JP4393331B2 - 平版印刷版原版 - Google Patents
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Description
近年、画像情報を、コンピューターを用いて電子的に処理、蓄積、出力するデジタル化技術が広く普及してきている。そして、その様なデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用される様になってきた。その結果、レーザー光のような指向性の高い光をデジタル化された画像情報に従って走査し、リスフイルムを介すること無く、直接印刷版を製造するコンピューター トゥ プレート(CTP)技術が切望されており、これに適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題となっている。
このような走査露光可能な平版印刷版原版としては、親水性支持体上にレーザー露光によりラジカルやブロンステッド酸などの活性種を発生しうる感光性化合物を含有した親油性感光性樹脂層(以下、「感光層」ともいう)を設けた構成が提案され、既に上市されている。この平版印刷版原版をデジタル情報に基づきレーザー走査露光し活性種を発生させ、その作用によって感光層に物理的、或いは化学的な変化を起こし不溶化させ、引き続き現像処理することによってネガ型の平版印刷版を得ることができる。
しかしながら、高感度で記録するという目的で、光や熱に高感度で反応する化合物を用いると、保存安定性が低下する傾向があり、このようなバインダーポリマーの選択のみでは、実用上の感度と保存安定性とを満足させるには至っていないのが現状である。
即ち、本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、(A)赤外線吸収剤、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、および(D)下記一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーを含有する画像記録層を有し、支持体と該画像記録層との間に、(E)(a1)エチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する繰り返し単位、(a2)後記一般式(A2)で表され、支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ有する繰り返し単位、および(a3)後記一般式(A3)で表され、親水性部分を有する繰り返し単位を含む共重合体を含有する下塗り層を設けてなることを特徴とする。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に前記下塗り層、及び、画像記録層をこの順に設けることを要するが、目的に応じて、保護層、バックコート層などの任意の層を有するものであってもよい。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、(A)赤外線吸収剤、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、および(D)前記一般式(i)で表される繰り返し単位を有する特定のバインダーポリマーを含有する画像記録層を有し、該支持体と画像記録層との間に、(E)(a1)エチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する繰り返し単位、(a2)後記一般式(A2)で表され、支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ有する繰り返し単位、および(a3)後記一般式(A3)で表され、親水性部分を有する繰り返し単位を含む共重合体(以下、適宜、「特定共重合体」と称する。)を含む下塗り層を設けてなることを特徴とする。上記(E)特定共重合体は親水性部分を有する。
以下、本発明の平版印刷版原版の構成及び用いられる化合物について順次説明する。
まず、本発明の特徴的な成分である(E)特定共重合体を含有する下塗り層について説明する。この下塗り層には、以下に詳述する(E)特定共重合体を含有する。
〔(E)(a1)エチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する繰り返し単位、(a2)後記一般式(A2)で表され、支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ有する繰り返し単位、および(a3)後記一般式(A3)で表され、親水性部分を有する繰り返し単位を含む共重合体〕
上記(E)特定共重合体としては、下記式(I)で表される繰り返し単位を含有するものが好ましい。
式(I)において、A1で表される繰り返し単位は、好ましくは下記式(A1)で表される。
L1:−CO−NH−二価の脂肪族基−O−CO−
L2:−CO−二価の脂肪族基−O−CO−
L3:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−
L4:−二価の脂肪族基−O−CO−
L5:−CO−NH−二価の芳香族基−O−CO−
L6:−CO−二価の芳香族基−O−CO−
L7:−二価の芳香族基−O−CO−
L8:−CO−二価の脂肪族基−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−
L9:−CO−二価の脂肪族基−O−CO−二価の脂肪族基−O−CO−
L10:−CO−二価の芳香族基−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−
L11:−CO−二価の芳香族基−O−CO−二価の脂肪族基−O−CO−
L12:−CO−二価の脂肪族基−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−
L13:−CO−二価の脂肪族基−O−CO−二価の芳香族基−O−CO−
L14:−CO−二価の芳香族基−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−
L15:−CO−二価の芳香族基−O−CO−二価の芳香族基−O−CO−
二価の脂肪族基は、環状構造よりも鎖状構造の方が好ましく、さらに分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造の方が好ましい。
