JP5260992B2 - 銅合金板材およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、銅合金板材およびその製造方法に関し、特に、コネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチなどの電気電子部品に使用するCu−Mg−P系銅合金板材およびその製造方法に関する。
コネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチなどの電気電子部品に使用される材料には、通電によるジュール熱の発生を抑制するために良好な導電性が要求されるとともに、電気電子機器の組立時や作動時に付与される応力に耐えることができる高い強度が要求される。また、コネクタなどの電気電子部品は、一般に曲げ加工により成形されることから、コネクタなどの電気電子部品に使用される材料には、優れた曲げ加工性も要求される。さらに、コネクタなどの電気電子部品間の接触信頼性を確保するために、コネクタなどの電気電子部品に使用される材料には、接触圧力が時間とともに低下する現象(応力緩和)に対する耐久性、すなわち耐応力緩和特性に優れていることも要求される。
しかし、導電性と強度の間にはトレードオフの関係があるので、従来、このようなコネクタなどの電気電子部品に使用される材料は、用途に応じて導電性または強度が良好で比較的コストの低い板材が適宜選択されて使用されている。このような板材は、一般に、高導電型板材、高強度型板材、中導電中強度型板材に分類することができる。
大電流部品などの導電率に対する要求が高い高導電型板材としては、純銅系板材や微量のAg、Cr、Zr、Fe、Snなどを含有する稀薄銅合金系板材が使用されている。これらの板材は、導電率が80%IACS以上と高いが、強度が400N/mm以下と低い。
一方、コネクタなどの強度に対する要求が高い高強度型板材としては、リン青銅、Cu−Ni−Si系(コルソン合金)、Cu−Ti系(チタン銅)、Cu−Be系(ベリ銅)などの銅合金の板材が使用されている。これらの銅合金板材は、強度が600N/mm以上と高いが、導電率がいずれも60%IACS以下と低い。
また、導電率が60〜80%IACSの中導電中強度型銅合金板材としては、Cu−Fe−P系やCu−Mg−P系などの銅合金の板材があり、強度は400〜500N/mm程度である。
近年、コネクタなどの電気電子部品は、高集積化、小型化および軽量化が進む傾向にあり、それに伴って、素材である銅や銅合金の板材は、通電によるジュ−ル熱の発生を抑えるために、導電率が60%IACS以上であるのが好ましく、また、薄肉化の要求が高まっているために、素材に要求される強度のレベルは一層厳しくなっている。具体的には、導電率が60%IACS以上である場合、引張強さが550N/mm以上、好ましくは600N/mm以上であることが要求されている。
また、コネクタなどの電気電子部品の小型化や形状の複雑化に伴い、銅合金板材の曲げ加工性が良好であることが要求されている。具体的には、銅合金板材から長手方向がLD(圧延方向)になるように切り出した曲げ加工試験片を曲げ軸をTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)にして90°W曲げ試験を行うとともに、長手方向がTDになるように切り出した曲げ加工試験片を曲げ軸をLDにして90°W曲げ試験を行った場合に、LDとTDのいずれも90°W曲げ試験における最小曲げ半径Rと板厚tの比R/tが、1.0以下であるのが好ましい。
また、形状の複雑化に対応するためには、曲げ加工品の形状や寸法精度を向上させることが求められている。そのため、最近では、素材の曲げ加工を施す部位にノッチを付ける加工(ノッチング)を施し、その後、そのノッチに沿って曲げ加工を行う所謂ノッチング後曲げ加工法を適用することが多くなっている。しかし、このノッチング後曲げ加工法は、ノッチングによってノッチ部の近傍が加工硬化されるため、その後の曲げ加工において割れが生じ易くなる。そのため、ノッチング後曲げ加工法は、材料にとって非常に厳しい曲げ加工である。
さらに、コネクタなどの電気電子部品が過酷な環境で使用される場合が多くなるに従って、耐応力緩和特性に対する要求も厳しくなっている。例えば、自動車用コネクタのように高温に曝される環境下で使用される場合には、耐応力緩和特性が特に重要になる。なお、応力緩和とは、コネクタなどの電気電子部品を構成する素材のばね部の接触圧力が、常温では一定の状態に維持されても、比較的高温(例えば100〜200℃)の環境下では時間とともに低下するという、一種のクリープ現象である。すなわち、応力緩和とは、金属材料に応力が付与されている状態において、マトリックスを構成する原子の自己拡散や固溶原子の拡散によって転位が移動して、塑性変形が生じることにより、付与されている応力が緩和される現象である。
また、コネクタ用銅合金材料では、耐食性や耐応力腐食割れ性に優れていることが必要である。具体的には、日本電子材料工業会標準規格EMAS−1011(平成3年12月)に準拠した両端支持式応力緩和試験を行った場合に、応力緩和率が150℃において10%以下、好ましくは5%以下であることが要求されている。
従来、導電率が60〜80%IACSの中導電中強度型銅合金として、Cu−Fe−P系銅合金(例えば、C19400)やCu−Mg−P系銅合金(例えば、C18665)が使用されている(例えば、特許文献1参照)。これらの銅合金、例えば、C19400とC18665の引張強さは、一般的な製法で製造した質別がEHの銅合金でも、それぞれ500N/mmと550N/mm程度であり、コネクタ材としての要求を満足しない場合もある。
また、銅合金板材の強度を向上させるために、仕上げ圧延率の増大(質別増大)が必要であり、それに伴って、圧延方向に対して垂直な方向の曲げ加工性(すなわち、曲げ軸が圧延方向に対して平行な方向である曲げ加工性)が著しく悪化してしまう。そのため、強度レベルが高い銅合金板材でも、コネクタなどの電気電子部品に加工できなくなる場合がある。
また、導電率が60〜80%IACSの中導電中強度型銅合金のうち、Cu−Mg−P系銅合金は、強度の向上に伴う導電率の低下が比較的小さく、耐応力緩和特性に優れている。また、Cu−Mg−P系銅合金は、Cu−Ni−Si系銅合金、Cu−Ti系銅合金、Cu−Be系銅合金などの析出型銅合金のような複雑な熱処理工程が不要であり、コスト的にも有利である。したがって、Cu−Mg−P系銅合金の曲げ加工性を向上させることができれば、導電率、強度、耐応力緩和特性、曲げ加工性およびコストのバランスに優れた銅合金を得ることができる。
特開2004−3036号公報(段落番号0003)
Cu−Mg−P系銅合金は、MgとP化合物の析出を利用しているが、基本的には固溶強化型銅合金であり、強度を向上させるためには、仕上げ圧延率の増大(質別増大)が必要である。しかし、仕上げ圧延率の増大(質別増大)により、圧延方向に平行な方向の曲げ加工性(すなわち、曲げ軸が圧延方向に対して垂直な方向である曲げ加工性)は悪化しないものの、圧延方向に対して垂直な方向の曲げ加工性(すなわち、曲げ軸が圧延方向に対して平行な方向である曲げ加工性)が著しく悪化してしまう。
そのため、Cu−Mg−P系銅合金の曲げ加工性が要求される場合には、引張強さが500N/mm以下の低質別(大体H以下)のCu−Mg−P系銅合金しか使用することができず、強度不足でばね性が低くなり易い。一方、引張強さが550N/mm以上の高質別(大体EH以上)のCu−Mg−P系銅合金は、殆ど曲げ加工をしない平板状に近い部品にしか使用されていない。
銅合金板材の強度を維持しながら曲げ加工性を向上させる一般的な方法としては、Mg、P、Sn、Feなどの元素を多量に添加する方法や、結晶粒微細化などの方法がある。しかし、MgやPなどを多量に添加すると、同等の強度を維持するための仕上げ圧延率を下げて曲げ加工性の低下を抑制することができるが、MgやPなどの含有量の増加により、銅合金板材の導電率が急激に低下し、また、生産性(鋳造性、熱間加工性)が著しく低下する。一方、結晶粒微細化の場合には、結晶粒径が小さい程、単位体積当たりに存在する結晶粒界の面積が大きくなるため、クリープ現象の一種である応力緩和を助長する要因となってしまう。特に、銅合金板材が車載用コネクタなどのように高温環境で使用される場合には、原子の粒界に沿った拡散速度が粒内より著しく速いので、結晶粒微細化による耐応力緩和特性の低下が重大な問題になり易い。
