JP6146963B2 - 二次電池集電体用銅合金圧延箔およびその製造方法 - Google Patents
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Description
近年の電池容量向上の要求に伴い、この負極活物質について、カーボン系からシリコン(Si)系やスズ(Sn)系への変更が検討されている。これらの新しい活物質は、充・放電の容量が大きい反面、充・放電に伴う体積膨張・収縮量がカーボン系よりも大きい特徴がある。この活物質の膨張・収縮に伴って、負極集電体の銅合金圧延箔がその弾性限度を超えて変形すると、負極の変形や集電帯の折れ、活物質の脱落などを引き起こし、電池容量を低下させる原因となる。従って、0.2%耐力の高い負極集電帯用の銅合金圧延箔が求められている。特に、銅合金圧延箔製造工程における圧延の幅方向が負極電極の長手方向となるため、圧延の幅方向に高い強度が求められる。
また、電池の組み立て工程において、活物質の固定に使用されるポリアミドのイミド化処理をする際に300〜350℃の熱処理がなされる。このため、電池用に使用される場合には、上記の熱処理によっても銅合金圧延箔が軟化しないことが求められる。
特許文献1に開示された発明では、Agを1.5質量%以上3.0質量%未満含有し、AgをCrまたはZrと複合的に析出させることで高強度化している。この方法で、圧延方向の平行方向において0.2%耐力で640MPa以上の高強度が得られている。但し、Agは高価で、埋蔵量も少ないため、汎用材への高濃度添加元素としては適さない。
特許文献2に開示された発明では、Feを高濃度に添加して二相化し、高強度化している。圧延方向の平行方向の0.2%耐力で779MPa以上の高強度が得られている。但し、Fe相は銅相に対して耐食性が著しく劣るために使用が不可能だった。
特許文献3に開示された発明では、Cu−Cr−Zr合金で析出状態を制御し、引張強度と導電性の両立を図っている。但し、引張強度はおおよそ600MPa以下と低い。
(1)Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6質量%含有し、残部が銅と不可避不純物からなる銅合金圧延箔であって、
圧延面の結晶方位分布において、方位差が1°以上である方位差境界の境界線の長さが、1μm2あたり10μm以上20μm以下であることを特徴とする二次電池集電体用銅合金圧延箔。
(2)Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6質量%含有し、さらにSn0.01〜0.90質量%、Zn0.01〜0.50質量%、Mn0.01〜0.10質量%、Mg0.01〜0.10質量%、Ag0.01〜0.10質量%、Si0.01〜0.30質量%、P0.01〜0.10質量%、Ni0.01〜0.90質量%およびFe0.01〜0.30質量%のうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.95質量%含有し、残部が銅と不可避不純物からなる銅合金圧延箔であって、
圧延面の結晶方位分布において、方位差が1°以上である方位差境界の境界線の長さが、1μm2あたり10μm以上20μm以下であることを特徴とする二次電池集電体用銅合金圧延箔。
(3)350℃で1時間保持する熱処理後、圧延面の結晶方位分布において方位差が1°以上の方位差境界の境界線の長さが、1μm2あたり2μm以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の二次電池集電体用銅合金圧延箔。
(4)二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法であって、
Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6質量%含有し、残部が銅と不可避不純物からなる合金組成を有した銅合金素材を溶解(ステップ1)し、鋳造(ステップ2)して得た鋳塊に、900〜1030℃で5分〜4時間の均質化熱処理(ステップ3)を行い、温度700〜1030℃で加工率が40〜95%の高温圧延1(ステップ4)と、冷却速度6〜6000℃/分の中間冷却(ステップ5)と、300〜700℃で加工率が40〜80%の高温圧延2(ステップ6)と、冷却速度6〜6000℃/分の冷却(ステップ7)と、500〜700℃で1〜5時間の熱処理(ステップ8)と、面削(ステップ9)と、0〜150℃で加工率が90.0〜99.9%の最終の冷間圧延(ステップ10)とを施して、
圧延面の結晶方位分布において、方位差が1°以上である方位差境界の境界線の長さが、1μm2あたり10μm以上20μm以下である銅合金圧延箔を得ることを特徴とする二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法。
(5)二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法であって、
Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6質量%含有し、さらにSn0.01〜0.90質量%、Zn0.01〜0.50質量%、Mn0.01〜0.10質量%、Mg0.01〜0.10質量%、Ag0.01〜0.10質量%、Si0.01〜0.30質量%、P0.01〜0.10質量%、Ni0.01〜0.90質量%およびFe0.01〜0.30質量%のうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.95質量%含有し、残部が銅と不可避不純物からなる合金組成を有した銅合金素材を溶解(ステップ1)し、鋳造(ステップ2)して得た鋳塊に、900〜1030℃で5分〜4時間の均質化熱処理(ステップ3)を行い、温度700〜1030℃で加工率が40〜95%の高温圧延1(ステップ4)と、冷却速度6〜6000℃/分の中間冷却(ステップ5)と、300〜700℃で加工率が40〜80%の高温圧延2(ステップ6)と、冷却速度6〜6000℃/分の冷却(ステップ7)と、500〜700℃で1〜5時間の熱処理(ステップ8)と、面削(ステップ9)と、0〜150℃で加工率が90.0〜99.9%の最終の冷間圧延(ステップ10)とを施して、
圧延面の結晶方位分布において、方位差が1°以上である方位差境界の境界線の長さが、1μm2あたり10μm以上20μm以下である銅合金圧延箔を得ることを特徴とする二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法。
(6)前記最終の冷間圧延(ステップ10)の後に、200〜600℃で0.1〜20時間の低温焼鈍(ステップ11)を施すことを特徴とする(4)または(5)に記載の二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法。
方位差粒界について、最初に説明する。
圧延箔は板厚減少率(加工率とも言う)が80%以上の高い塑性加工がなされるため、転位強化によって耐力が高められるのが一般的である。転位密度の増加に伴う耐力の向上は、Bailey−Hirschの関係として、各種の合金で認められている(例えば、加藤雅治ら、「マテリアル工学シリーズ3 材料強度学」、(株)朝倉書店、1999年 参照)。しかし、耐力(σ)と転位密度(ρ)は、下記の関係があり、転位密度の上昇に伴う硬化量は飽和する。また、金属材料中に蓄積される転位密度(ρ)は最大でも1015m/m3程度であるため、転位強化のみで材料強度を高めることには限界があった。
方位差境界とは、活動転位の堆積によって形成される転位壁、転位セル境界、結晶粒の分断にともなう滑り系の異なる領域同士の境界、小角粒界、大角粒界など、加工に伴って形成される金属組織の境界を含む意味である。そして、圧延銅合金箔の金属組織において、方位差が1°以上の方位差境界の境界線の長さが1μm2あたり10μm以上あれば、良好な特性を有することを見出した。
本発明における上記結晶方位の解析には、FE−SEM/EBSD法を用いる。EBSD法とは、Electron Back Scatter Diffraction(電子後方散乱回折)の略で、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折(菊池パターン)を利用した結晶方位解析技術のことである。FE−SEMは電界放出電子銃(Field Emission電子銃)を利用しているために電子線が細く、空間分解能が高い特徴がある。銅合金圧延箔のように高い加工率の圧延によって材料が強く歪んでいる場合は組織中に高い方位勾配を有するため、結晶方位を精密に測定する方法としてFE−SEM/EBSD法が有効である。一方、照射電子線の径が大きいタングステンフィラメントの電子銃などを用いた場合は複数方位の回折パターンとなってしまい、方位の特定が困難な場合がある。
本実施形態においては、700平方μm以上の試料面積に対し、0.05μmのステップでスキャンし、結晶方位を解析した。解析ソフトには、TSL(社)のOIM version5(商品名)を用いる。
なお、EBSD法による方位解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数10nmの深さまでの方位情報を含んでいるが、測定している広さに対して充分に小さいため、本発明では平面情報として組み込まれている。
本発明の二次電池集電体用銅合金圧延箔は、銅合金中の主成分として、Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6質量%含有する。箔圧延における回復を抑制し、方位差境界を安定的に増殖させる作用を有する。また、導電性を大きく低下させることなく、耐熱性を向上させる効果がある。Cr、ZrおよびTiが形成する粒子(晶出物や析出物等)が、結晶粒界を含む方位差境界の移動をピン止めする微細な粒子として分散することがそのメカニズムの一つである。