二価の脂肪族基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至12であることがさらに好ましく、1乃至10であることがさらにまた好ましく、1乃至8であることが最も好ましい。
二価の脂肪族基に導入しうる置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基およびジアリールアミノ基等が挙げられる。
二価の芳香族基に導入しうる置換基の例としては、上記二価の脂肪族基における置換基の例が同様に挙げられ、さらにそれらに加えて、アルキル基が挙げられる。
特定官能基としては、具体的には支持体表面のSi−OH、Si−O−、Al3+、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等との間で、共有結合、イオン結合、水素結合、極性相互作用、ファンデルワールズ相互作用などの相互作用を形成することが可能な基が挙げられるが、本発明においては、Qとして、以下の特定官能基を有することを要する。
組み合わせからなるLの具体例としては、前記(A1)におけるLの具体例に加えて以下のものを挙げることができる。なお、下記例において左側が主鎖に結合し、右側がエチレン性不飽和結合に結合する。
L16:−CO−NH−
L17:−CO−O−
L18:−二価の芳香族基−
本発明で用いられる前記共重合体は、共重合成分としてさらに下記式(A3)で表される繰り返し単位を含有する。
R7およびR8はそれぞれ独立に、水素原子、あるいは炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基を表す。
R9は炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキレン基を表す。
R10は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を表す。
nは1〜100の整数を表す。
前記特定共重合体の分子量としては、質量平均分子量で500〜100,000の範囲が好ましく、700〜50,000の範囲がより好ましい。
特定共重合体において、(a1)、即ち、一般式(I)におけるA1で表される繰り返し単位は、全共重合モノマーに対して5〜80モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましい。(a2)、即ち、A2で表される繰り返し単位は、全共重合モノマーに対して5〜80モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましい。さらに、親水性の共重合成分である(a3)を含む場合には、共重合モノマーに対して5〜80モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましい。
一般に、平版印刷版原版には、画像記録層と支持体との間の密着性や汚れ性を改善する目的で、しばしば中間層(下塗り層)が設けられるが、本発明における下塗り層は、前記(E)特定共重合体を含有する以外は、公知の下塗り層と同様の構成を用いることができる。
公知の中間層(下塗り層)の具体例としては、特公昭50−7481号、特開昭54−72104号、特開昭59−101651号、特開昭60−149491号、特開昭60−232998号、特開平3−56177号、特開平4−282637号、特開平5−16558号、特開平5−246171号、特開平7−159983号、特開平7−314937号、特開平8−202025号、特開平8−320551号、特開平9−34104号、特開平9−236911号、特開平9−269593号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平10−161317号、特開平10−260536号、特開平10−282682号、特開平11−84674号、特願平8−225335号、特願平8−270098号、特願平9−195863号、特願平9−195864号、特願平9−89646号、特願平9−106068号、特願平9−183834号、特願平9−264311号、特願平9−127232号、特願平9−245419号、特願平10−127602号、特願平10−170202号、特願平11−36377号、特願平11−165861号、特願平11−284091号、特願2000−14697号等に記載のものを挙げることができる。
次に、本発明の平版印刷版原版の画像記録層について説明する。本発明に係る画像記録層は、(A)赤外線吸収剤、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、および(D)一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーを含有する。
〔(D)バインダーポリマー〕
本発明に好適なバインダーポリマーとしては、下記一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーである。以下、一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーを、適宜、特定バインダーポリマーと称し、詳細に説明する。
一般式(i)におけるR2で表される連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群から選択される1以上の原子から構成されるもので、その置換基を除く原子数が2〜82であることが好ましい。具体的には、R2で表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30であることが好ましく、3〜25であることがより好ましく、4〜20であることが更に好ましく、5〜10であることが最も好ましい。なお、本発明における「連結基の主骨格」とは、一般式(i)におけるAと末端COOHとを連結するためのみに使用される原子又は原子団を指し、特に、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子又は原子団を指す。したがって、連結基内に環構造を有する場合、その連結部位(例えば、o−、m−、p−など)により算入されるべき原子数が異なる。
