JP7035478B2 - 鋳造用モールド材 - Google Patents
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Description
ここで、C18150等のCu-Cr-Zr系合金は、優れた耐熱性及び導電性(熱伝導性)を備えていることから、例えば特許文献1、2に示すように、使用環境が高温となる鋳造用モールド材の素材として利用されている。
そして、Cu-Cr-Zr系合金においては、溶体化処理でCr及びZrをCuの母相中に固溶し、時効処理によってCr系析出物(Cu-Cr)やZr系析出物(Cu-Zr)を微細分散させることで、強度及び導電性(熱伝導性)の向上を図っている。
詳述すると、合金品種によってはモールドに注入される溶融金属の温度が高く設定されることがあり、従来よりも優れた高温強度が求められる。また、モールドにおいては、湯面近傍の温度が局所的に高くなる傾向にあるため、高温となった領域において析出物の分散状態が変化し、モールド内において局所的な強度の低下及び導電性の向上(熱伝導性の向上)が生じ、冷却状態が不安定となり、鋳造を安定して実施することができなくなるおそれがあった。
また、Snを0.005mass%以上0.04mass%以下の範囲内で含有しているので、固溶強化によって、強度を向上させることができる。
そして、Pを0.005mass%以上0.03mass%以下の範囲内で含有しているので、Zr及びCrと反応することでZr-P化合物あるいはCr-Zr-P化合物が生成される。これらZr-P化合物およびCr-Zr-P化合物は、高温でも安定であることから、高温条件下で使用した場合であっても、局所的な強度の低下や導電性(熱伝導性)の向上を抑制することが可能となる。また、結晶粒径の粗大化を抑制でき、高温強度を向上させることができる。
また、Snの含有量〔Sn〕(mass%)とPの含有量〔P〕(mass%)が、〔Sn〕/〔P〕≦5の関係を有するので、Snの固溶による導電率の低下を、Zr-P化合物あるいはCr-Zr-P化合物の生成による導電率の上昇によって補うことができ、優れた導電性(熱伝導性)を確保することができる。
この場合、Siが銅の母相中に固溶することで、固溶強化によってさらなる強度の向上を図ることができる。
この場合、不純物元素であるMg,Al,Fe,Ni,Zn,Mn,Co,Tiの元素の合計含有量が0.03mass%以下に制限されているので、導電性(熱伝導性)の低下を抑制することができる。
この場合、導電率が70%IACSを超えているので、十分にCr系析出物およびZr系析出物が分散されるとともに、Zr-P化合物あるいはCr-Zr-P化合物が生成しており、高温条件下で使用した場合であっても局所的な強度の低下及び導電性(熱伝導性)の向上を抑制することが可能となる。また、結晶粒径の粗大化を抑制でき、高温強度を向上させることができる。
この場合、ビッカース硬さが115Hv以上であるので、十分な硬さを有しており、使用時における変形を抑制でき、鋳造用モールド材として良好に使用することができる。
この場合、高温条件下で使用した場合であっても、結晶粒径の粗大化が抑制されており、強度の低下を抑制することができる。また、亀裂の伝播速度を抑えることができ、熱応力等による大きな割れの発生を抑制することができる。
本実施形態である鋳造用モールド材は、鉄鋼、アルミニウム、銅等の金属材料を連続鋳造する際の連続鋳造用鋳型に用いられるものである。また、本実施形態である銅合金素材は、上述の鋳造用モールド材の素材として用いられるものである。
そして、Zrの含有量〔Zr〕(mass%)とPの含有量〔P〕(mass%)が、 〔Zr〕/〔P〕>5の関係を有する。
また、Snの含有量〔Sn〕(mass%)とPの含有量〔P〕(mass%)が、〔Sn〕/〔P〕≦5の関係を有する。
さらに、本実施形態である鋳造用モールド材、及び、銅合金素材においては、Mg,Al,Fe,Ni,Zn,Mn,Co,Tiの元素の合計含有量が0.03mass%以下とされていてもよい。
また、本実施形態である鋳造モールド材においては、ビッカース硬さが115Hv以上とされていることが好ましい。
また、本実施形態である銅合金素材においては、1015℃で1.5時間の溶体化処理後に、475℃で3時間の時効処理を実施した後の導電率が70%IACSを超えている。
Crは、時効処理によって母相の結晶粒内にCr系析出物(例えばCu-Cr)を微細に析出させることにより、強度(硬さ)及び導電率を向上させる作用効果を有する元素である。