0.95質量%を超えて添加された場合は、酸化物、析出物、晶出物などの形態で粗大な第2相として分散し、15μm以下の箔厚(板厚)までの圧延の際に、ピンホールや板切れの原因となるため、好ましくない。また、導電性を著しく低下させるため、好ましくない。
また、これらの副成分は、上記各成分単独、特にSi単独、Ag単独、以外に2種成分の組合せ、例えばSnとZnまたはSi、MnとMg、NiとSi、FeとPの組合せ、が好ましいが、3種以上の成分の組合せであってもよい。
本発明の二次電池集電体用銅合金圧延箔で得られる上記3方向(圧延方向に対して0°、45°および90°)で代表される0.2%耐力の箔圧延後の平均値は、好ましくは550MPa以上、より好ましくは625MPa以上、更に好ましくは700MPa以上である。上限は特に限定されるものではないが、900MPa以下が好ましく、800MPa以下がより好ましい。
また、ポリアミドのイミド化熱処理を模擬した350℃で1時間保持する熱処理の後の上記3つの方向での0.2%耐力の平均値は、好ましくは400MPa以上、より好ましくは470Ma以上、さらに好ましくは540MPa以上である。上限は特に限定されるものではないが、700MPa以下が好ましく、650MPa以下がより好ましい。
このように合金組成と0.2%耐力を制御することで、導電率は50%IACS以上を満足する。
本発明の実施形態において有効性が見出された方位差境界の条件に制御するための製造方法を説明する。なお、上述したように、圧延後の箔において、方位差が1°以上である方位差境界の境界線の長さが1μm2あたり10μm以上であることを満足すれば、その製造方法は特に制限されるものではない。
このようなステップを経る製造方法により、圧延面の結晶方位分布における方位差が1°以上である方位差境界の境界線の長さを、1μm2あたり10μm以上とすることが可能となる。
以下に、図1に基づくステップ1〜10を順に説明する。
ステップ1は所定の合金組成を有する銅合金を溶解する工程である。母材の銅と、銅合金中に含有されるCr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を0.01〜0.6質量%含有するよう銅合金素材を用意し、溶解する。必要により、さらにSn、Zn、Mn、Mg、Ag、Si、P、NiおよびFeのうちの少なくとも一種を0.01〜0.95質量%含有するように添加して溶解する。
具体的には、上記の各成分を原料として、真空溶解炉により、温度1100〜1300℃で、1〜10時間かけて溶解する。
ステップ2は鋳造する工程である。溶解した原料を例えば、0.1〜100℃/秒の冷却速度で冷却して鋳造し、鋳塊(形状は問わない)を得る工程である。これによって、銅合金中の成分が最終的に確定する。
ステップ3は均質化熱処理する工程である。900〜1030℃で5分〜4時間保持する工程である。銅合金母相中に添加成分を十分に均質分散させて、鋳造工程における偏析を緩和する。
ステップ4は第一回目の高温圧延(高温圧延1)を行う工程である。上記ステップ3で均質化熱処理したものを、そのまま、ステップ4で加工率が特定の値、例えば40〜95%となる高温圧延1を行なう工程である。ここで、高温圧延とは、温度700〜1030℃で圧延することを意味する。
ステップ5は中間冷却する工程である。冷却方法は水冷、空冷、ガス冷却などが挙げられる。冷却速度は6℃/分〜6000℃/分とすることが好ましい。冷却は、ステップ6の加工温度まで冷却すればよい。
ステップ6は第二回目の高温圧延(高温圧延2)を行う工程である。以後にステップ8とともに説明する。
ステップ7は冷却する工程である。冷却方法は水冷、空冷、ガス冷却などが挙げられる。冷却速度は6℃/分〜6000℃/分とすることが好ましい。冷却速度は、さらに好ましくは60℃/分〜4500℃/分、より好ましくは120℃/分〜3000℃/分である。
ステップ8は熱処理する工程である。以後にステップ6とともに説明する。
ステップ9は画削を行う工程である。酸化スケール除去のために面削を行う一般的な工程である。具体的には、表面の酸化物、表面の荒れ等を削除するため、通常の面削機で面削する。片側表面の面削率は特に制限はないが、通常、0.1〜3.0mmとする。
ステップ10は冷間圧延を行う工程である。このステップ10の冷間圧延は、最終の冷間圧延であり、箔圧延する工程である。加工率は、特に制限するものではないが、例えば90.0〜99.9%とする。この冷間圧延工程の加工時の温度は通常0℃〜150℃であり、好ましくは5℃〜100℃である。
この工程で箔の最終厚みを調節する。
本発明においては、下記表1における工程の組合せAが好ましい。
<ステップ6>
ステップ6は前述の高温圧延2である。
ステップ6の高温圧延2は、300℃以上700℃以下の加工温度とし、この温度範囲での加工率を40〜80%とする。加工温度は各パス前後で材料上面の温度を放射温度計によって測定する。これらの条件は、動的な再結晶や回復が起きにくい温度帯で加工することによって材料内部における転位などの格子欠陥を高める目的から選定される。