また、銅合金板材においてノッチング後曲げ加工法を適用することは、曲げ加工品の形状や寸法精度を向上させるのに効果的であるが、Cu−Mg−P系銅合金は、一般に圧延方向に平行な方向の曲げ加工性が良好であっても、ノッチング後曲げ加工法のような厳しい曲げ加工を耐えるには十分ではない。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、高導電性および高強度を維持しながら、通常の曲げ加工性だけでなくノッチング後の曲げ加工性にも優れ、且つ耐応力緩和特性に優れた安価な銅合金板材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、0.2〜1.2質量%のMgと0.001〜0.2質量%のPを含み、残部がCuおよび不可避不純物である組成を有する銅合金板材において、銅合金板材の板面における{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とし、純銅標準粉末の{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とすると、I{420}/I{420}>1.0を満たす結晶配向を有するようにすれば、高導電性および高強度を維持しながら、通常の曲げ加工性だけでなくノッチング後の曲げ加工性にも優れ、且つ耐応力緩和特性に優れた安価な銅合金板材を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による銅合金板材は、0.2〜1.2質量%のMgと0.001〜0.2質量%のPを含み、残部がCuおよび不可避不純物である組成を有する銅合金板材において、銅合金板材の板面における{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とし、純銅標準粉末の{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とすると、I{420}/I{420}>1.0を満たす結晶配向を有することを特徴とする。
この銅合金板材において、銅合金板材の板面における{220}結晶面のX線回折強度をI{220}とし、純銅標準粉末の{220}結晶面のX線回折強度をI{220}とすると、1.0≦I{220}/I{220}≦3.5を満たす結晶配向を有するのが好ましい。また、銅合金板材の平均結晶粒径が8〜50μmであるのが好ましい。また、銅合金板材が、1.0質量%以下のFe、1.0質量%以下のNiおよび1.0質量%以下のSnからなる群から選ばれる1種以上の元素をさらに含む組成を有してもよい。さらに、銅合金板材が、Co、Cr、Zn、Si、Al、B、Zr、Ti、MnおよびVからなる群から選ばれる1種以上の元素を合計2質量%以下の範囲でさらに含む組成を有してもよい。また、銅合金板材の導電率が60%IACS以上、引張強さが550MPa以上、応力緩和率が10%以下であり、銅合金板材から長手方向が圧延方向LDになるように切り出した曲げ加工試験片を曲げ軸を圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向TDにして90°W曲げ試験を行うとともに、長手方向がTDになるように切り出した曲げ加工試験片を曲げ軸をLDにして90°W曲げ試験を行った場合に、LDとTDのいずれも90°W曲げ試験における最小曲げ半径Rと板厚tの比R/tが、1.0以下であるのが好ましい。
また、本発明による銅合金板材の製造方法は、0.2〜1.2質量%のMgと0.001〜0.2質量%のPを含み、必要に応じて1.0質量%以下のFeと1.0質量%以下のNiと1.0質量%以下のSnからなる群から選ばれる1種以上の元素を含み、さらに必要に応じてCo、Cr、Zn、Si、Al、B、Zr、Ti、MnおよびVからなる群から選ばれる1種以上の元素を合計2質量%以下の範囲で含み、残部がCuおよび不可避不純物である組成を有する銅合金の原料を溶解して鋳造した後、900℃〜300℃における熱間圧延として900℃〜600℃で最初の圧延パスを行った後に600℃未満〜300℃で圧延率40%以上の圧延を行い、次いで、圧延率85%以上で冷間圧延を行い、その後、400〜700℃における再結晶焼鈍と、圧延率20〜70%の仕上げ冷間圧延を順次行うことにより、銅合金板材を製造することを特徴とする。
この銅合金板材の製造方法において、900℃〜600℃の圧延パスで圧延率60%以上の圧延を行うのが好ましい。また、再結晶焼鈍において、再結晶焼鈍後の平均結晶粒径が8〜50μmになるように、400〜700℃における保持時間および到達温度を設定して、熱処理を行うのが好ましい。さらに、仕上げ冷間圧延後に、150〜450℃で低温焼鈍を行うのが好ましい。
また、本発明によるコネクタ端子は、上記6の銅合金板材を材料として用いたことを特徴とする。
本発明によれば、高導電性および高強度を維持しながら、通常の曲げ加工性だけでなくノッチング後の曲げ加工性にも優れ、且つ耐応力緩和特性に優れた安価な銅合金板材およびその製造方法を提供することができる。
本発明による銅合金板材の実施の形態では、0.2〜1.2質量%のMgと0.001〜0.2質量%のPを含み、必要に応じて1.0質量%以下のFeと1.0質量%以下のNiと1.0質量%以下のSnからなる群から選ばれる1種以上の元素を含み、さらに必要に応じてCo、Cr、Zn、Si、Al、B、Zr、Ti、MnおよびVからなる群から選ばれる1種以上の元素を合計2質量%以下の範囲で含み、残部がCuおよび不可避不純物である組成を有する銅合金板材において、銅合金板材の板面における{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とし、純銅標準粉末の{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とすると、I{420}/I{420}>1.0を満たし、銅合金板材の板面における{220}結晶面のX線回折強度をI{220}とし、純銅標準粉末の{220}結晶面のX線回折強度をI{220}とすると、1.0≦I{220}/I{220}≦3.5を満たす結晶配向を有する。以下、この銅合金板材およびその製造方法について詳細に説明する。
[合金組成]
本発明による銅合金板材の実施の形態は、CuとMgとPを含むCu−Mg−P系銅合金からなる板材、好ましくは、Cu−Mg−Pの3元系銅合金からなる板材であり、必要に応じて、少量のFe、Ni、Sn、その他の元素を含有してもよい。
Mgは、銅合金板材の固溶強化効果が著しく(強度と耐応力緩和特性を向上させる効果が著しく)があり、また、Sなどの微量不純物と作用して、熱間加工性を向上させる効果がある。これらの効果を十分に発揮させるためには、Mg含有量が0.2質量%以上であるのが好ましい。しかし、Mgは酸化し易いため、Mg含有量が1.2質量%を超えると、銅合金板材の鋳造性が低下する可能性があり、また、導電率も低下する。したがって、Mg含有量は、0.2〜1.2質量%であるのが好ましく、0.25〜1.0質量%であるのがさらに好ましく、0.3〜0.8質量%であるのが最も好ましい。
Pは、Mgとの析出物を生成して、銅合金板材の強度と耐応力緩和特性と導電率を同時に向上させる効果を有する。この効果を十分に発揮させるためには、P含有量が0.001質量%以上であるのが好ましい。しかし、P含有量が0.2質量%を超えると、リン化物が粗大化し易いため、銅合金板材の熱間加工性や曲げ加工性が著しく低下する可能性がある。したがって、P含有量は、0.001〜0.2質量%であるのが好ましく、0.005〜0.1質量%であるのがさらに好ましく、0.01〜0.05質量%であるのが最も好ましい。
Feは、銅合金板材の固溶強化効果や、鋳造組織の微細化により熱間加工性を向上させる効果を有する。特に、Feは、MgとPの析出物の粗大化を抑制して、銅合金板材の曲げ加工性を向上させる効果がある。これらの効果を十分に発揮させるためには、Fe含有量が0.01質量%以上であるのが好ましい。しかし、Fe含有量が1.0質量%を超えると、銅合金板材の導電率が著しく低下する。したがって、銅合金板材がFeを含有する場合には、Fe含有量は、0.01〜1.0質量%であるのが好ましく、0.05〜0.5質量%であるのがさらに好ましく、0.1〜0.3質量%であるのが最も好ましい。
Niは、銅合金板材の固溶強化効果と耐応力緩和特性を向上させる効果を有し、特に、Mgとともに添加すると、さらに固溶強化効果がある。これらの効果を十分に発揮させるためには、Ni含有量が0.05質量%以上であるのが好ましい。しかし、Ni含有量が1.0質量%を超えると、銅合金板材の導電率が著しく低下する。したがって、銅合金板材がNiを含有する場合には、Ni含有量は、0.05〜1.0質量%であるのが好ましく、0.1〜0.7質量%であるのがさらに好ましく、0.2〜0.5質量%であるのが最も好ましい。