鎖状構造の連結基としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。また、これらのアルキレンがエステル結合を介して連結されている構造もまた好ましいものとして例示することができる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等の炭素数1〜10までのアリール基、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個含有する炭素数1〜10までのヘテロアリール基、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等の炭素数1〜10までのアルキニル基が挙げられる。R3が有してもよい置換基としては、R2が導入し得る置換基として挙げたものと同様である。但し、R3の炭素数は、置換基の炭素数を含めて1〜10である。
一般式(i)におけるnは、1〜5の整数を表し、耐刷の点で好ましくは1である。
また、このようなバインダーポリマーの酸価(meg/g)としては、2.00〜3.60の範囲であることが好ましい。
前記特定バインダーポリマーと併用可能な他のバインダーポリマーは、ラジカル重合性基を有するバインダーポリマーであることが好ましい。
そのラジカル重合性基としては、ラジカルにより重合することが可能であれば特に限定されないが、α−置換メチルアクリル基[−OC(=O)−C(−CH2Z)=CH2、Z=ヘテロ原子から始まる炭化水素基]、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリル基が挙げられ、この中でも、アクリル基、メタクリル基が好ましい。
かかるバインダーポリマー中のラジカル重合性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、感度や保存性の観点から、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
バインダーポリマーのガラス転移点を高めるため手段としては、その分子中に、アミド基やイミド基を含有することが好ましく、特に、メタクリルアミドメタクリルアミド誘導体を含有することが好ましい。
本発明の平版印刷版原版の画像記録層には、エネルギー移動機能(電子移動)や光熱変換機能などの発現を目的にして、赤外線吸収剤を含有することを要する。
赤外線吸収剤は、赤外線レーザーの照射(露光)に対し高感度で電子励起状態となり、かかる電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動、発熱(光熱変換機能)などが、前述の重合開始剤に作用して、該重合開始剤に高感度で化学変化を生起させてラジカルを生成させるのに有用である。
本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長750nmから1400nmに吸収極大を有する染料又は顔料であり、中でも、カチオン性染料であることが好ましい。赤外線吸収剤として対イオンを有する構造の化合物(カチオン性染料)を用いる場合には、該対イオンがハロゲンイオンでないものを選択することが好ましい。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、本発明における赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特願2001−6326、特願2001−237840記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
また、特に好ましい他の例として更に、前記した特願平2001−6326、特願平2001−237840明細書に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
但し、対イオンとして、ハロゲンイオンを含有してないものが特に好ましい。
但し、本発明における赤外線吸収剤の添加量は、対イオンを有する構造の赤外線吸収剤でり、該対イオンがハロゲンイオンある場合には、画像記録層中における均一性や画像記録層の耐久性や感度と、画像記録層中のハロゲンイオンの濃度と、を考慮して調整する必要がある。
本発明の平版印刷版原版の画像記録層に用いられる重合開始剤は、後述する重合性化合物の硬化反応を開始、進行させる機能を有し、熱により分解してラジカルを発生する熱分解型のラジカル発生剤、赤外線吸収剤の励起電子を受容してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤、又は、励起した赤外線吸収剤に電子移動してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤など、エネルギーを付与することでラジカルを生成させるものであればいかなる化合物を用いてもよい。例えば、オニウム塩、活性ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、ボレート化合物などが挙げられる。これら複数の異なるラジカル発生機構を有する化合物を併用して用いてもよい。本発明における重合開始剤としては、感度と生保存性との両立といった観点からオニウム塩が好ましく、中でも、スルホニウム塩が特に好ましい。
本発明における他のオニウム塩としては、下記一般式(2)及び(3)で表されるオニウム塩が挙げられる。
スルホニウム塩重合開始剤と他の重合開始剤とを併用する場合の含有比(質量比)としては、100/1〜100/50が好ましく、100/5〜100/25がより好ましい。
本発明における重合開始剤の総含有量は、感度及び印刷時の非画像部に汚れの発生の観点から、画像記録層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。
また、重合開始剤は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
本発明の平版印刷版原版の画像記録層に用いられる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
(ただし、R4及びR5は、H又はCH3を示す。)
また、本発明の平版印刷版原版では、支持体や後述する水溶性保護層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。その他、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択できる。更に、本発明の平版印刷版原版では、下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施し得る。
