JP4373624B2 - 感熱性組成物、それを用いた平版印刷版原版及びスルホニウム塩化合物 - Google Patents

感熱性組成物、それを用いた平版印刷版原版及びスルホニウム塩化合物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、広く感熱記録材料として応用可能な感熱性組成物、それを用いた赤外線レーザで書き込み可能な、高感度で、記録層の画像部における耐アルカリ現像性と耐刷性に優れたネガ型の記録層を有する平版印刷版原版、及び、それに好適に用い得る新規スルホニウム塩化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年におけるレーザーの発展は目ざましく、特に、近赤外線から赤外線領域に発光領域を持つ個体レーザーや半導体レーザーでは、高出力・小型化が進んでいる。したがって、コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザーは非常に有用である。
前述の赤外線領域に発光領域を持つ赤外線レーザーを露光光源として使用する、赤外線レーザ用ネガ型平版印刷版材料は、光熱変換剤と、光又は熱によりラジカルを発生する重合開始剤と、重合性化合物とを含む感光層を有する平版印刷版材料である。
【0003】
通常、このようなネガ型の画像記録材料は、光又は熱により発生したラジカルを開始剤として重合反応を生起させ、露光部の記録層を硬化させて画像部を形成する記録方式を利用している。このようなネガ型の画像形成材料は、赤外線レーザ照射のエネルギーにより記録層の可溶化を起こさせるポジ型に比較して画像形成性が低く、重合による硬化反応を促進させて強固な画像部を形成するため、現像工程前に加熱処理を行うのが一般的である。このような後加熱処理を行うネガ型の画像記録材料としては、例えば、US5,340,699号などに記載のレゾール樹脂とノボラック樹脂とからなる記録材料等が挙げられる。
特にアルミニウム支持体を用いる場合には、赤外線レーザ照射によるエネルギーが熱伝導性の高い支持体に拡散して、画像形成のための重合反応の開始、促進に利用されず、充分な感度が得られないという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を考慮してなされたものであり、本発明の目的は、加熱による高感度な物性の不可逆的な変化が可能な感熱性組成物、該感熱性組成物を用いた高感度であり、現像前の加熱処理が不要であるか又は加熱処理を簡略化することができ、且つ、画像部においては耐アルカリ現像性が良好であり、耐刷性に優れた、ヒートモードによる記録可能なネガ型の平版印刷版原版、及び、それらに好適に用い得る新規なオニウム塩化合物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、支持体上に下記一般式(A)、一般式(B)又は一般式(C)で表される酸/ラジカル発生剤と、酸又はラジカルにより不可逆的に物性が変化する化合物と、光熱変換剤と、バインダーポリマーと を含有することで、熱による硬化性、発色性に優れた組成物となること、及び、このような組成物を含有する記録層を設けることにより、平版印刷版の記録の高感度化と耐刷性向上とを達成しうることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明の感熱性組成物は、(I)下記一般式(A)、一般式(B)又は一般式(C)で表される熱により酸又はラジカルを発生する化合物(以下、適宜、酸/ラジカル発生剤と称する)、(II)酸又はラジカルにより、物理的特性、又は化学的特性が不可逆的に変化する化合物、(III)光熱変換剤、及び、(IV)バインダーポリマー を含有することを特徴とする。
【0006】
【化11】
Figure 0004373624
【0007】
式中、Xは以下に示す基或いはハロゲン原子を表す。M+はスルホニウムカチオンを表す。なお、以下に示す基において、R1、R2は同じでも異なっていても良く、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基、或いはアリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、炭素数1〜10のアルコキシ基を表し、これらはハロゲン原子、カルボニル基、アルコキシ基、エステル基、チオエーテル基、アミド基、イミド基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、チオカルボニル基、アミノ基、スルホン酸エステル基、スルホキシド基、アリール基、及び、シリル基から選ばれた置換基で一官能以上置換されていても良い
【0008】
【化12】
Figure 0004373624
【0009】
【化13】
Figure 0004373624
【0010】
式中、Yは一般式(A)におけるXと同義または、−OH、−CN、−NO2、−Si(R5)(R6)(R7)を表す。
3〜R7は同じでも異なっていても良く、一般式(A)におけるR と同義である。M+スルホニウムカチオンを表す。
【0011】
【化14】
Figure 0004373624
【0012】
式中、R8、一般式(A)におけるR と同義である。Arl、Ar2は同じでも異なっていても良いアリール基を表す。M+スルホニウムカチオンを表す。
【0013】
この組成物は、(III)光熱変換剤を含有することにより、(III)光熱変換剤の吸収波長の露光により、(I)一般式(A)乃至一般式(C)で表される熱により酸又はラジカルを発生する化合物の酸又はラジカルが発生し、(II)酸又はラジカルにより、物理的又は化学的特性が不可逆的に変化する化合物の、物理的又は化学的特性が変化し、露光による記録が可能となる。
また、請求項に係る本発明の平版印刷版原版は、ヒートモード露光による記録が可能であり、支持体上に、(I)下記一般式(A)、一般式(B)又は一般式(C)で表される酸/ラジカル重合開始剤、(III)光熱変換剤、(II−1)不飽和結合を有するラジカル重合可能な化合物、及び、(IV)バインダーポリマーを含有する感光層を設けてなることを特徴とする。
【0014】
【化15】
Figure 0004373624
【0015】
式中、Xは以下に示す基或いはハロゲン原子を表す。M+スルホニウムカチオンを表す。なお、以下に示す基において、R1、R2は同じでも異なっていても良く、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基、或いはアリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。
【0016】
【化16】
Figure 0004373624
【0017】
【化17】
Figure 0004373624
【0018】
式中、Yは一般式(A)におけるXと同義または、‐OH、‐CN、‐NO2、−Si(R5)(R6)(R7)を表す。
3〜R7は同じでも異なっていても良く、一般式(A)におけるR と同義である。M+スルホニウムカチオンを表す。
【0019】
【化18】
Figure 0004373624
【0020】
式中、R8、一般式(A)におけるR と同義である。Arl、Ar2は同じでも異なっていても良いアリール基を表す。M+スルホニウムカチオンを表す。
【0021】
さらに、本発明者らは、前記一般式(A)で表される酸/ラジカル重合開始剤のうち、下記一般式(A−1)で表されるスルホニウム塩化合物、さらに好ましい態様である下記一般式(A−2)で表されるスルホニウム塩化合物が新規化合物であり、且つ、上記組成物における酸/ラジカル重合開始剤として特に有用であることを見出した。
即ち、本発明の請求項4は、下記一般式(A−1)で表されるスルホニウム塩化合物に係わる。
【0022】
【化19】
Figure 0004373624
【0023】
式中、Ara-1、Ara-2、Ara-3はそれぞれ独立にアリール基を表し、R9はアルキル基又はアリール基を表す。
また、請求項5は、そのさらに好ましい態様である下記一般式(A−2)で表されるスルホニウム塩化合物に係わる。
【0024】
【化20】
Figure 0004373624
【0025】
式中、R10はフェニル基又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。R11、R12、R13はそれぞれ独立に水素原子、塩素原子、メチル基又はブチル基を表す。
【0026】
なお、本発明において「ヒートモード対応」とは、ヒートモード露光による記録が可能であることを意味する。本発明におけるヒートモード露光の定義について詳述する。Hans−Joachim Timpe,IS&Ts NIP 15:1999 International Conference on Digital Printing Technologies.P.209に記載されているように、感光体材料において光吸収物質(例えば色素)を光励起させ、化学的或いは物理的変化を経て、画像を形成するその光吸収物質の光励起から化学的或いは物理的変化までのプロセスには大きく分けて二つのモードが存在することが知られている。1つは光励起された光吸収物質が感光材料中の他の反応物質と何らかの光化学的相互作用(例えば、エネルギー移動、電子移動)をすることで失活し、その結果として活性化した反応物質が上述の画像形成に必要な化学的或いは物理変化を引き起こすいわゆるフォトンモードであり、もう1つは光励起された光吸収物質が熱を発生し失活し、その熱を利用して反応物質が上述の画像形成に必要な化学的或いは物理変化を引き起こすいわゆるヒートモードである。その他、物質が局所的に集まった光のエネルギーにより爆発的に飛び散るアブレーションや1分子が多数の光子を一度に吸収する多光子吸収など特殊なモードもあるがここでは省略する。
【0027】
上述の各モードを利用した露光プロセスをフォトンモード露光及びヒートモード露光と呼ぶ。フォトンモード露光とヒートモード露光の技術的な違いは目的とする反応のエネルギー量に対し露光する数個の光子のエネルギー量を加算して使用できるかどうかである。例えばn個の光子を用いて、ある反応を起こすことを考える。フォトンモード露光では光化学的相互作用を利用しているため、量子のエネルギー及び運動量保存則の要請により1光子のエネルギーを足し併せて使用することができない。つまり、何らかの反応を起こすためには「1光子のエネルギー量≧反応のエネルギー量」の関係が必要である。一方、ヒートモード露光では光励起後に熱を発生し、光エネルギーを熱に変換し利用するためエネルギー量の足し併せが可能となる。そのため、「n個の光子のエネルギー量≧反応のエネルギー量」の関係があれば十分となる。但し、このエネルギー量加算には熱拡散による制約を受ける。即ち、今注目している露光部分(反応点)から熱拡散により熱が逃げるまでに次の光励起−失活過程が起こり熱が発生すれば、熱は確実に蓄積加算し、その部分の温度上昇につながる。しかし、次の熱の発生が遅い場合には熱が逃げて蓄積されない。つまり、ヒートモード露光では同じ全露光エネルギー量であっても高エネルギー量の光を短い時間照射した場合と低エネルギー量の光を長い時間照射した場合とでは結果が異なり、短時間の方が熱の蓄積に有利になる。
【0028】
無論、フォトンモード露光では後続反応種の拡散の影響で似た様な現象が起こる場合もあるが基本的には、このようなことは起こらない。
