JP6230341B2 - 応力緩和特性に優れる銅合金板 - Google Patents
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Description
導電率が高く比較的高い強度と良好な応力緩和特性を有する実用材料として、例えばC15100(0.1質量%Zr−残Cu)、C15150(0.02質量%Zr−残Cu)等の合金が、CDA(Copper Development Association)に登録されている。
非溶体化性析出物には、直径が数μmを超える大きなものが多く、その組成は、Zr−C、Zr−S、Zr−O等であった。非溶体化性析出物は、インゴット鋳造の際の冷却過程、熱間圧延前のインゴットの加熱中等、合金製造の初期において生成した。また、熱的に安定なため、一旦生成すると分解することなく製品まで残留した。
熱間圧延後のCu−Zr合金板は冷間圧延と熱処理を繰り返し製品に加工され、応力緩和特性に有効なCu5Zr粒子は、比較的低温の熱処理を行うことで析出する。
非溶体化性析出物は、合金が含有するZrの一部を消費することにより、熱処理時のCu5Zrの析出量を減少させると考えられる。また、一般的に析出物は既に存在する異相上に核生成しやいため、非溶体化性析出物はCu5Zrの析出サイトとして作用し、これによりCu5Zrの微細分散を阻害すると考えられる。このように、非溶体化性析出物は、Cu5Zr析出物の量および形態の双方に影響し、応力緩和特性を劣化させると推察された。
また、この銅合金板は、Ti、Ag、Fe、Co、Ni、Cr、Mn、Zn、Mg、Si、P、SnおよびBのうちの一種以上を合計で0.1質量%以下含有してもよい。
さらに、上述の何れかの銅合金板において、300MPa以上の引張強さおよび80%IACS以上の導電率を有することが好ましい。
また、上述の何れかの銅合金板において、150℃で1000時間保持後の応力緩和率が20%以下であることが好ましい。
別の一側面から、本発明は、上述した何れかの銅合金板を用いた大電流用電子部品を提供する。
さらに、別の一側面から、本発明は、上述した何れかの銅合金板を用いた放熱用電子部品を提供する。
(目標特性)
本発明の実施の形態に係る銅合金板は、80%IACS以上の導電率を有し、且つ300MPa以上の引張強さを有する。導電率が80%IACS以上であれば、通電時の発熱が抑制され、また、電気および熱の伝導が促進される。また、引張強さが300MPa以上であれば、大電流を通電する部品の素材又は大熱量を放散する部品の素材として必要な強度を有しているといえる。
本発明の実施の形態に係る銅合金板は、Zrを0.005〜0.05質量%、より好ましくは0.015〜0.03質量%含有する。Zrが0.005質量%未満になると、300MPa以上の引張強さおよび20%以下の応力緩和率を得ることが難しくなる。Zrが0.05質量%を超えると、80%IACS以上の導電率を得ることが難しくなり、また熱間圧延割れ等により合金の製造が困難になる。
非溶体化性析出物は、次の手順により観察できる。
(1)Cu−Zr系合金板を950℃で30分間加熱後、直ちに水冷する。
(2)圧延面を電解研磨し、銅母地を溶解し、析出物を表面に露呈させる。
(3)走査電子顕微鏡を用い、析出物の寸法と個数を計測する。
本発明者らの実験的検討によれば、非溶体化性析出物の計測対象を直径2μm以上の粒子とした場合に、応力緩和特性との間に良好な相関が得られた。なおここでいう直径とは、粒子を含む最小円の直径である。
直径2μm以上の粒子個数を1000個/mm2以下に制御することにより、応力緩和率が低減する。より好ましい個数は500個/mm2以下、さらに好ましい個数は200個/mm2以下である。
また、非溶体化性析出物は生成時に集合して分布することが多く、これが圧延で伸ばされると製品の表面傷となることがある。このような表面傷は、外観が求められる用途においては、不良として扱われる。この点からも、非溶体化性析出物はより少ないことが求められる。
製品の厚みは0.1〜3.0mmであることが好ましい。厚みが薄すぎると、通電部断面積が小さくなり通電時の発熱が増加するため大電流を流すコネクタ等の素材として不適であり、また、わずかな外力で変形するようになるため放熱板等の素材としても不適である。一方で、厚みが厚すぎると、曲げ加工が困難になる。このような観点から、より好ましい厚みは0.2〜1.5mmである。厚みが上記範囲となることにより、通電時の発熱を抑えつつ、曲げ加工性を良好なものとすることができる。
本発明の実施の形態に係る銅合金板は、電機・電子機器、自動車等で用いられる端子、コネクタ、リレー、スイッチ、ソケット、バスバー、リードフレーム、放熱板等の電子部品の用途に好適に使用することができ、特に、電気自動車、ハイブリッド自動車等で用いられる大電流用コネクタや端子等の大電流用電子部品の用途、又はスマートフォンやタブレットPCで用いられる液晶フレーム等の放熱用電子部品の用途に有用である。