Snは、銅合金板材の強度や耐応力緩和特性を向上させる効果を有するとともに、同等の強度を維持するための仕上げ圧延率を下げて曲げ加工性の低下を抑制する効果を有する。しかし、Snの含有量が1.0質量%を超えると、銅合金板材の導電率が急激に低下し、また、熱間加工性が低下する可能性もある。したがって、銅合金板材がSnを含有する場合には、Sn含有量は、1.0質量%以下であるのが好ましく、0.05〜0.6質量%であるのがさらに好ましく、0.1〜0.4質量%であるのが最も好ましい。
必要に応じて銅合金板材に添加するその他の元素として、Co、Cr、Zn、Si、Al、B、Zr、Ti、Mn、Vなどがある。例えば、Co、Cr、B、P、Zr、Ti、Mn、Vは、合金強度をさらに高めるとともに、応力緩和を小さくする効果を有する。また、Znは、溶湯流動性(鋳造性)を改善する効果を有し、また、B、P、Zr、Tiは、鋳造組織微細化効果を有し、熱間加工性を向上させる効果を有する。また、銅合金板材がCo、Cr、Zn、Si、Al、B、Zr、Ti、Mn、Vからなる群から選ばれる1種以上の元素を含有する場合には、各元素を添加した効果を十分に得るために、これらの総量が0.01質量%以上であるのが好ましい。しかし、これらの元素の含有量が多過ぎると、熱間加工性または冷間加工性に悪い影響を与え、コスト的にも不利になる。したがって、これらの元素の総量は、2質量%以下であるのが好ましく、1質量%以下であるのがさらに好ましく、0.5質量%以下であるのが最も好ましい。
[集合組織]
Cu−Mg−P系銅合金の板面(圧延面)からのX線回折パターンは、一般に{111}、{200}、{220}、{311}の4つの結晶面の回折ピークで構成されており、他の結晶面からのX線回折強度は、これらの結晶面からのX線回折強度に比べて非常に小さい。また、通常の製造方法によって製造されたCu−Mg−P系銅合金の板材では、{420}面からのX線回折強度は、無視される程度に弱くなるが、本発明による銅合金板材の製造方法の実施の形態によれば、{420}を主方位成分とする集合組織を有するCu−Mg−P系銅合金板材を製造することができる。また、この集合組織が強く発達している程、以下のように、曲げ加工性の向上に有利となることがわかった。
結晶のある方向に外力が加えられたときの塑性変形(すべり)の生じ易さを示す指標としてシュミット因子がある。結晶に加えられる外力の方向とすべり面の法線とのなす角度をφ、結晶に加えられる外力の方向とすべり方向とのなす角度をλとすると、シュミット因子はcosφ・cosλで表され、その値は0.5以下の範囲をとる。シュミット因子が大きい程(すなわち0.5に近い程)、すべり方向へのせん断応力が大きいことを意味する。したがって、ある結晶にある方向から外力を付与したとき、シュミット因子が大きい程(すなわち0.5に近い程)、その結晶は変形し易いことになる。Cu−Mg−P系銅合金の結晶構造は面心立方(fcc)であるが、面心立方晶のすべり系は、すべり面{111}、すべり方向<110>であり、実際の結晶においても、シュミット因子が大きい程、変形し易く加工硬化も小さくなることが知られている。
面心立方晶のシュミット因子の分布を表した標準逆極点図を図1に示す。図1に示すように、<120>方向のシュミット因子は0.490であり、0.5に近い。すなわち、<120>方向に外力が付与されると、面心立方晶は非常に変形し易い。その他の方向のシュミット因子は、<100>方向が0.408、<113>方向が0.445、<110>方向が0.408、<112>方向が0.408、<111>方向が0.272である。
Cu−Mg−P系合金の一般的な圧延集合組織における主方位面が{110}面である結晶の場合、LD(圧延方向)が<112>方向、TD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)が<111>方向であり、そのシュミット因子は、LDが0.408、TDが0.272である。したがって、仕上げ圧延率が高い程、圧延集合組織における主方位面である{110}面の密度が強くなり、強度(特にTDの強度)が高いが、TDの曲げ加工性が著しく悪くなる。
また、{420}を主方位成分とする集合組織は、{420}面、すなわち{210}面が板面(圧延面)とほぼ平行である結晶の存在割合が多い集合組織を意味する。主方位面が{210}面である結晶の場合、板面内、すなわち{210}面内に、別の<120>方向と<100>方向があり、これらは互いに直交する。実際には、LDが<100>方向、TDが<120>方向であり、そのシュミット因子は、LDが0.408、TDが0.490である。
このように、LDおよびTDのシュミット因子を見ると、{420}を主方位成分とする集合組織の場合、{110}を主方位成分とする圧延集合組織と比べて、LDの曲げ加工性がほぼ同等であるが、TDの曲げ加工性が格段に優れている。
また、主方位面が{210}面である結晶では、板面に垂直な方向(ND)が<120>方向であり、そのシュミット因子は0.5に近いので、NDへの変形は非常に容易であり、加工硬化の程度も小さい。一方、Cu−Mg−P系銅合金の一般的な圧延集合組織は、{220}を主方位成分とし、この場合、{220}面、すなわち{110}面が板面(圧延面)とほぼ平行である結晶の存在割合が多い。主方位面が{110}面である結晶は、NDが<110>方向であり、そのシュミット因子は0.4程度であるから、主方位面が{210}面である結晶と比べて、NDへの変形に伴う加工硬化の程度が大きくなる。また、Cu−Mg−P系銅合金の一般的な再結晶集合組織は、{311}を主方位成分とする。主方位面が{311}面である結晶は、NDが<113>方向であり、そのシュミット因子は0.45程度であるので、主方位面が{210}面である結晶と比較すると、NDへの変形に伴う加工硬化の程度が大きくなる。
ノッチング後曲げ加工法においては、NDへの変形における加工硬化の程度が極めて重要である。ノッチングはNDへの変形であり、ノッチングによって板厚が減少した部分の加工硬化の程度が、その後、ノッチに沿って曲げた場合の曲げ加工性を大きく支配するからである。銅合金板材の板面における{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とし、純銅標準粉末の{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とすると、I{420}/I{420}>1.0を満たすような{420}を主方位成分とする集合組織の場合、従来のCu−Mg−P系合金の圧延集合組織または再結晶集合組織と比べて、ノッチングによる加工硬化の程度が小さくなり、これによってノッチング後曲げ加工性を顕著に向上させると考えられる。
金属板の曲げ加工では、各結晶粒の結晶方位は異なるので、一様に変形するのではなく、曲げ加工時に変形し易い結晶粒と変形し難い結晶粒が存在する。曲げ加工の程度が増大するに伴って、変形し易い結晶粒が優先的に変形し、金属板の曲げ部の表面には、結晶粒間における不均一な変形に起因して微小の凹凸が生じ、これがしわに発展して、場合によっては割れ(破壊)に至る。上述のようにI{420}/I{420}>1.0を満たすような集合組織を有する金属板は、従来の集合組織の金属板と比べて、各結晶粒がNDに変形し易く、板面内にも変形し易くなっている。これにより、特に結晶粒を微細化しなくても、ノッチング後の曲げ加工性および通常の曲げ加工性を顕著に向上させることができると考えられる。
このような結晶配向は、銅合金板材の板面における{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とし、純銅標準粉末の{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とすると、I{420}/I{420}>1.0を満たす。面心立方晶のX線回折パターンでは、{420}面の反射は生じるが、{210}面の反射は生じないので、{210}面の結晶配向は、{420}面の反射によって評価される。また、I{420}/I{420}>1.2を満たすのがさらに好ましい。