即ち、感光材料の特性として見た場合、フォトンモードでは露光パワー密度(w/cm2)(=単位時間当たりのエネルギー密度)に対し感光材料の固有感度(画像形成に必要な反応のためのエネルギー量)は一定となるが、ヒートモードでは露光パワー密度に対し感光材料の固有感度が上昇することになる。従って、実際に画像記録材料として実用上、必要な生産性を維持できる程度の露光時間を固定すると、各モードを比較した場合、フォトンモード露光では通常は約0.1mJ/cm2程度の高感度化が達成できるもののどんな少ない露光量でも反応が起こるため、未露光部での低露光カブリの問題が生じ易い。これに対し、ヒートモード露光ではある一定以上の露光量でないと反応が起こらず、また感光材料の熱安定性との関係から通常は50mJ/cm2程度が必要となるが、低露光カブリの問題が回避される。
そして、事実上ヒートモード露光では感光材料の版面での露光パワー密度が5000w/cm2以上であることが必要であり、好ましくは10000w/cm2以上が必要となる。但し、ここでは詳しく述べなかったが5.0×105w/cm2以上の高パワー密度レーザーを利用するとアブレーションが起こり、光源を汚す等の問題から好ましくない。
【0029】
本発明の作用は明確ではないが、本発明の感熱性組成物に含まれる(I)一般式(A)乃至一般式(C)で示される酸/ラジカル発生剤は、オニウム塩構造でカウンターアニオンにカルボキシレートを有する化合物であり、一般的にラジカル重合開始剤として用いられるスルホナート(−SO3 -)や無機塩(PF6 -,SbF6 -,BF4 -)をカウンターアニオンに有する化合物に比べ、熱分解温度が低くなり、高感度となる。また、反応機構は定かではないが、酸/ラジカル発生剤が分解する際の熱により、カウンターアニオンのカルボン酸が脱炭酸を引き起こし、スルホニウム塩の母核のみならずカウンターアニオン側からも酸又はラジカルが発生するために高感度となると考えられる。
脱炭酸を引き起こしやすい構造としては、R−COO-のカルボキシル基とR基の結合解離エネルギーが低い場合、又は、R−COO-の構造のR部分の水素体であるR−HのpKaが低いこと、たとえば、pKaがメタンの水素体(CH3−H)よりも低いことが挙げられる。また、脱炭酸が行なわれる温度としては、250℃以下、好ましくは230℃以下、さらに好ましくは、215℃以下で脱炭酸を引き起こすことが好ましい。
さらに、分解時に発生する酸もカルボン酸或いは二酸化炭素、即ち、比較的弱酸であり、重合の開始、促進には有効であるが、スルホン酸等の強酸を発生する化合物に比べ、アルカリ水に対する浸透性が低いため、この組成物を平版印刷版原版の記録層として用いた場合、現像時におけるアルカリ性の現像液によるダメージが小さく、画像部の膜強度が高くなり、結果として耐刷性が向上するものと考えられる。
前記の作用により、(I)一般式(A)乃至一般式(C)で示される酸/ラジカル発生剤と(II)酸又はラジカルにより、物理的又は化学的特性が不可逆的に変化する化合物とを組みあわあせることで、熱或いは露光に対して高感度で、熱硬化性に優れた組成物が得られることがわかった。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の感熱性組成物は、(I)一般式(A)乃至一般式(C)で表される酸/ラジカル発生剤と、(II)酸又はラジカルにより、物理的、又は化学的特性が不可逆的に変化する化合物とを含有するため、熱により、(I)一般式(A)乃至一般式(C)で表される酸/ラジカル発生剤が分解して酸又はラジカルを発生し、その酸又はラジカルにより(II)酸又はラジカルにより、物理的、化学的特性が不可逆的に変化する化合物の物理的特性或いは化学的特性が変化して、ラジカル重合による硬化反応、発色、消色反応などが生じる。また、この感熱性組成物さらに、(III)光熱変換剤を含有するので、この光熱変換剤の吸収波長の光、例えば、赤外線レーザ等を照射することにより、(III)光熱変換剤が発熱し、赤外線レーザの光自体の熱、或いは(III)光熱変換剤が発生した熱により、(I)一般式(A)乃至一般式(C)で表される酸/ラジカル発生剤が分解して酸又はラジカルを発生し、(II)酸又はラジカルにより、物理的、又は化学的特性が不可逆的に変化する化合物の特性の変化が生じる。
【0031】
(I)一般式(A)乃至一般式(C)で表される熱により酸又はラジカルを発生する化合物
本発明で用いられる酸/ラジカル発生剤は、下記一般式(A)乃至一般式(C)で表される。
【0032】
【化21】
Figure 0004373624
【0033】
一般式(A)において、Xは前記の置換基又はハロゲン原子を表し、ここで、Rl、R2は同じでも異なっていても良い。
l、R2 は水原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基、或いはアリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、炭素数1〜10のアルコキシ基であり、これらはハロゲン原子、カルボニル基、アルコキシ基、エステル基、チオエーテル基、アミド基、イミド基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、チオカルボニル基、アミノ基、スルホン酸エステル基、スルホキシド基、アリール基、シリル基等で一官能以上置換されていても良い。
感度の面から好ましくは炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基である。
また、好ましいアリール基としてはフェニル、ナフタレン、アントラセン、イミダゾール、インドール、カルバゾール、フラン、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ピリジントリアゾール、ピラゾール、チオフェンが挙げられ、さらに好ましくは、フェニル基、ナフタレン、アントラセン、インドールである。
【0034】
また、M+スルホニウムカチオンを表す。
スルホニウムカチオンのなかでも、下記一般式(M−I)で表されるトリアリールスルホニウム骨格を有する化合物が安定性、感度の面から、さらに好ましい。
【0035】
【化22】
Figure 0004373624
【0036】
上記一般式(M−I)中、RM1〜R は、水素原子、直鎖、分岐あるいは環状アルキル基、直鎖、分岐あるいは環状アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、または−S−RM26基を表す。ここでRM26は直鎖、分岐、環状アルキル基またはアリール基を表す。
【0037】
一般式(M−I)における、RM1〜R の直鎖、分岐アルキル基としては、置換基を有してもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。環状アルキル基としては、置換基を有してもよい、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個のものが挙げられる。
M1〜R のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数2〜4個のものが挙げられる。
M1〜R のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
M26のアリール基としては、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜14個のものが挙げられる。アリール基は置換基を有してもよい。
M1〜R の基が有し得る好ましい置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、沃素原子)、炭素数6〜10個のアリール基、炭素数2〜6個のアルケニル基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
【0038】
【化23】
Figure 0004373624
【0039】
一般式(B)中、Yは一般式(A)におけるXと同義または、−OH、−CN、−NO2、−Si(R5)(R6)(R7)を表し、R3〜R7は同じでも異なっていても良く、一般式(A)におけるR と同義である。M+スルホニウムカチオンを表
具体的には、R3〜R7は前記一般式(A)のRl、R2において例示したものと同義であり、R3、R4は好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基である。また、R3、R4は互いに結合して環を形成していてもよい。
5〜R7は好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数1〜6のアルコキシ基である。
【0040】
【化24】
Figure 0004373624
【0041】
式中、R8は一価の非金属原子を表す。Arl、Ar2は同じでも異なっていても良いアリール基を表す。M+スルホニウムカチオンを表
具体的には、R8は前記一般式(A)のRl、R2において例示したものと同義であり、R8は好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は水酸基である。
Arl、Ar2としては、具体的には、フェニル、ナフタレン、アントラセン、イミダゾール、インドール、カルバゾール、フラン、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ピリジントリアゾール、ピラゾール、チオフェンが挙げられ、好ましくは、フェニル基、ナフタレン、アントラセン、インドールである。
【0042】
これらのうち、本発明に好適に用いられる酸/ラジカル発生剤としては、安定性及び熱反応性の観点から一般式(A)においてXが以下の構造を有するもの、
【0043】
【化25】
Figure 0004373624
【0044】
及び、一般式(B)においてYが以下の構造を有するもの及び一般式(C)で表されるものが挙げられる。
【0045】
【化26】
Figure 0004373624
【0046】
これらのうち、最も好ましい酸/ラジカル発生剤は、一般式(A)においてXが以下の構造を有するものである。
【0047】
【化27】
Figure 0004373624
【0048】
なお、前記化合物のうち、下記一般式(A−1)で表されるスルホニウム塩化合物及びそのさらに好ましい態様である下記一般式(A−2)で表されるスルホニウム塩化合物は新規化合物であり、本発明の酸/ラジカル発生剤としても特に有用である。この化合物は、従来のスルホニウム−スルホン酸塩、スルホニウム−無機塩に比較して、スルホニウム塩のカウンターアニオンにCOCOO-構造を有するアニオンを用いることで、熱分解がさらに効率よく起こり、高感度化が可能となるとともに、単なるスルホニウム−カルボン酸塩に比較しても、より安定性に優れるという利点を有するものである。
【0049】
【化28】
Figure 0004373624
【0050】
式(A−1)中、Ara-1、Ara-2、Ara-3はそれぞれ独立にアリール基を表し、R9はアルキル基又はアリール基を表す。
