JP7047501B2 - 画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置および画像形成方法に関する。
プリンタ等の画像形成装置において、現在の装置特性に合わせて出力濃度等に補正をかける手法が知られている。
このような補正を必要最小限とするため、複数のキャリブレーションを実行可能な画像形成装置において、全ての補正を行うフルキャリブレーションと、一部の補正を行う簡易キャリブレーションとを選択可能な技術が知られている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、フルキャリブレーションを行った後に簡易キャリブレーションを行うと、却って画質が低下してしまう可能性がある。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、複数の階調補正方式を切り替えて使用しても画質の低下を抑制することができる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像の濃淡の疑似的な表現に用いられる複数のディザパターンにおいて、ディザパターンごとに階調補正を行う第1の階調補正方式、および基準パターンに基づき前記複数のディザパターンについて一括して階調補正を行う第2の階調補正方式を実行可能な画像形成装置であって、前記第1の階調補正方式により任意のディザパターンに基づき階調補正を行ったときに取得された第1の濃度検出値および前記画像形成装置の状態を記憶する記憶部と、前記第1の階調補正方式による前記階調補正の後に前記第2の階調補正方式により階調補正を行う場合、前記第2の階調補正方式を用いるときの前記画像形成装置の状態および前記第1の階調補正方式を用いたときの前記画像形成装置の状態の差を算出する装置状態差算出部と、前記第1の濃度検出値および前記第2の階調補正方式を用いるときに前記基準パターンに基づき取得された第2の濃度検出値に基づき、前記画像形成装置の状態の差に応じた補正値を算出する補正値演算部と、を備える。
本発明によれば、複数の階調補正方式を切り替えて使用しても画質の低下を抑制することができる。
図1は、実施形態にかかるプリンタの構成の一例を示す図である。 図2は、実施形態にかかるプリンタが有する機能構成の一例を示す図である。 図3は、実施形態にかかるプリンタにおける第1キャリブレーションの履歴データである。 図4は、実施形態にかかるプリンタにおける第2キャリブレーションによる階調補正時に用いられる補正率のデータである。 図5は、実施形態にかかるプリンタにおける第2キャリブレーションによる階調補正時に用いられる補正率のデータである。 図6は、実施形態にかかるプリンタにおける第2キャリブレーションによる階調補正時に用いられる補正率のデータである。 図7は、実施形態にかかるプリンタにおける第1キャリブレーションによる階調補正の手法を示すグラフである。 図8は、実施形態にかかるプリンタにおける第2キャリブレーションによる階調補正の手法を示すグラフである。 図9は、実施形態にかかるプリンタの第1キャリブレーションにおける階調補正処理の手順の一例を示すフロー図である。 図10は、実施形態にかかるプリンタの第2キャリブレーションにおける階調補正処理の手順の一例を示すフロー図である。 図11は、比較例にかかる詳細キャリブレーションと簡易キャリブレーションとの補正特性の違いを説明する図である。
以下に、図1~図11を参照しながら、本発明にかかる画像形成装置および画像形成方法の実施形態を詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
(プリンタの全体構成)
図1は、実施形態にかかるプリンタ100の構成の一例を示す図である。図1に示すように、実施形態のプリンタ100は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102,ASIC(Application Specific Integrated Circuit)103、スキャナエンジン104、プリンタエンジン105、ROM(Read-Only Memory)106、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)107、インタフェース(I/F)制御部108、および操作部I/F制御部109を備える。これらの構成は、CPUバス111で相互に通信可能に接続されている。
