JP2004045537A - 感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)バインダーポリマー、(B)分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(C)1種または2種以上の重合開始剤、(D)1種または2種以上の重合加速剤を含有する感光性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光重合性組成物に関するものであり、更に、感光性平板印刷版、配線板用銅エッチングレジスト、グラビア用銅エッチングレジスト、ドライフィルム、カラーフィルターレジスト、3D造形用レジスト、CTP用レジストおよびプラズマディスプレイ用顔料分散レジストなど各種のパターン形成に使用可能で高感度、高解像性、高密着性な光重合性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光重合性組成物は、凸版用、レリーフ像用、フォトレジスト用、カラーフィルター用、3D造形用、CTP用等に広く適用されている。このような光重合性組成物は、形成された画像の主体となる樹脂成分と紫外光、可視光に対して感光して重合活性種となる増感剤、光重合開始剤、重合加速剤を含有するものである。一例が特開平4−276755号公報に開示されている。
【0003】
近年の環境問題の観点や露光前後における大きな溶解度差が容易に得られるという観点から、光重合性組成物には有機溶媒現像よりもアルカリ水溶液現像が好まれている。このように画像の主体となる樹脂成分は、エチレン性不飽和基を有する付加重合性化合物とアルカリ水溶液に可溶な樹脂との組合せが好んで用いられる。そして、このような感光性樹脂組成物はより感度の高いものが望まれており、従来から感度を向上させるために光重合開始剤系について多くの研究が行われている。
【0004】
例えば、光重合開始剤としては、ベンゾインエーテルおよびその誘導体、ヘキサアリールビスイミダゾールおよびその誘導体、トリクロロメチルトリアジンおよびその誘導体、有機過酸化物およびその誘導体等多くの化合物が既に知られている。
【0005】
例えば増感剤としては、ジアルキルアミノベンゾフェノンおよびその誘導体、アルキルアミノアリールスチルベンおよびその誘導体、クマリンおよびその誘導体、スクワリリウム色素、ピリリウム、チオピリリウムおよびその誘導体、シアニンおよびその誘導体等多くの化合物が既に知られている。
【0006】
例えば重合加速剤としては、N−フェニルグリシンおよびその誘導体、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾールおよびその誘導体等の化合物が既に知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ドライフィルム用光重合開始剤としてベンゾインエーテルを用いると、密着性が得られず、トリクロロトリアジンを用いると感度が悪いという問題がある。
【0008】
一般的にはヘキサアリールビスイミダゾールを用いているが、密着性は高いものの高感度化する事は難しく、また解像性を向上させる事も難しいという問題がある。
【0009】
CTP用として、ヘキサアリールビスイミダゾールがベンゾチアゾールと組み合わせて使用されている。しかしながら、これらヘキサアリールビスイミダゾール化合物とベンゾチアゾ−ルを含有した光重合組成物は、半導体レーザーの出力が低いため、より高感度な光重合組成物が求められている。
【0010】
従って、本発明の目的は、感度、解像性、密着性に優れ、特に厚膜の感度、密着性に優れ、さらに薄膜では感度に優れた感光性樹脂組成物を提供する事にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、感度、解像性、密着性の高い新規な感光性樹脂組成物について鋭意検討した結果、エチレン性不飽和基を有する付加重合性化合物を含有する樹脂成分に、一般式(1)と一般式(4)または一般式(1)と一般式(4)と一般式(5)で表される化合物とを組み合わせて添加することにより、前記の問題を解決できる事を見出し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち本発明は、(A)バインダーポリマー、(B)分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(C)一般式(1)で表される1種または2種以上の重合開始剤、
【0013】
【化21】
【0014】
(式中Xは、一般式(2)
【0015】
【化22】
【0016】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。)で表される1価基を表し、Yは、一般式(3)
【0017】
【化23】
【0018】
(式中、R6、R7、R8、R9およびR10 はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子または置換もしくは無置換のアリール基を表す。)で表される1価基を表す。)
(D)一般式(4)で表される重合加速剤、
【0019】
【化24】
【0020】
(式中、R11 、R12、R13、R14およびR15はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アリール基、アラルキル基またはハロゲン原子を表し、その内少なくとも一つはアミノ基、モノアルキルアミノ基またはモノアリールアミノ基であり、アミノ基に置換されているアルキル基およびアリール基はさらに置換基を有しても良い。R16はアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキル基またはアリール基を表し、アルキル基はさらにハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基または置換もしくは無置換のアリール基で置換されても良い。)を含有する感光性樹脂組成物であり、またこの感光性組成物を用いた感光性材料である。