また、{420}を主方位成分とする集合組織は、再結晶焼鈍による再結晶集合組織として形成される。しかし、銅合金板材を高強度化するためには、再結晶焼鈍後に冷間圧延することが必要である。この冷間圧延率が増加するに伴って、{220}を主方位成分とする圧延集合組織が発達していく。{220}方位密度の増大に伴って、{420}方位密度は減少するが、{420}/I{420}>1.0、好ましくはI{420}/I{420}>1.2を維持するように、冷間圧延率を調整すればよい。しかし、{220}を主方位成分とする集合組織が発達し過ぎると、加工性が低下する場合があるので、銅合金板材の板面における{220}結晶面のX線回折強度をI{220}とし、純銅標準粉末の{220}結晶面のX線回折強度をI{220}とすると、1.0≦I{220}/I{220}≦3.5を満たすのが好ましい。また、強度と曲げ加工性の両方をさらに向上させるためには、1.5≦I{220}/I{220}≦3.0を満たすのが好ましい。
[平均結晶粒径]
上述したように、平均結晶粒径が小さい程、曲げ加工性の向上に有利であるが、平均結晶粒径が小さ過ぎると、耐応力緩和特性が悪くなり易い。平均結晶粒径が8μm以上であれば、銅合金板材をコネクタに使用する場合でも、満足できるレベルの耐応力緩和特性を確保し易い。しかし、平均結晶粒径が大きくなり過ぎて50μmを超えると、曲げ部の表面が肌荒に(粗く)なり易く、曲げ加工性を低下させる場合がある。したがって、平均結晶粒径は、8〜50μmであるのが好ましく、10〜30μmであるのがさらに好ましい。このような平均結晶粒径の制御は、再結晶焼鈍条件の調整によって行うことができる。
[特性]
コネクタなどの電気電子部品の高集積化に伴って、通電によるジュ−ル熱の発生を抑えるために、銅合金板材の導電率が60%IACS以上であることが好ましい。また、コネクタなどの電気電子部品をさらに小型化および薄肉化するためには、素材である銅合金板材の引張強さを550MPa以上にするのが好ましく、600MPa以上にするのがさらに好ましい。さらに、コネクタなどの電気電子部品の設計の自由度を増大させるために、銅合金板材の曲げ加工性を向上させる必要がある。
また、銅合金板材の曲げ加工性の評価として、銅合金板材から長手方向がLD(圧延方向)になるように切り出した曲げ加工試験片を曲げ軸をTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)にして90°W曲げ試験を行うとともに、長手方向がTDになるように切り出した曲げ加工試験片を曲げ軸をLDにして90°W曲げ試験を行った場合に、LDとTDのいずれも90°W曲げ試験における最小曲げ半径Rと板厚tの比R/tが、1.0以下であるのが好ましく、0.5以下であるのがさらに好ましい。また、曲げ加工品の形状や寸法精度を向上させるために、LDのノッチング後の曲げ加工性の評価として、R/tが0であるのが好ましい。
耐応力緩和特性については、銅合金板材を車載用コネクタなどに使用する場合は、TDの耐応力緩和特性が特に重要であるため、長手方向がTDである試験片を用いた応力緩和率により応力緩和特性を評価するのが好ましい。また、銅合金板材の表面の最大負荷応力が0.2%耐力の80%の大きさになるようにして、150℃で1000時間保持した場合に、応力緩和率が10%以下になるのが好ましく、5%以下になるのがさらに好ましい。
また、後述するように、図5に示す形状の雌型コネクタ端子100を連続プレスによって横連鎖方式で作製し、得られた雌型コネクタ端子100の箱曲げ部124の表面および断面を光学顕微鏡によって100倍の倍率で観察し、割れが認められないようなコネクタ端子成形性を有する銅合金板材であるのが好ましい。なお、雌型コネクタ端子100の箱曲げ部124では、曲げ加工前にノッチング(構付け)を行って、図4に示すような略台形の断面形状の深さ30μmのノッチ12’aを形成した後、曲げ加工を行った。
[製造方法]
上述したような銅合金板材は、本発明による銅合金板材の製造方法の実施の形態によって製造することができる。本発明による銅合金板材の製造方法の実施の形態は、上述した組成を有する銅合金の原料を溶解して鋳造する溶解・鋳造工程と、この溶解・鋳造工程の後に、900℃〜600℃で最初の圧延パスを行い、次いで、600℃未満〜300℃で圧延率40%以上の圧延を行う熱間圧延工程と、この熱間圧延工程の後に、圧延率85%以上で冷間圧延を行う冷間圧延工程と、この冷間圧延工程の後に、400〜700℃において再結晶焼鈍を行う再結晶焼鈍工程と、この再結晶焼鈍工程の後に、圧延率20〜70%の仕上げ冷間圧延を行う仕上げ冷間圧延工程と、この仕上げ冷間圧延工程の後に、必要に応じて低温焼鈍を行う低温焼鈍工程とを備えている。以下、これらの工程について詳細に説明する。なお、熱間圧延後には、必要に応じて面削を行い、各熱処理後には、必要に応じて酸洗、研磨、脱脂を行ってもよい。
(溶解・鋳造工程)
一般的な銅合金の溶製方法と同様の方法により、銅合金の原料を溶解した後、連続鋳造や半連続鋳造などにより鋳片を製造する。なお、原料を溶解する際に、Mgの酸化防止のために、不活性ガスでシールするのが好ましい。
(熱間圧延工程)
通常、Cu−Mg−P系銅合金の熱間圧延は、600℃以上または650℃以上の高温域で圧延し、圧延中および圧延パス間の再結晶により、鋳造組織の破壊および材料の軟化のために行われる。しかし、このような一般的な熱間圧延条件では、本発明による銅合金板材の実施の形態のように特異な集合組織を有する銅合金板材を製造することは困難である。すなわち、このような一般的な熱間圧延条件では、後工程の条件を広範囲に変化させても、{420}を主方位方向に有する銅合金板材を製造するのが困難である。そのため、本発明による銅合金板材の製造方法の実施の形態では、熱間圧延工程において、900℃〜600℃の温度域で最初の圧延パスを行い、600℃未満〜300℃の温度域で圧延率40%以上の圧延を行う(所謂熱間圧延と温間圧延の組み合わせを行う)。
鋳片を熱間圧延する際に、再結晶が発生し易い600℃より高温域で最初の圧延パスを行うことによって、鋳造組織を破壊し、成分と組織の均一化を図ることができる。しかし、900℃を超える高温で圧延を行うと、合金成分の偏析部分など、融点が低下している部分で割れを生じるおそれがあるので好ましくない。したがって、熱間圧延工程中における完全再結晶が確実に生じるようにするためには、900℃〜600℃の温度域で圧延率60%以上の圧延を行うのが好ましく、これによって組織の均一化が一層促進される。なお、1パスで圧延率60%を得るためには大きな圧延荷重が必要であるので、多パスに分けてトータル60%以上の圧延率を確保してもよい。また、本発明による銅合金板材の製造方法の実施の形態では、圧延歪が生じ易い600℃未満〜300℃の温度域で40%以上の圧延率を確保する。このようにして、後工程の冷間圧延と再結晶焼鈍の組み合わせによって、{420}を主方位成分とする再結晶集合組織が形成し易くなる。なお、この際も600℃未満〜300℃の温度域で数パスの圧延を行うことができる。熱間圧延の最終パス温度は、500℃以下にするのが好ましく、熱間圧延におけるトータルの圧延率は80〜95%程度にすればよい。
それぞれの温度域における圧延率ε(%)は、熱間圧延前の鋳片の板厚をt、熱間圧延後の鋳片の板厚をtとすると、ε=(t−t)/t×100によって算出される。例えば、900〜600℃の間で行う最初の圧延パスに供する鋳片の板厚が120mmであり、600℃以上の温度域で圧延を行って、600℃以上の温度で行われた最後の圧延パス終了時に板厚が30mmになり、引き続いて圧延を継続して、熱間圧延の最終パスを600℃未満〜300℃の範囲で行い、最終的に板厚10mmの熱間圧延材を得たとする。この場合、900℃〜600℃の温度域で行われた圧延の圧延率は、(120−30)/120×100=75(%)になり、600℃未満〜300℃の温度域における圧延率は、(30−10)/30×100=66.7(%)になる。
(冷間圧延工程)
再結晶焼鈍前に行う冷間圧延工程では、圧延率を85%以上にする必要があり、90%以上にするのが好ましい。このような高い圧延率で加工された材料に対し、次工程で再結晶焼鈍を行うことにより、{420}を主方位成分とする再結晶集合組織を形成することができる。特に、再結晶集合組織は、再結晶前の冷間圧延率に大きく依存する。具体的には、{420}を主方位成分とする結晶配向は、冷間圧延率が60%以下では殆ど生成せず、約60〜80%の領域では冷間圧延率の増加に伴って漸増し、冷間圧延率が約80%を超えると急激な増加に転じる。{420}方位が十分に優勢な結晶配向を得るためには、85%以上の冷間圧延率にする必要があり、90%以上にするのが好ましい。なお、冷間圧延率の上限は、ミルパワーなどにより必然的に制約を受けるので、特に規定する必要はないが、エッジ割れなどを防止する観点から、98%程度以下で良好な結果を得ることができる。