ここで、Crの含有量が0.3mass%未満の場合には、時効処理において析出量が不十分となり、強度(硬さ)及び導電率の向上の効果を十分に得られないおそれがある。また、Crの含有量が0.7mass%を超える場合には、比較的粗大なCr晶出物が生成するおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Crの含有量を0.3mass%以上0.7mass%以下の範囲内に設定している。
なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Crの含有量の下限を0.4mass%以上とすることが好ましく、Crの含有量の上限を0.6mass%以下とすることが好ましい。
Zrは、時効処理によって母相の結晶粒界にZr系析出物(例えばCu-Zr)を微細に析出することにより、強度(硬さ)及び導電率を向上させる作用効果を有する元素である。
ここで、Zrの含有量が0.025mass%未満の場合には、時効処理において析出量が不十分となり、強度(硬さ)及び導電率の向上の効果を十分に得られないおそれがある。また、Zrの含有量が0.15mass%を超える場合には、導電率が低下してしまうおそれがあるとともに、Zr系析出物が粗大化し、強度向上の効果が得られないおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Zrの含有量を0.025mass%以上0.15mass%以下の範囲内に設定している。
なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Zrの含有量の下限を0.05mass%以上とすることが好ましく、Zrの含有量の上限を0.13mass%以下とすることが好ましい。
Snは、銅の母相中に固溶することによって強度を向上させる作用効果を有する元素である。また、軟化特性のピーク温度を上昇させる作用効果も有する。
ここで、Snの含有量が0.005mass%未満の場合には、固溶による強度(硬さ)向上の効果を十分に得られないおそれがある。また、Snの含有量が0.04mass%を超える場合には、導電性(熱伝導性)が低下してしまうおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Snの含有量を0.005mass%以上0.04mass%以下の範囲内に設定している。
なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Snの含有量の下限を0.01mass%以上とすることが好ましく、Snの含有量の上限を0.03mass%以下とすることが好ましい。
Pは、ZrおよびCrとともに、高温で安定なZr-P化合物あるいはCr-Zr-P化合物を生成し、高温状態における結晶粒径の粗大化を抑制する作用効果を有する元素である。
ここで、Pの含有量が0.005mass%未満の場合には、Zr-P化合物あるいはCr-Zr-P化合物が十分に生成せず、高温状態における結晶粒径の粗大化を抑制する効果を十分に得られないおそれがある。また、Pの含有量が0.03mass%を超える場合には、Zr-P化合物あるいはCr-Zr-P化合物が過剰に生成し、強度向上に寄与するCu-Zr析出物の個数が不足し、強度向上を図ることができなくなるおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Pの含有量を0.005mass%以上0.03mass%以下の範囲内に設定している。
なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Pの含有量の下限を0.008mass%以上とすることが好ましく、Pの含有量の上限を0.020mass%以下とすることが好ましい。
上述のように、Pは、Zrと反応して、高温で安定なZr-P化合物あるいはCr-Zr-P化合物を生成する。
ここで、Zrの含有量〔Zr〕(mass%)とPの含有量〔P〕(mass%)との比〔Zr〕/〔P〕が5以下の場合には、Pに対するZrの量が少なくなり、Zr-P化合物あるいはCr-Zr-P化合物の生成によって、強度向上に寄与するCu-Zr析出物の個数が不足し、強度向上を図ることができなくなるおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Zrの含有量とPの含有量の比〔Zr〕/〔P〕が5を超えるように設定している。
