JP4193581B2 - 新規な芳香族スルホン酸エステル誘導体、ポリアリーレン、スルホン酸基を有するポリアリーレンおよびその製造方法、ならびに高分子固体電解質およびプロトン伝導膜 - Google Patents

新規な芳香族スルホン酸エステル誘導体、ポリアリーレン、スルホン酸基を有するポリアリーレンおよびその製造方法、ならびに高分子固体電解質およびプロトン伝導膜 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な芳香族スルホン酸エステル誘導体、該化合物から導かれる繰り返し構成単位を含むポリアリーレン、該ポリアリーレンを加水分解してなるスルホン酸基を有するポリアリーレンおよびその製造方法、ならびに前記スルホン酸基を有するポリアリーレンからなる高分子固体電解質、該高分子固体電解質を含んでなるプロトン伝導膜に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
電解質は、通常、(水)溶液で用いられることが多い。しかし、近年、これが固体系に置き替えられている。その理由としては、例えば、電気・電子材料に応用する場合のプロセッシングの容易さであり、軽薄短小・省電力化への移行である。
【0003】
従来、プロトン伝導性材料としては、無機物、有機物の両方が知られている。無機物の例としては、例えば水和化合物であるリン酸ウラニルが挙げられるが、これら無機化合物は界面での接触が充分でなく、伝導層を基板あるいは電極上に形成するには問題が多い。
【0004】
一方、有機化合物の例としては、いわゆる陽イオン交換樹脂に属するポリマー、例えばポリスチレンスルホン酸などのビニル系ポリマーのスルホン化物、ナフィオン(商品名、デュポン社製)を代表とするパーフルオロアルキルスルホン酸ポリマー、パーフルオロアルキルカルボン酸ポリマーや、ポリベンズイミダゾールやポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性高分子にスルホン酸基やリン酸基を導入したポリマー(Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.7,p.2490〜2492(1993)、Polymer Preprints,Japan,Vol.43,No.3,p.735〜736(1994)、Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.3,p730(1993))などのポリマーが挙げられる。
【0005】
しかしながら、ポリスチレンスルホン酸等のビニル系ポリマーのスルホン化物は化学的安定性(耐久性)に劣るという問題点がある。パーフルオロスルホン酸系電解質膜は、製造が困難であり非常に高価であるため、自動車用、家庭用燃料電池等の民生用途への適用上の大きな障害となっており、特殊用途への応用に限られている。また、パールオロスルホン酸系電解質膜は分子内に大量のフッ素原子を有しているため、使用後の廃棄処理についても環境上の大きな問題点を抱えている。また、ポリベンズイミダゾールやポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性高分子にスルホン酸基やリン酸基を導入したポリマーに関しても、耐熱水製、耐久性に劣るという問題点を有していた。
【0006】
一方、工業的に安価に製造が可能で、耐熱水性、耐久性に優れたプロトン伝導性材料としては、スルホン化されたポリアリーレンが知られており、このスルホン化ポリマーは、通常芳香族化合物を重合してポリマーを製造し、次いでこのポリマーとスルホン化剤とを反応させてポリマーにスルホン酸基を導入することにより得られる。
【0007】
しかしながら、従来の方法では、スルホン酸を導入する際に濃硫酸、発煙硫酸、クロル硫酸などのスルホン化剤が大量に用いるため製造上の危険性が大きいこと、プラントの材質に制限があること、ポリマーを回収する際の廃液処理の負荷が大きいことなどの問題がある。また、ポリマーへのスルホン酸基の導入量、および導入位置を制御することが容易ではないという問題もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来技術における問題点を解決するものであって、工業的に安価に製造可能でかつ、耐熱水性、耐久性に優れたプロトン伝導性材料を提供すること、更には、多量のスルホン化剤を使用することなくスルホン酸基を有するポリアリーレンが製造でき、ポリマーを回収時の処理の負荷が小さく、ポリマーへのスルホン酸基の導入量、および導入位置を制御することが容易であるスルホン酸基を有するポリアリーレンの製造方法およびそれにより得られるスルホン酸基を有するポリアリーレン、該スルホン酸基を有するポリアリーレンの製造に好適に用いられる新規な芳香族スルホン酸エステル誘導体およびポリアリーレンを提供することを目的としている。
【0009】
また、本発明は上記スルホン酸基を有するポリアリーレンからなる高分子固体電解質および該高分子固体電解質を含んでなるプロトン伝導膜を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記の新規な芳香族スルホン酸エステル誘導体、ポリアリーレン、スルホン酸基を有するポリアリーレンおよびその製造方法、ならびに高分子固体電解質、プロトン伝導膜およびその製造方法が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
【0011】
(1) 下記一般式(1)で表されることを特徴とする芳香族スルホン酸エステル誘導体;
【0012】
【化4】
Figure 0004193581
【0013】
(式中、Xはフッ素を除くハロゲン原子、−OSO3CH3および−OSO3CF3から選ばれる原子または基を示し、Aは−CO−、−CONH−、−(CF2p−(ここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−COO−、−SO−、−SO2−、−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−および下記式
【化7】
Figure 0004193581
で表される2価の基、Bは前記Aと同じ2価の基または直接結合を示し、Raは炭素原子数4〜20の直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基または5員の複素環を有する炭化水素基を示し、Arは−SO3b(但し、Rbは炭素原子数4〜20の直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基または5員の複素環を有する炭化水素基を示す。)で表される置換基を有する芳香族基(但し、n=0の場合には、Arはフェニル基を示す。)を示し、mは0〜10の整数、nは0〜10の整数を示し、m+n≧1であり、kは1〜4の整数を示す。)。
【0014】
(2) 上記一般式(1)中のAが電子吸引性基であり、Bが電子供与基であることを特徴とする上記(1)に記載の芳香族スルホン酸エステル誘導体。
【0015】
(3) 芳香族化合物から導かれる繰り返し構成単位からなり、少なくとも下記一般式(1')で表される繰り返し構成単位を含むことを特徴とするポリアリーレン;
【0016】
【化5】
Figure 0004193581
【0017】