【0021】
さらに本発明は、前記した(A)(B)(C)(D)成分からなる感光性樹脂組成物が(E)一般式(5)で表される増感剤
【0022】
【化25】
【0023】
(式中、R17 、R18、R19およびR20はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、シアノ基で置換されたアルキル基、ニトロ基で置換されたアルキル基、ヒドロキシル基で置換されたアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基で置換されたアルキル基を表す。R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27およびR28はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アリール基、複素環基、アラルキル基またはハロゲン原子を表す。Zは炭素1〜4のアルキレン基、シクロアルキリデン基、カルボニル基またはチオカルボニル基を表す。またアルキレン基がメチレン基の場合は置換もしくは無置換のアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換の複素環基を一つ有しても良い。)をも含有する感光性樹脂組成物であり、またこの感光性組成物を用いた感光性材料である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0025】
本発明における(A)成分のバインダーポリマーは、フィルム形成性を有するポリマーであれば特に制限無く、公知の高分子化合物を使用しうるが、環境、安全性に優れた炭酸ナトリウム水溶液などのアルカリ現像液で現像可能な点で、カルボキシル基を有するポリマーである事が好ましい。このようなカルボキシル基を有するポリマーは、アクリル酸またはメタクリル酸とアクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルとスチレンなど他のビニル単量体とを共重合させて得られるビニル共重合体が好適である。カルボキシル基を有するポリマーの酸価はアルカリ現像性の点から、30〜250mg/KOHであることが好ましい。これらのバインダーポリマーは、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用される。
【0026】
上記アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸プロピルエステル、アクリル酸ブチルエステル、アクリル酸ペンチルエステル、アクリル酸ヘキシルエステル、アクリル酸ヘプチルエステル、アクリル酸オクチルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、アクリル酸ノニルエステル、アクリル酸デシルエステル、アクリル酸ウンデシルエステル、アクリル酸ドデシルエステル、メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、メタクリル酸プロピルエステル、メタクリル酸ブチルエステル、メタクリル酸ペンチルエステル、メタクリル酸ヘキシルエステル、メタクリル酸ヘプチルエステル、メタクリル酸オクチルエステル、メタクリル酸2−エチルヘキシルエステル、メタクリル酸ノニルエステル、メタクリル酸デシルエステル、メタクリル酸ウンデシルエステル、メタクリル酸ドデシルエステル等が挙げられる。
【0027】
(A)成分の重量平均分子量は、それぞれ機械強度とアルカリ現像性の点から、好ましくは10,000〜80,000、より好ましくは30,000〜60,000である。この重量平均分子量が、10,000未満であると、機械強度が劣る傾向があり、80,000を超えるとアルカリ現像性が劣る傾向がある。これらのバンイダーポリマーは、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用される。
【0028】
本発明の感光性樹脂組成物中の(A)成分であるバインダーポリマーの配合量は、(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に対して40〜80重量部とすることが好ましく、より好ましくは40〜70重量部である。この配合量が40重量部未満では、光硬化物が脆くなり、感光性フィルムとして用いた場合に塗膜性が劣る傾向があり、80重量部を超えると、充分な感度が得られなくなる傾向がある。
【0029】
また、本発明の(B)成分として用いられる分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物には、一官能ビニルモノマーと多官能ビニルモノマーがある。一官能ビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルおよびそれらと共重合可能なビニルモノマーが挙げられる。
【0030】
