JP4366018B2 - キャリブレーション方法およびプリント装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャリブレーション方法、画像処理方法、プリントシステムおよびプリント装置に関し、詳しくは、プリンタ、複写機等のプリント装置におけるプリント出力の特性を一定のものにするためのキャリブレーションに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カラープリンタ、複写機等、紙などのプリント媒体に文字、画像をプリントするプリント装置では、一般に、プリント環境の変化や装置自体の経年変化によって、プリント結果における階調性等、プリント出力の特性が変化する場合があることが知られている。
【0003】
プリント環境は、例えば装置が置かれている雰囲気の温度や湿度などであり、これらが変化することによって、電子写真方式ではプリント媒体に付着するトナーの量が変化し、また、インクジェット方式ではインクの吐出量が変化して、上記出力特性が所望のものでなくなることがある。また、比較的長時間、連続的にプリントを行なうような場合に装置各部の温度などが変化し、これによって出力特性が変化することもある。さらには、トナーの残量などに応じて出力特性が変化する場合もある。
【0004】
また、経年変化は、プリント装置の使用頻度にも依るが比較的長い期間の使用の結果、装置各部の特性、例えば感光ドラムの帯電特性などが変化し、その結果、出力特性が変化するものである。
【0005】
上述した個々のプリント装置におけるプリント出力特性の変化は、また、情報処理システムのようなネットワークを介して複数のプリント装置用いる場合において別の問題を派生する。すなわち、上述した種々の要因により出力特性が変化し、その結果、複数のプリント装置間で出力特性の違いを生じることがある。この場合には、上述したように個々のプリンタにおいて所望のプリント特性が得られないばかりか、システムにおいてユーザがプリント出力するのに選択するプリンタが異なればそのプリント結果も異なるという事態を生じる。
【0006】
以上のようなプリント出力特性に関する問題を解決するものとして、一般的にはキャリブレーションを行なうことが知られている。このキャリブレーションの実行形態としては、大きく分けて二つの形態がある。一つは、キャリブレーションの対象となるプリント装置から所定のパッチパターンを出力してこれをスキャナ等により読取り、その読取り結果に基づいてキャリブレーションデータを作成することによりキャリブレーションを行なうものである。他の一つは、プリント装置において独自に行なうものであり、例えば装置における所定のタイミングで、感光ドラム上にパッチパターンを形成し、その濃度をドラム近傍に設けられたセンサによって読取ることにより、濃度データに基づいたキャリブレーションデータを作成するものである。なお、上記二つの形態において、キャリブレーションデータの作成は、具体的には、画像処理における例えばガンマ補正テーブルの内容を更新するためのデータを作成するものである。
【0007】
前者のキャリブレーション形態として、本出願人は、システムを構成するホストコンピュータとカラープリンタとの間で実行されるキャリブレーションを提案している。これは、ユーザの操作を介在させるものであり、具体的には、システムを構成する複数のコンピュータのうち、サーバーコンピュータからの指示に基づいてカラープリンタからパッチパターンをプリント出力し、このパッチパターンをスキャナによって読み取り、上記サーバーコンピュータにおいて該読み取ったスキャンデータに基づいてキャリブレーションデータを作成し、その作成したキャリブレーションデータを上記カラープリンタへダウンロードするものである。そして、カラープリンタでは、ダウンロードされたキャリブレーションデータによって更新された、例えばガンマ補正テーブルを用いてガンマ補正を行ない、そのデータに基づいてプリントを行なう。
【0008】
これにより、特に複数のプリント装置間のプリント出力特性のばらつきを低減することができる。これは、例えばプリント装置個々の出力濃度特性の違いを解消して複数のプリント装置に共通の出力濃度特性を定めるものであり、絶対的濃度の安定化ということができる。なお、以上説明したキャリブレーションを、以下ではソフトキャリブレーションという。
【0009】
また、後者のキャリブレーション形態として、本出願人は、次のような形態を提案している。
【0010】
プリント装置のプリンタエンジンにおいて、所定のタイミングで、まず、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)各色の最大出力濃度を補正した後、エンジン特性情報を取得する。そして、プリンタコントローラは、プリンタエンジンから渡されるこのエンジン特性情報に基づいてキャリブレーションデータを作成するものである。そして、プリンタエンジンは、この作成により更新されたキャリブレーションデータを用いて補正したプリントデータに基づいてプリントを行なうことができる。このキャリブレーションによれば、特に、プリンタ装置において発生し得る、比較的短期間のプリント出力特性の変化、すなわち温度・湿度等の変化を要因とした出力特性の変化を抑制することが可能となる。
【0011】
この形態のキャリブレーションは、個々のプリント装置において生じる、例えば出力濃度特性の変化を解消するものであり、上記の絶対濃度の安定化に対して相対的濃度の安定化と言うことができる。なお、以下では、このキャリブレーションをデバイスキャリブレーションともいう。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した二つの形態のキャリブレーションは、それぞれが独自に機能する構成であり、互いに相関関係を持たない場合には次のような問題がある。例えば、ユーザの指示に従い、あるタイミングでソフトキャリブレーションを行っても、デバイスキャリブレーションはプリント装置において独自に定められた所定のタイミングで発生するため、このデバイスキャリブレーションによってプリンタエンジンの出力特性が変化してしまい、ソフトキャリブレーションの効果が持続しない結果となる。この場合、特に、絶対的濃度の安定したプリント結果を得ることができないことになり、そのようなプリント結果を得るには、ユーザはソフトキャリブレーションを頻繁に行う必要が生じることにもなる。
【0013】
そこで、ソフトキャリブレーションの実行とデバイスキャリブレーションの実行とを関連付けるとともに、デバイスキャリブレーションに伴ってソフトキャリブレーションの結果を補正するデータを得、この補正データによってソフトキャリブレーションの結果を微調整する構成が考えられる。この構成によれば、特に、ソフトキャリブレーションによって得られる絶対濃度にかかる出力特性を維持できるとともに、比較的短期間に生じるプリント装置の相対濃度の変動をも解消することが可能となる。
【0014】
しかしながら、このようなソフトキャリブレーションとデバイスキャリブレーションとを関連付ける構成において、それぞれのキャリブレーションを行なうときの画像処理条件、例えば2値化もしくは多値化の手法について異なるものを用いている場合には、上記の微調整が精度良く行なえないことがある。例えば、2値化の手法としてディザ法を用いる場合において、ソフトキャリブレーションを実行する際には、階調性を重視したドット集中形のディザパターンが設定されており、一方、デバイスキャリブレーションを実行する際には、プリンタエンジンが解像度を重視したドット分散形のディザパターンによるパッチデータに基づいてパッチを出力する場合は、それぞれのキャリブレーションにおいて、同じ階調値データに対して出力されるパッチパターンから得られる階調特性が異なることがある。この場合には、ソフトキャリブレーションによって得られるキャリブレーションデータと、デバイスキャリブレーションによってえられるキャリブレーションデータの補正データとが相互に適合したものとはいえず、結果としてプリント装置の出力特性を精度良く反映したキャリブレーションデータを得ることができないことになる。
【0015】
上述のように、ディザ法のような設定される画像処理条件が、ソフトキャリブレーションとデバイスキャリブレーションとの間で齟齬する事態は、プリントシステムの例えば次のような構成によってもたらされる。ホストコンピュータのプリンタドライバにおいて、画像処理条件としての2値化の手法について、直接あるいはプリントする画像の種類の選択などを介して間接的に、ユーザがプリントしようとする画像に応じて設定できるよう構成されているものがある。このような構成では、ソフトキャリブレーションを行うときには、このユーザによって設定されている画像処理条件に基づくパッチデータに基づいてパッチのプリントが行なわれ、一方、デバイスキャリブレーションでは、プリンタエンジンにおいて例えば予め設定されている画像処理条件に基づいてパッチの出力がなされる。その結果、相互の画像処理条件が異なる場合を生ずることがある。
【0016】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、いわゆるソフトキャリブレーションとデバイスキャリブレーションの特に実行タイミングに関するユーザの負荷を軽減させるとともに、これらのキャリブレーションについて、相互に画像処理条件の適合した高精度なキャリブレーションを行なうことを可能とするキャリブレーション方法、画像処理方法、プリントシステムおよびプリント装置を提供することにある。
【0017】
