JP4328193B2 - 重合性組成物及び平版印刷版原版 - Google Patents

重合性組成物及び平版印刷版原版 Download PDF

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Description

本発明は、赤外線波長域に感応性を有する重合性組成物、及び平版印刷版原版に関し、より詳細には、コンピュータ等のデジタル信号から赤外線レーザを用いて直接製版できる、いわゆるダイレクト製版が可能なネガ型平版印刷版原版に好適に用いられる重合性化合物、及びそれを用いた平版印刷版原版に関する。
近年におけるレーザーの発展は目ざましく、特に、近赤外線から赤外線領域に発光領域を持つ固体レーザーや半導体レーザーでは、高出力・小型化が進んでいる。したがって、コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザーは非常に有用である。
上記のような赤外線領域に発光領域を持つ赤外線レーザーを露光光源として使用する赤外線レーザ用ネガ型平版印刷版原版は、例えば、光重合性組成物等をその記録層に用いることにより画像形成を行っている。
従来、光重合性組成物を用いて露光により画像形成を行う方法としては、例えば、エチレン性不飽和化合物と光重合開始剤とを含む光重合性組成物を用いた記録層を支持体表面に形成し、画像露光して露光部のエチレン性不飽和化合物を重合、硬化させた後、非露光部を溶解除去することにより硬化レリーフ画像を形成する方法、露光により光重合性組成物層(記録層)の支持体への接着強度に変化を起こさせた後、支持体を剥離することにより画像を形成する方法、及び、光重合性組成物層の光によるトナー付着性の変化を利用した画像形成方法等の各種の方法が知られている。これらの方法に用いられる光重合開始剤としては、いずれも、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルケタール、ベンゾフェノン、アントラキノン、ベンジルケトン、又はミヒラーケトン等の、400nm以下の紫外線領域を中心とした短波長の光に対して感応し得るものが用いられていた。
一方、近年、画像形成技術の発展に伴い、可視領域の光に対して高感度を示す感光性材料が強く要請され、例えば、アルゴンイオンレーザーの488nmの発振ビームを用いたレーザー製版方式に対応して500nm前後迄感度域を拡げた光重合性組成物が多数提案されている。更に、He−Neレーザーや半導体レーザーを用いたレーザー製版方式や、フルカラー画像の複製技法に対応して600nmを越える長波長領域の光に対する光重合性組成物の研究も活発化している。
光重合性組成物として、エチレン性不飽和化合物と、光重合開始系を含有し、光重合開始系が、複素環がモノ、トリ、ペンタ又はヘプタメチン鎖で連結し、かつ特定構造を有するシアニン色素と、特定構造のs−トリアジン誘導体を含有する技術が知られている。(例えば、特許文献1、2参照。)また、重合開始剤系が特定構造のスクアリリウム化合物と特定のs−トリアジン化合物からなる光重合性組成物が提案されている。(例えば、特許文献3参照。)
しかしながら、通常、光重合開始剤の活性ラジカル発生能力は、500nm以上の波長の光、特に600nmを越える波長の光に対しては、光励起エネルギーの低下に伴って急激に感応性が減少することが知られており、このような長波長領域の光に対して前記の如き、従来より提案されている光重合性組成物は、いずれも感度的に満足できるものではなく、さらに白色蛍光灯下における取扱時に光重合反応が進行するといった問題もあり、安定した品質のものを得難いのが現状である。
上述のような光重合性組成物における、高感度化、白灯下での取り扱い性向上に関する問題を解決すべく、エチレン性不飽和化合物、特定の色素、及び光重合開始剤(トリアジン化合物等)を含有する光重合性組成物等が提案されている。(例えば、特許文献4参照。)
しかしながら、このような組成物を記録層に用いた平版印刷版は、印刷版保存時の安定性が低く、実用的に満足し得る安定性を維持しながら、高感度化を達成することが熱望されている。
特開昭58−29803号公報 特開平4−31863号公報 特開平4−106548号公報 特開2000−131837公報
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、実用上満足し得る保存安定性を有し、且つ、高感度で重合、硬化可能な重合性組成物、及びそれを用いた高感度で画像形成可能な平版印刷版原版を提供することを目的とする。また、本発明の別の目的は、露光後の現像における画像部のダメージが効果的に抑制された平版印刷版原版を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、重合開始剤として特定の化合物を含有する重合性組成物、及び該重合性組成物を記録層に含むネガ型平版印刷版原版により、上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の請求項1に係る重合性組成物は、(A)バインダーポリマー、(B)重合性の不飽和基を有する化合物、及び、(C)トリアリールスルホニウム塩構造を有し、且つ、アリール骨格に結合する置換基のハメット値の総和が0.46より大きい化合物、を含有することを特徴とする。
また、前記(C)トリアリールスルホニウム塩構造を有し、且つ、アリール骨格に結合する置換基のハメット値の総和が0.46より大きい化合物が、該アリール骨格に結合する置換基のハメット値の総和が0.50を超える化合物であることが好ましい。
さらに、前記(C)トリアリールスルホニウム塩構造を有し、且つ、アリール骨格に結合する置換基のハメット値の総和が0.46より大きい化合物のカウンターアニオンが、スルホン酸アニオン、ベンゾイルギ酸アニオン、PF - 、BF - 、ClO - 、カルボン酸アニオン、スルフィン酸アニオン、硫酸アニオン、ボレートアニオン、ハロゲンアニオン、ポリマー型スルホン酸アニオン、およびポリマー型カルボン酸アニオンからなる群から選ばれたアニオンであることが好ましい。
また、前記重合性組成物には、さらに(D)700〜1200nmに吸収極大を有する化合物を含有することが好ましい。
このような(C)トリアリールスルホニウム塩構造を有し、且つ、アリール骨格に結合する置換基のハメット値の総和が0.46より大きい化合物のより好ましい態様として、ハロゲン原子を3原子以上有するトリアリールスルホニウムカチオン構造を有し、且つ、有機アニオンを有する化合物が挙げられる。
また、前記(A)バインダーポリマーとして、下記一般式(I)で表される構造単位を含有するポリマーを用いることが好ましい。
Figure 0004328193
(一般式(I)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子から構成され、その原子数が2〜82である連結基を表す。Aは酸素原子又は−NR3−を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。)
なお、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーにおいて、R2で表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30であることが好ましい。
本発明の請求項に係る平版印刷版原版は、支持体上に、(A)バインダーポリマー、(B)重合性の不飽和基を有する化合物、及び、(C)トリアリールスルホニウム塩構造を有し、且つ、アリール骨格に結合する置換基のハメット値の総和が0.46より大きい化合物を含有する記録層を設けてなることを特徴とする。また、前記記録層には、さらに(D)700〜1200nmに吸収極大を有する化合物を含有することが好ましい態様である。
本発明の作用は明確ではないが、この重合性組成物において(B)重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、進行させる機能を有する(C)トリアリールスルホニウム塩構造を有し、且つ、アリール骨格に結合する置換基のハメット値の総和が0.46より大きい化合物は、その主たる骨格に起因する安定性に加え、電子吸引性の置換基の導入により熱的な分解の促進が起こり、或いは、電位が下がることにより、露光時における開始剤の分解性が向上し、高感度化が可能となるものと考えられる。
また、この電子吸引性基として、より好ましくはハロゲン化アルキル基やハロゲン原子などの疎水性の基を導入すること、具体的には、例えば、分子内にハロゲン原子を3原子有するトリアリールスルホニウムカチオン構造を有することなど、により、露光部(画像部領域)の疎水性が向上し、平版印刷版原版の記録層に用いた場合、耐アルカリ現像性が向上し、ディスクリミネーションや耐刷性の向上、さらには、現像時の現像液による画像部の膜減り損傷抑制の効果をも期待できるという利点を有する。
本発明によれば、赤外線レーザなどにより高感度で硬化しうる重合性組成物、及びそれを用いた高感度で画像形成可能であり、且つ、現像処理における画像部のダメージが効果的に抑制された平版印刷版原版を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の重合性組成物は、(A)バインダーポリマー、(B)重合性の不飽和基を有する化合物、及び、(C)トリアリールスルホニウム塩構造を有し、且つ、アリール骨格に結合する置換基のハメット値の総和が0.46より大きい化合物を含有する重合性組成物である。
また、本発明の平版印刷版原版は、上記本発明の重合性組成物を含有する記録層を設けてなるネガ型の平版印刷版原版である。
本発明の重合性組成物及び平版印刷版原版は、上記構成としたことにより、高感度での重合或いは記録が可能となり、さらに、現像時の膜減りによる画像部のダメージを効果的に抑制することができる。
以下、本発明の重合性組成物、又は、平版印刷版原版を構成する各要素を順に説明する。まず、本発明の特徴的成分である、(C)トリアリールスルホニウム塩構造を有し、且つ、アリール骨格上に結合する置換基のハメット値の総和が0.46より大きい化合物について詳細に説明する。
〔(C)トリアリールスルホニウム塩構造を有し、且つ、アリール骨格に結合する置換基のハメット値の総和が0.46より大きい化合物〕
本発明の重合性組成物、又は平版印刷版原版は、その記録層中に(C)トリアリールスルホニウム塩構造を有し、且つ、アリール骨格に結合する置換基のハメット値(Hammet置換基定数σ)の総和が0.46より大きい化合物〔以下、適宜「特定の化合物」と称する〕を含有する。
なお、本発明に係る(C)成分は、重合開始剤として機能するものである。
−トリアリールスルホニウム塩構造−
トリアリールスルホニウム塩構造を有する化合物は、例えば、重合開始剤として公知であり、このような化合物は、例えば、J.Amer.Chem.Soc.第112巻(16)、1990年;pp6004−6015、J.Org.Chem.1988年;pp5571−5573、WO02/081439A1パンフレット、或いは欧州特許(EP)第1113005号明細書等に記載の方法により容易に合成することが可能である。
−アリール骨格に結合する置換基−
特定の化合物において、トリアリールスルホニウム塩構造のアリール骨格に結合する置換基としては、電子吸引性の置換基が好ましく、3つのアリール骨格に結合する置換基のハメット値の総和が0.46より大きいことを要し、0.60より大きいことが好ましい。このハメット値の合計が0.46以下であると、本発明の特徴である感度向上効果が充分に得られない。
また、ハメット値はトリアリールスルホニウム塩構造を有するカチオンの電子吸引性の程度を表すものであり、数値が大きいほど電子吸引性であることを表す。高感度化の観点からはハメット値に特に上限はないが、反応性と安定性との観点からは、0.46を超え4.0未満であることが好ましく、より好ましくは0.50を超え、3.5未満であり、特に好ましくは0.60を超え3.0未満の範囲である。
なお、本発明におけるハメット値は、稲本直樹 編、化学セミナー10 ハメット則−構造と反応性−(1983年、丸善(株)発行)に記載の数値を用いている。
アリール骨格に導入する電子吸引性の置換基としては、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、エステル基、スルホキシド基、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、カルボニル基等が挙げられる。これらの置換基のハメット値を以下に示す。トリフルオロメチル基(−CF3、m:0.43、p:0.54)、ハロゲン原子〔例えば、−F(m:0.34、p:0.06)、−Cl(m:0.37、p:0.23)、−Br(m:0.39、p:0.23)、−I(m:0.35、p:0.18)〕、エステル基(例えば、−COCH3、o:0.37、p:0.45)、スルホキシド基(例えば、−SOCH3、m:0.52、p:0.45)、シアノ基(−CN、m:0.56、p:0.66)、アミド基(例えば、−NHCOCH3、m:0.21、p:0.00)、カルボキシ基(−COOH、m:0.37、p:0.45)、カルボニル基(−CHO、m:0.36、p:(043))等が挙げられる。かっこ内は、その置換基のアリール骨格における導入位置と、そのハメット値を表し、(m:0.50)とは、当該置換基がメタ位に導入された時のハメット値が0.50であることを示す。