(式中、Aは−CO−、−CONH−、−(CF2p−(ここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−COO−、−SO−、−SO2−、−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−および下記式
【化8】
Figure 0004193581
で表される2価の基、Bは前記Aと同じ2価の基または直接結合を示し、Raは炭素原子数4〜20の直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基または5員の複素環を有する炭化水素基を示し、Arは−SO3b(但し、Rbは炭素原子数4〜20の直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基または5員の複素環を有する炭化水素基を示す。)で表される置換基を有する芳香族基(但し、n=0の場合には、Arは−SO3bで表される置換基を有するフェニル基を示す。)を示し、mは0〜10の整数、nは0〜10の整数を示し、m+n≧1であり。kは1〜4の整数を示す。)。
【0018】
(4) 上記一般式(1')で表される繰り返し構成単位0.5〜100モル%と、下記一般式(A')で表される繰り返し構成単位0〜99.5モル%とからなることを特徴とする上記(3)に記載のポリアリーレン;
【0019】
【化9】
Figure 0004193581
【0020】
(式中、R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基およびアリール基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示し、Wは2価の電子吸引性基を示し、Tは−CO−、−CONH−、−(CF2p−(ここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−COO−、−SO−、−SO2−、−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−および下記式
【化10】
Figure 0004193581
で表される2価の基を示し、は正の整数を示す。)
(5) 上記(3)または(4)に記載のポリアリーレンを加水分解して得られることを特徴とするスルホン酸基を有するポリアリーレン。
【0021】
(6) 上記(1)に記載の芳香族スルホン酸エステル誘導体を少なくとも含む芳香族化合物をカップリング重合し、得られたポリアリーレンを加水分解することを特徴とするスルホン酸基を有するポリアリーレンの製造方法。
【0022】
(7) 上記(5)に記載のスルホン酸基を有するポリアリーレンからなることを特徴とする高分子固体電解質。
【0023】
(8) 上記(7)に記載の高分子固体電解質を含んでなることを特徴とする燃料電池用プロトン伝導膜。
【0024】
【発明の実施形態】
以下、本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体、ポリアリーレン、スルホン酸基を有するポリアリーレンおよびその製造方法、ならびに高分子固体電解質およびプロトン伝導膜について具体的に説明する。
【0025】
(芳香族スルホン酸エステル誘導体)
本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体は、下記一般式(1)で表される。
【0026】
【化7】
Figure 0004193581
【0027】
式中、Xはフッ素を除くハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)、−OSO3CH3および−OSO3CF3から選ばれる原子または基を示す。
Aは2価の有機基、Bは2価の有機基または直接結合を示し、2価の有機基としては、例えば−CO−、−CONH−、−(CF2p−(ここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−COO−、−SO−、−SO2−などの電子吸引性基、−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−および下記式
【0028】
【化8】
Figure 0004193581
【0029】
で表される基などの電子供与性基などが挙げられる。
本発明では、Aが電子吸引性基であり、Bが電子供与基であることが好ましい。
【0030】
なお、電子吸引性基とは、ハメット(Hammett)置換基常数がフェニル基のm位の場合、0.06以上、p位の場合、0.01以上の値となる基をいう。
【0031】
aは炭素原子数4〜20の炭化水素基を示し、具体的にはtert−ブチル基、iso−ブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、2−エチルヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチル−2,4−ジオキソランメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基などの直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、5員の複素環を有する炭化水素基などが挙げられる。これらのうちn−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基が好ましい。
【0032】
Arは−SO3bで表される置換基を芳香族基(但し、n=0の場合には、Arはフェニル基を示す。)を示し、芳香族基として具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナンチル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が最も好ましい。
【0033】
置換基−SO3bは、芳香族基に1個または2個以上置換しており、置換基−SO3bが2個以上置換している場合には、これらの置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0034】
ここで、Rbは炭素原子数4〜20の炭化水素基を示し、具体的には上記炭素原子数4〜20の炭化水素基などが挙げられる。これらのうちn−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基が好ましい。
【0035】
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数を示し、m+n≧1である。
【0036】
kは1〜4の整数を示す。
【0037】
上記一般式(1)で表される本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体としては、以下のような化合物が挙げられる。
【0039】
【化10】
Figure 0004193581
【0041】
【化12】
Figure 0004193581
【0042】
これらの芳香族スルホン酸エステル誘導体中のエステル基は1級のアルコール由来で、β炭素が3級または4級炭素であることが、重合工程中の安定性に優れ、脱エステル化によるスルホン酸の生成に起因する重合阻害や架橋を引き起こさない点で好ましく、さらには、これらのエステル基は1級アルコール由来でβ位が4級炭素であることが好ましい。
【0043】
(芳香族スルホン酸エステル誘導体の合成法)
本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体は、例えば以下のような方法で合成することができる。