ステップ8は前述の熱処理するステップである。
ステップ8の熱処理は、500〜700℃の温度で1〜5時間の範囲で行う。これらの条件は、材料を再結晶させるとともに、その再結晶粒を粗大化させないという観点から選定される。
低温焼鈍(ステップ11)は、温度200〜600℃で0.1〜20時間の範囲で行うことが好ましい。この熱処理条件を外れると、特に高温及び/又は長時間の熱履歴とした場合には、これ以前のステップ10までに得られていた所望の金属組織から変わってしまい、所定の金属組織と物性が得られなくなることがある。
本発明の銅合金圧延箔は二次電池集積体に用いられ、電池のエネルギー密度向上の目的のために、特に15μm以下の厚さの銅箔が対象であるが、15μmよりも厚い銅箔に適用することも可能である。具体的には、本発明の銅箔は5〜25μm程度のものに適用することもできる。なお、厚さの下限は特に限定されるものではないが、好ましくは1μm以上であり、5μm以上がより好ましい。
本実施形態に係る二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法の実施例について、図1の工程図を参照して説明する。本発明はこれに限定されるものではない。
これらの銅合金圧延箔の内、本発明例102、112、比較例302については、さらにステップ11として温度200〜600℃で0.1〜20時間の条件で低温焼鈍を行った。
なお、各熱処理や圧延の後に、材料表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を行い、また形状に応じてテンションレベラーによる矯正を行った。
得られた各銅合金圧延箔について、下記の評価を行った。
FE−SEM/EBSD法により、箔圧延後の700平方μmの試料面積に対し、圧延表面から0.05μmのステップでスキャンして測定し、方位差境界を解析した。観測試料の単位面積(1μm2)当たりの方位差境界の境界線の長さを求めた。
解析ソフトには、TSL(社)のOIM version5(商品名)を使用した。電子線が方位差境界(例えば、結晶粒界)上を走査した場合に、その境界(粒界)の両隣の領域(結晶)から回折が起き、二つの結晶方位が混在した状態に対応する回折パターンとなる。その場合、EBSD法ではその両者とは全く異なった方位と誤認識する場合がある。本発明のような方位差境界の密度が高い場合は、特にこの影響に注意が必要である。本測定では、このような信頼性の低い走査点の結晶方位は、隣接する信頼性の高い走査点の方位と置き換えることを行った。信頼性が充分である閾値として、上記ソフトのCI値(Confidence Index)が0.05以上であることとした。
図2および図3を比較すると、本発明例104を示した図2の結果では、方位差境界が長く形成されていることがわかる。
JIS Z2241に準じて引張試験により測定した。ひずみは、カメラ式非接触伸び計によって、単軸引張試験中の標点間距離を測定し、算出した。そして応力−歪み曲線により0.2%耐力を測定した。カメラ式非接触伸び計は(株)島津製作所製DVE−201(商品名)を使用した。CCDカメラ画像により標線マークを自動追尾して伸びを計測するものである。試験片は幅13mmの短冊状とし、圧延方向に対して、0°、45°、90°の3つの方向に試験片を採取して測定し、これらの平均値を算出した。
弾性変形と塑性変形の境界を便宜上つけるために、降伏応力に相当する応力を耐力とし、鋼の降伏時の永久歪みが約0.2%(0.002)であることから、荷重の除荷時の永久歪みが0.2%になる応力を0.2%耐力という。
なお、合格レベルは550MPa以上である。
箔圧延後の各銅合金箔の導電率(%IACS)を、室温にて四端子法によって測定した。
上記圧延後の試料を、アルゴン(Ar)雰囲気中で350℃にて1時間保持する熱処理を行った後に、加熱前と同様の方法でFE−SEM/EBSD法によって測定した。
なお、合格レベルは2μm/μm2以上である。
上記圧延後の試料を、Ar雰囲気中で350℃にて1時間保持する熱処理を行った後に、加熱前と同様の方法で、JIS Z2241に準じて引張試験により測定した。
なお、合格レベルは400MPa以上である。
また、図6には、350℃で1時間加熱した後の、本発明の銅合金圧延箔の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示す。10nmサイズの微細な析出物(Cr析出物など)が方位差境界や結晶粒界をピン止め(写真中の矢印部分)していることがわかる。このピン止めにより、銅合金箔の耐熱性が向上している。
このように、本発明の実施例101〜113は、圧延方向に対して、0°、45°、90°方向の平均0.2%耐力及び導電率が高く、加熱処理(350℃1時間)を施した後にも、これらの方向の平均0.2%耐力が高く維持され、二次電池集電体用銅合金圧延箔として優れていることがわかる。