これらの置換基のなかでも、疎水性の観点から、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基等の非イオン性の置換基が好ましく、なかでも、反応性の観点から−Clが好ましく、皮膜に疎水性を与えるという観点からは、−F、−CF3、−Cl、−Brが好ましい。
これらの置換基は、トリアリールスルホニウム塩構造の3つのアリール骨格のいずれか一つに導入されていてもよく、2以上のアリール骨格に導入されていてもよい。また、3つのアリール骨格のそれぞれに導入される置換基は、1つでも複数でもよい。これらのアリール骨格に導入された置換基のハメット値の総和が0.46を超えるものであれば置換位置、置換基の数は任意であり、例えば、トリアリールスルホニウム塩構造のアリール骨格のうち1ヶ所に特にハメット値の大きい(ハメット値が単独で0.46を超える)置換基を1つだけ導入していてもよく、複数の置換基が導入されそれぞれのハメット値の合計が0.46を超えるものであってもよい。
上記のように、置換基のハメット値は導入される位置によって異なるため、本発明に係るトリアリールスルホニウム塩開始剤におけるハメット値の総和は、置換基の種類、導入位置、導入数により確定されることになる。
なお、ハメット側は、通常、m位、p位で表されるが、本発明においては、電子吸引性の指標として、o位での置換基効果はp位と同値として計算する。好ましい置換位置としては、合成上の観点からm位、p位が好ましく、p位が最も好ましい。
本発明において好ましいのは、ハロゲン原子により3置換以上されているスルホニウム塩であり、最も好ましいのは、クロロ基により3置換されているスルホニウム塩であり、具体的には、3つのアリール骨格のそれぞれにハロゲン原子、最も好ましくは、−Clが導入されたトリアリールスルホニウム塩構造を有するものが好ましく、−Clがp位に置換されているものがより好ましい。
特定の化合物のカウンターアニオンは安定性の面から、スルホン酸アニオン、ベンゾイルギ酸アニオン、PF6 -、BF4 -、ClO4 -,カルボン酸アニオン、スルフィン酸アニオン、硫酸アニオン、ボレートアニオン、ハロゲンアニオン、ポリマー型スルホン酸アニオン、ポリマー型カルボン酸アニオンが挙げられるが、反応性及び安定性の面から、スルホン酸アニオン又はそのポリマー体、ベンゾイルギ酸アニオン又はそのポリマー体が好ましく、最も好ましくは、スルホン酸アニオン又はそのポリマー体である。
本発明に係る特定の化合物は、トリアリールスルホニウム塩構造を有し、そのアリール骨格に特定の条件で置換基が導入されていれば、低分子量化合物でもよく、また、先に述べたようにポリマー型アニオンに、その対カチオンとして複数のトリアリールスルホニウム塩構造を有するものであってもよい。
以下に、本発明における(C)成分である、特定の化合物の好ましい具体例〔例示化合物(A−1)〜(O−3)、(P−1)〜(P−17)〕を挙げるが、これらに限定されるものではない。なお、例示化合物(P−1)〜(P−17)はポリマー型アニオンを有する化合物の例である。
Figure 0004328193
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本発明に係る(C)成分は、前述のように公知の方法により合成可能であるが、以下に、具体的な合成例を挙げて詳細を説明する。
(合成例1:例示化合物B−20の合成)
1.トリス(4−クロロフェニル)スルホニウムブロミドの合成
窒素雰囲気下、ジ(4−クロロフェニル)スルホキシド 16.3g(0.06mol)をジクロロメタン250mlに溶解し、0〜5℃でトリメチルクロロシラン10.8g(0.10mol)を滴下し、0℃で30分攪拌後、反応容器を0〜10℃の氷水で冷しながら、4−ブロモクロロベンゼン(0.18mol)から常法により調整されたグリニヤール試薬のテトラヒドロフラン(THF)溶液200gを30分で滴下した。0〜10℃で1時間攪拌、室温で1時間攪拌した後、反応溶液を、12%臭化水素水溶液250mlと氷との入った水溶液へゆっくり投入し、ジクロロメタン250mlで抽出を行い、硫酸ナトリウムで乾燥を行った。
溶媒を除去し、メタノール100mlを加え、30分攪拌すると、固体が析出する。固体を濾過により取り除き、濾液を濃縮し、更に酢酸エチル100mlで2回洗浄し、還流下、酢酸エチル中で固体化させ、白色固体(トリス(4−クロロフェニル)スルホニウムブロミド)12.0g(44%)を得た。
2.例示化合物B−20の合成
5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩3.26gを蒸留水100mlに溶解した水溶液に、前記のようにして得たトリス(4−クロロフェニル)スルホニウムブロミド4.46gをジクロロメタン50mlに溶解した溶液を投入し、1時間攪拌する。有機層を抽出し、有機層を水100mlで洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、有機層を濃縮し、濃縮した有機層に酢酸エチル100mlを投入し、還流下で30分攪拌する。冷却後、酢酸エチルで洗浄しながら、濾過し、40℃で6時間真空乾燥することにより、5.45g(収率85.2%)の固体が得られる。この固体の構造をNMRにより確認したところ、例示化合物(B−20)であることが確認された。
(合成例2:例示化合物B−17の合成)
2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩4.60gを蒸留水100mlに溶解した水溶液に、合成例1と同様にして得られたトリス(4−クロロフェニル)スルホニウムブロミド4.46gをジクロロメタン50mlに溶解した溶液を投入し、1時間攪拌する。有機層を抽出し、有機層を水100mlで洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、有機層を濃縮し、濃縮した有機層に酢酸エチル100mlを投入し、還流下で30分攪拌する。冷却後、酢酸エチルで洗浄しながら、濾過し、40℃で6時間真空乾燥することにより、酢酸エチルを5.7重量%含む5.07g(収率88%)の固体が得られた。この固体の構造をNMRにより確認したところ、例示化合物(B−17)であることが確認された。
他の化合物も同様にして合成することができる。
本発明の重合性化合物における(C)成分は、これを及び平版印刷版原版の記録層に用いる場合も同様に、全固形分中、1〜20質量%含有されることが好ましく、3〜12質量%含有されることがより好ましく、4〜10質量%含有されることが最も好ましい。
本発明の重合性組成物、又は、平版印刷版原版の記録層には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、前記(C)成分に加えて、他の公知の光重合開始剤、熱重合開始剤などを併用することができる。具体的には、例えば、公知のオニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジドなどが挙げられる。
本発明において、好適に併用し得るオニウム塩の具体例としては、特開2001−133969公報の段落番号[0030]〜[0033]に記載されたものを挙げることができる。
また、特開平9−34110号公報の段落番号[0012]〜[0050]に記載の一般式(I)〜(IV)で表されるオニウム塩、特開平8−108621号公報の段落番号[0016]に記載の熱重合開始剤などの公知の重合開始剤も好ましく用いられる。
他の重合開始剤を併用する場合、これらの含有量は、前記(C)成分に対して30質量%以下とすることが好ましい。
本発明係る(C)成分、及び所望より併用される他の重合開始剤は、その極大吸収波長が350nm以下であることが好ましく、更に320nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、白灯下においても取り扱うことが可能となる。
(A)バインダーポリマー
本発明の重合性組成物或いは平版印刷版原版の記録層は、バインダーポリマーを含有することを要する。バインダーポリマーとしては線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」としては、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とする水あるいは弱アルカリ水可溶性又は膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。線状有機高分子重合体は、組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤などいずれの現像剤を用いるかという用途に応じても選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているもの、及び、本願出願人が先に提案した特願2002−287920明細書に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、2‐メタクリロイロキシエチルコハク酸共重合体、2‐メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
なかでも、現像液によるダメージ抑制の観点から、バインダーポリマーとして、2‐メタクリロイロキシエチルコハク酸共重合体、2‐メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸共重合体等の特願2002−287920明細書に記載されている、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリマーを含有することが好ましい。
Figure 0004328193
(一般式(I)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子から構成され、その原子数が2〜82である連結基を表す。Aは酸素原子又は−NR3−を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。)
前記一般式(I)において、R2で表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30であることが好ましく、アルキレン構造を有すること、又は、アルキレン構造がエステル結合を介して連結された構造を有することがより好ましい。
以下、この一般式(I)で表される繰り返し単位について詳細に説明する。
一般式(I)におけるR1は、水素原子又はメチル基を表すが、特にメチル基が好ましい。
一般式(I)におけるR2で表される連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子から構成され、その原子数が2〜82であり、好ましくは2〜50であり、より好ましくは2〜30である。ここで示す原子数は、当該連結基が置換基を有する場合には、その置換基を含めた原子数を指す。
より具体的には、R2で表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30であることが好ましく、3〜25であることがより好ましく、4〜20であることが更に好ましく、5〜10であることが最も好ましい。なお、本発明における「連結基の主骨格」とは、一般式(I)におけるAと末端COOHとを連結するためのみに使用される原子又は原子団を指し、特に、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子又は原子団を指す。したがって、連結基内に環構造を有する場合、その連結部位(例えば、o−、m−、p−など)により算入されるべき原子数が異なる。
下記に、本発明の特定バインダーポリマーの構造、及び、その構造中のR2で表される連結基の主骨格を構成する原子数とその算出方法について併記する。
Figure 0004328193
Figure 0004328193
一般式(I)におけるR2で表される連結基として、より具体的には、アルキレン、置換アルキレン、アリーレン、置換アリーレンなどが挙げられ、これらの2価の基がアミド結合やエステル結合で複数連結された構造を有していてもよい。
鎖状構造の連結基としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。また、これらのアルキレンがエステル結合を介して連結されている構造もまた好ましいものとして例示することができる。
