JP4778671B2 - 画像形成装置に用いる転写用部材の抵抗変化判定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置に用いる転写用部材の抵抗変化判定方法に関するものである
【0002】
【従来の技術】
従来この種の画像形成装置には、帯電されて電荷を担持する部材として、像担持体や、潜像担持体、現像剤担持体等がある。具体的には、感光体や、現像ローラ、転写用部材等である。そして、カラー画像など、複数のトナーを有する画像形成装置の場合、転写用部材として転写ベルトを用いている。
【0003】
上記転写ベルトを有する画像形成装置として、タンデム型カラー画像形成装置が知られている。このタンデム型カラー画像形成装置は、像担持体として、転写ベルトの表面に沿って配設された複数の感光体を備えている。この転写ベルトは、転写バイアス印加手段によって電荷が与えられ、電荷が担持される。そして、各感光体上に形成された複数色のトナー像を、転写ベルトにより担持搬送される転写材上に直接カラー画像を得る方法でカラー画像を得るものがある。また、該転写ベルトを中間転写ベルトとして間接的に転写した後、該転写材に転写してカラー画像を得るようにしているものもある。
【0004】
前記転写ベルトに電荷を与える転写バイアス印加手段としては、像担持体にかかる電圧を一定に保つ定電圧制御と、像担持体側に流れ込む電流を一定に保つ定電流制御とがある。制御する電圧および電流の値は、ベルトの表面抵抗率や体積抵抗率によって変わってくる。このため、ベルト抵抗値が周方向において、均一であること、環境依存性、および電圧依存性が低いことが求められている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−209233号公報
【特許文献2】
特開2000−147849号公報
【特許文献3】
特開2001−125338号公報
【特許文献4】
特開平8−194389号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、転写ベルトは、長期間、電荷を与えつづけると、転写ベルトの界面に電荷が溜まり、転写ベルトの抵抗値が上昇する場合があった。また、像担持体と転写ローラ間の放電等により、転写ベルトが劣化し、その結果、転写ベルトに導通路が形成され、転写ベルトの抵抗値が低下する場合もあった。このように、転写ベルトの抵抗値が経時的に変化する場合があった。そのため、このようなベルトを経時的に使用すると、抵抗率が変化する。その結果、転写ベルトに供給される電荷量が不足し、転写不足による画像濃度の低下や、逆に転写ベルトに供給される電荷量が多くなりすぎて、部分的放電が発生し放電に対応した転写抜け等の不具合が起こる場合があった。
【0007】
また、このような転写ベルトの抵抗値の経時的変化を測定する場合、ベルトに一定時間電圧を付与する実験を、数百回繰り返すことで転写ベルトの経時的抵抗値の変化を測定していた。このため、一本のベルトの経時的抵抗値変化を知るのに多くの時間を費やしていた。
【0008】
転写ベルトの体積抵抗率が変化した場合、従来では、次のような方法が提案されている。一つは、転写バイアス電源からの出力電流と、転写ベルトを介した帰還電流との差が、一定となるように制御する差分定電流制御する方法。もう一つは、特許文献1〜4に記載されているように、電流値補正による定電圧制御によって、画像の劣化を防止する方法。しかしながら、転写ベルトの表面抵抗率の時的変化の場合は、ベルト周方向への電流のリーク量が変化する。このため、各転写部位のバイアス印加手段に対してバイアスを印加するための電源が、例えば4個所あるタンデム型のカラー画像形成装置の場合に問題が起こる。その問題は、転写ベルトの各転写部位間から、流出電流を検知しても、どの部位から電流が流れ出しているか不明となる点である。その結果、どの電源出力をどのように制御すべきかがわからず、差分定電流制御や、電流値補正による定電圧制御を用いることができなかった。
【0009】
以上、転写用部材としての転写ベルトについての問題を述べたが、電気抵抗部材においても、経時的抵抗値の変化で不具合が生じるものがある。特に、画像形成装置の電荷担持部材である感光体や、現像ローラなどで経時的抵抗値の変化で不具合が生じやすい。
