JP5156316B2 - Cu−Sn−P系銅合金板材およびその製造法並びにコネクタ - Google Patents

Cu−Sn−P系銅合金板材およびその製造法並びにコネクタ Download PDF

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本発明は、コネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチなどの電気・電子部品に適したCu−Sn−P系銅合金(りん青銅)板材であって、特に高強度を維持しながら、優れた曲げ加工性と耐応力緩和特性を呈する銅合金板材、およびその製造法、並びにそれを用いたコネクタ等の部品に関する。
電気・電子部品を構成するコネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチなどの部品に使用される材料には、電気・電子機器の組立時や作動時に付与される応力に耐え得る高い「強度」が要求される。また、電気・電子部品は一般に曲げ加工により成形されることから優れた「曲げ加工性」が要求される。さらに、電気・電子部品間の接触信頼性を確保するために、接触圧力が時間とともに低下する現象(応力緩和)に対する耐久性、すなわち「耐応力緩和特性」に優れることも要求される。
特に近年、電気・電子部品は高集積化、小型化および軽量化が進む傾向にあり、それに伴って素材である銅および銅合金には薄肉化の要求が高まっている。それに対応するためには素材に要求される「強度」のレベルは一層厳しいものとなる。そのような高い強度レベルを有するものとしては0.2%耐力が600N/mm2以上、好ましくは650N/mm2以上、さらに好ましくは700N/mm2以上であり、引張強さが650N/mm2以上、好ましくは700N/mm2以上、さらに好ましくは750N/mm2以上であることが望まれる。
また、圧延方向をLD、板面(圧延面)内で圧延方向に対し直角方向をTDと呼ぶとき、曲げ加工性はLD、TDいずれにおいても後述の90°W曲げ試験における最小曲げ半径Rと板厚tの比R/tが1.0以下であることが好ましい。電気・電子部品の小型化、形状の複雑化に対応するには曲げ加工品の形状・寸法精度を向上させることが強く求められる。そのために最近では、素材の曲げ加工を施す部位にノッチを付ける加工(ノッチング)を施し、その後、そのノッチに沿って曲げ加工を行う加工法(以下「ノッチング後曲げ加工法」という)を適用することが多くなっている。しかし、この加工法は、ノッチングによってノッチ部近傍が加工硬化することから、その後の曲げ加工において割れを生じやすい。したがって、「ノッチング後曲げ加工法」は材料にとって非常に厳しい曲げ加工であると言える。
さらに、電気・電子部品が過酷な環境で使用される用途の増加に伴い「耐応力緩和特性」に対する要求も厳しくなっている。例えば、自動車用コネクタのように高温に曝される環境下で使用される場合は「耐応力緩和特性」が特に重要となる。応力緩和とは、電気・電子部品を構成する素材のばね部の接触圧力が、常温では一定の状態に維持されても、比較的高温(例えば100〜200℃)の環境下では時間とともに低下するという、1種のクリープ現象である。すなわち、金属材料に応力が付与されている状態において、マトリックスを構成する原子の自己拡散や固溶原子の拡散によって転位が移動して、塑性変形が生じることにより、付与されている応力が緩和される現象である。
しかしながら、「強度」と「導電性」、あるいは「強度」と「曲げ加工性」、さらに「曲げ加工性」と「耐応力緩和特性」の間にはトレードオフの関係がある。従来、このような特性を全て満足する低廉な材料はなく、用途に応じて「導電性」、「強度」、「曲げ加工性」あるいは「耐応力緩和特性」のうち優先させるべき特性が良好な材料を適宜選択して使用してきた。
高強度型銅合金として、ベリリウム銅、チタン銅、コルソン合金(Cu−Ni−Si系)、りん青銅が挙げられる。中でも「りん青銅」は固溶強化型合金であり、ベリリウム銅、チタン銅、コルソン合金などの析出強化型合金のように、複雑な熱処理(溶体化処理や時効処理など)が不要で、ベリリウム銅、チタン銅、コルソン合金より低価である。また、りん青銅は成分構成が単純でリサイクル性がよく、環境負荷の低減に有利である。更に、りん青銅は強度、耐食性、耐応力緩和特性のバランスに優れ、コネクタなどの電気・電子部品用の汎用材料として使用されている。
しかしながら、りん青銅は典型的な固溶強化型合金であり、強度を向上させるために仕上げ圧延率を増大させる必要があり、それに伴い、TDの曲げ加工性(すなわち曲げ軸がLDである曲げ加工性)が著しく悪化してしまう。そのため、強度レベルが高くても電気・電子部品に加工できなくなる場合がある。
例えば、代表的なばね材用りん青銅C5210では、質別がH04、H06およびH08(あるいはH、EHおよびSH)の材料の引張強さはそれぞれ630N/mm2、720N/mm2および780N/mm2程度であるが、TDの曲げ加工性についてはR/tがそれぞれ0.5以上、2.5以上および6.0以上となるのが通常である。コネクタ材等の電気・電子部品では引張強さが650N/mm2以上で、かつ曲げ加工性はR/tが1.0以下を満足することが強く望まれる。
りん青銅の強度を維持しながら曲げ加工性を向上させるために採られている一般的な手段は結晶粒微細化である。例えば、特許文献1ではFe、Ni、Co、Mgを添加し、こちらの元素のりん化物の結晶粒界ピン止め作用を利用して、平均結晶粒径を3μm以下までに微細化する方法を提案している。また特許文献2では、曲げ加工性を向上させるために{220}面のX線回折強度の構成比率を次式で規定している。
I{220}/(I{220}+I{111}+I{200}+I{311})>0.7
特開2002−356727号公報 特開2004−27331号公報
銅合金板材において前述の「ノッチング後曲げ加工法」を採用することは、曲げ加工品の形状・寸法精度の向上に効果的である。しかし、りん青銅は一般にLDの曲げ加工性(曲げ軸がTDである曲げ加工性)は比較的良好であるものの、「ノッチング後曲げ加工法」のような厳しい曲げ加工に耐えるだけの加工性は必ずしも有していない。