また、本発明の他の目的は、プリントする対象であるオブジェクトの種類に対応させた異なる中間調パターンを用いて中間調処理を行なう場合に、異なる中間調パターンの全てについてキャリブレーションを行なわずに済むことを可能にする画像処理装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明では、キャリブレーション方法において、プリント装置から、プリント出力のためのデータ生成において用い得る複数の2値化またはn値化(nは2より大)処理のための手法のうち、前記複数の数より少ない所定数の2値化またはn値化(nは2より大)処理のための手法それぞれにより処理されたパッチデータに基づきパッチをプリント出力させ、前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)処理のための手法それぞれについて、該パッチの読取り結果を理想再現特性に変換するためのガンマ補正テーブルと前記パッチプリントさせた時のプリント装置の濃度再現を測定した情報を取得し、所定のタイミングで、前記プリント装置において、前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法と同じ2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれにより処理されたパッチデータに基づくパッチの出力、および該パッチの測定を行い、該測定結果により、前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法と同じ2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれについて、前記所定のタイミングにおける前記プリント装置の濃度再現を測定した情報を取得し、前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれについて、前記パッチプリントさせた時のプリント装置の濃度再現を測定した情報前記所定のタイミングにおける前記プリント装置の濃度再現を測定した情報とに基づき補正データを作成し、前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれについて、前記作成した補正データによって、前記ガンマ補正テーブルを調整し、前記複数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法のうち、当該2値化またはn値化(nは2より大)処理において設定されている2値化またはn値化(nは2より大)のための手法に応じて、前記複数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法より少ない所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法の1つに対応した前記調整されたガンマ補正テーブルを選択し、該選択したガンマ補正テーブルを用いて画像信号に対しガンマ補正を行い、前記選択されたガンマ補正テーブルに対応する2値化またはn値化(nは2より大)のための手法で、前記ガンマ補正された画像信号に対して2値化またはn値化(nは2より大)処理を行なう、ステップを有したことを特徴とする。
【0021】
また、プリントを行うためのプリント装置であって、当該プリント装置から、プリント出力のためのデータ生成において用い得る複数の2値化またはn値化(nは2より大)処理のための手法のうち、前記複数の数より少ない所定数の2値化またはn値化(nは2より大)処理のための手法それぞれにより処理されたパッチデータに基づきパッチをプリント出力させるパッチ出力手段と、前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)処理のための手法それぞれについて、該パッチの読取り結果を理想再現特性に変換するためのガンマ補正テーブルと前記パッチプリントさせた時のプリント装置の濃度再現を測定した情報を取得する第1取得手段と、所定のタイミングで、前記プリント装置において、前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法と同じ2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれにより処理されたパッチデータに基づくパッチの出力、および該パッチの測定を行うパッチ出力測定手段と、該測定結果により、前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法と同じ2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれについて、前記所定のタイミングにおける前記プリント装置の濃度再現を測定した情報を取得する第2取得手段と、前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれについて、前記パッチプリントさせた時のプリント装置の濃度再現を測定した情報前記所定のタイミングにおける前記プリント装置の濃度再現を測定した情報とに基づき補正データを作成する補正データ作成手段と、前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれについて、前記作成した補正データによって、前記ガンマ補正テーブルを調整する調整手段と、前記複数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法のうち、当該2値化またはn値化(nは2より大)処理において設定されている2値化またはn値化(nは2より大)のための手法に応じて、前記複数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法より少ない所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法の1つに対応した前記調整されたガンマ補正テーブルを選択する選択手段と、該選択したガンマ補正テーブルを用いて画像信号に対しガンマ補正を行う補正手段と、前記選択されたガンマ補正テーブルに対応する2値化またはn値化(nは2より大)のための手法で、前記ガンマ補正された画像信号に対して2値化またはn値化(nは2より大)処理を行う手段と、を有したことを特徴とする。
【0023】
以上の構成によれば、所定のタイミングで、上記プリント装置において行なわれるいわゆるデバイスキャリブレーションでは、いわゆるソフトキャリブレーションに際して、プリント出力のためのデータ生成において用い得る複数の画像処理条件のうち、その数より少ない所定数の画像処理条件でパッチをプリント出力したときと同じ画像処理条件それぞれによるパッチデータに基づくパッチの出力、および該パッチの測定を行ない、このパッチの測定結果と上記所定数の画像処理条件それぞれと同じ画像処理条件それぞれによるパッチデータとに基づき、第2のプリント出力特性情報を取得し、上記所定数の画像処理条件それぞれについて、上記ソフトキャリブレーションで得られる第1のプリント出力特性情報と上記第2のプリント出力特性情報とに基づき補正データを作成し、この作成した補正データによって、上記記第1のキャリブレーション情報を補正して第2のキャリブレーション情報を取得し、また、画像処理では、複数の画像処理条件のうち、当該画像処理において設定されている画像処理条件に応じて、複数の画像処理条件のうちその数より少ない所定数の画像処理条件の1つに対応したキャリブレーション情報を選択し、該選択したキャリブレーション情報を用いて前記データに対しプリント出力特性の補正を行なうので、ソフトキャリブレーションによって取得した第1のキャリブレーション情報を基本とし、それが取得された後は、プリント装置で所定タイミングで実行されるデバイスキャリブレーションによる補正データによって調整できる。これとともに、ソフトキャリブレーションとデバイスキャリブレーション双方において出力されるパッチは同じ画像処理条件によるパッチデータに基づいて得られ、これにより、それぞれの読取りもしくは測定が画像処理条件の違いによって相互に異なったものになることを防止でき、また、プリント出力のためのデータ生成において用い得る複数の画像処理条件全てについてキャリブレーション情報の作成やその格納をする必要がなくなる。
【0024】
また、本発明のさらに別の形態によれば、複数の中間調パターンの中から代表的なパターンに対してキャリブレーションを行い、上記代表的なパターン以外のパターンについては、代表的なパターンのうち出力濃度特性が近いパターンのキャリブレーション結果を用いるので、オブジェクトに対応させて異なる全ての中間調パターンについてキャリブレーションを行なわずに済む。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0026】
なお、以下に説明する実施形態ではシステムを構成するプリンタ装置の例としてカラーレーザビームプリンタ(LBP)を例に用いて説明するが、カラーインクジェットプリンタ等の他の方式のプリンタ、さらには複写機などのプリンント装置に関しても本発明を同様に実施可能であることは言うまでもない。また、画像処理条件としてのディザ法にかかる中間調パターンついて四種類を例に用いて説明するが、より多い種類においても同様に本発明を実施可能であることは以下の説明から明らかとなる。
【0027】
本実施形態は、画像処理条件として2値化もしくはn(nは2より大)値化の手法としてのディザ法について、ドット集中形やドット分散形などのの4種類のディザ法を用い、ソフトキャリブレーションとデバイスキャリブレーションとを関連付けて実行するとともに、それによるキャリブレーションデータを、上記四種類のディザパターンのうち、近似するものをまとめたより少ない二種類ついて得るようにする。すなわち、ソフトキャリブレーションとデバイスキャリブレーションそれぞれでパッチを出力するときに用いるディザ法が一致もしくは近似したしたキャリブレーションデータを、上記四種類のディザパターンそれぞれについて得るようにするものである。以下の説明では、上記四種類のディザパターンから近似によって区別される上記二種類のディザパターンをそれぞれ中間調パターンAおよび中間調パターンBと称する。
【0028】