なお、本発明による銅合金板材の製造方法の実施の形態では、通常の銅合金板材の製造方法で行われているように、熱間圧延後で再結晶焼鈍前に中間焼鈍が行われると、再結晶焼鈍によって形成される{420}を主方位成分とする再結晶集合組織が著しく減少してしまうので、熱間圧延と再結晶焼鈍の間に中間焼鈍を行わない。
(再結晶焼鈍工程)
従来の銅合金板材の製造方法では、再結晶焼鈍は再結晶化のために行われるが、本発明による銅合金板材の製造方法の実施の形態では、さらに{420}を主方位成分とする再結晶集合組織を形成するために行われる。この再結晶焼鈍は、400〜700℃で行うのが好ましい。この温度が低過ぎると再結晶が不完全になり、温度が高過ぎると結晶粒の粗大化する。これらのいずれの場合も、最終的に曲げ加工性の優れた高強度材を得ることが困難になる。
また、この再結晶焼鈍は、再結晶粒の平均粒径(双晶境界を結晶粒界とみなさない)が8〜50μmになるように、好ましくは10〜30μmになるように、400〜700℃で保持時間および到達温度を設定して熱処理を行うのが好ましい。再結晶粒の粒径が微細になり過ぎると、{220}を主方位成分とする圧延集合組織が残留し、{420}を主方位成分とする再結晶集合組織が弱くなり、また、耐応力緩和特性が向上し難くなる。一方、再結晶粒の粒径が粗大になり過ぎると、曲げ加工部の表面が粗くなり易い。なお、再結晶粒の粒径は、再結晶焼鈍前の冷間圧延率や化学組成によって変動するが、各々の合金について予め実験により再結晶焼鈍ヒートパターンと平均結晶粒径との関係を求めておけば、400〜700℃で保持時間および到達温度を設定することができる。具体的には、本発明による銅合金板材の化学組成では、400〜700℃で数秒〜数時間保持する加熱条件において適正な条件を設定することができる。
(仕上げ冷間圧延工程)
仕上げ冷間圧延は、強度レベルを向上させるために行われる。仕上げ冷間圧延率が低過ぎると強度が低いが、仕上げ冷間圧延率の増大に伴って{220}を主方位成分とする圧延集合組織が発達していく。一方、仕上げ冷間圧延率が高過ぎると、{220}方位の圧延集合組織が相対的に優勢になり過ぎ、強度と曲げ加工性の両方を向上させた結晶配向を実現することができない。そのため、仕上げ冷間圧延は、20〜70%にするのが好ましく、30〜60%にするのがさらに好ましい。このような仕上げ冷間圧延を行うことによって、I{420}/I{420}>1.0を満たす結晶配向を維持することができる。なお、最終的な板厚は、0.05〜1.0mm程度にするのが好ましく、0.1〜0.8mmにするのがさらに好ましい。
(低温焼鈍工程)
仕上げ冷間圧延後には、銅合金板材の残留応力を低減させ、曲げ加工性を向上させ、空孔やすべり面上の転位の低減による耐応力緩和特性を向上させるために、低温焼鈍を行ってもよい。特に、Cu−Mg−P系銅合金の場合、MgとPの析出硬化の効果を得ることができる150〜450℃の加熱温度で低温焼鈍を行うのが好ましい。この低温焼鈍により、強度、導電率、曲げ加工性および耐応力緩和特性を同時に向上させることができる。この加熱温度が高過ぎると、短時間で軟化し、バッチ式でも連続式でも特性のバラツキが生じ易くなる。一方、加熱温度が低過ぎると、上記の特性を向上させる効果を十分に得ることができない。また、この加熱温度における保持時間は、5秒間以上であるのが好ましく、通常1時間以内で良好な結果を得ることができる。
以下、本発明による銅合金板材およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1〜11]
0.66質量%のMgと0.04質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例1)、0.48質量%のMgと0.06質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例2)、1.04質量%のMgと0.15質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例3)、0.36質量%のMgと0.09質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例4)、0.22質量%のMgと0.08質量%のPと0.21質量%のFeと0.05質量%のZnを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例5)、0.53質量%のMgと0.11質量%のPと0.22質量%のNiと0.04質量%のTiを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例6)、0.42質量%のMgと0.04質量%のPと0.15質量%のCoと0.06質量%のSiを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例7)、0.86質量%のMgと0.10質量%のPと0.006質量%のBを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例8)、0.32質量%のMgと0.007質量%のPと0.26質量%のSnと0.08質量%のCrを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例9)、0.72質量%のMgと0.03質量%のPと0.11質量%のZrと0.07質量%のAlを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例10)、0.39質量%のMgと0.08質量%のPと0.10質量%のVと0.06質量%のMnを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例11)をそれぞれ溶製し、縦型の小型連続鋳造機を用いて鋳造して、それぞれ厚さ50mmの鋳片を得た。
それぞれの鋳片を900℃に加熱した後に抽出し、熱間圧延を開始した。この熱間圧延では、900℃〜600℃の温度域における圧延率が60%以上になり且つ600℃未満の温度域でも圧延が行われるようにパススケジュールを設定した。なお、600℃未満〜300℃における熱間圧延率をそれぞれ48%(実施例1)、50%(実施例2)、40%(実施例3)、52%(実施例4)、42%(実施例5)、52%(実施例6)、45%(実施例7)、45%(実施例8)、52%(実施例9)、46%(実施例10)、45%(実施例11)とし、熱間圧延の最終パス温度は500℃〜300℃の間とした。また、鋳片からのトータルの熱間圧延率は約90%であった。熱間圧延後、表層の酸化層を機械研磨により除去(面削)した。
次いで、それぞれ圧延率92%(実施例1)、90%(実施例2)、86%(実施例3)、94%(実施例4)、87%(実施例5)、88%(実施例6)、86%(実施例7)、90%(実施例8)、94%(実施例9)、91%(実施例10)、86%(実施例11)で冷間圧延を行った後、400〜700℃で再結晶焼鈍を行った。なお、試料表面に取り付けた熱電対により再結晶焼鈍時の温度変化をモニターした。再結晶焼鈍後の平均結晶粒径(双晶境界を結晶粒界とみなさない)が10〜30μmになるように、到達温度を合金組成に応じて400〜700℃の範囲内で調整し、400〜700℃の温度域における保持時間を10秒間〜30分間の範囲で調整した。
次に、再結晶焼鈍後の板材に対して、それぞれ圧延率35%(実施例1)、40%(実施例2)、30%(実施例3)、45%(実施例4)、50%(実施例5)、40%(実施例6)、40%(実施例7)、35%(実施例8)、40%(実施例9)、35%(実施例10)、45%(実施例11)で仕上げ冷間圧延を行い、次いで、300℃の炉中に5分間装入する低温焼鈍を施した。
このようにして実施例1〜11の銅合金板材を得た。なお、必要に応じて途中で面削を行い、銅合金板材の板厚を0.3mmに揃えた。
次に、これらの実施例で得られた銅合金板材から試料を採取し、結晶粒組織の平均結晶粒径、X線回折強度、導電率、引張強さ、応力緩和率、通常の曲げ加工性、ノッチング後の曲げ加工性、コネクタ端子成形性を以下のように調べた。
結晶粒組織の平均結晶粒径は、銅合金板材の板面(圧延面)を研磨した後にエッチングし、その面を光学顕微鏡で観察して、JIS
H0501の切断法により測定した。その結果、平均結晶粒径は、それぞれ16μm(実施例1)、20μm(実施例2)、10μm(実施例3)、22μm(実施例4)、18μm(実施例5)、15μm(実施例6)、12μm(実施例7)、18μm(実施例8)、26μm(実施例9)、14μm(実施例10)、10μm(実施例11)であった。