本発明の平版印刷版原版の画像記録層においては、重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、即ち、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合禁止剤の添加量は、画像記録層組成物中の不揮発性成分の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
また、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、画像記録層組成物中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
本発明の平版印刷版原版の画像記録層には、さらに、硬化皮膜の物性を改良するための無機充填剤や、可塑剤、画像記録層表面のインク着肉性を向上させ得る感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、バインダーポリマーと付加重合性化合物との合計質量に対し一般的に10質量%以下の範囲で添加することができる。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、下塗り層、及び、画像記録層をこの順に設け、更に必要に応じて、保護層等その他の層を設けてなる。かかる平版印刷版原版は、上述の各種成分を含む塗布液を、それぞれ、適当な溶媒に溶かして、支持体上に塗布することにより製造することができる。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。画像記録層塗布液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
本発明の平版印刷版原版の画像記録層は熱重合性ネガ型感光層であり、通常、露光を大気中で行うために、画像記録層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の画像記録層への混入を防止する目的で、画像記録層の上に、水溶性保護層を設ける。
本発明における水溶性保護層は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことを要し、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、画像記録層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。このような、保護層に関する工夫が従来なされており、米国特許第3、458、311号、特公昭55−49729号に詳しく記載されている。保護層に使用できる材料としては、例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることがよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが知られているが、これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。
本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。このような保護層の塗布方法については、例えば、米国特許第3,458,311号、特公昭55−49729号に詳しく記載されている。
本発明においては、接着力、感度、不要なカブリの観点から、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンを併用することが好ましい。添加量比(質量比)は、ポリビニルアルコール:ポリビニルピロリドンの比率が3:1以下、即ち、PVAに対するPVPの混合比が1/3以下であることが好ましい。
水溶性保護層の乾燥後の塗布重量としては、1.0g/m2〜3.0g/m2であることが好ましい。
本発明の平版印刷版原版に使用される支持体としては、寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)等が挙げられる。これらは、樹脂フィルムや金属板などの単一成分のシートであっても、2以上の材料の積層体であってもよく、例えば、上記のごとき金属がラミネート、若しくは蒸着された紙やプラスチックフィルム、異種のプラスチックフィルム同志の積層シート等が含まれる。
なかでも、本発明における支持体として好ましいものは、アルミニウム支持体である。アルミニウム支持体は寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できる。また、特公昭48−18327号に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートを用いてもよい。
また、本発明に用いられるアルミニウム支持体の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザーの希望により適宜変更することができる。このようなアルミニウム支持体には、後述の支持体表面処理が施され、本発明における、画像記録層が設けられる面の中心線平均粗さRaが0.2〜0.7μmの範囲である支持体が作製される。
以下、本発明における支持体の中心線平均粗さRaを制御するための手段について説明する。
以下に、粗面化処理の例示的一態様を示す。
機械的粗面化処理としては、所望の毛径を有する回転するナイロンブラシロールと、支持体表面に供給される研磨剤を含むスラリー液により、アルミニウム支持体表面を機械的に粗面化処理することができる。研磨剤としては公知の物が使用できるが、珪砂、石英、水酸化アルミニウム又はこれらの混合物が好ましい。この処理方法は、特開平6−135175号公報、特公昭50−40047号公報に詳しく記載されている。
この他にも、スラリー液を吹き付ける方式、ワイヤーブラシを用いた方式、凹凸を付けた圧延ロールの表面形状を金属基体表面に転写する方式などを用いてもよい。この中でも、表面形状を転写する方式としては、例えば、特開平7−205565号公報の段落番号[0004]に記載の方法を用いることができる。これらの機械的粗面化処理は、単独或いは組み合わせて用いることもできる。
例えば、上記ナイロンブラシロールと、研磨剤を含むスラリー液と、を用いて機械的粗面化を行う方法では、該ナイロンブラシロールの毛の直径や毛長などを調整する、又は、研磨剤の粒径を調整することにより、支持体表面の中心線平均粗さRaを制御することができる。より具体的には、アルミニウム支持体の表面を、ナイロンブラシロールと、研磨剤を含むスラリー液と、を用いて機械的に粗面化する場合、ナイロンブラシロールの毛の直径が0.15〜0.45mmの範囲であることが好ましく、また、研磨剤の平均粒径が15〜50μmの範囲であることが好ましい。これらの条件は、少なくとも一方がこの範囲内であれば、中心線平均粗さRaを上記の範囲に制御することが可能であるが、研磨剤の平均粒径を調整することで中心線平均粗さRaを制御する方が好ましく、いずれの条件もこの範囲内であることが更に好ましい。