「曲げ加工性」を改善するためには結晶粒微細化が有効である。しかし、結晶粒径を小さくすると単位体積当たりに存在する結晶粒界の面積が大きくなるので、結晶粒微細化はクリープ現象の1種である応力緩和を助長する要因となってしまう。特に車載用コネクタなど高温環境で使用される用途では、原子の粒界に沿う拡散速度が粒内より著しく速いので、結晶粒微細化による「耐応力緩和特性」の低下は重大な問題となりやすい。したがって、耐応力緩和特性を損なわずに曲げ加工性を改善することは容易でない。
また、りん青銅は固溶強化型合金であり、高強度を要する用途に適用するためには、仕上げ圧延率の増大が必要である。それに伴い、TDの曲げ加工性(すなわち曲げ軸がLDである曲げ加工性)が著しく悪化してしまう。したがって、りん青銅は曲げ加工性に要求される用途(例えば、図1に示すようなコネクタ雌端子)には、引張強さが650N/mm2以下の低質別(大体H以下)でしか対応できない。この場合、強度不足によりばね性が低くなりやすい。一方、引張強さが700N/mm2以上の高質別(大体EH以上)の場合は、厳しい曲げ加工に耐えられないので、平板状に近い部品にしか使えないのが現状である。
高強度を維持しながらりん青銅の「曲げ加工性」を改善する常套手段として、(i)Snの多量添加、(ii)結晶粒の微細化、が挙げられる。
(i)の手法を用いると仕上げ圧延率を過剰に大きくしなくて済むので、曲げ加工性の低下を抑制する上で有効である。しかし、Snの平衡状態下での最大固溶限は約15質量%であるが、Snが偏析し易いので、実際的に12質量%以上になると熱間加工性及び冷間加工性ともに著しく低下するという問題がある。
(ii)の結晶粒微細化は、前述のように耐応力緩和特性を損なう要因になるので安易に採用できない。例えば、特許文献1のように平均結晶粒径が3μm以下に規定される場合、耐応力緩和特性の要求が高い用途に使えなくなる可能性がある。
特許文献2では、{220}面のX線回折強度の構成比率を70%以上に規定している。{220}面は銅合金で一般に見られる圧延集合組織の主方位であり、圧延集合組織が強いほど、LDの曲げ加工性(曲げ軸がTDである曲げ加工性)は比較的良好であるものの、りん青銅板材で重要となるTDの曲げ加工性(曲げ軸がLDである曲げ加工性)については十分改善できているとは言えない。
本発明はこのような現状において、「ノッチング後曲げ加工法」のような厳しい曲げ加工にも耐え得る優れた「曲げ加工性」と「耐応力緩和特性」を両立させたCu−Sn−P系銅合金(りん青銅)板材を提供しようというものである。また、「導電性」を損なわずに「高強度」と「曲げ加工性」を高レベルで両立させたCu−Sn−P系銅合金板材を提供することを目的とする。さらに、加工部に割れがなく寸法精度の良好なコネクタ等の部品を提供することを目的とする。
発明者らは詳細な検討の結果、圧延板の板面に対して垂直な方向をNDと表すとき、NDに変形しやすく、かつ、板面内で互いに直交する2つの方向にも変形しやすいような方位関係を持つ結晶方位が存在することを見出した。そして、このような特有の方位関係にある結晶粒を主体とした集合組織を得ることのできるCu−Sn−P系銅合金の組成範囲と製造条件を特定するに至った。本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明では、質量%で、Sn:2〜12%、P:0.01〜0.5%、場合によってはさらにNi:2%以下、Fe:1%以下、Zn:10%以下、Mn:0.06%以下の1種以上を含有し、あるいはさらにCo、Cr、Mg、Al、Si、B、Ti、Mn、V、Ce、Yの1種以上を合計3%以下の範囲で含有し、残部Cuおよび不可避的不純物からなる組成を有し、下記(1)式および下記(2)式を満たす結晶配向を有し、平均結晶粒径が7〜60μmである銅合金板材が提供される。特性として0.2%耐力が600N/mm2以上あるいは650N/mm 2 以上、引張強さが650N/mm2以上あるいは700N/mm 2 以上、導電率が10%IACS以上、応力緩和率が20%以下であるものが特に好適な対象として提供される。
I{420}/I0{420}>0.8 ……(1)
1.0≦I{220}/I0{220}≦3.5 ……(2)
ここで、I{420}は当該銅合金板材の板面における{420}結晶面のX線回折強度、I0{420}は純銅標準粉末の{420}結晶面のX線回折強度である。同様に、I{220}は当該銅合金板材の板面における{220}結晶面のX線回折強度、I0{220}は純銅標準粉末の{220}結晶面のX線回折強度である。I{420}とI0{420}は同一測定条件で測定され、I{220}とI0{220}も同一測定条件で測定される。平均結晶粒径は、板面(圧延面)を研磨したのちエッチングし、その面を顕微鏡観察して、JIS H0501の切断法にて求めることができる。
このような銅合金板材の製造法として、上記の組成に成分調整された銅合金を用いて、圧延率80%以上の冷間圧延、350〜650℃での再結晶焼鈍、圧延率20〜70%の仕上げ冷間圧延を順次施し、必要に応じてさらに150〜450℃の低温焼鈍を施す工程で銅合金板材を製造する製造法が提供される。再結晶焼鈍工程において、再結晶焼鈍後の平均結晶粒径が7〜60μmとなるように、350〜650℃域の保持時間および到達温度を設定して熱処理を実施することが好ましい。
また本発明では、上記の銅合金板材を用いた板状素材を加工(特にノッチング後曲げ加工法による曲げ加工)することにより得られる電気・電子部品が提供される。その電気・電子部品は例えばコネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチなどである。この場合、板状素材としては、例えば上記の銅合金板材からなる条材をそのまま使用しても構わないが、リフローSnめっき等の表面処理を施したものがより好適である。