多官能ビニルモノマーとしては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物(ポリエチレングリコールジアクリレート(エトキシ基の数が2〜14のもの)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(エトキシ基の数が2〜14のもの)、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート(プロポキシ基の数が2〜14のもの)、ポリプロピレングリコールジメタクリレート(プロポキシ基の数が2〜14のもの)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等)、ビスフェノールAポリアルキレングリコールジアクリレート(2,2−ビス(4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン等)、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物(トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジメタクリレート等)、多価カルボン酸(無水フタル酸等)と水酸基およびエチレン性不飽和基を有する化合物(β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート等)とのエステル化物などが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。本発明においては、(B)成分として少なくとも1種類は、多官能ビニルモノマーを使用することが好ましい。
【0031】
本発明の感光性樹脂組成物中の(B)成分である分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有するモノマーの配合量は、(A)成分および(B)成分の総量100重量部に対して20〜60重量部とすることが好ましく、より好ましくは30〜50重量部である。この配合量が20重量部未満では、充分な感度が得られず、またレジストの硬化密度が低くエッチングもぐりが発生する傾向がある。また、この配合量が60重量部を超えると、感光性樹脂組成物が柔らかくなるため、感光性フィルムの端部から感光性樹脂組成物がしみ出す問題が起こる傾向がある
【0032】
本発明に(C)成分として用いられる一般式(1)で表される重合開始剤は、一般式(2)で表される部分構造X、一般式(3)で表される部分構造Yを有している。部分構造Xの具体例として、[表1]に示したX−1〜X−27のものが挙げられ、部分構造Yの具体例として、[表2]に示したY−1〜Y−24のものが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
本発明の感光性樹脂組成物中の(C)成分である光重合開始剤の配合量は、(A)成分および(B)成分の総量100重量部に対して0.1〜20重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.15〜5重量部である。この配合量が0.1重量部未満であると、光硬化性が劣り十分な感度が得られない傾向があり、20重量部を超えると高感度となり、解像度が悪くなる傾向がある。
【0036】
本発明に(D)成分として用いられる一般式(4)で表される重合加速剤としては、具体例として[表3]に示したD−1〜D−27のものが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
【表3】
【0038】
本発明の感光性樹脂組成物中の(D)成分である重合加速剤は、(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に対して0.05〜5.0重量部とすることが好ましく、0.1〜4.0重量部とすることがより好ましい。この配合量が0.05重量部未満であると、密着性が低下する傾向があり、5.0重量部を超えると、解像度が低下する傾向がある。
【0039】
本発明に(E)成分として用いられる一般式(5)で表される増感剤としては、具体例として[表4]に示したE−1〜E−21のもの挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
【表4】
【0041】
本発明の感光性樹脂組成物中の(E)成分である増感剤は、(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に対して0.05〜5.0重量部とすることが好ましく、0.1〜4.0重量部とすることがより好まし。この配合量が0.05重量部未満であると、密着性が低下する傾向があり、5.0重量部を超えると、解像度が低下する傾向がある。
【0042】
本発明の感光性樹脂組成物においては、前記各成分を溶解する溶剤としては、特に制限はなく、公知のものが使用でき、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプチルケトン、トルエン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、THF、クロロホルム、および塩化メチレン等が挙げられる。これら溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上の溶剤からなる混合溶剤として用いてもよい。
【0043】
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて更に、可塑剤、熱重合禁止剤またはトリブロモメチルフェニルスルフォン、ロイコクリスタルバイオレット、マラカイトグリーン等の発色剤または染料、顔料、充填剤、密着性付与剤、香料、イメージング剤などを添加してもよい。
【0044】