本実施形態のキャリブレーションの概要は、サーバコンピュータによるソフトキャリブレーションによって、中間調パターンAおよび中間調パターンBに対応した、第1のキャリブレーションテーブル(キャリブレーション情報)、すなわち第1のガンマ補正テーブルと、プリンタの第1のエンジン特性情報とをそれぞれ作成し、上記プリンタのプリンタコントローラにおいてデバイスキャリブレーションを行なって得られる中間調パターンAおよびBに対応した第2のエンジン特性情報と、上記中間調パターンAおよびBに対応した第1のエンジン特性情報とに基づいて、それぞれの中間調パターンに対応したキャリブレーションテーブル補正データを作成し、このキャリブレーションテーブル補正データと上記第1のキャリブレーションテーブルを用いて、それぞれの中間調パターンに対応した第2のキャリブレーションテーブルを作成する。そして、二種類の中間調パターンA、Bに対応した上記第2のキャリブレーションテーブルを用いた画像処理では、そのとき設定されている中間調パターンが上記四種類の中間調パターンであるかに応じて上記二種類の中間調パターンのいずれかを選択し、その選択した中間調パターンを用いて、ガンマ補正を行なう。そしてこの画像処理後のデータをプリンタエンジンへ送付することによりプリントを行うものである。
【0029】
以下、具体的に本実施形態のプリントシステムの構成およびその構成に基づくキャリブレーションについて説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システムもしくはプリントシステムの構成を示すブロック図である。
【0031】
図1において、1は情報処理装置としてのサーバPC(パーソナルコンピュータ)を示し、このサーバPC1はネットワーク5に接続され、以下で示すキャリブレーションを含め本システム全体における種々の処理を実行することができる。そのため、サーバPC1には上記処理を実現するソフトウェアがインストールされている。
【0032】
サーバPC1において、11は、上記サーバPC1に構成されるキャリブレーションデータ格納部を示し、以下のようなキャリブレーションデータを保持するために使用される。すなわち、111、112は、本システムで用い得る四種類の中間調パターンが後述されるように、キャリブレーションテーブルを介して対応付けられる二種類の中間調パターンのうち、中間調パターンAに対応した第1のエンジン特性A1および第1のキャリブレーションテーブルA1であり、一方、113、114は、他の中間調パターンBに対応した第1のエンジン特性B1および第1のキャリブレーションテーブルB1であり、これらがキャリブレーションデータ格納部11に格納される。
【0033】
本システムはプリント装置として複数のプリンタ2(図1では一つのみ図示される)を有し、このプリンタ2は、ネットワーク5に接続されることにより、例えば同様に接続される複数のクライアントPC4(同様に一つのみ図示される)からのプリントデータ等のデータの送付を受けてプリントを行なうことができ、また、以下で説明するキャリブレーションの対象となり得る装置である。
【0034】
プリンタ2において、21はキャリブレーションデータ格納部であり、以下のようなキャリブレーションデータを保持するために使用される。すなわち、211、212は上記サーバPC1からダウンロードされた中間調パターンAに対応した第1のエンジン特性A1および第1のキャリブレーションテーブルA1であり、213,214は、後述されるようにプリンタエンジンから取得した中間調パターンAに対応した、最新のエンジン特性である第2のエンジン特性A2および最新のキャリブレーションテーブルである第2のキャリブレーションテーブルA2であり、これらがキャリブレーションデータ格納部21に格納される。同様に、キャリブレーションデータ格納部21には、サーバPC1からダウンロードされた、中間調パターンBに対応した第1のエンジン特性(B1)215および第1のキャリブレーションテーブル(B1)216、および後述されるようにプリンタエンジンから取得した、中間調パターンBに対応した、最新のエンジン特性である第2のエンジン特性(B2)217および最新のキャリブレーションテーブルである第2のキャリブレーションテーブル(B2)218が格納される。
【0035】
また、22はプリンタ2のプリンタコントローラを示し、プリント処理を始めとしてプリンタ2に関する様々な制御を司る。このプリンタコントローラ22は、後述するように二種類の中間調パターンA、Bに対応した第1のエンジン特性および第1のキャリブレーションテーブルがサーバPC1からダウンロードされた際にキャリブレーションデータ格納部21に格納したり、後述するようにキャリブレーションデータ格納部21内の二種類の中間調パターンに対応した第2のキャリブレーションテーブルを更新する処理も行なう。
【0036】
さらに、24は中間調パターンとキャリブレーションテーブルを対応づけるディザ・キャリブレーション対応テーブルを示し、このテーブルを用いることにより、図8にて後述される、プリンタコントローラ22による画像処理の際、四種類の中間調パターンのうち設定されている中間調パターンに応じて中間調パターンAまたはBに対応したキャリブレーションテーブルを選択することができる。
【0037】
さらに、23はプリンタ2のプリンタエンジンを示し、基本的には上記プリンタコントローラ22からのプリントデータに基づいてをプリントを行なう部分であるが、後述するように、プリンタエンジン23の出力濃度に関するエンジン特性情報をプリンタコントローラ22へ送信したり、エンジン特性における最大濃度の調整を行う処理も実行する。
【0038】
本システムのサーバPC1はスキャナ3を接続し、キャリブレーションではプリンタ2において出力したパッチを測定するために使用されるが、原稿を入力するといった本来の用途としても使用される。また、情報処理装置としてのクライアントPC4は、ネットワーク5に接続されて、所望のプリントデータの作成、編集、プリンタ2に対するプリントの指示等を行うものである。
【0039】
以上説明したプリントシステムもしくは情報処理システムにおける本実施形態のキャリブレーションは、上述したようにサーバPC1においてソフトキャリブレーションを行ない、これによって作成されたガンマ補正にかかるキャリブレーションテーブル(キャリブレーション情報)をプリンタ2へダウンロードし、プリンタ2は基本的にこのテーブルを用いてガンマ補正を行ないプリントデータを作成する。そして、プリンタ2では、所定の独自のタイミングで自動的にデバイスキャリブレーションを行なって上記ダウンロードされたキャリブレーションテーブルの補正データを作成し、キャリブレーションテーブルの微調整を行なう。さらに、以上のソフトキャリブレーションとデバイスキャリブレーションとを関連付けたキャリブレーションにおいて、本システムで用い得る、2値化処理にかかるディザの手法である中間調パターンAと中間調パターンBの二つについて、上記キャリブレーションテーブルと補正データを作成する。また、プリンタにおける画像処理では、四種類の中間調パターンを用い得るが、これに対応するキャリブレーションテーブルは中間調パターンAまたはBのいずれかに対応したものを選択して用いる。
【0040】
以下では、まず図2〜図8を参照して、サーバPC1によるソフトキャリブレーション、その作成したキャリブレーションデータのプリンタ2へのダウンロード、およびプリンタ2におけるキャリブレーションテーブルを用いた画像処理について説明する。
【0041】
図2は、サーバPC1によるソフトキャリブレーションおよびそのデータのダウンロードの処理手順を示すフローチャートである。なお、このソフトキャリブレーションは、一度実施されればその後はプリンタ2におけるデバイスキャリブレーションによって調整が行なわれるため、基本的には一度行なわれれば良い。しかし、ユーザが所望のときにソフトキャリブレーションの実行を指示できるようにしても良い。これは、例えば、階調性の劣化がデバイスキャリブレーションによる調整だけでは修正できない程度のものとなったときなどに対処可能とするためである。
【0042】
図2において、まずステップS20においてサーバPC1は、プリンタ2に対しパッチデータを出力してパッチのプリントを行なうよう指示する。これに応じて、プリンタ2はパッチのプリントを行う。
【0043】
図3は、このパッチデータをプリントされた状態で示す図である。図3において、61はパッチデータの全体を示し、62はこのパッチデータを構成する1つのブロックを示す。すなわち、一つのパッチに対応したデータを示すものである。そして、各ブロックに示す数字はそれぞれのパッチのデータ値、すなわち階調値を示す。このパッチデータは、縦、横について32×28の総計896個のブロックからなり、横方向においてプリントのトナーの色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の順にブロックが繰り返されて配置され、一方、縦方向では、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのブロックそれぞれについて階調値が8または16づつ増すブロックが配置される。詳細には、図に示すパッチデータは、階調値が8から8づつ増して128までのハイライト部のパッチデータが4個所、階調値が140から16づつ増して255までのシャドウ部のパッチデータが6個所にを配置される。
【0044】
ここで、図に示すパッチデータは、2種類の中間調パターンにかかるパッチデータを含むものである。すなわち、縦方向において、交互に中間調パターンAと中間調パターンBによるパッチデータが配列され、これらはパッチをプリントするときにそれぞれ中間調パターンAおよび中間調パターンBによる2値化処理が行なわれる。具体的には、ブロック62、64は中間調パターンA、ブロック63、65は中間調パターンBというように、縦方向において同じ階調値のパッチデータのうち、上段が階調パターンAによって2値化が行なわれるデータであり、下段が階調パターンBによって2値化が行なわれるデータとなる。なお、階調値が0および255ではこれら中間調パターンによる2値化によっても同じ結果が得られるため、一つのブロックのみが配置される。