【0010】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものである。その目的とするところは、簡単な測定方法によって、長期間使用しても、転写不足等の転写不良が発生せず、良好な画像を維持することができる画像形成装置に用いる転写用部材を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、画像形成装置に用いる転写用部材の抵抗変化判定方法において、画像形成装置に用いる転写用部材に連続的に500[V]の電圧を印加したときの電圧印加開始から2秒経過時における表面抵抗率[Log(Ω/□)]と100秒経過時における表面抵抗率[Log(Ω/□)]との差分量の絶対値が0.3[Log(Ω/□)]以下であるか否かで前記転写用部材の経時的な表面抵抗率変化が、許容範囲であるか否かの判定をすることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、画像形成装置に用いる転写用部材の抵抗変化判定方法において、画像形成装置に用いる転写用部材に連続的に200[V]の電圧を印加したときの電圧印加開始から2秒経過時における体積抵抗率[Log(Ω・cm)]と100秒経過時における体積抵抗率[Log(Ω・cm)]との差分量の絶対値が0.5[Log(Ω・cm)]以下であるか否かで前記転写用部材の経時的な体積抵抗率変化が、許容範囲であるか否かの判定をすることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の抵抗変化判定方法において、前記転写用部材は、導電剤として少なくともカーボンが含有する単層構造であり、連続的に電圧を印加する前の表面抵抗率が9[Log(Ω/□)]以上12[Log(Ω/□)]以下、体積抵抗率が7[Log(Ω・cm)]以上10[Log(Ω・cm)]以下であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項1乃至の発明は、発明者の鋭意検討の結果、電圧の連続印加による抵抗率の変動が大きい部材は、経時の抵抗変動が大きくなることを見出した。また、連続的に電圧をかけたときの抵抗部材の通電疲労特性は、間欠的に電圧をかけたときの抵抗部材の通電疲労特性よりも厳しいことを見出した。これにより、連続電圧印加による、抵抗率の変化を調べることで、電気抵抗部材の経時的な抵抗変動を予測することができる。よって、例えば、経時的な抵抗率の変化によって画像に多大な影響を及ぼす画像形成装置の電荷担持部材に本発明の判定方法を用いることができる。特に、画像形成装置の転写用部材に好適に用いることができる
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を画像形成装置である電子写真複写機に適用した実施形態について説明する。
図1は、本実施形態を示すもので、間接転写方式のタンデム型電子写真装置である。
図中符号100は複写装置本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写装置本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。
複写装置本体100には、中央に、無端ベルト状の中間転写ベルト10を設ける。そして、図1に示すとおり、図示例では3つの支持ローラ14・15・16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。
この図示例では、3つのなかで第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置17を設ける。
また、3つのなかで第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写ベルト10上には、その搬送方向に沿って、イエロー,シアン,マゼンタ,ブラックの4つの画像形成手段18を横に並べて配置する。これによって、タンデム画像形成装置20を構成する。
そのタンデム画像形成装置20の上には、図1に示すように、さらに露光装置21を設ける。
一方、中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成装置20と反対の側には、2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成している。そして、中間転写ベルト10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写ベルト10上の画像をシートに転写する。
2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設ける。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。
上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
なお、図示例では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備える。
【0014】
このカラー電子写真装置を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動する。その後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0015】