X線回折強度(X線回折積分強度)の測定は、銅合金板材の板面(圧延面)を#1500耐水ペーパーで研磨仕上げした試料を用意し、X線回折装置(XRD)を用いて、Mo−Kα線、管電圧20kV、管電流2mAの条件で、試料の研磨仕上げ面について{420}面のX線回折強度I{420}と{220}面のX線回折強度I{220}を測定することによって行った。一方、同じX線回折装置を用いて、同じ測定条件で、純銅標準粉末の{420}面のX線回折強度I{420}と{220}面のX線回折強度I{220}も測定した。これらの測定値を用いて、X線回折強度比I{420}/I{420}と、X線回折強度比I{220}/I{220}を求めた。その結果、I{420}/I{420}とI{220}/I{220}は、それぞれ1.6と2.4(実施例1)、1.4と2.7(実施例2)、1.7と2.2(実施例3)、1.3と2.5(実施例4)、1.2と3.1(実施例5)、1.4と2.6(実施例6)、1.5と2.4(実施例7)、1.6と2.1(実施例8)、1.4と2.6(実施例9)、1.4と2.6(実施例10)、1.3と2.9(実施例11)であった。
銅合金板材の導電率は、JIS
H0505の導電率測定方法に従って測定した。その結果、導電率は、それぞれ66.7%IACS(実施例1)、71.2%IACS(実施例2)、63.2%IACS(実施例3)、72.3%IACS(実施例4)、62.6%IACS(実施例5)、64.6%IACS(実施例6)、65.3%IACS(実施例7)、61.7%IACS(実施例8)、63.8%IACS(実施例9)、65.6%IACS(実施例10)、69.4%IACS(実施例11)であった。
銅合金板材の機械的特性としての引張強さとして、銅合金板材のLD(圧延方向)およびTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)の引張試験用の試験片(JIS
Z2201の5号試験片)をそれぞれ3個ずつ採取し、それぞれの試験片についてJIS Z2241に準拠した引張試験を行い、平均値によってLDおよびTDの引張強さを求めた。その結果、LDとTDの引張強さは、それぞれ586MPaと598MPa(実施例1)、573MPaと591MPa(実施例2)、604MPaと626MPa(実施例3)、565MPaと582MPa(実施例4)、574MPaと591MPa(実施例5)、601MPaと615MPa(実施例6)、586MPaと599MPa(実施例7)、611MPaと633MPa(実施例8)、627MPaと643MPa(実施例9)、606MPaと622MPa(実施例10)、617MPaと638MPa(実施例11)であった。
銅合金板材の応力緩和特性を評価するために、銅合金板材から長手方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)の曲げ試験片(幅10mm)を採取し、日本電子材料工業会標準規格EMAS−1011(平成3年12月)に準拠して、試験片の長手方向中央部の表面応力が0.2%耐力の80%の大きさになるようにアーチ曲げした状態で固定した。なお、表面応力は、表面応力(MPa)=6Etδ/L (但し、Eは弾性係数(MPa)、tは試料の厚さ(mm)、δは試料のたわみ高さ(mm))により定められる。この状態の試験片を大気中において150℃で1000時間保持した後の曲げ癖から、応力緩和率(%)=(L−L)/(L−L)×100(但し、Lは治具の長さ、すなわち、試験中に固定されている試料端間の水平距離(mm)、Lは試験開始時の試料長さ(mm)、Lは試験後の試料端間の水平距離(mm))を用いて、応力緩和率を算出した。その結果、応力緩和率は、それぞれ7.2%(実施例1)、7.4%(実施例2)、6.1%(実施例3)、8.2%(実施例4)、8.6%(実施例5)、8.3%(実施例6)、8.5%(実施例7)、8.0%(実施例8)、7.8%(実施例9)、8.1%(実施例10)、8.4%(実施例11)であった。
銅合金板材の通常の曲げ加工性を評価するために、銅合金板材から長手方向がLD(圧延方向)の曲げ試験片と長手方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)の曲げ試験片(いずれも幅10mm)をそれぞれ3個ずつ採取し、それぞれの試験片についてJIS
H3110に準拠した90°W曲げ試験を行った。この試験後の試験片について、曲げ加工部の表面および断面を光学顕微鏡によって100倍の倍率で観察して、割れが発生しない最小曲げ半径Rを求め、この最小曲げ半径Rを銅合金板材の板厚tで除することによって、LDとTDのそれぞれのR/t値を求めた。LDおよびTDのそれぞれ3個の試験片のうち、それぞれ最も悪い結果の試験片の結果を採用してR/t値とした。その結果、LDとTDのR/tは、それぞれ0.0と0.3(実施例1、4)、0.0と0.0(実施例2、7)、0.0と0.8(実施例3、9)、0.0と0.6(実施例5、8)、0.0と0.5(実施例6、10、11)であった。
銅合金板材のノッチング後の曲げ加工性を評価するために、銅合金板材から長手方向がLD(圧延方向)の短冊形試料(幅10mm)を採取し、図2および図3に示すように略台形の断面形状の凸部が上面に形成されたノッチ形成治具(凸部先端のフラット面の幅0.1mm、両側面角度45°)10を用いて、図3に示すように矢印A方向に10kNの荷重を付与することにより、試料12の全幅にわたって延びるノッチを形成した。なお、ノッチの方向(すなわち溝に対して平行な方向)は、試料の長手方向(矢印B方向)に対して垂直な方向であった。このようにして用意した3個のノッチ付き曲げ試験片12’のそれぞれのノッチ12’aの深さを実測したところ、図4に模式的に示すノッチ12’aの深さδは、板厚tの1/4〜1/6程度であった。これらの3個のノッチ付き曲げ試験片12’について、それぞれJIS
H3110に準拠した90°W曲げ試験を行った。この90°W曲げ試験は、下型の中央突起部先端のRを0mmとした治具を用いて、ノッチ付き曲げ試験片12’を、ノッチ形成面が下向きになり、下型の中央突起部先端がノッチ部分に合致するようにセットして行った。この試験後の3個の試験片について、それぞれ曲げ加工部の表面および断面を光学顕微鏡によって100倍の倍率で観察して、割れの有無を判断することによって、最も悪い試験片の結果を採用して、銅合金板材のノッチング後の曲げ加工性を評価した。その結果、いずれの実施例でも、ノッチング後の曲げ加工部の表面および断面に割れが認められず、ノッチング後の曲げ加工性は良好であった。
銅合金板材のコネクタ端子成形性を評価するために、銅合金板材から図5に示す形状の雌型コネクタ端子(口径1.5mm)100を連続プレスによって横連鎖方式で作製した。但し、雌型コネクタ端子100の箱曲げ部124では、曲げ加工前にノッチング(溝付け)を行って図4に示すような略台形の断面形状で深さ30μmのノッチを形成した後、曲げ加工を行った。なお、図5において、参照符号110はパイロット部、120は箱部、122は圧着部、126はバネ部を示している。得られた雌型コネクタ端子100の箱曲げ部124の表面および断面を光学顕微鏡によって100倍の倍率で観察し、割れの有無を判断することによって、最も悪いコネクタ端子の結果を採用して、銅合金板材のコネクタ端子成形性を評価した。その結果、いずれの実施例でも、雌型コネクタ端子100の箱曲げ部124の表面および断面に割れが認められず、コネクタ端子成形性は良好であった。
[比較例1〜5]
それぞれ実施例1〜5と同じ組成の銅合金を使用し、600℃未満〜300℃における熱間圧延率をそれぞれ20%(比較例1)、0%(比較例2)、20%(比較例3)、25%(比較例4)、25%(比較例5)とし、再結晶焼鈍前の冷間圧延率をそれぞれ90%(比較例1、2、4、5)、65%(比較例3)とし、仕上げ冷間圧延率をそれぞれ35%(比較例1)、40%(比較例2)、30%(比較例3)、45%(比較例4)、50%(比較例5)とした以外は、実施例1〜11とほぼ同様の方法により、銅合金板材を得た。なお、比較例1、2、4および5では、通常の銅合金板材の製造方法として、熱間圧延後と再結晶焼鈍前の冷間圧延において、板厚が50%減少した時点で450℃で3時間中間焼鈍を施した。さらに、比較例2では、熱間圧延最終パス温度が600℃以上であった。
それぞれの比較例で得られた銅合金板材から試料を採取し、結晶粒組織の平均結晶粒径、X線回折強度、導電率、引張強さ、応力緩和率、通常の曲げ加工性、ノッチング後の曲げ加工性、コネクタ端子成形性について、実施例1〜11と同様の方法により調べた。