【0044】
【化13】
Figure 0004193581
【0045】
本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体は、例えば以下のような方法で合成することができる。
(1)スルホン化
例えば、4−フェノキシフェノールを濃硫酸中、室温で3時間反応させるとジスルホン化物が得られる。4−フェニルフェノールや4−(4−フェノキシ)フェノキシフェノールを用いても、同様な方法により対応するスルホン化物を得ることができる。また濃硫酸の代わりに、無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸などのスルホン化剤、あるいはこれらとジオキサン、酢酸等との錯体を用いてスルホン化してもよい。用いるスルホン化剤や反応温度によって、導入されるスルホン酸基の位置や数を制御することができる。このものを単離する場合には、フリーのスルホン酸の形であっても、アルカリ水溶液で中和して、カリウム塩やナトリウム塩などのスルホン酸塩としてもよい。
【0046】
(2)エーテル化
例えば、2,5−ジクロロ−4'−フルオロベンゾフェノンと4−フェノキシフェノールのジスルホン化物を炭酸カリウムの存在下で求核置換反応させる。溶媒としてはN,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒を用いることができる。またトルエン等の水と共沸する溶媒を用いて、反応初期に生成する水を系外に除去すると、反応を円滑に進めることができる。反応温度は100℃〜溶媒の沸点までの範囲であることが好ましい。2,5−ジクロロ−4'−フルオロベンゾフェノンを用いた場合には、クロロ基よりも反応性の高いフルオロ基が選択的に反応し、エーテル化される。
【0047】
(3)スルホン酸クロリド化
例えば、上記の反応で得られる、2,5−ジクロロ−4'−(4−フェノキシ)フェノキシベンゾフェノンのジスルホン化物のカリウム塩を、アセトニトリル等の不活性溶媒中、塩化ホスホリル、塩化チオニルなどと反応させるとスルホン酸塩をスルホン酸クロリドに変換することができる。
【0048】
(4)エステル化
例えば、2,5−ジクロロ−4'−(4−フェノキシ)フェノキシベンゾフェノンのジスルホニルクロリドを炭素数4以上の各種アルコールと、ピリジン等の塩基性溶媒中で反応させると本発明の芳香族スルホン酸エステル誘導体を得ることができる。
【0049】
(スルホン酸基を有するポリアリーレン)
本発明に係るスルホン酸基を有するポリアリーレンは、上記一般式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体から選ばれる少なくとも1種のモノマーを単独で重合するか、または上記一般式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体から選ばれる少なくとも1種のモノマーと、他の芳香族モノマー、好ましくは下記一般式(A)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種のモノマーとを共重合して得られるポリアリーレンを加水分解したものである。
【0050】
【化11】
Figure 0004193581
【0051】
上記一般式(A)中、R'およびR''は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子を除くハロゲン原子または−OSO2Z(ここで、Zはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す。)で表される基を示す。
【0052】
Zが示すアルキル基としてはメチル基、エチル基などが挙げられ、フッ素置換アルキル基としてはトリフルオロメチル基などが挙げられ、アリール基としてはフェニル基、p−トリル基などが挙げられる。
【0053】
1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基およびアリール基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
【0054】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基などが挙げられ、メチル基、エチル基などが好ましい。
フッ素置換アルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられ、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが好ましい。
アリル基としては、プロペニル基などが挙げられ、
アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
【0055】
Wは2価の電子吸引性基を示し、電子吸引性基としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
【0056】
Tは2価の有機基であって、電子吸引性基であっても電子供与性基であってもよい。電子吸引性基および電子供与性基としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
【0057】
は0または正の整数であり、上限は通常100、好ましくは80である。
【0058】
上記一般式(A)で表される化合物として具体的には、=0の場合、例えば4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンズアニリド、ビス(クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−クロロ安息香酸−4−クロロフェニル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子の少なくとも1つ以上が3位に置換した化合物などが挙げられる。
【0059】
また=1の場合、上記一般式(A)で表される具体的な化合物としては、例えば4,4'−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子が3位に置換した化合物、さらにこれらの化合物においてジフェニルエーテルの4位に置換した基の少なくとも1つが3位に置換した化合物などが挙げられる。
【0060】
さらに上記一般式(A)で表される化合物としては、2,2−ビス[4−{4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−{4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]スルホン、および下記式で表される化合物が挙げられる。
【0061】
【化15】
Figure 0004193581
【0062】
上記一般式(A)で表される化合物は、例えば以下に示す方法で合成することができる。
【0063】
まず電子吸引性基で連結されたビスフェノールを対応するビスフェノールのアルカリ金属塩とするために、N−メチル−2−ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキサイドなどの誘電率の高い極性溶媒中でリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩などを加える。
【0064】