この中でも、一般式(I)におけるR2で表される連結基は、炭素原子数3から30までの脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。より具体的には、任意の置換基によって一個以上置換されていてもよいシクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ジシクロヘキシル、ターシクロヘキシル、ノルボルナン等の脂肪族環状構造を有する化合物を構成する任意の炭素原子上の水素原子を(n+1)個除き、(n+1)価の炭化水素基としたものを挙げることができる。また、R2は、置換基を含めて炭素数3から30であることが好ましい。
脂肪族環状構造を構成する化合物の任意の炭素原子は、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子から選ばれるヘテロ原子で、一個以上置き換えられていてもよい。耐刷性の点で、R2は縮合多環脂肪族炭化水素、橋架け環脂肪族炭化水素、スピロ脂肪族炭化水素、脂肪族炭化水素環集合(複数の環が結合又は連結基でつながったもの)等、2個以上の環を含有してなる炭素原子数5から30までの置換基を有していてもよい脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。この場合も炭素数は置換基が有する炭素原子を含めてのものである。
2で表される連結基としては、更に、原子数が5〜10のものが好ましく、構造的には、鎖状構造であって、その構造中にエステル結合を有するものや、前記の如き環状構造を有するものが好ましい。
2で表される連結基に導入可能な置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO32)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルボリル基(−B(alkyl)2)、ジアリールボリル基(−B(aryl)2)、アルキルアリールボリル基(−B(alkyl)(aryl))、ジヒドロキシボリル基(−B(OH)2)及びその共役塩基基、アルキルヒドロキシボリル基(−B(alkyl)(OH))及びその共役塩基基、アリールヒドロキシボリル基(−B(aryl)(OH))及びその共役塩基基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
記録層の設計にもよるが、水素結合可能な水素原子を有する置換基や、特に、カルボン酸よりも酸解離定数(pKa)が小さい酸性を有する置換基は、耐刷性を下げる傾向にあるので好ましくない。一方、ハロゲン原子や、炭化水素基(アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基)、アルコキシ基、アリーロキシ基などの疎水性置換基は、耐刷を向上する傾向にあるのでより好ましく、特に、環状構造がシクロペンタンやシクロヘキサン等の6員環以下の単環脂肪族炭化水素である場合には、このような疎水性の置換基を有していることが好ましい。これら置換基は可能であるならば、置換基同士、又は置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよく、置換基は更に置換されていてもよい。
一般式(I)におけるAがNR3−である場合のR3は、水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。このR3で表される炭素数1〜10までの一価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等の炭素数1〜10までのアリール基、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個含有する炭素数1〜10までのヘテロアリール基、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等の炭素数1〜10までのアルキニル基が挙げられる。R3が有してもよい置換基としては、R2が導入し得る置換基として挙げたものと同様である。但し、R3の炭素数は、置換基の炭素数を含めて1〜10である。
一般式(I)におけるAは、合成が容易であることから、酸素原子又は−NH−であることが好ましい。
一般式(I)におけるnは、1〜5の整数を表し、耐刷の点で好ましくは1である。
以下に、本発明に特に好適なバインダーポリマーを構成する、一般式(I)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0004328193
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一般式(I)で表される繰り返し単位は、バインダーポリマー中に1種類のみを有していてもよいし、異なる2種類以上を有していてもよい。即ち、本発明における好ましいバインダーポリマーとしては、一般式(I)で表される繰り返し単位だけからなるポリマーであってもよいが、他の共重合成分と組み合わされたコポリマーとして使用されることが一般的である。コポリマーにおける一般式(I)で表される繰り返し単位の総含有量は、その構造や、重合性組成物の設計等によって適宜決められるが、好ましくはポリマー成分の総モル量に対し、1〜99モル%、より好ましくは5〜40モル%、更に好ましくは5〜20モル%の範囲で含有される。
コポリマーとして用いる場合の共重合成分としては、ラジカル重合可能なモノマーであれば従来公知のものを制限なく使用できる。具体的には、「高分子データハンドブック−基礎編−(高分子学会編、培風館、1986)」記載のモノマー類が挙げられる。このような共重合成分は1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
前記各バインダーポリマーの中でも、特に、〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体、特開2000−131837公報、同2002−62648公報、同2000−187322公報、或いは、前記特願2002−287920号明細書に記載されているようなアクリル基、メタクリル基、アリル基を含有するポリマー等が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
中でも特に、前記一般式(I)で表される繰り返し単位と、下記一般式(II)〜(IV)で表される構造のラジカル重合性基(炭素−炭素二重結合)と、を有するポリマーが最も好ましい。
Figure 0004328193
一般式(II)〜(IV)中、R4〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表す。X、Yは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又はN−R15を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N−R15又はフェニレン基を表す。ここで、R15は、水素原子、又は1価の有機基を表す。
前記一般式(II)において、R4〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表すが、R4としては、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基など有機基が挙げられ、中でも具体的には、水素原子、メチル基、メチルアルコキシ基、メチルエステル基が好ましい。また、R5、R6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、これらの基に導入し得る置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられる。
Xは、酸素原子、硫黄原子、又は、−N−R15を表し、ここで、R15としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
前記一般式(III)において、R7〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表すが、R7〜R11は、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、これらの基に導入し得る置換基としては、一般式(II)において導入し得る置換基として挙げたものが例示される。
Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−N−R15を表す。R15としては、一般式(II)におけるのと同様のものが挙げられる。
前記一般式(IV)において、R12〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表すが、具体的には例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、これらの基に導入し得る置換基としては、これらの基に導入し得る置換基としては、一般式(II)において導入し得る置換基として挙げたものが例示される。
Zは、酸素原子、硫黄原子、−N−R15又はフェニレン基を表す。R15としては、一般式(II)におけるのと同様のものが挙げられる。
これらのラジカル重合性基の中でも、前記一般式(II)及び(III)で表される構造を有するラジカル重合性基であることが好ましい。
また、その他のバインダーポリマーとして、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特願平10−116232号等の各公報に記載される、酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
また、特開平11−171907号公報に記載のアミド基を有するバインダーポリマーは優れた現像性と膜強度をあわせもっており、このバインダーポリマーもまた、本発明に適用することができる。
更に、この他に水溶性線状有機高分子として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また、硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。これらの線状有機高分子重合体は全組成物中に任意な量を混和させることができる。しかし、その混和量が90質量%を超える場合には形成される画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ましくは30〜85質量%である。また、後述する(B)重合性の不飽和基を有する化合物と線状有機高分子重合体は、質量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。
このような、各バインダーポリマーは、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用することもできる。
本発明における(A)バインダーポリマーの分子量は、画像形成性や耐刷性の観点から適宜決定されるが、通常、好ましい分子量としては、2,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜200,000の範囲である。
本発明における(A)バインダーポリマーとしては、実質的に水に不溶でアルカリ水溶液に可溶なものが用いられる。このため、現像液として、環境上好ましくない有機溶剤を用いないか若しくは非常に少ない使用量に制限できる。このような(A)バインダーポリマーの酸価(ポリマーlgあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)と分子量は画像強度と現像性の観点から適宜選択される。好ましい酸価は、0.4〜3.0meq/gであり、好ましい分子量は2000から50万の範囲で、より好ましくは、酸価が0.6〜2.0、分子量が1万から30万の範囲である。
(B)重合性の不飽和基を有する化合物
本発明の本発明の重合性組成物、又は、平版印刷版原版の記録層中には、重合性の不飽和基を有する化合物(以下、適宜、重合性化合物と称する)を含有する。
本発明に使用される重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であることが好ましく、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくはま2個以上有する化合物から選ばれることが好ましい。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつものを包含する。
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類があげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアナート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