その結果、平均結晶粒径は、それぞれ5μm(比較例1)、6μm(比較例2)、4μm(比較例3)、5μm(比較例4)、5μm(比較例5)であった。また、X線回折強度比I{420}/I{420}とI{220}/I{220}は、それぞれ0.5と3.7(比較例1)、0.4と3.8(比較例2)、0.2と3.4(比較例3)、0.3と4.1(比較例4)、0.5と4.0(比較例5)であった。また、導電率は、それぞれ67.9%IACS(比較例1)、72.6%IACS(比較例2)、64.0%IACS(比較例3)、73.5%IACS(比較例4)、62.8%IACS(比較例5)であった。また、LDとTDの引張強さは、それぞれ577MPaと603MPa(比較例1)、546MPaと597MPa(比較例2)、595MPaと656MPa(比較例3)、547MPaと601MPa(比較例4)、571MPaと623MPa(比較例5)であった。さらに、応力緩和率は、それぞれ12.6%(比較例1)、12.5%(比較例2)、9.8%(比較例3)、13.2%(比較例4)、14.8%(比較例5)であった。また、通常の曲げ加工性の評価として、LDとTDのR/tは、それぞれ0.0と2.0(比較例1)、0.0と2.5(比較例2)、1.0と3.0(比較例3)、0.5と2.0(比較例4)、0.5と2.0(比較例5)であった。また、比較例1、2、4および5では、ノッチング後の曲げ加工部の表面および断面に割れが認められ、比較例3では、曲げ加工部で破断した。さらに、比較例1、2、4および5では、雌型コネクタ端子の箱曲げ部の表面および断面に割れが認められ、比較例3では、箱曲げ部で破断した。
[比較例6]
溶製した銅合金を0.13質量%のMgと0.04質量%のPと0.08質量%のFeを含み、残部がCuからなる銅合金とし、600℃未満〜300℃における熱間圧延率を48%、再結晶焼鈍前の冷間圧延率を86%、仕上げ冷間圧延率を90%とした以外は、実施例1〜11と同様の方法により、銅合金板材を得た。
得られた銅合金板材から試料を採取し、結晶粒組織の平均結晶粒径、X線回折強度、導電率、引張強さ、応力緩和率、通常の曲げ加工性、ノッチング後の曲げ加工性、コネクタ端子成形性について、実施例1〜11と同様の方法により調べた。
その結果、平均結晶粒径は14μmであり、X線回折強度比I{420}/I{420}は0.5、I{220}/I{220}は4.7であった。また、導電率は83.4%IACSであり、LDおよびTDの引張強さは、それぞれ478MPaおよび546MPaであった。また、応力緩和率は12.4%であり、通常の曲げ加工性の評価として、LDのR/tは0.5、TDのR/tは2.5であった。さらに、ノッチング後の曲げ加工部の表面および断面に割れが認められ、また、雌型コネクタ端子の箱曲げ部の表面および断面に割れが認められた。
[比較例7]
溶製した銅合金を1.64質量%のMgと0.12質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金とした以外は、実施例1〜11と同様の方法により、銅合金板材を得た。この比較例では、Mg含有量が多過ぎたので、熱間圧延途中で割れの発生が激しくて、評価できるサンプルを取ることができなかった。
[比較例8]
溶製した銅合金を0.65質量%のMgと0.44質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金とし、600℃未満〜300℃における熱間圧延率を45%、再結晶焼鈍前の冷間圧延率を90%、仕上げ冷間圧延率を45%とした以外は、実施例1〜11と同様の方法により、銅合金板材を得た。
得られた銅合金板材から試料を採取し、結晶粒組織の平均結晶粒径、X線回折強度、導電率、引張強さ、応力緩和率、通常の曲げ加工性、ノッチング後の曲げ加工性、コネクタ端子成形性について、実施例1〜11と同様の方法により調べた。
その結果、平均結晶粒径は12μmであり、X線回折強度比I{420}/I{420}は1.2、I{220}/I{220}は3.1であった。また、導電率は78.6%IACSであり、LDおよびTDの引張強さは、それぞれ524MPaおよび556MPaであった。また、応力緩和率は22.5%であり、通常の曲げ加工性の評価として、LDのR/tは1.5、TDのR/tは3.0であった。さらに、ノッチング後の曲げ加工部で破断し、また、雌型コネクタ端子の箱曲げ部で破断した。
[比較例9〜13]
溶製した銅合金を0.66質量%のMgと0.04質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金とし、600℃未満〜300℃における熱間圧延率をいずれも48%とし、再結晶焼鈍前の冷間圧延率をいずれも92%、仕上げ冷間圧延率をそれぞれ35%(比較例9〜11)、85%(比較例12)、10%(比較例13)とした以外は、実施例1〜11とほぼ同様の方法により、銅合金板材を得た。なお、比較例9では、再結晶焼鈍温度を770℃と実施例1〜11よりも高い温度で行い、比較例10では、再結晶焼鈍温度を350℃と実施例1〜11よりも低い温度で行い、比較例11では、平均結晶粒径が3μm程度の微細な結晶粒になるように再結晶焼鈍時の保持時間を調整した。
それぞれの比較例で得られた銅合金板材から試料を採取し、結晶粒組織の平均結晶粒径、X線回折強度、導電率、引張強さ、応力緩和率、通常の曲げ加工性、ノッチング後の曲げ加工性、コネクタ端子成形性について、実施例1〜11と同様の方法により調べた。
その結果、平均結晶粒径は、それぞれ82μm(比較例9)、混粒(比較例10)、3μm(比較例11)、16μm(比較例12)、16μm(比較例13)であった。また、X線回折強度比I{420}/I{420}とI{220}/I{220}は、それぞれ0.8と3.2(比較例9)、0.3と5.5(比較例10)、0.5と4.6(比較例11)、0.6と4.2(比較例12)、2.3と1.5(比較例13)であった。また、導電率は、それぞれ64.9%IACS(比較例9)、61.5%IACS(比較例10)、62.6%IACS(比較例11)、62.1%IACS(比較例12)、67.9%IACS(比較例13)であった。また、LDとTDの引張強さは、それぞれ571MPaと694MPa(比較例9)、613MPaと678MPa(比較例10)、596MPaと655MPa(比較例11)、664MPaと718MPa(比較例12)、445MPaと436MPa(比較例13)であった。さらに、応力緩和率は、それぞれ5.8%(比較例9)、25.4%(比較例10)、18.4%(比較例11)、9.9%(比較例12)、8.1%(比較例13)であった。また、通常の曲げ加工性の評価として、LDとTDのR/tは、それぞれ0.5と2.5(比較例9)、2.0と4.0(比較例10)、1.5と3.0(比較例11)、1.0と3.0(比較例12)、0.0と0.0(比較例13)であった。また、比較例13では、ノッチング後の曲げ加工部の表面および断面に割れが認められなかったが、比較例9および12では、ノッチング後の曲げ加工部の表面および断面に割れが認められ、比較例10および11では、曲げ加工部で破断した。さらに、比較例13では、雌型コネクタ端子の箱曲げ部の表面および断面に割れが認められなかったが、比較例9および12では、雌型コネクタ端子の箱曲げ部の表面および断面に割れが認められ、比較例10および11では、箱曲げ部で破断した。
[比較例14、15]
比較例14および15として市販の代表的なCu−Mg−P系銅合金(それぞれC18665−HおよびC18665−EH、板厚0.3mm)の板材を用意し、これらの銅合金板材から試料を採取し、結晶粒組織の平均結晶粒径、X線回折強度、導電率、引張強さ、応力緩和率、通常の曲げ加工性、ノッチング後の曲げ加工性、コネクタ端子成形性について、実施例1〜11と同様の方法により調べた。
その結果、平均結晶粒径は、それぞれ4μm(比較例14)、4μm(比較例15)であった。また、X線回折強度比I{420}/I{420}とI{220}/I{220}は、それぞれ0.6と3.7(比較例14)、0.5と4.1(比較例15)であった。また、導電率は、それぞれ62.6%IACS(比較例14)、61.8%IACS(比較例15)であった。また、LDとTDの引張強さは、それぞれ514MPaと545MPa(比較例14)、586MPaと643MPa(比較例15)であった。さらに、応力緩和率は、それぞれ13.4%(比較例14)、11.6%(比較例15)であった。また、通常の曲げ加工性の評価として、LDとTDのR/tは、それぞれ0.0と0.5(比較例14)、0.5と2.5(比較例15)であった。さらに、ノッチング後の曲げ加工部の表面および断面に割れが認められ、また、雌型コネクタ端子の箱曲げ部の表面および断面に割れが認められた。