本発明によれば、コネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチなどの電気・電子部品に必要な「導電性」と黄銅並みに小さい「ヤング率」を具備するCu−Sn−P系銅合金(りん青銅)の板材において、ノッチング後曲げ加工法に適用可能な優れた「曲げ加工性」を付与したものが実現された。しかも、曲げ加工性との両立が困難であるとされる「耐応力緩和特性」についても良好に維持されている。また特に、引張強さ650N/mm2以上の「高強度」を有し、かつCu−Sn−P系銅合金では改善が難しい「TDの曲げ加工性」(すなわち曲げ軸がLDである曲げ加工性)と良好な「耐応力緩和特性」を同時に有するものが提供された。これらの特性を同時に安定して顕著に向上させることは、従来のCu−Sn−P系銅合金製造技術では困難であった。本発明の銅合金板材は、今後一層の進展が予想される電気・電子部品の小型化、薄肉化のニーズに対応し、コネクタなどの電気電子部品用材料として最適なものである。
《集合組織》
Cu−Sn−P系銅合金(りん青銅)の板面(圧延面)からのX線回折パターンは、一般に{111}、{200}、{220}、{311}の4つの結晶面の回折ピークで構成され、他の結晶面からのX線回折強度はこれらの結晶面からのものに比べ非常に小さい。{420}面の回折強度についても、通常の製造工程で得られたCu−Sn−P系銅合金の板材では無視される程度に弱くなる。ところが、発明者らの詳細な検討によれば、後述する製造条件に従うと{420}を主方位成分とする集合組織を持つCu−Sn−P系銅合金板材が得られることがわかった。そして発明者らは、この集合組織が強く発達しているほど、曲げ加工性の改善に有利となることを見出した。その曲げ加工性改善のメカニズムについて、現時点では以下のように考えている。
結晶のある方向に外力が加えられたときの塑性変形(すべり)の生じやすさを示す指標としてシュミット因子がある。結晶に加えられる外力の方向と、すべり面の法線とのなす角度をφ、結晶に加えられる外力の方向と、すべり方向とのなす角度をλとするとき、シュミット因子はcosφ・cosλで表され、その値は0.5以下の範囲をとる。シュミット因子が大きいほど(すなわち0.5に近いほど)すべり方向へのせん断応力が大きいことを意味する。したがって、ある結晶にある方向から外力を付与したとき、シュミット因子が大きいほど(すなわち0.5に近いほど)、その結晶は変形しやすいことになる。Cu−Sn−P系銅合金の結晶構造は面心立方(fcc)である。面心立方晶のすべり系は、すべり面{111}、すべり方向<110>であり、実際の結晶においてもシュミット因子が大きいほど変形しやすく加工硬化も小さくなることが知られている。
図2に、面心立方晶のシュミット因子の分布を表した標準逆極点図を示す。<120>方向のシュミット因子は0.490であり、0.5に近い。すなわち、<120>方向に外力が付与された場合、面心立方晶は非常に変形しやすい。その他の方向のシュミット因子は、<100>方向が0.408、<113>方向が0.445、<110>方向が0.408、<112>方向が0.408、<111>方向が0.272である。
Cu−Sn−P系合金の一般的な圧延集合組織における主方位面が{110}面である結晶の場合、LDが<112>方向、TDが<111>方向であり、そのシュミット因子は、LDが0.408、TDが0.272である。従って、仕上げ圧延率が高いほど、圧延集合組織{110}面の密度が強くなり、強度(特にTD方向の強度)が高いものの、TD方向の曲げ加工性が著しく悪くなる。
{420}を主方位成分とする集合組織は、{420}面すなわち{210}面が板面(圧延面)とほぼ平行である結晶の存在割合が多い集合組織を意味する。主方位面が{210}面である結晶の場合、板面内つまり{210}面内に、別の<120>方向と<100>方向があり、これらは互いに直交する。実際には、圧延方向(LD)が<100>方向、圧延方向に対して直角方向(TD)が<120>方向であることが確かめられている。そのシュミット因子は、LDが0.408、TDが0.490である。
このように、LDおよびTDのシュミット因子を見ると、{420}を主方位成分とする集合組織の場合、{220}を主方位成分とする圧延集合組織と比べて、LD方向の曲げ加工性がほぼ同等であるが、TD方向の曲げ加工性が格段に優れると言える。
また、主方位面が{210}面である結晶では、板面に垂直な方向(ND)が<120>方向であり、そのシュミット因子は0.5に近いから、NDへの変形は非常に容易であり加工硬化も小さい。一方、Cu−Sn−P系合金の一般的な圧延集合組織は{220}を主方位成分とするものであり、この場合、{220}面すなわち{110}面が板面(圧延面)とほぼ平行である結晶の存在割合が多い。主方位面が{110}面である結晶は、NDが<110>方向であり、そのシュミット因子は0.4程度であるから、主方位面が{210}面である結晶と比較してNDへの変形に伴う加工硬化が大きくなる。また、Cu−Sn−P系合金の一般的な再結晶集合組織は{311}を主方位成分とするものである。主方位面が{311}面である結晶は、NDが<113>方向であり、そのシュミット因子は0.45程度であるから、主方位面が{210}面である結晶と比較するとやはりNDへの変形に伴う加工硬化が大きくなる。
「ノッチング後曲げ加工法」においては、板面に垂直な方向(ND)への変形に際しての加工硬化の程度が極めて重要である。ノッチングはまさにNDへの変形であり、ノッチングによって板厚が減少した部分の加工硬化の程度が、その後、ノッチに沿って曲げた場合の曲げ加工性を大きく支配するからである。(1)式を満たすような{420}を主方位成分とする集合組織の場合、従来のCu−Sn−P系合金の圧延集合組織あるいは再結晶集合組織と比べて、ノッチングによる加工硬化が小さくなり、これが「ノッチング後曲げ加工法」における曲げ加工性を顕著に向上させる要因となっていると考えられる。
金属板の曲げ加工においては、各結晶粒の結晶方位は異なるので、一様に変形するのではなく、曲げ加工時に変形しやすい結晶粒と変形しにくい結晶粒が存在する。曲げ加工の程度が増大するに伴って、変形しやすい結晶粒がますます優先的に変形し、板の曲げ部表面には結晶粒間での変形不均一に起因してミクロ的な凹凸が生じ、これがしわに発展し、場合によっては割れ(破壊)に至る。上述のように(1)式を満たすような集合組織を持つ金属板は、従来のものと比べ、各結晶粒がNDに変形しやすく、かつ板面内にも変形しやすくなっている。このことが、結晶粒を特段に微細化しなくても、ノッチング後の曲げ加工性および通常の曲げ加工性の顕著な向上をもたらしているものと推察される。