また、イソシアナート基や、エポキシ基、等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基、等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレー卜、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビト一ルペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p―(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレ
ングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等があ
る。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものをあげることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に下記式で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させてなる、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
Figure 0004328193
前記式中、R及びR’は、それぞれ独立にH原子又はCH3を示す。
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号の各公報に記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号の各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に硬化反応速度に優れた感熱性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号の各公報に記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等もあげることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの、重合性化合物について、どのような構造を用いるか、単独で使用するか併用するか、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終的な感材の性能設計にあわせて、任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と、強度を両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や、疎水性の高い化合物は感光スピードや、膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。
(B)重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましくない相分離が生じたり、組成物の粘着性による製造工程上の問題(例えば、感材成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、平版印刷版原版とした場合、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。これらの観点から、本発明の重合性組成物における(B)成分は、これを平版印刷版原版の記録層に用いる場合も同様に、全固形分中、20〜70質量%が好ましく、25〜50質量%がより好ましい。
また、(B)重合性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、平版印刷版原版に用いる場合、記録層中の他の成分(例えば、バインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。
(D)700〜1200nmに吸収極大を有する化合物
本発明の重合性組成物、又は、平版印刷版原版の記録層中には、感度向上の観点から、さらに700〜1200nmに吸収極大を有する化合物を含有することが好ましい。このような化合物を添加することで、本発明の重合性組成物は赤外線波長域に感応性を有することになる。
700〜1200nmに吸収極大を有する化合物としては、入手容易な高出力レーザーへの適合性の観点から、波長760〜1200nmに吸収極大を有する赤外線吸収性染料又は顔料であることが好ましい。
染料としては、市販の染料、及び、例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体、オキソノール染料、ジイモニウム染料、アミニウム染料、クロコニウム染料等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等の各公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等の各公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等の各公報に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクアリリウム色素、英国特許434,875号明細書に記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号の各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号公報、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
また、染料として好ましい別の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、フタロシアニン染料、オキソノール染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、チオピリリウム染料、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。更に、下記一般式(a)〜一般式(e)で示される染料が感度の観点から好ましく、特に下記一般式(a)で示されるシアニン色素は、本発明における記録層中で使用した場合に、高い重合活性を与え、且つ、安定性、経済性に優れるため最も好ましい。
Figure 0004328193
一般式(a)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NArX 2、X2−L1又は以下に示す基を表す。ここで、ArXは炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を表し、この芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、アルキル基、アリル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミド基、エステル基、アルコキシ基、アミノ基、及び複素環基からなる群より選択される1以上の置換基を有していてもよく、これらの置換基は、前記置換基により置換されたものであってもよい。また、X2は酸素原子、硫黄原子、又は、−N(RX)−を示し、RXは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。
Figure 0004328193
前記式中、Xa-は後述するZa-と同様に定義され、Raは水素原子、アルキル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、さらに、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていても良く、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていても良く、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素がその構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合は、Za-は必要ない。好ましいZa-は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、以下に例示するものの他、特開2001−133969公報の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−40638公報の段落番号[0012]〜[0038]、特開2002−23360公報の段落番号[0012]〜[0023]に記載されたものを挙げることができる。
Figure 0004328193
Figure 0004328193
Figure 0004328193
Figure 0004328193
Figure 0004328193
一般式(b)中、Lは共役炭素原子数7以上のメチン鎖を表し、該メチン鎖は置換基を有していてもよく、置換基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。Zb+は対カチオンを示す。好ましい対カチオンとしては、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジニウム、アルカリ金属カチオン(Na+、K+、Li+)などが挙げられる。R9〜R14及びR15〜R20は互いに独立に水素原子又はハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基から選択される置換基、或いは、これらを2つ若しくは3つ組合せた置換基を表し、互いに結合して環構造を形成していてもよい。ここで、前記一般式(b)中、Lが共役炭素原子数7のメチン鎖を表すもの、及び、R9〜R14及びR15〜R20がすべて水素原子を表すものが入手の容易性と効果の観点から好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(b)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 0004328193
Figure 0004328193
一般式(c)中、Y3及びY4は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又はテルル原子を表す。Mは、共役炭素数5以上のメチン鎖を表す。R21〜R24及びR25〜R28は、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基を表す。また、式中Za-は対アニオンを表し、前記一般式(a)におけるZa-と同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(c)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 0004328193
Figure 0004328193
一般式(d)中、R29ないしR31は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。R33及びR34は各々独立に、アルキル基、置換オキシ基、又はハロゲン原子を示す。n及びmは各々独立に0ないし4の整数を示す。R29とR30、又はR31とR32はそれぞれ結合して環を形成してもよく、またR29及び/又はR30はR33と、またR31及び/又はR32はR34と結合して環を形成しても良く、さらに、R33或いはR34が複数存在する場合に、R33同士あるいはR34同士は互いに結合して環を形成してもよい。X2及びX3は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、X2及びX3の少なくとも一方は水素原子又はアルキル基を示す。Qは置換基を有していてもよいトリメチン基又はペンタメチン基であり、2価の有機基とともに環構造を形成してもよい。Zc-は対アニオンを示し、前記一般式(a)におけるZa-と同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(d)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 0004328193
Figure 0004328193
一般式(e)中、R35〜R50はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基、オニウム塩構造を示す。Mは2つの水素原子若しくは金属原子、ハロメタル基、オキシメタル基を示すが、そこに含まれる金属原子としては、周期律表のIA、IIA、IIIB、IVB族原子、第一、第二、第三周期の遷移金属、ランタノイド元素が挙げられ、中でも、銅、マグネシウム、鉄、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、バナジウムが好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(e)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 0004328193
