JP4637044B2 - 感光性組成物、画像記録材料、平版印刷版原版及び画像記録方法 - Google Patents
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Description
振波長に対し高感度な画像記録材料として用いる感光性組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、広く350nmから850nmの波長に対し高感度かつ黄灯下作業性の高い新規な光重合開始系を用いる感光性組成物を提供することにある。さらに本発明の他の目的は、前記感光性組成物を用いた画像記録材料および画像記録方法を提供することにある。
(1)(A)一般式(I)で表されるテトライミダゾール化合物、および、
(B)ラジカル及び酸の少なくともいずれかによって反応する付加重合性化合物
を含有する感光性組成物。
(2)さらに350nm〜850nmに吸収極大λmaxを持つ増感色素(C)を含有することを特徴とする上記(1)に記載の感光性組成物。
(3)増感色素(C)として、クマリン系、スチリル系、シアニン系、メロシアニン系色素から選ばれる化合物を含むことを特徴とする上記(2)に記載の感光性組成物。
(4)支持体上に、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の感光性組成物から形成された感光層を有する画像記録材料。
(5)支持体上に、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の感光性組成物から形成された感光層を備えた平版印刷版原版。
(6)支持体上に、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の感光性組成物を含有する感光層を有する画像記録材料に対し、450nmより短波長のレーザ光源を用いて走査露光を行う画像記録方法。
本発明の感光性組成物は、非常に優れた感度を有することが特徴である。この理由としては、(a)前記一般式(I)で表される化合物は非常に長い共役構造を有するテトライミダゾール構造を持つため、長波極大吸収波長が非常に長く、露光レーザを自己吸収可能なため、ホモリティックなダイマー結合解裂により1光子2ラジカル生成が可能であること、(b)共役構造が広いことによるラジカル安定化効果が大きく、ラジカルが重合性化合物と高効率で反応できる、ことが挙げられる。
〔光重合開始系〕
本発明の感光性組成物に使用される光重合開始系は、前記一般式(I)で示されるテトライミダゾール化合物(開始剤)からなる。
本発明の感光性組成物に用いられる光重合開始系を構成するテトライミダゾール化合物は、一般式(I)で表される化合物である。
表す。m及びnは、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。Zは、置換もしくは非置換の、アリール基またはヘテロアリール基を表す。また、R1とR2、R3とR4はそれぞれ互いに結合して、脂環または芳香環を形成してもよい。)
Z1は、R7が置換した隣接ジエン構造と連結することで、置換もしくは非置換のアリール基、ヘテロアリール基を表す。
またR5とR6とR7はそれぞれ互いに結合して、脂環または芳香環を形成してもよい。)
またR11、R12、R9とR10はそれぞれ互いに結合して、脂環または芳香環を形成してもよい。)
一般式(I)において、R1〜R4の一価の非金属原子団としては、特に限定されず、後述のアリール基およびヘテロアリール基が有してもよい置換基として挙げるものを挙げることができ、好ましくは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10)、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン、エステル基(好ましくは炭素数1〜10)、ケトン基(好ましくは炭素数1〜10)、ジアルキルアミノ基(好ましくは炭素数2〜10)、モノアルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜10)、チオール基、チオアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、または、置換もしくは非置換のアリール基もしくはヘテロアリール基などが挙げられる。
なお、R1〜R4のそれぞれについて水素原子であるとは、無置換であることを意味する。
アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができ、これらは置換基を有しても良い。
フィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、
<作業工程>
フェリシアン化カリウム3.7g、水酸化カリウム3.1g、水70ml、トルエン40mlを混合後、固体がなくなるまで室温で撹拌した。その後、下記T'−1を2.8g加えオイルバスを80℃に加熱し、還流下で4時間撹拌した。
還流下で4時間撹拌した反応液を放冷した後、水100mlを加えトルエンで抽出したトルエンでなる有機相を塩化ナトリウム水溶液、ついで水で洗浄した。洗浄後、この有機相を濃縮すると赤灯色油状物が得られた。得られた液体をメタノールで再結晶し、目的のT−1、2.5gを得た。
フェリシアン化カリウム3.4g、水酸化カリウム3.0g、水70ml、トルエン40mlを混合後、固体がなくなるまで室温で撹拌した。その後、下記T'−5を3.0g加えオイルバスを80℃に加熱し、還流下で4時間撹拌した。
還流下で4時間撹拌した反応液を放冷した後、水100mlを加えトルエンで抽出したトルエンでなる有機相を塩化ナトリウム水溶液、ついで水で洗浄した。洗浄後、この有機相を濃縮すると赤灯色油状物が得られた。得られた液体をメタノールで再結晶し、目的のT−5、2.6gを得た。
本発明において用いられるテトライミダゾール化合物および併用する重合開始剤は、極大吸収波長が500nm以下であることが好ましく、さらに400nm以下であることが好ましい。
本発明の感光性組成物は、前述の光重合開始系の他、ラジカルまたは酸の少なくともいずれかによって反応しその物理的または化学的特性が変化して保持される化合物を含有する。このような化合物としては、具体的には少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、より詳細には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定すること無く用いることができる。
これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類があげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、イソシアナト基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。
また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジ
クロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものをあげる事ができる。
(ただし、RおよびR′はHあるいはCH3を示す。)
用することができる。