通常、アルカリ金属はフェノールの水酸基に対し、過剰気味で反応させ、通常、1.1〜2倍当量を使用する。好ましくは、1.2〜1.5倍当量の使用である。この際、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどの水と共沸する溶媒を共存させて、電子吸引性基で活性化されたフッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された芳香族ジハライド化合物、例えば、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−クロロフルオロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン、4−フルオロフェニル−4'−クロロフェニルスルホン、ビス(3−ニトロ−4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、ヘキサフルオロベンゼン、デカフルオロビフェニル、2,5−ジフルオロベンゾフェノン、1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼンなどを反応させる。反応性から言えば、フッ素化合物が好ましいが、次の芳香族カップリング反応を考慮した場合、末端が塩素原子となるように芳香族求核置換反応を組み立てる必要がある。活性芳香族ジハライドはビスフェノールに対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜2.8倍モルの使用である。芳香族求核置換反応の前に予め、ビスフェノールのアルカリ金属塩としていてもよい。反応温度は60℃〜300℃で、好ましくは80℃〜250℃の範囲である。反応時間は15分〜100時間、好ましくは1時間〜24時間の範囲である。最も好ましい方法としては、下記式で示される活性芳香族ジハライドとして反応性の異なるハロゲン原子を一個ずつ有するクロロフルオロ体を用いることであり、フッ素原子が優先してフェノキシドと求核置換反応が起きるので、目的の活性化された末端クロロ体を得るのに好都合である。
【0065】
【化16】
Figure 0004193581
【0066】
(式中、Wは一般式(A)に関して定義した通りである。)
または特開平2−159号公報に記載のように求核置換反応と親電子置換反応を組み合わせ、目的の電子吸引性基、電子供与性基からなる屈曲性化合物の合成方法がある。
【0067】
具体的には電子吸引性基で活性化された芳香族ビスハライド、例えば、ビス(4−クロロフェニル)スルホンをフェノールとで求核置換反応させてビスフェノキシ置換体とする。次いで、この置換体を例えば、4−クロロ安息香酸クロリドとのフリーデルクラフト反応から目的の化合物を得る。ここで用いる電子吸引性基で活性化された芳香族ビスハライドは上記で例示した化合物が適用できる。フェノール化合物は置換されていてもよいが、耐熱性や屈曲性の観点から、無置換化合物が好ましい。なお、フェノールの置換反応にはアルカリ金属塩とするのが、好ましく、使用可能なアルカリ金属化合物は上記に例示した化合物を使用できる。使用量はフェノール1モルに対し、1.2〜2倍モルである。反応に際し、上述した極性溶媒や水との共沸溶媒を用いることができる。ビスフェノキシ化合物を塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛などのルイス酸のフリーデルクラフト反応の活性化剤存在下に、アシル化剤として、クロロ安息香酸クロライドを反応させる。クロロ安息香酸クロライドはビスフェノキシ化合物に対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜3倍モルの使用である。フリーデルクラフト活性化剤は、アシル化剤のクロロ安息香酸などの活性ハライド化合物1モルに対し、1.1〜2倍当量使用する。反応時間は15分〜10時間の範囲で、反応温度は−20℃から80℃の範囲である。使用溶媒は、フリーデルクラフト反応に不活性な、クロロベンゼンやニトロベンゼンなどを用いることができる。
【0068】
また、一般式(A)において、が2以上である化合物は、例えば、一般式(A)において電子供与性基Tであるエーテル性酸素の供給源となるビスフェノールと、電子吸引性基Wである、>C=O、−SO2−および>C(CF32から選ばれる少なくとも1種の基とを組み合わせた化合物、具体的には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビスフェノールのアルカリ金属塩と、過剰の4,4−ジクロロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホンなどの活性芳香族ハロゲン化合物との置換反応をN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホランなどの極性溶媒存在下で前記単量体の合成手法に順次重合して得られる。
【0069】
このような化合物の例示としては、下記式で表される化合物などを挙げることができる。
【0070】
【化17】
Figure 0004193581
【0071】
【化18】
Figure 0004193581
【0072】
【化19】
Figure 0004193581
【0073】
上記において、qは2以上の整数、好ましくは2〜100の整数である。
【0074】
本発明に係るポリアリーレンは、芳香族化合物から導かれる繰り返し構成単位からなり、少なくとも下記一般式(1')で表される繰り返し構成単位を含んでいる。
【0075】
【化20】
Figure 0004193581
【0076】
式中、A、B、RaおよびArは、上記一般式(1)中のA、B、RaおよびArと同様の基であり、m、nおよびkは一般式(1)中のm、nおよびkと同様の数である。
【0077】
本発明に係るポリアリーレンを構成する上記一般式(1')以外の繰り返し構成単位は例えば下記一般式(A')で表される。
【0078】
【化12】
Figure 0004193581
【0079】
式中、R1〜R8、WおよびTは、上記一般式(A)中のR1〜R8、WおよびTと同様の原子または基であり、は上記一般式(A)中のと同様の数である。
【0080】
本発明に係るポリアリーレン中の上記一般式(1')で表される繰り返し構成単位の含有割合は、特に限定されないが、好ましくは0.5〜100モル%、より好ましくは10〜99.999モル%である。また、本発明に係るポリアリーレン中の上記一般式(A')で表される繰り返し構成単位の含有割合は、好ましくは0〜99.5モル%、より好ましくは0.001〜90モル%である。
【0081】
(ポリアリーレンの合成)
本発明に係るポリアリーレンは、上記一般式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体から選ばれる少なくとも1種のモノマーを触媒の存在下に反応させるか、または上記一般式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体から選ばれる少なくとも1種のモノマー0.5〜100モル%、より好ましくは10〜99.999モル%と、他の芳香族モノマー、好ましくは上記一般式(A)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種のモノマー0〜99.5モル%、好ましくは0.001〜90モル%とを触媒の存在下に反応させることにより得られる。このとき使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、▲1▼遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、ならびに▲2▼還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