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ14・15・16の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写ベルト10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段18でその感光体40を回転して各感光体40上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルト10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0016】
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出す。次に、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
【0017】
そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0018】
一方、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【0019】
図2は、タンデム画像形成部20の部分拡大図である。上述したタンデム画像形成部20において、個々の画像形成手段18は、図2に示すように、ドラム状の像担持体としての感光体40に一次転写手段としての一次転写装置62を備えている。一次転写装置62は、中間転写ベルト10と感光体40とが接触する一次転写ニップ部に当接している。
【0020】
各転写位置において転写電界を形成する電界印加手段として、感光体に対向する位置には、中間転写ベルト10の裏面に接触するように、転写ローラ62Y、62M、62C、62Kを設けている。これらは、各転写バイアス電源9Y、9M、9C、9Kから転写バイアスが印加される。
【0021】
この印加された転写バイアスの作用により、中間転写ベルト10に転写電荷が付与され、各転写位置において該中間転写ベルト10と感光体40表面との間に所定強度の転写電界が形成される。また上記転写が行なわれる領域での中間転写ベルト10と感光体40の接触を適切に保ち、最良の転写ニップを得るために、バックアップローラ68を備えている。転写バイアス電源9は、感光体に流れ込む電流を一定に保つ定電流電源を用いている。定電流電源を用いた場合、中間転写ベルト10の抵抗率に多少の変動があっても、適正な転写電流が確保させるので、ベルトの抵抗変動の公差を広くとることができる。
【0022】
また、本実施形態に使用するトナーは、球形トナーを用いることが好ましい。本実施形態においては、感光体40に対向する位置に、中間転写ベルト10の裏面に接触するように、転写ローラを設けている。そのため、転写圧が高くなる場合がある。転写圧が高くなると、トナーが凝集して、文字の中抜け現象が発生しやすくなる。そのため、凝集度の低い球形トナーを使用することで、文字の中抜け現象が発生しない良好な画像を得ることができる。
【0023】
次に、本実施形態に使用する中間転写ベルト10について説明する。本実施形態に用いる中間転写ベルトは、連続電圧印加期間における抵抗率の変動特性を基準に判定されたものを用いた。具体的には、表面抵抗率ρsは、500[V]印加で測定したとき、電圧印加開始から、2秒から100秒までの表面抵抗率の変化量の絶対値Δρsが0.3[Log(Ω/□)]以下である。そして、体積抵抗率ρvは、200[V]印加で測定したとき、電圧印加開始から、2秒から100秒までの体積抵抗率の変化量の絶対値Δρvが0.5[Log(Ω・cm)]以下であるものを用いている。
【0024】
また、本実施形態に用いる中間転写ベルトは、導電剤として、少なくともカーボンブラックが含有されたポリイミド樹脂で形成された単層ベルトである。導電剤として、カーボンブラックを含有することで、分散性が増し、表面抵抗率に対して、体積抵抗率を低く抑えることができる。また、単層ベルトであるので、電荷が蓄積しにくいため、抵抗率の上昇が低く抑えられる。
【0025】
また、中間転写ベルトの表面抵抗率は、9〜12[Log(Ω/□)]、より好ましくは、10〜11.5[Log(Ω/□)]であるものを用いる。体積抵抗率は、7〜10[Log(Ω・cm)]、より好ましくは、8〜9.5[Log(Ω・cm)]の範囲に設定されているものを用いる。表面抵抗が9[Log(Ω/□)]より小さいと、ベルト表面へ電流が流れる比率が高くなり、十分な転写電界が得られなくなる。また、表面抵抗率が12[Log(Ω/□)]を越えると、ベルト表面に電荷が蓄積され、異常放電を引き起こす。一方、体積抵抗率が7[Log(Ω・cm)]より小さいと、電流のリークが起こりやすくなる。また、12[Log(Ω/□)] よりも高いと、電流が流れにくくなり、効率的に転写電界を形成することが困難となるため、高電圧の電源装置が必要となり、コスト高になる。
【0026】