発明者らの検討によれば、このような結晶配向は下記(1)式によって特定できる。
I{420}/I0{420}>0.8 ……(1)
ここで、I{420}は当該銅合金板材の板面における{420}結晶面のX線回折強度、I0{420}は純銅標準粉末の{420}結晶面のX線回折強度である。面心立方晶のX線回折パターンでは{420}面の反射は生じるが{210}面の反射は生じないので、{210}面の結晶配向は{420}面の反射によって評価される。下記(1)’式を満たすものが一層好ましい。
I{420}/I0{420}≧1.0 ……(1)’
{420}を主方位成分とする集合組織は後述の再結晶焼鈍による再結晶集合組織として形成される。ただし、銅合金板材を高強度化するためには、再結晶焼鈍後に冷間圧延することが必要である。この冷間圧延率が増加するに伴い{220}を主方位成分とする圧延集合組織が発達していく。{220}方位密度の増大に伴い{420}方位密度は減少するが、前記(1)式好ましくは(1)’式が維持されるように圧延率を調整すればよい。ただし、あまり{220}を主方位成分とする集合組織が発達しすぎると加工性低下を招く場合があるので、下記(2)式を満たすことが好ましい。また、「強度」と「曲げ加工性」を高いレベルでバランス良く両立させる意味では、下記(2)’式を満たすことが一層好ましい。
1.0≦I{220}/I0{220}≦3.5 ……(2)
1.5≦I{220}/I0{220}≦3.0 ……(2)’
ここで、I{220}は当該銅合金板材の板面における{220}結晶面のX線回折強度、I0{220}は純銅標準粉末の{220}結晶面のX線回折強度である。
《平均結晶粒径》
前述のように、平均結晶粒径が小さいほど曲げ加工性の向上に有利であるが、小さすぎると耐応力緩和特性が悪くなりやすい。種々検討の結果、最終的に平均結晶粒径が7μm以上の値、好ましくは10μm以上あるいは10μmを超える値であれば、コネクタの用途でも満足できるレベルの耐応力緩和特性を確保しやすく、好適である。ただし、あまり平均結晶粒径が大きくなりすぎると曲げ部表面の肌荒を起こりやすく、曲げ加工性の低下を招く場合があるので、60μm以下の範囲とすることが望ましい。10〜30μmの範囲に調整することがより好ましい。平均結晶粒径のコントロールは後述の再結晶焼鈍条件によって行うことができる。
《合金組成》
本発明ではCu−Sn−P系銅合金(りん青銅)を採用する。Cu−Sn−Pの3元系基本成分にNi、Zn、Si、Fe、その他の合金元素を添加した銅合金も、本明細書では包括的にCu−Sn−P系銅合金(りん青銅)と称している。
Snは、銅合金の0.2%耐力、引張強さ、耐応力緩和特性、耐応力腐食割れ特性を向上させる作用を有する。また、Snめっきした銅合金部品などSnを含有するスクラップ原料を使用する場合にも、合金元素としてSnを含有する成分設計の銅合金であることが有利である。しかし、Sn含有量が増加すると銅合金の導電率が急激に低下し、特に鋳塊のSn偏析が激しくなり製造性が低下する問題があり、また原料コストが高くなる。種々検討の結果、Sn含有量は12質量%以下とする必要があることがわかった。一方、Sn含有量が2質量%より少ないと、強度レベルが低く、また(1)式を満たすような{420}を主方位成分とする集合組織を安定して得ることが難しくなる。したがって、Sn含有量は2〜12質量%に規定され、4〜10質量%の範囲とすることがより好ましい。
Pは、Cu−Sn系合金の溶解時の脱酸と溶湯の流動性を改善する効果がある。また、Pの添加は硬いCu3P化合物を生成・分散させ、強度向上の効果がある。これらの作用を十分に発揮させるには、0.01質量%以上のP含有量を確保することが好ましい。しかし、P量が過剰になると、溶湯の水素ガス吸収が発生しやすく、また逆偏析が発生しやすくなる。更にP量が0.5%までは強度は増加し、それ以上では逆に低下する。従って、P含有量は0.01〜0.5質量%とすることが好ましく、0.03〜0.35質量%の範囲に調整することが一層好ましい。
Niは、Snの母相への固溶を促進し、鋳造中の残留液相中へのSn量の濃化を緩和し、Snの偏析を抑制する効果がある。また、固溶強化作用と耐応力緩和特性の向上作用を有するので、本発明では必要に応じて積極的にNiを含有させることができる。更に、NiはPと化合物を形成し、析出するが、このNi−P系析出物が強度、耐応力緩和性、導電率などの向上に寄与する。その際、0.1質量%以上のNi含有量とすることが効果的である。ただし、Ni含有量が2質量%を超えると導電率が著しく低下してしまう。このため、Niを含有させる場合は2質量%以下の含有量とする必要がある。Ni含有量は0.1〜2質量%とすることがより好ましく、0.2〜1質量%の範囲に調整することが一層好ましい。
Feは、鋳造組織の微細化作用を有し、Snの偏析を抑制する効果がある。これらの作用を十分に発揮させるには、0.01質量%以上のFe含有量を確保することが好ましい。FeもNiと同様に、Pと化合物を形成して析出することにより、強度、耐応力緩和性、導電率などの向上に寄与する。ただし、Fe含有量が1質量%を超えると冷間加工性が低下しやすい。このため、Feを含有させる場合は1質量%以下の含有量とする必要があり、0.5質量%以下とすることがより好ましい。
Znは、溶湯中のSnの酸化を抑制し、また、Zn沸点が低く、溶湯中のZnの蒸気分圧は高くなり、溶湯中の吸収水素を減らすことができる。これらの作用を十分に発揮させるには、0.1質量%以上のZn含有量を確保することが好ましい。ただし、過量なZnを添加すると、酸化物が鋳物に巻き込まれやすくなる。したがって、Zn含有量は0.1〜10質量%とすることがより好ましく、0.5〜5質量%の範囲とすることがより好ましい。