【0045】
なお、上記パッチデータにおけるハイライト部とシャドウ部のブロック数の差異は、本システムにおいてはシャドウ部に比べてハイライト部は綿密な階調情報を必要とするためである。また、ハイライト部とシャドウ部の配置数の差異は、スキャナにおける入力値のばらつきがハイライト部に比べてシャドウ部の方が多い傾向があるためである。
【0046】
また、上記のパッチデータはサーバPC1からプリンタ2へ転送され、これに基づいてプリンタ2からプリント出力されるものであるが、プリンタ2で上記フォーマットのパッチデータ自体またはそのデータを構成するための情報を所有しておき、PC1からのプリント指示によって上記所有するパッチデータまたは上記構成する情報により構成したパッチデータに基づいてパッチをプリントするようにしてもよい。あるいは、サーバPC1から上記パッチデータを構成するための情報をプリンタ2に送信することにより、パッチデータを生成するようにしてもよい。なお、このパッチデータ構成情報はプリンタ2が所有のコマンド系に依存するものであるが、ここでは言及しない。
【0047】
上述のパッチのプリントを行なうとともに、ステップS21において、上記パッチをプリントしたときのプリンタエンジン特性として、プリンタ2からエンジン特性情報を取得する。このエンジン特性の取得は、プリンタ2のキャリブレーションデータ格納部21内に格納されている中間調パターンA、Bにそれぞれ対応した最新のエンジン特性である第2のエンジン特性211、215をそれぞれ取得することにより行う。キャリブレーションデータ格納部21に格納される第2のエンジン特性211、215は、ステップS20のパッチプリント直後に、図11にて後述するようにデバイスキャリブレーションを実行して得るものであってもよく、あるいは最後に行なわれたデバイスキャリブレーションによって得られた最新のエンジン特性としてもよい。なお、上記サーバPC1によるデータ取得に関するコマンド系についてもここでは言及しない。
【0048】
ステップS21において、サーバPC1はさらに、上記のように取得した中間調パターンA、Bそれぞれに対応した第2のエンジン特性を、第1のエンジン特性111、113としてキャリブレーションデータ格納部11に格納する。これらの第1のエンジン特性111、113は、パッチをプリントした際のエンジン特性として、以下で求められる第1のキャリブテーブルに対応付けられるものである。なお、エンジン特性を求める詳細については図11にて後述する。
【0049】
次に、ステップS22において、スキャナ3を用いて上記プリントされたパッチの読取りを行う。すなわち、ユーザがパッチのパターンがプリントされた用紙をスキャナ3にセットし所定の操作を行なうと、スキャナ3は上述したパッチデータのブロックに対応した各パッチの濃度を測定し、その結果をR、G、B信号としてサーバPC1に出力する。サーバPC1は、この入力値から、上記パッチデータのブロックの配置に基づき、中間調パターンA、Bそれぞれについて、ハイライト部は4個所の平均、シャドウ部は6個所の平均をそれぞれ算出し、結果としてC、M、Y、K各色について24個の階調値に関してR、G、B信号値を得る。そして、スキャナ3のR、G、B輝度信号とプリンタ2のC、M、Y、K濃度信号の対応を示す輝度濃度変換テーブル(図1にて不図示)を用いて、中間調パターンA、Bそれぞれについて24個の輝度信号から24個の濃度特性値を得る。なお、ここでは詳細には触れないが、スキャナ3のスキャンは、通常サーバPC1上に構成されるスキャナドライバを介して実行されるものであり、そのスキャナドライバを介して、スキャン解像度の設定や入力領域の指定等が行われる。
【0050】
次にステップS23において、キャリブレーションテーブルの作成を行う。
【0051】
図4(a)〜(c)は、その原理を説明する図である。図4(a)は、図3に示したパッチデータの各階調値を入力(in)とし、上述のスキャナ3によって得られた24段階の濃度値を出力(out)として表す、プリンタ2のパッチプリント時の出力濃度特性を示す図である。なお、図4を用いた説明では簡単のため一色についてのみ図示しその説明を行なうが、C、M、Y、K4色について同様の処理を行うことはもちろんである。また、図4(a)において、入力、出力の関係は、上記24個の値から補間計算により求めるものであることは周知のとおりである。
【0052】
図4(a)に示す特性に対し、濃度出力特性の理想特性として図4(c)に示すような線形となる関係を得るべくキャリブレーションテーブルを作成する。そのために、現状の出力濃度特性(図4(a))を理想出力濃度特性(図4(c))に近づけるために、図4(a)に示す関係の逆関数である図4(b)に示す関係を有するキャリブレーションテーブルを求める。すなわち、プリンタ2が出力濃度特性(図4(a))を有するとき、図4(b)に示す特性のキャリブレーションテーブル、具体的にはガンマ補正テーブルを用いてガンマ補正をすることにより、プリンタ2の出力濃度特性が、図4(c)に示すような、入力濃度データの階調値がそのままプリント出力の階調値となる特性を得ることができる。
【0053】
なお、以上のキャリブレーションテーブルはディザ手法の中間調パターンに関して二つのテーブルが作成されるが、これらの中間調パターンと出力濃度特性との関係を図5および図6を用いて説明する。
【0054】
図5(a)および(c)は、一例として階調値が128であるデータをそれぞれのディザ法により2値化しこれに基づいてプリント出力したパッチのドットパターンを示す図である。このうち、図5(a)は階調性を重視したドット集中形のディザ法である中間調パターンAの例である。このようなパターンの場合、一般に階調性が高いので、写真画像やグラデーション等に使用される場合が多い。そして、図5(b)はこの中間調パターンAによるパッチを測定して得られる出力濃度特性の一例を示す。一方、図5(c)は解像度を重視したドット分散形のディザ法である中間調パターンBの例である。このようなパターンの場合、一般に解像力が高いので、細線や文字等に使用される場合が多い。そして、図5(d)は、この中間調パターンBの出力濃度特性の一例を示す図である。
【0055】
一方、図6(a)は、図5(a)に示した中間調パターンに近似した中間調パターンCを示す。これにより、図6(b)に示すように、出力濃度特性も図5(b)に示す中間調パターンAによるものに近い特性を示すこととなる。これに対し、図6(c)は、図5(c)に示した中間調パターンBに近似した中間調パターンDの例を示す。この場合は、図6(d)に示すように、その出力濃度特性は中間調パターンBによるもの近似した特性となる。
【0056】
これらの図に示すように、画像処理条件である中間調パターンの違いによってパッチから得られる出力濃度特性は異なるため、キャリブレーションもそれぞれの画像処理条件に応じて実施するのが望ましい。上記のキャリブレーションテーブルを作成する処理では、中間調パターンA、Bそれぞれについて得られる出力濃度特性(図5(b)、図5(d))に応じて、図4(b)にて説明したような逆関数をキャリブレーションテーブルとして作成する。そして、他の中間調パターンCおよびDに対応するキャリブレーションテーブルは、図8にて後述されるように、近似する中間調パターンに対応したキャリブレーションテーブルを選択して用いる。
【0057】
ステップS23において、キャリブレーションテーブルを作成すると、作成された各中間調パターンに応じたキャリブレーションテーブルをそれぞれ第1のキャリブレーションテーブル112、114としてキャリブレーションデータ格納部11に格納する。
【0058】
次に、ステップS24において、キャリブレーションデータ格納部11の中間調パターンAに対応した第1のエンジン特性111および第1のキャリブレーションテーブル112と、中間調パターンBに対応した第1のエンジン特性113および第1のキャリブレーションテーブル114を、プリンタ2にダウンロードする。なお、この際のダウンロードコマンド等はプリンタ2のコマンド系に依存するがここでは言及しない。ダウンロードされた中間調パターンAに対応した第1のエンジン特性111および第1のキャリブレーションテーブル112、中間調パターンBに対応した第1のエンジン特性113および第1のキャリブレーションテーブル114は、プリンタコントローラ22を介してキャリブレーションデータ格納部21に、それぞれ中間調パターンAに対応した第1のエンジン特性211および第1のキャリブレーションテーブル212として、また、中間調パターンBに対応した第1のエンジン特性215および第1のキャリブレーションテーブル216として格納される。
【0059】
図7は、プリンタ2においてサーバPC1やクライアントPC4からダウンロードデータを受信する際のプリンタコントローラ22の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、上記のキャリブレーションデータのダウンロードに限らず、プリントデータなど種々のデータのダウンロードデータの受信処理を示すものである。
【0060】
まず、ステップS70においてデータ受信を待機する。この処理でデータ受信があったと判断すると、ステップS71においてその受信したデータの解析を行う。そして、解析結果の判定をステップS72で行うが、キャリブレーションダウンロードコマンドであると判断した場合は、ステップS73において、このデータが中間調パターンAに対応したものであるか否かの判断を行う。中間調パターンAにかかるものであるときは、ステップS74においてそのデータがエンジン特性であるか否かの判定を行い、エンジン特性であるときは、ステップS75において上述のとおりキャリブレーションデータ格納部21に、中間調パターンAに対応した第1のエンジン特性211としてエンジン特性A1の登録を行う。ステップS74においてエンジン特性でないと判断したときは、キャリブレーションテーブルであると判断し、ステップS76において上述のとおりキャリブレーションデータ格納部21に、中間調パターンAに対応した第1のキャリブテーブル212としてキャリブテーブルA1の登録を行う。