本実施形態においては、連続電圧印加期間における抵抗率の変動特性を基準に判定された中間転写ベルトを用いているが、同じく電荷担持部材である感光体や、現像ローラに上記判定方法を用いても良い。
【0027】
次に、本実施形態に用いる、中間転写ベルトの表面抵抗率の測定方法について説明する。図3は、中間転写ベルトの表面抵抗率ρsを連続して測定する測定装置の概略図である。表面抵抗率ρsの測定にあたっては、中間転写ベルトと同一の条件・材料で形成したサンプル部材41を絶縁性の板上90aに設置する。内側電極101aと、内側電極と一定距離離れたリング電極101bとを有するプローブ101をサンプル部材41の上に設置する。そして、内側電極101aに500[V]印加し、リング電極101bに流れる電流を電流計にて測定し、電圧印加開始から、2秒後と100秒後の表面抵抗率ρsを求める。
【0028】
図4は、中間転写ベルトの体積抵抗率ρvを連続して測定する測定装置の概略図である。体積抵抗率ρvの測定は、前記同様に、中間転写ベルトと同一の条件・材料で形成したサンプル部材41を対電極91bの上に設置する。内側電極101aと、内側電極と一定距離離れたリング電極101bとを有するプローブ101をサンプル部材41の上に設置する。リング電極101bは、接地されている。そして、内側電極101aに200[V]印加し、対電極90bに流れる電流を電流計にて測定し、電圧印加開始から、2秒後と100秒後の体積抵抗率ρvを求める。
【0029】
なお、前記プローブは、三菱化学製URS プローブ(MCP−HTP14)を用い、内側電極に電圧を印加する定電圧電源として、Trek製COR−A−TROL(610C)を用いた。また、電流計は、アドバンテスト製デジタルエレクトロメータTR8652を用いた。
この測定器では、測定電圧、測定時間を自由に設定することができる。また、電極を接地することでサンプル部材を除電することもできる。
【0030】
このようにして、連続して電圧を印加して表面抵抗率および体積抵抗率の差の絶対値Δρs、Δρvを測定することで、サンプル部材(電気抵抗部材)が経時的に受ける、電気的な抵抗率の変化を予測することができる。
【0031】
次に、本実施形態に好適に用いられる中間転写ベルトの特性を実施例に基づき説明する。
[実施例1]
連続電圧印加期間における表面抵抗率の変動特性と、連続コピーおよび経時コピーにおける画像へ影響度との関係性を調べた。
まず、7種類の中間転写ベルトを作成して、上述の表面抵抗率の測定方法を用い、2〜100秒までの表面抵抗率の変化を調べた。その結果を図5に示す。
【0032】
実験に用いた7種類の中間転写ベルトは、以下の方法で作成した。ベルトNO.1〜4、6、7は、ポリイミド樹脂からなる単層の無端ベルトである。具体的には、以下の方法で作成する。ポリアミック酸の溶液中にカーボンブラックを分散させ、この分散液を円筒金型に注入して100[℃]〜150[℃]に加熱して、円筒金型を回転させる。これにより、溶媒を蒸発させ、フィルム上に成膜する。次に、250[℃]〜300[℃]でフィルムを一次硬化させ、円筒金型から剥離する。そして、剥離したフィルムを300[℃]〜400[℃]に加熱した鉄芯に被せて、伸ばしながら、ポリイミド化反応させ、ポリイミドフィルムを作成する。このポリイミド樹脂を適当な大きさに切り出すことで、ポリイミド樹脂からなる単層の無端ベルトが形成される。各ベルトの厚みは、80[μm]である。各ベルトは、カーボンブラックの含有量や分散状態をそれぞれ異なる条件で作成した。
【0033】
NO.5のベルトは、熱可塑性ポリカーボネート樹脂にカーボンブラックを分散させ、押出成型機により作成した、単層の無端ベルトである。ベルトの厚みは、150[μm]である。
【0034】
そして、上記7種類の中間転写ベルトを図1の画像形成装置に組み込んで、連続100枚コピーおよび一万回コピーを行った。ここで、転写バイアスは、定電圧制御、定電流制御の両方で行った。この結果を以下に示す。各試験の評価は、連続100枚コピーの評価場合、1枚目のコピー画像に比べて、100枚目の画像の度合いを目視による評価である。一方、一万回コピーは、一万枚目のコピー画像を目視による評価である。
【表1】
Figure 0004778671
【0035】
表面抵抗率の変化量の絶対値Δρsが0.55のNO.3の転写ベルトは、連続100枚コピーにおいて、定電圧、定電流制御両方で、濃度低下を起こした。定電圧制御の場合は、表面抵抗が上昇してベルト表面に電流が流れずらくなったためと考えられる。これによって、必要な電荷が供給されず、転写不足による濃度低下が起こったと考えられる。一方、定電流制御の場合は、抵抗上昇にともない、電圧が高まり、電圧が供給電源の電圧の上限まで達した結果、電界形成のための必要な電圧が得られず、濃度低下が起こったと考えられる。また、定電流制御の場合、転写電圧が高まった結果、転写ニップの上流側、下流側の空隙で、剥離放電が発生して、転写チリ等の画像の乱れも確認された。
【0036】