その他の元素として、必要に応じて、Co、Cr、Mg、Al、Si、B、Zr、Ti、Mn、V、Ce、Y等を含有させることができる。例えば、Co、Cr、Mg、Zr、Ti、Mn、Vは、Pと化合物を形成して析出でき(例えば、Co2P、Cr2P、Mn2Pなど)、また、Siとの共同添加により、Siと化合物を形成して析出でき(例えば、CoSi、Cr3Si、MnSiなど)、合金強度をさらに高め、かつ応力緩和を小さくする作用を有する。Cr、Zr、Ti、Mn、Vは不可避的不純物として存在するS、Pbなどと高融点化合物を形成しやすく、またB、Zr、Ti、Ce、Yは鋳造組織の微細化作用を有するので、熱間加工性の改善に寄与しうる。Co、Cr、Mg、Al、Si、B、Zr、Ti、Mn、V、Ce、Yの1種または2種以上を含有させる場合は、各元素の作用を十分に得るためにこれらの総量が0.001質量%以上となるように含有させることがより効果的である。ただし、多量に含有させると熱間加工性や冷間加工性に悪影響を与え、かつコスト的にも不利となる。したがって、これらの元素の総量は3質量%以下の範囲とすることが望ましく、2質量%以下の範囲がより好ましく、1質量%以下の範囲がさらに一層好ましい。Mn含有量は0.06質量%以下とする。
《製造法》
以上のような本発明の銅合金板材は、特別な製造工程が必要なく、製造コストの低い一般的なりん青銅と同様な工程で作ることができる。例えば以下のような製造工程が例示できる。
[1]熱間圧延を経ない工程(例えば横型連続鋳造の場合)
「溶解・鋳造→均質化焼鈍→冷間圧延→再結晶焼鈍→仕上げ冷間圧延→低温焼鈍」
[2]熱間圧延を経る工程(例えば縦型半連続鋳造の場合)
「溶解・鋳造→熱間圧延→冷間圧延→再結晶焼鈍→仕上げ冷間圧延→低温焼鈍」
ただし、後述のように、いくつかの工程での製造条件を工夫しなければ本発明の特異な結晶配向を実現することはできない。なお、上記工程中には記載していないが、鋳塊および熱間圧延前後には必要に応じて面削が行われ、各熱処理後には必要に応じて酸洗、研磨、あるいはさらに脱脂が行われる。以下、各工程について説明する。
〔溶解・鋳造〕
一般的な銅合金の溶製方法に従うことができる。例えば横型連続鋳造、縦型半連続鋳造等により鋳片を製造すればよい。原料を溶解するに際して、雰囲気は大気雰囲気で十分であるが、不活性ガスでシ−ルした方が酸化防止の面から好ましい。ただし、還元ガス雰囲気の場合は高温になると水分の分解による水素の吸収や拡散が生じやすいので、還元ガス雰囲気はあまり適していない。
〔均質化焼鈍〕
熱間圧延などの熱間加工工程を経ない場合は、冷間圧延前に均質化焼鈍を行う。Cu−Sn−P系銅合金は鋳造後にSnおよびPのミクロ的な偏析が発生しやすく、圧延加工性の低下や最終製品の特性バラツキを生じやすいため、溶質の均一化を図る必要がある。ただし、熱間加工工程を経る場合は、その加熱保持と熱間加工によって均質化が図れるので、単なる均質化焼鈍は省略してよい。
均質化焼鈍温度が高ければ高いほど、均質化に必要な時間を短くすることができる。しかしながら、温度が高すぎるとSnの濃化箇所でβやδなどの脆い第二相が生じ易い。したがって、均質化焼鈍は650〜850℃範囲で行うことが望ましい。焼鈍時間は1〜数時間で良好な効果が得られる。
〔熱間圧延〕
縦型半連続鋳造で鋳造した場合など、鋳片の厚みが厚い場合は熱間圧延などの熱間加工により厚さを減じることが有利である。Cu−Sn−P系銅合金の鋳片ではSnおよびPが表面に濃化するいわゆる「逆偏析」が発生しやすく、熱間圧延時に表面割れが生じやすい。そのため、必要に応じて鋳片の表面を面削し、逆偏析層を除去した後、加熱・熱間圧延を行う。この段階の加熱は均質化焼鈍の作用もある。鋳片を熱間圧延する際、再結晶が発生しやすい600℃より高温域で最初の圧延パスを実施することによって、鋳造組織が破壊され、成分と組織の均一化を図ることができる。ただし、850℃を超える高温で圧延を行うと、合金成分の偏析箇所など、融点が低下している箇所で割れを生じる恐れがあるので好ましくない。熱間圧延工程中における完全再結晶の発生を確実に行うためには、850〜600℃の温度域で圧延率60%以上の圧延を行うことが極めて有効である。これによって組織の均一化が一層促進される。ただし、1パスで60%を得るためには大きな圧延荷重が必要であるため、多パスに分けてトータル60%以上の圧延率を確保しても良い。熱間圧延でのトータル圧延率は80以上とすれば望ましい。
〔冷間圧延〕
上記均質化焼鈍板または熱延板を面削して冷間圧延を行う。再結晶焼鈍前に行う冷間圧延では圧延率を80%以上とすることが重要であり、85%以上とすることがより好ましい。このような高い圧延率で加工された材料に対し、次工程で再結晶焼鈍を施すことにより、{420}を主方位成分とする再結晶集合組織の形成が可能になる。特に再結晶集合組織は再結晶前の冷間圧延率に大きく依存する。具体的には、{420}を主方位成分とする結晶配向は、冷間圧延率が50%以下ではほとんど生成せず、約50〜70%の領域では冷間圧延率の増加に伴って漸増し、冷間圧延率が約70%を超えると急激な増加に転じる。{420}方位が十分に優勢な結晶配向を得るには80%以上の冷間圧延率を確保する必要があり、更に85%以上が望ましい。なお、冷間圧延率の上限はミルパワー等により必然的に制約を受けるので、特に規定する必要はないが、エッジ割れなどを防止する観点から概ね98%以下で良好な結果が得られやすい。
なお、本発明では、再結晶焼鈍前に、中間焼鈍を挟んで1回ないし複数回の冷間圧延を実施する工程を採用してもかまわないが、再結晶焼鈍直前の冷間圧延の圧延率を80%以上確保する必要がある。
〔再結晶焼鈍〕
本明細書でいう「再結晶焼鈍」は、仕上げ冷間圧延前に行われる最終の再結晶焼鈍を意味する。従来の再結晶焼鈍は「再結晶化」を主目的とするが、本発明ではさらに「{420}を主方位成分とする再結晶集合組織の形成」をも重要な目的とする。この再結晶焼鈍は、350〜650℃の炉温で行うことが望ましい。温度が低すぎると再結晶が不完全となる。温度が高すぎると結晶粒が粗大化してしまう。これらいずれの場合も、最終的に曲げ加工性の優れた高強度材を得ることが困難となる。