【0082】
ここで、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物;塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物;塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物;塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などが挙げられる。これらのうち特に、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好ましい。
【0083】
また、配位子成分としては、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジン、1,5−シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどが挙げられる。これらのうち、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジンが好ましい。上記配位子成分である化合物は、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
【0084】
さらに、配位子が配位された遷移金属錯体としては、例えば、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、臭化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、ヨウ化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、硝酸ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、臭化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ヨウ化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、硝酸ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられる。これらのうち、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)が好ましい。
【0085】
上記触媒系に使用することができる還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどが挙げられる。これらのうち、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、有機酸などの酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。
【0086】
また、上記触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物;フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などが挙げられる。これらのうち、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
【0087】
各成分の使用割合は、遷移金属塩または遷移金属錯体が、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満では、重合反応が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると、分子量が低下することがある。
【0088】
触媒系において、遷移金属塩および配位子成分を用いる場合、この配位子成分の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不十分となることがあり、一方、100モルを超えると、分子量が低下することがある。
【0089】
また、還元剤の使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、重合が十分進行しないことがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難になることがある。
【0090】
さらに、「塩」を使用する場合、その使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満では、重合速度を上げる効果が不十分であることがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難となることがある。
【0091】
使用することのできる重合溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、γ−ブチロラクタム、ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素などが挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらの重合溶媒は、十分に乾燥してから用いることが好ましい。
【0092】
重合溶媒中における上記モノマーの総計の濃度は、通常、1〜90重量%、好ましくは5〜40重量%である。
【0093】
また、重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜120℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
【0094】
このようにして上記一般式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体から選ばれる少なくとも1種のモノマーを(共)重合させるか、または上記一般式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体から選ばれる少なくとも1種のモノマーと、上記一般式(A)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種のモノマーとを共重合させることにより、ポリアリーレンを含む重合溶液が得られる。
【0095】
このようにして得られるポリアリーレンの分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
【0096】
(スルホン酸基を有するポリアリーレン)
本発明に係るスルホン酸基を有するポリアリーレンは、上記ポリアリーレンを加水分解して、上記一般式(1')で表される繰り返し構成単位中のスルホン酸エステル基(−SO3a、−SO3b)をスルホン酸基(−SO3H)に転換することにより得ることができる。
【0097】
加水分解は、
(1)少量の塩酸を含む過剰量の水またはアルコールに、上記ポリアリーレンを投入し、5分間以上撹拌する方法
(2)トリフルオロ酢酸中で上記ポリアリーレンを80〜120℃程度の温度で5〜10時間程度反応させる方法