Claims (6)
- Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6質量%含有し、残部が銅と不可避不純物からなる銅合金圧延箔であって、
圧延面の結晶方位分布において、方位差が1°以上である方位差境界の境界線の長さが、1μm2あたり10μm以上20μm以下であることを特徴とする二次電池集電体用銅合金圧延箔。 - Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6質量%含有し、さらにSn0.01〜0.90質量%、Zn0.01〜0.50質量%、Mn0.01〜0.10質量%、Mg0.01〜0.10質量%、Ag0.01〜0.10質量%、Si0.01〜0.30質量%、P0.01〜0.10質量%、Ni0.01〜0.90質量%およびFe0.01〜0.30質量%のうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.95質量%含有し、残部が銅と不可避不純物からなる銅合金圧延箔であって、
圧延面の結晶方位分布において、方位差が1°以上である方位差境界の境界線の長さが、1μm2あたり10μm以上20μm以下であることを特徴とする二次電池集電体用銅合金圧延箔。 - 350℃で1時間保持する熱処理後、圧延面の結晶方位分布において方位差が1°以上の方位差境界の境界線の長さが、1μm2あたり2μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池集電体用銅合金圧延箔。
- 二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法であって、
Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6質量%含有し、残部が銅と不可避不純物からなる合金組成を有した銅合金素材を溶解(ステップ1)し、鋳造(ステップ2)して得た鋳塊に、900〜1030℃で5分〜4時間の均質化熱処理(ステップ3)を行い、温度700〜1030℃で加工率が40〜95%の高温圧延1(ステップ4)と、冷却速度6〜6000℃/分の中間冷却(ステップ5)と、300〜700℃で加工率が40〜80%の高温圧延2(ステップ6)と、冷却速度6〜6000℃/分の冷却(ステップ7)と、500〜700℃で1〜5時間の熱処理(ステップ8)と、面削(ステップ9)と、0〜150℃で加工率が90.0〜99.9%の最終の冷間圧延(ステップ10)とを施して、
圧延面の結晶方位分布において、方位差が1°以上である方位差境界の境界線の長さが、1μm2あたり10μm以上20μm以下である銅合金圧延箔を得ることを特徴とする二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法。 - 二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法であって、
Cr、ZrおよびTiのうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.6質量%含有し、さらにSn0.01〜0.90質量%、Zn0.01〜0.50質量%、Mn0.01〜0.10質量%、Mg0.01〜0.10質量%、Ag0.01〜0.10質量%、Si0.01〜0.30質量%、P0.01〜0.10質量%、Ni0.01〜0.90質量%およびFe0.01〜0.30質量%のうちの少なくとも一種を合計で0.01〜0.95質量%含有し、残部が銅と不可避不純物からなる合金組成を有した銅合金素材を溶解(ステップ1)し、鋳造(ステップ2)して得た鋳塊に、900〜1030℃で5分〜4時間の均質化熱処理(ステップ3)を行い、温度700〜1030℃で加工率が40〜95%の高温圧延1(ステップ4)と、冷却速度6〜6000℃/分の中間冷却(ステップ5)と、300〜700℃で加工率が40〜80%の高温圧延2(ステップ6)と、冷却速度6〜6000℃/分の冷却(ステップ7)と、500〜700℃で1〜5時間の熱処理(ステップ8)と、面削(ステップ9)と、0〜150℃で加工率が90.0〜99.9%の最終の冷間圧延(ステップ10)とを施して、
圧延面の結晶方位分布において、方位差が1°以上である方位差境界の境界線の長さが、1μm2あたり10μm以上20μm以下である銅合金圧延箔を得ることを特徴とする二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法。 - 前記最終の冷間圧延(ステップ10)の後に、200〜600℃で0.1〜20時間の低温焼鈍(ステップ11)を施すことを特徴とする請求項4または5に記載の二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法。
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