また、この再結晶焼鈍は、再結晶粒の平均粒径(双晶境界を結晶粒界とみなさない)が7〜60μmとなるように350〜650℃域の保持時間および到達温度を設定して熱処理を実施することが望ましく、10〜40μmとなるように調整することが一層好ましい。15〜30μmの範囲になるように管理してもよい。再結晶粒径が微細になりすぎると{420}を主方位成分とする再結晶集合組織が弱くなる。また、耐応力緩和特性を向上させる上でも不利となる。再結晶粒径が粗大になりすぎると曲げ加工部の表面肌荒が発生しやすい。再結晶粒径は、再結晶焼鈍前の冷間圧延率や化学組成によって変動するが、予め実験によりそれぞれの合金について再結晶焼鈍ヒートパターンと平均結晶粒径との関係を求めておくことにより、350〜650℃域の保持時間および到達温度を設定することができる。具体的には、本発明で規定する化学組成の合金では、350〜650℃の温度で数秒〜数時間保持する加熱条件において適正条件を設定できる。
〔仕上げ冷間圧延〕
仕上げ冷間圧延は強度レベルの向上のために必要である。仕上げ冷間圧延率が低すぎると強度が低くなる。ただし、仕上げ冷間圧延率の増大に伴い{220}を主方位成分とする圧延集合組織が発達していく。圧延率が高すぎると{220}方位の圧延集合組織が相対的に優勢となりすぎ、強度と曲げ加工性が高レベルで両立された結晶配向が実現できない。発明者らの詳細な研究の結果、仕上げ冷間圧延は20〜70%の範囲で行うことが望ましい。30〜65%の範囲とすることがより好ましい。それによって、前記(1)式を満たす結晶配向を維持することができる。最終的な板厚としては概ね0.05〜1.0mmが適用され、0.1〜0.6mmとすることが一層好ましい。
〔低温焼鈍〕
仕上げ冷間圧延後には、板条材の残留応力の低減による耐応力腐食割れ特性や曲げ加工性の向上、空孔やすべり面上の転位の低減による耐応力緩和特性向上を目的として、低温焼鈍を施すことができる。特に、Cu−Sn−P系合金の場合、適正な温度範囲内での低温焼鈍により、低温焼鈍硬化の効果が得られる。加熱温度は材温が150〜450℃となるように設定することが望ましい。これにより強度、耐応力腐食割れ特性、曲げ加工性と耐応力緩和特性を同時に向上させることができる。また、導電率を上昇させる効果もある。この加熱温度が高すぎると短時間で軟化し、バッチ式でも連続式でも特性のバラツキが生じやすくなる。逆に加熱温度が低すぎると上記特性の改善効果が十分に得られない。上記温度での保持時間は5秒以上確保することが望ましく、通常1時間以内の範囲で良好な結果が得られる。
《コネクタへの加工》
上述の特異な結晶配向を有する銅合金板材を用いた板状素材(リフローSnめっき等の表面処理を施したものであっても構わない)を被加工材に用いて、例えば連続プレス成形により、コネクタが製造される。プレスとは、一般に上下一対の金型を用い、金型間に被加工材を挟んで成形加工する加工法である。連続プレス成形とは、複数台の独立したプレスを連続して配置しその間に被加工材を搬送する送り装置を配置したタンデムプレスや、複数台のプレスと送り装置を一体化したトランスファプレスを用いて、型抜き、ノッチング、曲げといった複数工程の加工を連続して行い、端子を成形する方法である。
図1に、銅合金板材の条を連続プレス成形することによりコネクタ端子部分を形成した段階の中間製品の形状を模式的に示す。各々のコネクタ端子部分10はまだパイロット部11でつながっている。このコネクタ端子は雌型であり、各端子は箱部21と圧着部22を有している。箱部21は箱曲げ部31の部分で折り曲げられることによって形成され、箱部21の内部にはバネ部32がある。コネクタ端子を連続プレス成形する場合、この図に示されるように、コネクタ端子の長手方向が被加工材である銅合金板材の条の長手方向(LD)に対して直角方向(TD)になるように配置されることが多い(いわゆる「横連鎖方式」)。このほか、コネクタ端子の長手方向がLDに一致するような配置で連続プレス成形を行うこともある(いわゆる「縦連鎖方式」)。
雄型コネクタ端子のタブ部や雌型コネクタ端子の箱部を成形する場合には、その曲げ加工に「ノッチング後曲げ加工法」を適用する。横連鎖方式でコネクタ端子を成形する場合、端子のタブ部や箱部を形成するための曲げ加工に必要なノッチの方向(すなわち溝に対して平行な方向)はTDとなり、被加工材の強度にもよるが、板厚に対して1/7〜1/2の深さのノッチを入れることにより、端子のタブ部や箱部を寸法精度良く成形することができる。
上述の特異な結晶配向に調整された銅合金板材を被加工材として使用すれば、例えば板厚0.08〜0.30mmといった薄い板材を用いて割れを発生させることなくコネクタのタブ部や箱部を成形することが可能であり、従来の銅合金板材では安定して健全な部品に成形できなかったような小型のコネクタを得ることができる。
表1に示す銅合金を溶製し、横型連続鋳造機または縦型半連続鋳造機を用いて鋳造した。工程はそれぞれ以下のとおりである。
[1]横型連続鋳造機で鋳造した場合、得られた鋳片(厚さ13mm)を750℃で3時間均質化焼鈍した後、両表面のSn逆偏析層を面削で除去し(鋳造時の下表面の除去量0.3mm、上表面の除去量0.7mm)、厚さ12mmの板を得た。
[2]縦型半連続鋳造機で鋳造した場合、得られた鋳片(厚さ120mm)を面削した後、800℃で3時間加熱したのち抽出して、熱間圧延を開始し、厚さ13mmまで熱間圧延した。その後、表層の酸化層を機械研磨により除去(面削)し、厚さ12mmの板を得た。
表2、表3中の鋳造方法の欄に[1]の場合を「横型」、[2]の場合を「縦型」と表示してある。
以下は上記[1]、[2]いずれの工程を経由した場合も共通である。すなわち、上記各厚さ12mmの板材に対して、冷間圧延と中間焼鈍(到達温度:500〜650℃の範囲)を施して板厚を減じた後、種々の圧延率で冷間圧延(表2、表3中に「再結晶焼鈍前の冷間圧延」と表示)を行った。その冷間圧延率は表2、表3中の「再結晶焼鈍前」の欄に表示してある。その後、再結晶焼鈍に供した。試料表面に取り付けた熱電対により再結晶焼鈍時の温度変化をモニターした。一部の比較例を除いて、再結晶焼鈍後の平均結晶粒径(双晶境界を結晶粒界とみなさない)が10〜40μmとなるように到達温度を合金組成に応じて350〜650℃の範囲内で調整し、350〜650℃の温度域での保持時間を10秒〜10分の範囲で調整した。続いて、上記再結晶焼鈍後の板材に対して、種々の圧延率で仕上げ冷間圧延を施した。その冷間圧延率は表2、表3中の「仕上げ冷間圧延」の欄に表示してある。次いで200℃の炉中に50分装入する低温焼鈍を施した。このようにして供試材を得た。なお、必要に応じて途中で面削を行い、供試材の板厚は0.2mmに揃えた。主な製造条件を表2、表3中に示す。