(3)ポリアリーレン中のスルホン酸エステル基(−SO3a、−SO3b)1モルに対して1〜3倍モルのリチウムブロマイドを含む溶液、例えばN−メチルピロリドンなどの溶液中で上記ポリアリーレンを80〜150℃程度の温度で3〜10時間程度反応させた後、塩酸を添加する方法
などを挙げることができる。
【0098】
このようにして得られる、スルホン酸基を有するポリアリーレン中の、スルホン酸基量は、0.5〜3meq/g、好ましくは0.8〜2.8meq/gである。0.5meq/g未満では、プロトン伝導性が上がらず、一方3meq/gを超えると、親水性が向上し、水溶性ポリマー、もしくは、水溶性でなくとも熱水に可溶となってしまうか、また水溶性に至らずとも耐久性が低下する。
【0099】
上記のスルホン酸基量は、芳香族スルホン酸エステル誘導体と化合物(A)の使用割合、さらにモノマーの種類、組合せを変えることにより、容易に調整することができる。
【0100】
また、スルホン酸基を有するポリアリーレンの構造は、例えば、赤外線吸収スペクトルによって、1,230〜1,250cm-1のC−O−C吸収、1,640〜1,660cm-1のC=O吸収などにより確認でき、また、核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)により、6.8〜8.0ppmの芳香族プロトンのピークから、その構造を確認することができる。
【0101】
本発明においては、ポリアリーレン中のスルホン酸エステル基(−SO3a、−SO3b)の90%以上が、スルホン酸基(−SO3H)に転換していることが好ましい。
【0102】
本発明に係る高分子固体電解質は、上述したようなスルホン酸基を有するポリアリーレンからなる。
【0103】
本発明の高分子固体電解質は、例えば一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用プロトン伝導膜、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などに利用可能である。
【0104】
(プロトン伝導膜)
本発明のプロトン伝導膜は、上記スルホン酸基を有するポリアリーレンからなり、スルホン酸基を有するポリアリーレンからプロトン伝導膜を調製する際には、上記スルホン酸基を有するポリアリーレン以外に、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを併用してもよい。
【0105】
本発明では、スルホン酸基を有するポリアリーレンを、溶剤に溶解して溶液とした後、キャスティングにより、基体上に流延し、フィルム状に成形するキャスティング法などにより、フィルム状に成形することによりプロトン伝導膜を製造することができる。ここで、上記基体としては、通常の溶液キャスティング法に用いられる基体であれば特に限定されず、例えばプラスチック製、金属製などの基体が用いられ、好ましくは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの熱可塑性樹脂からなる基体が用いられる。
【0106】
スルホン酸基を有するポリアリーレンを溶解する溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチル尿素、ジメチルイミダゾリジノンなどの非プロトン系極性溶剤が挙げられ、特に溶解性、溶液粘度の面から、N−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」ともいう。)が好ましい。非プロトン系極性溶剤は、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
【0107】
またスルホン酸基を有するポリアリーレンを溶解させる溶媒として上記非プロトン系極性溶剤とアルコールとの混合物も用いることができる。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどが挙げられ、特にメタノールが幅広い組成範囲で溶液粘度を下げる効果があり好ましい。アルコールは、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
【0108】
なお、溶液粘度は、スルホン酸基を有するポリアリーレンの分子量や、ポリマー濃度にもよるが、通常、2,000〜100,000mPa・s、好ましくは3,000〜50,000mPa・sである。2,000mPa・s未満では、成膜中の溶液の滞留性が悪く、基体から流れてしまうことがある。一方、100,000mPa・sを超えると、粘度が高過ぎて、ダイからの押し出しができず、流延法によるフィルム化が困難となることがある。
【0109】
キャスティング溶剤として高沸点溶剤を使用した場合、上記のさまにして製膜したフィルム中には、溶剤が大量に残留する場合があるが、得られた未乾燥フィルムを水に浸漬することにより、未乾燥フィルム中の溶剤を水と置換することができ、得られるフィルム中の残留溶剤量を低減させることができる。
【0110】
未乾燥フィルムを水に浸漬する際は、枚葉を水に浸漬するバッチ方式であっても良いし、通常得られる基板フィルム(例えば、PET)上に成膜された状態の積層フィルムのまま、または基板から分離した膜を水に浸漬させて、巻き取っていく連続方法でも適用できる。
【0111】
バッチ方式の場合は、処理フィルムを枠にはめるなどの方式が処理されたフィルムの表面の皺形成が抑制されるので好都合である。
【0112】
未乾燥フィルムを水に浸漬する際には、未乾燥フィルム1重量部に対し、水が10重量部以上、好ましくは30重量部以上の接触比となるようにすることがよい。得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量をできるだけ少なくするためには、できるだけ大きな接触比を維持するのがよい。また、浸漬に使用する水を交換したり、オーバーフローさせたりして、常に水中の有機溶媒濃度を一定濃度以下に維持しておくことも、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量の低減に有効である。プロトン伝導膜中に残存する有機溶媒量の面内分布を小さく抑えるためには、水中の有機溶媒濃度を撹拌等によって均質化させることは効果がある。
【0113】
このような方法により得られるプロトン伝導膜は、その乾燥膜厚が、通常10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。
【0114】
また、本発明においては、上記ポリアリーレンを加水分解することなく、上述したような方法でフィルム状に成形した後、上記と同様の方法で加水分解することによりスルホン酸基を有するポリアリーレンからなるプロトン伝導膜を製造することもできる。
【0115】
本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体およびポリアリーレンは、上記のようなスルホン酸基を有するポリアリーレンおよびその製造方法に用いられる。
【0116】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0117】
実施例において、プロトン伝導度、引張強度特性、熱水耐性、フェントン試薬耐性、熱分解開始温度は以下のようにして求めた。
【0118】
〈プロトン伝導度の測定〉