本発明の感光性樹脂組成物は、基板に液状レジストとして塗布して乾燥して用いるか、感光性フィルムの形態で用いられるかまたは液状レジストのまま用いられる。基板としては、金属板、ガラスエポキシ基板の非金属基板の表面に金属を積層した基板等が挙げられ、銅、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス、42アロイ、ガラス等が挙げられる。
【0045】
本発明の感光性フィルムは、本発明の感光性樹脂組成物を支持フィルム上に製膜して形成されるものである。製膜方法としては、通常、本発明の感光性樹脂組成物を必要に応じて溶剤を加えて溶液とした後、これを支持フィルム上に塗布、乾燥する方法が好適である。支持フィルム上に感光性樹脂組成物を製膜した後、更にその上に上記の保護フィルムを積層してもよい。
【0046】
本発明の感光性フィルムを用いてフォトレジスト画像を製造するに際しては、支持フィルム、保譲フィルムとしては、不活性な重合体フィルムであって、透明なもの、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフインフィルム、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムなどが用いられる。支持フィルムおよび保護フィルムの厚さは、5〜100μmであることが好ましく、10〜40μmとすることがより好ましい。
【0047】
このようにして本発明の感光性樹脂組成物を液状レジストとして金属面上に塗布し、乾燥して形成された感光性樹脂組成物の層、または、上記の感光性フィルムを金属面上に積層して得られた感光性樹脂組成物の層は、アートワークと呼ばれるネガまたはポジマスクパターンを通して活性光線をパターン状に露光した後、現像液で現像して未露光部を除去し、レジストパターンとされる。露光の際、感光性樹脂組成物の層上の保護フィルムまたは支持フィルムが透明の場合には、そのまま露光してもよく、また、不透明の場合には、当然除去する必要がある。感光性樹脂組成物の層の保護という点からは、保護フィルムまたは支持フィルムとして透明な重合体フィルムを用い、この重合体フィルムを残存させたまま、それを通して露光することが好ましい。
【0048】
露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、写真用フラット電球、太陽ランプ、アルゴンレーザー等が用いられる。露光時の光量は通常10〜200mJ/cm2である。露光後、保護フィルムが積層されている場合にはそれを除去した後、現像液による未露光部を除去する現像を行う。現像液としては、安全かつ安定であり、操作性が良好なアルカリ水溶液が好適である。アルカリ水溶液の塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムなどが挙げられ、特に炭酸ナトリウムの水溶液が好ましい。例えば、20〜50℃の0.5〜5重量%水溶液炭酸ナトリウムの希薄溶液が好適に用いられる。また、アルカリ水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させることができる。現像の方式には、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式等があり、高圧スプレー方式が解像度向上のためには好適である。
【0049】
現像後、必要に応じて、露光により、レジストを更に硬化させてもよい。なお、本発明の感光性樹脂組成物は、現像後の加熱工程なしでも金属に対して優れた密着性を示すが、必要に応じて、現像後の露光の代わりに、または露光と合わせて、加熱処理を施してもよい。現像後、エッチングにより、金属、例えばリードフレーム製造用基板の、レジストパターンが存在せずに露出している部分を溶解除去する。エッチングには、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素系エッチング液などを用いることができるが、エッチファクタが良好な点から、塩化第二鉄溶液を用いることが好ましい。エッチング後、レジストパターンを水酸化ナトリウム等で処理して剥離することにより、所望のパターンを有するリードフレーム等のパターン化された金属板を得ることができる。
【0050】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0051】
[実施例1〜3]
[表5]に示す材料を配合し、レジン溶液を得た。
次いで、得られた溶液に[表6]に示す(C)、(D)および(E)成分を溶解させて、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
以下に[表6]において使用した材料を示す。
B−CIM:2,2´−ビス(2−クロロフェニル)−4,4´,5,5´−テトラキスフェニルビスイミダゾール(保土谷化学工業(株)製商品名)
Irq369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(チバスペシャリチィーケミカルズ(株)製商品名)
重合開始剤1:2,2´−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4´,5,5´−テトラキス(4−メトキシフェニル)ビスイミダゾール(保土谷化学工業(株)製)
D−13:3−アミノ−4−メトキシ−N,N’−ジエチルアミノベンゼンスルホンアミド
D−15:ベンジル−3−アミノ−4−メトキシフェニルスルホン
BT:2 メルカプトベンゾチアゾール(東京化成(株)製)
EAB:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(保土谷化学工業(株)製商品名)
【0055】