CPU101は、CPUバス111を介して上記各部に指示を出し上記各部を制御する。CPU101は1つでも複数でもよく、複数のCPU101を搭載することで処理性能を向上させることもできる。
RAM102は、CPU101等と接続され、各部の処理データを一時的に保存する。
ASIC103は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)である。ASIC103の代わりに、画像処理のプログラムをROM106に格納し、CPU101で実行させてもよい。
ROM106は、プリンタ100が実行するプログラムを格納する。
NVRAM107は、不揮発性メモリであり、プリンタ100固有の情報(例えば印刷枚数のカウンタ値等)を保持する。
スキャナエンジン104は、画像を読み取る機構である。読み取られた原稿画像のデータには、デジタル信号処理等の処理が適宜行われる。
プリンタエンジン105は、印刷データ入力を受け付け、画像の印刷出力を行う機構である。プリンタエンジン105は、レーザー方式、LED方式、インクジェット方式等の方式で画像を形成することができる。
プリンタエンジン105は、検出機構105cを有する。検出機構105cは、例えば、プリンタエンジン105が所定動作を行った時刻を記録するカウンタである。または、検出機構105cは、プリンタエンジン105が備える感光体の走行距離をカウントするカウンタである。または、検出機構105cは、プリンタエンジン105の内部温度等を検知する温度センサである。または、検出機構105cは、中間体転写ベルトに転写された画像の濃度を読み取る濃度センサである。検出機構105cは、これらのカウンタ、センサ等の少なくともいずれか1つであってよい。
操作部I/F制御部109には、操作部110が接続されている。操作部110は、操作部I/F制御部109の制御を受けて、プリンタ100のユーザからの入力を受け付け、かつ、ユーザに対して情報を提示するマンマシン・インタフェース部である。操作部110は、プリンタ100の操作を可能にするボタンやプリンタ100の状態を表示するインジケータ(LED、LCD等の表示器、スピーカ等)を備える。
I/F制御部108は、PC(Personal Computer)等の外部機器200と接続され、外部機器200から印刷データを受信する。I/F制御部108の接続方式としては、IEEE1284(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1284)インタフェース、USB(Universal Serial Bus)等によるローカル接続や、イーサネット(登録商標)等のネットワーク接続が挙げられる。
(プリンタの機能構成)
図2は、実施形態にかかるプリンタ100が有する機能構成の一例を示す図である。説明の便宜上、図2では、主に本実施形態に関する機能を例示しているが、プリンタ100が有する機能はこれらに限られない。
図2に示すように、実施形態にかかるプリンタ100は、画像の濃淡の疑似的な表現に用いられるディザパターンごとに階調補正を行う第1の階調補正方式としての第1キャリブレーション、および基準パターンに基づき階調補正を行う第2の階調補正方式としての第2キャリブレーションを実行可能な画像形成装置としてのプリンタ100であって、第1キャリブレーションにより任意のディザパターンに基づき階調補正を行ったときに取得された第1の濃度検出値およびプリンタ100の状態を記憶する記憶部18と、第1キャリブレーションによる階調補正の後に第2キャリブレーションにより階調補正を行う場合、第2キャリブレーションを用いるときのプリンタ100の状態および第1キャリブレーションを用いたときのプリンタ100の状態の差を算出する装置状態差算出部16と、第1の濃度検出値および第2キャリブレーションを用いるときに基準パターンに基づき取得された第2の濃度検出値に基づきプリンタ100の状態の差に応じた補正値を算出する補正値演算部17と、を備える。以下に、実施形態のプリンタ100の機能について詳細に説明する。