本発明において、(A)成分として使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が挙げられる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜1μmの範囲にあることが更に好ましく、特に0.1〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の画像記録層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると画像記録層の均一性の点で好ましくない。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
本発明における(D)成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
本発明における(D)成分としては、シアニン色素が好ましい。
感度の観点からは、一般式(a)で示されるシアニン色素がより好ましく、一般式(a)で示されるシアニン色素の中でも、X1がジアリールアミノ基又はX2−L1であるシアニン色素が好ましく、ジアリールアミノ基を有するシアニン色素がさらに好ましい。
また、両末端のインドレニン部位に、電子吸引性基又は重原子含有置換基を有するシアニン色素も好ましく、例えば、特願2001−6323明細書中に記載のものが好適に用いられる。最も好ましくは、X1がジアリールアミノ基であり、両末端のインドレニン部位に電子吸引性基を有するシアニン色素である。
本発明の重合性組成物における(D)成分は、これを平版印刷版原版の記録層に用いる場合も同様に、全固形分中、0.5〜5質量%添加されることが好ましい。この範囲より少なすぎる場合には露光による特性変化の感度が低くなり、感光性が充分に得られない傾向があり、多すぎる場合には膜の均一性や強度が低下する傾向にあるため、いずれも好ましくない。
(平版印刷版原版の層構成)
以下、本発明の重合性組成物を平版印刷版原版の記録層として用いた場合の層構成について説明する。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、少なくとも前記(A)〜(C)の各成分を含有する記録層を有してなり、必要に応じて中間層、保護層等の他の層を設けてもよい。
(記録層)
本発明の平版印刷版原版において画像形成機能を有する記録層について説明する。本発明の平版印刷版原版の記録層は、前記(A)〜(C)成分を含有し、さらに感度向上の観点から(D)700〜1200nmに吸収極大を有する化合物を含有することが好ましい。
本発明の平版印刷版原版の記録層における前記(C)成分は、特に、(B)成分である重合性化合物の重合を開始、促進させる重合開始剤として機能する。
平版印刷版原版の記録層に用いる(B)重合性化合物は、前記(B)成分の説明において詳述したとおりの化合物を用いるが、どのような化合物を用いるかは、前記した要件の他、後述の支持体、オーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
そのほか、重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、更に場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施し得る。
なお、前記(D)成分は、記録層に用いられる組成物中に他の成分と同一の層に添加されるが、記録層以外の層を設け、そこへ添加することもできる。
前記(D)成分は、ネガ型平版印刷版原版の記録層を作成(製膜)した際に、記録層の波長760nm〜1200nmの範囲における吸収極大での光学濃度が、0.1〜3.0の間にあることが好ましい。この範囲をはずれた場合、感度が低くなる傾向がある。光学濃度は、前記(D)成分の添加量と記録層の厚みとにより決定されるため、所定の光学濃度は両者の条件を制御することにより得られる。記録層の光学濃度は常法により測定することができる。測定方法としては、例えば、透明、或いは白色の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの記録層を形成し、透過型の光学濃度計で測定する方法、アルミニウム等の反射性の支持体上に記録層を形成し、反射濃度を測定する方法等が挙げられる。
(E)その他の成分
本発明の平版印刷版原版の記録層を構成する組成物中には、更にその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤について説明する。
(E−1)共増感剤
重合性組成物にある種の添加剤を用いることで、感度を更に向上させることができる。このような化合物を以後、共増感剤という。これらの作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、熱重合開始剤により開始される光反応、と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、カチオン)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(i)還元されて活性ラジカルを生成し得るもの、(ii)酸化されて活性ラジカルを生成し得るもの、(iii)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用するもの、に分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
(i)還元されて活性ラジカルを生成する化合物
炭素−ハロゲン結合結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素一酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
フエロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成し得る。
(ii)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には、例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、、N−フェニルイミノジ酢酸及びその誘導体、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成し得る。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成し得る。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類を挙げることができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成し得る。具体的は、アリール
スルフィン駿ナトリウム等を挙げることができる。
(iii)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物:例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成し得る。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
また、感度向上及び/又は現像性向上の目的で、芳香環又はヘテロ芳香環構造を有し、それに直接、又は、2価の連結基を介して少なくとも2つのカルボキシル基が結合してなるポリカルボン酸化合物を含有することも好ましい態様である。このようなポリカルボン酸化合物としては、具体的には例えば、(p−アセトアミドフェニルイミド)二酢酸、3−(ビス(カルボキシメチル)アミノ)安息香酸、4−(ビス(カルボキシメチル)アミノ)安息香酸、2−[(カルボキシメチル)フェニルアミノ]安息香酸、2−[(カルボキシメチル)フェニルアミノ]−5−メトキシ安息香酸、3−[ビス(カルボキシメチル)アミノ]−2−ナフタレンカルボン酸、N−(4−アミノフェニル)−N−(カルボキシメチル)グリシン、N,N’−1,3−フェニレンビスグリシン、N,N’−1,3−フェニレンビス[N−(カルボキシメチル)]グリシン、N,N’−1,2−フェニレンビス[N−(カルボキシメチル)]グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(4−メトキシフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(3−メトキシフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(3−ヒドロキシフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(3−クロロフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(4−ブロモフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(4−クロロフェニル)グリシン、
N−(カルボキシメチル)−N−(2−クロロフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(4−エチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(2,3−ジメチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(3,4−ジメチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(2,4−ジメチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(2,6−ジメチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(4−ホルミルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−エチルアントラニル酸、N−(カルボキシメチル)−N−プロピルアントラニル酸、5−ブロモ−N−(カルボキシメチル)アントラニル酸、N−(2−カルボキシフェニル)グリシン、o−ジアニシジン−N,N,N’,N’−四酢酸、N,N’−[1,2−エタンジイルビス(オキシ−2,1−フェニレン)]ビス[N−(カルボキシメチル)グリシン]、4−カルボキシフェノキシ酢酸、カテコール−O,O’−二酢酸、4−メチルカテコール−O,O’−二酢酸、レゾルシノール−O,O’−二酢酸、ヒドロキノン−O,O’−二酢酸、α−カルボキシ−o−アニス酸、4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ酢酸、2,2’−(ジベンゾフラン−2,8−ジイルジオキシ)二酢酸、2−(カルボキシメチルチオ)安息香酸、5−アミノ−2−(カルボキシメチルチオ安息香酸、3−[(カルボキシメチル)チオ]−2−ナフタレンカルボン酸、などが挙げられる。
なかでも、下記一般式(V)で表されるN−アリールポリカルボン酸又は一般式(VI)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004328193
前記一般式(V)中、Arは、モノ−、ポリ−または未置換のアリール基を表し、mは1から5の整数を表す。
ここで、アリール基に導入可能な置換基としては、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシ基、炭素原子数1〜3のチオアルキル基及びハロゲン原子が挙げられる。このアリール基は、1つ乃至3つの、同一または異なる置換基を有するものが好ましい。mは好ましくは1であり、また、Arは好ましくはフェニル基を表す。
Figure 0004328193
前記一般式(VI)中、R1は、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、n及びpは、それぞれ1から5の整数を表す。
nは1であることが好ましく、R1は水素原子が好ましい。最も好ましいポリカルボン酸はアニリノ二酢酸である。