次いで、この感光性樹脂組成物の溶液を、ガラスエポキシ樹脂銅張り積層板にスピンコートし、105℃で10分加熱乾燥し、110℃加熱しながら25μmポリエステルフィルムをラミネートした。感光性樹脂組成物層の膜厚は、23μmであった。
【0056】
一方、銅箔(厚さ32μm)を片面に積層したガラスエポキシ材である銅張り積層版の銅表面を研磨機を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥し、得られた銅張り積層板を80℃に加温し、その銅表面上に、前記感光性樹脂組成物層を、110℃に加熱しながらラミネートした。次に、超高圧水銀灯ランプを有する露光機(ウシオ電機(株))UX−1000SM−AGC01を用いて、ネガとしてコダック21段ステップタブレットを試験片の上に置いて53mJ/cm2露光した。次にポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、30℃で1重量%炭酸ナトリウム水溶液に100秒間浸漬することにより、未露光部を除去した。銅張り積層板上に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数を測定することにより、感光性樹脂組成物の光感度を評価し、その結果を[表7]に示した。光感度は、ステップタブレットの段数で示され、この段数が高いほど、光感度が高い事を示す。解像性、密着性はフォトマスクを用いて、解像性は100〜5μmのライン アンド スペースパターンで、密着性は浮島パターンを用いてそれぞれポジ型(p)およびネガ型(n)を測定した。解像性、密着性共に数字が小さいほうがよい。
【0057】
【表7】
【0058】
[表7]中*印は残膜パターンなし
比較例1〜3および実施例1の解像性・密着性試験は7.2mJ/cm2照射
実施例2および3の解像性・密着性試験は6.4mJ/cm2照射
【0059】
[実施例4,5]
[表8]に示す材料を配合し、レジン溶液を得た。
次いで、得られた溶液に[表9]に示す(C)、(D)および(E)成分を溶解させて、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
【0060】
【表8】
【0061】
【表9】
【0062】
以下に[表9]において使用した材料を示す。
E−3:4,4 ’−ビス(ジエチルアミノ)ジフェニルメタン
【0063】
次いで、この感光性樹脂組成物の溶液を、ガラス板にスピンコートし、105℃で10分加熱乾燥した。感光性樹脂組成物層の膜厚は、2μmであった。
【0064】
超高圧水銀灯ランプを有する露光機(ウシオ電機(株))UX−1000SM−AGC01GC01を用いて、ネガとしてコダック21段ステップタブレットを試験片の上に置いて234mJ/cm2露光した。次に、30℃で1重量%炭酸ナトリウム水溶液に15秒間浸漬することにより、未露光部を除去した。更に、ガラス上に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数を測定することにより、感光性樹脂組成物の光感度を評価し、その結果を[表10]に示した。光感度は、ステップタブレットの段数で示され、この段数が高いほど、光感度が高い事を示す。
【0065】
【表10】
【0066】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物およびこれを用いた感光性材料は感度、解像性、密着性に優れた効果を発揮する。さらに厚膜の場合の感度、密着性に優れた効果を発揮する。
Claims (18)
- (A)バインダーポリマー、(B)分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(C)一般式(1)で表される1種または2種以上の重合開始剤、
(D)一般式(4)で表される重合加速剤、
- 前記した感光性樹脂組成物がさらに(E)一般式(5)で表される増感剤
- 前記した(A)成分であるバインダーポリマーが、カルボキシル基を有するポリマー単独または他のポリマーとの組合せからなり、そのカルボキシル基は30〜250mg/KOHの酸価を有し、10,000〜80,000の重量平均分子量を有している事を特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかの項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記した(A)成分であるバインダーポリマーの配合量が、前記した(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に対して40〜80重量部である事を特徴とする請求項1〜請求項13のいずれかの項に記載の感光性樹脂組成物。
- (A)バインダーポリマー、(B)分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、(C)一般式(1)で表される重合開始剤、
(D)一般式(4)で表される重合加速剤、
- 前記した感光性樹脂組成物がさらに(E)一般式(5)で表される1種または2種以上の増感剤
- 前記した感光性材料が感光性平板印刷版、配線板用銅エッチングレジスト、グラビア用銅エッチングレジスト、ドライフィルム、カラーフィルターレジスト、3D造形用レジスト、CTP用レジストまたはプラズマディスプレイ用顔料分散レジストである請求項15または請求項16記載の感光性材料。
- 前記した感光性材料がドライフィルム、カラーフィルターレジスト、3D造形用レジスト、CTP用レジストまたはプラズマディスプレイ用顔料分散レジストである請求項15〜請求項17のいずれかの項に記載の感光性材料。
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