プリンタにおいては、プリンタの状態の経時変動に伴い、印刷時の濃淡が変動することがある。実施形態のプリンタ100は、このような変動を抑えるべく階調補正する機能を有している。かかる階調補正は、第1の階調補正方式としての第1キャリブレーション、及び第2の階調補正方式としての第2キャリブレーションの少なくとも2方式で行われる。第1キャリブレーションはより精度の高い方式であり、第2キャリブレーションはより簡便な方式である。
このような機能を実現するため、実施形態のプリンタ100は、チャート画像作成部11、濃度検出部12、濃度合成部13、濃度差算出部14、装置状態検出部15、装置状態差算出部16、補正値演算部17、および記憶部18を備える。
チャート画像作成部11は、階調補正を行うため、複数の階調値を含んだ補正チャートを出力する。プリンタ100は、複数のディザパターンを保有しており、補正チャートは、例えばこれらのディザパターンを元に生成される。ディザとは、限られた色数でより多くの階調を表現する場合のように、物理的に再現できない色および濃淡を微細なドットを用いて疑似的に表現する技術である。ディザパターンは、このような疑似的表現を行うドット形成の元となるデータである。チャート画像作成部11は、例えば、図1のプリンタエンジン105、及びCPU101で動作するプログラムによって実現される。
濃度検出部12は、チャート画像作成部11により出力された補正チャートを読み取った画像から、補正チャートの濃度を検出する。濃度検出部12は、少なくとも第1キャリブレーションが行われたときの濃度検出値を記憶部18に記憶する。濃度検出部12は、例えば、図1のスキャナエンジン104、プリンタエンジン105が有する検出機構105c、及びCPU101で動作するプログラムによって実現される。
濃度合成部13は、第2キャリブレーションが行われる際、第2キャリブレーションにおける補正チャートの出力により得られた濃度検出値と、それ以前に行われた第1キャリブレーションで得られた濃度検出値とを合成する。濃度合成部13は、例えば、図1のCPU101で動作するプログラムによって実現される。
濃度差算出部14は、第1キャリブレーションにおいて、濃度検出部12が検出した補正チャートの濃度とターゲット濃度との差を算出する。濃度差算出部14は、第2キャリブレーションにおいて、濃度合成部13が合成した濃度とターゲット濃度との差を算出する。濃度差算出部14は、例えば、図1のCPU101で動作するプログラムによって実現される。
装置状態検出部15は、プリンタ100の状態を検出する。プリンタ100の状態とは、例えば、プリンタエンジン105が所定動作を行った時刻である。または、プリンタ100の状態とは、プリンタエンジン105が備える感光体の走行距離である。または、プリンタ100の状態とは、プリンタエンジン105の内部温度である。プリンタ100の状態は、これらの時刻、感光体の走行距離、内部温度等の少なくともいずれか1つであってよい。装置状態検出部15は、少なくとも第1キャリブレーションが行われたときのプリンタ100の状態を記憶部18に記憶する。装置状態検出部15は、例えば、図1の検出機構105cによって実現される。
装置状態差算出部16は、第2キャリブレーションが行われる際、その時のプリンタ100の状態と、それ以前に行われた第1キャリブレーション時のプリンタ100の状態との差異を算出する。具体的には、装置状態差算出部16は、第1キャリブレーションが行われてから第2キャリブレーションが行われるまでの経過時間を算出する。または、装置状態差算出部16は、第1キャリブレーションが行われてから第2キャリブレーションが行われるまでの感光体の走行距離を算出する。または、装置状態差算出部16は、第1キャリブレーション時と第2キャリブレーション時のプリンタ100の内部温度差を算出する。プリンタ100の状態の差は、これら経過時間、感光体の走行距離、プリンタ100の内部温度差の少なくともいずれか1つであってよい。装置状態差算出部16は、例えば、図1のCPU101で動作するプログラムによって実現される。
補正値演算部17は、階調補正に用いる補正値を算出する。第1キャリブレーションにおいては、補正値は、第1キャリブレーションにて取得された補正チャートの濃度検出値から算出される。第2キャリブレーションにおいては、補正値は、濃度合成部13により合成された濃度、および第2キャリブレーション時と第1キャリブレーション時のプリンタ100の状態の差から算出される。補正値演算部17は、例えば、図1のCPU101で動作するプログラムによって実現される。
