向に配向する領域の面積率が45%より高い二次電池集電体用圧延銅箔。
  3. 350℃で1時間保持される熱処理をされた後に、(111)面からのずれが15度以内の結晶面が圧延垂直方向に配向する領域の面積率が45%より高い請求項1または2に記載の二次電池集電体用圧延銅箔。
  4. 請求項1または2に記載の二次電池集電体用圧延銅箔の合金組成を有した銅合金原料を溶解(ステップ1)し、鋳造(ステップ2)して得た鋳塊に、900〜1030℃で5分から4時間の均質化熱処理(ステップ3)と温度600〜1030℃で加工率が40〜95%の高温圧延1(ステップ4)と高温圧延2(ステップ5)を施し、冷却(ステップ6)、面削(ステップ7)を行い、さらに加工率が90.0〜99.9%の中間冷間圧延(ステップ8)と熱処理(ステップ9)と、加工率が66〜95%の最終冷間圧延(ステップ10)を施す二次電池集電体用圧延銅箔の製造方法であって、
    前記高温圧延2(ステップ5)は、加工温度400℃以上600℃以下、加工率50%以上70%以下とし、前記熱処理(ステップ9)は400℃以上450℃以下で0.5時間から3時間保持する、
    もしくは、前記高温圧延2(ステップ5)は、加工温度400℃以上600℃以下、加工率20%以上40%以下とし、前記熱処理(ステップ9)は450℃以上500℃以下で0.5時間から3時間保持する請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池集電体用圧延銅箔の製造方法。
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