本発明の感光性組成物には、350〜850nmに極大吸収λmaxを有する増感色素を含有することが好ましい。このような増感色素としては、分光増感色素、光源の光を吸収して光重合開始剤と相互作用する以下に示す染料あるいは顔料があげられる。
好ましい分光増感色素または染料としては、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアニン類(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体、アントラキノン類、例えば(アントラキノン)、スクアリウム類、例えば(スクアリウム)等が挙げられる。
報記載のベンゾフラン色素、特開平2−85858号、特開平2−216154号各公報記載の共役ケトン色素、特開昭57−10605号公報記載の色素。特公平2−30321号公報記載のアゾシンナミリデン誘導体、特開平1−287105号公報記載のシアニン系色素、特開昭62−31844号、特開昭62−31848号、特開昭62−143043号各公報記載のキサンテン系色素、特公昭59−28325号公報記載のアミノスチリルケトン、特公昭61−9621号公報記載のメロシアニン色素、特開平2−179643号公報記載の色素。特開平2−244050号公報記載のメロシアニン色素、特公昭59−28326号公報記載のメロシアニン色素、特開昭59−89303号公報記載のメロシアニン色素、特開平8−129257号記載のメロシアニン色素、特開平8−334897号記載のベンゾピラン系色素、等を挙げることができる。
好ましい前記染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号各公報等に記載されているシアニン染料、英国特許434,875号明細書記載のシアニン染料等を挙げることができる。
ここで、アニオン性赤外線吸収剤とは、実質的に赤外線を吸収する色素の母核にカチオン構造がなく、アニオン構造を有するものを示す。例えば、(b1)アニオン性金属錯体、(b2)アニオン性カーボンブラック、(b3)アニオン性フタロシアニン、さらに(b4)下記一般式Aで表される化合物などが挙げられる。これらのアニオン性赤外線吸収剤の対カチオンは、プロトンを含む一価の陽イオン、あるいは多価の陽イオンである。
含む1〜m価のカチオンを表し、mは1ないし6の整数を表す。Mは共役鎖を表し、この共役鎖Mは置換基や環構造を有していてもよい。共役鎖Mは、下記式で表すことができる。
−(C(−R1)=C(−R2))n−C(−R3)=
ルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基を表し、これらは互いに連結して環構造を形成していてもよい。nは、1〜8の整数を表す。
表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。前記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
本発明における増感色素も単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。さらに本発明の光重合性組成物には、感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として加えても良い。
例えば、増感色素を2種以上併用することで、感光性組成物層への相溶性を高めることができる。増感色素の選択は、感光性の他、使用する光源の発光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光係数の大きな色素を使用する事により、色素の添加量は比較的少なくできるので、経済的であり、かつ平版印刷版用原版に用いた場合、その感光層の膜物性の点からも有利である。該感光層の感光性、解像度や、露光膜の物性は光源波長での吸光度に大きな影響を受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量を適宜選択する。
る場合には、これは、通常、感光層成分100質量部に対し、0.05〜30質量部、好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは0.2〜10質量部の範囲である。
本発明の感光性組成物を、その好ましい実施形態である平版印刷版用原版の感光層への適用に際しては、前述のテトライミダゾール化合物および付加重合性化合物、増感色素の他に、さらにバインダーポリマーを使用することが好ましい。バインダーとしては線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」としては、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とする水あるいは弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。
線状有機高分子重合体は、組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号各公報に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版等の画像記録材料の感光層として用いるには、さらにその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。
以下、好ましい添加剤に関し例示する。
(E1)共増感剤
ある種の添加剤(以後、共増感剤という)を用いることで、該感光層の感度をさらに向上させる事ができる。これらの作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、先述の光重合開始系の光吸収により開始される光反応、と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、過酸化物、酸化剤、還元剤等)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成する化合物、(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物、に分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
フェロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類をあげる事ができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン酸ナトリウム等を挙げることができる。
活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
また、本発明の感光性組成物においては、以上の基本成分の他に、その製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−
t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また平版印刷版用原版等の感光層として塗布する場合、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で該感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版等の画像記録材料の感光層として用いる場合、さらに、該感光層の着色を目的として染料もしくは顔料の着色剤を添加してもよい。これにより、平版印刷版用原版としての、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させる事ができる。