ここで、Ara-1、Ara-2、Ara-3で表されるアリール基は、炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ス位さん基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基より選ばれる置換基を有していてもよい。
Ara-1、Ara-2、Ara-3は好ましくは、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子で置換されたフェニル基である。また、R9は炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基を表し、このアリール基はAra-1、Ara-2、Ara-3と同義である。
また、このようなスルホニウム塩化合物のなかでも下記一般式(A−2)で表されるスルホニウム塩化合物が特に好ましい。
【0051】
【化29】
Figure 0004373624
【0052】
式(A−2)中、R10はフェニル基又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。R11、R12、R13はそれぞれ独立に水素原子、塩素原子、メチル基又はブチル基を表す。
なかでも、R10がフェニル基又はメチル基であるもの、R11、R12、及びR13の全てが水素原子又はブチル基であるもの、R11、R12、及びR13のうち2つがメチル基又は塩素原子であるものが感度の観点から好ましい。
【0053】
以下に、一般式(A)〜一般式(C)で表される酸/ラジカル発生剤の具体例を、好ましい対カチオンに対応するアニオン部との組み合わせで示すが、本発明はこれに制限されるものではない。
まず、一般式(A)で表される酸/ラジカル発生剤の具体例〔例示化合物(I−1)〜例示化合物(I−28)〕を例示する。
【0054】
【化30】
Figure 0004373624
【0055】
【化31】
Figure 0004373624
【0056】
【化32】
Figure 0004373624
【0058】
【化34】
Figure 0004373624
【0059】
以下に、一般式(B)で表される酸/ラジカル発生剤の具体例〔例示化合物(II−1)〜例示化合物(II−47)〕を例示する。
【0060】
【化35】
Figure 0004373624
【0061】
【化36】
Figure 0004373624
【0062】
【化37】
Figure 0004373624
【0063】
【化38】
Figure 0004373624
【0064】
【化39】
Figure 0004373624
【0065】
【化40】
Figure 0004373624
【0066】
【化41】
Figure 0004373624
【0068】
以下に、一般式(C)で表される酸/ラジカル発生剤の具体例〔例示化合物(III−1)〜例示化合物(III−17)〕を例示する。
【0069】
【化43】
Figure 0004373624
【0070】
【化44】
Figure 0004373624
【0073】
本発明に係るラジカル重合開始剤を形成するのに適するカルボン酸の例を以下に示す。
【0074】
【化47】
Figure 0004373624
【0075】
【化48】
Figure 0004373624
【0076】
【化49】
Figure 0004373624
【0077】
【化50】
Figure 0004373624
【0078】
【化51】
Figure 0004373624
【0079】
代表的な例として、トリフェニルスルホニウム−ベンゾイルギ酸〔例示化合物(I−1)〕の合成例を示す。
a−1)トリフェニルスルホニウムヨージドの合成
ジフェニルスルホキシド76gをベンゼン1200mlに溶解させ、これに塩化アルミニウム300gを加え、24時間還流した。反応液を氷冷下、水2Lにゆっくりと注ぎ、これに濃塩酸500mlを加えて70℃で10分加熱した。この水溶液を酢酸エチル800mlで洗浄し、濾過した後にヨウ化アンモニウム300gを水600mlに溶解したものを加えた。
析出した粉体をろ取、水洗した後、酢酸エチルで洗浄、乾燥するとトリフェニルスルホニウムヨージドが98g得られた。
a−2)トリフェニルスルホニウム−ベンゾイルギ酸(I−1)の合成
トリフェニルスルホニウムヨージド78gをメタノール1000mlに溶解させ、この溶液に酸化銀48.7gを加え、室温で4時間撹拌した。溶液を濾過し、これに過剰量のベンゾイルギ酸34.0gを加えた。反応液を濃縮し、濃縮液をそれぞれ酢酸エチル200ml、ヘキサン100ml、アセトン100ml、酢酸エチル200mlでリスラリーし、上澄み液をデキャントして、真空乾燥を行うことにより、トリフェニルスルホニウムのベンゾイルギ酸塩(I−1)75gが得られた(収率:91%)。
【0080】
以下に、化合物(I−1)をNMR(Varian 300MHz) CDCl3中で測定したNMRのスペクトルより求めたピークを示す。
1−NMR(300MHz):7.38(m、2H)、7.48(m、1H)、7.61−7.74(m、9H)、7.82(m、6H)、8.06(m、2H)
【0081】
b)例示化合物(I−2)の合成
前記トリフェニルスルホニウム−ベンゾイルギ酸(I−1)の合成において、カルボン酸として、ベンゾイルギ酸に代えて、過剰量のピルビン酸を加えた他は同様にして、例示化合物(I−2)を得た。
以下に、例示化合物(I−2)のNMR(300MHz:CDCl3)のスペクトルより求めたピークを示す。
1−NMR(300MHz):2.29(s、3H)、7.67−7.80(m、15H)
【0082】
c)例示化合物(I−12)の合成
前記トリフェニルスルホニウム−ベンゾイルギ酸(I−1)の合成において、a−2)における出発物質としてトリフェニルスルホニウムヨージドに代えて、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムヨージドを用いた他は同様にして、例示化合物(I−12)を得た。
以下に、化合物(I−12)のNMR(300MHz:CDCl3)スペクトルより求めたピークを示す。
1−NMR(300MHz):1.32(s、9H)、7.38(m、2H)、7.47(m、1H)、7.63(m、6H)、7.74(m、6H)、8.09(m、2H)
【0083】
d)例示化合物(I−27)の合成
前記トリフェニルスルホニウム−ベンゾイルギ酸(I−1)の合成において、a−1)の原料としてジフェニルスルホキシドに代えてジp−トリルホキシドを用いて、a−2)における出発物質としてのジ(4−メチルフェニル)スルホニウムヨージドを得て、それを用いた他は同様にして、例示化合物(I−27)を得た。
以下に、化合物(I−27)のNMR(300MHz:CDCl3)スペクトルより求めたピークを示す。
1−NMR(300MHz):2.42(s、6H)、7.33−7.49(m、7H)、7.59−7.76(m、7H)、7.73−7.76(m、2H)、8.04−8.07(m、2H)
【0084】
e)例示化合物(I−28)の合成
前記トリフェニルスルホニウム−ベンゾイルギ酸(I−1)の合成において、a−1)の原料としてジフェニルスルホキシドに代えてジ4−クロロスルホキシドを用いて、a−2)における出発物質としてのジ(4−クロロフェニル)スルホニウムヨージドを得て、それを用いた他は同様にして、例示化合物(I−28)を得た。
以下に、化合物(I−28)のNMR(300MHz:CDCl3)スペクトルより求めたピークを示す。
1−NMR(300MHz):7.36−7.41(m、2H)、7.45−7.52(m、1H)、7.56−7.87(m、13H)
【0085】
他のスルホニウム塩、ヨードニウム塩についても、出発物質、添加するカルボン酸を適宜、選択することで、同様に合成することができる。
【0086】
また、ヨードニウムヨージドを得る他の方法として、Bull.Chem.Soc.Jpn.70,219−224(1997),Bull.Chem.Soc.Jpn.70,1665−1669(1997),Bull.Chem.Soc.Jpn.70,115−120(1999),J.Amer.Chem.Soc;82;1960,725−731,J.Amer.Chem.Soc;81;1959,342−346記載の方法などを使用することができる。
【0087】
スルホニウムヨージドを得る他の方法として、J.Amer.Chem.Soc;91;1969;145−150,に記載の方法などが使用することができる。また、スルホニウムのカルボキシレートを得る他の方法としてはJ.Org.Chem35;1970 2539−2543記載の方法等が挙げられる。
【0088】
本発明の感熱性組成物には、前記一般式(A)乃至一般式(C)で表される酸/ラジカル発生剤は、組成物を構成する全固形分中、0.5〜30重量%含有されることが好ましい。
【0089】
本発明においては、前記特定の酸/ラジカル発生剤に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、他の公知の光重合開始剤、熱重合開始剤などを選択して併用することができる。これらの併用可能な重合開始剤としては、例えば、対カチオン部にカルボン酸構造を有しない公知のオニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジドなどが挙げられる。
【0090】
併用し得るラジカル発生剤として好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特願平11−310623号明細書の段落番号[0030]〜[0033]に記載されたものを挙げることができる。
【0091】
また、特開平9−34110号公報の段落番号[0012]〜[0050]に記載の一般式(I)〜(IV)で表されるオニウム塩、特開平8−108621公報の段落番号[0016]に記載の熱重合開始剤などの公知の重合開始剤も好ましく用いられる。
他の重合開始剤を併用する場合、これらの含有量は、前記特定の酸/ラジカル発生剤の50重量%以下とすることが好ましい。
本発明において用いられる酸/ラジカル発生剤は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、さらに360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、画像形成材料の取り扱いを白灯下で実施することができる。
【0092】
(II)酸又はラジカルにより、物理的特性又は化学的特性が不可逆的に変化する化合物
本発明の感熱性組成物における第2の必須成分である(II)酸又はラジカルにより、物理的特性又は化学的特性が不可逆的に変化する化合物について述べる。この化合物は、前記酸/ラジカル発生剤の熱により発生した酸又はラジカルの作用により、その物理的特性或いは化学的特性が変化し、その変化した状態が保持される化合物であり、このような性質を有する化合物であれば特に制限なく、任意の化合物を使用し得る。例えば、前記(I)酸/ラジカル発生剤において挙げた化合物自身がそのような性質を有する場合も多い。酸/ラジカル発生剤から生成した酸又はラジカルによる変化する(II)の化合物の特性としては、例えば、吸収スペクトル(色)、化学構造、分極率などの分子的な物性、溶解度、強度、屈折率、流動性、粘着性などの材料的な物性が挙げられる。
【0093】