また、NO.3のベルトの1万枚コピー後に表面抵抗率ρsを測定したところ、初期の値から、表面抵抗率が一桁以上上昇していた。これにより、一万回コピーにおいても、上述の理由と同様な理由により、定電流制御、定電圧制御ともに、濃度低下が起こった。初期値から、表面抵抗が一桁以上上昇すると、ベルト表裏面と近接部材との間で異常放電が発生し、異常画像を引き起こす場合がある。
【0037】
また、ベルトNO.5は、表面抵抗率の変化量の絶対値Δρsが−0.38となり、表面抵抗率が減少した。これは、転写ベルトの導電剤の分散状態等により、転写ベルトに導通路が形成され、ベルト周方向に電流が流れやすい部分が生じたと考えられる。連続100枚コピーにおいて、定電流制御の場合は濃度低下と残像画像が、定電圧制御において、残像画像が確認された。
【0038】
定電流制御の濃度低下は、表面抵抗率が下がった結果、電流が転写ベルト周方向へ流れる比率が高くなり、十分電荷が供給されなくなり、転写電圧が低下することで、転写不足による濃度低下が生じるものと考えられる。
【0039】
また、定電圧制御・定電流制御における残像は、以下のような現象により起こったと考えられる。電流がベルト周方向に流れやすくなった結果、電流が抵抗の低い方に流れやすくなる。具体的には、抵抗の大きいトナー部分より、抵抗の低い部分へ電流が流れてしまう。その結果トナー部分以外のベルト抵抗は低下することになる。これにより、ベルト抵抗にムラが生じて転写ムラとなり、その履歴が次のコピー画像に現れ、残像として、次のコピー紙に現れたと考えられる。また、一万枚コピーにおいても、同様な表面抵抗率の減少が起こり、100枚連続コピーと同様な現象による、残像画像や濃度低下が確認された。
【0040】
また、表面抵抗率の変化量の絶対値Δρsが0.3以下の転写ベルトにおいては、一万回コピー後の表面抵抗の変化量が0.5以下と少なく、定電流制御、定電圧制御ともに異常画像の発生は、見られなかった。
【0041】
以上のことから、次のことがわかる。連続的に500[V]の電圧を印加したときの電圧印加開始から2秒から100秒までの表面抵抗率の変化量の絶対値Δρsが0.3以下の特性を有する中間転写ベルトを画像形成装置に用いると、長期間画像の乱れがないコピー画像を得られる。
【0042】
[実施例2]
次に、上記試験で良好な結果を示した、表面抵抗率の変化量の絶対値Δρs変動の少ないベルトNO.1、2、4、7において、同一の電圧値で制御した場合と、同一の電流値で制御した場合について調べた。転写バイアスは、標準としている表面抵抗11[Log(Ω/□)]ベルトを用いた時の転写性から、電圧値、電流値を決定した。その結果、ベルトNO.1、2、4、7を同一の電圧値で定電圧制御の場合、No.1、7で転写不足や、転写過多が生じるベルトが確認された。一方、ベルトNO.1、2、4、7を同一の電流値で定電流制御した場合は、NO.1、2、4、7ともに良好な画像が得られた。
【0043】
以上の結果から、定電圧制御より、定電流制御方が抵抗変動に対する公差が広いことがわかった。
【0044】
[実施例3]
転写ローラの位置を変えて、転写ローラの位置よる画像の変化を調べた。
まず、転写ローラ62を図6に示す位置に設けた画像形成装置の中間転写ベルト10に、前記実施例1で用いたベルトを組み込んで定電流制御で一枚コピーを行った。
【0045】
その結果、ベルトNO.2以外は、異常放電による転写ムラが確認された。これは、前記転写ローラ62は、図6から、明らかなように、転写ニップ部から離れて設けられている。その結果、ニップ出口付近の空隙の電界が高くなり、その領域において、異常放電を発生したと考えられる。また、ベルトNO.2以外は、表面抵抗率が10[Log(Ω/□)]と高い値であり、ベルト周方向に電流が流れにくくなっている。その結果、定電流制御のため印加電圧が高くなり、ニップ出口付近の空隙で異常放電が起こったと考えられる。
【0046】
次に、図1の画像形成装置において、同様の実験を行った。その結果、異常放電による転写ムラは、確認されなかった。これは、転写ローラを感光体と対抗する位置、所謂転写ニップ領域に設けているため、転写ニップ部に直接転写バイアスを印加できるため、表面抵抗にかかわらずほとんど電圧を高くしないで一定の電流を流すことが出来るので空隙放電が発生しなかったと思われる。また、転写ローラに印加する電圧が低く抑えられた。転写バイアス電源リミットに余裕度が持て、定電流制御の場合、表面抵抗が高くなって、高電圧が要求されても、対応できるようになる。
【0047】
以上の結果から、転写ローラを転写ニップ領域に設けることで、良好な画質が得られることが判った。
【0048】
[実施例4]
次に、連続電圧印加期間における体積抵抗率の変動特性と、連続コピーおよび経時コピーにおける画像へ影響度との関係性を調べた。
まず、8種類の中間転写ベルトを作成して、上述の体積抵抗率の測定方法を用い、2〜100秒までの体積抵抗の変化を調べた。その結果を図7に示す。
【0049】