なお、強度向上に寄与するCu-Zr析出物の個数を確実に確保するためには、Zrの含有量とPの含有量の比〔Zr〕/〔P〕を7以上とすることが好ましい。
上述のように、Snは、銅の母相に固溶することによって導電性(熱伝導性)を低下させる。一方、Pは、Zr-P化合物あるいはCr-Zr-P化合物を生成することで導電性(熱伝導性)を向上させる。
ここで、Snの含有量〔Sn〕(mass%)とPの含有量〔P〕(mass%)との比〔Sn〕/〔P〕が5を超える場合には、Pに対するSnの量が多くなり、Snの固溶による導電性(熱伝導性)の低下を、Zr-P化合物あるいはCr-Zr-P化合物の生成による導電性(熱伝導性)の向上によって補うことができなくなるおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Snの含有量とPの含有量の比〔Sn〕/〔P〕が5以下となるように設定している。
なお、導電性(熱伝導性)を確実に向上させるためには、Snの含有量とPの含有量の比〔Sn〕/〔P〕を3以下とすることが好ましい。
Siは、銅の母相中に固溶することによって強度を向上させる作用効果を有する元素であり、必要に応じて添加してもよい。
ここで、Siの含有量が0.005mass%未満の場合には、固溶による強度(硬さ)向上の効果を十分に得られないおそれがある。また、Siの含有量が0.03mass%を超える場合には、導電性(熱伝導性)が低下してしまうおそれがある。
以上のことから、本実施形態においてSiを添加する場合には、Siの含有量を0.005mass%以上0.03mass%以下の範囲内とすることが好ましい。
なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Siの含有量の下限を0.010mass%以上とすることが好ましく、Siの含有量の上限を0.025mass%以下とすることが好ましい。
Mg,Al,Fe,Ni,Zn,Mn,Co,Tiといった元素は、導電性(熱伝導性)を大きく低下させるおそれがある。このため、高い導電性(熱伝導性)を確実に維持するためには、Mg,Al,Fe,Ni,Zn,Mn,Co,Tiの合計含有量を0.03mass%以下に制限することが好ましい。さらに、Mg,Al,Fe,Ni,Zn,Mn,Co,Tiの合計含有量は、0.01mass%以下に制限することが好ましい。
なお、上述したMg,Al,Fe,Ni,Zn,Mn,Co,Ti以外のその他の不可避的不純物としては、B、Ag,Ca,Te,Sr,Ba,Sc,Y,Ti,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Os,Se,Rh,Ir,Pd,Pt,Au,Cd,Ga,In,Li,Ge,As,Sb,Tl,Pb,Be,N,H,Hg,Tc,Na,K,Rb,Cs,Po,Bi,ランタノイド、O,S,C等が挙げられる。これらの不可避不純物は、導電性(熱伝導性)を低下させるおそれがあるため、総量で0.05mass%以下とすることが好ましい。
本実施形態である鋳造用モールド材において、導電率が70%IACSを超えている場合には、十分にCr系析出物およびZr系析出物が分散されるとともに、Zr-P化合物あるいはCr-Zr-P化合物が生成していることになる。よって、強度及び導電性(熱伝導性)に優れるとともに、高温条件下で使用した場合でも結晶粒径の粗大化を抑制することが可能となる。
以上のことから、本実施形態の鋳造用モールド材においては、導電率を70%IACS超えに設定している。なお、鋳造用モールド材の導電率は75%IACS以上とすることがさらに好ましい。
本実施形態である鋳造用モールド材において、ビッカース硬さが115Hv以上である場合には、十分な硬さを確保することができ、使用時における変形を抑制することができる。
以上のことから、本実施形態の鋳造用モールド材においては、ビッカース硬さを115Hv以上に設定している。なお、鋳造用モールド材のビッカース硬さは130Hv以上とすることがさらに好ましい。
本実施形態である鋳造用モールド材においては、上述のように、高温で安定なZr-P化合物あるいはCr-Zr-P化合物を生成させることで、高温状態における結晶粒径の粗大化を抑制している。このため、1000℃で30分の熱処理を実施した後の平均結晶粒径を100μm以下に制限することによって、高温で安定なZr-P化合物あるいはCr-Zr-P化合物が十分に生成しており、高温条件下で使用した際の強度低下を抑制することが可能となる。また、亀裂の伝播速度を抑えることができ、熱応力等による大きな割れの発生を抑制することができる。