記憶部18は、プリンタ100の機能に必要な種々のデータを記憶する。記憶部18は、例えば、図1のRAM102及びNVRAM107によって実現される。
図3~図6に、記憶部18が記憶するデータの幾つかを例示する。
図3は、実施形態にかかるプリンタ100における第1キャリブレーションの履歴データである。上述のように、記憶部18は、第1キャリブレーションが行われたときの濃度検出値およびプリンタ100の状態を記憶する。
具体的には、記憶部18は、図3に示す第1キャリブレーションの履歴データを記憶する。第1キャリブレーションでは、上述の補正チャートを用い、それぞれのディザパターンA,B,C・・・等に対して所定タイミングで階調補正が行われる。第1キャリブレーションの履歴データは、その時々の結果の履歴を示すデータである。具体的には、第1キャリブレーションの履歴データは、ディザパターンごとの階調補正の日時、そのときの感光体の走行距離、プリンタ100内の内部温度、出力された補正チャートの濃度検出値を含む。
図4~図6は、実施形態にかかるプリンタ100における第2キャリブレーションによる階調補正時に用いられる補正率のデータである。第2キャリブレーションによる階調補正を行う際には、そのとき出力された補正チャートの濃度検出値だけでなく、それ以前に取得された第1キャリブレーション時の補正チャートの濃度検出値も補正値に反映させる。プリンタ100においては、第1キャリブレーション時と第2キャリブレーション時とのプリンタ100の状態差に基づき、その反映率を変化させる。
図4~図6の補正率は、各々の濃度検出値の反映率を示す。補正率1は第1キャリブレーション時の濃度検出値の反映率であり、補正率2は第2キャリブレーション時の濃度検出値の反映率である。
図4は、プリンタ100の状態として、第1キャリブレーション時から第2キャリブレーション時までの経過時間を用いる場合の補正率1,2を示す。図5は、プリンタ100の状態として、第1キャリブレーション時から第2キャリブレーション時までの感光体の走行距離を用いる場合の補正率1,2を示す。図5は、プリンタ100の状態として、第1キャリブレーション時と第2キャリブレーション時とのプリンタ100の内部温度差を用いる場合の補正率1,2を示す。
いずれの場合においても、第1キャリブレーション時と第2キャリブレーション時とのプリンタ100の状態の差が小さいほど、第2キャリブレーション時における濃度検出値の補正率が小さく設定され、プリンタ100の状態の差が大きいほど、第2キャリブレーション時における濃度検出値の補正率が大きく設定されている。
(プリンタの動作例)
次に、第1キャリブレーション及び第2キャリブレーションにおけるプリンタ100の動作例について説明する。
第1キャリブレーションは、プリンタ100の状態に応じて、または、ユーザの求めに応じて、所定のタイミングで行われる。このとき、プリンタ100またはユーザは、第1キャリブレーションの対象となるディザパターンを1つ以上選択することができる。
対象となるディザパターンが選択されると、チャート画像作成部11は補正チャートを出力する。補正チャートの出力とは、プリンタ100が備える中間転写ベルトへの転写、または、紙への印刷を意味する。
紙に印刷された補正チャートは、例えばスキャナエンジン104のスキャナで読み取られる。または、中間転写ベルトに転写された補正チャートは、例えばプリンタエンジン105の有する濃度センサで読み取られる。濃度検出部12は、読み取った補正チャートの画像から、補正チャートの濃度を検出する。濃度検出部12は、このときの補正チャートの濃度検出値を記憶部18の記憶する第1キャリブレーションの履歴データに格納する。
装置状態検出部15は、このときのプリンタ100の状態を検出し、補正チャートの濃度検出値と紐づけて、記憶部18の記憶する第1キャリブレーションの履歴データに格納する。
これにより、第1キャリブレーションの履歴データには、新たな履歴データが格納される。今回の階調補正の対象であるディザパターンについて過去のデータが存在する場合には、今回取得されたデータに更新される。
図7は、実施形態にかかるプリンタ100における第1キャリブレーションによる階調補正の手法を示すグラフである。グラフの横軸は、複数の階調値を含む補正チャートによる入力階調値である。グラフの縦軸は、入力階調値に対する濃度である。