その他、感度向上及び/又は現像性向上に好ましい化合物としては、カルボン酸基及びスルホン酸基のいずれか或いは双方を2官能以上有する化合物であり、具体的には5−アミノイソフタル酸、5−ニトロイソフタル酸、4−メチルフタル酸、テレフタル酸、2−ブロモテレフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニック酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、N−ベンジルイミノジ酢酸、N−(2−カルボキシフェニルグリシン)、N−フェニルイミノジ酢酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、5−スルホサリチル酸、2−スルホ安息香酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、4−スルホフタル酸などが挙げられる。また、上記化合物は、更にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アルコキシ基、アミノ基、アミド基、チオール基、チオアルコキシ基、スルホニル基で置換されても良い。
これらのうち、最も好ましいのは、前記一般式(V)又は一般式(VI)で表される化合物である。
このようなポリ(カルボン酸/スルホン酸)化合物の添加量は、重合性組成物前固形分中、0.5〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがさらに好ましく、3〜8質量%であることが特に好ましい。
これらの共増感剤のより具体的な例は、例えば、特開昭9−236913号公報中に、感度向上を目的とした添加剤として、多く記載されており、それらを本発明においても適用することができる。
これらの共増感剤は、単独で又は2種以上併用して用いることができる。使用量は前記(B)重合性化合物100質量部に対し0.05〜100質量部、好ましくは1〜80質量部、更に好ましくは3〜50質量部の範囲が適当である。
(E−2)重合禁止剤
また、本発明においては以上の基本成分の他に、記録層に用いる組成物の製造中又は保存中において重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t―ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t―ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、平版印刷版原版とする場合、支持体等への塗布後の乾燥の過程でその記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
(E−3)着色剤等
更に、本発明の平版印刷版原版においては、その記録層の着色を目的として染料もしくは顔料を添加してもよい。これにより、印刷版としての、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、多くの染料は光重合系記録層の感度の低下を生じるので、着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。染料及び顔料の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
(E−4)その他の添加剤
更に、本発明の平版印刷版原版においては、硬化皮膜の物性を改良するための無機充填剤や、その他、可塑剤、記録層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
上記可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物と結合剤との合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
また、後述する膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するための、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加もできる。
その他、記録層と支持体との密着性向上や、未露光記録層の現像除去性を高めるための添加剤、中間層を設けることが可能である。例えば、ジアゾニウム構造を有する化合物や、ホスホン化合物、等、基板と比較的強い相互作用を有する化合物の添加や下塗りにより、密着性が向上し、耐刷性を高めることが可能であり、一方ポリアクリル酸や、ポリスルホン酸のような親水性ポリマーの添加や下塗りにより、非画像部の現像性が向上し、汚れ性の向上が可能となる。
平版印刷版原版は、記録層塗布液や、保護層等の所望の層の塗布液用成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより平版印刷版原版を製造することができる。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N―ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ―ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
記録層の支持体への塗布量は、記録層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性等の影響を考慮し、用途に応じ適宜選択することが望ましい。塗布量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。本発明の平版印刷版原版における塗布量は、一般的には、乾燥後の質量で約0.l〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/m2である。
(保護層)
本発明の平版印刷版原版は、通常、露光を大気中で行うため、前記記録層上に、さらに、保護層を設ける事が好ましい。保護層は、感光層(記録層)中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、この様な保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、さらに、露光に用いる光の透過性が良好で、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できる事が望ましい。
このような、保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3、458、311号明細書、特開昭55−49729号公報に詳しく記載されている。保護層に使用できる材料としては、例えば、比較的、結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いる事がよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが知られていが、これらのうち、ポリビニルアルコールを主成分として用いる事が、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の共重合成分を有していてもよい。特に、ポリビニルアルコールに対しポリビニルピロリドンを15〜50質量%の範囲で置き換えた混合物が保存安定性の観点から好ましい。
ポリビニルアルコールの具体例としては、71〜100%加水分解され、分子量が300から2400の範囲のものを挙げることができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA一CS、PVA―CST、PVA一HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。
一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を新油性の重合層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。
これに対し、これら2層間の接着性を改すべく種々の提案がなされている。たとえば米国特許第292、501号明細書、米国特許第44、563号明細書には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジヨンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、重合層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号明細書、特開昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
さらに、保護層に他の機能を付与することもできる。例えば、露光に使う波長の光の透過性に優れ、かつ画像形成寄与しない波長の光を効率良く吸収しうる、着色剤(水溶性染料等)の添加により、感度低下を起こすことなく、セーフライト適性をさらに高めることができる。
また、本発明の平版印刷版原版における保護層としては、特開2000−347398公報に記載の酸素透過率が1×10-15{cm3(STP)・cm/cm2・sec・cmHg}以上の保護層も、好適に用いることができる。
(樹脂中間層)
本発明の平版印刷版原版においては、必要に応じて、記録層と支持体との間にアルカリ可溶性高分子からなる樹脂中間層を設けることができる。
露光によりアルカリ現像液への溶解性が低下する赤外線感応層である記録層が、露光面又はその近傍に設けられることで赤外線レーザに対する感度が良好となるとともに、支持体と該赤外線感応性の記録層との間にこの樹脂中間層が存在し、断熱層として機能することで、赤外線レーザの露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率良く使用されることからの高感度化が図れる。
また、露光部においては、アルカリ現像液に対して非浸透性となった感光層(記録層)がこの樹脂中間層の保護層として機能するために、現像安定性が良好になるとともにディスクリミネーションに優れた画像が形成され、且つ、経時的な安定性も確保されるものと考えられ、未露光部においては、未硬化のバインダー成分が速やかに現像液に溶解、分散し、さらには、支持体に隣接して存在するこの樹脂中間層がアルカリ可溶性高分子からなるものであるため、現像液に対する溶解性が良好で、例えば、活性の低下した現像液などを用いた場合でも、残膜などが発生することなく速やかに溶解するため、現像性に優れるものと考えられる。
(支持体)
本発明の平版印刷版原版に使用される支持体としては、寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)等が挙げられる。これらは、樹脂フィルムや金属板などの単一成分のシートであっても、2以上の材料の積層体であってもよく、例えば、上記のごとき金属がラミネート、若しくは蒸着された紙やプラスチックフィルム、異種のプラスチックフィルム同志の積層シート等が含まれる。
上記支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。
上記アルミニウム板の厚みは、およそ0.1〜0.6mm程度、好ましくは0.15〜0.4mm、特に好ましくは0.2〜0.3mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
このように粗面化されたアルミニウム板は、所望により、アルカリエッチング処理、中和処理を経て、表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施すことができる。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸或いはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。
陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2以上が好適であるが、より好ましくは2.0〜6.0g/m2の範囲である。陽極酸化被膜が1.0g/m2未満であると耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
尚、このような陽極酸化処理は平版印刷版の支持体の印刷に用いる面に施されるが、電気力線の裏回りにより、裏面にも0.01〜3g/m2の陽極酸化被膜が形成されるのが一般的である。
支持体表面の親水化処理は、上記陽極酸化処理の後に施されるものであり、従来より知られている処理法が用いられる。このような親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号の各明細書に開示されているようなアルカリ金属珪酸塩(例えば、珪酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体が珪酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか、又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号の各明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が用いられる。
これらの中で、本発明において特に好ましい親水化処理は珪酸塩処理である。珪酸塩処理について、以下に説明する。