また、市販の代表的なばね用りん青銅C5210−H06(あるいはEH)およびC5210−H08(あるいはSH)を入手して供試材に加えた(それぞれNo.34および35)。いずれも板厚は0.2mmである。
各供試材から試料を採取し、結晶粒組織、X線回折強度、導電率、機械的特性(引張強さ、0.2%耐力)、通常の曲げ加工性、ノッチング後の曲げ加工性、応力緩和率、コネクタ端子成形性を以下の方法で調べた。
〔結晶粒組織〕
供試材の板面(圧延面)を研磨したのちエッチングし、その面を光学顕微鏡で観察し、平均結晶粒径をJIS H0501の切断法で測定した。
〔X線回折強度〕
供試材の板面(圧延面)を#1500耐水ペーパーで研磨仕上げとした試料を準備し、X線回折装置(XRD)を用いて、Mo−Kα線、管電圧20kV、管電流2mAの条件で、前記研磨仕上げ面について{420}面および{220}面の反射回折積分強度を測定した。一方、上記と同じX線回折装置を用いて、上記と同じ測定条件で純銅標準粉末の{420}面および{220}面のX線回折強度を測定した。これらの測定値を用いて前記(1)式中に示されるX線回折強度比I{420}/I0{420}と、(2)式中に示されるX線回折強度比I{220}/I0{220}を求めた。
〔導電率〕
JIS H0505に従って各供試材の導電率を測定した。
〔機械的特性〕
各供試材からLDおよびTDの引張試験片(JIS 5号)を採取し、試験数n=3でJIS Z2241に準拠した引張試験行い、n=3の平均値によって引張強さ、0.2耐力、を求めた。
〔通常の曲げ加工性〕
各供試材から長手方向がLDの曲げ試験片およびTDの曲げ試験片(いずれも幅10mm)を採取し、JIS H3110に準拠した90°W曲げ試験を行った。試験後の試験片について曲げ加工部の表面および断面を光学顕微鏡にて100倍の倍率で観察することにより、割れが発生しない最小曲げ半径Rを求め、これを供試材の板厚tで除することによりLD、TDそれぞれのR/t値を求めた。各供試材のLD、TDとも試験数n=3で実施し、n=3のうち最も悪い結果となった試験片の成績を採用してR/t値を表示した。
〔ノッチング後の曲げ加工性〕
各供試材から長手方向がLDの短冊形試料(幅10mm)を採取し、図3に示す断面形状のノッチ形成治具(凸部先端のフラット面の幅0.1mm、両側面角度45°)を用いて、図4に示すように10kNの荷重を付与することにより試料幅いっぱいにノッチを形成した。ノッチの方向(すなわち溝に対して平行な方向)は、試料の長手方向に対して直角方向である。このようにして準備したノッチ付き曲げ試験片のノッチ深さを実測したところ、図5に模式的に示すノッチ深さδは板厚tの1/4〜1/6程度であった。
これらのノッチ付き曲げ試験片について、JIS H3110に準拠した90°W曲げ試験により「ノッチ曲げ試験」を実施した。このとき、下型の中央突起部先端のRを0mmとした治具を用い、前記ノッチ付き曲げ試験片を、ノッチ形成面が下向きになり、前記下型の中央突起部先端がノッチ部分に合致するようにセットして90°W曲げ試験を行った。
試験後の試験片について曲げ加工部の表面および断面を光学顕微鏡にて100倍の倍率で観察することにより、割れの有無を判断し、割れが認められないものを「〇」、割れが認められたものを「×」と表示した。なお、曲げ加工部で破断したものは「破」と表示した。各供試材とも試験数n=3で実施し、n=3のうち最も悪い結果となった試験片の成績を採用して「○」、「×」、「破」の評価を行い、これが○評価のものを合格と判定した。
〔応力緩和率〕
各供試材から長手方向がTDの曲げ試験片(幅10mm)を採取し、試験片の長手方向における中央部の表面応力が0.2%耐力の80%の大きさとなるようにアーチ曲げした状態で固定した。上記表面応力は次式により定まる。
表面応力(MPa)=6Etδ/L0 2
ただし、
E:弾性係数(MPa)
t:試料の厚さ(mm)
δ:試料のたわみ高さ(mm)
この状態の試験片を大気中150℃の温度で1000時間保持した後の曲げ癖から次式を用いて応力緩和率を算出した。
応力緩和率(%)=(L1−L2)/(L1−L0)×100
ただし、
0:治具の長さ、すなわち試験中に固定されている試料端間の水平距離(mm)
1:試験開始時の試料長さ(mm)
2:試験後の試料端間の水平距離(mm)
〔コネクタ端子の成形性〕
各銅合金板材にリフローSnめっき(めっき厚1.0μm,Cu下地層厚さ0.7μm)を施したものから、図1に示す形状の雌型コネクタ端子(口径0.64mm)を連続プレスにて横連鎖方式で作製した。ただし、雌型コネクタ端子の箱曲げ部では、曲げ加工前に図2に示す断面形状で深さ30μmのノッチング(溝付け)を行った後、曲げ加工を実施した。なお、このリフローSnめっき後の銅合金板材については、金属組織(X線回折強度比および平均結晶粒径)がリフローSnめっき前と変わらないことを確認している。
得られた雌型コネクタ端子の箱曲げ部の表面および断面を光学顕微鏡にて100倍の倍率で観察することにより、割れの有無を判断し、割れが認められないものを「〇」、割れが認められたものを「×」と表示した。なお、箱曲げ部で破断したものは「破」と表示した。調査はn=3で実施し、n=3のうち最も悪い結果となったコネクタ端子の成績を採用して「○」、「×」、「破」の評価を行い、これが○評価のものを合格と判定した。
これらの結果を表2、表3に示す。表2、表3中のLDおよびTDは試験片の長手方向がそれぞれLDおよびTDであることを意味する。
Figure 0005156316
Figure 0005156316
Figure 0005156316