なお、機械的粗面化後に、電解研磨処理や化学エッチング処理を施す場合、電気化学的粗面化処理を施す場合には、粗面化状態がそれぞれ変化するため、機械的粗面化においては、その変化を考慮して中心線平均粗さRaを制御することが好ましい。
上記の機械的粗面化によって生成した凹凸のエッジ部分を溶解し、滑らかなうねりを持つ表面を得て、汚れ性能がよい印刷版を得る目的でおこなう。このときの金属基体の溶解量は3〜20g/m2が好ましい。
エッチング方法は浸漬でもよいし、スプレーでエッチング液を吹き付けてもよい。好適に用いられるエッチング剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等であり、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃である。
電解研磨処理又は化学的エッチング処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち込まないために、また、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するためにニップローラーによる液切りとスプレーによる洗浄を行うことが好ましい。スプレーによる洗浄には、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等の酸が用いられる。
平均直径約0.5〜20μmのクレーター又はハニカム状のビットを金属基体表面に30〜100%の面積率で生成する目的で行われる。かかる処理は、印刷版の非画像部の汚れにくさと耐刷力を向上する作用を有する。
この方法に適する陽極時電気量は50C/dm2〜400C/dm2の範囲である。更に具体的には、0.1〜50%の塩酸又は硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm2〜400C/dm2の条件で交流及び/又は直流電解を行うことが好ましい。
なお、電気化学的粗面化処理において、使用電気量の調整によっても、支持体表面の中心線平均粗さRaを制御することができる。
上記の電気化学的粗面化で生成した、スマット成分の除去と、生成したビットのエッジ部分を滑らかにし、印刷版としたときの汚れ性能を良化させる目的で行われる。好ましくは、特開昭53−12739号公報に記載されているような温度50〜90℃、濃度15〜65質量%の硫酸水溶液と接触させる方法、及び、特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。支持体の溶解量は、0.05〜5g/m2の範囲であることが好ましく、0.1〜3g/m2の範囲であることがより好ましい。
作製された支持体を平版印刷版原版に用いる場合、以下に示す陽極酸化処理がなされることが好ましい。
陽極酸化処理は、硫酸、燐酸、シュウ酸若しくは硼酸/硼酸ナトリウムの水溶液が単独若しくは複数種類組み合わせて電解浴の主成分として用いられる。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。更には、第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、3成分としては、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10000ppm程度が好ましい。陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、好ましくは30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度0.1〜40A/m2の範囲で直流又は交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の厚さは0.5〜1.5μmの範囲であり、好ましくは0.5〜1.0μmの範囲である。以上の処理によって作製された支持体が、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア径が5〜10nm、ポア密度が8×1015〜2×1016個/m2の範囲に入るように処理条件が選択されることが好ましい。
本発明の平版印刷版原版は、露光後、現像することで平版印刷版が得られる。以下、本発明の平版印刷版原版の製版方法について説明する。
平版印刷版原版は、まず、画像様に露光処理がなされる。露光処理工程に用いられる光源としては、赤外線レーザーが好適なものとして挙げられ、また、紫外線ランプやサーマルヘッドによる熱的な記録も可能である。
本発明においては、波長750nmから1400nmの赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーにより画像露光されることが好ましい。レーザーの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザーデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。記録材料に照射されるエネルギーは10〜300mJ/cm2であることが好ましい。露光のエネルギーが低すぎると画像記録層の硬化が十分に進行しない。また、露光のエネルギーが高すぎると画像記録層がレーザーアブレーションされ、画像が損傷することがある。
前記加熱処理としては、従来公知の種々の方法から適宜選択することができる。具体的には、平版印刷版原版をパネルヒーターやセラミックヒーターと接触させながら加熱する方法、ランプや温風により非接触での加熱方法等が挙げられる。前記加熱処理を施すことにより、照射するレーザーの、画像記録に必要なレーザーエネルギー量の低減を図ることができる。
以下、本発明の平版印刷版原版の製版に好ましく用いられる現像液について説明する。
現像処理に使用される現像液としては、pH14以下のアルカリ水溶液が特に好ましく、より好ましくは界面活性剤を含有するpH8〜12のアルカリ水溶液が使用される。
ここで添加量が少なすぎると、現像性低下および画像記録層成分の溶解性低下を招き、逆に多すぎると、印刷版の耐刷性を低下させる。