(II)の化合物として、酸化・還元や吸核付加反応により吸収スペクトルが変化する化合物を用いた場合、酸/ラジカル発生剤より発生する酸又はラジカルによる酸化、還元などを引き起こし、画像形成が可能である。そのような例は、例えば、J.Am.Chem.Soc.,108,128(1986年)、J.Imaging.Soc.,30、215(1986年)、Israel.J.Chem.,25、264(1986年)に開示されている。
【0094】
また、(II)の化合物として、付加重合、又は、縮重合可能な化合物を用い、(I)酸/ラジカル発生剤と組み合わせることにより、熱硬化性樹脂、或いはネガ型フォトポリマーを形成することが可能である。
【0095】
(II)の化合物の含有量は、目的とする特性変化或いは用いられる化合物により最適な量を適宜選択するが、一般的には、酸化・還元や吸核付加反応により吸収スペクトルが変化する化合物を用いた場合、組成物全固形分中0.5〜40重量%程度であり、付加重合、又は、縮重合可能な化合物を用いた場合には、組成物全固形分中0.5〜30重量%程度である。
【0096】
本発明の目的の1つである高感度な平版印刷版原版の製造に好適な(II)の化合物として、(II−1)不飽和結合を有するラジカル重合可能な化合物が挙げられる。以下にこの化合物について詳細に説明する。
(II−1)不飽和結合を有するラジカル重合可能な化合物
本発明に使用されるラジカル重合性可能な化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、好ましくは、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくはま2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつものを包含する。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類があげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアナート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
【0097】
また、イソシアナート基や、エポキシ基、等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基、等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
【0098】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレー卜、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビト一ルペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
【0099】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p―(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0100】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
【0101】
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
【0102】
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
【0103】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0104】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものをあげる事ができる。
【0105】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(2)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0106】
【化52】
Figure 0004373624
【0107】
一般式(2)中、RおよびR’はHあるいはCH3を示す。
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
【0108】
さらに、特開昭63−277653,特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた感光性組成物を得ることができる。
【0109】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等もあげることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0110】
これらの、付加重合性化合物について、どの様な構造を用いるか、単独で使用するか併用するか、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終的な感材の性能設計にあわせて、任意に設定できる。例えば次のような観点から選択される。感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものが良く、さらに、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と、強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や、疎水性の高い化合物は感光スピードや、膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。
【0111】
また、感熱性組成物中の他の成分(例えばバインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうる事がある。
【0112】
本発明の感熱性組成物は熱による不可逆的な特性変化を発現することを特徴とするが、上記成分に加え、光熱変換剤を添加することにより、ヒートモード露光、代表的には、赤外線を発するレーザにより上記のような特性変化を生じさせることができる、即ち、感光性を有する組成物とすることができる。
以下にこの(III)光熱変換剤について説明する。
(III)光熱変換剤
本発明に用いられる光熱変換剤としては、記録に使用する光エネルギー照射線を吸収し、熱を発生する物質であれば特に吸収波長域の制限はなく用いることができるが、入手容易な高出力レーザーへの適合性の観点から波長760nmから1200nmに吸収極大を有する赤外線吸収性染料又は顔料が好ましく挙げられる。
【0113】
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体、オキソノール染料、ジイモニウム染料、アミニウム染料、クロコニウム染料等の染料が挙げられる。
【0114】
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクアリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0115】
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
【0116】
また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
【0117】
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、フタロシアニン染料、オキソノール染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、チオピリリウム染料、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。さらに、下記一般式(a)〜一般式(e)で示される染料が光熱変換効率に優れるため好ましく、特に下記一般式(a)で示されるシアニン色素は、本発明の重合性組成中で使用した場合に、高い重合活性を与え、且つ、安定性、経済性に優れるため最も好ましい。
【0118】
【化53】
Figure 0004373624
【0119】
一般式(a)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1又は以下に示す基を表す。ここで、X2は酸素原子又は、硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。
【0120】
【化54】
Figure 0004373624
【0121】
1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、さらに、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
【0122】
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていても良く、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていても良く、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、R1〜R8のいずれかにスルホ基が置換されている場合は、Za-は必要ない。好ましいZa-は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
【0123】
本発明において、好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、以下に例示するものの他、特願平11−310623号明細書の段落番号[0017]〜[0019]、特願2000−224031号明細書の段落番号[0012]〜[0038]、特願2000−211147号明細書の段落番号[0012]〜[0023]に記載されたものを挙げることができる。
【0124】
【化55】
Figure 0004373624
【0125】
【化56】
Figure 0004373624
【0126】
【化57】
Figure 0004373624
【0127】
【化58】
Figure 0004373624
【0128】
【化59】
Figure 0004373624
【0129】
前記一般式(b)中、Lは共役炭素原子数7以上のメチン鎖を表し、該メチン鎖は置換基を有していてもよく、置換基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。Zb+は対カチオンを示す。好ましい対カチオンとしては、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジニウム、アルカリ金属カチオン(Ni+、K+、Li+)などが挙げられる。R9〜R14及びR15〜R20は互いに独立に水素原子又はハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基から選択される置換基、或いは、これらを2つ若しくは3つ組合せた置換基を表し、互いに結合して環構造を形成していてもよい。ここで、前記一般式(b)中、Lが共役炭素原子数7のメチン鎖を表すもの、及び、R9〜R14及びR15〜R20がすべて水素原子を表すものが入手の容易性と効果の観点から好ましい。