交流抵抗は、5mm幅の短冊状にカットしたフィルムの表面に、白金線(φ=0.5mm)を押し当て、恒温恒湿装置中に試料を保持し、白金線間の交流インピーダンス測定から求めた。すなわち、85℃、相対湿度90%の環境下で交流10kHzにおけるインピーダンスを測定した。抵抗測定装置として、(株)NF回路設計ブロック製のケミカルインピーダンス測定システムを用い、恒温恒湿装置には、(株)ヤマト科学製のJW241を使用した。白金線は、5mm間隔に5本押し当てて、線間距離を5〜20mmに変化させ、交流抵抗を測定した。線間距離と抵抗の勾配から、膜の比抵抗を算出し、比抵抗の逆数から交流インピーダンスを算出し、このインピーダンスから、プロトン伝導率を算出した。
【0119】
比抵抗R(Ω・cm)=0.5(cm)×膜厚(cm)×抵抗線間勾配(Ω/cm)
〈引張強度特性〉
3mm×65mmの短冊形にカットしたフィルム試験片を作製し、引張試験機を用いて、弾性率、破断強度、伸びを測定した。
【0120】
〈熱水耐性試験〉
フィルムを2.0cm×3.0cmにカットし秤量して、試験用のテストピースとする。このフィルムを、ポリカーボネート製の250ml瓶に入れ、そこに約100mlの蒸留水を加え、プレッシャークッカー試験機(HIRAYAMA MFS CORP製 PC-242HS)を用いて、120℃で24時間加温する。試験終了後、各フィルムを熱水中から取り出し、軽く表面の水をキムワイプで拭き取り、含水時の重量を秤量し、含水率を求める。また、そのフィルムの寸法を測定し、膨潤率を求める。さらに、この膜を真空乾燥機で5時間乾燥し、水を留去して、熱水試験後の重量を秤量し、重量残存率を求める。
【0121】
〈フェントン試薬耐性試験〉
フィルムを、3.0cm×4.0cmにカットし秤量して、試験用のテストピースとし、テストピース1枚あたり200mlの蒸留水に48時間浸漬し、膜中の残留溶媒を溶出させる。その際、蒸留水を2回交換する。水浸漬後、濾紙でフィルムを挟んで表面の水を吸い取り、一晩風乾し秤量する。
【0122】
市販の30%過酸化水素水を3%になるよう蒸留水で希釈し、これに溶液中Fe(II)イオンが20ppmとなるよう第一硫酸鉄・七水和物を添加し、溶解させ、フェントン試薬を調整する。この溶液を、250mlポリ瓶に200ml注ぎ、45℃で一定となるようウオーターバスを用いて加温する。溶液が45℃になったのを確認した後、各フィルムを入れて26時間加温する。26時間後、溶液中から固形物を取り出し、一晩風乾して秤量し、重量残存率を求める。
【0123】
〈熱分解温度〉
TGA(窒素下、20℃/分の昇温速度)により測定されたスルホン化ポリマーの分解温度を熱分解温度とした。
【0124】
【実施例1】
1.スルホン酸エステルの合成
【0125】
【化22】
Figure 0004193581
【0126】
上記式中、NPはネオペンチル基を示す。
(1)フェノキシフェノールのジスルホン化物(SPPO)の合成
撹拌羽根、温度計、窒素導入管を取り付けた容量1Lの3口フラスコに4−フェノキシフェノール 370g(0.69mol)を入れ、濃硫酸 740mLを約1時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃で3時間撹拌した。反応終了後、水200mLで希釈し、KOH水溶液(KOH1.5kg/水750mL)で中和した。析出した固体をろ過、アセトンで洗浄し、1709gの白色粉末を得た。ここには、フェノキシフェノールジスルホン化物カリウム塩(SPPO)と水酸化カリウムが含まれる。このものの、NMRスペクトルを図1に示す。
(2)2,5−ジクロロ−4'−(4−フェノキシフェノキシ)ベンゾフェノンジスルホン化物(S−2,5−DCPPB)の合成
撹拌羽根、温度計、窒素導入管を取り付けた容量1Lの3口フラスコにSPPO 43.7g(0.31mol)、2,5−ジクロロ−4'−フルオロベンゾフェノン 43.14g(0.10mol)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)2.6g(8mmol)、ジメチルスルホキシド 200mLを入れ、窒素雰囲気下、160℃で撹拌した。SPPO 30g(65mmol)とTBAB 1.0g(3mmol)を適宜追加し、反応を続けた。30時間後、塩をろ過したあと、ろ液をアセトン(4.5L)中に注いだ。析出した固体をろ過、アセトン(1〜1.5L)で4〜5回洗浄した。真空乾燥し、81gのS−2,5−DCPPB (収率70%)を得た。NMRスペクトルを図2に示す。
(3)S−2,5−DCPPBクロロスルホニル化物の合成
撹拌羽根、温度計、窒素導入管を取り付けた容量1Lの3口フラスコにS−2,5−DCPPB 146.5g(0.22mol)、アセトニトリル 650mLをとり、70℃で攪拌した。塩化ホスホリル 220gを15分かけて滴下した後、5時間撹拌した。反応終了後、氷水(1.3kg)に滴下し、トルエン 2.5Lで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:トルエン)により残存する無機塩を取り除いた後、トルエン/ヘキサンから再結晶を行い、71gの目的物(収率52%)を得た。NMRスペクトルを図3に示す。
(4)S−2,5−DCPPBネオペンチルエステルの合成
撹拌羽根、温度計、窒素導入管を取り付けた容量1Lの3口フラスコに、S−2,5−DCPPBクロロスルホニル化物 59.5g(94mmol)、ピリジン 400mLをとり、氷浴中で冷却した。ここにネオペンチルアルコール 20.5g(233mmol)を加え撹拌した。この後、氷浴を外し室温で5時間攪拌した。析出したピリジン塩をろ過により取り除き、トルエン/酢酸エチル(600mL/600mL)で抽出した。抽出溶液を塩酸水溶液(濃塩酸300mL/水300mL)で数回洗浄し、次に5%炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で数回洗浄した。溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:トルエン)で分取し、36gのS−2,5−DCPPBネオペンチルエステルを得た。IRスペクトルを図4に、NMRスペクトルを図5に示す。
2.ポリアリーレンの合成
【0127】
【化23】
Figure 0004193581
【0128】
上記式中、NPはネオペンチル基を示す。
【0129】
撹拌羽根、温度計、窒素導入管を取り付けた容量500mLの3口フラスコに、スルホン酸エステル 21.4g(29mmoL)、数平均分子量11,000の4,4−ジクロロベンゾフェノン・2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン重縮合物 9.90g(0.9mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド 0.59g(0.9mmol)、ヨウ化ナトリウム 0.13g(0.9mmol)、トリフェニルホスフィン 3.15g(12mmol)、亜鉛 4.71g(72mmol)を秤取った。2時間真空乾燥した後、乾燥窒素で置換し、脱水したジメチルアセトアミド73mLを加え、重合を開始した。
【0130】
反応温度が90℃を超えないように制御しながら、3時間重合を続けた。次にテトラヒドロフラン 80mLを加えて重合溶液を希釈し、メタノール/濃塩酸溶液(メタノール2.7L/濃塩酸0.3L)に注いだ。沈殿した生成物をろ過、メタノール洗浄後、風乾した。乾燥した重合体をテトラヒドロフランに溶解させ、不溶分ろ過で取り除いたあと、3.5Lのメタノールに再沈殿させた。重合体をろ過、真空乾燥することにより23.5gのポリアリーレンを得た(収率80%)。GPCで求めた生成物の数平均分子量は61,000、重量平均分子量は278,000であった。