アセチレンアルコールとは、分子内にアセチレン結合(三重結合)をもつ不飽和アルコールである。また、アセチレングリコールとは、アルキンジオールとも呼ばれ、分子内にアセチレン結合(三重結合)をもつ不飽和グリコールである。
具体的には、以下の一般式(C)、(D)で示されるものが挙げられる。
以下に、具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
市販品の具体例には、上記(3)としてサフィノール61、上記(4)としてオルフィンB、上記(5)としてオルフィンP、上記(7)としてオルフィンY、上記(8)としてサフィノール82、上記(9)としてサフィノール104、オルフィンAK−02、上記(10)としてサフィノール400シリーズ、上記(11)としてサフィノールDF−110などがある。
たとえは炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、クエン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウムなどを単独もしくは2種以上を組み合わせて混合して用いても良い。
使用するアルカリケイ酸塩としては、水に溶解したときにアルカリ性を示すものであって、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸アンモニウムなどがある。これらのアルカリケイ酸塩は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記SiO2/M2Oが0.75未満であると、アルカリ性が強くなり、平版印刷版原版の支持体としてのアルミ基板の陽極酸化皮膜が過度に溶解(エッチング)され、前記放置汚れが発生したり、溶解アルミとケイ酸との錯体形成による不溶性のカスが生じるという弊害が起こり、4.0更には3.0を超えると、現像性が低下したりケイ酸塩の縮合した不溶性のカスが発生するという問題が生じることがある。
また現像液中のアルカリケイ酸塩の濃度としては、アルカリ水溶液の質量に対して、SiO2量として0.01〜1mol/Lが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8mol/Lの範囲で使用される。この濃度が0.01mol/L未満であると、アルミ基板の陽極酸化皮膜の溶解(エッチング)抑制効果が得られず、現像性、現像処理能力が低下することがあり、1mol/Lを超えると沈殿や結晶を生成し易くなり、また廃液時の中和の際にゲル化し易くなる結果、廃液処理に支障を来たすことがある。
また導電率調整剤として、有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類を加え、導電率を調整することができる。
現像後の加熱には非常に強い条件を利用することができる。通常は加熱温度が200〜500℃の範囲で実施される。現像後の加熱温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じるおそれがある。
印刷時、版上の汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、従来公知のPS版用プレートクリーナーが使用され、例えば、CL−1,CL−2,CP,CN−4,CN,CG−1,PC−1,SR,IC(富士写真フイルム株式会社製)等が挙げられる。
〔実施例1〕
[支持体の作成]
厚さ0.30mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて、以下に示す表面処理を行った。
表面処理は、以下の(a)〜(f)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理および水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(b)温度30℃の硝酸濃度1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後水洗した。
(e)温度60℃の硫酸濃度25wt%水溶液(アルミニウムイオンを0.5wt%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
(f)硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5wt%含む)、温度33℃、電流密度が5(A/dm2)で、50秒間陽極酸化処理を行った。その後水洗を行った。この時の陽極酸化皮膜重量が2.7g/m2であった。
上記で作成した支持体上に、化合物例59で表される共重合体(x/y/z=30/60/10、質量平均分子量8000)のメタノール溶液を塗布した後、70℃、30秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量10mg/m2の下塗り層を形成した。
次に、下記画像記録層塗布液[P−1]を調整し、上記のアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間行い、平版印刷版原版を得た。乾燥後の被覆量は1.3g/m2であった。
・赤外線吸収剤(IR−1) 0.074g
・重合開始剤(OS−12) 0.280g
・添加剤(PM−1) 0.151g
・重合性化合物(AM−1) 1.00g
・バインダーポリマー(BT−1) 1.00g
・エチルバイオレット(C−1) 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.015g
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 10.4g
・メタノール 4.83g
・1−メトキシ−2−プロパノール 10.4g
上記画像記録層塗布液に用いた赤外線吸収剤(IR−1)、添加剤(PM−1)、重合性化合物(AM−1)、バインダーポリマー(BT−1)、及びエチルバイオレット(C−1)の構造を以下に示す。
上記の画像記録層表面に、下記水溶性保護層塗布液(OC−1)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で75秒間乾燥させた。塗布量は(乾燥後の被覆量)は2.30g/m2であった。
・ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500) 40g
・ポリビニルピロリドン(BASF社製、ルビスコールK−30) 10g
・界面活性剤(日本乳化剤製、エマレックス710) 1.25g