以上のことから、本実施形態の鋳造用モールド材においては、1000℃で30分の熱処理を実施した後の平均結晶粒径を100μm以下に設定している。なお、鋳造用モールド材においては、1000℃で30分の熱処理を実施した後の平均結晶粒径を5μm以上70μm以下とすることが好ましい。
本実施形態である銅合金素材において、1015℃で1.5時間の溶体化処理後に、475℃で3時間の時効処理を実施した後の導電率が70%IACSを超える場合には、十分にCr系析出物およびZr系析出物が分散されるとともに、Zr-P化合物あるいはCr-Zr-P化合物が生成しており、高温条件下で使用した場合であっても、局所的な強度の低下や導電性(熱伝導性)の向上を抑制することが可能となる。また、結晶粒径の粗大化を抑制でき、高温強度を向上させることができる。
以上のことから、本実施形態の銅合金素材においては、1015℃で1.5時間の溶体化処理後に、475℃で3時間の時効処理を実施した後の導電率を70%IACS超えに設定している。なお、銅合金素材においては、1015℃で1.5時間の溶体化処理後に、475℃で3時間の時効処理を実施した後の導電率は75%IACS以上とすることがさらに好ましい。
まず、銅の純度が99.99mass%以上の無酸素銅からなる銅原料を、カーボンるつぼに装入し、真空溶解炉を用いて溶解し、銅溶湯を得る。次いで、得られた溶湯に、所定の濃度となるように前述の添加元素を添加して、成分調製を行い、銅合金溶湯を得る。
ここで、添加元素であるCr、Zr、Sn、Pの原料としては、例えばCrの原料は純度99.9mass%以上のものを使用し、Zrの原料は純度99mass%以上のものを使用し、Snの原料は純度99.9mass%以上のものを使用し、PはCuとの母合金を用いることが好ましい。なお、必要に応じてSiを添加してもよい。Siを添加する場合には、Cuとの母合金を用いることが好ましい。
そして、成分調製された銅合金溶湯を鋳型に注湯して鋳塊を得る。
次に、得られた鋳塊の均質化のために熱処理を行う。
具体的には、鋳塊を大気雰囲気にて、950℃以上1050℃以下、1時間以上の条件で均質化処理を行う。
次いで、900℃以上1000℃以下の温度範囲で、加工率50%以上99%以下の熱間圧延を行い、圧延材を得る。なお、熱間加工の方法は、熱間鍛造であっても良い。この熱間加工後、直ちに水冷によって冷却する。
このような工程により、本実施形態である銅合金素材が製造される。
次いで、熱間加工工程S03で得られた圧延材を、920℃以上1050℃以下、0.5時間以上5時間以下の条件で加熱処理を施し、溶体化処理を行う。加熱処理は、例えば大気または不活性ガス雰囲気で行い、加熱後の冷却は、水冷によって行う。
次に、溶体化処理工程S04の後に、時効処理を実施し、Cr系析出物及びZr系析出物などの析出物を微細に析出させる。これにより、溶体化処理後の導電率を70%IACS超えとする。
ここで、時効処理は、例えば400℃以上530℃以下、0.5時間以上5時間以下の条件で行う。
なお、時効処理時の熱処理方法は、特に限定しないが、不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。また、加熱処理後の冷却方法は、特に限定しないが、水冷で行うことが好ましい。
このような工程により、本実施形態である鋳造用モールド材が製造される。
また、Snを0.005mass%以上0.04mass%以下の範囲内で含有しているので、固溶強化によって、強度を向上させることができる。
また、Snの含有量〔Sn〕(mass%)とPの含有量〔P〕(mass%)が、〔Sn〕/〔P〕≦5の関係を有するので、Snの固溶による導電率の低下を、Zr-P化合物あるいはCr-Zr-P化合物の生成による導電率の上昇によって補うことができ、優れた導電性(熱伝導性)を確保することができる。
また、本実施形態に係る鋳造用モールド材、および、銅合金素材においては、Mg,Al,Fe,Ni,Zn,Mn,Co,Tiの元素の合計含有量が0.03mass%以下に制限されているので、導電性(熱伝導性)の低下を抑制することができる。
また、本実施形態に係る鋳造用モールド材においては、ビッカース硬さが115Hv以上とされているので、十分な硬さを有しており、使用時における変形を抑制でき、鋳造用モールド材として良好に使用することができる。