図7に示すように、プリンタ100の目標とするターゲット濃度値20に対し、実際に検出された濃度検出値20aは所定の差を有している。濃度差算出部14は、ターゲット濃度値20と実際に検出された濃度検出値20aとの差を算出する。
第1キャリブレーションでは、実際に出力される濃度がターゲット濃度値20に近づくよう、階調補正(ガンマ補正)をかける。補正値演算部17は、濃度差算出部14が算出した濃度差に基づき、階調補正に用いる補正値30dを算出する。
算出された補正値30dは、今回の階調補正の対象であるディザパターンに適用される。プリンタ100の状態の経時変動に伴う変動値は、厳密にはディザパターンによって異なるため、このように、ディザパターンごとに階調補正が行われることが好ましい。
次に、第2キャリブレーションにおけるプリンタ100の動作例について説明する。
第2キャリブレーションは、プリンタ100の状態に応じて、または、ユーザの求めに応じて、所定のタイミングで行われる。第2キャリブレーションは、基準パターンを元に生成された補正チャートを用いて、全てのディザパターンに対して一括して行われる。基準パターンは基準となるディザパターンであって、第2キャリブレーション専用であってもよく、上記複数のディザパターンから任意のディザパターンが選択されてもよい。
チャート画像作成部11は、第2キャリブレーションに用いる補正チャートを出力する。濃度検出部12は、補正チャートの濃度を検出する。装置状態検出部15は、このときのプリンタ100の状態を検出する。
装置状態差算出部16および濃度合成部13は、記憶部18の第1キャリブレーションの履歴データを参照して、各々のディザパターンについて第1キャリブレーションにおける履歴データが存在するか否かを確認する。履歴データが存在するディザパターンについては、装置状態差算出部16は、そのときのプリンタ100の状態を読み出し、今回のプリンタ100の状態との差を算出する。濃度合成部13は、そのディザパターンについての濃度検出値を読み出す。
図8は、実施形態にかかるプリンタ100における第2キャリブレーションによる階調補正の手法を示すグラフである。グラフの横軸は、複数の階調値を含む補正チャートによる入力階調値である。グラフの縦軸は、入力階調値に対する濃度である。
図8に示すように、今回の第2キャリブレーションによる濃度検出値20sと、以前の第1キャリブレーションによる所定のディザパターンについての濃度検出値20aとには所定の差がある。濃度合成部13は、濃度検出値20sと濃度検出値20aとを合成して合成濃度値20mを生成する。このとき、濃度合成部13は、装置状態差算出部16が算出したプリンタ100の状態の差に応じて、濃度検出値20sと濃度検出値20aとの反映率を変える。具体的には、合成濃度値20mは、以下の式で求められる。
合成濃度値20m=濃度検出値20a×補正率1+濃度検出値20s×補正率2
*但し、補正率1+補正率2=100
プリンタ100の状態の差が第1キャリブレーションから第2キャリブレーションまでの経過時間である時は、濃度合成部13は、記憶部18に記憶される図4の補正率データを参照し、装置状態差算出部16が算出した経過時間に応じた補正率1,2を選択する。
プリンタ100の状態の差が第1キャリブレーションから第2キャリブレーションまでの感光体の走行距離である時は、濃度合成部13は、記憶部18に記憶される図5の補正率データを参照し、装置状態差算出部16が算出した走行距離に応じた補正率1,2を選択する。
プリンタ100の状態の差が第1キャリブレーション時と第2キャリブレーション時とのプリンタ100の内部温度差である時は、濃度合成部13は、記憶部18に記憶される図6の補正率データを参照し、装置状態差算出部16が算出した内部温度差に応じた補正率1,2を選択する。
これにより、プリンタ100の状態の差が小さいとき、つまり、第1キャリブレーション時からプリンタ100の状態がそれほど変化していないときは、より精度の高い第1キャリブレーション時の濃度検出値20aをより大きく反映させることとなる。図4~図6に示すように、補正率2が0%となる条件も存在する。つまり、プリンタ100の状態の差が充分に小さいときは、第2キャリブレーション時の濃度検出値20sを全く反映させないこともありうる。
また、プリンタ100の状態の差が大きいとき、つまり、第1キャリブレーション時からプリンタ100の状態が大きく変化しているときは、その影響を低減させるため第2キャリブレーション時の濃度検出値20sをより大きく反映させることとなる。