【0130】
本発明において、好適に用いることのできる一般式(b)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
【0131】
【化60】
Figure 0004373624
【0132】
【化61】
Figure 0004373624
【0133】
前記一般式(c)中、Y3及びY4は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又はテルル原子を表す。Mは、共役炭素数5以上のメチン鎖を表す。R21〜R24及びR25〜R28は、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基を表す。また、式中Za-は対アニオンを表し、前記一般式(a)におけるZa-と同義である。
【0134】
本発明において、好適に用いることのできる一般式(c)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
【0135】
【化62】
Figure 0004373624
【0136】
【化63】
Figure 0004373624
【0137】
前記一般式(d)中、R29ないしR31は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。R33及びR34は各々独立に、アルキル基、置換オキシ基、又はハロゲン原子を示す。n及びmは各々独立に0ないし4の整数を示す。R29とR30、又はR31とR32はそれぞれ結合して環を形成してもよく、またR29及び/又はR30はR33と、またR31及び/又はR32はR34と結合して環を形成しても良く、さらに、R33或いはR34が複数存在する場合に、R33同士あるいはR34同士は互いに結合して環を形成してもよい。X2及びX3は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、X2及びX3の少なくとも一方は水素原子又はアルキル基を示す。Qは置換基を有していてもよいトリメチン基又はペンタメチン基であり、2価の有機基とともに環構造を形成してもよい。Zc-は対アニオンを示し、前記一般式(a)におけるZa-と同義である。
【0138】
本発明において、好適に用いることのできる一般式(d)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
【0139】
【化64】
Figure 0004373624
【0140】
【化65】
Figure 0004373624
【0141】
前記一般式(e)中、R35〜R50はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基、オニウム塩構造を示す。Mは2つの水素原子若しくは金属原子、ハロメタル基、オキシメタル基を示すが、そこに含まれる金属原子としては、周期律表のIA、IIA、IIIB、IVB族原子、第一、第二、第三周期の遷移金属、ランタノイド元素が挙げられ、中でも、銅、マグネシウム、鉄、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、バナジウムが好ましい。
【0142】
本発明において、好適に用いることのできる一般式(e)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
【0143】
【化66】
Figure 0004373624
【0144】
本発明において赤外線吸収剤として使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が挙げられる。
【0145】
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
【0146】
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0147】
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の画像感光層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると画像感光層の均一性の点で好ましくない。
【0148】
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0149】
これらの光熱変換剤は、感熱性組成物中に、全固形分の0.1〜30重量%添加されることが好ましい。この範囲より少なすぎる場合には露光による特性変化の感度が低くなり、感光性が充分に得られない傾向があり、多すぎる場合には膜の均一性や強度が低下する傾向にあるため、いずれも好ましくない。
【0150】
次に、前記の感熱性組成物を用いた本発明の平版印刷版原版について説明する。本発明の平版印刷版原版では、記録層に前記感熱性組成物を用いる。
(記録層)
まず、本発明の平版印刷版原版において画像形成機能を有する記録層(感光層)について説明する。本発明の平版印刷版原版の感光層は、(I)下記一般式(A)で表される酸/ラジカル重合開始剤、(III)光熱変換剤、(II−1)重合性の不飽和基を有する化合物、及び、(IV)バインダーポリマーを含有するが、赤外線レーザの照射により、(III)光熱変換剤が発熱し、赤外線レーザの光或いは赤外線レーザの照射によって(III)光熱変換剤が発生した熱により、(I)一般式(A)で表される酸/ラジカル発生剤が分解して酸又はラジカルを発生し、(II−1)重合性の不飽和基を有する化合物の硬化反応を促進し、露光部が硬化して画像部となり、ネガ型の画像を形成する。
【0151】
本発明の平版印刷版原版の記録層を形成するにあたって、前記(I)一般式(A)で表される酸/ラジカル発生剤は、感光層を構成する全固形分中、0.5〜15重量%含有されることが好ましい。この酸/ラジカル発生剤は後述する(III)光熱変換剤と組み合わせて用い、赤外線レーザを照射した際にその光又は熱或いはその双方のエネルギーにより酸又はラジカルを発生し、(II−1)重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進させる機能を有する。
【0152】
平版印刷版用原版の記録層に用いる(II−1)重合性の不飽和基を有する化合物は、前記の(II)の化合物の説明において詳述したとおりの化合物を用いるが、どのような化合物を用いるかは、前記した要件の他、後述の支持体、オーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。感熱性組成物中の(II−1)付加重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましく無い相分離が生じたり、感熱性組成物の粘着性による製造工程上の問題(例えば、感材成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、平版印刷版用原版とした場合、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。これらの観点から、好ましい配合比は、多くの場合、記録層を構成する組成物全固形分に対して5〜80重量%、好ましくは25〜75重量%である。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
【0153】
本発明の平版印刷版原版においては、前記(III)光熱変換剤は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよいが、ネガ型画像形成材料を作成した際に、感光層の波長760nm〜1200nmの範囲における吸収極大での光学濃度が、0.1〜3.0の間にあることが好ましい。この範囲をはずれた場合、感度が低くなる傾向がある。光学濃度は前記(III)光熱変換剤の添加量と記録層の厚みとにより決定されるため、所定の光学濃度は両者の条件を制御することにより得られる。記録層の光学濃度は常法により測定することができる。測定方法としては、例えば、透明、或いは白色の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの記録層を形成し、透過型の光学濃度計で測定する方法、アルミニウム等の反射性の支持体上に記録層を形成し、反射濃度を測定する方法等が挙げられる。
【0154】
(IV)水不溶性且つアルカリ水溶液可溶性のバインダー
本発明の平版印刷版原版においては、記録層にさらにバインダーポリマーを使用する。バインダーとしては線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」としては、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とする水あるいは弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。線状有機高分子重合体は、組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0155】
特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体および〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
【0156】
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特願平10−116232号等に記載される、酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
また、特開平11−171907記載のアミド基を有するバインダーは優れた現像性と膜強度をあわせもち、好適である。
【0157】
さらにこの他に水溶性線状有機高分子として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)―プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。これらの線状有機高分子重合体は全組成物中に任意な量を混和させることができる。しかし90重量%を超える場合には形成される画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ましくは30〜85重量%である。またエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と線状有機高分子重合体は、重量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。
【0158】
本発明のバインダーポリマーは実質的に水に不溶でアルカリ水溶液に可溶なものが用いられる。このため、現像液として、環境上好ましくない有機溶剤を用いないかもしくは非常に少ない使用量に制限できる。このようなバインダーポリマーの酸価(ポリマーlgあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)と分子量は画像強度と現像性の観点から適宜選択される。好ましい酸価は、0.4〜3.0meq/gであり好ましい分子量は3000から50万の範囲で、より好ましくは、酸価が0.6〜2.0、分子量が1万から30万の範囲である。