【0061】
ステップS73において、そのデータが中間調パターンAに対応したものでないと判断したときは、中間調パターンBに対応したデータであると判断し、ステップS77においてそのデータがエンジン特性であるか否かの判定を行い、エンジン特性である判断したときはステップS78において上述のとおりキャリブレーションデータ格納部21に、中間調パターンBに対応した第1のエンジン特性215としてエンジン特性B1の登録を行う。ステップS77においてエンジン特性でない判断したときは、キャリブテーブルであると判断し、ステップS79において上述のとおりキャリブレーションデータ格納部21に、中間調パターンBに対応した第1のキャリブテーブル216としてキャリブテーブルB1の登録を行う。
【0062】
ステップS72において、キャリブレーションダウンロードでないと判断された場合はステップS710において、それぞれのコマンドに応じた処理を行う。
【0063】
本システムでは、プリントデータはクライアントPC4やサーバPC1上のアプリケーションからそれぞれのプリンタドライバを介してプリンタ2へ渡される。これに対し、プリンタ2のプリンタコントローラ22は、上述した図7のステップS710においてプリントデータの解析、ページレイアウトの構成、画処理、プリント等を行う。
【0064】
図8は、上述したダウンロードされたキャリブレーションテーブルを基本とし、これに図11にて後述される調整が加えられた最新のキャリブレーションテーブルを用いたプリンタコントローラ22による画像処理の手順を示すフローチャートである。
【0065】
まず、ステップS110においてホスト装置としてのクライアントPC4等から送られるプリントデータである入力信号R、G、Bに対してカラー微調整を行う。このカラー微調整は輝度補正やコントラスト補正を含むものである。次に、ステップS111においてカラーマッチング処理を行う。このカラーマッチング処理は、ホスト装置のモニタの色味とプリンタ2のプリントの色味を合わせるための処理である。次に、ステップS112において輝度濃度変換処理を行う。これは入力信号である輝度R、G、Bをプリンタのプリント信号である濃度し、C、M、Y、Kに変換する処理である。
【0066】
次にステップS118において、そのとき設定されている中間調パターンに基づき最適なキャリブレーションテーブルを選択する。この選択処理は、本システムにおいて設定し得る中間調パターンとキャリブレーションテーブルとを対応付けたテーブルを用いて行なう。
【0067】
図9は、この中間調パターンと最適なキャリブレーションテーブルを対応づけたディザ・キャリブレーション対応テーブル24(図1参照)の内容を模式的に示す図である。
【0068】
このテーブルの内容は、図5および図6を参照して説明した出力濃度特性の近似度に応じて定められる。
【0069】
すなわち、図5(a)に示す中間調パターンAと図6(a)に示す中間調パターンCは異なる中間調パターンであるが、図5(b)および図6(b)にそれぞれ示すように、それらの出力濃度特性は近似している。このように中間調パターンAに近い出力濃度特性を持った中間調パターンCには、図9に示すように、中間調パターンAに基づいたキャリブレーションテーブルAを対応させる。
【0070】
同様に、図5(c)に示す中間調パターンBと図6(c)に示す中間調パターンDはそれらのパターンが異なるものであるが、図5(d)および図6(d)にそれぞれ示すように、出力濃度特性は近似している。これより、中間調パターンDには、図9に示すように、中間調パターンBに基づくキャリブレーションテーブルBを対応させる。
【0071】
ディザ・キャリブレーション対応テーブル24の作成方法の一例を説明する。中間調パターンC、Dに対して、キャリブレーションテーブルAおよびBを用いて処理された複数の階調パッチをプリント出力する。そして、プリントされた階調パッチを測色する。その結果がよりリニアに近い方のキャリブレーションテーブルを中間調パターンに対応させる。
【0072】
ソフトキャリブレーションとデバイスキャリブレーションとの間で用いる中間調パターンが異なることによるキャリブレーション精度の低下を防止すべく、システムで用い得る中間調パターンそれぞれについて上記ソフトキャリブレーションおよびデバイスキャリブレーションを行ない、キャリブレーションテーブルを得ることが基本的に望ましい。しかし、本実施形態では、上述のように、四種類の中間調パターン全てについて上記のキャリブレーションを行なわず、より少ない二つの中間調パターンA、Bについてキャリブレーションを行ない、それによって得られるテーブルA、Bに他の中間調パターンC、Dを対応付けるものである。これにより、キャリブレーションテーブル作成にかかるシステムのパフォーマンス低下やキャリブレーションテーブル格納に必要な記憶領域の増大を低減させることが可能となる。
【0073】
なお、上例では、ディザ・キャリブレーション対応テーブルを用いて中間調パターンから最適なキャリブレーションテーブルの選択を行う方法を示したが、テーブル化を行わず、条件分岐などでにより中間調パターン毎にどのキャリブレーションテーブルを使用するかについて判断する処理によって上記の対応を定めてもよい。
【0074】
次に、中間調パターンの設定処理を図10を参照して説明する。
【0075】
この処理は、図10(a)に示すように、クライアントPC4あるいはサーバPC1におけるプリンタドライバによる、カラー中間調という設定項目を示すユーザインターフェースである設定画面を介して行なうことができる。同図に示すように、ユーザはプルダウンメニューの操作によって、(中間調)パターンA、パターンB、パターンC、パターンDのいずれかを選択できる。図10(b)は、ユーザインターフェースの別の例を示し、イメージ、グラフィクス、テキストといったページを構成するオブジェクトごとに用いる中間調パターンを選択できる例を示すものである。
【0076】
ステップS118におけるキャリブレーションテーブルの選択の後、ステップS113では、その選択されたキャリブレーションテーブルに対応する中間調パターンの判断を行う。
【0077】
個々で、ステップS118の上述のテーブル対応によりキャリブレーションテーブルAが選択され、従って、対応するのが中間調パターンAであると判断したときは、ステップS114において、その判断にした中間調パターンAにかかるキャリブレーションテーブルA(2)を用いてガンマ補正を行う。すなわち、ステップS112の輝度濃度変換で得られたC、M、Y、K各8ビット多値信号を入出力信号とし、中間調パターンAに対応した最新のキャリブテーブルである第2のキャリブテーブル214を用いて、ガンマ補正を行ない、上記多値信号が示す入力特性を線形に変換する。次に、ステップS115において中間調パターンAのディザ法を用いて上記C、M、Y、K各8ビット信号を出力系に則した2値の信号に変換する。なお、本実施形態では、このようにC、M、Y、K各1ビットの信号に変換する2値化処理を行なうが、用いるレーザ等に応じて4値化、8値化等の処理であってもよいことは勿論である。
【0078】
一方、ステップS113において中間調パターンBが対応するキャリブレーションテーブルBが選択されたと判断したときは、ステップS116において中間調パターンBに対応した最新のキャリブレーションテーブルである第2のキャリブテーブル218を用いて、ガンマ補正を行なう。そして、ステップS117において中間調パターンBを用いて2値化処理を行う。
【0079】
以上、主に図2を参照して説明したソフトキャリブレーションによって、装置間の出力濃度特性の違いを無くし絶対濃度の安定を図ることができるが、プリンタのエンジン特性は、個々の装置における、例えば連続プリント等によりドラム温度が上昇したり環境温度が変化することによって比較的容易に変化する。このため、プリンタ2において独自にデバイスキャリブレーションを行ない、これによって得られる補正データにより上述のソフトキャリブレーションで得たキャリブレーションテーブルを補正してキャリブレーションテーブルの内容の調整を行なうことができる。これにより、ユーザはソフトキャリブレーションを頻繁に行う必要が無く、ユーザの負担を軽減することができる。そして、上述したソフトキャリブレーションおよび以下で説明するデバイスキャリブレーションを、システムにおいて用い得る複数の中間調パターンそれぞれについて行なうことにより、キャリブレーションの精度を向上させることが可能となる。
【0080】
以下では、図11を主に参照して本実施形態のデバイスキャリブレーションおよびそれによって最新のキャリブレーションテーブルを得る処理を説明する。
【0081】
図11は、プリンタ2における主にデバイスキャリブレーションの処理手順を示すフローチャートである。
【0082】
このデバイスキャリブレーションは、例えばプリンタエンジン23に設置された図示しない温度や湿度のセンサが検出する温度や湿度の変化や、ドラム温度の変化、プリント枚数、ドラムやトナーカートリッジの交換時等、エンジン特性が変化する可能性の高いイベントをトリガにして起動される。このトリガとなるイベントについては他にも考慮できるが、その詳細はここでは言及しない。
【0083】