濃度差算出部14は、以上のように生成された合成濃度値20mと、ターゲット濃度値20との差を算出する。
第2キャリブレーションでは、合成濃度値20mがターゲット濃度値20に近づくよう、階調補正(ガンマ補正)をかける。補正値演算部17は、濃度差算出部14が算出した濃度差に基づき、所定のディザパターンの階調補正に用いる補正値(不図示)を算出する。
これらの動作は、例えば、全てのディザパターンについて補正値が算出され、適用されるまで繰り返される。このように、一括して階調補正を行う第2キャリブレーションは、精度は劣るものの、より簡便である。よって、プリンタ100の状態に合わせて、適宜、2つの方式が用いられる。
(第1キャリブレーションにおける階調補正処理例)
次に、図9を用いて、プリンタ100の画像形成処理としての第1キャリブレーションにおける階調補正処理の例について説明する。図9は、実施形態にかかるプリンタ100の第1キャリブレーションにおける階調補正処理の手順の一例を示すフロー図である。
図9に示すように、ステップS11において、プリンタ100は、階調補正の対象となる1つ以上のディザパターンを選択する。または、プリンタ100はユーザによる1つ以上のディザパターンの選択を受け付ける。
ステップS12において、チャート画像作成部11は補正チャートを出力する。
ステップS13において、装置状態検出部15は、そのときのプリンタ100の状態を検出し、記憶部18に記憶する。ステップS14において、濃度検出部12は、出力された補正チャートの濃度を検出し、濃度検出値を記憶部18に記憶する。
ステップS15において、濃度差算出部14は、検出された濃度検出値とターゲット濃度値との差を算出する。ステップS16において、補正値演算部17は、濃度差算出部14が算出した濃度検出値の差から補正値を算出する。ステップS17において、算出された補正値が、対象となっているディザパターンに対して適用される。
以上により、第1キャリブレーションにおける階調補正処理が終了する。
(第2キャリブレーションにおける階調補正処理例)
次に、図10を用いて、プリンタ100の画像形成処理としての第2キャリブレーションにおける階調補正処理の例について説明する。図10は、実施形態にかかるプリンタ100の第2キャリブレーションにおける階調補正処理の手順の一例を示すフロー図である。
図10に示すように、ステップS21において、チャート画像作成部11は、第2キャリブレーション時の基準となる補正チャートを出力する。
ステップS22において、装置状態検出部15は、そのときのプリンタ100の状態を検出する。また、濃度検出部12は、出力された補正チャートの濃度を検出する。
ステップS23において、装置状態差算出部16および濃度合成部13は、記憶部18を参照して、所定のディザパターンについて履歴データがあるか否かを判定する。
履歴データがある場合は(Yes)、ステップS24において、濃度合成部13は補正率1,2を決定する。すなわち、装置状態差算出部16が第1キャリブレーション時および第2キャリブレーション時のプリンタ100の状態の差を算出し、これに基づき、濃度合成部13は、プリンタ100の状態の差に応じた補正率1,2を補正率データの中から選択する。
ステップS25において、濃度合成部13は、第1キャリブレーション時および第2キャリブレーション時の濃度検出値に選択した補正率1,2をそれぞれ掛け合わせて合成濃度値を生成する。
ステップS26において、濃度差算出部14は、生成された合成濃度値とターゲット濃度値との差を算出する。ステップS27において、補正値演算部17は、濃度差算出部14が算出した濃度値の差から補正値を算出する。ステップS28において、算出された補正値が所定のディザパターンに対して適用される。
ステップS23において履歴データがない場合は(No)、ステップS26へと移行する。すなわち、合成濃度値が生成されることなく、検出された濃度検出値を用いて第2キャリブレーションが行われる。
ステップS26において、濃度差算出部14は、今回の第2キャリブレーションで検出された濃度検出値とターゲット濃度値との差を算出する。ステップS27において、補正値演算部17は、濃度差算出部14が算出した濃度検出値の差から補正値を算出する。ステップS28において、算出された補正値が所定のディザパターンに対して適用される。