【0159】
(V)その他の成分
本発明の平版印刷版の記録層を構成する組成物中には、さらにその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤に関し例示する。
(V−1)共増感剤
ある種の添加剤(以後、共増感剤という)を用いることで、感度をさらに向上させる事ができる。これらの作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、熱重合開始剤により開始される光反応、と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、カチオン)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用するもの、に分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
【0160】
(a)還元されて活性ラジカルを生成する化合物
炭素−ハロゲン結合結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素一酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
フエロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。
【0161】
(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等があげられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
【0162】
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類をあげる事ができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン駿ナトリウム等をあげる事ができる。
【0163】
(c)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物:例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等があげられる。
【0164】
これらの共増感剤のより具体的な例は、例えば、特開昭9−236913号公報中に、感度向上を目的とした添加剤として、多く記載されており、それらを本発明においても適用することができる。
これらの共増感剤は、単独でまたは2種以上併用して用いることができる。使用量はエチレン性不飽和二重結合を有する化合物100重量部に対し0.05〜100重量部、好ましくは1〜80重量部、さらに好ましくは3〜50重量部の範囲が適当である。
【0165】
(V−2)重合禁止剤
また、本発明においては以上の基本成分の他に感光性組成物の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t―ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t―ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.01重量%〜約5重量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、平版印刷版用原版とする場合、支持体等への塗布後の乾燥の過程でその感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5重量%〜約10重量%が好ましい。
【0166】
(V−3)着色剤等
さらに、本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版に用いる場合、その感光層の着色を目的として染料もしくは顔料を添加してもよい。これにより、印刷版としての、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させる事ができる。着色剤としては、多くの染料は光重合系感光層の感度の低下を生じるので、着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5重量%〜約5重量%が好ましい。
【0167】
(V−4)その他の添加剤
さらに、本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版に用いる場合、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、その他可塑剤、感光層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
【0168】
可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物と結合剤との合計重量に対し10重量%以下添加することができる。
【0169】
また、後述する膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するための、UV開始剤や、熟架橋剤等の添加もできる。
その他、感光層と支持体との密着性向上や、未露光感光層の現像除去性を高めるための添加剤、中間層を設ける事を可能である。例えば、ジアゾニウム構造を有する化合物や、ホスホン化合物、等、基板と比較的強い相互作用を有する化合物の添加や下塗りにより、密着性が向上し、耐刷性を高める事が可能であり、一方ポリアクリル酸や、ポリスルホン酸のような親水性ポリマーの添加や下塗りにより、非画像部の現像性が向上し、汚れ性の向上が可能となる。
【0170】
平版印刷版を提供するために、本発明の感光性組成物を支持体上に塗布する際には、種々の有機溶剤に溶かして使用に供される。ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N―ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ―ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50重量%が適当である。
【0171】
前記感光層の支持体への塗布量は、感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性等の影響を考慮し、用途に応じ適宜選択することが望ましい。塗布量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。本発明の平版印刷版原版における塗布量は、一般的には、乾燥後の重量で約0.lg/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/m2である。
【0172】
「保護層」
本発明の平版印刷版原版では、光重合性の化合物を含む記録層の上に、必要に応じて保護層を設ける事ができる。このような平版印刷版原版は、通常、露光を大気中で行うが、保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光による画像形成反応の阻害を防止する。従って、この様な保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、さらに、露光に用いる光の透過性が良好で、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できる事が望ましい。
【0173】
このような、保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3、458、311号、特開昭55−49729号に詳しく記載されている。保護層に使用できる材料としては例えば、比較的、結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いる事がよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが知られていが、これらのうち、ポリビニルアルコールを主成分として用いる事が、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。
【0174】
ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、分子量が300から2400の範囲のものをあげる事ができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA一CS、PVA―CST、PVA一HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。
【0175】
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を新油性の重合層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。
【0176】
これに対し、これら2層間の接着性を改すべく種々の提案がなされている。たとえば米国特許第292、501号、米国特許第44、563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジヨンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60重量%混合し、重合層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用する事ができる。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号、特開昭55−49729号に詳しく記載されている。
【0177】
さらに、保護層に他の機能を付与する事もできる。例えば、露光に使う光(例えば、赤外線レーザならば波長760〜1200nm)の透過性に優れ、かつ露光に係わらない波長の光を効率良く吸収しうる、着色剤(水溶性染料等)の添加により、感度低下を起こすことなく、セーフライト適性をさらに高める事ができる。
【0178】
(支持体)
本発明の平版印刷版原版に使用される支持体としては、寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)等が挙げられる。これらは、樹脂フィルムや金属板などの単一成分のシートであっても、2以上の材料の積層体であってもよく、例えば、上記のごとき金属がラミネート、若しくは蒸着された紙やプラスチックフィルム、異種のプラスチックフィルム同志の積層シート等が含まれる。
【0179】
前記支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。
前記アルミニウム板の厚みは、およそ0.1〜0.6mm程度、好ましくは0.15〜0.4mm、特に好ましくは0.2〜0.3mmである。
【0180】
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