例えば、鋳造用モールド材の製造方法については、本実施形態に限定されることはなく、他の製造方法によって製造されたものであってもよい。例えば、溶解・鋳造工程において連続鋳造装置を用いてもよい。
純度99.99mass%以上の無酸素銅からなる銅原料を準備し、これをカーボンるつぼに装入し、真空溶解炉(真空度10-2Pa以下)で溶解し、銅溶湯を得た。得られた銅溶湯内に、各種添加元素を添加して表1に示す成分組成に調製し、5分間保持した後、銅合金溶湯を鋳鉄製の鋳型に注湯して鋳塊を得た。鋳塊の大きさは、幅約80mm、厚さ約50mm、長さ約130mmとした。
なお、添加元素であるCrの原料は純度99.99mass%以上、Zrの原料は純度99.95mass%以上、Snの原料は純度99.99mass%以上のものを使用した。PはCuの母合金を使用した。
この熱間圧延材を用いて、1000℃で1.5時間の条件で溶体化処理を行い、その後水冷した。
次に、525(±15)℃で3時間の条件で時効処理を実施した。これにより、鋳造用モールド材を得た。
得られた鋳造用モールド材の成分組成は、ICP-MS分析によって測定した。測定結果を表1に示す。
日本フェルスター社製SIGMA TEST D2.068(プローブ径φ6mm)を用いて、10×15mmのサンプルの断面中心部を3回測定し、その平均値を求めた。
JIS Z 2244に準じて、株式会社アカシ製ビッカース硬度試験機により、図2に示すように試験片の9か所でビッカース硬さを測定し、その最大値及び最小値を除外した7つの測定値の平均値を求めた。
板幅中心部から10mm×15mmの観察用試験片を採取し、圧延方向の面を研磨後、ミクロエッチングを行った。光学顕微鏡を使用してミクロ組織観察を行い、JIS H 0501:1986(切断法)に基づき、結晶粒径を測定し、平均結晶粒径を算出した。
Snを添加していない比較例2においては、ビッカース硬さが112Hvと低くなった。Snの固溶硬化による強度向上が図れなかったためと推測される。
〔Zr〕/〔P〕が3.5とされた比較例3においては、ビッカース硬さが113Hvと低くなった。強度向上に寄与するCu-Zr析出物の個数が確保できなかったためと推測される。
〔Sn〕/〔P〕が8.0とされた比較例4においては、導電率が65%IACSと低くなった。Snの固溶による導電率の低下を、Zr-P化合物あるいはCr-Zr-P化合物の生成による導電率の上昇によって補うことができなかったためと推測される。
Claims (6)
- 金属材料を鋳造する際に用いられる鋳造用モールド材であって、
Crを0.3mass%以上0.7mass%以下の範囲内、Zrを0.025mass%以上0.15mass%以下の範囲内、Snを0.005mass%以上0.04mass%以下の範囲内、Pを0.005mass%以上0.03mass%以下の範囲内で含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有し、
Zrの含有量〔Zr〕(mass%)とPの含有量〔P〕(mass%)が、
〔Zr〕/〔P〕>5
の関係を有するとともに、
Snの含有量〔Sn〕(mass%)とPの含有量〔P〕(mass%)が、
〔Sn〕/〔P〕≦5
の関係を有することを特徴とする鋳造用モールド材。 - さらに、Siを0.005mass%以上0.03mass%以下の範囲内で含むことを特徴とする請求項1に記載の鋳造用モールド材。
- Mg,Al,Fe,Ni,Zn,Mn,Co,Tiの合計含有量が0.03mass%以下とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鋳造用モールド材。
- 導電率が70%IACSを超えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の鋳造用モールド材。
- ビッカース硬さが115Hv以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の鋳造用モールド材。
- 1000℃で30分の熱処理を実施した後の平均結晶粒径が100μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の鋳造用モールド材。
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