純銅原料として電気銅等を溶解し、Zrおよび必要に応じて他の合金元素を添加し、厚み20〜300mm程度のインゴットに鋳造する。次に、このインゴットを例えば800〜1000℃の熱間圧延により厚み3〜30mm程度の板とした後、冷間圧延と再結晶焼鈍とを繰り返し、最終の冷間圧延で所定の製品厚みに仕上げ、最後に歪取り焼鈍を施す。
再結晶焼鈍では、圧延組織の一部または全てを再結晶化させる。また、適当な条件で焼鈍することにより、Zrが析出し、合金の導電率が上昇する。最終冷間圧延前の再結晶焼鈍(最終再結晶焼鈍)では、銅合金板の平均結晶粒径を50μm以下に調整する。平均結晶粒径が大きすぎると、製品の引張強さを300MPa以上に調整することが難しくなる。
黒鉛るつぼ中で電気銅を溶解し、Zrおよび必要に応じ他の合金元素を添加した。その後、溶湯を1200℃または1300℃で10分間保持した。
その後、溶湯を鋳鉄製鋳型に鋳込み、厚み30mm、幅60mm、長さ100mmのインゴットを製造した。その際の冷却速度を変化させるため、鋳込み直後から5分経過した時点で、一つは鋳型ごと水槽に投入し、一つはそのまま室温まで空冷した。
次に、インゴットを950℃で、3時間または10時間加熱した後、厚さ15mmまで熱間圧延を行った。
熱間圧延後の板表面の酸化スケールを研削、除去した後、焼鈍と冷間圧延を繰り返し、最終の冷間圧延で所定の製品厚みに仕上げた。最後に歪取焼鈍を行った。
最終冷間圧延では加工度を種々変化させた。
歪取り焼鈍では、材料の加熱時間を30分として材料の加熱温度を200〜400℃の範囲で調整し、圧延方向の引張強さを約30MPa低下させた。
(成分)
合金元素濃度をICP−質量分析法で分析した。
試料を950℃で30分間加熱後、直ちに水槽に投入した。次に、圧延面の電解研磨を行なった。電解研磨では、アノードを試料、カソードをステンレス板とし、りん酸中、電圧11Vで1分間通電した。電解研磨後の表面において、走査電子顕微鏡を用い、析出物の二次電子像を観察した。図1に非溶体化性析出物の観察例を示す。
JIS Z2241に規定する13B号試験片を引張方向が圧延方向と平行になるように採取し、JIS Z2241に準拠して圧延方向と平行に引張試験を行い、引張強さ求めた。
試験片の長手方向が圧延方向と平行になるように試験片を採取し、JIS H0505に準拠し四端子法により20℃での導電率を測定した。
幅10mm、長さ100mmの短冊形状の試験片を、試験片の長手方向が圧延方向と平行になるように採取した。図2のように、l=50mmの位置を作用点として、試験片にy0のたわみを与え、圧延方向の0.2%耐力(JIS Z2241に準拠して測定)の80%に相当する応力(s)を負荷した。y0は次式により求めた。
y0=(2/3)・l2・s / (E・t)
ここで、Eは圧延方向のヤング率であり、tは試料の厚みである。150℃にて1000時間加熱後に除荷し、図3のように永久変形量(高さ)yを測定し、応力緩和率{[y(mm)/y0(mm)]×100(%)}を算出した。
(表面傷)
光学顕微鏡を用い10倍の視野で、表面傷の有無を観察した。観察面積は0.05m2とした。
発明例では、直径が2μm以上の非溶体化性析出物が1000個/mm2以下であり、20%以下の応力緩和率が得られた。比較例では、直径が2μm以上の非溶体化性析出物が1000個/mm2を超え、応力緩和率が20%を超えた。
また、非溶体化性析出物が500個/mm2未満の場合、表面傷が認められなかった。
表2には、表1の発明例1、2、10、13および14、比較例1〜3について、歪取焼鈍前(最終冷間圧延上がり)の特性を上記方法により評価したデータを示す。20%以下の応力緩和率は得られていないものの、非溶体化性析出物を低減することにより、応力緩和率が明らかに小さくなっている。
Claims (6)
- Zrを0.005〜0.05質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる圧延材であり、該圧延材を950℃で30分間加熱し水冷した後に、圧延面において観察される直径2μm以上の、非溶体化性析出物の粒子が1000個/mm2以下であることを特徴とする銅合金板。
- Ti、Ag、Fe、Co、Ni、Cr、Mn、Zn、Mg、Si、P、SnおよびBのうちの一種以上を合計で0.1質量%以下含有する、請求項1に記載の銅合金板。
- 300MPa以上の引張強さおよび80%IACS以上の導電率を有することを特徴とする請求項1または2に記載の銅合金板。
- 150℃で1000時間保持後の応力緩和率が20%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の銅合金板。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の銅合金板を用いた大電流用電子部品。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の銅合金板を用いた放熱用電子部品。
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