この様に粗面化されたアルミニウム板は、所望により、アルカリエッチング処理、中和処理を経て、表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施すことができる。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸或いはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
【0181】
陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。
陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2 以上が好適であるが、より好ましくは2.0〜6.0g/m2 の範囲である。陽極酸化被膜が1.0g/m2 未満であると耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
尚、このような陽極酸化処理は平板印刷版の支持体の印刷に用いる面に施されるが、電気力線の裏回りにより、裏面にも0.01〜3g/m2 の陽極酸化被膜が形成されるのが一般的である。
【0182】
支持体表面の親水化処理は、上記陽極酸化処理の後に施されるものであり、従来より知られている処理法が用いられる。このような親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号公報に開示されているようなアルカリ金属珪酸塩(例えば、珪酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体が珪酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか、又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号公報に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が用いられる。
これらの中で、本発明において特に好ましい親水化処理は珪酸塩処理である。珪酸塩処理について、以下に説明する。
【0183】
上述の如き処理を施したアルミニウム板の陽極酸化皮膜を、アルカリ金属珪酸塩が0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜10重量%であり、25℃でのpHが10〜13である水溶液に、例えば15〜80℃で0.5〜120秒浸漬する。アルカリ金属珪酸塩水溶液のpHが10より低いと液はゲル化し13.0より高いと酸化皮膜が溶解されてしまう。本発明に用いられるアルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属珪酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩もしくは第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、燐酸塩、酢酸塩、蓚酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩として、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、蓚酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。アルカリ土類金属塩もしくは、第IVB族金属塩は単独又は2以上組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の好ましい範囲は0.01〜10重量%であり、更に好ましい範囲は0.05〜5.0重量%である。
珪酸塩処理により、アルミニウム板表面上の親水性が一層改善されるため、印刷の際、インクが非画像部に付着しにくくなり、汚れ性能が向上する。
【0184】
支持体の裏面には、必要に応じてバックコートが設けられる。かかるバックコートとしては、特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物および特開平6−35174号公報記載の有機または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。
これらの被覆層のうち、Si(OCH3 4 、Si(OC2 5 4 、Si(OC3 7 4 、Si(OC4 9 4 などの珪素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから与られる金属酸化物の被覆層が耐現像性に優れており特に好ましい。
【0185】
(露光)
以上のようにして、本発明の平版印刷版原版を作成することができる。この平版印刷版原版は、波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザにより画像露光される。本発明においては、レーザ照射後すぐに現像処理を行っても良いが、レーザ照射工程と現像工程の間に加熱処理を行ってもよい。加熱処理の条件は、80℃〜150℃の範囲内で10秒〜5分間行うことが好ましい。この加熱処理により、レーザ照射時、記録に必要なレーザエネルギーを減少させることができる。
【0186】
(現像液)
本発明の感光性組成物を用いた感光材料を画像形成材料として使用する際には、通常、画像露光したのち、現像液で感光層の未露光部を除去し、画像を得る。これらの光重合性組成物を平版印刷版の作成に使用する際の好ましい現像液としては、特公昭57−7427号に記載されているような現像液が挙げられ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニア水などのような無機アルカリ剤やモノエタノールアミンまたはジエタノールアミンなどのような有機アルカリ剤の水溶液が適当である。このようなアルカリ溶液の濃度が0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%になるように添加される。
【0187】
また、このようなアルカリ性水溶液には、必要に応じて界面活性剤やベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、2−ブトキシエタノールのような有機溶媒を少量含むことができる。例えば、米国特許第3375171号および同第3615480号に記載されているものを挙げることができる。
さらに、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号の各公報に記載されている現像液も優れている。
【0188】
以上のようにして得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。
平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスクィージ、あるいは、スクィージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
【0189】
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行なわれている処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。
この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0190】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0191】
(実施例1、2、4、6、7、9、12〜16、および18〜20、参考例3、5、8、10、11、および17、比較例1〜4)
[基板の作製]
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミス−水懸濁液を用いこの表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。次にこの板を7%硫酸を電解液として電流密度15A/dm2で3g/m2の直流電極酸化皮膜を設けた後、水洗し、乾燥して基板〔A〕を作製した。
基板[A]を珪酸ナトリウム 2重量%水溶液で25℃で15秒処理し、水洗して基板[B]を作製した。
【0192】
[中間層の形成]
次に下記の手順によりSG法の液状組成物(ゾル液)を調整した。
<ゾル液組成>
・メタノール 130g
・水 20g
・85重量%リン酸 16g
・テトラエトキシシラン 50g
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 60g
上記の各化合物を混合し、撹拌した。約5分で発熱が認められた。60分間反応させた後、内容物を別の容器へ移し、メタノール3000gを加えることにより、ゾル液を得た。
このゾル液をメタノール/エチレングリコール=9/1(重量比)で希釈して、上述の様に作製された基板[A]上に、基板上のSiの量が3mg/m2となるように塗布し、100℃にて1分間乾燥させ、基板[C]を得た。
【0193】
[平版印刷版原版の形成]
上述の様に作製された基板[A]乃至基板[C]のいずれかを支持体とし、その表面に、以下の感光層塗布液を塗布量が1.5g/m2となるように塗布し、実施例1、2、4、6、7、9、12〜16、および18〜20、参考例3、5、8、10、11、および17の平版印刷版原版を得た。使用する基板、(I)酸/ラジカル発生剤(重合開始剤と表示する)、(II)光熱変換剤、(III)重合性の不飽和基を有する化合物(付加重合性化合物と表示する)、(IV)バインダーは下記表1及び表2に示す通りである。
【0194】
(感光層塗布液)
Figure 0004373624
【0195】
【表1】
Figure 0004373624
【0196】
【表2】
Figure 0004373624
【0197】
【化67】
Figure 0004373624
【0198】
(表1又は表2中の付加重合性化合物)
(M−1)
ペンタエリスリトールテトラアクリレート
(M−2)
グリセリンジメタクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー
【0199】
(表1又は表2中のバインダー)
(B−1)
アリルメタクリレート/メタクリル酸/N−イソプロピルアミド共重合体
(共重合モル比:67/13/20)
酸価(NaOH滴定により実測)1.15meq/g
重合平均分子量13万
(B−2)
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合モル比:83/17)
酸価(NaOH滴定により実測)1.55meq/g
重合平均分子量12.5万
(B−3)
下記ジイソシアネートとジオールの縮合物であるポリウレタン樹脂
(a)4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
(b)ヘキサメチレンジイソシアネート
(c)ポリプロピレングルコール(重量平均分子量:1000)
(d)2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸
((a)/(b)/(c)/(d) 共重合モル比:40/10/15/35)
酸価(NaOH滴定により実測)1.05meq/g
重合平均分子量4.5万
【0200】
(比較例1〜4)