上述の如き処理を施したアルミニウム板の陽極酸化皮膜を、アルカリ金属珪酸塩が0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜10質量%であり、25℃でのpHが10〜13である水溶液に、例えば、15〜80℃で0.5〜120秒浸漬する。アルカリ金属珪酸塩水溶液のpHが10より低いと液はゲル化し13.0より高いと酸化皮膜が溶解されてしまう。本発明に用いられるアルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属珪酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩もしくは第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、燐酸塩、酢酸塩、蓚酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩として、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、蓚酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。アルカリ土類金属塩もしくは、第IVB族金属塩は単独又は2以上組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の好ましい範囲は0.01〜10質量%であり、更に好ましい範囲は0.05〜5.0質量%である。
珪酸塩処理により、アルミニウム板表面上の親水性が一層改善されるため、印刷の際、インクが非画像部に付着しにくくなり、汚れ性能が向上する。
支持体の裏面には、必要に応じてバックコートが設けられる。かかるバックコートとしては、特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物及び特開平6−35174号公報記載の有機又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。
これらの被覆層のうち、Si(OCH34、Si(OC254、Si(OC374、Si(OC494などの珪素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから与られる金属酸化物の被覆層が耐現像性に優れており特に好ましい。
(露光)
以上のようにして、本発明の平版印刷版原版を作成することができる。
なお、本発明の重合性組成物の重合、或いは、それを用いた本発明の平版印刷版原版の画像形成は、露光により実施される。平版印刷版原版の場合、露光に引き続き、後述する現像処理が施される。
露光に用いる光線としては、公知のものを制限なく用いることができる。望ましい光源の波長は300nmから1200nmであり、具体的には各種レーザを光源として用いることが好適であり、なかでも、波長780nm〜1200nmの赤外線レーザーが好適に用いられる。
露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでも良い。
また、その他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視及び紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。後述する赤外線レーザ超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視及び紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等が挙げられる。
本発明の重合性組成物や平版印刷版原版の露光に前記赤外線レーザを用いる場合、赤外線波長域に感応性を有する(D)成分を含有することが、感度の観点から有利である。
赤外線レーザとしては、具体的には、波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザが好ましく、これらにより画像露光される。
本発明においては、レーザ照射後すぐに現像処理を行ってもよいが、レーザ照射工程と現像工程の間に加熱処理を行ってもよい。加熱処理の条件は、80℃〜150℃の範囲内で10秒〜5分間行うことが好ましい。この加熱処理により、レーザ照射時、記録に必要なレーザエネルギーを減少させることができる。
(現像)
本発明の平版印刷版原版は、通常、赤外線レーザにより画像露光したのち、好ましくは、水又はアルカリ性水溶液にて現像される。
本発明においては、レーザー照射後直ちに現像処理を行ってもよいが、レーザー照射工程と現像工程との間に加熱処理工程を設けることもできる。加熱処理条件は、80℃〜150℃の範囲で、10秒〜5分間行うことが好ましい。この加熱処理により、レーザー照射時、記録に必要なレーザーエネルギーを減少させることができる。
現像液としては、アルカリ性水溶液が好ましく、好ましいpH領域としては、pH10.5〜12.5の範囲が挙げられ、pHll.0〜12.5の範囲のアルカリ性水溶液により現像処理することが更に好ましい。アルカリ性水溶液としてpH10.5未満のものを用いると非画像部に汚れが生じやすくなる傾向があり、pH12.5を超える水溶液により現像処理すると画像部の強度が低下するおそれがある。
現像液として、アルカリ性水溶液を用いる場合、本発明の平版印刷版原版の現像液及び補充液としては、従来公知のアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウム等の無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いられる。
これらのアルカリ剤は単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
更に、自動現像機を用いて現像する場合には、現像液と同じもの又は、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換することなく、多量の平版印刷版原版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。
現像液及び補充液には現像性の促進や抑制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤等を添加できる。
現像液中には界面活性剤を1〜20質量%加えることが好ましく、より好ましくは、3〜10質量%の範囲である。界面活性剤の添加量が1質量%未満であると現像性向上効果が充分に得られず、20質量%を超えて添加すると画像の耐摩耗性など強度が低下するなどの弊害が出やすくなる。
好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。具体的には、例えば、ラウリルアルコールサルフェートのナトリウム塩、ラウリルアルコールサルフェートのアンモニウム塩、オクチルアルコールサルフェートのナトリウム塩、例えば、イソプロピルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、イソブチルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、ポリオキシエチレングリコールモノナフチルエチル硫酸エステルのナトリウム塩、ドデンルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、メタニトロベンゼンスルホン酸のナトリウム塩などのようなアルキルアリールスルホン酸塩、第2ナトリウムアルキルサルフェートなどの炭素数8〜22の高級アルコール硫酸エステル類、セチルアルコールリン酸エステルのナトリウム塩などのような脂肪族アルコールリン酸エステル塩類、例えば、C1733CON(CH3)CH2CH2SO3Naなどのようなアルキルアミドのスルホン酸塩類、例えば、ナトリウムスルホコハク酸ジオクチルエステル、ナトリウムスルホコハク酸ジヘキシルエステルなどの二塩基性脂肪族エステルのスルホン酸塩類、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムメトサルフェートなどのアンモニウム塩類、例えば、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩などのアミン塩、例えば、グリセロールの脂肪酸モノエステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸モノエステルなどの多価アルコール類、例えば、ポリエチレングリコールモノナフチルエチル、ポリエチレングリコールモノ(ノエルフェノール)エチルなどのポリエチレングリコールエチル類などが含まれる。
好ましい有機溶剤としては、水に対する溶解度が約10質量%以下のものが挙げられ、更に好ましくは水に対する溶解度が5質量%以下のものから選ばれる。たとえば1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニルプロパノール、1,4−フェニルブタノール、2,2−フェニルブタノール、1,2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、o−メトキシベンジルアルコール、m―メトキシベンジルアルコール、p―メトキシベンジルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール及び3−メチルシクロヘキサノール等を挙げることができる。有機溶媒の含有量は、使用時の現像液の総質量に対して1〜5質量%が好適である。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な関係があり、有機溶媒の量が増すにつれ、界面活性剤の量は増加させることが好ましい。これは界面活性剤の量が少ない状態で、有機溶媒の量を多く用いると有機溶媒が溶解せず、従って良好な現像性の確保が期待できなくなるからである。
更に、現像液及び補充液には必要に応じて、消泡剤、硬水軟化剤のような添加剤を含有させることもできる。硬水軟化剤としては、例えば、Na227、Na533、Na333、Na24P(NaO3P)ΡO3Na2、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸塩、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのようなアミノポリカルボン酸類の他、2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;2−ホスホノブタノントリカルボン酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2,2、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類を挙げることができる。このような硬水軟化剤の最適量は、使用される硬水の硬度及びその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲で含有させうる。
更に、自動現像機を用いて、該平版印刷版を現像する場合には、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。この場合、米国特許第4,882,246号明細書に記載されている方法で補充することが好ましい。
このような界面活性剤、有機溶剤及び還元剤等を含有する現像液としては、例えば、特開昭51−77401号公報に記載されている、ベンジルアルコール、アニオン性界面活性剤、アルカリ剤及び水からなる現像液組成物、特開昭53−44202号公報に記載されている、ベンジルアルコール、アニオン性界面活性剤、及び水溶性亜硫酸塩を含む水性溶液からなる現像液組成物、特開昭55−155355号公報に記載されている、水に対する溶解度が常温において10質量%以下である有機溶剤、アルカリ剤、及び水を含有する現像液組成物等が挙げられ、本発明においても好適に使用される。
以上記述した現像液及び補充液を用いて現像処理された印刷版は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の画像記録材料を印刷版原版として使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷用版材用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷用版材を搬送する装置と各処理液槽とスプレー装置とからなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロール等によって印刷版原版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、電気伝導度をセンサーにて感知し、自動的に補充することもできる。
また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
以上のようにして得られた平版印刷版は、所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。