着色剤としては、多くの染料は光重合系感光層の感度の低下を生じるので、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版等の感光層に用いる場合、さらに、その硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、その他可塑剤、該感光層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、バインダーポリマーを使用した場合、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物とバインダーポリマーとの合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
その他、該感光層と支持体との密着性向上や、未露光感光層の現像除去性を高めるための添加剤、中間層を設ける事を可能である。例えば、ジアゾニウム構造を有する化合物や、ホスホン化合物等、後述の基板と比較的強い相互作用を有する化合物の添加や下塗りにより、密着性が向上し、耐刷性を高める事が可能であり、一方ポリアクリル酸や、ポリスルホン酸のような親水性ポリマーの添加や下塗りにより、非画像部の現像性が向上し、汚れ性の向上が可能となる。
本発明の感光性組成物の主要な使用目的の一つである、平版印刷版用原版を得るには該感光性組成物からなる感光層を、表面が親水性の支持体上に設ける事が望ましい。親水性の支持体としては、従来公知の平版印刷版用原版に使用される親水性支持体を限定無く使用することができる。
使用される支持体は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれ、これらの表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上、等の目的で適切な公知の物理的、化学的処理を施してもよい。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的
に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸、硝酸等の電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。また、アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するために、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
また、米国特許第3658662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。
さらにまた、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレイン、陽極酸化処理さらに珪酸ソーダ処理を順に行ったものも好適である。
さらに特開平7−159983号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起こし得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる感光性組成物の有害な反応を防ぐため、かつ感光層の密着性の向上等のために施されるものである。
本発明の感光性組成物の望ましい使用態様である、走査露光用平版印刷版においては、通常、露光を大気中で行うため、該感光性組成物からなる層の上に、さらに、保護層を設ける事が好ましい。
保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、この様な保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できる事が望ましい。この様な、保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3、458、311号明細書および特開昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
ウム、メタケイ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニア水などのような無機アルカリ剤やモノエタノールアミンまたはジエタノールアミンなどのような有機アルカリ剤の水溶液が適当である。このようなアルカリ溶液の濃度が0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%になるように添加される。
A−W
(式中、AはA−HのLogPが1.5以上の疎水性有機基を表し、WはのLogPが1.0未満の非イオン性の親水性有機基を表す。)
350nm〜450nmの入手可能なレーザ光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザとして、Arイオンレーザ(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザ(356nm、351nm、10mW〜1W)、He−Cdレーザ(441nm、325nm、1mW〜100mW)、固体レーザとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355nm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm、10mW)、
長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)その他、パルスレーザとしてN2レーザ(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)。特にこの中でAlGaInN半導体レーザ(市販InGaN系半導体レーザ400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
・内面ドラム方式で総出力20mW以上の半導体レーザとなる様に、ガスレーザあるいは固体レーザ光源を1個以上使用するシングルビーム〜トリプルビームの露光装置
・フラットベッド方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザ、ガスレーザあるいは固体レーザを1個以上使用したマルチビーム(1〜10本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザ、ガスレーザあるいは固体レーザを1個以上使用したマルチビーム(1〜9本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザあるいは固体レーザを1個以上使用したマルチビーム(10本以上)の露光装置以上のようなレーザ直描型の平版印刷版においては、一般に感材感度X(J/cm2)、感材の露光面積S(cm2)、レーザ光源1個のパワーq(W)、レーザ本数n、全露光時間t(s)との間に式(eq1)が成立する。
レーザ回転数f(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)の間には一般的に式(eq 2)が成立する。