ステップS29において、プリンタ100は、ステップS28の処理が最後のディザパターンであったか否かを判定する。最後でなければ(No)ステップS23以降の処理を繰り返し、最後であれば(Yes)処理を終了する。
以上により、第2キャリブレーションにおける階調補正処理が終了する。
例えば、特許文献1の画像形成装置おいては、複数のキャリブレーションを選択的に実行可能である。画像形成装置またはユーザは、複数のキャリブレーションを全て実行するフルキャリブレーションと、一部のキャリブレーションを実行する簡易キャリブレーションとを切り替えることができる。しかしながら、フルキャリブレーションが実行された状態から、簡易キャリブレーションが実行されると、画質が低下してしまう恐れがある。
図11は、比較例にかかる詳細キャリブレーションと簡易キャリブレーションとの補正特性の違いを説明する図である。比較例の詳細キャリブレーションでは、所定のディザパターンに対して濃度検出値20a’を得た。比較例の簡易キャリブレーションでは、基準パターンに対して濃度検出値20s’を得た。ここでの簡易キャリブレーションで、詳細キャリブレーションの結果を反映させず、濃度検出値20s’のみを用いてターゲット濃度値20’に近づける補正をすると、所定のディザパターンに対する補正後の濃度検出値40’は、ターゲット濃度値20’からは外れたものとなってしまう。このことは、詳細キャリブレーションが行われた状態から簡易キャリブレーションを行うことで、却って、画質を低下させてしまうことを示している。
実施形態のプリンタ100においては、第2キャリブレーションを実行する際に、前回の第1キャリブレーション時のデータも反映させる。これにより、第1キャリブレーションが実行された状態から、より簡便な第2キャリブレーションを実行しても、画質が低下してしまうのを抑制することができる。
また、実施形態のプリンタ100においては、第2キャリブレーションを実行する際に、第1キャリブレーション時のデータの反映率を、第1キャリブレーション時からのプリンタ100の状態の差に応じて変化させる。これにより、プリンタ100の現在の状態に見合ったより適正な階調補正を行うことができる。
(変形例)
上述の実施形態では、第2キャリブレーションは、全てのディザパターンに対して行われることとしたが、これに限らない。第2キャリブレーションにおいても、プリンタまたはユーザが補正対象となるディザパターンを1つ以上選択可能に構成されてもよい。
上述の実施形態では、第2キャリブレーションの実行時、図4~図6の補正率データを用いることとしたが、これに限られない。補正率1,2は、プリンタ100の状態の差に応じるのみならず、ディザパターンごとに異ならせてもよい。また、プリンタの状態は、上記に挙げた経過時間、走行距離、内部温度差に限られず、他の状態に基づく補正率データを用いてもよい。また、これらプリンタの状態に基づく補正率データの平均値をとってこれを補正率として用いてもよい。また、これらの補正率データを、階調補正のたびごとに蓄積していき、適宜、より精度の高いデータに更新してもよい。
上述の実施形態では、第2キャリブレーションの実行時、濃度検出値20aと濃度検出値20sとを用いて合成濃度値20mを算出することとしたが、これに限られない。事前に基準パターンに対応する補正チャートで取得した濃度検出値から、個々のディザパターンの濃度検出値を予測した値を濃度検出値20sに反映させてもよい。または、第1キャリブレーション時に第2キャリブレーションも行って、次の第2キャリブレーション時における値のズレを濃度検出値20sに反映させてもよい。
上述の実施形態では、第1キャリブレーションと第2キャリブレーションとは別々に行うこととしたが、これに限らない。例えば、選択したディザパターンに対して第1キャリブレーションを行い、選択されなかったディザパターンにその結果を反映させることで、第1キャリブレーションと第2キャリブレーションとを同時に行うこともできる。
上述の実施形態では、画像形成装置をプリンタ100であるとしたが、これに限らない。画像形成装置は、例えば、複写機、スキャナ、ファクシミリ等であってもよく、あるいは、印刷機能、複写機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)であってもよい。また、上述の実施形態の第1キャリブレーションと第2キャリブレーションとは、画像を表示するディスプレイ、および電子写真等に対しても適用可能である。