・蒸留水 836g
得られた平版印刷版原版を以下のように評価した。
1.感度評価
得られた平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetter3244にて、解像度2400dpi、外面ドラム回転数150rpm、出力0〜8Wの範囲でlogEで0.15ずつ変化させて露光した。露光後、富士フイルム(株)社製自動現像機LP−1310HIIを用い搬送速度(ライン速度)2m/分、現像温度30℃で現像処理した。第一浴には下記現像液を、第二浴には水を、第三浴には富士フイルム(株)社製GN−2Kの1:1水希釈液を用いた。
現像して得られた平版印刷版の画像部濃度を、マクベス反射濃度計RD−918を用い、該濃度計に装備されている赤フィルターを用いてシアン濃度を測定した。測定した濃度が0.8を得るのに必要な露光量を感度の指標とした。結果を表1に示す。
下記成分を水に溶解し、KOHでpH=11.95(25℃)になるように現像液を調整した。
・ニューコールB4SN(日本乳化剤(株)製) 4.0質量%
・オルフィンAK−02(日信化学工業(株)製) 0.08質量%
・エチレンジアミンテトラ酢酸4Na塩 0.16質量%
・炭酸カリウム 0.16質量%
得られた平版印刷版原版を温度25℃湿度50%RHで調湿後、アルミクラフト包装し、60℃のオーブンに入れ1日保管後、上記感度評価で行ったと同じ現像処理を実施した。現像して得られた平版印刷版の非画像部濃度を、マクベス反射濃度計RD−918を使用し、該濃度計に装備されている赤フィルターを用いてシアン濃度を測定した。測定した濃度から支持体の濃度を引いた値△Dminをかぶり濃度として評価した。△Dminが小さい程、生保存性が優れることになる。
結果を表1に示す。
実施例1で、下塗り層を塗布しない以外は、実施例1と同じようにして比較用平版印刷版原版を得た。結果を表1に示す。
実施例1の下塗り層の化合物例59を、それぞれ下記化合物例19,27に変えた他は、実施例1と同様に下塗り層塗布を行った。塗布量10mg/m2の下塗り層を形成した。また、実施例4の下塗り層としては、実施例1の下塗り層と同一のものを形成した。
[画像記録層]
次に、下記画像記録層塗布液[P−6]を調整し、上記の支持体にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間行い、平版印刷版原版を得た。乾燥後の被覆量は1.3g/m2であった。
・赤外線吸収剤(IR−1) 0.074g
・重合開始剤(OS−12) 0.280g
・添加剤(PM−2) 0.151g
・重合性化合物(AM−1) 1.00g
・バインダーポリマー(BT−1) 1.00g
・エチルバイオレット(C−1) 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.015g
(メガファックF−780 大日本インキ化学工業(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 10.4g
・メタノール 4.83g
・1−メトキシ−2−プロパノール 10.4g
結果を表2に示す
実施例2で、下塗り層を塗布しない以外は、実施例2と同様に処理した支持体に同様に画像記録層を塗布して比較用平版印刷版原版を得た。結果を表2に示す。
Claims (4)
- 支持体上に、(A)赤外線吸収剤、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、および(D)下記一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーを含有する画像記録層と、(E)(a1)エチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する繰り返し単位、(a2)下記一般式(A2)で表され、支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ有する繰り返し単位、および(a3)下記一般式(A3)で表され、親水性部分を有する繰り返し単位を含む共重合体を含有する下塗り層とを設けてなる平版印刷版原版。
(一般式(i)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される1以上の原子から構成される連結基を表す。Aは酸素原子又は−NR3−を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。)
(上記式中、R 11 〜R 13 はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキニル基、またはアルケニル基を表し、M 1 およびM 2 はそれぞれ独立に、水素原子、金属原子、またはアンモニウム基を表す。)
(上記式中、M 1 は水素原子、金属原子、またはアンモニウム基を表す。R 7 およびR 8 はそれぞれ独立に、水素原子、あるいは炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基を表す。R 9 は炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキレン基を表す。R 10 は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を表す。nは1〜100の整数を表す。) - 前記(E)の共重合体における(a1)エチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する繰り返し単位が、下記一般式(A1)で表される繰り返し単位である請求項1に記載の平版印刷版原版。
- 前記(E)の共重合体において、(a1)の繰り返し単位の共重合比は全共重合モノマーに対して10〜80モル%であり、(a2)の繰り返し単位の共重合比は全共重合モノマーに対して10〜80モル%であり、(a3)の繰り返し単位の共重合比は全共重合モノマーに対して10〜80モル%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の平版印刷版原版。
- 前記(E)の共重合体において、前記一般式(A3)中のWが「−SO 3 M 1 」であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
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