表2からわかるように、本発明例のものは鋳造方法(横型連続鋳造または縦型半連続鋳造)によらず、いずれも(1)式および(2)式を満たす結晶配向を有し、通常の曲げ加工性、ノッチング後の曲げ加工性に優れるとともに、耐応力緩和特性およびコネクタ端子成形性にも優れている。導電率10%IACS以上の特性も具備している。LD、TDとも引張強さ650N/mm2以上、0.2%耐力600N/mm2以上という高強度特性を兼ね備えている。
これに対し、表3の比較例No.21〜26は本発明例No.1〜3及びNo.7〜9と同じ組成の合金について、通常の工程で製造したもの(再結晶焼鈍前に、冷間圧延と中間焼鈍での再結晶化を複数回繰り返して、再結晶焼鈍前の冷間圧延率を本発明規定より低くし、かつ再結晶焼鈍後の平均結晶粒径を10μm未満に調整したもの)である。これらはいずれも{420}結晶面のX線回折強度が弱く、強度と曲げ加工性、あるいは曲げ加工性と耐応力緩和特性の間にトレードオフ関係が見られた。そしてこれらは、特に、ノッチング後の曲げ加工性が悪いことがわかる。
比較例No.27〜29はSnまたはPの含有量が規定範囲外であることにより、良好な特性が得られなかった例である。No.27はSnの含有量が低すぎたことにより、仕上げ冷間圧延率を80%以上に高くしても、強度レベルが低い。また{420}を主方位成分とする結晶配向が弱くなり、強度レベルが低かったにもかかわらずノッチング後の曲げ加工性が改善されなかった。No.28はSnの含有量が高すぎたので、冷間圧延途中に激しい割れが発生し、評価できるサンプルを取れなかった。No.29はPの含有量が高すぎたので硬いCu3P相が生成し、熱間圧延途中に割れは発生しないものの、仕上げ圧延後期に激しい割れが発生し、評価できるサンプルを取れなかった。
比較例No.30〜32は再結晶焼鈍条件が規定範囲外であったことにより、良好な特性が得られなかった例である。No.30は再結晶焼鈍温度が750℃と高すぎたので結晶粒が粗大化し、良好な曲げ加工性が得られなかった。また{420}を主方位成分とする結晶配向が弱くなり、ノッチング後の曲げ加工性も劣った。No.31は逆に再結晶焼鈍温度が330℃と低すぎたので再結晶自体が十分進行せずに混粒組織となり、強度が高いものの、曲げ加工性と耐応力緩和特性ともが悪い結果となった。No.32は曲げ加工性の向上を図るべく再結晶焼鈍時の保持温度を調整して平均結晶粒径を2μm程度の微細なものにした例である。この場合、通常の曲げ加工性は悪くないものの、{420}を主方位成分とする結晶配向が弱くなり、ノッチング後の曲げ加工性が劣った。また、結晶粒が微細になったために耐応力緩和特性が悪化してしまった。
比較例No.33は仕上げ冷間圧延率が高すぎたので、{420}を主方位成分とする結晶配向が弱くなり、強度は高いものの曲げ加工性が著しく悪くなった。
比較例No.34、35は市販のばね用りん青銅C5210であり、同系合金のなかでも高強度に調整された質別のものである。これら市販の材料は{420}を主方位成分とする結晶配向が弱く、良好な曲げ加工性を有していない。したがって、コネクタへの成形性に劣る。
銅合金板材の条を連続プレス成形することによりコネクタ端子部分を形成した段階の中間製品の形状を模式的に示す図。 面心立方晶のシュミット因子の分布を表した標準逆極点図。 ノッチ形成治具の断面形状を示した図。 ノッチングの方法を模式的に示した図。 ノッチ付き曲げ試験片のノッチ形成部付近の断面形状を模式的に示した図。
符号の説明
10 コネクタ端子部分
11 パイロット部
21 箱部
22 圧着部
31 箱曲げ部
32 バネ部

Claims (11)

  1. 質量%で、Sn:2〜12%、P:0.01〜0.5%、残部Cuおよび不可避的不純物からなる組成を有し、下記(1)式および(2)式を満たす結晶配向を有し、平均結晶粒径が7〜60μmである銅合金板材。
    I{420}/I0{420}>0.8 ……(1)
    1.0≦I{220}/I 0 {220}≦3.5 ……(2)
    ここで、I{420}は当該銅合金板材の板面における{420}結晶面のX線回折強度、I0{420}は純銅標準粉末の{420}結晶面のX線回折強度であり、I{220}は当該銅合金板材の板面における{220}結晶面のX線回折強度、I 0 {220}は純銅標準粉末の{220}結晶面のX線回折強度である。
  2. さらに、Ni:2%以下、Fe:1%以下、Zn:10%以下、Mn:0.06%以下の1種以上を含有する組成を有する請求項1に記載の銅合金板材。
  3. さらに、Co、Cr、Mg、Al、Si、B、Zr、Ti、V、Ce、Yの1種以上を合計3%以下の範囲で含有する組成を有する請求項1または2に記載の銅合金板材。
  4. 0.2%耐力が600N/mm2以上、引張強さが650N/mm2以上、導電率が10%IACS以上、応力緩和率が20%以下である請求項1〜のいずれかに記載の銅合金板材。
  5. 0.2%耐力が650N/mm2以上、引張強さが700N/mm2以上、導電率が10%IACS以上、応力緩和率が20%以下である請求項1〜のいずれかに記載の銅合金板材。
  6. 鋳片(一方向凝固したものを除く)に均質化焼鈍を施した材料または鋳片(一方向凝固したものを除く)に熱間圧延を施した材料に対し、圧延率80%以上の冷間圧延、350〜650℃での再結晶焼鈍、圧延率20〜70%の仕上げ冷間圧延を順次施す工程を有する請求項1〜のいずれかに記載の銅合金板材の製造法。
  7. 前記鋳片は横型連続鋳造または縦型半連続鋳造により得たものである請求項6に記載の銅合金板材の製造法。
  8. 再結晶焼鈍工程において、再結晶焼鈍後の平均結晶粒径が7〜60μmとなるように、350〜650℃域の保持時間および到達温度を設定して熱処理を実施する請求項6または7に記載の銅合金板材の製造法。
  9. 仕上げ冷間圧延後に、150〜450℃の低温焼鈍を施す請求項6〜8のいずれかに記載の銅合金板材の製造法。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の銅合金板材を用いた板状素材を加工してなるコネクタ。
  11. 請求項1〜のいずれかに記載の銅合金板材を用いた板状素材を加工してなるリードフレーム、リレーまたはスイッチ。
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