この処理では、まずステップS31において、プリンタエンジン23における、C、M、Y、K各色の最大濃度の調整を行う。通常、プリンタエンジンでは設計時の目標最大濃度が定められているが、経年変化等によってその濃度が変動する。本ステップでは、図示しない現像系、例えばドラム上に各色について最大濃度データおよび他のいくつか階調値データ(最大濃度値以外は、次のステップS32の処理で用いる)によるパッチを形成してこれを各色トナーによって現像し、それらをセンサによって測定することによりそのときのC、M、Y、K各色の最大濃度値を得る。そして、この最大値が目標値から変化している場合は現像バイアス値等を制御することにより、適正な最大濃度を得るベく調整を行う。なお、上記で形成するパッチは、図3に示したものと同様、中間調パターンAおよびBのそれぞれについて形成されるものである。
【0084】
図12は、この際の出力濃度特性を示す図であり、この図を用いて上記最大濃度調整をさらに詳しく説明する。同図に示す特性カーブ2は、最大濃度調整前の濃度特性カーブを示す一例であり、特性カーブ1は最大濃度調整後の濃度特性カーブの一例を示す。特性カーブ2の最大濃度はmax2を示している。ステップS31の最大濃度調整処理では、ドラム上のセンサによりそのときの最大濃度値がmax2であることを検知する。これに対し、最大濃度の目標値はmax1であるため、プリンタエンジン23は現像バイアス値等を制御し、最大濃度がmax1となるよう調整を行う。
【0085】
以上の最大濃度調整の後、ステップS32において、最新のエンジン特性であるエンジン特性2の取得を行う。この処理は、プリンタコントローラ22からの要求に応えて、プリンタエンジン23からプリンタコントローラ22へ、数点の中間濃度センサ値を返すことにより行う。すなわち、上述のように最大濃度調整の際にドラム上に形成した最大濃度値のもの以外のいくつかのパッチの濃度をセンサによって測定し、その測定値をプリンタコントローラ22へ送るものである。そして、この測定値は最新のエンジン特性2としてキャリブレーションデータ格納部21にエンジン特性A2(またはB2)として格納される。
【0086】
この様子を、図12を用いて説明する。なお、図12においては説明の簡単のために4点の中間的な入力階調値およびそれに対応したセンサの測定値を示すが、この点数についてはこの限りでないことはもちろんである。また、一つの中間調パターン、例えば中間調パターンAを例に説明しているが、他の中間調パターンBについても同様に実施される。
【0087】
図12において、横軸上のA、B、C、Dは、予め決められた入力階調値であり、縦軸のa、b、c、dは各入力階調値により形成されるパッチついてセンサによって測定される濃度値である。プリンタエンジン23は、このa、b、c、d四つの測定値をプリンタコントローラ22へ渡す。
【0088】
なお、最大濃度調整前のセンサによる測定値は、a'、b'、c'、d'であり、上記の最大濃度調整によってa、b、c、dへ変動する。つまり、センサの測定値、すなわちエンジン特性は、最大濃度調整に大きく影響を受けるため、常に一連の流れとして最大濃度調整、エンジン特性取得の順に処理を行う必要がある。
【0089】
一般的に上記現像系のセンサは、センサそのものの特性のばらつきなどがあるため、絶対的な濃度値を確実に得る精度はない。しかし、同一のセンサを用いれば、現像系の特性が変化した場合でも、その変化に応じた測定値を得ることはできる。すなわち、絶対的な精度は低いが相対的な変化を検出する精度は期待することができる。
【0090】
次にステップS33において、キャリブレーションデータ格納部21にキャリブレーションテーブル1(A1およびB1)がダウンロードされているか否かの判断を行う。キャリブレーションテーブル1がダウンロードされていないときは、ステップS34において従来のデバイスキャリブレーションと同様の手法でキャリブレーションテーブル2(A2およびB2)を作成する。すなわち、この場合は、図2にて説明したソフトキャリブレーションが未だ行なわれていないときであり、その場合は、センサによる測定値を用いてキャリブレーションテーブルを作成し、その後のプリント処理に用いるようにする。
【0091】
この処理を図12に示す特性カーブ1を用いて説明すると、まずエンジン特性であるセンサの測定値a、b、c、dから近似式によって特性カーブ1を得、図4を用いて前述したように目標とする特性を得るための逆関数を求めることによってキャリブレーションテーブル2を作成することができる。
【0092】
一方、ステップS33においてキャリブレーションテーブル1がダウンロードされていると判断したときは、ステップS35において、各中間調パターンに応じたキャリブレーションテーブル補正データの作成を行う。
【0093】
この補正データの作成は次のように行う。ここでは一方の中間調パターンAを例に説明しているが、中間調パターンBについても同様の処理を行うものとする。まず、最新のエンジン特性であり、ステップS32において取得されたキャリブレーションデータ格納部21の第2のエンジン特性データ213から、図12に示す特性カーブ1のような特性カーブを近似式により得る。次に、ソフトキャリブレーション実施時のエンジン特性である第1のエンジン特性211から同様に特性カーブを近似式により得る。そして、それぞれのエンジン特性について、仮のキャリブレーションデータとして図4にて前述したように、結果的に図4(c)に示す線形を得るべく逆関数カーブを求めることにより仮のキャリブレーションテーブルを得る。キャリブレーション補正データは、これら二つの仮のキャリブレーションテーブルの差分をとることにより作成する。この補正データはエンジンやそのセンサレベル等の特性変化を示す情報である。
【0094】
次に、ステップS36において、キャリブレーションデータ格納部21に格納された各中間調パターンに対応したキャリブレーションテーブル2(A2およびB2)の更新を行う。この処理は、上記ステップS35において作成したキャリブレーションテーブル補正データと、キャリブレーションデータ格納部21に格納されたキャリブレーションテーブル1(A1およびB1)のマージによって行う。すなわち、このキャリブレーションテーブル1は、図2にて前述したサーバPC1によるソフトキャリブレーションによって得られ、ダウンロードされたものであり、この内容を上記補正データによるマージによって調整するものである。
【0095】
次のステップS37では、各中間調パターンに応じて上記のように更新されたキャリブレーションテーブル2をキャリブレーションデータ格納部21に格納する。
【0096】
図13は、これら一連の処理説明する図である。ここでは一方の中間調パターンについて説明するが、他の中間調パターンについても同様の処理を行うものとする。図13(a)は、ソフトキャリブレーションによって生成されてダウンロードされ、プリンタ2のキャリブレーションデータ格納部21に格納された第1のキャリブレーションテーブル1を示す。図13(b)に示す、プリンタエンジン23におけるC、M、Y、K各色の最大濃度調整が行なわれるとともに、エンジン特性2の取得が行われる。そして、図13(c)に示す、エンジン特性2とソフトキャリブレーション時のエンジン特性1の差である、キャリブレーション補正データの作成が行なわれるとともに、その補性データと上記キャリブテーブル1とのマージが行われる。そして、作成された最新のキャリブテーブル2は、キャリブレーションデータ格納部21に第2のキャリブテーブル214として格納される。
【0097】
このように、プリンタ2のプリンタコントローラ22は、キャリブレーションデータ格納部21に格納された中間調パターンに応じた最新のキャリブレーションテーブルである第2のキャリブテーブルを用いて図8で示した画像処理を行うことができる。
【0098】
なお、以上説明したデバイスキャリブレーションは、プリンタにおいて自動的に行なわれるものであるが、本実施形態の電子写真方式に限らず他のプリント方式のプリンタにおいても同様に行なうことができる。例えば、インクジェット方式のプリンタの場合、記録ヘッドを搭載して走査を行うためのキャリッジに光学センサを設け、記録ヘッドを走査して記録したパッチを同様に走査することによりその濃度を検出することができる。
【0099】
図14、図15は、図2〜図13を参照して説明したキャリブレーション処理を、サーバPC1のユーザインタフェース(UI)の側面から説明する図である。すなわち、本実施形態のキャリブレーションは一種のアプリケーションとしてサーバPC1上に構成されるものである。
【0100】
図14のステップS80において、本アプリケーションが起動されると、まず、ステップS81において必要なプリンタドライバ、スキャナドライバがPC1のシステムにインストールされているか否かの判断を行う。必要なドライバがインストールされていないときは、ステップS814においてドライバチェックエラーの表示を行い、ステップS813において処理を終了する。ステップS81において必要なドライバがインストールされていると判断したときは、ステップS82においてメイン画面の表示を行う。
【0101】
このメイン画面の例を図15に示す。他の画面も基本的には図15に示すように、「次へ」「戻る」「キャンセル」「ヘルプ」のボタンを具え、その押下により関連する他の画面へ移ることができる。図14のメイン画面では、選択メニューとして「新規」「既存の測定データを開く」「ダウンロードデータの削除」の3種が設定されている。ここで「新規」を選択して「次へ」を押下した場合は、処理はステップS84へ移る。ステップS84では、プリンタ2へのパッチデータの出力を行う。次に、ステップS87において、前述したとおりスキャナ3においてそのプリント出力したパッチの濃度測定を行う。
【0102】
次に、ステップS88において、キャリブレーションの適用を行う。このステップでは前述した図2におけるステップS23、S24の処理、すなわち、キャリブレーションデータの作成、そのデータのプリンタ2へのダウンロードを行う。ステップS88においてはステップS89、S810へ移行するためのボタンが用意されており、ユーザによるそのボタン押下で移行することができる。ステップS89は、測定データの保存を可能とする画面であり、ステップS87で測定したスキャンデータを保存するものである。この保存ファイルは後述する既存の測定データを用いた処理で使用することが可能となる。ステップS810は、詳細情報を表示する画面であり、測定した濃度特性を表示する等の詳細情報を表示する。ステップS89、S810を抜けると、ステップS88へ戻る。