実験に用いた8種類の中間転写ベルトは、以下の方法で作成した。ベルトNO.8〜10、12、14は、ポリイミド樹脂からなる単層の無端ベルトであり、上述の実施例1のベルトNO.1〜4、6〜7の製法と同じ製法で作成された。各ベルトNO.8〜10、12、14は、カーボンブラックの含有量、分散状態がそれぞれ異なっているものである。各ベルトの厚さは、80[μm]である。
【0050】
ベルトNO.13は、熱可塑性ポリカーボネート樹脂にカーボンブラックを分散させ、押出成型機により作成した、単層の無端ベルトである。ベルトの厚みは、150[μm]である。
【0051】
ベルトNO.15は、熱可塑性ETFE樹脂にカーボンブラックを分散させ、押出成型機により作成した、単層の無端ベルトである。ベルトの厚みは、150[μm]である。
【0052】
ベルトNO.11は、積層ベルトである。内層は、カーボンブラックを分散させたPVDF溶液にディッピング法で作成した無端ベルトである。表層は、フッ素樹脂である。ベルト厚みは、内層が150[μm]、表層が5[μm]である。
【0053】
上記8種類の中間転写ベルトを図1の画像形成装置に組み込んで、連続100枚コピーおよび一万回コピーを行った。転写バイアスは、定電圧制御と定電流制御の両方で実験した。この結果を以下に示す。各試験の評価は、連続100枚コピーの評価場合、1枚目のコピー画像に比べて、100枚目の画像の度合いを目視による評価である。一方、一万回コピーは、一万枚目のコピー画像を目視による評価である。
【表2】
Figure 0004778671
【0054】
ベルトNO.11の体積抵抗率の変化量の絶対値Δρvが高いのは、表層が高抵抗である積層ベルトであるからである。高抵抗の層を有する積層ベルトの場合、時間の経過とともに、高抵抗層の界面に電荷が蓄積し、抵抗が上昇する。このように、抵抗が上昇した結果、定電圧制御においては、100枚連続コピーで濃度低下が生じ、定電流制御においては、残像画像が確認された。定電圧制御の場合は、転写電流が流れにくくなり、十分な転写電界が得られず、転写不足による画像の濃度低下が起こったと考えられる。定電流制御の場合は、体積抵抗の上昇により印加電圧が高くなる。印加電圧が高くなることでベルトの帯電電位が高くなりトナー部分と無い部分との除電ムラが生じることで転写ムラが起こり、残像画像が確認された考えられる。一万枚コピーにおいても、同様に、定電圧制御の場合は、電流不足による濃度低下が、定電流制御の場合は、同様の理由により残像画像が発生したと考えられる。
【0055】
NO.11の積層ベルトにおいて、100枚連続コピー後に装置を一旦停止し、その後、10秒後の体積抵抗率ρvを測定したが、体積抵抗率ρvは、元に戻り、初期時と同じ値を示した。しかしながら、1万回コピー後に、体積抵抗率ρvを測ったところ、体積抵抗率ρvは、上昇しており、やはり、転写不足による画像の濃度低下が起こった。
【0056】
体積抵抗率の変化量の絶対値Δρvが0.76のベルトNO.9は、単層ベルトであるが、導電剤の分散性が悪いために、体積抵抗率ρvが上昇したと考えられる。このベルトにおいても、100枚連続コピーにおいて、定電圧制御の場合は、濃度低下を、定電流制御の場合は、残像画像が確認された。同じように、一万回コピーにおいても、体積抵抗率ρvの上昇が見られ、定電圧制御の場合は、転写不足による濃度低下・残像画像が確認された。一方、定電流制御の場合は、残像画像が確認された。
【0057】
一方、体積抵抗率の変化量の絶対値Δρvが−0.68のベルトNO.1の場合、CBの同通路が形成される理由で体積抵抗率ρvが減少したと考えられる。このように抵抗が減少した結果、定電圧制御の場合は、100枚連続コピーにおいては、適正電流値以上の電流が流れ、転写電界が高まり、空隙放電による転写チリの発生や、転写過多が発生した。
同様に、一万回コピーにおいても、体積抵抗率ρvの減少が起こり、転写過多や、転写過多による残像画像が認められた。また、定電流制御の場合は、100枚連続コピーにおいては、抵抗の大きいトナー部分より、抵抗の低い部分へ電流が流れてしまう。その結果トナー部分以外のベルト抵抗は低下することになる。このように、ベルト抵抗にムラが生じて転写ムラとなり、残像画像が確認された。同じように、一万回コピーにおいても、同様な理由により、残像画像が確認された。
【0058】
体積抵抗率の変化量の絶対値Δρvが0.5以下である、ベルトNO.6、9、10においては、一万回コピー後も体積抵抗率ρvの変化が少なく、定電流制御、低電圧制御ともに異常画像の発生は、確認できなかった。
【0059】
以上のことから、次のことがわかる。連続的に200[V]の電圧を印加したときの電圧印加開始から2秒から100秒までの体積抵抗率の変化量の絶対値Δρvが0.5[Log(Ω・cm)]以下の特性を有する中間転写ベルトを画像形成装置に用いれば、長期間画像の乱れがない画像を得られる。
【0060】