平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスクィージ、あるいは、スクィージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行なわれている処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。
このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜12)
[基板の作製]
厚み0.3mmのアルミニウム版(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミス−水懸濁液を用いこの表面を砂目立て表面のエッチングを行い、水洗後、更に20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次にこの板を7%硫酸を電解液として電流密度15A/dm2で3g/m2の直流電極酸化被膜を設けた後、水洗し、乾燥して基板(A)を作成した。
基板(A)を珪酸ナトリウム2重量%水溶液で25℃で15秒処理し、水洗して基板(B)を作成した。
[中間層の形成]
次に下記の手順によりSG法の液状組成物(ゾル液)を調整した。
<ゾル液組成>
・メタノール 130g
・水 20g
・85重量%リン酸 16g
・テトラエトキシシラン 50g
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 60g
上記の各化合物を混合し、撹拌した。約5分で発熱が認められた。60分間反応させた後、内容物を別の容器へ移し、メタノール3000gを加えることにより、ゾル液を得た。
このゾル液をメタノール/エチレングリコール=9/1(重量比)で希釈して、上述の様に作製された基板[A]上に、基板上のSiの量が3mg/m2となるように塗布し、100℃にて1分間乾燥させ、基板[C]を得た。
[感光層(記録層)の形成]
上述の様に作成された基板[A]乃至基板[C]のいずれかを支持体とし、その表面に下記組成の感光層塗布液を塗布し、120℃で1分乾燥し、1.35g/m2の感光層を形成し、実施例1〜12の平版印刷版原版を得た。使用する基板、(D)700〜1200nmに吸収極大を有する化合物(表1中に赤外線吸収剤と記載)、(B)重合性の不飽和基を有する化合物(表1中に重合性化合物と記載)、(C)特定化合物を含むラジカル発生剤(表1中に重合開始剤と記載)、及び(A)バインダーは下記表1に示す通りである。
(感光層塗布液)
・(D)700−1200nmに吸収極大を有する化合物
(表1記載の化合物) 0.075g
・重合開始剤(表1記載の化合物) 0.180g
・(A)バインダー(表1記載の化合物) 1.10g
・(B)重合性化合物(表1記載の化合物) 1.00g
・フッ素系ノニオン界面活性剤(メガファックF−177P、
大日本インキ化学工業(株)製) 0.025g
・エチルバイオレット(アルドリッチ社製) 0.04g
・シクロヘキサノン 10g
・メタノール 7g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8g
Figure 0004328193
表1中の(B)成分である重合性化合物(M−1)は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA:日本化薬製)であり、(M−2)は、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート (M−315:東亜合成社製)であり、(M−3)はNKエステル A−BPE−4 (新中村化学工業株式会社製)である。
表1中の(A)バインダーポリマー〔(B−1)〜(B−4)〕及び、(D)成分である700〜1200nmに吸収極大を有する化合物〔(DX−1)〜(DX−3)〕の構造は以下に示すとおりである。
Figure 0004328193
Figure 0004328193
(比較例1、2)
支持体として基板[A]を用い、(A)バインダーポリマー、重合開始剤、及び(D)700〜1200nmに吸収極大を有する化合物を、表1に記載のものに変更した以外は、実施例1〜14と同様にして感光層を形成し、比較例1及び比較例2の平版印刷版原版を得た。この比較例では、重合開始剤として本発明に係る(C)成分である特定化合物に代えて、下記構造の重合開始剤HA、HBをそれぞれ使用している。
Figure 0004328193
(実施例15〜28、比較例3、4)
前記実施例1〜14、及び比較例1、2で得られた平版印刷版原版の感光層上に、ポリビニルアルコール(ケン化度:98モル%、重合度:550)の3質量%水溶液を乾燥後の塗布量が2g/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥して感光層上に保護層を設け、実施例15〜28、及び比較例3、4の平版印刷版原版を得た。
[平版印刷版原版の評価]
−感度評価−
得られた実施例1〜14、比較例1、2の平版印刷版用原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力6Wで、外面ドラムの回転数を調節することで版面エネルギーを変化させながら露光した。下記の条件で現像した後、明瞭なベタ画像が形成できたときのドラム回転数を測定して感度とした。また、記録層表面にオーバーコート層を有する実施例15〜28、比較例3、4については、赤外線半導体レーザの出力を4Wとして同様に評価した。回転数の多いものほど高速で書き込みが可能であり、感度に優れると評価する。
−現像処理−
露光後、富士写真フイルム(株)製自動現像機スタブロン900Nを用い現像処理した。現像液は、富士写真フイルム(株)製DV−2の1:4水希釈液、又は、富士写真フイルム(株)製DP−4の1:8水希釈液を用いた。現像浴の温度は30℃とした。また、フィニッシャーは、富士写真フイルム(株)製FN−6の1:1水希釈液を用いた。
−現像液によるダメージ抑制試験−
実施例15〜28及び比較例3、4の平版印刷版原版を、感度評価で用いたのと同じ露光装置で、出力4W、外面ドラムの回転数を120回転として露光し、露光後の版を、対応する実施例1〜14及び比較例1、2で用いたのと同じ現像液に1分間浸漬し、画像部の露光直後との濃度変化をX−Rite社製、Spectrodensitometerのシアン濃度により、測定した。
浸漬前後での濃度変化が小さいほど、画像部領域における現像液によるダメージが少ない(ダメージ抑制効果が良好である)と評価する。
これらの評価結果を表1に併記する。
表1の結果より、本発明の重合性組成物を記録層として用いた実施例1〜28の平版印刷版用原版は、高感度で画像形成可能であり、加えて画像部が現像液によるダメージを受け難いことがわかった。また、感光層の上に保護層を設けた場合においても、保護層を有しないものと同様の傾向が見られた。また、実施例1と13、実施例2と14との対比において、バインダーポリマーとして、2‐メタクリロイロキシエチルコハク酸共重合体、2‐メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸共重合体等の前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリマーを用いた場合に、高感度を維持しながら、現像液によるダメージ抑制効果が向上していることがわかる。
一方、比較例1乃至4の平版印刷版原版は、同様の条件で作製された実施例2、4、16、18と比較して感度、画像部領域における耐現像性ともに劣ることがわかった。
(実施例29〜31)
前記実施例1で用いたのと同様の基版上に下記組成の感光層塗布液2を塗布し、120℃、1分乾燥し、1.35g/m2の感光層を形成し、平版印刷版原版を得た。
(感光層塗布液2)
・(D)700−1200nmに吸収極大を有する化合物
(表1記載の化合物) 0.075g
・(C)重合開始剤(表1記載の化合物) 0.180g
・(A)バインダー(表1記載の化合物) 1.10g
・(B)重合性化合物(表1記載の化合物) 1.00g
・ポリカルボン酸化合物(下記構造)
(但し、実施例29、30のみに添加、実施例31には無添加) 0.10g
・フッ素系ノニオン界面活性剤(メガファックF−177P、
大日本インキ化学工業(株)製) 0.025g
・エチルバイオレットの対アニオンを
ナフタレンスルホン酸アニオンにした染料 0.04g
・メチルエチルケトン 10g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8g
・メタノール 7g
Figure 0004328193
(実施例32〜34)
前記実施例29〜31で得られた平版印刷版原版の感光層上に、ポリビニルアルコール(ケン化度:98モル%、重合度:550)の3質量%水溶液を乾燥後の塗布量が2g/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥して感光層上に保護層を設け、実施例32〜34の平版印刷版原版を得た。
得られた平版印刷版原版を実施例1〜28と同様に評価した。結果、及び、用いた現像液については、前記表1に併記した。
表1に明らかなように、本発明の好ましい態様である(C)成分としてハロゲン原子を3原子有するトリアリールスルホニウムカチオン構造を有し、且つ、有機アニオンを有する化合物を、(A)バインダーとして前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリマーを用いることで、高感度であり現像によるダメージ抑制効果にも優れていた。さらに増感剤としてポリカルボン酸化合物を添加してなる画像記録層を有する平版印刷版原版は、実施例中においても極めて高感度であり、現像によるダメージ抑制効果にも優れていることがわかる。また、感光層の上に保護層を設けた場合においても、保護層を有しないものと同様の傾向が見られた。

Claims (8)

  1. (A)バインダーポリマー、
    (B)重合性の不飽和基を有する化合物、及び、
    (C)トリアリールスルホニウム塩構造を有し、且つ、アリール骨格に結合する置換基のハメット値の総和が0.46より大きい化合物、
    を含有することを特徴とする重合性組成物。
  2. 前記(C)トリアリールスルホニウム塩構造を有し、且つ、アリール骨格に結合する置換基のハメット値の総和が0.46より大きい化合物が、該アリール骨格に結合する置換基のハメット値の総和が0.50を超える化合物である請求項1に記載の重合性組成物。
  3. 前記(C)トリアリールスルホニウム塩構造を有し、且つ、アリール骨格に結合する置換基のハメット値の総和が0.46より大きい化合物のカウンターアニオンが、スルホン酸アニオン、ベンゾイルギ酸アニオン、PF - 、BF - 、ClO - 、カルボン酸アニオン、スルフィン酸アニオン、硫酸アニオン、ボレートアニオン、ハロゲンアニオン、ポリマー型スルホン酸アニオン、およびポリマー型カルボン酸アニオンからなる群から選ばれたアニオンである請求項1または請求項2に記載の重合性組成物。
  4. 更に(D)700〜1200nmに吸収極大を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  5. 前記(C)トリアリールスルホニウム塩構造を有し、且つ、アリール骨格に結合する置換基のハメット値の総和が0.46より大きい化合物が、ハロゲン原子を3原子有するトリアリールスルホニウムカチオン構造を有し、且つ、有機アニオンを有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  6. 前記(A)バインダーポリマーが、下記一般式(I)で表される構造単位を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の重合性組成物。
    Figure 0004328193

    (一般式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子から構成され、その原子数が2〜82である連結基を表す。Aは酸素原子又は−NR−を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。)
  7. 前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーにおいて、Rで表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30であることを特徴とする請求項に記載の重合性組成物。
  8. 支持体上に、前記請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の重合性組成物を含有する記録層を備えてなる平版印刷版原版。
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