11 チャート画像作成部
12 濃度検出部
13 濃度合成部
14 濃度差算出部
15 装置状態検出部
16 装置状態差算出部
17 補正値演算部
18 記憶部
100 プリンタ
101 CPU
102 RAM
103 ASIC
104 スキャナエンジン
105 プリンタエンジン
105c 検出機構
106 ROM
107 NVRAM
108 I/F制御部
109 操作部I/F制御部
110 操作部
200 外部機器
特開2002-296851号公報

Claims (7)

  1. 画像の濃淡の疑似的な表現に用いられる複数のディザパターンにおいて、ディザパターンごとに階調補正を行う第1の階調補正方式、および基準パターンに基づき前記複数のディザパターンについて一括して階調補正を行う第2の階調補正方式を実行可能な画像形成装置であって、
    前記第1の階調補正方式により任意のディザパターンに基づき階調補正を行ったときに取得された第1の濃度検出値および前記画像形成装置の状態を記憶する記憶部と、
    前記第1の階調補正方式による前記階調補正の後に前記第2の階調補正方式により階調補正を行う場合、前記第2の階調補正方式を用いるときの前記画像形成装置の状態および前記第1の階調補正方式を用いたときの前記画像形成装置の状態の差を算出する装置状態差算出部と、
    前記第1の濃度検出値および前記第2の階調補正方式を用いるときに前記基準パターンに基づき取得された第2の濃度検出値に基づき、前記画像形成装置の状態の差に応じた補正値を算出する補正値演算部と、を備える、
    画像形成装置。
  2. 前記記憶部は、
    前記第1の階調補正方式により前記階調補正を行ったときの前記第1の濃度検出値および前記画像形成装置の状態を前記ディザパターンごとに記憶する、
    請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記画像形成装置の状態は、
    前記第1および第2の階調補正方式による前記階調補正の実行時間、前記画像形成装置で用いられる感光体の走行距離、および前記画像形成装置の内部温度の少なくともいずれか1つである、
    請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記補正値演算部は、
    前記画像形成装置の状態の差に応じて、前記第2の濃度検出値および前記第1の濃度検出値の前記補正値への反映率を変化させ、
    前記画像形成装置の状態の差が所定範囲内の場合には前記第2の濃度検出値を前記補正値に反映させない、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記補正値演算部は、
    前記画像形成装置の状態の差が大きいほど前記第2の濃度検出値の前記補正値への前記反映率を大きくする、
    請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記反映率を前記ディザパターンごとに切り替える、
    請求項4または請求項に記載の画像形成装置。
  7. 画像の濃淡の疑似的な表現に用いられる複数のディザパターンにおいて、ディザパターンごとに階調補正を行う第1の階調補正方式、および基準パターンに基づき前記複数のディザパターンについて一括して階調補正を行う第2の階調補正方式を実行可能な画像形成装置において実行される画像形成方法であって、
    前記第1の階調補正方式により任意のディザパターンに基づき階調補正を行ったときに取得された第1の濃度検出値および前記画像形成装置の状態を記憶する記憶ステップと、
    前記第1の階調補正方式による前記階調補正の後に前記第2の階調補正方式により階調補正を行う場合、前記第2の階調補正方式を用いるときの前記画像形成装置の状態および前記第1の階調補正方式を用いたときの前記画像形成装置の状態の差を算出する装置状態差算出ステップと、
    前記第1の濃度検出値および前記第2の階調補正方式を用いるときに前記基準パターンに基づき取得された第2の濃度検出値に基づき、前記画像形成装置の状態の差に応じた補正値を算出する補正値演算ステップと、を行う、
    画像形成方法。
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