3.スルホン化ポリアリーレンの合成
【0131】
【化24】
Figure 0004193581
【0132】
撹拌羽根、温度計、窒素導入管を取り付けた容量300mLの3口フラスコに、ポリアリーレン 23.5g、臭化リチウム6.34g(73mmol)をとり、120℃で7時間撹拌した。反応溶液をアセトンに注ぎ重合体を凝固させた。得られた固体を蒸留水/濃塩酸溶液(3.0L/0.37L)で2度処理した後、蒸留水でpHが中性になるまで洗浄した。70℃で12時間乾燥し、スルホン化ポリアリーレンを19.9g得た。GPC(ポリスチレン換算)で求めた生成物の数平均分子量は78,000、重量平均分子量は230,000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.19meq/gであった。N−メチルピロリドン溶液からキャスト法により膜厚40μmのフィルムを作製した。
4.特性評価
得られたフィルムについて特性評価を行った。結果を表1にまとめた。
【0133】
【表1】
Figure 0004193581
【0134】
【発明の効果】
本発明に係るスルホン酸基を有するポリアリーレンおよびその製造方法は、ポリアリーレンを、スルホン酸基を有するポリアリーレンとする際にスルホン化剤が用いられないため安全性が高く、ポリマーを回収する際の処理の負荷が小さい。また、ポリマーへのスルホン酸基の導入量、および導入位置を制御することが容易である。
【0135】
本発明に係る芳香族スルホン酸エステル誘導体およびポリアリーレンは、上記のようなスルホン酸基を有するポリアリーレンおよびその製造方法に用いられる。
【0136】
本発明に係るプロトン伝導膜は、プロトン伝導性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で製造したフェノキシフェノールのジスルホン化物のNMRスペクトルである。
【図2】実施例で製造した2,5−ジクロロ−4'−(4−フェノキシフェノキシ)ベンゾフェノンジスルホン化物のNMRスペクトルである。
【図3】実施例で製造したS−2,5−DCPPBクロロスルホニル化物のNMRスペクトルである。
【図4】実施例で製造したS−2,5−DCPPBネオペンチルエステルのIRスペクトルである。
【図5】実施例で製造したS−2,5−DCPPBネオペンチルエステルのNMRスペクトルである。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とする芳香族スルホン酸エステル誘導体;
    Figure 0004193581
    (式中、Xはフッ素を除くハロゲン原子、−OSO3CH3および−OSO3CF3から選ばれる原子または基を示し、Aは−CO−、−CONH−、−(CF2p−(ここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−COO−、−SO−、−SO2−、−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−および下記式
    Figure 0004193581
    で表される2価の基、Bは前記Aと同じ2価の基または直接結合を示し、Raは炭素原子数4〜20の直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基または5員の複素環を有する炭化水素基を示し、Arは−SO3b(但し、Rbは炭素原子数4〜20の直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基または5員の複素環を有する炭化水素基を示す。)で表される置換基を有する芳香族基(但し、n=0の場合には、Arは−SO3bで表される置換基を有するフェニル基を示す。)を示し、mは0〜10の整数、nは0〜10の整数を示し、m+n≧1であり、kは1〜4の整数を示す。)。
  2. 上記一般式(1)中のAが電子吸引性基であり、Bが電子供与基であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族スルホン酸エステル誘導体。
  3. 芳香族化合物から導かれる繰り返し構成単位からなり、少なくとも下記一般式(1')で表される繰り返し構成単位を含むことを特徴とするポリアリーレン;
    Figure 0004193581
    (式中、Aは−CO−、−CONH−、−(CF2p−(ここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−COO−、−SO−、−SO2−、−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−および下記式
    Figure 0004193581
    で表される2価の基、Bは前記Aと同じ2価の基または直接結合を示し、Raは炭素原子数4〜20の直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基または5員の複素環を有する炭化水素基を示し、Arは−SO3b(但し、Rbは炭素原子数4〜20の直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基または5員の複素環を有する炭化 水素基を示す。)で表される置換基を有する芳香族基(但し、n=0の場合には、Arは−SO3bで表される置換基を有するフェニル基を示す。)を示し、mは0〜10の整数、nは0〜10の整数を示し、m+n≧1であり。kは1〜4の整数を示す。)。
  4. 上記一般式(1')で表される繰り返し構成単位0.5〜100モル%と、下記一般式(A')で表される繰り返し構成単位0〜99.5モル%とからなることを特徴とする請求項3に記載のポリアリーレン;
    Figure 0004193581
    (式中、R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基およびアリール基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示し、Wは2価の電子吸引性基を示し、Tは−CO−、−CONH−、−(CF2p−(ここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−COO−、−SO−、−SO2−、−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−および下記式
    Figure 0004193581
    で表される2価の基を示し、は正の整数を示す。)
  5. 請求項3または4に記載のポリアリーレンを加水分解して得られることを特徴とするスルホン酸基を有するポリアリーレン。
  6. 請求項1に記載の芳香族スルホン酸エステル誘導体を少なくとも含む芳香族化合物をカップリング重合し、得られたポリアリーレンを加水分解することを特徴とするスルホン酸基を有するポリアリーレンの製造方法。
  7. 請求項5に記載のスルホン酸基を有するポリアリーレンからなることを特徴とする高分子固体電解質。
  8. 請求項7に記載の高分子固体電解質を含んでなることを特徴とする燃料電池用プロトン伝導膜。
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