ドラム回転数F(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 3)が成立する。
ポリゴンミラーの回転数H(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 4) が成立する。
との組み合わせが特に好ましいことが理解できる。さらに操作性、コスト等を掛け合わせることにより外面ドラム方式の半導体レーザーマルチビーム(10本以上)露光装置との組み合わせが最も好ましいことになる。
〔実施例1〜20および比較例1〜7〕
(支持体の調製)
厚さ0.3mmのアルミニウム板を10質量%水酸化ナトリウムに60℃で25秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後20質量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後30質量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20質量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2において、陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように、2分間陽極酸化処理した。その表面粗さを測定したところ、0.3μm(JISB0601によるRa表示)であった。
テトラエチルシリケート 55質量部
水 25質量部
メタノール 10質量部
リン酸 0.05質量部
ジメチルフタレート 6質量部
フッ素系界面活性剤 0.7質量部
(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチルアクリレート/ ポ
リオキシエチレンアクリレート共重合体:分子量2万)
メタノールシリカゾル(日産化学工業(株)製,メタノール30質量%)
50質量部
メタノール 800質量部
このように処理されたアルミニウム板上に、下記組成の光重合性組成物を乾燥塗布量が1.0g/m2となるように塗布し、80℃、2分間乾燥させ感光層を形成させた。
アリルメタクリレート/メタクリル酸/
N−イソプロピルアクリルアミド共重合体 2.0 g
(共重合モル比67/13/20)
光重合開始系(表1中に記載)
増感色素
開始剤化合物
共増感剤
フッ素系ノニオン界面活性剤(F−177P) 0.02g
熱重合禁止剤N−ニトロソフェニルヒドロキシル 0.01g
アミンアルミニウム塩
顔料分散物 2.0 g
顔料分散物の組成
組成: Pigment Blue 15:6 15質量部
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合 10質量部
(共重合モル比83/17)
シクロヘキサノン 15質量部
メトキシプロピルアセテート 20質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 40質量部
メチルエチルケトン 20.0 g
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0 g
この感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
(感度の評価1:830nm露光)
得られたネガ型平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCre
o社製Trendsetter 3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した。
露光後、富士写真フイルム(株)製自動現像機スタブロン900Nを用い現像処理した。現像液は、仕込み液、補充液ともに富士写真フイルム(株)製DV−2の1:4水希釈液を用いた。現像浴の温度は30℃とした。また、フィニッシャーは、富士写真フイルム(株)製FN−6の1:1水希釈液(pH=10.8)を用いた。
上記露光(波長830〜850nm程度の赤外線レーザによる)および現像により得られた画像の線幅とレーザー出力、光学系でのロス及び走査速度を基に、記録に必要なエネルギー量を算出した。数値が小さいほど高感度であることを表す。結果を表1に併記する。
得られた平版印刷版用原版上に富士写真フイルム(株)製の富士ステップガイド(△D=0.15で不連続的に透過光学濃度が変化するグレースケール)を密着させ、光学フィルター(ケンコーBP−53(532nm用)、BP−40(405nm用))を通したキセノンランプを用い、既知の露光エネルギーとなるように露光を行った。光学フィルターとしては、短波半導体レーザへの露光適性を見積もる目的で、532、又は405nmのモノクロミックな光で露光が可能なケンコーBP−53、40を用いた。その後、下記組成の現像液に25℃、10秒間浸漬し、現像を行い、画像が完全に除去される最高の段数から感度(クリア感度)を算出した(表1)。ここで、クリア感度とは、画像の形成に最低限必要なエネルギーを表し、この値が低いほど高感度である。
1Kケイ酸カリウム 2.4g
水酸化カリウム 0.2g
下記式1の化合物 5.0g
水 91.3g
エチレンジアミンテトラ酢酸・4Na塩 0.1g
GPC測定より求めた重量平均分子量 5.2万
上記感度について注意点を述べる。感度値は小さいほど高感度であるが、露光波長が違うものは比較できない。これは、光源波長が違うと光子1つあたりが有するエネルギー量が異なるため、単純に考えても通常は短波になるほど上述の露光量が少なくても感光することが可能となり、短波の方が高感度となる。従って、表1において、異なる露光条件間における感度比較は意味が無く、あくまでも同一露光条件での実施例と比較例での差を見なければならない、ということである。
実施例に挙げた構成で作成した平版印刷版原版を、下記2条件で、クリア感度と強制条件経時後の感度を比較することで保存安定性を評価した。
(i)塗布終了後、即時に露光、現像
(ii)60℃、10日条件の強制保存条件下で保存後、露光、現像
ここで言うクリア感度は、前述したものと同様である。(i)の感度と(ii)の感度の差((ii)/(i))をクリア感度比と定義した。この値が1に近いほど、経時時間無し感材と強制経時後感材における画像形成感度に変化が小さいことを示し、保存安定性が高いと言える。
この様に、本発明の感光性組成物を用いた平版印刷版用原版は非常に高感度かつ保存安定性が高く、走査露光方式に十分な感度を示すことが分かった。
Claims (6)
- さらに350nm〜850nmに吸収極大λmaxを持つ増感色素(C)を含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
- 増感色素(C)として、クマリン系、スチリル系、シアニン系、メロシアニン系色素から選ばれる化合物を含むことを特徴とする請求項2に記載の感光性組成物。
- 支持体上に、請求項1、2または3記載の感光性組成物から形成された感光層を有する画像記録材料。
- 支持体上に、請求項1、2または3記載の感光性組成物から形成された感光層を備えた平版印刷版原版。
- 支持体上に、請求項1、2または3記載の感光性組成物を含有する感光層を有する画像記録材料に対し、450nmより短波長のレーザ光源を用いて走査露光を行う画像記録方法。
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