また、本実施形態においては、間接転写方式の画像形成装置について説明したが、例えば、図8に示す直接転写方式の画像形成装置にも適用できる。図8の符号については、間接転写方式の画像形成装置と同一の構造を有するものについては、図1の符号と同じ符号を用いた。この画像形成装置は、上述の間接転写方式の画像形成装置同様、各色の画像を形成するために、現像ユニットおよび感光ユニットを備えた4組のトナー像形成部を備えている。また、上述の間接転写方式の画像形成装置同様に光書込ユニット、給紙カセット、転写搬送ユニット、定着ユニット、排紙トレイ等を備えている。
【0061】
図9は、上記転写搬送ユニットの概略構成を示す拡大図である。
この転写搬送ベルト10aは、各トナー像形成部のドラム状の感光体40Y、40M、40C、40Kに接触対向する各転写位置を通過するように、支持ローラ14〜16に掛け回されている。
【0062】
これらの支持ローラのうち、転写紙移動方向上流側の入口ローラ16には、電源80aから所定電圧が印加された転写材搬送用の静電吸着ローラ80が対向するように転写搬送ベルト10aの外周面に配置されている。この2つのローラ16,80の間を通過した転写紙は転写搬送ベルト10a上に静電吸着により担持される。ローラ15は転写搬送ベルト10aを摩擦駆動する駆動ローラであり、図示しない駆動源に接続されていて矢印方向に回転する。
【0063】
各転写位置において転写電界を形成する電界印加手段として、感光体40に対向する位置には、転写搬送ベルト10aの裏面に接触するように、転写ローラ62Y、62M、62C、62Kを設けている。これらは、各転写バイアス電源9Y、9M、9C、9Kから転写バイアスが印加される。この印加された転写バイアスの作用により、転写搬送ベルト10aに転写電荷が付与され、各転写位置において該転写搬送ベルト10aと感光体40表面との間に所定強度の転写電界が形成される。また上記転写が行なわれる領域での転写紙と感光体の接触を適切に保ち、最良の転写ニップを得るために、バックアップローラ68を備えている。
【0064】
先に示した図8中の一点鎖線は、転写紙の搬送経路を示している。給紙カセット44あるいは手差しトレイSから給送された転写紙は、図示しない搬送ガイドにガイドされながら搬送ローラで搬送され、レジストローラ対49が設けられている一時停止位置に送られる。このレジストローラ対49により所定のタイミングで送出された転写紙は、転写搬送ベルト10aに担持され、各トナー像形成部18Y、18M、18C、18Kに向けて搬送され、各転写位置に形成されている転写ニップを通過する。
【0065】
フルカラー画像を形成するカラーモードでは、各トナー像形成部18Y、18M、18C、18Kの感光体40Y、40M、40C、40K上で現像された各トナー像は、それぞれ各転写ニップで転写紙に重ね合わされる。そして、上記転写電界やニップ圧の作用を受けて転写紙上に転写される。この重ね合わせの転写により、転写紙上にはフルカラートナー像が形成される。
【0066】
この転写搬送ユニットで使用した転写搬送ベルト10aは、導電剤として、少なくともカーボンブラックが含有されたポリイミド樹脂で形成された単層ベルトである。そして、表面抵抗は、9〜12[Log(Ω/□)]、より好ましくは、10〜11.5[Log(Ω/□)]である。体積抵抗は、7〜10[Log(Ω・cm)]、より好ましくは、8〜9.5[Log(Ω/cm)]の範囲に設定されている。そして、表面抵抗率ρsは、500[V]印加で測定したとき、電圧印加開始から2秒値と100秒値の測定値の対数差の絶対値Δρsが0.3[Log(Ω/□)]以下である。そして、体積抵抗率ρvは、200[V]印加で測定したとき、電圧印加開始から2秒値と100秒値の測定値の対数差の絶対値Δρvが0.5[Log(Ω・cm)]以下であるものを用いている。
【0067】
上記実施形態の画像形成装置においては、連続電圧印加期間における抵抗率の変動特性を基準に判定された転写搬送ベルトを用いているが、同じく電荷担持部材である感光体や、現像ローラに上記判定方法を用いても良い。
【0068】
なお、本実施形態は、発明の一実施例を示したにすぎず、本発明を逸脱しない範囲で種々変更可能である。本実施形態では、画像形成装置の転写ベルトに用いたものを例示したが、これに限定されない。例えば、連続的に電圧を印加したときの電圧印加開始から2秒後および100秒後の体積抵抗率や表面抵抗率の差の絶対値の判定基準等を変えることで、電荷担持部材である搬送ベルト、感光ベルト等にも適用できる。また、その他の電気抵抗部材全般に適用することができる。
【0069】
本実施形態によれば、転写ベルトとしての中間転写ベルトおよび搬送ベルトを連続的に電圧を印加したときの電圧印加開始から2秒および100秒後の抵抗率の差の絶対値を基準にして判別された部材を用いている。その結果、転写ベルトの抵抗率が経時的に変化しなくなる。これにより、長期間使用しても、転写不良が発生せず、良好な画像を維持することができる。