これらの実施例および比較例の組成および製造条件をそれぞれ表1および表2に示し、組織および特性についての結果をそれぞれ表3および表4に示す。
Figure 0005260992
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なお、表4の銅合金板材のノッチング後の曲げ加工性を評価の欄では、ノッチング後の曲げ加工部の表面および断面に割れが認められないものを「〇」、割れが認められたものを「×」、曲げ加工部で破断したものを「破」と表示し、それぞれ3個の試験片のうち、最も悪い試験片の結果を採用して、「○」、「×」、「破」の評価を行い、○評価のものを合格と判定した。また、表4の銅合金板材のコネクタ端子成形性を評価の欄では、雌型コネクタ端子の箱曲げ部の表面および断面に割れが認められないものを「〇」、割れが認められたものを「×」、箱曲げ部で破断したものを「破」と表示し、それぞれ3個のコネクタ端子のうち、最も悪いコネクタ端子の結果を採用して、「○」、「×」、「破」の評価を行い、○評価のものを合格と判定した。
表3および表4からわかるように、実施例1〜11の銅合金板材ではいずれも、I{420}/I{420}>1.0を満たす結晶配向を有し、導電率が60%IACS以上であり、引張強さが550MPa以上という高強度であるとともに、LDおよびTDのR/t値がいずれも1.0以下という優れた曲げ加工性を有する。また、実用的に重要なLDのノッチング後の曲げ加工性について、90°W曲げ試験においてR/t=0で厳しい曲げを行ったにもかかわらず、割れが生じなかった。また、車載用コネクタなどの用途において重要になるTDの応力緩和率が10%以下という優れた特性を有する。さらに、箱曲げ部を有するコネクタ端子成形性も優れている。
これに対し、比較例1〜5では、実施例1〜5と同じ組成の合金について、通常の製造方法により製造(比較例1、2、4および5では熱間圧延後で再結晶焼鈍前に中間焼鈍工程を入れ、さらに、比較例2では熱間圧延最終パス温度を600℃以上として製造)したり、再結晶焼鈍後の平均結晶粒径が8μmより小さくなるようにしている。これらの比較例ではいずれも、{420}結晶面のX線回折強度が弱く、強度と曲げ加工性の間や、曲げ加工性と耐応力緩和特性の間にトレードオフ関係が見られた。また、これらの比較例ではいずれも、ノッチング後の曲げ加工性が悪かった。
比較例6〜8は、それぞれMg含有量が少な過ぎる例および多過ぎる例と、P含有量が多過ぎる例である。比較例6では、Mg含有量が少な過ぎたことにより、仕上げ冷間圧延率を90%以上に高くしても、強度レベルが低かった。また、{420}を主方位成分とする結晶配向が弱くなり、強度レベルが低かったにもかかわらず、ノッチング後の曲げ加工性を向上させることができなかった。比較例7では、Mg含有量が多過ぎたので、熱間圧延途中で割れの発生が激しくて、評価できるサンプルを取れなかった。比較例8では、P含有量が多過ぎたことにより、MgとPの析出物の粗大化により、導電率が高いものの、強度と曲げ加工性がいずれも悪くなった。
比較例9では、再結晶焼鈍温度が770℃と高過ぎたので、結晶粒が粗大化し、良好な曲げ加工性が得られなかった。また、{420}を主方位成分とする結晶配向が弱くなり、ノッチング後の曲げ加工性も劣っていた。比較例10では、再結晶焼鈍温度が350℃と低過ぎたので、再結晶自体が十分に進行せずに混粒組織になり、曲げ加工性と耐応力緩和特性が悪い結果となった。比較例11では、曲げ加工性の向上を図るために再結晶焼鈍時の保持温度を調整して平均結晶粒径を3μm程度の微細にしたが、通常の曲げ加工性は悪くないものの、{420}を主方位成分とする結晶配向が弱くなり、ノッチング後の曲げ加工性が劣っていた。また、結晶粒が微細になったために、耐応力緩和特性が悪化していた。
比較例12では、仕上げ冷間圧延率が高過ぎたので、{420}を主方位成分とする結晶配向が弱くなり、強度は高いものの、曲げ加工性が著しく悪くなった。比較例13では、仕上げ冷間圧延率が低かったので、良好な特性が得られなかった。
また、実施例1の銅合金板材は、市販のCu−Mg−P系銅合金板材と比べて、同等以上の引張強さと導電率を有し、曲げ加工性と耐応力緩和特性などが向上していることがわかる。
面心立方晶のシュミット因子の分布を表した標準逆極点図である。 ノッチ形成治具の断面形状を模式的に示す図である。 ノッチングの方法を説明する図である。 ノッチ付き曲げ試験片のノッチ形成部付近の断面形状を模式的に示す図である。 銅合金板材の条を連続プレス成形することによってコネクタ端子部分を形成した段階の中間製品の形状を模式的に示す図である。
符号の説明
10 ノッチ形成治具
12 試料
12’ ノッチ付き曲げ試験片
12’a ノッチ
100 コネクタ端子
110 パイロット部
120 箱部
122 圧着部
124 箱曲げ部
126 バネ部

Claims (8)

  1. 0.2〜1.2質量%のMgと0.001〜0.2質量%のPを含み、残部がCuおよび不可避不純物である組成を有するとともに平均結晶粒径が8〜50μmである銅合金板材において、銅合金板材の板面における{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とし、純銅標準粉末の{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とすると、I{420}/I{420}>1.0を満たし、且つ銅合金板材の板面における{220}結晶面のX線回折強度をI{220}とし、純銅標準粉末の{220}結晶面のX線回折強度をI {220}とすると、1.0≦I{220}/I {220}≦3.5を満たす結晶配向を有することを特徴とする、銅合金板材。
  2. 前記銅合金板材が、1.0質量%以下のFe、1.0質量%以下のNiおよび1.0質量%以下のSnからなる群から選ばれる1種以上の元素をさらに含む組成を有することを特徴とする、請求項に記載の銅合金板材。
  3. 前記銅合金板材が、Co、Cr、Zn、Si、Al、B、Zr、Ti、MnおよびVからなる群から選ばれる1種以上の元素を合計2質量%以下の範囲でさらに含む組成を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の銅合金板材。
  4. 前記銅合金板材の導電率が60%IACS以上、引張強さが550MPa以上、応力緩和率が10%以下であり、前記銅合金板材から長手方向が圧延方向LDになるように切り出した曲げ加工試験片を曲げ軸を圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向TDにして90°W曲げ試験を行うとともに、長手方向がTDになるように切り出した曲げ加工試験片を曲げ軸をLDにして90°W曲げ試験を行った場合に、LDとTDのいずれも90°W曲げ試験における最小曲げ半径Rと板厚tの比R/tが、1.0以下であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の銅合金板材。
  5. 0.2〜1.2質量%のMgと0.001〜0.2質量%のPを含み、必要に応じて1.0質量%以下のFeと1.0質量%以下のNiと1.0質量%以下のSnからなる群から選ばれる1種以上の元素を含み、さらに必要に応じてCo、Cr、Zn、Si、Al、B、Zr、Ti、MnおよびVからなる群から選ばれる1種以上の元素を合計2質量%以下の範囲で含み、残部がCuおよび不可避不純物である組成を有する銅合金の原料を溶解して鋳造した後、900℃〜300℃における熱間圧延として900℃〜600℃で最初の圧延パスを行った後に600℃未満〜300℃で圧延率40%以上の圧延を行い、次いで、圧延率85%以上で冷間圧延を行い、その後、平均結晶粒径が8〜50μmになるように400〜700℃における保持時間および到達温度を設定して熱処理を行う再結晶焼鈍と、圧延率20〜70%の仕上げ冷間圧延を順次行うことにより、銅合金板材を製造することを特徴とする、銅合金板材の製造方法。
  6. 前記900℃〜600℃の圧延パスで圧延率60%以上の圧延を行うことを特徴とする、請求項に記載の銅合金板材の製造方法。
  7. 前記仕上げ冷間圧延後に、150〜450℃で低温焼鈍を行うことを特徴とする、請求項5または6に記載の銅合金板材の製造方法。
  8. 請求項1乃至のいずれかに記載の銅合金板材を材料として用いたことを特徴とする、コネクタ端子。
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