【0103】
ステップS811では、処理終了画面を表示する。この画面でアプリケーションの終了を指定するとステップS813で処理を終了し、メイン画面へ戻るを指定すると、ステップS82へ戻る。
【0104】
ステップS82のメイン画面で「測定データをひらく」を選択し、「次へ」を押下すると、ステップS85において測定データを指示する画面となる。ここでは「参照」ボタンの押下により、ステップS812の測定データの読み込み画面へ移行する。ここでは詳細に測定データを捜索することを可能とする。また、この測定データは上述したステップS89において保存したデータファイルである。次に、ステップS88においてキャリブレーション適用を行う。以降は上述と同様である。
【0105】
ステップS82のメイン画面で「ダウンロードデータの削除」を選択し「次へ」を押下すると、ステップS86においてプリンタ2のキャリブレーションデータ格納部21内に格納されたキャリブレーションデータの削除を行う。これはサーバPC1からプリンタ2へのコマンドによる指示により行うものであるが、コマンドについては言及しない。次に、終了画面S811へ移行する。以降は前述と同様である。
【0106】
<他の実施形態>
本発明は上述のように、複数の機器(たとえばホストコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリンタ等)から構成されるシステムに適用しても一つの機器(たとえば複写機、ファクシミリ装置)からなる装置に適用してもよい。
【0107】
また、前述した実施形態の機能を実現するように各種のデバイスを動作させるように該各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに、図2、図7、図8、図11に示すような前記実施形態機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)を格納されたプログラムに従って前記各種デバイスを動作させることによって実施したものも本発明の範疇に含まれる。
【0108】
またこの場合、前記ソフトウェアのプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、およびそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムコードを格納した記憶媒体は本発明を構成する。
【0109】
かかるプログラムコードを格納する記憶媒体としては例えばフロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0110】
またコンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、前述の実施形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)、あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して前述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
【0111】
さらに供給されたプログラムコードが、コンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能格張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も本発明に含まれることは言うまでもない。
【0112】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、所定のタイミングで、上記プリント装置において行なわれるいわゆるデバイスキャリブレーションでは、いわゆるソフトキャリブレーションに際して、プリント出力のためのデータ生成において用い得る複数の画像処理条件のうち、その数より少ない所定数の画像処理条件でパッチをプリント出力したときと同じ画像処理条件それぞれによるパッチデータに基づくパッチの出力、および該パッチの測定を行ない、このパッチの測定結果と上記所定数の画像処理条件それぞれと同じ画像処理条件それぞれによるパッチデータとに基づき、第2のプリント出力特性情報を取得し、上記所定数の画像処理条件それぞれについて、上記ソフトキャリブレーションで得られる第1のプリント出力特性情報と上記第2のプリント出力特性情報とに基づき補正データを作成し、この作成した補正データによって、上記記第1のキャリブレーション情報を補正して第2のキャリブレーション情報を取得し、また、画像処理では、複数の画像処理条件のうち、当該画像処理において設定されている画像処理条件に応じて、複数の画像処理条件のうちその数より少ない所定数の画像処理条件の1つに対応したキャリブレーション情報を選択し、該選択したキャリブレーション情報を用いて前記データに対しプリント出力特性の補正を行なうので、ソフトキャリブレーションによって取得した第1のキャリブレーション情報を基本とし、それが取得された後は、プリント装置で所定タイミングで実行されるデバイスキャリブレーションによる補正データによって調整できる。これとともに、ソフトキャリブレーションとデバイスキャリブレーション双方において出力されるパッチは同じ画像処理条件によるパッチデータに基づいて得られ、これにより、それぞれの読取りもしくは測定が画像処理条件の違いによって相互に異なったものになることを防止でき、また、プリント出力のためのデータ生成において用い得る複数の画像処理条件全てについてキャリブレーション情報の作成やその格納をする必要がなくなる。
【0113】
この結果、ソフトキャリブレーションとデバイスキャリブレーションの特に実行タイミングに関するユーザの負荷を軽減させるとともに、これらのキャリブレーションについて、システムのパフォーマンス低下をを招くことなくかつキャリブレーションのための記憶領域を最小限に抑制しつつ、相互に画像処理条件の適合した高精度なキャリブレーションを行なうことが可能となる。
【0114】
本発明のさらに別の形態によれば、複数の中間調パターンの中から代表的なパターンに対してキャリブレーションを行い、上記代表的なパターン以外のパターンについては、代表的なパターンのうち出力濃度特性が近いパターンのキャリブレーション結果を用いるので、オブジェクトに対応させて異なる全ての中間調パターンについてキャリブレーションを行なわずに済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるプリントシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるキャリブレーションを構成するソフトキャリブレーションの処理手順を示すフローチャートである。
【図3】上記ソフトキャリブレーションでプリント出力されるパッチデータを示す図である。
【図4】 (a)〜(c)は、パッチの濃度測定結果から得られる出力濃度特性に基づいてキャリブレーションテーブルを作成する処理を説明する図である。
【図5】 (a)〜(d)は、画像処理条件である中間調パターンの種類によって出力濃度特性が異なることを説明する図である。
【図6】 (a)〜(d)は、同様に画像処理条件である中間調パターンの種類によって出力濃度特性が異なることを説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態のプリンタにおけるサーバPCからデータを受信する処理およびその受信したデータのうちキャリブレーションデータの処理を示すフローチャートである。
【図8】上記プリンタにおける、特にキャリブレーションテーブルを用いた画像処理を示すフローチャートである。
【図9】上記画像処理で用いられる、中間調パターンとそれに最適なキャリブレーションテーブルとの対応を示すテーブルを示す模式図である。
【図10】 (a)および(b)は、上記画像処理で用いる中間調パターン、すなわちディザパターンの設定の二例を説明する図である。
【図11】本発明の一実施形態にかかるキャリブレーションを構成するデバイスキャリブレーションの処理手順を示すフローチャートである。
【図12】上記デバイスキャリブレーションによるプリンタエンジンの出力濃度特性の調整を説明するための出力濃度特性を示す線図である。
【図13】 (a)〜(d)は、上記デバイスキャリブレーションによって得られるキャリブレーションテーブル補正データによる、ソフトキャリブレーションで得られたキャリブレーションテーブルの調整をを説明する図である。
【図14】本発明の一実施形態にかかるキャリブレーションをユーザインターフェースの側面から説明する図である。
【図15】上記ユーザインターフェースの表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 サーバPC
2 プリンタ
3 スキャナ
4 クライアントPC
5 ネットワーク
11 キャリブレーションデータ格納部
21 キャリブレーションデータ格納部
22 プリンタコントローラ
23 プリンタエンジン
24 ディザ・キャリブレーション対応テーブル

Claims (9)

  1. プリント装置から、プリント出力のためのデータ生成において用い得る複数の2値化またはn値化(nは2より大)処理のための手法のうち、前記複数の数より少ない所定数の2値化またはn値化(nは2より大)処理のための手法それぞれにより処理されたパッチデータに基づきパッチをプリント出力させ、
    前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)処理のための手法それぞれについて、該パッチの読取り結果を理想再現特性に変換するためのガンマ補正テーブルと前記パッチプリントさせた時のプリント装置の濃度再現を測定した情報を取得し、