比較のため、基板[A]乃至基板[C]いずれかの表面に前記一般式(A)で表される以外の、オニウム塩構造でカウンターアニオンに、例えば、スルホナート(−SO3 -)をカウンターアニオンに有するような公知のラジカル重合開始剤H−1、H−2、H−3、H−4(構造は下記に示す通りである)を用い、その他は表2に示す組成の感光層塗布液を用いて感光層を形成し、平版印刷版用原版を得た(比較例1〜4)。
【0201】
【化68】
Figure 0004373624
【0202】
[露光、現像]
得られた平版印刷版用原版を出力500mW、波長830nm、ビーム径17μm(l/e2)の半導体レーザを用いて主走査速度5m/秒にて露光した後、富士フィルム(株)社製DN3C現像液、またはDP−4現像液及びリンス液FR−3(1:7)を仕込んだ自動現像機(富士写真フィルム(株)製:PSプロセッサー900VR)を用いて現像し、以下の評価を行った。なお、現像処理に際していずれの現像液を用いたかは前記表1又は表2に併記した。
【0203】
[耐刷性試験]
印刷機としてローランド社製R201を使用し、インキとして大日本インキ社製GEOS−G(N)を使用した。ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数によって耐刷性を調べた。比較例1における数値(枚数)を100とした相対比で表した。数字が大きいほど耐刷性が良いと評価する。
【0204】
[感度の評価]
平版印刷版原版を波長830〜850nm程度の赤外線を発する半導体レーザーで露光した。露光後、富士写真フイルム(株)製現像液DN−3C(1:2の比率で水で希釈)、或いは富士写真フイルム(株)製現像液DP−4(1:8の比率で水で希釈)で現像し、水洗した。これらの際得られた画像の線幅とレーザー出力、光学系でのロス及び走査速度を基に、記録に必要なエネルギー量を算出した。数値が小さいほど高感度であることを表す。
これらの評価結果を表1又は表2に併記する。
【0205】
表1及び表2の結果より、本発明の平版印刷版原版は、画像部のアルカリ現像液に対する耐性が高くて、耐刷性能に優れ、且つ、高感度であることがわかる。一方、公知のラジカル重合開始剤を用いた比較例1の平版印刷版原版は、重合開始剤以外はすべて同じ条件で得られた実施例1のそれぞれと互いに比較して耐刷性及び感度ともに劣っていることがわかった。また、カウンターアニオンに本発明の範囲に属さない構造のカルボキシレートを有する化合物を用いた比較例2は画像形成しなかった。
【0206】
(実施例21、22、24、26、27、29、32〜36、および38〜40、参考例23、25、28、30、31、および37、比較例5〜8)
前記実施例実施例1、2、4、6、7、9、12〜16、および18〜20、参考例3、5、8、10、11、および17、比較例1〜4で得られた平版印刷版原版の感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度:98モル%、重合度:550)の3重量%水溶液を乾燥後の塗布量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥して感光層上に保護層を設けた平版印刷版原版を得て、それぞれ実施例21、22、24、26、27、29、32〜36、および38〜40、参考例23、25、28、30、31、および37、比較例5〜8とした。
得られた平版印刷版原版を上記実施例1、2、4、6、7、9、12〜16、および18〜20、参考例3、5、8、10、11、および17、比較例1〜4と同様の条件で、露光、現像して平版印刷版を製版し、同様に非画像部の残色と画像部の密着性及び耐刷性を評価した。結果を前記表1又は表2に併記する。
【0207】
表1及び表2の結果より、感光層の上に保護層を設けた場合においても、保護層を有しない実施例1、2、4、6、7、9、12〜16、および18〜20と同様の傾向が見られ、本発明の平版印刷版原版は、画像部のアルカリ現像液に対する耐性が高くて、耐刷性能に優れ、高感度であること、さらに、保護層を設けることで感度、耐刷性ともに性能がさらに向上していることがわかる。
【0208】
(実施例41)
支持体としてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ0.1mm)上に、下記記録層塗布液を乾燥後の塗布量が2.0g/m2となるように塗布し、透明の記録材料を得た。
(記録層塗布液)
・付加重合性化合物(M−1) 2.0g
・バインダー(B−1) 1.6g
・酸/ラジカル発生剤(I−1) 0.4g
・メチルエチルケトン 10g
・メタノール 5g
・2−メトキシ−1−プロパノール 10g
【0209】
この記録材料を、200℃のオーブンで15秒間加熱支持体上の記録層を加熱硬化させた。その後、ジメチルスルホキシド中に5分間浸漬し、残存した記録層の量からこの記録層の不溶化率を求めたところ、97%の不溶化率を示した。このことから、一般式(A)乃至一般式(C)で表される酸/ラジカル発生剤を含有する本発明の感熱性組成物からなる記録層は加熱により良好に硬化していることが確認された。
【0210】
(比較例9)
前記記録層塗布液中のラジカル発生剤(I−1):対カチオンPh−COCOO-)に代えて、対カチオンとしてSbF6 -を有するラジカル発生剤を含有するものを用い、実施例41と同様にして記録層を加熱硬化させ、不溶化率を測定したところ、14%の不溶化率を示した。同様のアニオン部を有するラジカル発生剤の対比において、本発明の感熱性組成物は感度に優れていることが確認された。
【0211】
参考例42)
支持体としてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ0.1mm)上に、下記記録層塗布液を乾燥後の塗布量が2.0g/m2となるように塗布し、淡黄色透明の記録材料を得た。
(記録層塗布液)
・酸化発色染料(ロイコクリスタルバイオレット) 0.2g
・バインダー(ポリメチルメタクリレート) 2.7g
・酸/ラジカル発生剤(III−1) 0.3g
・メチルエチルケトン 10g
・メタノール 8g
・2−メトキシ−1−プロパノール 8g
【0212】
この記録材料を200℃のオーブンで15秒間加熱支持体上の記録層を加熱、発色させた。記録層は鮮やかな青色に発色した。このことから、一般式(A)乃至一般式(C)で表される酸/ラジカル発生剤を含有する本発明の感熱性組成物からなる記録層は、ラジカルの発生によりロイコ色素が酸化発色していると推定される。
【0213】
【発明の効果】
本発明の感熱性組成物は、加熱による高感度な物性の不可逆的な変化が可能であった。また、この感熱性組成物を用いたネガ型平版印刷版原版は、赤外線レーザにより書き込みが可能であり、画像部の耐アルカリ現像液性が良好で、耐刷性に優れ、高感度であるという効果を奏する。

Claims (8)

  1. (I)下記一般式(A)、一般式(B)又は一般式(C)で表される熱により酸又はラジカルを発生する化合物、(II)酸又はラジカルにより、物理的特性、又は化学的特性が不可逆的に変化する化合物、(III)光熱変換剤、及び、(IV)バインダーポリマー を含有することを特徴とする感熱性組成物。
    Figure 0004373624
    式中、Xは以下に示す基或いはハロゲン原子を表す。Mはスルホニウムカチオンを表す。
    Figure 0004373624
    式中、R、Rは同じでも異なっていても良く、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、又は炭素数1〜10のアルコキシ基を表し、これらはハロゲン原子、カルボニル基、アルコキシ基、エステル基、チオエーテル基、アミド基、イミド基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、チオカルボニル基、アミノ基、スルホン酸エステル基、スルホキシド基、アリール基、及び、シリル基から選ばれた置換基で一官能以上置換されていても良い
    Figure 0004373624
    式中、Yは一般式(A)におけるXと同義または、‐OH、‐CN、‐NO2、−Si(R5)(R6)(R7)を表す。
    〜Rは同じでも異なっていても良く、一般式(A)におけるRと同義である。Mはスルホニウムカチオンを表す。
    Figure 0004373624
    式中、Rは、一般式(A)におけるRと同義である。Ar、Arは同じでも異なっていても良いアリール基を表す。Mはスルホニウムカチオンを表す。
  2. 前記(III)光熱変換剤の吸収波長の露光により、(I)一般式(A)、一般式(B)又は一般式(C)で表される熱により酸又はラジカルを発生する化合物から酸又はラジカルが発生し、(II)酸又はラジカルにより、物理的特性、又は化学的特性が不可逆的に変化する化合物の、物理的特性、又は化学的特性が変化することを特徴とする請求項1に記載の感熱性組成物。
  3. 前記一般式(A)、一般式(B)又は一般式(C)におけるM が、トリアリールスルホニウムカチオンである請求項1または請求項2に記載の感熱性組成物。
  4. 前記一般式(A)で表される熱により酸又はラジカルを発生する化合物が、下記一般式(A−1)で表されるスルホニウム塩化合物である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の感熱性組成物。
    Figure 0004373624
    式中、Ar a−1 、Ar a−2 、及びAr a−3 はそれぞれ独立にアリール基を表し、R はアルキル基又はアリール基を表す。
  5. 前記一般式(A)で表される熱により酸又はラジカルを発生する化合物が、下記一般式(A−2)で表されるスルホニウム塩化合物である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の感熱性組成物。
    Figure 0004373624
    式中、R 10 はフェニル基又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。R 11 、R 12 、及びR 13 はそれぞれ独立に水素原子、塩素原子、メチル基又はブチル基を表す。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の感熱性組成物を含む感光層を有し、該感熱性組成物おける(II)酸又はラジカルにより、物理的特性、又は化学的特性が不可逆的に変化する化合物が、(II−1)不飽和結合を有するラジカル重合可能な化合物であることを特徴とするヒートモード対応平版印刷版原版。
  7. 下記一般式(A−1)で表されるスルホニウム塩化合物。
    Figure 0004373624
    式中、Ara−1、Ara−2、Ara−3はそれぞれ独立にアリール基を表し、Rはアルキル基又はアリール基を表す。
  8. 下記一般式(A−2)で表されるスルホニウム塩化合物。
    Figure 0004373624
    式中、R10はフェニル基又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。R11、R12、R13はそれぞれ独立に水素原子、塩素原子、メチル基又はブチル基を表す。
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