また、本実施形態によれば、転写ベルトは、連続的に500[V]電圧を印加したときの電圧印加開始から2秒から100秒までの表面抵抗率の変化量の絶対値が0.3[Log(Ω/□)]以下の基準を満たしたものである。これにより、経時的に表面抵抗率の変動が少ない転写ベルトとすることができ、長期にわたり、良好な画像を提供することがきる。
また、本実施形態によれば、転写ベルトは、連続的に200[V]の電圧を印加したときの電圧印加開始から2秒から100秒までの体積抵抗率の変化量の絶対値が0.5[Log(Ω・cm)] 以下の基準を満たしたものである。これにより、経時的に体積抵抗率の変動が少ない中間転写ベルトおよび搬送ベルトとすることができ、長期にわたり、良好な画像を提供することがきる。
また、本実施形態の転写ベルトは、導電剤として少なくともカーボンブラックが含有された単層構造である。分散性の良いカーボンブラックを含有することで、抵抗ムラの少ないベルトとすることができる。また、転写ベルトが単層構造であるので、電荷が蓄積されにくく、経時的な抵抗の上昇を抑えることができる。
また、本実施形態においては、電界発生手段を定電流制御としている。本実施形態においては、経時的に表面抵抗率の変動の少ない中間転写ベルトおよび搬送ベルトを用いているので、ベルト表面の周方向への電流のリークが少ない。これにより、定電流制御においても、長期にわたり転写電界を維持することができる。よって、抵抗率等が経時的に多少変動しても、転写不足等の画像の不具合が起こらない。
また、本実施形態においては、転写電界形成手段としての転写バイアス印加部材が、感光体に対向する位置に、転写ベルトと接触して設けられているので、直接転写ニップ部へ転写バイアスを印加できる。これにより、転写ニップ部に間接的に転写電界を印加する方式に比べ、電圧を低く抑えることができる。よって、転写電圧の電源容量のリミットに余裕ができ、転写ベルトが高抵抗になっても、画像の品質に影響を及ぼすことがない。
【0070】
【発明の効果】
請求項1乃至の発明によれば、連続電圧印加による、抵抗率の変化を調べることで、電気抵抗部材の経時的な抵抗変動を予測することができる。よって、例えば、経時的な抵抗率の変化によって画像に多大な影響を及ぼす画像形成装置の電荷担持部材に本発明の判定方法を用いることができる。また、画像形成装置の電荷担持部材の中でも、特に転写ベルトに本発明の判定方法を用いると良い。
【0071】
そして前記方法で選定した転写用部材を画像形成装置に組み込むことで、長期間使用しても、転写不良が発生せず、良好な画像を維持することができる画像形成装置を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の要部の説明図。
【図2】実施形態に係る画像形成装置の画像形成部の部分拡大図。
【図3】表面抵抗率ρsを連続して測定する測定装置の概略図。
【図4】体積抵抗率ρvを連続して測定する測定装置の概略図。
【図5】ベルトNO.1〜7の電圧印加時間と表面抵抗率の関係を示す図。
【図6】転写ローラの位置を変更した、画像形成装置の画像形成部の部分拡大図 。
【図7】ベルトNO.8〜15の電圧印加時間と体積抵抗率の関係を示す図。。
【図8】実施形態に係わる直接転写方式の画像形成装置の要部の説明図。
【図9】実施形態に係る直接転写方式の画像形成装置の画像形成部の部分拡大図。
【符号の説明】
9 転写バイアス電源
10 中間転写ベルト
10a 転写搬送ベルト
18C,M,Y,B 画像形成手段
20 タンデム画像形成部
22 二次転写装置
25 定着装置
26 定着ローラ
27 加圧ローラ
40Y,C,M,B 感光体

Claims (3)

  1. 画像形成装置に用いる転写用部材に連続的に500[V]の電圧を印加したときの電圧印加開始から2秒経過時における表面抵抗率[Log(Ω/□)]と100秒経過時における表面抵抗率[Log(Ω/□)]との差分量の絶対値が0.3[Log(Ω/□)]以下であるか否かで前記転写用部材の経時的な表面抵抗率変化が、許容範囲であるか否かの判定をすることを特徴とする抵抗変化判定方法。
  2. 画像形成装置に用いる転写用部材に連続的に200[V]の電圧を印加したときの電圧印加開始から2秒経過時における体積抵抗率[Log(Ω・cm)]と100秒経過時における体積抵抗率[Log(Ω・cm)]との差分量の絶対値が0.5[Log(Ω・cm)]以下であるか否かで前記転写用部材の経時的な体積抵抗率変化が、許容範囲であるか否かの判定をすることを特徴とする抵抗変化判定方法。
  3. 請求項1または2の抵抗変化判定方法において、前記転写用部材は、導電剤として少なくともカーボンが含有する単層構造であり、連続的に電圧を印加する前の表面抵抗率が9[Log(Ω/□)]以上12[Log(Ω/□)]以下、体積抵抗率が7[Log(Ω・cm)]以上10[Log(Ω・cm)]以下であることを特徴とする抵抗変化判定方法。
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