    所定のタイミングで、前記プリント装置において、前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法と同じ2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれにより処理されたパッチデータに基づくパッチの出力、および該パッチの測定を行い、
    測定結果により、前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法と同じ2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれについて、前記所定のタイミングにおける前記プリント装置の濃度再現を測定した情報を取得し、
    前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれについて、前記パッチプリントさせた時のプリント装置の濃度再現を測定した情報前記所定のタイミングにおける前記プリント装置の濃度再現を測定した情報とに基づき補正データを作成し、
    前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれについて、前記作成した補正データによって、前記ガンマ補正テーブルを調整し
    前記複数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法のうち、当該2値化またはn値化(nは2より大)処理において設定されている2値化またはn値化(nは2より大)のための手法に応じて、前記複数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法より少ない所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法の1つに対応した前記調整されたガンマ補正テーブルを選択し、
    該選択したガンマ補正テーブルを用いて画像信号に対しガンマ補正を行い、
    前記選択されたガンマ補正テーブルに対応する2値化またはn値化(nは2より大)のための手法で、前記ガンマ補正された画像信号に対して2値化またはn値化(nは2より大)処理を行なう、
    ステップを有したことを特徴とするキャリブレーション方法。
  2. 前記2値化またはn値化のための手法は、ディザ法であることを特徴とする請求項に記載のキャリブレーション方法。
  3. 前記パッチの出力および該パッチの測定を行なうステップでは、当該パッチの出力を行なう前に、前記プリント装置におけるプリント出力特性の最大濃度を所定の値に調整することを特徴とする請求項に記載のキャリブレーション方法。
  4. プリントを行うためのプリント装置であって、
    当該プリント装置から、プリント出力のためのデータ生成において用い得る複数の2値化またはn値化(nは2より大)処理のための手法のうち、前記複数の数より少ない所定数の2値化またはn値化(nは2より大)処理のための手法それぞれにより処理されたパッチデータに基づきパッチをプリント出力させるパッチ出力手段と、
    前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)処理のための手法それぞれについて、該パッチの読取り結果を理想再現特性に変換するためのガンマ補正テーブルと前記パッチプリントさせた時のプリント装置の濃度再現を測定した情報を取得する第1取得手段と、
    所定のタイミングで、前記プリント装置において、前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法と同じ2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれにより処理されたパッチデータに基づくパッチの出力、および該パッチの測定を行うパッチ出力測定手段と、
    該測定結果により、前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法と同じ2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれについて、前記所定のタイミングにおける前記プリント装置の濃度再現を測定した情報を取得する第2取得手段と、
    前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれについて、前記パッチプリントさせた時のプリント装置の濃度再現を測定した情報前記所定のタイミングにおける前記プリント装置の濃度再現を測定した情報とに基づき補正データを作成する補正データ作成手段と、
    前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれについて、前記作成した補正データによって、前記ガンマ補正テーブルを調整する調整手段と、
    前記複数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法のうち、当該2値化またはn値化(nは2より大)処理において設定されている2値化またはn値化(nは2より大)のための手法に応じて、前記複数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法より少ない所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法の1つに対応した前記調整されたガンマ補正テーブルを選択する選択手段と、
    該選択したガンマ補正テーブルを用いて画像信号に対しガンマ補正を行う補正手段と、
    前記選択されたガンマ補正テーブルに対応する2値化またはn値化(nは2より大)のための手法で、前記ガンマ補正された画像信号に対して2値化またはn値化(nは2より大)処理を行う手段と、
    を有したことを特徴とするプリント装置。
  5. 前記2値化またはn値化のための手法は、ディザ法であることを特徴とする請求項に記載のプリント装置。
  6. 前記パッチ出力測定手段は、当該パッチの出力を行なう前に、前記プリント装置におけるプリント出力特性の最大濃度を所定の値に調整することを特徴とする請求項4に記載のプリント装置。
  7. プリント装置のプリント出力特性を一定の特性とするためのキャリブレーション処理のプログラムであって、
    プリント装置から、プリント出力のためのデータ生成において用い得る複数の2値化またはn値化(nは2より大)処理のための手法のうち、前記複数の数より少ない所定数の2値化またはn値化(nは2より大)処理のための手法それぞれにより処理されたパッチデータに基づきパッチをプリント出力させ、
    前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)処理のための手法それぞれについて、該パッチの読取り結果を理想再現特性に変換するためのガンマ補正テーブルと前記パッチプリントさせた時のプリント装置の濃度再現を測定した情報を取得し、
    所定のタイミングで、前記プリント装置において、前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法と同じ2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれにより処理されたパッチデータに基づくパッチの出力、および該パッチの測定を行い、
    該測定結果により、前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法と同じ2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれについて、前記所定のタイミングにおける前記プリント装置の濃度再現を測定した情報を取得し、
    前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれについて、前記パッチプリントさせた時のプリント装置の濃度再現を測定した情報前記所定のタイミングにおける前記プリント装置の濃度再現を測定した情報とに基づき補正データを作成し、
    前記所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法それぞれについて、前記作成した補正データによって、前記ガンマ補正テーブルを調整し、
    前記複数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法のうち、当該2値化またはn値化(nは2より大)処理において設定されている2値化またはn値化(nは2より大)のための手法に応じて、前記複数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法より少ない所定数の2値化またはn値化(nは2より大)のための手法の1つに対応した前記調整されたガンマ補正テーブルを選択し、
    該選択したガンマ補正テーブルを用いて画像信号に対しガンマ補正を行い、
    前記選択されたガンマ補正テーブルに対応する2値化またはn値化(nは2より大)のための手法で、前記ガンマ補正された画像信号に対して2値化またはn値化(nは2より大)処理を行なう、
    ステップを有した処理を実行するコード手段を有したことを特徴とするプログラム。
  8. 前記2値化またはn値化のための手法は、ディザ法であることを特徴とする請求項に記載のプログラム。
  9. 前記パッチの出力および該パッチの測定を行なうステップでは、当該パッチの出力を行なう前に、前記プリント装置におけるプリント出力特性の最大濃度を所定の値に調整することを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
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